第199回 機械要素技術展開催、ピーニングやコーティングなど機械要素の機能を高める製品・技術が展示
表面処理・改質技術、バリ取り・表面仕上げ、試験・計測機器/センサ、軸受や直動案内機器、歯車などの機械要素、金属や樹脂などの材料とその加工技術などに関する専門技術展「第19回機械要素技術展」が6月24日から26日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催した。主催のリード エグジビション ジャパンが同時開催した「第27回設計・製造ソリューション展」、「第7回医療機器 開発・製造展」、「第24回3D&バーチャルリアリティ展」を合せて約82000名が来場した。ここでは、表面改質関連の展示について紹介する。
不二WPCは、金属の疲労強度向上と微細なディンプルを付与するショットピーニング「WPC処理」や、金属加工の最終仕上げとして用いられている砥粒研磨技術「3Dラッピング」、安定した密着力でナノレベルの薄膜を成膜するDLCコーティング、各処理の複合処理による機能向上についてPRした。ブースでは各処理を施した製品を展示したほか、来場者が持ち込んだ品物の静摩擦係数を図るデモンストレーションを実施、同社が行った各処理サンプルとの摩擦係数をその場で比較できるようにした。
新東工業では、ショットブラストやエアーブラスト、バレル研磨機などの表面処理装置、各種ブラスト用投射材、受託加工サービスを紹介。ブースでは、回転フックに製品を吊り下げ回転させながらブラスト処理を行うハンガー式ショットブラスト「SHBX-Ⅱ」の実機を展示した。加えて、ブラストおよびショットピーニング処理後の表面に対する評価を行う技術「Sightia(サイティア)」により、約10秒で応力測定を行うインライン型のX線測定装置、ピーニング処理において正常処理と未処理・不完全処理を評価するピーニング非破壊検査装置の展示を行い、他社との差別化を行った。
コーティング関連では、オキツモが超精密潤滑コーティングシステム「UPLコーティング」を紹介。同システムは従来の潤滑塗料と同社独自の塗装技術を組み合わせたもので、微小部品や複雑な形状でも薄膜でかつ均一な塗膜(膜厚精度±1μm以下)で塗装することが可能。低荷重に適したフッ素タイプと高荷重に適した二硫化モリブデンタイプをラインアップすることで、高潤滑・低摩耗を実現。これにより品質の安定と不良率の大幅な低減につながるという。用途としては、ベアリングやシートベルト金具などの自動車部品、精密機器部品など油の使用が敬遠される分野で採用が広っがているという。
東北特殊鋼は、窒化処理において化合物層を生成させずに従来窒化法と変わらない硬度分布を示し、処理前後の表面粗さの変化がないことから研磨仕上げが不要な特殊窒化処理「キリンコートS」、この窒化層を下地としてDLCやTiN、TiCN、CrNなどのPVDコーティングを施す「キリンコートC」を紹介。複合処理によりコーティングの密着性が向上することからコア、ピンなどの射出成形金型やダイ、パンチなどの冷間鍛造金型、摺動部品を中心とした自動化設備用精密部品などに適用が進んでいるという。
また新明和工業は、DLCコーティングのサンプルやイオンエッチングによる除膜サンプルを展示したほか、大面積電子ビーム加工装置の実機を展示。この装置は、電子ビーム照射により金属表面を自動で平滑化。金型の最終仕上げや金属表面欠陥層の除去、金型、部品等の耐食性、光沢性向上、微小な部品のバリ取りなどに適用できるという。
出展者による製品・技術PR公開セミナーでは、日本マクダーミッドの田岡道子氏が「マクダーミッドのカラースタイリストが提案する最新のトレンドカラー」と題して登壇。世界の有名ブランドで取り入れられている色や最近の流行の色などについて解説した。売れる商品の色としては、火や血を連想させる赤、暗闇や夜を連想させる黒、空や水を連想させる青、雲や雪を連想させる白を挙げた。また、日本の地域においても好みの色が分かれるとして各地域で好まれる色の紹介、欧米で好まれるマット調の色を自動車メーカーの実例を挙げて紹介した。最後に、「最近では弊社が販売しているめっき材料においても様々な色が表現できるようになっている」ため、使用する国・地域や用途によって同社独自の提案を行う意図を示した。