メインコンテンツに移動

bmt配信ニュース ベアリング&モーション技術の情報サイト

THK、防塵用プレートカバー付き直動案内を拡充

3年 3ヶ月 ago
THK、防塵用プレートカバー付き直動案内を拡充kat 2021年01日15日(金) in

 THKは、直動案内「LM ガイドHDR形」について、防塵用プレートカバーを5m超の長尺レールに対応できるよう改良し、さらにHDR20、HDR25用のブロック高さを低くしたコンパクトブロックを新たに追加した。

防塵用プレートカバー付きLMガイド

 

 HDR形は、転動面でボールがしっかりと受けられる接触構造であることからローリング方向の剛性が高く、1 軸使用に適したLM ガイド。レール側面にはボール転動面を設け、レール上面からの異物に対して転動面が影響を受けにくい構造となっている。さらに、防塵用プレートカバー(最大90m)を使用することで、長尺レールをはじめ小型形番などの用途にも優れた防塵効果を発揮する。
 

kat

NTN、中東・アフリカ市場の販売拡大狙い、UAEに販社を新設

3年 3ヶ月 ago
NTN、中東・アフリカ市場の販売拡大狙い、UAEに販社を新設 in kat 2021年01日05日(火) in

 NTNは、今後市場の拡大が見込まれる中東・アフリカ地域の販売拡大を目的に、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイに販売会社「中東NTN販売」を新設する。新会社設立により、営業・技術サービス体制を構築・強化し、中東・アフリカ地域における販売拡大に取り組んでいく。

中東NTN販売が入居するビル

 

 中東市場は、サウジアラビアやUAEなど湾岸協力会議(GCC)諸国における石油・ガス関連や、社会インフラ関連などの産業において、中長期的に需要が見込まれる。一方、アフリカ市場についても豊富な天然資源と10億人を超える人口を有し、産業機械補修、自動車補修ともに潜在需要の高い市場となっている。

 NTNではこれまで、日本、欧州、シンガポールの販売・物流拠点から商品を出荷し、中東・アフリカ地域の需要に対応してきたが、中長期的な需要拡大を見据えて2017年にUAE駐在員事務所を設立、市場動向などの調査を行うとともに、販売体制の検討を進めてきた。

 同社では今回、今後の需要拡大を見越し、中東・アフリカ市場の営業活動を加速させるため、新たに販売会社を設立する。新会社である中東NTN販売はNTNシンガポール販売の100%子会社で資本金は約2900万円。新会社は代理店の新規開拓など補修販売ネットワークの整備や拡充に取り組むほか、営業窓口を一本化し、商流を整理・統合することで、販売ならびに収益の拡大を図る。

 NTNは、グローバル市場における産業機械の補修や自動車補修(オートパーツ)の需要に対応すべく、幅広い商品ラインアップと国内外の大手代理店との強固な連携を通じた販売ネットワークの構築を進めているが、今回設立する新会社を拠点に、中東・アフリカ地域で積極的な営業活動を展開し、補修市場における販売拡大とシェア獲得に取り組んでいく考えだ。

kat

ジェイテクト、新開発の高圧水素供給バルブと減圧弁が新型MIRAIに採用

3年 3ヶ月 ago
ジェイテクト、新開発の高圧水素供給バルブと減圧弁が新型MIRAIに採用kat 2021年01日05日(火) in in

 ジェイテクトが新開発した「高圧水素供給バルブ」と「減圧弁」が、昨年12月9日に発売されたトヨタ自動車の燃料電池自動車(FCV)、新型「MIRAI」に搭載された。

 高圧水素供給バルブは燃料電池自動車の燃料となる高圧水素が貯蔵されているタンクに装着され、高圧水素を封止/供給する役割を担い、一方、減圧弁は、バルブから供給された高圧水素を下流のスタックで使用可能な圧力まで減圧する役割を担う。

高圧水素供給バルブ

 

減圧弁

 

 ジェイテクトでは、2014年に発売された初代「MIRAI」にこれらの製品を供給していたが、今回の開発品では、FCVの本格量産に向け、スマート工法採用により造りやすさを向上させたほか、スマート設計により約30%減という部品点数の削減などを図り、小型・軽量化を実現するとともに性能を高め、燃費向上や製品の耐久性向上に寄与している。

 開発品では同社従来品に比べ、水素供給流量に関して高圧水素供給バルブで43%増加し、減圧弁で21%増加、また、軽量化の点では減圧弁が38%減少しているほか、減圧弁の作動耐久性がより向上している。さらに、いずれも国連規則(UNR)に適合している(装置単位ベースでの相互認証)。

 

高圧水素バルブ、減圧弁搭載図

 

kat

イグス、ボールねじナットから置き換え可能なポリマー製の送りねじナットを開発

3年 3ヶ月 ago
イグス、ボールねじナットから置き換え可能なポリマー製の送りねじナットを開発kat 2021年01日05日(火) in

 イグスは、ポリマー製送りねじナット「ドライスピン」のラインアップに、射出成形で製造された「ドライスピンJGRM(製品番号: DST-JGRM-×)」を新たに追加した。新設計のポリマー製送りねじナットは無潤滑で耐摩耗性に優れ、高荷重に対応し、ボールねじナットからの置換えが可能。オプションで、ステンレスプレートを取り付けたヘビーデューティーバージョンも用意している。

ドライスピンJGRM

 

 建設機械やアクチュエータ、追尾式太陽光発電架台など幅広い用途で使用される送りねじには、高荷重下での安全性や長寿命が求められる。新開発のドライスピン JGRM 送りねじナットは、こうした用途専用の送りねじナットで、新設計によりラジアル荷重とアキシアル荷重を分散させ、従来のフランジ付き送りねじナットよりも大きな力を吸収できる。

 標準的なボールねじナットと同じ取付サイズおよびピッチに対応しているため、簡単に置き換えが可能で、φ14mm、φ16mm、φ18mm、φ20 mmのねじサイズに対応。

 新開発の送りねじナットは、軽量でコスト効率に優れるほか、独自開発の高性能ポリマー「イグリデュールJ」材質を使用しているため摩擦係数が非常に低く、丸みを帯びたねじ面とボールの不使用により、非常に滑らかに動く。送りねじナットには固体潤滑剤が配合されているため、潤滑剤の供給が不要でメンテナンスフリーを可能にしている。

 JGRMには、高いアキシアル荷重向けにステンレスプレート付きのヘビーデューティーバージョンも用意。ステンレスプレートはナット前面に取付けられており、力を分散させる耐荷重面が増え、ねじヘッドとプラスチックが接触しない。ヘビーデューティーバージョンは、イグス本社(独ケルン)の広さ3,800㎡の試験施設でのテストで最大6MPaの荷重を吸収し、同等の樹脂製フランジ付き送りねじナットより50%高い負荷に耐えることが実証されている。

kat

イグス、ラベリングマシン向けに無潤滑の黒色ガイドローラーを開発

3年 3ヶ月 ago
イグス、ラベリングマシン向けに無潤滑の黒色ガイドローラーを開発kat 2021年01日05日(火) in

 イグスは、ラベリングマシン用として新たに、黒色ガイドローラーを開発した。組立済みのためすぐに取付け可能な本製品は、黒色アルマイト処理したアルミニウム製のチューブと、高性能ポリマーであるクシロデュールを使用して無給油・無潤滑でメンテナンスフリーを実現した樹脂製ボールベアリング「クシロス」で構成。

 

 クシロス ボールベアリングは、無潤滑・メンテナンスフリー、衛生的で起動トルクが極めて低いという特性から、主に包装・食品機械業界で採用されている。このクシロスとアルミニウム製/カーボン製/PVC製のチューブを組み合わせた「クシロス ガイドローラー」は完全組立済みシステムで、フィルムやラベルの方向転換、搬送用ガイドローラーとして使用されている。

 金属製ガイドローラーに比べて最大48%の軽量化と42%の低慣性化が図れることから、加速に必要なエネルギーを小さく抑えられることで、ローラーは素早く搬送速度に到達できる。

 今回ラインアップに追加された新しい黒色アルミニウム製ローラーは、黒色製品に対するユーザーニーズから誕生。黒色アルマイト処理を施したアルミニウム製のローラーと、黒色のクシロス フランジ付きクシロデュールS180製ボールベアリングを組み合わせて開発された。開発品は黒色で光反射がないため、カメラシステムにも適している。

 ユーザーの使用条件に適したガイドローラーの選定では、イグスのオンラインツール「ガイドローラーエキスパート」が利用できる。このオンラインツールに外径・内径、ローラー長、荷重条件、環境温度を入力すると、ローラーにかかる力が計算され、適切なチューブ材質を選定。提示された選択肢から、たわみや、重量、価格データを基にガイドローラーを選択し、その場でオンライン注文することができるまた、コンフィギュレーション用のCADデータのダウンロードも可能となっている。

kat

日本精工、英スペクトリス社からCMS事業を買収

3年 3ヶ月 ago
日本精工、英スペクトリス社からCMS事業を買収 in kat 2021年01日04日(月) in

 日本精工(NSK)は、Brüel & Kjær Vibro(ブリュエル・ケアー・バイブロ、BKV)ブランドで知られるコンディション・モニタリング・システム(CMS)事業を買収することを決議し、BKV事業の所有者である英国のスペクトリス社と譲渡契約を昨年12月10日に締結した。

 近年、設備や製造ラインの保全手法として、設備や製造ラインのコンディション・モニタリング(状態監視)により得られた情報を分析し診断する「予知保全」が注目されている。予知保全は保全だけでなく生産性向上や品質改善への貢献が期待され、デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進の重要性が叫ばれる中で、生産革新の手段としても注目されている。

 NSKの軸受をはじめとする主力製品は、設備の機能・性能を支える重要部品で、これまでに蓄積した豊富なデータ・技術・知見が予知保全を実用化するための鍵となる。こうした背景から、同社では、第6次中期経営計画(2019-2021年度)において、成長への新たな仕掛けとして「CMS事業の構築」を掲げている。具体的には、故障診断・余寿命診断の技術サービスを起点に、設備が抱える問題点や課題のソリューションを提供する「コト売り事業」にまで展開し、幅広い産業の発展へのさらなる貢献を目指した研究開発と事業開発を進めている。

 NSKでは今回、中期経営計画の実行施策の加速・拡大を狙い、同社CMS事業構築のプラットフォーム(土台)とすべく、CMS市場の専業大手で今後も急速な成長が見込まれるBKV事業を買収することを決めたもの。BKV事業は、内山俊弘社長直轄の自律型組織となり同社リソースも活用することで、より迅速で積極的な事業展開が可能となる。

 同社では、BKV事業を当社CMS事業の成長ドライバーと位置づけ、BKVの優良な顧客基盤、技術、信頼のブランド、CMS人材、事業開発に不可欠なビッグデータへのアクセスなどを活用することで、CMS事業開発を加速させ、自動化・省人化・スマート化・環境対策等の社会的ニーズへの対応力を一層強化していく考えだ。

 内山NSK社長は、「BKV事業が当社の一員となることで、CMS事業のプラットフォームが構築できる。成長著しいCMS市場において、今後さらなる成長を目指していく」とコメントしている。

kat

ジェイテクト、長寿命、Siフリーの腐食環境用深溝玉軸受を開発

3年 3ヶ月 ago
ジェイテクト、長寿命、Siフリーの腐食環境用深溝玉軸受を開発kat 2021年01日04日(月) in in

 ジェイテクトは、厳しい腐食環境下で使用する特殊環境用軸受として、世界初となるアルミナジルコニア複合材料を使用した「コロガードプロベアリング®-AZ」を開発、耐食軸受シリーズとして展開中の「コロガードプロベアリング®」シリーズに新たにラインナップした。

 同社国分工場および四国工場で2023年をめどに量産を開始する予定で、腐食環境(溶液やガス環境)でのメンテナンス軽減を求めるユーザーに提案を進め、6000万円/年の売上を目指す。

コロガードプロベアリング開発品イメージ

 

 半導体製造装置の一部には、セラミック軸受が使用されているが、腐食ガス中や溶液がかかる環境で使用されるため、材料の窒化ケイ素が腐食し、摩耗が促進されることで軸受が劣化してしまうという問題があった。

 半導体製造現場では、その需要の増加に伴い、生産性の向上や安定生産を実現するため、メンテナンス回数の削減が大きな課題となっており、溶液や腐食ガス環境下でも腐食しない長寿命軸受の開発が求められていた。

 同社ではこれまでも、薬液中や水中でも腐食せずに使用できる窒化ケイ素を用いたセラミック軸受や、耐食軸受シリーズとして「コロガードプロベアリング®」を展開しているが、従来のラインナップに加え、今回、窒化ケイ素やジルコニアが使えない強い酸環境においても使用可能な「コロガードプロベアリング®-AZ」を開発したもの。

 開発品では、軸受の材料として世界で初めてアルミナ-ジルコニア複合材料を使用したことで、窒化ケイ素が使えない厳しい酸性環境下での使用が可能で、その耐久性は炭化ケイ素(SiC)よりも高く長寿命を実現している。

 開発品はSiフリー(Siを含まない)材料の軸受ながら、SiCと同等の高い耐食性と、SiCの1.2倍という耐荷重性を両立するため、軸受交換周期が延長されることで、ユーザーのメンテナンスコストの削減に貢献できる。

JTEKTセラミック軸受の性能イメージ


 

kat

フェローテックマテリアルテクノロジーズ、半導体マテリアル製品群を増強

3年 4ヶ月 ago
フェローテックマテリアルテクノロジーズ、半導体マテリアル製品群を増強kat 2020年12日05日(土) in in

 半導体製造装置向け冶具・消耗材である石英、シリコンパーツ、セラミックス、CVD-SiCはフェローテックホールディングスの主力のマテリアル製品群で、中長期的に事業拡大を目指す戦略製品に位置付けられている。

 フェローテックホールディングス傘下のフェローテックマテリアルテクノロジーズでは、需要の高まる半導体マテリアルについて、各種ニーズに合わせた取組みを増強している。

 

◆石英製品 ・特徴と適用例

 半導体製造プロセスでは高熱処理や化学処理が頻繁に行われる。高純度(純度:99.99%)を誇る石英ガラスは、熱に強く、薬品に侵されにくいという特性があることから、半導体製造工程での高温作業に耐え、活性ガスとの化学変化を起こさない石英製品が活躍している。

 石英製品は火加工品と機械加工品(切削加工品)に大別され、エッチング装置の部品、CVD(化学気相成長)拡散炉中のウェハボート(図1)や炉心管、洗浄槽などの治具、消耗品として用いられる。配線の微細化や高純度化の進む半導体製造プロセスにおいて重要な役割を担っている。

 石英製品は、フェローテックマテリアルテクノロジーズの中国杭州工場および東台工場で量産を手掛け、国内では2019年に山形工場を設立、少量~中量の試作評価・製造の拠点として稼働している。いずれも技術レベル・品質レベルともに同等の製品を提供できるため、ワールドワイドに展開している。
 

図1 石英製品:ウェハボート

 

・半導体製造プロセスにおけるニーズと石英製品における取組み

 半導体製造プロセスにおける微細化の進展とともに、石英製品においても加工精度の公差が±0.1mm、さらには±0.01mmと厳しさを増してきている。特に人が組立てを行う火加工品では、火炎による熱変形もあって対応が難しく、フェローテックマテリアルテクノロジーズでは熱変形の解析なども踏まえつつ組立て用治具の工夫・改良などを実施して対応している。ますます進む高精度化の要求に対して、できる工程から自動化を進めるべく検討を始めている。

 一方、新設した山形工場は主に炉メーカーなど日本の顧客を対象に開発品を手掛けている。開発品は短納期対応が要求されるため、拠点新設で技術者同行による打ち合わせの強化や開発品の短納期化が可能になっている。石英製品は前処理工程で使われることが多く、直近で新規設備投資の需要が見込まれることからも、石英製品の試作評価の迅速化に引き続き努めていく。

 

◆シリコンパーツ ・特徴と適用

 シリコンパーツでは、シリコン同士を接合する独自技術「SiFusion」に強みがある。シリコンウェハと同じ熱膨張係数・熱伝導率を有する高純度ポリシリコン材料で構成されるSiFusion製品(図2)は、拡散炉・CVD炉・酸化炉などの微細化高温プロセス向けシリコンボートに採用されている。

 シリコンパーツのもう一つの主要な用途としては、真空エッチング装置向けパーツがある。他社がシリコンインゴットを購入してパーツを生産するのに対して、フェローテックマテリアルテクノロジーズは単結晶インゴット引上げ技術・炉を保有しており、川上から川下までの一貫生産を実現している。中国銀川工場でインゴット引上げを、中国杭州第二工場で加工を手掛けており、低コストで高純度のシリコンパーツは、日本の半導体製造装置メーカーのOEM製品となっているほか、台湾や中国でも採用が進み、米国の半導体製造装置メーカーでも検討が進んでいる。
 

図2 シリコンパーツ:インジェクター

 

・半導体製造プロセスにおけるニーズとシリコンパーツにおける取組み

 3D-NANDフラッシュメモリーの製作ではエッチングとCVDを何回も繰り返して、積層して電極を形成していくが、3D-NANDフラッシュメモリーの需要増加に伴いエッチング装置の需要が急伸している。一方で微細化の進展からは、チャンバー内のコンタミネーション、特にメタルコンタミをなくしたいとのニーズがあり、従来の酸化アルミニウムや酸化イットリウム等を部材としたパーツから、フェローテックマテリアルテクノロジーズの高純度なシリコンパーツへの切り替えが進んできている。

 また、ウェハの大口径化に伴いシリコンパーツの大口径化への需要が高まってきているが、これに対しても大型単結晶インゴット引上げ炉を保有していることから、550mmまでの大口径化に対応できる。

 さらに、省エネ化を目的とするパワーデバイスの増加などや、ウェハ表面層の結晶欠陥を低減したいとの要求から、炉の高温化が進んでいる。これに対してSiFusionポリシリコンボートは炉の高温化に耐えつつ、パーティクルと結晶欠陥スリップの低減に寄与できる。

 シリコンパーツの生産面においては石英製品と同様に、加工精度向上への要求に対応して、装置間の搬送の自動化や三次元測定の自動化などの取組みを進めている。

 

◆セラミックスおよびCVD-SiC

 セラミックスとCVD-SiCは、日本における「材料、加工、コーティング技術」の開発優位性が強みとなっている。

 セラミックス(図3)は高度な素材技術・生産技術を活かし、厳しい品質管理のもとで一貫生産され、様々な分野の製品開発・生産において求められる優れた特性と高度な機能を発揮。高純度・高剛性・高精度を要求される半導体製造(ウェハ製造・処理・組立・検査)の各プロセスに使用される部品や液晶製造用部品をはじめ、一般産業機械分野で使用される耐摩耗・耐熱・耐薬品用部材にも適している。
 

図3 セラミックス

 

 CVD方式による独自のSiC成膜(CVD-SiC)技術は、高い特性を備えながらも低コストを実現した製品を提供している。30年以上にわたり培ってきた独自のCVD法で製作されたSiC製品(図4)は、超高純度・高耐食性・高耐酸化性・高耐熱性・高耐摩耗性の特性を備えており、その特性を低コストで必要とする半導体製造において、いまや欠かせない存在となっている(生産拠点は日本の岡山工場)。
 

図4 CVD法で製作されたSiC製品

 

 セラミックスとCVD-SiC は石英製品、シリコンパーツと同様戦略製品である半導体マテリアルとして、開発力を強みに事業拡大へ向けた取組みが強化されてきている。中国の浙江省杭州工場では、今後も需要が旺盛なファインセラミックスの生産能力増強が計画されている。また、日本の石川工場で製造されているスーパーマシナブルセラミックスは、主に半導体製造のウェハ検査工程で使用されるプローブカードに使用されており、今後、半導体のさらなる微細化に対応していく。

 

●フェローテックホールディングスの日本のマザー工場ご紹介

 

●90秒でわかるフェローテックの製品シリーズ(主要8製品)

kat

ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2020年11月号「特集:加工機械」「キーテク特集:予兆保全技術」が発行!

3年 4ヶ月 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2020年11月号「特集:加工機械」「キーテク特集:予兆保全技術」が発行!admin 2020年11日27日(金) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第27号となる2020年11月号が11月25日に小社より発行された。

 今号は、特集「加工機械」、キーテク特集「予兆保全技術」で構成。

 特集「加工機械」では、未知の被削材の加工条件を最適に設定するための研削盤への機械学習の適用や、二軸混錬押出機を用いたCNFコンパウンド技術、さらには、各種の加工機を滑らかに高い耐久性をもって稼働させる転がり案内技術、潤滑技術について広く紹介する。

 また、キーテク特集「予兆保全技術」では、各種機械やプラント・工場の設備が長期間安定して生産性を維持・向上できるよう、機械の状態を常に監視し、異常を早期に検知するための予兆保全技術を紹介する。

 

特集:加工機械

◇研削加工におけるグリップ解析の考え方と研削動力の機械学習による被削材の分類・・・理化学研究所 大森 整、春日 博、加藤 照子、上原 嘉宏、ナガセインテグレックス 井村 諒介、長瀬 敬、板津 武志
◇加工機械におけるモーション・プラスチック技術の適用・・・イグス 北川 邦彦 氏に聞く
◇工作機械におけるボールねじの技術動向・・・日本精工 小林 茂晴 氏に聞く
◇二軸混練押出機を用いたCNFコンパウンド技術・・・日本製鋼所 竹内 貴季、稲川 憲司、佐賀 大吾、木村 嘉隆
◇高引火点でキープクリーン性を有する油圧作動油の国内導入と展開・・・EMGルブリカンツ 大槻 一喜 氏、藤原 新吾 氏に聞く

キーテク特集:予兆保全技術

◇ベアリング&モーション機器における予兆保全技術・・・編集部
◇ギヤ故障検出アルゴリズムの性能評価・・・GPMS Inc. Eric Bechhoefer、東朋テクノロジー 塚本 宗太郎 編集、藤木 信裕 訳

連載

機械の声を聞く・・・千曲樹脂工業 丸山 毅 氏
注目技術:石英、シリコンパーツ、セラミックス、CVD-SiCの最新動向・・・フェローテックマテリアルテクノロジーズ
Q&A「軸受管理」の機素知識 第3回 AE診断の活用編①センサ・プリアンプの使用方法・・・エヌエフ回路設計ブロック 佐藤 公治

トピックス

JAST、トライボロジー会議 2020 別府をオンライン開催
日本工作機械工業会、JIMTOF 2020 Onlineを開催

雑誌ご購入

定期購読はこちらから
単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin

不二越、製品紹介特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」を公開、オンラインセミナーも実施

3年 5ヶ月 ago
不二越、製品紹介特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」を公開、オンラインセミナーも実施kat 2020年11日18日(水) in in

 不二越は、11月16日~27日に初めてのオンライン開催となる「JIMTOF2020 Online(第30回 日本国際工作機械見本市)」での出展に合わせて、11月11日から、工具・工作機械・ロボット・特殊鋼・ベアリング・油圧機器・コーティング・洗浄装置・カーハイドロリクスという同社製品を紹介する特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」(https://www.nachi-technologypark.jp/)を開設した。

NACHI TECHNOLOGY PARK

 

 特に、11月16日~27日のJIMTOF2020 Online 会期中には毎日、工具・工作機械・ロボット・特殊鋼の4事業から、8テーマでオンラインセミナー(要事前予約)を実施する。

 オンラインセミナーの事業ごとのテーマは以下のとおり。

1.工具:アクアREVOミル/ドリルシリーズ、Hyper Zタップシリーズ

2.工作機械:歯車の高精度化に応える最新加工技術(歯車スカイビング加工技術と複合加工機)、精密仕上加工機(研削盤・フイルムラップ加工機)

3.ロボット:ロボットIoTソリューション(NR:Connect)、小型ロボットMZシリーズ

4.特殊鋼:新しいマルテンサイト系ステンレス鋼(高強度高耐食EXEO-CR20)

kat

THK、製造業向けIoTサービスの予兆検知対象にボールねじを追加

3年 5ヶ月 ago
THK、製造業向けIoTサービスの予兆検知対象にボールねじを追加kat 2020年11日18日(水) in in

 THKは、本年1月に直動案内(同社商品名:LMガイド)の予兆検知を対象に販売を開始した製造業向けIoTサービス「OMNIedge」(オムニエッジ)の第二弾として、ボールねじの予兆検知サービスを開始した。さらに、2021年1月には第三弾として回転部品の予兆検知サービスを開始する目的で、30社を対象とした無償トライアルを実施する。

 

 OMNIedgeは、2019年に輸送部品や電子部品、半導体、オプトエレクトロニクス、食品、医療、材料系(ガラス、プラスチック、ゴム)、鉄道、工作機械など、様々な業界の企業51社による無償トライアルを経て、本年1月に第一弾としてLMガイドに対応するサービスの正式販売を開始した。

 OMNIedgeは、LMガイドなどの機械要素部品にセンサを取り付け、収集したデータを数値化、状態を可視化する独自技術「THK SENSING SYSTEM」を活用し、独自のアルゴリズムによって収集したデータを、安全な通信網を介して数値化、解析することで状態診断、予兆検知を実現するシステム。センサ、アンプ、通信機器一式を通信費込で提供するパッケージ型サービスで、「簡単」「安全」「初期コストゼロ」を実現した。

OMNIedgeイメージ図

 

 今回第二弾として、LMガイドとセットで使用されることが多く予兆検知のニーズが高かったボールねじを予兆検知サービスのラインナップに加えた。利用料金は1装置あたり月額8000円~(2年契約)。

 「THK SENSING SYSTEM」によりボールねじの異音、異常振動を数値化して検知。部品の状態を数値化する「OMNIedge」を用いることで、従来、現場作業員の経験と感覚による確認・判断に頼っていた装置の保全作業に計画性を持たせることが可能となる。これにより、作業員の経験やスキルに左右されることなく保全作業を効率化でき、予備在庫の管理コスト削減が図れるほか、保全の形態をこれまでの時間管理から状態管理に移行させることで部品交換時期を適正化し、設備稼働率を高め、現場の生産効率を全体として向上させることができる。

 また、国内の製造業では、製造設備の保全作業に際し熟練工の感覚に頼らざるを得ない場面がある一方、熟練工の高齢化や人手不足により技能継承が難しくなってきているが、THKはこの課題を解決すべく、装置の保全作業の一端を担うOMNIedgeをパッケージ化。ハードルが高いとされてきた製造業におけるIoTをリーズナブルな価格で簡単に導入できる仕組みを取り入れている。

 THKでは今後、「OMNIedge」の適用範囲を回転部品やアクチュエータなどにも拡げる予定で、機械要素部品の予兆検知を基盤とした装置全体の健康管理へと進展させていく考えで、回転部品に対応したサービスの本格展開に先立ち11月16日から、トライアル導入を希望する企業30社に対して無償トライアルを実施する。対象部品はポンプ、モータ、コンベア、ファンなどの回転部品。使用するセンサは無線振動センサ(バッテリ内蔵タイプ、電源供給タイプの2種類を準備)で、収集できるデータは振動、温度、音。無償トライアルは、申込みフォームから応募できる。

kat

NTN、工作機械主軸用センサ内蔵軸受ユニットを改良、高度で広範囲な状態監視を実現

3年 5ヶ月 ago
NTN、工作機械主軸用センサ内蔵軸受ユニットを改良、高度で広範囲な状態監視を実現kat 2020年11日17日(火) in in

 NTNは、2018年に発表した工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」をワイヤレス化するとともに、新たに荷重センサを搭載し高度かつ広範囲な状態監視を実現する改良品を開発した。これにより、主軸用軸受の焼付きの未然防止につながるほか、加工状態の監視や軸受の組付けなどを簡素化できる。

 工作機械主軸(マシニングセンタ、旋盤、複合加工機) 向けに展開し、2023年度に3億円/年の販売を目指す。

 労働人口の減少などを背景に、製造現場では省人化や無人化が進むとともに、生産性の向上が求められている。こうした中、工作機械の基幹部品である主軸用軸受の焼付きなどの損傷と、それに伴う稼働停止や主軸交換などの損害を防ぐニーズが高まっている。

 工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」は、軸受に隣接する外輪間座にセンサを内蔵し、軸受軌道面付近で高度な状態監視を行うことで、主軸用軸受の焼付きの未然防止に貢献する商品で、2018年の開発発表後にユーザーへの提案を進める中で、ワイヤレス化や加工状態の監視、軸受の組付けにかかる工数の削減などの要望があり、改良を行ったもの。

 今回の改良では、主軸の回転を利用して発電する小型・高出力の電磁式発電機と、小型で消費電力を抑えた無線モジュールを軸受ユニットに内蔵し、ワイヤレス化を実現した。電力供給やデータ伝送のための外部接続ケーブルや配線スペースが不要となり、軸受の組付け・取扱いを簡素化する。

 また、新たに小型・高感度の荷重センサを適用し、運転時に軸受に負荷される荷重やその変化を同時検出することが可能となった。運転中の切削荷重の変化など加工状態の監視に用いることで、加工品質や生産性の向上に貢献するほか、予圧荷重の高精度な測定も容易となり、軸受組み付け時の調整を短時間で行うことができる。

 さらに、焼付き前に生じる予圧荷重の急激な増加を検出することで、従来適用していた熱流センサに代わり、荷重センサで焼付きの未然防止に貢献する。

 NTNは、本開発品を工作機械の高機能化および製造現場の省人化や無人化、生産性の向上に貢献する商品として、各工作機械・スピンドルメーカーに提案を進めていく考えだ。

 

商品写真(左)と構造(右)

 

適用箇所(左)と適用例(右)


 

kat

JAST、トライボロジー会議 2020 別府をオンライン開催

3年 5ヶ月 ago
JAST、トライボロジー会議 2020 別府をオンライン開催 in kat 2020年11日15日(日) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は11月11日~13日、「トライボロジー会議 2020 別府」をオンライン開催した。

 

 今回は、機械要素や潤滑剤、固体潤滑、表面処理・コーティング、分析・評価・試験方法などに関わる研究約230件が、一般セッションとシンポジウムセッション、国際セッションで発表された。シンポジウムセッションは「役に立つバイオインスパイアード・ソフトトライボ応用技術」、「工作機械のトライボロジー」、「境界潤滑添加剤最前線―摩擦調整剤、摩耗・焼付き防止剤の最新技術と応用」「シールにおけるトライボロジー技術」「トライボロジーの啓発と次世代教育について考える」「3rd Japan-Korea Tribology Symposium」「添加剤としてのフラーレンの可能性」のテーマで開催された。

論文賞受賞講演のようす

 

 12日には特別講演会が開かれ、清川進也氏(湯~園地計画総合プロデューサー)が「世界が沸いた!別府市・湯~園地計画の全貌」と題して、別府の温泉と遊園地をコラボレーションした「湯~園地計画」の企画から開催の成功に至るまでの全貌について紹介した。

 特別講演会に続く開会式で挨拶に立った松田健次実行委員長(九州工業大学 教授)は、「温泉の湧出量、源泉数がともに日本一の別府での開催が2年前に決まってから郷土料理でのおもてなしを含め準備を進めてきたが、新型コロナウイルスの蔓延に伴い現地での開催を本年7月に断念せざるを得なくなった。しかしながらオンラインという形ではあるものの、講演数は一般講演・シンポジウムで約230件と、地方で開催された従来の会議での発表件数とほぼ匹敵する内容で開催できることは大変喜ばしい。オンラインでの開催を案内した後に“名刺交換の場があるか”との問い合わせをいただき、トライボロジー会議が情報交換の重要な場であることをあらためて認識した。そこで、セッション後に個室(ブレイクアウトルーム)に移動していただき講演者と参加者が交流できる場を設けた。ぜひ活用いただき交流を深めていただきたい。オンライン開催ならではのイベントとしては、我々実行委員会とJAST国際企画委員会(委員長:東北大学 教授・足立幸志氏)とが協力して、ライブ配信によるドイツトライボロジー学会との交流イベントなども設けた。オンライン開催となった本会議の開催に協力をいただいた各位に、深く感謝したい」と述べた。

挨拶する松田実行委員長

 

 開会式では続いて杉村丈一JAST会長(九州大学 教授)が、「本年7月に、遺憾ながら現地での開催を断念する決断をしたが、形式にとらわれず開催を決定したところ、ふたを開けてみると、誰もがクリック一つで、希望のセッションを最前列で聴講できるという利点があることが分かった。何よりも、1年ぶりにトライボロジーの仲間たちが集まって、講演し質疑し、オンラインでも多くの情報交流ができていることが、とても嬉しく、とても意義深く、また、この前代未聞の折に、皆が良いアクティビティーを保っていることを実感した。ブレイクアウトルームの企画など、人的交流の場であるトライボロジー会議にいかに近づけるかを協議・検討・工夫いただいた、松田実行委員長をはじめとする関係各位の尽力に深く感謝したい。最終日まで、できる限り情報交流を図っていただき、バーチャル別府を楽しんでほしい」と語った。

挨拶する杉村会長

 

 11日と12日のセッション終了後には、以下のとおり特別企画が実施された。

 11日にはイブニングセッションとして、ドイツトライボロジー学会GfTとウェブで接続し、リアルタイムで以下2件の講演がなされた。

・「The German Society for Tribology(GfT) and its current activities」Christoph Wincierz氏(GfT会長)…GfTの1959年の設立以来の活動の沿革について紹介したほか、現在の活動内容を紹介した。近年のトピックスへのトライボロジーの取組みとしては、エネルギー関連のトライボロジー、電気自動車、大気汚染のコントロール、CO2ニュートラルエネルギー、サスティナビリティー、環境適合性潤滑剤、トライボロジーに影響を与える環境政策、教育および研究、トライボロジー特性評価などを挙げた。特に産業界、大学、研究機関のメンバーからなるヤング・トライボロジストの部会を2015年に立ち上げるなど、若い世代に魅力のある学会づくりに取り組んでいることを強調した。

Wincierz氏

 

・「How advanced lubrication can contribute to a sustainable future:Quantification of CO2 reduction by life cycle assessment」Markus Matzke氏(Robert Bosch社)…機械の性能劣化・故障を防ぐための摩擦・摩耗の低減、エネルギーの節減は潤滑の主要な目的だが、近年は潤滑剤の有害な成分が環境負荷の少ない成分に代替され、使用済み潤滑剤のリサイクルシステムも確立されるなど、トライボロジーの始祖であるPeter Jost氏が提唱した「グリーントライボロジー」の実践がますます求められていることを紹介。ボッシュ社では気候、エネルギー、水環境、都市化、グローバリゼーション、健康という六つのサスティナブルな目標に向けた潤滑・トライボロジー関連の取組みを進めており、潤滑グリースに関する取組みとして、構成成分の製造からグリースの製造、自社製品の組付け時のグリース封入、最終製品である自動車でのメンテナンス、リサイクルまでのライフサイクルについて紹介した。また、マルチグレード油圧作動油や低粘度エンジン油など先進の潤滑剤やトライボシステムの適用によって、エネルギー消費量の低減や温室効果ガスの低減に寄与できると述べた。

Matzke氏

 

 また、12日にはウェビナーとして、ITC (International Tribology Council:国際トライボロジー評議会) 会長でテキサスA&M大学教授のAli Erdemir氏が、「Advances in Superlubricity ― Recent Developments and Future Prospects」と題する講演を行った。エネルギーや環境、グローバル・サスティナビリティーに寄与する超潤滑の可能性について紹介。摩擦・摩耗によって全世界のエネルギーの約23%が消費されており、これは年に8ギガトンのCO2排出量に相当することから、大幅な摩擦低減に寄与する超潤滑研究のエネルギーや環境持続性へのインパクトはとてつもなく大きいとした。超低摩擦・超低摩耗に寄与する多数の材料・コーティングの設計・開発において数々の進展が見られたこと、特にグラフェンやダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングなどで超潤滑が認められていると述べた。また、摩擦が全世界のエネルギーの20%以上を消費し続けることから、エネルギー、環境、グローバル・サスティナビリティーに寄与するトライボロジー研究を継続する必要性を強調した。

kat

NTN、サーボモータ用低発塵軸受を開発

3年 5ヶ月 ago
NTN、サーボモータ用低発塵軸受を開発kat 2020年11日10日(火) in in

 NTNは、新開発のグリースとシールを適用することで、軸受からの発塵と回転トルクを大幅に低減した「サーボモータ用低発塵軸受」を開発した。サーボモータの小型化や高出力化、ロボットの生産性向上に貢献する。産業用ロボット向けサーボモータなどを対象に拡販し、2022年度に5億円/年の売上を目指す。

サーボモータ用低発塵軸受

 

 サーボモータは、回転検出器やブレーキ(制御機器)を備え、高精度な回転制御が行えるため、近年は産業用ロボットや工作機械を中心に需要が増加しているが、このうち産業用ロボットに使用されるサーボモータは関節部の駆動用途が多く、関節部の軸速度や加減速度を高めるために小型化、高出力化が求められている。

 サーボモータを小型化するため、制御機器は軸受の近傍に配置されるが、軸受の油分が飛沫となって発塵すると制御機器に付着し、検出精度や制動性が低下する原因となる。これを防ぐために、サーボモータ本体に密封装置 シール)が用いられているが、その分、サーボモータが大きくなり、小型化できないという課題があった。そこで、密封装置なしでも付着を抑制するよう、低発塵の軸受が求められている。また、サーボモータの高出力化を図るため、低トルク化への要求も年々高まっている。

 今回開発した「サーボモータ用低発塵軸受」は、サーボモータで広く使用されている密封形深溝玉軸受に、発塵を抑制するための成分や配合を用いた新開発の低発塵グリースを封入している。また、形状の改良により、内輪との摺動部の接触力を均一にすることで、密封性を高めるとともに、低トルク化を実現した新設計の接触形シールを採用している。これにより、同社従来品に比べ、軸受からの発塵量を約90%低減するとともに、回転トルクを約50%低減した。現在市場で販売されている同用途の他社品を上回る低発塵、低トルクを示す。

 本開発品をサーボモータに用いることで、密封装置が不要となり、サーボモータを小型化できるほか、軸受の回転トルクを低減することで高出力化も可能となる。

kat

NTN、東海道新幹線 新型車両で車軸・駆動装置・主電動機用軸受が採用

3年 5ヶ月 ago
NTN、東海道新幹線 新型車両で車軸・駆動装置・主電動機用軸受が採用kat 2020年11日10日(火) in in

 NTNの高機能・高信頼性軸受が、本年7月に営業運転が開始された東海道新幹線新型車両「N700S」の車軸、駆動装置および主電動機に採用された。

 今回採用された軸受は、NTNが長年にわたる新幹線用軸受の開発と提供により培った設計・製造技術と徹底した品質管理体制により製造され、N700Sが誇る安全性・安定性・快適性の実現に不可欠な重要部品として、その安全で快適な運行を支えている。

 採用された軸受の概要は以下のとおり。

①車軸軸受
 700系以降の東海道新幹線車両に採用されてきた複列円すいころ軸受がN700Sにも採用された。従来よりもさらに耐久性を向上し、ライフサイクルコストの低減に貢献する。NTNは、N700Sの台車開発の初期段階から車軸軸受の開発に携わり、性能評価にも取り組んでおり、同社の特許技術も信頼性の向上に貢献している。

②駆動装置用軸受
 主電動機から車軸へ伝達トルクを増大させる駆動装置には、低騒音化、軸受の信頼性向上を目的に新幹線車両用として初めてヤマバ歯車と円筒ころ軸受が採用された。円筒ころ軸受を採用することで駆動装置のメンテナンス性の向上も図られている。NTNの円筒ころ軸受は、高速回転性能と走行時の振動・衝撃等に充分に耐えうるよう専用設計を採用し、評価試験により性能と信頼性を確認したものとなっている。

③主電動機用軸受
 主電動機には、電食防止対策のため、外輪にセラミック溶射絶縁被膜を形成した円筒ころ軸受と深溝玉軸受が採用されている。NTNのセラミック溶射被膜絶縁軸受は、新幹線に初めて絶縁軸受が採用された300系以降の歴代の新幹線用主電動機に採用されてきた実績のある信頼性の高い商品となっている。
 

N700S新幹線向け高機能・高信頼性軸受

 

kat

ジェイテクト、EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受を開発

3年 5ヶ月 ago
ジェイテクト、EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受を開発kat 2020年10日29日(木) in in

 ジェイテクトは、電気自動車(EV)の減速機内部にあるプラネタリギヤに使用する針状ころ軸受について、減速機軽量化への市場ニーズに貢献するため、同一サイズの鉄製保持器に比べ20%軽量となる樹脂保持器を使用した「EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受」を開発した。

左:開発品 右:従来品


 2025年に量産を開始。国内メーカーを皮切りにEV市場の拡大が進む中国・アセアンで販売を展開、3億円/年の売上を目指す。

 近年、自動車市場では、CO2排出規制が進み、これに対応するEVの普及が進んでいるが、EVにおいては、電費の向上のため減速機の軽量化への取組みが喫緊の課題となっている。

 プラネタリギヤは、遊星歯車とも呼ばれ、中心となるサンギヤの周りに複数個のギヤが惑星のように配置されている歯車で、そのかみ合いによって必要な変速を行う。

プラネタリギヤの構造と使用箇所のイメージ

 

 プラネタリギヤ用針状ころ軸受の保持器には、プラネタリギヤの公転による遠心力が負荷される。このため耐久性の高い鉄性鋼板を使用することが一般的だが、自動車のさらなる軽量化に対応するため同社では樹脂製保持器を開発、鉄製保持器に比べ保持器に発生する応力を70%低減させた。

 これにより同一サイズの鉄保持器製針状ころ軸受と比べ、約20%の軽量化を実現した。軸受取り付け寸法を変更させることなく、減速機の軽量化を実現する。

 また、樹脂の成形自由度を活かし、保持器形状を改良することで、少油量環境下における軸受に必要な潤滑油を確保できる。

潤滑性向上特殊形状の高強度樹脂保持器のイメージ

 

kat

日本粉末冶金工業会、2020年度工業会賞を発表

3年 5ヶ月 ago
日本粉末冶金工業会、2020年度工業会賞を発表 in kat 2020年10日27日(火) in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)はこのほど、「2020年度日本粉末冶金工業会賞」を発表した。同賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設、2020年度で42回目となる。

 同賞は、工業会事業に貢献した個人を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」からなる。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与している。また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰している。

 今回は新製品賞・デザイン部門、新製品賞・製法開発部門、奨励賞で、以下のとおり受賞企業が選出された。

 

■製品賞・デザイン部門

・ポーライト「車載LEDヘッドライト冷却ファン用軸受の焼結化」…本製品は、LED ヘッドライトバルブ冷却用ファンモータ用の軸受。近年、LEDヘッドライトは、大光量化・小型化に伴い、より高い放熱性が求められており、冷却ファンが搭載されるようになってきている。この軸受には、静音性、長寿命、低温(-40℃)起動性、広い実用温度(-40℃~120℃)域、アウトガスによる輝度低下防止など要求特性があるため、高価であっても流体軸受やボールベアリングが採用されている。本開発は、中逃軸受の特徴を生かし、しゅう動部を最適化して軸ロスを低減することで、しゅう動性・起動性を確保した。アスペクト比5を超える軸受において難しいとされる内径公差幅4μmと同軸度を確保し、軸とのクリアランスを縮小することにより、静音性が向上した。内径受面取り形状は、端面及び外周の溝形状に運転時熱膨張で漏れ出す含侵油を保持する機能を持たせることで、軸受の長寿命化を可能にした。材質は、銅被覆鉄粉を使い、高含油率低通気性を両立させることで、軸受面の油膜強度を確保し、静音性および耐摩耗性を向上した。含浸油は、低温から高温まで粘度指数の変化が少なく、アウトガスによる悪影響(輝度低下・ケミカルアタック)に配慮した成分を選定し、高温環境下で蒸発量の少ない含浸油を開発。その結果、ボールベアリングを上回る特性を満足し、LEDヘッドライトバルブ冷却用ファンモータ用軸受に採用され、焼結含油軸受の市場拡大に貢献した。

ポーライト「車載LEDヘッドライト冷却ファン用軸受の焼結化」

 

・ファインシンター「パーキングロック部品の曲率溝形状型出し化によるコスト低減」…本製品は、AT用、パーキングロック機構に使われるポールのサポート部品。本開発は、試作評価の過程で、相手部品(ポール)接触部の変形防止のため、曲率が変化する溝形状が必要となった。この溝と製品を組み付け固定するボルト穴は直交する関係にあり、通常は一方をネットシェイプ、他方を機械加工とするが、アンダーカット成形により溝形状をネットシェイプし、機械加工なしに製品化した。アンダーカット成形は、アンダーカット部の圧縮比制御が必要となるため、金型制御に CNC制御を使うなど機構が複雑となるが、上1段下2段の金型構成、一般的なウイズドロアル機構を用い、上パンチの動作で、アンダーカット部を成形するパンチ位置をダイと同期させ、安価で安定したネットシェイプに成功している。このアンダーカット成形に一役買っているのが、油による局所的な型潤滑。アンダーカット部を成形するパンチは成形中に外周方向に強い力を受けるが、この力をダイ内径で受ける構造となっている。パンチを安定的にしゅう動させる対策として、型潤滑を採用することにより、型カジリを抑制した。

ファインシンター「パーキングロック部品の曲率溝形状型出し化によるコスト低減」

 

・ダイヤメット「二輪車トランスミッション用焼結部品」…本製品は、2 輪車用トランスミッションのシフト機構に使われるカム。シフトチェンジの時にシフトレバーからの力をシフトフォークへ伝える機構であり、ピン部に大きな曲げ荷重および衝撃荷重がかかる。このため、一般的には、高価であっても焼結鍛造工法が採用されてきた。また、近年ロストワックス工法や、ピン部を溶製鋼とした工法に置き換わりが進みつつある。本開発は、一般焼結工法の強度向上に関して取り組み、製品化に成功したもの。形状を見直し、応力集中の緩和を行っている。強度向上の手法としては、細いピン形状部の高密度化に取り組んでいる。原料粉の選定、潤滑材開発および給粉方式の開発を行い、高圧成形、高温焼結で密度7.4g/cm3を達成している。また、ピン高さ寸法0.1mm以下にバラツキを抑制し、後加工を廃止することができた。一方で、金型のたわみによる成形割れが懸念されるが、ピン部への全数検査負荷試験により全数強度保証を行っている。この結果、焼結鍛造工法に近い強度を確保し、コストは焼結鍛造部品に対して40%低減することができた。

ダイヤメット「二輪車トランスミッション用焼結部品」

 

■新製品賞・製法開発部門

・住友電気工業「磁束密度を確保し鉄損を低減したHEV向けリアクトル用圧粉コア」…本製法は、絶縁被覆鉄粉による圧粉コアの表面絶縁被膜破損を防止する成形方法。絶縁被膜被覆鉄粉は、金型に充填し加圧成形した後、金型から抜出す際、金型との摩擦で絶縁被膜が損傷し鉄粉同士が導通。圧粉コア表面に過電流が流れロスが増大する。対策として、レーザー加工などにより導通している部分に酸化鉄を生成させ導通を遮断し、渦電流ロスを防止しているが、コストが課題となっている。一般的に製品は 1個押し成形であり、外周面は全てダイによって形成され、金型から抜き出す際、全面がしゅう動し被膜の破損は避けられない。そこで、2個押し成形を採用し、二つの製品間の金型を浮動コアロッドとした。浮動コアロッドは、抜き出す際、成形体と同時に動き絶縁被膜の破損を防止する。その結果、レーザー加工を廃止し低コスト化を実現した。また、材料面においては、原料粉の粒度、成形条件を最適化により高密度化を実現。熱処理においては、条件の最適化により歪除去と鉄損を 25%低減している。今後、HEV、EVのシェア拡大により、生産量拡大が期待されている。

住友電気工業「磁束密度を確保し鉄損を低減したHEV向けリアクトル用圧粉コア」

 

■奨励賞

・ポーライト「冷蔵庫用・庫内庫外統合ファンモータ用軸受の開発」…本製品は、冷蔵庫の異なる環境に置かれる庫内・庫外の冷却ファンそれぞれに使うことができる軸受。通常、庫内ファンは-30℃、庫外ファンは+60℃の環境下で使用される。従来は、この2種類の冷却ファンには、それぞれ最適化された軸受が使われていた。本開発においては、材質は最適なものを選定し、高含油率に設定することで長寿命化を実現した。加えて、シリコーン系の新しい潤滑油を開発することで、低温環境下における静音性・低摩擦特性・耐食性、高温環境下における耐摩耗性・低摩擦特性を両立することができた。庫内・庫外ファン用軸受を統一化により、スケールメリットによるコスト競争力、リードタイムの短縮などの効果が得られた。また、顧客側メリットとして、発注・在庫管理の簡素化、異品種混入防止効果が見込まれる。

ポーライト「冷蔵庫用・庫内庫外統合ファンモータ用軸受の開発」

 

・ファインシンター「低コスト C/C 複合材製カーボン系すり板の開発」…本材料は、鉄道車両上部にある、パンタグラフの最上部に取り付けられ車両へ電気を供給するためにトロリー線に接し集電するすり板用材料。すり板材料は、金属系と、カーボン系(銅とカーボンの複合材)に大別される。カーボン系はさらに銅含浸型、銅カーボン混合焼結型およびC/C複合材銅溶浸型に分類される。本材料はC/C複合材銅溶浸型に該当し、軽量・高強度・低摩耗で、トロリー線攻撃性が低いことが特徴。一方で、高価であることが課題となっている。本開発は高価な炭素繊維使用量の低減。炭素繊維量を低減し、すり板の強度を確保するには、バインダーを増量する必要がある。カーボン基材は、プリフォームド・ヤーン法を用い、炭素繊維とバインダーを束にした繊維を作りシート化する方式とし、工程を簡素化した。しかし炭素繊維を減じバインダーを増すと、銅の溶浸経路が狭くなり、充分な銅溶浸ができず、電気特性が得られなくなる。そこで、Cu-Ti溶浸材の配合を見直し、溶浸条件の最適化(2段階の温度設定)を行った。その結果、すり板は、充分な電気伝導性を確保し、強度は20%程度向上。摩耗率は20%低減、使用代は10%削減。従来品に対して、コストパフォーマンスは35%向上している。

ファインシンター「低コスト C/C 複合材製カーボン系すり板の開発」

 

kat

イグス、追尾式太陽光発電向けの角型軸用ピローブロックベアリングのラインナップを拡充

3年 5ヶ月 ago
イグス、追尾式太陽光発電向けの角型軸用ピローブロックベアリングのラインナップを拡充kat 2020年10日27日(火) in in

 イグスは、追尾式太陽光発電向け角型軸用ピローブロックベアリングに新たなサイズを追加し、ラインアップを拡充した。ソーラーパネルの取付けに使用できる高性能樹脂製「イグボール ピローブロックベアリングESQM」は、無潤滑でメンテナンスフリーかつ塵埃や汚れに強い。今回、太陽光発電における同社製品への高い需要に対応すべく、100mm×100mmおよび140mm×140mmの2サイズを新たに追加した。既存の110mm×110mmや120mm×120mmサイズはすでに世界各地で多くの実績を持つ。サイズ追加により、より多くのソリューションに対応できるようになった。

 

 太陽光発電は現在活況を呈しているビジネスの一つで、世界各地で太陽光発電システムの設置が増加している。太陽光発電の設備を製造するメーカーには、発電コストを最小限に抑えながらソーラーパネルを最大限に活用できるシステムの構築が求められているが、追尾式太陽光発電モジュールは太陽の動きを追尾して自動的に角度を調整するため、固定式よりも発電効率が高くなる。

 イグスでは、角型軸上の追尾式太陽光発電モジュールの安全性を確保するため、イグボール ピローブロックベアリングESQMを開発・提供しているが、本製品はイグミッドG製のポリマーハウジングとイグリデュールJ4製の球面ボールで構成。高性能なトライボポリマーによって、耐紫外線性および耐食性が確保されている。完全無潤滑であるため、塵埃や汚れに強く、メンテナンスも不要で、同時に、表面の凹凸による軸心のずれも容易に補正する。

 イグスの広さ3800㎡の試験施設にて実条件下で試験し、寿命や耐摩耗性、許容荷重を調べたところ、15000Nの荷重で72年の耐用年数に相当する動作回数を達成。これにより、太陽光発電モジュールの標準寿命である25年に対し、イグボール ピローブロックベアリングESQMの安全性および確実性を実証している。

kat

NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発

3年 6ヶ月 ago
NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発kat 2020年10日20日(火) in in

 NTNは、ころの転動面に密着性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を適用することで、耐摩耗性を大幅に向上させた風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」を開発した。風力発電装置など、油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下で使用される産業機械向け軸受として提案を進め、2021年に25億円の販売を目指す。

DLCコーティング自動調心ころ軸受

 

 風力発電装置の主軸用軸受(主軸受)には、高負荷容量かつ取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く採用されている。主軸受は、風況条件により起動と停止を繰り返し、極めて低速な回転状態で使用される。

 こうした環境で使用される主軸受には、潤滑不足による軌道面ところの金属接触と自動調心ころ軸受特有の転がりすべりが原因で、軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があった。

風力発電装置ナセルにおける適用箇所

 

 本開発品は、ころの転動面に高い密着力により剥がれにくい非晶質構造の硬質膜、DLC 膜を適用することで軸受軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させている。被覆するDLC 膜は①母材との密着力を高めるための金属下地層、②下地層と最表層の急な硬度変化を避けるために設けた中間層、③非常に硬質な最表層の3層構造となっており、過酷な潤滑状態でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮する。

 油膜が薄くなり油膜がない部分において局部的に二面が接触している「境界潤滑」、実機最大接触応力(実際の風力発電装置で使用される際に最大荷重が発生する時の接触応力)、転がりすべり条件で、DLC 膜のはく離は認められなかった。また、DLC 膜がない標準品の軌道面が1ヵ月で摩耗からはく離に至る加速試験条件下において、本開発品はほとんど摩耗が発生しなかった。

 本開発品は、すでに一部の風力発電装置メーカー向けに量産を開始しており、今後さらに提案を進めるとともに、特に軌道面の摩耗による早期損傷に対応する補修品としての販売も強化していく。また、今回開発した被膜処理技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017 年に開発した「左右列非対称設計」と組み合わせて、さらなる耐摩耗性向上とコンパクト化を両立できる。

 NTN は、装置メーカーがニーズに合わせて本開発品のDLC コーティングや左右列非対称設計から最適なオプションを選択できるよう商品ラインナップを拡充し、風力発電市場における販売拡大に取り組んでいく。
 

風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受のラインナップ
kat

NTN、動力伝達装置向け低昇温・低トルク円すいころ軸受を開発

3年 6ヶ月 ago
NTN、動力伝達装置向け低昇温・低トルク円すいころ軸受を開発kat 2020年10日20日(火) in in

 NTNは、自動車のトランスミッションやデファレンシャル用の「低昇温・低トルク円すいころ軸受」を開発した。新開発の樹脂保持器の採用や軸受内部設計の最適化により、世界最高水準の低昇温性(耐焼付き性)と低トルク性を実現、次世代モビリティの市場ニーズに対応する。電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)を含む自動車用トランスミッション、自動車用デファレンシャルなど、動力伝達装置用軸受として拡販、2026 年度に20 億円/年の販売を目指す。

低昇温・低トルク円すいころ軸受

 

 近年、自動車産業がスマートモビリティやCASE に代表されるように大きな変革期を迎える中、電動化やカーシェアリングによる航続距離の延長などを背景に、動力伝達装置の高効率化が加速している。これにより、装置内の潤滑油量の低減や低粘度油への切り替えが進められ、軸受にはこうした過酷な潤滑条件下の対応や、より一層の低トルク化が求められている。

 こうした新たに浮上した次世代モビリティの市場ニーズに対応する商品として開発された「低昇温・低トルク円すいころ軸受」は、新型樹脂保持器に付与した凹み形状によって潤滑油の不足時にころ端面への給油が可能となり昇温を抑制(図1①)するとともに、ころ端面と内輪大つば面間のすべり接触部の潤滑性が向上する設計を適用し、温度上昇を抑制(図1②)。動力伝達装置における低粘度オイルの使用や、電動化による急加速時のオイル量が少ない潤滑条件を想定し評価(条件は、常温から無給油運転で軸受外輪が100℃到達までの時間で評価)した結果、同社標準品比10 倍向上の低昇温性が確認されている(世界最高水準)。

 また、新型樹脂保持器が軸受内部への過度な潤滑油流入を抑制し潤滑油の撹拌抵抗による回転トルクを低減(図1③)するとともに、世界最高水準の軸受定格寿命(長寿命)と許容回転速度の実現をコンセプトとして2017年に開発した「自動車用ULTAGE 円すいころ軸受」のころ設計や、軸受内部設計の最適化による長寿命効果で軸受を小型化し、ころと軌道輪(内外輪)の転がり接触長さを減少させることで回転トルクを低減(図1④、図2①)。さらに軸受の小型化により、ころのピッチ円径を小さくし、ころと内外輪間の周速を低減、転がり抵抗を抑えることで回転トルクを低減した(図1⑤、図2②)。これらにより、同社標準品比で回転トルクを66%低減(世界最高水準)。優れた低トルク性によって、動力伝達装置のさらなる高効率化ニーズに対応する。

 

図1 開発品断面構造図と特徴

 

図2 標準品と開発品の比較(内部設計の最適化)

 

 開発品は、低昇温性、低トルク性という特長をコンパクトな軸受サイズで実現できるため、動力伝達装置の高効率化や車両の省燃費 ・省電費化だけではなく、装置の小型 ・軽量化、ひいては車内スペースの拡大や運転時の快適性の向上にも貢献する。NTNでは、開発品およびその要素技術を次世代モビリティに適用可能な仕様としてグローバルに提案していく。

kat
Checked
18 分 11 秒 ago
bmt配信ニュース ベアリング&モーション技術の情報サイト フィード を購読