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JAST、テクスチャリング表面のトライボロジー研究会など4研究会が合同開催

3ヶ月 1週 ago
JAST、テクスチャリング表面のトライボロジー研究会など4研究会が合同開催

 日本トライボロジー学会(JAST)の会員提案研究会(トライボロジーに関する重要なテーマについて研究参加した会員の調査・研究・討論などを通じ学問・技術の発展に寄与することを目的とする会)である「テクスチャリング表面のトライボロジー研究会」(主査:東京理科大学 佐々木信也教授)と境界潤滑研究会(主査:東京工業大学 青木才子教授)、分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会(主査:兵庫県立大学 鷲津仁志教授)、工作機械のトライボロジー研究会(主査:東京理科大学 野口昭治教授)は3月7日、東京都葛飾区の東京理科大学で「JAST合同研究会:カーボンニュートラルに向けたTX(トライボロジーX)」を開催した。

開催の様子

 

 当日は開会にあたって佐々木信也氏が、「コロナ禍でもありテクスチャリング表面のトライボロジー研究会は久しぶりの開催となるため、盛大な会にしようという主旨で各会に呼びかけ、4研究会合同での開催が実現した。カーボンニュートラルに向けたトライボロジーの革新技術、という意味合いでTXなる造語を冠した本合同研究会の講演はいずれも、自分自身も聞いてみたかった大変興味深いテーマの研究内容となるため、それぞれ活発な意見交換をお願いしたい」と挨拶した。続いて鷲津仁志氏が「分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会は東京大学の加藤孝久先生が20年くらい前に始められ、10年くらい前から私が主査を務めている。今回、佐々木先生よりお声がけをいただき開催が決まった合同研究会の4件のテーマはいずれも非常に興味深く、5月に開催されるトライボロジー会議とはまた違った、深堀りした研究が紹介されることを私自身、楽しみにしている」と挨拶した。

開催の挨拶を行う佐々木氏

 

挨拶する鷲津氏

 

 その後、以下のとおり講演がなされた。

「粒子法の流体潤滑問題への応用~粒子法、ここまで来た⁉」根岸秀世氏(JAXA)…粒子法(MPH法)の利点を生かして、機械要素内のマクロ-ミクロの流体潤滑問題を統一的に解析し、現象理解と潤滑特性評価を可能とする解析技術への取り組みについて紹介。物理的健全性を有するMPH法が、①負圧を含む流体潤滑解析(くさび膜効果やスクイーズ膜効果)、②ソフトEHL(弾性流体潤滑)解析(流体-構造連成解析)、③潤滑膜と転がり軸受のような流体-剛体連成解析、のぞれぞれに適用可能であることを示した。

講演する根岸氏

 

「Adsorption and Structure of Amine-based Organic Additives at Iron-oxide Interface」Patrick A. Bonnaud氏(豊田中央研究所)…歯車や軸受などの摩耗を抑えEVを含む各種機械の寿命を延ばすことは、サスティナブルな社会を実現するうえで重要な課題であり、潤滑油では金属の摩耗を防ぐとともに環境に優しい新たな有機系添加剤が求められている。本研究では吸着しやすさを予測する計算モデルを作成、分子末端基が吸着性にどのように影響するかを明らかにし、シミュレーションによって吸着性が良いと予測されたアミン系有機添加剤を配合した潤滑油を用いて摩擦試験を行った結果、鉄の表面に吸着膜が早く形成され、摩耗を抑制することが実証された。

講演するBonnaud氏

 

「Ni-Pめっきを施した転がり軸受の回転トルクと寿命」堀田智哉氏(関東学院大学)…潤滑油の撹拌抵抗など、軸受トルクの多くが潤滑油に起因することから、潤滑油を用いずに、Ni-Pめっきを施すことで軸受の低トルク化と長寿命化を目指し、実験評価を行った。トルクの評価では、めっきなし、DLC被覆よりもNi-Pめっきありが低トルクを示した。転がり軸受の寿命評価では、めっきなし軸受に比べNi-Pめっきあり軸受が長寿命だったが、DLC被覆軸受が最も長寿命という結果となった。

講演する堀田氏

 

「スラストフォイル気体軸受における新しい表面テクスチャの提案」落合成行氏(東海大学)…表面テクスチャが空気潤滑および高摺動速度化で作動する軸受に与える影響を検証しつつ、新型フォイル軸受の開発を目指した。ディンプルはフォイルガス軸受でも低速領域で摩擦低減効果を有しているが、高摺動速度下では摩擦抵抗を増加させ、また、温度上昇を抑制する効果が確認された。新規テクスチャである「F-グルーブ」では接触時の摩擦は大きくなったものの、流体膜生成を促進し潤滑性能の向上が確認されたほか、温度上昇が抑制されており、高い冷却効果が得られたものと推察した。

講演する落合氏


 

 講演終了後は、青木才子氏が「主査を務める境界潤滑研究会では、潤滑油添加剤関連の発表を聞く機会は多いが、この合同研究会の講演は添加剤研究会内では聞くことができないテーマの発表ばかりで、大変勉強になった。こうした合同研究会はブレーンストーミングの良い機会でもあると思うので、ぜひともまた開催していただきたい」と挨拶し、閉会した。

閉会の挨拶を行う青木氏 kat 2024年3月11日 (月曜日)
kat

表面技術協会、第75回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催ー新会長に平藤氏

3ヶ月 2週 ago
表面技術協会、第75回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催ー新会長に平藤氏

 表面技術協会( https://www.sfj.or.jp/ )は2月29日、東京都新宿区の工学院大学で「第75回通常総会および各賞授与式」を開催した。

 総会で議長を務めた松永守央会長は、冒頭「協会の一番の懸念事項は会員数の漸減していることだ。皆様のご協力のもと少なくとも減少は防ぎたい。ただ、協会の財務体質は一時期の非常に厳しい状態から持ち直している。これまで同様、皆様のご尽力をお願いしたい」と述べた。

挨拶する松永会長

 当日は第74期事業報告、会計報告が行われた後、第75期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、第147回講演大会(2023年3月7日~8日)は千葉工業大学津田沼キャンパスで新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮した形式で開催したこと、第148回講演大会(2023年9月4日~5日)は山形大学米沢キャンパスで4年ぶりに懇親会と付設展示会を実施した形式で開催したこと、同協会が開催したセミナーの合計参加者が295名であったことなどを報告した。事業計画では、第149回講演大会を工学院大学八王子キャンパスで、第150回講演大会を北見工業大学で開催すること、ISO/TC107からの提案事項の審議、電波遮断金属薄膜応用部品-密着力測定に関する国際標準化調査、同協会の若手交流会開催、女性の協会活動への参加促進を図ることなどを確認した。

 任期満了に伴う役員改選では、今期より会長に平藤哲司氏(京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授)、副会長に蒲生西谷美香氏(東洋大学 理工学部 教授)、辻 克之氏(太洋工作所 代表取締役社長)が新たに選任された。近藤英一氏(山梨大学 大学院総合研究部 教授)と鈴木一徳氏(スズキハイテック 代表取締役社長)は前期に引き続いて副会長を務める。

 理事を代表して挨拶に立った平藤新会長は「松永会長の後を引き継いで非常に身の引き締まる思いだ。皆様方のご指導ご鞭撻をお願いしたい」と述べた。

挨拶する平藤新会長

 当日の席上では、「2024年度 表面技術協会 各賞授与式」が行われ、中野博昭氏(九州大学 大学院工学研究院 教授)が業績「電析法による機能性薄膜の作製およびその制御因子に関する研究」で協会賞を受賞した。中野氏は、高耐食性表面処理鋼板製造のための電析Znの結晶形態制御技術およびZn系複合電析に関し独創的および先駆的研究を展開し、優れた業績を挙げている。有機被覆処理を施した機能性電気Znめっき鋼鈑の外観は、Znの結晶形態に強く依存するため、その結晶形態を制御することが必須である。電析Znの結晶形態に及ぼす素地鋼鈑の表面性状、基本電解因子、浴中の微量不純物、有機添加剤などの因子の影響をZnの結晶配向性、多結晶素地鋼鈑とZnのエピタキシーおよびZnの電析過電圧の観点から系統的に検討し、優れた外観を有するZnめっき鋼鈑の製造技術を確立することに成功した。

 次世代防錆鋼鈑の基礎研究として、Zn電析時の陰極界面のpH上昇を利用してV、Zr、Al、Mg等の活性金属イオンを加水分解させながらナノサイズの超微粒子としてZn電析膜中に共析させる電析技術を開発した。本プロセスは電解液に不溶性の固形分散粒子を添加しないため、nmレベルの超微細粒子をZnと共析させることが可能であり、新たな電析膜特性が期待できるとともに、従来の複合電析の製造上の問題点も解決できる画期的なものである。

 さらに、アルカリジンケート浴からのZn-Ni合金電析挙動に及ぼす有機添加剤の影響、Zn-鉄族金属複合電析膜の干渉による色彩の発現、誘導型Ni-W合金電析膜の微細構造と硬度に及ぼす熱処理の影響、低熱膨張型Fe-Niインバー電析合金の組成制御法、巨大ひずみ加工により結晶粒を微細化したAl合金の耐孔食性についても明らかにしている。

 以上のように中野氏は、学術的な知見を基に精力的に研究を行い、電析法による機能性薄膜およびその制御因子に関して多くの業績を挙げ、表面技術の進歩、発展に顕著な貢献をした。

表彰される中野氏

 また論文賞では大澤伸夫氏(UACJ)ら5名が「電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の表面偏析」で受賞。この論文は、鉛の表面偏析サイトが熱間圧延プロセスのロールコーティング由来の表面酸化層(酸化を伴う表面微細組織)であることを低加速高分解能FE-SEM、TEMおよび種々の表面分析手段を駆使して表面の平滑部、突起部などの特長を明らかにしている。

表彰される大澤氏ら

 進歩賞では、田中一平氏(兵庫県立大学 大学院工学研究科)が業績「熱・プラズマを用いた炭素系硬質薄膜の新規成膜法の開拓」で受賞。田中氏はCVD法を基盤とした熱・プラズマを用いた新たなダイヤモンドや窒化炭素の成膜手法の構築に取り組んできた。特にダイヤモンド合成では、自身が開発したホットチューブ型熱フィラメント化学気相成長法により、比較的低い基盤温度537℃で0.7μm/h、743℃で13.5μm/hの合成速度を達成している。

表彰される田中氏

 同じく進歩賞で布村順司氏(UACJ マーケティング・技術本部 R&Dセンター)は業績「アルミニウムアノード酸化皮膜の構造制御による白色化技術の開発」で受賞。布村氏は、皮膜表層で光を乱反射させる凹凸構造を形成させる新技術を見出し、アルミニウムのアノード酸化皮膜の白色化を達成した。特殊な電解液や手法を用いる従来技術に対し、本技術は硫酸ベースにより一般的な電解液と簡便な手法とを用いて高い白い色度を達成した点が独創性に富む。

表彰される布村氏


 受賞者、業績などの一覧は以下のとおり。

協会賞

・中野博昭氏(九州大学 大学院工学研究院 教授)

業績「電析法による機能性薄膜の作製およびその制御因子に関する研究」

功績賞

・小岩一郎氏(関東学院大学 理工学部 教授)

・小林道雄氏(ヒキフネ 執行役員 技術部長)

論文賞

・大澤伸夫氏・富野麻衣・林 知宏氏・上田 薫氏(UACJ)、本居徹也氏(UACJ製箔)

「電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の表面偏析」

(表面技術 第73巻 第10号 504~511ページ)

技術賞

推薦なし

進歩賞

・田中一平氏(兵庫県立大学 大学院工学研究科)

業績「熱・プラズマを用いた炭素系硬質薄膜の新規成膜法の開拓」

・布村順司氏(UACJ マーケティング・技術本部 R&Dセンター)

業績「アルミニウムアノード酸化皮膜の構造制御による白色化技術の開発」

技術功労賞

・野嶋晃子氏(神戸製鋼所 技術開発本部 開発業務部 試作実験室)

・水師弘之氏(日本製鉄 技術開発本部 尼崎研究支援室)

・村中幸夫氏(JFEスチール スチール研究所 表面処理研究部)

会員増強協力者

・鷹野一朗氏(工学院大学 工学部)

・野田和彦氏(芝浦工業大学 理工学部)

・邑瀬邦明氏(京都大学 大学院工学研究科)

admin 2024年3月6日 (水曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、ATF技術展示会を開催

4ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、ATF技術展示会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整 理化学研究所 主任研究員)は2月22日、埼玉県和光市の理化学研究所 鈴木梅太郎ホールでの「トライボシンポジウム『第26回トライボコーティングの現状と未来』」の開催に合わせて、同研究会発足30周年記念技術展示会「ATF(Advanced Tribo-Fair)30th 技術展示会」を開催した。

開催の様子


 ATF技術展示会は異分野への進出、医工連携、高付加価値な表面創製に向け共創していくことを目的に開催。技術を科学する「テクニストガール」こと、声優の明里 瞳さんの司会進行のもと、パネルやサンプル展示、ショートプレゼンテーションによって、以下のとおり自社の技術をアピールした。

司会進行の明里さん


 Rtec-Instrumentsは、転がり摩擦試験機としてモジュール交換式で摺動形態の自由度が高い多機能型摩擦摩耗試験機MFT-5000を紹介したほか、独自の高速スキャンおよび解析ソフトウェアによりコストパフォーマンスに優れた白色干渉計モデルの3Dプロファイラー「UP-2000」を紹介した。日本限定キャンペーンとして、本年度(2024年3月末日)受注受け付け分に限り、UP-2000を定価950万円(税別)で販売している。

Rtec-Instruments 兒島正宜氏によるプレゼンの様子


 池上金型工業は、超精密切削加工によって金型表面に虹色を発色させ、樹脂成形品にも発色効果を付与する加飾(装飾)を目的とした加工技術・樹脂成形技術である「虹色加工」や、昨年導入したフェムト秒レーザーによって製品表面をテクスチャ加工し撥水や親水の機能を付与する技術、製品表面にナノ構造を加工し、光が反射しない黒色(漆黒)の表面にする「無反射構造技術」を紹介した。

池上金型工業 松澤 隆氏によるプレゼンの様子


 大塚電子は、光の波の情報すべて(光波動場)を独自の波面センサで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得、取得した三次元情報を後から無段階で任意面を再生できる。

大塚電子 岡本宗大氏によるプレゼンの様子


 2022年に設立された樹研工業の合弁企業である日本ハミングバードサイエンティフィックは、透過型電子顕微鏡(TEM)用の試料ホルダーを紹介。流動液体や静止液体中の試料を原子レベルの分解能で可視化できる「液体導入用ホルダー」と、ガス中および高温(1000℃以上)での材料挙動を研究するための「ガス導入用ホルダー」、試料を連続的に傾斜させ撮影した投影像から三次元内部構造を再構成する「トモグラフィー用ホルダー」を展示した。

日本ハミングバードサイエンティフィック 松浦直樹社長(樹研工業社長)
によるプレゼンの様子


 岩手大学 西川研究室は、水のみを加工液(クーラント)にするSDGs対応の工作機械システム「水加工システム(電気防錆加工法システム)」を紹介した。切削油の使用時の作業環境の悪化を防止するほか、廃棄の際の輸送コストを減らし、焼却処理の際のエネルギー消費とCO2排出をなくせる。「低環境負荷・高精度加工を実現する加工液に水のみを使用したマシニングセンターの開発」として「令和4年度成長型中小企業等研究開発支援事業」に採択されている。

岩手大学 西川尚宏助教によるプレゼンの様子


 埼玉工業大学 長谷研究室は、材料の変形・破壊時に発生する弾性波であるアコースティックエミッション(AE)のセンシングを用いた摩擦摩耗診断とトライボロジー特性評価を行っている。今回は、ワーク側および主軸側各々でのデュアルAEセンシングを用いて、切削加工時に計測されるAE信号の周波数成分変化などを監視する「加工状態モニタリング」のデモを行った。

埼玉工業大学 長谷亜蘭教授によるプレゼンの様子


 展示会終了後は、来場者の投票によって優秀な技術展示やプレゼンテーションに対する表彰が行われた。大森 整 選考委員長から「いずれも優れた製品・技術・研究であり、それぞれ社会実装を進めていただくとともに、今回の出展者同士のコラボなども進めていただき、産業界に貢献していただきたい」との総評に続いて、プレゼンターを務めた東京都立産業技術研究センター開発本部 機能化学材料技術部 主任研究員 寺西義一氏から、「優秀技術展示賞」が1位:埼玉工業大学 長谷研究室、2位:岩手大学 西川研究室、3位:大塚電子にそれぞれ贈呈された。また、「技術展示賞」がRtec-Instruments、池上金型工業、日本ハミングバードサイエンティフィックにそれぞれ贈られた。

大森選考委員長による総評の様子

 

埼玉工業大学 長谷研究室への優秀技術展示賞表彰式の様子

 

kat 2024年2月24日 (土曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、第16回岩木賞贈呈式、第26回シンポジウムを開催

4ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、第16回岩木賞贈呈式、第26回シンポジウムを開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整 理化学研究所 主任研究員)と理化学研究所 大森素形材工学研究室は2月22日、埼玉県和光市の理化学研究所 鈴木梅太郎記念ホールで、「第16回岩木賞贈呈式」および「第26 回トライボシンポジウム『トライボコーティングの現状と将来』―高耐久皮膜コーティング、プラズマ応用研磨技術、SDGs対応砥石・加工技術―(通算第150 回研究会)」をハイブリッド形式で開催した。

第16回岩木賞受賞者と関係者

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 第16回となる今回の岩木賞では、神戸製鋼所が業績名「AIP法による高Al含有立方晶AlCrN皮膜および装置の開発」により事業賞を、大阪大学 孫 栄硯氏が業績名「ビトリファイドボンド砥石とフッ素系プラズマを用いたドレスフリー研磨法の開発」により優秀賞を、宮崎大学 大西 修氏が業績名「次世代のマルチレンジ対応型加工プロセスを目指す純氷ブロック砥石の提案と研究開発」により奨励賞を受賞した。

 切削工具向けの代表的な皮膜であるAlCrN皮膜は、皮膜中のAlの含有量が多いほど耐酸化性に優れ、高速切削や高切込みなどの難加工条件に適しているが、皮膜の金属元素の内概ね65at%以上とAl含有率が多くなりすぎると、皮膜構造が高硬度な立方晶から六方晶へと変化し硬度が低下するという課題があった。この課題に対して事業賞の業績「AIP法による高Al含有立方晶AlCrN皮膜および装置の開発」は、アーク蒸発源の磁場設計やプラズマ制御技術の開発、蒸発源試作や成膜実験などを行い、アーク蒸発源μ-ARC(ミューアーク)を開発、Al含有率が70at%以上であっても立方晶を維持し、マクロパーティクルも少ない高硬度かつ高面粗度のAlCrN皮膜の成膜を可能とすることに成功したもの。上記の新型アーク蒸発源や新型エッチング源、新制御システムなどを搭載し、2023年4月に発売を開始した新型PVDコーティング装置AIP-iXがすでに販売実績を持つことや、本装置で成膜される高硬度かつ高面粗度膜が、従来アーク蒸発源では難しかった小径工具といった精密な切削工具においても適用が可能であること、また、既存用途である金型や部品だけでなく、パーティクルが少ないといった利点から水素関連や電池関連新規用途への展開も期待できることなどが評価された。

 受賞の挨拶に立った神戸製鋼所 久次米 進氏は、「栄えある賞を頂戴し光栄に思う。20数年ぶり以上に我々のフラッグシップモデルとなる新装置の開発ができ、今回賞をいただくことになり開発関係者一同、大いに励みになる。当社では1986年から真空成膜事業を開始、先人が積み上げてきたものを含めて今回の受賞に至ったと考えている。引き続き本業界および社会の発展に貢献できるよう取り組んでいきたい。今回の開発に多大な協力をいただいたMOLDINO様に厚くお礼申し上げたい」と語った。

左から、大森会長、神戸製鋼所 竹井良将氏、同社 久次米氏、
当日プレゼンターを務めたFPS表彰顕彰部門長 藤井 進氏

 SiC、GaN、ダイヤモンドなどの高硬度で化学的に不活性の難加工材料の最終仕上げ方法では、スラリーを用いたCMP(化学機械研磨)プロセスが多用されるが、スラリー研磨ではエッチピットのために表面粗さが悪化するなど多くの課題を持つ。スラリーの代わりに固定砥粒(砥石)を用いたドライ研磨法ではその課題を解決できるが、研磨中の砥粒の摩耗に起因する「目つぶれ」や、砥粒間への切りくず侵入などに起因する「目詰まり」などの問題が研磨速度低下の原因となる。ドレッシングは砥石の切れ味を回復できるが、頻繫な目直しは加工能率の低下とコストの上昇を招く。優秀賞の業績「ビトリファイドボンド砥石とフッ素系プラズマを用いたドレスフリー研磨法の開発」では、難加工材料表面に照射し改質膜を形成することで軟質化させる「CF4プラズマ」と、母材より軟質な固定砥粒を作用させ軟質層のみを除去してダメージフリーな表面が得られる「ビトリファイド砥石」の使用で、オートドレスと高い研磨レートを実現できる、完全ドライのプラズマ援用研磨法(PAP法)を提案。AlN基板のドライ研磨において、同砥石のボンド材主成分であるシリカがエッチングされ、リアルタイムに適度なオートドレッシング作用がなされ砥石の目詰まりが起こらないことや、CF4 含有プラズマの照射でAlN基板表面に除去されやすいAlF3軟質層が形成されるため、プラズマ援用ドレッシングとプラズマ改質の相乗効果により、プラズマ照射なしの場合と比べ約2倍の研磨レートが得られたことなどが評価された。

 受賞の挨拶に立った大阪大学 孫氏は、「岩木賞優秀賞を受賞し、うれしく思う。今回の受賞は私一人の力ではなく師匠である山村和也教授をはじめ、共同研究者の方々に心から感謝を申し上げたい。大学発の技術を大学にとどまらず企業との共同研究を通じて社会実装し、産業に貢献できるように」と述べた。

左から、大森会長、孫氏、藤井氏

 奨励賞の業績「次世代のマルチレンジ対応型加工プロセスを目指す純氷ブロック砥石の提案と研究開発」では、結合剤として純水を凍らせた氷である「純氷」を用いた純氷ブロック砥石(PIB砥石)を開発、PIB砥石は純氷によって結合剤自体が冷却作用を持ち、かつ砥石表面から溶解・脱落した結合剤は環境に悪影響のない“水”となり、これが潤滑・切りくず除去作用を生むことで、研削油剤や研磨剤を使わない環境が構築できる。また、研削油剤・研磨剤による作業環境悪化も抑止できるほか、研削油剤・研磨剤・結合剤から工作物へのコンタミネーションの抑止にも効果が期待できる。さらにPIB砥石の製作段階で、砥石内の砥粒の粒度や分布を調整することで、一つの砥石で荒加工から仕上げ加工までとマルチレンジに対応可能といった砥石も製作できるなど、さまざまな応用が可能な砥石となる。PIB砥石が環境に悪影響を及ぼさず、荒加工から仕上げ加工まで対応可能なことや、石英ガラスやLED基板などに使われるサファイアに対して加工が可能なことなど、本砥石が実用化した際の産業界への波及の可能性などが評価された。

 受賞の挨拶に立った宮崎大学 大西氏は、「研究を行うにあたり指導いただいた方々や、支えていただいた方々など関係各位に厚くお礼申し上げたい。賞に恥じぬようこれからも精進したい。引き続きご指導、ご鞭撻をお願いしたい」と語った。

左から、大森会長、大西氏、藤井氏

 贈呈式の後はシンポジウムに移行。岩木賞の記念講演として事業賞に輝いた神戸製鋼所竹井良将氏が、優秀賞に輝いた大阪大学 孫氏が、奨励賞に輝いた宮崎大学 大西氏がそれぞれ講演を行った。

第26回シンポジウム 岩木賞事業賞の講演の様子

 

kat 2024年2月24日 (土曜日)
kat

砥粒加工学会、3月7日、8日に先進テクノフェア(ATF2024)をハイブリッド開催

4ヶ月 ago
砥粒加工学会、3月7日、8日に先進テクノフェア(ATF2024)をハイブリッド開催

 砥粒加工学会は本年3月7日、8日の両日、学術講演会に次ぐ学会員交流の大きなイベントである「先進テクノフェア ATF (Advanced Technology Fair)2024(https://www.jsat.or.jp/node/1556)」(実行委員長:東京電機大学・森田晋也教授)を、「カーボンニュートラル時代のモビリティ技術動向」をテーマにハイブリッド開催する。リアル開催は神奈川大学 みなとみらいキャンパス(https://www.mmc.kanagawa-u.ac.jp/about/access.html)を会場として、「ATF講演会」、「卒業研究発表会」、「砥粒加工学会賛助会員企業 リクルートフェア」、「企業および研究機関等におけるパネル展示」の開催を予定している。

 スケジュールは以下のとおり。

3月7日 ATF2024講演会①「カーボンニュートラル・AI時代の自動車技術に求められる技術要素」

 近年、声高に言われている自動車の電気自動車(EV)化・自動化に関して、実際の製造現場において加工に求められる技術要素や取り組みについて、以下のとおり講演がなされる。

・13:40~14:30「自動車の変化と加工課題に向けたカーボンニュートラルの取り組み」木野晴喜氏(MOLDINO)…独自調査による自動車の変化とその加工課題の変化、MOLDINOができるカーボンニュートラルに向けた取り組みについて講演

・14:30~15:20「データマイニング技術を応用した切削条件決定支援システムの構築に関する研究について」児玉紘幸氏(岡山大学)…ボールエンドミルの切削条件決定支援を実現するシステムの構築、データベースに内包されたデータの特徴を明らかにする技術、抽出された特徴を活用したAI運用手法について紹介

・15:30~16:20「EVシフトによって求められる加工技術の変化および課題解決のための取り組み事例」飯山浩司氏(DMG森精機)…EV化による静粛性・効率向上の観点から、より高品位の金型が要求されている一方、磨き工程など熟練エンジニアの技量に頼っている部分が多いことが現状である。ここでは高精度かつスキルに依存しない金型ワークを安定的に生産するためのプロセスについて事例紹介を行う

・16:30~17:15「ディープディスカッション with フェロー」協力:砥粒加工学会フェロークラブ

 3月7日当日はその他、パネル展示企業による新技術説明会(10:00~12:00)、企業および研究機関等パネル展示(10:00~17:30)、産学意見交換会(17:30~19:30)が催される。

3月8日 ATF2024講演会②「カーボンニュートラル時代のモビリティ技術動向」

 自動車のEV化・自動化について大局を見据えた企業・行政の取り組みや最新の研究動向について、以下のとおり講演がなされる。

・10:10~11:20「特別講演:CN(カーボンニュートラル)に向けて加速する自動車の電動化とグローバルな業界構造変化」竹内国貴士(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)…自動車業界はCASEと呼ばれる100年に一度の大変革期を迎えている。そこにCNが加わり、CASEの中でも電動化が加速している。しかし電動化は各地域の政策によりスピード感や電動車の定義も異なるため、過渡期においては既存と新規の両利きの事業展開が必要となる。そこで本講演では、業界構造の変化や電動化のキーとなる車載電池の動向を踏まえつつ、サプライヤーも含めたCN/CASE対応の方向性を提示する

・11:20~11:55「水素エンジンの研究開発動向」伊藤明美氏(東京都市大学)…重量車向けパワーソースとして水素エンジンが注目されている。本講演では、国際的な水素エンジンの研究開発状況や排気規制の動向について述べるとともに、講演者らによるトラック向け水素エンジンの研究開発状況について紹介する

・13:00~13:35「EMO2023の技術動向に見る、工作機械メーカーのEV対応」清水伸二氏(日本工業大学)…2023年9月18日~23日にわたって講演者が視察したドイツ・ハノーバーで開催の国際工作機械見本市「EMO2023」における技術動向を概観し、その中で見られた自動車産業のEVシフトに対する工作機械メーカーの取り組みについて紹介する

・13:35~14:10「EV化を支えるパワー半導体用SiCウェハの加工技術における課題と開発動向」加藤智久氏(産業技術総合研究所)…近年、自動車のEV化加速に伴い、アメリカや中国などでのSiCパワー素子の販売が急速に伸びてきている。SiCパワー素子は一方、シリコンに比べてウェハ製造コストが高くその加工技術も進化が求められてきている。本講演では、これらの技術課題に対する近年の開発動向について紹介する

・14:10~14:45「自動車プラスチック部品の適用動向と技術開発」水谷 篤氏(日産自動車)…自動車へのプラスチックの採用は、材料、工法や金型の進化とともに顕著に増加しており、デザインや軽量化だけでなく、電動化に対応した材料開発も進んでいる。本講演では、自動車プラスチック部品の適用動向や技術開発の事例について幅広く紹介する

・14:45~15:20「市街地自動運転の認識技術と実証実験の取り組みについて」米陀佳祐氏(金沢大学)…次世代のモビリティとして市街地向け自動運転の研究開発や実用化を目指した取り組みが進められている。本講演では、金沢大学の研究グループが国内で実施している実証実験を事例としながら、最近の技術動向について紹介する

・15:20~15:55「安全安心なモビリティ社会を実現する高度運転支援・自動運転システムの研究開発(オンライン講演)」…交通事故のない安全安心な移動の実現のため自動運転技術の開発が進められている。特に、ドライバーの安全運転をサポートする運転支援システムに関わる自動運転の要素技術開発の最近の研究動向について解説する

 3月8日当日はその他、卒業研究発表会(10:00~17:30)、砥粒加工学会賛助会員企業 リクルートフェア(10:00~17:30)、企業および研究機関等におけるパネル展示(10:00~17:30)、ATF懇親会(17:45~19:45)が催される。

 参加費用や各イベントの会場などについての詳細情報や事前申込は、以下の砥粒加工学会 ATF2024ホームページまで。
https://www.jsat.or.jp/node/1556


問合先:(公社)砥粒加工学会 事務局
〒169-0073 東京都新宿区百人町2-22-17 セラミックスビル4F
TEL 03-3362-4195 FAX 03-3368-0902
E-mail staff@jsat.or.jp
 

kat 2024年2月21日 (水曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2024年2月号 特集「カーボンニュートラルと表面改質」キーテク特集「表面観察」2月26日発行!

4ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2024年2月号 特集「カーボンニュートラルと表面改質」キーテク特集「表面観察」2月26日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2024年2月号 特集「カーボンニュートラルと表面改質」キーテク特集「表面観察」が当社より2月26日に発行される。

 今回の特集「カーボンニュートラルと表面改質」では、トライボ表面の分析技術とGHG削減対策としての表面改質技術の概略について、環境に配慮したエンジニアプラスチック表面へのめっき前処理技術について、熱処理設備の中でも特にCO2排出量が多いガス浸炭設備におけるカーボンニュートラルへの取り組みについて、DLCコーティングにおける電気自動車関連と水素関連自動車の取り組みについて紹介する。

 また、キーテク特集「表面観察」においては、AFMにおける表面ナノテクノロジーへの応用について、触針式表面形状測定機、AFM、TEMなどを利用した性能予測のための表面粗さ計測技術について紹介する。

特集 カーボンニュートラルと表面改質

カーボンニュートラルとトライボロジー・・・東京理科大学 佐々木 信也

環境に配慮したエンジニアプラスチック表面への前処理技術・・・関東学院大学 梅田 泰

熱処理設備におけるカーボンニュートラルへの取り組みと今後の展望・・・中外炉工業 吉井 聡一

カーボンニュートラル実現に貢献するDLCコーティング関連の最近の取り組み・・・エリコンジャパン Christian SCHOLZ 氏、露久保 治彦 氏 に聞く

キーテク特集 表面観察

原子間力顕微鏡(AFM)の表面ナノテクノロジーへの応用・・・関東学院大学材料 高井 治

プロファイラー、AFM、TEMなどを利用した性能予測のための表面粗さ観察技術・・・編集部

連載

注目技術:第74回 表面改質の複合処理技術による表面課題の解決・・・表面設計コンソーシアム

酒飲み世界紀行:第1回 チェコのスピリッツ編・・・横浜国立大学 梅澤 修

トピックス

日本熱処理技術協会、第28回熱処理国際会議IFHTSE2023を開催

ASTEC/SURTECH/nano tech2024などが開催

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admin 2024年2月21日 (水曜日)
admin

ASTEC/SURTECH/nano tech2024などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

4ヶ月 2週 ago
ASTEC/SURTECH/nano tech2024などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

 「ASTEC2024 第19回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2024 表面技術要素展」、「nano tech2024国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など15の展示会が、1月31日~2月2日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され42034名が来場、表面改質と表面試験・評価関連でも多数の展示がなされた。

ASTEC2024など展示会場のようす

 Rtec-Instruments( https://rtec-instruments.com/?lang=ja )は、独自の高速スキャンおよび解析ソフトウェアによりコストパフォーマンスに優れた白色干渉計モデルの3Dプロファイラー「UP-2000」を紹介した。日本限定キャンペーンとして、本年度(2024年3月末日)受注受け付け分に限り、定価950万円(税別)で販売している。トライボロジー分野において表面形状測定は重要な評価項目の一つのため、同社は多様な摩擦試験に対応できる多機能型摩擦試験機を開発する一方で、3Dプロファイラーの開発にも注力している。UP-2000は、柔軟な垂直範囲、クロスローラーの高精度ステージ、剛性の高い設計、追跡可能な値により、あらゆるサンプルの粗さ、ステップ高さ、膜厚、トポグラフィー分析などが可能となっている。

Rtec-Instruments「UP-2000」

 大塚電子( https://www.otsukael.jp )は、測定する人も場所も選ばずに、瞬時に対象物(フィルムやガラスなどの透明材料)の三次元情報として、光の波の情報すべて(光波動場)を独自の波面センサで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得、取得した三次元情報を後から無段階で任意面を再生できる(デジタルリフォーカシング)。防振に優れた独自設計のため設置環境をあまり気にしないで済む。

大塚電子「MINUK」

 奥野製薬工業( https://www.okuno.co.jp )は、有機フッ素化合物(PFAS)対策の技術として、フッ素系界面活性剤フリーの無電解ニッケル/PTFE複合めっき液「トップニコジットTFE-SL」をパネルで紹介した。最大25vol%のPTFEが共析可能で、従来のフッ素含有品と同等の摺動性や、300℃・1時間の熱処理後でも保持される高い撥水性(めっき皮膜上の水滴の接触角111°)、離型性に優れた皮膜が得られる。また、優れた浴安定性を実現、14日間放置後のめっき液においてもPTFEの凝集が見られないとの結果を示した。

奥野製薬工業「トップニコジットTFE-SL」のパネル

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、塗膜業界やフィルム業界の各種規格試験や業界標準試験を簡単に行える引掻試験機「トライボギアTYPE:38」を展示した。同試験機はフィルム業界用の「TYPE:38F」と塗膜業界用の「TYPE:38P」を用意。TYPE:38Fでは、JIS K 5600-5-4:1999(塗料引っかき硬度(鉛筆法))やISO 12137:2011(塗料とワニス-耐傷性の測定)、スチールウール試験(業界標準試験)ガーゼ試験(業界標準試験)に対応。TYPE:38Pでは、JIS K 7317:2022(プラスチック-機能性フィルムの引掻き硬さの求め方)、スチールウール試験(業界標準試験)、ガーゼ試験(業界標準試験)、JIS K 6902:2007B(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)、JIS S 6050(プラスチック字消し)に対応している。試験治具もワンパッケージとなっているため、購入後すぐに試験を行える。

新東科学「トライボギアTYPE:38」

 TPR( https://www.tpr.co.jp/ )は、自動車のピストンリングの製造で豊富な実績をもつDLCコーティングの受託加工をアピール、サンプルの展示を行った。具体的には樹脂製品に対して高密着で除電性(静電気拡散性)を付与できるコーティングとして紹介。低温成膜により耐熱性が低い樹脂製品への成膜が可能として、ポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に実績があるとした。さらに、水回りの水垢対策やガラスの水汚れ対策といった防汚性コーティングとしても紹介。化学的安定性の高いDLCコーティングにより防汚性が付与できることや、金属と樹脂製品どちらに対しても高密着性と高耐摩耗性を付与できることを訴求した。

TPR「DLCコーティングのサンプル」

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、機能を絞ることで低価格化を実現した開発用小型HiPIMS成膜装置「ICF330-SP」の展示を行った。同装置は大電力マグネトロンスパッタリング(HiPIMS)でのコーティングに機能を特化した小型の成膜装置。機能特化によりコストを抑え低価格で提供できるようにした。また、同社の受託加工で主力のDLCコーティング「生体適合性ICFコーティング」を紹介。同社独自の技術により適切な膜質制御を行い硬さと内部応力の制御および生体適合性の制御を行うことが可能になった。具体的にはISO 10993-4(血液適合性試験)やISO 10993-5(細胞毒性試験)に対応している。

ナノテック「ICF330-SP」

 パーカー熱処理工業( https://pnk.co.jp )は、潤滑剤と基材の摩擦摩耗試験におけるデファクト・スタンダード機である振動摩擦摩耗試験機「SRV®5」を展示した。オシレーションとローテーション(オプション)を同一プラットフォームで選択式に試験できるほか、この2種類の動作を組み合わせた現実に則したリグ試験により、局所的な可動部の摩擦摩耗評価にも対応可能。また、SRVの入門機で卓上タイプの摩擦摩耗試験のEasy Tribo Screener(ETS)を展示。最大300Nの荷重に対応し、コーティング、潤滑剤、添加剤、基材等の分野における測定ニーズを満たしているほか、試験中の潤滑剤の状態観察や予防保全用途にも最適。

パーカー熱処理工業「SRV®5」

 パーク・システムズ・ジャパン( https://www.parksystems.com/jp )は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp )は、スループット2倍の高速測定モード、200mm×300mmの広い試験領域を実現、ポリマー薄膜のナノスケール試験の精度向上、コンビナトリアル材料科学のスループット向上、300mm半導体ウエハのマルチ測定分析などが可能なナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」を展示した。新しいPerformech IIIコントローラ、高度なフィードバック制御モード、次世代nanoDMA IV動的ナノインデンテーション、XPM II高速機械特性マッピングなど測定・解析プロセスのあらゆる面で最新技術を採用。ユニバーサル・サンプル・チャックの使用でほぼすべてのサンプルを取り付けることができ、より広い試験領域での測定が可能。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」

 レスカ( https://www.rhesca.co.jp )は、軟質素材/ソフトマター表面の摩擦・粘弾性を含む総合的な挙動を評価する試験装置「レオトライボテスタRTT1000」を披露した。特長は、①メゾスコピック領域のレオロジー/トライボロジーの評価に最適:球状接触子の採用によりμmオーダーからmmオーダーまでの多様な接触領域をカバー、②摩擦・粘弾性を含んだ抵抗力を高感度に測定可能:同社が長年培ってきた電磁平衡式電子天秤技術と新開発の超低歪みボイスコイル式往復摺動ステージにより実現、③摺動波形に三角波が選択可能:往復運動の速度を一定にできるため解析の幅が広がる、④摺動波形に正弦波が選択可能:平面接触子と静止条件の選択により動的粘弾性解析が可能、など。

レスカ「レオトライボテスタRTT1000」

 ワカヤマ( https://ninjacoat.jp )は、機能性塗料戦隊「ニンジャコート」を披露。一般的な黒色塗料と比べて光の吸収率が圧倒的に高く、目に見える光をほとんどすべて吸収してしまう「漆黒のブラック」、200℃を超える高温に耐え熱を遮る「情熱のレッド」、水を弾いたり馴染ませて製品の美観を保持する「水流のブルー」、電磁波や静電気から機器を保護する「電光のイエロー」、商品をカラフルに彩りブランディングに寄与する「魅惑のピンク」、木材や樹脂に素材以上の硬さを与える「防御のホワイト」について、デモンストレーションをまじえて紹介した。

ワカヤマ 「ニンジャコート 情熱のレッド」

 

admin 2024年2月9日 (金曜日)
admin

山本通産など4社、2/16にオンラインセミナー「耐候性の基礎セミナー」を開催

4ヶ月 2週 ago
山本通産など4社、2/16にオンラインセミナー「耐候性の基礎セミナー」を開催

 山本通産の主催、BASFジャパン、岩崎電気、コニカミノルタジャパンの共催により、2月16日 13:00 ~ 15:40にオンラインセミナー「耐候性の基礎セミナー~光安定剤・促進耐候性試験・評価(色&光沢) ~」が開催される。参加費用は無料で、開催方法はウェビナー(Microsoft Teams)。申し込みは以下の画像をクリック。

 

 屋外で用いられる製品およびその構成材料は、⾧期での耐久性が不可欠となる。今回のセミナーでは、耐候性をテーマに材料処方・試験およびその評価に関して、基礎的な内容を中心に説明がなされるほか、実際の装置導入事例や耐候性試験前後のサンプルの実測データが紹介される。基礎知識の向上および最新トレンドに関して、材料・試験方法・評価の三つの観点から説明し、ユーザーの課題解決のヒントが得られるオンラインセミナーとなっている。

 当日は以下の三つのセミナーが行われる。

①    13:10 ~ 13:50「耐候安定剤の基礎セミナー」 講師:BASFジャパン ED添加剤 中南宇史氏

〈主なプログラム〉
・耐候安定剤のメカニズム
・紫外線吸収剤
・処方設計
・水系用UVAのご紹介

②    13:50 ~ 14:30「促進耐候性試験の基礎セミナー」 講師:岩崎電気 光・環境事業部光デバイス部 プロセス技術開発課 森 一郎氏

<主なプログラム>
・耐候性試験について、各種促進耐候性試験(機)のご紹介
・促進性重視:メタルハライドランプ式試験機
・メタルハライドランプ式試験法JIS制定
・規格、相関性重視:キセノンランプ式試験機
・電子線(EB)処理について
・受託試験のご案内

③    14:40 ~ 15:30「測色と光沢評価の基礎セミナー」 講師:コニカミノルタジャパン センシング事業部顧客サポート部 北澤久和氏・清藤 勲氏

<主なプログラム>
■基礎編
・目視と数値評価
・表色系いろいろ( L*a*b*、色差、黄色度YI )
・測定のしくみ(光源、センサー)
■応用編・色と光沢の測定がなぜ必要か?
■実測編・耐候性試験前後の色と光沢の実測例

kat 2024年2月6日 (火曜日)
kat

ブルカージャパン、3/8にナノインデンターをテーマに懇話会をオンサイト開催

4ヶ月 2週 ago
ブルカージャパン、3/8にナノインデンターをテーマに懇話会をオンサイト開催

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部は3月8日13:30~17:00に、東京都中央区の貸会議室スペース まる八 茅場町で、ナノインデンターユーザーを対象にした「第2回 微小力学懇話会」を開催する。参加費用は無料で、17:00からは、講師陣と聴講者が深い議論や親睦を深めるプログラム「懇親会」も準備されている。参加申し込みフォームは、以下の画像をクリック。

 

 同社にはかねてから、ナノインデンターユーザーを中心とした実務者から、微小力学試験に関して相談・議論できる場が欲しいとの声が多数寄せられていたが、昨年、物質・材料研究機構・大村氏の協力のもと、微小力学試験のさまざまなテーマに関し情報収集・意見交換できる機会として「微小力学懇話会」を発足させた。昨年はウェブ開催だったが、第2回目となる今回はオンサイト開催となることから、より活発な会になることが見込まれている。

 微小力学懇話会は、双方向の情報発信となるよう、第一線で活躍する講師の講演に加えて、「みんなで話そう微小力学」としてパネルディスカッションも企画。本イベントの参加者による活発な意見交換を通じて、微小力学試験の有効活用に役立てることを企図している。

プログラム

13:00~ 受付開始

13:30~13:40 開会挨拶

13:40~14:20
【特別講演】「インデンテーション法を用いた結晶性材料の変形・破壊挙動の理解」池田賢一氏(北海道大学
)…金属や半導体、セラミックス等の結晶性材料の力学特性は結晶方位や結晶粒径、析出物等の第二相粒子など様々な内部組織に依存することが知られている。本講演では、発表者が所属する研究室内で実施してきた各種インデンテーション法により評価した以下の結果を紹介する。

『計装化In-situ Vickers インデンテーション法を用いたSi結晶の破壊挙動の理解』…透明ビッカース圧子を用いてSi単結晶の亀裂進展挙動をその場観察し、その結晶方位依存性を検討した結果を紹介する。

『時効析出強化型アルミニウム合金の粒界近傍の局所力学挙動解析』…Al-Mg-Si系合金を対象として、時効生成物の種類と粒界性格に着目して時効生成物が粒界近傍の力学特性に与える影響について、ナノインデンテーション法を用いて検討した結果を紹介する。

14:20~14:50
【特別講演】「分子結晶の力学応答発光機能を司る要因の多面的検討」平井悠一氏(物質・材料研究機構)
…分子結晶の粉砕による発光(メカノ発光)や、磨砕による発光色変化(メカノクロミック発光)は近年広く知られるようになり、自立型光源や応力センサーとしての展開が期待される。これらは分子材料として、その分子構造と結晶構造、光機能の相関は評価されているものの、「変形・破壊」自体を直接的に検出・評価した例がほとんどない。本講演では、代表的な分子群(希土類錯体、ピレン誘導体)のナノインデンテーション試験により得られた結果と分子の形態・刺激応答性の相関について紹介する。

14:50~15:10
「ナノインデンターを使うコツ」二軒谷 亮(ブルカージャパン)
…ナノインデンターは様々な微小力学特性評価を行うことのできる、大変便利な装置だが、試料の固定や測定条件などにより、測定結果が変わってしまうことに注意する必要がある。本講演ではナノインデンターの基礎理論に加え、ユーザーやナノインデンターを始める人に知っておいてもらいたい、使い方のコツを紹介する。

15:10~15:20
休憩

15:20~16:20
【特別企画】「みんなで話そう微小力学」
…微小力学試験に関して、日頃より気になる質問や相談を講師陣からなるパネリストと意見交換できる、貴重なプログラム。質問・相談は登録フォームより記入できるほか、当日の質問・意見も受け付けている。

16:20~16:30 閉会の挨拶

16:30~17:00
ナノインデンターラボツアー
( ※ブルカー東京デモルームへ移動 会場より徒歩1分)

17:00~ 懇親会

kat 2024年2月6日 (火曜日)
kat

日新イオン機器、半導体材料改質プロセスにおいて世界初の量産化を可能にする装置

4ヶ月 3週 ago
日新イオン機器、半導体材料改質プロセスにおいて世界初の量産化を可能にする装置

 日新イオン機器は、半導体デバイスを製造する際の材料改質プロセスにおいて量産能力を持つ半導体材料改質装置「KYOKA(鏡花)」を開発した。

 KYOKAは、日新イオン機器が市場を独占するスマートフォンディスプレイ製造用装置で培った大電流イオン技術を応用して設計され、高スループットや低処理コストをはじめ、材料改質の実用化と量産化に必要な種々の性能を満たす世界初の装置。2024年4月に日新イオン機器滋賀事業所にデモ機を設置し、顧客へのサンプル処理を開始する。

 今後の科学技術の発展に大きく貢献すると期待されている人工知能(AI)チップをはじめとした半導体デバイスの微細化とそれがもたらす低消費電力化、および高機能化をさらに進展させるために、ユーザーから新しいプロセスの導入が待ち望まれているという。その一つがイオンによる材料の改質で、シリコンや酸化シリコンなど半導体デバイスを構成する材料に低エネルギーのイオンビームを照射することで、元の材料には無い性質を付与させることが可能となる。しかしながら、このプロセスには非常に多くのイオンが必要となり、従来装置では生産性とコスト面の要求を満たすことができず、実用化の大きな障害となっていた。

 今回開発したKYOKAは、材料改質の量産装置を切望されるユーザーの声を受け、2017年から開発を開始した。シミュレーションを用いたイオンビームの軌道解析や、機械・電気・ソフトウェア設計の改良を積み重ねた結果、市場の要求を満たす量産能力を実現することができた。材料そのものの機能向上に加えて、材料の持つ性質を変化させることで、その後に続く半導体加工工程を容易にすることも可能なことから、デバイス性能の向上と製造技術の進歩の両面での貢献が期待できる。

KYOKA

 

admin 2024年2月2日 (金曜日)
admin

仏・Alメーカーの高機能金属粉末の販売権を獲得

4ヶ月 3週 ago
仏・Alメーカーの高機能金属粉末の販売権を獲得

 大陽日酸( https://www.tn-sanso.co.jp )は、フランスのアルミニウムメーカー Constelli um SE(コンステリウム社)の金属アディティブ・マニュファクチャリング(金属AM)粉末商材「Aheadd® Aluminium Powders」における日本での販売権を1月に獲得した。これにより大陽日酸は本粉末商材を航空宇宙、自動車分野に加え、半導体分野など幅広い市場に向けて提案していく。

 同社は、日本酸素ホールディングスの中期経営計画「NS Vision 2026 Enabling the Future ~」の五つの重点戦略の一つである「カーボンニュートラル社会に向けた新事業の探求」や日本の産業ガス事業の成長戦略としての「ソリューションビジネスの拡大」に基づき、金属AMを重点事業分野と位置付け、大陽日酸が得意とする溶接プロセス、ガス精製、熱処理などの産業ガスアプリケーション技術を金属AMでの課題解決につなげ、革新的な商品開発や生産合理化、カーボンニュートラルに貢献するため、グローバルに事業を推進している。

 コンステリウム社は、アルミニウム製品とソリューションの開発、製造、リサイクルにおけるグローバルリーダーであり、同社の金属AM向けのアルミニウム合金粉末「Aheadd® Aluminium Powders 」はLaser Powder Bed Fusion 方式に最適化された設計であり、従来の粉末で実現できなかった新たな金属AM造形物の高機能化を実現する。大陽日酸は、ものづくりにインパクトを与える金属AM粉末商材の拡充を進めており、同品の日本市場における販売権を獲得した。

admin 2024年2月2日 (金曜日)
admin

表面設計コンソーシアム2社、2/7~9開催の「テクニカルショウ ヨコハマ2024」に出展

4ヶ月 3週 ago
表面設計コンソーシアム2社、2/7~9開催の「テクニカルショウ ヨコハマ2024」に出展

 表面設計コンソーシアム(https://surfacedesignconsortium.com/)参画企業である昭和精工(https://www.showa-seiko.co.jp/)と日本電子工業(http://www.ndkinc.co.jp/)は、2月7日~9日の3日間、横浜市のパシフィコ横浜 展示ホールA・B・Cで開催される「テクニカルショウ ヨコハマ2024(第45回工業技術見本市)」(https://www.tech-yokohama.jp/)に出展する。

 昭和精工は加工技術エリアのかながわ自動車部品サプライヤー共同出展ゾーン(ブースNo.R18)にて出展、日本電子工業株式は機器・装置・製造・ロボットエリアの相模原市産業振興財団ゾーン(ブースNo.R34)にて、それぞれ出展。各社力を入れている新しい技術を紹介する予定だ。
 

 

kat 2024年1月29日 (月曜日)
kat

DIC、めっき可能なPPSコンパウンドを開発

5ヶ月 1週 ago
DIC、めっき可能なPPSコンパウンドを開発

 DIC( https://www.dic-global.com/ja )は、塚田理研工業および吉野電化工業と共同で、めっき可能なPPSコンパウンド「DIC.PPS MP-6060 BLACK」(以下「MP-6060」)を開発した。本開発品とめっき技術の組み合わせにより、特殊なエッチング工程を必要とせず、既存のプラスチックめっきラインでスーパーエンプラPPSの金属めっき処理が量産可能となる。

 PPSに金属めっきをすることにより、耐久性が必要とされる電子機器筐体やコネクタなどの金属部品の樹脂化と電磁波シールドの両立が可能となる。特に、電動化や自動運転化が進む車載部品では、ECU(電気制御ユニット)やADAS(先進運転支援システム)の筐体などの樹脂化が軽量化につながり、燃費効率と航続可能距離を向上させることで、性能とサステナビリティの両面での貢献が見込まれる。今後、電気自動車(EV)やPCなど耐久性が必要となる電子機器分野を中心に需要を取り込むことで、2030年の売上高30億円を目指す。

 PPSはスーパーエンプラとしての耐久性や軽量化、加工性などの長所から、車載電子機器などに使用されてきた。金属等の電気導体では電磁波の遮蔽効果が得られるが、プラスチックは電磁波を透過するため、筐体として電磁波を防ぐにはプラスチック表面に金属皮膜を形成するなどの電磁波シールド技術の使用が必要となる。しかし、PPSはその高い耐薬品性から一般的なプラスチックめっきで用いられるエッチング溶液が前処理に使用できず、金属膜との密着が難しいとの課題があった。これまで、めっきの密着性を付与するためにブラスト処理、プラズマ処理、フッ酸処理、濃硝酸処理などの特殊なエッチング工程が必要だったという。

 今回、同社が開発したMP-6060は、クロム酸などの汎用溶液でのケミカルエッチングが可能で、既存のプラスチックめっき設備で金属めっきが可能となった。

MP-6060のめっき工程無電解・電解めっきの比較

 

admin 2024年1月12日 (金曜日)
admin

川崎重工、民間航空機分野のNadcapの議決メンバーに加入

5ヶ月 1週 ago
川崎重工、民間航空機分野のNadcapの議決メンバーに加入

 川崎重工( https://www.khi.co.jp )は、民間航空機分野における世界的な特殊工程認証制度であるNadcapにおいて、認証ルールや基準策定の議決メンバーであるサブスクライバーとしての登録・加入が認められた。これは、同社が世界的に信頼性の高い航空機およびエンジンメーカーとして認められたもので、そのうち同社は日本で2例目となる。

 Nadcapは、1990年に開始された世界標準の認証プログラムで、米国PRI社(Performance Review Institute)が第三者機関として、民間航空機製造の特殊工程審査を行う。Nadcapサブスクライバーとして認められた世界の航空機およびエンジンメーカーが特殊工程の世界標準となる認証ルール・基準を策定している。

 同社は従来からNadcap認証のもと民間航空機事業および民間エンジン事業を展開しているが、サブスクライバーとなったことで、新たにNadcapの認証ルール・基準策定に同社の保有技術や知見を生かすことができるようになる。

 また、Nadcap認証を取得しているサプライヤーに対しては、川崎重工によるサプライヤーごとの審査に替えて、PRI社による審査結果を活用することで、審査の標準化および審査数の削減による効率化につながる。さらに、サプライヤはNadcap認証を取得することで、顧客ごとに異なる審査を受けていたものから、PRI社の審査のみとなることで受審回数を削減でき、経済的・時間的なメリットを享受することができる。

 

 Nadcapの特殊工程とは、浸透探傷検査や放射線透過検査などの非破壊検査、熱処理、めっきなどの表面処理、溶接、レーザー加工、複合材部品の成型や接着作業などの複合材加工、ショットピーニングなどの製造工程が該当し、厳格な品質管理が求められ世界標準による認証が要求される。

 

admin 2024年1月12日 (金曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2023年12月号 特集「DLCコーティングの現状と最新技術動向」12月25日に発行!

6ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年12月号 特集「DLCコーティングの現状と最新技術動向」12月25日に発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年12月号 特集「DLCコーティングの現状と最新技術動向」が当社より12月25日に発行される。

 今回の特集では、FCVA法によるDLC膜の三次元成膜技術の成果と課題および今後の研究動向について、同志社大学で取り組んでいるDLC膜の膜質制御と新たな被膜強度評価法について、DLC膜の光学的特性評価法のISO規格の概要とその活用方法について、大気中と乾燥窒素中のDLC膜のアルミ材によるトライボロジー特性の比較について、国内トップクラスのDLC生産量を誇る東研サーモテックの現状と今後の展開について、ガスクラスターイオンビームによるDLC膜の概要と高密度・低残留応力膜の形成について紹介する。

 

特集:DLCコーティングの現状と最新技術動向

◇PECVD成膜法およびFCVA成膜法による三次元部材へのDLC成膜と特性評価・・・鳥取大学 為野 悠人、東京工業大学 平田 祐樹

◇DLC膜の膜質制御と評価に関するこれまでの取り組み・・・同志社大学 中村 守正

◇DLC膜の光学的特性評価法のISO規格とその活用・・・DLC工業会 平塚 傑工

◇DLCコーティングのアルミ材による摩耗メカニズム・・・ナノコート・ティーエス 熊谷 泰、川本 秀士、坂下 武雄

◇DLCコーティングの特性を活用した新分野への展開・・・東研サーモテック 髙橋 顕 氏に聞く

◇ガスクラスターイオンビーム(GCIB)による高密度・低残留応力DLC膜の形成・・・野村鍍金 西山 昭雄、吉川 亮太、兵庫県立大学 豊田 紀章

連載

注目技術:半導体製造プロセス向けDLCコーティング・・・日本コーティングセンター

トピックス

表面設計コンソーシアム、設立講演会を開催

第16回岩木賞に、神戸製鋼所、大阪大学 孫 栄硯氏、宮崎大学 大西 修氏が受賞

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admin 2023年12月21日 (木曜日)
admin

日本熱処理技術協会、第28回熱処理国際会議IFHTSE2023を開催

6ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、第28回熱処理国際会議IFHTSE2023を開催

 日本熱処理技術協会は11月13日〜16日、横浜市のパシフィコ横浜 会議センターで「第28回熱処理国際会議(IFHTSE2023)」(実行委員長:豊田工業大学・奥宮正洋氏)」を開催した。

会場となったパシフィコ横浜 会議センター

 

 IFHTSE2023にはヨーロッパやアメリカ、アジア等から多くの参加者があり、以下のようなトピックスで一般講演やポスターセッションが行われた。
・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理技術
・表面硬化技術
・焼入れ技術
・積層造形技術における熱処理および熱化学処理
・表面被覆技術
・ロウ付け
・熱処理および表面技術の金属物理
・熱処理および表面処理部品の試験・評価法
・熱処理および表面処理のモデリング・シミュレーション
・部品の残留応力と変形
・工業炉および表面処理炉
・人工知能によるプロセス制御と熱処理および表面処理の信頼性
・省エネルギーとCO2排出削減
・熱処理および表面処理の環境対策
・ショットピーニング
・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理・加工とそのメタラジー・特性

一般講演の様子

 

ポスターセッションの様子


 Plenary Lectureでは、香港の香港城市大学のLu Jian氏が「Recent development of Surface Modification: from Nanostructure to Supra-Nanostructure」と題し結晶粒微細化に関して、デンマークTechnical University of DenmarkのMarcel Somers氏が「Nitriding and nitrocarburizing; an interwoven braid of science and innovation」と題し窒化・表面硬化熱処理に関して、それぞれ講演を行った。また、Keynote Lectureでは、ハンガリーのObuda UniversityのImre Felde氏が「Biomimetic methods and AI technics assisting Heat Treatment processes」と題し熱処理シミュレーションに関して、オーストラリアのAW BellのRoger Lumley氏が「A study on the homogeneity of plastic deformation and its importance to tensile ductility in Al-Si-Cu-Mg (C355) investment castings」と題しC355インベストメント鋳造における塑性変形の均一性と引張靭性について、イタリアのUniversity of TrenoのMassimo Pellizzari氏が「Heat Treatment for Additive Manufacturing」と題し積層造形における熱処理に関して、九州大学の土山聡宏氏が「Microstructure control of a medium manganese steel by combined interrupted quenching and intercritical annealing」と題し合金設計と組織制御に関して、ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏が「Quenching and Distortion」と題し焼入れプロセスにおける歪み形成に関して、横浜国立大学の高橋宏治氏が「Effects of laser peening on the very high cycle fatigue strength of additively manufactured maraging steel」と題し3D積層造形した金属材料のレーザーピーニングによる疲労強度向上に関して、それぞれ講演を行った。

ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏によるKeynote Lectureの様子


 また、各地域の熱処理の特色や現状の課題、今後の展開についての情報提供および議論を行う「熱処理サミット」が開催された。アメリカIpsen InternationalのJanusz Kowalewski氏がアメリカの熱処理事情について、ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏が「ヨーロッパの熱処理事業について、DOWAサーモテックの加賀誠士氏がアジア地域の熱処理市場について、日本金属熱処理工業会副会長でメタルヒート社長の原敏城氏が日本の金属熱処理業界動向について、日本熱処理技術協会副会長で日本パーカライジング フェローの渡邊陽一氏が日本の熱処理技術の最近の研究開発動向について、それぞれ発表した。

熱処理サミットの様子

 

 今回はさらに、24社の企業による展示ブースが併設され、国内外の熱処理・表面処理・分析装置・測定装置などのさまざまな企業の展示が行われたほか、出展企業によるランチョンセミナーも行われた。

HEFグループによる企業展示の様子

 

新東工業による企業展示の様子

 

山本科学工具研究社によるランチョンセミナーの様子


 IFHTSE2023では、日本熱処理技術協会 60周年記念式典を併せたウェルカムパーティーや、バンケット、オプショナルツアーなどさまざまなイベントが企画された。15日に開催されたバンケットでは、アルコ弦楽四重奏団による演奏や、横浜芸妓組合による演奏と踊り、アルコ弦楽四重奏団と横浜芸妓組合のコラボレーションによるステージなどが披露された。

バンケットでのアルコ弦楽四重奏団による演奏

 バンケットではまた、ポスターセッションにおける「優秀ポスター賞(Best Poster Award)」の受賞者が、以下のとおり発表された。

P20 
「Interfacial Microstructure and Fracture Behavior of Fe/Ni Interface by Solid-state Compressive Bonding」

Sien Liu, Shoichi Nambu, 
Department of Materials Engineering, The University of Tokyo

P9  
「Corrosion Behavior of 316L Stainless Steel Arc-coated ZrTiAgN Multilayer Film in Media Containing Chloride」

Chun-Yin Lin, Mu-Jou Ho, Cheng-Hsun Hsu 
Department of Mechanical and Materials Engineering, Tatung University
    
P33   
「Effect of Nitriding Conditions on 304 Stainless-steel Plasma Nitrided with Ni Screen」
 
Masaki Kuribayashi, Akio Nishimoto 
Department of Chemistry and Materials Engineering, Kansai University

P42  
「Short-time Induction Treatment to Improve Fatigue Strength and Wear Resistance of Ti-6Al-4V Alloy Formed by Laser Powder Bed Fusion 」

Koki Matsumoto 1 , Li He 1 , Shogo Takesue 1 , Yoshitaka Misaka 2 , Tatsuro Morita 1 
1 Kyoto Institute of Technology, 
2 Neturen Co., Ltd

kat 2023年12月19日 (火曜日)
kat

高機能トライボ表面プロセス部会、第22回例会を開催

6ヶ月 1週 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第22回例会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)は12月7日、名古屋市天白区の名城大学で「第22回例会」を開催した。

開催の様子

 

 高機能トライボ表面プロセス部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 今回は上坂会長の開会の挨拶に続いて、以下のとおり講演が行われた。

・「反応性プラズマによる透明導電膜の正イオン蒸着技術および負イオン照射」北見尚久氏(住友重機械工業)…プラズマ成膜における反応性プラズマ蒸着(Reactive Plasma Deposition、RPD)の特長(成膜フラックスの高イオン化率や化学結合に適した成膜粒子エネルギーの制御が可能など)やRPDで得られるITO膜とGZO膜の特長について述べた。また、成膜粒子解析技術として基板への飛来粒子定量分析(中性粒子と正イオン)、RPDによる薄膜成長の機序解析(ITO膜の移動度と成膜レートのエネルギー依存性、GZO膜の成長促進因子と点欠陥制御)、酸化物成膜といったRPDの産業展開、酸素負イオン照射技術(Reactive Nion)の特長と酸化物への酸素負イオン照射効果について紹介した。

・「HiPIMSによるDLC硬質化の最先端」太田貴之氏(名城大学)…HiPIMSによるDLC成膜の方向性として高硬度化とドロップレットレス化(低摩擦係数)を掲げ、そのアプローチとしてパルス波形(大別してシングルパルスとダブルパルス)と希ガスを用いた手法を紹介した。シングルパルスHiPIMSによるDLC成膜(イオン(炭素、アルゴン)の挙動と硬度)やダブルパルスHiPIMSによるDLC成膜(パルス間隔の効果)について報告。パルス条件の調整によって成膜速度と硬度の向上が両立できると総括した。さらに、シングルパルスHiPIMSにおける希ガス(アルゴン、ネオン、キセノン)の効果について紹介した。イオンフラックスが少ないキセノンにおいて高硬度のDLC膜が得られた理由として、高質量キセノンのボンバード効果が高硬度化に寄与する可能性を示唆した。

・「地熱発電システムにおける低付着カーボンコーティングの開発」中島悠也氏(富士電機、Zoom講演)…地熱発電における出力低下要因となるシリカスケールの付着抑制に向け、化学的に析出付着するシリカに対してDLCによる低付着化を行った結果、シリカの析出付着モードに対して低付着なDLC化学構造を明確化、低sp2結合量、高水素含有量でシリカ付着量が低減した。また、DLCにおけるシリカ低付着モデルを解明、sp2減、水素含有向上によるシリカ付着力低減効果を明確化した。さらに、蒸気系統(タービン翼)から、熱水系統(管内)への展開を担い、DLC管内成膜プロセスを構築、蒸気/熱水系統ともにシリカの付着を劇的に抑制できることを確認。DLCは地熱発電で問題となっていたシリカスケールに対して抜本的かつ新しい解決手段で、地熱発電の事業性向上に寄与できると総括した。

 続いて、名城大学 太田研究室の見学会が実施された後、閉会した。

見学会の様子

 

kat 2023年12月12日 (火曜日)
kat

ナノ科学シンポジウム2023がハイブリッド開催

6ヶ月 1週 ago
ナノ科学シンポジウム2023がハイブリッド開催

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2023 : NSSJ2023)」が10月27日に東京都文京区の東京大学 浅野キャンパス 武田ホールで、対面参加とオンライン参加からなるハイブリッド形式で開催された。主催は関東学院大学材料・表面工学研究所とパーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

参加者による記念撮影


 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウム。2020年から開催され4回目となる今回は、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表がなされた。

・特別講演「ナノテクノロジーとナノ原子(=水素)考察」西 和彦氏(日本先端工科大学(仮称))…注目される水素を作るナノテクノロジーの着想点として、粒子の大きさを小さくし総表面積(反応面積)を大きくする、反応温度を上げる、反応気圧を上げるという化学反応の加速や、究極の水素ビジネスである水を還元して水素にする還元剤の研究、水素を貯蔵・デリバリーするナノカプセルの生成のほか、常温核融合もどき、常温超電導の周辺、元素間融合など、ビジネスになる理論・実学の追求を目指し新設する日本先端工科大学(仮称)の研究分野の一端を紹介した。

特別講演を行う西氏


・「AFMナノインデンテーションによる1次元グラフェン歪み格子の作製」田中悟氏(九州大学)…グラフェンに歪み(勾配)を加えると発生する「擬磁場」は電子の運動を仮想的に表す「場」であるが、実際の電子はあたかも磁場下にあるような運動を行う。この擬磁場を周期的に形成することでランダウ量子化,無磁場の量子異常ホール効果の観察が期待されるが、そのためには1・2次元周期歪みグラフェンの形成が必要となる。ここでは1次元歪み格子の実現のため、AFMナノインデンテーションによるSiC表面への周期的ナノトレンチ構造の形成とグラフェン転写による歪みの導入を試みた結果を議論した。

・「SPM技術を用いた全固体電池の評価」富沢祥江氏(太陽誘電)…全固体電池のサイクル特性やレート特性などの性能向上を図る上で、効率的・効果的な解析技術が不可欠となる。全固体電池の詳細な動作解析を行う目的でSPM装置を導入した。SPM技術の中でもケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)による電位分布評価は、電池を駆動させながら(operando計測)、電極内部の電位変化を可視化できるため、不良箇所を特定したり、正負各極の動作メカニズムを詳細に解明したりできる強力な手法である。ここではKPFM以外にも、SPMを活用した材料物性の評価事例、全固体電池デバイスの解析事例を紹介した。

・「3D Heterogeneous Integrated System Chip Technology」G.P. Li 氏(カリフォルニア大学 )…ここでは、将来のエッジシステムとして、統合センシングやワイヤレス通信、AIデバイスを支える3Dヘテロジニアス集積システム(3D HIS)チップ技術を取り上げた。3D HISはムーアの法則を超える半導体のナノエレクトロニクスを実現する。提案された3D HISチップ技術の研究は、相対的な人認知機能を模倣する多機能3Dシステムの開発に注がれていると述べた。

・「薄膜デバイスにおける巨大磁気回転効果」能崎幸雄氏(慶應義塾大学)…マクロな回転運動から磁気を生み出す磁気回転効果は、約100年前にアインシュタイン、ドハース、バーネットによって発見された。しかし、キロヘルツオーダーの高速な回転運動でも地磁気程度の微弱な磁気しか生み出せなかったため、これまでその応用研究はほとんど行われてこなかった。講演者は、最新のナノテクノロジーを駆使することにより、薄膜デバイス内にギガヘルツオーダーの超高速な回転運動を生成し、巨大な磁気回転効果を生み出すことに成功した。当日は、磁気回転効果の基礎とその薄膜デバイス構造を概説し、磁気回転効果のデバイス応用についてその可能性を語る。

・「AFM Methodologies for Quality Assessment of Lithium-ion Battery Electrodes」Seong-Oh (Jake) Kim氏(Park Systems)…リチウムイオン電池 (LIBs) はスマートフォンやノートパソコン、EVなどのポータブル蓄電デバイスとして広く使われている。LIBs のnmスケールでの形態と電気特性との相互作用を理解することは、LIBs の性能と品質管理の進歩の上で極めて重要となる。ここでは、AFMを用いてLIBs の電極材料の分析を実施、LIBs のカソードとアノードの活材料の役割や、バッテリーの容量と電力に及ぼすそれらの影響を浮き彫りにした。

・「ダイヤモンド半導体デバイスの作製とインチ径ウェハの成長メカニズム」嘉数 誠氏(佐賀大学)…ダイヤモンドはバンドギャップが5.47eVのワイドギャップ半導体で、絶縁破壊電界、熱伝導率、キャリア移動度が高く、シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)を超える大電力・高効率パワー半導体として期待されている。ここでは、サファイア基板とMgO基板を用いた場合を比較し、ダイヤモンドの初期成長表面をAFMで観察し、結晶品質を決める成長機構を調べた。

・「半導体光デバイスと通信・センサーへの応用」荒川太郎氏(横浜国立大学)…半導体レーザーをはじめとする半導体光デバイスは、光ファイバー通信、センシング、分光分析、加工、医療・バイオなどさまざまな分野に応用され、光エレクトロニクスと呼ばれる工学分野の中心を担っている。化合物半導体光デバイスは主にレーザーや発光ダイオード、光変調器、光スイッチなど能動素子として使用され、シリコン光デバイスも発光素子を除く能動・受動素子として使用されている。ここでは化合物半導体とシリコン光デバイスを中心に、それらの動作原理と光ファイバー通信やバイオセンサー・ガスセンサーへの応用例を紹介した。 

・「AFMによる粘弾性計測の最新の展開」中嶋 健氏(東京工業大学)…AFMを用いて粘弾性計測を行う試みにはいくつかの方法がある。ここでは、それらについて概観するとともに、特に貯蔵弾性率・損失弾性率などを画像化できるナノ粘弾性計測手法(nanoDMA)について、原理と最新の展開を紹介した。例えば、フィラーと高分子マトリックスからなるナノコンポジットの界面の粘弾性について、マトリックスがゴム状態にある場合とガラス状態にある場合で界面の振る舞いが異なっている。それを可視化した最近の論文について詳しく述べた。

 当日はまた、30件のポスター発表が実施され、選考委員により最優秀賞1名、優秀賞2名が以下のとおり選考された。

◆最優秀賞
・「分子応答型DNAナノポアを用いたATP計測技術の確立」赤井大夢氏(長岡技術科学大学)

◆優秀賞
・「原子層モアレ超格子直接観察用資料の作製」川瀬仁平氏(東京大学)

・「Mapping force inside living cells by AFM in response to environmentalstimli」王 洪欣氏(物質・材料研究機構)

ポスターセッション表彰式のようす

 

kat 2023年12月12日 (火曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和5年度第2回研究会を開催

6ヶ月 1週 ago
トライボコーティング技術研究会、令和5年度第2回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は10月5日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホールで「第148回研究会:令和5年度第2回研究会」を開催した。今回は、マイクロ加工シンポジウム「第51回 マイクロファブリケーション研究の最新動向」のトライボセッションとして開催された。「第10回板橋オプトフォーラム」も同時開催された。トライボセッションでは以下の発表があった。

会場の様子

・「株式会社オンワード技研の会社概要とコーティング技術について」川畠丈志氏(オンワード技研)…熟成してきた自社の強味として、1990年代から手がけているDLC技術の業界に対する認知度の高さや、T字型フィルタードアーク方式の装置など自社開発の装置(保有装置15台中自社開発装置が10台)があること、DLC膜一つをとっても各種製法による水素含有DLC(a-C:H)コーティングから水素フリーDLC(ta-C)コーティングまで顧客ニーズに合わせたさまざまな膜の提案ができること、年間140万点の受託加工において欠けなどのハンドリングミスが8点という、コーティングの前後処理から膜の試験測定評価までの徹底した品質管理体制などをアピールした。

講演する川畠氏

 当日は企業展示コーナーが併設され、トライボコーティング関連ではRtec-Instrumentsが多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や三円筒転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機などのトライボロジー試験機を紹介したほか、オンワード技研が各種DLCとそれらを施した切削工具のサンプルを展示した。また、東京理科大学 佐々木信也研究室(主宰:佐々木信也教授)が充実した試験分析評価装置を保有し各種のトライボロジー試験が可能なトライボセンターについて、埼玉工業大学 長谷研究室(主宰:長谷亜蘭准教授)が光学・精密部品の生産技術に寄与するアコースティックエミッション(AE)センシングとトライボロジーについて紹介した。

Rtec-Instrumentsの展示ブース

 

kat 2023年12月12日 (火曜日)
kat

表面改質展・真空展2023など7展が開催

6ヶ月 1週 ago
表面改質展・真空展2023など7展が開催

 「表面改質展2023」「真空展2023」「2023洗浄総合展」など7展(主催:日刊工業新聞社など)が11月29日〜12月1日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。表面改質関連では、以下のような出展があった。

表面改質展2023のようす

 三洋貿易( https://sanyo-trading.co.jp/ )は、ドイツ・KRUSS(クルス)社製のコーティング表面を計測するハンディ3D接触角計「Ayriis」を紹介した。同品は3D接触角の測定に対応したPC不要のハンディ接触角計。ワンクリックのわずか数秒で、表面のぬれ性を示す接触角を全自動で評価できる。測定フード内に90個のLED光源が液滴を覆うように配置されており、液滴表面で反射されるこれら光のパターンを2台のカメラで解析することによって接触角を算出する。液滴法は固液界面のベースラインを読み取る必要があり、場合によってはそこで機器由来または使用者由来の誤差が発生するリスクがあったが、3D接触角ならベースラインを読み取る必要がないため、初めて装置を触る人でも熟練者と同じ測定精度を保つことができるという。

三洋貿易のブース

 東京電子( https://www.toel.co.jp/ )は、ベリリウム銅合金(0.2%BeCu)製の真空構造材を展示した。ベリリウム銅による真空構造材は熱伝導率が極めて高く、熱輻射率が高いことが特徴。一般的に真空構造材に用いられているステンレスと比較すると熱伝導率は13倍高く、熱輻射率は1/7以下であることから、高温にならずガス放出を大きく抑えることができる。同社ではベリリウム銅が真空構造材として適応するために加工後、研磨工程、還元・脱ガス工程、バリア膜形成工程を行い、さらなる低ガス放出、低水素放出、低温化、耐水素吸着化を実現している。

東京電子のブース

 東ソー( https://www.tosoh.co.jp/ )は、、PVDやCVDコーティングなどのドライコーティングの前処理に適した炭化水素系高機能洗浄方法「HC-WSエマルジョン洗浄」の紹介を行った。この洗浄方法は、水切り剤である「HC-WSシリーズ」に水を加え、超音波等でエマルジョン化させた液中でワークの洗浄を行う。洗浄後は、HC-250もしくはHC-370で容易にリンスをすることができる炭化水素と水の両方の洗浄作用が兼ね備わっているため、油性から水溶性の汚れまで幅広い汚れを除去できるとともに、乾燥した水溶性加工油や異物等に対しても極めて優れた除去能力を発揮する。また水洗浄と異なり、錆びの心配もない。さらに、液管理が容易なことも特徴の一つだという。同社では、洗浄試験の依頼も受け付けている。

東ソーのブース

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、開発用小型HiPIMS成膜装置「ICF330-SP」の展示を行った。同装置は大電力マグネトロンスパッタリング(HiPIMS)でのコーティングに機能を特化した小型の成膜装置。機能特化によりコストを抑え低価格で提供できるようにした。キャスターを取り付けコンセントによる給電とすることで装置の移動を可能にしている。同装置は2024年春頃の販売を予定しており、現在は試作や機器のレンタルに対応しているという。また、同社のコーティング受託加工の売上の約半分を占める医療用のDLCコーティング「生体適合性ICFコーティング」についても紹介を行った。

 不二WPC( https://www.fujiwpc.co.jp/ )は、機械部品や金型の疲労強度を向上するWPC処理やDLCコーティング、これらの複合技術を紹介した。また、グループ会社のサーフテクノロジーが手掛ける食品分野では、小麦粉やコーンスターチなど食品粉体のホッパーやフルイなどへの付着を抑制する効果があり採用実績の多いショットピーニング技術「マイクロディンプル処理®」をベースに、より細かい粉体の付着抑制効果を実現しつつ、食中毒の原因となる大腸菌や黄色ブドウ球菌などの繁殖を抑制、さらには死滅させる技術を紹介した。マイクロディンプル処理による食品粉体の付着抑制(食品ロスの防止)・滑り性向上(生産性向上)の提案に加えて、新たに抗菌性付与という点を謳っていくことで、ユーザーである食品加工工場でのコーティング不使用による異物混入防止に加えて、煩雑なサニテーション作業の低減が可能になることを訴求していく。

不二WPCのブース

 レスカ( https://www.rhesca.co.jp/ )は、DLCコーティング膜を中心とした硬質被膜などの界面強度評価を行う摺動型はく離強度試験機「OST3000」の実機を展示した。同試験機は、測定途中に任意のタイミングで圧子と試料両方の摩耗状態の観察を行う。装置の測定結果として得られる印加荷重および摩擦力(摩擦係数)の出力と別に任意タイミングでの摩耗痕観察画像を取得することで、摩耗の進行状況や、摩擦力(摩擦係数)変化発生要因解析や、破壊起点の解明等に使用できる。測定モードはステップ荷重、リニア荷重、一定荷重(距離)を用意。標準で測定対象物及び圧子の摩耗痕を観察するCCDカメラを装備しているが、AFMや白色干渉顕微鏡等を追加することも可能。

レスカのブース

 

admin 2023年12月11日 (月曜日)
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1時間 14 分 ago
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