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第165回 インターモールド2012開催、国際競争力を高める金型技術

インターモールド 「インターモールド2012(第23回金型加工技術展)」が4月18日~21日、大阪市住之江区のインテックス大阪で開催された。「金型展2012」と「金属プレス加工技術2012」が同時開催され、45,075人が来場、306社・団体が、ものづくりの高品質化や高精度化に不可欠な金型関連の最新技術を披露した。

 高速・高精度な切削加工による金型製作が行われるようになって久しいが、さらなる高精度化による加工面品位の向上と生産性向上によるコスト競争力向上を図る加工機と切削工具の技術開発が進んでいる。

 工作機械の出展として、オークマは高精度金型加工用の立型マシニングセンタ(mp-46V)を展示した。機械の立ち上げ時や加工再開時などのテーブルの熱膨張による寸法変化を制御、テーブル全域で5μmに抑えることで、熱変位を安定させるための暖機運転を短縮するとともに、ワークをテーブルのどこに設置しても安定した寸法精度を実現している。20000回転、30000回転の高速主軸で主軸・工具の温度上昇を回転軸冷却システムで低く抑え、熱変位を低減している。

 切削加工では、タンガロイが、金型の彫りこみ加工で高い加工能率を持つ超高送りカッタ(DoFeedドゥーフィード)を出展した。インサート材種には表面の摩擦係数を低下させるとともに、ミクロな応力集中を軽減し、工具材料の性能を大幅に向上させる表面平滑化技術を採用した。この表面改質技術により長寿命化を図った3材種の組み合わせによって多種多様な金型材で超高送りを実現、曲線切れ刃と大きなすくい角により低抵抗化した両面4コーナ仕様インサートと多刃仕様ボディの組み合わせによって、従来よりも30%以上高い加工能率を実現し生産性向上につなげている。

 こうした金型の切削加工と併せて、各種金型の耐久性を高める表面改質技術も紹介された。

 清水電設工業( http://www.seavac.co.jp )では、高硬度、高耐熱性、高潤滑性のPVDコーティング「ZERO-Iゼロワンコーティング」を紹介、優れた耐摩耗性による金型の長寿命化を提唱した。自動車業界では、高張力鋼板(ハイテン材)や厚板化など、過酷な状況下での金型の使用が進み皮膜の剥離を誘発させる局所的弾性変形の抑制が課題だが、その課題をクリアするとともにTiCN、TiAlNを凌ぐHv3500という高硬度化を実現した。また耐熱温度では、TiAlNを超える1100℃を実現。焼付きの原因となる冷間鍛造での摩擦熱による酸化や温間鍛造にも対応した。

 ナノコート・ティーエス( http://www.nanocoat-ts.com/ )は、耐摩耗性や耐食性、離型性などの機能に優れた「プラスチック・ゴム成形金型用セルテスコーティング」を紹介した。クロム系、DLC系、チタン系の膜種を用意、プラスチック・ゴム成形金型の生産性向上に対応する。耐摩耗性に優れた膜種では、射出成形においてガラス繊維などによるアブレシブ摩耗を低減し寿命を向上させるとともに500℃までの高温酸化防止性能によりガス焼けによる母材の損傷を防ぐ。また金型の離型性・型汚れに適した膜種では、金型洗浄や除去の保守頻度を低減するほか、型離れが良好なことから自動運転を可能にしている。

 電気、材料、輸送費、法人税率など、アジア諸外国に比べコスト高なわが国の金型産業では、ユーザーの海外進出が止まらず、海外調達に歯止めがかからない状況にある。しかし、こうした金型の高精度加工技術や表面改質技術による長寿命化などによって、基板技術である金型の国際競争力を高めることで収益の増大を図り、ひいてはわが国のものづくり産業の発展につなげてほしい。