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日本滑り軸受標準化協議会、第38回総会を開催

8ヶ月 ago
日本滑り軸受標準化協議会、第38回総会を開催 in kat 2024年03日14日(木) in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は3月14日、東京都千代田区のTKP 東京駅セントラルカンファレンスセンターで「2023年度 第2回総会(通算第38回総会)」をハイブリッド形式(集合&ウェブ配信)により開催した。

開催のようす

 

 当日は開会の挨拶に立った林 洋一郎PBSA会長(オイレス工業)が、「昨年10月に昨年10月にISO/TC123(平軸受)国際会議が京都で対面開催された。観光地として人気の京都ということもあって多くの国からの参加があり、初めて同時通訳を採用した。日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の支援を行うPBSAではその同時通訳費用や旅費等の支援を通じて、国際会議開催のサポートに成功したものと考えている。初の試みとなった同時通訳採用については、参加メンバーの間でその有効性についての議論がなされた。今後の国際会議開催においては、同時通訳の採用を継続するのか、あるいはウェブをうまく使うなどして同時通訳の代わりとするかなど、有効性と費用面を見ながら検討していきたい。2024年度のISO/TC123国際会議はドイツ・ベルリンで11月に開催される予定だが、ISO/TC123平軸受国内委員会が良い活動をできるよう、同様に支援していきたい。本日は総会の終了後に、元 省エネルギーセンター理事の花形将司様に「経営に役立つ省エネとは ~農業と製造業の事例からの提案~」というタイトルで講演していただく。我々のメンバーには技術者、研究者が多いため、工場・生産側での省エネ活動というものに疎いが、エネルギー削減は我々にも関係の深いテーマなので、ご講演を参考にして役立ててほしい。講演会終了後には、会員間の情報交換がしやすくなるように立食方式の懇親会を設けたので、活発な懇親の場になることを期待したい」と述べた。

挨拶する林PBSA会長

 

 続いて、来賓の経済産業省 産業技術環境局 国際標準課の青山直充氏が「昨年京都で開催されたISO/TC123国際会議に参加し、ISO化に向けた活発な議論が行われていることを目の当たりにした。国際標準化の活動について、経産省としては予算等で支援していくので、国際標準化に尽力してほしい」と挨拶した。

挨拶する青山氏

 

 さらに日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会 委員長の片桐武司氏(大同メタル工業)が挨拶に立ち、「今年度に京都で開催されたISO/TC123国際会議では、PBSAの支援を得て同時通訳の採用を実施した。同時通訳の採用は委員長就任にあたってPBSAに要請したことであり実施させてもらった。議論が活発にできたことにつながり、良かったと考えている。2024年度はドイツ・ベルリンで対面開催の予定であり費用の面で厳しいと思うが、ハイブリッド開催に変更された場合には同時通訳の採用の余地があるのではないかと思う」と述べた。

挨拶する片桐氏


 続いて総会が始まり、まず日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の2024年度の活動計画について、国内幹事の橋爪 剛氏(オイレス工業)が、省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託の1テーマである「環境配慮型の水潤滑用軸受材料に関する国際標準化」への取組みの計画や、「テーマ名:軸受の廃棄・リサイクルの国際標準化(SC6)」と「テーマ名:水潤滑用の軸受材料の国際標準化(SC7)」という新規規格制定および改正提案の計画、本年11月ドイツで開催されるISO/TC123国際会議を含む活動スケジュールなどについて報告した。

 続いてPBSAの2023年度の活動報告と2024年度の活動計画について、PBSAでは会計を務める橋爪氏より報告がなされ、2023年度の活動報告として、2023年6月と2024年3月の2回の総会がハイブリッド開催されたこと、国際会議が2023年10月に京都で対面形式にて開催され旅費や同時通訳費用等をPBSAが支援したこと、第1回・第2回総会で計2件の講演会を設けたことが報告され、さらに2023年度会計報告がなされた。2024年度の活動計画としては、第1回総会(通算第39回総会)を本年6月に、第2回総会(通算第40回総会)を2025年3月に開催し、理事会を必要に応じて開催する予定する。本年11月にドイツで開催されるISO/TC123国際会議の支援や、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会活動の支援、PBSAおよび同会員に寄与する講演会・研究・調査などの実施、標準化作業を円滑に進めるための会員が活用しやすいホームページの更新・整備、さらには新規規格開発のために参考となる他TC規格などの購入などの予定について報告された。

ISO/TC123平軸受国内委員会とPBSAの活動報告を行う橋爪氏

 

 総会終了後には、「経営に役立つ省エネとは ~農業と製造業の事例からの提案~」と題して、元 省エネルギーセンター 理事の花形 将司氏による特別講演が設けられた。エネルギー使用を合理化する省エネルギー活動において、運用改善が高い経営改善効果につながること、エネルギー消費原単位の他社の好事例の活用などによって効果的な省エネを推進できること、通年のデータ活用することでオーバースペック対応や待機電力削減等による省エネが可能なことなどを説明した。また、エアコン吐出圧の最適化やポンプのインバータ設定値の最適化など、省エネルギーセンターの省エネ診断を活用して大幅な省エネを実現した事例を紹介し、省エネ診断の受診が省エネ活動の足掛かりとして有用として推奨した。

講演を行う花形氏

 

 当日はまた、「令和5年度産業標準化事業表彰」で経済産業大臣表彰を受賞したPBSAアドバイザー(元オイレス工業)の笠原又一氏に対し、かつての英国王室御用達のスコッチ・ウイスキー「ロイヤルハウスホールド」が林会長より贈答された。

 笠原氏の受賞は、軸受が適切に「梱包・輸送・保管・取り付け・取り外し」ができるように記述されたISO 21433(滑り軸受の取り扱い)や、ISO/CD8838(水潤滑軸受材料)および ISO/CD12843(滑り軸受の再利用・リサイクル及び廃棄)を我が国提案の国際規格として国際会議で提起し、プロジェクトリーダーを担い、規格開発を行ったことや、現在規格開発中のISO/CD8838(水潤滑用の軸受材料の国際標準化)および ISO/CD12843(軸受の廃棄・リサイクルの国際標準化)が地球環境保全・環境負荷低減の視点から軸受のリサイクル推進や潤滑油使用削減への貢献が期待されていること、ISO TC123/SC6(用語及び共通事項)の国際議長を務め、ISO4378シリーズ(用語・定義・分類及び記号)の内容では理解しにくい表現となっていることが判明し、図の追加などにより、利用価値の高い規格改定を行った結果、各国の国内規格への採用や利用が進んだこと、などの功績が認められたもの。

林会長と、贈答品を手にした笠原PBSAアドバイザー(写真右)

 

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THK、軸端末完成品・精密ボールねじの受注を開始

8ヶ月 1週 ago
THK、軸端末完成品・精密ボールねじの受注を開始kat 2024年03日12日(火) in

 THKは、軸端末完成品・精密ボールねじ「SDA-VZ形」の受注を開始する。コンパクトなナット外径で装置の小型化を実現する。

 SDA-VZ形は、ねじ軸の端末形状をサポートユニットに合わせて標準化した精密ボールねじ。軸端は加工済みのため短納期対応が可能なほか、高速性、コンパクト形状を有し、ユーザーからの幅広い要求に対応すべく、計151形番(ねじ軸径φ10~φ 25 の豊富なバリエーションを取り揃えている。

 同社では今回同時に、これまでのサポートユニットと比較してボールねじの一層の低軸心化を実現するサポートユニット「EK-L/EF-L形」を新たにラインナップ。SDA-VZ形と組み合わせることで、組付部周辺の設計が容易になり、大幅な設計工数の削減が可能になる。半導体製造装置から各種搬送装置まで、幅広い分野の自動化設備のコンパクト化に貢献する。

 特長は以下のとおり。

・安定したトルクで高速使用が可能:ボールを接線方向にすくい上げる方式を採用することで、最高回転数5000min-1(DN値:10万)を実現し、長期間での高速駆動でも安定したトルクを得ることが可能

・コンパクト形状で省スペース設計に最適:従来の精密ボールねじと比較して、外径比が最大30%小さくなるため、装置のコンパクト化に貢献する

・低軸心用サポートユニットに対応:これまでのサポートユニットと比較し、ボールねじの一層の低軸心化を実現する構造。装置全体のコンパクト化だけではなく、LMガイドのサイズダウンやLMガイド取付部ベース部の加工を減らすことにも寄与する

精密ボールねじ「SDA-VZ形」、サポートユニット「EK-L/EF-L形」


 

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NTN、ギヤボックス設計支援ソフトウェアに軸受データの提供を開始

8ヶ月 1週 ago
NTN、ギヤボックス設計支援ソフトウェアに軸受データの提供を開始kat 2024年03日12日(火) in

 NTNは、センサやソフトウェア、自律制御技術を組み合わせたデジタルリアリティソリューションのグローバルリーダーであるスウェーデンHexagon社のManufacturing Intelligence部門が開発・提供するギヤボックス設計支援ソフトウェア「Romax」(https://hexagon.com/ja/products/product-groups/computer-aided-engineeri…)に対し、軸受データの提供を開始した。

 同ソフトウェアを通じて、より多くのユーザーがNTNの軸受を迅速・簡単に選定することが可能となり、ユーザーの設計開発の効率化、開発期間の短縮に貢献する狙い。

 Romaxはギヤボックスに特化した設計支援ソフトウェアとして、自動車や建設機械、ロボット、風力発電など幅広い分野におけるパワートレイン製品の設計開発に活用されている。同ソフトウェアを活用することで、高速分析やモデル作成が容易となるほか、設計の初期段階において、強度や疲労、エネルギー効率、振動や騒音の解析結果を得ることができるため、開発期間の短縮が可能となる。

 Romaxはまた、一般的なギヤや軸受の詳細解析だけでなく、モータを含むシステム全体を考慮した詳細解析も可能なため、設計・開発担当者だけでなくCAE担当者にも多く利用されている。

 NTNでは、グローバルのユーザーからの「もっと手軽にNTNの軸受選定をしたい」という要望を受けて、同ソフトウェアへの軸受データの提供を決定したもの。今回提供したのは、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円すいころ軸受など約6000型番の軸受データで、2023年末の同ソフトウェア更新時より、同社データがラインアップされている

 

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イグス、第3回ROIBOT賞でロボット製品の活用事例を募集開始

8ヶ月 1週 ago
イグス、第3回ROIBOT賞でロボット製品の活用事例を募集開始kat 2024年03日12日(火) in in

 イグスは、当社のローコストオートメーション製品(ロボット関連製品)を活用して自動化を実現させた事例を表彰するコンテスト「ROIBOT(ロイボット)賞」の募集を開始した。

 

 今回で第3回目の開催となるROIBOT賞は、イグスのローコストオートメーション(LCA)事業が取り扱うロボット関連製品の活用事例を募集し、最も投資収益率(ROI)が高いプロジェクトを表彰するコンテスト。LCA事業の開始以来、隔年で開催しており、2022年は世界の20の国と地域から110件の応募があった。

 審査は、ロボット専門誌の代表者とロボットの専門家で構成される審査委員会によって行われ、独創性とROIの高さを基準にベスト3の事例が選出される。

 優勝事例を提供した応募者には、イグスの低コストロボットのためのオンラインマーケットプレイス「RBTX」で使える5,000ユーロ分のクーポン券が授与される(2位:2500ユーロ分、3位1,000ユーロ分)。

 応募要項は、以下のとおり。

・応募条件:イグスまたはRBTX経由で購入した製品(多関節アームロボット、直交ロボット、デルタロボット、スカラロボットなど)や部品で動作する自動化の事例であること。

・応募締切:2024年6月30日

・応募方法:下記URLより、応募フォームに記入し、動画や画像をアップロード
https://www.igus.co.jp/roibot2024

・ROIBOT賞2024に関する詳細は以下のURLから入手できる。
https://www.igus.co.jp/info/roibot-award

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振動摩擦摩耗試験機SRVのユーザーズミーティング開催、SRVによる新試験手法などを紹介

8ヶ月 1週 ago
振動摩擦摩耗試験機SRVのユーザーズミーティング開催、SRVによる新試験手法などを紹介kat 2024年03日11日(月) in

 揺動(オシレーション)セットアップおよび回転(ローテーション)セットアップと、オシレーション・ローテーション両方の動きを模擬できることなどから、潤滑剤や自動車向けトライボロジー試験機のデファクトスタンダードとなっている振動摩擦摩耗試験機「SRV®」について、「国内ラウンドロビン試験結果報告会」と「2024年ユーザーズミーティング」が3月5日、SRV®国内総販売代理店のパーカー熱処理工業 川崎事業所での対面参加とオンライン参加からなるハイブリッド形式により開催された。

ユーザーズミーティングの開催の様子

 

 当日はSRV®試験機製造元の独Optimol Instruments Prüftechnik社(Optimol社)Managing DirectorのGregor Patzer氏から、最新機種SRV®5を用いた新しい試験手法、凝着摩耗の検知手法、電気接触抵抗(ECR)測定を用いたグリース試験について、オンラインでの話題提供がなされた。

ドイツからのオンラインで話題提供を行うPatzer氏

 

 まず、アプリケーション指向の試験機としてユーザーの実部品を実使用に近い環境で試験でき、正確で再現性の高い試験結果が得られる最新機種「SRV®5」について、ピストンリングとシリンダーライナーのスカッフィング/摩耗、樹脂シャシージョイント、低摩擦エンジン油、航空機用ホイールベアリング、固体潤滑被膜、転がり軸受用グリース、オイルとグリースの比較、高性能多目的グリース、ブレーキフルードのノイズ/摩耗、フレッチング(摩擦係数、摩耗)、薄膜の付着および極圧性能、スカッフィングなど、幅広い産業に関わる国際標準規格に合致していることを説明。

 この国際標準規格に合致したSRV®5を用いた試験のうち、二つのシリンダーを用いた転がりアダプター構成によるASTM D8317転がり軸受用グリースの評価事例や、専用ホルダーおよびアダプターを用いたDIN 51834-5 & DIN E 51834-6ブレーキフルードで潤滑したEPDM製シールリングの摩擦の可視化事例、ASTM D8503エンジン油のスカッフィング温度限界の試験の事例、フルードの高流量と主軸の高速回転を模擬する回転モジュールを用いたSRV®5の新しいセットアップによる、水系金属加工油と工具材質のスクリーニング試験の事例を紹介した。

 続いて、SRV®5を用いた凝着摩耗と摩擦係数の相関に関する試験評価では、必ずしも高摩擦係数が凝着摩耗を招くわけではないことから、凝着摩耗の顕微鏡観察での確認が必要なこと、試験結果の再現性実現のためには摩擦係数やストロークのカットオフ値/時間といった「セットポイント・プロファイル(レシピ)」の設定が不可欠なこと、温度測定やECR測定、アコースティックエミッション(AE)測定などの併用も有効であることを説明した。

 さらに、転がり軸受用グリースの耐フレッチング摩擦摩耗特性の試験評価について、オシレーションセットアップによる摩擦係数の試験評価結果と、SRV®5のオプションであるECR測定によるECR値の評価結果の相関性について報告した。

 Patzer氏による話題提供と国内ラウンドロビン試験結果に関するSRVユーザーとPatzer氏との議論に続いて、実際のピストンヘッドとピストンピンを取り付けるなどコンポーネントとして試験評価できるSRV®5の「Combi-Drive」のデモンストレーションや、SRV®の入門機でデスクトップ型トライボメータながら再現性が高く、試験実行中にμmレベルで摩耗量を表示できる「Easy Tribo Screener(ETS)」を用いたデモンストレーションが、パーカー熱処理工業の越智直行氏によってそれぞれ実施された。

SRV5「Combi-Drive」のデモンストレーションのようす:写真左が越智氏

 

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JAST、テクスチャリング表面のトライボロジー研究会など4研究会が合同開催

8ヶ月 1週 ago
JAST、テクスチャリング表面のトライボロジー研究会など4研究会が合同開催kat 2024年03日11日(月) in

 日本トライボロジー学会(JAST)の会員提案研究会(トライボロジーに関する重要なテーマについて研究参加した会員の調査・研究・討論などを通じ学問・技術の発展に寄与することを目的とする会)である「テクスチャリング表面のトライボロジー研究会」(主査:東京理科大学 佐々木信也教授)と境界潤滑研究会(主査:東京工業大学 青木才子教授)、分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会(主査:兵庫県立大学 鷲津仁志教授)、工作機械のトライボロジー研究会(主査:東京理科大学 野口昭治教授)は3月7日、東京都葛飾区の東京理科大学で「JAST合同研究会:カーボンニュートラルに向けたTX(トライボロジーX)」を開催した。

開催の様子

 

 当日は開会にあたって佐々木信也氏が、「コロナ禍でもありテクスチャリング表面のトライボロジー研究会は久しぶりの開催となるため、盛大な会にしようという主旨で各会に呼びかけ、4研究会合同での開催が実現した。カーボンニュートラルに向けたトライボロジーの革新技術、という意味合いでTXなる造語を冠した本合同研究会の講演はいずれも、自分自身も聞いてみたかった大変興味深いテーマの研究内容となるため、それぞれ活発な意見交換をお願いしたい」と挨拶した。続いて鷲津仁志氏が「分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会は東京大学の加藤孝久先生が20年くらい前に始められ、10年くらい前から私が主査を務めている。今回、佐々木先生よりお声がけをいただき開催が決まった合同研究会の4件のテーマはいずれも非常に興味深く、5月に開催されるトライボロジー会議とはまた違った、深堀りした研究が紹介されることを私自身、楽しみにしている」と挨拶した。

開催の挨拶を行う佐々木氏

 

挨拶する鷲津氏

 

 その後、以下のとおり講演がなされた。

「粒子法の流体潤滑問題への応用~粒子法、ここまで来た⁉」根岸秀世氏(JAXA)…粒子法(MPH法)の利点を生かして、機械要素内のマクロ-ミクロの流体潤滑問題を統一的に解析し、現象理解と潤滑特性評価を可能とする解析技術への取り組みについて紹介。物理的健全性を有するMPH法が、①負圧を含む流体潤滑解析(くさび膜効果やスクイーズ膜効果)、②ソフトEHL(弾性流体潤滑)解析(流体-構造連成解析)、③潤滑膜と転がり軸受のような流体-剛体連成解析、のぞれぞれに適用可能であることを示した。

講演する根岸氏

 

「Adsorption and Structure of Amine-based Organic Additives at Iron-oxide Interface」Patrick A. Bonnaud氏(豊田中央研究所)…歯車や軸受などの摩耗を抑えEVを含む各種機械の寿命を延ばすことは、サスティナブルな社会を実現するうえで重要な課題であり、潤滑油では金属の摩耗を防ぐとともに環境に優しい新たな有機系添加剤が求められている。本研究では吸着しやすさを予測する計算モデルを作成、分子末端基が吸着性にどのように影響するかを明らかにし、シミュレーションによって吸着性が良いと予測されたアミン系有機添加剤を配合した潤滑油を用いて摩擦試験を行った結果、鉄の表面に吸着膜が早く形成され、摩耗を抑制することが実証された。

講演するBonnaud氏

 

「Ni-Pめっきを施した転がり軸受の回転トルクと寿命」堀田智哉氏(関東学院大学)…潤滑油の撹拌抵抗など、軸受トルクの多くが潤滑油に起因することから、潤滑油を用いずに、Ni-Pめっきを施すことで軸受の低トルク化と長寿命化を目指し、実験評価を行った。トルクの評価では、めっきなし、DLC被覆よりもNi-Pめっきありが低トルクを示した。転がり軸受の寿命評価では、めっきなし軸受に比べNi-Pめっきあり軸受が長寿命だったが、DLC被覆軸受が最も長寿命という結果となった。

講演する堀田氏

 

「スラストフォイル気体軸受における新しい表面テクスチャの提案」落合成行氏(東海大学)…表面テクスチャが空気潤滑および高摺動速度化で作動する軸受に与える影響を検証しつつ、新型フォイル軸受の開発を目指した。ディンプルはフォイルガス軸受でも低速領域で摩擦低減効果を有しているが、高摺動速度下では摩擦抵抗を増加させ、また、温度上昇を抑制する効果が確認された。新規テクスチャである「F-グルーブ」では接触時の摩擦は大きくなったものの、流体膜生成を促進し潤滑性能の向上が確認されたほか、温度上昇が抑制されており、高い冷却効果が得られたものと推察した。

講演する落合氏


 

 講演終了後は、青木才子氏が「主査を務める境界潤滑研究会では、潤滑油添加剤関連の発表を聞く機会は多いが、この合同研究会の講演は添加剤研究会内では聞くことができないテーマの発表ばかりで、大変勉強になった。こうした合同研究会はブレーンストーミングの良い機会でもあると思うので、ぜひともまた開催していただきたい」と挨拶し、閉会した。

閉会の挨拶を行う青木氏

 

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トライボロジー研究会、第34回講演会を開催

8ヶ月 2週 ago
トライボロジー研究会、第34回講演会を開催 in admin 2024年03日01日(金) in in

 トライボロジー研究会(運営委員長:杉村丈一 九州大学教授、事務局:協同油脂)は2月22日、横浜市西区のパシフィコ横浜会議センターで、「第34回講演会」を開催した。今回は『技術環境の変化に立ち向かうトライボロジー』をテーマに、以下のとおり行われた。

第34回講演会のようす・開会の辞

杉村丈一氏(九州大学)

・KEYNOTE SPEECH

「社会課題解決に挑むトライボロジーへの期待」牧野武朗氏(三菱重工業)

・CASE STUDY:SESSION I CO2排出低減の技術

「ステンレス溶射ボアに適した厚膜DLCピストンリングの開発」平山勇人氏(日産自動車)

「内燃機関の性能を大幅に向上させるシリンダボア形状改善技術」三田拓朗氏(いすゞ中央研究所)

「シリンダボア加工技術の開発」下斗米 直氏(協同油脂)

・CASE STUDY:SESSION II 規制を克服する技術

「環境にやさしい低炭非鉛快削鋼の開発」間曽利治氏 (日本製鉄)

「ZeroAshディーゼルエンジン油の開発」楠本竜也氏(出光興産)

「海運業界の環境負荷を低減する水潤滑軸受」横垣賢司氏 (ミカサ)

・CASE STUDY:SESSION III 新たな社会構築の要請に応える技術

「アイドルストップに対応したスタータクラッチグリースの開発」福島由倫氏(デンソー)

「電気自動車用玉軸受の耐電食性におよぼすグリースの組成と性状の影響」山下侑里恵氏(ジェイテクト)

「転がり軸受の白色組織はく離の影響因子-転がりすべり接触下における潤滑剤からの水素発生-」江波 翔氏(日本精工)

・特別講演

「航空脱炭素-2050年カーボンニュートラルを目指して-」三浦明彦氏(ANAホールディングス)

・閉会の辞

杉村丈一氏(九州大学)

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日本トライボロジー学会 グリース研究会、設立50周年祝賀会を開催

8ヶ月 4週 ago
日本トライボロジー学会 グリース研究会、設立50周年祝賀会を開催kat 2024年02日22日(木) in

 日本トライボロジー学会の産学協同研究会(旧第2種研究会。産学協同による調査研究あるいは試験研究を行う場で、テーマに興味のある維持会員(企業)と第一線研究者が連携し、その分野の技術発展に努めている)であるグリース研究会は1月19日、東京都千代田区のOtemachi Oneで「50周年祝賀会」を開催した。現役のグリース研究会の主査・幹事、委員や、かつて主査・幹事、委員を務めたグリース研究会OBなど30名超が参加した。

参加者の集合写真

 

 グリース研究会は1970年(昭和45年)5月26日に日本トライボロジー学会の前身の日本潤滑学会の理事会で承認された。現在は、3名の学識経験者とグリースメーカーとベアリングメーカー4社という14の企業の代表者=計17名で構成され、年に1回の地方大会を含めて定期的な報告会を四半期毎に実施し、毎回闊達な議論や意見交換が行われている。また当研究会の基礎研究で得られた成果については、トライボロジー学会誌への投稿や、トライボロジー会議、ITCまたはWTCなどのシンポジウムで披露されている。

 冒頭挨拶に立ったグリース研究会第67期・68期主査の今井淳一氏(協同油脂)は、「グリース研究会は1970年、『グリース研究部会』という名前で発足した。50周年を迎える2020年に祝賀会開催を計画し、同年2月に『50周年記念誌』の発行に漕ぎつけたものの、その後コロナ禍に入り開催することがかなわなかった。ようやくこの日を迎えることができ、大変うれしく思う。当研究会の活動の近況を報告すると、残念ながら地方大会はできなかったことはあるものの、歴史ある会の年4回開催という定期的な活動を、遠方の会員はオンライン参加で、東京近郊の会員は機械振興会館でのオンサイト参加という形で、コロナ禍でも一度も休むことなく継続してきた。コロナ禍の活動の一つは、2007年に発刊した『潤滑グリースの基礎と応用』について、依然として関係者から非常に好評を博しているものの歳月を経たことから内容の見直しが必要になり、改訂作業を進めている。また2023年はITC Fukuokaで当研究会主催の「グリースシンポジウム」を開催し、国内外の参加者による活発な議論が行われた。そうした形で半世紀続いてきた当研究会をさらに半世紀継続させ発展させていけるよう、会員各位と努めていきたい」と語った。

 今井氏はまた、本誌などの囲み取材に答えて、「転がり軸受の8割がグリース潤滑と言われ、グリースが転がり軸受の寿命や性能に関わる重要な部品の一つであるにもかかわらず、潤滑油に比べて狭い領域で使われていたグリースは、サイエンスからのアプローチが遅れている状況にあった。また当時は国内におけるグリースの各種性能の評価として、一般的な試験方法についてはJIS K2220に制定されてはいたものの、実用性能を評価する潤滑寿命の試験については各社各様の評価手段を用いていたことからバラツキが多く整合性に乏しい状況にあった。そこで1970年に転がり軸受メーカー4社とグリースメーカー、学識経験者が集まって、グリース全般の技術の発展を目的に産学共同で当研究会が発足された。設立当時は11名、現在17名で活動している。20年前からウレアグリースの劣化メカニズムを扱うなど、今日までさまざまな研究テーマを掲げ活発に活動を行っているが、次の半世紀に向けて、若い方々にも参加いただきながら常に新しいテーマを検討していきたい」と述べた。

開会の挨拶を行う今井氏


 続いて乾杯の挨拶に立った小宮氏(元ジェイテクト)が「祝賀会が4年遅れの開催となったものの、グリース研究会の委員の方々やOBの方々が集まっているので、研究会の思い出話や将来について話していただきたい」と述べた。

乾杯の挨拶を行う小宮氏


 OBとして挨拶に立った鈴木政治氏(元鉄道総合技術研究所)は、二つのエピソードを語った。「一つは、当研究会を代表する形で米国グリース協会(NLGI)に発表に行った際のこと。発表後や懇親会の席で実に多くの質問が浴びせられ、当研究会での我々の仕事がアメリカ、NLGIでも十分に評価される内容だと実感した。もう一つは、研究会の後の居酒屋での懇親の席で、グリースを使っている会社と技術交流会を開こうという話が満場一致で決まり、当時JR北海道の札幌にある苗穂工場(鉄道車両の修繕工場)と技術交流会を開くことをお膳立てした。しかし冬のさなかのことで、最初工場見学を行って、さあ技術交流だという段になって雪で車両故障が起きてしまい、工場の技術者が皆、車両故障の現場に駆り出されてしまい、残念ながら技術交流会でのディスカッションは実現しなかった。そこで予定を変えてサッポロビール園に異動しての反省会となったのだが、うれしかったのは車両メンテナンスの助役さんと軸受担当の主任の方が故障現場から戻るやビール園に駆け付けてくれて懇談ができたことだ。このように過去にはそういう企画をやって、いろいろな活動をしたうえで現在があるのではないかと思っている。皆さんも、ぜひ前例にとらわれず、我々の技術交流会のように失敗にめげることなく、新しい企画で会を発展させてもらえれば、うれしい」と述べた。

鈴木氏

 

 続いて岡村征二氏(元日本グリース)は、「軸受の重要な構成部品であるグリースが経験則に支配されており、学術的な光が当たっていない、これを何とかしたいというのが当研究会設立の目的だと聞いている。設立後は、添加剤や増ちょう剤などのメカニズム解明のための研究などが行われた。1970年代から1980年代にかけてジウレアグリースが世界を席巻したが、広い意味で当研究会の研究の成果が影響しているのではないかと思う。さりながら、最近のNLGIの報告によれば、2022年が全体で115万t、日本が8万t、東南アジアが8万7000t、中でも技術レベルの指標とされる高温用増ちょう剤の比率が北米76%、欧州43%、東南アジア42%に対して、日本は38%という状況だ。この辺が現在の日本の経済の減退に影響している気がする。当研究会には今後も長く活動を続けていただき、技術の発展に寄与していただくよう祈念している」と述べた。

岡村氏


 また、中 道治氏(元日本精工(NSK))は、「大学の専攻は高分子化学だったが、たまたま求人のあったNSKに1976年に入社した。なじみのない機械系の企業だったが、グリースを封入して使われる密封玉軸受、潤滑油と錆止め油と表面処理…と、化学の仕事があれば一切合切引き受けた。専攻が高分子化学だったため、最初に命じられたのが一般市販用グリースの評価で、その後は潤滑トラブル処理で上司に引っ張りまわされた。特許などを調べつつ今から40数年前にグリースを自作するなど、機械メーカーながら潤滑剤の開発を勝手気ままに始めた。“グリースが完成するまでは帰らない”と協同油脂に一週間泊まり込んだこともあった。意味があるのか訝しがりつつ始めたASTMの規格試験機でのグリースの寿命試験を地道に繰返して、何十年も試験データを蓄積してくると、やはり知見が深まってくる。また、当研究会では軸受同業他社とも自由に意見交換し議論する機会がある点も、本当に良い研究会だと思う。第1種研究会から第2種研究会に変更して企業から活動資金が得られるようになったが、当研究会への私の最大の功績は、会社の保養所を使って旅行を始めたこと」と語った。

中氏


 さらに、木村 浩氏(元協同油脂)は、「日本のグリース生産量は7万2000tを超え、NLGI生産量115万tのうち7%近くに迫っている。当研究会の尽力に感謝するとともに、グリース技術のグローバル化に大きく貢献できていると感じる。グリースへの思いと感謝を三点述べたい。一点目は、当研究会の顧問を務めた東京工業大学の櫻井俊男先生が「グリースはアートであってサイエンスではない」といつも言っていたことで、当研究会の仲間と一緒にサイエンスに変えようと努力した結果が、グリースの教科書『グリース潤滑の基礎と応用』の出版につながった。二点目は国際会議での飛躍で、2000年のITC長崎、2005年のITC神戸、2009年のWTC京都、さらには2023年ITC福岡において世界への技術発信の機会が増えており、確実にアートからサイエンスへと踏み出したと確信している。三点目はウレアグリースの発展。当研究会ではリチウムグリース全盛の時代でウレアグリースはわずかな生産量だった2000年ごろから、ウレアグリースの劣化過程の研究を進めているが、2022年にはNLGIのウレアグリース生産量8万tに対し、日本は2万1000tに達したと聞き、当研究会の貢献をうれしく思っている。当研究会の発展に伴い産業界のグリースへの関心が変化し、それまでのニッチ分野から自動車部品をはじめとする多くの機械部品の精度向上、設計の簡略化につながり、今ではささやかながらでも社会に貢献している。60年、100年と引き続き当研究会がグリース技術のグローバル化に寄与することを願っている」と述べた。

木村氏

 

 南 一郎氏(スウェーデン・ルーレオ工科大学)は「日本経済もようやく閉塞状態を脱し安定局面に入りつつあるようだが、当研究会も礎を築いてきた先輩方の功績を考慮すると、突飛なことを狙うのではなく地道に安定志向で進むのが良い気がする。さて、私が当研究会の委員になって20年経つが、最初は年1回開催の地方大会で皆さまが高知に来た時に参加を表明して入会することとなった。皆さまが酒豪ぞろいと聞いていたので高知の地酒がたくさん置いてある居酒屋をセレクトしたのだが、店主が驚くほどの酒豪の皆さまの素性を聞かれ「潤滑をしに酒場に来た方々」と答えた。2時間の研究会の後の懇親会の楽しい雰囲気はずっと続いていて、個人的には日本の大学を辞めて海外の大学に行って、しばらく幽霊会員になっていて、その後パンデミックになってオンライン会議で徐々に登場するようになり、今日ようやくお会いできていなかった方々にお目にかかることができた。この先50年、諸先輩方がこうやって築き上げてきたものを引き継いでいきたい。そのためには幽霊会員であっても一緒に酒を飲ませていただける、こういう雰囲気が大事だと思う。こうやっていろいろな世代の方が集まって、グリースの議論、それから液体の潤滑で楽しみながら、今後も会を盛り上げていきたい」と語った。

南氏

 

 第63期・64期主査を務めた田中啓司氏(シェル ルブリカンツ ジャパン)は、「私が主査を務めた2020年に祝賀会を開こうという話になり計画を立てていたが、パンデミックが続き開催がかなわなかった。ようやくこの日を迎えられたことと、ここにいらっしゃる方々のお顔を拝見しお元気で活躍されていることをとてもうれしく思う。当研究会はとても歴史が深く、『潤滑グリースの基礎と応用』を拝読すると、諸先輩方が現在のグリースの礎を築いてくれたものと実感される。これを次世代につなげることは重責だが、加入された若い人たちとともに次につなぐのが我々の責務と考える。鈴木様や中様から飲み会の席で話が決まるという話は今も脈々と引き継いでおり、特に秋の地方研究会は非常に親睦を深められ、本当に心を割って話せる場。同業他社も多い中で、グリース愛があふれている仲間で競合の枠を超えて議論ができるというのは当研究会をおいて他にないと思う。本日は偉大なるOBの方々がいらっしゃるが、リスペクトすると超えられないので、リスペクトしないようにしよう。我々は諸先輩方を超えるためにここにきている、そういう気持ちで当研究会を今後も盛り上げていきたい」と述べた。

田中氏


 若林利明氏(元香川大学)は「OBの諸先輩方、現役の方々の挨拶を聞いて、鮮明に覚えていることを二点だけ披露したい。一点目は、私は第1回メンバーだが、鈴木様から紹介のあった札幌の会が初の参加となった。ITC長崎の時に元日本石油の木下広嗣さんから誘われて当研究会のシンポジウムに参加し懇親会に参加しそのまま当研究会に参加することが決まったのだが、その後の初めての地方大会が札幌開催だった。実は私は当日、岡山で西日本トライボロジー懇話会の講師をしていたため、夜に札幌入りした。つまりグリース研究会の初参加がサッポロビール園での懇親会だったことになる。二点目は、大体は研究会で決まるものの、本質的なところは夜の会で決まるということだ。その典型がサッポロビール園で決まった「グリースの単行本を出す」ということと、「大学の先生なんだから編集委員長やってよ」と言われ『グリース潤滑の基礎と応用』の編集委員長におさまってしまったことだ。コロナ禍で地方大会や夜の会が開催できなかったが、現役の皆さんも、実は夜の会合で重要なことが決まり、地方大会で方向性が決まる、ということを肝に銘じていただきたい。コロナも落ち着いてくると思うので、夜の会合、地方大会も継続していただき、そういったグリース研究会の非常に幸せな資産を今後も引き継いでいただきたい」と語った。

若林氏


 祝賀会の司会を務めた研究会顧問の兵庫県立大学・阿保政義氏は「グリース研究会は、研究会では珍しく各社が分担してグリースの寿命試験を実施し、データ解析からいつも報告が始まる委員会。しかしただデータを持ち寄って実験結果を議論するのではなく、2時間の会議では伝え切れなかった実験の苦労やグリースのこれからの姿を真剣に、しかも楽しく議論する懇親会の場を提供している。この日も50周年祝賀会に先駆けて“OBを交えた拡大グリース研究会”を実施し、その後半世紀以上続いてきた当研究会の委員を参集いただき、昔話を肴に大いに盛り上がった50周年祝賀会を開催することができた。祝賀会では、“今後の活動を考慮するとき、若い大学教員にも参加していただき新鮮な意見をいただきたいが、研究分野はグリースに限らず、お酒が楽しく飲める人が条件かな”、との意見も出た。引き続き、拡大グリース研究会での白熱した議論を通じて、次の半世紀に向けて会を発展させていきたい」と熱く語っていた。

研究会の今後について語る阿保氏

 

ITC Fukuoka 2023でのグリースシンポジウムの様子

 

ITC Fukuoka 2023での夜の会の様子

 

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砥粒加工学会、3月7日、8日に先進テクノフェア(ATF2024)をハイブリッド開催

9ヶ月 ago
砥粒加工学会、3月7日、8日に先進テクノフェア(ATF2024)をハイブリッド開催kat 2024年02日21日(水) in in

 

 砥粒加工学会は本年3月7日、8日の両日、学術講演会に次ぐ学会員交流の大きなイベントである「先進テクノフェア ATF (Advanced Technology Fair)2024(https://www.jsat.or.jp/node/1556)」(実行委員長:東京電機大学・森田晋也教授)を、「カーボンニュートラル時代のモビリティ技術動向」をテーマにハイブリッド開催する。リアル開催は神奈川大学 みなとみらいキャンパス(https://www.mmc.kanagawa-u.ac.jp/about/access.html)を会場として、「ATF講演会」、「卒業研究発表会」、「砥粒加工学会賛助会員企業 リクルートフェア」、「企業および研究機関等におけるパネル展示」の開催を予定している。

 スケジュールは以下のとおり。

3月7日 ATF2024講演会①「カーボンニュートラル・AI時代の自動車技術に求められる技術要素」

 近年、声高に言われている自動車の電気自動車(EV)化・自動化に関して、実際の製造現場において加工に求められる技術要素や取り組みについて、以下のとおり講演がなされる。

・13:40~14:30「自動車の変化と加工課題に向けたカーボンニュートラルの取り組み」木野晴喜氏(MOLDINO)…独自調査による自動車の変化とその加工課題の変化、MOLDINOができるカーボンニュートラルに向けた取り組みについて講演

・14:30~15:20「データマイニング技術を応用した切削条件決定支援システムの構築に関する研究について」児玉紘幸氏(岡山大学)…ボールエンドミルの切削条件決定支援を実現するシステムの構築、データベースに内包されたデータの特徴を明らかにする技術、抽出された特徴を活用したAI運用手法について紹介

・15:30~16:20「EVシフトによって求められる加工技術の変化および課題解決のための取り組み事例」飯山浩司氏(DMG森精機)…EV化による静粛性・効率向上の観点から、より高品位の金型が要求されている一方、磨き工程など熟練エンジニアの技量に頼っている部分が多いことが現状である。ここでは高精度かつスキルに依存しない金型ワークを安定的に生産するためのプロセスについて事例紹介を行う

・16:30~17:15「ディープディスカッション with フェロー」協力:砥粒加工学会フェロークラブ

 3月7日当日はその他、パネル展示企業による新技術説明会(10:00~12:00)、企業および研究機関等パネル展示(10:00~17:30)、産学意見交換会(17:30~19:30)が催される。

3月8日 ATF2024講演会②「カーボンニュートラル時代のモビリティ技術動向」

 自動車のEV化・自動化について大局を見据えた企業・行政の取り組みや最新の研究動向について、以下のとおり講演がなされる。

・10:10~11:20「特別講演:CN(カーボンニュートラル)に向けて加速する自動車の電動化とグローバルな業界構造変化」竹内国貴士(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)…自動車業界はCASEと呼ばれる100年に一度の大変革期を迎えている。そこにCNが加わり、CASEの中でも電動化が加速している。しかし電動化は各地域の政策によりスピード感や電動車の定義も異なるため、過渡期においては既存と新規の両利きの事業展開が必要となる。そこで本講演では、業界構造の変化や電動化のキーとなる車載電池の動向を踏まえつつ、サプライヤーも含めたCN/CASE対応の方向性を提示する

・11:20~11:55「水素エンジンの研究開発動向」伊藤明美氏(東京都市大学)…重量車向けパワーソースとして水素エンジンが注目されている。本講演では、国際的な水素エンジンの研究開発状況や排気規制の動向について述べるとともに、講演者らによるトラック向け水素エンジンの研究開発状況について紹介する

・13:00~13:35「EMO2023の技術動向に見る、工作機械メーカーのEV対応」清水伸二氏(日本工業大学)…2023年9月18日~23日にわたって講演者が視察したドイツ・ハノーバーで開催の国際工作機械見本市「EMO2023」における技術動向を概観し、その中で見られた自動車産業のEVシフトに対する工作機械メーカーの取り組みについて紹介する

・13:35~14:10「EV化を支えるパワー半導体用SiCウェハの加工技術における課題と開発動向」加藤智久氏(産業技術総合研究所)…近年、自動車のEV化加速に伴い、アメリカや中国などでのSiCパワー素子の販売が急速に伸びてきている。SiCパワー素子は一方、シリコンに比べてウェハ製造コストが高くその加工技術も進化が求められてきている。本講演では、これらの技術課題に対する近年の開発動向について紹介する

・14:10~14:45「自動車プラスチック部品の適用動向と技術開発」水谷 篤氏(日産自動車)…自動車へのプラスチックの採用は、材料、工法や金型の進化とともに顕著に増加しており、デザインや軽量化だけでなく、電動化に対応した材料開発も進んでいる。本講演では、自動車プラスチック部品の適用動向や技術開発の事例について幅広く紹介する

・14:45~15:20「市街地自動運転の認識技術と実証実験の取り組みについて」米陀佳祐氏(金沢大学)…次世代のモビリティとして市街地向け自動運転の研究開発や実用化を目指した取り組みが進められている。本講演では、金沢大学の研究グループが国内で実施している実証実験を事例としながら、最近の技術動向について紹介する

・15:20~15:55「安全安心なモビリティ社会を実現する高度運転支援・自動運転システムの研究開発(オンライン講演)」…交通事故のない安全安心な移動の実現のため自動運転技術の開発が進められている。特に、ドライバーの安全運転をサポートする運転支援システムに関わる自動運転の要素技術開発の最近の研究動向について解説する

 3月8日当日はその他、卒業研究発表会(10:00~17:30)、砥粒加工学会賛助会員企業 リクルートフェア(10:00~17:30)、企業および研究機関等におけるパネル展示(10:00~17:30)、ATF懇親会(17:45~19:45)が催される。

 参加費用や各イベントの会場などについての詳細情報や事前申込は、以下の砥粒加工学会 ATF2024ホームページまで。
https://www.jsat.or.jp/node/1556


問合先:(公社)砥粒加工学会 事務局
〒169-0073 東京都新宿区百人町2-22-17 セラミックスビル4F
TEL 03-3362-4195 FAX 03-3368-0902
E-mail staff@jsat.or.jp

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NTN、H3ロケットにターボポンプ用軸受を全数供給

9ヶ月 ago
NTN、H3ロケットにターボポンプ用軸受を全数供給kat 2024年02日19日(月) in

 NTNは、2月17日9時22分55秒に鹿児島県熊毛郡の種子島宇宙センターから打ち上げられた「H3ロケット」試験機2号機に、極低温環境下で超高速回転に対応するエンジン向けターボポンプ用軸受を全数供給している。

 人工衛星などの搭載物とともにロケットが飛行するためには、液体水素と液体酸素を高圧で燃焼させ、大量のガスを噴射させる必要がある。ターボポンプは、内部のインペラ(羽根車)が高速回転することで、燃料の液体水素と酸化剤の液体酸素をエンジンの燃焼室に送り込む役割を果たしている。

 インペラの回転を支持する軸受は、液体水素(-253℃)や液体酸素(-183℃)の極低温環境下においても、dmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))が約280万というジェット機にも匹敵するロケットの超高速回転を支えている。極低温中では油やグリースなどの一般的な潤滑剤は凍りついてしまうため、NTNでは極低温中でも潤滑性能を発揮する独自の固体潤滑剤に加え、強化ガラス繊維による高強度な保持器を軸受に使用し、これらの過酷な環境に対応している。

 H3ロケットのエンジンは、小型から大型までさまざまな大きさの人工衛星の打ち上げに対応するため、先行機のH-ⅡAロケットよりも推力が高められている。そのため、各部品には剛性の向上が求められており、H3ロケットのターボポンプ用軸受も、従来よりも大径化し、大きな予圧荷重を受けられる仕様としている。また、本商品には商業用国産基幹ロケット向けの軸受として業界で初めてセラミックを材質とした転動体(ボール)を適用。軸受の大径化に伴い、軸受に使用されるボールの遠心力は強くなるが、金属製よりも軽量なセラミックボールを使用することで、軸受回転時のボールの遠心力を抑え、dmn値288万の高速回転を実現している。

 同社は1986年より打ち上げられたH-Ⅰロケットをはじめ、H-Ⅱロケット、H-ⅡAロケットと、長年にわたり多数の国産ロケットに軸受を供給し続けているほか、航空分野においても高い評価を受けており世界の大手ジェットエンジンメーカーにも軸受商品を納入している。同社は今後も、宇宙空間で使用される高品質・高機能な軸受の開発・提供を通じて、航空・宇宙分野の発展に貢献していく。

ロケットエンジン ターボポンプ用軸受

 

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NTN、アルミ複合型樹脂すべりねじの販売を開始

9ヶ月 ago
NTN、アルミ複合型樹脂すべりねじの販売を開始kat 2024年02日19日(月) in

 NTNは、アルミ合金と独自のポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂複合材料を一体成形したアルミ複合型樹脂すべりねじを開発し、販売を開始した。樹脂すべりねじが持つ静粛性やグリースレスなどの特長に加えて、優れた耐荷重性と耐久性、放熱性を備えたアルミ複合型樹脂すべりねじを高速移動用途や高荷重領域に対応するシリーズ商品として、医療機器や半導体製造装置をはじめとする幅広い用途に向けて提案を進めていく。

アルミ複合型樹脂すべりねじ(左)とその構造(右)

 

 樹脂すべりねじは、モータなどの回転運動を直線運動に変換する部品。静粛性やグリースを用いることなく使用できることが特長で、医療分野や半導体製造分野、食品機械分野などの各種搬送装置に多数採用実績を持つ。

 NTNは今回、ナットに樹脂のみを用いた樹脂単体型すべりねじよりも耐荷重性や耐久性、放熱性に優れるアルミ複合型樹脂すべりねじを開発し、試作品の提供と改良を経て販売を開始した。

 本商品はアルミ合金製の基材とPPS樹脂複合材料を一体成形した複合ナットを用いており、アルミ合金に特殊表面処理を施すことで樹脂との高い密着性を実現している。樹脂単体型と同様の各種サイズに対応する商品としてシリーズ化、樹脂単体型からの置き換えはもちろん、高速移動や高荷重領域など幅広い環境下で使用できる。

 アルミ複合型樹脂すべりねじの特長は、以下のとおり(樹脂単体型との比較値は、軸径12mm、リード(ナットが1回転した場合に直進方向へ移動する距離)2mm仕様の場合)。

1. 耐荷重性・耐久性:アルミ合金製の基材と独自のPPS樹脂複合材料の一体成形により、許容アキシアル荷重を樹脂単体型と比べて80%向上。アルミ合金製の基材の使用により、しゅう動部の温度上昇を抑制し、樹脂単体型すべりねじと比べて摩耗量が70%減少、長寿命化も実現している

2. 放熱性:アルミ合金製の基材の使用により、樹脂単体型すべりねじと比べて放熱性が40%向上。しゅう動発熱による周辺部品や機械への影響を抑えることが可能

3. グリースレス・静粛性:樹脂単体型すべりねじと同様にグリースが不要なため、メンテナンス回数の削減に寄与。PPS樹脂複合材料は樹脂単体型と同様に摩擦係数が低く、高い静粛性を有する

 NTNでは医療機器や半導体製造装置、食品機械などの各種搬送装置向けに本商品の提案を進め、高速移動などの高機能化に貢献していく。同社では今後も、対応可能なねじ仕様を開発し、ラインアップを拡充することで、自動化・省人化を背景としたロボット・搬送装置市場の需要の増加に対応するとともに、市場の進展に寄与行く考えだ。

従来品との構造比較:樹脂単体型すべりねじ(ナット部に樹脂材料のみを使用、左)と、アルミ複合型樹脂すべりねじ(アルミ合金基材と樹脂材料を一体成形した複合ナットを使用、右)

 

樹脂単体型すべりねじとの性能比較(代表例:軸径12mm、リード2mm仕様)
:樹脂許容アキシアル荷重(左)と摩耗量と軸温度(右)

 

NTNのアルミ複合型樹脂すべりねじのねじ仕様


 

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山本通産など4社、2/16にオンラインセミナー「耐候性の基礎セミナー」を開催

9ヶ月 2週 ago
山本通産など4社、2/16にオンラインセミナー「耐候性の基礎セミナー」を開催kat 2024年02日06日(火) in

 山本通産の主催、BASFジャパン、岩崎電気、コニカミノルタジャパンの共催により、2月16日 13:00 ~ 15:40にオンラインセミナー「耐候性の基礎セミナー~光安定剤・促進耐候性試験・評価(色&光沢) ~」が開催される。参加費用は無料で、開催方法はウェビナー(Microsoft Teams)。申し込みは以下の画像をクリック。

 

 屋外で用いられる製品およびその構成材料は、⾧期での耐久性が不可欠となる。今回のセミナーでは、耐候性をテーマに材料処方・試験およびその評価に関して、基礎的な内容を中心に説明がなされるほか、実際の装置導入事例や耐候性試験前後のサンプルの実測データが紹介される。基礎知識の向上および最新トレンドに関して、材料・試験方法・評価の三つの観点から説明し、ユーザーの課題解決のヒントが得られるオンラインセミナーとなっている。

 当日は以下の三つのセミナーが行われる。

① 13:10 ~ 13:50「耐候安定剤の基礎セミナー」 講師:BASFジャパン ED添加剤 中南宇史氏

〈主なプログラム〉
・耐候安定剤のメカニズム
・紫外線吸収剤
・処方設計
・水系用UVAのご紹介

② 13:50 ~ 14:30「促進耐候性試験の基礎セミナー」 講師:岩崎電気 光・環境事業部光デバイス部 プロセス技術開発課 森 一郎氏

<主なプログラム>
・耐候性試験について、各種促進耐候性試験(機)のご紹介
・促進性重視:メタルハライドランプ式試験機
・メタルハライドランプ式試験法JIS制定
・規格、相関性重視:キセノンランプ式試験機
・電子線(EB)処理について
・受託試験のご案内

③ 14:40 ~ 15:30「測色と光沢評価の基礎セミナー」 講師:コニカミノルタジャパン センシング事業部顧客サポート部 北澤久和氏・清藤 勲氏

<主なプログラム>
■基礎編
・目視と数値評価
・表色系いろいろ( L*a*b*、色差、黄色度YI )
・測定のしくみ(光源、センサー)
■応用編・色と光沢の測定がなぜ必要か?
■実測編・耐候性試験前後の色と光沢の実測例

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ブルカージャパン、3/8にナノインデンターをテーマに懇話会をオンサイト開催

9ヶ月 2週 ago
ブルカージャパン、3/8にナノインデンターをテーマに懇話会をオンサイト開催kat 2024年02日06日(火) in

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部は3月8日13:30~17:00に、東京都中央区の貸会議室スペース まる八 茅場町で、ナノインデンターユーザーを対象にした「第2回 微小力学懇話会」を開催する。参加費用は無料で、17:00からは、講師陣と聴講者が深い議論や親睦を深めるプログラム「懇親会」も準備されている。参加申し込みフォームは、以下の画像をクリック。

 

 同社にはかねてから、ナノインデンターユーザーを中心とした実務者から、微小力学試験に関して相談・議論できる場が欲しいとの声が多数寄せられていたが、昨年、物質・材料研究機構・大村氏の協力のもと、微小力学試験のさまざまなテーマに関し情報収集・意見交換できる機会として「微小力学懇話会」を発足させた。昨年はウェブ開催だったが、第2回目となる今回はオンサイト開催となることから、より活発な会になることが見込まれている。

 微小力学懇話会は、双方向の情報発信となるよう、第一線で活躍する講師の講演に加えて、「みんなで話そう微小力学」としてパネルディスカッションも企画。本イベントの参加者による活発な意見交換を通じて、微小力学試験の有効活用に役立てることを企図している。

プログラム

13:00~ 受付開始

13:30~13:40 開会挨拶

13:40~14:20
【特別講演】「インデンテーション法を用いた結晶性材料の変形・破壊挙動の理解」池田賢一氏(北海道大学
)…金属や半導体、セラミックス等の結晶性材料の力学特性は結晶方位や結晶粒径、析出物等の第二相粒子など様々な内部組織に依存することが知られている。本講演では、発表者が所属する研究室内で実施してきた各種インデンテーション法により評価した以下の結果を紹介する。

『計装化In-situ Vickers インデンテーション法を用いたSi結晶の破壊挙動の理解』…透明ビッカース圧子を用いてSi単結晶の亀裂進展挙動をその場観察し、その結晶方位依存性を検討した結果を紹介する。

『時効析出強化型アルミニウム合金の粒界近傍の局所力学挙動解析』…Al-Mg-Si系合金を対象として、時効生成物の種類と粒界性格に着目して時効生成物が粒界近傍の力学特性に与える影響について、ナノインデンテーション法を用いて検討した結果を紹介する。

14:20~14:50
【特別講演】「分子結晶の力学応答発光機能を司る要因の多面的検討」平井悠一氏(物質・材料研究機構)
…分子結晶の粉砕による発光(メカノ発光)や、磨砕による発光色変化(メカノクロミック発光)は近年広く知られるようになり、自立型光源や応力センサーとしての展開が期待される。これらは分子材料として、その分子構造と結晶構造、光機能の相関は評価されているものの、「変形・破壊」自体を直接的に検出・評価した例がほとんどない。本講演では、代表的な分子群(希土類錯体、ピレン誘導体)のナノインデンテーション試験により得られた結果と分子の形態・刺激応答性の相関について紹介する。

14:50~15:10
「ナノインデンターを使うコツ」二軒谷 亮(ブルカージャパン)
…ナノインデンターは様々な微小力学特性評価を行うことのできる、大変便利な装置だが、試料の固定や測定条件などにより、測定結果が変わってしまうことに注意する必要がある。本講演ではナノインデンターの基礎理論に加え、ユーザーやナノインデンターを始める人に知っておいてもらいたい、使い方のコツを紹介する。

15:10~15:20
休憩

15:20~16:20
【特別企画】「みんなで話そう微小力学」
…微小力学試験に関して、日頃より気になる質問や相談を講師陣からなるパネリストと意見交換できる、貴重なプログラム。質問・相談は登録フォームより記入できるほか、当日の質問・意見も受け付けている。

16:20~16:30 閉会の挨拶

16:30~17:00
ナノインデンターラボツアー
( ※ブルカー東京デモルームへ移動 会場より徒歩1分)

17:00~ 懇親会

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エボニック、米国チャールストンで湿式シリカの製造能力を50%増強

9ヶ月 2週 ago
エボニック、米国チャールストンで湿式シリカの製造能力を50%増強kat 2024年02日06日(火) in

 独エボニック インダストリーズ(エボニック)は、米国サウスカロライナ州チャールストンの湿式シリカの製造工場を拡張する。この新ライン建設に投資することで、特に北米のタイヤ業界における、低燃費タイヤを実現するシリカへの高い需要に対応。これにより、シリカの現地調達が可能となり、同地域におけるエボニック パートナーのサプライチェーンを強化する狙い。

 シリカは、低燃費タイヤや、歯磨き粉、コーティング剤といった製品の重要な原料であり、エボニックグループはこのほど、数十億円規模の資金を投じて湿式シリカの製造ラインを新設するもの。着工は2024年半ばで、操業開始は2026年初頭を予定している。

 エボニック最高財務責任者(CFO)兼北米責任者を務めるマイケ・シュー氏は、「北米は当社にとって重要な成長戦略地域。チャールストン拠点に投資し、戦略的に顧客中心のアプローチを強化し、コスト改善およびサステナビリティの向上を図る。当社は、革新的で環境に優しいソリューションや技術への投資を通じて、顧客に優れたサステナビリティのメリットを提供していく」と述べている。チャールストンの新ライン建設により、エボニックは同工場での湿式シリカの製造能力を50%増強する。

 エボニックのシリカ事業を含むスマートマテリアルズ部門の責任者であるローレン・ケルセン氏は、「この拡張により、最先端のチャールストン工場は北米における湿式シリカおよびサステナブルなシリカ製品の主要製造拠点となる」と述べている。

 エボニックは、チャールストン拠点のカーボンニュートラルに向けて、明確なロードマップを定めた。エボニックのシリカ事業部の責任者であるエマニュエル・アウアー氏は「この数年間、事業チームと技術チームは、確固たる拡張コンセプトを開発すべく努力してきた。今後はこのコンセプトに基づいて拡張を進めていく予定で、この拡張はエボニックのシリカ技術が持つハンドプリント(環境に対するプラスの影響)と低炭素のフットプリントを組み合わせることによって、当社のサステナビリティ目標の達成に貢献する。また、Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)*に対する、エボニックのコミットメントを強調するものでもある」と述べている。

* CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による共同イニシアチブで、パリ協定に沿った科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標のベストプラクティスを定義し、推進している。

 チャールストン拠点の製造能力を拡大することで、タイヤ業界の地域間サプライチェーンに対するニーズを満たすことができる。エボニックではさらに、湿式シリカULTRASIL®の製造に循環型原料を導入し、タイヤ業界のサステナビリティ目標の達成をサポートしていく。

 シリカは低燃費タイヤにおける重要な原料として、従来の乗用車用タイヤに比べ最大8%燃費を低減することから、北米では転がり抵抗を減らし低燃費を可能にするタイヤへの需要が高まりを見せている。

 過去数年間、エボニックは最新のシリカ製造設備への投資と、さらなる事業の強化のために世界規模で戦略的買収を継続的に行ってきた。チャールストンの工場は、現在、世界18カ所にある湿式シリカの製造拠点ネットワークの一部となっている。

 エボニックはシリカの世界的なリーディングカンパニーであり、湿式シリカULTRASIL®、ZEODENT®およびSIPERNAT®に加え、フュームドシリカAEROSIL®などの製品を世界中のさまざまな産業向けに製造している。

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THK、新社長に寺町崇史氏

9ヶ月 2週 ago
THK、新社長に寺町崇史氏kat 2024年02日02日(金) in

 THKは、昨年11月15日開催の取締役会において、本年1月1日付けで 寺町崇史取締役専務執行役員 産業機器統括本部長が代表取締役社長 COO 兼 産業機器統括本部長に就任する人事を決議した。寺町 彰博社長は代表取締役会長 CEOに就任する。

 

寺町崇史(てらまち・たかし)氏
1978年11月 17 日生まれ、45歳。
2003年3月慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了後、同年4月住友商事に入社、2013年9月に同社を退社
同年11月にTHKに入社
2014年1月IMT 事業部 部長
同年6月取締役執行役員 IMT 事業部副事業部長 兼THKインテックス代表取締役社長
2016年6月取締役専務執行役員産業機器統括本部長 兼 THKインテックス代表取締役社長
2020年1月取締役専務執行役員産業機器統括本部長
兼 THKインテックス取締役
2020年3月取締役専務執行役員産業機器統括本部長
 

kat

日本粉末冶金工業会、令和6年 新年賀詞交歓会を開催

9ヶ月 3週 ago
日本粉末冶金工業会、令和6年 新年賀詞交歓会を開催admin 2024年01日31日(水) in in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)は1月19日、東京都港区のインターコンチネンタル東京ベイで「令和6年 新年賀詞交歓会」を開催した。

 当日はまず伊井 浩JPMA会長(ダイヤメット社長)が挨拶に立ち、「粉末冶金製品を取り巻く環境は、昨年は自動車産業の回復とともに一昨年と比べると回復はしたが、その力は弱く日本の粉末冶金製品の生産量が残念ながらコロナ前の水準まで戻っていない状況だ。そして、粉末冶金製品の主力が多く使用される内燃機関車が電気自動車に置き換わる傾向は各地域で確実に進んでいる。当工業会にとっても今後厳しい状況が継続すると思われる。このような自動車産業の変革は我々の業界だけでなく、例えばテスラで採用されているようなギガキャストといった製造手法を日本の自動車メーカー各社も採用に向け具体化しているという報道もある。その報道によると、例えば91部品51工程を経て生産していた車体の一部は1工程1部品に集約できるとのことだ。プレスやダイカスト業界にとってはその影響は非常に大きいものと推察している。まさしく自動車産業は100年に一度の大変革にある。このように大変厳しい現実に直面している当工業会ではあるが、たとえば小型モビリティーのインホイールモーターへの搭載、またここ数年海外で急増している電動バイクにも焼結部品が新たに採用されている。市場を国内から海外に目を転じれば、インドやASEANを中心に日本の粉末冶金製品がまだまだ貢献できる分野が多くあるのではないかと考えている。今年は、当工業会と粉体粉末冶金協会にとって最大のイベントであるWORLD PM2024が10月13日から横浜で開催される。コロナ明けの最初のイベントとあって30ヵ国以上1000名超の参加を予定している。皆様のお力添えをお願いしたい」と挨拶した。

挨拶する伊井JSPM会長

 粉体粉末冶金協会(JSPM)の園田修三会長(福田金属箔粉工業 社長)は、「日本の基幹産業であり粉末冶金製品の主要取引先である自動車業界においてはトヨタ自動車が2024年度の3月期連結純利益が過去最高であることを発表した。一方、海外に目を向けると中近東情勢や長引くロシア・ウクライナ戦争、激しさを増す米中対立、中国経済の低迷など、先行き不透明感が漂っている。しかし、嘆いてばかりでは仕方がない。先行きを見通すことが困難な時代だからこそビジネスチャンスもあると思っている。事業環境の変化をしっかり見極めて何事にも明るく前向きに向かっていくことが肝要だと思っている」と述べた。

挨拶する園田JSPM会長

 

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日本工作機器工業会、2024年 年始会を開催

9ヶ月 3週 ago
日本工作機器工業会、2024年 年始会を開催admin 2024年01日31日(水) in in

 日本工作機器工業会は1月17日、東京都千代田区の東京會舘で、「2024年 年始会」を開催した。

 当日は寺町彰博会長(THK会長)が、2023年1月~12月の同工業会会員企業の販売額が前年同期比20.3%減の1776億円となる見込みであることを報告。また、2024年1月~12月の同工業会会員企業の販売額については4%増の1784億円の微増とする見通しを発表した。

 寺町会長は今年の販売見込み額を踏まえて、私見として「昨年の日本は設備投資が100兆円を超えた。今年については半導体関連をはじめとして2024年問題と言われるように、さまざまなところで自動化・省力化を進めていかねばならないという機運が高まっている。そのため、今年は順調に拡大していくと思っている。2000億円はまだまだ遠い数字ではあるが、控えめな予想よりもかなり上回ることができるのではないかと思っている」と力強く語った。

 さらに、「若い人たちには大胆に変革・イノベーションを図っていってもらいたい。新しいことをするのに失敗は当たり前である。過去に倣った安全・安心を前面に出していくと新たなチャレンジができない。日本神話が壊れるといったことを恐れ過ぎないこと。皆様におかれましてはチャレンジしたことを褒めることと、仮に失敗があった場合は素早く復旧する努力をさせること、という形での応援があれば日本社会も大きく変わっていけると思っている」と述べた。

挨拶する寺町会長

 

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潤滑剤関連5団体、令和6年新年賀詞交歓会を開催

9ヶ月 3週 ago
潤滑剤関連5団体、令和6年新年賀詞交歓会を開催kat 2024年01日29日(月) in

 潤滑油協会、全国石油工業協同組合、日本グリース協会、全国オイルリサイクル協同組合、全国工作油剤工業組合の潤滑剤関連5団体は1月17日、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で「令和6年新年賀詞交歓会」を開催した。潤滑剤関連5団体の賀詞交歓会の開催は4年ぶりとなる。

 冒頭、挨拶に立った潤滑油協会(JALOS、会長:石川 裕二・中外油化学工業会長)は、「ロシア・ウクライナ紛争、イスラエル・パレスチナ紛争など、戦争で我々の手掛ける大事な燃料や潤滑油が人を殺すために使われることは誠に悲しい。潤滑油協会はわが国で唯一の潤滑油の中立機関として、資源エネルギー庁をはじめ潤滑に関連する各位にお世話になりながら仕事をしている。潤滑油は輸送機関、作業機器を動かすにあたって消費エネルギーを最小化し、これを節約するほか、排出ガスを抑制し、また放っておけば錆びて多くの損失となる鉄鋼関係、資源の資源効率を高めるなど、さまざまな場面で地球環境を保全するのに大きく貢献している。例えば身近な自動車エンジンの潤滑では、摩擦の少ない粘度の低いものへと改良していく長年の努力によって大きな成果を上げている。特にわが国では世界に先駆けて低燃費エンジン油規格であるJASO GLV-1を策定し、JASOエンジン油普及促進協議会によるオンファイル、また自己認証による届け出の対象として2019年10月からその製品の市場導入が開始されている。そのJASO GLV-1規格の策定・運用にあたっては当協会も大いに貢献している。現在さらに新たな省燃費エンジン油の規格JASO GLV-2のガイドラインの策定を進めるとともに、規格づくりに参画しており、カーボンニュートラルの実現に向け、今後も引き続き省燃費における地球環境の保全に貢献していく。また当協会は中立な潤滑油試験機関の使命として、潤滑油試験精度の安定性向上のため、潤滑油各社の試験室に参加してもらい、潤滑油試験の照合試験を継続的に実施、そのデータに基づき認定書を発行し、アドバイスを行っている。近年多発する地震や風災害に対してのBCPの勉強会や保安防災研修会などを開催し潤滑油製造業各社への対応を図っているほか、各社からの試験依頼や、受講者の知識水準に合わせた技術研修会、各地開催の地方研修会も実施しており、潤滑油関連従事者の能力向上にも努めている。当協会は2023年11月から新社屋において本格的に実務をスタートしている。移転に伴い一同、職務に邁進していく」と語った。

挨拶するJALOS石川会長

 

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ロボット関連3団体、2024新年賀詞交歓会を開催

9ヶ月 3週 ago
ロボット関連3団体、2024新年賀詞交歓会を開催kat 2024年01日29日(月) in in

 日本ロボット工業会、製造科学技術センターと日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)のロボット関連3団体は1月12日、東京都港区の東京プリンスホテルで「2024年ロボット関連団体新年賀詞交歓会」を開催した。

 当日は代表して日本ロボット工業会の山口賢治会長(ファナック社長)が挨拶に立ち、「2023国際ロボット展は主点者数が過去最大だったほか、来場者も14万8000人と過去最高になり盛大に開催でき、当工業会の2024年に向けた力強い応援となった。経済環境は長引くロシア・ウクライナ情勢、中東情勢のほか、地政学的リスクもあり不安定化がさらに進んできている。国際経済もこれらに加え、中国の経済減速や欧米でのインフレ圧力の増加などから減少傾向にある。直近の国際通貨基金における世界経済の見通しでは、2022年が3.5%の伸びだったのに対し、2023年は3.02%増、今年は2.9%増にまで減速するなど、さまざまな懸念の中で新年を迎えた。こうした状況の中、2023年の我が国ロボット産業は中国市場の悪化や世界経済低迷による投資の先送りなどから、受注額で対前年度比23.6%減の約8490億円、生産額では11.2%減の約9060億円と、当初見通しを大幅に下回ることが見込まれている。今年のロボット市場においては、世界的な経済に不透明感はあるものの、国際ロボット展で改めて感じた自動化への高まる要求に鑑み、年度後半に向けて拡大する自動化需要を取り込むことで、受注額は対前年度比6%増の9000億円を期待するとともに、生産額も9000億円を見込んでいると挨拶した。

挨拶する山口会長


山口会長は続いて3団体の2023年の活動計画について報告。


 日本ロボット工業会の活動としては、業界活性化のさらなる推進に向け、以下の3点を重点分野として取り組む。

・市場拡大に向けた取組み:同会は2023年から、経済産業省の実施する「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の補助金交付執行団体事務局として、「施設管理」と「食品」の2分野におけるロボットフレンドリーな環境の構築に必要な研究開発の支援事業に参画しており、本年も引き続き進めていく。また、政府では中小企業等の生産性向上や売上高拡大などに向けた投資促進を図るため、2023年度補正事業において「中小企業省力化投資補助事業」、「中小企業生産性革命推進事業」の施策を推進することとしており、同会としてもそれら施策を通じたロボットの利活用拡大に努めるほか、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会およびSIer協会との連携を通じロボットの一層の使用拡大に努めていく

・イノベーションの加速化に向けた産学連携の推進:グローバル市場での日本の優位性確保や潜在市場の顕在化に加え、さまざまな社会課題解決に向けての、ロボット技術のイノベーションの加速は急務で、日本ロボット学会などの関係学会や関連業界との連携に努める

・国際標準化の推進と国際協調・協力の推進:国際標準化は欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいるが、日本も官民挙げての取り組みが重要。特にロボットの国際標準化について審議しているISO TC299で本年5月に大阪府の池田市で五つのWGを開催する。ロボットのリーディングカントリーとして国際標準活動に引き続き積極的に取り組むとともに、国際ロボット連盟を通じた活動と国際交流を積極的に推進していく

 2024年はまた、6月12日~14日開催の「第25回 実装プロセステクノロジー展」、9月18日~20日には「Japan Robot Week 2024」の二つの展示会を東京ビッグサイトで開催する。両展を通じて技術情報の発信とともに、さまざまな分野へのロボット利活用拡大への意欲を喚起することに加え、市場調査、技術深耕等の事業を意欲的に展開する。

 製造科学技術センターでは、ロボット、IoT、ものづくりなどにおける製造科学技術全般の調査・研究や標準化に取り組んでおり、2024年は以下のとおり活動する。

・ロボットとものづくり関連の取り組み:人とロボットの力や情報の相互作用を加味する革新的な協業形態である「合業」を提唱し新たな生産手法の確立を目指しているほか、将来のロボットのエンドエフェクタの国際標準化の在り方について検討を進めている

・オートメーション関連の取組み:企業間を含めた生産システムの連携手法、経営情報、現場情報に加え、脱炭素情報を含めた「製造の見える化・モデル化」、さらにはクラウドを活用した中小企業における工場のIoT化促進などの活動を実施している。1月31日~2月2日にはこれまでの成果を発表する「IAFフォーラム」に出展する

・標準化活動:スマートマニュファクチャリングおよびDXに関する産業データの標準化を扱うISO/TC 184/SC 4では、三次元CADデータの流通・活用の高度化を進めるための規格などの、またSC5では、デジタルツイン、ソフトウェアシステムの連携や製品に関するデジタルデータの流通・活用の促進に関する規格の開発など、日本から合計4件の提案を行っている。日本主導によって合計3規格の国際標準文書の発行のめどが立っている。引き続き標準化活動を強化し産業界に寄与していく

 製造科学技術センターは日本のものづくりの横断的な課題に応えつつ、ものづくり企業の競争力と活力の創成に努めていく。

 SIer協会は2018年に日本ロボット工業会の特別委員会として設立、2023年に5周年を機に一般社団法人化を行った。設立以来、①SIerを中心としたFA・ロボット業界ネットワークの構築、②SIerの事業基盤の強化、③システムインテグレーションに対する専門性の高度化の三つのキーワードを掲げ活動を行ってきたが、一般社団法人化を機に①ロボットSIerを若者があこがれる職業へ、②SI業界の発展のみならず自動化業界(ロボット業界)全体の発展の牽引者へ、③サイバーフィジカルシステムで日本を世界一の自動化大国へ、のキーワードを追加した。本年は各種展示会への出展、ロボットアイデア甲子園の開催、全国各地10カ所でのSIer’s Dayの開催、地方行政との連携、技術セミナーの開催、各種講座の開催、ロボットSI検定の実施などの活動を引き続き行う。また、2023年から開始したロボット教育におけるデジタル活用の推進(デジタル教育機器を用いたロボット操作など)に注力していく。生徒・学生へのロボット教育普及を目指し、これまでロボットシステムインテグレーションを行う上で必要な知識の習得レベル・技術の修熟レベルを測定するための検定試験「ロボットSI検定4級」を追加する検討を開始する。さらに、ロボットSI検定3級をタイで本年から実施するなど、ロボットSI検定の国際化の第一歩を踏み出す。
SIer協会は引き続き、ロボット産業およびSI産業の発展のために活動を行っていく。
 

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日本工作機械工業会、2024年新年賀詞交歓会を開催

9ヶ月 3週 ago
日本工作機械工業会、2024年新年賀詞交歓会を開催kat 2024年01日29日(月) in in

 日本工作機械工業会は1月10日、東京都港区のホテルニューオータニで新年賀詞交歓会を開催した。

 会の冒頭、挨拶に立った稲葉善治会長(ファナック会長)は「2023年は新型コロナウイルスが5類に移行し経済活動が正常に戻った。一方で米中対立やウクライナ戦争の長期化、さらに中東パレスチナでは激しい軍事衝突が勃発し、世界情勢は不透明・不確実の度合いをさらに強めている。このような状況の中で2023年は、内需は当初見込んでいた半導体製造装置関連や、自動車需要回復が思うように進まず、目標に達しなかった。一方外需は欧米が比較的高水準を維持したものの、中国が不動産の不良債権問題などをきっかけに景気が低迷し大幅に減速した。こうした厳しい経済環境から2023年の工作機械受注額は、1兆4800億円に達した。2024年は世界情勢の先行き不透明感が継続する中で、年前半は緩やかな調整局面が続くと思われる。しかし人材不足や人件費高騰に対応する自動化・効率化投資、また、AI・IoTを活用したデジタル革新、環境対応といった設備へのニーズは根強いものがあり、工作機械の受注を下支えしていくことが期待される。また、半導体の需要増加や、自動車の新エネルギー対応など、今年後半には工作機械に新たな需要が見込まれる。以上の状況を総合的に判断し、2024年の工作機械受注額は1兆5000億円になるものと見込んでいる。工作機械業界の公共不況のボーダーラインを1兆3000万円と考えているため、非常に厳しい状況にある中では決して悪くない数字と考える」と述べた。

挨拶する稲葉会長

 

 2024年は工作機械業界最大のイベントである「JIMTOF2024」が11月に開催される。今回のJIMTOFでは「技術のタスキで未来につなぐ」をコンセプトに、製造業のポテンシャルを最大限に引き出す最先端の工作機械技術・製品を世界に向けて発信すべく、会員各社に対し鋭意準備を進めてほしい、と述べた。今回も前回に続いて、南展示棟で特別併催展「Additive Manufacturing Area in JIMTOF2024」や、併催事業の目玉として出展社と学生をつなぐ「アカデミックエリア」を設置する。このエリアでは企画展示やポスターセッションなどの恒例のプログラムに加え、新企画として学生・学校関係者を対象として就活コンテンツを盛り込む予定。各プログラムを有機的につなぐことでシナジー効果が発揮され、次世代を担う学生と現役世代の交流促進だけでなく、南展示棟の賑わいにも一役買うことが期待される。目的をもって南展示棟に向かう来場者を増やすことで新たな人の流れを生み出すことでJIMTOF全体を盛り上げていく。

 また、2024年度のJIMTOF以外の日工会の活動として、以下のとおり報告した。

・デジタル、グリーン、レジリエンスの三つの取組みの推進・進化をはじめ「工作機械産業ビジョン2030」で示された内容についても、各委員会が中心となって取り組んでいく。その一環として、生産システムの自動化に必要とされる工作機械の仕様・機能の指針を策定するほか、日本流の産学官連携拠点の在り方に関する検討、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動、デジタルツールを活用したEPA利用促進、将来有望なインド市場開拓に資する調査研究、これらの事業を推進して会員各社に共通する共有領域の深化・拡大を進めていく

・工作機械ビジネスは技術、輸出管理、経済安全保障のほか、あらゆる面で高度化・複雑化しており、人材育成の重要度が増している。工作機械業界の技術者、輸出担当者、サービス員などの人材育成事業を推進していく

kat
Checked
6 分 31 秒 ago
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