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JAST、トライボロジー会議 2024 秋 名護を開催

5日 9時間 ago
JAST、トライボロジー会議 2024 秋 名護を開催kat 2024年11日28日(木) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は10月31日~11月1日、沖縄県名護市の万国津梁館で、「トライボロジー会議 2025 秋 名護」(実行委員長:九州大学・澤江義則氏)を開催した。会期中は約650名が参加した。

実行委員会の集合写真:会場の万国津梁館にて

 

 今回は、「機械要素」、「潤滑剤」、「分析・評価・試験方法」、「メンテナンス」、「摩耗」、「加工・製造技術」、「摩擦」、「表面・接触」、「表面処理・コーティング」、「バイオトライボロジー」、「流体潤滑」、「マイクロ・ナノメカニズム」、「疲労」、「境界潤滑」、「トライボケミストリー」、「摩擦材料」、「シミュレーション」のテーマによる一般講演と、「ヤングトライボロジストシンポジウム」、「カーボンニュートラルに挑む自動車のトライボロジー技術の最前線」、「電動車用潤滑油最前線―EV、HEV用潤滑油の現状と今後の展開―」、「工作機械におけるトライボロジー技術の応用」、「炭素系硬質薄膜の潤滑油中・真空中におけるトライボロジー特性」、「高分子材料のトライボロジー技術の最前線」、「5th Japan-Korea Tribology Symposium: Automotive Tribology」、「水素エネルギーとトライボロジー」、「転がり疲れ研究の最前線」、「シールにおけるトライボロジー技術」のテーマによるシンポジウムセッションで、全305件の発表がなされた。

一般講演のようす

 

シンポジウムセッションのようす:水素エネルギーとトライボロジー

 

 また、31日には特別講演会が開催され、沖縄科学技術大学院大学(OIST)神経計算ユニット 教授の銅谷賢治氏が「楽しい大学のつくり方~OISTで拓く脳とAI研究~」と題して、また、沖縄美ら島財団総合研究所 琉球文化財研究室 室長の幸喜 淳氏が「首里城美術工芸品の現状とこれから~修理と人材育成~」と題して、それぞれ講演を行った。

特別講演のようす:幸喜 淳氏


 同日に開催された「懇親会」では冒頭、沖縄の伝統芸能であるエイサーと獅子舞のパフォーマンスが行われた。

エイサーと獅子舞のパフォーマンス


 続いて挨拶に立った江上正樹JAST会長(NTN)は、「先日テレビで、沖縄から世界に向けて、三線、エイサー、獅子舞、棒術のパフォーマンスを発信する番組を観た。その際には遠い国の話のように感じていたが、いま舞台を見て、また本日の特別講演を聞いて、沖縄を非常に身近なものに感じている。これもひとえに、今回、名護でのトライボロジー会議の開催を実現させた実行委員各位の尽力、知恵と工夫の賜物で、これだけ多くの参加者を動員し、集まれる場を作ってもらったことに感謝したい。トライボロジー会議も明日一日を残すのみとなったが、新しく出会った方々や旧知の方と酒を酌み交わして、ぜひ明日の活発な議論につなげてほしい」と語った。

挨拶する江上正樹JAST会長


 続いて、澤江義則 トライボロジー会議 2024 秋 名護 実行委員長は、「先週、沖縄に台風直撃の予報が出た時には実行委員長を引き受けたことを後悔したものだが、各位の尽力と支援のもと、300件を超える講演があり、650名近くが参加するなど、トライボロジー会議を無事に成功裡に開催することができて、非常に喜んでいる」と挨拶し、乾杯した。

挨拶する澤江義則 実行委員長


 懇親会ではそのほか、次回以降のJAST主催イベントの案内として、2024年5月26日~28日に東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催予定の「トライボロジー会議 2025 春 東京」と、2025年10月8日~10日に北海道函館市の函館アリーナで開催予定の「トライボロジー会議 2025 秋 函館」について、開催概要や見どころなどがそれぞれ紹介された。

 会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられたほか、出展企業数社による製品PRやサービスについての企業プレゼンテーション(ランチョンセミナー)が実施された。

企業技術・製品展示コーナーのようす

 

企業プレゼンテーション(ランチョンセミナー)のようす:東陽テクニカ

 

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JIMTOF2024が開催、bmt関連製品・技術が多数披露

5日 11時間 ago
JIMTOF2024が開催、bmt関連製品・技術が多数披露kat 2024年11日28日(木) in in

 世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)」(主催:日本工作機械工業会(日工会)/東京ビッグサイト)が11月5日~10日の6日間にわたって、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。

 JIMTOF2024は、東京ビッグサイト全館を利用して総展示場面積11万8540m2で開催、中国、台湾、ドイツ、スイス、韓国、米国など19カ国・地域の企業・団体が出展した。合計出展者数は1262社/5743小間と、2022年に開催した前回JIMTOF2022に比べ175社/125小間増え、60年以上の歴史で最大規模の開催となった。

 ここでは、工作機械の高精度化や大型部品加工に対応する大型化、周辺機器を取り込んでの自動化といったトレンドに対応するベアリング&モーション技術(bmt)関連製品・技術の一端を紹介する(掲載は50音順)。

 イグスは、工作機械業界向けにエンジニアリングプラスチック技術を活かしたケーブル保護管「エナジーチェーン」や可動ケーブル「チェーンフレックス」、すべり軸受、リニアガイドなど幅広い可動部品向け樹脂(モーション・プラスチック)製品を紹介した。中でも新製品として、磁石でエナジーチェーンを金属製の壁に保持できる「マグスナップ エナジーチェーン」を紹介した。長い吊り下げ走行で、スペースに制限がありガイドチャンネルによるガイドが不可能な場合に使用できる。磁石がエナジーチェーンを定められた方向に保持し、システムの金属面に固定することで、エナジーチェーンの揺れを防ぐ。磁石がエナジーチェーンの外周半径を「RBRガイドチャンネル」に保持することで、エナジーチェーンを安全かつ静かに動かすことができるため、垂直の回転動作(RBR)にも最適。また、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化による環境負荷の低減やコストカットにつながるモーション・プラスチック部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」も提案した。

イグス 「マグスナップ エナジーチェーン」


 NTNは、工作機械主軸用グリース潤滑高速軸受と同軸受向け樹脂保持器、グリース、給油ユニットなどを披露した。工作機械主軸用グリース潤滑軸受向け保持器は、グリース潤滑軸受用の成形樹脂保持器として業界最高水準の高速回転性能となるdmn値(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))で135万を実現する。また、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けの高速・長寿命グリースは、業界最高水準となるdmn値190 万の高速回転に対応する。さらに、グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニットは、グリース潤滑軸受の高速回転時の課題であるグリースの劣化を抑制し、高速回転領域であるdmn値190万におけるグリース潤滑軸受の採用を可能にする。

NTN「工作機械主軸用グリース潤滑高速軸受」


 黒田精工は、精密平面研削盤で培った技術を生かした新商品として、精密ロータリー研削盤「GSR-600」を展示した。独自の油動圧とベアリングを組み合わせた高精度テーブルを有し、優れた操作性、さまざまなアプリケーションの対応で高精度な加工を容易にする。また、精密平面研削盤「GS-126CVs」を紹介。高効率加工を実演するウルトラファイルバブルをはじめとしたオプションを搭載し、省エネ、省スペースを両立した環境対応モデルとなっている。さらに、従来の段取り時間を80%削減できる精密油圧治具「ハイドロリックツール」を紹介した。時間のかかる「芯出し作業」を誰でも簡単に実現する精密油圧治具で、ブースでは、精密減速機、半導体市場に向けた用途別の対応例を多数展示。自動化提案としては、そのハイドロリックツールと協働ロボットを搭載した精密成形平面研削盤「GS-45Vs」を披露、加工から測定までを高精度に自動化できることを訴求した。

黒田精工 「ハイドロリックツール」


 ジェイテクトは、グリース潤滑での高速回転に対応した、工作機械主軸用軸受「ハイアビリーJFASTTM」を紹介した。消費電力の大きいオイルエア潤滑に置き換わるグリース潤滑によって、カーボンニュートラルに貢献できる。グリース潤滑用に最適設計したPEEK樹脂製の保持器を採用した、高速性と低昇温性に優れた工作機械主軸用軸受で、アンギュラ玉軸受では、世界初のグリース潤滑でdmn値180万を達成(同社調べ)。軸受の昇温は従来品比約30%低減し、グリース寿命は約20%向上した。円筒ころ軸受では、グリース潤滑でdmn値150万を達成。軸受の昇温は従来品比約40%低減し、グリース寿命は約20%向上した。この二つの軸受を採用することで、#40サイズで20000min-1の回転が可能な主軸を提案。これにより、主軸の潤滑方式をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ置き換えることができ、主軸エア消費量をオイルエア潤滑に比べて約60%削減できる。
 

ジェイテクト「ハイアビリーJFAST アンギュラ玉軸受」


 THKは、人財スキルデータをクラウド上で可視化し教育計画の立案から進捗管理もできる「OMNIedge スキル管理AIソリューション」を紹介した。OMNIedgeに集約された設備保全データやセンサーデータに、「Skillnote」が管理する人財スキルデータを統合することで、生産設備を扱う人財のアサイン最適化と、データに基づいた戦略的な人財育成ならびに設備保全計画の立案を支援するもの。どの設備を、誰が、どの程度、操作や保全できるかといったスキルデータを設備保全データと組み合わせ、より包括的な管理とデータ活用を可能にするサービスで、これによって設備と人に起因するロスを低減し、OEE(設備総合効率)の最大化に貢献する。また、ISO規格準拠寸法の超低ウェービング ボールリテーナ入りLMガイド「SPH形」を初披露した。8条列構造と小径ボールを採用することで直動案内トップクラスの超低ウェービングを実現。これにより、測定精度の向上や位置決め精度の向上、加工面品位の向上に寄与し、ナノメートルオーダーの運動精度が求められる分野にも対応が可能となる。

THK「OMNIedge スキル管理AIソリューション」


 日本エスケイエフは、軸受、潤滑システム、シール、エンジニアリングサービス、状態監視装置など、工作機械における回転機械の性能を最適化するさまざまなソリューションを紹介した。工作機械用軸受では、新熱処理、内部構造の最適化、新保持器などを採用して最大20%の高速化を実現した「ウルトラファスト・シリーズ」と、高速・高荷重の過酷なニーズに応じてテーラーメイドで設計される「エクストリーム・プラットフォーム」を初披露した。また、エアレス潤滑を可能にする、高精度・極微少量オイル計量装置「インジェクションオイラー」を紹介。厳しい用途に対応して自由な形状・素材・寸法で切削加工により製造し1個単位で提供可能な「切削加工シール」については、耐クーラント特性や耐摩耗性の高いターンテーブル回転機構部用シールや耐久性や信頼性の高いターンテーブルブレーキ機構部用シールなどに適用できることを訴求した。

日本エスケイエフ「切削加工シール」


 日本トムソンは、潤滑部品Cルーブ内蔵のリニアローラウェイスーパーX「MX Master Grade」を披露する。標準の超ロングユニットに対して脈動を大幅に低減し、高精度で高品位な加工が要求される超精密加工機などの軸案内に最適な製品であることをアピール。会期中は、初出展のデモ機を展示した。また、従来のニアローラウェイスーパーXに対して、ローラー寸法の変更やローラー幅(長さ)方向の押さえ構造の変更などを行い、低脈動の頂点である「走行振れ0」に挑戦したコンセプトモデル「次世代リニアローラウェイスーパーX  ZERO」も披露。さらに、カーボンニュートラルに向けたエコプロダクツの提案として、Oil MinimumをキーワードにCルーブ・メンテナンスフリーシリーズや液晶潤滑シリーズを紹介、調達時の大幅なCO2削減が図れることを訴求した。

日本トムソン CルーブリニアローラウェイスーパーX「MX Master Grade」


 日本ベアリングは、同社の強みとする、スライドウェイ・スライドブッシュを中心に直動製品と、それらを使ったデモ機を多数展示した。スライドウェイはローラーを使用した非循環方式のクロスローラーガイドで、リニアガイドと比較して、①コンパクト設計、②軽く滑らかな動き、③高剛性・高精度の特長があり、半導体製造装置、検査装置、光学機器で主に適用されている。特に新開発の高剛性・高負荷容量・コンパクト化を実現したスライドウェイ「HV形シリーズ」では、従来品と比べ許容荷重・定格寿命距離が向上。従来品のSV形シリーズと完全互換性があるため、置き換えだけで装置・設備の耐久性向上に貢献し、同等性能でサイズダウンとコンパクト化が可能となる。腐食しやすい箇所でも十分に性能を発揮するオールステンレス仕様もラインアップしている。同社ブースでは、スライドウェイを使ったことがない来場者にも分かりやすいように、製品の特長や使い方を説明したパンフレットを用意しているほか、直動製品の具体的な使用方法や設計のヒントになるよう、製品活用事例集やデモ機も配置した。

日本ベアリング「スライドウェイシリーズ」


 日本精工は、工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix™」を披露した。独自の解析技術でボールと溝の接触状態を高精度に解明して内部仕様を最適化し、寸法はそのままに、剛性を維持しながら動摩擦トルクを低減。これにより、大幅な低発熱化を実現し、工作機械の高い位置決め精度を維持するとともに省エネルギーに貢献する。また、工作機械主軸用精密単列円筒ころ軸受「ロバストライド™(ROBUSTRIDE™)」を紹介。電力消費量が少ないグリース潤滑方式におけるグリース寿命と許容回転数の向上により、軸受の長寿命化と高速化を実現。軸受の交換頻度の低減や、使用回転速度域の拡大など、工作機械の生産性向上に貢献する。さらに、設備診断エキスパートが支援する「状態監視ソリューション」を紹介。ユーザーの重要な設備における保全の最適化、省人化、製品品質の改善など、ものづくりDXを実現。高度診断AIと経験豊富な診断エキスパートによる遠隔監視が可能となる。

日本精工 工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix」


 ハイウィンは、日本初出展製品として、トルクモーターロータリーテーブル「RAB630」を披露した。同社のロータリーテーブルはゼロバックラッシュ・ダイレクトドライブ(DD)方式で豊富なラインアップが特長。RAB630は最高回転数 1000min-1、5軸同期加工を可能にする高速型で、航空宇宙部品や医療、EV等の産業における需要急増に応える、高い加工効率と精度を実現。特にフライス加工や複合旋盤の進化に貢献する。また、スマートマニュファクチャリングに貢献する状態可視化システム搭載の直動製品「i4.0シリーズ」を紹介する。温度や振動の異常検知、機器の寿命予測を可能にし、チョコ停を予防することで高い生産効率を維持するほか、スマート潤滑機能により給油量を適切に減らすことで、環境負荷の低いものづくりを後押しする。ボールねじi4.0BS®のほか、半導体業界で活躍するリニアガイドウェイi4.0GW®、モジュール設計でスマートな生産管理を推進するi4.0単軸ロボットを展示した。

ハイウィン「i4.0シリーズ」

 

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TRAMI、第7回公開フォーラムを開催

1週 ago
TRAMI、第7回公開フォーラムを開催kat 2024年11日26日(火) in in

 自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI、理事長:日産自動車・平工良三氏)は11月19日、東京都港区の東京都立産業貿易センター浜松町館 3階北会場での対面開催とオンライン開催により、「第7回公開フォーラム」を開催した。

開催のようす

 

 TRAMIは2018年4月、駆動・電動技術の産学連携基礎研究を行うことにより、学のサイエンス進展と産学人材育成を推進し、日本の産業力の底上げと持続的な科学技術の発展に貢献することを理念として発足した。現在、組合員は主要自動車会社およびサプライヤー12社で構成。東京理科大学 佐々木研究室(主宰:佐々木信也教授)や横浜国立大学 中野研究室(主宰:中野 健 教授)など32の大学の研究室と連携して活動を進めている。

 7年目の活動となるTRAMIの今回のフォーラムでは、システム・ユニットに大きく近づくTRAMIの2025年度研究方針やシナリオに加えて、以下の講演がなされた。

 石巻専修大学 梅山光広教授による石巻での産学連携についての特別講演「若者世代と一緒に未来の街を考える~モビリティ・環境・エネルギー・コンパクトシティ~」では、若者世代に負の遺産を引き継ぐことのないよう、フューチャーデザイン=未来人になって考えることが必要で、大学の研究でも学生たちとの対話によって進めている現状を説明。都市と都市の間など遠距離の移動は公共交通を使い、街中など近距離の移動は低速モビリティを利用するといった「乗り換え」を前提とした交通手段の使い分けが大切との見地から進めている電動モビリティ(中古ハイブリッド車のEV化や電動ゴーカートの機械学習による自動運転、ほか)の研究開発や、エネルギーを利用する場所の近くで「地産地消」することが重要との考えから進めている気象予測を活用した大学構内での風力・太陽光ハイブリッド発電などの話題を紹介した。

 中央大学 戸井教授によるTRAMIの委託研究テーマ「電動車 快音化指針の構築」についての発表では、電動化により暗騒音が低下していく中で、モータノイズとギヤノイズの音量の評価指針を定義、電動車としての車室内に価値を与えるための音、音質を研究する目的で、高周波音の音量の評価指針の研究(定常~8kHz)、高周波音の音量の評価指針(過渡~8kHz)、音と物理指標の研究、高周波音の音量の評価指針(定常 過渡 8~20kHz)、音と人間特性の研究、価値を生み出す音,音質の定義を実施したことが報告された。

 また、TRAMIの2025年度の研究方針では、TRAMI研究のコアとなる超高回転電動PTユニット(主要3要素:減速機、モータ、インバータ)のTRL(技術成熟度)を深化しTRL3(サブユニットレベル台上実証・サブユニットシミュレーション実証)~5(試作ユニットレベル(車載想定)台上実証・車載シミュレーション実証)を重点化、TRAMI研究成果の実用化を促進すると打ち出した。具体的には、超高回転電動PTユニット「小型・軽量・高効率」実現技術を確立し、TRAMI会員各社で製品化・量産化を実施、日本企業の競争力の高い製品開発研究に活用する。

 会場のみでの開催となる第2部ではポスターセッションを実施、機械摩擦・熱研究や計測技術研究、電動化研究など各研究分野の研究シナリオとロードマップの説明がなされたほか、企画書パネルや実機などを囲んでの研究メンバーと参加者とのディスカッションが行われた。

ポスターセッションのようす

 

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日本粉末冶金工業会、2024年度(第46回)工業会賞を発表

1週 1日 ago
日本粉末冶金工業会、2024年度(第46回)工業会賞を発表kat 2024年11日25日(月) in

 日本粉末冶金工業会(会長:園田修三・福田金属箔粉工業社長)は、「2024年度(第46回)日本粉末冶金工業会賞」の受賞者を発表した。

 この賞は、粉末冶金工業の振興、発展に顕著な業績を挙げた製品などを表彰し、粉末冶金業界の底辺拡大と一層の技術水準向上に役立てようとするもので、1979年度から実施されている。

 表彰の種類は、業界功労賞、新製品賞(デザイン部門、材質部門、製法開発部門)、原料賞、設備開発賞に区分されており、2003年度から、新製品賞、原料賞、設備開発賞の中から最も優れた案件に「工業会大賞」を授与している。また、上記の賞以外に奨励賞が設定されている。
受賞製品の概要は次のとおり。

工業会大賞 「アキシャルモータの高性能化に貢献する両ツバ一体圧粉磁心の開発」住友電気工業

 本製品は、空気清浄機に搭載されるアキシャルモータの磁心(コア)。

 近年、電動化の普及に伴い各種電動機器において小型軽量化・高効率化に貢献できる高性能モータの需要が増加している。現在は、構成部品である磁心(コア)に電磁鋼板を用いたラジアルモータが一般的に用いられているが、その構造に起因して薄型化によって性能(トルク・効率)が低下する課題を抱えている。そのため、薄型・高トルクの両立が可能なアキシャルモータに脚光が当たっており、その普及が期待されている。アキシャルモータのコアは三次元磁気回路の形成が必要で、磁気等方性と高い形状自由度を有する圧粉磁心コアが好適である。

 本開発では磁石との対抗面積を増やすためにティースの上下両側にツバが張り出した形状とし、両ツバ端面間の距離(両ツバ一体コアの全長)の高い寸法精度と、電磁鋼板性のコアに対し圧粉磁心性のコアのQC優位性を達成した。

 両ツバ一体コア形状は、事前にティースの全周方向に両ツバが張り出したコアを検証用に作製し実際の性能評価を行い、従来手法のバックヨーク付きティースと比べてトルクを18%向上、効率を2.6%向上することを確認し、本製品の開発に取り組んだ。従来成形手法では抜き出し困難となる形状を、発想を転換して成形方向を変更することで両ツバとティースを一体造形する手法を着想して開発を推進したことによって目標を達成した。

 両ツバ厚み寸法精度に対しては、今回開発した成形技術では、コアの全長寸法が粉末の充填量に依存せず、金型精度のみに依存する方向へ変更ができたことによって、従来比70%圧縮した精度規格を満たすことに成功した。

 コストについても、従来製法では2部品の製造工程・金型が必要であったものが、開発技術では1部品となり集約することができ、製造原価を半減させ目標達成する
ことができた。

 これらの開発によって、アキシャルモータ用の両ツバ一体圧粉磁心コアの量産を開始し、アキシャルモータの普及に貢献できた。

住友電気工業「アキシャルモータの高性能化に貢献する両ツバ一体圧粉磁心の開発」

 

新製品賞・デザイン部門 「電動ソレノイドバルブの高機能化を実現した焼結ブッシュ」ダイヤメット

 本製品は車載用ソレノイドバルブのプランジャシャフトを支えるブッシュ。

 ソレノイドバルブは電気入力により出力部から軸方向力を発生させる部品で、近年の自動車では、従来の人力操作系から自動化が進んでおり、搭載数増加が期待できる部品である。

 本製品はシャフトを支える軸受として用いられるため、シャフトの直進運動時の摺動性を良好に保つことが必要になる。加えて、通常の軸受とは異なりソレノイドとして機能するために磁気特性も必要となり、摺動性能と磁気特性を両立する必要がある。

 材料選定においては、磁気特性が重要となるので鉄系材料を採用した。鉄系材料において摺動性を持たせるには黒鉛の添加が一般的だが、黒鉛が多くなると磁気特性の低下を引き起こす。

 そこで、摺動性と磁気特性を両立できる最適割合を検討し、自社配合のFe-Cu-C系材料を選定した。

 形状検討においては、コストと使用条件、組付け性などを考慮した最適形状を客先とデザインインで検討を重ねて決定した。異物混入防止の為の厳しい清浄度規格に対しても、摺動面を痛めることなくバリを除去できるバレル条件の検討や製造工程内の防護カバーなどの対策を実施し要求を満足できた。

 これらの開発により複数の要求を達成することができ、従来の溶製材から焼結材への切替えに成功した。

ダイヤメット「電動ソレノイドバルブの高機能化を実現した焼結ブッシュ」

 

「成形体加工を有するベーンポンプ用サイドプレートの開発」ファインシンター

 本製品は、トランスミッション用オイルポンプに使用されるベーンポンプのサイドプレート。

 EV化の加速が進んでいる一方で、既存構造の自動車には従来よりも厳しいCO2排出量低減や静粛性が要求され、それらは各ユニットへの高性能化の要求となっている。このためトランスミッション用オイルポンプは、内接ギヤポンプやトロコイド式から、振動が小さく容積効率の高いベーンポンプ式が採用されている。

 本製品は幅2mm、深さ9mmの止まり溝と、反対面に幅3.5mm、深さ5mmの止まり溝を有しており、それらが屈曲した貫通溝を形成する特殊な形状を有している。型出しでの溝形成が困難で、通常の機械加工ではバリとコストの課題があった。

 そこで、バリの発生が抑制できるグリーン加工の課題解決に取り組んだ。

 材料選定は、成形体強度を確保できる還元鉄粉を使用することとした。その上で要求を満足できるFe-Cu-C 系を選定した。

 グリーン加工条件は、加工時の欠けを防ぐ切込量、割れを防ぐ製品把持条件、刃具の折損を防ぐ周速と切込量を詳細に調査し最適化を行った。

 これらの開発により、複雑溝形状を有する本製品の生産を可能とした。グリーン加工の採用で、焼結体への機械加工と比較して、加工に必要なトルクが10%以下になり、設備の小型化、加工時間の短縮が可能となると共に、バリ除去工程も不要となり、約20%のコスト低減も達成できた。

ファインシンター「成形体加工を有するベーンポンプ用サイドプレートの開発」

 

新製品賞・製法開発部門 「高周波焼入製品の磁気探傷検査自動化」ダイヤメット

 本技術は、高周波焼入れ製品のクラックを検出する磁気探傷検査を、ロボットおよびAIを用いて完全自動化したものである。

 前処理(磁化・磁粉塗布)-観察(探傷)-判定-後処理(脱磁)からなる磁気探傷検査の全工程の自動化を行った。前処理ではクラックの方向(円周方向・放射方向)が変わっても検出可能となる複合磁化を採用し、効率の良い前処理とした。また、ロボット搬送とすることで磁粉の脱落も防止した。観察・判定工程では、数千のサンプルをAIに学習させ、作業者の感覚・判断に近い判定ができるようにした。また、磁粉液が必要以上に残留すると誤検出・過検出してしまうため、検査個所に適度な磁粉および磁粉液のみ残す工夫を加えて、誤検出0%、過検出約5%を達成した。

 焼結部品での全工程の自動化は初めての事例でありながら、複数の客先から承認を得られており、本技術によって、作業者のスキル差の影響が軽減され判定差異がなくなり、検査精度の向上と安定化を実現できた。さらに、集中力低下や疲れなどの影響で発生するヒューマンエラー対策にもなり、作業環境改善および作業者負荷軽減にもつながった。

ダイヤメット「高周波焼入製品の磁気探傷検査自動化」

 

原料賞 「3Dプリンタ用高造形性ダイス鋼粉末」大同特殊鋼

 本原料は、積層造形時のひずみを低減し、150mm角以上の大型造形品を可能にした高造形性ダイス鋼粉末。

 金属3Dプリンタで造形したダイカストやプラスチックの射出成形金型の実用化が進んでいます。これらには主にマルエージング鋼粉末が使用されている。しかし、マルエージング鋼(粉末)は特定化学物質障害予防規則で規制されるCoを多く含有することや、安全保障貿易管理のリスト規制対象であることから、熱間ダイス鋼であるSKD61粉末を用いて金型を3D造形するというニーズが高まっていた。一方で、SKD61は造形したままの硬さが高く割れが生じやすいため、造形困難という課題がある。そこで造形時のひずみを低減し大型造形品への対応も可能とする高造形性ダイス鋼粉末を開発した。

 成分設計としてSKD61をベースにC、Si、Vを低下し、Niを6%添加することでマルテンサイト変態開始温度(Ms点)をマルエージング鋼と同等の200℃付近に設定した。これにより造形時はMs点以上の過冷却オーステナイト状態が維持され硬さが低くなり、レーザーによる溶融凝固とその後の冷却で発生する熱応力は、過冷却オーステナイトの微小な変形により、ひずみを解放できる。また、造形完了後にベースプレートの予熱を止めることで造形物全体が徐々に冷却され、マルクエンチ的な焼入れによって、さらにひずみは低減される。以上のメカニズムで大型造形を可能にした。

 さらに、造形後は焼戻しマルテンサイト組織となるため、焼入れ工程が不要となり、工程短縮や省エネ化にも貢献する。

大同特殊鋼「3Dプリンタ用高造形性ダイス鋼粉末」「流動性を改善した高密度用鉄基混合粉末」神戸製鋼所

 本原料は、潤滑剤量の低減による焼結部品の高密度化と原料粉末の流動性を兼ね備えた新しいコンセプトの鉄基混合粉末。

 良好な圧縮性を持つ粉末は、成形、焼結後に高い密度が得られるため、焼結部品品質全般の向上に寄与する。原料混合粉に含まれる潤滑剤量の低減は、温間成型や金型潤滑成形などの付帯設備が不要で、比較的簡単に密度向上できる有効な方法である。そこで、潤滑剤の金型との潤滑性を向上させ、低添加量で成形可能な潤滑剤のニーズが高まっている。しかし、潤滑性の良い潤滑剤は粒子への付着力が高くなり、鉄粉と凝集して混合粉末の流動性を悪化させるため、潤滑性と流動性を両立させることは非常に困難だった。

 今回、新たなアプローチとして、鉄粉表面に潤滑剤との付着性が低い物質を存在させることで、潤滑性と流動性の両立を達成した。本原料は、せん断付着応力を従来比30%低減しており、金型充填性および連続成形時の重量ばらつき評価において改善効果が見られる。その他の成形体特性や焼結体特性は、密度に応じた特性が得られており、比較的容易に高密度部品の製造を可能にする原料として、業界への普及が期待される。

神戸製鋼所「流動性を改善した高密度用鉄基混合粉末」  奨励賞 「ADAS用ECU冷却ファン軸受の開発」ポーライト

 本製品は、ADAS(先進運転支援システム)を制御するECU の冷却ファンに用いられる軸受。

 近年、「コネクテッド」「自動化」「電動化」に伴うADAS系ECUの搭載が増加している。それらは機械処理の高速化が必須で発熱が多く、冷却ファンの搭載が不可欠となっている。

 本製品は、下向きに設置されるファンモータの軸受で、高温時のオイルの体積膨張と粘度低下によるオイル漏れ対策が必要だった。それらへの対策として、外径面取りを大きくすることでオイル保持空間を確保すること、内径面取りの角度を45°から30°に小さくすることで毛細管力を強くしオイル保持し易くする形状の工夫を行った。また、外径に溝を設け、モータ組み立て時およびモータ動作時に空気の逃げ道を確保した。含浸油には、-40~105℃という低温から高温までの幅広い温度での使用要求に対して、温度に対する粘度変化が少なく、かつ、長寿命となる蒸発量が少ない独自のオイルを選定することで耐久性も確保した。

 これらの開発によってオイル漏れが改善され、信頼性が向上し、モータ姿勢が下向きでの使用を可能にした。その結果、ボールベアリングが主流であったADAS用ECU冷却ファンの軸受に採用された。

ポーライト「ADAS用ECU冷却ファン軸受の開発」「プレス部品とのカシメ接合技術の開発によるアクチュエータ部品の焼結化」ファインシンター

 本製品は、四輪駆動車用のトランスファーアクチュエータの構成部品。

 トランスファーとは、四輪駆動車においてエンジンからの力を前輪と後輪に分ける装置であり、オンロードからオフロードに至る広範囲の路面状況で、高次元のトラクション性能と操縦安定性を支える重要な動力伝達部品。モータ出力を受けるプレートと、ラックへ出力するための焼結ギヤで構成される。

 焼結ギヤには駆動力に耐えうる引張強さと耐摩耗性が必要となり、接合部には、回転方向は動力伝達に耐えうるトルク強度と、垂直方向へのギヤの抜け強度の要求仕様がある。組立品であるのでギヤの歯とプレートの組付位相決めも必要となる。

 焼結ギヤ材料には、熱処理することなく焼結で要求強度と耐摩耗性が得られるNi、Moを含む合金系材料を選択し、引張強度700MPa以上が得られるように、成形密度、焼結時の加熱と冷却条件の最適化を行った。接合にはカシメを採用し、接合部の形状は花びら形状のボスとし、トルク強度を得る花びらの大きさと数の検討や、位相間違いを防止するスリット幅の設計、浮き・傾きを防止するギヤ端面の逃げ・ヌスミなどの形状の工夫を行った。

 これらの開発により、異材質を組み合わせたアクチュエータを実現し、量産化に成功した。

ファインシンター「プレス部品とのカシメ接合技術の開発によるアクチュエータ部品の焼結化」

 

kat

東京理科大学・佐々木研究室、第25回トライボサロンをハイブリッド開催

1週 3日 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第25回トライボサロンをハイブリッド開催kat 2024年11日23日(土) in in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第25回目が11月23日、東京都葛飾区の葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす

 

  トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第25回目となる今回のトライボサロンでは、「e-TAF:トヨタ低粘度e-Axle油開発の定点観測的考察」のタイトルで、技術オフィス・村上の村上靖宏氏を講師に話題提供が行われた。

 講演では、トヨタ純正 e-トランスアクスルフルード(e-TAF)の開発に携わったトヨタ自動車や豊田中央研究所、ENEOSなどの技術者たちによる直近の「トライボロジー会議 2024 秋 名護」までの多数の論文発表を通じて、適用した試験条件・試験片材質情報や効果検証の進め方、開発の進め方(命題→指針決定→課題抽出→方策決定→効果確認→効果検証)について推定し紹介した。また、低粘度化と電気絶縁性、耐荷重能の成立、軸受フレッチング摩耗対策、ポンプのベーン摩耗対策、消泡性向上といった次世代e-Axle油開発の方向性について考察した。

 なお、トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon
 

kat

bmt2024年11月号「特集1:半導体製造プロセス」、「特集2:3D造形などロボット新技術」発行!

1週 6日 ago
bmt2024年11月号「特集1:半導体製造プロセス」、「特集2:3D造形などロボット新技術」発行! admin 2024年11日20日(水) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第51号となる2024年11月号が11月25日に小社より発行される。

 今号は「特集1:半導体製造プロセス」、「特集2:3D造形などロボット新技術」で構成。特集1:半導体製造プロセスでは、半導体製造プロセスにおいて、低発塵や高速・高加減速、高精度といった要求性能を実現するベアリング&モーション技術を紹介する。
 
 また、特集2「3D造形などロボット新技術」では、可動部の消費電力抑制につながる軽量化から活用されてきている樹脂3Dプリンティングや、ロボット減速機の潤滑を補完するダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング、さらにはJIMTOF2024に見る工作機械の高効率化を支援するロボットシステムまで、ロボット関連の新技術について紹介する。

特集1:半導体製造プロセス

◇半導体製造装置の市場・技術動向と新たな取り組み・・・日本半導体製造装置協会 小林 章秀 氏に聞く

◇SEMICON Japan 2024開催「半導体の未来がここにある。」半導体技術と産業の最前線を、見て、聞いて、感じる3日間 ・・・SEMIジャパン 佐藤 秀一

◇超薄型ボールベアリングの特長と半導体分野における適用・・・木村洋行 足立 健太 氏に聞く

◇半導体製造装置向け真空フッ素グリースの開発と適用・・・ニッペコ 西村 寛 氏、白畑 実生 氏に聞く

特集2:3D造形などロボット新技術

◇ロボットなど工業標準の実用部品を作る材料×機械の共創による樹脂3D造形技術 ・・・大塚化学 稲田 幸輔 氏、グーテンベルク 梶 貴裕 氏に聞く

◇産業用ロボット向け減速機のトライボロジー課題に対応するDLCコーティング技術・・・編集部

◇JIMTOF2024に見る、工作機械の高生産性を支援するロボットシステム・・・JIMTOF2024出展各社

連載

あるコスモポリタンの区区之心 第21回 大連、旅順、安重根・・・紺野 大介

トピックス

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ボド・メラー・ ケミー、日本法人設立の記者会見を開催

2024 国際航空宇宙展が開催

World PM(粉末冶金国際会議)2024 が開催、27カ国から750人が参加

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ニッペコ、第1回トライボロジー技術セミナーを開催

1週 6日 ago
ニッペコ、第1回トライボロジー技術セミナーを開催kat 2024年11日20日(水) in

 ニッペコは11月7日、東京都千代田区の東京商工会議所で、「トライボロジー技術セミナー〜トライボロジーで未来をつなぐ〜」を開催、ユーザーやサプライヤーなど約50人が参加した。
 

会場のようす

 

 当日はまず開会にあたって同社 山口芳基社長が、「今回初開催となる本セミナーのコンセプトは、①グリース・潤滑技術とトライボロジー技術のさらなる発展につなげる場、②多くの業種のユーザーとの交流・技術創出の場、③長年にわたりお世話になっているユーザー・サプライヤーへの感謝・お礼を込めての情報発信の場とすること。開催にあたりインスパイア・気づきを頂戴したユーザーの方々や、開催と講演への賛同をいただいた講師の皆様に深く感謝したい。今後100年の大きな課題と製造業としての使命をアルファベット3文字と三つのAで常日頃頭に刻んでいるが、大きな課題はCSB、つまりカーボンニュートラル(Carbon neutral)、サステナビリティ(Sustainability)、BCP(Business Continuity Plan)。製造業の使命は、安全操業、安心品質の維持、(ユーザーへの製品の)安定供給の三つのAだ。我々の関わるトライボロジー業界も新たな課題への対応が必要で、時代に即した製品開発と、諸々の規制に対応するスピード感ある対応が急務となっている。本日はこうした状況を反映したユーザー各位からの講演と、ニッペコの近年の新たな取り組みに関する発表がなされる。講演会に続く第二部として懇親の場も設けているので、最後までお付き合いいただきたい」と挨拶した。
 

開会挨拶を行う山口社長

 

 続いて、以下のとおり講演が行われた。

「建設機械のメンテナンス技術(高性能グリースとオイル監視技術)」秋田秀樹氏(日立建機)

 建設機械の予防保全の観点からは適切な油脂の選定・管理が必要と説明した上で、油膜に頼らず高荷重まで耐えるグリースとして、ニッペコのラストバリア、DXバリアなどを紹介した。また、建設機械のオイルの状態を見える化し部品が重大な損傷を受ける可能性を事前に知らせる、オイル状態監視システム「ConSite OIL」などを紹介した。

 

「グリースの増ちょう剤トレンド」富松幸亮氏(日本ルーブリゾール)

 グリースのトレンドとして、二次電池などグリース以外でのリチウムの需要が大きく占め、また水酸化リチウムの価格上昇から、世界全体でカルシウムスルフォネートグリースの需要が増えていることを紹介。カルシウムスルフォネートグリースは耐摩耗・極圧性、腐食防錆性、高温安定性に優れるグリースで、今後も用途の拡大が見込まれる、と総括した。

 

「フッ素化合物PFAS規制の世界的動向と今後の展開について」橋本宗典氏(喜多村)

 PFASは、①ストックホルム条約(POPs条約)で規制対象とされた特定PFAS(PFOA、PFOS、PFHxSの3物質群)、②POPs条約で規制の議論がされている物質(例:長鎖PFCA(2025年のCOP12で採択予定))、③POPs条約で規制対象外のその他PFAS(1万種類以上)に分類でき、欧州が予防原則に則り製造・使用を広範囲に規定する提案をしているが、日本国内ではPFAS一括で規制の動きがない現状などを説明。同社の400℃高耐熱・PFOA法規制適合のPTFE潤滑用添加剤KT/KTLシリーズを紹介した。

 

「筆記具の新しいカテゴリー創出への挑戦~ペンの常識を変えたフリクションシリーズ~」千賀邦行氏(パイロットインキ)

 ボールペンの筆跡を消したいという潜在的需要に対し、温度変化で変色する「メタモカラー」の継続的改良(マイクロカプセルの微粒子化や、簡単に消えず簡単に戻らない組成の探索など)によって、消しゴムと同じ擦るという動作で筆跡が消せ、想定を超える消え味と消しカスが出ず、1本のペンで何度でも書き消しができる「フリクションボール」を製品化、2023年の累計販売数44億本達成に至った開発譚を語った。潤滑と摩擦を活用しているフリクションボールとトライボロジーの関わりを述べて、総括とした。

 続いて、ニッペコの原 規公氏、夫馬猛志氏、井上予志人氏よりそれぞれ、「バイオマスグリース BIOLUB® GSのご紹介」、「環境、人にやさしい水希釈型潤滑剤<HYDLUBTER®>シリーズ」、「カルシウムスルフォネートグリース(CSCG)と極圧剤の相乗効果」と題して、同社製品・技術の紹介がなされた。

 植物由来オイルの基油とリチウム石けん増ちょう剤からなるBIOLUB® GSについては、バイオマスマークを取得済みの、PAO基油/リチウム石けん増ちょう剤グリースと同等の性能を有するバイオマスグリースで、同グリースに比べCO2排出量を約70%削減できると報告。

 また、潤滑成分をフッ素系溶剤などではなく水で希釈した潤滑剤HYDLUBTER®については、樹脂の潤滑用途では摩擦低減と擦れ音防止を実現し、ゴムの一次的挿入助剤用途では塗布後に挿入しやすく作業時間を短縮できる上、乾燥後は抜けにくいという理想的な性質を提示した。

 さらに、優れた極圧性を有するCSCGにさらなる極圧性を付与するための各種極圧剤の添加効果の検証では、MoDTC(モリブデンジチオカーバメート)の添加で融着荷重と最終非焼付き荷重の向上が認められた。最後に、その有機モリブデンをCSCGに添加し、さらなる長寿命と高耐久を実現した「カルフォレックスAP-112」を紹介し、総括した。
 

ニッペコの発表後の質疑応答のようす

 

 講演終了後に挨拶に立った営業本部 部長の沢田 茂氏は「今回のセミナーは我が社初の試みとなるが、すべての話題が日常生活に関わる内容で、大変興味深く有意義な時間を過ごせた。参加された皆様においても、学ばれたことを持ち帰っていただき明日からの仕事に生かしていただきたい」と述べ、閉会した。
 

閉会の挨拶を行う沢田氏

 

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パーカー熱処理工業、トライボロジー試験機の専用ウェブサイトを公開

2週 6日 ago
パーカー熱処理工業、トライボロジー試験機の専用ウェブサイトを公開 in kat 2024年11日13日(水) in

 パーカー熱処理工業はこのほど、トライボロジー試験機「SRV®(オシレーション(Schwingung)摩擦(Reibung)摩耗(Verschleiß)」の専用ウェブサイト(https://srv-pnk.jp/)を公開した。

 

 SRV®は、全世界で標準化のためのワーキンググループ(日本・欧州・中国)を持ち、ISO(国際標準化機構)・ASTM(米国試験材料協会)・DIN(ドイツ規格協会)などで規格化された往復動オシレーション試験方法を持つ世界共通の業界標準システムで、世界中で使用されているトライボロジーのデファクトスタンダード試験機と言える。

 同サイトでは最新機種SRV®5の性能や評価できること、試験例のほか、高分解能信号分析(HRA)・電気接触抵抗・アコースティックエミッション(AE)測定・特殊環境対応といった測定機能、さらにはオシレーションモード(往復摺動試験)・ローテーションモード(回転試験)・コンビドライブモード(複合動作試験)の各試験イメージ動画、SRV®受託試験に関する情報、SRV®に関する豆知識、などを掲載している。

SRV豆知識オシレーション試験イメージ動画

 

 また、コンパクトサイズのオシレーション摩擦摩耗試験機「ETS(Easy Tribology Screener)」や、高荷重滑り・転がり・転がり滑り接触向け二円筒試験機「2DISKリグテスター」の製品情報も掲載している。

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THK、工作機械の回転テーブルを高速化できる高速ローラーリングの受注を開始

3週 6日 ago
THK、工作機械の回転テーブルを高速化できる高速ローラーリングの受注を開始kat 2024年11日06日(水) in in

 THKは、工作機械の回転テーブルの高速化に貢献可能な高速ローラーリング「RT形」の受注を開始する。

高速ローラーリング「RT形」

 

 同社がこれまで展開してきたクロスローラーリングは、さまざまな方向の荷重を負荷できるため多くの産業機械に使われている。使用用途の一つである工作機械では、5軸以上の複合加工機の需要が近年高くなっており、切削から旋削加工までを1台でさまざまにこなす機械が求められている。そのため、テーブル用軸受にも高剛性や高速性が要求されている。

 今回開発したRT形は、高速性に対応するため、高速旋回に適した3列ローラー接触構造を採用し、高速旋回性能を追求した高速ローラーリング。回転時の発熱を抑制することで既存比の3~5倍となるDpw・N値(ボールピッチ円径×回転数)30万を実現した。また、内外輪に取付穴を設けることで、軸やハウジングへの直接固定ができるため、製品を組み付けるために必要な周辺部品を削減できる。

 全4形番をラインナップしており、マシニングセンタ、複合加工機、5軸加工機などの回転テーブルの回転速度を高速化し、タクトタイム短縮に貢献する。

 開発品の特長は以下のとおり。

・優れた高速旋回性能:高速旋回に適した3列ローラー接触構造を採用し、回転時の発熱を抑制することでDpw・N値30万を実現

 

・既存のローラーリングと同寸法:剛性に優れた複列アンギュラローラーリング「RW形」と内外径・幅寸法、取付穴位置が同一のため、用途に応じて使い分けが可能

・容易な組付け構造:内外輪に取付穴を設けることで、軸やハウジングへの直接固定を可能にしたため、製品を組み付けるために必要な周辺部品を削減できる。また、装置への組み付け方法によって、内輪の取付面の向きをユーザーが選定できる

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THK、縦型炉向けの地震対策に、新型免震台の受注を開始

1ヶ月 ago
THK、縦型炉向けの地震対策に、新型免震台の受注を開始kat 2024年10日30日(水) in in

 THKは、半導体製造に用いられる縦型炉向けの地震対策として、中小地震から大地震までワイドレンジに対応する新機構を搭載した新型の免震台「縦型炉用新型免震台」を開発し、10月より受注を開始した。

縦型炉用新型免震台

 

 縦型炉用新型免震台は、中小地震(およそ震度33~5弱)では縦型炉内にあるウェハーの欠陥の低減を担保し、大地震(およそ震度5強以上)では縦型炉本体と石英パーツを保全することで、幅広い地震動に対応が可能な免震台となっている。

 従来からの免震台は、主に大地震が発生した際に、縦型炉本体の損傷を防いで機能を維持することを目的としていた。一方で、発生頻度が高い中小地震でも縦型炉内にあるウェハーに欠陥が生じることがあり、生産への影響が懸念されるため、半導体業界では以前から、その対策への要望が強かった。THKではこうしたニーズに対応するため、中小地震から大地震までワイドレンジに対応可能な縦型炉用新型免震台を自社開発したもの。免震性能切替機構を備えており、地震発生後、短期間での生産再開に貢献できる。

 開発品の特長は以下のとおり。

・二段階可動方式を用いた新機構を採用:同社の従来型免震台よりも低い加速度で起動し、特定の可動域を超えると免震性能が切り替わる二段階の特性を有し、揺れの大きさに応じた個別の免震性能を発揮させることが可能

・縦型炉の仕様に合わせたカスタマイズ:縦型炉の荷重を支える支承ユニットを複数配置し、各支承ユニットは鋼製フレームとプレートで連結する構造のため、搭載する縦型炉の形状や仕様に合わせて自由度の高い設計が可能

・3種類の支承ユニットを展開:支承ユニットは、減衰・復元機構、免震性能切替機構の有無で3種類をラインアップ。各支承ユニットの組み合せにより、最適な性能を発揮する免震台を構成することが可能

 

性能切替/減衰機構付き支承ユニットの構造

 

縦型炉用新型免震台の構成

 

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NTN、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けの高速・長寿命グリースを開発

1ヶ月 ago
NTN、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けの高速・長寿命グリースを開発kat 2024年10日30日(水) in in

 NTNは、工作機械主軸用グリース潤滑軸受として業界最高水準となるdmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))190 万の高速回転に対応する「高速・長寿命グリース」を新たに開発した。本技術を適用した軸受を工作機械主軸(複合加工機、マシニングセンター、旋盤)などに提案、同グリース潤滑軸受で2027年度に3億円/年の販売を目指す。

高速・長寿命グリース

 

工作機械主軸用軸受

 

 

 各産業でカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速する中、工作機械においても省エネルギー化が進められている。工作機械主軸用軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があるが、エアオイル潤滑は、冷却効果や油の安定供給により高速回転に対応しやすい一方で、エアーを供給し続けるエネルギーが必要であることやオイルミストの発生による環境面の課題がある。

 そのため、グリース潤滑への置き換えが求められているが、高速回転性能が必要とされる工作機械主軸用軸受においては、軸受の発熱に伴うグリースの劣化や、回転するボール(転動体)によってグリースが掻き分けられることで、軌道面と保持器ポケットしゅう動部にグリースを安定的に供給できないなどの課題があった。

 そこでNTNは今回、工作機械主軸用軸受グリース潤滑軸受向けに、これらの課題を解決する高速・長寿命グリースを開発したもの。

 開発品の特長は、以下のとおり。

・高速・長寿命対応:グリース潤滑軸受としては業界最高水準となるdmn値190万(グリース寿命は同社従来品比で8 倍)の高速回転性能を実現。基油と基油を半固体状に保持する増ちょう剤、添加剤の成分を見直すとともに最適配合することで、発熱を抑制し、かつグリースのしゅう動部への安定供給を実現

軸受運転試験結果

 

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ボド・メラー・ケミー、日本法人設立の記者会見を開催

1ヶ月 ago
ボド・メラー・ケミー、日本法人設立の記者会見を開催kat 2024年10日29日(火) in

 ドイツに本社を置く接着剤や潤滑剤、コーティング剤(プリント基板用コンフォーマルコーティングなど)といったスペシャリティ・ケミカルズの大手専門商社であるボド・メラー・ケミー(Bodo Möller Chemie)社は10月28日、東京都港区のJETROイノベーションガーデン(アーク森ビル内)で、本年8月に登記した日本法人ボド・メラー・ケミー・ジャパンの設立記者会見を開催した。

記者会見のようす:左が日本法人社長のジュリアン・ベイショア氏、
右がテクノロジー担当バイスプレジデントのクリストフ・シュネル氏

 

 ボド・メラー・ケミーは1975年に設立、ヘンケルやハンツマン、ダウ、デュポン、BASF、エボニック、メルクをはじめとする約200社の化学品メーカーから最終製品と原材料を仕入れて、商社ながら340人の社員の約半数を占めるという技術スタッフの専門知識と五つの研究所の充実した設備による信頼性・耐久性試験や技術コンサルティング、アプリケーション技術サービスを提供し、サステナビリティやEモビリティー、5Gといったメガトレンドに着目しながら60カ国の市場をカバー(その内37カ国は現地法人化済み)しつつ事業を拡大、2023年には2億200万ユーロ(約324億円)の売上を達成している。

 創業から30年程度は欧米を中心に拠点を拡充してきたが、2015年の中国拠点設立以降、インド、ベトナム、タイ、韓国とアジアでのビジネスを強化、今回、メガトレンドの一角をなす自動車関連や二次電池、エレクトロニクス、水素活用などで先行し産業分野で重要な地位を占める日本の市場を開拓すべく、ボド・メラー・ケミー・ジャパンを設立、日本法人社長として、スペシャリティ・ケミカルズ大手企業で自動車を中心に日本市場開拓の豊富な経験と実績を有するジュリアン・ベイショア氏を任命した。

 記者会見当日は、テクノロジー担当バイスプレジデントのクリストフ・シュネル博士が登壇し、上述のボド・メラー・ケミー社の概況を説明するとともに、「商社ながら技術が売り」といった特色・独自性について強調した。

 また、ベイショア日本法人社長が日本法人の役割について説明した。日本法人は、研究所内での小分けなどのリパック作業や解析、調合の最適化、技術コンサルティング、技術トレーニングといった万全のサポート体制によって、①パートナー企業(メーカー)に代わって日本国内のユーザーへの販売=市場開拓を行う。特に国内に日本法人や代理店がないパートナー企業についてはボド・メラー・ケミー・ジャパンが国内総代理店となり、二次代理店も使って拡販していく、②日系企業の海外工場に販路を開拓すべく国内でのスペックイン活動を行う、③日系化学品メーカーのオンリーワンの製品技術を発掘して海外に輸出する、④後継者のいない商社(従業員10〜30人程度の規模)を数社M&Aによってグループ化し、国内での販売力を強化する、と発表した。

 製造時のカーボンフットプリントを削減するバイオベースのエポキシ樹脂システムや、水素貯蔵向け高圧容器に適用できるエポキシ系炭素繊維トウプレグ、希少資源を再利用できるように接合部分の接着剤のデボンディング(はく離)ができるサステナブルな易解体性接着剤など、ボド・メラー・ケミー社が得意とする環境対応製品を、日本が強みを持つ自動車や水素関連、エレクトロニクス、二次電池などの分野に提案していく。

 日本の厳しいユーザーの要求に対し、アフターサービスや信頼性試験に基づくデータ提出などが迅速に行えるよう、数年後をめどに国内に研究所を設ける予定だ。研究対象としては接着剤に限らず潤滑剤やコーティング剤など、新規開拓案件に応じて、適宜日本製の試験評価装置を導入しつつ、フレキシブルに拡充していく。また、従業員も10人程度まで増員していき、5年後の2029年までに30億円/年の売上を目指す。

 当日はまた、商売繁盛、社運隆盛を願っての、高崎産だるまへの「開眼式」が執り行われた。

だるま開眼式のようす

 

kat

11月5日~10日開催! JIMTOF2024に見る、工作機械向けbmt関連製品・技術

1ヶ月 ago
11月5日~10日開催! JIMTOF2024に見る、工作機械向けbmt関連製品・技術kat 2024年10日29日(火) in in

 世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)」(主催:日本工作機械工業会(日工会)/東京ビッグサイト)が11月5日~10日の6日間にわたって、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される。

 JIMTOF2024は、東京ビッグサイト全館を利用して総展示場面積11万8540m2で開催、合計出展者数が1262社/5743小間と、2022年に開催した前回JIMTOF2022に比べ175社/125小間増えた、60年以上の歴史で最大規模の開催となる。中国、台湾、ドイツ、スイス、韓国、米国など19カ国・地域の企業・団体が出展する、国内最大規模のB to B展示会に位置付けられる(JIMTOF2024全体の見どころ紹介はこちら)。

 ここでは、工作機械の高精度化や大型部品加工に対応する大型化、周辺機器を取り込んでの自動化といったトレンドに対応するベアリング&モーション技術(bmt)関連製品・技術の一端を紹介する(掲載は50音順)。

イグス

小間番号:東3ホール E3005

 イグスでは、工作機械業界向けに、エンジニアリングプラスチック技術を活かしたケーブル保護管や可動ケーブル、すべり軸受、リニアガイドなど幅広い可動部品向け樹脂(モーション・プラスチック)製品を紹介する。

 また、製造現場の自動化に貢献する、ロボットの3D動作用ケーブル保護管や、ロボット関連製品(協働ロボットや走行軸など)の展示も行う。

 さらに、本年日本語対応アプリをリリースした、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化による環境負荷の低減やコストカットにつながるモーション・プラスチック部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」も提案する。igusGOは、環境に優しく高品質・長寿命なモーション・プラスチックの活用・置き換えをユーザーがタイムリーで手軽に検討できるように開発されたアプリ。自動車や建設機械、ロボットなど、可動機構を持つ幅広い対象物をAIが認識し、ベアリングやリニアガイドなど、活用・置き換えの可能性があるイグスの無潤滑部品をユーザーに提案する。
 

イグス 「igusGO」

 

NTN

小間番号:西2ホール W2052

 NTNは、「工作機械主軸用グリース潤滑軸受向け樹脂保持器」を初披露する。グリース潤滑軸受用の成形樹脂保持器として業界最高水準の高速回転性能となるdmn値(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))で135万を実現。解析や回転試験、強度試験を重ねて耐熱性の高い材料を採用することにより、高速回転に伴う発熱による変形を抑制する。従来の樹脂保持器では対応できなかった高速回転領域への適用が可能となり、エアオイル潤滑からグリース潤滑への切り替えを後押しする。 初出展としてはまた、工作機械向け「高速サーボモーター用深溝玉軸受」を展示する。工作機械に使用されるサーボモーター向けの軸受として、同社従来品比40%向上となるdmn値190万の高速回転性能と、振動を従来品比で約50%低減する低振動性を実現。保持器は、材料を変更して遠心力による変形を抑制するとともに、形状も見直すことで、潤滑性を向上させている。さらに、保持器のポケット形状を改良し、保持器と転動体の接触を安定させることにより、低振動化を実現している。
 

NTN 工作機械向け「高速サーボモーター用深溝玉軸受」

 

黒田精工

小間番号:東2ホール E2001

 黒田精工は、精密平面研削盤で培った技術を生かした新商品として、精密ロータリー研削盤「GSR-600」を展示する。独自の油動圧とベアリングを組み合わせた高精度テーブルを有し、優れた操作性、さまざまなアプリケーションの対応で高精度な加工を容易にする。

 また、精密平面研削盤「GS-126CVs」を紹介する。高効率加工を実演するウルトラファイルバブルをはじめとしたオプションを搭載し、省エネ、省スペースを両立した環境対応モデルとなっている。

 さらに、従来の段取り時間を80%削減できる精密油圧治具「ハイドロリックツール」を紹介。時間のかかる「芯出し作業」を誰でも簡単に実現する精密油圧治具で、ブースでは、精密減速機、半導体市場に向けた用途別の対応例を多数展示する。自動化提案としては、そのハイドロリックツールと協働ロボットを搭載した精密成形平面研削盤「GS-45Vs」を披露、加工から測定までを高精度に自動化できることを訴求する。

黒田精工 「ハイドロリックツール」

 

ジェイテクト

小間番号:東3ホール E3014/E3015

 ジェイテクトは、グリース潤滑での高速回転に対応した、工作機械主軸用軸受「ハイアビリーJFASTTM」を紹介する。消費電力の大きいオイルエア潤滑に置き換わるグリース潤滑によって、カーボンニュートラルに貢献できる。

 グリース潤滑用に最適設計したPEEK樹脂製の保持器を採用した、高速性と低昇温性に優れた工作機械主軸用軸受で、アンギュラ玉軸受では、世界初のグリース潤滑でdmn値(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))で180万を達成(同社調べ)。軸受の昇温は従来品比約30%低減し、グリース寿命は約20%向上した。円筒ころ軸受では、グリース潤滑でdmn値150万を達成。軸受の昇温は従来品比約40%低減し、グリース寿命は約20%向上した。この二つの軸受を採用することで、#40サイズで20000min-1の回転が可能な主軸を提案。これにより、主軸の潤滑方式をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ置き換えることができ、主軸エア消費量をオイルエア潤滑に比べて約60%削減できる。
 

ハイアビリーJFAST アンギュラ玉軸受(左)とハイアビリーJFAST 円筒ころ軸受(右)

 

THK

小間番号:西2ホール W2017

 THKは、ISO規格準拠寸法の超低ウェービング ボールリテーナ入りLMガイド「SPH形」を初披露する。8条列構造と小径ボールを採用することで直動案内トップクラスの超低ウェービングを実現。これにより、測定精度の向上や位置決め精度の向上、加工面品位の向上に寄与し、ナノメートルオーダーの運動精度が求められる分野にも対応が可能。従来の超低ウェービングLM ガイド「SPR/SPS形」は、同社独自寸法を採用したことで適用範囲が一部装置の案内部など限定的だったが、SPH形はISO 規格に準拠した寸法(世界標準寸法)のため、既存製品からの置き換えが可能。4方向等荷重で、あらゆる姿勢で使用できる。

 また、旋削加工を支える。高速回転と高剛性を両立する複列アンギュラリング「BWH形」を展示する。ボールを保持器で整列させる構造により、安定したスムーズな動きが可能。ローラーに比べ温度上昇を抑制、高速回転を実現する。適切な予圧が付与されており内外輪の取付穴で製品を直接組み付けられるので、組み付け時に予圧調整や押さえ部品が不要。

THK ISO規格準拠寸法の
超低ウェービング ボールリテーナ入りLMガイド「SPH形」

 

日本トムソン

小間番号:西2ホール W2020

 日本トムソンは、潤滑部品Cルーブ内蔵のリニアローラウェイスーパーX「MX Master Grade」を披露する。標準の超ロングユニットに対して脈動を大幅に低減し、高精度で高品位な加工が要求される超精密加工機などの軸案内に最適な製品であることをアピール。会期中は、初出展のデモ機を展示する。

 また、従来のニアローラウェイスーパーXに対して、ローラー寸法の変更やローラー幅(長さ)方向の押さえ構造の変更などを行い、低脈動の頂点である「走行振れ0」に挑戦したコンセプトモデル「次世代リニアローラウェイスーパーX  ZERO」も披露する。

 さらに、カーボンニュートラルに向けたエコプロダクツの提案として、Oil MinimumをキーワードにCルーブ・メンテナンスフリーシリーズや液晶潤滑シリーズを紹介、調達時の大幅なCO2削減が図れることを訴求する。

日本トムソン CルーブリニアローラウェイスーパーX「MX Master Grade」

 

日本ベアリング

小間番号: 西2ホール W2058

 日本ベアリングは、同社の強みとする、スライドウェイ・スライドブッシュを中心に直動製品を多数展示する。

 スライドウェイはローラーを使用した非循環方式のクロスローラーガイドで、リニアガイドと比較して、①コンパクト設計、②軽く滑らかな動き、③高剛性・高精度の特長があり、半導体製造装置、検査装置、光学機器で主に適用されている。

 特に新開発の高剛性・高負荷容量・コンパクト化を実現したスライドウェイ「HV形シリーズ」では、従来品と比べ許容荷重・定格寿命距離が向上。従来品のSV形シリーズと完全互換性があるため、置き換えだけで装置・設備の耐久性向上に貢献し、同等性能でサイズダウンとコンパクト化が可能となる。腐食しやすい箇所でも十分に性能を発揮するオールステンレス仕様もラインアップしている。

 同社ブースでは、スライドウェイを使ったことがない来場者にも分かりやすいように、製品の特長や使い方を説明したパンフレットを用意しているほか、直動製品の具体的な使用方法や設計のヒントになるよう、製品活用事例集やデモ機も配置する。
 

日本ベアリング スライドウェイ「NV形・HV形」

 

日本精工

小間番号:西2ホール W2026

 日本精工は、工作機械主軸用精密単列円筒ころ軸受「ロバストライド™(ROBUSTRIDE™)」を紹介する。電力消費量が少ないグリース潤滑方式におけるグリース寿命と許容回転数の向上により、軸受の長寿命化と高速化を実現。軸受の交換頻度の低減や、使用回転速度域の拡大など、工作機械の生産性向上に貢献する。

 また、工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix™」を披露する。独自の解析技術でボールと溝の接触状態を高精度に解明して内部仕様を最適化し、寸法はそのままに、剛性を維持しながら動摩擦トルクを低減。これにより、大幅な低発熱化を実現し、工作機械の高い位置決め精度を維持するとともに省エネルギーに貢献する。

 さらに、設備診断エキスパートが支援する「状態監視ソリューション」を紹介する。ユーザーの重要な設備における保全の最適化、省人化、製品品質の改善など、ものづくりDXを実現。高度診断AIと経験豊富な診断エキスパートによる遠隔監視が可能となる。

日本精工 工作機械主軸用精密単列円筒ころ軸受「ロバストライド」

 

ハイウィン

小間番号:西2ホール W2051

 ハイウィンは、日本初出展製品として、トルクモーターロータリーテーブル「RAB630」を披露する。同社のロータリーテーブルはゼロバックラッシュ・ダイレクトドライブ(DD)方式で豊富なラインアップが特長。RAB630は最高回転数 1000min-1、5軸同期加工を可能にする高速型で、航空宇宙部品や医療、EV等の産業における需要急増に応える、高い加工効率と精度を実現。特にフライス加工や複合旋盤の進化に貢献する。

 また、スマートマニュファクチャリングに貢献する状態可視化システム搭載の直動製品「i4.0シリーズ」を紹介する。温度や振動の異常検知、機器の寿命予測を可能にし、チョコ停を予防することで高い生産効率を維持するほか、スマート潤滑機能により給油量を適切に減らすことで、環境負荷の低いものづくりを後押しする。ボールねじi4.0BS®のほか、半導体業界で活躍するリニアガイドウェイi4.0GW®、モジュール設計でスマートな生産管理を推進するi4.0単軸ロボットを展示する。
 

ハイウィン 状態可視化システム搭載のボールねじ「i4.0BS」

 

不二越

小間番号:西1ホール W1056

 不二越は、切削バリの極小化を実現する切削工具「バリレスシリーズ」に、アルミ合金など非鉄金属用の水素フリーDLCコート工具などの新ラインアップを紹介する。

 アルミ合金を含む非鉄金属は、切削加工の際に被削材が工具の刃先に凝着しやすく、バリの増大といった品質の低下や工具損傷を引き起こす場合がある。また、これらの被削材は圧縮の力を与えると変形しやすい特性があり、ドリルの先端角によって発生する圧縮の力で、鋼と比べて抜けバリが大きくなる。

 これに対し新開発の「DLC-REVOコーティング」は、ダイヤモンドに次ぐ膜硬さで耐熱性の高い水素フリーDLCの表面に摺動特性を付加し、低摩擦(耐凝着性向上)を実現。さらに膜厚を薄くすることで、バリレスに求められる切れ味(シャープ性)を担保している。ブースでは、DLC-REVOコーティングを施した新開発の「DLC-REVOドリルバリレス」と「DLC-REVOミルバリレス」を披露、一層のバリ極小化ソリューションを提示する。

不二越 「DLC-REVOドリルバリレス」

 

ミネベアミツミ

小間番号:南3ホールS3031

 ミネベアミツミは、がたつくことなくアキシアル荷重、ラジアル荷重、モーメントを受けることが可能な高剛性を有しているため、より高い加工精度を実現するアキシアル/ラジアルベアリング(myonic製)や、可動式のノズルで切削油やエアを揺動噴射することで金属加工の効率を向上させる切削油噴射装置「Wavy Nozzle(ウェイビーノズル)」を紹介する。

 また、小型から大電流まで豊富なラインナップを揃える防水コネクタや豊富な採用実績と高い信頼性のある多芯角型コネクタ、小型で高速伝送かつ堅牢性を兼ね揃えた0.8mmピッチI/Oコネクタ、小型・軽量化が進む産業機器・協働ロボット等の装置内部に対する配線課題に考慮した、狭小スペース向け小型中継コネクタを展示。さらに、センシングデバイスとしては、金型内の樹脂圧・温度を管理、記録ができる金型センシング統合システムや低容量、高精度、高速回転、高速応答を実現した低容量軸トルクメータTMRSを紹介する。そのほか、コイル部と回路基板をエポキシ樹脂にてモールドすることにより、外部要因からファンモーターを守る耐環境性のポッティングファンやミネベアパワーデバイスのIGBT・SiCモジュールも展示する。
 

ミネベアミツミ 切削油噴射装置「Wavy Nozzle」

 

kat

NTN、工作機械主軸用のグリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニットを開発

1ヶ月 ago
NTN、工作機械主軸用のグリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニットを開発kat 2024年10日29日(火) in in

 NTNは、工作機械主軸用グリース潤滑軸受の長寿命化を可能とする「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」を新たに開発した。グリース潤滑軸受の高速回転時の課題であるグリースの劣化を抑制し、高速回転領域であるdmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))190万におけるグリース潤滑軸受の採用を可能にする。同社では、高速回転用途で一般的に使用されてきたエアオイル潤滑からグリース潤滑への切り替えを後押しすることで、工作機械の省エネルギー化やカーボンニュートラルに貢献していく。同社では、開発したグリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニットについて、工作機械主軸(マシニングセンター、複合加工機、旋盤)向けなどに提案を進め、2027年度に1億円/年の販売を目指す。

 

工作機械主軸用「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」


 

マシニングセンターと工作機械主軸における適用箇所(赤丸部分)

 

 工作機械は加工時間の短縮を目的に、主軸の高速回転化が進んでいる。主軸の回転を支える軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的にdmn値で140万を超える高速回転用途にはエアオイル潤滑が用いられる傾向にある。

 しかし、エアオイル潤滑は長期にわたって安定した潤滑が可能な一方で、圧縮空気やエアオイルの供給装置などの付帯設備が必要となるため、省エネルギー化を図りにくいという課題がある。

 これに対しグリース潤滑は、初期に封入したグリースで潤滑を行うため、エアオイル潤滑のような付帯設備が不要となる一方で、軸受の発熱などによりグリースが劣化するために、高速回転用途では潤滑寿命が短くなるという課題があった。

 近年、カーボンニュートラルの達成を目的に工作機械の省エネルギー化が進められている中で、従来はエアオイル潤滑軸受しか対応できなかった高速回転領域にグリース潤滑軸受を適用するニーズが高まってきている。

 これに対しNTNでは、高速回転環境下におけるグリース劣化を抑制し、潤滑耐久性を確保することで、長期間の使用を可能とするグリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニットを開発したもの。

 本開発品は、主軸用軸受に隣接する間座に独自の給油機構を内蔵した間座ユニットで、外輪間座と内輪間座には、給油機構に加えて、潤滑油タンク、センサーおよびセンサーによる検出データの処理回路、無線モジュール、自立電源を搭載している。主軸の回転により発電し、電装品の駆動に必要な電力を供給するため、外部からの給電が不要で、単独での動作が可能。

 給油は基礎試験の結果やグリースの劣化メカニズムの解析に基づき、予め設定した時間間隔で行う仕組みとしており、グリースの潤滑寿命を同社従来品比2.5 倍以上に延ばすことが可能。将来的には内蔵センサーを用いて潤滑剤の枯渇状態を検出し、最適な給油タイミングで必要量の潤滑油を供給することで、同15倍以上の長寿命化を目指す。

 本開発品を用いることで、高速回転環境下におけるグリースの潤滑耐久性を確保し、dmn値190万の高速回転用途でもグリース潤滑軸受の適用が可能となる。

構造

 

連続運転時間(dmn値190万)の比較結果

 

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TOKYO PACK 2024開催、イグスがPFAS規制対応すべり軸受などを披露

1ヶ月 ago
TOKYO PACK 2024開催、イグスがPFAS規制対応すべり軸受などを披露kat 2024年10日28日(月) in in

 「TOKYO PACK 2024 (2024東京国際包装展)」(主催:日本包装技術協会)が10月23日~25日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。

会場のようす

 

 同展は、包装資材、包装機械から包材加工機械、食品機械、関連機器類、環境対応機材、物流機器類に至る生産・包装・流通の技術振興をはかるとともに、相談や交流および包装の最新情報発信の場として、国際的な視野に立った社会の発展に資することを目的に開催されている。

 ベアリング&モーション技術(bmt)関連では、イグスが出展し、改正食品衛生法やFDA(米国食品医薬品局)規格、今後の厳格化が予想されるPFAS(有機フッ素化合物)規制などに対応した食品包装機械向け製品として、自己潤滑性に優れる可動部品向けエンジニアリングプラスチック(モーション・プラスチック)「イグリデュール」製のすべり軸受やリニアガイド、コーティング材などを幅広く紹介した。

改正食品衛生法・FDA規格・PFAS規制に対応したすべり軸受やリニアガイドなど

 

 イグスの食品包装機械向けモーション・プラスチック製品は、粉塵・薬液・高温・摩耗対策に適している点が特徴で、ブースではまた、イグス本社のあるドイツにおいて食品機械装に採用されたアプリケーションとして、ハンドやローラー、軸受に自己潤滑性に優れるモーション・プラスチック「イグリデュール」を使用したボトル搬送用グリッパーなどの実物を展示した。

ドイツ製の食品機械に採用されたボトル搬送用グリッパーなどの実物展示

 

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イグスの移動式陸上電力供給システムがPorts and Harbor Innovation of the Year賞を受賞

1ヶ月 ago
イグスの移動式陸上電力供給システムがPorts and Harbor Innovation of the Year賞を受賞kat 2024年10日28日(月) in

 「接続のジレンマ」を解決するイグスの移動式陸上電力供給システム「iMSPO (igus Mobile Shore Power Outlet)」が、アムステルダムで開催された展示会「Electric & Hybrid Marine Expo Europe 2024」において、港湾分野での革新的な技術やプロジェクトを表彰する「Ports and Harbor Innovation of the Year賞」を受賞した。

 

 本年6月にアムステルダムで開催された展示会「Electric & Hybrid Marine Expo Europe」は、海洋・港湾分野でのエネルギーを電化・ハイブリッド化する技術に特化した展示会で、持続可能性と環境に配慮した技術に焦点をあてている。本展示会でイグスが受賞したPorts and Harbor Innovation of the Year賞は、港湾の持続可能性や効率、安全、運営の向上に寄与する新しいアイデアやソリューションを持つ企業や団体に与えられるもの。陸上電力供給(陸電)とは陸上の電力を電源から船舶に接続し、停泊中の船舶が必要とする電力を供給するもので、停泊中のディーゼルエンジンをオフにすることで船舶のアイドリングストップが可能になるためCO₂を削減できるが、同社の陸電システムiMSPOは、審査委員会より「iMSPOは港湾電化の重要な要件に対応している」との評価を得てPorts and Harbor Innovation of the Year賞を受賞したもの。

 欧州では、気候変動政策「Fit to 55」で「2030年までに温室効果ガスの純排出量を少なくとも55%削減すること」を目標に掲げ、港湾事業者に対しても環境に優しい技術への転換を求める声が高まっており、本賞の受賞は業界の発展に大きな影響力を持つ。日本においても、2020年から国交省が陸電に関する検討をはじめており、カーボンニュートラルポート(温室効果ガス排出ゼロを目指し港湾機能が整備された港)の実現に向けて国内主要港が陸電設備設置のためシステム等選定に動きだすなど、重要性が増していきている。

 港湾では大小さまざまな船が停泊するため、船ごとに適した停泊位置が異なるほか、船側の給電位置が水平・垂直方向につど変化する。港湾側で設けた給電ソケットが1カ所に固定されている場合に、船の形状によって電源まで距離が発生し、給電ができない「接続のジレンマ」が問題となる。とはいえ、港湾に複数の給電ソケットを設置することは費用・運用の面から現実的ではない。

 その接続のジレンマを解決するソリューションとして、イグスは世界で初めて、岸壁を移動する方式で船舶に電力を供給するiMSPOを開発した。iMSPOは、給電ソケットが岸壁を移動することにより400m以上の距離をカバーできる。1台で大小さまざまなサイズ・種類の船へ給電でき、港湾事業者は設置、運用、メンテナンスのコストを抑えながら、柔軟に陸電設備の設置を計画できる。

 iMSPOは、ドイツのハンブルク港をはじめ、大型船が寄港する世界各地の港で採用され、稼働している。イグスでは、今後国内で陸電設備の設置が加速するにあたり、海外実績から得たノウハウ・提案を武器に、iMSPOおよびイグスのソリューションの提供を通じてカーボンニュートラルポートの形成に貢献していく。

岸壁を移動する陸電システムiMSPO


 

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ジェイテクト、グリース潤滑での高速回転に対応する工作機械主軸用軸受を開発

1ヶ月 1週 ago
ジェイテクト、グリース潤滑での高速回転に対応する工作機械主軸用軸受を開発kat 2024年10日25日(金) in in

 ジェイテクトは、グリース潤滑での高速回転に対応した、工作機械主軸用軸受「ハイアビリーJFASTTM」を開発した。消費電力の大きいオイルエア潤滑に置き換わるグリース潤滑によって、カーボンニュートラルに貢献していく。

 ハイアビリーJFASTTMは、2年前に開催されたJIMTOF2022でのユーザーの声を反映して開発された。

 工作機械主軸用軸受は高速回転が求められるため、通常はオイルエア潤滑が採用されるが、機械稼働中は常にエアを使用するため消費電力が大きくなるという課題があった。この課題に対し同社では、独自保持器設計技術により、グリース潤滑で対応できる高速回転領域を拡大し、省エネさらにはCO2排出量削減を実現するソリューションとして、本製品を開発したもの。

 ハイアビリーJFASTTMは、グリース潤滑用に最適設計したPEEK樹脂製の保持器を採用した、高速性と低昇温性に優れた工作機械主軸用軸受。

 アンギュラ玉軸受では、世界初のグリース潤滑でdmn値(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))で180万を達成(同社調べ)。軸受の昇温は従来品比約30%低減し、グリース寿命は約20%向上した。

 円筒ころ軸受では、グリース潤滑でdmn値150万を達成。軸受の昇温は従来品比約40%低減し、グリース寿命は約20%向上した。

 この二つの軸受を採用することで、#40サイズで20000min-1の回転が可能な主軸を提案。これにより、主軸の潤滑方式をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ置き換えることができ、主軸エア消費量をオイルエア潤滑に比べて約60%削減できる。

 

ハイアビリーJFAST アンギュラ玉軸受(左)とハイアビリーJFAST 円筒ころ軸受(右)

 

ハイアビリーJFASTシリーズの特徴

 

ハイアビリーJFASTシリーズの主軸搭載位置(イメージ)

 

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イグス、創業60周年を記念し、廃プラスチック製自転車のワールドツアーを開始

1ヶ月 1週 ago
イグス、創業60周年を記念し、廃プラスチック製自転車のワールドツアーを開始kat 2024年10日24日(木) in

 1964年10月15日創業のイグスはこのほど、創業60周年を記念して、廃プラスチック製自転車「igus:bike(イグスバイク)」で世界中を走行するツアーを実施する。本社を構えるドイツ・ケルンを出発点に、igus:bikeが世界の約16の国と地域を巡る。日本へは2025年春にigus:bikeが到着する予定。

 

 igus:bikeは、漁網を中心とした廃プラスチックを原料に使用したサステナブルな自転車です。プラスチックを開発・製造する企業としての社会的責任を果たすべく、イグスとMTRL社が共同で、「プラスチックの廃棄を循環に転換させる未来の移動手段」とのコンセプトで約4年を費やして開発した。プラスチック製自転車は長持ちすると同時に潤滑剤を使うメンテナンスが不要で、屋外使用での腐食や汚れに強い耐性を発揮する。この自転車は、イグスの「モーション・プラスチック(可動部に使用するプラスチック)」技術と環境に対する理念を体現する、イグスの象徴ともいえる製品に位置付けられる。

 イグスは10月15日にドイツ本社で、igus:bikeワールドツアーのプレスイベントを実施し、ツアーの開始を宣言したほか、総面積22000㎡に及ぶ新工場を披露した。

 ドイツでは1か月にわたり、igus:bikeでイグスと関係の深い顧客を訪ねたり、ハンブルク港、ライン川などのスポットを走るなど、国内を巡る。その後、igus:bikeはアジアへ輸送され、各地の都市、サイクリングスポット、顧客企業などを巡る予定。

イグスバイクに乗るフランク・ブラーゼCEO

 

イグスバイクが新工場から出発するようす

 

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ブルカージャパン、11/12に大阪で「BioAFMミーティング」を開催、参加登録を受付中

1ヶ月 1週 ago
ブルカージャパン、11/12に大阪で「BioAFMミーティング」を開催、参加登録を受付中kat 2024年10日22日(火) in

 ブルカージャパンナノ表面計測事業部は11月12日13:30~17:30、アットビジネスセンターPREMIUM新大阪(大阪市淀川区西中島5-14-10新大阪トヨタビル9F  911号室で、同社のBioAFMユーザー、BioAFMの導入を検討中の顧客、測定技術に興味のある人、これから携わりたいなどAFMに興味のある人を対象として「BioAFMミーティング2024」を開催する。

 

 今回初開催となる本セミナーでは、ユーザーによる最新の研究成果や、測定のための技術など、研究者に役立つプログラムを企画しているほか、トークセッションでは、測定のヒントやコツなど、普段の測定に関する悩みに答える機会となっている。トークセッションの準備として、事前に参加予定者から、周りに相談できないさまざまな疑問や質問などのトピックスを、登録フォームへの記載にて受け付けている。

 参加費用は無料で、定員は50名。登録はこちらから。

 当日のプログラムは以下のとおり。

13:00 受付開始

13:30~13:35 「開催挨拶」ブルカージャパン ナノ表面計測事業部 統括部長 鈴木大輔氏

13:35~14:05 「ナノ内視鏡AFMによる細胞内ナノ動態および力学計測」金沢大学 ナノ生命科学研究所 所長・教授 福間剛士氏…原子間力顕微鏡(AFM)は、液中で生体分子や細胞表面のナノ動態を直接観察できる唯一無二の手法である。しかし、従来のAFMでは細胞内の構造を直接観察することは難しかった。近年我々は、細長いニードル状の探針を生きた細胞内部に挿入し、細胞内の動態や力学物性をナノレベルで計測できるナノ内視鏡AFM技術を開発した。本講演では、この技術の開発経緯や、原理を紹介した後で、その応用事例を紹介する。

14:05~14:35 「植物細胞の力学物性を測る:道管細胞の分化と細胞弾性変化」奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 助教 國枝 正氏…植物は乾燥する陸上に適応するため、水を確保するための構造を発達させた。維管束植物がもつ“道管”はその一つであり、その形成では、細胞を覆う固い細胞壁の形成と水を通す中空の管状構造となるための細胞死という、力学的に相反する細胞イベントを伴う。本講演では、細胞分化とともに変化する植物細胞の力学的物性変化を捉えるためのAFMを利用した研究例についてエンドユーザーの立場から紹介する。

14:35~15:05    「マルチスケール力学計測とバイオロジーの接点」京都大学 医生物学研究所 助教 牧 功一郎氏…講演者は、AFMを用いて、生体分子から、細胞・組織にわたるマルチスケールの力学計測(引張試験・押し込み試験)を進めてきた。これまでの具体的な実践例を紹介するとともに、力学計測と生物学をより深くリンクさせるための考えや工夫についても共有し、参加者と議論を行う。

15:05~15:35 休憩:情報交換(お茶とお菓子を用意)

15:35~15:50 「広視野・高精細を実現する顕微鏡イメージング」エビデント ライフサイエンスリサーチ プロダクトマーケティング 出張雅敏氏

15:50~16:05 「ブルカーバイオAFM製品紹介とデモンストレーション」ブルカージャパン ナノ表面計測事業部 アプリケーション部 塚本和己氏

16:05~16:20 休憩 (トークセッション準備)

16:20~17:20 座談会「みんなで話そうバイオAFM」パネリスト:講演者各位…AFMを用いた液中測定の課題や期待をパネリストの方々と意見交換できるプログラム(質問・相談を登録フォームより事前受付中)

17:30~19:00 懇親会

kat

ナノ科学シンポジウム2024が開催

1ヶ月 1週 ago
ナノ科学シンポジウム2024が開催kat 2024年10日22日(火) in

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2024 : NSSJ2024)」が10月18日1、東京都文京区の東京大学 浅野キャンパス 武田ホールで開催され、約80人が参加した。主催は東京科学大学 物質理工学院 中嶋・梁研究室と関東学院大学 材料・表面工学研究所、パーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

NSSJ2024参加者の全体写真

 

 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウムで、2020年から開催され5回目となるNSSJ2024では、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表が行われた。

・町田友樹氏(東京大学 生産技術研究所)「二次元結晶のファンデルワールス接合によるモアレ超格子の作製と観測」…ファンデルワールス接合では、①界面において格子整合の制約がなく、②原子レベルで平坦な理想的界面が実現し、③構成要素となる二次元結晶の選択肢が極めて広い。さらに、④原子層間のツイスト角度という既存の材料系ではあり得ない制御自由度があり、ツイスト積層によりモアレが形成され、バンド構造が制御できる。既存の材料系では得られない物性が発現する可能性があり、基礎・応用の両面で幅広い可能性を秘めている。講演では、ファンデルワールス積層によるモアレ超格子の作製と原子間力顕微鏡(AFM)による観測、物性創発について紹介した。

・吉田昭二氏(筑波大学)「光波駆動STMを用いた時空間ダイナミクス計測」…近年テラヘルツ~中赤外領域の光パルス生成技術が進展し1サイクル未満の振動サイクルを持つパルスを発生しパルス中の電場位相を自在に制御することも可能になってきた。光波駆動の走査型トンネル顕微鏡(STM)は、そのようなサブサイクル光で直接STM探針-試料間のトンネル電流を瞬間駆動することで試料の瞬時状態を捉える手法で、これまでに原子分解能と30フェムト秒未満の時間分解能が実証されている。講演では、同氏がこれまで物質表面の光励起状態とそのダイナミクスの計測を目的として実験を進め、C60薄膜や遷移金属ダイカルコゲナイド原子層上の電子ダイナミクスの計測行ってきた成果に加えて、今後の展望についても紹介した。

・梁 暁斌氏(東京科学大学)「原子間力顕微鏡によるナノ応力分布とナノ導電性の可視化」…AFMをベースにしたナノ触診AFM技術に伸長装置や圧縮装置を導入することで、試料表面のナノ応力分布を実空間で可視化できた。これにより、材料の微細なメカニカル特性と変形挙動を詳細に解析することが可能となり、特にゴムやエラストマーなどの高分子材料の特性理解において重要な進展があった。さらに、ナノ触診AFMに導電性AFMを組み合わせ、変形に伴うフィラーネットワークのナノ空間構造の評価手法を確立したことで、フィラー充填ゴムの強化メカニズムや応力伝達の挙動を明らかにできた。引き続き、ナノ材料のメカニカル特性と電気特性の相関を解明し、次世代の材料開発への貢献を目指す、とした。

・前田 泰氏(産業技術総合研究所)「走査型広がり抵抗顕微鏡による全固体電池の解析:電極内部の電子伝導」…EV用次世代バッテリーとして全固体電池が期待されている。全固体電池では様々な固/固界面を通したイオンや電子の移動が重要である。産総研では、走査型広がり抵抗顕微鏡(SSRM)を用いてこうした界面現象の解析を進めている。講演では、SSRMと3Dシミュレーションとを組み合わせて、硫化物系全固体電池の電子伝導を解析した事例を紹介したほか、硫化物系全固体電池の測定をする上でのポイントについても紹介した。

・久保田賢治氏(三菱マテリアル)「AFM、QCM-Dおよびエリプソメトリーを用いた銅めっき添加剤吸着状態の解析」…めっきの添加剤として用いられる水溶性高分子と界面活性剤を対象として、AFM、QCM-D、エリプソメトリーを用いて添加剤の電極表面への吸着状態とめっき反応抑制効果の関係を解析した。その結果、迅速に吸着しリジッドな膜を形成するCTABが最も高い電析抑制作用を示し、含水量が多くソフトな膜を形成するPVAは抑制効果が弱く、吸着速度が遅いLASでは抑制効果が非常に弱かった。液中AFMを用いてモルフォロジーの観察を行いこれらの結果を補強した。複数の解析手法を併用することで固液界面に存在するめっき添加剤の存在形態に関する情報を得ることができた。

・小林 圭氏(京都大学)「液中AFMによる固液界面物性計測と探針増強ラマン分光装置の開発」…液中で動作する周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)について、その動作原理および構成を概説し、分子分解能での生体分子の構造観察事例を紹介する。さらに、フォースマッピング法によって固液界面での相互作用力分布を取得することで、水和・溶媒和計測や電荷分布計測が可能となる。いくつかの固液界面物性計測事例について紹介したい。一方、AFMで得られる表面物性は通常物理的な性質に限られるが、AFMとラマン分光を組み合わせた探針増強ラマン分光(TERS)によれば、化学的な性質も評価することが可能となる。講演では、薄膜導波路構造を有するプローブを用いた高感度TERS装置の開発状況および展望について述べた。

・尾木佑輝氏(東京都立科学技術高等学校)「AFMを用いたウルトラファインバブルによる鉛蓄電池の電極界面現象の解析」…本研究では鉛蓄電池の電解液にウルトラファインバブル(UFB)を添加し、電極界面現象などについて解析した結果、通常の電解液と比較してUFBを添加した電解液では、劣化の主要因であるサルフェーションが顕著に抑制されることが明らかになった。さらに、AFMなどを用いたナノスケールでの解析により、UFBによるサルフェーション抑制機構について明らかにすることでUFBの特性解明においても重要な進展がある。講演ではそれらの結果に加え、今後の展望についても紹介した。

・内橋貴之氏(名古屋大学)「高速原子間力顕微鏡で探る一分子ダイナミクス」…原子間力顕微鏡(AFM)は、無機から有機材料、生体分子までの多岐に渡る試料表面をナノメータースケール分解能で可視化できる表面構造解析ツールとして発展してきた。高速AFMの開発は1993年頃から進められ、2001年に1フレーム80msで撮影できる装置が報告された後、2008年頃に現行性能の高速AFMが確立し、特に生体分子の機能動態観察に応用されてきた。近年、ユーザーと関連論文数が増加し、分子の構造イメージングだけでなく、プローブによる構造操作や局所力学特性の定量計測、力学特性のマッピングも可能になってきている。講演では、高速AFMによる生体/合成分子の一分子ダイナミクス計測への最近の応用研究や機能拡張に向けた技術開発について紹介した。

・Jake Kim氏(Park Systems)「New Cutting-Edge AFM Techniques」…最先端のAFM技術として、従来はAFMの競合と位置付けられていたような計測機器、たとえば走査電子顕微鏡(SEM)とAFMを組み合わせることで、広い測定領域をカバーしつつ、SEMによる組織、組成、元素分布観察などと、AFMによる3D形状計測と硬さや摩擦、吸着などの力学物性情報や電流、電気抵抗、表面電位、磁性などの電磁気物性情報の同一箇所での解析評価が行える。また、AFMはカンチレバーのセットやレーザービームのアライメントの難しさなどから、従来は操作にあたってのトレーニングが必要とされたが、プローブの自動交換やレーザービームの自動アライメントの機能などによって、初心者でも直感的な測定を可能とする同社の最新機種FX200なども登場していることを紹介した。

 

講演のようす

 

 当日はまた、18件のポスター発表が実施され、選考委員により最優秀賞1件、優秀賞3件が以下のとおり選考された。

◆最優秀賞
・「Verification of the contact mechanics with the fractional viscoelastic model」長谷川花音氏(東京科学大学)

◆優秀賞
・「Complex Strain Behavior of Polymeric Microparticle Latex Film Observed with Tip-Scan AFM」Chan Feng-Yueh氏(名古屋大学)

・「Investigation of Solvation Structures of Lithium-ion Battery Materials on Clinochlore Using Frequency Modulation Atomic Force Microscopy」Wang Yilin氏(京都大学)

・「高速AFMによるSecトランスロコンの一分子計測」金岡優衣氏(名古屋大学)

 

ポスター発表 表彰式のようす
kat
Checked
1時間 4 分 ago
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