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JX金属、台湾拠点で半導体用スパッタリングターゲット生産能力増強

1年 ago
JX金属、台湾拠点で半導体用スパッタリングターゲット生産能力増強

 JX金属の子会社である台湾日鉱金属は、半導体用スパッタリングターゲットの加工設備の増強を行い、同拠点における生産能力を現行から約80%引き上げることとした。今後、新規ラインの設計・建設・立上げを行い、2024年度下期以降、随時稼働予定。

 JX金属グループの半導体用スパッタリングターゲットは、最先端のロジックやメモリなどをはじめ、各種半導体デバイスの製造に用いられている。製品は業界トップのシェアを有しており、「2040年JX金属グループ長期ビジョン」において「フォーカス事業」として位置付けている先端素材分野の主力製品の一つ。世界的なデジタル化進展に伴って半導体産業の拡大が進み、長期的な観点で需要増が見込まれることから、現在同社グループでは国内外で同製品の生産能力の増強を行っている。この一環として、最先端半導体の生産拠点である台湾においても、従来比2倍の能力とするための設備投資を今年度に完了したが、同地域の将来的な需要増を見据え、今般、これにさらに上積みして生産能力増強を行うことを決定した。

台湾日鉱金属

 

admin 2023年4月6日 (木曜日)
admin

第19回 FC EXPOが開催、BPPコーティングなどが展示

1年 ago
第19回 FC EXPOが開催、BPPコーティングなどが展示

 「第19回 FC EXPO―【国際】水素・燃料電池展―」が3月15日 ~17日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。表面改質関連では、燃料電池車(FCV)のバイポーラプレート(BPP)用コーティングなどが展示された。

 

 

 HEFグループは、HEF DURFERRIT JAPAN、TS 群馬、ナノコート・ティーエスの共同で出展。BPP用に開発した、導電性、耐食性、密着性に優れたPVD コーティング「セルテスFC」を紹介した。ステンレス、チタン、アルミニウムといったBPPの基材を問わず、高い耐食性(陽極:1μA/cm2未満・アクティブピークなし、陰極:1μA/cm2未満)・導電性(100S/cm以上)と低い接触抵抗値(0.01Ωcm未満)を持つBPP向けカーボンコーティングとなっている。量産対応としては、成膜面を最適な状態にする自動洗浄ラインから、最大の生産効率を実現する専用治具、生産性を最大化する最先端の成膜装置、確かな品質保証とトレーサビリティーを実現する自動カメラ検査装置を組み込んだ専用生産設備を設計・開発・製造している。

展示ブースのようす

 

BPP用カーボンコーティング「セルテスFC」


 IHIグループは、IHI(車両用過給機事業部門)、IHI Hauzer Techno Coating 、IHI Ionbondの共同で出展。IHI Hauzer Techno Coatingは、導電性・耐食性に優れたBPP用PVDカーボンコーティングのサンプルを展示したほか、インライン式PVDコーティング装置「Hauzer Flexliner®」を紹介した。大量生産に適した設計がなされており、高度に自動化された工場ラインへのインテグレートも容易で、モジュールコンセプトのため生産能力増強やコーティングプロセス追加に対しても柔軟な拡張性を有する。BPP向けPVDカーボンコーティングでは年間1000万枚レベルの生産が可能で、量産フェーズに十分対応できるコーティング装置としてアピールした。

展示ブースのようす

 

BPP向けカーボンコーティング

 

kat 2023年3月29日 (水曜日)
kat

トシコ、中部地区の生産拠点を移転し生産能力増強

1年 1ヶ月 ago
トシコ、中部地区の生産拠点を移転し生産能力増強

 トシコ( https://www.tosico.co.jp/ )は愛知県一宮市に新工場を建設し、中部地区での生産拠点である岐阜県関ヶ原町の関ヶ原工場から移転する。

 粘着テープや接着剤が付着しない非粘着表面を形成する「トシカル®コーティング」を行う同社は、これまで埼玉県川越市の本社工場と関ヶ原工場の二拠点体制で生産を行ってきた。関ヶ原工場は、1996年に操業を開始した工場で中部地区の生産拠点としていたが、生産能力の限界や建物等の老朽化が顕在化していた。

 そこで同社では、今後の顧客の多様なニーズに素早く対応するため、グループ会社のフロロコート名古屋の隣地に移転し、成長に向けた新たな工場を建設することとした。新工場では、新規にバッチ炉と水洗ブースを導入し、生産能力をこれまでの1.8倍に増強する。また、建屋の屋根にソーラーパネルを設置し低炭素社会への対応に向けて、ESGに配慮した工場運営を行っていく。併せて、現在の製造のみの組織体制から、製造と販売が一体の事業部制へと変更する。これまでよりスムーズに顧客に対応することで、技術に加えさらなる顧客満足度の向上を目指す。

 新工場の敷地面積は1640m2、建屋面積は826m2、総投資額は4億5000万円。2023年4月28日に竣工、5月16日からの生産開始を予定している。

新工場(東海工場)の概要
住所:〒494-0003 愛知県一宮市三条字野間8番1
代表電話:0586-82-1145
FAX番号:0586-82-1146
生産品目:表面処理(トシカルS®コーティング、ファインブラスト®加工)

新工場のイメージ

 

 

admin 2023年3月14日 (火曜日)
admin

ナノコート・ティーエス、トライボロジーラボの機能を刷新

1年 1ヶ月 ago
ナノコート・ティーエス、トライボロジーラボの機能を刷新

 ナノコート・ティーエス(https://www.nanocoat-ts.com)は2022年11月、東京本社およびトライボロジーラボを東京都立川市に移転した。PVD(物理蒸着)コーティングの精密部品・精密加工金型、自動車部品などへの適用を進める営業の体制を東日本で強化するとともに、DLC膜などの開発/不良解析を目的とした受託試験サービスの拠点である「トライボロジーラボ」の機能刷新による受託試験の増強を図っている。

トライボロジーラボのスタッフ一同
左から、生田啓一氏、庄子健一氏、熊谷 泰社長、川本秀士氏、坂下武雄氏

 

 トライボロジーラボ機能刷新の最大のポイントは、同社が属するHEFグループが1960年代に開発した摩擦摩耗試験機「HEF TRIBOMETER」の、大幅なシステム系統の見直しだ。HEF TRIBOMETERは機械の剛性が高く、ラボスケールから実機条件に近いパイロットスケールまで、種々のトライボロジー試験が行える。

 今回は特に自動車分野や航空宇宙分野などから要求の高い高速・高荷重の試験が実施できるよう、試験片の回転速度を従来の3000rpm から5000rpmへ、試験片への負荷荷重を従来の1000Nから 2000Nへと高めた。

 新システムには、低慣性タイプで高頻度位置決め運転や高加減速運転に最適な主軸用ACサーボモータ「HG-JR503K」(三菱電機製)と、各2個の揺動モータと負荷モータを一つのコントローラーで動かせるステッピングモーター「αSTEP AZシリーズ」(オリエンタルモーター製)を搭載。タッチパネルを用いて試験条件を設定すると、シーケンス制御により上記5点のモータが個別に制御され、セットされた試験片に対し設定された雰囲気、負荷荷重、速度条件で摩擦摩耗試験が自動で行われる。試験片に合わせたアタッチメントのカスタムメイドにも対応している。

 上述のトライボメータ試験モジュールに加え、「FALEX(ファレックス)試験モジュール」も10月をめどに稼働できるよう準備を進めている。そのほか、水素雰囲気中での試験モジュールも構築できるという。

機能が刷新されたHEF TRIBOMETER


 トライボロジーラボではまた、自社製造で外販も行う表面清浄度測定器「コロナサーフ」がWindows10での計測制御・データ解析ができるようバージョンアップ、使い勝手が向上し貸し出しも始める予定。コロナサーフは、コロナ放電によって電荷を付与する前後の、母材の表面電位(仕事関数)の変化を振動容量法(ケルビンプローブ)で非接触測定し、母材表面の汚染(酸化)度合いを定量評価。洗浄プロセスの開発や生産ラインでの部品表面の清浄度管理、成膜前処理管理などにも利用できるほか、DLC被膜の表面電子構造の評価・品質管理にも利用されている。

バージョンアップされたコロナサーフ

 

 また、大阪大学名誉教授・井澤靖和氏が開発した「非破壊・非接触DLC膜厚測定装置」も設置。分光干渉方式の応用でDLC膜の膜厚が非接触・高精度に短時間で得られる。三次元形状のサンプルの膜厚やパイプ内径上のDLC膜の膜厚も測定できるほか、膜厚分布状態の把握ができ成膜プロセスの最適化が図れる。

非破壊・非接触DLC膜厚測定装置

 

kat 2023年3月14日 (火曜日)
kat

サーフテクノロジー、PFAS対策で非粘着/撥水/親水セラミックコーティングの取扱いを開始

1年 1ヶ月 ago
サーフテクノロジー、PFAS対策で非粘着/撥水/親水セラミックコーティングの取扱いを開始

 サーフテクノロジー(https://www.microdimple.co.jp)は、パーフルオロアルキル(PFOA)およびポリフルオロアルキル(PFOS)など有機フッ素化合物(PFAS)の規制が日本国内でも本格化しつつある中、食品工場で適用されPFAS対策の施されていないフッ素樹脂コーティングの代替となる非粘着性を有しつつ、フッ素樹脂よりも耐摩耗性の高いセラミックコーティング「Infinityシリーズ」の取扱いを開始する。

 サーフテクノロジーではPFAS対策強化を見据え、早くからフッ素樹脂コーティングの代替として粉体などの滑り性を向上させ洗浄性を高められる「マイクロディンプル処理(MD 処理®)」の提案を進めており、PFAS 問題への自主対応を強力に進める食品業界において篩やホッパー、フライヤーなど幅広い用途で採用が拡大してきている。また、最近ではMD処理®による細菌・ウイルス・カビの抑制効果も認められてきている。

 そして今回さらに、食品業界で実績のある非粘着・耐摩耗性を付与するYMM 製セラミックコーティング「Infinityシリーズ」の販売を開始しフッ素樹脂コーティングの得意とする非粘着用途をカバーしつつ、さらに耐摩耗性を高めるという付加価値を提供すべく、YMMとInfinityシリーズの販売総代理店契約を結んだもの。

 セラミックコーティングInfinityシリーズはもともと大東化成が2010年ごろから取扱いを開始、フッ素樹脂コーティングの代替として、食品工場での適用実績は少なくなかった。しかし、同社の組織上の問題からユーザー対応が停滞していたことから、2020年に食品輸送事業を主体とするYMM(旧社名:YMMフードサービス)へと大東化成から事業が譲渡され、YMMがコーティング事業部を新設してInfinityシリーズを販売することとなった。

 だが、YMMに事業譲渡された時点で食品工場への販売ルートはほとんど途絶えており、食品工場においてフッ素樹脂コーティングを代替し強化できる可能性のあるInfinityシリーズの適用を進める方策がない状況にあった。そこでMD処理®やDLCコーティングなどの食品工場での採用が拡大しているサーフテクノロジーの名声を耳にしたYMMの経営陣が、サーフテクノロジーに対し、食品分野で構築された同社のネットワークを通じてのInfinityシリーズの拡販を願い出た。

 下平英二・サーフテクノロジー社長は、「2022年12月に東京ビッグサイトで出展していた展示会の当社ブースをYMMの社長、会長、コーティング事業部長が突然訪ねてきた。その後もYMM経営陣の二度の来社があり、YMMのコーティングを売ってほしいと言う。三顧の礼ではないが、ノンフライめんの蒸熱工程での付着抑制などでInfinityシリーズが使われていたが入手できないと顧客から聞いていたこともあり、PFASの規制が急速に進む中でのフッ素樹脂コーティング代替のためのラインナップ増強も目的に、Infinityシリーズの販売総代理店を務めることを決めた。フッ素樹脂コーティングが大幅に値上げする傾向にあることもあり、フッ素樹脂コーティングと同等程度の非粘着性と優れた耐摩耗性を付与できるInfinityシリーズの価格優位性は、当社の食品分野でのネットワークを通じて適用を広げられると考えている」と語る。

 今回、サーフテクノロジーが取扱いを開始するのは、非粘着・耐熱・耐摩耗性セラミックコーティング「Infinity 530(YMM製品名:Infinity 330改)と、撥水性セラミックコーティング「Infinity 531(YMM製品名:Infinity GL-1)」、親水性セラミックコーティング「Infinity 532(YMM製品名:Infinity GL-2)」。

 Infinity 530 はファインセラミックス(SiO2)を原材料に使用した平均膜厚20μmの無機系コーティングで、フッ素樹脂コーティングと同等の非粘着性を有しつつ、フッ素樹脂コーティングでは対応できない450℃の高い耐熱性と鉛筆硬度9H の高い耐摩耗性を実現する。ゾルゲル複合材料技術(アルコキシド系ゾルを加熱などによりゲル状態とし、セラミックスなどを合成する化学操作の一つ)の適用で有害な有機バインダーを含まずに高い密着性を実現できる、安全なコーティングとなっている。

 Infinity 530 は表面に非粘着性を付与できることから、チャーハンや卵焼き、ハンバーグなどケチャップや調味料などが多用される、フッ素樹脂コーティングが適用されてきたアプリケーションで、さらに耐摩耗性を付与でき、非粘着の効果を持続できる。また、水蒸気が浸透しない耐スチーム性を有することからは、水蒸気で蒸すノンフライめんのくっつきなども防止できる。

 一方、Infinity531、Infinity 532 はポリマーを含まない完全無機質な膜厚1μmのセラミックコーティング。Infinity 531は撥水性に優れ、Infinity532は親水性に優れる。水と有機溶媒からなる反応液中において、加水分解、脱水縮合させた後、200℃以下の温度でガラス化。Infinity 530で必要とされる下地処理のサンドブラスト処理が要らないため、母材を傷つけることがないほか、下地処理が必要ない膜厚1μmの薄膜のため刃物などの薄物に適用できる。また、内径0.5mmといった細い配管の内面でも耐腐食性向上を目的とした適用実績があり、配管内面のアプリケーションにも提案を進める。

 Infinity531、Infinity 532 は膜厚1μmの薄膜のため、MD処理®による微細な凹凸をトレースでき、MD処理®が実現する滑り向上や付着抑制、洗浄力向上といったテクスチャーの形状効果を持続できる保護膜としても、有効と見られる。サーフテクノロジーでは、MD処理®の保護膜として耐摩耗性の高いDLCコーティングの採用実績も多いが、DLCコーティングを使うだけの耐久性が必要のない用途では、比較的低コストのテクスチャー保護膜としても、Infinity531、Infinity 532が利用できる。

 これまでMD処理のアプリケーション開拓を手掛け、今回Infinityシリーズの販促を担当することになったサーフテクノロジーの新井正彦氏は、「粘性のある食品を扱うローラーの表面などにはフッ素樹脂コーティングの被覆が多用されてきたが、Infinity 530はフッ素樹脂と同等程度の非粘着性を付与でき、フッ素樹脂以上の耐摩耗性によって非粘着性を持続できる。また、Infinity531、Infinity 532 は(ブラスト処理を伴わない)平滑な薄膜のため、ふき取りが容易で衛生的に優位。いずれも、多くの点でフッ素樹脂コーティングの代替が狙えると思う。PFAS対策は必至で、評価し置き替えるには時間を要するため、早期に着手すべき。MD処理®は食品分野では比較的新しい技術になるが、早くからPFAS対策に取り組む食品メーカーは積極的に試験評価し採用している。MD処理®の販促に際して実施したように処理の性能やメリットが分かる試験動画をInfinityシリーズでも制作するとともに、MD処理®とInfinityシリーズとの複合処理のテストピースを作製し食品メーカーに提出して評価してもらうことなどにより、フッ素樹脂コーティングの代替を加速させていきたい」と意欲を語っている。

Infinityシリーズを処理したプレートを手にする販促担当者の新井氏

 

kat 2023年3月9日 (木曜日)
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トライボコーティング技術研究会、第15回岩木賞贈呈式、第25回シンポジウムを開催

1年 1ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、第15回岩木賞贈呈式、第25回シンポジウムを開催

 トライボコーティング技術研究会と理化学研究所は2月24日、埼玉県和光市の理化学研究所 鈴木梅太郎記念ホールで、「岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)第15回贈呈式」および「第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム-ナノ多孔高分子フィルム、先進コーティング、高機能3Dプリンタ、CT技術-」をハイブリッド開催した。

第15回岩木賞受賞者と関係者


 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、現在は未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 第15回目となる今回は、東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏が業績名「クレージング現象を利用したナノ多孔高分子フィルムおよび繊維の開発」により大賞に輝いた。また、新明和工業が業績名「ダイヤモンド成膜工具の刃先先鋭化装置の開発」により事業賞に輝いた。さらに、慶応義塾大学 小池 綾氏が業績名「高重力場を援用した高機能 3Dプリンタの開発」により奨励賞を受賞した。

 大賞の業績「クレージング現象を利用したナノ多孔高分子フィルムおよび繊維の開発」は、高分子材料の初期破壊現象であり工業的には抑制されるべき現象であるクレージング現象を制御しつつ活用しナノ多孔高分子フィルムおよび繊維を開発するという世界唯一の技術である。高分子のクレーズの内部はナノオーダーのフィブリル(繊維束)とボイド(孔)からなるスポンジ状ナノ構造であり、本業績では、脆性に破壊する高分子フィルムの破壊直前の状態を管理・制御する技術を開発することで、フィルムあるいは繊維状の素材に、安定したクレーズを生じさせるとともに、規則構造を持たせることに成功したもの。本技術により、視点により透明性が異なる視界制御性フィルムや水中にマイクロバブルを発生する膜として上市されていることや、本技術を繊維製品等に多用途展開するベンチャー企業FiberCrazeがスタートしていることなどが評価され、受賞に至った。

 受賞の挨拶に立った武野氏は、「大学院生だった40年前に理化学研究所で岩木正哉先生のご指導を受けて研究を進めた。今回岩木先生の偉業を讃えて創設されたこの賞を受賞する栄誉にあずかり、岩木先生から賞をいただいた気分で大変感慨深い」と語った。

左から、大森会長、武野氏、当日プレゼンターを務めたFPS表彰顕彰部門長 藤井 進氏

 

 また、事業賞の業績「ダイヤモンド成膜工具の刃先先鋭化装置の開発」は、一般的にダイヤモンド成膜がTiNやTiAlNなどのPVD膜に比べて膜厚が厚く切削工具に施すと刃先Rが大きくなり切削性能が低下するのに対し、プラズマイオン処理によりダイヤモンド成膜された切削工具の刃先を先鋭化する装置を開発し、CFRP加工などで従来から行われている「捨て穴加工」を排除し生産効率向上に寄与する技術を確立したもの。従来からレーザーを用いてダイヤモンド成膜した切削工具の刃先を先鋭化する技術はあったが、ツールパスの設定が難しく、加工後の表面状態が必ずしも良好とは言えず一部基材の露出も見られる場合がある。本開発は、プラズマのアンテナ効果を利用し、主として刃先のダイヤモンド被膜をイオンエッチングすることで先鋭化とドロップレットの低減を可能にしたほか、一度に複数本の工具が処理可能で従来技術が抱える問題を解決できることなどが評価された。

 受賞の挨拶に立った岡本氏は、「栄誉ある賞をいただき、先鋭化装置の開発者一同が喜びを感じている。本賞を受賞し評価されたことは装置の大きなPRとなる。これを機に拡販へとつなげていきたい。先鋭化装置は販売実績がありながらも、まだまだ改良すべき点も多く、関係各位のご指導をいただきながら、より良い装置に仕上げていきたい」と語った。

左から、大森会長、岡本氏、藤井氏


 

 さらに、奨励賞の業績「高重力場を援用した高機能 3Dプリンタの開発」は、世界に先駆けて実施した高重力場アディティブマニュファクチャリング(AM)の研究成果である。宇宙空間の微小重力場で金属AMを用いた保全などを行う際、粉末が浮き、スパッタがどこまでも飛び、内部欠陥が浮力の減少でいつまでも排出されないなど、粉末床溶融結合法(PBF)は実行困難となる。本業績では、10Gまでの高重力場を作用させる装置を開発、造形プロセス評価において、1Gでは造形面に粉末が凝集したのに対し、10Gでは凹凸の少ない粉末床を形成し、スパッタの発生が合成加速度の逆数に比例して減少することが、また、造形物品質評価では、1層造形物のうねりが10Gで低減しボーリング現象を抑制することや多層造形物の密度と硬さが向上し金属組織の微細化が図られることが確認された。高重力場を援用した超微細構造造形を用いることで機能性表面生成への重要な一歩となる可能性が評価された。

 受賞の挨拶に立った小池氏は、「栄えある賞を受賞したことを機に、開発技術を社会に広めていきたい。同時に、社会に役立てていただけるよう研究開発を深化させたい」と述べた。

左から、大森会長、小池氏、藤井氏

 

 贈呈式の後はシンポジウムに移行。岩木賞の記念講演として大賞に輝いた東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏が、事業賞に輝いた新明和工業 岡本氏が、奨励賞に輝いた慶応義塾大学 小池氏がそれぞれ講演を行った後、以下のとおり3件のトライボコーティング技術研究会会員による講演がなされた。

・「DLC コーティング技術とアルミ切削工具への応用展開」小磯裕太氏(日本電子工業)…従来の水素含有DLC(a-C:H)膜中にケイ素(Si)を含有させた豊田中央研究所開発のDLC-Siコーティング技術を同社のプラズマ熱処理技術とプラズマCVD装置のノウハウにより実用化した「NEO Cコーティング」のほか、UBMS法+PACVD法で成膜するDLC-P(a-C:H)やアークイオンプレーティング法で成膜するDLC-A(ta-C)、UBMS法で成膜するDLC-S(a-C:H)やW-DLC(a-C:H:W)、PACVD法で成膜するSi-DLC(a-C:H:Si)など多種の標準ラインナップを有するPVD方式で成膜した「NEO VCコーティング」の技術を紹介。製造プロセスにより構造や硬さ、表面粗さなどの特性の異なる各種のNEO VCコーティングを成膜した切削工具を用いてアルミニウム合金のドライ切削特性について評価したところ、アルミニウム合金のドライ切削にはドロップレット数を抑えたta-C膜であるDLC-Aが適している一方で、シリコンを多く含むアルミニウム合金の切削では工具摩耗が見られたことを報告した。

・「無機-有機ハイブリッドコーティングの設計と応用―機能性ハードコート材の開発―」佐熊範和氏(東京都立産業技術研究センター)…無機結合を代表するシロキサン結合(Si-O)エネルギーは極めて大きく耐光性・耐久性に優れる。しかしこうした優位性を持つポリシロキサン樹脂をコーティング用途に展開するには、脆性・密着性・硬化性・溶解性・安定性などのハンドリング性に劣るため、その改善を目的にHybrid sol-gel法を用いて有機ポリマーとハイブリッド化した無機-有機ハイブリッド樹脂を合成した。粒子ハイブリッドとしてはコロイダルシリカ(ナノシリカゾル)表面の-SiOHを反応対象としHybrid sol-gel法による有機ポリマーとの共重合により硬度・耐熱・耐久性が高まった透明ハードコート化が可能になる。無機-有機ハイブリッドコーティングとしてはまた、防汚型ハードコートやUV吸収性ハードコート、屈折率制御型ハードコートなどが実現できることを紹介した。

・「新たに発見された離散ラドン逆変換厳密解に基づくCT画像」高梨宇宙氏(理化学研究所)…フィルター逆投影(FPB)法はCT画像再構成法の数学的な基礎を与える連続空間上で定義されたラドン変換から自然に導かれるが、計測データが離散的なため骨と軟部組織の境界や金属と樹脂部品の境界などで再構成画像にアーチファクトを生じる。一方、吸収係数を未知数、投影データ群を既知数とした連立方程式を解くことで画像再構成を行う代数的再構成(ART)法は問題設定の段階から空間を離散化して取り扱うため同様のアーチファクトが生じにくい反面、ラドン変数で保障される投影データと断層画像の一対一対応が壊れてしまう。こうした問題に対し、適切な離散化で意図的に過剰系を作りそこに含まれる正則系を取り出すことでラドン変換の逆変換の厳密解を構成するアルゴリズム「SOL」を考案した。3Dプリンタで造形した既知の体積の撮像ターゲットを作成し同ターゲットのX線CT画像データを取得、SOLとFBP法を用いて同じデータに対し三次元再構成を行い、得られた三次元データを、画像解析ソフトによるセグメンテーション手法で体積を評価し撮像ターゲットの体積と比較したところ、SOLの体積評価精度がより高い結果となり、SOLの厳密解再構成画像の評価値が有効であると示された。

第25回シンポジウムのもよう

 

kat 2023年3月6日 (月曜日)
kat

表面技術協会、第74回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

1年 1ヶ月 ago
表面技術協会、第74回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

 表面技術協会( https://www.sfj.or.jp/ )は2月28日、オンライン会議システムを利用したリモート方式により「第74回通常総会および各賞授与式」を開催した。

第74回通常総会のもよう

 当日は第73期事業報告、会計報告が行われた後、第74期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、第145回講演大会(3月8日~9日)は新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえオンライン方式で開催したこと、第146回講演大会(9月6日~7日)は埼玉工業大学との共催により対面開催したことなどを報告した。事業計画では、第147回講演大会を千葉工業大学津田沼キャンパスで開催することや第148回講演大会を山形大学米沢キャンパスで開催すること、ISO/TC107からの提案事項の審議を行うことなどを確認した。

 役員改選では、前期に引き続いて会長に松永守央氏(北九州産業学術推進機構 理事長)、副会長に幅﨑浩樹氏(北海道大学 大学院工学研究院 教授)、山本渡氏(山本鍍金試験器 代表取締役社長)が再任。今期より近藤英一氏(山梨大学 大学院総合研究部 教授)、鈴木一徳氏(スズキハイテック 代表取締役社長)が副会長に選任された。

 理事を代表して挨拶に立った松永会長は「会員数が減少している問題がある。将来計画委員会でも話し合われているが、当協会は特に女性会員が非常に少ない。今年度もう一度各委員会で対策を検討していきたい。研究課題としてはカーボンニュートラルとCASEを含めた新しいモビリティの問題、5Gの問題など色々と表面技術が関わる問題がある。こうした問題についても表面技術誌やセミナーを通して発信していきたい。会員増加にもつながるはずだ」と述べた。

挨拶する松永会長

 当日の席上では、「2023年度 表面技術協会 各賞授与式」が行われ、各賞選考委員長が受賞者と業績、受賞理由を述べた。協会賞には、安住和久氏(北海道大学 大学院工学研究院 特任教授)が業績「金属の表面処理に関する実験的および理論的研究」で受賞。安住氏は腐食防食および表面処理分野において研究開発を行ってきた。腐食科学分野においては、鉄やチタンなどの不働態皮膜の半導体的性質に関する研究において分光エリプソメトリー、光電流スペクトル、インピーダンススペクトル、電気抵抗法などを活用して、nmオーダーの極薄膜である不働態皮膜の光学物性と不働態電場保持機能の解明、皮膜の厚さおよび構造と電子物性との関係などを明らかにした。またカップリング電流マッピングによるすきま腐食、大気腐食などの腐食進展解析、光電気量マッピングによる金属中水素透過挙動解析など、各種の腐食現象可視化技術を開発している。このほか、高レベル核廃棄物地下埋設環境におけるコンテナ候補金属材料、特に極低酸素濃度環境における銅の腐食挙動解析を進めてきた。近年は、マルチ埋込み電極によるコンクリート鉄筋の腐食挙動解析、氷点下での腐食現象解明に取り組み、カップリング電流マッピングによる氷下の鋼表面の腐食挙動の可視化、積雪下腐食モニタリング、実環境における大気腐食モニタリングなどを実現している。
 表面処理分野においては、アルミニウム、マグネシウムなどの難めっき軽金属合金への耐食めっき前処理に関する研究を進め、アルミニウムの2回ジンケート前処理機構の解明、マグネシウム合金への化成処理および無電解めっき前処理、銅ナノ粒子析出活性化処理を併用したイオン液体浴からのマグネシウム上へのアルミニウムめっきの実現、薄層複合対極からの合金析出など新規めっき法の開発を行った。また、量子計算による電析素過程の解析、イオン液体浴からのチタン合金析出の効率化、イオン液体相変化におけるインピーダンス挙動解析と3成分系相図作成への応用などの新たな手法を開発した。さらに、液中大気圧プラズマの解析と応用、二酸化炭素の電気化学的還元の効率化に関する研究、導電性ポリマー多層膜の製膜と応用、各種pHセンサの開発など、幅広い分野にわたり研究業績をあげている。

協会賞を受賞した安住氏

 また技術賞では、馬渕豊氏(宇都宮大学 大学院地域創生科学研究科)ら3名が業績「AEを用いた潤滑下におけるDLC膜の密着力評価方法の開発」で受賞。開発された技術は、汎用的な摩擦試験機にDLC膜のはく離を検知するアコースティックエミッション(AE)センサを加えることで、エンジン実部品と相関のある密着力を計測する簡易的な評価方法である。課題解決のポイントは、エンジンにて高負荷条件で頻繁に生じるはく離現象の再現のため、ドロップレット等による表面欠陥の影響の緩和策として先端曲率の大きい3/8inchベアリング鋼球を圧子とした点である。また、無潤滑下での摩擦係数の変動や異物に対する感受性を潤滑下での試験条件に変更することで抑制し、AEのみによる膜のはく離検知を可能とした点である。さらに、密着力評価の際にDLC膜の適用先の油種を用いる場合もあるため、異なる油種の影響に関する解析を行った。その結果、試験後の表面粗さと摩耗による曲率変化を把握し潤滑パラメータλで整理することで、油種違いでのはく離荷重を補正比較する手法を確立した。本技術は、汎用のPin/Disk試験機にAEセンサとアンプのみを装着することで実現可能であり、わずかな投資でDLC膜の密着力を評価できる。本技術の普及のため学会発表や解説記事の執筆がなされており、2022年5月にISO4821すべり軸受-潤滑状態でのDLCコーティング部品の動的接着試験方法として発行された。本技術の確立によりDLC膜の研究・開発が促進され、機械の効率化によるCO2削減やメンテナンス費の削減、性能の向上が期待される。

技術賞を受賞した馬渕氏

 同じく技術賞で高徳誠氏(JCU 総合研究所)ら4名が業績「ポリイミドへの無電解めっき技術の実用化」で受賞。スマートフォンに代表される小型携帯情報端末には、薄くて折り曲げ可能なフレキシブル回路基板(FPC)が多用されており、絶縁層としてのポリイミドフィルム上に銅の導体層を形成したフレキシブル銅張積層板(FCCL)をもとに製造されている。FCCLの一種であるスパッタ材は、スパッタリング法によりポリイミド上に直接NiCr/Cuシード層を形成し、その後硫酸銅めっきにて導体層を形成している。スパッタ材はポリイミド/導体層界面が極めて平滑で微細配線形成に有利であるが、高価である課題を抱えていた。一方、安価なシード層形成方式として無電解めっき法がある。ポリイミド上無電解めっきプロセスで長年実用化を妨げていたのは熱負荷後の密着強度の低下である。本技術では、その原因がめっき触媒をポリイミド表面に吸着させるためのアルカリ改質層の厚みにあることを明らかにし、めっき触媒にカチオン系末端基を有する塩基性アミノ酸Pd錯体を用いることで10nm以下の薄い改質層へもめっき析出が可能となった。また、これに伴い密着強度は市場要求の150℃168時間後0.4kN/mを達成した。さらに、FPC製造時の配線はく離問題も改質層ナノレベル化が有効であることを明らかにし、量産技術の確立に貢献した。その後、生産性向上のためロール・ツー・ロール式無電解めっき装置の開発に取り組み、めっき触媒のローラー転写・めっき析出、めっき皮膜欠陥が課題であったが、めっき液硫によるフィルムの非接触ターンで解決している。

技術賞を受賞した高徳氏

 受賞者、業績などの一覧は以下のとおり。

協会賞

・安住和久氏(北海道大学 大学院工学研究院 特任教授)
業績「金属の表面処理に関する実験的および理論的研究」

功績賞

・横井昌幸氏(元 大阪府立産業技術総合研究所)
・高島敏行氏(北海道科学大学 顧問、北海道科学大学 名誉教授)

論文賞

岡井和久氏(JFEスチール)、中野博昭氏(九州大学)
業績「亜鉛めっき鋼板の耐白錆性に及ぼす化成皮膜成分複合化の影響」
(表面技術 第72巻 第5号 295~302ページ)

技術賞

・馬渕豊氏(宇都宮大学)、池原賢亮氏(日産自動車)、保田芳輝氏(堀場製作所)
業績「AEを用いた潤滑下におけるDLC膜の密着力評価方法の開発」

・高徳誠氏・松本守治氏・宮田実香氏・福本ユリナ氏(JCU)
業績「ポリイミドへの無電解めっき技術の実用化」

進歩賞

・松本歩氏(兵庫県立大学 大学院工学研究科 助教)
業績「無電解プロセスによるシリコンの表面処理と高感度レーザー分析への応用」
(表面技術 第69巻 第12号 628~632ページ ほか)

技術功労賞

・及川悦男氏(日本プレーテック)
・蘇武岳彦氏(日鉄テクノロジー 研究試験事業所)
・西本信幸氏(東洋鋼鈑 下松事業所 品質統括部)
・大山隆雄氏(JFEスチール 表面処理研究部)
・池田真二氏(メテック 生産部)
・原英樹氏(元 サーテックカリヤ)

会員増強協力者

・井上泰志氏(千葉工業大学 工学部)
・蒲生西谷美香氏(東洋大学 理工学部)
・坂本幸弘氏(千葉工業大学 工学部)

 

admin 2023年3月6日 (月曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2023年2月号 特集「表面改質最前線」、キーテク特集「表面観察」2月24日発行!

1年 1ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年2月号 特集「表面改質最前線」、キーテク特集「表面観察」2月24日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年2月号 特集「表面改質最前線」キーテク特集「表面観察」が当社より2月24日に発行される。

 今回の特集「表面改質最前線」では、 樹脂フィルム材に高速で信号伝送が可能な電子回路基板に応用可能な表面処理技術について、メガネやカメラレンズの表面、液晶ディスプレイやスマートフォン画面フィルムの表面に適用される反射防止膜の技術動向について、半導体製造設備の各種部材に適用が進んでいるドライコーティングの概要について、ドライコーティングの密着性を高めるための炭化水素系洗浄剤を使用した洗浄方法について紹介する。

 また、キーテク特集「表面観察」においては、優れた特性を持つ産業用および研究用AFMの最新技術と表面改質・薄膜関連の評価事例について、高精度カメラによる外観検査技術の概要と外観検査のアプリケーション例について紹介する。

特集:表面改質最前線

◇Beyond 5G/6Gに向けた電子デバイスと表面処理技術・・・関東学院大学 盧 柱亨

◇反射防止膜の技術動向・・・ニデック 川島 崇睦

◇半導体製造プロセス向けドライコーティングの開発と適用・・・日本コーティングセンター 川名 淳雄 氏、角谷 行崇 氏に聞く

◇ドライコーティングにおける洗浄技術の動向・・・東ソー 大川 朋裕

キーテク特集:表面観察

◇原子間力顕微鏡の最新技術と評価事例・・・パーク・システムズ・ジャパン 田 小維、金 鍾得

◇高精度カメラによる外観検査技術と、FCVセパレータなど高機能部品への適用・・・コニカミノルタ 宇田川 純一 氏に聞く

連載

注目技術:ハノーバーメッセ2023で披露されるコーティング技術・・・コーティング関連出展各社

トピックス

ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

日本半導体製造装置協会、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表

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admin 2023年2月22日 (水曜日)
admin

ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

1年 2ヶ月 ago
ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

 「ASTEC2023 第18回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2023 表面技術要素展」、「nano tech2023国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など14の展示会が、2月1日~3日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され31137名が来場、表面改質と表面試験・評価関連で多数の展示がなされた。

SURTECH2023のようす

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は、多機能摩擦試験機「MFT-5000」を展示した。摩擦試験では、試験前後のサンプルの正確な深さ、粗さの変化、実際の接触範囲を測定するため、顕微鏡での詳細な観察が重要になる。MFT-5000では、摩擦試験と顕微鏡観察を1台で行うことができるため、サンプル交換の簡略化のほか、摩耗の経時変化による評価など、高いレベルでの表面形状解析に貢献できる。そのほか、一つのプラットフォームでスクラッチ試験、インデンテーション試験、3Dプロファイラー、膜厚測定といった複数の試験が可能な表面材料試験機「SMT-5000」を紹介した。

Rtec-Instruments「SMT-5000」

 大塚電子(https://www.otsukael.jp/)は、ゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」を展示した。ELSZseriesの最上位機種で、粒子濃度(個数)測定やマイクロレオロジー測定、ゲルの網目構造解析、多角度測定による粒子径分布の分離能の向上などを新機能として追加している。本年からはまた、ELSZneoの新機能すべては必要ないが、粒子径測定専用機「nanoSAQLA」では機能が足りないというユーザーに対し、研究内容や予算に合わせて必要な新機能を一つから選択でき、研究内容に最適な装置としてカスタマイズ化できる粒子径・ゼータ電位測定専用機「ELSZneoSE」の販売を開始した。

大塚電子「ELSZneo」

 神戸製鋼所(https://kobelco-coating.com/jp/)は、従来品と比べて、生成する被膜の長寿命化を達成したアークイオンプレーティング(AIP)装置「AIP-iXシリーズ」を紹介した。搭載した新型蒸発源「μ-ARC」により、被膜の金属元素のうちAl含有率が70at%以上でも立方晶を維持、硬質で表面粗度も良好なAlCrN被膜の成膜が可能。また、新型エッチングシステム「Me-FAPE」が奥まった部分の密着性を向上し、処理空間内でのエッチング性能の均一性も改善。これら搭載機能により、従来のハイエンド工具と比較して約1.5倍の寿命向上が確認されている。さらに、広範囲な操業データをサンプリング・表示可能な状態モニターシステムを採用、トラブル発生時のスムーズな原因特定に貢献する。

神戸製鋼所のブース

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機「トライボギアTYPE:40」の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学のブース

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、国内最大級の大型DLCコーティング装置による長尺品DLCコーティングのサンプル展示、薄膜の硬度、摩擦摩耗、密着性などの評価分析の紹介、膜厚測定器の展示などを行った。また、今年春頃からの販売開始となる小型で機能を限定したDLCコーティングが可能な実験用の成膜装置「水素フリーICF330-SP」を紹介。同装置は①HiPIMSによる成膜が可能②ボンバード機能を省き熱に弱い材料をターゲットに採用③真空引きを5分に短縮しタクトタイムを1/5に高速化④軽量で可搬性があるため様々な場所に移動可能、などの特徴を備えている。

ナノテック「水素フリーICF330-SP」

 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp/)は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 パルメソ( https://palmeso.co.jp/ )は、ウェットブラスト技術を応用して微細な粒子と水を投射することで、材料の表面から内部まで連続した強さデータを取得できる「MSE試験装置」の紹介を行った。今回は異なる基材(PMMAとPC)に膜厚6μm、9μm、11μmで成膜した同一材料の薄膜に対しての試験結果を紹介。その結果、MSE試験では基材の影響を受けずに膜だけの強さを高分解能で測定している、とした。また膜厚違いにおいても膜厚の影響を受けずに膜表面から界面まで強さを分解して表示することができる、とした。このほか、めっき前の樹脂表面改質層の強さ分析や超硬チップ表面コーティングの膜質分析と耐久性評価、自動車塗装の加速劣化試験変化などを公開した。同社では装置販売とともに受託試験にも注力している。

パルメソのブース

 

admin 2023年2月15日 (水曜日)
admin

日本熱処理技術協会、5月15日、16日に2023年度 第1回熱処理技術セミナーを開催

1年 2ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、5月15日、16日に2023年度 第1回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は5月15日、16日、対面参加(エッサム神田ホール1号館7F 701:東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 第1回熱処理技術セミナー-熱処理基礎講座Ⅰ-」を開催する。

 本講座は、「強化機構」、「金属の基礎」、「焼入れと焼戻しの基礎」から始まり「耐熱性」、「摩耗特性」、「疲労特性」および「熱処理変形と焼割れ」について、国内の著名な講師が解説する。新入社員教育などをはじめとした企業における人材育成にも最適なプログラムとなっている。

 参加申込締切は5月2日で、以下のURLから申し込みができる。定員はオンライン参加が80名で、対面参加が先着20名。参加費は正会員36000円(税込)、維持会員36000円(税込)、非会員56000円(税込)。今回からはさらに高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格10,000円(税込)を設定している。

URL  https://forms.office.com/r/KvCKxwRrvM

 内容は以下のとおり。

5月15日

・9:55~10:00「オンライン配信に当っての注意事項」日本熱処理技術協会事務局

・10:00~12:00「強化機構と強度-金属材料が強くなるメカニズムは?-」髙木節雄氏(九州大学名誉教授)

・13:00~15:00「金属の基礎-鉄の結晶構造と鉄鋼の組織を理解するための基礎-」髙木節雄氏(九州大学名誉教授)

・15:10~16:40「高温変形の基礎-高温材料強化に向けての基本戦略-」寺田芳弘氏(東京工業大学)

5月16日

・9:30~11:30「鋼の焼入れと焼戻しの基礎-鋼の強靱化のための熱処理の本質-」宮本吾郎氏(東北大学)

・12:30~14:00「高硬度鋼の熱処理特性-転がり軸受用鋼の耐久性と熱処理-」大木 力氏(NTN)

・14:10~15:40「焼入れ速度が歪み・靭性・割れに及ぼす影響-ダイス鋼の大きな金型を例に-」河野正道氏(大同特殊鋼)

・15:50~17:20「金属疲労の基礎と応用-金属疲労のメカニズムと疲労破壊の防止-」髙橋宏治氏(横浜国立大学)

kat 2023年2月14日 (火曜日)
kat

第25回トライボコーティングの現状と将来シンポジウムが2023年2月24日にハイブリッド開催、第15回岩木賞贈呈式も実施

1年 2ヶ月 ago
第25回トライボコーティングの現状と将来シンポジウムが2023年2月24日にハイブリッド開催、第15回岩木賞贈呈式も実施

 トライボコーティング技術研究会と理化学研究所 大森素形材工学研究室は2023年2月24日に、「第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム(通算第145回研究会)」を開催する。共催は東京都立産業技術研究センターで、後援は未来生産システム学協会(FPS)と東京都板橋区。今回はリアル開催のほかウェブ会議システムを利用した参加も可能なハイブリッド開催で、当日は「第15回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の受賞記念講演を行うほか、同賞の贈呈式を実施する。

前回の岩木賞贈呈式のようす

 

 同研究会では現在、同シンポジウムへの参加を募集している。申し込み締め切りは2月10日だが、定員となり次第、締め切りとなる。

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 今回第15回目となる岩木賞の受賞業績として、大賞に輝いた東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏が業績名「クレージング現象を利用したナノ多孔高分子フィルムおよび繊維の開発」で、事業賞に輝いた新明和工業が業績名「ダイヤモンド成膜工具の刃先先鋭化装置の開発」で、奨励賞に輝いた慶応義塾大学 小池 綾氏が業績名「高重力場を援用した高機能 3Dプリンタの開発」で、それぞれ講演を行う。

 岩木賞受賞記念講演に続いては、「DLCコーティング技術とアルミ切削工具への応用展開」小磯裕太氏(日本電子工業)、「無機-有機ハイブリッドコーティングの設計と応用」佐熊範和氏(東京都立産業技術研究センター)、「新たに発見された離散ラドン逆変換厳密解に基づくCT画像再構成」高梨宇宙氏(理化学研究所)の3件の会員講演が行われる。

 講演終了後には、交流会も予定されている。

 スケジュールなど詳細は、トライボコーティング技術研究会HP(http://www.tribocoati.st)で確認できる。

 問い合わせ・申し込みは、以下のとおり。
 E-mail tribo@tribocoati.st

 

kat 2023年1月30日 (月曜日)
kat

島貿易、高速回転対応の全自動卓上型油膜厚さ試験機の販売を開始

1年 2ヶ月 ago
島貿易、高速回転対応の全自動卓上型油膜厚さ試験機の販売を開始

 島貿易は、弾性流体潤滑状態における最小油膜厚1nm以上を最大速度20m/sで測定できる油膜厚さ試験機「EHD-HS」の販売を開始した。

EHD-HS

 10nm未満の潤滑油膜で形成することができる超仕上げの接触面や、独自の光干渉法の原理に基づく測定法により、1nmまでの正確な測定を可能にした。

 また、最大速度20m/sの高速回転対応によって、電気自動車の駆動系など高速しゅう動アプリケーションの研究や、自動車用潤滑剤、金属加工油、エマルジョン、タービンオイル、グリース中の添加剤など各種研究の幅を広げる。

 さらに、通常の膜厚測定に加え、純転がりから純すべりまで、任意のすべり率で摩擦係数を測定することが可能となっている。

kat 2023年1月30日 (月曜日)
kat

パーク・システムズ・ジャパン、300mm半導体ウェハー用ナノスケール赤外分光システムを開発

1年 2ヶ月 ago
パーク・システムズ・ジャパン、300mm半導体ウェハー用ナノスケール赤外分光システムを開発

 パーク・システムズ・ジャパンは、300mm半導体ウェハー対応のナノスケール赤外分光システム「Park NX-IR R300」を開発した。

Park NX-IR R300


 同品は、化学特性情報だけでなく、半導体研究の機械特性や形状測定、故障解析、欠陥評価などをこれまでにない高ナノ分解能で提供する。

 主要機能は、①300mmまでの半導体ウェハーの化学・材料特性評価、②ナノスケールの赤外(IR)分光と原子間力顕微鏡(AFM)を一体化した装置、③10nmの空間分解能で化学物質を同定、④ノンコンタクト方式によるダメージのない分光スキャンが可能、⑤オングストローム以下の高さ精度の3Dトポグラフィーとナノメートルの横分解能での材料イメージング、など。

kat 2023年1月30日 (月曜日)
kat

大同特殊鋼、低周波における磁気ノイズ抑制効果を有したパーマロイ箔

1年 2ヶ月 ago
大同特殊鋼、低周波における磁気ノイズ抑制効果を有したパーマロイ箔

 大同特殊鋼( https://www.daido.co.jp/ )は、通信技術やIoT機器の高周波化、自動車の電動化に伴い発生するEMCノイズ(主に磁気ノイズ)の抑制効果を有した「パーマロイ3箔 STARPAS®」に、約100kHz以下の低周波において優れた特性を示す「STARPAS-50PC2S」を新たにラインナップに追加した。

 STARPASには、高透磁率材を用いた弱いノイズを高感度に抑制できるPC2Sシリーズと、高飽和磁束密度材を用いた強磁界ノイズに対応したDF42Nシリーズがある。これらは、いずれも30μm厚以下のシールド材となっており、主にMHz帯までの中周波帯ノイズの抑制効果があるという。

 今回の新製品では、高感度用のPC2Sシリーズで厚みを50μmとし熱処理を工夫することで、特に低周波でのシールド性の向上に成功した。曲げや打ち抜きなどの加工性に優れ、機器への貼り付けが容易なパーマロイで低周波向けのシールド材を開発したことで、低周波における最適なシールド設計を実現し、電動車や自動運転技術で使用される機器などの軽量化や薄型化に寄与するという。

大同特殊鋼「STARPAS-50PC2S」

 

admin 2023年1月27日 (金曜日)
admin

TOWA、高硬度反射防止コーティングを開発

1年 2ヶ月 ago
TOWA、高硬度反射防止コーティングを開発

 TOWA( https://www.towajapan.co.jp/jp/ )は、同社独自のコーティング技術であるバンセラコーティングの技術を応用して、反射防止 (AR) 性能を有する高硬度なセラミックスコーティングを新たに開発した。

開発したコーティングの有無による反射の様子 開発したコーティングの有無による反射の様子

 バンセラコーティングは、成形用金型やガラス製品に応用されており、付着低減により生産性が向上する効果が実証されている。一方、バンセラコーティングそのものは反射率が高く、干渉色を呈しており、ぎらついて見えることから光の透過率が要求されるレンズなどには適用されにくい課題があったという。

 今回それら技術を応用して、反射防止 (AR) 性能を有するセラミックスコーティングを新たに開発した。可視域である380nmから780nmにかけて表面反射率の平均値が1%、同波長域での透過率も95%以上であることから良好な視認性を有している。また、高密着で硬度も9H以上となっており、従来のARコーティングに対して約4倍と大幅に向上した。

 本コーティングはメガネや光学系センサーレンズ、ディスプレイやモニター、さらには太陽光パネルへの用途を想定しており、今春以降に試作・量産対応できるよう順次検討を進めている。

admin 2023年1月27日 (金曜日)
admin

古河電工、インフラ構造物向け表面処理ソリューションの共創拠点を開設

1年 2ヶ月 ago
古河電工、インフラ構造物向け表面処理ソリューションの共創拠点を開設

 古河電気工業( https://www.furukawa.co.jp/ )は、インフラ構造物向けの表面処理ソリューション事業「インフラレーザTM」の共創拠点「インフラレーザラボ」を同社千葉事業所(千葉県市原市)に開設する。これにより、インフラメンテナンス作業の効率化および環境負荷の低減と労働衛生の改善を推進し、インフラ構造物の老朽化対策や長寿命化に貢献する。

インフラレーザラボの実験スペース

 従来のインフラ構造物メンテナンスにおける錆取り・塗膜除去などの表面処理は、薬品を使用する処理やブラスト処理が中心で環境負荷や労働衛生の観点から課題が多いとされていた。インフラレーザTMは、産業用レーザで培った技術を応用した表面処理ソリューションで、インフラ構造物の錆・塗膜除去など、メンテナンス作業の効率化を目指す。従来の工法とは異なりレーザを活用することから研削材などを排出せず、環境負荷の低減や労働衛生の改善を推進し、インフラ構造物の老朽化対策、労働人口問題の解決につながるという。

 インフラレーザラボには、高出力ファイバレーザ発振器とレーザヘッド(レーザ照射部)をフレキシブルに動かすことができる実験用システムが設置され、パートナーが持ち込む幅広いサイズ・形状のサンプルを用いて、レーザ加工の有効性を確認する要素実験を行うことができる。既存のレーザアプリケーションラボはファイバレーザの従来の用途である産業用向けで、インフラ構造物向けの実験は難しい状況だったが、インフラレーザラボは、広さ45m2・天井高さ約5mの実験スペースを確保しており、大型サンプルでの実験にも対応可能。

インフラレーザラボの自動錆・塗膜除去システムイメージ

 また、インフラレーザラボの開設と併せて、出張実験用の車両も配備し、ラボ内だけではなく、屋外・実フィールドでの実験にも対応可能となっている。

admin 2023年1月27日 (金曜日)
admin

日本熱処理技術協会、3月に「2022年度 第4回熱処理技術セミナー」を開催

1年 3ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、3月に「2022年度 第4回熱処理技術セミナー」を開催

 日本熱処理技術協会(  https://jsht.or.jp/ )は、3月22日と3月23日の両日、対面参加(エッサム神田ホール1号館7F 701:東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2)およびオンラインにて「2022年度 第4回熱処理技術セミナー」を開催する。今回のセミナーは、鉄鋼材料を中心として金属材料の組織が熱処理によってどのように創生され、それがどのように活かされてきたのか、また様々な応用分野での最新の活用技術について学ぶことができる。詳細は以下のとおり。

開催日:2023年3月22 日(水)、3月 23日(木)

申込締切:2023年3月9日(木)

会場:〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町15番 6号 製粉会館5F 第 2・3 会議室/Zoomウェビナー

定員:オンライン参加(Zoom Webinar)80 名、対面参加 先着20名

申込み:https://forms.office.com/r/7FCrKx97Sg

詳細:日本熱処理技術協会HP https://jsht.or.jp/seminar/

【問合せ先】 (一社)日本熱処理技術協会 事務局 宮下氏 03-6661-7167/080-7577-7799

 

講義題目および日程

〈3月22日〉                    

9:55~10:00「オンライン配信に当っての注意事項」日本熱処理技術協会 事務局

10:00~12:00「鉄鋼素材における相変態の基礎」髙木 節雄 氏(九州大学名誉教授)

~昼 食~

13:00~14:30「金属組織観察の基礎ー組織と機能の相関」正橋 直哉 氏(東北大学)  

14:40~16:10「自動車用鋼板における組織制御の技術変遷」高橋 学 氏(九州大学)

16:20~17:20「金属積層造形法による異方性組織と熱処理による特性変化」黒田 大介 氏(鈴鹿工業高等専門学校)

〈3月23日〉

10:00~11:30「組織制御のよる金属材料の高耐食化」原 信義 氏(東北大学参与・名誉教授)

~昼食~                

12:30~14:00「油潤滑下における低摩擦化のための鉄鋼材料の組織制御技術」戸高 義一 氏(豊橋技術科学大学)

14:10~15:40「工具鋼の材料設計と組織制御」 片岡 公太 氏(日立金属)

15:50~17:20「 不具合調査事例にみられる金属組織」中村 勲 氏(東京都立産業技術研究センター)

admin 2023年1月12日 (木曜日)
admin

BASFなど、低摩擦表面技術技術搭載のボーイング777が初の旅客飛行

1年 3ヶ月 ago
BASFなど、低摩擦表面技術技術搭載のボーイング777が初の旅客飛行

 BASFとルフトハンザ テクニックが共同開発した低摩擦表面技術「AeroSHARK(エアロシャーク)」を搭載したスイス・インターナショナル・エアラインズ(SWISS)のボーイング777-300ERが、初めて旅客飛行を行った。この航空機の胴体とエンジンナセルには、約950平方メートルのリブレットフィルムが貼られており、抵抗を減らすためにサメの皮のような流動効率の良い特性を再現。流動シミュレーションの結果、この種の航空機では1%強の摩擦抵抗の削減効果があることがすでに確認されている。HB-JNHとして登録されたこの航空機による最初の定期便は、この削減効果の可能性を日々のフライトで検証する役割を果たすこととなる。

AeroSHARKを搭載したHB-JNH

 

 リブレットと呼ばれる微細なリブで構成された特殊な表面構造のおかげで、AeroSHARKはこの航空機の表面の摩擦抵抗を1%以上減らすことが計算と流動シミュレーションによって明らかになり、その結果燃料消費量と二酸化炭素排出量を同程度に削減することが可能となった。SWISSのボーイング777-300ER型機の場合、年間約400tの灯油と1200t以上の二酸化炭素を削減することに相当する。

 HB-JNHのAeroSHARKへの改修は8月末に始まり、9月8日と9日に数回のテスト飛行で終了。この飛行では、AeroSHARKがボーイング777の運航の安全性と操縦性に悪影響を与えないことを詳細に示す必要があった。

 実際の運航で計算上のコスト削減効果が確認され次第、ローンチカスタマー(最初に発注した航空会社)であるSWISSとルフトハンザ カーゴでの本格的な展開が開始される予定で、今後ボーイング777型機は、定期点検中にAeroSHARKを搭載する予定。両社は今後、保有するボーイング777-300ERおよび777Fに順次AeroSHARK搭載していく意向で、これにより両社は旅客・貨物の航空会社として世界で初めて、サブフリート全体をこの低摩擦表面処理技術で最適化することになる。ルフトハンザ カーゴの11機、SWISSの12機のボーイング777型機がすべてAeroSHARKを搭載した場合、ルフトハンザグループの二酸化炭素排出量は年間2万5000t以上削減されることになる。

kat 2022年12月27日 (火曜日)
kat

NIMSなど、ケイ素を含む新しい有機構造体膜の合成に成功

1年 3ヶ月 ago
NIMSなど、ケイ素を含む新しい有機構造体膜の合成に成功

 物質・材料研究機構 (NIMS) と自然科学研究機構 分子科学研究所を中心とした国際共同研究チームは、表面合成に新化学反応を導入することにより、通常は炭素だけで構成されるベンゼン環の一部を周期表同族元素のケイ素で置き換えた2次元の共有結合性有機構造体 (COF) 膜の合成に世界で初めて成功した。この新しいCOF膜は一般的な化学合成手法ではなく、金属表面上での化学反応を利用することで達成され、表面合成を利用した新規材料開発の可能性を示す結果となった。

 ナノメートルサイズの空孔を持つCOF膜は、電池材料、触媒、さらに、小分子の分離など幅の広い応用が期待されている。それらの機能の実現に向け、分子薄膜内の所望の位置に炭素以外の窒素やホウ素などを導入する手法の開発が必要だった。また、人類が使用できる地球表面部分に存在する元素の中で、重量比で二番目に多いケイ素原子 (クラーク数 : 25.8 %) の導入効果に関心が持たれていたものの、ケイ素を導入したCOF膜は実現されていなかった。これは、周期律表で炭素と同じ14族に分類され最も炭素の特性に近いとされるケイ素が無機化学で扱われ、COF膜合成で利用される有機合成に馴染みのない元素であるという事実も否定できないという。

 近年、有機合成した小分子を金属の固体表面上で化学反応させて、炭素薄膜やCOF膜を形成する分子合成技術の開拓が注目されている。今回の成果では、有機合成で小分子にケイ素を導入することなく、金 (111) 表面上に蒸着したケイ素と小分子を直接反応させる新しい分子合成手法を開発、従来技術では作製できなかった「ケイ素を含むCOF膜 (炭素ナノ薄膜) 」の合成に成功した。

 今回の研究で開発した合成手法を応用すれば、より重い同族元素であるゲルマニウムやスズを含む炭素薄膜の合成も可能となり、炭素と同じ14族元素を含む多様な炭素ナノ薄膜の物性解明も進むという。多様な炭素ナノ薄膜を次世代ナノエレクトロニクスで活用すべく、所望の特性を付与する表面合成技術への展開を目指す。

(a) 本研究で開発した表面化学反応。(b) 合成したケイ素を含むCOF膜の概略図。Br : 臭素原子 (赤球) 、Si : ケイ素原子 (紫球) 、炭素原子 (黒球) 、水素原子 (白球) 、基板の金原子 (金球)

 

admin 2022年12月26日 (月曜日)
admin

新東工業、「Expert Bisai Creators Contest 2022」の1インチ部門で準優勝

1年 3ヶ月 ago
新東工業、「Expert Bisai Creators Contest 2022」の1インチ部門で準優勝

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、微細加工工業会が主催する「Expert Bisai Creators Contest 2022」の「1インチ部門」において準優勝を受賞した。

 このコンテストは、日本が世界に誇る微細加工技術を分かりやすい形で発信し、微細加工市場の活性化を図ることを目的とし、微細加工従事者やデザイナー、学生等を対象に、微細加工技術を活かしたデザイン性のある作品を募集し優秀作品を表彰するもの。1インチ部門(25mm以内の寸法以下の作品)、時計・宝飾・オブジェ部門、3Dデザイン部門で構成され、同社が出品した「地球の移ろい」は1インチ部門で準優勝に輝いた。

 「地球の移ろい」は、「太陽」をコンセプトに朝・昼・夜の光の入り方で変化する影の表情を演出した作品で、球体の中には「太陽が育むもの」をイメージし、海・風・山・木々が表現されている。小さな世界での大きな変化を楽しむことができる。

 「太陽」をコンセプトに朝・昼・夜の光の映り込みにより表情が変わるデザインにした、ポップアップカード。 精密板金が得意なマツダとコラボレーションし、小さな世界での大きな変化を楽しめる。 球体の中は「太陽が育むもの」をイメージし、海・風・山・木々を表現した。 忙しい日常の中で、ふと小さな世界の変化に目を向けるきっかけになる作品となっている。

 

admin 2022年12月26日 (月曜日)
admin
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38 分 56 秒 ago
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