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10/18開催「ナノ科学シンポジウム2024」、参加およびポスター発表を募集

2日 22時間 ago
10/18開催「ナノ科学シンポジウム2024」、参加およびポスター発表を募集

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2024 : NSSJ2024)」が10月18日10時~17時30分に、東京大学 浅野キャンパス 武田ホール(東京都文京区弥生2-11-16)で開催される。主催は東京工業大学 物質理工学院 中嶋・梁研究室と関東学院大学 材料・表面工学研究所、パーク・システムズ・ジャパンで、協賛はヤマトマテリアルとArk Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

 NSSJ2024では現在、一般の参加申込と、ポスター発表の参加申込(提出期限:10月11日)を募集している。参加費は無料。

 一般の参加申込はこちらから。

 ポスター発表の参加申込はこちらから。

 

 ナノ科学シンポジウムは、SPMを用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウムで、今回のNSSJ 2024では科学に変革をもたらすSPMの幅広い応用と技術に焦点を当て、先端技術のための新しいナノ材料、機能性表面、さらにナノテクノロジーやSPMを使った応用技術についても話題提供がなされる。

 NSSJ2024のポスターセッションで研究成果を発表することで、SPMコミュニティで国際的に著名な教授陣や専門家の前で研究内容を議論することができる。また、『NANOscientific Magazine』やSPM企業Park Systemsの資料に掲載され、発表者の研究の影響力を高めるチャンスとなる。さらに、受賞した研究には以下の賞金が贈られる。
 
・1名 - 最優秀賞 5万円 

・2名 - 優秀賞 3万円 

 なお、ナノ科学シンポジウム2024の当日の講演タイトルと登壇者は以下のとおり。

「高速原子間力顕微鏡で探る分子ダイナミクス」名古屋大学大学院理学研究科・自然科学研究機構 生命創成探究センター 内橋 貴之氏

「走査型広がり抵抗顕微鏡による全固体電池の解析:電極内部の電子伝導」産業技術総合研究所 電池技術研究部門  前田 泰氏

「二次元結晶のファンデルワール接合によるモアレ超格子の作製と観測」東京大学 生産技術研究所 町田友樹氏

「光波駆動STMを用いた時空間 ダイナミクス計測」筑波大学 数理物質系 吉田昭二氏

「原子間力顕微鏡によるナノ応力分布とナノ導電性の可視化」東京工業大学 中嶋・梁研究室 梁 暁斌氏

「液中AFMによる固液界面物性計測と探針増強ラマン分光装置の開発」京都大学 小林 圭氏

「AFM、QCM-Dおよびエリプソメトリーを用いた銅メッキ添加剤吸着状態の解析」三菱マテリアル イノベーションセンター 久保田賢治氏

「AFMを⽤いたウルトラファインバブルによる鉛蓄電池の電極界⾯現象の解析」東京都立科学技術高等学校 尾⽊佑輝氏

「New Cutting-Edge AFM Techniques」Park Systems Corporation, Research Technology Center  Jake Kim氏

kat 2024年10月4日 (金曜日)
kat

表面改質展・真空展2024など7展が開催

4日 ago
表面改質展・真空展2024など7展が開催

 「表面改質展2024」「真空展2024」「2024洗浄総合展」など7展(主催:日刊工業新聞社など)が9月18日〜20日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。表面改質関連では、以下のような出展があった。

表面改質展などの会場のもよう

 サンエイ( https://www.hojitsu.co.jp/business/hojitsu_erin )は、防錆性・耐摩耗性に優れることから6価クロムめっき・DLCコーティング代替として「ERIN®」を提案した。ERINは「常温衝撃固化現象」を基本に開発されたセラミックコーティング(膜厚1~6μm程度)。基板加熱を行わず、常温・固化状態の微粒子が基板上に衝突しアンカー部を形成する。さらに微粒子の破砕・塑性変形により空隙のない緻密な膜を形成し、従来の表面処理ではできなかったさまざまな特徴を発現するという。同社が行ったテーバー式摩耗試験では摩耗量が硬質クロムめっき(膜厚10μmのうち)0.92μm、DLC被膜が(膜厚2μmのうち)0.63μmに対してERINは(膜厚3μmのうち)0.31μmを示したという。また、中性塩水噴霧試験においても良好な結果を示したという。

サンエイのブース

 TPR(https://www.tpr.co.jp/)は、ピストンリングなど内燃機関部品の製造で培った、金属や樹脂、ガラスなどへも成膜可能な高機能DLCの受託成膜について提案した。通常DLCの特徴として挙げられる耐摩耗性や低摩擦特性ではなく、除電特性や防汚特性についてアピールした。DLCによる除電性(静電気拡散性域)の付与では、低温成膜によって耐熱性が低い樹脂製品への成膜が可能なことや、従来の除電アイテムと比較して、高い耐久性と密着性を実現できることを訴求。防汚特性の付与では、金属、樹脂製品どちらにも成膜でき、DLCの化学的安定性によって水垢が容易に拭き取り可能で、高い耐久性と密着性を実現できることを示した。

TPRのブース

 東京電子(https://www.toel.co.jp/)は日本原子力研究開発機構との共同開発による、ポンプ作用を持った極・超高真空チャンバー「0.2%BeCu合金超高真空 封止チャンバー」を披露した。超低ガス放出の0.2%BeCu合金に、真空容器の内壁を真空ポンプとして機能させる非蒸発型ゲッター(NEG)コーティングを施すことで、電源を不要とした極高真空の維持を実現。チャンバー仕様:容積6.4×10-4m3、表面積3.2×10-2m2、NEG材料:Ti-Zr-V、NEG活性化:200℃ 25時間の測定条件で、バルブ閉止前圧力1.6×10-9Paに対し、バルブ閉止後圧力5.75×10-9Paと、1カ月以上10-9Pa台を保持する結果となった。

東京電子のブース

 東ソー( https://www.tosoh.co.jp/ )は、PVDやCVDコーティングなどのドライコーティングの前処理に適した炭化水素系高機能洗浄方法「HC-WSエマルジョン洗浄」の紹介を行った。この洗浄方法は、水切り剤である「HC-WSシリーズ」に水を加え、超音波等でエマルジョン化させた液中でワークの洗浄を行う。洗浄後は、HC-250もしくはHC-370で容易にリンスをすることができる炭化水素と水の両方の洗浄作用が兼ね備わっているため、油性から水溶性の汚れまで幅広い汚れを除去できるとともに、乾燥した水溶性加工油や異物等に対しても極めて優れた除去能力を発揮する。また水洗浄と異なり、錆びの心配もない。さらに、液管理が容易なことも特徴の一つだという。同社では、洗浄試験の依頼も受け付けている。

東ソーのブース

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、同社の受託コーティングの約6割を占める医療用のDLCコーティング(生体適合性ICFコーティング)をメインに展示を行った。生体適合性ICFコーティングは非常に硬く平滑な表面をしており、科学的に不活性で安定しており、生物に与える影響がなく、環境にもやさしい被膜となっている。このコーティングを施したチタンやステンレスの血小板付着試験では、血小板の付着が著しく低減することが確認されたという。また、低浸食性の効果も期待でき、すでに脳外科や腹腔鏡などさまざまな手術用器具への適用が進んでいる。さらに、ニッケル製の歯科矯正用ワイヤーからのニッケルの溶出防止に効果があることも報告されており、今後インプラントへの広がりも期待できるという。

ナノテックのブース

 不二WPC(https://www.fujiwpc.co.jp/)は、部品の耐久性、滑り・凝着対策など金属表面の特性を改善し、寿命延長を可能にする表面改質技術として、微粒子投射処理「WPC処理🄬」とダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングについて、各種加工サンプルを展示し紹介した。WPC 処理は直径数十μm程度の微粒子を100m/sec以上の高速で投射、加工面のディンプルが油溜まりを形成し摩擦摩耗特性を大幅に向上させるほか、圧縮残留応力の付与や結晶粒の微細化により疲労強度の向上を実現する。DLCコーティングは耐摩耗性や低摩擦特性、耐凝着性、耐食性などさまざまな機能を加工表面に付与で。特に同社のDLCはFDA(米国食品医薬品局)認証を取得しているため、食品製造機器に幅広く採用されている。

不二WPCのブース

 ヤマシタワークス(https://www.yamashitaworks.co.jp/)/日本スピードショア(https://speedshore.co.jp/)は、異形状ワークを簡単に短時間で鏡面仕上げ加工できる装置「エアロラップ」を展示した。エアロラップは、ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に、水分「マルチリキッド」を含有することで弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、加工材表面を高速で滑走させて発生する摩擦力により磨くもの。乾式と湿式の中間的な湿潤状態で、相手材にダメージを与えずに、精密研磨、最終仕上げや鏡面仕上げを可能にする。DLCなどドライコーティング成膜の前後処理などにも適用できる。ブースではエアロラップとロボットを組み合わせたシステムを披露し、エアロラップ処理の自動化を提案した。

ヤマシタワークス/日本スピードショアのブース

 

admin 2024年10月3日 (木曜日)
admin

サクラクレパス、細かい部分や曲面のプラズマ効果の確認が容易に行える大気圧プラズマ用評価ツールにマーカータイプを追加

4日 20時間 ago
サクラクレパス、細かい部分や曲面のプラズマ効果の確認が容易に行える大気圧プラズマ用評価ツールにマーカータイプを追加

 サクラクレパス(https://plazmark.craypas.co.jp/)は、プラズマ中のラジカルやイオンで変色する色材を用いて、プラズマ処理効果を「色で見える化」できる評価ツール「プラズマインジケータTM PLAZMARK®」の大気圧プラズマ用にマーカータイプを追加する。本年10月末から出荷を開始する予定。

プラズマインジケータ PLAZMARK 大気圧プラズマ用にマーカータイプ

 

 プラズマインジケータ™ PLAZMARK® はプラズマの処理効果を可視化する評価ツールとして、 2014 年の発売以来、ユーザーの用途に応じて商品ラインナップを拡充してきた。大気圧プラズマ用は、車載部品/プリント配線板製造/FPD製造/フィルム加工など、大気圧(常圧)プラズマ処理のチェック用として多くのユーザーに利用されている。

 同社では今回、これまでのロングラベルタイプ/シートタイプに加え、初の筆記具形状となるマーカータイプを発売する。

 フィルム業界におけるRoll to Roll処理や、曲面および複雑な立体形状の部品に対して 、 従来の印刷物タイプのプラズマインジケータ™では 、 フレキシブル性やサイズの制約から使用が難しく、プラズマ処理効果の確認において課題があった 。

 また、既存の評価手法である接触角測定や濡れ試薬を用いると、液体が流れてしまい、プラズマ処理効果の確認が困難な状況だった。同社では今回、こうした課題の改善を目的に、「マーカータイプ」のインジケータを開発したもの。特長は以下のとおり。

・小型のワークや複雑な形状のワークに対するプラズマ処理を容易に可視化できる

・Roll to Rollなどの柔軟な素材に対するプラズマ処理の確認にも利用可能

・マーカータイプのため手軽に使用でき、運用コストも抑えられる


 

仕様:対応ガスは、同社で確認できたものを記載。混合で使用する場合も含め、
この記載が全てではない変色見本(従来品ロングラベルとの比較):インキの隠蔽力が優れているため、透明な素材から濃色の素材に至るまで、多様な素材素材に至るまで、
多様な素材に利用可能

 

kat 2024年10月2日 (水曜日)
kat

米・3Dセラムシントー、NASAマーシャル宇宙飛行センターとパートナー契約を締結

4日 21時間 ago
米・3Dセラムシントー、NASAマーシャル宇宙飛行センターとパートナー契約を締結

 新東工業グループの米・3Dセラムシントー(ミシガン州グランドレッジ市)は、 7月15日にアメリカ航空宇宙局マーシャル宇宙飛行センター(以下、NASAMSFC)から、国際宇宙ステーション(以下、ISS)で実施する宇宙暴露実験(以下、MISSE)の支援企業(共同開発パートナー)として選定され、大型3Dプリンターを販売する契約を締結した。

 MISSEは宇宙空間で行われる実験の一つであり、対象となる材料をISSの外側に長期間剥き出しでさらし、材料が受ける劣化等の影響調査を目的として行われる。3Dセラムシントーは、 2025年6月に実施が予定されている宇宙空間での実験に向けて、まずは大小20個のセラミック製サンプル部品を8月末から造形して10月までに提供する。

 3Dセラムシントーが提供するサンプル部品はISS外部に設置されるパネルに6ヶ月間固定され、無重力、太陽からの放射線等 宇宙空間の影響を試験する。セラミック材料と3Dプリンターによる造形プロセスが宇宙空間で評価されれば、飛行にふさわしい高温構造やヒートシールドの造形をはじめ、多くの部品の造形を可能する。

NASAに提供することが決まったセラミック用大型3Dプリンター

 

admin 2024年10月2日 (水曜日)
admin

島貿易、トライボロジー試験機を用いたDLCなど硬質薄膜関連の試験評価を推進

6日 14時間 ago
島貿易、トライボロジー試験機を用いたDLCなど硬質薄膜関連の試験評価を推進

 英国PCS Instrumentsは、Imperial College LondonのHugh Spikes教授が率いるトライボロジー研究グループが開発した潤滑油や燃料油の各種特性を分析するための試験評価技術を基板技術として、1987年に設立された。以降、トライボロジー試験装置のグローバルリーダーの一つとして、油膜厚さ試験機「EHD」、トラクション試験機「MTM」などの各種トライボロジー試験機を自動車や潤滑油をはじめとする産業分野や大学・公共機関などの研究分野に提供している。

 日本国内では、島貿易が国内総代理店としてPCS Instruments製トライボロジー試験機の利点を活かした試験アプリケーションの拡大を進めている。

 ここでは特に、潤滑油介在下でのDLCコーティングなど硬質薄膜の摩擦摩耗特性評価で適用実績の多い、トラクション試験機「MTM」、さらには近年開発された高荷重トラクション試験機「ETM」の概要と、それらを用いたトライボロジー試験評価事例について紹介する。

 

潤滑油介在下での薄膜の特性評価に有用なトライボロジー試験機

 

トラクション試験機MTM

 MTM(図1)は、世界中で300台以上の販売実績がある、実験室向けのコンパクトなベンチトップタイプのボールオンディスク型摩擦摩耗試験機で、500以上の文献で採用されており、簡単なトレーニングで使用できるため、新規ユーザーにも扱いやすい仕様となっている。

 試験機ごとの測定誤差が少なく繰返し性の高い結果が得られるほか、独立駆動するモータにより、すべり率200%以上を再現できる。また、操作性の良さや豊富なアクセサリにより、幅広い試験条件を再現できる。さらに、オプションの3Dマッパーを採用することによって、トライボフィルムの形成を、接触部電気抵抗測定では油膜切れの挙動を確認することが可能となっている。

 仕様は以下のとおり。
・最大荷重:~75N
・接触面圧:~1.25GPa(標準試験片)、~3.1GPa(試験片による)
・最大速度:4000mm/sec
・すべり率:-10000~10000%
・温度範囲:室温~150℃(オイルクーラ使用時10℃~)
・サンプル量:35mL
   
 

図1 MTM本体(左)と試験部(右)
  高荷重トラクション試験機ETM

 ETM(図2)は、軸受鋼(SUJ2)相当の試験片で、3.2GPaの高面圧を再現することができるボールオンディスク型摩擦摩耗試験機。
オプションの3Dマッパーを採用することによって、トライボフィルムの形成から破壊までを観察することが可能となっている。Fluid Extraction System(FES)自動ドレインシステムでは、試験後のサンプルを漏れなく回収し、作業工程を簡便化することによって、クリーニング時間の短縮につながる。

 仕様は以下のとおり。

・荷重範囲:100~1650N
・接触面圧:~3.5GPa(標準試験片)、~7.1GPa(タングステンカーバイド試験片)
・最大速度:3500mm/sec
・すべり率:—10,000~10,000%
・温度範囲:室温~150℃(オイルクーラ使用時10℃~)
・サンプル量:30mL
   

図2 ETM本体(左)と試験部(右)

 

トライボロジー試験用の各種DLC試験片

 DLCコーティングは、その低摩擦特性、高い耐摩耗性、化学的安定性、生体適合性、さらには意匠性などから、自動車や金型分野をはじめ様々な産業分野で適用が拡大してきている。

 特に自動車分野においては、エンジン部品を中心に広く採用されており、それら部品の潤滑油剤を検討する上では現在、DLCを被覆した表面に対する、各種潤滑油添加剤の諸機能を評価することが求められてきている。DLCコーティングは、sp2結合量およびsp3結合量と水素含有量から、低硬度で水素フリーのa-C膜、高硬度で水素フリーのta-C膜、水素含有量の多いa-C:H膜まで様々な種類があり、また、内部応力を低減させ密着性を高める目的で多層化が図られ、さらに離型性など各種の特性を付与する目的で金属ドープなどがなされている。こうしたDLC膜と潤滑油添加剤との関係性においては例えば、摩擦調整剤の一つであるモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)を配合したエンジン油を用いて摺動させた場合に、水素含有DLC膜において摩耗が促進されることが報告されている。

 こうした中、PCS Instrumentsでは、様々なDLC膜の表面で潤滑油・潤滑油添加剤を評価したいとのニーズの高まりを受けて、低硬度の水素フリーDLC膜(a-C膜)「Graphit-iC」および高硬度の水素含有DLC膜(a-C:H)「Dymon-iC」をそれぞれ、高速度工具鋼(ハイス鋼)M2ならびに軸受鋼52100に施したボールおよびディスクを用意している(図3、表1)。
 

図3 DLC試験片

 


 

MTMを用いた、MoDTC介在下でのDLC膜の摩擦摩耗特性へのポリマー系摩擦調整剤の影響の評価

 Crodaでは、MTM試験機と上述の2種のDLC被覆ボール(sp3結合量50%、40%水素含有DLCボール(Dymon-iC)および水素フリーCrドープDLCボール(Graphit-iC))、さらには相手材となる鋼製ディスクを用いて摩擦摩耗試験を実施、2種のDLC表面における自社のポリマー系摩擦調整剤(PFM)の潤滑性能を比較評価している1)。供試油には、①5W-30欧州ACEA C3エンジン油、②5W-30油+0.5%MoDTC(Mo含有:400ppm)、③5W-30油+0.5%MoDTC(Mo含有:400ppm)+0.5%PFM1、④5W-30油+0.5%PFM1、⑤5W-30油+0.5%グリセロールモノオレイン酸塩(GMO)、⑥5W-30油+0.5%MoDTC(Mo含有:400ppm)+0.5%GMOを用いた。

水素含有DLC(sp3結合量50%、水素含有量40%)ボール/鋼製ディスクの摩擦摩耗試験結果

 水素含有DLCボール/鋼製ディスクの摺動において、5W-30欧州ACEA C3エンジン油(①リファレンス油)は、境界潤滑領域において0.11という高い摩擦係数を示したが、摩耗量は水素含有DLCボールで4000μm3、鋼製ディスクで12600μm3と大きくはなかった。

 リファレンス油にMoDTCを0.5%添加した供試油②では、速度領域0.1~0.03m/sで摩擦係数が0.09まで低下した一方で、摩耗量はMoDTCの介在によって水素含有DLCボールで10000μm3、鋼製ディスクで70000μm3と大幅に増えた。

 5W-30油にGMOを0.5%添加した供試油⑤では、リファレンス油①に比べると摩擦係数がわずかに低く(0.10)、MoDTC添加油に比べても0.1m/s以上の高速度領域において低い摩擦係数を示した。一方、摩耗量は、鋼製ディスクでは5300μm3とリファレンス油①に比べ減ったものの、水素含有DLCボールでは6700μm3と増えた。

 MoDTCを含むオイルにGMOを配合した供試油⑥は、リファレンス油①にGMOを0.5%配合した供試油⑤と同様の摩擦係数を示した。また、摩耗量においても、MoDTCのみを配合した供試油②に比べて水素含有DLCボール、鋼製ディスクともに減少し、鋼製ディスクでは12600μm3へと減少した。

 水素含有DLCと鋼製ディスクとの摺動において、摩擦調整剤としての効果が最も大きかったのが供試油③および供試油④のCroda製ポリマー系摩擦調整剤(PFM)で、極低速度領域においては摩擦係数の顕著な低下は認められなかったものの、混合潤滑領域において極めて低い摩擦係数を示した。

 PFMのみが配合された供試油③では、摩耗量が水素含有DLCボールにおいて90%も低減し、鋼製ディスクにおいても50%以上低減した(図4)。

 図5に示すとおり、水素含有DLCボールで高い摩耗量が認められたMoDTC配合油においても、Croda製ポリマー系摩擦調整剤PFMと組み合わせることで水素含有DLCボールにおいても、鋼製ディスクにおいても、摩耗量が80%以上低減する結果となっている。
 

図4  PFMの配合による摩耗量低減

 

図5 MoDTC配合油へのPFM添加による摩耗量の大幅な低減
水素フリーDLC(sp2結合、Crドープ)ボール/鋼製ディスクの摩擦摩耗試験結果

 水素フリーDLCボール/鋼製ディスクの摺動において、リファレンス油①は低速度領域において水素含有DLCボール/鋼製ディスクの摺動での摩擦係数0.11よりもわずかに大きい値を示した(μ=0.12)。摩耗量も水素含有DLCボール/鋼製ディスクの摺動での結果に比べて大きく、水素フリーDLCボールで125000μm3、鋼製ディスクで50000μm3となった。

 MoDTC配合の供試油②では、MoDTCの水素フリーDLCボールの摩擦への影響は認められなかったものの、水素フリーDLCボールでの摩耗量は230000μm3と大幅に増えた。一方で鋼製ディスクの摩耗は32000μm3とMoDTCの配合によって小さくなった。

 GMOを配合した供試油⑤が極めて高い摩擦摩耗特性を示し、摩擦係数はリファレンス油①に対し境界潤滑領域で10%低減、混合潤滑領域で10%以上低減した。摩耗量は水素フリーDLCボールで11500μm3とリファレンス油①に対して90%低減し、鋼製ディスクで45500μm3と10%低減した。

 GMOを配合した供試油にMoDTCを添加した供試油⑥はリファレンス油と同様の摩擦摩耗特性を示した。このことから、GMOとMoDTCは性能を相殺する形で機能すると考察される。

 PFMを配合した供試油③は、リファレンス油①よりも高い摩擦係数を示す結果となった。また、摩耗量は水素フリーDLCボールで176000μm3とリファレンス油①に対して45500μm3と40%増加し、鋼製ディスクでも52000μm3と微増した(図6)。

 PFM配合の供試油にさらにMoDTCを配合した供試油④では何と、大幅な摩擦摩耗特性の改善が見られた。摩擦係数はリファレンス油①に比べ20%以上低減した0.10以下で、摩耗量は水素フリーDLCボールで48000μm3とリファレンス油①に対して45500μm3と40%低減したが、鋼製ディスクにおいては59000μm3と20%増加する結果となった(図7)。
 

図6 PFM配合油では水素フリーDLCボールの摩耗が増加

 
 

図7 MoDTC配合油へのPFMの添加により水素フリーDLCボールの摩耗が大幅に低減

 

今後の展開

 MoDTC配合油が水素含有DLC膜の摩耗を促進させる問題に対しては上記の研究以外にもMTM試験機を活用した数多くの研究が進められており、ある種のジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)などの表面活性添加剤がトライボフィルムを形成しDLC膜の摩耗を抑制するといった研究2)なども近年発表されている。

 高荷重トラクション試験機ETMもまた、トラクション試験機MTMと同様に潤滑油・グリースの評価を中心に適用が進められている。電動車両においても減速機が重要な基幹技術となることから、減速機のような高面圧用途でのETMを用いたEHD摩擦の計測評価といった研究3)も始まってきている。

 環境負荷低減の意識の高まりとともに、日本国内においても洋上風力をはじめとして風力発電装置用潤滑・グリースやDLCコーティングの研究も活発化してきており、こうした高面圧で稼働する風力発電主軸用軸受などにおける、ころ表面のDLC膜とグリース添加剤とのトライボケミカル反応による超低摩擦機能の発現といった事象なども、ETMによって試験評価が可能と見られている。

 PCS Instruments製トライボロジー試験機の国内総代理店を務める島貿易では、表面改質分野でのMTMの適用提案をさらに進めるとともに、こうした高面圧用途での軸受や減速機などでのETMの試験アプリケーションの開拓に努めていく。

参考文献
1) John Eastwood:LUBE MAGAZINE,NO.139,JUNE(2017)33-40.
2) Mao Ueda, Amir Kadiric, Hugh Spikes:Wear of hydrogenated DLC in MoDTC-containing oils, Wear 474-475 (2021) 203869.
3) Jie Zhang, Hugh Spikes:Measurement of EHD Friction at Very High Contact Pressures, Tribology Letters (2020) 68:42.

kat 2024年9月30日 (月曜日)
kat

東京理科大学・佐々木研究室、第23回トライボサロンをハイブリッド開催

1週 1日 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第23回トライボサロンをハイブリッド開催

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第23回目が9月28日、東京都葛飾区の葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす

 
 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第23回目となる今回のトライボサロンでは、「HiPIMSを用いた水素フリーDLC膜の成膜技術に関する研究」のタイトルで、東京都立産業技術研究センター・徳田祐樹氏を講師に話題提供が行われた。

 講演では、高硬度・高平滑性の両立が求められるDLCコーティングの成膜技術として、大電力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)に着目。最適な磁場強度の制御による母材へのカーボン粒子のイオン化率向上による高硬度化などの研究を紹介し、HiPIMSを用いた水素フリーDLCの高硬度・高平滑性の両立の可能性を示した。

 なお、トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon

kat 2024年9月28日 (土曜日)
kat

ブルカージャパン、大阪でAFMミーティング「AFMを用いた電池特性評価技術」を開催

3週 2日 ago
ブルカージャパン、大阪でAFMミーティング「AFMを用いた電池特性評価技術」を開催

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部は10月17日13:00~17:00、大阪市淀川区のアットビジネスセンターPREMIUM新大阪(正面口駅前)905号室で、AFMミーティング2024<関西>を開催する。テーマは「AFMを用いた電池特性評価」。

 AFMユーザーによる最新の研究成果や、測定のための技術など、特に電池関連の研究者に役立つプログラムとして企画。トークセッションでは、周りに相談できないさまざまな疑問や質問などトピックスを募集しており、測定のヒントやコツなど、参加者の困りごとに答える機会としている。トークセッションの準備として、事前に参加予定者からの質問を、登録フォームへのご記載にて受け付けている。

 概要とプログラムは以下のとおり。

定員:60名

対象:ブルカーに限らずAFMを使用している、または検討しているユーザー、測定技術に興味のある方、これから携わりたい方など

申込み:こちらから

プログラム:13:00開始 (12:30受付開始)

・13:00~13:05    開催挨拶 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部 統括部長 鈴木大輔 氏

・13:05~13:35 「原子間力顕微鏡を用いた蓄電池の電極と電解液の界面における物性と反応機構のin-situ解析」自然科学研究機構分子科学研究所 主任研究員 湊 丈俊 氏…蓄電池の開発において、材料の物性の理解は重要であるが、充放電中の蓄電池内部における材料の状態を解析することは容易ではない。原子間力顕微鏡は、充放電中の蓄電池内部の材料物性や反応機構を直接解析できる手法で、高い空間分解能を持つことから、これまで不明であった物性や反応機構を解析できる。本講演では、原子間力顕微鏡を用いた蓄電池の解析における最近の展開などを紹介する。

・13:35~14:05 「Liイオン電池合材電極の電子伝導解析」産業技術総合研究所 電池技術研究部門 研究グループ長 前田 泰 氏、研究員 蒲生浩忠 氏…Liイオン電池では、個々の活物質粒子までの電子・イオン経路が重要だが、従来のマクロスコピックな解析だけでは、これを評価することが困難。産総研では、AFMベースの電気伝導測定により、電極内部の導電ネットワークの評価を試みている。本講演では、液系Liイオン電池や全固体電池の合材電極を対象とした測定例を紹介するほか、三次元シミュレーションとの組み合わせによる電極内部の導電パスに関する解析事例についても紹介する。

・14:05~14:35 「走査型拡がり抵抗顕微鏡法を用いたLIB電極の電子伝導性解析」コベルコ科研 物理解析センター 解析部 主任部員 常石英雅 氏…リチウムイオン電池の電極は活物質、導電助剤、バインダー、電解質で構成されており、電池特性向上のために非常に複雑に設計されている。SPMはそれぞれの部材の通電状態を評価できる唯一の分析手法であり、設計に対する効果を直接的に可視化することが可能となる。今回は主に液系リチウムイオン電池の電極シートを題材に、SSRMによって得られた抵抗マッピング像を用い、その定量値や位置情報を活かした解析事例を紹介する。

・14:35~14:55 「原子間力顕微鏡を用いた二次電池の局所領域の特性評価 ~基礎から応用~」ブルカージャパン ナノ表面計測事業部 アプリケーション部 
アプリケーションエンジニア 寺山剛司 氏…現在、液系リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上や課題に対応するため、全固体電池、次世代二次電池、革新型蓄電池の研究開発が進められている。しかしながら、各種次世代二次電池にも克服すべき課題が存在し、解析のために原子間力顕微鏡が用いられている。本講演では二次電池向けの原子間力顕微鏡の測定モードの原理から最新の事例などを紹介する。

・14:55~15:30 休憩:情報交換(お茶とお菓子を用意)

・15:30~16:20 座談会「みんなで話そう電池特性評価」AFMを用いた電池特性評価の課題や期待をパネリストと意見交換できるプログラム。質問・相談を登録フォームより受付中。
モデレーター:自然科学研究機構分子科学研究所 湊 丈俊 氏
パネリスト:各講演者

・16:20~16:40 「ブルカー製品の案内とお知らせ」ブルカージャパン ナノ表面計測事業部 営業部

kat 2024年9月13日 (金曜日)
kat

JASIS2024開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

3週 2日 ago
JASIS2024開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2024」を開催した。展示会では、407社・機関、1214小間(昨年354社・機関、1096小間)の出展と「新技術説明会」、「トピックスセミナー」などの講演が多数催された。リアル展示会への来場者は21918名(昨年16115名)だった。表面試験・評価機器関連では以下のような展示があった。

JASIS2024の会場のもよう

 エビデント(https://www.olympus-ims.com/ja/)は、限界見本をそのまま覚える拡大観察・欠陥判定外観AIによって、欠陥の自動検出・自動分類が可能なデジタルマイクロスコープ「DSX1000+NuLMiL」を紹介した。不良部分を塗りつぶすだけで直感的・効率的に欠陥を学習、学習結果に基づき取得した画像から不良箇所を自動で判定。NG限度見本との類似度設定でOK/NGを調整、R&Dから量産まで適用できる。また、微細観察・粗さ測定において業界最高峰レベルの測定性能を実現するとともに、「実験トータルアシスト」によって実験計画表の作成からデータ取得、解析、分析、レポート作成までの作業を効率化できる3D測定レーザー顕微鏡「OLS5100」を展示した。表面粗さ測定に最適なレンズ選択をアシストする「スマートレンズアドバイザー」で、測定結果の信頼性を向上できる。測定結果の異常値をリアルタイムで可視化する「ヒートマップ表示」も搭載。

エビデントのブースのようす

 大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )は、測定する人も場所も選ばずに、瞬時に対象物(フィルムやガラスなどの透明材料)の三次元情報として、光の波の情報全て(光波動場)を独自の波面センサーで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象(以後、対象)から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサーに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得して、取得した三次元情報を、後から無段階で任意面を再生できる(デジタルリフォーカシング)。また、防振に優れた独自設計のため設置環境をあまり気にしないで済む。

大塚電子「MINUK」

 協和界面科学( https://www.face-kyowa.co.jp/ )は、主力の接触角計を紹介したほか、自動摩擦摩耗解析装置「TSf-503」を展示した。同装置は天秤構造を採用したことで不要な力を検出せず、正確な摩擦の波形取得を実現した。標準繰返し測定は最大12回まで往復運動をして静・動摩擦係数測定を行う。また同装置は、往復測定か往路のみの測定かを選択でき、往路測定の場合は天秤を自動でピックアップし原点位置まで復帰する。連続静摩擦測定では、設定した移動速度、距離、回数で連続測定を実施する。さらに、4種類の荷重(100g~1000g)で静・動摩擦係数を測定し、荷重による影響を比較することもできる。

協和界面科学「TSf-503」

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、比較的安価で幅広い摩擦摩耗試験に対応した「トライボギア TYPE:14FW」を紹介。同品はテーブル速度、移動距離、往復回数を設定することができるため、さまざまな条件下で試験が可能となる。また、同品はアタッチメントを様々に変更できることから、摩擦摩耗試験だけでなく、簡単な引っ張り試験やスクラッチ試験などに対応している。オプションのトライボソフトを使用すればデータの管理、解析を簡単に行うことができる。さらに、同社は摩擦摩耗試験機の専門メーカーとして70年以上の実績を強みに摩擦摩耗試験の受託試験を行っている。様々なシーンに適合した試験機を取り揃えているとともに摩擦摩耗に特化した多様なノウハウにより精確な受託試験が行えることを訴求した。

新東科学「トライボギア TYPE:14FW」

 THK(https://www.thk.com/jp/ja/)は、分析機器など高精度の位置決めが要求されるアプリケーション向けに開発した、8条列を採用しながらもISO 規格に準拠した標準寸法で、世界標準のLMガイド「SHS」と寸法互換が可能な超低ウェービングのボールリテーナ入りLMガイド「SPHシリーズ」を披露した。超低ウェービング・高剛性ボールリテーナ入りLMガイドSPR/SPSで採用した小径ボールをよりサイズダウンして有効ボール数を増やし、剛性とのバランスを取りつつ、SPR/SPSとほぼ同等のnm単位の超低ウェービング性能を実現している。また、分析装置・実験装置への試料のハンドリングを行い24時間の無人での分析や実験を実施できる、ヒト型双腕ロボット「NEXTAGE Fillie」やロボットハンド「ならいハンドTNH」、「コンビネーションモジュール」を用いた自動化システムを提案した。

THK「SPHシリーズ」(写真奥側)

 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.com/jp)は、200mmウェハーを切り出さずにそのまま評価できる研究用原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX200」を初披露した。①低ノイズフロアと低い熱ドリフトによる再現性の高い測定、②スキャンレート50Hzでも鮮明な画像が得られる高速イメージング性能、③11 µmと小口径のレーザービームスポットのためカンチレバー長が非常に短いプローブを利用でき、共振周波数2MHzを用いた高速測定などさまざまな計測が可能、④より広いサイズをとらえつつ線幅0.87μmの高解像度が可能、⑤ヘッド衝突の保護機能・環境センサー機能を有する新世代AFMコントローラー、⑥200mmウェハーからクーポンサイズの試料までをカバー、⑦プローブタイプの自動認識、⑧プローブの自動交換、⑨カンチレバー上の自動レーザービームアライメント、⑩200mmウェハー全体像観察のためのマクロ光学系、など多くの機能を搭載。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX200」

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp )は、スループット2倍の高速測定モード、200mm×300mmの広い試験領域を実現、ポリマー薄膜のナノスケール試験の精度向上、コンビナトリアル材料科学のスループット向上、300mm半導体ウェハーのマルチ測定分析などが可能なナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」を展示した。新しいPerformech IIIコントローラー、高度なフィードバック制御モード、次世代nanoDMA IV動的ナノインデンテーション、XPM II高速機械特性マッピングなど測定・解析プロセスのあらゆる面で最新技術を採用。ユニバーサル・サンプル・チャックの使用でほぼすべてのサンプルを取り付けることができ、より広い試験領域での測定が可能。

ブルカージャパン「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」

 ヤマト科学システムは、分光技術を用いた最新の計測・分析技術として、誰でも簡単・迅速・高精度に非破壊で計測できるスマート膜厚計「SM-100P/SM-100S」を紹介した。同品は、分光器の小型化やバッテリー駆動により本体が1.1 kgと軽く、ネックストラップ付きで装置の落下を防止しつつ容易に持ち運びができる。また、シンプルで直感的なインターフェースの採用によって専門知識が不要な簡単測定(プローブをサンプルに当てるだけ)に加え、反射分光法の採用によって最薄0.1 μmまで検量線不要で測定が可能となる。測定対象の膜が透明であれば、プラスチック・ガラスなど基材を選ばずに測定が可能。単層膜専用「SM-100S」と、最大3層までの多層膜を測定可能な「SM-100P」をラインアップしている。

ヤマト科学システム「SM-100シリーズ」

 

admin 2024年9月13日 (金曜日)
admin

高機能トライボ表面プロセス部会、第24回例会を開催

3週 2日 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第24回例会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)は9月6日、岐阜県岐阜市のハートフルスクエアーG/岐阜市生涯学習センターで第24回例会を開催した。

 今回は上坂代表幹事から開会の挨拶と岐阜大学工学部附属プラズマ応用研究センターの紹介がなされた後、以下のとおり、講演が行われた。

挨拶する上坂氏

・「立方晶窒化ホウ素のイオンビームアシストMBE成長: 結晶多型と電気伝導性の制御」平間一行氏(日本電信電話 NTT物性科学基礎研究所)…①イオンビームアシストMBE法によるcBN薄膜のヘテロエピタキシャル成長において、Ar+照射によるsp3結合の選択的な形成が可能、②BN薄膜の成長相図構築と成長モデルの提案として、FAr+/FB>1:sp3 cBN成長、の式を示し、イオンの役割としてはcBN相の形成とt-BN相の優先的なエッチングがある、③典型的な結晶欠陥と熱的安定性については、低い成長温度では積層欠陥による双晶が形成し、N2雰囲気1300℃まではcBN構造は安定、それ以上ではsp2結合相に構造相転移する、④cBN薄膜上のダイヤモンド成長とn型SiドープcBN薄膜の電気伝導性制御を実証した、と総括した。

講演する平間氏

「層間すべりと化学作用を伴う水潤滑下のhBNの低摩擦特性」齊藤利幸氏(ジェイテクト)…層間すべりと化学作用を伴う水潤滑下のhBNの低摩擦特性に関して、①水潤滑下でhBNは低摩擦・低摩耗を示す、②hBNの層間すべりは低入射XRDでも確認可能、③定量可能な量のアンモニアが摩擦により生成される、④hBNの摩耗は機械な作用が大きい、⑤実用の一案としてはhBN配合材も想定可能、と総括した。

講演する齊藤氏

・「プラズマCVD法を用いた高品質cBNコーティングの合成とその応用」堤井君元 氏(九州大学)…高密度プラズマとフッ素の強い化学作用を用いればcBN生成に強いイオン衝撃は必ずしも必要なく、最小で数eV~10eVの平均イオンエネルギーでもcBNは生成できる。弱いイオン衝撃化で得られる低残留応力cBN膜を用いれば密着性の良い薄膜が形成可能で、WC-Co上では中間層挿入や化学親和層形成が望ましく、バイオ応用も期待される。高結晶性cBN 膜によって電気的応用が可能となりつつあり、現状の多結晶は電子エミッターと誘電体応用が、もし単結晶が可能になれば半導体応用が期待される。今後の課題として、①イオン衝撃を必要としないcBN 膜の形成法、②高品質・大面積バルク単結晶cBN基板の作製法、③長期的視野、分野活性化、支援(人>資金>スペース)、④生成条件の再現性、装置依存性、を挙げた。

講演する堤井氏

「電子ビーム励起プラズマCVD法によるcBN膜コーティング」髙島成剛氏(中日本炉工業)… 現在のcBN切削工具は焼結体のみで、大きさ、形状が制限されるため、cBN膜コーティングによる切削加工の高速化・多様化の実現を目指した。しかし、cBN成膜はダイヤモンド合成と同様に高温高圧状態が必要なため、高密度なプラズマ源が必要、成膜時にイオン衝突を必要とし、膜中に巨大な内部(圧縮)応力を蓄積するため密着性が乏しく、はく離が発生するという課題があった。これに対し、電子加速電圧を変えることで最適な電子エネルギーを選択でき高密度なプラズマを生成できる電子ビーム励起プラズマ(EBEP)CVD装置を用いて、ホウ素膜とBN傾斜膜の中間層の形成による密着性の確保(ホウ素膜:cBN膜の膜応力の緩和、BN傾斜膜:ホウ素膜とcBN膜の密着性確保)を実現した。厚膜化の要求に対しては、膜厚(BN傾斜膜+cBN膜)の成膜時間依存性をクリアする成膜温度制御によって成膜時間を短縮、基材の温度制御によって50GPa以上の高硬度化と60N以上の密着力を実現している。

講演する髙島氏当日のもよう

 

admin 2024年9月13日 (金曜日)
admin

SURTECH 2025会場内「トライボコーティング/試験評価機器ゾーン」出展募集中!

3週 3日 ago
SURTECH 2025会場内「トライボコーティング/試験評価機器ゾーン」出展募集中!

 

 当社は2025年1月29日~31日に開催される「SURTECH 2025」会場(東京ビッグサイト東3ホール)内に、コストバリューの高い特設ゾーン「トライボコーティング/試験評価機器ゾーン」を設置します。

 摩擦摩耗特性・潤滑特性に優れるコーティングを指す「トライボコーティング」技術(ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのドライコーティングや熱処理、微粒子ピーニング処理など)を扱う企業、ならびにトライボコーティング被膜・改質層の試験評価機器(インデンター、摩擦摩耗試験機、スクラッチ試験機、膜厚計、表面形状測定機など)を扱う企業にご出展をいただき、摩擦摩耗や潤滑の表面課題を抱えるSURTECH来場者に対し、多面的・包括的に表面ソリューションを提供、トライボロジー問題へのワンストップサービスを提供するゾーンです。

 つきましては、本特設ゾーンへのご出展をいただきますよう、ご検討をお願いいたします。

◇主催:株式会社メカニカル・テック社

◇出展期間:2025年1月29日~31日(金)

◇会場 :東京ビッグサイト東3ホール SURTECH 2025会場内

◇SURTECH2025予定来場者数 :45,000名(※同時開催展を含む)

◇募集する出展対象企業

・摩擦摩耗特性・潤滑特性に優れる「トライボコーティング」技術を提供する企業

・トライボコーティング被膜・改質層の試験評価機器を提供する企業

◇出展料

・小ブース 展示台:幅990mm×奥行700mm展示壁面:高さ2700mm  165,000円(税込)

・大ブース 展示台(小ブース×2):幅1980mm×奥行700mm展示壁面:高さ2700mm  298,000円(税込)

小ブース イメージ

※展示台ではサンプルやカタログ展示、PC・モニターなどでの動画放映が、展示壁面では小ブースでポスターA0サイズ1枚相当、大ブースで同2枚相当の展示が行えます。

※※出展料には下記備品が含まれます。

・壁面パネル (H2700mm x W990mm)

・展示台  (W990mm x D700mm x H750mm)

・スポットライト ・社名板 ・2口コンセント (500W)

・パンチカーペット 設置

◇募集ブース数:20社分

◇申し込み締め切り:2024年9月30日

お申込みはこちらよりお願いいたします(googleフォーム)。

問い合わせ先

株式会社メカニカル・テック社 TEL:03-5829-6597 E-Mail:info@mechanical-tech.jp
 

kat 2024年9月12日 (木曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2024年8月号 特集「表面改質の測定・評価」8月26日発行!

1ヶ月 2週 ago
メカニカル・サーフェス・テック2024年8月号 特集「表面改質の測定・評価」8月26日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2024年8月号 特集「表面改質の測定・評価」が当社より8月26日に発行される。

 今回の特集「表面改質の測定・評価」では、ナノ粒子ミストデポジション法によるITO薄膜の製造と膜生成過程におけるその場観察について、200mm試料を切り出さずにそのまま評価できるリサーチ用AFMと評価事例について、化粧品メーカーにおけるエイジングケア化粧品の効果と分光測色計による評価・検証について、プラズマCVD法およびアークPVD法により成膜したDLCの各膜構造の違いによる機械的性質(硬度)と静摩擦係数および動摩擦係数に及ぼす影響について、各種の表面課題にソリューションを提供する表面設計コンソーシアムの表面改質の複合技術について紹介する。

特集:表面改質の測定・評価

◇ナノ粒子ミストデポジション法による透明導電性薄膜の大気下でのグリーンな製造・・・東北大学 蟹江 澄志、ニコン中積 誠、鬼頭 義昭、西 康孝、奥井 公太郎、鈴木 涼子

◇200mm試料をそのまま評価できるリサーチ用AFMと評価事例・・・パーク・システムズ・ジャパン 金 鍾得 氏 に聞く

◇エイジングケア化粧品の効果と分光測色計による評価・検証・・・プレミアアンチエイジング 林田 元治 氏、コニカミノルタジャパン 西本 昌弘氏 に聞く

◇DLCコーティングの機械的特性と静・動摩擦係数の低減による産業用途への最適化・・・東研サーモテック 髙橋 顕

◇表面分析・試験により不具合原因を抽出、複合処理で解決する表面設計コンソーシアム・・・編集部

連載

注目技術:TOF-SIMSを用いた、スパッタ二硫化モリブデンコーティング中の水分移動度とトライボロジー特性の検証・・・テキサス大学

第4回 チェコのワイン編: 南モラヴィアの大草原とモラヴィア・ワイン・・・横浜国立大学 梅澤 修

トピックス

日本熱処理技術協会 2024春季講演大会を開催
島貿易、粉体の摩擦特性/強度の試験装置の取り扱いを開始

admin 2024年8月20日 (火曜日)
admin

ナノ科学シンポジウム2024が10月18日に開催

1ヶ月 3週 ago
ナノ科学シンポジウム2024が10月18日に開催

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2024 : NSSJ2024)」(https://nanoscientific.org/nss_japan/main)が10月18日10時~17時30分に、東京大学 浅野キャンパス 武田ホール(東京都文京区弥生2-11-16)で開催される。

 主催は東京工業大学 物質理工学院 中嶋・梁研究室と関東学院大学 材料・表面工学研究所、パーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

 シンポジウムHP(https://nanoscientific.org/nss_japan/registration/2024/KDLRY-8463)から参加登録できる。参加費は無料。

 

 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウムで、2020年から開催され5回目となる今回は、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表がなされる。

・小林 圭氏(京都大学)「液中AFMによる固液界面物性計測と探針増強ラマン分光装置の開発」

・梁 暁斌氏(東京工業大学)「原子間力顕微鏡によるナノ応力分布とナノ導電性の可視化」

・久保田賢治氏(三菱マテリアル)「AFM、QCM-Dおよびエリプソメトリーを用いた銅めっき添加剤吸着状態の解析」

・町田友樹氏(東京大学生産技術研究所)「二次元結晶のファンデルワールス接合によるモアレ超格子の作製と観測」

・吉田昭二氏(筑波大学)「光波駆動STMを用いた時空間ダイナミクス計測」

・前田 泰氏(産業技術総合研究所)「走査型広がり抵抗顕微鏡による全固体電池の解析:電極内部の電子伝導」

・内橋貴之氏(名古屋大学)「高速原子間力顕微鏡で探る一分子ダイナミクス」

kat 2024年8月15日 (木曜日)
kat

島津製作所、走査型電子顕微鏡大手のTESCAN社と業務提携

1ヶ月 3週 ago
島津製作所、走査型電子顕微鏡大手のTESCAN社と業務提携

 島津製作所は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEM)大手メーカーであるチェコ共和国のTESCAN GROUP, a.s.(以下TESCAN社)と業務提携契約を結んだ。島津製作所の主力である分析計測製品のラインアップにTESCAN社のSEMを加え、今秋に日本国内で発売を開始する。

 TESCAN社はSEM製造のパイオニアの1社だという。同社の本社があるチェコ共和国ブルノ市は電子顕微鏡に関わる企業や科学機関が集中しており、最先端の研究が活発となっている。TESCAN製品の堅牢性および操作性には定評があり、世界80ヵ国で累計4000台以上の販売実績がある。SEMの日本市場は2022年度で170億円規模で、近年は前年度比10%超で成長しているという。

 一般的に利用されている光学顕微鏡では、光の波長より小さな物は観察できないが、SEMは光より短い波長の電子線を使うことでnm単位で高解像度の表面観察が可能で、あらゆる科学技術の研究で必須かつ基本の観察分析装置となっている。ただし「電子線を試料に照射し、試料から発生する電子を検出して試料表面の形態や組成の違いを観察する」という原理のため、帯電しやすい非導電性の試料では観察が難しくなり。TESCAN社のSEMは試料の導電性によらず、常に最適な解像度とコントラストの観察画像が得られる。

 TESCAN製品による「表面観察分析」と島津製作所の分析計測機器による「成分分析」は補完的な役割を果たすため、組み合わせることで信頼性の高い一貫した分析システムを構築できるという。島津製作所は、TESCAN社との業務提携を通じて、構造生物学やナノテクノロジー、エネルギー材料、金属・鉄鋼材料などの研究開発に従事する顧客に付加価値の高いソリューションや研究プラットフォームを提供していく考え。

admin 2024年8月13日 (火曜日)
admin

新東工業、医療・食品で求められるクリーンな環境での表面処理の加工サービス

1ヶ月 3週 ago
新東工業、医療・食品で求められるクリーンな環境での表面処理の加工サービス

 新東工業株式会社( https://www.sinto.co.jp/ )は、電子部品、精密機器、医療機器等クリーンな環境下でのものづくりを支える「クリーンプロセスラボ」を開設し、クリー