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NTN、風力発電装置主軸用など超大形軸受の生産を再編

1ヶ月 1週 ago
NTN、風力発電装置主軸用など超大形軸受の生産を再編kat 2025年09日10日(水) in in

 NTNは、事業構造改革の一環として、国内における超大形軸受の生産体制を再編し、NTN宝達志水製作所(石川県羽咋郡)の生産機能を、桑名製作所(三重県桑名市)に集約することを決定した。

 同社は、2024 年度にスタートした中期経営計画「DRIVE NTN 100」Final において、持続的な事業の成長と収益性の向上を目的とした事業構造の変革に取り組んおり、設計や材料の見直しなどサプライチェーンの再構築などの諸施策に取り組むほか、事業環境の変化に柔軟に対応できる生産体制の最適化を目的に、国内外の各地域で生産拠点の再編を進めている。

 同社はこれまで、桑名製作所およびNTN宝達志水製作所において風力発電装置主軸用などに超大形軸受を生産し供給してきたが、中国風力発電機メーカーのシェア拡大や中国政府による軸受の自国調達方針などで中国向けの需要がなくなり、こうした事業環境の変化に柔軟に対応するとともに、効率的な生産を通じて競争優位性を維持・向上するため、超大形軸受の生産体制を再編し、桑名製作所に集約することを決定したもの。

 NTN宝達志水製作所の生産機能は桑名製作所に段階的に移管し、今後は桑名製作所でグローバル市場の需要に対応していく。

 NTN宝達志水製作所は、生産移管の完了に伴い2026年春頃をめどに閉鎖する予定。

 同社では、本再編により年間数億円規模の比例費および固定費削減効果を見込んでいる。

 同社は、「今後も日本をはじめ欧州や米州など各地域において生産体制の最適化に取り組み、資産効率の向上を図るとともに、品質・コスト・納期の面でさらなる競争力を高め、企業価値の向上に取り組んでいく」とコメントしている。

桑名製作所

 

kat

NTN、プロモーション動画の新作「チャレンジするクマ(Bear)!BMX 編」をYouTube で公開

1ヶ月 1週 ago
NTN、プロモーション動画の新作「チャレンジするクマ(Bear)!BMX 編」をYouTube で公開kat 2025年09日10日(水) in

 NTNは、 学生をはじめとする多くの人々に広く同社を周知させるプロモーション動画シリーズの新作「チャレンジするクマ(Bear)!BMX 編」(15 秒/30 秒)を制作し、YouTube に公開した。

 2024年に公開した「チャレンジするクマ(Bear)!ブレイキン編」に続き、今作でも風変わりなクマ(Bear)が登場する。

 今回チャレンジするのは、小型自転車を使ってスピードやトリック(技)を競うアーバンスポーツBMX。世界トップクラスのシェアを誇るNTNのベアリングのなめらかな回転を、力強く安定した高速スピンのトリックで表現する。

 同社のYouTube チャンネルにて閲覧できる。

【NTN YouTube チャンネル】
・「チャレンジするクマ(Bear)!BMX 編」(15 秒)
https://youtu.be/dikFXFS1pro

 

kat

東京理科大学・佐々木研究室、第34回トライボサロンを開催

1ヶ月 4週 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第34回トライボサロンを開催kat 2025年08日25日(月) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第34回目が8月23日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室のメンバーに限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。

 第34回目となる今回のトライボサロンでは、DXプラットフォームを提供するベンチャー企業SUPWAT(https://www.supwat.com/)のCEO 横山卓矢氏が、「インフォマティクス技術の活用について」と題して、話題提供を行った。

 同社は、製造業のエンジニアリングチェーン(研究開発から設計、生産技術まで)を最適化するDXプラットフォーム「WALL」を提供しているが、ここでは、機械学習・AIの導入によって、研究開発での実験・解析などの工数削減や製造での歩留まり向上に寄与できることを、製造業における各種の適用実績をまじえて紹介した。

 AIは魔法の杖ではないので、機械学習によってエンジニアリングチェーンの最適化を図るには、目的変数と説明変数の適切な設定が重要であって、適切な設定には “賢い”人間の知識や判断力が必要不可欠、と述べた。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://www.tribo-concierge.com/topics/296/

kat

イグス、学生フォーミュラ日本大会2025に協賛、21チームに高性能樹脂部品を提供

1ヶ月 4週 ago
イグス、学生フォーミュラ日本大会2025に協賛、21チームに高性能樹脂部品を提供kat 2025年08日25日(月) in in

 イグスは、本年9月8日~13日に愛知県常滑市のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催される「学生フォーミュラ日本大会2025」にスポンサーとして協賛する。同社はまた、大会会場にて企業ブースを出展する。

 学生フォーミュラ日本大会は、学生が自ら構想・設計・製作したレーシングカーで、ものづくりの総合力を競い合うイベントで、自動車技術会が主催し2003年から開催されている。

 イグスは「学生フォーミュラ日本大会2025」スポンサーとして、21大学の学生チームに対し樹脂製すべり軸受などの部品を提供することで大会を応援する。なお、同社は2017年より学生フォーミュラ日本大会で部品を提供しており、支援チームの累計は約40チームに上る。

 学生フォーミュラ日本大会2025の部品提供先チームは以下の21大学チーム。愛知工業大学、大阪大学、大阪公立大学、岡山大学、金沢大学、京都工芸繊維大学、群馬大学、工学院大学、埼玉大学、静岡大学、上智大学、名古屋大学、名古屋工業大学、新潟大学、日本大学、福井大学、北海道大学、ホンダテクニカルカレッジ関東、名城大学、立命館大学、早稲田大学。

 また、大会会場の同社ブースでは、ドイツ車をはじめとした世界の主要自動車メーカーが採用するさまざまな高機能樹脂製品を紹介する。

前回「学生フォーミュラ日本大会2024」の集合写真

 

kat

SEAJ、半導体製造装置の需要予測を公表、2026年度に5兆円超えへ

2ヶ月 1週 ago
SEAJ、半導体製造装置の需要予測を公表、2026年度に5兆円超えへkat 2025年08日12日(火) in in

 日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:河合利樹・東京エレクトロン社長)は7月3日、2025年~2027年度の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測を発表した。半導体製造装置について、2025年度の日本製装置販売高は、ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感が見られるものの、台湾ファウンドリー向け2nm (GAA)投資の本格化、HBMを中心としたDRAM投資の底堅さにより前年度比2%増の4兆8634億円と予測した。2026年度は台湾以外の地域でも2nm投資が開始され、DRAM投資も引続き伸びが期待されることから、10%増の5兆3498億円とした。2027年度もAI 関連の需要は高水準で続くため、3%増の5 兆5,103 億円と予測した。2024年度に4兆円超えを達成したが、早くも2026年度で5兆円超えを見通している。

需要予測の背景となる半導体産業の見通し

 WSTS(世界半導体市場統計)によれば、2024年の世界半導体市場は、前年比19.7%増の6305億ドルとなった。AIサーバー向けGPU市場の拡大や、2023年に下落していたメモリー価格が2024年秋にかけて大きく回復したことにより、2022年の過去最高値5741億ドルを更新した。6月に発表された市場予測では、2025年全体で11.2%増加の7009億ドル、2026年も引き続き8.5%の増加が予想されており、3年連続で最高値を更新する見込みである。

 メモリー各社の業績は、2023年Q1 (1~3月)のボトムから2024年秋頃まで連続して上昇を続けたが、その後の単価下落やHBM事業の構成比率の違いによって、業績には若干のばらつきが見られるようになった。2025年春からはDRAM、NANDフラッシュともに単価が上昇基調に転じているが、米国の関税政策に対する前倒し発注の影響もあり引き続き注視が必要である。

 台湾の先端ファウンドリーでは、いよいよ2nmの本格量産が開始され、2026年からフラッグシップのスマートフォンへの搭載が始まる見込みである。AIサーバー向けGPUとHBM の需要も旺盛であり、データセンターの消費電力抑制と演算能力の両立を図るためにも、次世代品への移行が必須となっている。現在、特定企業に需要が集中するGPUも、参入企業の増加により、選択肢が広がると予想する。

 米国関税動向の不確実性もあり、車載・パワー半導体の需要には慎重な見方が多い。この分野の本格的な回復は2026年以降となる可能性がある。

 2025 年度の半導体製造装置市場については、台湾の2nm投資、韓国のDRAM・HBM投資が増えるため、全体としては高い水準が維持される。また、2024年度に比べて中国の比重は相対的に低下すると思われる。

 2026年度は台湾以外の企業でも2nmのロジック投資が増加し、後半には日本でも2nmの量産に向けた投資が期待される。メモリーではAIサーバー向けに、好調なHBM に加えて、NANDフラッシュでも300層以上の世代や、高速化の要求を満たすためのWafer貼り合わせの投資が増える見込みである。

 2027年度にはAIサーバーの需要に加えて、スマホ・PCの分野でもオンデバイス(エッジ)AI搭載製品が世界市場の半数近くを占めると見られる。AI向け半導体の需要拡大と、高性能化や低消費電力化、大容量化に向けて、GAA構造の更なる進化、BSPDN (Back Side Power Delivery Network)の採用、高積層メモリー、などの技術進化に伴う先端投資が期待できる。

 世界半導体市場は2024年の6305億ドルから2030年には1兆ドルに到達すると予想されており、半導体製造装置も同様、中期的に高い成長が見込まれる。

 

日本製半導体製造装置の販売高予測

 ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感がみられるものの、台湾ファウンドリー向け2nm投資の本格化、HBM を中心としたDRAM投資の底堅さにより前年度比2%増の4兆8634億円を予測した。前年比の伸び率としては、2024年度が(2025年1月時の)予想値「20%増」に対して、実績が「29%増」にまで上振れて着地した影響もあり、2025年度としては横ばいから微増を予想している。

 2026年度は台湾以外の地域でも2nm投資が開始され、DRAM・HBM投資も引続き伸びが期待され、AIサーバー向けのNANDフラッシュ投資も加わることから、10%増の5兆3498億円とした。2027年度もAI関連の需要は高水準で続くため、3%増の5兆5103億円と予測した。

 

日本市場における半導体製造装置の販売高予測

 2025年度は車載とパワー半導体が落ち込むが、NANDフラッシュとDRAMで先端技術を使った投資が行われることから、15.0%増の1兆4399億円と予想した。2026年度もメモリー投資は堅調が予想され、大手ファウンドリーの第2期投資やCMOSイメージセンサー投資、後半には2nmの量産に向けた先端投資も開始されることを期待し、22%増の1兆7567億円と予測した。2027年度も高い水準で投資が継続されるため、5%増の1兆8446億円を予測した。
 

 

kat

エボニック、エポキシ硬化剤生産拠点の電力供給を再エネに全面移行

2ヶ月 1週 ago
エボニック、エポキシ硬化剤生産拠点の電力供給を再エネに全面移行kat 2025年08日12日(火) in

 エボニック インダストリーズ(エボニック)は、クロスリンカー部が運営するエポキシ硬化剤生産工場で使用する電力を100%再生可能電力に切り替えることで、サステナビリティへの取り組みをさらに強化している。

 対象となる工場は、ドイツのマール、英国のクレイトン、日本の伊勢原、米国のロサンゼルス、シンガポールの各拠点。この重要なマイルストーンにより、エポキシ硬化剤生産施設は、スコープ1およびスコープ2の温室効果ガス排出量を年間で約1/3削減することが可能となる。これは、2030年までに両スコープの排出量を25%削減し、さらに、2050年までにクライメイト・ニュートラル(気候中立)の実現を目指すという、エボニックのサステナビリティ戦略に沿ったもの。

 同社クロスリンカー部のグローバル・サステナビリティマネジャーを務めるトビアス・ヴィンクラー氏は、「世界中のエポキシ硬化剤の生産拠点でグリーン電力を導入するという今回の決定は、当社のサステナビリティへの取り組みにおいて、また一つ、重要な一歩を踏み出すことができた。再生可能エネルギーへ移行することで、二酸化炭素排出量の削減だけでなく、当社の長期的な気候目標に沿った革新的な取り組みの道を切り拓いている」と述べる。

 この取り組みは、エボニックのグリーン電力と持続可能なエネルギー調達に対する強いコミットメントに基づいて実施されている。今年に入り、クロスリンカー部は、グリーン電力証書取引および再生可能電力供給契約の締結を通じて再生可能エネルギーの確保を開始し、その結果、エボニックのエポキシ硬化剤の生産拠点の稼働は、すべてグリーン電力で行われるようになった。

 同社エポキシ硬化剤事業部のシニアバイスプレジデントを務めるクリスティナ・ウォ
ルコサック氏は、「当社は、持続可能な製品群の強化を継続して行い、エポキシ業界の信頼できる長期的なパートナーとしての地位を確固たるものにしていく。世界中のエポキシ生産工場で再生可能エネルギーを採用することで、二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、顧客の持続可能性に対する高い要求にも応え、エボニックの環境目標を大幅に前進させる」と語っている。

 エボニックのエポキシ硬化剤は、コーティングおよび建設業界における重要な原材料で、高性能複合材料や接着剤に幅広く使用されている。

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TRAMI、第7回 産×学連携講座を開催

2ヶ月 2週 ago
TRAMI、第7回 産×学連携講座を開催kat 2025年08日08日(金) in in

 自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)は8月1日、東京都文京区の中央大学 後楽園キャンパスでの現地およびオンラインのハイブリッド形式により、「第7回 産×学連携講座—そのEV快適ですか?~サウンドデザインが創るクルマの未来~―」を開催した。後援は中央大学 理工学研究所、協賛はスマートサウンドデザインソサエティ(SSDS)。

開催のようす

 

 午前の部は「高校生キャリアイベント」で、第1部としてマツダ・原澤 渉氏による職業講和「未来のクリエイターへ:自動車エンジニアのリアルな仕事・キャリア」が、第2部として「車両・部品展示」がなされた。

 午後の部は「産学連携イベント」で、その第1部、学術講演会は以下のとおり行われた。

・「学から産へ:音のチカラで変わる未来~サウンドデザインの可能性~」戸井武司氏(中央大学)…戸井研究室では、生活に身近な「音」を研究テーマとして、技術力の高い企業との共同研究、最先端の研究設備を用いた研究を行っている。TRAMI関連のサウンドデザインとして本講演では、EVなどで静音化が進み小さな音が顕在化する中での快音設計によるものづくり・音づくりについて事例をまじえて紹介。快適かつ機能的なスマートサウンドデザインに基づくデジタルイノベーションものづくりが進展している中で、自動車における感性サウンドマップの構築や、快適感と覚醒感を両立する音づくりなど空間価値を高める研究事例を紹介した。

講演する戸井氏


 ・「産から学へ:EVをもっと快適に!TRAMIが挑む”静粛性&快音化”技術の最前線」金子弘隆氏(日産自動車)…エンジン騒音がなくなり今まで埋もれていたパワートレインからの音、特に回転次数が多く発生周波数も高いモータノイズやギヤノイズなどが目立つようになっている。これに対するTRAMI音振動研究委員会の①加振力(回転アンバランス加振力、ギヤ・スプライン衝突加振力)の予測技術の研究、②振動伝達特性(電動モータ振動伝達、高周波ドライブトレイン振動伝達)の予測技術の研究、③電動車快音化指針の構築などの取り組みについて紹介した。また、産学連携イベントとして日本自動車研究所(JARI)のオープンラボにある5万回転対応のギヤボックス装置を見学し、高回転時のギヤ、モータ、インバータ複合の高周波音を体感したことなどを話した。

講演する金子氏


・「産と学の連携:TRAMIが目指す産学連携の事例紹介」芳賀慎悟氏(三菱自動車工業)およびTRAMI 産学連携拡大・人材育成タスクフォース…TRAMIでは、学の研究活動を産の技術開発・将来の技術革新へとつなげていくための産学連携の理想的な活動のサイクル(研究テーマ設定→研究環境の充実→研究成果の蓄積→ステークホルダーの拡充→産学人材育成)を描いているが、「産学の谷」によってこの理想的なサイクルがうまく回せないことがある。これに対し、実験を産学共同で行うことで互いに何を出し合えばよいかが分かってきて、徐々に学の得意分野と産の得意分野を生かした連携になり、産学の谷が解消されるという自らの経験が紹介されたほか、産学連携の成功事例として、モータの磁石内温度を測る研究を進め、その中で学生の成長が認められるなど人材育成も図られた事例なども紹介された。

講演する芳賀氏

 

 産学連携イベントの第2部の車両・TRAMI展示では、車両展示として、エンジン回転数やアクセルの踏み込みなどに応じたサウンドを専用スピーカーから出力し実際のエンジンサウンドを補完するSUBARU BRZの「アクティブサウンドコントロール」のサウンド体験が行われた。また、部品分解展示として、SUBARU BRZのトランスミッションと、マツダCX-60の「e-SKYACTIV D M Hybrid Boost」のトランスミッションの部品が展示された。さらに、TRAMI研究(音振動研究委員会)のポスターセッションが行われた。

SUBARU BRZの「アクティブサウンドコントロール」のサウンド体験

 

SUBARU BRZのトランスミッション

 

マツダCX-60の「e-SKYACTIV D M Hybrid Boost」のトランスミッションの部品

 

TRAMI研究(音振動研究委員会)のポスターセッション

 

 当日はまた、特別開催として、中央大学 音響システム(戸井)研究室見学ツアー「あなたの知らないサウンドデザインの世界」が実施された。
 

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JIMTOF2026の開催概要を公開

2ヶ月 2週 ago
JIMTOF2026の開催概要を公開kat 2025年08日07日(木) in in

 日本工作機械工業会(日工会)と東京ビッグサイトは7月29日、東京都港区の芝パークホテルで、両者の主催で2026年10月 26日~31日に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2026第 33 回日本国際工作機械見本市」に関する記者発表会を開催した。

JIMTOF2026記者発表会のようす

 

 JIMTOF は、工作機械やそのあらゆる周辺機器が一堂に会するものづくりの総合見本市であり、かつ最先端の技術・製品が集結する、世界最大級の国際技術ショー。2008年以降は、土曜日・日曜日を含む6日間の会期で開催してきたが、今回は月曜日から土曜日までとウィークデーを1日長くし、働き方改革など現代のビジネス形態に沿った開催日程とした。

 記者発表ではまず、JIMTOF2026のキービジュアルが紹介された。「果てなき高度へ 羽ばたく技術」をキャッチコピーに、最先端のものづくりと次世代へと継承されていく技術を、折り鶴をはじめとした「折り紙の鳥」で表現。多彩な鳥たちは工作機械に関連するさまざまな業界を象徴しており、産業全体がJIMTOFを通じて世界へ、そして未来へと飛躍していく様子を描いている。「果てなき高度へ 羽ばたく技術」というキャッチコピーには、JIMTOFに集結する工作機械業界の高度な技術がさらなる高みへと羽ばたき、果てしない未来に繋がっていくよう願いを込めた。

JIMTOF2026のキービジュアル

 

 主催者挨拶として初めに日工会専務理事の柚原一夫氏が挨拶に立ち、以下のように説明した。

 製造業の課題と工作機械の三つのキーワードとして、2050年カーボンニュートラル実現とエネルギー価格高騰の課題に対する「グリーン化」があり、工作機械(生産設備)の脱炭素化とLCAの推進が必要となる。また、労働力不足と技術者の高齢化の課題に対する「デジタル化」があり、DXを駆使したフロントローディングや自働化・省力化ソリューションが求められる。さらに、サプライチェーンの強靭化の課題に対する「レジリエンス」があり、つながる工場など、バリューチェーン全体をネットワークで接続管理し仕入れ・調達先を多様化・分散化することなどが求められる。

 JIMTOFはこうした製造業の課題に対するグリーン、デジタル、レジリエンス対応の最適なものづくりの集積地であり、工作機械関連の内外有力メーカーを一堂に集め、自動化をはじめあらゆる製造現場の課題に対応した最新の機械や最先端のソリューションを披露する。前回JIMTOF2024の日工会会員企業の出展の内訳では53%がワールドプレミア(世界初披露)の製品を出展した。

 JIMTOFにおいて出展者は、ユーザーの競争力強化と価値創造に寄与する最適な提案を行い、製造業の省エネや活性化につながるソリューションで設備投資の機運を向上させ、我が国で課題となっている設備ビンテージの若返りを強力に後押ししてほしい。

挨拶する日工会・柚原氏

 

 主催者挨拶としてはまた、東京ビッグサイト代表取締役常務取締役の岩瀬和春氏が以下のように述べた。

 JIMTOF会場となる東京ビッグサイトでは、老朽化が進行している設備の更新や機能向上を図るために、2023年12月から施設の部分休館を伴う大規模改修工事を計画的に進めている状況にある。JIMTOF会期中も東4~6ホールが休館となるため、東京ビッグサイト使用スペースの22%、2万5000m2が使えないという物理的制約はあるものの、主催者として以下のとおり情報発信に努める。

 JIMTOFは世界最高水準である日本の工作機械関連製品・技術が集結する場で、国内外ユーザー・バイヤーの注目を広く集めている。この国際技術ショーとしての魅力を向上できるよう、最先端技術・製品を国内外でプロモーションしていく。

 JIMTOFではまた、出展者の展示だけでなく、主催者として多様な併催企画も実施している。JIMTOF2026では多彩な講演会や、最新技術トレンドを体感できる企画展示、製造業全体の未来を担う学生を対象とした学生企画など、「国際技術ショー」としてのプレゼンスを発揮する企画を展開していく。

 さらに、電子招待券、会場内サインの電子化、AIを用いた海外来場者対応等のDX化を促進することで、利便性の向上を図りながら持続可能性のある展示会の運営を行うほか、前回JIMTOF2024から始めたYouTubeチャンネル「JIMTOF INSIGHTS」を通じて、工作機械業界を中心に広くものづくりに関するテーマを発信し、継続的にJIMTOFおよび業界の周知を行っていく。

挨拶する東京ビッグサイト・岩瀬氏

 

 出展募集スケジュールは以下のとおりで、国内・海外一般の出展申し込み期間が短いため、注意されたい。

・日工会および協賛団体の会員企業・海外工業会の会員企業:2025年10月1日(水)9:00~10月31日(金)23:59

・国内・海外一般企業:2025年11月4日(火)9:00~11月18日(火)23:59

・申込方法:JIMTOF公式Webサイトに設置する「出展申込フォーム」より必要事項を入力して申し込み

出展料金

 

 出展申込および本件に関する問い合わせ先は以下のとおり。

株式会社東京ビッグサイト JIMTOF事務局
E-mail:jimtof@tokyo-bigsight.co.jp TEL:03-5530-1333
公式Webサイト:www.jimtof.org
 

kat

東京理科大学・佐々木研究室、第33回トライボサロンを開催

2ヶ月 2週 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第33回トライボサロンを開催kat 2025年08日06日(水) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第33回目が7月19日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす


 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室のメンバーに限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。

 第33回目となる今回のトライボサロンでは、住友重機械工業で東京理科大学博士後期課程3年の林 優美氏が、「減速機用潤滑剤の潤滑メカニズム解明に向けた評価技術に関する研究」と題して、同社内で実施してきた減速機用グリースのプロセス技術開発と応用について、潤滑剤の自社開発技術の構築、潤滑界面の現象解明などを実施してきたことを紹介。

 ものづくり現場での自動化要求から適用が進む協働ロボット向けなどで、同社の手掛ける減速機において、ギヤ、軸受、シールなどのしゅう動部品を保護するための長寿命潤滑グリースの最適処方を探るべく、原子間力顕微鏡(AFM)その場観察を用いたトライボフィルム膜の形成状態の観察や、トライボロジー試験機SRV5摩擦試験後の電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いた元素分布状態、X線光電子分光装置(XPS)を用いた元素化学状態、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察などの手法を駆使して潤滑メカニズムの解明に取り組み、現在はカルシウムスルフォネートグリースの最適処方を模索していることなどが紹介された。産業界に身を置く立場から、学術的価値のある研究を確立し実用に反映させたい、と総括した。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://www.tribo-concierge.com/topics/296/

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ブリヂストン、商品設計基盤技術搭載のタイヤが新型「日野デュトロ」に新車装着

2ヶ月 2週 ago
ブリヂストン、商品設計基盤技術搭載のタイヤが新型「日野デュトロ」に新車装着kat 2025年08日06日(水) in in

 ブリヂストンは、日野自動車の小型トラック、新型「日野デュトロ」の新車装着用タイヤとして、「ECOPIA R217」を納入する。

 日野デュトロは、昨今の労働人口の減少に伴うドライバー不足、荷物の増加や多様化への対応といった課題を解決するために、物流現場における使い勝手と環境性能を両立した小型トラック。今回の新型日野デュトロは、安全性・経済性・環境性能のさらなる向上を実現している。

 これまでブリヂストンは、日野自動車との長年にわたる共創において、同社がさまざまな車両を通じて提供する価値の実現に貢献してきた。新型日野デュトロに装着されるECOPIA R217は、従来のタイヤ性能を向上させた上で、求められる多様な性能をユーザー、モビリティごとにカスタマイズする商品設計基盤技術「ENLITEN」(エンライトン)を搭載。ENLITEN技術により、小型トラックの運行に求められる低燃費性能と他の重要な性能を高い次元でバランスさせることで、ユーザーの使用条件に合わせた価値の最大化とサステナビリティへの貢献を実現している。

 トレッドのゴムは、カーボンの分散を均一化することによりポリマーとの結合を向上し、低燃費性能とライフ性能の両立を実現。また、タイヤの骨格部形状であるケースライン等の構造の最適化により、低燃費性能と耐久性能を両立している。これら同社独自のゴム配合、構造技術を採用することにより、2025年度重量車燃費基準(JH25モード)の燃費計算に用いる転がり抵抗係数最高ランク「A」を達成した。

 ブリヂストンは、「新たなプレミアム」と位置付ける商品設計基盤技術「ENLITEN」を搭載したタイヤによる社会価値・顧客価値の創造を通じて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」に掲げる「Energy カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」「Extension人とモノの移動を止めず、さらにその革新を支えていくこと」にコミットしていく。

納入する新車装着用タイヤ「ECOPIA R217」新型「日野デュトロ」

 

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NTN、英語版「ベアリングができるまで」をYouTube で公開、「なめらか」の秘密とものづくりの魅力を海外にも発信

2ヶ月 2週 ago
NTN、英語版「ベアリングができるまで」をYouTube で公開、「なめらか」の秘密とものづくりの魅力を海外にも発信kat 2025年08日06日(水) in

 NTNは本年4 月に公開し、好評を博しているベアリング製造工程を紹介する動画「ベアリングができるまで」の英語版(How Bearings are Made)を新たに制作し、YouTubeで公開した。

 本動画は、同社の主力商品であるベアリング(軸受)の製造工程を実際の現場映像とアニメーションをまじえながら分かりやすく紹介するもので、摩擦を減らし、省エネルギー化に貢献する「なめらか」の秘密に迫る内容となっている。

 本動画の日本語版は公開直後から多くの視聴があり、「シンプルに見えるベアリングに高度な技術と多くの工程が詰まっていることがよく分かった」、「製造現場のリアルな様子が伝わり、ものづくりの奥深さを感じた」、「複雑な工程もアニメーションなどを使って丁寧に解説されていて、とても理解しやすかった」といった感想が同社に多数寄せられている。

 今回新たに公開した英語版は、海外のユーザーや取引先をはじめ、学生や技術者に、ベアリングの構造やNTNのものづくりへのこだわりと技術力を周知させることを目的に制作したもの。

 NTNでは、今後もこうしたコンテンツなどを通じて、省エネルギー化に貢献するベアリングについて、また100年以上にわたって培ってきた同社のものづくりについて国内外に発信していく考えだ。

英語版「ベアリングができるまで」

https://youtu.be/wzv0D3eBpZ0

熱処理工程鍛造工程加工による鋼球表面の変化

 

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THK、山口工場にOEE最大化プラットフォームのGXソリューションを展開

2ヶ月 2週 ago
THK、山口工場にOEE最大化プラットフォームのGXソリューションを展開kat 2025年08日06日(水) in

 THKは、製造現場で発生するロスを削減して設備総合効率(OEE)の最大化に貢献するプラットフォーム「OMNIedge(オムニエッジ)」のGXソリューションを、主力製品のLMガイドを中心に製造を行う同社山口工場(山口県山陽小野田市)に展開している。工場の電力使用量を設備単位で可視化することで、エネルギーロスが発生している機器の特定、設備の劣化や故障の予兆などを行いながら、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速する。今回の取り組みで得られたノウハウをもとに、生産現場で発生するエネルギーロス解決のためのGXソリューションを提供していく。

 

 THKグループでは、世界が直面する課題である地球温暖化がもたらす気候変動リスク対応として、温室効果ガス排出量を削減するべく、生産部門にて「新カーボンニュートラル推進プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを進めてきた。取り組みの一例として、太陽光発電の導入、省エネ設備への置き換えなどを行ってきたが、これらの施策による効果を定量的に把握する手段が乏しく、従来の測定手法では工場全体のマクロな電力使用量は確認できても、設備ごとのミクロな省エネ効果を評価することが困難でだった。加えて、月に一度の手動による現地データ取得も現場作業者の負担となっていた。

 THKではこうした課題を解決するため、より詳細な電力使用状況を可視化できるOMNIedge GXソリューションを導入した。GXソリューションの特長は以下のとおり。

・簡単設置:数珠つなぎ式の電力センサで狭い盤内でも省配線・省スペースでの設置が可能で、専用の通信回線を使って遠隔から手早く電力使用量を集計することができる

数珠つなぎ配線イメージ

 

・設備やラインごとの電力使用量を見える化:工場全体の電力使用量に加えて、センサのグルーピング機能で設備やラインごとの電力消費割合を算出。設備の移設や省エネ設備を導入した際も、投資効果や環境性能を正確に測定できるので、有効な対策の立案に貢献する

・デマンド(最大需要電力)のリアルタイム監視:あらかじめデマンドしきい値を設定。超過しそうな場合にアプリ画面上で通知してデマンド超過を防ぐ

システム構成イメージ

 

 THK山口工場でGXソリューションを導入した結果、以下のような効果が得られている。

・手早く電力使用量を集計:工場全体から各設備までの電力使用量を遠隔でモニタリング。データ取得の工数を大幅に削減することができた

・運転時間の最適化:GXソリューションで取得したデータをもとに設備の運転時間を見直し、待機電力を抑えたことで電力コスト削減につなげることができた

・効果的な設備投資:各コンプレッサーの電力使用量とエアー流量を測定および比較することで、劣化したコンプレッサーを特定。この分析により更新の必要性が高い設備にしぼって投資判断を行う予定

 THKでは、OMNIedge GXソリューションの導入を通じて、工場でのエネルギーに関わる課題解決にチャレンジしながら、カーボンニュートラル実現に向けた新たな取り組み(電力データと生産実績を掛け合わせた設備の異常検知、電力データをもとにした省エネ診断機能の開発など)を進めている。これらカーボンニュートラルへの施策などで得たノウハウをもとに、エネルギーロス解決をサポートするGXソリューションを提供していく。

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ジェイテクト、専門知識不要でAI活用機会を広げる「AIエージェント構想」を発表

2ヶ月 3週 ago
ジェイテクト、専門知識不要でAI活用機会を広げる「AIエージェント構想」を発表kat 2025年07日30日(水) in

 ジェイテクトはこのほど、誰もがAIを業務アシスタントとして当たり前に活用できる「AIエージェント構想」を発表した。

 この構想は、ジェイテクトが第二期中期経営計画で成長戦略・重点施策として掲げる「デジタルモノづくり」の取り組みの一つであり、第1フェーズである「AI活用プラットフォームの構築」と第2フェーズである「AIエージェントの実装」で構成している。

 同社では2027年4月までに第2フェーズの運用環境を整備し、設計や事務系など部門を問わず誰もが専門知識不要でAIを活用し、業務効率向上と画期的なソリューションを提供できる体制を構築していく。

 ジェイテクトは、「技術をつなぎ、地球と働くすべての人を笑顔にする」というミッションに基づき、2030年までに目指す姿としてJTEKT Group 2030 Vision「モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダー」を掲げている。このソリューションプロバイダーへの変革のために、デジタルを活用した業務効率向上や、ユーザーの課題解決に貢献する新規性のある製品や技術の開発を推進している。

ジェイテクトグループのMVV :Mission、Vision、Value

 

 第1フェーズ「AI活用プラットフォームの構築」では、プログラミングが不要なノーコードAIを活用できる環境を整備する。ユーザーはプラットフォーム内に格納された、画像認識、データ分析、生成AIを活用した各種アプリケーションとデータベースに保存された情報を自由に組み合わせることで、業務改革ソリューションを簡単に作成することが可能になる。

 このAI活用プラットフォームは2027年4月に向けて順次拡充予定で、すでに生成AIを活用した特許調査を効率化するアプリケーションを作成し、全社で活用を進めている。

第1フェーズ: AI活用プラットフォームの構築

 

 第2フェーズ「AIエージェントの実装」では、ユーザーがチャットで入力した「やりたいこと」に応じて、AIエージェントがオーケストレーターとなってAI活用プラットフォームから必要なアプリケーションやデータを自動で組み合わせることで、最適な結果を提供する。

 ユーザーの「やりたいこと」に対しAIエージェントが必要なアプリケーションやデータを自律的に選定するため、ユーザーには専門知識が求められず、誰でも簡単に業務にAIを取り入れることが可能になる。

 このAIエージェントの利用体制は2027年4月までに構築する予定だ。

第2フェーズ:AIエージェントの実装

 

 ジェイテクトでは、AI活用プラットフォームの拡充と並行して、各事業本部の社員がAI・ソフトウェア開発の専門部署であるデータアナリティクス研究部に社内留学し、AI人材を育成している。さらに、ジェイテクトのMission Vision Valueの中にある共通の価値観「Yes for All, by All! みんなのために、みんなでやろう」に基づき、全社員参加型のデジタルリテラシーの底上げ活動である「デジタル祭り」を2024年6月より実施している。

 ジェイテクトではこうしたデジタル基盤の強化を通じて、企画・設計から生産準備・生産までのエンジニアリングチェーンをデジタルでつなぐ「デジタルモノづくり」の実装を進めるとともに、営業や調達まで含むバリューチェーンやバックオフィス部門のデータをつなぐ「一気通貫のデジタル流通基盤」を構築し、意思決定の高度化と業務効率の向上を実現していく。

 ジェイテクトでは今後も、ソソリューションプロバイダーへの変革に向けて、一人ひとりがデジタルを活用することで価値創造力を高め、やりたいことを見つけ、新たなチャレンジに注力できる組織づくりを推進していく考えだ。

第二期中期経営計画で掲げる「デジタルモノづくり」と「デジタル基幹システム」の概念図

 

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NTN、サーボモーター用低発塵軸受の量産を開始

2ヶ月 3週 ago
NTN、サーボモーター用低発塵軸受の量産を開始kat 2025年07日30日(水) in in

 NTNは、産業用ロボットや工作機械、半導体製造装置などに幅広く使用されているサーボモーター用の軸受として、軸受からの発塵(軸受内部で使用されているグリースの油分が蒸発、あるいは飛沫となり軸受外部へ漏れ出したもの)と回転トルクを大幅に低減した「サーボモーター用低発塵軸受」について、大手モーターメーカー向けの量産を開始した。

サーボモーター用低発塵軸受産業用ロボット向けサーボモーターにおける適用例

 

 サーボモーターは、回転検出器(センサーやエンコーダー)とブレーキを搭載し、回転速度や角度を高精度に制御できるため、産業用ロボットや工作機械など精密な動作が求められる産業機械に使用されている。しかし、軸受に使用されるグリースの油分などの発塵物がエンコーダーに付着すると検出精度が低下するほか、ブレーキディスクに付着すると制動性に支障が出ることもあり、サーボモーター用軸受にはこれらの発塵を抑制することが求められてきた。

 同社が開発したサーボモーター用低発塵軸受は、成分や配合を見直すことで発塵の発生を大幅に抑制することに成功した新開発の低発塵グリースと、密封性を向上させた新設計のシールを採用することで、軸受からの発塵量を従来品比で約90%低減している。

 また、新設計のシールは形状の改良により、密封性を維持しつつ、従来品比で約50%の低トルク化を実現している。

サーボモーター用低発塵軸受の構造

 

 発塵の大幅な抑制によるサーボモーターの制御の信頼性向上に加え、回転トルクを抑えたまま長時間にわたり安定して使用できる高い耐久性が評価され、今回大手モーターメーカーに採用されて、量産開始に至ったもの。

 サーボモーターは、高精度な回転制御が行えるため、近年は産業用ロボットや工作機械を中心に需要が増加している。産業用ロボットや人型ロボットに使用されるサーボモーターは、関節部の駆動用途が多く、関節部の軸速度や加速度を高めるために小型化、高出力化が求められている。

 開発品は軸受からの発塵を大幅に抑制できるため、サーボモーターの密封装置が不要となり小型化を図れるとともに、低トルク化によるサーボモーターの高出力化にも貢献することが可能となる。

 NTNでは、「今後も本商品や工作機械用のサーボモーター向けに高速回転対応と低振動化を実現する「高速サーボモーター用深溝玉軸受」などの高付加価値商品の提案を進め、サーボモーターのさらなる性能向上に貢献していく」とコメントしている。

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THK、力センサ搭載ピック&プレースロボットの小型ヘッドモデルを受注開始

2ヶ月 3週 ago
THK、力センサ搭載ピック&プレースロボットの小型ヘッドモデルを受注開始kat 2025年07日30日(水) in in

THKは、微細・微小なワークの高速搬送に適した、電子部品業界向けピック&プレースロボットの小型ヘッドモデル「PPR2-LR」の受注を開始する。

小型ヘッドモデル/空圧ユニット一体モデル

 

 ピック&プレースロボット「PPRシリーズ」は、微細・微小なワークを吸着し、ベースへの移載や組立を素早く正確に行うためのロボット。昇降や回転といった基本的な動作に加え、ワークに掛かる力を測定する力センサをはじめとする各種センサ、電磁弁、制御モジュールなど、ピック&プレースに必要な要素をすべて取り揃えている。

 これまで展開していた空圧ユニット一体モデル「PPR-LR」と比較して、小型ヘッドモデルPPR2-LRは、ヘッド部分の体積を33%削減し、よりコンパクトな設計としたため、スペースの問題でこれまで搭載できなかった装置にも導入が可能となるほか、新機構によりシャフト先端の軸振れ精度を5μm以下とさらに高精度化した。

 近年、スマートフォンやタブレット、ウェアラブル機器、車載カメラなどの小型電子機器に対する需要が急速に高まっており、これに伴い多機能化・小型化が進んでいる。しかし部品の小型化により搬送中にワークが壊れやすくなる、あるいは、接触検知の精度を高めることで搬送速度が低下してしまう、といった課題があった。

 これに対しPPRシリーズでは、独自の力センシング技術によりワークをダメージから守るとともに、統合制御による制御時間の削減によりサイクルタイムの短縮を実現する。

 小型ヘッドモデルPPR2-LRの特長は以下のとおり。

・ワークダメージの低減(最小検出0.15N):独自の力センシング技術により、ノズルとワークの接触を高精度に検出する

・サイクルタイムの短縮(通信周期100μs):各モータ、センサを統合させたシーケンス制御が可能で、従来の制御に比べ通信回数が減り時間ロスを最小にする

・軸振れ精度の高精度化(軸振れ精度5μm以下):アライメント調整時の補正量を最小化し、ワーク設置精度の向上に貢献する

・コンパクトな設計(体積比33%ダウン、積層ピッチ幅15mm):これまでの空圧ユニット一体モデルと比較し、ヘッド部分を薄型・コンパクトに設計することで、単位面積当たりの生産性向上を実現する

コンパクト設計

 

 THKでは、「これからも独自の新製品開発を通して、あらゆる分野の自動化、省力化需要に応え、生産性向上、工程改善のためのソリューションを提案していく」とコメントしている。

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ポリプラ・エボニック、高機能透明ポリアミドがセイコーオプティカルプロダクツの軽量・高級薄型フレームに採用

2ヶ月 3週 ago
ポリプラ・エボニック、高機能透明ポリアミドがセイコーオプティカルプロダクツの軽量・高級薄型フレームに採用kat 2025年07日30日(水) in

 ポリプラ・エボニックが取り扱う高機能透明ポリアミド「TROGAMID®(トロガミド®)」が、セイコーオプティカルプロダクツの新製品「セイコーライトアンドフィッティング・ブラックリーフ」シリーズに採用された。

 セイコーライトアンドフィッティング・ブラックリーフシリーズは、重厚感と快適性という相反するニーズを両立するために開発された革新的な眼鏡フレームで、従来のアセテート素材では難しかった「薄型・軽量・高級感あるデザイン」を実現するため、同社は素材選定の段階から新たな可能性を模索、ポリプラ・エボニックの高機能透明ポリアミドであるトロガミド®に着目した。

 セイコーオプティカルプロダクツ フレーム課の開発担当者は、「フレームが重いと長時間の着用で耳や鼻に負担がかかる。一方で、軽すぎると高級感が損なわれてしまう。トロガミド®はその両立を可能にしてくれる素材だった」と語る。

 トロガミド®の特性は、眼鏡フレームに最適な素材として高く評価。高い靭性を持つことから薄型、軽量で耐久性に優れるデザインが実現でき、快適なかけ心地を提供している。また、高級感あるデザインとともに、TROGAMID®のロゴを金色で刻印し、素材の信頼性とブランド力をユーザーに直接伝える仕様となっている。

 ポリプラ・エボニックでは、「今後も高機能樹脂の提供を通じて、眼鏡業界をはじめとする多様な分野の製品開発を支援していく」とコメントしている。

セイコーライトアンドフィッティング・ブラックリーフに採用されたトロガミド製フレーム

 

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本年9月22日~26日開催EMO Hannover 2025の見どころを紹介

2ヶ月 4週 ago
本年9月22日~26日開催EMO Hannover 2025の見どころを紹介kat 2025年07日24日(木) in in

 ドイツ工作機械工業会(VDW)は7月10日、ドイツ・フランクフルトにあるVDW本部で「EMO Hannover 2025 Preview」を開催した。本年9月22日~26日にドイツ・ハノーバー国際展示会場で開催される「EMO Hannover 2025(EMOハノーバー2023)」の見どころを紹介するもので、ドイツ本国のほか日本など世界28カ国から、約150名超のジャーナリストが参加した。

 ここでは同プレビューイベントの概要を通じて、EMOハノーバー2023の見どころを紹介したい。

プレビューイベントの会場となったVDW本部EMOハノーバー2025のハイライト

 プレビューでは、モデレーターのスヴェン・クラウゼ氏のインタビューに答えて、VDWエグゼクティブダイレクターであるマルクス・ヘーリング氏がEMO 2025の概要と見どころについて、以下のとおり話した。

 EMOは1975年の初開催以来、金属加工のバリューチェーン全体の技術が披露される重要なプラットフォームとして位置付けられており、今回で50周年の節目を迎える。イノベーション、国際的な視点、インスピレーション、そして金属加工業界の未来を象徴するEMOは、メーカーとユーザーの両方を含む、業界に関わるあらゆる国際的なプレーヤー間の対話プラットフォームとして、世界でも類を見ないイベントとして位置づけられている。EMO出展企業が提供する製品とサービスは業界全体の近代化の基盤となると言われ、現時点ですでに40カ国以上から1500社以上の出展が登録されている
EMOハノーバー2025では、「Innovate Manufacturing(製造業の革新)」をモットーに、「自動化」、「サステナビリティ」、「デジタル化・人工知能(AI)」の三つが主要テーマとして掲げられている。これら三つのテーマは相互に関連し、先進的な製造業の「トライアングル」を形成している。

・金属加工業界における効率向上のための自動化
 高い品質要求と熟練労働者の不足を背景に、自動化は業界にとって極めて重要である。自動化ソリューションは、生産プロセスの効率と品質を向上させる。これらは投資を促進する主要な要因の一つであり、EMOでは多くの出展者がさまざまな形で自動化を提案している。

 自動化は手作業を置き換え、生産プロセス全体の透明性を高める。自動化には、操作が容易でユーザーの個々のニーズに柔軟に対応でき、量産から経済的な単品生産まで、製造プロセスに統合できることが求められる。自動化はまた、パレットチェンジャーやハンドリングシステムといったシンプルなソリューションから、ロボットや自動運転システムを備えた自律型工場の活用まで多岐にわたり、例えばアシスタンスシステムなどを通じて、機械オペレーターを支援することも意味する。洗浄、ラベリング、測定といった補助的なプロセスの統合も、増える傾向にある。

・気候変動対策強化のためのサステナビリティ(持続可能性)
 多くの国々が、気候変動対策の強化と、産業のグリーン化への投資に注力しており、企業においては、数多くの報告義務を含む法規制やカーボンフットプリントの算出を希望する顧客の存在が、この動きを後押ししている。

 生産における持続可能性の焦点は、エネルギーと材料の消費量の削減、そして循環型経済の導入であり、新しい機械への投資は約25%のエネルギー節約につながり、CO2排出量の削減につながる。例えば、最新の電動モーターと革新的な駆動技術は、前世代と比較して大幅な電力消費量を削減するほか、制御技術の改善、圧縮空気および油圧アプリケーションの最適化設計、摩擦を最小限に抑えたベアリング。直動案内システムなどが挙げられる。部品洗浄時や機械の冷却時における洗浄槽の温度制御などの周辺プロセスも重要な役割を果たす。

 EMOハノーバー2025のホール15にあるサステナビリティエリアは、未来の持続可能な生産のための最先端のソリューションを体験できる理想的なミーティングポイントとなる。出展者はここで、エネルギー効率、再生可能エネルギーの統合、循環型経済、ライフサイクルコンセプトのトレンドに関する情報を提供する。これらは気候保護を促進するだけでなく、エネルギーや原材料が不足する時期における生産コストの削減にも役立つ。

・生産性向上のためのAI(人工知能)とデジタル化
デジタル化とネットワーク化は、生産において長年重要なテーマであり続けてきた。そして今、AI(人工知能)がそれに加わったが、データを活用して生産性を向上させ、新しいビジネスモデルを開発するためには課題が少なくない。半導体はIoTやAIといった技術を活用することで、ユーザーが生産プロセスをよりインテリジェントに設計することを可能とするほか、これらの技術は生産プロセスの効率性に関する透明性を高め、機械やプロセスのリアルタイム監視・制御を容易にし、予知保全も可能にする。

 ここでの基本的な前提条件は、オープンで標準化されたデータインターフェースの使用である。多くの国の機械メーカーは、グローバルなumatiイニシアチブ(ユニバーサル・マシン・テクノロジー・インターフェース)をすでに理解しているか、すでに参加している。umatiはEMOハノーバー2025のホール6で、標準化されたマシンネットワークの利点を再び実演する。

 デジタル化とネットワーキングは、製品のカスタマイズや、急速に変化する市場ニーズへの適応も促進する。マスカスタマイゼーションなどの手法を用いることで、企業は量産の効率性を損なうことなく、カスタマイズされた製品を少量生産することが可能になる。

 生産プロセスにおいてデータ分析とビッグデータを統合することは重要で、大量のデータを評価することは、生産プロセスの最適化、早期段階でのエラー検出、そしてリソースの効率的な活用に役立つ。これにより、グローバル市場における競争力が大幅に向上する。

 EMOハノーバー2025では、ホール6のAI Hub@EMO 2025において、産業界および行政機関の投資家向けに、生産における人工知能の可能性に関する実践的なデモンストレーションを実施する。研究分野の専門家が情報提供や詳細な質問への回答を行う。

 AIハブに加え、ホール12のEMO中央講演フォーラムにおいて毎日午後2時から、「P.O.P.トーク」も開催される。生産におけるAIのさまざまな側面が、講演、インタビュー、パネルディスカッションなど、多様な形式で、時には議論を呼ぶ形で取り上げられる。これらのテーマには、AIの応用可能性、データセキュリティ、自動化、デジタル化に向けた政治的枠組みなど、多岐にわたる。
 

インタビューに答えてEMO 2025の見どころを語るヘーリング氏90秒ピッチ・ミニ展示会から見る、EMO2025で披露されるbmt関連製品

 プレビューではまた、出展予定の約1500社を代表して26社が90秒のプレゼンテーション(90秒ピッチ)とミニブースでの出展を行った。以下にその一端を記すが、90秒ピッチとミニブースからは、EMOの三大テーマである自動化、デジタル化・人工知能(AI)、サステナビリティという現代のメガトレンドを反映したEMOハノーバー2025で披露される製品・技術の紹介がなされた。

90秒ピッチのようす(イグス)

 

DMG森精機

 DMG森精機は、8点のワールドプレミアを公開する。

 Machining Transformation(MX)の柱に完全に焦点を当てたもので、同時5軸加工の新モデルである「DMC 55 H Twin」、「DMC 65 monoBLOCK 2. Generation」、「DMU 20 linear 3. Generation」は、プロセス統合による完全な加工への完璧なエントリーポイントとなる。「ULTRASONIC 60 Precision」はさらに、5軸ミーリング加工と超音波支援による精密加工を組み合わせ、標準で4μmの位置決め精度を実現する。

 ポートフォリオに新たに加わるパワフルで汎用性の高い旋盤「NLX 2500|1250 2. Generation」は、MXにおけるその重要性を証明。さらに、二つのターンミルスピンドルを搭載した「NZ DUE TC」は、高生産型旋盤の特性とターンミルによる完全加工を融合。さらに、新製品「DMV 200」と「SPRINT 420」も展示される。世界初公開となるこれらの機械は、生産能力を最適に活用するために、柔軟に自動化できる。新型AMR 1000は、工具、材料パレット、チップトロリーの自動ハンドリングを可能にする無人搬送システムとして、自動化をサポートする。

DMG森精機のミニブースのようす(上)と「NLX 2500|1250 2. Generation」(下)

イグス

 多くの工作機械やロボットにおいて、イグスの可動ケーブル「チェーンフレックス」を保護するケーブル保護管「エナジーチェーン」が採用されているが、EMOハノーバー2025のテーマであるデジタル化や持続可能性などに対応して、ユーザーが工作機械などに短時間で組み付けることのできるハーネス付きエナジーチェーン「レディーチェーン」用の新型ラックで、トラックの積載スペースを最適化し輸送コストを削減できる「レディーチェーン・エコラック」を披露する。

 このエナジーチェーン用の輸送・組立ラックは、バーチ材製の堅牢な多層パネルで構成、金属製ラックとは異なり工具なしで分解可能で、トラック輸送量を最大88%削減しCO2排出量と輸送コストを削減できるという。

 レディーチェーン・エコラックは、イグスがレディチェーンサービスをより持続可能なものにするための構成要素で、ユーザーは接続可能な状態でエナジーチェーンを受けとることができる。チェーンフレックスシリーズのケーブルはすべて敷設済みでプラグコネクタが取り付けられており、予知保全用のセンサーも設置済みとなっているため、組み立て時間が最大75%短縮される。

   

イグスのミニブースのようす(上)と「レディーチェーン・エコラック」(下)

シェフラー

 シェフラーは、EMOハノーバー2025のテーマの一つである自動化向けのbmt関連技術として、生産機械周辺機器向けのKLLTシリーズのX配列を採用した新しい4列モノレールガイドシステムと、生産工場の自動化向けの新しいYRTA回転軸ベアリングシリーズを披露する。

 ワークや工具の脱着の自動化では、メンテナンスが極めて少なく耐久性の高い回転軸用軸受配列とリニアガイドシステムが、また、機能性と経済性のバランスを最適化し、投資回収期間を短縮できる自動化ソリューションが求められる。これらの要件を満たすリニアガイドシステムとして、X配列を採用したKLLTシリーズの新しい4列モノレールガイドシステムを開発している。KLLTモノレールガイドシステムは、形状誤差が小さい基礎構造にも、大きな拘束力を与えることなく、より正確に嵌合できる。

 また、加工作業範囲外の回転軸向けに、実績のあるYRTC回転軸軸受シリーズをベースに、新しいYRTA(A =「Automation(自動化)」)シリーズを開発している。改良された製造プロセスと新しいニードルケージ設計により、これらの複合荷重用アキシャルローラーラジアルニードル軸受は、高い傾斜剛性、長寿命、低メンテナンスといった要件を理想的に満たす。

   

3nine

 3nineは、EMOハノーバー2025のテーマの一つである持続可能性のソリューションとして、次世代オイルミストセパレーター「Freja 1000」と「Vera 500」を披露する。

 同社のオイルミストセパレーターは、特許ディスクスタック(回転する積み重ねられたディスク)の遠心力を使って、最小粒子径1μmのオイルミストやその他の金属加工油を最大99.9%まで分離でき、油剤の再利用も可能なため、空気の浄化とフィルターの長寿命化、運用コストの低減を実現する。マシニングセンターから研削盤などすべての工作機械に適用でき、また水溶性加工油や不水溶性加工油などあらゆる金属加工油を対象としている。長寿命フィルターと自動洗浄機能(CIP)によりメンテナンス作業を最小化できるほか、分かりやすいLEDモニターによる稼働状態のリアルタイム監視が可能。

3nineのミニブースのようす(上)と
次世代オイルミストセパレーター「Vera 500」および「Freja 1000」(下)生産システムにおけるエネルギー効率化を追求するETAファクトリー

 翌日の7月11日にはまた、プレビューイベントの一環として、ドイツ・ヘッセン州ダルムシュタットにあるダルムシュタット工科大学のETA Fabrik(ETAファクトリー)を見学した。

 ETAファクトリーは、生産技術、生産効率・エネルギー効率といった分野の研究と教育、企業への技術移管を総合的に行うダルムシュタット工科大学 PTW内に2016年に設立された、生産におけるエネルギー技術の研究と産業への移管を担う研究グループ。ETAファクトリーは、将来の各種産業における生産をエネルギー効率・エネルギー柔軟性・資源効率の高いものとし、それによって気候中立的な生産に大きく貢献するビジョンを掲げている。そのため、研究テーマとしては、①戦略的エネルギー・資源管理:企業が気候中立の目標に対しいかに戦略的に生産を行うか、②気候中立生産インフラの確立:冷却・熱・圧縮空気などの気候中立生産インフラをいかに評価し、組み合わせて効率良く活用するか、③生産機械のエネルギーシステム分析と最適化:機械加工や洗浄、乾燥、熱処理などに関わる生産機械の効率性と柔軟性の最適化をいかに確立し活用できるか、④エネルギー最適化された工場運営:工場運営の最適化により気候中立生産にいかに貢献できるか、⑤気候中立生産におけるサイバーフィジカルシステム(CPS):CPS、デジタルツイン、アセット管理シェル(インダストリー4.0で提唱されているアセットの接続性と相互運用性を実現するオープンスタンダード)などを活用していかに気候中立生産を可能にするか、などを推進している。

 当日は、ETAファクトリーのStefan Seyfried博士より、エネルギー効率向上のアプローチとして、工場の構成要素である建築施設、空調やコンプレッサなど技術的建築設備、生産機械について個別にエネルギー効率向上を目指す従来の手法(エネルギー節減率:30%未満)ではなく、生産機械と技術建築設備、建築施設を相互接続して、エネルギーコントロールやエネルギー回生を実施することで相乗効果を高め、約40%のエネルギー節減を目指すアプローチについて紹介。建築学の観点からはエネルギー活性化やモジュラー構造の採用など、エネルギー・電気工学の観点からは生産機械・技術建築設備・建築施設のエネルギー接続や総合エネルギー制御など、機械工学の観点からは生産機械レベルでのエネルギー接続やエネルギーを考慮した機械の最適制御、革新的な制御コンセプトによるピーク負荷の低減などといった、学際的な取り組みによってエネルギー効率向上を進めていることを報告した。また、産業施設において、産業用冷凍システムを最適化し、エネルギー効率と柔軟性を高めるためのAI駆動型システムの開発を進めるプロジェクトなど、多数のプロジェクトに参画していることも紹介された。

 

ETAファクトリーの取り組みについて紹介するSeyfried氏

 

 その後、ETAファクトリーの革新的な生産棟に設置された縦型旋盤や洗浄機、熱処理炉、縦型研削盤などを見学。それら生産設備を用いて旋盤加工→穴あけ加工→洗浄→熱処理→研削加工→洗浄→組み立てという、産業生産プロセスチェーンに基づくエネルギー最適化に関する研究を進めていることが紹介された。また、生産機械や建築施設、技術建築設備のエネルギーシステムについて、電力グリッド、温水グリッド・冷水グリッド、グリコール水グリッド、ガスグリッドを夏期シナリオ、冬期シナリオなどに応じて、最適に組み合わせるなどの総合エネルギー制御を行っていることが説明された。例えばコンクリート屋根の断熱効果をグリコール水グリッドで高めて屋根の温度を平準化した上で、夏期には冷水グリッドで室内の温度を下げ、冬季には温水グリッドで室内の温度を温める。エネルギーを効率良く回収し貯蔵していることなども紹介された。

エネルギー最適化に関する研究が進められているETAファクトリーの生産棟温水グリッド・冷水グリッドなどの総合エネルギー制御設備のようす

 

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ベッコフオートメーション、ハンス・ベッコフ氏が欧州の技術革新賞「ルドルフ・ディーゼル・メダル」を受賞

3ヶ月 ago
ベッコフオートメーション、ハンス・ベッコフ氏が欧州の技術革新賞「ルドルフ・ディーゼル・メダル」を受賞kat 2025年07日23日(水) in

 ベッコフオートメーションは本年7月10日、ドイツ・アウクスブルクにて開催された授賞式において、同社の創業者兼マネージングディレクターであるハンス・ベッコフが、欧州で最も歴史ある技術革新賞「ルドルフ・ディーゼル・メダル(Rudolf Diesel Medal)」を受賞したことを発表した。産業オートメーション分野での卓越した技術革新の実績が高く評価され、「最も成功したイノベーション実績(Most Successful Innovation Achievement)」部門での受賞となったもの。

 ルドルフ・ディーゼル・メダルは、内燃機関の発明者として知られるルドルフ・ディーゼルの息子、オイゲン・ディーゼルにより1953年に創設された。現在は、ドイツ発明協会(Deutsche Institut für Erfindungswesen, D.I.E. e.V.)によって授与されており、「技術革新」「社会的貢献」「経済的成果」「持続可能性」などの観点から評価される、権威ある賞で、毎年、以下の4部門において表彰が行われる。

・最も成功したイノベーション実績(Most Successful Innovation Achievement)

・最も持続可能なイノベーション実績(Most Sustainable Innovation Achievement)

・最優秀イノベーション促進(Best Innovation Promotion)

・最優秀メディアコミュニケーション(Best Media Communication)

 ベッコフ氏はこのうち、最も成功したイノベーション実績部門での受賞となった。

 ハンス・ベッコフ氏は、1980年にドイツ・フェアルにてベッコフオートメーションを創立。1985年にPC制御という革新的なコンセプトを発表し、翌1986年に世界初となる産業用PCを市場に投入した。この技術は、産業オートメーションにおける従来の制御概念を根本から覆すパラダイムシフトをもたらした。以降、Lightbus(1989年)、バスターミナル(1995年)、EtherCAT(2003年)など、数多くの革新的な技術を開発し、産業界の技術標準を打ち立ててきた。

 これらの絶え間ない革新の歩みにより、ベッコフオートメーションは現在、世界41か国に拠点を展開し、従業員数は約5300名、2024年の年間売上高は11.7億ユーロを達し、グローバル企業としての成長を遂げている。

 今回の受賞は、ベッコフ氏が長年にわたりソフトウェア中心の制御技術の確立に尽力してきた背景や、ITとオートメーションの融合、高速かつ高い信頼性を誇る通信技術の開発、さらに近年ではAIを組み込んだ自律型システムの推進など、産業オートメーション分野の進歩に貢献する数々の技術革新を生み出してきたことが高く評価されたもの。また、常に「複雑な技術を、シンプルかつ効率的に」という姿勢を貫き、エンジニアリングを通じて社会に貢献しようとする強い信念も、今回の選考において重要な要素となった。

 ハンス・ベッコフ氏は受賞にあたって、「この受賞は、私一人ではなく、ベッコフの全社員を代表して受賞するもの。600名を超える開発者、2000名以上のセールス担当、そして世界中のユーザーの皆さまからの貴重なフィードバックがあってこその成果と言える。“発明は楽しい”というメッセージを次の世代に伝えたい」と述べている。

 ハンス・ベッコフ氏は現在、“Automation Brain”と題したプロジェクトに取り組んでおり、機械に知性や人格をもたせる、次世代の自動化技術の実現を目指している。    

左から、アレクサンダー・J. ヴルツァー教授(ドイツ発明協会理事)、
ハンス・ベッコフ氏(ルドルフ・ディーゼル・メダル受賞者・ベッコフオートメーション)、グンター・ヘル教授(ベルリン・シュタインバイス大学総合ビジネス・イノベーション戦略教授・ディーゼル・メダル評議会科学顧問)
写真提供:©Dominik Wagner, Eichmeister Kreativagentur

 

kat

BASFコーティングス、協業による持続可能なツートンカラー塗装のイノベーション推進で表彰

3ヶ月 ago
BASFコーティングス、協業による持続可能なツートンカラー塗装のイノベーション推進で表彰kat 2025年07日23日(水) in in

 BASFのコーティングス事業本部は、ルノー・グループ(ルノー社)およびデュル社とともに、本年6月に開催された「L'industrie s'engage par l'Usine Nouvelle」のイベントで、オーバースプレーフリー塗装(OFLA)のプロセス(ルノー社ではジェットプリントと呼称)を用いた自動車製造の未来を提示した。これにより、革新的プロセス部門の「Trophée de l'Industrie s'engage 2025」を受賞した。このプロセスは、ツートンカラーの車両塗装の実施方法を再定義するもの。自動車OEMの運用コストとプロセス時間の削減に加え、環境への影響も減らすことで、自動車生産の新たなベンチマークとなる持続可能な塗装技術として、画期的であると評価されている。

 このOFLAプロセスはルノー社のモブージュ工場に導入されており、革新的な一体型のウェットオンウェット塗装プロセスにより、新たなツートンの量産ラインにおいて、1回の塗装工程で同時に2色を塗布することを可能にしている。BASFのコーティングス事業本部では、OFLAプロセスにおける最適なパフォーマンス、高精度性、そして自動化を一貫した品質で実現するため、特別に開発したデココート塗料技術によって、このイノベーションに貢献した。完璧に調整されたセンサーとソフトウェアを使用し、デュル社のジェット塗装機(EcoPaintJet Pro)と、ロボット自動化技術の革新により、スプレー塗装によるはみ出しがまったく発生しない高精度の塗装が可能となっている。

 従来のツートンカラーの塗装では、車両は塗装工程を2回通過する必要があり、その間、人の手で、保護資材を用いて広範囲をマスキングしなければならない。その結果、多くの労力と時間を要するプロセスとなり、大量の廃棄物とエネルギー消費が発生する。

 OFLAは、デジタル印刷技術に着想を得たミストフリーで高精度なジェット塗装システムを採用することで、こうした従来のプロセスに革命をもたらした。これにより、異なる色のルーフやA-Cピラー部なども、塗りはみ出しなしでピンポイントに塗装することが可能になる。マスキング材が不要となるため、完全に自動化されたこの塗装方法によって、塗装工場におけるツートンカラー車の生産能力を向上させることができる。

 自動車OEMコーティングのグローバルマーケティング担当バイスプレジデントであるレイチェル・チュー氏は、「当社の視点では、OFLAは、サステナビリティと製造におけるパフォーマンスを組み合わせた画期的な技術。これは、お客様のサステナビリティ目標と経済的目標をサポートするバリュー重視の効率性を体現している」と述べている。

 また、BASFのコーティングス事業本部のグローバル開発ベースコートチームのプロジェクトリーダーであるシュテファン・ロールマン氏は、「マスキングと組み合わせた従来のスプレー塗装と比較して、塗着効率は100%となり、この技術は環境、経済の両面で目に見える効果をもたらす。塗装にかかるコストは最大70%削減でき、マスキング材の廃止によって車両あたり1.6kgもの廃棄物が削減された。また、エネルギー消費量は最大80%削減、CO₂相当排出量も約80%削減された(BASFコーティングスの塗装工場のライフサイクルアセスメントツールであるGLASSを使用して、年間20000台の自動車生産に基づいて計算)」と語っている。

 BASFコーティングスとパートナーによる今回の受賞は、価値ある革新的な技術を共に探求するコラボレーションの成果。この取り組みは、未来の塗装工場を形づくり、自動車業界における持続可能な変革を推進する力があることを実証している。また、欧州メーカーが工業生産において効率性と環境責任を両立し、業界における新たな基準を示す存在であることも強調されている。OFLAは、設計の柔軟性や生産効率を高めるだけでなく、この分野における持続可能な製造の新たなベンチマークとなっている。

 

BASF、ルノー社、デュル社が「Trophée de l’Industrie s’engage 2025」を受賞

 

フランス・モブージュにあるルノーの生産拠点にてBASFコーティングスのチーム

 

kat

bmt2025年7月号「特集:産業用ロボット」、「キーテク特集:設備の予兆保全技術」7/25発行!

3ヶ月 ago
bmt2025年7月号「特集:産業用ロボット」、「キーテク特集:設備の予兆保全技術」7/25発行! in admin 2025年07日23日(水) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第55号となる2025年7月号が7月25日に小社より発行される。

 今号は「特集:産業用ロボット」、「キーテク特集:設備の予兆保全技術」で構成。特集「産業用ロボット」では、各種産業での自動化に資する協働ロボットの導入事例などについて紹介するとともに、それら自動化機器を支える電動アクチュエータや樹脂製ロボットハンド、DDモータ付き磁性流体シールなどベアリング&モーション技術(bmt)関連の製品・技術を紹介する。

 また、キーテク特集「設備の予兆保全技術」においては、機械要素からアプローチする設備の予兆保全技術と潤滑油剤からアプローチする設備の予兆保全技術について、その一端を紹介する。

特集:産業用ロボット

◇産業現場の自動化を支える協働ロボットの技術と導入事例・・・ロボットメーカー各社に聞く

◇超薄型ボールベアリング・電動アクチュエータの技術とロボットへの適用・・・木村洋行 北澤 潤 氏、青木 和久 氏に聞く

◇球体型ドローンとMID機能付きロボットフィンガーの技術と適用・・・DIC 森 耕太郎 氏に聞く

◇DDモーター付き磁性流体シールの技術と適用・・・ハイウィン 林 育志 氏、フェローテック 来住 和広 氏に聞く

キーテク特集:設備の予兆保全技術

◇機械要素からアプローチする設備の予兆保全技術・・・編集部

◇潤滑油剤からアプローチする設備の予兆保全技術・・・編集部

連載

注目技術:第47回 9月22日~26日開催、EMOハノーバー2025に見るbmt技術・・・出展各社

現場に行こう No.003・・・㈱東研サーモテック イノベーション事業部 オープン・イノベーション・センター

トップインタビュー No.022・・・大豊工業 加納 知広 氏 に聞く

あるコスモポリタンの区区之心 第25回 昔話、趣味の量子力学と格闘して・・・紺野 大介

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1時間 25 分 ago
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