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イグス、最高110℃に耐える3Dプリント材質を開発

4ヶ月 1週 ago
イグス、最高110℃に耐える3Dプリント材質を開発kat 2024年06日18日(火) in

 イグスは、最高110℃の耐高温性を有する3Dプリンター用粉末状材質「イグリデュールi230」を開発、提供を開始した。本材質により、3Dプリント部品の適用が難しい高温環境での使用可能性が広がっている。

110℃の環境でも使用可能な粉末状3Dプリント材質「イグリデュールi230」

 

 少量生産品や試作部品を迅速にコスト効率よく製造するために、3Dプリントを利用する設計者が増えている。3Ⅾプリントの造形方法の中でも、粉末焼結積層造形(SLS)方式は強度が高く人気の方式である一方で、PA12のような標準的なSLS用材質は一般的に80℃を超える環境で使用すると寸法安定性が失われていた。

 周辺温度が高い環境でも使用できる3Dプリント製品の需要の高まりを受け、イグスでは今回、熱に強い粉末状3Dプリント材質「イグリデュールi230」を開発したもの。i230は、最高110℃の環境で長期間使用が可能で、DIN EN ISO 75 HDT-AおよびHDT-Bに準拠した外部認定機関の試験によって耐熱性が証明されている。

 i230は、耐熱性が高いだけでなく、耐摩耗性にも優れている。イグスの社内試験施設で実施した検証試験において、i230はPA12よりも約80%耐摩耗性が高いことが確認された。同時に、i230は室温での機械強度がPA12よりも約50%高く、曲げ試験では94MPaの圧力にも耐えるという結果を得ている。これにより、従来と同程度の部品強度を備えたより薄いすべり軸受などを実現でき、スペースと重量を減らすことが可能となる。

 i230はさらに、静電気散逸性(火災の原因などにもなる静電気の放電から機器を保護する)、PTFE無配合(他のイグス製材質と同様)などの特徴を有している。

 従来、3Ⅾプリント部品は耐久性や精度の制約から、産業分野においては評価試験や少量生産の用途に限られるとの理解が一般的だったが、イグスの3Dプリントサービスは以下の特徴により、最終製品としての部品製造が可能となっている。

① 高機能な素材
・摺動に特化したイグスの自社開発素材を使用
・標準的な3Dプリント用プラスチック(PLA/ABS)の最大50倍の耐摩耗性により高耐久を実現
・耐薬品性、FDA対応など、用途に合わせた特性を持つ素材を使用可能

② 高い精度
・射出成形、機械加工では難しい複雑な3D構造を加工可能
・2種類の素材をFDM(熱溶解積層法)で製作可能。複数部品で構成されていた箇所を、一つの部品に設計変更できる

③ 費用算出が簡単
・見積もりが不要、オンライン計算ツールで価格を提示(一部加工を除く)
・1個から必要な数だけ注文可能(最大10000個)
 

イグリデュールi230を使用した3Dプリント部品の例

 

 3Dプリントサービスは、オンライン上でCADデータをアップロードし、サイズや数量、表面処理などを選択するわずかなステップで注文が可能。

イグスのオンライン3Dプリントサービスについては以下で確認できる。
https://www.igus.co.jp/info/3d-print-3d-printing-service

オンライン3Dプリントサービスの利用については以下で確認できる。
https://iglidur-designer.igus.tools/model

kat

イグス、AIが無潤滑樹脂部品を提案する日本語対応アプリをリリース

4ヶ月 1週 ago
イグス、AIが無潤滑樹脂部品を提案する日本語対応アプリをリリースkat 2024年06日18日(火) in

 イグスは、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化につながる樹脂部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」の日本語対応バージョンをリリースした。AIの提案をもとに従来の金属部品を樹脂部品に置き換えることで、潤滑油が不要になり、環境負荷の低減やコストカットにつながる。

igusGO

 

 igusGO は、2023年にドイツ本国でリリースされて以降、設計者のユーザーを中心に全世界で8000ダウンロードを突破している。

 金属部品が使われる機械や設備では、部品同士の摩耗や故障を防ぐために、グリースなどの潤滑油が欠かせない一方で、年間約2220万t以上の潤滑油が水や土壌に流れ、潤滑油の環境への影響が懸念されている。

 イグスは可動部におけるすべりの技術を強みに、樹脂部品(モーションプラスチック)を提供しているが、機械や設備で使われる金属部品をモーションプラスチックに置き換えることで、潤滑油が不要になり環境への負荷を下げることができる。また、定期的に潤滑油を差す作業や、潤滑不足による機械故障のダウンタイムがなくなるため、人件費やメンテナンスコストの軽減にもつながる。

 2024年にドイツのアーヘン工科大学とイグスが発表した共同研究では、無潤滑のエンジニアリングプラスチック製すべり軸受に置き換えた場合に、年間で最大1400万ユーロ(約23億円)相当の潤滑油が不要になるという調査結果が出ているという。

 今回日本語対応バージョンがリリースされたigusGOは、環境に優しく高品質・長寿命なモーションプラスチックの活用・置き換えを、ユーザーがタイムリーかつ手軽に検討できるように開発されたアプリ。日用品から家具、自動車、農工機械、包装機械まで、可動機構を持つ幅広い対象物をAIが認識し、ベアリングやリニアガイドなど、活用・置き換えの可能性があるイグスの無潤滑部品をユーザーに提案する。用途など数項目を選択するだけで、効率的に製品や採用事例を見つけることができ、そのままWebショップでの購入もしくは問い合わせが可能。

 製品検索から、問い合わせ・購入までの流れは以下のとおり。

①アプリを用いて撮影し、用途を選択

②採用事例から製品情報を確認

③Webショップで購入、もしくはヘルプデスクへ問い合わせ

igusGO 製品検索から購入までの流れ

 

kat

東京理科大学・佐々木研究室、第21回トライボサロンをハイブリッド開催

4ヶ月 2週 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第21回トライボサロンをハイブリッド開催kat 2024年06日15日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第21回目が6月15日、東京都葛飾区の葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第21回目となる今回のトライボサロンでは、「重工業におけるトライボロジー研究と製品開発について」のタイトルで、三菱重工業・林 慎之氏を講師に話題提供が行われた。

 講演では、ガスタービン/蒸気タービンのジャーナル軸受解析や低騒音化と強度向上を両立させる歯面形状の最適化など、三菱重工におけるトライボロジー活動について紹介したほか、日本機械学会技術奨励賞を受賞した風車用トラクションドライブ増速機の開発や、博士論文のテーマだった石炭火力発電プラントという高温環境での粉体(石炭燃焼灰)エロージョン評価、可変容量ターボチャージャの開発、燃料電池車向け電動エアコンプレッサ用空気軸受の開発、水素ステーション向け液体水素昇圧ポンプの開発など、自身の研究開発事例を中心に紹介した。

 なお、トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon

kat

日本トライボロジー学会、第69期会長に江上正樹氏(NTN)

5ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、第69期会長に江上正樹氏(NTN)kat 2024年05日29日(水) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は「トライボロジー会議 2024 春 東京」の会期中の5月28日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「第68期定時社員総会」を開催した。今回は第69期役員の選任についても決議がなされ、第69期新会長にNTN 取締役の江上正樹氏が選出された。

 挨拶に立った江上新会長は、「当会では、“会員サービスの充実による会員メリットの向上”、“世界における日本のトライボロジーおよび当会のプレゼンス向上”、“学会運営の効率化と財政の健全化”という運営方針を掲げて、梅原徳次 第68期会長(名古屋大学)のリーダーシップのもとで活動してきたが、第69期も引き続き、この三つの運営方針、つまり当会の課題を踏まえて、理事の方々や事務局の支援と協力を得ながら、会員各位の意見もいただきながら、運営の改善に力を注いでいきたい。会員各位にはできる限り当会の諸活動に参加していただき、当会の活性化に向け支援・協力をいただきたい」と語った。

JASTの三つの課題を踏まえ、乾杯の挨拶を行う江上正樹JAST新会長

 

kat

NTN、H3ロケット打ち上げ成功への貢献でJAXAから感謝状

5ヶ月 ago
NTN、H3ロケット打ち上げ成功への貢献でJAXAから感謝状kat 2024年05日24日(金) in in

 NTNはこのほど、「H3ロケット」にエンジン向けターボポンプ用軸受を全数供給し、ロケットの開発と試験機2号機の打ち上げ成功に貢献した企業として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から感謝状を授与された。

 ターボポンプは、燃料の液体水素と酸化剤の液体酸素をエンジンの燃焼室に送り込む役割を果たしている。液体水素は-253℃、液体酸素は-183℃と極低温のため、ターボポンプ内のインペラ(羽根車)に使用される軸受には、潤滑剤の凍結が懸念される。加えて、インペラは高速回転するため、軸受には優れた高速回転性能が求められている。

 H3ロケットに使用されたNTNの軸受は、極低温環境下においても高い潤滑性能を発揮する独自の固体潤滑剤を採用している。また、保持器に強化ガラス繊維を用いることで高速回転時における遠心力に耐えうる強度を確保するとともに、金属製よりも軽量なセラミック製のボールを使用し、回転時のボールの遠心力を抑えることに成功した。これにより、極低温環境下においてH3ロケットのターボポンプ用軸受として、dmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))288万の高速回転を実現している。

 同社では今後も、航空・宇宙分野向けに必要な機能を備えた商品の開発・提供を通じて同分野の発展に貢献していく、としている。
 

ロケットエンジン向けターボポンプ用軸受

 

JAXAより授与された感謝状

 

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自動車技術会、第74回自動車技術会賞授賞式を開催

5ヶ月 ago
自動車技術会、第74回自動車技術会賞授賞式を開催kat 2024年05日24日(金) in in

 自動車技術会(JSAE、会長:大津啓司氏(本田技研工業))は横浜市のパシフィコ横浜で、「2024年春季大会」会期中の5月23日に「第74 回自動車技術会賞」授賞式を開催した。

 自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的として設けられ、自動車技術における多大な貢献・功績に対し贈呈されている。トライボロジー関連では今回、以下のとおり表彰がなされた。

技術開発賞
「高EGR内燃機関用高耐食低摩耗ピストンシールシステムの開発」 平山勇人氏・金子格三氏・高木裕介氏・田井中直也氏(日産自動車株式会社)、篠原章郎氏(リケン(現リケンNPR))

 カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減のためエンジン燃費改善は最重要課題。EGR率向上による排気凝縮水の増加や硫黄含有燃料により、ボア腐食環境が厳しくなっている。これらの背景から、耐食性を向上したステンレス溶射ボアを開発しが、溶射膜の表面気孔増加によるオイル消費の助長、しゅう動相手材のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜したピストンリングのアブレシブ摩耗が課題だった。

 本開発では、溶射膜組織の硬質相を低減し、表面気孔が少ないオイル消費抑制表面を形成できることを見いだした。また、DLC膜の硬度を下げることで脱落したドロップレット形状に倣って変形することにより、高耐摩耗性を実現した。ステンレス溶射ボアと低硬度DLCピストンリングの組み合わせでEGR率20%を成立し、燃費を4%向上させた。本開発での知見は、EGR率30%以上の実現、腐食環境が厳しいバイオ燃料等のカーボンニュートラル燃料の拡大に適用可能な成果であることが高く評価された。

左から、篠原氏、田井中氏、大津JSAE会長、平山氏、金子氏、高木氏

 

技術開発賞

 

「世界最高水準の伝達効率をもつ高効率固定式等速ジョイント」

 

藤尾輝明氏・船橋雅司氏・﨑原立己氏(NTN)

 カーボンニュートラルの実現に向けてCO2排出量削減が急務となる中、自動車の駆動部品である等速ジョイント(CVJ)はエンジンやモーターの動力をタイヤに伝達するための回転軸であり、高効率化の必要性が高い部品の一つである。

 そこで受賞者らは、タイヤ側に搭載される固定式CVJの従来の構造概念を大きく変え、ボールが転がる転動溝が内輪・外輪で互いに交差するとともに、隣り合う転動溝が互い違いに傾斜した独自の「スフェリカルクロスグルーブ構造」を開発した。その構造によってCVJの内部部品間に発生する力を相殺でき、世界最高水準の高効率化(従来品に対しトルク損失率を50%以上低減)と軽量・コンパクトを達成した。本技術が適用されることで、自動車の燃費・電費向上やCO2排出量削減に貢献できることが高く評価された。

左から、船橋氏、大津JSAE会長、藤尾氏、﨑原氏

 

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JSAE、長谷亜蘭氏(埼玉工業大学)をJSAEプロフェッショナルエンジニアに認定

5ヶ月 ago
JSAE、長谷亜蘭氏(埼玉工業大学)をJSAEプロフェッショナルエンジニアに認定kat 2024年05日24日(金) in in

 自動車技術会(JSAE、会長:大津啓司氏(本田技研工業))は「第18回自動車エンジニアレベル認定」において、埼玉工業大学・長谷亜蘭 准教授を「JSAEプロフェッショナルエンジニア」に認定、横浜市西区のパシフィコ横浜会議センターで開催された春季大会会期中の5月23日に表彰式を執り行った。

右から、長谷氏、大津JSAE会長

 

 自動車エンジニアレベル認定は、JSAEが自動車技術者としてのレベルを技術開発能力や実務経験から認定するもので、自己研鑽と実務経験を積んでいく上での目標となるものとして、2006年から設置した。技術者および研究者が誇りと自信を持って能力向上に取り組み、さらに広く活躍することができるよう支援している。

 審査は、自動車技術に関する「継続能力開発(CPD)プログラム」と実務経験の実績をもとに実施。技術レベルは最上位のJSAEフェローエンジニアから、JSAEプロフェッショナルエンジニア、JSAEシニアエンジニア、JSAEエンジニアまでの4段階が設けられている。

 長谷氏は今回、技術項目「トライボロジー」の業務項目「研究・教育」という専門領域について審査され、JSAEプロフェッショナルエンジニアとして認定されたもの。

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日本工作機器工業会、通常総会を開催、2024年工作機器販売額2.3%増1810億円

5ヶ月 1週 ago
日本工作機器工業会、通常総会を開催、2024年工作機器販売額2.3%増1810億円kat 2024年05日22日(水) in in

 日本工作機器工業会は5月21日、東京都千代田区の東京会館で「第32回 通常総会」を開催した。

 総会後の懇親会では、再任された寺町彰博会長(THK社長)が挨拶に立ち、2023年1月~12月(暦年ベース)の同工業会会員企業の販売額が前年同期比19.8%減の1768億3600万円だったことを報告。さらに2024年1月~12月の販売額は、工作機器の関わる工作機械や半導体製造装置、ロボットなどモノづくり関連投資が増える見通しであることから同2.3%増の1809億7000万円となる見込みであることを報告、1月の賀詞交歓会での販売額の見通しを上方修正した。

 寺町新会長はまた、「日本ではバブル崩壊以降、さらにリーマンショックを経て、リスクを把握しリスクを回避する守りの姿勢である「リスクヘッジ」に向かい、欧米、中国よりも経済回復で出遅れている感がある。今ドラマや音楽シーンで注目の集まっている昭和の時代、特に高度経済成長時代には、リスクを取る攻めの姿勢である「リスクテイク」によって劇的な成長を遂げた。人手不足なのにロボットが売れない日本はおかしい。今こそ、いかにリスクテイクによって各社が、当工業会が、産業界が成長を遂げていくかを考える必要がある」と力強く語った。

挨拶する寺町会長

 

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TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第7回 国際シンポジウムを開催

5ヶ月 1週 ago
TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第7回 国際シンポジウムを開催kat 2024年05日22日(水) in in

 トライボロジー研究財団(TTRF)と大豊工業は4月17日、名古屋市の名古屋国際会議場で「TTRF-TAIHO International Symposium on Automotive Tribology 2024」を開催した。

開催のようす


 

 「トライボロジーの自動車社会への貢献」を全体テーマに掲げる同シンポジウムは、トライボロジー研究の進展と自動車技術への応用等に関しトップレベルの情報を交換するとともに、この分野での産学連携の現状と将来の可能性を示しその強化を図ることを目的に、2016年から開催されている。7回目となる今回は 、「Prospects for Powertrain "Lubricants" Facing Carbon Neutrality(カーボンニュートラルに向けてパワートレーンの「潤滑剤」を考える)」のテーマのもとで、基調講演のほか、潤滑剤の最新の研究開発に関する二つの技術セッションが行われた。

 開会の挨拶に立った新美俊生 実行委員長(大豊工業社長)は、大豊工業が曾田範宗氏や木村好次氏をはじめとするトライボロジー研究の第一人者の指導を受けながらトライボロジーをコア技術としてマイクログルーブ軸受や樹脂コーティング軸受といった先進エンジンベアリングを世に送り出してきたことや、同社が多くの恩恵を受けてきたトライボロジーの研究開発支援と啓蒙に寄与する目的でTTRFを2000年に設立し、以降、多数のトライボロジーの研究テーマに対し累計230万USドルの助成を行っていることを報告した。また、学界と産業界のコラボレーションの強化によって一層のトライボロジー研究の活性化を支援していく目的で2016年から本シンポジウムを開催していることを紹介。自動車業界の大変革期にあって電動化、サステナビリティ、SDGsなどトライボロジーの諸課題が厳しさを増す中で、産学連携の強化によるトライボロジー技術の一層の高度化が課題解決に寄与できるとの観点から、「本日のシンポジウムにおいても、学界と産業界の両者の活発なディスカッションを通じて、トライボロジー研究開発の促進につながることを期待している」と述べた。

挨拶する新美実行委員長


 

 続いて、Kenneth G. Holmberg氏(TTRF Director)をチェアマンに、以下のとおり基調講演が行われた。

・「Materials and Lubrication Challenges for a Sustainable Electric Vehicle Mobility: Recent Progress and Future Prospects」Ali Erdemir氏(Texas A&M University)…電気自動車(EV)の販売台数が2022年に1000万台に到達し、2040年までに6000万台が見込まれるなど市場が拡大している背景として、内燃機関(ICE)車に比べエネルギーロスが少なく環境への負荷が少ない点などを説明。ICE車からEVへの切り替えが急速に進む一方で、EVが今後自動車のメインストリームを走り続けるには、バッテリー、モータ、ドライブトレーン部品などの性能、効率、信頼性をより高める必要がある。EVのトランスミッションおよびギヤボックスに使われる潤滑や材料への要求性能はICE車における要求性能とは極めて異なるため、EVにおいては潤滑に用いられるフルードや材料の強化、熱マネージメントの強化がより求められる。EVの安全・円滑な長距離走行を実現するには、優れた潤滑性、高い耐摩耗性・耐食性・耐接触疲労特性に加えて、熱・電気特性を満足させる潤滑剤の開発が急がれる。高トルク・高速・高温といったより過酷なEVの運転状況から、既存の潤滑油ではEVの信頼性要求・熱マネージメント要求を満たせない。EVの潤滑剤ではまた、極低温~高温の急激に変化する運転条件・環境条件において電気特性やドライブトレーンの材料との適合性にミートしなくてはならない。EVの電流/電圧が変動し頻繁に放電が発生する状況での、しゅう動二面の高いトルク、高い荷重、高速、高温に対して、フルード粘度の最適化や既存のパッケージ添加剤のカスタム化も要求される。EVにおいてはトライボロジー課題と熱・電気的課題を同時に解決する材料・潤滑油ソリューションを確立する必要がある。本講演では、EVのしゅう動部品の摩擦、摩耗、潤滑に関わる課題について紹介したほか、 効率や熱・酸化安定性、材料適合性、摩耗特性などを改善可能な水系の低粘度多目的潤滑油基油などのフルードを紹介した。また、熱的・電気的に負荷がかかる条件下において、摩耗や疲労、酸化などへの耐性を高めるための機能性添加剤やトライボ材料、DLC(水素含有および水素フリー)などのコーティング/表面改質技術などについての実験データを示した。最後に次世代EVの効率や耐久性、環境適合性などに合致するナノマテリアルなどを紹介した。


 続いて村上靖宏氏(技術オフィス・村上)をチェアマンに、「潤滑剤の研究・開発1」のセッションが以下のとおり行われた。

・「Development of Novel Film Forming Additive Contributing to Improving Efficiency of Electric Vehicles」中村俊貴氏(ENEOS)…潤滑油はEVのe-Axleとドライブトレーンにおいて重要な要素で、潤滑油の低粘度化は弾性流体潤滑(EHL)下のマイルドな運転条件においては効果的な一方で、混合潤滑下のシビアな運転条件においてはネガティブな効果をもたらす。つまり、効率改善には、シビアな運転条件でのフリクションロスを低減させることが重要である。本講演では、開発したEVフルードに最適な新規摩擦低減剤(FM)が、特にシビアな運転条件での減速ギヤの摩擦を効果的に減らせたことを報告。MTM (Mini Traction Machine)とe-Axleギヤボックスを用いた実験によって、開発した新規FMが混合潤滑条件で摩擦を低減し、ギヤボックスの効率を改善したことを確認した。同FMの作用メカニズムを究明するために、油膜厚さを調べた結果、同FMが油膜厚さを劇的に増やす効果を有することが分かった。

・「Mechanism of Low Friction of Fullerene Added Oil Under Boundary/ Mixed Lubrication」本田知己氏(福井大学)…ZnDTPは潤滑油において酸化を防ぐ酸化防止剤として使われているが、高い環境負荷からZnDTPの使用を避ける傾向にあり、新たな多機能添加剤が求められている。この新しい多機能添加剤として、フラーレンが注目を集めている。フラーレン添加オイルが実際の装置で使われる際には、フラーレンが潤滑油の酸化反応を阻害するメカニズムを解明することが重要になる。本講演では、フラーレンの酸化防止メカニズムを解明するために、フラーレンの酸化防止機能が作用した後のフラーレン反応物の摩擦摩耗特性を評価。フラーレンの反応物が摩擦と摩耗を低減することが明らかになった。オイル中など溶媒中でのフラーレンの存在状態を確認するため、FE-SEM を用いて観察した結果、フラーレンが層状の集合体を形成していることが認められた。本研究によって、酸化防止機能に加えて酸化防止機能作用後のフラーレンの反応物が低摩擦・低摩耗の発現に寄与することから、フラーレンが多目的添加剤として高い可能性を有していることが示された。

・「Lubrication of Electric Powertrain: A Method to Predict Friction in the Mixed and Boundary Regimes」Ian Sherrington氏(University of Central Lancashire)…本講演では、EVパワートレーンの潤滑と冷却に用いられるフルードの主な要求特性について概要を示したほか、EVフルードの主な特性を評価するための最近の利用可能な試験手法について紹介した上で、メインとなる、混合・境界潤滑領域での潤滑のモデリングに関する課題について論じた。TTRF助成のもとJost Institute for Tribotechnologyで開発されたシンプルな手法を、基油、潤滑油、さらには摩擦低減剤や耐摩耗剤などの添加剤のための摩擦のモデル化に適用。本解析手法は、計測された摩擦係数を正規化し、それら数値を確立されたラムダ比(最小油膜厚さ/合成表面粗さ)へとプロットできる。事例では、種々の潤滑剤の摩擦係数データから、境界潤滑領域および混合潤滑領域における信頼性の高い摩擦の予測を行うために使用できる「マスターカーブ」が描けることを紹介した。

 さらに、平山朋子氏(京都大学)をチェアマンに、「潤滑剤の研究・開発2」のセッションが以下のとおり行われた。


・「Development of Transaxle Lubricating Oil for Electrified Vehicles」床桜大輔氏(トヨタ自動車)…自動車業界は、CO2排出量削減と地球温暖化防止を目的に電動車の開発を加速しており、電動車の電費向上は重要な技術的取り組みとなる。トランスアクスルでの損失の削減は、すべての電動車の効率を向上させる効果的な方法で、この目標を達成する効果的な方法の一つが、トランスアクスルフルードの粘度を下げることである。しかし通常、粘度を下げると金属しゅう動面の潤滑油膜厚さが不足し、摩耗や焼付きなど、耐久性の問題が生じる。本講演では、粘度低下による悪影響に対処するため、将来の電動車両の普及を見据え、電動車専用の潤滑油の新しい添加剤配合を設計した結果、従来のフルードに比べて粘度を50%低減しながらユニットの耐久性を確保した新しいトランスアクスルフルードが完成した事例を紹介した。この新しいトランスアクスルフルードにより、HEVのテストサイクル走行条件下での燃費を1.0%以上向上させるとともに、電動車トランスアクスルの重要な要素であるモーターの冷却性能を向上させることができると総括した。


・「Improvement of Performances of Lubricants Applied to Transaxles in Electric Vehicles」巽 浩之氏(出光興産)…CO2排出量削減のため、電気自動車用トランスアクスル(E-Axle)を搭載した電気自動車の普及が期待されている。E-Axle用潤滑剤にはさまざまな性能、特にユニットの保護と効率向上の観点から最も重要な、モーターの冷却とギヤやベアリングの保護性能が求められる。本研究では、これらの特徴を詳細に調査。モーターの冷却性能については、独自の試験機を設計・評価した結果、モーターの冷却性を向上させるためには、動粘度を下げ、熱伝達率を高めることが重要であることが分かった。さらに、ギヤ&ベアリング試験機による評価の結果、適切なリン系添加剤を使用することで接触面を制御でき、ギヤやベアリングの保護性能が向上することが分かった。本研究の結果、基油と耐摩耗剤を適切に選択することで、モーターの冷却性能とギヤやベアリングの保護性能に優れたE-Axle用潤滑剤を設計できることが分かった。

・「Development of Ionic Liquids (ILs) as Lubricant Additives and Control of Lubricating Properties of ILs」川田将平氏(関西大学)…イオン液体はその優れた物性から、新たな潤滑剤として期待されている。イオン液体の潤滑性能は、実験室レベルの実験において、特定の条件下で低摩擦・低摩耗を示すことが知られている。しかし、多くの潤滑システムが限界性能を追求しようという高いレベルに達しているため、イオン液体はフィージビリティスタディ(実現可能性調査)の段階から脱却できない状況にあり、イオン液体の新たな用途が必要とされている。本講演では、潤滑油添加剤としてのイオン液体の応用と摩擦制御システムへの応用について紹介。摩擦制御システムにおいて、イオン液体の電気二重層構造に着目し、境界潤滑領域における摩擦係数の安定化を目指した研究を行っていることを報告した。

kat

ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2024年5月号「特集:カーボンニュートラルとbmt」「キーテク特集:潤滑油剤・添加剤」発行!

5ヶ月 1週 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2024年5月号「特集:カーボンニュートラルとbmt」「キーテク特集:潤滑油剤・添加剤」発行!admin 2024年05日22日(水) in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第48号となる2024年5月号が5月24日に小社より発行される。

 今号は「特集:カーボンニュートラルとbmt」、「キーテク特集:潤滑油剤・添加剤」で構成。特集「カーボンニュートラルとbmt」では、洋上風力発電、核融合発電、カーボンニュートラルポート実現のための停泊船への陸上電力供給など次世代エネルギーの動向とそれらを支えるbmt関連技術を広く紹介する。

 また、キーテク特集「潤滑油剤・添加剤」では、バイオマスバランス潤滑油剤によるカーボンニュートラルへの貢献や高性能基油に基づく処方による製品フットプリントの低減、振動摩擦摩耗試験機を用いた潤滑油状態監視技術などについて紹介する。

 

特集:カーボンニュートラルとbmt

◇加速する風力へのエネルギーシフト・・・日本風力エネルギー学会 松信 隆

◇カーボンニュートラルポートの形成に向けた陸上電力供給向けケーブル管理システム(CMS)の特長と適用・・・igus Martin Tiling 氏、イグス 山下 茂樹 氏、北嶋 大樹 氏 に聞く

◇核融合発電を支える加速電源の開発とビジネス展開・・・東京電子 黒岩 雅英 氏に聞く

◇直接潤滑方式LEGスラスト油膜軸受の特長と適用・・・木村洋行 北澤 潤 氏、足立 健太 氏、横田 雅也 氏に聞く

◇カーボンニュートラルに貢献する急冷焼入れ油の開発と適用・・・出光興産 山本 徹朗

キーテク特集:潤滑油剤・添加剤

◇潤滑油業界のサステナビリティニーズに対応した温室効果ガス排出量の低い潤滑油コンポーネント ・・・BASF Sabrina Stark、Frank Rittig、Edith Tuzyna、Xiao Wang、Naohisa Nakagawa

◇自動車ドライブトレイン用フルードの新しい基油技術・・・エボニック ジャパンに聞く

◇トライボ的数値を用いた潤滑油状態監視の判断基準・・・MATRILUB M. Woydt、Optimol Instruments A. Schneider、Novotny-Farkas、訳:パーカー熱処理工業 佐藤 雅之

連載

注目技術:第42回 灯台回転機械の開発・改良・保守などの試験研究の取り組み・・・海上保安試験研究センター

あるコスモポリタンの区区之心 第18回 宇宙は生命で満ち溢れているか・・・紺野 大介

トピックス

日本滑り軸受標準化協議会、第38回総会を開催

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NTN、同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受を開発

5ヶ月 1週 ago
NTN、同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受を開発kat 2024年05日22日(水) in in

 NTNは、電気自動車(EV)などの駆動源として使用される同軸e-Axle向けに、大径サイズで標準品比2倍以上となるdmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))150万の高速回転性能と標準品比50%以上の低トルク化を実現するとともに、耐電食性も兼ね備えた大径深溝玉軸受を開発した。dmn値150 万の高速回転性能と低トルク性により、同軸e-Axleの一層の小型・軽量化、高効率化と、EVの航続距離の延長に貢献する。

 同社ではEV用同軸e-Axle のモータ向けに本軸受の提案を進め、2027年度に20億円/年の販売を目指す。

同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受

 

同軸e-Axleにおける大径深溝玉軸受の適用部位

 

 近年、EVの航続距離の延長を目的に、小型・軽量な駆動源として同軸e-Axleが注目を集めている。同軸e-Axleはモータと遊星歯車減速機から構成され、減速機の出力軸がモータ軸の内径を貫通する構造のため、使用されるモータ支持用軸受は平行軸e-Axleに使用されるものと比べて、軸受内径が50~90mmの大径サイズとなる。

 EVのさらなる航続距離の延長に向け、同軸e-Axleはより一層の小型・軽量化と高効率化が進むことが予想されるが、その実現のため同軸e-Axle用の大径サイズの軸受にはモータの高出力化への対応や低トルク化、電食(モータからの漏洩電流でスパークが発生し、軌道面が溶融しはく離などの損傷につながる現象)への対応が求められる。

 こうした課題を解決すべく開発した同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受の特長は、以下のとおり。

・高速回転性能:使用する転動体(ボール)の個数および保持器のポケット数を削減することで、高速回転時に保持器にかかる遠心力を低減することに成功。また、保持器について、形状を工夫したほか必要な強度に合わせた最適な材質を採用することで、高速回転時の遠心力による保持器の変形を最小化。これらにより、軸受内径50~90mmの大径サイズの軸受において標準品比2倍以上となるdmn値150万を実現した

・低トルク性:使用するボール個数を削減することで、標準品比で50%以上の低トルク化を実現

・耐電食性:絶縁体であるセラミック製のボールを使用することで、電食の発生を防止

同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受の構造

 

標準品との比較

 

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NTN、EV向けに高効率・低振動ドライブシャフトの提案を開始

5ヶ月 1週 ago
NTN、EV向けに高効率・低振動ドライブシャフトの提案を開始kat 2024年05日21日(火) in in

 NTNは電気自動車(EV)向けに、高効率固定式の等速ジョイント(CVJ)「CFJ」と低振動しゅう動式のCVJ「PTJ」の組み合わせにより、世界最高水準の高効率・低振動を実現したドライブシャフトの提案を開始する。高効率やNVH(騒音・振動・ハーシュネス)などが求められるEVに対して本商品の提案・適用を進めることで、EVの航続距離の延長と乗り心地の向上に貢献していく。

高効率固定式等速ジョイント「CFJ」(左)と低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」(右)

 

高効率・低振動ドライブシャフトの構造

 

 ドライブシャフトは、モータなどパワートレインユニットの動力(トルク)をタイヤに伝える部品で、タイヤ側の固定式CVJとパワートレイン側のしゅう動式CVJ、これらをつなぐシャフトで構成される。

 近年、開発・普及が進むEVは、航続距離の延長を目的に省電費化が進められているが、大型バッテリーの搭載や居住空間の確保を目的とした駆動ユニットのレイアウト変更に伴い、ドライブシャフトの搭載角度(CVJの取り付け角度)が大きくなるとトルク損失率が増加する傾向にあり、大きな取り付け角度においてもトルク損失率の低減が求められている。また、動力がモータに置き換わることでさらに自動車の静粛性が進み、ドライブシャフトのNVH改善ニーズが高まっている。

 同社ではこうしたニーズに対応し、高効率固定式CVJ「CFJ」と低振動しゅう動式CVJ「PTJ」を組み合わせたドライブシャフトをEVに最適な商品として提案する。

 CFJはトルク損失率の低減(高効率)において、PTJは振動につながるスライド抵抗の低減において、それぞれ世界最高水準の性能を誇るCVJで、これらを組み合わせることで、EVの航続距離の延長と低振動・静粛性といった特有のニーへの対応が可能となる。

 同社従来品から、CFJとPTJを組み合わせたドライブシャフトに置き換えた場合、トルク損失率を70%以上低減することが可能で、電費は3.19%の改善効果が得られる。なお、エンジン車におけるCO2排出量削減効果は1.71g/kmとなる。

 高効率・低振動ドライブシャフトはすでに一部のSUV向けに量産を開始しており、現在、電動車向けでも多数の引き合いがあるという。同社はリヤ用小型・軽量ドライブシャフト「Rシリーズ」や小型・軽量を特長とするCVJの「Eシリーズ」に加えて、EVやハイブリッド車(HEV)など電動車向けに航続距離の延長や乗り心地の向上に貢献する高付加価値商品として、本商品のグローバルでの提案を加速していく。

 CFJは従来の基本構造を大きく変え、内部部品にかかる力を相殺する独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」を採用した固定式CVJ。本構造の適用により、トルク損失率を従来品比で50%以上低減、さらに高作動角時においてもトルク損失率の増加を大幅に抑えることが可能。世界最高水準の高効率で、国内外の自動車メーカー向けに多数の採用実績を持つ。

高効率固定式等速ジョイント「CFJ」の構造

 

低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」の構造

 

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NTN、自動車駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術を開発

5ヶ月 1週 ago
NTN、自動車駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術を開発kat 2024年05日20日(月) in in

 NTNは、新たな特殊熱処理技術「HA-C」を開発、本技術により軸受の業界最高水準の高負荷容量化を実現したことで、従来よりも小型・軽量な軸受への置き換えを可能としている。本技術はまた、従来の熱処理技術では困難であった高温寸法安定性、耐異物性、耐摩耗性も高水準で両立、電気自動車(EV)用e-Axleをはじめとする自動車向け駆動装置の小型・軽量化と省エネルギー化に貢献する。

 同社ではEV用e-Axle減速機向けやHEV用減速機向けなどにHA-C適用軸受の提案を進め、2030年度に10億円/年の販売を目指す。

特殊熱処理技術「HA-C」の適用により軸受の小型・軽量化を実現
深溝玉軸受6306(大)に適用した場合、深溝玉軸受6206 (小)への置き換えが可能

 

 環境負荷低減を背景にEVやハイブリッド車(HEV)は、航続距離の延長が求められており、e-Axleや減速機などの駆動装置の小型・高速回転化や潤滑油の希薄化による省電費・燃費化が進んでいる。そのため、高負荷容量化と低フリクション化を同時に実現する玉軸受が求められている。また、高速回転環境下では発熱や摩耗が増えるため、その転がり軸受には経年寸法変化率の低減や摩耗の抑制が求められる。

 同社が今回開発した特殊熱処理技術HA-Cは、設計面での軸受形状の変更は必要なく、一般的な鋼材に特殊な熱処理技術を適用することにより、業界最高水準の高負荷容量化を実現する。本技術は材料に硬く微細な析出物を多数分散させるなどの手法により、非常に高い表面硬さと高負荷容量化を実現。本技術を適用した転がり軸受は、自動車向け駆動装置などの過酷な使用環境に対応できる。

 同社標準軸受と比較した、開発技術の特長は以下のとおり。

・高負荷容量:静的負荷容量が2倍、重荷重条件における転動疲労寿命が7倍以上に向上。高負荷容量化により、小型・軽量な転がり軸受への置き換えが可能(置き換え例:軸受外径・幅ともに約13%小型化、約45%軽量化)

・耐異物性:転がり軸受が異物を嚙みこんだ際に生じる圧痕周縁の盛り上がり量を1/2に低減し、異物混入潤滑下における転動疲労寿命が3倍に向上

・高温寸法安定性:環境温度150℃での経年寸法変化率が1/2以下に抑制

・耐摩耗性:摩耗量が1/300以下に低減

圧痕形成性(静的負荷容量)試験結果
3/8インチ窒化ケイ素球で付与した圧痕形状
(最大接触面圧:5.5GPa、左:HA-C適用品、右:標準品)
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イグス、ハノーバーメッセ2024でPTFEフリー軸受材質など247点を新提案

5ヶ月 1週 ago
イグス、ハノーバーメッセ2024でPTFEフリー軸受材質など247点を新提案kat 2024年05日17日(金) in

 イグスは、4月22日~26日にドイツ・ハノーバーで開催された「ハノーバーメッセ2024」に出展、“Go Zero Lubrication”(GO!潤滑剤ゼロ)をメインテーマに経済合理性や環境負荷の軽減効果を示しながら、247点に及ぶ新製品・新提案を含む潤滑剤不要のモーションプラスチック製品(可動部向け樹脂部品)を紹介した。

展示ブースのようす

 

 60年にわたるモーションプラスチックの専門知識と、数十万件の製品テストデータを活用し、世界中で費やされている潤滑油コスト(年間約2400億ドル)とそのメンテナンスコスト(少なくとも年間約2000億ドル)、さらに潤滑不足による機械のダウンタイムで発生するロス(年間約7500億ドル)の削減に寄与できることをアピールした。

 ハノーバーメッセ2024で初披露した247点のうち、主なベアリング関連の新製品・新提案は以下のとおり。


土壌を汚染しない高荷重用ベアリング

 従来製品からさらに費用対効果が高い「イグリデュールQ2LW」や、均質な層構造で内径・外径ともに加工が容易な「イグテックスTXH」などの高荷重用途向けベアリング製品を展示。野外で使われる建設機械、クレーン、農業機械向けで、無潤滑のため土壌を汚染しない高負荷ベアリングの製品ラインアップを拡充している。

土壌を汚染しない高荷重用の無潤滑ベアリング

 

PTFEフリーのすべり軸受材質

 PFAS(有機フッ素化合物)対策から使用規制が進むPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いない、無潤滑すべり軸受材質「イグリデュール」製品を数多く展示。「イグリデュールJPF」は、PTFEを使用せずに実績のあるイグリデュールJと同等のスペックを実現。また、静電気対策が必要な用途に適した「イグリデュールFPF」、FDA(アメリカ食品医薬品局)の基準に準拠し優れた摺動性と耐摩耗性を持つパウダー状のコーティング素材「イグリデュール IC-05PF」などを発表し、実製品を展示した。

PTFEフリーのイグリデュール材質

 

WPC製旋回リングベアリング

 木材と高性能プラスチックを50%ずつ含んだ複合材料「WPC」を使用した無潤滑の旋回リングベアリング「イグリデュールPRT」を展示した。強度と耐久性を実現しつつ費用対効果が高く、CO2排出量を抑制できる。

WPC製旋回リングベアリング「イグリデュールPRT」

 

効率的な無潤滑化を支えるAIソリューション

 「igusGO」は、既存の機械やアプリケーションの画像を撮影するだけで、AIが無潤滑化のためのイグス製品を提案し、コスト削減の可能性を示す画像認識アプリ。アプリからそのままショップにアクセスして、詳細情報の確認や注文、問い合わせが行える。
2023年秋のリリース以来、世界中のユーザーに活用されているが、今回、igusGOに新たにAIチャット機能と、節約可能な潤滑剤の計算機能を追加した。画像認識でアプリケーションが見つけられない場合もAIに質問することで回答を得ることができるほか、計算機能では削減できる潤滑剤とメンテナンスコストを参照できる。
本アプリの日本語対応版は本年5月末にリリース予定で、6月19日~21日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「第29回 機械要素技術展 [東京]」ではブースでigusGO体験コーナーを設ける。

効率的な無潤滑化を支える画像認識アプリ「igusGO」

 

状態監視データをオールインワンで管理可能な通信モジュール

 予知保全を目的としたイグスの状態監視システムi.Senseが検知したデータを、データ管理システムsuperwiseにシームレスに伝送する通信モジュール「superwise iComm box」を発表した。iComm boxが、superwiseへの高速で信頼性の高いデータ伝送を可能にする。superwiseは、ユーザーフレンドリーなダッシュボードでリアルタイムのデータを監視・制御できるだけでなく、シャットダウンが発生した場合にイグスに通知が行き部品を迅速に案内できる、すべての測定値レポートを後々の診断時の評価に利用できる、などの利点を持つ。ユーザーの装置の運転プロセス最適化と不測のダウンタイムの最小化を実現する。

状態監視データをオールインワンで管理可能な通信モジュール「superwise iComm box」

 

すべり軸受製品の最長4年保証をドイツ本国で適用開始

 イグスはこれまで、膨大な件数のテストにより可能になった製品寿命計算をベースに可動ケーブル「チェーンフレックス」に関し製品保証期間を最長3年から4年に延長するなどのサービス拡充を進めてきたが、今回の展示会では、ベアリングやリニアガイド、3Dプリント部品を含む「ドライテック」製品に関しても、最長4年の保証期間を提供することを発表した。オンラインツールで用途や素材を選択して算出される耐用年数(最長4年)の保証を受けることができる。

 イグスは、4年保証製品の幅を広げることにより、ユーザーに安心と安全を提供すると同時に、長寿命な製品を供給することによってサステナビリティに貢献していく。

最長4年保証をドイツ本国で適用開始したドライテック製品

 

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NTN、EV向け耐電食軸受のラインアップを拡充

5ヶ月 1週 ago
NTN、EV向け耐電食軸受のラインアップを拡充kat 2024年05日17日(金) in in

 NTNは、電気自動車(EV)の駆動源であるe-Axle向け軸受として、導電性に優れたゴムシールの採用によりEDM電流(放電電流)による電食への対策を施した導電軸受を開発した。

EDM電流による電食への対策を施した導電軸受

 

 同社では、モータ内の循環電流による電食対策のための既存の絶縁アイテムと合わせて、e-Axle用軸受特有の課題となる電食対策品のラインアップ拡充により、e-Axleのさらなる高性能化と普及に貢献する。

 軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織の溶融が進行すると縞状の凹凸などの損傷(電食)につながることから、モータ支持用軸受には電食対策が求められている。

 モータ支持用軸受で対策すべき電流には、モータ軸を通過するEDM電流とモータ内を循環する循環電流の2種類がある。EDM電流はモータ運転時にモータ軸に電圧変動が生じることにより発生する電流で、循環電流はインバータ制御のために電源のオン・オフが繰り返された際にモータ内に電流が漏れ出すことで発生する。これらの電流が軸受の軌道面に通電すると電食の発生につながる。

 循環電流の対策には、軌道面への通電そのものを抑制する絶縁アイテムが有効である一方、モータ支持用軸受を絶縁しても、EDM電流は減速機側に流れて減速機の軸受を損傷させる可能性がある。そこで、EDM電流をモータのハウジング側に流すために、導電アイテムを併用することが有効となる。

モータ内を通過する循環電流とEDM 電流

 

 同社は今回、EDM電流への対策として、導電軸受を新たに開発した。本開発品は導電性に優れたゴムシールを適用し、電流がゴムシールを介して通ることにより、軸受軌道面への通電による電食の発生を低減させる。軸受に導電ブラシなどの別の導電部品を取り付ける対策方法に比べて、軸受の構成部品そのものに導電性を持たせることで、省スペース性に優れる。

導電軸受の構造

 

 同社はこれまで、循環電流対策としては、絶縁体であるセラミック製の転動体を使用した軸受や、軸受の外輪外径や幅面に絶縁被膜加工を施した「絶縁被膜付き軸受」、軸受の外輪外径面と幅面に樹脂絶縁層を射出成形した「樹脂モールド絶縁軸受」などの絶縁アイテムを開発してきた。今回、EDM電流を対策する導電アイテムを開発したことで、e-Axle用軸受として対策が求められるすべての電流への対応が可能となる。

耐電食軸受のラインアップ

 

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NTN、e-Axle向け樹脂モールド絶縁軸受を開発

5ヶ月 1週 ago
NTN、e-Axle向け樹脂モールド絶縁軸受を開発kat 2024年05日17日(金) in in

 NTNは、EV(電気自動車)の駆動源であるe-Axle向けの耐電食軸受「樹脂モールド絶縁軸受」を開発した。軸受の外輪外径面と幅面に樹脂絶縁層を射出成形することで、耐電圧1000V以上の絶縁性により電食の発生を抑制し、EVバッテリーの高電圧化に対応する。温度変化に対して十分な強度を持つ樹脂材料の選定や成形方法の最適化により、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性も実現した。

 同社ではEV・HEV(ハイブリッド車)用e-Axle(モータ、減速機)向けに提案を進め、2025 年度に10億円/年の販売を目指す。

樹脂モールド絶縁軸受

 

 近年、自動車市場では環境負荷の低減を目的に、EVの開発・普及が加速している。EVの駆動源であるe-Axleに使用される軸受には、モータからの漏洩電流による電食への対策が求められている。

 同社はこれまで、絶縁体であるセラミック製の転動体を使用した軸受や、軸受の外輪外径面や幅面に絶縁被膜をコーティング加工した「絶縁被膜付き軸受」を耐電食軸受として開発・提供してきた。耐電食軸受には、耐電食性、低トルク、放熱性など複数の機能が求められるが、車両設計に基づく軸受の使用環境の違いなどから、各機能に対する要求値は多様化している。同社はこうしたユーザーの多様なニーズに対応するため、今回、樹脂モールド絶縁軸受を開発したもの。

 開発品の特長は以下のとおり。

・耐電食性:軸受内部への電流通過を低減する絶縁性に優れた樹脂を軸受の外輪外径面と幅面に射出成形することで、耐電圧1000V以上の絶縁性を実現。今後増加が見込まれるバッテリー電圧800Vにも対応する(e-Axle用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定される)

電食試験後の外輪軌道面(左:開発品、右:標準品)
標準品では電食特有の波板状の損傷が発生

 

・耐久性:樹脂と金属では温度による膨張・収縮量に差があり、温度変化によって樹脂に亀裂が生じる可能性がある。そのため、広範囲な温度変化においても必要な強度を維持する樹脂材料を使用するとともに、樹脂絶縁層全体に十分な強度を持たせる成形方法を採用することで、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性を実現した

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NTN、低フリクションハブベアリングのシリーズを拡充

5ヶ月 1週 ago
NTN、低フリクションハブベアリングのシリーズを拡充kat 2024年05日17日(金) in in

 NTNは、「低フリクションハブベアリング」シリーズとして、低トルクシール塗布グリースを適用した「低フリクションハブベアリングⅣ」と、さらに低トルク軸受内部グリースを適用した「低フリクションハブベアリングⅤ」を開発した。低フリクションハブベアリングⅤ単体で、2030年度に45億円/年の販売を目指す。

低フリクションハブベアリング

 

 同社では、従来品比で回転フリクションを最大で約64%低減し、約0.75%の電費改善を実現するこれら商品をグローバルでユーザーに提案し、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)をはじめとする各種車両の省燃費・電費化に貢献していく。

 同社はタイヤの回転を支えるハブベアリングとして、寿命や強度などの基本性能を満たした上で回転フリクション(摩擦)を低減する「低フリクションハブベアリング」を2009年に開発した。以来、インナーシールへのラビリンス構造(すきま)の設置によるシールリップ部の削減や、各種グリースの低粘度化などの改良により低フリクション化を追求し、低フリクションハブベアリングシリーズとしてグローバルに提供してきた。本シリーズはその低フリクション性能が高く評価され、数多くの車種に採用され、自動車の省燃費・電費化に貢献している。

 一方、脱炭素化社会の実現に向けて、EVの開発・普及が加速する中で、航続距離の延長を目的にあらゆる面で省電費化が進められており、ハブベアリングにもさらなる低フリクション化が求められている。こうしたニーズに対応するため、同社は2023 年に従来のシリーズ商品にさらなる改良を加えた「低フリクションハブベアリングⅣ」を、そして今回新商品として「低フリクションハブベアリングⅤ」を開発した。

 低フリクションハブベアリングⅣは、アウターシールおよびインナーシールに新開発の低トルクシール塗布グリースを適用。グリースの基油を低粘度化したほか、基油を半固体状に保持する増ちょう剤を微細化することで、基油の保持力を下げずに増ちょう剤量を削減することに成功し、グリースのさらなる低粘度化を実現した。これらの改良により、シール回転時のグリースによる抵抗を抑え、走行時における回転フリクションを低減している。

 低フリクションハブベアリングⅤは、低フリクションハブベアリングⅣの軸受内部に、新開発の低トルクグリースを適用。本グリースは、基油の低粘度化と増ちょう剤の微細化によるグリースの低粘度化を図る一方で、軸受回転時にボールによって掻き取られたグリースが軌道面に再流入しないようグリース硬さ(ちょう度)を最適化することで、低フリクションハブベアリングシリーズの仕様を適用していない従来品に比べ、最大約64%の低フリクション化を実現している。これらにより、従来品比で電費を約0.75%改善(同社計算に基づいて算出。ミディアムセグメントEV 車のカタログ値をベースに算出した場合)し、一回の給電により航続距離を3km延長(一充電走行距離400kmのEV車で算出した場合)することが可能となる。

新開発技術

 

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三洋貿易、6/7、6/14、7/5、7/26、トライボロジー試験評価法をテーマに講座を開催

5ヶ月 2週 ago
三洋貿易、6/7、6/14、7/5、7/26、トライボロジー試験評価法をテーマに講座を開催kat 2024年05日15日(水) in

 三洋貿易は、東京理科大学の佐々木信也教授を講師に、トライボロジーに関わる試験評価法をテーマに、基礎から応用まで現場で役立つ実践講座「トライボロジーの基礎」を6月7日、6月14日、7月5日、7月26日の4日程でハイブリッド開催する。

 リアル参加の会場は東京理科大学 葛飾キャンパス4F 第3会議室(JR常磐線金町駅より徒歩10分)。参加は無料で、会場での定員は各回20名。参加申し込みは、こちらまで。

 実機を用いたサンプル測定やデータの解析および解釈、そしてメカニズム解明のための機器分析の利用方法などについて、現場で役立つ実践的な講座を上記日程の4回シリーズで開催する。具体的には、毎回座学(90分)と実演・実習(90分)を行う。

 座学はオンラインでの聴講も可能。実演・実習では、最新の各種摩擦試験装置、表面形状機器、インデンター・スクラッチ試験機を使用する。また各回とも、個別技術相談にも対応する。

 プログラムは以下のとおり。

6月7日

 

6月14日

 

7月5日

 

7月26日

 

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イグス、5月28日14時~陸上電力供給設備における船舶への接続とソリューションをテーマに無料ウェビナーを開催

5ヶ月 2週 ago
イグス、5月28日14時~陸上電力供給設備における船舶への接続とソリューションをテーマに無料ウェビナーを開催kat 2024年05日15日(水) in

 イグスは5月28日14時から、「陸上電力供給設備における船舶への接続とソリューション」をテーマに無料ウェビナーを開催する。世界中の港湾で実績を持つイグスのケーブル管理ソリューション(陸電コンセントと船舶を接続する機器)について、国内のプロジェクト事業責任者である同社・山下茂樹氏が説明を行う。ウェビナー登録の申し込みはhttps://www.igus.co.jp/webinar_offshore2024から。

 国交省による国内のカーボンニュートラルポート(CNP)形成計画が加速する中で、停泊中の船舶からのCO₂排出量削減に大きく寄与する「陸上電力供給」は、CNP形成のための柱の一つとなっている。
欧米やアジアの主要港では、すでに停泊中の電力供給方法はディーゼルエンジンによる発電から陸上電力供給への転換が進んでおり、国内各港でも導入が検討されている。

 イグスは、陸上電力供給設備に欠かせないケーブル管理システムを提供しており、2016年以降ノルウェーやバーレーン、ドイツなど世界で15港以上に製品が導入されるなど、世界トップクラスの実績を持つ。国内では、海外先進事例で培ったノウハウと樹脂部品メーカーとしての強みを生かしたケーブル管理システムの性能が評価され、2022年4月に日本初の陸上電力供給設備(EVタンカーに高速充電するための陸上電力供給設備(EV船用給電ステーション)としては世界初)が誕生した川崎港で、イグスのケーブル管理システムが採用された。川崎市は陸上電力供給設備の導入によって、1隻あたり年間約365tのCO₂(一般家庭約250世帯分の年間消費電力量相当)削減が可能になると試算している。

 本ウェビナーは、陸上電力供給分野で実績とノウハウを持つイグスのプロジェクトリーダーである山下茂樹氏が、ケーブルマネジメントのポイントと、船体サイズの差異や海水面の変動によって電力の供給ポイントが固定できない「接続のジレンマ」、そしてその解決法についてオンライン講演形式で説明する。時間内に質疑応答の時間も設けられている。

 本ウェビナーは、陸上電力供給設備について検討を進めている港湾関係者、地方自治体の担当者、ゼネコンや電気設備メーカーの担当者、造船会社、港湾・ターミナルの管理担当者に加えて、陸上電力供給設備の概要に興味を持つ方々など、幅広い層を対象としている。

 開催概要は以下のとおり

タイトル:「陸上電力供給設備における船舶への接続とソリューション」

開催日時:2024年5月28日 14:00~14:45

参加費:無料

会場:オンライン(Zoom) インターネットに接続可能なPC/スマートフォンから参加 ウェビナー登録申し込みURL https://www.igus.co.jp/webinar_offshore2024

構成(予定):
1. 陸上電力供給について
2. イグスの陸電用製品
3. 船舶との接続方法(提案)
4. 事例紹介(海外先進事例を含む)
5. イグスについて(会社情報、担当者)
6. 質疑応答(20分程度を予定)

登壇者:イグス プロジェクト リーダー 山下 茂樹(やました しげき)氏

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日本ベアリング、高剛性・高負荷容量・コンパクト化を実現したクロスローラーガイドを発売開始

5ヶ月 2週 ago
日本ベアリング、高剛性・高負荷容量・コンパクト化を実現したクロスローラーガイドを発売開始kat 2024年05日10日(金) in

 日本ベアリングは、従来品SV形、SVW形の軌道溝接触長さ、ローラーピッチなどの設計を見直したクロスローラーガイド「スライドウェイHV形/HVW形」の発売を開始した。

スライドウェイHV形

 

 スライドウェイHV形/HVW形は、従来品と比べ許容荷重・定格寿命距離が向上。取り付けは従来品と完全互換、置き換えだけで装置・設備の耐久性向上に貢献し同等性能でサイズダウンとコンパクト化が可能。

 HV形(オールステンレスはHVS形)は、軌道台4本と精密ローラーをクロス状に組み込んだRH形ローラーケージ2本で構成。

 また、HVW形(オールステンレスはHVWS形)は両側にV溝を持つW形軌道台1本とHV形軌道台2本、RH形ローラーケージ2本で構成。

 詳細は以下のURLで確認できる。

https://www.nipponbearing.com/products/slideway/slideway_hv/

kat
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