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メカニカル・サーフェス・テック2023年2月号 特集「表面改質最前線」、キーテク特集「表面観察」2月24日発行!

1年 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年2月号 特集「表面改質最前線」、キーテク特集「表面観察」2月24日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年2月号 特集「表面改質最前線」キーテク特集「表面観察」が当社より2月24日に発行される。

 今回の特集「表面改質最前線」では、 樹脂フィルム材に高速で信号伝送が可能な電子回路基板に応用可能な表面処理技術について、メガネやカメラレンズの表面、液晶ディスプレイやスマートフォン画面フィルムの表面に適用される反射防止膜の技術動向について、半導体製造設備の各種部材に適用が進んでいるドライコーティングの概要について、ドライコーティングの密着性を高めるための炭化水素系洗浄剤を使用した洗浄方法について紹介する。

 また、キーテク特集「表面観察」においては、優れた特性を持つ産業用および研究用AFMの最新技術と表面改質・薄膜関連の評価事例について、高精度カメラによる外観検査技術の概要と外観検査のアプリケーション例について紹介する。

特集:表面改質最前線

◇Beyond 5G/6Gに向けた電子デバイスと表面処理技術・・・関東学院大学 盧 柱亨

◇反射防止膜の技術動向・・・ニデック 川島 崇睦

◇半導体製造プロセス向けドライコーティングの開発と適用・・・日本コーティングセンター 川名 淳雄 氏、角谷 行崇 氏に聞く

◇ドライコーティングにおける洗浄技術の動向・・・東ソー 大川 朋裕

キーテク特集:表面観察

◇原子間力顕微鏡の最新技術と評価事例・・・パーク・システムズ・ジャパン 田 小維、金 鍾得

◇高精度カメラによる外観検査技術と、FCVセパレータなど高機能部品への適用・・・コニカミノルタ 宇田川 純一 氏に聞く

連載

注目技術:ハノーバーメッセ2023で披露されるコーティング技術・・・コーティング関連出展各社

トピックス

ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

日本半導体製造装置協会、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表

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admin 2023年2月22日 (水曜日)
admin

ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

1年 1ヶ月 ago
ASTEC/SURTECH/nano tech2023などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

 「ASTEC2023 第18回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2023 表面技術要素展」、「nano tech2023国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など14の展示会が、2月1日~3日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され31137名が来場、表面改質と表面試験・評価関連で多数の展示がなされた。

SURTECH2023のようす

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は、多機能摩擦試験機「MFT-5000」を展示した。摩擦試験では、試験前後のサンプルの正確な深さ、粗さの変化、実際の接触範囲を測定するため、顕微鏡での詳細な観察が重要になる。MFT-5000では、摩擦試験と顕微鏡観察を1台で行うことができるため、サンプル交換の簡略化のほか、摩耗の経時変化による評価など、高いレベルでの表面形状解析に貢献できる。そのほか、一つのプラットフォームでスクラッチ試験、インデンテーション試験、3Dプロファイラー、膜厚測定といった複数の試験が可能な表面材料試験機「SMT-5000」を紹介した。

Rtec-Instruments「SMT-5000」

 大塚電子(https://www.otsukael.jp/)は、ゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」を展示した。ELSZseriesの最上位機種で、粒子濃度(個数)測定やマイクロレオロジー測定、ゲルの網目構造解析、多角度測定による粒子径分布の分離能の向上などを新機能として追加している。本年からはまた、ELSZneoの新機能すべては必要ないが、粒子径測定専用機「nanoSAQLA」では機能が足りないというユーザーに対し、研究内容や予算に合わせて必要な新機能を一つから選択でき、研究内容に最適な装置としてカスタマイズ化できる粒子径・ゼータ電位測定専用機「ELSZneoSE」の販売を開始した。

大塚電子「ELSZneo」

 神戸製鋼所(https://kobelco-coating.com/jp/)は、従来品と比べて、生成する被膜の長寿命化を達成したアークイオンプレーティング(AIP)装置「AIP-iXシリーズ」を紹介した。搭載した新型蒸発源「μ-ARC」により、被膜の金属元素のうちAl含有率が70at%以上でも立方晶を維持、硬質で表面粗度も良好なAlCrN被膜の成膜が可能。また、新型エッチングシステム「Me-FAPE」が奥まった部分の密着性を向上し、処理空間内でのエッチング性能の均一性も改善。これら搭載機能により、従来のハイエンド工具と比較して約1.5倍の寿命向上が確認されている。さらに、広範囲な操業データをサンプリング・表示可能な状態モニターシステムを採用、トラブル発生時のスムーズな原因特定に貢献する。

神戸製鋼所のブース

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機「トライボギアTYPE:40」の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学のブース

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、国内最大級の大型DLCコーティング装置による長尺品DLCコーティングのサンプル展示、薄膜の硬度、摩擦摩耗、密着性などの評価分析の紹介、膜厚測定器の展示などを行った。また、今年春頃からの販売開始となる小型で機能を限定したDLCコーティングが可能な実験用の成膜装置「水素フリーICF330-SP」を紹介。同装置は①HiPIMSによる成膜が可能②ボンバード機能を省き熱に弱い材料をターゲットに採用③真空引きを5分に短縮しタクトタイムを1/5に高速化④軽量で可搬性があるため様々な場所に移動可能、などの特徴を備えている。

ナノテック「水素フリーICF330-SP」

 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp/)は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 パルメソ( https://palmeso.co.jp/ )は、ウェットブラスト技術を応用して微細な粒子と水を投射することで、材料の表面から内部まで連続した強さデータを取得できる「MSE試験装置」の紹介を行った。今回は異なる基材(PMMAとPC)に膜厚6μm、9μm、11μmで成膜した同一材料の薄膜に対しての試験結果を紹介。その結果、MSE試験では基材の影響を受けずに膜だけの強さを高分解能で測定している、とした。また膜厚違いにおいても膜厚の影響を受けずに膜表面から界面まで強さを分解して表示することができる、とした。このほか、めっき前の樹脂表面改質層の強さ分析や超硬チップ表面コーティングの膜質分析と耐久性評価、自動車塗装の加速劣化試験変化などを公開した。同社では装置販売とともに受託試験にも注力している。

パルメソのブース

 

admin 2023年2月15日 (水曜日)
admin

日本熱処理技術協会、5月15日、16日に2023年度 第1回熱処理技術セミナーを開催

1年 1ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、5月15日、16日に2023年度 第1回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は5月15日、16日、対面参加(エッサム神田ホール1号館7F 701:東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 第1回熱処理技術セミナー-熱処理基礎講座Ⅰ-」を開催する。

 本講座は、「強化機構」、「金属の基礎」、「焼入れと焼戻しの基礎」から始まり「耐熱性」、「摩耗特性」、「疲労特性」および「熱処理変形と焼割れ」について、国内の著名な講師が解説する。新入社員教育などをはじめとした企業における人材育成にも最適なプログラムとなっている。

 参加申込締切は5月2日で、以下のURLから申し込みができる。定員はオンライン参加が80名で、対面参加が先着20名。参加費は正会員36000円(税込)、維持会員36000円(税込)、非会員56000円(税込)。今回からはさらに高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格10,000円(税込)を設定している。

URL  https://forms.office.com/r/KvCKxwRrvM

 内容は以下のとおり。

5月15日

・9:55~10:00「オンライン配信に当っての注意事項」日本熱処理技術協会事務局

・10:00~12:00「強化機構と強度-金属材料が強くなるメカニズムは?-」髙木節雄氏(九州大学名誉教授)

・13:00~15:00「金属の基礎-鉄の結晶構造と鉄鋼の組織を理解するための基礎-」髙木節雄氏(九州大学名誉教授)

・15:10~16:40「高温変形の基礎-高温材料強化に向けての基本戦略-」寺田芳弘氏(東京工業大学)

5月16日

・9:30~11:30「鋼の焼入れと焼戻しの基礎-鋼の強靱化のための熱処理の本質-」宮本吾郎氏(東北大学)

・12:30~14:00「高硬度鋼の熱処理特性-転がり軸受用鋼の耐久性と熱処理-」大木 力氏(NTN)

・14:10~15:40「焼入れ速度が歪み・靭性・割れに及ぼす影響-ダイス鋼の大きな金型を例に-」河野正道氏(大同特殊鋼)

・15:50~17:20「金属疲労の基礎と応用-金属疲労のメカニズムと疲労破壊の防止-」髙橋宏治氏(横浜国立大学)

kat 2023年2月14日 (火曜日)
kat

第25回トライボコーティングの現状と将来シンポジウムが2023年2月24日にハイブリッド開催、第15回岩木賞贈呈式も実施

1年 1ヶ月 ago
第25回トライボコーティングの現状と将来シンポジウムが2023年2月24日にハイブリッド開催、第15回岩木賞贈呈式も実施

 トライボコーティング技術研究会と理化学研究所 大森素形材工学研究室は2023年2月24日に、「第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム(通算第145回研究会)」を開催する。共催は東京都立産業技術研究センターで、後援は未来生産システム学協会(FPS)と東京都板橋区。今回はリアル開催のほかウェブ会議システムを利用した参加も可能なハイブリッド開催で、当日は「第15回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の受賞記念講演を行うほか、同賞の贈呈式を実施する。

前回の岩木賞贈呈式のようす

 

 同研究会では現在、同シンポジウムへの参加を募集している。申し込み締め切りは2月10日だが、定員となり次第、締め切りとなる。

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 今回第15回目となる岩木賞の受賞業績として、大賞に輝いた東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏が業績名「クレージング現象を利用したナノ多孔高分子フィルムおよび繊維の開発」で、事業賞に輝いた新明和工業が業績名「ダイヤモンド成膜工具の刃先先鋭化装置の開発」で、奨励賞に輝いた慶応義塾大学 小池 綾氏が業績名「高重力場を援用した高機能 3Dプリンタの開発」で、それぞれ講演を行う。

 岩木賞受賞記念講演に続いては、「DLCコーティング技術とアルミ切削工具への応用展開」小磯裕太氏(日本電子工業)、「無機-有機ハイブリッドコーティングの設計と応用」佐熊範和氏(東京都立産業技術研究センター)、「新たに発見された離散ラドン逆変換厳密解に基づくCT画像再構成」高梨宇宙氏(理化学研究所)の3件の会員講演が行われる。

 講演終了後には、交流会も予定されている。

 スケジュールなど詳細は、トライボコーティング技術研究会HP(http://www.tribocoati.st)で確認できる。

 問い合わせ・申し込みは、以下のとおり。
 E-mail tribo@tribocoati.st

 

kat 2023年1月30日 (月曜日)
kat

島貿易、高速回転対応の全自動卓上型油膜厚さ試験機の販売を開始

1年 1ヶ月 ago
島貿易、高速回転対応の全自動卓上型油膜厚さ試験機の販売を開始

 島貿易は、弾性流体潤滑状態における最小油膜厚1nm以上を最大速度20m/sで測定できる油膜厚さ試験機「EHD-HS」の販売を開始した。

EHD-HS

 10nm未満の潤滑油膜で形成することができる超仕上げの接触面や、独自の光干渉法の原理に基づく測定法により、1nmまでの正確な測定を可能にした。

 また、最大速度20m/sの高速回転対応によって、電気自動車の駆動系など高速しゅう動アプリケーションの研究や、自動車用潤滑剤、金属加工油、エマルジョン、タービンオイル、グリース中の添加剤など各種研究の幅を広げる。

 さらに、通常の膜厚測定に加え、純転がりから純すべりまで、任意のすべり率で摩擦係数を測定することが可能となっている。

kat 2023年1月30日 (月曜日)
kat

パーク・システムズ・ジャパン、300mm半導体ウェハー用ナノスケール赤外分光システムを開発

1年 1ヶ月 ago
パーク・システムズ・ジャパン、300mm半導体ウェハー用ナノスケール赤外分光システムを開発

 パーク・システムズ・ジャパンは、300mm半導体ウェハー対応のナノスケール赤外分光システム「Park NX-IR R300」を開発した。

Park NX-IR R300


 同品は、化学特性情報だけでなく、半導体研究の機械特性や形状測定、故障解析、欠陥評価などをこれまでにない高ナノ分解能で提供する。

 主要機能は、①300mmまでの半導体ウェハーの化学・材料特性評価、②ナノスケールの赤外(IR)分光と原子間力顕微鏡(AFM)を一体化した装置、③10nmの空間分解能で化学物質を同定、④ノンコンタクト方式によるダメージのない分光スキャンが可能、⑤オングストローム以下の高さ精度の3Dトポグラフィーとナノメートルの横分解能での材料イメージング、など。

kat 2023年1月30日 (月曜日)
kat

大同特殊鋼、低周波における磁気ノイズ抑制効果を有したパーマロイ箔

1年 1ヶ月 ago
大同特殊鋼、低周波における磁気ノイズ抑制効果を有したパーマロイ箔

 大同特殊鋼( https://www.daido.co.jp/ )は、通信技術やIoT機器の高周波化、自動車の電動化に伴い発生するEMCノイズ(主に磁気ノイズ)の抑制効果を有した「パーマロイ3箔 STARPAS®」に、約100kHz以下の低周波において優れた特性を示す「STARPAS-50PC2S」を新たにラインナップに追加した。

 STARPASには、高透磁率材を用いた弱いノイズを高感度に抑制できるPC2Sシリーズと、高飽和磁束密度材を用いた強磁界ノイズに対応したDF42Nシリーズがある。これらは、いずれも30μm厚以下のシールド材となっており、主にMHz帯までの中周波帯ノイズの抑制効果があるという。

 今回の新製品では、高感度用のPC2Sシリーズで厚みを50μmとし熱処理を工夫することで、特に低周波でのシールド性の向上に成功した。曲げや打ち抜きなどの加工性に優れ、機器への貼り付けが容易なパーマロイで低周波向けのシールド材を開発したことで、低周波における最適なシールド設計を実現し、電動車や自動運転技術で使用される機器などの軽量化や薄型化に寄与するという。

大同特殊鋼「STARPAS-50PC2S」

 

admin 2023年1月27日 (金曜日)
admin

TOWA、高硬度反射防止コーティングを開発

1年 1ヶ月 ago
TOWA、高硬度反射防止コーティングを開発

 TOWA( https://www.towajapan.co.jp/jp/ )は、同社独自のコーティング技術であるバンセラコーティングの技術を応用して、反射防止 (AR) 性能を有する高硬度なセラミックスコーティングを新たに開発した。

開発したコーティングの有無による反射の様子 開発したコーティングの有無による反射の様子

 バンセラコーティングは、成形用金型やガラス製品に応用されており、付着低減により生産性が向上する効果が実証されている。一方、バンセラコーティングそのものは反射率が高く、干渉色を呈しており、ぎらついて見えることから光の透過率が要求されるレンズなどには適用されにくい課題があったという。

 今回それら技術を応用して、反射防止 (AR) 性能を有するセラミックスコーティングを新たに開発した。可視域である380nmから780nmにかけて表面反射率の平均値が1%、同波長域での透過率も95%以上であることから良好な視認性を有している。また、高密着で硬度も9H以上となっており、従来のARコーティングに対して約4倍と大幅に向上した。

 本コーティングはメガネや光学系センサーレンズ、ディスプレイやモニター、さらには太陽光パネルへの用途を想定しており、今春以降に試作・量産対応できるよう順次検討を進めている。

admin 2023年1月27日 (金曜日)
admin

古河電工、インフラ構造物向け表面処理ソリューションの共創拠点を開設

1年 1ヶ月 ago
古河電工、インフラ構造物向け表面処理ソリューションの共創拠点を開設

 古河電気工業( https://www.furukawa.co.jp/ )は、インフラ構造物向けの表面処理ソリューション事業「インフラレーザTM」の共創拠点「インフラレーザラボ」を同社千葉事業所(千葉県市原市)に開設する。これにより、インフラメンテナンス作業の効率化および環境負荷の低減と労働衛生の改善を推進し、インフラ構造物の老朽化対策や長寿命化に貢献する。

インフラレーザラボの実験スペース

 従来のインフラ構造物メンテナンスにおける錆取り・塗膜除去などの表面処理は、薬品を使用する処理やブラスト処理が中心で環境負荷や労働衛生の観点から課題が多いとされていた。インフラレーザTMは、産業用レーザで培った技術を応用した表面処理ソリューションで、インフラ構造物の錆・塗膜除去など、メンテナンス作業の効率化を目指す。従来の工法とは異なりレーザを活用することから研削材などを排出せず、環境負荷の低減や労働衛生の改善を推進し、インフラ構造物の老朽化対策、労働人口問題の解決につながるという。

 インフラレーザラボには、高出力ファイバレーザ発振器とレーザヘッド(レーザ照射部)をフレキシブルに動かすことができる実験用システムが設置され、パートナーが持ち込む幅広いサイズ・形状のサンプルを用いて、レーザ加工の有効性を確認する要素実験を行うことができる。既存のレーザアプリケーションラボはファイバレーザの従来の用途である産業用向けで、インフラ構造物向けの実験は難しい状況だったが、インフラレーザラボは、広さ45m2・天井高さ約5mの実験スペースを確保しており、大型サンプルでの実験にも対応可能。

インフラレーザラボの自動錆・塗膜除去システムイメージ

 また、インフラレーザラボの開設と併せて、出張実験用の車両も配備し、ラボ内だけではなく、屋外・実フィールドでの実験にも対応可能となっている。

admin 2023年1月27日 (金曜日)
admin

日本熱処理技術協会、3月に「2022年度 第4回熱処理技術セミナー」を開催

1年 2ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、3月に「2022年度 第4回熱処理技術セミナー」を開催

 日本熱処理技術協会(  https://jsht.or.jp/ )は、3月22日と3月23日の両日、対面参加(エッサム神田ホール1号館7F 701:東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2)およびオンラインにて「2022年度 第4回熱処理技術セミナー」を開催する。今回のセミナーは、鉄鋼材料を中心として金属材料の組織が熱処理によってどのように創生され、それがどのように活かされてきたのか、また様々な応用分野での最新の活用技術について学ぶことができる。詳細は以下のとおり。

開催日:2023年3月22 日(水)、3月 23日(木)

申込締切:2023年3月9日(木)

会場:〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町15番 6号 製粉会館5F 第 2・3 会議室/Zoomウェビナー

定員:オンライン参加(Zoom Webinar)80 名、対面参加 先着20名

申込み:https://forms.office.com/r/7FCrKx97Sg

詳細:日本熱処理技術協会HP https://jsht.or.jp/seminar/

【問合せ先】 (一社)日本熱処理技術協会 事務局 宮下氏 03-6661-7167/080-7577-7799

 

講義題目および日程

〈3月22日〉                    

9:55~10:00「オンライン配信に当っての注意事項」日本熱処理技術協会 事務局

10:00~12:00「鉄鋼素材における相変態の基礎」髙木 節雄 氏(九州大学名誉教授)

~昼 食~

13:00~14:30「金属組織観察の基礎ー組織と機能の相関」正橋 直哉 氏(東北大学)  

14:40~16:10「自動車用鋼板における組織制御の技術変遷」高橋 学 氏(九州大学)

16:20~17:20「金属積層造形法による異方性組織と熱処理による特性変化」黒田 大介 氏(鈴鹿工業高等専門学校)

〈3月23日〉

10:00~11:30「組織制御のよる金属材料の高耐食化」原 信義 氏(東北大学参与・名誉教授)

~昼食~                

12:30~14:00「油潤滑下における低摩擦化のための鉄鋼材料の組織制御技術」戸高 義一 氏(豊橋技術科学大学)

14:10~15:40「工具鋼の材料設計と組織制御」 片岡 公太 氏(日立金属)

15:50~17:20「 不具合調査事例にみられる金属組織」中村 勲 氏(東京都立産業技術研究センター)

admin 2023年1月12日 (木曜日)
admin

BASFなど、低摩擦表面技術技術搭載のボーイング777が初の旅客飛行

1年 2ヶ月 ago
BASFなど、低摩擦表面技術技術搭載のボーイング777が初の旅客飛行

 BASFとルフトハンザ テクニックが共同開発した低摩擦表面技術「AeroSHARK(エアロシャーク)」を搭載したスイス・インターナショナル・エアラインズ(SWISS)のボーイング777-300ERが、初めて旅客飛行を行った。この航空機の胴体とエンジンナセルには、約950平方メートルのリブレットフィルムが貼られており、抵抗を減らすためにサメの皮のような流動効率の良い特性を再現。流動シミュレーションの結果、この種の航空機では1%強の摩擦抵抗の削減効果があることがすでに確認されている。HB-JNHとして登録されたこの航空機による最初の定期便は、この削減効果の可能性を日々のフライトで検証する役割を果たすこととなる。

AeroSHARKを搭載したHB-JNH

 

 リブレットと呼ばれる微細なリブで構成された特殊な表面構造のおかげで、AeroSHARKはこの航空機の表面の摩擦抵抗を1%以上減らすことが計算と流動シミュレーションによって明らかになり、その結果燃料消費量と二酸化炭素排出量を同程度に削減することが可能となった。SWISSのボーイング777-300ER型機の場合、年間約400tの灯油と1200t以上の二酸化炭素を削減することに相当する。

 HB-JNHのAeroSHARKへの改修は8月末に始まり、9月8日と9日に数回のテスト飛行で終了。この飛行では、AeroSHARKがボーイング777の運航の安全性と操縦性に悪影響を与えないことを詳細に示す必要があった。

 実際の運航で計算上のコスト削減効果が確認され次第、ローンチカスタマー(最初に発注した航空会社)であるSWISSとルフトハンザ カーゴでの本格的な展開が開始される予定で、今後ボーイング777型機は、定期点検中にAeroSHARKを搭載する予定。両社は今後、保有するボーイング777-300ERおよび777Fに順次AeroSHARK搭載していく意向で、これにより両社は旅客・貨物の航空会社として世界で初めて、サブフリート全体をこの低摩擦表面処理技術で最適化することになる。ルフトハンザ カーゴの11機、SWISSの12機のボーイング777型機がすべてAeroSHARKを搭載した場合、ルフトハンザグループの二酸化炭素排出量は年間2万5000t以上削減されることになる。

kat 2022年12月27日 (火曜日)
kat

NIMSなど、ケイ素を含む新しい有機構造体膜の合成に成功

1年 2ヶ月 ago
NIMSなど、ケイ素を含む新しい有機構造体膜の合成に成功

 物質・材料研究機構 (NIMS) と自然科学研究機構 分子科学研究所を中心とした国際共同研究チームは、表面合成に新化学反応を導入することにより、通常は炭素だけで構成されるベンゼン環の一部を周期表同族元素のケイ素で置き換えた2次元の共有結合性有機構造体 (COF) 膜の合成に世界で初めて成功した。この新しいCOF膜は一般的な化学合成手法ではなく、金属表面上での化学反応を利用することで達成され、表面合成を利用した新規材料開発の可能性を示す結果となった。

 ナノメートルサイズの空孔を持つCOF膜は、電池材料、触媒、さらに、小分子の分離など幅の広い応用が期待されている。それらの機能の実現に向け、分子薄膜内の所望の位置に炭素以外の窒素やホウ素などを導入する手法の開発が必要だった。また、人類が使用できる地球表面部分に存在する元素の中で、重量比で二番目に多いケイ素原子 (クラーク数 : 25.8 %) の導入効果に関心が持たれていたものの、ケイ素を導入したCOF膜は実現されていなかった。これは、周期律表で炭素と同じ14族に分類され最も炭素の特性に近いとされるケイ素が無機化学で扱われ、COF膜合成で利用される有機合成に馴染みのない元素であるという事実も否定できないという。

 近年、有機合成した小分子を金属の固体表面上で化学反応させて、炭素薄膜やCOF膜を形成する分子合成技術の開拓が注目されている。今回の成果では、有機合成で小分子にケイ素を導入することなく、金 (111) 表面上に蒸着したケイ素と小分子を直接反応させる新しい分子合成手法を開発、従来技術では作製できなかった「ケイ素を含むCOF膜 (炭素ナノ薄膜) 」の合成に成功した。

 今回の研究で開発した合成手法を応用すれば、より重い同族元素であるゲルマニウムやスズを含む炭素薄膜の合成も可能となり、炭素と同じ14族元素を含む多様な炭素ナノ薄膜の物性解明も進むという。多様な炭素ナノ薄膜を次世代ナノエレクトロニクスで活用すべく、所望の特性を付与する表面合成技術への展開を目指す。

(a) 本研究で開発した表面化学反応。(b) 合成したケイ素を含むCOF膜の概略図。Br : 臭素原子 (赤球) 、Si : ケイ素原子 (紫球) 、炭素原子 (黒球) 、水素原子 (白球) 、基板の金原子 (金球)

 

admin 2022年12月26日 (月曜日)
admin

新東工業、「Expert Bisai Creators Contest 2022」の1インチ部門で準優勝

1年 2ヶ月 ago
新東工業、「Expert Bisai Creators Contest 2022」の1インチ部門で準優勝

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、微細加工工業会が主催する「Expert Bisai Creators Contest 2022」の「1インチ部門」において準優勝を受賞した。

 このコンテストは、日本が世界に誇る微細加工技術を分かりやすい形で発信し、微細加工市場の活性化を図ることを目的とし、微細加工従事者やデザイナー、学生等を対象に、微細加工技術を活かしたデザイン性のある作品を募集し優秀作品を表彰するもの。1インチ部門(25mm以内の寸法以下の作品)、時計・宝飾・オブジェ部門、3Dデザイン部門で構成され、同社が出品した「地球の移ろい」は1インチ部門で準優勝に輝いた。

 「地球の移ろい」は、「太陽」をコンセプトに朝・昼・夜の光の入り方で変化する影の表情を演出した作品で、球体の中には「太陽が育むもの」をイメージし、海・風・山・木々が表現されている。小さな世界での大きな変化を楽しむことができる。

 「太陽」をコンセプトに朝・昼・夜の光の映り込みにより表情が変わるデザインにした、ポップアップカード。 精密板金が得意なマツダとコラボレーションし、小さな世界での大きな変化を楽しめる。 球体の中は「太陽が育むもの」をイメージし、海・風・山・木々を表現した。 忙しい日常の中で、ふと小さな世界の変化に目を向けるきっかけになる作品となっている。

 

admin 2022年12月26日 (月曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2022年12月号 特集「DLCコーティングの現状」、キーテク特集「ブラスト処理」

1年 2ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2022年12月号 特集「DLCコーティングの現状」、キーテク特集「ブラスト処理」

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2022年12月号 特集「DLCコーティングの現状」キーテク特集「ブラスト処理」が当社より12月23日に発行される。

 今回の特集「DLCコーティングの現状」では、潤滑油環境におけるDLC膜の特異的なトライボロジー特性について、腕時計用の被膜として開発された青色DLC膜の開発と応用展開について、ピストンリング用として開発されたDLC膜の応用展開について、再生、再利用が可能なDLC被膜として中間層の存在しないta-C被膜とアルミ合金の摩擦・摩耗試験の結果について紹介する。

 また、キーテク特集「ブラスト処理」においては、金属積層造形品の表面粗さの低減技術としてのブラスト加工や疲労強度向上技術としてのショットピーニング技術について、ウェットブラスト工法の特徴を生かした高機能プラスチック材料への被膜の密着性向上について紹介する。

特集:DLCコーティングの現状

◇ダイヤモンドライクカーボン膜のトライボロジー特性に及ぼす潤滑油の効果・・・横浜国立大学 大久保 光

◇腕時計用青色DLCの開発と応用展開・・・シチズン時計 吉田 陸人 氏に聞く

◇DLC被膜のCASE・非自動車分野での適用拡大・・・TPR 漆戸 昭夫 氏、菅原 駿 氏、山崎 亮 氏 に聞く

◇超硬合金に成膜された中間層レスta-C被膜のアルミ材加工金型における実用性の検討・・・ナノコート・ティーエス 川本 秀士、坂下 武雄、熊谷 泰

キーテク特集:ブラスト処理

◇積層造形におけるブラスト・ピーニングの技術概要・・・新東工業 辻 俊哉

◇ウェットブラストによるコーティング・めっきの密着性向上・・・マコー 佐田 俊彦

連載

トップインタビュー・・・川上 達哉 氏(ナノフィルムテクノロジーズ ジャパン)
現場に行こう!・・・パーカー熱処理工業 計測機器販売部
注目技術:SEMICON JAPAN 2022に見る最新表面改質・計測評価技術・・・出展各社

トピックス

日本熱処理技術協会、2022年秋季講演大会を開催、イノベーション活動を報告
第34回散乱研究会がオンライン開催
第15回岩木賞に東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏、新明和工業、慶応義塾大学 小池 綾氏が受賞
JIMTOF2022開催、コーティングやブラストなどの表面改質技術が集結

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admin 2022年12月20日 (火曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、令和4年度第3回研究会を開催

1年 3ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和4年度第3回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は12月9日、東京都江東区の東京都立産業技術研究センターで「令和4年度第3回トライボコーティング技術研究会」を開催した。

開催のようす

 

 当日は、大森会長の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演がなされた。

・「都産技研 光学特性計測分野のご紹介」磯田和貴氏(東京都立産業技術研究センター)…都産技研では技術支援サービスとして、分光測定・オーダーメイド測定を通じた光学測定、光学定数や異方性などのよりミクロに踏み込んだ特性解析、エリプソメトリでの~10nmレベルの感度の膜厚解析を提供していることを紹介した。また、マイクロ~ナノオーダーの材料を基にした研究開発を行っている事例として、太陽光を対象に微細構造による光機能性の付与を試み、季節的な太陽位置の変化に着目して入射角依存の光学特性を設計し、夏と冬との間で~20%の反射率差を示す表面が得られたことなどを報告した。

・「めっき排水処理の課題とファインバブルを用いた排水処理技術」森久保 諭氏(東京都立産業技術研究センター)…めっき浴由来のアンモニアが高濃度で排水に混入することから開発したアンモニア処理技術が、少量でも影響の大きい脱脂剤由来の錯形成剤といった他の妨害物質に適用不可なため、脱脂剤削減を目指したファインバブル(FB)発生装置を利用した洗浄技術を開発。マイクロバブル発生量が高い装置では洗浄効果が高く、FB単独では気泡が届きにくい形状のワークではFBに超音波印加で付着物の除去効果が増加し薬品使用量を低減できることや、FB洗浄で亜鉛の排水処理性が向上することなどを報告した。

 講演後は大森会長が、次回研究会となる「第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム(通算第145回研究会)」について告知、シンポジウムの見どころとして「第15回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の受賞記念講演について紹介した。大賞に輝いた東海国立大学機構 岐阜大学 武野明義氏が業績名「クレージング現象を利用したナノ多孔高分子フィルムおよび繊維の開発」で、事業賞に輝いた新明和工業を代表して岡本浩一氏が業績名「ダイヤモンド成膜工具の刃先先鋭化装置の開発」で、奨励賞に輝いた慶応義塾大学 小池 綾氏が業績名「高重力場を援用した高機能 3Dプリンタの開発」で、それぞれ講演を行う。

第25回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウムの告知を行う大森会長

 

 その後、上記講演に関連して、分光エリプソメータや紫外・可視・近赤外分光光度計、フーリエ変換赤外分光光度計などを備えた「光学計測実験室」と、FB洗浄装置などを備えた「環境負荷計測実験室」の見学会が行われた。

光学計測実験室の見学会のようす

 

kat 2022年12月10日 (土曜日)
kat

2022日本ダイカスト会議・展示会を開催、表面改質技術などが展示

1年 3ヶ月 ago
2022日本ダイカスト会議・展示会を開催、表面改質技術などが展示

 日本ダイカスト協会主催の「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec 2022)」が11月10日~12日の3日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催、展示会では154社・団体が出展した。2年に1回の同展は、2020年はコロナ禍により中止。今回は4年ぶりの開催となった。表面合改質関連では以下などの展示があった。

2022ダイカスト展示会のもよう

 オリエンタルエンヂニアリングは、プラズマCVD法により高張力鋼板のホットスタンプ金型をはじめとした各種用途に対応し、高い耐熱性、密着性、耐焼付き性を付与する硬質薄膜「OMC(H)(Oriental Magic Coating H)」を紹介した。プラズマCVD法のため拡散効果層と薄膜を一回の工程で複合処理できる。また、成膜温度が450~550℃と工具鋼の焼戻し温度以下の低温処理により変形がないという。さらに、被膜は徐々に組成を変える多層傾斜膜となっており高い耐摩耗性の膜が実現した。耐摩耗性と離型性を有しているため、成形精度を維持しつつ金型の寿命を向上させることができる。

オリエンタルエンヂニアリング「OMC(H)のサンプル」

 新東工業は、ショットピーニングを施すことで金型表面に圧縮残留応力を付与し耐ヒートチェック性を改善することにより型寿命が2倍以上に向上する「D-CHECK」、冷却孔止まり穴部へのショットピーニングにより冷却孔の応力腐食割れを抑制することで型寿命を3倍以上に向上する「D-SCC」、ダイカスト金型に細かなディンプルを形成することで鋳造時の湯流れを変化させ、溶湯の表層の温度低下、凝固速度の違い、流速の違い、空気の巻き込みによる不良発生を50%低減する「D-FLOW」を紹介した。また、ショットピーニングを処理した製品の全数検査が可能な表面評価技術「Sightia」のPRも行った。

新東工業のブース

 ニッチューは、ダイカスト製品用のハンガータイプにより製品同士がぶつからず、傷が付かない設計のショットブラスト装置「ZHBSF-100」の実機を展示。同装置は、小ロット生産も対応可能とし、コンパクトに設計された一室式の亜鉛ショット専用機。顧客の希望により硬質研削材対応や安全仕様集塵機へのグレードアップ、制御盤の位置変更等の対応も可能となっている。また、高性能RFD-3型ローターを搭載し、駆動モーターにはインバーターを付けたことでブラストの投射速度の調整も可能。作業者への安全配慮として、ワーク着脱口にはエリアセンサーなども備えている。

ニッチューのブース

 丸眞製作所は、ダイカスト金型向けコーティング(AlCrTiSi系複合多層膜)「MARC-D」を紹介。この被膜は緻密で耐溶着性、離型性、耐溶損性に優れており、TINやTiAlN、AlCrN被膜と比べて摩擦係数が低いという。硬度は3000Hv、膜厚2.5~4.0μm、酸化温度1100℃、処理温度は400~500℃となっている。窒化処理との複合処理を行う「MARC-D plus」も併せて紹介した。また、窒化ポテンシャル制御により用途に合った窒化層を提供するガス軟窒化処理「M-NCプロセス」は、γ'相主体の化合物層形成やε相主体の化合物層形成、ポーラス層を抑制した化合物層の形成、化合物層を形成しない拡散層のみといった機能特性に優れた表面形成が可能とした。

丸眞製作所「MARC-Dのサンプル」

 

admin 2022年12月9日 (金曜日)
admin

日本熱処理技術協会、2022年秋季講演大会を開催、イノベーション活動を報告

1年 3ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、2022年秋季講演大会を開催、イノベーション活動を報告

 日本熱処理技術協会(https://jsht.or.jp/)は11月24日と25日の両日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場での対面参加とオンライン参加によるハイブリッド形式で、「第94回(2022年秋季)講演大会」(実行委員長:大林巧治・中部支部長(アイシン))を開催した。オンライン参加を含め約200名が参加して、一般セッションとシンポジウムセッション、田村・川嵜記念講演を含む全35件の講演がなされたほか、企業展示会が盛況裡に行われた。

開催のようす

 24日の開会の挨拶に立った大林実行委員長は「昨日(23日)のサッカーワールドカップでは日本がドイツに劇的な逆転勝利をおさめた。本講演大会でも、特に若い方々にサッカーワールドカップのパワーに負けないようなアグレッシブな発表をお願いしたい。また、久しぶりの対面開催となるこの機会に、質疑応答や意見交換、人材交流を活発に行っていただきたい。」と述べ、本誌取材に対し今講演大会の特色について次のように語った。

 「本講演大会は全てが見どころだが、一つ新しい試みとしてイノベーション活動である新企画『熱処理コンテスト』と『ねつ・が~る』の紹介がある。中部支部では、‟明るく、楽しく、熱く“をスローガンに、熱処理技術に関する学術・技術の発展を通じ、熱処理技術・モノづくりに取り組むすべての人の成長と、サスティナブルで豊かな社会の実現に貢献することを使命に掲げており、これまではセミナー中心の典型的教育活動を実施してきた。しかし参加者も企画する我々幹事も‟明るく、楽しく、熱く”の要素が少ないと考え、中部支部で2つの新企画を試行することにした。
 一つは、支給された試験片に自由に熱処理を施し強度を競う『熱処理コンテスト』で、中部支部発信の企画ながら全国から23チームに参加していただけた。多種多様な熱処理が施され、大企業のチームを抑えて、鳥取県金属熱処理協業組合のTeamTorinetsuが優勝し、コンテストは大変盛り上がった。参加者からは‟熱処理屋冥利に尽きる“、”若手に参加させたい”、‟熱処理の難しさ・面白さをあらためて感じた“など、熱い意見をいただいた。今大会内でのイノベーション活動報告では、その反響から開催が決まった第2回熱処理コンテストの新課題やスケジュールの発表を行い、その場で多くの方々に次回出場の表明をいただいた。
 もう一つは、熱処理に関わる女性からこれまでの歩みを含め自由に自己紹介をしてもらう企画『ねつ・が~る』。これまで8名の『ねつ・が~る』が紹介されており、様々な環境で、女性特有の課題を抱えながらも、職場上司や同僚の支援を受けながら熱処理技術や技能向上への取り組みが聞けて、女性に限らず多くの皆さんの参考、励みになると思う。イノベーション活動に期待していただきたい」。

イノベーション活動について語る大林実行委員長

 24日午後、大林実行委員長を座長にしたイノベーション活動報告では、鈴鹿工業高等専門学校の黒田大介氏から、イノベーション活動のねらい、概要説明と、下記8名の「ねつ・が~る」についての紹介がなされ、また、自薦・他薦を問わない「ねつ・が~る」の募集がなされた。
【ねつ・が~る】
・No.001 NTN 先端技術研究所 佐藤美有さん
・No.002 アイシン 生産技術本部 素形材生技部 舟本三恵さん
・No.003 トヨタ自動車 素形材技術部 表面改質技術室 古賀光絵さん
・No.004 鳥取県金属熱処理協業組合 製造課 高周波窒化係 係長 提嶋恭子さん
・No.005~008 アイシン 岡崎工場 マイルド浸炭ギヤ加工課
      新垣伶実さん、岩元成美さん、河津祐香さん、衣川優紀さん

 次いで、NTNの大木 力氏より、「第1回熱処理コンテスト」の結果、熱処理技術解説と全体考察が発表され、続いて、初代チャンピオンの鳥取県金属熱処理協業組合Team Torinetsuを代表し、川上昭徳氏が「第1回熱処理コンテストへの挑戦」と題して、強さを得るための熱処理技術確立に向けた取組みや、優勝したサンプルの分析・考察などについて発表した。

第1回熱処理コンテスト優勝の鳥取県金属熱処理協業組合を代表して講演した川上昭徳氏(左)と
ねつ・が~るNo.004の鳥取県金属熱処理協業組合の提嶋恭子さん(右)

 イノベーション活動報告の最後には、トヨタ自動車の西田幸司氏から「第2回熱処理コンテスト」の開催案内と課題発表が行われた。第2回熱処理コンテストの競技内容と新課題、規定は以下のとおりである。
【第2回熱処理コンテスト】
・課題:各1チームにつき以下の材質(および規定形状・規定寸法)の3点曲げ試験片を3本支給。3点曲げ試験における耐荷重が最も大きくなるよう熱処理等を実施し試験片1本を事務局に提出、事務局にて3点曲げ試験が実施され、最大耐荷重が評価
・試験片の材質:SPCC
・熱処理は自由で、試験片の厚さおよび幅の寸法変化が±0.1mmの範囲内であればショットブラスト、表面硬化処理、コーティング、平面研磨も可
・参加申込み受付開始:本年11月28日
・参加申込み受付締切:2023年1月20日
・参加者への試験片発送:2023年2月6日(予定)
・熱処理を施した試験片の提出締切:2023年3月31日
・参加費(税込):7000円/1チーム
・参加資格:1チームに1名以上の正会員、学生会員が参加、または維持会員(ただし、維持会員は1口1チーム参加可能とする)
・結果発表:2023年4月に愛知県技術開発交流センターで開催される「第13回中部支部講演大会」内で発表予定

 さらに24日には、同協会会長の奥宮正洋氏(豊田工業大学)による田村・川嵜記念講演「窒素を活用した熱処理の展望」が行われ、カーボンニュートラル等の課題から期待される窒素の有効活用として、高温のオーステナイト相中に窒素を浸入させた後に焼入れを行い浸炭同様に鋼表面の硬さを向上させつつ圧縮残留応力を付与し疲れ強さを向上させる「浸窒焼入れ」のプロセスなどについて解説したほか、アルミニウムの表面硬化熱処理への窒素の有効活用や窒化アルミニウムの機能材料への応用についても発表された。

奥宮会長による田村・川嵜記念講演のようす

 25日には「自動車部品の熱処理技術」をテーマに、大林実行委員長を座長にシンポジウムが開催され、日産自動車の塩飽敬之氏より自動車の電動化と生産技術について概観する基調講演のほか、全5件の熱処理(強化) 技術,装置技術、CAE技術などについての講演がなされた。

 また会期中は、熱処理関連製品、装置を扱う13社(旭千代田工業、ミクニ機工、マコー、アイエムティー、DOWAサーモテック、パルステック工業、山本科学工具研究社、IHI機械システム、日綜電工業、メタルヒート、メトロ電気工業、中外炉工業、堀場製作所)による企業展示会が併設された。

企業展示会場のようす

 例えば、メトロ電気工業は、スズキ、中部電力と共同開発し「平成27年度 省エネ大賞 省エネ事例部門 資源エネルギー庁長官賞」を受賞した「赤外線ヒーター式HIGH POWER金型加熱器」を出展した。加熱時間短縮、均一加熱、温度制御が容易、安全性向上、作業環境の改善、金型メンテナンスの低減、製品不良率の低減、設置が容易、CO2削減など、金型の予備加熱の従来方式であるガス燃焼方式における課題解決に伴う各種メリットの発現をアピールした。

メトロ電気工業「赤外線ヒーター式HIGH POWER金型加熱器」

 山本科学工具研究社は、JIS鉄鋼材料から代表的な材料を選定し、第1類から第7類に分類、これらに厳正な熱処理を施した「代表的な金属標準顕微鏡組織を現出した標本集(解説書付属)」を紹介した。大学や企業などにおいて熱処理後の金属組織を理解するための教材として有効利用が可能とアピールした。

山本科学工具研究社「代表的な金属標準顕微鏡組織を現出した標本集(解説書付属)」


 

kat 2022年12月8日 (木曜日)
kat

JIMTOF2022開催、コーティングやブラストなどの表面改質技術が集結

1年 3ヶ月 ago
JIMTOF2022開催、コーティングやブラストなどの表面改質技術が集結

 日本工作機械工業会と東京ビッグサイトは11月8日~13日、東京都江東区の東京ビッグサイトで4年振りとなる「JIMTOF2022(第31回 日本国際工作機械見本市)」を開催した。多品種少量生産に対応する複合加工機やマシニングセンタ+協働ロボットといった工作機械の出展が見られる中、金型・工具の耐久性向上などに関する表面改質技術が多数披露された。以下に一端を紹介する。

JIMTOF2022のようす

 IHI Hauzer Techno Coating(https://www.hauzertechnocoating.com)は、新開発のバッチ式PVDコーティング装置「Hauzer Flexicoat® 500」を紹介した。Flexicoat® シリーズの最小容量機種であったFlexicoat® 850 をより小型化したプラットフォームで、有効コーティング容量は小さくなるものの、大型の装置と同様に、磁場を最適化し面内均一のアークスポットが可能な独自アークイオンプレーティング「CARC+」や(デュアル)マグネトロンスパッタリング、高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)が、Flexicoat® シリーズのすべての機能を利用できる。CARC+はドロップレット生成を抑えられる上、ターゲット使用率が高く、高い成膜レートを実現できる。また、イオン化率が非常に高く金属イオンと反応性ガスイオンの組成比が高いHuPIMS+の利用によって、平滑・高密度で欠陥がなく密着性の良いコーティングが高いコーティング速度で得られる。デュアルスパッタあるいはデュアルアークの装置構成が可能なため、大学・研究機関のR&D向けから、生産性(成膜速度)が重視される産業向けまでできる。マイクロドリルや複雑形状の金型など、仕上げ研磨の難しいアプリケーションに適している。今回はIHIグループ企業でコーティング受託加工を手掛けるIHI Ionbondや、CVD装置販売を手掛けるIHI Bernexと共同で出展した。

IHIグループのブース

 厚地鉄工( http://www.atsuchi-ascon.co.jp/ )は、強力な噴射力を発揮する直圧式の汎用手動機「BA-1」を展示。同装置は使いやすいコンパクトタイプで、同社独自の機構により加圧されたエアによって噴射力の強いブラスト処理ができる。これにより、ブラスト処理時間の大幅な短縮が可能になる。小さなブラスト装置内に集塵機、レギュレーター、エアフィルター、エア加減弁などの周辺機器を搭載して省スペース化。錆や塗装剥がし、難物の鋳造品・鋳物砂の除去、高硬度金属のブラスト処理など幅広い分野に対応できる。また、ロボット1台でブラスト処理から搬送までを可能にした「ABS-BS3-AT」の実機を展示。昨今、需要が急増しているロボットとブラスト装置を組み合わせるシステムを提案。ティーチングも含めた多品種対応が可能な点や、ロボットによりブラスト処理の高効率化、品質安定化、省力化を図れる点を訴求した。

厚地鉄工のブース

 神戸製鋼所(https://kobelco-coating.com/jp/)は、従来品と比べて、生成する被膜の長寿命化を達成したアークイオンプレーティング(AIP)装置「AIP-iXシリーズ」を紹介した。切削工具向けの代表的な被膜AlCrNは、コーティング被膜中のAlの含有量が多いほど耐酸化性に優れ高速切削や高切込みなどの難加工条件に適している一方で、Alの含有量が多くなりすぎる(概ね65at%以上)場合、被膜構造が高硬度な立方晶から六方晶へと変化し硬度が低下するという課題があった。AIP-iXでは搭載した新型蒸発源「μ-ARC」により、被膜の金属元素のうちAl含有率が70at%以上であっても立方晶を維持、硬質で表面粗度も良好なAlCrN被膜の成膜が可能となっている。また、新型エッチングシステム「Me-FAPE」が奥まった部分の密着性を向上し、処理空間内でのエッチング性能の均一性も改善。これらの搭載機能により、従来のハイエンド工具と比較して約1.5倍の寿命向上が確認されている。さらに、従来よりも大幅に広範囲な操業データをサンプリング・表示可能な状態モニターシステムを採用、トラブル発生時のスムーズな原因特定に貢献するほか、蓄積されたバッチごとのデータの状態推移をグラフ化し予防保全を容易にしている。

神戸製鋼所のブース

 新明和工業(https://www.shinmaywa.co.jp/pbp/)は、ダイヤモンドコーティングの適用について紹介した。同社のダイヤモンドコーティング装置は熱フィラメントCVD法を採用し、大面積にダイヤモンドを合成することが可能で、切削工具へのコーティングなど量産品への適用が可能となっている。独自技術により密着性を最適化し、導電性ダイヤモンドコーティングにも対応している。また、今回は「第15回岩木賞 事業賞」を受賞した、ダイヤモンドコーティングを被覆した工具の刃先先鋭化処理についても紹介した。プラズマイオン処理によりダイヤモンドコーティングが成膜された切削工具の刃先を先鋭化する装置を開発し、CFRP加工などで従来から行われている「捨て穴加工」を排除し生産効率向上に寄与することに成功したもので、プラズマのアンテナ効果を利用し、主として刃先のダイヤモンド被膜をイオンエッチングすることで先鋭化とドロップレットの低減を可能にしたほか、一度に複数本の工具が処理可能となっている。

新明和工業「ダイヤモンドコーティング工具の刃先先鋭化処理」

 CemeCon(https://www.cemecon.com/jp-ja)は、ミクロンサイズの粒子で構成され高い硬度と密着性を実現する「マイクロ・クリスタルライン」と、ナノサイズの微細粒子で構成され非常に滑らかで強靭な「ナノ・クリスタルライン」を交互に積層させる、CVD法によるダイヤモンドコーティングを紹介した。ダイヤモンド膜に最適な機械的/化学的前処理により、各層の比較的大きな粒子と微細な粒子がアンカー効果により優れた密着性を実現するほか、き裂が発生した場合でも層の境界を越えて広がることがない。切削工具用コーティングとして滑らかで高硬度・高靭性の膜を密着性よく成膜、高い寸法制御とシャープエッジ制御が可能なことをアピールした。また、HiPIMS技術によるコーティングを紹介。12μmまでの厚膜が可能で、ドロップレットのない平滑で高硬度・高靭性の膜を高密着に成膜できる。50HRC前後の高硬度材やステンレス鋼、チタンなどの加工に最適なTiAlSiNコーティング「InoxaCon🄬」と、インコネル718の高速加工などに最適なAlTiN コーティング「FerroCon🄬」の提案を展開している。

CemeConのブース

 パーカー熱処理工業( https://pnk.co.jp/ )は、同社独自の次世代型自動制御ガス窒化システム「NITRONAVI®」を搭載した窒化装置「RAV-N」を広築( https://www.hirochiku.co.jp/ )と展示した。NITRONAVI®を適用する最大のメリットは表面相制御による機械的特性の改善あるという。同システムは、窒化ポテンシャル(KN)制御により、鋼表面を化合物層レス、γ’相、またε相へ選択的に制御することができる。この結果、耐疲労性・耐摩耗性・耐食性等の機械的特性改善が可能になる。昨今の環境対応においても、従来のガス窒化/軟窒化で無駄に使用していたNH3ガスを処理ごとに最適化したレシピで運用することでNH3ガス使用量の圧縮が期待できるという。また、NITRONAVI®は自動で設定したKN値になるように雰囲気を制御する。この自動制御によって作業者のスキルに依存しない窒化/軟窒化処理を実現する。

パーカー熱処理工業のブース

 マコー(https://www.macoho.co.jp/)は、超硬チップ(スローアウェイチップ)処理用の最新ウェットブラスト装置「VD-W019」を紹介した。切削工具表面に付着した密着を阻害する不純物を完全除去し、ピュアな表面を露出させることで、コーティングの密着強度を従来の2倍以上に向上させるコーティング前処理効果を発現できる。また、超硬チップのPVDコーティングのドロップレット除去によるコーティングはく離・チッピングの防止や表面粗さ低減を実現できる。さらに、刃先のバリを除去し刃先にR付け(刃先ホーニング)を行うことで刃先のチッピングを防止、工具寿命を1.5~3倍に向上できるほか、すくい面と逃げ面R比率をコントロールし、K値(A/B比)を1.0~2.0に制御、高精度加工や複雑形状の加工に対応できる。

マコーのブース

 ヤマシタワークス(https://www.yamashitaworks.co.jp/)/日本スピードショア(https://speedshore.co.jp/)は、異形状ワークを簡単に短時間で鏡面仕上げ加工できる装置「エアロラップ」を展示した。エアロラップは、ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に、水分「マルチリキッド」を含有することで弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、被加工材(ワーク)表面を高速で滑走させて発生する摩擦力によって磨くもの。乾式と湿式の中間的な湿潤状態で、相手材にダメージを与えることなく、精密研磨、最終仕上げや鏡面仕上げを可能にしている。今回は、各種金型部品の磨き時間短縮、切削工具の寿命延長、DLCなどドライコーティング成膜の前後処理など、様々な用途で使用が可能で、再生可能なエコ製品で、食品素材をコアに持つ研磨材を用いていることをアピールした。今回はエアロラップにロボットを組み合わせて、ワークを所定の位置に設置、加工した後にワークを取り出してパレットに並べていくといった、自動化の提案を行った。

ヤマシタワークス/日本スピードショア「エアロラップの自動化システム」

 山本科学工具研究社( https://www.ystl.jp/ )は、JISやISOなどの各種硬さ試験規格(ロックウェル、ビッカース、ブリネル、ショア、リープ、超微小硬さ試験用など)で規定された硬さ試験機の定期検証・日常点検に利用される「高精度硬さ基準片」を展示。同社の基準片は、試験片面のどの部分を測定しても同じ硬さが出るように均一に製造されている。同社では、こうした精度の高い硬さ基準片を製造するための材料工学、熱処理技術、仕上加工技術を保有している。安定した数値が出ることから日本国内をはじめ、世界のあらゆる国でも認められ、国際的に広く使用されているという。

山本科学工具研究社「高精度硬さ基準片」

 

admin 2022年11月30日 (水曜日)
admin

表面改質展・真空展2022など6展が開催

1年 3ヶ月 ago
表面改質展・真空展2022など6展が開催

 「表面改質展2022」「真空展2022」「高精度・難加工技術展2022」など6展(主催:日刊工業新聞社)が10月19日〜21日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。表面改質関連では、以下のような出展があった。

 関東学院大学 材料・表面工学研究所(https://mscenter.kanto-gakuin.ac.jp/)は、最新の表面処理技術に関する実演や同研究所と技術供与契約を結ぶ企業数社の製品や技術を紹介した。会期中は材料・表面工学研究所 高井 治所長がUV照射による表面改質などの技術や効果などについてプレゼンを行った。また、ブース内でヤマトマテリアルは、同研究所で開発した、大豆を特殊加熱・特殊微粉砕する技術により非常に舌触りがなめらかで、超微粉で水に溶けやすく、様々な加工品への使用が可能な大豆粉(きな粉)である「ミラクルきなっこ」を紹介した。消化不良を引き起こす成分を取り除いた、おなかに優しい大豆粉で、風味の良いミルキーな味わい、たんぱく質・イソフラボン・オリゴ糖・サポニン・大豆レシチン・ビタミンB群・食物繊維・脂質・ミネラルの9種類の栄養成分を保持、健康と美容をサポートするスーパーフードとなっている。同社はまた、大気圧プラズマ装置「AP-4000シリーズ」を展示した。大気雰囲気下で圧縮エアのみでプラズマを発生る装置で、シリコーンゴム、エラストマ、汎用樹脂~スーパーエンプラ、CFRTPといった難接着材料の接着性の改善や塗装性、塗膜性の改善などにおいて、スポット処理だけではなく、回転ノズルを用いることでより広い面積に対してもプラズマ処理が可能となっている。
 

プレゼンを行う高井氏(左)と実演のようす

 

 東京電子(https://www.toel.co.jp/)は、10-⁷~10-¹³Pa台の残留ガス分析が高精度で行えるようにイオン源を改良した超高感度質量分析計「WATMASS-MPH」を紹介した。WATMASS‒MPHの技術をベースに超低ガス放出の真空構造材である0.2%BeCuで分析室を構成することによって、10-15Pa・m3/s (He)の極小リークを計測することが可能な「破壊分析型超高感度ガス分析装置」などを開発しているが、このほどプロセス評価やデバイスの品質管理・品質解析などを目的に、ユーザーから半導体デバイス等のサンプルを預かり、同社埼玉事業所に設けた受託分析ラボに設置した高精度の四重極型質量分析システムにより破壊/非破壊でガス分析を行う受託サービスを開始したと告知した。

WATMASS-MPH

 

 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp/)は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。
 

Park FX40

 

 ヤマシタワークス(https://www.yamashitaworks.co.jp/)/日本スピードショア(https://speedshore.co.jp/)は、異形状ワークを簡単に短時間で鏡面仕上げ加工できる装置「エアロラップ」を展示した。エアロラップは、ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に、水分「マルチリキッド」を含有することで弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、被加工材(ワーク)表面を高速で滑走させて発生する摩擦力によって磨くもの。乾式と湿式の中間的な湿潤状態で、相手材にダメージを与えることなく、精密研磨、最終仕上げや鏡面仕上げを可能にしている。今回は、各種金型部品の磨き時間短縮、切削工具の寿命延長、DLCなどドライコーティング成膜の前後処理など、様々な用途で使用が可能で、再生可能なエコ製品で、食品素材をコアに持つ研磨材を用いていることをアピールした。今回はロボットを組み合わせたシステムを披露。ロボットがワークを把持して装置キャビン内の加工部まで搬送し、ワーク全面が加工されるように装置内でワークを回転、加工後は装置外に取り出すという自動化の提案を行った。

エアロラップ+ロボットによる自動化の提案

 

kat 2022年11月30日 (水曜日)
kat

高機能トライボ表面プロセス部会 第19回例会と第20回機能性コーティングの最適設計技術研究会が合同開催

1年 3ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会 第19回例会と第20回機能性コーティングの最適設計技術研究会が合同開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)「第19回例会」と日本トライボロジー学会 機能性コーティングの最適設計技術研究会(主査:岐阜大学・上坂裕之氏)「第15期 第1回(通算第20回)会合」が11月16日、名古屋市千種区の名古屋大学 ベンチャービジネスラボラトリー ベンチャーホールでの対面参加およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、合同開催された。

開催のようす

 

 高機能トライボ部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に設立され、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として機能している。

 また、機能性コーティングの最適設計技術研究会は、窒化炭素(CNx)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等の硬質炭素系被膜および二硫化モリブデン等の固体潤滑被膜を実用化する上で重要となるコーティングの最適設計技術の向上を目指し、幅広い分野の研究者・技術者が集い、研究会での話題提供と討論や、トライボロジー会議でのシンポジウムの開催などを行っている。

 機能性コーティングの最適設計のための研究開発を支える先進表面分析技術に関して,特にラマン分光分析の話題にフォーカス。上坂代表幹事/主査の開会挨拶に続いて、以下のとおり、4件の話題提供がなされた。
           
・「DLCをちょっと深く考えてみる」鷹林 将氏(有明工業高等専門学校)…DLCの化学構造とその変化はラマンスペクトルでよく表されると考えられているが、ラマンスペクトルは融合形状を示しピーク分離解析は困難であるため、DLCのラマン分光解析は多種多様となると解説した上で、以下のとおりまとめた。①DLCのラマンスペクトルは五つの活性バンド(N、D、G-、G+、D′)から構成されている、②各バンドはLorentz関数(G-バンドはBWF関数)を共通のGauss関数で畳み込んだ関数で表現できる、③光電子制御タウンゼント放電(PATD)中で成膜したDLCは、五つのバンドを明確に分離できる、④各バンドの比面積と位置シフト量からDLCの化学構造を類推できる。最終的にラマンスペクトル解析によってDLCの化学構造は、π共役の発展度合いがDLCの特性を決定するとした「sp2クラスターモデル」で説明できると結論、DLCはπ共役成長が緩やかで誘電性が特徴的な炭素材料である、と総括した。

・「各種分析手法によるトライボフィルムの分析事例紹介」沼田俊充氏(日産アーク)…各種分析手法を用いたトライボフィルム調査と摩擦特性との相関について解説。低分子添加剤の定性・含有量を見るLC-MS、金属錯体添加剤の変質を見るXAFS、元素の定量化を行うICPといったオイル(添加剤)の分析手法や、最表面の元素分布を見るAES、最表面の化学状態を見るXPS、被膜の厚さ・断面構造を見る断面TEMといったトライボフィルムの分析手法を組み合わせることで、オイルの劣化やトライボフィルムの化学状態・構造を解析し、摩擦特性への影響を考慮できる、とまとめた。また、NOxガスバブリングにより市販エンジンオイルを劣化させ、摩擦特性、添加剤含有量の変化、摺動面におけるMoS2の分布についてラマン分光法による分析を行った結果、AFMとラマン分光法の複合解析によって突起部のMoS2の被覆率を算出したほか、潤滑油中MoDTCの減少が摺動面接触部におけるMoS2の被覆率の低下を引き起こし摩擦係数の上昇につながることを明らかにした。添加剤分析、トライボフィルム分析の結果を総合的に解析することでオイルの劣化が摩擦特性へ与える影響を考察できる、と総括した。

・「熱可塑性高分子における顕微ラマン散乱分光法による結晶化度測定」山口 誠氏(秋田大学、オンライン講演)…今後市場が急拡大すると予測されている、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたCFRPとマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を使用したCFRTPという炭素繊維複合高分子材料について解説した後、熱可塑性高分子における、機械的特性に影響する結晶化度の評価法として、1μm領域という局所領域の評価が可能な各種のラマン散乱分光法について紹介した。CFRTPのマトリックス樹脂の熱可塑性高分子としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の低波数領域のラマンスペクトルを見ることで、結晶化度評価や結晶化度の局所空間分布評価を行った結果、炭素繊維との相互作用や局所加熱部周辺の結晶化度、レーザ加工における熱影響、局所ひずみなどを明らかにした。

・「表面増強ラマン分光法を用いた水素含有DLC膜の極表面測定~MoDTC分解中間物質による摩耗促進機構の解明~」野老山貴行氏(名古屋大学)…DLC膜表面の表面増強ラマン分光法(SERS)を用いた測定を簡便に行うための手法として、金ナノ粒子塗布または金スパッタ法を比較。増強効果を得るために最適な波長の選択やラマンデータの検出深さについて明らかにした。金スパッタ法に比べ金ナノ粒子塗布法はラマンシグナルの検出深さに優位性があり、通常ラマン測定法に比べ金ナノ粒子塗布法を用いたSERS測定では最大強度が増加したほか、SERS測定における波長の影響を明らかにした結果、特に633nm波長の場合にIDピーク強度が高く摩擦に伴う結晶構造の変化を検出する際に分かりやすい結果が得られるものと推測した。そのほか、MoDTC由来物質をそれぞれ純物質として添加したポリアルファオレフィン(PAO)油中における摩擦試験を行い、DLC膜の摩耗形態の分類(アブレシブ摩耗、水素脱離摩耗、炭素脱離摩耗)を行った。講演後は、野老山氏の所属する生産プロセス工学 梅原研究室を訪問、上述の研究を支える試験・分析評価機器の一部を見学した。

 

梅原研究室にて見学した機器の一例:大塚電子製の反射分光膜厚計「OPTM」
無潤滑下/潤滑油下の摩擦界面その場観察による摩擦メカニズムのその場解析などに適用

 

kat 2022年11月29日 (火曜日)
kat
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44 分 16 秒 ago
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