フェローテックマテリアルテクノロジーズ、半導体マテリアル製品群を増強kat
2020年12日05日(土)
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半導体製造装置向け冶具・消耗材である石英、シリコンパーツ、セラミックス、CVD-SiCはフェローテックホールディングスの主力のマテリアル製品群で、中長期的に事業拡大を目指す戦略製品に位置付けられている。
フェローテックホールディングス傘下のフェローテックマテリアルテクノロジーズでは、需要の高まる半導体マテリアルについて、各種ニーズに合わせた取組みを増強している。
◆石英製品
・特徴と適用例
半導体製造プロセスでは高熱処理や化学処理が頻繁に行われる。高純度(純度:99.99%)を誇る石英ガラスは、熱に強く、薬品に侵されにくいという特性があることから、半導体製造工程での高温作業に耐え、活性ガスとの化学変化を起こさない石英製品が活躍している。
石英製品は火加工品と機械加工品(切削加工品)に大別され、エッチング装置の部品、CVD(化学気相成長)拡散炉中のウェハボート(図1)や炉心管、洗浄槽などの治具、消耗品として用いられる。配線の微細化や高純度化の進む半導体製造プロセスにおいて重要な役割を担っている。
石英製品は、フェローテックマテリアルテクノロジーズの中国杭州工場および東台工場で量産を手掛け、国内では2019年に山形工場を設立、少量~中量の試作評価・製造の拠点として稼働している。いずれも技術レベル・品質レベルともに同等の製品を提供できるため、ワールドワイドに展開している。
図1 石英製品:ウェハボート
・半導体製造プロセスにおけるニーズと石英製品における取組み
半導体製造プロセスにおける微細化の進展とともに、石英製品においても加工精度の公差が±0.1mm、さらには±0.01mmと厳しさを増してきている。特に人が組立てを行う火加工品では、火炎による熱変形もあって対応が難しく、フェローテックマテリアルテクノロジーズでは熱変形の解析なども踏まえつつ組立て用治具の工夫・改良などを実施して対応している。ますます進む高精度化の要求に対して、できる工程から自動化を進めるべく検討を始めている。
一方、新設した山形工場は主に炉メーカーなど日本の顧客を対象に開発品を手掛けている。開発品は短納期対応が要求されるため、拠点新設で技術者同行による打ち合わせの強化や開発品の短納期化が可能になっている。石英製品は前処理工程で使われることが多く、直近で新規設備投資の需要が見込まれることからも、石英製品の試作評価の迅速化に引き続き努めていく。
◆シリコンパーツ
・特徴と適用
シリコンパーツでは、シリコン同士を接合する独自技術「SiFusion」に強みがある。シリコンウェハと同じ熱膨張係数・熱伝導率を有する高純度ポリシリコン材料で構成されるSiFusion製品(図2)は、拡散炉・CVD炉・酸化炉などの微細化高温プロセス向けシリコンボートに採用されている。
シリコンパーツのもう一つの主要な用途としては、真空エッチング装置向けパーツがある。他社がシリコンインゴットを購入してパーツを生産するのに対して、フェローテックマテリアルテクノロジーズは単結晶インゴット引上げ技術・炉を保有しており、川上から川下までの一貫生産を実現している。中国銀川工場でインゴット引上げを、中国杭州第二工場で加工を手掛けており、低コストで高純度のシリコンパーツは、日本の半導体製造装置メーカーのOEM製品となっているほか、台湾や中国でも採用が進み、米国の半導体製造装置メーカーでも検討が進んでいる。
図2 シリコンパーツ:インジェクター
・半導体製造プロセスにおけるニーズとシリコンパーツにおける取組み
3D-NANDフラッシュメモリーの製作ではエッチングとCVDを何回も繰り返して、積層して電極を形成していくが、3D-NANDフラッシュメモリーの需要増加に伴いエッチング装置の需要が急伸している。一方で微細化の進展からは、チャンバー内のコンタミネーション、特にメタルコンタミをなくしたいとのニーズがあり、従来の酸化アルミニウムや酸化イットリウム等を部材としたパーツから、フェローテックマテリアルテクノロジーズの高純度なシリコンパーツへの切り替えが進んできている。
また、ウェハの大口径化に伴いシリコンパーツの大口径化への需要が高まってきているが、これに対しても大型単結晶インゴット引上げ炉を保有していることから、550mmまでの大口径化に対応できる。
さらに、省エネ化を目的とするパワーデバイスの増加などや、ウェハ表面層の結晶欠陥を低減したいとの要求から、炉の高温化が進んでいる。これに対してSiFusionポリシリコンボートは炉の高温化に耐えつつ、パーティクルと結晶欠陥スリップの低減に寄与できる。
シリコンパーツの生産面においては石英製品と同様に、加工精度向上への要求に対応して、装置間の搬送の自動化や三次元測定の自動化などの取組みを進めている。
◆セラミックスおよびCVD-SiC
セラミックスとCVD-SiCは、日本における「材料、加工、コーティング技術」の開発優位性が強みとなっている。
セラミックス(図3)は高度な素材技術・生産技術を活かし、厳しい品質管理のもとで一貫生産され、様々な分野の製品開発・生産において求められる優れた特性と高度な機能を発揮。高純度・高剛性・高精度を要求される半導体製造(ウェハ製造・処理・組立・検査)の各プロセスに使用される部品や液晶製造用部品をはじめ、一般産業機械分野で使用される耐摩耗・耐熱・耐薬品用部材にも適している。
図3 セラミックス
CVD方式による独自のSiC成膜(CVD-SiC)技術は、高い特性を備えながらも低コストを実現した製品を提供している。30年以上にわたり培ってきた独自のCVD法で製作されたSiC製品(図4)は、超高純度・高耐食性・高耐酸化性・高耐熱性・高耐摩耗性の特性を備えており、その特性を低コストで必要とする半導体製造において、いまや欠かせない存在となっている(生産拠点は日本の岡山工場)。
図4 CVD法で製作されたSiC製品
セラミックスとCVD-SiC は石英製品、シリコンパーツと同様戦略製品である半導体マテリアルとして、開発力を強みに事業拡大へ向けた取組みが強化されてきている。中国の浙江省杭州工場では、今後も需要が旺盛なファインセラミックスの生産能力増強が計画されている。また、日本の石川工場で製造されているスーパーマシナブルセラミックスは、主に半導体製造のウェハ検査工程で使用されるプローブカードに使用されており、今後、半導体のさらなる微細化に対応していく。
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