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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

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日本熱処理技術協会 中部支部、第3回熱処理技術コンテストの結果を発表

1年 ago
日本熱処理技術協会 中部支部、第3回熱処理技術コンテストの結果を発表

 日本熱処理技術協会 中部支部は4月24日、愛知県刈谷市の愛知県技術開発交流センターでの対面参加とオンライン参加によるハイブリッド形式で、「第 14 回中部支部講演大会・第 3 回熱処理コンテスト―結果発表会―」を開催した。

会場のようす

 

 熱処理コンテストは、中部支部が企画したイノベーション活動で、支給された試験片に対して課された要求特性を満たすために、各参加チームが知恵と工夫を凝らして熱処理を施し、優れた要求特性を発現した上位チームに賞を授与するもの。今回で3回目となる。

 この企画は、鋼の熱処理技術を良い意味で楽しみながら、熱処理によって得られるさまざまな強度を比較、競争することで、①熱処理技術に関する学び、②失敗の共有によるイノベーション促進、③熱処理技術者の人材交流活性化につなげることを目的としている。

 毎回、競技内容と規定が変更になるが、今回の課題は以下のとおり。

 各1チームにつき、SS400生材の硬さ試験片を3個支給、それら試験片について、ロックウェル硬さ(HRC、試験荷重150kg、1点(上位5チームについては追加測定し3点平均)のビッカース硬さ換算値①と、ビッカース硬さ(HV、試験荷重300g、3点平均)で測定した硬さ②の値の合計が最も大きくなるよう熱処理等を実施し、試験片1個を事務局に提出。事務局にて硬さ試験を実施し、①のビッカース硬さ換算値と、②の値の合計で順位を競う。

 ルールなどは以下のとおり。
・熱コンのロゴの刻印がある支給した試験片のみ使用可とする
・熱処理等は自由とする
・試験片の厚さの寸法変化が±0.1mmの範囲内であれば、ショットブラスト、表面硬化処理、コーティング、平面研磨も可とするが、全周面取りの状態を維持すること
・熱コンのロゴの刻印が処理後も判別できるようにすること
 今回の第3回熱処理コンテストでは全31チームが参加、31チームの試験片は測定する表面の熱コンのロゴは全チーム残存、裏面の熱コンロゴも全チーム残存でチーム名の記載もあり、不合格者はなかった。

全31チームの試験片

 

 全31チームの試験片の硬さ試験を実施した結果、硬さの総合順位で優勝には3522HV(3117HV+41.2HRC)の硬さを実現したアイコクアルファの「楽ラク熱処理チーム」が、準優勝には3212HV(2434HV+63.1HRC)の硬さを実現したDOWAサーモテックとDOWAサーモエンジニアリングの「DOWAサーモテックチーム」が輝いた。また、硬さの総合順位では2145HV(1130HV+70HRC)と10位だったものの、ロックウェル硬さで1位、被膜・コーティングなしで1位、学生・企業合同チームで好成績を収めたという理由から、特別賞として鈴鹿工業高等専門学校とトヨタ自動車の「鈴鹿高専×トヨタ自動車チーム」が選ばれた。受賞チームの詳細は以下のとおり。

優勝:「楽ラク熱処理チーム」(アイコクアルファ)

・硬さ:3522HV(3117HV+41.2HRC)

・処理方法:①950℃浸炭焼入れ(油冷)、②800℃浸炭窒化焼入れ(油冷)、③N+Sコーティング

・受賞コメント:「熱処理コンテストへの参加は今回で3回目となり、初めて優勝でき、うれしく思う。今回のコンテストでは「硬さ」を競うこととなり、表面強化の手段として浸炭焼入れなどの熱処理に加え、物理蒸着(PVD)コーティングも有効だろうと考えた。当社は冷間鍛造を強みとしてCVJ内輪やAT用サンギヤを一貫生産しており、金型や工具のコーティング処理で培った技術を生かすことができるのではないかと話し合いを行った。サンプル作成まで数パターンのPVD膜種を試す一方、PVD処理の温度設定により素材が軟化されてしまうことが分かったため、炭化物析出や窒素固溶等で素材の改善を狙い試行錯誤を重ねた結果、ビッカース硬さで勝負すると腹を決め、最終的には浸炭窒化後にPVD処理を施したサンプルを提出した。熱処理コンテストでは、量産で扱わない材料に触れ、さまざまな処理にチャレンジできる学びの機会であり、次回も優勝を目指し、強い意志をもって諦めずに技術を磨いていきたいと思う」。
 

「楽ラク熱処理チーム」(アイコクアルファ)の授賞式のようす

 

準優勝:「DOWAサーモテックチーム」(DOWAサーモテック+DOWAサーモエンジニアリング)

・硬さ:3212HV(2434HV+63.1HRC)

・処理方法:①945~930℃浸炭焼入れ(130℃油冷)、②1000℃浸炭(炉冷)、③1085℃TD処理、④500℃ PVD処理、⑤820℃焼入れ(60℃油冷)

・受賞コメント:「TDプロセス・PVDコーティングといった表面処理は最低でも400℃程度まで温度を上げる必要があるが、この温度上昇による内部硬さの低下を避けるため、通常は表面処理前に行う焼入れを全表面処理後に実施し高いロックウェル硬さを実現。また、通常10μm程度の厚さを鋼材中の炭素量の調整で20μm程度まで厚くできたことで、300gのビッカース硬さ試験荷重でも硬質層の硬さのみが反映され高いビッカース硬さを実現できた。SS400は合金元素をほとんど含まないため焼入れによる硬化にはある一定以上の炭素が必要な一方、TDプロセスは鋼材中の炭素を消費し硬質層を成長させるため最終工程の焼入れ時の炭素量不足が懸念された。炭素量不足にも対応できる水焼入れを予定し実際に実施したところ激しい体積変化のため硬質層にクラックが発生、硬質層の硬さが低下する結果になった。これを受け、浸炭処理条件を変更しTDプロセス後でも十分な炭素が鋼材中に残存するよう調整、クラック発生を抑制できる油焼入れの採用を可能とし、両硬さの両立に成功した。一つ一つのプロセスは既存のものでも、それらの組み合わせでこれまでなかった物性を実現できるという、熱処理/表面処理の奥深さを実感できた。今後も未知の領域へのチャレンジを重ね、新たな領域を切り拓いていきたい」。
 

「DOWAサーモテックチーム」(DOWAサーモテック+DOWAサーモエンジニアリング)の授賞式のようす

 

特別賞「鈴鹿高専×トヨタ自動車チーム」(鈴鹿工業高等専門学校+トヨタ自動車)

・処理方法:1300℃焼きなまし、②970℃真空浸炭焼入焼戻し(油冷)、③-195℃サブゼロ、④ショットピーニング(2段)

・受賞コメント:「我々が重視したのは‟学生・企業の両者が持つ強みを生かす”という点。学生側は専門教育による学術的知識、企業側は量産現場で培われた業務遂行能力と熱処理の知見といった両者の強みを理解し、対等な立場で議論することでお互いに新たな視点で考察することができた。また熱コンを‟各々が学んできた知識を生かす場”として捉え、愚直にトライ&エラーを積み重ねたことで、焼入硬さという結果だけでなく熱処理への理解を深めることにもつながった。教科書や量産現場では見たことのない題材にチーム一丸となって取り組んだことで、熱処理技術を教科書から学ぶだけの「知識」ではなく、実践することのできる「知恵」として身に付けられたと実感している。実際の活動では短期開発で、かつ離れた拠点間の協業というハードルに対して、日程・検証項目・TPの状態をスプレッドシートで一元管理し、抜け漏れや手戻り無く検証を進めることができた」。
 
 

「鈴鹿高専×トヨタ自動車チーム」(鈴鹿工業高等専門学校+トヨタ自動車)の授賞式のようす

 

kat 2024年6月18日 (火曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和6年度第1回研究会・総会を開催、大森 整会長(理化学研究所)が再任

1年 ago
トライボコーティング技術研究会、令和6年度第1回研究会・総会を開催、大森 整会長(理化学研究所)が再任

 トライボコーティング技術研究会は6月2日、埼玉県和光市の理化学研究所で「令和6年度第1回研究会(第151回研究会)・総会」をリアルおよびオンラインによるハイブリッド形式で開催した。

研究会・総会のようす


 当日は、大森 整会長(理化学研究所)の開会挨拶に続いて総会が開催され、令和5年度活動報告・会計報告がなされた後、令和6年度活動計画が報告され可決・承認された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)がそれぞれ再任された。

再任された大森会長


 総会後は、以下のとおり2件の講演がなされた。

・「―フェムトを計る―半導体デバイスの高精度質量ガス分析法について」車載デバイスを含め半導体デバイスでは、封止されたデバイスを破壊し検出されたガスの質量分析を行う必要がある。3D積層化している半導体デバイスや接合デバイスにおいて、ウェハと各積層間からの放出ガスのプロセス管理による歩留まり改善が目的で、ガスの成分分析や、どの工程でガスが混入したかをトレースするための分析が求められている。これに対し、真空構造材として適応するために加工後、研磨工程、還元・脱ガス工程、バリア膜形成工程を行い、超低ガス放出の極・超高真空を実現できる同社独自の0.2%BeCu材によって分析室を構成、10-15Pa・m3/s (He) の極小リークを計測することが可能(産業技術総合研究所の超微小リーク校正ユニットによって検証済み)な「破壊分析型超高感度ガス分析装置」を開発していることを報告した。

講演する黒岩氏


「歯科用Y-TZP表面へのナノ秒パルスレーザ/熱処理複合改質手法の提案~難削セラミックスへの加工展開~」原井智広氏(新東工業)…歯科インプラントへの応用を目的に、ナノ秒パルスレーザ・熱処理の複合改質したジルコニア表面の特性を調査した。材料学的知見としては、ジルコニアへのナノ秒パルスレーザ改質は表面の変色、還元、低温劣化の促進をもたらし、また、ナノ秒パルスレーザ改質後の変質は、追加熱処理により改善できる。生物学的知見としては、ナノ秒パルスレーザ改質による微細形状は細胞挙動に良好であり、また、追加熱処理はジルコニア表面の化学特性を改修し,生体適合性を向上させるとして、ナノ秒パルスレーザ+熱処理の複合改質のジルコニアインプラントへの有効性を示した。

講演する原井氏


 

kat 2024年6月16日 (日曜日)
kat

自動車技術会、第74回自動車技術会賞授賞式を開催、DLC関連技術で日産自動車・平山氏らが受賞

1年 1ヶ月 ago
自動車技術会、第74回自動車技術会賞授賞式を開催、DLC関連技術で日産自動車・平山氏らが受賞

 自動車技術会(JSAE、会長:大津啓司氏(本田技研工業))は横浜市のパシフィコ横浜で、「2024年春季大会」会期中の5月23日に「第74 回自動車技術会賞」授賞式を開催した。

 自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的として設けられ、自動車技術における多大な貢献・功績に対し贈呈されている。表面改質関連では今回、以下のとおり表彰がなされた。

技術開発賞
「高EGR内燃機関用高耐食低摩耗ピストンシールシステムの開発」 平山勇人氏・金子格三氏・高木裕介氏・田井中直也氏(日産自動車株式会社)、篠原章郎氏(リケン(現リケンNPR))

 カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減のためエンジン燃費改善は最重要課題。EGR率向上による排気凝縮水の増加や硫黄含有燃料により、ボア腐食環境が厳しくなっている。これらの背景から、耐食性を向上したステンレス溶射ボアを開発しが、溶射膜の表面気孔増加によるオイル消費の助長、しゅう動相手材のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜したピストンリングのアブレシブ摩耗が課題だった。

 本開発では、溶射膜組織の硬質相を低減し、表面気孔が少ないオイル消費抑制表面を形成できることを見いだした。また、DLC膜の硬度を下げることで脱落したドロップレット形状に倣って変形することにより、高耐摩耗性を実現した。ステンレス溶射ボアと低硬度DLCピストンリングの組み合わせでEGR率20%を成立し、燃費を4%向上させた。本開発での知見は、EGR率30%以上の実現、腐食環境が厳しいバイオ燃料等のカーボンニュートラル燃料の拡大に適用可能な成果であることが高く評価された。

左から、篠原氏、田井中氏、大津JSAE会長、平山氏、金子氏、高木氏 kat 2024年5月24日 (金曜日)
kat

FPS、第17回岩木賞の業績募集を開始、締め切りは9月30日、表彰費用の賛助も募集

1年 1ヶ月 ago
FPS、第17回岩木賞の業績募集を開始、締め切りは9月30日、表彰費用の賛助も募集

 未来生産システム学協会(FPS)は、「第17回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の業績募集を開始した。締め切りは本年9月30日。

 岩木賞はトライボコーティング技術研究会が提唱し、NPO法人である精密科学技術ネットワーク(PEN)が2008年度から創設し表彰していたが、2011年度からは一般社団法人であるFPSが継承し表彰している。

 岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。募集対象は表面加工、表面改質、表面分析、トライボロジー、コーティングに関わる研究・開発・技術・支援・交流・事業化などで著しい成果、業績(製品、サービス、学会発表や特許申請/登録されたものを含む)を上げた個人、法人、団体で、表彰対象は受賞業績が公表できること、FPSに参加できること、と定めている。

 本年度は大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞を中心に募集を行うが、国際賞、事業賞、功績賞の申請も受け付ける。国際賞以外は、原則として日本国内に居住地、研究室や本社、本部、主力工場などの活動拠点を有する個人、法人、もしくは団体が対象。国際賞は、海外に居住地などの主たる活動拠点を有する個人、法人、団体が対象となる。

 各賞の審査基準は以下のとおり。

【大賞】
・開発技術が世界的に高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、経済的・社会的貢献が認められるもの。

【優秀賞】
・開発技術が日本国内において高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、社会的貢献が認められるもの。

【特別賞】
・開発技術が当該業界において高い水準にあり、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されているか、実用化の途上にあり、社会的貢献が認められるもの。

【奨励賞】
・開発技術が当該業界において優れており、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化の途上にあり、実用化の努力が認められるもの。

【事業賞】
・事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の知名度を上げる、インフラの構築を行う、社会生活に恩恵をもたらすなどの効果を通して、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。

【国際賞】
・開発技術または事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の我が国との関係において協力、連携、協調関係を育み、または当該業界の知名度を上げ、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。

【功績賞】
・大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞の評価尺度と、事業賞、国際賞の評価尺度のいずれの面でも極めて顕著な業績が認められるもの。

 岩木賞受賞業績については、2025年2月に開催予定のシンポジウム「トライボコーティングの現状と将来」で、表彰および受賞業績の記念講演がなされる。岩木賞に関する問い合わせ、申請様式の請求は、FPS表彰顕彰部門岩木賞表彰事業部内 事務局まで(E-mail:award@e-shg.net)。 

 トライボコーティング技術研究会ではまた、岩木賞表彰費用の賛助を呼びかけている。問い合わせ・申し込みは、岩木賞表彰事務局まで(award@tribocoati.st)。

 なお、岩木賞のこれまでの受賞業績は以下のとおり。

 

kat 2024年5月22日 (水曜日)
kat

NTN、自動車駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術を開発

1年 1ヶ月 ago
NTN、自動車駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術を開発

 NTNは、新たな特殊熱処理技術「HA-C」を開発、本技術により軸受の業界最高水準の高負荷容量化を実現したことで、従来よりも小型・軽量な軸受への置き換えを可能としている。本技術はまた、従来の熱処理技術では困難であった高温寸法安定性、耐異物性、耐摩耗性も高水準で両立、電気自動車(EV)用e-Axleをはじめとする自動車向け駆動装置の小型・軽量化と省エネルギー化に貢献する。

 同社ではEV用e-Axle減速機向けやHEV用減速機向けなどにHA-C適用軸受の提案を進め、2030年度に10億円/年の販売を目指す。

特殊熱処理技術「HA-C」の適用により軸受の小型・軽量化を実現
深溝玉軸受6306(大)に適用した場合、深溝玉軸受6206 (小)への置き換えが可能

 

 環境負荷低減を背景にEVやハイブリッド車(HEV)は、航続距離の延長が求められており、e-Axleや減速機などの駆動装置の小型・高速回転化や潤滑油の希薄化による省電費・燃費化が進んでいる。そのため、高負荷容量化と低フリクション化を同時に実現する玉軸受が求められている。また、高速回転環境下では発熱や摩耗が増えるため、その転がり軸受には経年寸法変化率の低減や摩耗の抑制が求められる。

 同社が今回開発した特殊熱処理技術HA-Cは、設計面での軸受形状の変更は必要なく、一般的な鋼材に特殊な熱処理技術を適用することにより、業界最高水準の高負荷容量化を実現する。本技術は材料に硬く微細な析出物を多数分散させるなどの手法により、非常に高い表面硬さと高負荷容量化を実現。本技術を適用した転がり軸受は、自動車向け駆動装置などの過酷な使用環境に対応できる。

 同社標準軸受と比較した、開発技術の特長は以下のとおり。

・高負荷容量:静的負荷容量が2倍、重荷重条件における転動疲労寿命が7倍以上に向上。高負荷容量化により、小型・軽量な転がり軸受への置き換えが可能(置き換え例:軸受外径・幅ともに約13%小型化、約45%軽量化)

・耐異物性:転がり軸受が異物を嚙みこんだ際に生じる圧痕周縁の盛り上がり量を1/2に低減し、異物混入潤滑下における転動疲労寿命が3倍に向上

・高温寸法安定性:環境温度150℃での経年寸法変化率が1/2以下に抑制

・耐摩耗性:摩耗量が1/300以下に低減

圧痕形成性(静的負荷容量)試験結果
3/8インチ窒化ケイ素球で付与した圧痕形状
(最大接触面圧:5.5GPa、左:HA-C適用品、右:標準品)

 

kat 2024年5月20日 (月曜日)
kat

三洋貿易、6/7、6/14、7/5、7/26、トライボロジー試験評価法をテーマに講座を開催

1年 1ヶ月 ago
三洋貿易、6/7、6/14、7/5、7/26、トライボロジー試験評価法をテーマに講座を開催

 三洋貿易は、東京理科大学の佐々木信也教授を講師に、トライボロジーに関わる試験評価法をテーマに、基礎から応用まで現場で役立つ実践講座「トライボロジーの基礎」を6月7日、6月14日、7月5日、7月26日の4日程でハイブリッド開催する。

 リアル参加の会場は東京理科大学 葛飾キャンパス4F 第3会議室(JR常磐線金町駅より徒歩10分)。参加は無料で、会場での定員は各回20名。参加申し込みは、こちらまで。

 実機を用いたサンプル測定やデータの解析および解釈、そしてメカニズム解明のための機器分析の利用方法などについて、現場で役立つ実践的な講座を上記日程の4回シリーズで開催する。具体的には、毎回座学(90分)と実演・実習(90分)を行う。

 座学はオンラインでの聴講も可能。実演・実習では、最新の各種摩擦試験装置、表面形状機器、インデンター・スクラッチ試験機を使用する。また各回とも、個別技術相談にも対応する。

 プログラムは以下のとおり。

6月7日

 

6月14日

 

7月5日

 

7月26日

kat 2024年5月15日 (水曜日)
kat

堀場製作所、ラマン実践講座を6/5に開催

1年 1ヶ月 ago
堀場製作所、ラマン実践講座を6/5に開催

 堀場製作所は6月5日、京都市南区の堀場テクノサービス 京都本社 テクノプラザおよびオンラインにて「ラマン実践講座:Raman School」を開催する。今年は関西学院大学 名誉教授・フェローの尾崎幸洋氏に加え、大阪大学大学院 教授の藤田克昌氏を迎えて、基礎から分析に必要なテクニック、さらには最先端のアプリケーション事例をご紹介するプログラムを用意している。また、産業技術総合研究所の伊藤信靖氏はラマン分光技術にまつわる標準化について解説する。

日  程:2024年6月5日(水)10:00~17:45(オンラインは、14:50 まで)
費  用:無料
開催形式:「会場受講」または、「オンライン受講」
「会場受講」
株式会社堀場テクノサービス 京都本社 6F テクノプラザ 
「オンライン受講」
Zoom Webinarを使用。ブラウザでの視聴の場合、ブラウザのバージョンは最新版を利用。
開催時間の約10分前より入室が可能。
定  員:会場受講:50名、オンライン受講:500 名

 詳細はこちらから。

招待講演「ラマン分光最前線(基礎原理と最近の進歩について)」 講師:関西学院大学 生命環境学部 名誉教授・フェロー 尾崎 幸洋 氏

 本講演は2部構成からなる。第一部はラマン分光法の基礎に関するものである。ラマン分光法の原理、実験法について初心者にもわかるように概説する。第二部では最近のラマン分光法の発展に関するもので、新しい装置、解析法の紹介とともにそれらの応用について説明する。特にナノラマン、表面増強ラマン、ラマンイメージング、低波数ラマン等に重点を置く。

招待講演「ラマン顕微鏡の原理と細胞イメージングへの応用」 講師:大阪大学 大学院工学研究科 物理学系専攻 教授  藤田 克昌 氏

 近年の光学素子、光学デバイスの進展は、微弱で使い難いというラマン散乱の常識を変え、材料科学から創薬、診断などへの応用が広がっている。本講演では、ラマン散乱を利用して試料中の物質を認識し、物質分布や試料分布や構造を画像化するラマン散乱顕微鏡の原理を紹介する。また、ラマン散乱顕微鏡を利用した細胞イメージングへの応用、特に細胞の無標識イメージング、細胞の薬剤応答、細胞種/細胞状態、および、小分子の可視化について紹介する。

招待講演「ラマン分光装置にまつわる標準化の動向」 講師:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門
有機基準物質研究グループ/有機組成標準研究グループ(兼務) 伊藤 信靖 氏

 今日では、用途に応じた様々な性能のラマン分光装置が使われており、装置や測定者によって評価結果が異なることも少なくない。このような状況を改善するため、ラマン分光装置を用いた評価方法等の標準化が進められている。本講演では、ラマン分光装置にまつわる国際的な標準化の動向について紹介する。

HORIBA講演「あなたの実験を加速させるラマン分光装置の最新機能」 株式会社堀場テクノサービス 分析技術本部 分析技術部 分光分析チーム 溝道 桂介 氏

  顕微ラマン分光装置の用途は急速に拡大し、様々な分野への応用が期待されている。それに伴って測定目的に特化した測定・解析が必要になっているが、多くの労力を要する場合も多い。このような複雑化するラマン分光分析に対するソリューションとして、画像認識・座標共有・自動測定・自動解析などの多くの機能が開発されている。本公演ではこのような最新のソフトウェア・ハードウェア機能について紹介する。

admin 2024年5月9日 (木曜日)
admin

スギノマシン、キャビテーションウォータージェットピーニングなどの受託加工を開始

1年 1ヶ月 ago
スギノマシン、キャビテーションウォータージェットピーニングなどの受託加工を開始

 スギノマシン( https://www.sugino.com/ )は、高圧水を利用したウォータージェットピーニング技術「CWJP(キャビテーションウォータージェットピーニング)」と金属積層造形(AM)のポストプロセス技術「CASF(キャビテーションアブレシブサーフェスフィニシング)」の受託加工サービスを開始する。どちらも同社のコア技術であるウォータージェット(高圧水噴射)技術を応用したもの。

CWJP装置(左)とCASF装置(右)

 CWJPは高圧水を利用したピーニング技術で、水中で発生するGPa(ギガパスカル)クラスの衝撃力を用いて、金属部品の疲労強度を向上し長寿命化させる。また、メディアは一切使用せず水のみで加工できるため、産業廃棄物が発生しない時代に合ったクリーンな加工法である。

CWJP加工のようす

 CASFはアブレシブ懸濁液が入った水槽内で高圧水を噴射することで、金属AM部品の表面処理や疲労強度向上、サポート材の除去などが行える加工技術。従来、造形後の後工程は複数工程に分かれており、さらに一部はその煩雑さから、手作業で行われていた。CASFはこれら複数の後工程を一度にまとめて行えるため、生産工程の自動化・省人化と製品の品質向上をまとめて実現できる。

CASF加工のようす

 同社では両技術に関して、数多くの加工テストの依頼を受けてきた。良好なテスト結果が多数得られており、顧客からは、少量・少額から実製品に採用していきたいとの要望を受けているという。これを受け、受託加工の取り組みを開始することになった。

 受託加工は同社の滑川事業所(富山県滑川市中野島)にて行う。まずは加工テストを行い、得られた最適な加工条件をもとに受託加工を実施する。

 

admin 2024年5月7日 (火曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2024年4月号 特集「金型・工具の表面改質」キーテク特集「熱処理①」4月25日発行!

1年 2ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2024年4月号 特集「金型・工具の表面改質」キーテク特集「熱処理①」4月25日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2024年4月号 特集「金型・工具の表面」キーテク特集「熱処理①」が当社より4月25日に発行される。

 今回の特集「金型・工具の表面」では、EV向けに使用される金型・工具向けPVDコーティングと電池関連や半導体関連向けのPVDコーティングについて、金型・工具でも必須の熱処理におけるシミュレーションの概要と事例について、射出成形スクリュにおいて耐食性と離型性を付与する超高真空スパッタリングによるCr-Nアモルファスコーティングについて紹介する。

 また、キーテク特集「熱処理①」においては、昨年11月に開催された熱処理に関する国際会議であるIFHTSE2023から見た世界の熱処理事情について、熱処理の学術団体として業界を牽引する日本熱処理技術協会の活動について紹介する。

特集:金型・工具の表面改質

◇工具・金型向けPVDコーティングの開発と適用・・・日本コーティングセンター 木村 裕二 氏、張 伊靖 氏 に聞く

◇熱処理シミュレーションの技術と事例・・・ヤマナカゴーキン 今橋 智則

◇耐食性、離型性に優れた射出成形スクリュ・金型向けCr-Nコーティング・・・浅井産業 加賀谷 恭平、高瀬 正和、安永 龍哉、伊藤 基浩、岡山県工業技術センター 國次 真輔

Featured Events

◇Surface Technology Germany 2024が開催、ジャパンパビリオン出展6社が独自製品・技術を披露

キーテク特集:熱処理①

◇FHTSE2023に見る世界の熱処理事情・・・大阪産業大学 南部 紘一郎

◇日本熱処理技術協会の活動に見る熱処理研究の取り組み・・・編集部

連載

インライン3Dプロファイラ搭載型の二円筒転がり疲労摩耗試験機・・・Rtec-Instruments

酒飲み世界紀行:第2回 チェコのビール編・・・横浜国立大学 梅澤 修

トピックス

表面技術協会、第75回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催-新会長に平藤氏

トライボコーティング技術研究会、第16回岩木賞贈呈式、第26回シンポジウムを開催

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admin 2024年4月23日 (火曜日)
admin

HEF DURFERRIT JAPAN、水素関連ソリューション向けにPVDコーティング技術を披露

1年 2ヶ月 ago
HEF DURFERRIT JAPAN、水素関連ソリューション向けにPVDコーティング技術を披露

 HEF DURFERRIT JAPAN(https://www.hefdurferritjapan.co.jp/)は2月28日~3月1日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「H2 & FC EXPO【春】~第21回 【国際】水素・燃料電池展~」に出展、燃料電池車(FCV)や水素関連設備向けに最新のPVDコーティング技術を披露した。

出展のようす

 

燃料電池セパレータ用PVDコーティング

 HEFでは、プロトン交換膜(PEM)型燃料電池(FC)のセパレータ(バイポーラプレート)用に、導電性、耐食性、密着性に優れたPVD(物理蒸着)コーティングを開発している。

 バイポーラプレートの基材には、機械的物性、高い電気伝導性、高いガス遮断性といったセパレータに要求される性能を満たす各種の合金が用いられるが、金属表面で発生する電気化学的な腐食への対処が必要になる。これに対しHEFが開発したバイポーラプレート向けPVDコーティング(コーティング成分としてAu、C、Cr等があるが、性能とコストの観点からC(カーボン)コーティングが主流)では、ステンレス、チタン、アルミニウムといったバイポーラプレートの基材を問わず高い耐食性(陽極:1μA/cm2未満・アクティブピークなし、陰極:1μA/cm2未満)・導電性(100S/cm以上)と低い接触抵抗値(0.01Ω・cm未満)を持つ被膜「セルテスELEC FC/ELEC FC+」を開発している。

 トヨタ自動車をはじめ燃料電池車の開発は日本が先行しており、今後、乗用車、商用車、定置用などで、日本での量産立ち上げへの移行が見込まれている。これに対しHEFでは、成膜面を最適な状態にする自動洗浄ラインから、最大の生産効率を実現する専用治具、生産性を最大化する最先端の成膜装置といったすべての専用生産設備を設計・開発・製造しており、それらを組み込んだ「自動インライン式コーティング設備」の初号機が先ごろ完成し、現在フランス本社で試運転を行っている。順次、自動インライン式コーティング設備の2号機、3号機を製造し、2026~2027年ごろに予定されているFCV向けカーボンコーティングの日本での受託加工の際には、燃料電池専用の新拠点を設立し、そこに自動インライン式コーティング設備を設置して量産に対応する計画としている。
 

PEMFCバイポーラプレート用PVDコーティング


 

自動インライン式コーティング設備

 

水電解装置用PVD/PECVDコーティング

 水電解装置(エレクトロライザー)では、再生可能電源からの電流を使用して水分子が酸素と水素に分解される。水電解装置はスタック(複数のセルの直列アッセンブリー)と、発電機、コンプレッサー、ポンプ、水処理などのユニットで構成されている。水素電解装置内の各セルには、水素イオン(プロトン)が通る多孔質輸送層(PTL)と、バイポーラ/セパレータプレートが含まれ、ガスや水などの流体の輸送と電気伝導において重要な役割を果たす。

 これらは腐食性の高い環境下で動作するため、性能を最適化し耐久性を保証するために表面改質技術が要求される。HEFは、欧州で先行するプロトン交換膜(PEM)型水電解装置において、PVDおよびプラズマCVD(PECVD)技術によって水電解装置用コーティングを開発している。本コーティングは水電解の性能を損なうことなく、貴金属の使用量を削減できることを確認している。

 HEFでは表面改質/機能化に関して、さまざまな水電解技術の材料課題に対応。競争力のある価格での大量生産や、高性能で持続可能なソリューション、ユーザーニーズに合わせたオーダーメイドのソリューションを提供できる。
 日本国内では、ナノコート・ティーエス 石川事業所で受託加工を行う予定となっている。
 
 

水電解装置用コーティング:左はセパレータ、右はPTLにコーティングしたサンプル

 

金属材料の水素脆性を防ぐDLCコーティング

 炭素鋼やステンレス鋼、アルミニウム合金などの多くの金属材料では、水素の存在が機械的特性に悪影響を与えることがよく知らせている。HEFでは高度な技術に裏打ちされた柔軟な発想とDLCコーティングの知識によって、ガスバリア機能を有する新しい特殊カーボンコーティング(水素バリアDLC)を開発している。このコーティング膜は本来のドライでの低摩擦係数を維持しつつ、水素拡散を劇的に減少させる。
 

水素バリアDLC

 

 HEFでは燃料電池あるいは水電解装置へのコーティングに対するユーザーのニーズの高まりに応えるため、HEFでは現在、フランス本社に最初のパイロットプラントを建設中で、2025年までに大規模な展開が計画されている。

kat 2024年4月23日 (火曜日)
kat

プロテリアル、高い硬度と耐食性を兼備する高硬度高耐食刃物用鋼

1年 2ヶ月 ago
プロテリアル、高い硬度と耐食性を兼備する高硬度高耐食刃物用鋼

 プロテリアル( https://www.proterial.com/ )は、高い硬度と耐食性を兼備する高硬度高耐食刃物用鋼「YBSTM1」、「YBSTM2」を開発した。切れ味と錆びにくさが同時に要求される医療用メス、カミソリ用替刃、調理用刃物、アウトドアナイフなど幅広い用途が期待できるという。

高硬度高耐食刃物用鋼の用途

 同社は、強みである金属を中心とした組織・組成制御技術を駆使することで、硬さと耐食性を兼備する高硬度高耐食刃物用鋼を開発することに成功した。YBS1、YBS2 ともに適切な焼き入れを行うことで、プロ用高級包丁の材料として使用される高炭素鋼の青紙Ⓡ2号に匹敵する非常に高い堅さが得られたという。また、塩水噴霧試験において、YBS1はマルテンサイト系ステンレス鋼SUS420J2に相当する高い耐食性を示し、YBS2は耐食性が若干落ちるものの切れ味を重視した包丁に向くマルテンサイト系ステンレス鋼GIN3と同等の耐食性を示す。これらの結果により高い硬度と耐食性を兼備する YBS1、YBS2 は、切れ味と錆びにくさが同時に要求される医療用メスやカミソリ用替刃、調理用刃物、アウトドアナイフ等への幅広い用途が期待できる。


 切れ味に優れ、度重なる使用でも切れ味が落ちず、かつ錆びにくいといったメンテナンス性に優れる刃物へのニーズは時代を問わず不変のもの。刃物の切れ味は、主に硬さ、刃角度、表面粗さなどで決まるとされており、錆びにくさ、すなわち耐食性は主にクロムなどの合金元素量に依存する。一般的な刃物用鋼は、SK材や青紙2号に代表される高炭素鋼と、SUS420J2やGINⓇ3に代表される合金元素を多く含むマルテンサイト系ステンレス鋼に大別され、用途に応じて適切な硬さと耐久性を得るための鋼材が選ばれてきた。しかし、高炭素鋼は、焼入れ・焼戻しにより、800HVを超える高い硬さを示すものの、耐食性は著しく低いという課題があった。一方、マルテンサイト系ステンレス鋼は、高炭素鋼に比べて高い耐食性を示すものの、硬さが低いという課題があった。このため、従来の刃物用鋼では硬さと耐食性を高い次元で両立することは困難だったというう。

admin 2024年4月19日 (金曜日)
admin

花王、ゴムや樹脂製品を型枠からスムーズに取り外す離型剤

1年 2ヶ月 ago
花王、ゴムや樹脂製品を型枠からスムーズに取り外す離型剤

 花王( https://www.kao.com/jp/ )は、ゴムや樹脂製品の製造時に製品を型枠からスムーズに取り外すための離型剤「ルナフロー RA」の販売を5月に開始する。

 同品は、バイオマス素材のセルロースナノファイバー(CNF)を材料として活用し、優れた離型性と一度塗布すれば繰り返し使用できる持続性が特長。製造工程での作業性向上が期待でき、溶剤・フッ素フリーで環境と作業者の両方にやさしい製品設計となっている。

離型剤の役割

 離型に課題を抱える業界のニーズに応え、課題解決を後押しできる製品を提案するとともに、ゴム・樹脂だけでなく、幅広い素材に適応可能な製品の開発も目指す。また、将来的には、CNFを活用した“すべらせる技術”を応用して、汚れを付きにくくする製品への展開も視野に入れて、取り組んでいく予定だという。

 CNFは、木材などから得られる繊維をナノレベルまで微細化した最先端のバイオマス素材。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持つなどの優れた特長から、自動車や建築の材料などに活用されている。同社は、CNFを使いやすくコントロールする技術(疎水化技術)を保有しており、ユーザーの目的や用途ごとにカスタマイズしたCNFを販売してきた。また、2021年にはCNFと潤滑油を組み合わせることで、塗布した対象面をウツボカズラの袋内部のように“すべる表面”にする技術(滑液表面技術)を確立している。

admin 2024年4月19日 (金曜日)
admin

パーク・システムズ・ジャパン、自動化AFM用コントローラを発売開始

1年 2ヶ月 ago
パーク・システムズ・ジャパン、自動化AFM用コントローラを発売開始

 パーク・システムズ・ジャパンは、は、人工知能搭載によりセットアップからスキャンまで一連の流れを自動制御する原子間力顕微鏡(AFM)「FX40」のパフォーマンスを強化するために特別に設計された新しいコントローラ「Park FXコントローラ」の発売を開始した。追加のハードウエアを必要とすることなく、接触共振圧電応答顕微鏡(CR-PFM)などの最先端のアプリケーションが可能となる。

「FX40」とそのパフォーマンスを強化するために特別に設計された「Park FXコントローラ」

 

 新しいFXコントローラには、前機種と比較して以下の大幅な機能強化が導入されている。

•  最大八つのロックインアンプをサポート:ロックインアンプのチャンネル数を最大8チャンネルまで拡張することで、従来の四つ以上のチャンネルを必要とする新しいアプリケーションに対応できるようになる

• チップバイアス変調帯域幅の拡張(最大5MHz):帯域幅を最大5MHzまで拡張することで、接触共振PFM(CR-PFM)に対応可能となる。これは材料特性の研究を進める上で重要

• より高速なイーサネット接続による迅速なデータ・画像処理:1Gbpsのイーサネット接続にアップグレードすることで、素早いスペクトロスコピーアプリケーションのデータ処理と迅速な画像の更新が実現

• 安全性と利便性の向上:AFMヘッドの衝突防止機能によって、サンプルを保護。電動ステージを手動で動かしている場合でもFXコントローラのDSPがAFMヘッドの衝突原因となる異常信号を認識し、全ステージを停止させることによって衝突を防ぐ

 本年3月以降に製造されるFX40には新しいFX コントローラが搭載されている。

kat 2024年4月19日 (金曜日)
kat

Rtec-Instruments、インライン3Dプロファイラ搭載型の二円筒転がり疲労摩耗試験機を開発

1年 2ヶ月 ago
Rtec-Instruments、インライン3Dプロファイラ搭載型の二円筒転がり疲労摩耗試験機を開発

 Rtec-Instrumentsは、“ユーザーのやりたいことを実現する製品を一緒に作っていく”マーケットインの思想から、主力の多機能トライボメータ(摩擦摩耗試験機)に加えて、3Dプロファイラ(表面形状測定機)、スクラッチ試験機、インデンテーション試験機、二円筒/三円筒試験機と、製品ポートフォリオを急速に拡充してきている。

 同社が今回、世界に先駆けて転がり疲労摩耗試験中の表面をその場観察できる「インライン3Dプロファイラ搭載型二円筒転がり疲労摩耗試験機」を開発したので、日本法人社長の國井卓人氏とアプリケーション&セールス マネージャーの兒島正宜氏に話を聞いた。
 

開発したインライン3Dプロファイラ搭載型二円筒転がり疲労摩耗試験機」を挟んで、
國井氏(写真左)と兒島氏(写真右)

 

二円筒転がり疲労摩耗試験機

 二円筒転がり疲労摩耗試験機「TwinRoller3000」は、転がりと滑りの自由な組み合わせのもとで二つのローラー試験片が転がり接触することによって(図1)、トラクション、摩耗、転がり接触疲労の試験が行える。

 それぞれが独立制御された二つの480V駆動高トルクサーボモータ(最大トルク50Nm)が搭載され、ローラー試験片の回転方向(正逆転)と回転数(最大6000rpm、φ60mm試験片使用時の回転速度は18m/s相当、標準仕様は最大3200rpm)を制御、それぞれのモーター速度の範囲内で滑り率(SRR)を自在に設定(転がり0%~、滑り率0~±200%以上)でき、ダイナミックインライントルクセンサーがローラー試験片にかかるトルクを測定する。また、エレクトロサーボドライブ(サーボモータ+スプリングブラケット)を使用して荷重を最大8000Nまで制御し負荷できる。

 試験はドライ環境と潤滑油使用環境(グリース塗布)に対応。潤滑剤は滴下および循環環境での試験となる。完全に自動化されたテストプログラムと高精度な制御により、高い再現性と正確な測定を実現できる。

 これまで困難とされていた回転2軸のアライメント調整をユーザー側で容易に行うことができる革新的な設計によって、さまざまな試験片サイズや形状に対して適切な接触をさせることができる。ローラー試験片のサイズは、径φ30~60mm、厚み5~30mmにフレキシブルに変更できる他、接触面に曲率を持つ試験片による点接触の試験も可能である(図2)。

 自己整合インライン高解像度トルクセンサーによって表面のダイナミクスをリアルタイムで定量化できるほか、日本法人独自の設計による安全対策としてピッチング発生時には振動を検出して試験を安全に停止できるセンサーを追加した。

 また、オプションでアコースティックエミッション(AE)センサーや電気接触抵抗(ECR)センサーなど、さまざまなインラインモニタリングセンサーに対応、リアルタイムでさまざまな表面ダイナミクスを定量化できる。

 図3は、TwinRoller3000を用いて、転がり接触疲労の設定で、コーティングなし/コーティングありの各サンプルの摩擦試験を実施した結果を示す。未処理のサンプル(上の曲線)に比べ、同じ材料に溶射被膜を施したサンプル(下の曲線)において、転がり接触疲労(RCF)寿命の改善が確認できる。
 

図1 二つのローラー試験片が転がり接触するようす

 

図2 フレキシブルに変更できるローラー試験片サイズ

 

条件:荷重500N、SRR 0~0.6、温度70°C
図3  TwinRoller3000を用いた転がり接触疲労試験の結果

 

インライン3Dプロファイラ

 「インライン3DプロファイラLAMBDA」は、共焦点顕微鏡と白色光干渉計を同じ筐体に配置しワンクリックで切り替えることが可能で、摩耗痕やスクラッチ、圧痕といった試験後の表面を高解像度で画像化するように最適化されている。以下の四つの光学技術を一つのヘッドに組み合わせたことによって、透明、ガラス、鏡、粗い、滑らか、急勾配など、コーティング表面を含むあらゆる試料表面を高いZおよびX&Y解像度で簡単に測定できる。

・白色光干渉計モード:平らな面の、特にZ方向(深さ方向)で高解像度画像を取得

・スピニングディスク共焦点レーザー顕微鏡モード:急な斜面、透明、暗い、または粗い表面を高速でスキャンできる万能型3Dプロファイリング

・暗視野モード:顕著なコントラストで表面の亀裂を検出

・明視野モード:高解像度とリアルカラーの2Dプロファイルを取得

 

インライン3Dプロファイラ搭載型の二円筒転がり疲労摩耗試験機

 Rtec-Instrumentsは、上述の二円筒転がり疲労摩耗試験機TwinRoller3000とインライン3DプロファイラLAMBDAを組み合わせたシステム(図4)の開発に、世界で初めて成功した。

 3DプロファイラはX、Y直交2軸のピラー型サーボドライブで駆動することで、毎回正確な位置での表面形状測定が可能で、試験後速やかに、試験片の表面をイメージングできる(図5)。取得した画像は標準搭載のソフトウェアにより平面化、二値化、面粗さ出しなど表面疲労摩耗マイクロピッチングの画像解析(図6)が可能である。

 試験の仕様はTwinRoller3000の一部を国内でアップグレードし、最大荷重:8000N、最大回転数:6000rpm(φ60mm試験片使用時の回転速度は18m/s相当、標準仕様は最大3200rpm)、SRR:±200%以上、試験油温度:~160℃、試験片サイズ:可変(φ30~60mm、厚み5~30mm、接触面に曲率を持つ試験片による点接触の試験も可能)で、オプションでオイル循環、予備加熱システム、AEセンサー、ECRセンサーが付加できる。国内追加安全設計(フルカバーアルミフレーム、ドアセンサー、漏液センサー、振動センサーほか)も提供している。

 開発したシステムが高面圧、高トルク、高速での試験評価が可能なことから、同社では重機や建機などを中心に適用を進めるほか、さまざまな波形のAC/DC、電流/電圧を印加できる「電化試験モデル」へのアップグレード可能なことから、電気自動車(EV)モーターの高速回転化対応ベアリングやギヤ、ボールジョイントなどの用途も想定している。
 

図4 インライン3Dプロファイラ搭載型の二円筒転がり疲労摩耗試験機:二円筒転がり疲労摩耗試験機TwinRoller3000のベースに、X、Y直交2軸のピラー型サーボドライブで位置決めできるインライン3DプロファイラLAMBDAを搭載

 
 

図5 インライン3DプロファイラRAMBDAによる試験後の試験片表面のイメージング

 

図6 マイクロピッチングの画像解析

 

電化試験モデル

「電化試験モデル(Eモジュール)」は、TwinRoller3000など既存の試験方式・摺動形態を模擬しながら、装置のスリップリングを用いてさまざまな波形のAC/DC、電流/電圧を印加することで、ベアリングなどの電食反応や、試験片間に生じるインピーダンス(AC)、電気接触抵抗(DC)、比誘電率(εr)、誘電正接(tan δ)といった、多種多様なパラメーター測定により、電気化学的にトライボロジー特性を評価することが可能となっている。

kat 2024年4月9日 (火曜日)
kat

DOWAサーモテック、次世代型浸炭焼入炉の熱処理受託加工の量産開始および設備受注開始

1年 2ヶ月 ago
DOWAサーモテック、次世代型浸炭焼入炉の熱処理受託加工の量産開始および設備受注開始

 DOWAサーモテック( https://www.dowa.co.jp/thermo-tech/ )は、子会社であるDOWAサーモエンジニアリングの浜松工場(以下、浜松工場)に新たに開発した次世代型浸炭焼入炉「Z-TKM」の試験設備を導入し、2023年4月から実証評価を進めてきた。その結果、2023年11月から「Z-TKM」を用いた熱処理受託加工の量産処理を開始するとともに、自動車部品大手メーカーより「Z-TKM」を1基、受注した。

 この焼入炉は、熱処理の品質を維持しながらリードタイムの短縮を実現できることから、生産性向上に寄与するとともに、熱処理プロセスで使用するガス量やCO2の排出量を最少化することができる熱処理炉だという。また、グリーンエネルギーやアンモニアバーナー・水素バーナーを組み合わせることにより、熱処理工程内のCO2をほとんど排出させない操業が可能となる。

 同社では、この焼入炉について熱処理受託加工と設備販売の両面からサービスを提供する。熱処理受託加工では、引き続き多くの顧客と試作や認定手続きを進めている。また、今後の受注拡大を見据えて、浜松工場に「Z-TKM」を追加導入した。今後、国内外のその他の熱処理工場にも同焼入炉を順次、導入していくことにより、同焼入炉による熱処理受託加工をグローバルに展開し、顧客のサプライチェーンにおけるCO2排出削減を実現していく。

 設備販売について、「Z-TKM」は顧客におけるカーボンニュートラルの達成を支援する強力なツールとなるため、さらなる受注拡大を図っていくという。既存の熱処理設備(TKMシリーズ)を導入している顧客においては、設備本体のサイズが同等のため、油槽ピットの工事等をせずに置き換えることができる。また、ピットレスでの新規設置も可能であり、顧客のニーズに合わせて対応していくという。

浜松工場に導入した「Z-TKM」

 

admin 2024年4月5日 (金曜日)
admin

新東工業、超小型サイズのアルコール検知システム

1年 2ヶ月 ago
新東工業、超小型サイズのアルコール検知システム

 新東工業( https://www.sinto.co.jp )は、超小型サイズの「DRACHE®(ドラチェ)アルコール検知システム」の販売を開始した。アルコール検知器は縦60mm、横27mm、厚さ12mmと小さく、重さも12gと超軽量のため、自動車の鍵にキーホルダーのように付けて持ち歩ける。業界最小・最軽量を実現した。

 同品は、スマホにつなげて息を吹き込むだけで簡単に呼気中のアルコールを測定でき、測定結果をクラウド経由により自動で管理できる。測定した結果は、すべて安全運転管理者らにメールを送って知らせる。安全運転管理者より否認された場合は、運転者にすぐに否認メールが届く仕組み。電源はアルコール検知器の使用時に接続するスマホから給電するため、電池切れの心配もなく、電池交換のコストや手間もかからない。測定結果は法令で定められた保存期間の1年間を超す400日間保存する。アルコール検知器は日本製で信頼性も高い。

 また、すでに他社のアルコール検知器を使用している場合には、測定アプリ(測定結果管理クラウドサービス)のみの使用も可能。検知器に結果表示機能が付いていれば、他社製品であっても測定結果が表示された画面をスマホのカメラで撮影してアプリにアップロードして簡単に使え、確認できる。

 道路交通法施行規則の改正により、社用車を運転する際、緑ナンバー車に加え、白ナンバー車も昨年12月1日からアルコール検知器を使用した酒気帯びの確認と1年間の記録保存が義務化された。ドラチェは今回の義務化に対応した商品となる。

 測定アプリのみの使用料は、月額にして1アカウントあたり200~300円(税別、契約数により変動)と安価。システム導入のための初期登録費用も不要。アルコール検知器の価格は1個あたり1万5000円(税別)。

admin 2024年4月5日 (金曜日)
admin

大同特殊鋼、真空浸炭炉に浸窒機能を追加

1年 2ヶ月 ago
大同特殊鋼、真空浸炭炉に浸窒機能を追加

 大同特殊鋼( https://www.daido.co.jp/ )は、ギヤなどの自動車部品の表面硬化を目的とした真空浸炭処理設備「モジュールサーモ」に浸窒処理を連続的に行う機能を付加して2024年4月から販売を開始する。浸炭浸窒処理により、従来の浸炭処理対比でギア歯面強度の40%向上、焼入時の歪み量の40%低減が期待できるという。

 モジュールサーモは、電気ヒーターを使用するためガスバーナー燃焼方式に比べCO2排出量が少なく、ガス浸炭炉では必要になる休止中の炉内温度の維持や雰囲気ガスの管理が不要なため、省エネルギー性に優れる。浸炭浸窒処理は、電動車の歯車部品などに求められる高い強度を引き出す熱処理として有望な技術。今回のモジュールサーモへの機能追加により、ガス浸炭炉に比べてCO2低排出で省エネルギーでの浸炭浸窒処理を実現した。

 政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けて、温室効果ガスであるCO2の排出量削減要求が年々高まってきている。同社では主にギヤ部品の真空浸炭処理を目的として、従来型ガス浸炭炉に比べて大幅に省エネルギー・CO2排出低減を実現したモジュールサーモを販売することで、カーボンニュートラルに貢献してきた。

 一方、自動車はエンジン車から電動車への移行が急速に進んでおり、電動化に伴うギヤ部品の使用環境変化から、高強度化、低歪み化といった特性の向上が求められている。これらの要求に応える熱処理技術として、浸炭処理に加えて浸窒処理を行うことで高強度化と低歪み化を実現することができる。

モジュールサーモの外観

 

admin 2024年4月5日 (金曜日)
admin

東研サーモテック、ドライコーティング技術開発を強化、事業部の名称を変更

1年 3ヶ月 ago
東研サーモテック、ドライコーティング技術開発を強化、事業部の名称を変更

 東研サーモテック(https://tohkenthermo.co.jp/)は、1909年の創業から培ってきた金属熱処理技術、加工技術を基に、ドライコーティング技術の開発を今後より一層強化していく。これに伴い、本年3月21日付けで、セラハード事業部をコーティング事業部に、先行開発室をイノベーション事業部に名称変更する。

 名称変更は以下のとおりで、住所、電話番号など、連絡先の変更はなし。

 

kat 2024年3月18日 (月曜日)
kat

JAST、テクスチャリング表面のトライボロジー研究会など4研究会が合同開催

1年 3ヶ月 ago
JAST、テクスチャリング表面のトライボロジー研究会など4研究会が合同開催

 日本トライボロジー学会(JAST)の会員提案研究会(トライボロジーに関する重要なテーマについて研究参加した会員の調査・研究・討論などを通じ学問・技術の発展に寄与することを目的とする会)である「テクスチャリング表面のトライボロジー研究会」(主査:東京理科大学 佐々木信也教授)と境界潤滑研究会(主査:東京工業大学 青木才子教授)、分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会(主査:兵庫県立大学 鷲津仁志教授)、工作機械のトライボロジー研究会(主査:東京理科大学 野口昭治教授)は3月7日、東京都葛飾区の東京理科大学で「JAST合同研究会:カーボンニュートラルに向けたTX(トライボロジーX)」を開催した。

開催の様子

 

 当日は開会にあたって佐々木信也氏が、「コロナ禍でもありテクスチャリング表面のトライボロジー研究会は久しぶりの開催となるため、盛大な会にしようという主旨で各会に呼びかけ、4研究会合同での開催が実現した。カーボンニュートラルに向けたトライボロジーの革新技術、という意味合いでTXなる造語を冠した本合同研究会の講演はいずれも、自分自身も聞いてみたかった大変興味深いテーマの研究内容となるため、それぞれ活発な意見交換をお願いしたい」と挨拶した。続いて鷲津仁志氏が「分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会は東京大学の加藤孝久先生が20年くらい前に始められ、10年くらい前から私が主査を務めている。今回、佐々木先生よりお声がけをいただき開催が決まった合同研究会の4件のテーマはいずれも非常に興味深く、5月に開催されるトライボロジー会議とはまた違った、深堀りした研究が紹介されることを私自身、楽しみにしている」と挨拶した。

開催の挨拶を行う佐々木氏

 

挨拶する鷲津氏

 

 その後、以下のとおり講演がなされた。

「粒子法の流体潤滑問題への応用~粒子法、ここまで来た⁉」根岸秀世氏(JAXA)…粒子法(MPH法)の利点を生かして、機械要素内のマクロ-ミクロの流体潤滑問題を統一的に解析し、現象理解と潤滑特性評価を可能とする解析技術への取り組みについて紹介。物理的健全性を有するMPH法が、①負圧を含む流体潤滑解析(くさび膜効果やスクイーズ膜効果)、②ソフトEHL(弾性流体潤滑)解析(流体-構造連成解析)、③潤滑膜と転がり軸受のような流体-剛体連成解析、のぞれぞれに適用可能であることを示した。

講演する根岸氏

 

「Adsorption and Structure of Amine-based Organic Additives at Iron-oxide Interface」Patrick A. Bonnaud氏(豊田中央研究所)…歯車や軸受などの摩耗を抑えEVを含む各種機械の寿命を延ばすことは、サスティナブルな社会を実現するうえで重要な課題であり、潤滑油では金属の摩耗を防ぐとともに環境に優しい新たな有機系添加剤が求められている。本研究では吸着しやすさを予測する計算モデルを作成、分子末端基が吸着性にどのように影響するかを明らかにし、シミュレーションによって吸着性が良いと予測されたアミン系有機添加剤を配合した潤滑油を用いて摩擦試験を行った結果、鉄の表面に吸着膜が早く形成され、摩耗を抑制することが実証された。

講演するBonnaud氏

 

「Ni-Pめっきを施した転がり軸受の回転トルクと寿命」堀田智哉氏(関東学院大学)…潤滑油の撹拌抵抗など、軸受トルクの多くが潤滑油に起因することから、潤滑油を用いずに、Ni-Pめっきを施すことで軸受の低トルク化と長寿命化を目指し、実験評価を行った。トルクの評価では、めっきなし、DLC被覆よりもNi-Pめっきありが低トルクを示した。転がり軸受の寿命評価では、めっきなし軸受に比べNi-Pめっきあり軸受が長寿命だったが、DLC被覆軸受が最も長寿命という結果となった。

講演する堀田氏

 

「スラストフォイル気体軸受における新しい表面テクスチャの提案」落合成行氏(東海大学)…表面テクスチャが空気潤滑および高摺動速度化で作動する軸受に与える影響を検証しつつ、新型フォイル軸受の開発を目指した。ディンプルはフォイルガス軸受でも低速領域で摩擦低減効果を有しているが、高摺動速度下では摩擦抵抗を増加させ、また、温度上昇を抑制する効果が確認された。新規テクスチャである「F-グルーブ」では接触時の摩擦は大きくなったものの、流体膜生成を促進し潤滑性能の向上が確認されたほか、温度上昇が抑制されており、高い冷却効果が得られたものと推察した。

講演する落合氏


 

 講演終了後は、青木才子氏が「主査を務める境界潤滑研究会では、潤滑油添加剤関連の発表を聞く機会は多いが、この合同研究会の講演は添加剤研究会内では聞くことができないテーマの発表ばかりで、大変勉強になった。こうした合同研究会はブレーンストーミングの良い機会でもあると思うので、ぜひともまた開催していただきたい」と挨拶し、閉会した。

閉会の挨拶を行う青木氏 kat 2024年3月11日 (月曜日)
kat

表面技術協会、第75回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催ー新会長に平藤氏

1年 3ヶ月 ago
表面技術協会、第75回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催ー新会長に平藤氏

 表面技術協会( https://www.sfj.or.jp/ )は2月29日、東京都新宿区の工学院大学で「第75回通常総会および各賞授与式」を開催した。

 総会で議長を務めた松永守央会長は、冒頭「協会の一番の懸念事項は会員数の漸減していることだ。皆様のご協力のもと少なくとも減少は防ぎたい。ただ、協会の財務体質は一時期の非常に厳しい状態から持ち直している。これまで同様、皆様のご尽力をお願いしたい」と述べた。

挨拶する松永会長

 当日は第74期事業報告、会計報告が行われた後、第75期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、第147回講演大会(2023年3月7日~8日)は千葉工業大学津田沼キャンパスで新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮した形式で開催したこと、第148回講演大会(2023年9月4日~5日)は山形大学米沢キャンパスで4年ぶりに懇親会と付設展示会を実施した形式で開催したこと、同協会が開催したセミナーの合計参加者が295名であったことなどを報告した。事業計画では、第149回講演大会を工学院大学八王子キャンパスで、第150回講演大会を北見工業大学で開催すること、ISO/TC107からの提案事項の審議、電波遮断金属薄膜応用部品-密着力測定に関する国際標準化調査、同協会の若手交流会開催、女性の協会活動への参加促進を図ることなどを確認した。

 任期満了に伴う役員改選では、今期より会長に平藤哲司氏(京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授)、副会長に蒲生西谷美香氏(東洋大学 理工学部 教授)、辻 克之氏(太洋工作所 代表取締役社長)が新たに選任された。近藤英一氏(山梨大学 大学院総合研究部 教授)と鈴木一徳氏(スズキハイテック 代表取締役社長)は前期に引き続いて副会長を務める。

 理事を代表して挨拶に立った平藤新会長は「松永会長の後を引き継いで非常に身の引き締まる思いだ。皆様方のご指導ご鞭撻をお願いしたい」と述べた。

挨拶する平藤新会長

 当日の席上では、「2024年度 表面技術協会 各賞授与式」が行われ、中野博昭氏(九州大学 大学院工学研究院 教授)が業績「電析法による機能性薄膜の作製およびその制御因子に関する研究」で協会賞を受賞した。中野氏は、高耐食性表面処理鋼板製造のための電析Znの結晶形態制御技術およびZn系複合電析に関し独創的および先駆的研究を展開し、優れた業績を挙げている。有機被覆処理を施した機能性電気Znめっき鋼鈑の外観は、Znの結晶形態に強く依存するため、その結晶形態を制御することが必須である。電析Znの結晶形態に及ぼす素地鋼鈑の表面性状、基本電解因子、浴中の微量不純物、有機添加剤などの因子の影響をZnの結晶配向性、多結晶素地鋼鈑とZnのエピタキシーおよびZnの電析過電圧の観点から系統的に検討し、優れた外観を有するZnめっき鋼鈑の製造技術を確立することに成功した。

 次世代防錆鋼鈑の基礎研究として、Zn電析時の陰極界面のpH上昇を利用してV、Zr、Al、Mg等の活性金属イオンを加水分解させながらナノサイズの超微粒子としてZn電析膜中に共析させる電析技術を開発した。本プロセスは電解液に不溶性の固形分散粒子を添加しないため、nmレベルの超微細粒子をZnと共析させることが可能であり、新たな電析膜特性が期待できるとともに、従来の複合電析の製造上の問題点も解決できる画期的なものである。

 さらに、アルカリジンケート浴からのZn-Ni合金電析挙動に及ぼす有機添加剤の影響、Zn-鉄族金属複合電析膜の干渉による色彩の発現、誘導型Ni-W合金電析膜の微細構造と硬度に及ぼす熱処理の影響、低熱膨張型Fe-Niインバー電析合金の組成制御法、巨大ひずみ加工により結晶粒を微細化したAl合金の耐孔食性についても明らかにしている。

 以上のように中野氏は、学術的な知見を基に精力的に研究を行い、電析法による機能性薄膜およびその制御因子に関して多くの業績を挙げ、表面技術の進歩、発展に顕著な貢献をした。

表彰される中野氏

 また論文賞では大澤伸夫氏(UACJ)ら5名が「電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の表面偏析」で受賞。この論文は、鉛の表面偏析サイトが熱間圧延プロセスのロールコーティング由来の表面酸化層(酸化を伴う表面微細組織)であることを低加速高分解能FE-SEM、TEMおよび種々の表面分析手段を駆使して表面の平滑部、突起部などの特長を明らかにしている。

表彰される大澤氏ら

 進歩賞では、田中一平氏(兵庫県立大学 大学院工学研究科)が業績「熱・プラズマを用いた炭素系硬質薄膜の新規成膜法の開拓」で受賞。田中氏はCVD法を基盤とした熱・プラズマを用いた新たなダイヤモンドや窒化炭素の成膜手法の構築に取り組んできた。特にダイヤモンド合成では、自身が開発したホットチューブ型熱フィラメント化学気相成長法により、比較的低い基盤温度537℃で0.7μm/h、743℃で13.5μm/hの合成速度を達成している。

表彰される田中氏

 同じく進歩賞で布村順司氏(UACJ マーケティング・技術本部 R&Dセンター)は業績「アルミニウムアノード酸化皮膜の構造制御による白色化技術の開発」で受賞。布村氏は、皮膜表層で光を乱反射させる凹凸構造を形成させる新技術を見出し、アルミニウムのアノード酸化皮膜の白色化を達成した。特殊な電解液や手法を用いる従来技術に対し、本技術は硫酸ベースにより一般的な電解液と簡便な手法とを用いて高い白い色度を達成した点が独創性に富む。

表彰される布村氏


 受賞者、業績などの一覧は以下のとおり。

協会賞

・中野博昭氏(九州大学 大学院工学研究院 教授)

業績「電析法による機能性薄膜の作製およびその制御因子に関する研究」

功績賞

・小岩一郎氏(関東学院大学 理工学部 教授)

・小林道雄氏(ヒキフネ 執行役員 技術部長)

論文賞

・大澤伸夫氏・富野麻衣・林 知宏氏・上田 薫氏(UACJ)、本居徹也氏(UACJ製箔)

「電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の表面偏析」

(表面技術 第73巻 第10号 504~511ページ)

技術賞

推薦なし

進歩賞

・田中一平氏(兵庫県立大学 大学院工学研究科)

業績「熱・プラズマを用いた炭素系硬質薄膜の新規成膜法の開拓」

・布村順司氏(UACJ マーケティング・技術本部 R&Dセンター)

業績「アルミニウムアノード酸化皮膜の構造制御による白色化技術の開発」

技術功労賞

・野嶋晃子氏(神戸製鋼所 技術開発本部 開発業務部 試作実験室)

・水師弘之氏(日本製鉄 技術開発本部 尼崎研究支援室)

・村中幸夫氏(JFEスチール スチール研究所 表面処理研究部)

会員増強協力者

・鷹野一朗氏(工学院大学 工学部)

・野田和彦氏(芝浦工業大学 理工学部)

・邑瀬邦明氏(京都大学 大学院工学研究科)

admin 2024年3月6日 (水曜日)
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