メインコンテンツに移動
mstkouenkai

 

mst配信ニュース 表面改質の情報サイト

島貿易、粉体の摩擦特性/強度の試験装置の取り扱いを開始

2日 2時間 ago
島貿易、粉体の摩擦特性/強度の試験装置の取り扱いを開始

 島貿易(https://www.shima-tra.co.jp/)はこのほど、ハイテクノライズ(マークテック子会社)の粉体摩擦試験装置「MKPF-S100型」(図1)と粉体強度試験装置「MKPS-A100型」(図2)の取り扱い(装置販売および、これら装置による受託試験)を開始した。ここでは、粉体試験装置2種の概要・特徴と、応用例などについて紹介する。
 
 

図1 粉体摩擦試験装置「MKPF-S100型」

 

図2 粉体強度試験装置「MKPS-A100型」

 

粉体試験装置の概要

 

粉体摩擦試験装置

 粉体摩擦試験装置MKPF-S100型(図3)は、粉体層の容積を一定に保ちながら行うJIS-Z8835(一面せん断試験による限界状態線(CSL) および壁面崩壊線(WYL)の測定方法)準拠の摩擦試験装置。サーボシリンダによって垂直方向に圧密して形成させた粉体層を垂直方向に加圧した状態で、リニアアクチュエータによって水平方向に横滑りさせたときに生じるせん断応力をロードセルによって高精度に測定する。粉体層の充填性/応力緩和評価や、平面と粉体の付着性・摩擦性評価、ロット間における物性評価などに利用できる。

 特長は以下のとおり。

・1mLのサンプル(試料粉体)でも測定可能

・測定部全体での加温が可能なためムラがなく正確

・一回の測定で、摩擦、付着、圧縮といった多くのパラメーターを取得できる

・底面を任意の基板に変更して測定可能

 図4にせん断応力の測定データ例を示すが、摩擦係数(図4表中のtanθ)が高いほど摩擦力が強く、粉体の流動性が悪いことを示す。また、図5に応力伝達率と応力緩和率の測定データ例を示すが、応力伝達率は壁面摩擦の程度を測定しており、摩擦力が大きいと応力伝達率は低くなる。一方、応力緩和率は粒子の付着特性を測定しており、数値が高いほど粉体の充填性が悪く、付着力が高いことを示す。
 

図3 粉体摩擦試験装置「MKPF-S100型」の機構

 

図4 せん断応力の測定データ例

 

図5 応力伝達率および応力緩和率の測定データ例

 

粉体強度試験装置

 粉体強度試験装置MKPS-A100型(図6)は、粒子を微小な針で加圧することによって粒子が潰れる際の極微小な力を測定できるJIS-Z8844(微小粒子の破壊強度および変形強度の測定方法)準拠の装置。ステージ(試料台)と、精密ばねで支持した接触針(平面圧子)との間に粒子を挟み、ステージを動かして粒子を押し込んでいった際の、粒子の圧壊力、圧壊に要する変形量などをレーザー変位計で検出、粒子の硬さを高精度で測定する。

 特長は以下のとおり。

・3μm以上の小さい粒子が測定可能

・1mN以下の圧壊力でも明確なピークが得られる(10nN~10N)

・温調ステージ(~150℃)で温度依存性を評価可能

 図7に粒子圧壊力の測定データ例を示すが、どの程度の力で粒子が破壊するかという、粒子の極微小な圧壊力を計測するほか、圧壊に要する変形量などのデータも取得できる。また、粒子の圧壊点がない場合でも、バネのみの変位値と粒子がある場合の変位値を算出して、粒子の変形量を測定できる。
 

図6 粉体強度試験装置「MKPS-A100型」の機構

 

図7 粒子圧壊力の測定データ例

 

粉体材料への応用例

 

粉体摩擦試験装置の応用例

 粉体摩擦試験装置MKPF-S100型は、材料均一性の評価、バインダー等の添加による材料特性の評価などに応用できる。リチウムイオン電池用電極は、電極活物質などを含む粉体を圧縮成形して製造されるが、粉体の流動性が電極の生産効率や性能に影響するため、流動性を判断する摩擦力(摩擦係数)の評価は重要となる。

 また、金属3Dプリンティング用の粉体材料においては、造形効率や造形品の品質に関わる、荷重がかかった条件での流動性の評価や、充填性/密度の均一化を目的とした付着力の評価などに応用できる。

粉体強度試験装置の応用例

 電池材料の電極のロールプレス等の工程において、活物質の硬さの不足によって割れが発生してしまうと、電池容量の低下/材料劣化につながる。粉体強度試験装置MKPS-A100型は電池活物質(正/負)の硬さ評価に応用できる。

 全固体電池材料ではまた、積層された正極、固体電解質、負極がプレスされた際に固体電解質が割れてしまうと、導電パスが切れ不具合品となってしまう。こうした場面で、粉体強度試験装置MKPS-A100型は固体電解質の硬さ/変形量の評価に応用できる。

 

受託測定サービス

 島貿易とハイテクノライズでは、ユーザーの試験測定ニーズに合わせて最適な粉体試験装置を提案するほか、装置納入後も装置本来の制度を維持し正確なデータを取得できるよう、点検、診断、校正作業などのトータルサポートを行っていく。

 また、装置販売だけでなく、ユーザーから試験体を預かって上記の粉体試験装置を用いた受託測定も行う。樹脂材料から金属材料、セラミックス材料、医薬材料、食品、電池材料などの多種多様な材料粉体の物性を粉体試験装置で評価しデータを提供して、粉体の物性評価の支援を行っていく。

 粉体の摩擦や強度の測定での困りごとは島貿易まで、ぜひ相談していただきたい。

kat 2024年7月25日 (木曜日)
kat

DLC工業会、2024年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

2週 ago
DLC工業会、2024年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は6月14日、東京都港区の航空会館で「2024年定時社員総会」を開催した。当日は、中森秀樹会長(ナノテック 代表取締役社長)を議長に選出して議事が進行された。

 議事においては2023年度事業報告、決算報告が行われた後、2024年度事業計画(案)、同予算(案)について審議、満場一致で可決された。事業計画では、「DLC工業会確認マーク発行制度」による規格適合性確認マークの発行を行うこと、経済産業省(三菱総合研究所経由)のDLC国際標準化に関わる委託事業を受託し必要な活動を行うことなどを確認した。また、今年11月に京都でISO/TC107の国際会議を開催、わが国開催でロビー活動を強化し、今後のISO規格を日本主導で行えるよう働きかけていく。

 任期満了に伴う理事・監事選任では中森会長が再選。中森会長は「今回のISO/TC107の日本開催をきかっけに工業会の活動を活発にしたい。予算も限られるため自主事業に力を入れていく。また、現在のDLCの三つのISO規格はトライボロジー的要素からつくられているが、今後は医療における生体適合性や半導体分野、エネルギー産業に活用する保護膜としてのDLCの規格について検討していきたい」と述べた。

中森会長

 また、当日の席上では「DLC工業会功労賞」の授賞式が行われレスカが受賞。DLC試験方法のISO規格発行にあたり多大なる貢献をしていることや、同工業会の講演会などに貢献していることが認められた。レスカを代表して挨拶を行った宝泉俊寛氏は「今回はこのような栄誉ある賞をいただき、ありがとうございました。弊社は試験機メーカーでコーティングの摩擦・摩耗や密着性の評価を行っているが、DLCについても試験・評価を行っており工業会に携わらせていただいている。今後もDLCの評価について良いものは良い、悪いものは悪いといった判断ができる試験方法を提供していきたい」と述べた。

宝泉氏と中森会長

 同工業会の現時点での正会員は、ナノテック、リックス、アルテクス、トッケン、平和電機、ナノテックシュピンドラー、フロロコート、ウエキコーポレーション、レスカ、ウォルツの10社。特別会員は大竹尚登氏(東京工業大学)、大花継頼氏(産業技術総合研究所)、平栗健二氏(東京電機大学)、平田 敦氏(東京工業大学)の4名となっている。

admin 2024年7月12日 (金曜日)
admin

機械要素の表面課題を複合処理で解決する表面設計コンソーシアム

2週 ago
機械要素の表面課題を複合処理で解決する表面設計コンソーシアム 編集部 1.はじめに

 表面設計コンソーシアムは2022年7月、複雑な表面課題にソリューションを提供しつつ、今後求められる表面課題に対応する複合処理の技術開発をする目的で設立された。創設メンバーは、微粒子投射技術を有する不二WPCと、多様なコーティング技術を持つ日本電子工業、熱処理技術を提供する武藤工業、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工に加えて、豊富な分析評価技術を保有する神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)、理論構築を担う横浜国立大学、事務局・広報を務めるメカニカル・テック社。

 本格稼働を開始した表面設計コンソーシアムは本年6月19日~21日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕される「第29回 機械要素技術展[東京]」の不二WPC/表面設計コンソーシアムの共同ブース(ブースNo.E58-18)において、共同受注によるビジネス創出に向けて、共創により可能になる複合処理についてアピールする。

 本稿では、表面を設計することの難しさと、各種の表面課題にソリューションを提供する、同コンソーシアムの共創による表面改質の複合技術について、事例をまじえて紹介する。

2.「表面を設計する」ことの重要性と、コンソーシアムの役割

 表面に優れた機能を与えるには、ベース素材の材料設計技術や表面改質技術、その上に被覆する薄膜制御技術、さらには最表面のテクスチャ制御技術までをトータルに高度なレベルで協調させる「設計」が必要である(図1)。

図1 表面設計のイメージ

 金型や機械部品の不具合は、損傷がかなり進んだ段階で発覚することが多いために、一部が欠損していたり、摩滅や腐食が進行したりしていて「はじめに何が起きたのか」を明らかにするのが容易でない場合がよくある。摩耗・摩擦・チッピング(微小な欠け)・はく離・凝着・焼付き・かじり・変寸・曲げ疲労・転動疲労・面疲労など、はじめに起きる損傷過程を突き止めることで、効果的なソリューションの提供につなげることができるが、証拠が不十分であったり、時間やコストを十分にかけられなかったりすることも多く、容易ではない。

 現象が複雑・動的でメカニズム解明が容易でないといったこうした表面技術分野において、生産技術に関わる企業からのニーズ・オーダーに対して1機関で表面設計ソリューションを開発・提供することは難しい。これに対し表面設計のスペシャリスト集団である表面設計コンソーシアムは、情報が分散しがちで目標が不明瞭になりがちといった、ものづくり企業を取り巻く環境の変化や課題に対して、ワンストップで情報を集約・統合し目標の明確化と技術の統合を図り技術の高付加価値化につなげることのできる、産官公地域連携の新しい形である、と言える。

3.表面改質の複合技術による、最適な表面設計ソリューションの提案

 表面設計コンソーシアムは、熱処理やコーティングなど単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューションや、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供する、表面技術のスペシャリスト集団である。同コンソーシアムでは、図2のような形で表面設計ソリューションの提供を進めていくが、中でも「ソリューションラボ」(不二WPCのオープンラボ、https://www.fujiwpc.co.jp/open-lab/)における調査・分析業務が重要となる。コンソーシアム保有技術からなる複合技術によって最適な表面設計を実現することで、ユーザーにコストプライスではなくバリュープライスを認めてもらうことが重要である。充実した分析・試験設備を保有するソリューションラボ(表1)は、バリューを評価してもらうための中心的なスペースであり、ユーザーとともに実際の不具合品を見ながら故障解析を行い複合技術による最適化提案を行うほか、これから必要となる技術開発のための単体試験・実証試験が行え、複合技術による技術提案ができる場と位置付けられている。

図2 取引の流れ表1 ソリューションラボの保有設備4.複合技術の事例:WPC処理と硬質皮膜の組み合わせによるパンチの寿命向上

 コンソーシアムメンバーの保有技術の複合化による表面課題の解決事例を一つ紹介する。

 六角ボルト穴加工用の工具鋼パンチは激しい摩耗損傷に曝される。そこでこのパンチに窒化チタン(TiN)コーティングを施すことにより寿命を約5倍に延長することができた。

 しかしながらTiNコーティングを施したパンチでは寿命は長いものの、突発的な欠けによって損傷するため、高サイクル加工では瞬時に大量の不良品が発生してしまう。つまり品質管理が困難と言える。逆に言うと、TiNコーティングを施していないパンチでは寿命は短いものの、凝着や摩耗によって損傷が進行するため交換時期が予測でき、品質管理が容易となる。

 従来の表面設計では、耐摩耗性を重視するあまりにパンチの基材である工具鋼の硬さを硬くし、さらにその上に硬質薄膜を付与することが多い。しかしその代償として疲労強度や靱性が劣化し、脆性的な欠けや疲労破壊を誘発しやすくなってしまう。これに対し推奨される表面設計は、基材の材料特性を向上させる表面改質を施した上で、硬質薄膜を形成させることである(図3)。

図3 従来の表面設計(左)と推奨される表面設計(右)

 硬質薄膜形成によって基材の疲労強度は劣化する。これは脆い硬質薄膜に発生するマイクロクラックが基材へと進展するためである(図4)。つまり、硬質薄膜形成は耐摩耗性を向上する反面、疲労強度を低下させてしまう。

図4 TiN被覆による合金工具鋼(SKD61)の疲労強度の低下

 これに対し、基材の表面改質処理としてWPC処理(金属製品の表面に微粒子を圧縮性の気体に混合して高速衝突させることで表面が改質する技術)を施すと、疲労強度が向上する。これは主として、WPC処理によって基材表面に大きな圧縮残留応力が付与されるためである。

 図5に示すとおり、基材(SKD61、下から二番目の曲線)にTiNコーティングを施すと疲労強度が低下する(一番下の曲線)が、WPC処理(図中のFPB)によって疲労強度が向上した基材(一番上の曲線)にTiNコーティングを施しても疲労強度の劣化はわずか(上から二番目の曲線)であり、依然として高い疲労強度を示す。また、TiNコーティングを溶解除去すると、もとのWPC処理材の疲労強度に戻る。

図5 WPC処理によるTiN薄膜形成による疲労強度低下の抑制

 このことからWPC処理によって付与される圧縮残留応力は硬質薄膜形成後も有効に維持されていると考えられる。
このように、WPC処理と硬質薄膜を適切に組み合わせることによって、耐摩耗性と疲労強度や靱性をバランスよく向上することができる。

 表面設計コンソーシアムの保有技術や複合処理で可能になることなど、詳細は同コンソーシアムのウェブサイト(https://surfacedesignconsortium.com/)をご覧いただき、お問い合わせいただきたい。

5.おわりに

 表面課題の解決においては、情報と技術の整理と統合がとても重要である。
 繰返しになるが、金型や機械部品の不具合は、損傷がかなり進んだ段階で発覚することが多いために、一部が欠損していたり、摩滅や腐食が進行したりしていて、はじめに何が起きたのかを明らかにするのが容易でない場合がよくある。はじめに起きる損傷過程を突き止めることで、効果的なソリューションの提供につなげることができるが、証拠が不十分であるなど、容易ではない。

 こうした問題に対応するために、表面設計コンソーシアムでは、独自のサービスとして「ソリューションラボ」を開設し、表面設計のスペシャリストであるメンバーが集まって、ユーザーと一緒に原因の調査を行う。ソリューションラボには、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、粗さ計、硬さ計、残留応力測定装置などの各種測定装置が完備されており、ユーザーの情報や測定・分析の結果をもとに、さまざまな角度かディスカッションして、考えられる原因の絞り込みと改善のための表面設計プランを提案していく。さらに必要に応じて、より高度な分析機器を用いた調査や検証実験、実機評価試験にも対応する。

 表面設計コンソーシアムではこのように、情報を整理・統合して、現象を正しく判断をするとともに、メンバー各社が持つさまざまな技術・ノウハウを統合して、根拠のある合理的な表面設計ソリューションを提供することを目指している。

 機械要素から、金型、切削工具に至るまで、表面に関する困りごとがあれば何でも気軽に、表面設計コンソーシアムに相談いただきたい。まずは、本年6月19日~21日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕される「第29回 機械要素技術展[東京]」の不二WPC/表面設計コンソーシアムの共同ブース(ブースNo.E58-18)まで、是非とも足を運んでいただき、表面課題に関するディスカッションができれば幸いである。
(月刊ソフトマター2024年6月号より転載)

admin 2024年7月12日 (金曜日)
admin

ヤマハ発動機、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備えた実証施設を新設

2週 ago
ヤマハ発動機、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備えた実証施設を新設

 ヤマハ発動機は、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備えた実証施設を森町工場(静岡県周智郡森町)に新設する。2025年より、水素ガスによるアルミ合金溶解技術の開発・検証をはじめ、施設・設備等に関わる総合的な実証実験を開始する。2026年末には水素ガスによるアルミ合金の溶解および鋳造部品の熱処理に関する技術開発を完了し、2027年以降、同社グループの国内外鋳造工場に順次導入していく計画。

 この実証実験は、製品ライフサイクル全体のCO2排出量のうち、スコープ1( 自社による直接排出(製品の製造や燃料の燃焼))の最少化を目指した取り組みの一つ。二輪車や船外機等の鋳造部品の製造では、現在、アルミ合金を溶解するための熱エネルギーに都市ガスなどの化石燃料を使用している。その代替エネルギーを探求する中で、大きな熱量を要する溶解工程の電化はエネルギー効率という点で不向きという判断から、同社ではスコープ3(製品の使用や配送・輸送などによる排出)の選択肢の一つとしても研究を進める水素エネルギーに着目した。

 実証実験では、水素ガスを用いた場合の品質への影響を検証するほか、水素バーナーによる温度制御等の開発を進める。また、グリーン水素を製造する装置と、外部加熱を使わずに合成メタンを製造するメタネーション装置(CO2と水素を触媒で反応させ、合成メタンを製造する装置(静岡大学との共同研究))についても導入を検討しており、水素ガスを安価に製造する設備や、排気ガス中のCO2を再利用する技術開発にも取り組む。

 同社は「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」で、2050年までに事業活動を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラルを目指している。また、スコープ1、2においてはグループ会社を含む各製造拠点におけるカーボンニュートラル実現の目標を2035年に前倒しし、各種の取り組みを加速させている。

 

admin 2024年7月12日 (金曜日)
admin

大同特殊鋼、自動車部品の熱処理に対応した連続式真空焼鈍炉の初号機を受注

2週 ago
大同特殊鋼、自動車部品の熱処理に対応した連続式真空焼鈍炉の初号機を受注

 大同特殊鋼( https://www.daido.co.jp/ )は、自動車部品の熱処理に対応した連続式真空焼鈍炉の初号機を発売し、浜名部品工業から受注した。

 本設備は、ヒーター加熱式を採用することで、エネルギー源を電気のみとし、化石燃料を一切使用しない熱処理炉。CO2排出係数がゼロのカーボンフリー電力を使用することで、顧客のCO2排出量ゼロを可能とする。また、従来の雰囲気焼鈍炉では、化石燃料由来の炉内雰囲気を必要としていたが、炉内を真空にすることで従来の設備と同等以上に酸化および脱炭を抑制しながら、雰囲気ガスの使用量をゼロとしている。

 同社はこれまでも、主に磁石製造などにおける焼結工程向けに、連続式真空熱処理炉を販売している。本設備の提案にあたり、同社が培ってきた真空技術を鍛造部品や電磁鋼板といった自動車部品の焼鈍工程向けに応用した。今回の受注は、本設備による完全カーボンニュートラル熱処理の提案が、CO2排出量削減に取り組む自動車部品サプライヤーに評価されたものだという。

 また、同社は工業炉のカーボンニュートラルを推進する技術として、今回の「電化×真空」のほかに、「水素バーナー+炉内雰囲気のCO2分解」の開発を進めており、「カーボンニュートラルSTC炉」の2027年以降の販売開始を計画している。

連続式真空焼鈍炉(イメージ図)

 

admin 2024年7月12日 (金曜日)
admin

産総研など、脳動脈瘤治療用ステントの抗血栓性コーティングを開発

2週 ago
産総研など、脳動脈瘤治療用ステントの抗血栓性コーティングを開発

 産業技術総合研究所(産総研)生命工学領域連携推進室 寺村 裕治 連携主幹(細胞分子工学研究部門 分子機能応用研究グループ 研究グループ付)は、ジャパン・メディカル・スタートアップ・インキュベーション・プログラム(JMPR)、N.B. Medicalと共同で、脳動脈瘤治療用ステントのための新規抗血栓性コーティングを開発した。

 血液と接触する医療機器において、血栓の発生を抑制することは重篤な合併症を回避する重要な要素。血管内に異物を留置するため、ステントを使用した患者は常に血栓性合併症のリスクにさらされている。そのため抗血小板剤の服用が必須となる。また、血栓発生のリスクを低減するために、これまで多くの抗血栓性コーティングが研究されてきた。従来のコーティングは、タンパク質の非特異的吸着を抑制することで抗血栓性を発揮するという原理が主流だったという。タンパク質吸着の抑制は同時に細胞の接着を阻害することも意味する。そのため従来技術において、抗血栓性と細胞接着性はどちらかを向上させるともう一方は低下する相反関係にあった。

 一方で開発した新規抗血栓性コーティングでは原理が異なる。この技術は、血中の非凝固系タンパク質を優先的に吸着することで、ステント表面から生じる血液凝固反応が抑制される。タンパク質の吸着を抑制するのではなく制御する本技術では、抗血栓性を発揮すると同時に細胞接着性が向上している。細胞接着性の向上によって、ステントが血管に取り込まれる速度を増加する。ステントが血管内に早期に取り込まれることは、治療の早期完了を意味する。

 開発成果は、さまざまな候補分子において検証を行い、その中で3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をステント表面にコーティングすることで、従来の抗血栓性ポリマーと同等以上の抗血栓性を発揮しつつ、細胞の接着性の向上が認められた。

図1 コーティング材料の化学構造とステント表面の模式図

 コーティングが有する抗血栓性をヒト血液との接触試験によって確認した。血液に接触させた後、ステントと血液を分析して抗血栓性を評価した。その結果を図2に示す。コーティングなしのステントは血栓に覆われているのに対し、コーティングありのステントは血栓がほとんど付着していない。また血液中の血小板数は、血小板が凝集して血栓化が進行したことで、採血直後の血液を100%とするとコーティングなしのステントと接触した血液は約50%まで減少していた。一方で、コーティングありのステントと接触した血液では血小板の減少はほとんど確認されなかった。

図2 抗血栓性の評価結果
(a)ステントの電子顕微鏡画像 (b)血液中の残存血小板比率
**p<0.01はこの結果が偶然である確率が1%未満であり、統計的に非常に有意であることを示している。

 さらに細胞の接着性について、従来の抗血栓性コーティングにおいて臨床で最も実績のあるポリマーコーティング(MPCポリマー)との比較を行った。ステントと同材料の基板で血管内皮細胞の培養を行った。顕微鏡で観察したところ、新規コーティングをした表面では従来コーティングをした表面よりも8倍以上多く細胞が接着していた(図3)。

図3 細胞接着の評価結果:蛍光顕微鏡観察画像

 また、ブタによる大動物実験によってコーティングの安全性も確認した。ブタの血管にコーティングステントを1週間留置し、ブタの状態とステントを留置した血管を評価した。その結果、ブタの健康状態に異変はなく、ステントを留置した血管に異常がないことも血管造影によって確認した(図4)。

図4 コーティングステントを留置したブタ血管の画像
正常に血流が維持されている。ステントによる血管損傷や血栓の発生、コーティングによる体への影響などもない。

 以上の結果の通り、今回開発されたコーティングは抗血栓性と細胞接着性を両立したステントを可能にする。この技術が示した抗血栓性により、ステント治療で課題とされてきた血栓性合併症のリスクを低減する。さらに細胞接着性が向上したことで、ステントの血管内皮化を促進し、血管への取り込みが早まる可能性を示した。ステントの血管内皮化において、まず周囲の細胞がステントに接着していくことから始まる。接着した細胞は徐々に広がり、ステントを覆う。そして最終的に細胞によって覆いつくされ、ステントが血管内に完全に取り込まれることで治癒が完了する。以上の通りステント治療において、細胞接着が生じなければ治癒が開始されないため非常に重要な過程になる。細胞接着性の向上によって治癒が促進されれば治療期間が短縮化し、抗血小板剤の減薬が可能となることで患者の負担が軽減されるだけでなく医療費の削減にも貢献できる。

admin 2024年7月12日 (金曜日)
admin

ブルカージャパン、7月17日、18日に名古屋で表面計測・機械物性計測技術セミナーを開催

1ヶ月 ago
ブルカージャパン、7月17日、18日に名古屋で表面計測・機械物性計測技術セミナーを開催

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部は7月17日、18日の両日、名古屋市中村区ウインクあいち(愛知県産業労働センター)1303会議室で、最新ナノインデンター/摩擦摩耗試験機/三次元表面形状評価/CMP評価機の実機を見ながら測定技術が一度に学べるセミナー「表面計測・機械物性計測技術セミナー」を開催する。

 テーマを「パワー半導体」と「評価技術」とし、各テーマ1日で実施。また、両日ともにセミナー開催前に事前予約制の個別デモを行うほか、参加者が持参したサンプルを用いて装置性能を評価できる。

 内容は以下のとおり。

7月17日 テーマ:次世代パワー半導体向け評価技術

・12:30~13:00 受付

・13:00~14:00 特別講演「次世代パワー半導体の結晶欠陥評価技術の開発~ナノインデンテーションを活用した欠陥導入と評価の事例~」姚 永昭氏(三重大学 研究基盤推進機構半導体・デジタル未来創造センター 教授)…ワイドギャップ半導体(SiC、GaN、β-Ga2O3など)は、高電力密度や低損失、高温での安定性など、従来の半導体に比べて優れた性能を持ち、近年、これらの材料を利用した次世代のパワーデバイスの研究開発が大きな進展を遂げている。しかしながら、結晶成長が困難で成長後の結晶中に転位等の格子欠陥が高密度に含まれる課題は未だに残る。格子欠陥の分布と種別を正確に取得した上で、デバイスの性能と信頼性を大きく低下させるキラー欠陥を特定し、その情報を結晶成長とデバイス作製にフィードバックすることが極めて重要である。本講演では、これらのワイドギャップ半導体の結晶評価技術の開発に焦点を当て、従来の評価手法の限界と課題を解説し、新たな手法開発の取り組みとして、放射光X線トポグラフィーをはじめ、エッチピット法、透過型電子顕微鏡(TEM)、多光子励起顕微鏡、ナノインデンテーションを活用した導入欠陥の構造解析の事例を紹介する。

・14:00~14:20 「半導体分野で活用されるナノインデンター活用事例」二軒谷 亮氏(ブルカージャパン ナノ表面計測事業部)

・14:20~14:40    「半導体分野で活用される非接触光干渉計の活用事例」秋本壮一氏(ブルカージャパン ナノ表面計測事業部)

・14:40~15:00 「卓上CMP評価機を用いたスクリーニング評価事例」塚本和己氏(ブルカージャパン ナノ表面計測事業部)

・15:30~16:30 装置デモンストレーション (各20分)
① ハイジトロン ナノインデンター TI Premier
② 3次元白色干渉型顕微鏡 ContourX-500
③ 卓上CMP評価機 TriboLab CMP

 当日の詳細と申し込みは以下まで。
https://web.gogo.jp/braker-axs/form/nagoyaws

 

7月18日 テーマ:最新ナノインデンター/トライボロジー評価/白色干渉計 評価技術の原理・事例・解析手法・成功のヒント・装置実演

・12:30~13:00    受付    

・13:00~14:00    特別講演 「次世代パワー半導体の結晶欠陥評価技術の開発~ナノインデンテーションを活用した欠陥導入と評価の事例~」姚 永昭氏(三重大学 研究基盤推進機構 半導体・デジタル未来創造センター 教授)…ワイドギャップ半導体(SiC、GaN、β-Ga2O3など)は、高電力密度や低損失、高温での安定性など、従来の半導体に比べて優れた性能を持ち、近年、これらの材料を利用した次世代のパワーデバイスの研究開発が大きな進展を遂げている。しかしながら、結晶成長が困難で成長後の結晶中に転位等の格子欠陥が高密度に含まれる課題は未だに残る。格子欠陥の分布と種別を正確に取得した上で、デバイスの性能と信頼性を大きく低下させるキラー欠陥を特定し、その情報を結晶成長とデバイス作製にフィードバックすることが極めて重要である。本講演では、これらのワイドギャップ半導体の結晶評価技術の開発に焦点を当て、従来の評価手法の限界と課題を解説し、新たな手法開発の取り組みとして、放射光X線トポグラフィーをはじめ、エッチピット法、透過型電子顕微鏡(TEM)、多光子励起顕微鏡、ナノインデンテーションを活用した導入欠陥の構造解析の事例を紹介する。

・14:00~14:20    「半導体分野で活用されるナノインデンター活用事例 」二軒谷 亮氏(ブルカージャパン ナノ表面計測事業部)

・14:20~14:40    「半導体分野で活用される非接触光干渉計の活用事例」秋本壮一氏(ブルカージャパン ナノ表面計測事業部)

・14:40~15:00    「卓上CMP評価機を用いたスクリーニング評価事例」塚本和己氏(ブルカージャパン ナノ表面計測事業部)

・15:30~16:30 装置デモンストレーション (各20分)
① ハイジトロン ナノインデンター TI Premier
② 3次元白色干渉型顕微鏡 ContourX-500
③ 卓上CMP評価機 TriboLab CMP

 当日の詳細と申し込みは以下まで。
https://web.gogo.jp/braker-axs/form/nagoyaws0718

kat 2024年6月26日 (水曜日)
kat

日本熱処理技術協会、12月2日、3日、2024年度第3回熱処理技術セミナーを開催

1ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、12月2日、3日、2024年度第3回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は12月2日、3日の両日、対面参加(定員:30名、製粉会館:東京都中央区日本橋兜町15-6)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2024年度 第3 回熱処理技術セミナー-熱処理基礎講座Ⅱ-」を開催する。

 第3回熱処理技術セミナーでは、浸炭・窒化・高周波といった代表的な表面硬化熱処理技術を中心に、これらの熱処理とは不可分な金属学的現象への解説を加えて、熱処理技術を中心に据えた基礎講座プログラムで構成されている。本セミナーは、企業における人材育成に最適なプログラムとなっている。

 申込締切は11月21日(または定員に達した場合)で、以下のURLまたはQRコードから申し込みができる。参加費は正会員46200円(税込)、維持会員46200円(税込)、非会員68200円(税込)、高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格は9900円(税込)。

https://forms.office.com/r/dEHGcuL7mF

 

 内容は以下のとおり。

 

12月2日

・9:55~10:00「開会挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会

・10:00~11:30「鋼の焼入性と合金元素~合金鋼の焼入焼戻しを知る基礎知識~」梅澤 修氏(横浜国立大学)…本講演では、鋼の等温(恒温)変態線図および連続冷却変態線図、焼入性について概説の上、鋼の焼入性に及ぼす炭素量および合金元素の影響、焼入・焼戻しによる強化との組織学的関係について述べる。

・12:30~14:00「拡散~鋼の熱処理における拡散現象の基礎的理解~」中田伸生氏(東京工業大学)…本講演では、熱処理、表面処理において拡散は重要な現象である。本講義では、金属を対象とした物質の拡散について概説する。特に気/固界面や相変態を含む複相間での拡散を理解するため、化学ポテンシャル勾配による拡散を理解することを目的とする。

・14:10~15:40「残留オーステナイト~形成機構と有効利用技術~」土山聡宏氏(九州大学)…本講演では、焼入れした鋼中に生成する残留オーステナイトについて、その生成機構や生成量に及ぼす鋼組成と熱処理条件の影響について述べる。また、残留オーステナイトの有効利用を目的とした最近の研究についても紹介する。

・15:50~17:20「表面硬化熱処理の基礎~表面硬化熱処理の必要性・効果・注意点~」奥宮正洋氏(豊田工業大学)…本講演では、機械構造用部品に用いられる鋼を加熱してオーステナイト組織とし、炭素または窒素を侵入させた後に焼入れして機械的性質を向上させる表面硬化熱処理に関する硬化メカニズム、得られる組織、雰囲気管理方法等について基礎的な解説を行う。

 

12月3日

・10:00~11:30「金属の高温酸化~熱力学と速度論の観点から,金属材料の表面酸化を理解する~」上田光敏氏(北海道大学)…本講演では、金属の高温酸化現象を概観するとともに、酸化現象を理解する上で重要となる平衡論(金属酸化物の化学的安定性)と速度論(酸化皮膜の成長とイオンの拡散)について概説する。

・12:30~14:00「鉄鋼材料の窒化・浸窒処理~表面組織制御の考え方~」宮本吾郎氏(東北大学)…窒化処理や浸窒焼入れ処理によって適切な表面特性を得るためには、表層組織の制御が欠かせない。本講演では、組織制御に必要となる状態図・熱力学や拡散、化合物層、拡散層生成挙動と表面硬化の関係について概説する。

・14:10~15:40「鉄鋼材料の高強度化と変形・破壊の基礎~転位論に基づく強度上昇メカニズム~」田中將己氏(九州大学)…本講演では、材料の破壊現象について、塑性変形をほとんど伴わない脆性破壊から塑性変形を伴う延性破壊について、その特徴を材料学的な見地に立ってその解説を行う。特に塑性変形(転位運動)挙動の温度依存性に着目する。

・15:50~17:20「高周波熱処理~IH 熱処理の特徴と応用~」井戸原 修氏(高周波熱錬)…高周波熱処理は急速短時間加熱、表面加熱、部分加熱を特徴とし、自動車部品など機械構造用部品の熱処理の熱処理方法として幅広く用いられている。本講演では、この高周波熱処理技術の基礎と特徴、応用について解説する。

kat 2024年6月26日 (水曜日)
kat

日本熱処理技術協会、10月24日、25日に2024年度第2回熱処理技術セミナーを開催

1ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、10月24日、25日に2024年度第2回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は10月24日、25日の両日、対面参加(定員:30名、製粉会館:東京都中央区日本橋兜町15-6)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2024年度 第2 回熱処理技術セミナー-熱処理応用講座-」を開催する。テーマは、「窒素活用による表面改質技術の最前線」。

 第2回熱処理技術セミナーでは窒素を活用した表面改質技術について取り上げる。窒素を活用した表面改質は、金属材料の表面にさまざまな機能を付与する処理として広く活用されている。さらに、新しい技術の開発も継続しており、進歩が著しい熱処理技術の一つである。本講座では、窒素を活用した表面改質技術について、第一線で技術開発に取り組んでいる講師を招いて講演がなされる。社員教育をはじめとした企業における人材育成に最適なプログラムとなっている。

 申込締切は10月20日(または定員に達した場合)で、以下のURLまたはQRコードから申し込みができる。参加費は正会員46200円(税込)、維持会員46200円(税込)、非会員68200円(税込)、高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格は9900円(税込)。

https://forms.office.com/r/Ne9eSNAYMW

 

 内容は以下のとおり

10月24日

・9:25~ 9:30「開会挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会

・9:30~10:30「自動車分野における窒素活用技術の開発事例~浸窒焼入の量産化、高強度窒化の基礎開発~」田和久佳氏(トヨタ自動車)…近年、カーボンニュートラルや製品ニーズの変化を受けて窒素を活用した熱処理技術がより一層注目されている。本講演では、当該熱処理に携わる人々の参考になればという視点で、過去にトヨタ自動車で取り組んだ「窒素を活用した熱処理技術開発」の中から二つの事例を取り上げ紹介する。

・10:40~12:10「ガス窒化、ガス軟窒化技術~雰囲気窒化処理の基礎と応用~」武本慎一氏(DOWAサーモテック)…浸炭と並ぶ代表的な表面硬化処理として工業的に広く用いられている窒化処理は、各種鋼部品の耐摩耗性、耐疲労性の向上だけでなく、低温域での処理であることからCN への貢献も期待されている。本講演では、ガス窒化、ガス軟窒化の基礎とプロセスの実際について解説するとともに、最近の開発事例についても紹介する。

・13:10~14:40「塩浴軟窒化と周辺技術~塩浴軟窒化処理の概要と特徴~」石塚はる菜氏(日本パーカライジング)…高合金鋼やステンレス鋼などの窒化しにくい鋼にも適用できる塩浴軟窒化処理は、自動車部品を中心に幅広く適用されている。本講演では、塩浴軟窒化処理の基礎や特徴を概説し、その特性についても紹介する。

・14:50~15:50「窒化のモデリング技術~物理モデルから機械学習モデルへ~」宮本吾郎氏(東北大学)…窒化は表面から吸収された窒素が内部へ拡散すると同時に、材料中の窒化物生成元素が合金窒化物として析出して表面近傍を硬化させるため、そのモデル化には拡散と析出の両方の考慮が必要であった。一方、最近のデータ科学的手法を用いることで、そのような物理モデルに立脚せず窒化挙動をモデル化する取り組みも始まっている。本講演では、それら窒化モデルについて講師の取り組みを中心に紹介する。

 

10月25日

・9:00~10:30「浸窒処理の現状と課題~窒素を活用した表面熱処理技術の展望~」築山訓明氏(岡山県工業技術センター)…カーボンニュートラルやSDGsなど、熱処理分野においても、環境問題対策への要求が高まっている。本講演では、浸窒焼入れを中心に、アンモニアガスや窒素ガスを活用した表面熱処理技術の概要と、これら熱処理の展望(と期待)について考察する。

・10:40~12:10「軸受用鋼の浸炭浸窒処理~浸炭浸窒による転がり軸受の高強度化~」水田浩平氏(NTN)…浸炭浸窒処理が施された転がり軸受は、窒素の侵入や固溶などによってその表層が改質され、さまざまな特性が付与される。本講演では、軸受用鋼に用いられる浸炭浸窒処理方法を概説し、浸炭浸窒処理が施された転がり軸受の性能例を紹介する。

・13:10~14:40「窒化雰囲気制御とセンサ技術~窒化ポテンシャル・浸炭ポテンシャル同時独立制御の実際~」河田一喜氏(河田技術士事務所)…本講演では、ガス窒化、ガス軟窒化、浸窒焼入れ、ガス浸炭窒化処理の雰囲気制御について紹介する。特に、水素センサ、酸素センサ、赤外線NH3センサを使って窒化ポテンシャル(KN),浸炭ポテンシャル(KC)を制御することで、目的とする相組成の化合物層や狙った炭素・窒素濃度のマルテンサイトの形成を可能にする雰囲気制御技術について紹介する。

・14:50~16:00「プラズマ窒化を利用した複合表面改質処理~複合表面改質処理による性能向上の適用例~」池永 薫氏(日本電子工業)…プラズマ窒化は1932年にドイツで発明され、1973年に日本で実用化されるようになった。近年、プラズマ窒化は窒素および水素ガスを用いた安全かつ作業環境に配慮したプロセスとして注目されている。本講演では、プラズマ窒化の概説から本法を利用したセラミックコーティング等との複合表面改質の応用および事例について紹介する。

kat 2024年6月26日 (水曜日)
kat

日本熱処理技術協会、9 月26 日、27 日にサーモ・スタディ2024(岡山)を開催

1ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、9 月26 日、27 日にサーモ・スタディ2024(岡山)を開催

 日本熱処理技術協会は岡山県工業技術センターと共同で9 月26 日、27 日の両日、岡山県岡山市のテクノサポート岡山 研修棟 大会議室で「熱処理テクニックの基礎と新しい熱処理技術」をテーマとする「サーモ・スタディ2024(岡山)」を以下のとおり開催する。

 申込締切は9 月21 日(または約80名の定員に達した場合)で、以下のURLまたはQR コードから申し込みができる。聴講料は16500円(消費税込み)。

https://forms.office.com/r/R9z2Zr35Wn

 
9月26日

・9:30~ 9:40「開会の挨拶」西 勝志氏(岡山県工業技術センター 所長)

・9:40~10:35「窒化処理と設備の技術動向」武本慎一氏(DOWAサーモテック)…窒化処理はカーボンニュートラルに貢献できる表面処理方法として近年改めて注目が高まっている。本講演では窒化処理の基礎的事項も含めて窒化技術を概説したのち、新しい技術動向についても実例を交えて紹介する。

・10:40~11:35「窒素による鋼の新表面硬化法」大西拓也氏(日本テクノ)…古くて新しいテーマである窒素による鋼の表面硬化技術は,「低ひずみ」、「低温処理」、「高硬度」、「焼もどし軟化抵抗性」等の要望に応える有望技術である。本講演では、窒素による鋼の新表面硬化法の一端をまとめ紹介する。

・12:25~13:20「プラズマ窒化を利用する複合表面硬化処理」大沼一平氏(日本電子工業)…プラズマ窒化は窒素および水素ガスを用いた環境負荷の小さい熱処理プロセスとして近年注目されている。本講演では、プラズマ窒化の概説から本法を利用したセラミックコーティング等との複合表面改質の応用事例について紹介する。

・13:25~14:20「真空浸炭設備とその付帯設備」中本一朗氏(IHI機械システム)…表面硬化処理法として浸炭は広く適用されている。近年、省エネルギーやカーボンニュートラルの観点からアセチレン真空浸炭が注目されている。本講演では、アセチレン真空浸炭の導入時に注意すべき特長や真空浸炭処理ラインの構築に必要な付帯設備について紹介する。

・14:30~15:25「環境にも現場にもやさしい真空浸炭炉」田村和之氏(大同特殊鋼)…ギヤやシャフトなど、形状が複雑で高強度が必要な鋼材部品の表面硬化処理として、浸炭処理・浸窒処理が広く一般的に用いられている。本講演では、同社がラインアップする真空浸炭炉モジュールサーモおよびシンクロサーモの特徴と、その導入効果について紹介する。

・15:30~16:25「浸炭設備の高性能化と多様化」吉井聡一氏(中外炉工業)…本講演では、ガス浸炭について、浸炭のメカニズム、雰囲気の制御方法や設備の種類について説明する。併せて、省エネルギーや焼入れひずみ低減に向けた設備の高性能化への取り組みや、水素バーナ、アンモニアバーナをはじめとした脱炭素化に向けた取り組みについても説明する。

・16:45~18:45「技術交流会(懇親会/ 花水木、希望者・会費別途4400円(消費税込み))」

 

9 月27 日

・9:10~10:05「高機能表面改質装置とプロセス」木立 徹氏(オリエンタルエンヂニアリング)…各種熱処理において雰囲気管理は非常に重要な因子の一つである。本講演では、ガス浸炭やガス窒化、さらには真空浸炭における各種センサによる雰囲気の見える化と、それらを用いた制御方法について説明する。

・10:10~11:05「水溶性焼入液の適用と液管理」柳原欣尚氏(ナガセケムスペック)…本講演では、水溶性焼入液とは何か、代表的なポリマーであるポリアルキレングリコールを用いた際の水や鉱物油等との違いを長所、短所を踏まえて説明する。また、使用する際の水溶性焼入液の管理方法などの注意ポイントについて化学的観点からの解説を実施する。

・11:55~12:50「特徴ある熱処理油剤について」橋本誠二氏(日本グリース)…最近の熱処理油剤への要求として本来の目的である一次性能の冷却性能だけでなく、各種法規制や環境対応等を考慮した二次性能を有する熱処理油剤のニーズがある。本講演では、ニーズに対応するために開発された特徴ある熱処理油剤の一部について紹介する。

・12:55~13:50「金属表層の硬さ試験」山本正之氏(山本科学工具研究社)…硬さ試験は、その適用範囲の広さ、簡便さなどから金属熱処理、表面処理の評価や品質管理に広く利用されている。本講演では、表面層の硬さ試験に特に有用なビッカース硬さを中心に、硬さ試験の基礎、硬さ基準片による試験機の管理について解説する。

・14:00~14:55「岡山県工業技術センターにおける熱処理研究への取り組み」築山訓明氏(岡山県工業技術センター)…カーボンニュートラルやSDGsなど、熱処理分野においても環境問題対策への要求が高まっている。本講演では、浸窒焼入れを中心に、同センターの熱処理技術関連の取り組みについて紹介する。

・15:00~15:05「閉会の挨拶」日本熱処理技術協会 教育委員

・15:15~16:15「工業技術センター見学会(希望者・先着20 名)」…工業技術センター見学会では岡山県工業技術センターの熱処理技術に関わる浸窒装置・電気炉・分析・検査装置等を見学する。

kat 2024年6月26日 (水曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック主催講演会「DLCコーティングの特長と産業応用」

1ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック主催講演会「DLCコーティングの特長と産業応用」

 当社編集部は9月27日、東京都八重洲で講演会「DLCコーティングの特長と産業応用」を開催します。

 本講演会では、耐摩耗性(高硬度、耐傷つき性)、低摩擦係数、赤外線透過性、デザイン性、生体親和性…など、母材表面にさまざまな機能を付与できるダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングの特長と、各種特長を活用した自動車、切削工具、腕時計での産業応用について、第一線でご活躍の講師の方々にご講演をいただきます。

主催:株式会社メカニカル・テック社 『メカニカル・サーフェス・テック』編集部
開催日時:2024年9月27日(金)
講演会:13時30分~17時(開場:13時)
交流会:17時~18時30分
会場:TKP東京カンファレンスセンター8階 ホール8E(東京都中央区八重洲1丁目8-16)
参加費用:37,600円(税込み、資料代、交流会参加費含む)

プログラム(予定) ※各講演後に10分間の質疑応答を予定しております
・13:30~14:10 「自動車におけるDLCコーティングの適用」 日産自動車株式会社 平山 勇人氏
・14:20~14:35 DLC関連の計測評価メーカーによるショートプレゼン①
・14:40~15:20 「切削工具におけるDLCコーティングの適用」 三菱マテリアル株式会社 冨永 哲光 氏
・15:30~15:45 DLC関連の計測評価メーカーによるショートプレゼン②
・16:10~16:50 「腕時計におけるDLCコーティングの適用と受託加工への展開」 シチズン時計株式会社 吉田 陸人 氏
・17:00~18:30 交流会
【お申し込み方法】
以下の受付フォームよりお申し込みください。

お申込みはこちらよりお願いいたします(googleフォーム)。 

問い合わせ先
株式会社メカニカル・テック社 TEL:03-5829-6597 E-Mail:info@mechanical-tech.jp

admin 2024年6月25日 (火曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2024年6月号 特集「表面改質最前線」キーテク特集「熱処理②」6月25日発行!

1ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2024年6月号 特集「表面改質最前線」キーテク特集「熱処理②」6月25日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2024年6月号 特集「表面改質最前線」キーテク特集「熱処理②」が当社より6月25日に発行される。

 今回の特集「表面改質最前線」では、PPS樹脂とMID工法の融合により実現した技術の各部材への適用状況について、環境負荷低減と生産性向上を同時に実現する最新の機能性めっきの技術動向について、自動車のエンブレムにレーダー波を通過させる目的で行われる表面処理について、カーボンニュートラルに貢献する急冷焼入油の開発と適用状況について紹介する。

 また、キーテク特集「熱処理②」においては、ガス窒化・軟窒化の雰囲気制御システムと代表的な適用事例について、環境対応塩浴軟窒化プロセスの特徴と適用事例について紹介する。

特集:表面改質最前線

◇PPS樹脂とMID技術の融合などモーションコンポーネントの開発と適用・・・DIC 森 耕太郎 氏に聞く

◇環境負荷低減と生産性向上に寄与する機能性めっきの最新技術動向・・・マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン 鬼頭 綱道 氏に聞く

◇自動車用樹脂材料の電子的目的のための表面処理技術・・・キーコム 鈴木 洋介

◇カーボンニュートラルに貢献する急冷焼入油の開発と適用・・・出光興産 山本 徹朗

キーテク特集:熱処理②

◇ガス窒化・軟窒化雰囲気制御システムとその適用事例について・・・パーカー熱処理工業 平岡 泰

◇環境対応塩浴軟窒化プロセスの特徴と適用事例・・・HEF DURFERRIT JAPAN ジュリアン グリモ 氏に聞く

連載

現場に行こう!・・・東研サーモテック イノベーション事業部

注目技術:第76回 「トライボロジー会議 2024 春 東京」に見る表面改質研究・・・日本トライボロジー学会会員各社

酒飲み世界紀行:第3回 スロヴァキアのリキュール編・・・横浜国立大学 梅澤 修

トピックス

日本熱処理技術協会 中部支部、第3回熱処理技術コンテスト結果を発表

FPS、第17回岩木賞の業績募集を開始、締め切りは9月30日

HEF DURFERRIT JAPAN、水素関連ソリューション向けにPVDコーティング技術を披露

雑誌ご購入

定期購読はこちらから

単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin 2024年6月24日 (月曜日)
admin

三洋貿易、実践講座「トライボロジーの基礎」を開催、7月5日、7月26日の会場・オンライン参加を継続募集

1ヶ月 1週 ago
三洋貿易、実践講座「トライボロジーの基礎」を開催、7月5日、7月26日の会場・オンライン参加を継続募集

 三洋貿易は6月7日、東京理科大学 佐々木信也教授を講師に4回シリーズで開講される実践講座「トライボロジーの基礎」の第1回を開催した。

 いずれも佐々木教授による座学と実演・実習が行われる。第1回目となる今回は「摩擦・摩耗のメカニズム」をテーマに、実学としてトライボロジーを見た場合の制御対象となる課題が①摩擦の制御、②摩耗の制御、③エミッションの制御に大別されることを解説。摩擦のメカニズムについては摩擦表面と真実接触、ストライベック線図、摩擦の潤滑形態について解説した。また、摩耗メカニズムについては①凝着摩耗、②アブレシブ摩耗、③腐食摩耗、④疲れ摩耗の四つにシンプルに分類することで対策が取りやすいとした。摩擦摩耗試験にいついては、その分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ)、形態と関連工業標準、今後のDXのための要件としては質の良いデータを多くとることがあり、データの汎用性と信頼性、天のデータから面・空間へ、感性価値の定量化など求められるトライボロジー特性に関する評価・分析装置を使うことが重要、と総括した。

佐々木教授による座学のようす

 

 座学に続いて、三洋貿易の取り扱い製品としてRtec-Instruments製を中心とした摩擦摩耗試験機の性能・特長について紹介、その後、Rtec-Instruments製多機能摩擦摩耗試験機「MFT-5000」を用いたボールオンディスク試験(回転と往復動)の実演・実習が行われた。

多機能摩擦摩耗試験機「MFT-5000」を用いた実習・実演のようす

 

 次回は6月14日で座学は「摩擦材料とその評価方法」で、実演・実習は四球試験とスラストシリンダーオンディスク試験、7月5日の座学は潤滑剤とその評価方法で、実演・実習はリングオンブロック試験とトラクション試験、7月26日の座学は表面改質とその評価方法で、実演・実習はスクラッチ試験とインデンテーション試験、表面形状・粗さ計測。

 三洋貿易では、7月5日と26日の実践講座について、会場参加についても若干の枠があるとして追加募集を行っている。会場参加が難しい場合は、オンラインでの視聴が可能。参加申し込みは、こちらまで。

kat 2024年6月19日 (水曜日)
kat

日本熱処理技術協会 中部支部、第3回熱処理技術コンテストの結果を発表

1ヶ月 1週 ago
日本熱処理技術協会 中部支部、第3回熱処理技術コンテストの結果を発表

 日本熱処理技術協会 中部支部は4月24日、愛知県刈谷市の愛知県技術開発交流センターでの対面参加とオンライン参加によるハイブリッド形式で、「第 14 回中部支部講演大会・第 3 回熱処理コンテスト―結果発表会―」を開催した。

会場のようす

 

 熱処理コンテストは、中部支部が企画したイノベーション活動で、支給された試験片に対して課された要求特性を満たすために、各参加チームが知恵と工夫を凝らして熱処理を施し、優れた要求特性を発現した上位チームに賞を授与するもの。今回で3回目となる。

 この企画は、鋼の熱処理技術を良い意味で楽しみながら、熱処理によって得られるさまざまな強度を比較、競争することで、①熱処理技術に関する学び、②失敗の共有によるイノベーション促進、③熱処理技術者の人材交流活性化につなげることを目的としている。

 毎回、競技内容と規定が変更になるが、今回の課題は以下のとおり。

 各1チームにつき、SS400生材の硬さ試験片を3個支給、それら試験片について、ロックウェル硬さ(HRC、試験荷重150kg、1点(上位5チームについては追加測定し3点平均)のビッカース硬さ換算値①と、ビッカース硬さ(HV、試験荷重300g、3点平均)で測定した硬さ②の値の合計が最も大きくなるよう熱処理等を実施し、試験片1個を事務局に提出。事務局にて硬さ試験を実施し、①のビッカース硬さ換算値と、②の値の合計で順位を競う。

 ルールなどは以下のとおり。
・熱コンのロゴの刻印がある支給した試験片のみ使用可とする
・熱処理等は自由とする
・試験片の厚さの寸法変化が±0.1mmの範囲内であれば、ショットブラスト、表面硬化処理、コーティング、平面研磨も可とするが、全周面取りの状態を維持すること
・熱コンのロゴの刻印が処理後も判別できるようにすること
 今回の第3回熱処理コンテストでは全31チームが参加、31チームの試験片は測定する表面の熱コンのロゴは全チーム残存、裏面の熱コンロゴも全チーム残存でチーム名の記載もあり、不合格者はなかった。

全31チームの試験片

 

 全31チームの試験片の硬さ試験を実施した結果、硬さの総合順位で優勝には3522HV(3117HV+41.2HRC)の硬さを実現したアイコクアルファの「楽ラク熱処理チーム」が、準優勝には3212HV(2434HV+63.1HRC)の硬さを実現したDOWAサーモテックとDOWAサーモエンジニアリングの「DOWAサーモテックチーム」が輝いた。また、硬さの総合順位では2145HV(1130HV+70HRC)と10位だったものの、ロックウェル硬さで1位、被膜・コーティングなしで1位、学生・企業合同チームで好成績を収めたという理由から、特別賞として鈴鹿工業高等専門学校とトヨタ自動車の「鈴鹿高専×トヨタ自動車チーム」が選ばれた。受賞チームの詳細は以下のとおり。

優勝:「楽ラク熱処理チーム」(アイコクアルファ)

・硬さ:3522HV(3117HV+41.2HRC)

・処理方法:①950℃浸炭焼入れ(油冷)、②800℃浸炭窒化焼入れ(油冷)、③N+Sコーティング

・受賞コメント:「熱処理コンテストへの参加は今回で3回目となり、初めて優勝でき、うれしく思う。今回のコンテストでは「硬さ」を競うこととなり、表面強化の手段として浸炭焼入れなどの熱処理に加え、物理蒸着(PVD)コーティングも有効だろうと考えた。当社は冷間鍛造を強みとしてCVJ内輪やAT用サンギヤを一貫生産しており、金型や工具のコーティング処理で培った技術を生かすことができるのではないかと話し合いを行った。サンプル作成まで数パターンのPVD膜種を試す一方、PVD処理の温度設定により素材が軟化されてしまうことが分かったため、炭化物析出や窒素固溶等で素材の改善を狙い試行錯誤を重ねた結果、ビッカース硬さで勝負すると腹を決め、最終的には浸炭窒化後にPVD処理を施したサンプルを提出した。熱処理コンテストでは、量産で扱わない材料に触れ、さまざまな処理にチャレンジできる学びの機会であり、次回も優勝を目指し、強い意志をもって諦めずに技術を磨いていきたいと思う」。
 

「楽ラク熱処理チーム」(アイコクアルファ)の授賞式のようす

 

準優勝:「DOWAサーモテックチーム」(DOWAサーモテック+DOWAサーモエンジニアリング)

・硬さ:3212HV(2434HV+63.1HRC)

・処理方法:①945~930℃浸炭焼入れ(130℃油冷)、②1000℃浸炭(炉冷)、③1085℃TD処理、④500℃ PVD処理、⑤820℃焼入れ(60℃油冷)

・受賞コメント:「TDプロセス・PVDコーティングといった表面処理は最低でも400℃程度まで温度を上げる必要があるが、この温度上昇による内部硬さの低下を避けるため、通常は表面処理前に行う焼入れを全表面処理後に実施し高いロックウェル硬さを実現。また、通常10μm程度の厚さを鋼材中の炭素量の調整で20μm程度まで厚くできたことで、300gのビッカース硬さ試験荷重でも硬質層の硬さのみが反映され高いビッカース硬さを実現できた。SS400は合金元素をほとんど含まないため焼入れによる硬化にはある一定以上の炭素が必要な一方、TDプロセスは鋼材中の炭素を消費し硬質層を成長させるため最終工程の焼入れ時の炭素量不足が懸念された。炭素量不足にも対応できる水焼入れを予定し実際に実施したところ激しい体積変化のため硬質層にクラックが発生、硬質層の硬さが低下する結果になった。これを受け、浸炭処理条件を変更しTDプロセス後でも十分な炭素が鋼材中に残存するよう調整、クラック発生を抑制できる油焼入れの採用を可能とし、両硬さの両立に成功した。一つ一つのプロセスは既存のものでも、それらの組み合わせでこれまでなかった物性を実現できるという、熱処理/表面処理の奥深さを実感できた。今後も未知の領域へのチャレンジを重ね、新たな領域を切り拓いていきたい」。
 

「DOWAサーモテックチーム」(DOWAサーモテック+DOWAサーモエンジニアリング)の授賞式のようす

 

特別賞「鈴鹿高専×トヨタ自動車チーム」(鈴鹿工業高等専門学校+トヨタ自動車)

・処理方法:1300℃焼きなまし、②970℃真空浸炭焼入焼戻し(油冷)、③-195℃サブゼロ、④ショットピーニング(2段)

・受賞コメント:「我々が重視したのは‟学生・企業の両者が持つ強みを生かす”という点。学生側は専門教育による学術的知識、企業側は量産現場で培われた業務遂行能力と熱処理の知見といった両者の強みを理解し、対等な立場で議論することでお互いに新たな視点で考察することができた。また熱コンを‟各々が学んできた知識を生かす場”として捉え、愚直にトライ&エラーを積み重ねたことで、焼入硬さという結果だけでなく熱処理への理解を深めることにもつながった。教科書や量産現場では見たことのない題材にチーム一丸となって取り組んだことで、熱処理技術を教科書から学ぶだけの「知識」ではなく、実践することのできる「知恵」として身に付けられたと実感している。実際の活動では短期開発で、かつ離れた拠点間の協業というハードルに対して、日程・検証項目・TPの状態をスプレッドシートで一元管理し、抜け漏れや手戻り無く検証を進めることができた」。
 
 

「鈴鹿高専×トヨタ自動車チーム」(鈴鹿工業高等専門学校+トヨタ自動車)の授賞式のようす

 

kat 2024年6月18日 (火曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和6年度第1回研究会・総会を開催、大森 整会長(理化学研究所)が再任

1ヶ月 1週 ago
トライボコーティング技術研究会、令和6年度第1回研究会・総会を開催、大森 整会長(理化学研究所)が再任

 トライボコーティング技術研究会は6月2日、埼玉県和光市の理化学研究所で「令和6年度第1回研究会(第151回研究会)・総会」をリアルおよびオンラインによるハイブリッド形式で開催した。

研究会・総会のようす


 当日は、大森 整会長(理化学研究所)の開会挨拶に続いて総会が開催され、令和5年度活動報告・会計報告がなされた後、令和6年度活動計画が報告され可決・承認された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)がそれぞれ再任された。

再任された大森会長


 総会後は、以下のとおり2件の講演がなされた。

・「―フェムトを計る―半導体デバイスの高精度質量ガス分析法について」車載デバイスを含め半導体デバイスでは、封止されたデバイスを破壊し検出されたガスの質量分析を行う必要がある。3D積層化している半導体デバイスや接合デバイスにおいて、ウェハと各積層間からの放出ガスのプロセス管理による歩留まり改善が目的で、ガスの成分分析や、どの工程でガスが混入したかをトレースするための分析が求められている。これに対し、真空構造材として適応するために加工後、研磨工程、還元・脱ガス工程、バリア膜形成工程を行い、超低ガス放出の極・超高真空を実現できる同社独自の0.2%BeCu材によって分析室を構成、10-15Pa・m3/s (He) の極小リークを計測することが可能(産業技術総合研究所の超微小リーク校正ユニットによって検証済み)な「破壊分析型超高感度ガス分析装置」を開発していることを報告した。

講演する黒岩氏


「歯科用Y-TZP表面へのナノ秒パルスレーザ/熱処理複合改質手法の提案~難削セラミックスへの加工展開~」原井智広氏(新東工業)…歯科インプラントへの応用を目的に、ナノ秒パルスレーザ・熱処理の複合改質したジルコニア表面の特性を調査した。材料学的知見としては、ジルコニアへのナノ秒パルスレーザ改質は表面の変色、還元、低温劣化の促進をもたらし、また、ナノ秒パルスレーザ改質後の変質は、追加熱処理により改善できる。生物学的知見としては、ナノ秒パルスレーザ改質による微細形状は細胞挙動に良好であり、また、追加熱処理はジルコニア表面の化学特性を改修し,生体適合性を向上させるとして、ナノ秒パルスレーザ+熱処理の複合改質のジルコニアインプラントへの有効性を示した。

講演する原井氏


 

kat 2024年6月16日 (日曜日)
kat

自動車技術会、第74回自動車技術会賞授賞式を開催、DLC関連技術で日産自動車・平山氏らが受賞

2ヶ月 ago
自動車技術会、第74回自動車技術会賞授賞式を開催、DLC関連技術で日産自動車・平山氏らが受賞

 自動車技術会(JSAE、会長:大津啓司氏(本田技研工業))は横浜市のパシフィコ横浜で、「2024年春季大会」会期中の5月23日に「第74 回自動車技術会賞」授賞式を開催した。

 自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的として設けられ、自動車技術における多大な貢献・功績に対し贈呈されている。表面改質関連では今回、以下のとおり表彰がなされた。

技術開発賞
「高EGR内燃機関用高耐食低摩耗ピストンシールシステムの開発」 平山勇人氏・金子格三氏・高木裕介氏・田井中直也氏(日産自動車株式会社)、篠原章郎氏(リケン(現リケンNPR))

 カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減のためエンジン燃費改善は最重要課題。EGR率向上による排気凝縮水の増加や硫黄含有燃料により、ボア腐食環境が厳しくなっている。これらの背景から、耐食性を向上したステンレス溶射ボアを開発しが、溶射膜の表面気孔増加によるオイル消費の助長、しゅう動相手材のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜したピストンリングのアブレシブ摩耗が課題だった。

 本開発では、溶射膜組織の硬質相を低減し、表面気孔が少ないオイル消費抑制表面を形成できることを見いだした。また、DLC膜の硬度を下げることで脱落したドロップレット形状に倣って変形することにより、高耐摩耗性を実現した。ステンレス溶射ボアと低硬度DLCピストンリングの組み合わせでEGR率20%を成立し、燃費を4%向上させた。本開発での知見は、EGR率30%以上の実現、腐食環境が厳しいバイオ燃料等のカーボンニュートラル燃料の拡大に適用可能な成果であることが高く評価された。

左から、篠原氏、田井中氏、大津JSAE会長、平山氏、金子氏、高木氏 kat 2024年5月24日 (金曜日)
kat

FPS、第17回岩木賞の業績募集を開始、締め切りは9月30日、表彰費用の賛助も募集

2ヶ月 ago
FPS、第17回岩木賞の業績募集を開始、締め切りは9月30日、表彰費用の賛助も募集

 未来生産システム学協会(FPS)は、「第17回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の業績募集を開始した。締め切りは本年9月30日。

 岩木賞はトライボコーティング技術研究会が提唱し、NPO法人である精密科学技術ネットワーク(PEN)が2008年度から創設し表彰していたが、2011年度からは一般社団法人であるFPSが継承し表彰している。

 岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。募集対象は表面加工、表面改質、表面分析、トライボロジー、コーティングに関わる研究・開発・技術・支援・交流・事業化などで著しい成果、業績(製品、サービス、学会発表や特許申請/登録されたものを含む)を上げた個人、法人、団体で、表彰対象は受賞業績が公表できること、FPSに参加できること、と定めている。

 本年度は大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞を中心に募集を行うが、国際賞、事業賞、功績賞の申請も受け付ける。国際賞以外は、原則として日本国内に居住地、研究室や本社、本部、主力工場などの活動拠点を有する個人、法人、もしくは団体が対象。国際賞は、海外に居住地などの主たる活動拠点を有する個人、法人、団体が対象となる。

 各賞の審査基準は以下のとおり。

【大賞】
・開発技術が世界的に高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、経済的・社会的貢献が認められるもの。

【優秀賞】
・開発技術が日本国内において高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、社会的貢献が認められるもの。

【特別賞】
・開発技術が当該業界において高い水準にあり、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されているか、実用化の途上にあり、社会的貢献が認められるもの。

【奨励賞】
・開発技術が当該業界において優れており、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化の途上にあり、実用化の努力が認められるもの。

【事業賞】
・事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の知名度を上げる、インフラの構築を行う、社会生活に恩恵をもたらすなどの効果を通して、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。

【国際賞】
・開発技術または事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の我が国との関係において協力、連携、協調関係を育み、または当該業界の知名度を上げ、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。

【功績賞】
・大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞の評価尺度と、事業賞、国際賞の評価尺度のいずれの面でも極めて顕著な業績が認められるもの。

 岩木賞受賞業績については、2025年2月に開催予定のシンポジウム「トライボコーティングの現状と将来」で、表彰および受賞業績の記念講演がなされる。岩木賞に関する問い合わせ、申請様式の請求は、FPS表彰顕彰部門岩木賞表彰事業部内 事務局まで(E-mail:award@e-shg.net)。 

 トライボコーティング技術研究会ではまた、岩木賞表彰費用の賛助を呼びかけている。問い合わせ・申し込みは、岩木賞表彰事務局まで(award@tribocoati.st)。

 なお、岩木賞のこれまでの受賞業績は以下のとおり。

 

kat 2024年5月22日 (水曜日)
kat

NTN、自動車駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術を開発

2ヶ月 ago
NTN、自動車駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術を開発

 NTNは、新たな特殊熱処理技術「HA-C」を開発、本技術により軸受の業界最高水準の高負荷容量化を実現したことで、従来よりも小型・軽量な軸受への置き換えを可能としている。本技術はまた、従来の熱処理技術では困難であった高温寸法安定性、耐異物性、耐摩耗性も高水準で両立、電気自動車(EV)用e-Axleをはじめとする自動車向け駆動装置の小型・軽量化と省エネルギー化に貢献する。

 同社ではEV用e-Axle減速機向けやHEV用減速機向けなどにHA-C適用軸受の提案を進め、2030年度に10億円/年の販売を目指す。

特殊熱処理技術「HA-C」の適用により軸受の小型・軽量化を実現
深溝玉軸受6306(大)に適用した場合、深溝玉軸受6206 (小)への置き換えが可能

 

 環境負荷低減を背景にEVやハイブリッド車(HEV)は、航続距離の延長が求められており、e-Axleや減速機などの駆動装置の小型・高速回転化や潤滑油の希薄化による省電費・燃費化が進んでいる。そのため、高負荷容量化と低フリクション化を同時に実現する玉軸受が求められている。また、高速回転環境下では発熱や摩耗が増えるため、その転がり軸受には経年寸法変化率の低減や摩耗の抑制が求められる。

 同社が今回開発した特殊熱処理技術HA-Cは、設計面での軸受形状の変更は必要なく、一般的な鋼材に特殊な熱処理技術を適用することにより、業界最高水準の高負荷容量化を実現する。本技術は材料に硬く微細な析出物を多数分散させるなどの手法により、非常に高い表面硬さと高負荷容量化を実現。本技術を適用した転がり軸受は、自動車向け駆動装置などの過酷な使用環境に対応できる。

 同社標準軸受と比較した、開発技術の特長は以下のとおり。

・高負荷容量:静的負荷容量が2倍、重荷重条件における転動疲労寿命が7倍以上に向上。高負荷容量化により、小型・軽量な転がり軸受への置き換えが可能(置き換え例:軸受外径・幅ともに約13%小型化、約45%軽量化)

・耐異物性:転がり軸受が異物を嚙みこんだ際に生じる圧痕周縁の盛り上がり量を1/2に低減し、異物混入潤滑下における転動疲労寿命が3倍に向上

・高温寸法安定性:環境温度150℃での経年寸法変化率が1/2以下に抑制

・耐摩耗性:摩耗量が1/300以下に低減

圧痕形成性(静的負荷容量)試験結果
3/8インチ窒化ケイ素球で付与した圧痕形状
(最大接触面圧:5.5GPa、左:HA-C適用品、右:標準品)

 

kat 2024年5月20日 (月曜日)
kat

三洋貿易、6/7、6/14、7/5、7/26、トライボロジー試験評価法をテーマに講座を開催

2ヶ月 1週 ago
三洋貿易、6/7、6/14、7/5、7/26、トライボロジー試験評価法をテーマに講座を開催

 三洋貿易は、東京理科大学の佐々木信也教授を講師に、トライボロジーに関わる試験評価法をテーマに、基礎から応用まで現場で役立つ実践講座「トライボロジーの基礎」を6月7日、6月14日、7月5日、7月26日の4日程でハイブリッド開催する。

 リアル参加の会場は東京理科大学 葛飾キャンパス4F 第3会議室(JR常磐線金町駅より徒歩10分)。参加は無料で、会場での定員は各回20名。参加申し込みは、こちらまで。

 実機を用いたサンプル測定やデータの解析および解釈、そしてメカニズム解明のための機器分析の利用方法などについて、現場で役立つ実践的な講座を上記日程の4回シリーズで開催する。具体的には、毎回座学(90分)と実演・実習(90分)を行う。

 座学はオンラインでの聴講も可能。実演・実習では、最新の各種摩擦試験装置、表面形状機器、インデンター・スクラッチ試験機を使用する。また各回とも、個別技術相談にも対応する。

 プログラムは以下のとおり。

6月7日

 

6月14日

 

7月5日

 

7月26日

kat 2024年5月15日 (水曜日)
kat

堀場製作所、ラマン実践講座を6/5に開催

2ヶ月 2週 ago
堀場製作所、ラマン実践講座を6/5に開催

 堀場製作所は6月5日、京都市南区の堀場テクノサービス 京都本社 テクノプラザおよびオンラインにて「ラマン実践講座:Raman School」を開催する。今年は関西学院大学 名誉教授・フェローの尾崎幸洋氏に加え、大阪大学大学院 教授の藤田克昌氏を迎えて、基礎から分析に必要なテクニック、さらには最先端のアプリケーション事例をご紹介するプログラムを用意している。また、産業技術総合研究所の伊藤信靖氏はラマン分光技術にまつわる標準化について解説する。

日  程:2024年6月5日(水)10:00~17:45(オンラインは、14:50 まで)
費  用:無料
開催形式:「会場受講」または、「オンライン受講」
「会場受講」
株式会社堀場テクノサービス 京都本社 6F テクノプラザ 
「オンライン受講」
Zoom Webinarを使用。ブラウザでの視聴の場合、ブラウザのバージョンは最新版を利用。
開催時間の約10分前より入室が可能。
定  員:会場受講:50名、オンライン受講:500 名

 詳細はこちらから。

招待講演「ラマン分光最前線(基礎原理と最近の進歩について)」 講師:関西学院大学 生命環境学部 名誉教授・フェロー 尾崎 幸洋 氏

 本講演は2部構成からなる。第一部はラマン分光法の基礎に関するものである。ラマン分光法の原理、実験法について初心者にもわかるように概説する。第二部では最近のラマン分光法の発展に関するもので、新しい装置、解析法の紹介とともにそれらの応用について説明する。特にナノラマン、表面増強ラマン、ラマンイメージング、低波数ラマン等に重点を置く。

招待講演「ラマン顕微鏡の原理と細胞イメージングへの応用」 講師:大阪大学 大学院工学研究科 物理学系専攻 教授  藤田 克昌 氏

 近年の光学素子、光学デバイスの進展は、微弱で使い難いというラマン散乱の常識を変え、材料科学から創薬、診断などへの応用が広がっている。本講演では、ラマン散乱を利用して試料中の物質を認識し、物質分布や試料分布や構造を画像化するラマン散乱顕微鏡の原理を紹介する。また、ラマン散乱顕微鏡を利用した細胞イメージングへの応用、特に細胞の無標識イメージング、細胞の薬剤応答、細胞種/細胞状態、および、小分子の可視化について紹介する。

招待講演「ラマン分光装置にまつわる標準化の動向」 講師:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門
有機基準物質研究グループ/有機組成標準研究グループ(兼務) 伊藤 信靖 氏

 今日では、用途に応じた様々な性能のラマン分光装置が使われており、装置や測定者によって評価結果が異なることも少なくない。このような状況を改善するため、ラマン分光装置を用いた評価方法等の標準化が進められている。本講演では、ラマン分光装置にまつわる国際的な標準化の動向について紹介する。

HORIBA講演「あなたの実験を加速させるラマン分光装置の最新機能」 株式会社堀場テクノサービス 分析技術本部 分析技術部 分光分析チーム 溝道 桂介 氏

  顕微ラマン分光装置の用途は急速に拡大し、様々な分野への応用が期待されている。それに伴って測定目的に特化した測定・解析が必要になっているが、多くの労力を要する場合も多い。このような複雑化するラマン分光分析に対するソリューションとして、画像認識・座標共有・自動測定・自動解析などの多くの機能が開発されている。本公演ではこのような最新のソフトウェア・ハードウェア機能について紹介する。

admin 2024年5月9日 (木曜日)
admin
Checked
25 分 21 秒 ago
mst配信ニュース 表面改質の情報サイト フィード を購読