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表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催

6ヶ月 4週 ago
表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催

 「表面設計コンソーシアム」(https://surfacedesignconsortium.com/)がこのほど、複雑な表面課題にソリューションを提供しつつ、今後求められる表面課題に対応する複合処理の技術開発をする目的で設立された。創設メンバーは、微粒子投射技術を有する不二WPC(https://www.fujiwpc.co.jp/)と、多様なコーティング技術を持つ日本電子工業(http://www.ndkinc.co.jp/)、熱処理技術を提供する武藤工業(https://www.mt-k.com/)、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工(https://www.showa-seiko.co.jp/)に加えて、豊富な分析評価技術を保有する神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)、理論構築を担う横浜国立大学。

 

 表面設計コンソーシアムは、単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対して、表面技術のスペシャリスト集団がエンジニアリングの立場から共同受注し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューション、また、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供することを目的とするもの。

 一方で、将来的に必要とされるであろう表面課題に対応する複合処理の技術開発も行っていく。

 同コンソーシアムは11月15日15:00~17:15、神奈川県海老名市のKISTEC海老名本部(https://www.kistec.jp/aboutus/access/#ebina)研究棟5階・共通技術研修室で、「Innovation Hub 2023」の1フォーラムとして、「表面設計コンソーシアム 設立講演会~神奈川から世界へ、ものづくり中小企業による産学公地域連携の新しいカタチ~」を開催する。申込はこちらから。

 同フォーラムの内容は以下のとおり

・15:00~15:05    「開会の挨拶」
北森武彦氏(KISTEC 理事長)

・15:05~15:20
「KISTECのものづくり中小企業支援と表面設計コンソーシアム」
髙木 眞一氏(KISTEC 川崎技術支援部長)

・15:20~15:40
「擦り合わせ技術の複合化によるシステムソリューションを目指す」
梅澤 修氏(横浜国立大学大学院 工学研究院長)

・15:40~16:00
「企業連携で目指すもの-新たなビジネスモデルと複合技術によるイノベーション」
熊谷正夫氏(不二WPC 取締役 技術開発部長)

・16:00~16:15
「メンバー各社の得意技術紹介①」斉藤 邦夫氏(不二WPC 技術開発部 主任研究員)

・16:15~16:30
「メンバー各社の得意技術紹介②」池永 薫氏(日本電子工業 相模原工場長)

・16:30~16:45
「メンバー各社の得意技術紹介③」中村正美氏(武藤工業 企画開発部長)

・16:45~17:00
「メンバー各社の得意技術紹介④」木田成人氏(昭和精工 代表取締役)

・17:00~17:15
「メンバー各社の得意技術紹介⑤」髙木眞一氏(KISTEC 川崎技術支援部長)

kat 2023年9月25日 (月曜日)
kat

日本熱処理技術協会、11月28日、29日に2023年度 第3回熱処理技術セミナーを開催

7ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、11月28日、29日に2023年度 第3回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は11月28日、29日、対面参加(製粉会館5F 第2・3 会議室:東京都中央区日本橋兜町15-6)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 第3回熱処理技術セミナー-熱処理基礎講座Ⅱ-」を開催する。

 第3 回熱処理技術セミナーでは、浸炭・窒化・高周波といった代表的な表面硬化熱処理技術を中心に、これらの熱処理とは不可分な金属学的現象についての解説を加えて,熱処理技術を中心に据えた基礎講座プログラムで構成されており、新入社員教育などをはじめとした企業における人材育成に最適なプログラムとなっている。

 申込締切は11月16日で、以下のURLから申し込みができる。対面参加の定員は30名。参加費は正会員36000円(税込)、維持会員36000円(税込)、非会員56,000円(税込)、高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格は10000円(税込)。

https://forms.office.com/r/LH2YUCsFpJ

 内容は以下のとおり。

11月28日

・9:55~10:00「開会挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会

・10:00~11:30「鋼の焼入性と合金元素」梅澤 修氏(横浜国立大学)…鋼の等温(恒温)変態線図および連続冷却変態線図、焼入性について概説の上、鋼の焼入性に及ぼす炭素量および合金元素の影響、焼入・焼戻しによる強化との組織学的関係について述べる。

・12:30~14:00「拡散」中田伸生氏(東京工業大学)…熱処理、表面処理において拡散は重要な現象である。本講義では、金属を対象とした物質の拡散について概説する。特に気/固界面や相変態を含む複相間での拡散を理解するため、化学ポテンシャル勾配による拡散を理解することを目的とする。

・14:10~15:40「残留オーステナイト」土山聡宏氏(九州大学)…焼入れした鋼中に生成する残留オーステナイトについて、その生成機構や生成量に及ぼす鋼組成と熱処理条件の影響について述べる。また、残留オーステナイトの有効利用を目的とした最近の研究についても紹介する。

・15:50~17:20「鉄鋼材料の高強度化と変形・破壊の基礎」田中將己氏(九州大学)…本講義では、材料の破壊現象について、塑性変形をほとんど伴わない脆性破壊から塑性変形を伴う延性破壊について、その特徴を材料学的な見地に立って解説する。特に塑性変形(転位運動)挙動の温度依存性に着目する。

11月29日

・10:00~11:30「金属の高温酸化」上田光敏氏(東京工業大学)…本講義では、金属の高温酸化現象を概観するとともに、酸化現象を理解する上で重要となる平衡論(金属酸化物の化学的安定性)と速度論(酸化皮膜の成長とイオンの拡散)について概説する。

・12:30~14:00「表面硬化熱処理の基礎」奥宮正洋氏(豊田工業大学)…機械構造用部品に用いられる鋼を加熱してオーステナイト組織とし、炭素または窒素を侵入させた後に焼入れして機械的性質を向上させる表面硬化熱処理に関する硬化メカニズム、得られる組織、雰囲気管理方法等について基礎的な解説を行う。

・14:10~15:40「鉄鋼材料の窒化・浸窒処理における組織制御の考え方」宮本吾郎氏(東北大学)…窒化処理や浸窒焼入れ処理によって適切な表面特性を得るためには、表層組織の制御が欠かせない。本講義では、組織制御に必要となる状態図・熱力学や拡散、化合物層、拡散層生成挙動と表面硬化の関係について概説する。

・15:50~17:20「高周波熱処理」井戸原 修氏(高周波熱錬)…高周波熱処理は急速短時間加熱、表面加熱、部分加熱を特徴とし、自動車部品など機械構造用部品の熱処理の熱処理方法として幅広く用いられている。本講義では、この高周波熱処理技術の基礎と特徴、応用について解説する。
 

kat 2023年9月21日 (木曜日)
kat

日本熱処理技術協会、10月23日、24日に2023年度 第2回熱処理技術セミナーを開催

7ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、10月23日、24日に2023年度 第2回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は10月23日、24日、対面参加(製粉会館5F 第2・3 会議室:東京都中央区日本橋兜町15-6)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 第2 回熱処理技術セミナー-熱処理応用講座-」を開催する。テーマは、「浸炭焼入処理~浸炭焼入れを幅広く俯瞰する~」。

 第2 回熱処理技術セミナーでは浸炭焼入処理を主題として取り上げ、焼入組織、浸炭反応の基礎、材料の分析技術、最新の浸炭設備、材料技術およびシミュレーションから構成され、浸炭焼入処理を理解するための知識を幅広く学べる講座で、企業における人材育成に最適なプログラムとなっている。

 申込締切は10月13日で、以下のURLから申し込みができる。対面参加の定員は30名。参加費は正会員36000円(税込)、維持会員36000円(税込)、非会員56,000円(税込)、高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格は10000円(税込)。

https://forms.office.com/r/8Q59XkVckV

 内容は以下のとおり。

10月23日

・8:55~ 9:00「開会挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会

・9:00~10:30「鋼の焼入性と焼入組織」土山聡宏氏(九州大学)…鋼の焼入性や焼入組織(マルテンサイト)ならびに得られる硬さに対して、主な支配因子となる炭素濃度の影響、および付加的に添加される合金元素の影響について概説する。また、最近の解析機器を用いた研究成果を紹介し、マルテンサイトの強化機構に関する考え方について述べる。

・10:40~12:10「鉄鋼材料の浸炭反応の基礎」宮本吾郎氏(東北大学)…浸炭処理では、所望の表面炭素濃度を得るために、雰囲気ガス組成の調整が重要であることから、その基礎となる各種浸炭性ガスと鉄鋼材料間の反応における平衡状態や反応速度、それらに及ぼす添加元素の影響や、固溶した後の炭素の拡散速度の基礎的な考え方について解説する。

・13:10~14:40「浸炭焼入設備の変遷と今後の動向」藤原 稔氏(DOWA サーモテック)…各種産業を支える重要工程である熱処理は長年にわたるプロセス開発と合わせ、それに供する熱処理設備においても各時代の背景、ニーズに合わせた技術開発で進歩、発展してきた。本講義では浸炭焼入設備を中心に、これまでの変遷を振り返るとともに新たな時代の要請に即した今後の熱処理設備の技術動向についても紹介する。

・14:50~16:20「進化する滴注式ガス浸炭」木立 徹氏(オリエンタルエンヂニアリング)…現在、ガス浸炭法としては変成炉式と滴注式のガス浸炭法がある。滴注式浸炭法はメタノール分解ガスをキャリアガスとし、高CO、高H2雰囲気での高速かつ均一な浸炭が可能である。近年では真空排気機構、断熱構造等の改良により省エネルギー化、安全性、品質が向上している。本講義では、本方式の基礎的な原理と特徴について解説する。

・10月24日

・10:00~11:30「数値シミュレーションと実験をつなぐデータ同化」山中晃徳氏(東京農工大学)…熱処理において材料内部で進行するミクロ組織形成の数値解析手法としてフェーズフィールド法が有用であるが、定量的な解析結果を得るためには数理モデル内のパラメータや物性値が必要である。本講義では、取得可能な実験データからパラメータなどを逆推定するとともに、解析結果の精度向上に有効なデータ同化について解説する。

・12:30~13:30「真空浸炭炉内のガス流れ・浸炭の連成シミュレーション」牧野総一郎氏(豊田中央研究所)…本講義では、真空浸炭炉内のガスの流れを、材料への浸炭と連成しながら計算する新しいシミュレーション技術について、一般的な流体シミュレーション技術の概要を含めて紹介する。また、本手法を実際のテスト浸炭炉や、複数の鋼材が配置されるバッチ式浸炭炉に適用した際の予測精度や有用性、今後の展開についても紹介する。

・13:40~15:10「材料表層のキャラクタリゼーション」杉山昌章氏)(大阪大学)…本講義では、鉄鋼材料の熱処理組織を調べる電子顕微鏡(SEM、TEM)や三次元アトムプローブ法の概要を述べ、浸炭などの表層からの深さ分布を考慮する場合に重要となる試料の作製方法や、X線回折法、グロー放電発光分析(GDS)法、FE-EPMA法、電子後方散乱回折(EBSD)法など、材料表層の分析技術について概説する。

・15:20~16:50「浸炭部品の高性能化のための材料技術」奥田金晴氏(JFEスチール)…浸炭用鋼材は、自動車用機械部品としての優れた強度・疲労特性や部品製造工程でもさまざまな特性が要求され、最近ではカーボンニュートラル(CN)の観点からの対応技術も求められている。本講義では、浸炭用鋼材に求められる代表的な特性とその向上策、CNの観点から部品製造工程省略を目的とした研究事例について紹介する。
 

kat 2023年9月21日 (木曜日)
kat

単行本『Dr.クマガイのノンビ~リ地球紀行』が9月15日に発刊

7ヶ月 ago
単行本『Dr.クマガイのノンビ~リ地球紀行』が9月15日に発刊

 単行本『Dr.クマガイのノンビ~リ地球紀行』(熊谷正夫著)が、当社より9月15日に発刊された。

 

 

 本書は、表面改質&表面試験・評価の技術情報誌『メカニカル・サーフェス・テック』で2018年12月号から2021年10月号で連載された、サイエンティスト・熊谷正夫氏(不二WPC 取締役 技術部長)の旅行記を編集・改題を行い単行本化したもの。

 本書は、旅行好きで世界各国を旅してきた著者による、イタリア編から 、インドネシア編、トルコ編、ペルー編、イギリス編、 ベトナム・サパ編、東欧編、 台湾編 、スイス編、ミャンマー編 、ニュージーランド編、アメリカ・ニューオーリンズ編、ベトナム・ホイアン編 、地中海クルーズ編 、カンボジア編、アメリカ西海岸編 、タイ編 、総括編の全18話から構成された旅行記である。

 しかしながら、材料や表面改質分野や表面試験・分析評価分野をはじめとする工学の知識は勿論、歴史や地理、経済、文学、哲学…と実に広範な分野にわたる、豊富な知識と独自の見解・世界観を持つ著者が「自己表現」した本書は、単なる紀行文ではもちろんなく、歴史や文化学、哲学等々…が随所に散りばめられた随想であり思想書である、独自の旅行記に仕上がっている。

 A5判、 118頁、で価格は1650円(税込)。購入はアマゾンから。

熊谷正夫(くまがい・まさお)
1950年生まれ。東京工業大学工学部高分子工学科卒。大阪大学にて博士(工学)取得。
1973年 神奈川県工業試験所(現(地独)神奈川県立産業技術総合研究所)入所、
表面分析、表面改質の研究開発、企業支援に従事。
2010年  (株)不二WPC入社、現在、同社 取締役 技術部長。

kat 2023年9月20日 (水曜日)
kat

マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン、2024年4月、国内2 ヵ所目の拠点を名古屋に開設

7ヶ月 1週 ago
マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン、2024年4月、国内2 ヵ所目の拠点を名古屋に開設

 マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパンは9月12日、名古屋市中区のヒルトン名古屋で記者会見を開催、同社の主要顧客となる自動車産業へのサポート強化を目的として、2024年4月に神奈川県平塚市に次ぐ国内2ヵ所目の拠点を名古屋に開設する予定であることを公表した。

ジュリアン・ベイショア社長による記者会見の様子

 

 今回日本での二次投資を行うのは、表面処理剤・めっき液メーカーで米国コネチカット州に本社を置くマクダーミッド・エンソン・インダストリアル・ソリューションズで、マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパンはその日本法人となる。米国本社による今回の戦略的投資は、重要顧客である日本の自動車部品メーカーに対し長期的にコミットする姿勢を示すもの。

 新拠点「名古屋ラボラトリー」は、名古屋市守山区にある中小企業基盤整備機構の運営するクリエイション・コア名古屋内に本年10月に新設。同施設はインフラが整っていて即時利用できるものの、約4000万円を投じて試作用めっき槽のほか、耐食性を確認するためのキャス試験機・塩水噴霧試験機、デザイン・意匠性を確認するためのグロスメーター、摩擦係数を測定するCOF試験機、耐摩耗性を評価するテーバー試験機などの試験評価設備(すべて日本製を予定)の導入完了を待つ必要があることから、半年後の来年4月から本格稼働する予定としている。

 現在は既存および新規顧客の担当営業として3名がリモートワークを始めているが、稼働にあたり2名の試作・実験担当者を新規採用する計画で、順次人員を増やして、地域の雇用創出にも寄与していく。

 

名古屋ラボラトリー

 

 マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパンのめっき液は、防錆・防食、装飾などを目的に、アルミホイールやフロントグリル、ドアノブ、インストルメントパネル、ファスナー部品など自動車の内・外装部品に幅広く使われている。中でも、金属材料を使用せずに、樹脂にメタリック感を与える装飾めっきは軽量化(省燃費化)の点から採用されており、より薄膜化することで軽量化に貢献している。同社は長年にわたり、中部圏9県(富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県)にある、50社超の一次(Tier 1)、二次(Tier 2)自動車部品メーカーをはじめとする企業にめっき液を納入している。現時点では、これら顧客に対し神奈川県平塚市の本社を拠点に技術サービスを行っているが、自動車関連企業が特に集中し、また地理的に中部圏9県のほぼ中心に位置する愛知県名古屋市に新拠点を構えることで、顧客対応の迅速化を図るとともに事業継続計画(BCP)対策を強化する狙いだ。

 

防錆・防食めっきZinKladを処理したボルトのサンプル

 

 日本法人の役割としては大別して、①国内営業活動とめっき液納入後のアフターサービス、②日本企業の海外工場向けの営業活動、③自動車メーカーやTier1の自動車部品メーカーにアプローチして各種ニーズにマッチしためっき薬品を開発し、メーカーに図番指名してもらう「スペックイン活動」、④日本の原料メーカーの調査(調達)、⑤新製品の開発・改良(一部)、⑥同業他社の調査などがある。

 名古屋ラボラトリーでは当初、この内の①国内営業活動とめっき液の納入後のアフターサービスと、⑤自動車メーカー、自動車部品メーカーの各種ニーズにマッチする新製品の開発・改良、の二つの機能を主に平塚本社と分担しつつ、時間がかかるが将来のビジネス拡大につながる③自動車メーカーに対するスペックイン活動も、並行して進めていく。

 めっき液の機能・品質を保持するには、①の細やかなアフターサービスが必要とされる。めっきは各添加剤の化学反応によって、部品に必要とされる皮膜を形成する効果を発揮する。このため、マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパンの納品するめっき液や添加剤の多くは、顧客のめっき槽で複数混合して使用される。この混合されためっき液はしかし、たとえば前工程で用いられる脱脂液の混入などによって、次第に機能が低下する場合がある。完全に劣化してしまうと液全量を廃棄しなくてはならなくなるため、同社では定期的に顧客を訪問し、めっき液のサンプルを預かって分析・評価し、顧客のめっき液が最適な状態になるように数%の添加剤を補給するなどのアドバイスを実施して、顧客の製品品質の確保と、めっき液の長寿命化によるコスト削減に貢献している。

 環境規制対応を含めた日本の自動車メーカーの独自の要求に適合する、⑤新製品の開発・改良もまた、日本でしか対応できない活動の一つだ。例えば、六価クロムめっきは青白い、まばゆい色調が出せることから装飾めっきとして多用されてきたが、六価クロムがELV指令で規制対象物質となり、欧州向けを中心に三価クロムめっきへの切り替えが進められている。日本の自動車メーカーでは、欧州向けに限らず全車で三価クロムめっきに切り替える動きもある。これに対し、漆黒調の三価クロムめっき「トワイライト」やサテン調ニッケルめっき「パールブライト」が、日本で独自に開発され、エンブレムやプレートなど自動車の顔となるような部品で採用されている。

 

装飾めっき「トワイライト」を処理したサンプル

 

装飾めっき「パールブライト」を処理したサンプル

 

 ジュリアン・ベイショア社長は、「名古屋ラボラトリーが新設・稼働することにより、自動車関連の顧客に対するアフターサービスの充実と、次世代のめっき液の開発・改良の期間短縮が図られることとなる。日本の顧客は当社の環境に優しい製品群の価値を良く認識しており、この自動車ビジネスは大きく成長し、日本での事業拡大を実現できた。日本の顧客は特に持続可能性に積極的に取り組む傾向があるため、電気自動車の市場についても当社のサービスを拡大できるものと期待している。また愛知県へ投資することで日本を拠点とする自動車部品メーカーの市場への当社の浸透がさらに加速するものと期待している。今後さらに日本の自動車業界に貢献できるよう、より一層社業の発展に尽くしていく」と語っている。
 

今後の抱負を語るジュリアン・ベイショア社長

 

kat 2023年9月16日 (土曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2023年8月号 特集「表面改質の試験・評価」8月25日に発行!

8ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年8月号 特集「表面改質の試験・評価」8月25日に発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年8月号 特集「表面改質の試験・評価」が当社より8月25日に発行される。

 今回の特集では、原子間力顕微鏡(AFM)の表面改質分野での使用例と有用性について、、創エネ、省エネ、表面制御・表面改質に関わるDLCコーティング関連の研究と計測・試験評価技術について、表面改質分野の機械的特性を試験・評価機器を取り揃えているメーカーからそれぞれの機器の特徴と試験事例について、硬さ試験の概要と硬さ基準片による試験機の正しい管理について、MSE試験の試料の準備や試験条件設定など使い方と膜の密着度や耐久性評価について紹介する。

 

特集:表面改質の試験・評価

◇原子間力顕微鏡(AFM)の表面改質分野での使用例と有用性・・・関東学院大学 高井 治

◇創エネ・省エネDLC研究を援用する計測・試験評価技術・・・東京都市大学 崔 埈豪 氏に聞く

◇トライボロジー試験機を用いたコーティングなどの試験評価・・・Rtec-instruments 國井 卓人 氏に聞く

◇基準片による硬さ試験機管理・・・山本科学工具研究社 山本 正之

◇断面精密強度分布から密着度や耐久性評価・・・パルメソ 松原 亨

連載

注目技術:EMOハノーバー2023で披露されるコーティング技術

トピックス

Rtec-Instruments、第1回セミナー&ユーザーズミーティングを開催

高機能トライボ表面プロセス部会、第5回合同研究会を開催、ドライコーティング研究会は今回で解散

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admin 2023年8月22日 (火曜日)
admin

日本製鉄、高耐食めっき鋼板が脱炭素型外装システムに採用

8ヶ月 2週 ago
日本製鉄、高耐食めっき鋼板が脱炭素型外装システムに採用

 日本製鉄の高耐食めっき鋼板「ZAM」が、日建設計と瀬尾製作所が共同で開発した脱炭素型外装システム「Envilope01」に採用され、その第一号物件として神保町SF Iビルに適用された。

 「Envi-lope01」は、中小ビルを想定し、簡易な鋼板製パーツをすだれ状に編んだ外皮(外壁の外側)として設置するもので、建物に差す日射の屋内への熱負荷を約65%低減している。また、周辺の建物形状から太陽の動きとともに建物に当たる日差しがどのように変化するのかを解析し、2種類ある鋼板製パーツ(底の形状が異なるリング状のプレス金物)を組み合わせることで、約20%の日射を空に向けて再帰反射させている。さらに、開口率は約70%あり、室内からの視界を阻害するものではない。結果として、空調利用等に伴う温暖化ガス排出量の削減を図ることができ、建物(ビル)の運用時でのCO2排出(SCOPE1,2)を低減することができる仕様となっている。

 日本製鉄のZAMは、高耐食性能を有し長期間の使用に耐えること、また素材製造時のCO2排出量が他素材(アルミ等)に比べて低いことから、Envi-lope01に採用された。また、鋼板製パーツの製造では、瀬尾製作所が有する仏具製造で実績のあるプレス技術をベースに日本製鉄の鋼板の深絞り加工技術の知見を融合することにより、設計者の意図した意匠を実現した。

神保町SF Iビル

 

admin 2023年8月8日 (火曜日)
admin

富士キメラ総研、高機能コート剤とその使用製品の市場調査の結果を発表

8ヶ月 2週 ago
富士キメラ総研、高機能コート剤とその使用製品の市場調査の結果を発表

 富士キメラ総研は、ある基材に表面処理を施すことによって耐候性、撥水撥油性、導電性など高い機能性を付与するコート剤と、それらを使用した注目使用製品の市場を調査した。その結果を「2023年 高機能コーティングの現状と将来展望」にまとめた。

 この調査では、センシング技術やEV・PHVの電池向けなどに使用され、脱プラスチックによる環境対応などを背景に需要が高まる高機能コート剤29品目の市場の現状を明らかにするとともに、将来を展望した。また、コート剤を使用した製品の市場についても調査を行った。

 調査内容を見ると、規模の大きい黒色分散液が塗料やインキ分野に加え、EV・PHVの電池に使用される導電助剤向けで伸びている。生分解性コート剤など環境に配慮した製品も伸長、自動運転を目的としたセンシング技術に関わる赤外線透過インキや赤外線カットコート剤、電磁波シールドコート剤が伸びるため、2023年の市場は前年比6.1%増が見込まれるという。

 今後も、自動車のEV化進展によって黒色分散液が堅調に推移するほか、脱プラスチックの流れに伴い生分解性コート剤が大きく伸長する。また、センシング技術の普及などを背景に、低誘電接着剤などエレクトロニクス分野の高機能化に寄与するコート剤も伸びることなどから、2026年の市場は拡大が予想される、としている。

admin 2023年8月8日 (火曜日)
admin

新東工業、工場改修で磨き床を顧客自身が施工するサービスを開始

8ヶ月 2週 ago
新東工業、工場改修で磨き床を顧客自身が施工するサービスを開始

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、工場や倉庫に対して平坦で剥がれにくい床面を提供する「磨き床」について、新しい施工サービスとして、顧客自身で磨き床施工を可能にする新プログラムの提供を開始する。

 コンクリート床面を磨き上げて施工する「磨き床」は、現場の床状況に合わせて適切な施工プロセスを踏む必要がある。同社ではこれまで、施工機材の購入・運搬や事前の施工トレーニングの必要性などの観点から、磨き床施工は請負工事として同社の協力会社のみが行っていた。

 今回新しく提供するプログラムでは、施工機材と同社技術員の派遣対応を行うことで、顧客や顧客の協力会社の手で、工場の床改修・磨き床施工を行うことが可能になる。特に中・小規模の既設床の改修や、改善作業において活用できるプログラムとなる。

 磨き床は、コンクリート床面を磨き上げてつくる床。素地の上に塗料を重ねる塗床と異なり、コンクリート素地がそのまま床面となるため、床の剥がれが起きにくい頑丈な床になる。施工の過程で使用する無機系薬剤の効果によって汚れが付きにくくなるほか、鏡面のような光沢をもつ美しい床になることも特徴だ。既設の床にも施工が可能となる。

 従来、工場や倉庫は塗床が主流だったが、経年劣化による剥がれやひび割れの発生でメンテナンス面に難があるため、欧米では市場を伸ばしている。日本においてもAGV導入等に合わせて採用が増加しつつあるという。

 

admin 2023年8月8日 (火曜日)
admin

DLC工業会、9/8に実務者向け研修会を開催

8ヶ月 2週 ago
DLC工業会、9/8に実務者向け研修会を開催

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は9月8日、千葉県柏市のナノテックで「2023年度実務者向け研修会」を開催する。今回のテーマは「DLC膜の基礎と国際規格活用入門」。詳細は以下のとおり。

日時:2023年9月8日(金) 13:15~17:00(開場12:50)(17:00~移動・懇親会)

場所:ナノテック 3階 プレゼン室とWEB

テーマ:「DLC膜の基礎と国際規格活用入門」

定 員:WEB 定員100名、実務研修17名

参加費:[A]講義(WEB)会員3000円、非会員5000円
    [B]実務研修 会員5000円、非会員10000円

協 賛:(一社)ニューダイヤモンドフォーラム

プログラム
司会:DLC工業会 理事 平塚傑工氏
13:15~13:20「開会挨拶」DLC工業会 会長 中森秀樹氏

[A]講 義(対面およびWEB)
13:20~14:00「DLCの基礎と応用 ~成膜技術・評価・確認マーク発行制度~」DLC工業会 理事 平塚傑工氏

14:00~14:20「DLC成膜装置の真空基礎」ナノテック 土屋孝能氏

14:20~14:40「DLC膜の表面物性試験法」レスカ 宝泉俊寛氏

14:40~15:00「休憩(移動含む)」

[B]実務研修
研修場所:ナノテック 表面分析センター
時間:15:00~17:00 
内容:複数の班となり、DLC成膜装置、摩擦摩耗試験機、エリプソメーター、スクラッチ試験機等を順次操作・見学することにより、実務体験を行う。実務体験後、研修修了証を発行する。

[懇親会]17:30~19:30
場所:TX「柏の葉キャンパス」駅近辺
会費:6000円

[申込方法]
 参加を希望する人は、こちらの参加申込書(Word)に必要事項を記入の上、下記申込先に電子メール添付にて送付する。
(一社)DLC工業会
〒277-0874 千葉県柏市柏インター南4番地6 ナノテクノプラザ E-Mai:info@dlck.org

 

 

admin 2023年8月7日 (月曜日)
admin

DLC工業会、2023年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

8ヶ月 2週 ago
DLC工業会、2023年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は6月16日、東京都港区の航空会館で「2023年定時社員総会」を開催した。当日は、中森秀樹会長(ナノテック 代表取締役社長)を議長に選出して議事が進行された。

総会のもよう

 議事においては2022年度事業報告、決算報告が行われた後、2023年度事業計画(案)、同予算(案)について審議、満場一致で可決された。事業計画では、「DLC 工業会確認マーク発行制度」による規格適合性確認マークの発行を行うこと、経済産業省(三菱総合研究所経由)のDLC国際標準化に関わる委託事業を受託し必要な活動を行うこと、ホームページのより充実化を行うほか「DLC工業会だより」の発行等による会員サービスの向上を図ることなどを確認した。

 また、当日の席上では「DLC工業会功労賞」の授賞式が行われ、トッケンの平塚傑工氏と堀場テクノサービスの和才容子氏が受賞。DLCの普及やDLC工業会の活動に大きな貢献をしたことが認められた。その後、和才氏が「分光エリプソメトリーによるDLC膜の光学特性評価法」と題した受賞記念講演を行った。

左から平塚氏、中森会長、和才氏

 同工業会の現時点での正会員は、ナノテック、リックス、アルテクス、トッケン、平和電機、ナノテックシュピンドラー、フロロコート、ウエキコーポレーション、レスカ、ウォルツの10社。特別会員は大竹尚登氏(東京工業大学)、大花継頼氏(産業技術総合研究所)、平栗健二氏(東京電機大学)、平田 敦氏(東京工業大学)の4名となっている。

admin 2023年8月7日 (月曜日)
admin

エリコンバルザース、難削材加工用のPVDコーティング被膜を開発

8ヶ月 2週 ago
エリコンバルザース、難削材加工用のPVDコーティング被膜を開発

 エリコンバルザース(本社:リヒテンシュタイン)は、焼入鋼やステンレス鋼、耐熱合金を加工する際の熱負荷に対応するPVDコーティング被膜「BALIQ TISINOS PRO」を開発した。工具への負荷を軽減し、硬度70HRCまでのスチールを加工する際の耐摩耗性を大幅に向上する。

 エリコンバルザースのHiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)技術であるS3p(Scalable Pulsed Power Plasma)テクノロジーにより、アーク蒸着とマグネトロンスパッタリングコーティングプロセスの利点を組み合わせ、従来被膜より高平滑性、均一な膜分布、高密度、高硬度、高密着性を実現した。

 現在、70HRCまでのスチールの加工はさまざまな産業で行われてり、同被膜はこれらの加工において高い靭性と耐摩耗性を付加する微細構造を持っている。被膜の高い平滑性により、均一な切りくずの排出を可能にし、スクラップを最小限に抑えることで再加工を回避することができる。AlTiSiNベースのコーティング被膜は、高い熱負荷に耐え、超硬基材を熱腐食や酸化から保護する。均一な膜厚分布により、あらゆる形状の工具を保護し、切削抵抗の低減とプロセス安定性の向上につながる。

 同被膜は、従来のコーティング被膜と比較してエンドミルの寿命を平均50%延長するという。工具を長寿命化することにより、ダウンタイムの低減や環境負荷低減に貢献する。また、エンドミルは再調整して寿命を延ばすことができるため、新しい工具の需要を約30%削減することができる。

 工具・金型部門の責任者であるアンドレアス・ライター博士は、「微細構造が改良されたことで、BALIQ TISINOS PROの特性をさらに高めることができた。このコーティングは、特に微細加工において、高品質な部品を生産する、より安定した信頼性の高い加工プロセスを可能にし、工具交換の削減につながる。また、顧客は工具をBALIQ TISINOS PROで再コーティングすることができ、工具コストを削減し、貴重な原材料を節約することで持続可能な社会の実現に向けて貢献できる」と話している。

BALIQ TISINOS PROのコーティングサンプル

 

admin 2023年8月4日 (金曜日)
admin

ナノコート・ティーエス、EMC・ノイズ対策技術展で電磁波シールドPVDコーティングなどを披露

8ヶ月 3週 ago
ナノコート・ティーエス、EMC・ノイズ対策技術展で電磁波シールドPVDコーティングなどを披露

 ナノコート・ティーエス( https://www.nanocoat-ts.com/ )は7月26日~28日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「TECHNO-FRONTIER 2023」の構成展示会の一つである「第36回 EMC・ノイズ対策技術展」に出展した。

ブースのようす

 今回は、同社石川事業所ですでに受託加工を開始している、自動車電装機器の樹脂製筐体への電磁波シールド物理蒸着(PVD)コーティング「PROCEM™」を紹介。自動車電装機器の電磁波シールド仕様を十分にクリアしているほか耐食性が良好で、電磁波シールドめっきと比較した場合の利点として、①めっき処理が可能な樹脂基材に制約があるのに対し、PROCEM膜では、ABS・PC・ポリアミド(PA)・ポリメチルメタクリレート(PMMA)・ポリアリルアミン(PAA)・ポリイミド(PI)・ガラス繊維など、ほとんどの樹脂基材およびコンポジット基材に対して、密着性が極めて高い電磁波シールド被膜をダイレクトに成膜できること、②環境負荷が極めて小さいドライコーティングであること、③めっき皮膜では電磁波シールド性を付与するのに数十μmと厚膜にする必要があるのに対して、PROCEM膜は膜厚1~2μmの薄膜で電磁波シールド機能を付与できるため、樹脂製筐体への成膜前後の寸法変化・重量変化がないこと、といった多くの特徴を有する。

 ブースではレーシングマシンの樹脂製ボディー全面にPROCEM膜を処理した模型を展示。複雑形状に均一・平滑に成膜でき漏れのない電磁波シールド特性を付与できるイメージを表現した。

ボディー全面にPROCEM膜を処理したレーシングマシンの模型
(製作:石川事業所 所長 安田直史氏)

 ブースではまた、PROCEM膜により得られる電磁波減衰効果のデモンストレーションを実施、電磁波/電磁場放射テスターによる計測の結果、PROCEM膜を処理したキャップで覆うことで著しい電磁波減衰効果が得られていることが示された。

PROCEM膜により得られる電磁波減衰効果の実演
上が電磁波シールド前、下が電磁波シールド後

 そのほか、PROCEM膜の最表面に耐摩耗性など高耐久性を付与でき、センサー類の高い動作信頼性を実現できるダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング「CERTESS」の導電性タイプなども紹介された。

 さらに近年対応が急がれている有機フッ素化合物(PFAS)対策として、シリコンゴムにDLCコーティングを施し滑り性を向上、フッ素樹脂コーティングの代替とする技術も提示された。

PFAS対策:滑り性を向上させるゴムへのDLCコーティング

 

kat 2023年7月31日 (月曜日)
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高機能トライボ表面プロセス部会、第5回合同研究会を開催、ドライコーティング研究会は今回で解散

8ヶ月 3週 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第5回合同研究会を開催、ドライコーティング研究会は今回で解散

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は6月30日、兵庫県姫路市の姫路・西はりま地場産業センター(じばさんびる)で第5回目となる合同研究会を開催した。前者は第21回例会となる。後者は第63回研究会となるが、今回で解散することが発表された。

開催のようす

 高機能トライボ表面プロセス部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 また、AMPIでは所有する各種のレーザ装置やプラズマ装置を利用した加工技術や表面改質技術の研究開発、中小企業の技術支援、という二つのミッションを通じニーズとシーズを常に探っているが、ドライコーティング研究会はこうした観点からAMPIを母体にして、ドライコーティングなどの技術について研究会を開催することで、産官学問わず幅広い有識者の参加により、専門家の講演や保有技術の紹介など、活発な情報交換や勉強会の場を提供している。

 今回の合同研究会では、高機能トライボ表面プロセス部会の上坂氏の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演が行われた。

挨拶する上坂氏

「 プラズマCVDを用いたダイヤモンド結晶成長技術開発の最前線 」山田英明氏(産業技術総合研究所関西センター)…近年、人工宝飾用ダイヤモンド市場においてCVD製の存在感が増してきている。産業利用を見据えたさらなる市場拡大には、CVDによる種結晶の大型化と高品質化を図る技術が必須。これに対し産総研では、ミリ単位でクラックフリー厚膜化を実現、モザイク基板ならばインチサイズまで拡大できている。CVD成長中に品質を改善する手法の開発も立ち上がりつつある。通常の半導体プロセスで利用される手法が網羅的に試されているわけでもなく、結晶成長メカニズムが完全に理解できているわけでもない。合成装置・加工技術開発に加え、真のデバイス優位性・特性を示すことが重要で、今後特性と結晶性との相関とともに優位性を着実に示していきたい、と総括した。

講演する山田氏

「AIP-iXによる成膜技術と皮膜特性」竹井良将氏(神戸製鋼所)…AIP(Arc Ion Plating)で形成した皮膜は緻密で密着力が高く硬質皮膜形成に適している。切削工具用途として代表的な皮膜である立方晶AlCrN皮膜は、一般的にAl含有率が高いほど機械的特性(硬さ/弾性率)や耐酸化性が向上する一方で、金属元素のうちAl含有率が70at%以上では皮膜の結晶構造が立方晶から六方晶へと変化してそれら性能が低下してしまうという課題があった。この課題に対し、コア技術であるアーク蒸発源とエッチングシステムを刷新することで、皮膜の金属元素のうちAl含有率70at%以上でも立方晶を維持し表面粗度も良好(ドロップレット低減)な硬質AlCrN皮膜の形成を可能とした新型PVDコーティング装置「AIP-iX」を紹介した。

講演する竹井氏

「GCIB(Gas Cluster Ion Beam)による高密度・低残留応力DLC膜の形成 」西山昭雄氏(野村鍍金)…ガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた水素フリーダイヤモンドライクカーボン(DLC)を作製(GCIB-DLC)。GCIBの低エネルギーかつ高密度エネルギー照射効果を利用することにより、ta-Cと同程度の2.9g/cm3以上の高密度と1GPa程度という膜の低残留応力(ta-Cの半分以下で、はく離しにくい)のDLCが得られ、膜の脆弱性改善・密着強度の向上によって長寿命化を達成している。耐久試験結果では、はく離や膜破壊が生じにくいこと、摺動特性に優れ、チタンやアルミなどの比較的軟質な材料に対しても傷をつけにくいなど、異常摩耗を最小にできることなどが分かった。

講演する西山氏

「ホットチューブを用いたCVDによるダイヤモンド膜の合成」田中一平氏(兵庫県立大学)…三次元形状に成膜が可能、装置構造が簡単、厚膜化が可能という熱フィラメントCVDの、低成膜速度、温度分布、高基板温度、フィラメントの調整といった課題解決に向けて、効率的な加熱・分解、吹付効果、基板温度の低温化といった効果が想定されるホットチューブCVD法を紹介。ホットチューブCVDによるダイヤモンド合成において、チューブ(フィラメント)温度1500~1700℃で成膜速度が最大15.7μm/hのダイヤモンド膜が得られた。また、チューブ温度のさらなる高温化で高速成膜が期待できることから、ホットチューブCVDが新しいダイヤモンド成膜法として確立できるよう引き続き努めていく、と総括した。

講演する田中氏

 閉会の挨拶に立ったドライコーティング研究会の殖栗成夫氏(AMPI)は「大変遺憾ながら会の運営が難しく、今回第63回をもってドライコーティング研究会を解散する」と述べ、同研究会は2002年度以来20余年の歴史に幕を閉じた。

挨拶する殖栗氏

 また、高機能トライボ表面プロセス部会の上坂氏より、自身がセンター長を務める、プラズマを用いた新たな産業創出と現有技術を含めた県内企業など産業界へ展開するために2022年度に開設された、岐阜大学 プラズマ応用研究センターの概要が紹介された。“共同研究等により研究成果の社会実装および社会人教育を通じて、地域産業界の発展に貢献する”という同大学の地域連携に関する理念のもと設立された“ワンストップ・プラズマトライセンター”を掲げるプラズマ応用研究センターが保有する、MVP(Microwave sheath-Voltage combination Plasma)プロセス装置、マグネトロンスパッタリング装置(CVD複合化)、大気圧プラズマ装置、EBEP処理装置、HiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)成膜装置など豊富な設備を紹介しつつ、各種保有設備を利用しての産学共同による研究を呼び掛けた。

kat 2023年7月31日 (月曜日)
kat

Rtec-Instruments、第1回セミナー&ユーザーズミーティングを開催

8ヶ月 3週 ago
Rtec-Instruments、第1回セミナー&ユーザーズミーティングを開催

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は7月11日、東京都葛飾区の東京理科大学 葛飾キャンパスにおいて、同大学 工学部 機械工学科 教授の佐々木信也氏の協力のもと、Rtec-Instruments日本法人(社長:國井卓人氏)立ち上げ後初となる「第1回セミナー&ユーザーズミーティング」を開催した。佐々木氏によるトライボロジー特性評価の基礎に関するセミナーのほか、Rtec社の企業紹介やプロダクトポートフォリオ、新規アプリケーション、製品アップグレード情報、新規ビジネスなどについて紹介がなされたほか、同社の多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や三円筒転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機などの実機見学・デモなどが実施された。

開催のようす

 

 当日はまず佐々木氏が「トライボロジー特性評価の基礎」と題して講演した。今後の課題としてはトライボロジー分野におけるDX推進があるが、それにはベースとなる基本データを蓄積するメカニズムや、基礎的な知見の集約と体系化、評価・分析技術が重要で、評価・分析技術においてはデータ活用のための互換性(標準化・デファクト)と、膨大なデータ取得に対応する複合・自動化が必須、と説明。求められるトライボロジー特性に関する評価・分析装置としては、摩擦試験機では①データの汎用性と信頼性:試験手順の標準化(プロトコル)=デファクトスタンダード試験機、②点のデータから面・空間のデータへ:連続した測定条件下でのデータ取得=多機能型摩擦試験機、③感性価値の定量化:官能評価との高い相関=カスタマイズ試験機、などが求められ、関連する評価・分析装置では、①摩擦・摩耗データとの紐づけ=分析機能複合型評価装置、②表面物性データ:表面極近傍の高精度な測定、などが求められると総括した。

講演する佐々木氏

 

 続いて、Rtec社日本法人社長の國井氏から、新製品のベンチトップ型多機能摩擦摩耗試験機「MFT-2000A/2000」について、①ストロークと荷重をソフトウェアで制御、②摩擦力や摩擦係数など基本的な摩擦試験情報を自動取得、③特注サンプルの固定ホルダ、④AE、ECRなどのセンサーを搭載可能、といった特徴を紹介した。また、3Dプロファイラについて今秋から画像解析ソフトウェアが標準搭載化される予定であるや、航空宇宙分野や固体潤滑剤の評価に適した真空トライボメーターを開発したことなどが報告された。また、新規ビジネスとして、今後は受託試験や試験片製作に対応していく予定で、米国本社から各国へのトップダウンを廃止し、日本法人を含む各拠点がプロダクトスペシャリストとして開発・サポートを実施していくことを表明した。

発表する國井氏

 

 Rtec社 アプリケーション&セールス マネージャーの兒島正宜氏が、転がり滑り摩擦・転がり接触疲労をテーマに発表。転がり摩擦試験機としてモジュール交換式で摺動形態の自由度が高い多機能型摩擦摩耗試験機MFT-5000を、転がり疲労試験機としてAEセンサーや加速度センサーで疲労を検知でき転がり接触疲労(RCF)試験や耐ピッチング評価、耐スカッフィング評価ができる最新型二円筒/三円筒疲労試験機「TRT-1000/MTP-3000」を紹介した。

発表する兒島氏

 

 最後に、Rtec社販売代理店である三洋貿易の狩野陽平氏が、同社が主に取り扱うRtec社製品である多機能摩擦摩耗試験機MFT-5000について、潤滑性の耐摩耗性・極圧性評価、ベルト式CVT油の金属間摩擦特性試験、プラスチックの滑り摩耗試験、金属加工油のタッピングトルク評価といった日本国内での代表的なアプリケーションの紹介や、3Dプロファイラ―、2D capasitiveセンサー、トラクション試験モジュールなどの新技術について紹介した。

発表する狩野氏

 

 以上のセミナーに続いて、三円筒型ピッチング試験機MPT-3000、スクラッチ&インデンテーション試験機SMT-5000、多機能摩擦摩耗試験機MFT-5000を用いたデモンストレーションの見学会が行われた。

スクラッチ&インデンテーション試験機SMT-5000を用いたデモンストレーションのようす

 

 同社では今後、テーマ別、アプリケーション別に定期的にセミナー&ユーザーズミーティングを開催していく計画だ。

kat 2023年7月27日 (木曜日)
kat

日本熱処理技術協会、11月13日〜16日に第28回熱処理国際会議を開催

9ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、11月13日〜16日に第28回熱処理国際会議を開催

 日本熱処理技術協会は11月13日〜16日、パシフィコ横浜 会議センター3階で「第28回熱処理国際会議(IFHTSE2023、実行委員長:奥宮正洋氏(豊田工業大学) https://jsht.or.jp/ifhtse2023)」を開催する。講演大会終了の翌日17日には工場見学なども計画されている。

 

 IFHTSE2023にはヨーロッパやアメリカ、アジア等から多くの参加者が見込まれており、以下のようなトピックスで一般講演が行われる。

・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理技術

・表面硬化技術

・焼入れ技術

・積層造形技術における熱処理および熱化学処理

・表面被覆技術

・ロウ付け

・熱処理および表面技術の金属物理

・熱処理および表面処理部品の試験・評価法

・熱処理および表面処理のモデリング・シミュレーション

・部品の残留応力と変形

・工業炉および表面処理炉

・人工知能によるプロセス制御と熱処理および表面処理の信頼性

・省エネルギーとCO2 排出削減

・熱処理および表面処理の環境対策

・ショットピーニング

・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理・加工とそのメタラジー・特性

 IFHTSE2023実行委員会ではまた、Plenary LectureおよびKeynote Lectureの候補者を選定。Plenary LectureではデンマークのTechnical University of DenmarkのMarcel Somers氏に窒化・表面硬化熱処理に関して、香港の香港城市大学のLu Jian氏が結晶粒微細化に関して、それぞれ講演を行う予定。Keynote Lectureでは、ハンガリーのObuda UniversityのImre Felde氏が熱処理シミュレーションに関して、イタリアのUniversity of TrenoのMassimo Pellizzari氏(現在IFHTSE副会長)が積層造形における熱処理に関して、九州大学の土山聡宏氏が合金設計と組織制御に関して、それぞれ講演を行う。Keynote Lectureではこのほか、「焼入れとひずみ」、「コーティング」等に関する講演も計画しており、熱処理・表面工学に関する最先端の有用な情報が得られる機会となる。

 また、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの熱処理の特色や現状の課題、今後の展開についての情報提供および議論を行う「熱処理サミット」の開催も計画している。熱処理サミットに関しては日本金属熱処理工業会の支援のもと、英語から日本語への同時通訳の準備も検討しており、より多くの人々への情報発信の機会となるよう準備が進められている。

 IFHTSE2023ではさらに、企業展示ブースを併設し、国内外の熱処理・表面処理・分析装置・測定装置等の様々な企業の展示も行う。現在、企業展示の出展社を募集、下記URLから申し込みできる。
https://jsht.or.jp/ifhtse2023/IFHTSE2023corporate.html

 講演に関して35 歳未満の発表者の中からTom Bell Young Author Award(TBYAA)が選ばれ、ポスター発表者の中から数名に優秀ポスター賞が贈られる。

 IFHTSE2023に関する問い合わせ先は以下のとおり。

〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-2-10
鉄鋼会館6 階 (一社)日本熱処理技術協会内IFHTSE2023 事務局
Tel: 03-6661-7167
E-mail: ifhtse2023office@jsht.or.jp
IFHTSE2023URL:https://jsht.or.jp/ifhtse2023
 

kat 2023年7月19日 (水曜日)
kat

Surface Technology Germany 2024が6/4~6に開催、ジャパンパビリオン出展社の見どころ紹介

9ヶ月 2週 ago
Surface Technology Germany 2024が6/4~6に開催、ジャパンパビリオン出展社の見どころ紹介

 「Surface Technology Germany 2024」が2024年6月4日~6日にドイツ・シュトゥットガルトで開催される。

 ここでは、同展におけるジャパンパビリオンに出展する各社の概要と出展製品・技術について紹介する

kat 2023年7月6日 (木曜日)
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新東LSPTレーザーピーニング、操業開始にあたりレーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会

9ヶ月 2週 ago
新東LSPTレーザーピーニング、操業開始にあたりレーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )グループの新東LSPTレーザーピーニング(SLP社)は9月15日、操業開始にあたり愛知県豊川市の新東工業 新東クラブで「レーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会」を開催する。

 レーザピーニングは現在、航空宇宙や発電分野を中心に適用されている加工方法で、局所への加工やチタンのような材料への加工が可能といったショットピーニングとは異なる特性を持っている。これらの特性から、レーザピーニングは薄膜コーティング後の強度向上や熱影響を受けやすい部品の強度向上を図ることができるため、医療部品やAM造形部品などへの適用領域の拡がりが期待されている。

 今回SLP社が開催する「レーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会」では、オンサイトおよびオンラインでの参加者を対象に、レーザピーニング業界の権威である分子科学研究所の佐野雄二博士、埼玉工業大学の政木清孝博士と、新東工業の小林祐次博士による講演を実施する。また、講師3名によるトークセッションも実施する。さらに、オンサイト参加者についてはSLPレーザピーニング工場での「The Procudo Laser Peening System」デモンストレーション見学も実施予定。

 このイベントは新東工業Webサイトにて募集を開始している。オンサイト参加、オンライン参加ともに先着での申込受付となる。締め切りは7月31日。当日の主な内容は以下のとおり。

【講演①】
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所 社会連携研究部門 プログラムマネージャー/大阪大学 産業科学研究所 特任教授 博士(工学) 佐野 雄二 氏
「レーザピーニングの原理・効果・特徴とレーザの革新による新しい応用展開」
 レーザピーニングは、水で覆われた材料に高出力のパルスレーザを照射した際の衝撃力を利用して表面に圧縮残留応力を導入する技術であり、1990年代より航空および原子力分野で活用されている。ここでは、レーザピーニングの原理・効果・特徴等について、講演者らのこれまでの開発成果を中心に概説するとともに、近年のレーザ技術の発展によるレーザピーニングの新しい可能性について紹介する。

【講演②】
埼玉工業大学 工学部 機械工学科 教授 博士(工学) 政木 清孝 氏
「レーザピーニング処理による金属材料の疲労破壊抑制」
 講演者は2002年ころレーザピーニング処理したオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lの疲労特性を調査して以来、現在に至るまで20年以上にわたりレーザピーニング処理材の疲労特性を調査してきた。これまでの調査結果のなかで、「き裂発生」と「き裂進展」の抑制効果に注目した研究データをとりあげ、レーザピーニング処理による疲労破壊抑制の効果について紹介する。

【講演③】
新東工業 サーフェステックカンパニー 開発グループ ブラスト・レーザーテクノロジーセンター センター長/新東LSPT レーザーピーニング 取締役 博士(工学) 小林 祐次 氏
「ショットピーニングとレーザピーニングの特性の違いと対象アプリケーション」

【トークセッション】 佐野氏 × 政木氏 × 小林氏
「レーザピーニングの展望について(仮)」

【工場見学】
日本初導入・初披露となる LSP Technologies, Inc.製「The Procudo Laser Peening System」によるレーザピーニングデモンストレーション

admin 2023年7月5日 (水曜日)
admin

日本熱処理技術協会、9月28日、29日にサーモ・スタディ2023(栃木)を開催

9ヶ月 3週 ago
日本熱処理技術協会、9月28日、29日にサーモ・スタディ2023(栃木)を開催

 日本熱処理技術協会は9月28日と29日の両日、栃木県産業技術センターと共催で、栃木県産業技術センターでの対面参加(栃木県宇都宮市ゆいの杜1-5-20)形式により、「熱処理テクニックの基礎と新しい熱処理技術」をテーマとする「サーモ・スタディ2023(栃木)」を開催する。

 申込締切日は9月21日で、以下URLから申し込みができる。定員は100名(対面参加)。聴講料は無料(申しみ確認後、受講券が発行される)で講演概要(テキスト)は5000円。

https://forms.office.com/r/iHkHnB2zRB

 内容は以下のとおり。

9月28日

9:30~ 9:40「開会の挨拶」関本充博氏(栃木県産業技術センター 所長)

9:40~10:40「窒化処理と設備の技術動向」武本慎一氏(DOWAサーモテック)

10:40~11:40「窒素による鋼の新表面硬化法」大西拓也氏(日本テクノ)

12:40~13:40「プラズマ窒化を利用する複合表面硬化処理」大沼一平氏(日本電子工業)

13:40~14:40「真空浸炭設備とその付帯設備」中本一朗氏(IHI機械システム)

14:50~15:50「環境にも現場にもやさしい真空浸炭炉」松本則幸氏(大同特殊鋼)

15:50~16:50「浸炭設備の高性能化と多様化」吉井聡一氏(中外炉工業)

9 月29 日

9:30~10:30「高機能表面改質装置とプロセス」木立 徹氏(オリエンタルエンヂニアリング)

10:30~11:30「水溶性焼入液の適用と液管理」柳原欣尚氏(ナガセケムスペック)

12:30~13:30「特徴ある熱処理油剤について」橋本誠二氏(日本グリース)

10 13:30~14:30「熱処理評価に用いる硬さ試験」小島光司氏(井谷衡機製作所)

14:40~15:40「金属表層の硬さ試験」山本正之氏(山本科学工具研究社)

15:40~16:40 「鋼の焼入れシミュレーションの現状」奈良崎道治氏(栃木県立衛生福祉大学校)

16:40~16:50「閉会の挨拶」日本熱処理技術協会 教育委員

kat 2023年6月30日 (金曜日)
kat

日本熱処理技術協会、7月24日~28日に2023年度熱処理大学を開催

9ヶ月 3週 ago
日本熱処理技術協会、7月24日~28日に2023年度熱処理大学を開催

 日本熱処理技術協会は7月24日~28日、対面参加(東京工業大学 西9号館コラボレーションルーム 他、東京都目黒区大岡山2-12-1)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 熱処理大学」を開催する。本講座のカリキュラムは熱処理の基礎理論と熱処理現場が抱える諸問題を結びつけた集中的な講演で構成。受講者からは①新しい材料の知識を得ることができる、②熱処理の基礎を理解するのに最適、③講演の内容は平易で理解することが容易、④皆勤者には修了証書が授与される、など好評を得ている。

 申込締切日は7月14日で、以下URLから申し込みができる。定員は、60名(工場見学は先着30名)。参加費は対面、オンライン共に正会員50000円、維持会員50000円、非会員70000円(いずれも税込)。

https://forms.office.com/r/YvUpZ2vHQ4

 内容は以下のとおり。

7月24日

9:25~9:30「開校挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会教育委員

9:30~12:30「鋼の状態図と熱処理理論」竹山雅夫氏(東京工業大学)…「鉄は神様からの贈り物」である。ほんの少し炭素を加えるだけで、また、ほんの少し熱処理を工夫するだけで、その組織は様々に変化し目的に適った特性を導き出すことができる。その基本はFe-C系二元系状態図にある。本講演ではまずその状態図を理解し、さまざまな性質を生み出す熱処理の原理について解説する。

13:30~15:00「構造用鋼の熱処理」山崎和彦氏(JFEスチール)…機械構造用鋼は種々の熱処理により、さまざまな構造部品に調製されてその機能を発揮する。最も基本的な熱処理素材である各種構造用鋼について、それぞれの用途と特徴を紹介するとともに、代表的な熱処理作業について概説する。

15:10~16:40「工具鋼の熱処理」阿部行雄氏(プロテリアル)…工具鋼は特殊鋼の一つに分類され、金型や工具、刃物等に使用される。鋼種によって、また付与したい特性によって熱処理方法も変わってくる。今回は基礎に重点を置きながら、工具鋼の代表的な熱処理について説明する。

7月25日

9:30~11:00「雰囲気熱処理―浸炭・窒化―」武本慎一氏(DOWAサーモテック)…ガス浸炭とガス窒化を中心に雰囲気制御の目的・手段・方法と、それらを理解し実践するために役立つ基礎知識について実際の事例を用いて解説する。

11:10~12:40「真空熱処理」中本一朗氏(IHI機械システム)…熱処理において真空を利用する目的や効果、利点と、真空を作り出し維持していく技術の概略を説明する。代表的な真空熱処理と必要な真空炉を紹介しながら、真空熱処理装置を使いこなしていくために必要な技術・ノウハウを説明する。

13:30~15:00「高周波熱処理」岩永 淳氏(電気興業)…高周波誘導加熱の原理や方法の解説をはじめ実例を交えながら高周波熱処理を紹介するとともに、熱処理仕様に合わせた様々な形状の加熱コイルや周波数の違いによる硬化層深さの影響を説明する。

15:10~16:40「熱処理部品の硬さ測定の実務」藤塚将行氏(機械振興協会)…金属材料の簡便かつ迅速な測定法である硬さ試験は、熱処理に関する評価や品質管理の有力な手法として多用されている。本講演ではJISに記載の硬さ試験法を中心に紹介し、熱処理部品の硬さ測定の実務について解説を行う。

7月26日

9:30~11:00「顕微鏡試験の実務」中村 勲氏(東京都立産業技術研究センター)…鉄鋼材料の熱処理に伴う金属組織の基本的な部分から金属組織観察用試料の準備、金属顕微鏡の取り扱いまでを説明する。午後の組織観察実習のための講演を通して、金属組織観察の必要性、利用方法、意義を解説する。

12:00~16:35「顕微鏡試料の作り方」「顕微鏡の取り扱い実習」中村 勲氏(東京都立産業技術研究センター)、隠善厚生氏(IHI)、井戸原 修氏(高周波熱錬)、松尾 孝氏(東京工業大学名誉教授)、ストルアス、エビデント「熱処理品の硬さ測定実習ほか」フューチュアテック、アントンパール・ジャパン、マツザワ

7月27日

9:30~11:00「熱処理における温度管理」仲摩 崇氏(チノー)…接触式温度計の代表である熱電対と測温抵抗体と非接触式温度計の代表である放射温度計について、測定原理、種類・特徴、基本構成要素、使用上の注意点などを解説する。フィードバック制御の基本形である2位置動作、PID動作について簡単に説明する。

11:10~12:40「鋼材の簡易鑑別法」山本正之氏(山本科学工具研究社)…鋼材の種別を現場で直ちに判別できるか否かは熱処理技術者にとって重要な技能で、簡単なグラインダー火花試験を行うことによって可能となる鋼種の鑑別法について、火花の発生原理から観察方法までの概要をJISG0566「鋼の火花試験方法」に沿って解説する。熱処理部品の硬さ測定の実務について解説を行う。

13:40~16:00「温度測定と制御機器の取り扱い実習」チノー
「鋼材の火花試験実習」山本科学工具研究社

16:00~16:30 修了式

7月28日工場見学

午前:大和合金・三芳工場

午後:パーカー熱処理工業・東松山工場

kat 2023年6月30日 (金曜日)
kat
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37 分 11 秒 ago
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