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東京理科大学・佐々木研究室、第11回トライボサロンをハイブリッド開催

1年 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第11回トライボサロンをハイブリッド開催kat 2023年07日15日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第11回目が7月15日、東京都葛飾区の葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

第11回トライボサロン オンサイト開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催しされている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第11回目となる今回のトライボサロンでは、MoDTCを中心とする「有機モリブデン化合物の機能」をテーマに、Office Tanaka・田中典義氏(元ADEKA)を講師に話題提供が行われた。

 講演では、MoDTCの錯体構造の違いによって摩擦低減・酸化防止・耐摩耗性の効果が違うこと(硫黄が多いほど良好)や、MoDTCが低摩擦を実現するMoS2の供給源となり、MoS2被膜生成の必要条件としてMoO3被膜の生成が重要であることなどが紹介された。そのほか、低粘度エンジン油とMoDTCの組み合わせで2%程度の燃費改善結果が得られている自動車メーカーの発表などを紹介しつつ、MoDTCの最大の特徴は低フリクションであり、今後は①熱・酸化劣化を受けにくい新規Mo化合物の開発、②MoDTCの分解を抑える配合処方、③分解後のMo化合物でも有効に働く硫黄サプライヤーの探索が期待される、と総括した。

 なお、トライボサロンに関心のある方は以下のURLを参照されたい。

 https://tribo-science.com/salon

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本年9月18日~23日開催EMO Hannover 2023の見どころを紹介

1年 ago
本年9月18日~23日開催EMO Hannover 2023の見どころを紹介 in kat 2023年07日14日(金) in

 ドイツ工作機械工業会(VDW)は7月5日、ドイツ・フランクフルトにあるクラシックカーのための総合施設Klassikstadt(クラシックシュタット)で「EMO Hannover 2023 Preview」を開催した。本年9月18日~23日にドイツ・ハノーバー国際展示会場で4年ぶりにリアル開催される「EMO Hannover 2023(「EMOハノーバー2023)」の見どころを紹介するもので、ドイツ本国のほか日本など世界30ヵ国から、70名超のジャーナリストが参加した。

 ここでは同プレビューイベントの概要を通じて、EMOハノーバー2023の見どころを紹介したい。
 

プレビューイベントの会場となったクラシックシュタット

 

オープニング・スピーチを行うVDW報道・広報部長のSylke Becker氏

 

EMOハノーバー2023のハイライト

 プレビューではまず、VDWの現EMOハノーバー マネージングディレクターのヴィルフリート・シェーファー(Wilfried Schaefer)氏と次期マネージングディレクターのマルクス・へーリングス(Marks Heerings)氏が、インタビュアーの質問に答える形で、EMOハノーバー2023の見どころを紹介した。

 EMOハノーバーは「製造業のイノベーション(Innovate Manufacturing)」をテーマに掲げているが、EMOハノーバー2023では産業界が現在直面する課題に対処するための「未来への洞察(Future Insights)」として、「ビジネスの未来(The Future of Business)」、「コネクティビティの未来(The Future of Connectivity)」、「生産におけるサステナビリティの未来(The Future of Sustainability in Production)」の三つの未来にフォーカスする。

 ビジネスの未来では、新たな市場、新たなビジネスモデル、ビジネスチャンスに焦点を当てる。高齢者も長く働けるような働き方改革につながるビジネスモデルの構築のヒントにもなる。

 コネクティビティの未来では、インダストリー4.0(Industry 4.0)、産業IoT(IIot)、デジタル・ビジネスモデル、予知保全、機械学習、コネクティビティ、相互運用性、人工知能(AI)・拡張・仮想現実アプリケーションなどの動向を取り上げる。今回、工作機械の情報を簡単にデータ化し収集するインターフェイスの規格「umati(universal machine technology interface)」のスタンドでは、工場内や工場間の効果的なネットワーキングの基盤として、機械・プラントエンジニアリング業界向けの接続イニシアチブの最新開発状況を紹介することを目的とした、大規模なライブ・デモンストレーションが行われる。機械の状態監視データを活用することで最適な予兆保全が図れるなど、サプライヤーとしてはデータを活用することによる新しいサービスの提供の形が、ユーザーとしてはデータが新しいビジネスモデルにどう活用できるかを考える場となる。

 生産におけるサステナビリティの未来では、今日の最も喫緊の課題の一つで、すでに投資の計画立案にも取り入れられているテーマである、サステナビリティの統合について取り上げる。エネルギーの効率化に焦点を当て、生産のあり方を提示する。

 7月現在、出展社についてもまだ募集中で、サステナビリティ、協働ロボット(コボット)など、トピックスごとにパッケージブースで提供できる。

 来場者はまた、www.emo-hannover.deのチケットストアでオンライン登録すると「マッチメイキング」オファーを受け取り、そこでプロフィールと関心のあるテーマを入力することによって、同じテーマを扱う出展企業とのマッチングが可能になる。
 

見どころを紹介するシェーファー氏(左)とへーリングス氏(右)

 

EMOハノーバー2023に見るumatiの進展

 工作機械やロボット、射出成形機などの情報を簡単にデータ化し収集するインターフェイスの規格「umati」の現状、EMOハノーバー2023で披露される内容に関して、umatiの規格策定の中核を担うVDWマネージングディレクターのアレクサンダー・ブルース(Alexander Broos)氏による基調講演が行われた。

 汎用・拡張・セキュア性が高いため世界標準になりつつある通信規格「OPC UA」を通信プロトコルとして採用し、umatiという共通の言語・辞書を用いることで、さまざまな機械同士が互いに連絡を取ることができる。EMOハノーバー2023の中心テーマであるコネクティビティの未来、ビジネスの未来、サステナビリティの未来において、umatiは主導的役割を果たす。コネクティビティの未来はもちろんのこと、ビジネスの未来において、新たな金であり石油であるデータをカスタマーとシェアすることで、より上位のビジネスを獲得できる。また、サステナビリティの未来では、umatiによる効率向上、省資源、CO2低減、さらにはコスト削減が図れる。

 umatiのパートナー企業はすでに、ドイツに次いで、スイス、イタリア、日本と増えつつあり、その数は300社以上となっている。

 EMOハノーバー2023のumatiスタンドでは、umatiを活用した大規模なライブ・デモンストレーションが行われる。工作機械だけでなくロボットや三次元形状測定機、3Dプリンターなど、umatiがその適用領域を広げてきていることを示しつつ、各機械の稼働状況が見える化できることをアピールする。
 

umatiの現状について講演するブルース氏

 

90秒ピッチ/ミニ展示会を通じた出展各社の製品・技術紹介

 プレビューイベントではまた、EMOハノーバー2023の42 ヵ国1750社超 (7月5日現在)の展示企業を代表して、約30社による1社あたり90秒というピッチが行われたほか、同展示企業各社によるミニ展示会が併設され、EMOハノーバー2023で披露される製品・技術の一端が紹介された。ここではbmt関連の企業展示の一部を紹介したい。

イグス

 イグスは、リサイクルへの簡単なデジタルアクセスを提供する「Chainge」オンラインプラットフォームを紹介。同社は循環型スタートアップ企業cirplusに投資し、ユーザーが不要になったケーブル保護管(イグスの商標では「エナジーチェーン」)について、他社製ケーブル保護管を含めてリサイクルできる同オンラインプラットフォームを構築している。イグスのミニブースでは、工具不要で開閉できる頑丈なケーブル保護管「エナジーチェーンE4Q」のリサイクル品も展示。性能・耐久性は新品と遜色ないレベルを実現、サステナブル需要の高まりから新品と同等の価格でも受注は増加傾向にあるという。エナジーチェーンでのリサイクル品の比率が高まる中、すべり軸受についてもリサイクルを検討し、ドイツ・ケルン本社内にある300m²を超えるすべり軸受の試験施設において耐用年数予測につながるデータを蓄積するための耐久試験を実施中という。
 

イグスのスタンド

 

 DMG森精機

 EMOハノーバーの展示会場に巨大な街「DMG MORI CITY―The home of technology」を設け、最大4台の刃物台を搭載するターレット型の複合加工機、横型MCや5軸フライス盤から、プロセス統合までを披露する。ハイライトは、①プロセスの統合:複数のプロセスを1台の工作機械に統合することで、生産性の向上と資源の節約、CO2排出量の削減を実現、②自動化:プロセスの生産性が向上し、年中無休で生産される部品の品質が保証され、機械の稼働時間が長くなり、サステナビリティが向上する、③デジタルトランスフォーメーション(DX):ワークフローを改善し、新たな機会を創出し、消費電力を削減することで、競争上の優位性を確立、など。
 

DMG森精機によるピッチ

 

オークマ

 新世代CNC「OSP-P500」を欧州で初披露する。①デジタルツインの革新:機械も制御も創る同社ならではの精緻なモデルとリアルな制御で、機械および加工を忠実に再現。現場の作業をデジタルで支援する「デジタルツイン」、②操作性の革新:初心者でも超簡単、熟練技術者の現場力を活かす「スマートオペレーション」、③加工の革新を支える2倍の演算性能:精密加工と快適な稼働を提供「スマートコントロール」、④脱炭素ソリューション:高生産性・高精度と環境対応を機械が自律的に両立、⑤強固なセキュリティ機能:ネットワークにつないでも安全、安心。安定稼働と資産を守る、の五つのソリューションでユーザーの生産性の向上と、ものづくりを取り巻く社会課題の解決に貢献する。
 

オークマのスタンド

 

FLACO

 水で希釈して使用する水溶性切削油(クーラント)のミキシングと濃度管理、供給を行う可搬式装置「FLACO KSSシリーズ」を紹介。クーラントは通常、濃度7%で設定した場合でも、機械を稼動してもしなくても水の蒸発により濃度が濃くなり8%、10%と変化する。同装置では、設定濃度に維持できるよう水を自動で継ぎ足すなど性能の安定したクーラントを工作機械に供給することで、①NG品を出さない安定した加工プロセスを実現、②工具の摩耗を低減し工具寿命を延長、③エマルションの分離、転相、沈殿物の発生がなく工具損傷のリスクが少ない、④菌の増殖を抑えクーラントの寿命延長を実現するとともに、作業者を保護する、⑤自動供給バルブなどの採用で定量供給を実現、工作機械の周囲を清潔に保つことができる、など加工効率の向上とコスト削減、作業環境改善という付加価値を提供する。
 

FLACOによるピッチ

 

Hofmann

 接触モニタリング、衝突モニタリング、ドレッシング(目直し)モニタリングなどの機能によって、研削プロセスの信頼性を高めるアコースティック・エミッション・システム「AE 9000」を紹介。

 接触モニタリングはAE信号の評価によって、研削砥石とワークが接触しているかどうかを確認。これによって砥石の空振りを避け、無駄な研削動作・加工時間の増大につながらないようスピンドル動作を正しく制御する。

 衝突モニタリングは、AE信号が設定した閾値を超えた際にアラームを発し加工サイクルを停止。機械とワークに損傷を与えることを防止する。

 ドレッシングモニタリングは、AE信号によってドレッシングの状態があらかじめ設定された要求形状のための均一な信号であることを確認、不必要なドレッシングプロセスを避けることができる。
 

Hofmannのスタンド


 

プレビューの全参加者

 

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イグス、FDA準拠の衛生設計の無潤滑リニアキャリッジを開発

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イグス、FDA準拠の衛生設計の無潤滑リニアキャリッジを開発kat 2023年06日30日(金) in

 イグスは、無潤滑モジュラー式リニアガイド「ドライリンW」シリーズとして、FDAに準拠した水分の滞留を防ぐ衛生設計のリニアキャリッジを開発した。同リニアガイドは、高機能ポリマー製キャリッジとステンレス製レールで構成されており、無潤滑・無給油を実現。食品機械での薬品を使用した洗浄工程にも対応する。EHEDG(衛生的なデザインと食品工学の進歩に専念している欧州に拠点を置く非政府組織)のメンバーである同社が、衛生的な設計ガイドラインに基づいて製造した最初のリニアガイドとなる。

 

 特別な要件が課される食品、医薬品、化粧品業界で、とりわけ重要となるのが「衛生性」で、機械メーカーや設備管理者は、製品の汚染を防ぐため常に衛生要件を満たす素材を用いて部品を設計している。また、FDAやEUの規制も遵守する必要がある。近年、衛生的な設計原則に沿った製品を望むユーザーが増えており、そこでは、化学薬品、蒸気、高圧水による定期的な洗浄工程に耐え、洗浄が行き届く設計の部品が求められる。また、無潤滑で迅速な洗浄に対応できる部品を使用すれば、ダウンタイムを最小限に抑えることができる。

 同社では今回、そうした要望に応えて衛生的な設計ガイドラインに沿ったドライリンW リニアガイドを開発したもの。水が溜まらない構造を実現したのが、液体を自由に排出できる排水誘導形状のキャリッジおよびレールで、新しい排水誘導形状キャリッジはFDA およびEU10/2011に準拠した独自の高機能ポリマー「イグリデュールA160」材質のみで構成されている。この無潤滑材質は、すべり軸受素材として食品機械で多くの実績を持つ。

 その他にも、水が溜まらないように衛生的なネジや大きな溝を採用し、洗浄液が流れ落ちやすいようにエッジを面取りしている。底部のシールは、レール下の空間を汚れから保護し、食材の残留を防ぐ。シャフトは、残留物がたまらないようにすべてシールされている。レールには、汚れが付着しにくい微細な表面構造を持たせるため、耐食性のステンレスSUS316 を使用している。

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イグス、高荷重対応の編み込み構造式すべり軸受を開発

1年 ago
イグス、高荷重対応の編み込み構造式すべり軸受を開発kat 2023年06日29日(木) in in

 イグスは、編み込み構造を有する高荷重向けのすべり軸受「イグテックス TX3」を開発した。高強度の繊維樹脂で構成されているため、熱可塑性材質では安定性の確保が難しい80MPa以上の荷重がかかる過酷な条件下でも使用できる。同シリーズ中でも特に高い性能を有し、厳しい動作環境に対応する。

 

イグテックス TX3

 

 イグテックスシリーズは、建設・農業機械、コンテナクレーン、オフショア分野など、射出成形のすべり軸受では安定性を確保できない場所で使用される。非常に強力なフィラメントとその特殊な巻線構造により、最大限の弾力性が確保。堅牢な繊維樹脂が外殻として機能し、摩擦特性を最適化した内層が軸の摩擦を低減し、滑らかな走行面を提供する。イグテックスの素材は、最大200MPaの荷重を吸収する必要があるアプリケーションに最適。

 今回新たに開発したイグテックス TX3は、ショベルカーの油圧シリンダー部など、高い動荷重や交番荷重が発生するような環境下で、長寿命を実現。S50Cのような表面が粗い軸や軟質軸にも対応しているほか、ベアリング摺動面に組み込まれた固体潤滑剤により無潤滑運転が可能なため、最高の摩擦係数を実現する。オイルやグリース、メンテナンスコストを削減でき、潤滑剤が外部に放出されないため、環境保護の面でも利点がある。

 ドイツ本社にある試験施設の屋内外の装置で徹底的にテストを実施した結果、S50Cの硬質クロム軸と組み合わせたイグテックス TX3が、100MPaの揺動試験において、同材質シリーズの中で最も優れた結果を出している。新内径20〜80mmのカタログラインナップを用意しており、その他のサイズのカスタム品も要望に応じて対応していく。

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ハイウィン、中空径340mmの超薄型DDモーターの受注・販売を開始

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ハイウィン、中空径340mmの超薄型DDモーターの受注・販売を開始kat 2023年06日28日(水) in in

 ハイウィンは、超薄型で大中空径を誇るダイレクトドライブ(DD)モーターDMTシリーズに、圧倒的な大中空径340mm、薄さ30mmの「DMTK3」の受注・販売を本年6月から開始している。

 

 DMTシリーズは、超薄型で低重心、そして大中空径が特徴のモーターで、高精度を要求される半導体製造工程やAOI検査装置への使用に適しているシリーズ。しかし、DMTシリーズを含め市場では、12インチウエハを中空径に通せるDDモーターがなく、従来の12インチウエハ関連の工程ではダイレクトドライブ方式以外の機構や円弧状機構の一部を使用して大きな中空ステージを製作していたものの、粉塵の影響や重量、大きさ、精度、構造などの欠点があった。

 そこでハイウィンでは今回、中空径が340mmに広がった「DMTK3」を開発。12インチウエハを中空径に通すことができ、さらに自由度の高いウエハ検査装置などの設計を可能としている。

 超薄型のコンパクトさと中空径にケーブルやエア配管を通せることにより、装置メーカーにおけるステージの設計や組立工数を圧縮可能で、例えば同社製リニアモーターと組み合わることで、比較的容易に全高250mm程度の高精度XYΘステージを組むことができるなど、装置の省スペース化や低重心化だけでなく、剛性向上にも寄与できる。

 製品の特徴は以下のとおり。

・大中空径340mm、薄さ30mm

・ギヤなし、ゼロバックラッシュ

・高分解能で優れた位置決め精度

・独自の磁気回路設計により高トルク

・当社製高剛性クロスローラーベアリングを内蔵

 主な用途として、12インチウエハ関連工程(ウエハダイシングやウエハ検査など)、マイクロLEDマストランスファー工程など、高精度だけでなく大中空径や薄型・省スペース要件を求めるアプリケーションに適している。

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NTN、射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受を開発

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NTN、射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受を開発kat 2023年06日28日(水) in in

 NTNは、業界初となるセパレータ保持器を採用し、業界最高水準の長寿命化と高速回転対応を両立した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」を開発した。電動式射出成形機のメンテナンスコスト低減やサイクルタイムの短縮化に貢献するとともに、クリーン環境にも対応する。

射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」

 

 樹脂製品の製造に使用される射出成形機は、省エネルギー化や環境負荷の低減を背景に、従来の油圧式から、ボールねじとサーボモータを組み合わせた電動式が主流になっている。また、生産性の向上を目的に、射出成形機のメンテナンスコストの低減やサイクルタイムの短縮化が進み、ボールねじに使用される軸受には長寿命化や高速回転への対応が求められている。さらに、医療や食品分野などにおいてはクリーンルームなどの環境で射出成形機が使用されるケースも増えており、軸受の潤滑に用いられるグリースの飛散を防止するニーズも高まっている。

 これに対し今回開発した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」は、内部設計の見直しとセパレータ保持器およびシールの採用により、長寿命化と許容回転速度の向上、グリース飛散の防止を実現した。ボールのサイズや個数など内部設計を見直すことで、アキシアル基本動定格荷重を従来品比で約1.2倍、定格寿命を約1.7倍、許容回転速度を約1.8倍に向上、高負荷容量と高速回転対応を両立した。また、一般的に使用されるリング状の一体型保持器に比べて幅方向の寸法を抑えることができるセパレータ保持器を業界で初めて射出成形機用ボールねじ支持軸受に採用したことで、内部空間容積が同社従来品(一体型保持器)比で約30%増加した。これにより、軸受の寸法を変えることなくグリースの飛散を防止するシールを追加することが可能で、軸受周辺の環境をクリーンに保つことができる。さらにグリース充填量の増加も可能となり、グリース寿命も向上している。

 日本ではすでに射出成形機の電動化が進んでいるほか、今後は中国や欧州などにおいても電動化が進んでいくことが予想されており、ボールねじ支持軸受の需要はさらに拡大していくと見られている。同社では、本開発品をグローバルに提案し、電動式射出成形機の生産性向上やランニングコストの低減に貢献していく。

 開発品の特徴は以下のとおり。

・長寿命化:内部設計の見直しにより、同社従来品比でアキシアル基本動定格荷重を約1.2倍向上、定格寿命を約1.7倍向上(ともに業界最高水準)。セパレータ保持器の採用により、同社従来品比で内部空間容積が約30%増加、グリース封入量を増やすことでグリース寿命が向上

・クリーン環境に対応(グリースの飛散防止):セパレータ保持器の採用により、軸受の片側にシールを装着

・高速回転対応:内部設計の見直しにより、同社従来品比で許容回転速度を1.8倍向上

・互換性:従来のシール無し軸受からの置き換えが可能

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NTN、流体動圧軸受の販売を拡大

1年 ago
NTN、流体動圧軸受の販売を拡大kat 2023年06日28日(水) in in

 NTNは、独自に開発した流体動圧軸受「動圧ベアファイト」の販売を拡大している。「動圧ベアファイト」は小型・軽量で優れた静音性を持ち、自動車のEV・電動化に伴い、より高い静音性が求められる車載装置向け冷却ファンモータなど新たな用途への採用が拡大している。2025年度には、2022年度の約1.5倍となる約1億5000万個/年の生産を目指す。

流体動圧軸受「動圧ベアファイト」

 

 動圧ベアファイトは、すべり面で軸を受け、軸受すきまに油などの流体潤滑膜を介在させて回転を支える特殊すべり軸受。独自の精密加工技術により、焼結含油軸受の内径面に深さ数µmのへリングボーン型動圧溝を設けているため、軸受すきまの全周で油膜を形成することができ、アンバランス荷重がかかる場合においても軸の振れ回りを抑え、高速回転に対応することが可能。

 非接触で回転を支えるため優れた静音性を実現、動圧ベアファイトを使用したファンモータの騒音(音圧)は、転がり軸受を使用した場合の約1/2に抑えることができる。また、ファンモータや小型モータに使用されるミニアチュア軸受(外径9mm未満の転がり軸受)を動圧ベアファイトに置き換えた場合、外径寸法を30%、重量を24%削減することが可能なため、搭載する装置全体の軽量・コンパクト化にも貢献する。動圧ベアファイトは1998年の発売以来、材料の変更や潤滑油の見直しなどの改良を重ねながら、ノートPCなどのモバイル端末のファンモータなどに多数採用されている。

 近年、自動車の電動化が進み、これまで内燃機関車で発生していたエンジン音などのノイズがなくなるため、室内空間の快適性の向上に向けてこれまで以上に電装補機類には作動音の低減が求められている。動圧ベアファイトはこうしたニーズに対応する商品として、その優れた静音性などが高く評価され、新たな用途として車載向け冷却ファンモータへの採用が拡大している。優れた静音性により快適な室内空間を提供するとともに、装置の小型・軽量化による自動車の燃費や電費の改善にも貢献している。

 さらに、金属粉末をプレス成形して製造するため、旋削や研削などの加工が不要で、投入した材料のほぼ100%を製品化することが可能となっている。材料を廃棄することなく、資源を有効に活用することで、環境にも優しく生産性の向上にも貢献する持続可能な製造方法も特徴としている。

 NTNは、本商品を、EV・電動化の加速に伴い静音性へのニーズがますます高まる車載装置などの自動車をはじめウェアラブル情報機器、一般家電など幅広い分野に展開していく。

 一般的なミニアチュア軸受と比較しての本商品の特徴は以下のとおり。

・高い静音性:騒音レベル 約6dB低減(音圧は約1/2)

・軽量・コンパクト:重量24%低減、外径寸法30%低減

・高温環境下における信頼性:耐熱100℃以上

・高回転精度:軸の振れ1/3以下(NRRO:非繰り返し振れ精度)

・高い環境性能:歩留まり100%で投入資源のほぼ100%を製品化、廃棄材料なし

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NTN、EV・HEV向け同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニットを開発

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NTN、EV・HEV向け同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニットを開発kat 2023年06日28日(水) in in

 NTNは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用されるe-Axle向けに「同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット」を開発した。本商品は、ニードル軸受(保持器付き針状ころ)とシャフトをセットにしたもので、保持器やころ、シャフトの各要素に改良を加え、耐ピーリング性能や高速回転性能、耐モーメント荷重性能を向上することで、小型・高速化を背景に過酷さを増す同軸e-Axleの使用環境に対応し、車両の省燃費・省電費化に貢献する。

 近年、開発・普及が進むEVやHEVには、主な駆動源としてモータ、インバータ、減速機を一体化したe-Axleが搭載されるケースが増えている。e-Axleのうち、遊星減速機を使用する同軸e-Axleには、断面高さが小さく高い負荷容量を持つニードル軸受が使用される。

 同軸e-Axleは高効率化を目的に潤滑オイルの低粘度化が進んでいるが、低粘度化により油膜が薄くなると、軸受の軌道面ところ(転動体)が直接接触することで、軸受の損傷の原因となる微小なはく離(ピーリング)や亀裂が表層に発生する。

 また、車両の省燃費・省電費化に伴うe-Axleの小型化・高出力化により、軸受の高速回転対応も必要となっている。加えて、遊星減速機には静粛性を確保するため、歯すじがらせん状に入ったヘリカルギヤ(はすば歯車)が使用されているが、軸に対して歯すじが斜めに入ったギヤ同士が噛み合うことで、ギヤを傾けようとするモーメント荷重が発生する。

 さらに、同軸e-Axleでは、大きな減速比を得るために、軸方向に長い段付き遊星ギヤを用いるため、シャフトも長くなり、荷重がかかった際にたわみやすくなる。モーメント荷重とシャフトのたわみにより、軸受のころの面取り近傍の面圧が上昇し、それに伴う軸受寿命の低下も課題となっている。

 こうした課題に対し開発品では、シャフトの熱処理条件を最適化することで、異物などによる表面損傷への耐久性を高め、ピーリング寿命を当社従来品比で約30%向上させた。

 また、材料変更や溶接部の設計、熱処理の諸条件を最適化し、保持器の疲労強度を高め、高速回転性能を当社従来品比で約10%向上さた。

 さらに、ころのクラウニング形状の最適化に加えて、シャフトの材料変更により塑性変形によるシャフトの曲がり(高温・高荷重下の長時間使用により、シャフトが撓んで塑性変形する現象)の量を約70%低減。これにより、モーメント荷重の発生時において、面圧を低減し、寿命低下を防止することができる。

 NTNでは本商品を同軸e-Axleの遊星減速機に最適な商品としてグローバルに提案を進め、e-Axleの小型化・高速化、さらにはEV・HEVの省燃費・省電費化に貢献していく。

EV・HEV向け「同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット」

 

同軸e-Axle(赤丸部分が本商品の使用箇所)

 

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日本滑り軸受標準化協議会、第37回総会を開催

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日本滑り軸受標準化協議会、第37回総会を開催 in kat 2023年06日23日(金) in in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は6月6日、東京都千代田区のTKP 東京駅セントラルカンファレンスセンターで「2023年度 第1回総会(通算 第37回総会)」をハイブリッド形式(集合&ウェブ配信)により開催した。

開催のようす

 

 当日は開会の挨拶に立った林 洋一郎 会長(オイレス工業)が、「今回も前回同様にハイブリッド方式の開催としたが、本会場でのリアル参加が15名、ウェブでの参加が9名となり、コロナ後としては最多の対面参加人数となった。本年のISO/TC123国際会議は10月18日~20日に日本での開催となり、会場は京都と、初めて東京以外での開催となる。海外の方には観光地として人気の京都ということもあり、多くの国からの参加表明が得られている。PBSAとしても可能な限りの支援を行っていく。本日は総会の終了後に本年度からISO/TC123の国際議長に就任した東京都市大学の三原雄司先生に「カーボンニュートラル社会の実現に向けた内燃機関の将来動向と産学連携研究」という内容で講演をいただく。コロナ以降の経済に関して、企業は多くの活動を環境対応に注力する必要があり、従来から環境対応の活動をしていた企業はそれ以上に、従来はそれほど環境対応の活動に積極的でなかった企業は新たに活動を進める必要がある。企業にとっては売上を伸ばせば消費エネルギーが増えるというジレンマがあり、このためにも我々は、最先端の大学の研究や他業種の取り組み状況の情報を入手し、何をすべきかを見極めていく必要がある。三原先生の講演はそのスタートになると考えてよいだろう。講演会終了後には、今回は会員間の情報交換がしやすくなるように立食方式の懇親会を設けた。活発な懇親の場になることを期待したい」と述べた。

挨拶する林PBSA会長

 

 総会ではまず、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の2023年度の活動計画について国内幹事の橋爪 剛氏(オイレス工業)が、省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託の1テーマである「環境配慮型の水潤滑用軸受材料に関する国際標準化」への取組み状況や、「テーマ名:軸受の廃棄・リサイクルの国際標準化(SC6)」と「テーマ名:水潤滑用の軸受材料の国際標準化(SC7)」という新規規格制定および改正提案の作業状況、本年10月に京都で開催されるISO/TC123国際会議などについて報告した。

 続いてPBSAの2022年度の活動報告と2023年度の活動計画について、PBSAでは会計を務める橋爪氏より報告がなされ、2022年度の活動報告として、2022年6月と2023年3月の2回の総会と書面理事会が開催されたこと、国際会議が2022年11月にフランスでハイブリッド形式にて開催され旅費等をPBSA が支援したこと、第1回・第2回総会で計3件の講演会を設けたことが報告され、さらに2022年度会計報告がなされた。2023年度の活動計画としては、第2回総会を2024年3月に開催し理事会を必要に応じて開催する予定のほか、本年10月に京都で開催されるISO/TC123国際会議の支援や、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会活動の支援、PBSAおよび同会員に寄与する講演会・研究・調査などの実施、標準化作業を円滑に進めるための会員が活用しやすいホームページの更新・整備、さらには新規規格開発のために参考となる他TC規格などの購入などの予定について報告された。

ISO/TC123平軸受国内委員会とPBSAの活動報告を行う橋爪氏

 

 総会終了後には、「カーボンニュートラル社会の実現に向けた内燃機関の将来動向と産学連携研究」と題して東京都市大学 三原雄司教授による特別講演設けられ、2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギー基本計画や、カーボンニュートラルを実現するために水素エンジンが果たす役割や東京都市大学での水素エンジンの開発事例や耐久性に関する課題、水素エンジンの国内外での研究開発事例やロードマップ、水素エンジンを含む内燃機関の産学連携研究の動向などについて、紹介がなされた。

講演を行う三原氏

 

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Rtec-Instruments、7月11日にセミナー&ユーザーズミーティングを開催

1年 1ヶ月 ago
Rtec-Instruments、7月11日にセミナー&ユーザーズミーティングを開催kat 2023年06日16日(金) in

 Rtec-Instruments(https://rtec-japan.com/)は7月11日東京都葛飾区の東京理科大学 葛飾キャンパスにおいて、同大学 工学部 機械工学科 教授の佐々木信也氏の協力のもと、Rtec-Instruments日本法人立ち上げ後初となる「セミナー&ユーザーズミーティング」を開催する。トライボロジー特性評価の基礎に関するセミナーのほか、多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や三円筒 転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機などの実機見学・デモなどが実施される予定。

 

 参加の条件は、以下のリンク先フォームによる事前登録、あるいはinfo.jp@rtec-instruments.com へのメールによる事前登録を行うこと、参加時に名刺を提出いただくこと(氏名が確認できること)、同業(トライボロジー試験機メーカー・販売業者)でないこと。

リンク先フォーム

 同社では、セミナー&ユーザーズミーティング開催に関して「各種トライボロジー試験機の購入をご検討の方々はこれを機に試験機の実機見学&デモ試験に、すでに購入された方々は日頃の運用での疑問や要望、新製品の情報収集にぜひ参加いただきたい」と呼びかけている。
 
■開催日時:2023年7月11日 14:00~17:00
     (17時より技術交流会)

■定員:30名程度

■開催場所:東京理科大学 葛飾キャンパス 研究棟4階 第3会議室(佐々木研究室)

■主な内容:
・トライボロジー特性評価の基礎

・新製品・アプリケーション紹介

・実機見学・デモ

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三洋貿易、摩擦摩耗試験の評価方法・事例がわかるウェビナー

1年 1ヶ月 ago
三洋貿易、摩擦摩耗試験の評価方法・事例がわかるウェビナーadmin 2023年06日16日(金) in

 三洋貿易( https://www.sanyo-si.com/ )は6月28日、「摩擦摩耗試験の評価方法・事例がわかる60分 ~多様な試験方法と試験機選定のポイント~」と題したウェビナーを開催する。

 摩擦摩耗試験評価は“摩耗への耐久性”や“摩擦力などの設計仕様の確認”といった製品の信頼性を評価する上で重要な試験である。自動車・航空宇宙・電車や船舶など、あらゆる分野で欠かせない技術だが、昨今のSDGs、環境負荷への関心の高まりを背景に、摩擦摩耗の改善がより一層重要な技術課題であると再認識されている。

 しかしながら、摩擦試験機と呼ばれるものは世の中には沢山あり、それに加えてピンオンディスク試験・ブロックオンリング試験・四球試験、などといった試験方法の種類も沢山あるため、どの試験機を用いて、どのような評価をするかということが非常に重要になる。

 同社では、アメリカ、ドイツ、イギリスといった世界中のグローバルスタンダード機を多数取り扱っており、本ウェビナーでは、多様な試験方法と適切な評価を行うための試験機選定のポイントについて紹介する。

 ウェビナーの詳細・参加予約はこちらから。

admin

日本工作機器工業会、通常総会を開催、2022年工作機器販売額12%増2206億円

1年 1ヶ月 ago
日本工作機器工業会、通常総会を開催、2022年工作機器販売額12%増2206億円kat 2023年06日01日(木) in

 日本工作機器工業会は5月23日、東京都港区の芝パークホテルで「第31回 通常総会」を開催した。総会後の懇親会では再任された寺町彰博会長(THK社長)が挨拶に立ち、2022年1月~12月(暦年ベース)の同工業会会員企業の販売額が前年同期比12%増の2206億円で、2023年1月~12月の販売額が同0.1%増の2208億円となる見込みであることを報告した。

 また、2027年には過去最高の2280億円(2018年)を更新する見通しを立てていることを報告しつつ、「自動化・省力化・ロボット化という時代の流れに深く関わる業界団体としては物足りない。2500~2600億円は目指したいところだ」と力強く語った。

 さらに、「日本が、優秀な人材が流出していくような国であってはならない。日本を支える基盤技術の企業集団として、より良い製品を開発し、より良いサービスを提供していくことで世界のトップを走り、世界を支える立ち位置となれるよう、皆で努力していきたい」と述べた。

挨拶する寺町会長


 

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自動車技術会、第73 回自動車技術会賞の受賞者を決定

1年 1ヶ月 ago
自動車技術会、第73 回自動車技術会賞の受賞者を決定kat 2023年05日26日(金) in in

 自動車技術会(JSAE、会長:大津啓司氏(本田技研工業))は横浜市のパシフィコ横浜で、「2023年春季大会」開催中の5月25日に「第73 回自動車技術会賞」授賞式を開催した。

 自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的として設けられ、自動車技術における多大な貢献・功績に対し贈呈されている。トライボロジー関連では今回、以下のとおり表彰がなされた。

浅原賞技術功労賞 「エンジンのトライボロジー技術と産学連携支援による技術深化と燃費向上への貢献」 菊池隆司氏(トヨタ自動車)

 受賞者は、30年にわたり摩擦・摩耗に関する技術開発に関わり、省燃費ガソリンエンジンオイルや高出力ディーゼルエンジンのピストン用リング溝用耐摩環材料などを製品化し、新型エンジンの燃費・性能向上に貢献した。特に近年はエンジン摩擦損失の低減のために、主として潤滑技術の進化に関わり、エンジン各部の摩擦解析に基づく技術開発を進めることでエンジンの燃費向上を実現した。一方で、それまでの経験を活かして、エンジンの潤滑に関しての教育的資料の執筆、滑り軸受などの標準化活動に参加し業界の競争力向上に貢献した。現在も産学連携研究を実行する自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)に所属し、エンジンに関する様々な課題の解決を目指した共同研究の実行支援を行っており、エンジンに関わる幅広い日本の競争力向上と人材育成に大きく寄与した。

左から、プレゼンターの大津JSAE会長(本田技研工業)、菊池氏  技術開発賞 「業界初のJASO DH-2規格性能を有する金属非含有のディーゼルエンジン油の開発」 清水保典氏・甲嶋宏明氏・葛西杜継氏・藤浪行敏氏(出光興産)

 環境負荷低減を目的に、ディーゼル車には排ガス中の粒子状物質(すすや、エンジン油添加剤由来の粒子)を捕集するフィルターが搭載されている。捕捉されたすすは燃焼させて除去することが可能だが、金属系添加剤由来の粒子は残留しフィルターの目詰まりを引き起こす。そこで受賞者らは、従来のディーゼルエンジン油で必須成分とされてきた金属系清浄剤や金属系耐摩耗剤を使用せずに、独自開発の添加剤などを駆使して、金属非含有のディーゼルエンジン油を設計した。本エンジン油が、排ガス後処理装置を搭載するトラック・バス用エンジン油規格であるJASO DH-2規格に規定されたエンジン試験と実験室的性能試験に合格することを確認し、上市した。本技術は、環境負荷低減や車輛の保守管理における運転手の業務効率化などの労働環境改善に貢献できる点が高く評価された。

左から、大津会長、甲嶋氏、葛西氏、藤浪氏

 

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ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2023年5月号「特集:カーボンニュートラルとbmt技術」発行!

1年 2ヶ月 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2023年5月号「特集:カーボンニュートラルとbmt技術」発行!admin 2023年05日22日(月) in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第42号となる2023年5月号が5月25日に小社より発行される。

 今号は、「特集:カーボンニュートラルとbmt技術」で構成。特集では、カーボンニュートラルに貢献するトライボロジーの全体像から、bmtと風力エネルギーで拓く脱炭素社会、カーボンニュートラル実現に貢献する燃料電池向けターボチャージャの技術と適用、E-Axle用潤滑油の開発と性能評価、EV向けフルードの技術動向と要求特性までを広く紹介する。

 

 

特集:カーボンニュートラルとbmt技術

◇カーボンニュートラルに貢献するトライボロジー・・・東京理科大学 佐々木 信也

◇bmtと風力エネルギーで拓く脱炭素社会・・・日本風力エネルギー学会 松信 隆

◇カーボンニュートラル実現に貢献する燃料電池向けターボチャージャの技術と適用・・・IHI 小篠 拓也 氏、田中 亨 氏、淺川 貴男 氏 に聞く

◇E-Axle用潤滑油の開発と性能評価・・・出光興産 成田 恵一

◇EV向けフルードの技術動向と要求特性・・・BASF Jan Strittmatter、Masayuki Hirosue、Rene Koschabek、Naohisa Nakagawa

連載

注目技術:工業用ギヤ油の新処方技術によるギヤボックスのエネルギー効率・耐久性向上の検証・・・独Evonik社

あるコスモポリタンの区区之心 第12回 マサダ砦と集団自決・・・紺野 大介

Q&A「浄油技術」の基礎知識 第12回 オイル清浄度の測定方法・・・RMFジャパン テクニカルサポート 

トピックス

TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第6回 国際シンポジウムを開催

日本滑り軸受標準化協議会、第36回総会を開催

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イグス、機械熱回収システムを開発

1年 2ヶ月 ago
イグス、機械熱回収システムを開発kat 2023年05日19日(金) in

 イグスは、射出成形機で使用した冷却水の熱を、産業工場の暖房に利用する機械熱回収システム(MHRS)を開発した。ガス代の節約とCO2排出量の削減を実現するこの技術を誰でも利用できるように、詳細な情報をオンラインで無料提供している。この熱回収技術を適用することでコスト削減と環境保護への貢献が可能となる。

 

 イグスでは、2025年までにカーボンニュートラル生産を達成するという目標に向けた取組みの一環として、射出成形機の廃熱を利用した機械熱回収システム(MHRS)を開発、このMHRSの技術で、ドイツ・ケルン本社の大型工場のホールを暖房することに成功した。MHRSは、暖房要件に応じて、冷却回路を流れる熱を帯びた冷却水を直接ファンヒーターに誘導し、同時に機械の過熱を防ぐ。冷却水から抽出された熱でホールを暖めるため、ガス代を節約できる。また、ファンヒーターを通過する際に熱が取り出されるため、冷却塔での冷却要求が減少し、冷却に必要な電力も少なくなる。

 変動する冷却回路の温度は、システムで可変的に調整できる。MHRSは高価なヒートポンプを経由せず、熱交換器も必要ないため、温度損失を防ぐ。コンプレッサーから熱を追加で供給する必要がない。

 射出成形機の油圧モータは、オーバーヒートを防ぐために冷却水が使われる。熱を帯びた水は冷却塔で冷却され、配管システムで再び機械に供給される。冷却塔で取り出された熱は大気中に逃げ、エネルギーとして損失してしまう。

 MHRSでは、冷却回路の熱の一部を制御ユニットで取り込み、従来のガスヒーターの横に設置した新しいファンヒーターに直接送る。ヒーターの詰まりを防ぐため、ストレーナーが水中の浮遊物をろ過して除去。熱を帯びた水が新しいヒーターに入ると、従来のヒーターの動作が停止し、ヒーターに搭載されたファンで暖かい空気をホール内に行き渡らせる。その後、水が冷却塔に戻り、サイクルが再び開始する。熱交換器を使用しないため、低温域での運用も可能としている。

 イグスは将来的に、MHRSの技術を利用して、工場およびオフィスエリアの暖房を、すべて機械熱で対応することを計画している。次の計画は、7209m2の物流センターに、9個のファンヒーターを装備することで、これだけでも毎年約31.5tのCO2を削減できる。これは、イグスが2025年までに建物および生産の完全なカーボンニュートラル化を達成するという目標に近づくための重要なステップであり、同社はこの大きな可能性を秘めた技術を他の産業・企業にも無料で提供することを決定している。

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NTN、e-Axle 向け絶縁被膜付き軸受を開発

1年 2ヶ月 ago
NTN、e-Axle 向け絶縁被膜付き軸受を開発kat 2023年05日19日(金) in in

 NTNは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用されるe-Axle向けの耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」を開発した。軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施すことで、耐電圧100V以上の絶縁性能により電食の発生を抑制し、バッテリーの高電圧化などに対応する。開発した絶縁被膜は世界最高水準の高速回転性能を誇る高速深溝玉軸受を含む同社のe-Axle向け軸受商品への適用も可能。

 同社はe-Axle の電食に対応する商品として、セラミック製の転動体を用いた軸受を提供してきたが、今後はコスト面に優れた本開発品を同社の電食対策商品のラインアップに加えることで、e-Axleの進化に伴って高まる耐電食のニーズに対応し、EV・HEV のさらなる普及や高機能化に貢献していく。開発品について同社では、2027年度に5億円/年の販売を目指す。

e-Axle向け耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」


 

平行軸e-Axleにおける適用例(赤丸部分)

 

 近年、脱炭素化に向けた取組みが進む中、自動車市場においてはEVやHEVをはじめとする環境対応車の開発・普及が加速している。これらのモータを主動力源とする自動車には、モータとインバータ、減速機の三つが一体化したe-Axleが搭載されている。e-Axleはバッテリーの電気により稼働するが、軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織が溶融するとはく離などの損傷につながることから、軸受には漏洩電流による電食への対応が必要とされている。これに対して開発品は以下の特徴を持つ。

1.耐電食性能:軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施すことで耐電圧100V以上の絶縁性能を実現。モータ用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定されるため、今後増加が見込まれるバッテリー電圧800V に対応可能な耐電圧を有する

2.放熱性能:耐電食性と放熱性を両立する膜厚とすることで、被膜加工を施していない標準品と同等の放熱性能を備えている

3.耐摩耗性能:絶縁被膜は摩擦係数が低く耐摩耗性に優れており、被膜加工を施していない標準品と比べて外輪外径とハウジング内径の総摩耗量を88%低減できる。これにより、固定されていた外輪が円周方向に回転して摩耗するクリープ現象が発生した際も、絶縁に必要な被膜を維持できる

電食試験後の外輪軌道面(左:標準品、右:開発品)
標準品では電食特有の波板状の損傷が発生している


 

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NTN、リヤ用小型・軽量ドライブシャフトの販売を拡大

1年 2ヶ月 ago
NTN、リヤ用小型・軽量ドライブシャフトの販売を拡大kat 2023年05日19日(金) in in

 NTNは、高級車に多く採用されている後輪駆動車に最適なリヤ用小型・軽量ドライブシャフト「Rシリーズ」の販売を拡大している。省燃費・省電費化に向けて自動車構成部品の小型・軽量化が進む中で、リヤ用ドライブシャフトとして世界最小・最軽量となる同シリーズは、その適用による高い燃費改善効果が評価され、日本や欧州などの自動車メーカー数社の後輪駆動を主とするSUVや電気自動車(EV)で採用されている。同社では2027年度に80億円/年の販売を目指す。

 ドライブシャフトはエンジンやモータなどのパワートレインユニットの動力(トルク)をタイヤに伝える部品で、タイヤ側(固定式)とデファレンシャル側(しゅう動式)の二つの等速ジョイント(CVJ)とそれらをつなぐシャフトで構成される。

 リヤ用小型・軽量ドライブシャフトRシリーズは、同社が2015年に開発した「リヤ用軽量ドライブシャフト」の設計をベースに幅広いサイズバリエーションを取り揃えたシリーズで、後輪駆動の内燃機関車やEVに適用が可能となっている。

 リヤ用ドライブシャフトには従来、フロント用CVJが流用されてきたが、Rシリーズは、リヤ用に必要な作動角や機能に限定した形状への最適化を図るとともに、肉厚を薄くした中空シャフトとコンパクトブーツを採用している。これら各構成部品の見直しにより、必要な負荷容量を確保しながら、フロント用CVJとして世界最高水準の小型・軽量を実現していた従来品よりもさらに30%軽量化(中型クラスの後輪駆動車に適用されるドライブシャフトの場合:2.2kg軽量化)、外輪外径を3~5%小型化し、リヤ用CVJとして世界最小・最軽量を実現した。作動角度は19°(固定式、しゅう動式)。

 脱炭素化社会を背景に自動車のCO2排出量の削減への対策が進む中、ドライブシャフトの軽量化へのニーズはこれまで以上に高まっている。Rシリーズの軽量化による燃費改善効果をJAPIA LCI算出ガイドライン(日本自動車部品工業会が定める自動車の製造、使用段階における効率的なライフサイクル環境負荷量の算出方法)に基づき内燃機関車で試算した場合、従来品適用車両に対して燃費は0.05%の改善、CO2排出量は0.075g/km の削減効果が見込まれる。こうした高い環境性能が欧州をはじめとする国内外の自動車メーカーに高く評価され採用につながったもので、2018年に量産を開始して以来、着実に販売を拡大している。

 今後、燃費規制が一層厳しくなる中、後輪駆動形式が採用される傾向にある高級車への適用の可能性が広がるほか、EVにおいては走行性能を向上させるために車両の前方と後方にそれぞれパワートレインユニットを配置する四輪駆動車(4WD)が増加する傾向にあり、軽量を特徴とする同シリーズの需要はさらに高まることが見込まれている。

 同社は、世界シェア2位を誇るドライブシャフトのトップメーカとして、自動車のトレンドや変化するニーズを着実に捉えた商品の開発・提供を通じて業界をリードするとともに、同シリーズをはじめとする高機能商品の一層の販売拡大を通じて、環境負荷の低減に貢献していく考えだ。

Rシリーズの構成

 

適用箇所

 

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エボニック、シンガポールに工場を新設しアルコキシド事業をグローバル規模で展開

1年 2ヶ月 ago
エボニック、シンガポールに工場を新設しアルコキシド事業をグローバル規模で展開kat 2023年05日17日(水) in

 エボニック インダストリーズ(エボニック)は、東南アジアでアルコキシド製造プラントを新設する。新プラントはスコープ1および2の炭素排出量ゼロを目指す最先端技術を備えた近代的な施設で、シンガポール・ジュロン島にあるエボニックの拠点に設置される予定。数十億円規模の投資を行い、東南アジア地域の顧客への供給安定性を高め、グローバル規模でアルコキシド事業の強化を図る。操業開始は2024年末を予定、年間生産能力は10万t。

 同社は、主にバイオディーゼル製造や製薬・農業分野での合成に使用されるアルコキシド触媒の需要拡大に対応するため、製造能力の拡充に取り組んでおり、将来的にはアルコキシド触媒はPETプラスチックのケミカルリサイクルにも使用され、循環型経済において大きな役割を果たすことが期待されている。

 触媒部のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるサンジーヴ・タネージャ氏は、「アジア太平洋地域は当社の触媒事業にとって主要な地域であるとともに、東南アジアは当社の成長において重要な役割を果たしている。この投資はまた、顧客満足度と供給の信頼性を高めるために、グローバルな視点で地域に根ざした活動を行うという顧客中心のアプローチに取り組む当社の姿勢を明確に示すことができた」と述べている。

 アルコキシド製品ラインのグローバルヘッドを務めるアレクサンダー・ヴェーバー氏は、「当社はすでに、ヨーロッパ・北米・南米に主要なアルコキシド製造施設を持つ。すべての関連市場に対して地域に根ざしたサービスの提供を行うグローバル供給ネットワークにおいて、アジアはこれまで欠けていた部分」と説明する。

 アジア太平洋地域のアルコキシド事業ディレクター、 フー・ソン氏は、「シンガポール・ジュロン島という戦略的な立地から、非常にダイナミックなアジア太平洋地域におけるアルコキシドの需要拡大や、『サステナブル・ジュロン島』計画に対応し、顧客のカーボンフットプリントの削減をサポートする」と述べている。

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TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第6回 国際シンポジウムを開催

1年 2ヶ月 ago
TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第6回 国際シンポジウムを開催 in kat 2023年05日09日(火) in in

 大豊工業トライボロジー研究財団(TTRF)と大豊工業は4月13日、名古屋市の名古屋国際会議場で「TTRF-TAIHO International Symposium on Automotive Tribology 2023」を開催した。

開催のようす

 

 「トライボロジーの自動車社会への貢献」を全体テーマに掲げる同シンポジウムは、トライボロジー研究の進展と自動車技術への応用等に関しトップレベルの情報を交換するとともに、この分野での産学連携の現状と将来の可能性を示しその強化を図ることを目的に、2016年から開催されている。6回目となる今回は 、「Future Prospects of Tribological Materials Surviving a Once in a Century Period of Profound Transformation Part 2 Surface Treatment(100年に一度の大変革期に対応するためのトライボロジー材料の将来展望~Part2 表面処理~)」のテーマのもとで、低摩擦を目的とした表面処理技術や耐久性・信頼性向上を目的とした表面処理技術などが紹介された。

 開会の挨拶に立った鈴木徹志氏(大豊工業副社長)は、大豊工業が曾田範宗氏や木村好次氏をはじめとするトライボロジー研究の第一人者の指導を受けながらトライボロジーをコア技術としてマイクログルーブ軸受や樹脂コーティング軸受といった先進エンジンベアリングを世に送り出してきたことや、同社が多くの恩恵を受けてきたトライボロジーの研究開発支援と啓蒙に寄与する目的でTTRFを2000年に設立し、以降、多数のトライボロジーの研究テーマに対し累計220万USドルの助成を行っていることを報告した。また、学界と産業界のコラボレーションの強化によって一層のトライボロジー研究の活性化を支援していく目的で2016年から本シンポジウムを開催していることを紹介。自動車業界の大変革期にあってトライボロジーの諸課題が厳しさを増す中で、産学連携の強化によるトライボロジー技術の一層の高度化が課題解決に寄与できるとの観点から、「本日のシンポジウムにおいても、学界と産業界の両者の活発なディスカッションを通じて、トライボロジー研究開発の促進につながることを期待している」と述べた。

挨拶する鈴木氏

 

 続いて、Kenneth G. Holmberg氏(TTRF Director)をチェアマンに、以下のとおり基調講演が行われた。

「Development of Future Powertrains for Commercial Vehicles」石川直也氏(いすゞ中央研究所)…地球温暖化防止の重要な施策としてCO2削減が要求され、自動車の電動化が進められる一方で、電力を火力発電に頼っている現状からは車両の電動化だけではCO2削減にはつながらず、発電を含めた完全な電動化が達成されるまでは、内燃機関(ICE)車では再生可能エネルギー由来の燃料の使用や熱効率の改善を進める必要がある。本講演では、物流や生活を支える商用車として、稼働コストや耐久信頼性、航続距離といったユーザーの要求に対応しつつLCAでのカーボンニュートラルを実現するための取組みを紹介。EHL理論をベースにしたクランクシステムの摩擦低減・耐久信頼性向上のための解析技術や、潤滑技術や表面改質技術を活用した部品の寿命延長のほか、部品の潤滑状態や摩耗状態の予測技術を高めることでLCAでのCO2削減に貢献できると述べた。

「New Development of Functional Surface Finishing Technologies for Next Generation Automobiles」呉 松竹氏(名古屋工業大学)…ICE車から電気自動車(EV)への転換によるエネルギー消費の節減・改善を目的に軽量化が進められる中、表面改質の対象となる材料として、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム合金といった様々な軽量素材が採用されてきている。本講演では、EVへの転換で登場してきた部品(リチウムイオンバッテリーの部品など)に対応する表面改質技術が求められる中で、変速機用部品向けなどでアルミ合金の潤滑性・耐摩耗性を高めるAl2O3/MoS2(-Sn, Ni) コーティングや、電気端子や電気接点向けなどで銅合金に高い導電性や耐摩耗性を付与するAg(Sn)グラフェン複合コーティング、リチウムイオン電池の電極材料などに大容量と高い安全性を付与するTiO2-TiN(Sn, MoOx)複合コーティングなど、次世代車両に対応する様々な非鉄材料系表面処理技術を紹介した。

 上記2件の基調講演に続き、加納 眞氏(KANO Consulting Office)をチェアマンに、「低摩擦(Low Friction)の表面処理」をテーマとするセッションが以下のとおり行われた。

「Friction Reducing Methods of DLC Films in Oil-less Conditions」徳田祐樹氏(東京都立産業技術研究センター)…環境問題などからしゅう動部品の無潤滑化が求められる中、低摩擦特性や耐摩耗性などを表面に付与できる表面改質技術としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングが注目されている。ここでは、無潤滑下で低摩擦を実現するDLC技術として、300℃程度で予熱し最表面にグラファイトライク構造を形成した傾斜膜とすることで摩擦・摩耗特性を改善した事例や、マイクロスラリージェットエロージョン(MSE)法を用いてDLC膜に表面テクスチャを形成することでしゅう動とともにグラファイト化したDLC膜の摩耗粉をテクスチャ内に捕捉し低摩擦化を図った事例、塩素ドープDLC膜によって耐摩耗性と超低摩擦を付与した事例などを紹介した。

「Development of DLC Reinforced Metal Matrix Coatings for Low Friction Sliding Components」Shahira Liza binti Kamis氏(Universiti Teknologi Malaysia)…ベアリングなどしゅう動部品においては、オイルの使用に伴う環境への配慮から、また風力発電など遠隔地にあって保守の難しい用途において、DLCなどの自己潤滑性材料による低摩擦化が求められている。本講演では、電気化学的成膜法を用いて、しゅう動部品の一方の材料にDLCフレークを分散させることによって、しゅう動時の無潤滑下での低摩擦化を図る手法を紹介した。開発した自己潤滑性を有するDLC/CuやDLC/NiなどのDLC強化複合コーティングは、潤滑油の供給なしにしゅう動部品の低摩擦化を実現。金属膜にDLCを添加し効率的に自己潤滑性を得る本手法を適用することで、各種機械が少ないエネルギーで同程度の出力を得られ、さらに部品の寿命を延長できる、と総括した。

「Material Design for Control of Tribo-film Structure Formed from Friction Modifiers」小池 亮氏(トヨタ自動車東日本)…エンジン油の低粘度化とともに自動車しゅう動部品の境界潤滑下での摩擦が増え、MoDTCに代表される摩擦調整剤への要求が高まっている。しかし、自動車しゅう動部品において適用の進むDLCなど硬質膜の種類により、摩擦調整剤の効果を発現するトライボフィルムの形成が影響される。本研究では、MoDTC添加油中における硬質膜を用いた摩擦系での低摩擦発現に関し、硬質膜自体が反応性を持たないCrNなどの窒化物膜は摩擦初期のなじみ過程で相手材からのFeの移着が低摩擦発現のためのトライボフィルム形成の必要条件であることや、トライボフィルムが最表層にMoS2を形成するには硬質膜基材とFe酸化物の結晶の格子定数が整数倍となることによって形成される緻密な Fe酸化物のナノ界面の形成が必要なこと、などを明らかにした。

 また、上坂裕之氏(岐阜大学)をチェアマンに、「耐久信頼性向上(Improve Durability and Reliability)の表面処理」をテーマとするセッションが以下のとおり行われた。

「Advanced Durability Surface Treatment Materials of Sliding Bearing for High Performance Diesel Engine」児玉勇人氏(大豊工業)…ディーゼルエンジンの高出力化とともにエンジンベアリングに対する負荷は高まる傾向にある。同社では高PVに対応する鉛フリーの表面処理技術として、銅合金エンジンベアリング向けのビスマス(Bi)コーティングやアルミ合金エンジンベアリング向けの樹脂コーティングを開発している。Biコーティングはトライボロジー特性に優れるものの、より高出力化するディーゼルエンジンのベアリングとしては軟質金属のため機械的強度が足りず、疲労摩耗特性が十分ではないという課題があった。本講演ではこの課題に対して、Biコーティングにアンチモン(Sb)を添加した新開発のコーティングが耐疲労強度を向上したことや、樹脂コーティングにおいて組成を最適化することで同様のアプリケーションに耐える耐摩耗性を付与できたことなどを報告した。

「Development of High strength and Anticorrosive Aluminum Alloys and Improvement of Fatigue Property」芹澤 愛氏(芝浦工業大学)…自動車の軽量化を目的にアルミニウム合金の適用が進む中で、アルミニウム合金に耐食性を付与する表面改質技術が求められている。本講演では、蒸気コーティング法でアルミニウム合金表面に緻密に成膜した水酸化アルミニウム被膜(AlO(OH))が水酸化物結晶の腐食防止効果によって高い耐食性を示すことや、蒸気コーティングの熱エネルギーによって硬度が上昇しアルミ合金の強度が高まったことなどを紹介した。動電位分極曲線からは水酸化アルミニウム被膜を被覆した基材の腐食電流密度が減少していることや孔食が抑制されていることが分かり、平面曲げ疲労試験からは水酸化アルミニウム被膜を被覆した試験片疲労亀裂の発生が抑えられ、アルミニウム合金の疲労寿命延長に寄与できることが確認された。

「Improvement of Fatigue Strength by Mechanical Surface Treatment Using Sustainable Peening Method」祖山 均氏(東北大学)…自動車の燃費・電費改善から、低摩擦化や耐久性・信頼性の向上と、環境負荷低減が求められている。本講演では、この目的に対応した、消耗材であるショット材を用いることなく疲労強度改善が可能な、サスティナブルな機械的表面改質技術「キャビテーション・ピーニング」を紹介。キャビテーション気泡の崩壊時に生じた衝撃力を有効利用してピーニングを行うキャビテーション・ピーニングが、表面硬化や残留圧縮応力の付与を実現しつつ平滑な表面を生成できることや、キャビテーション・ピーニングによってギヤやローラの疲労特性が改善された事例などが紹介された。

 講演終了後は、杉原功一実行委員長(大豊工業社長)が挨拶に立ち、「今回は100年に一度という自動車業界の大変革におけるトライボロジー材料の将来展望と、低摩擦および耐久信頼性向上のための表面処理技術という、二つのテーマでセッションを設けた。その中でトライボロジー材料:表面処理技術についての貴重な講演がなされ、学界と産業界との活発な議論がなされた。本日のシンポジウムの成果がSDGS実現に向けたトライボロジー課題の解決につながることを祈念するとともに、今後シンポジウムをより意義のあるものとして開催できるよう、参加いただいた皆様からのご意見やご示唆をいただければ幸いである。本シンポジウムの開催を継続しつつレベルアップを図っていき、産官学の連携をより強固なものにしていく一助とできれば大変うれしい」と述べて、シンポジウムは閉会した。

挨拶する杉原実行委員長


 

kat

イグス、メタバース・拡張現実・AI駆使のデジタルサービス・製品など190の新提案を発表

1年 2ヶ月 ago
イグス、メタバース・拡張現実・AI駆使のデジタルサービス・製品など190の新提案を発表kat 2023年05日02日(火) in

 イグスは、2023年の新提案として、190の製品およびデジタルサービスを発表した。デジタルサービスでは、メタバースや拡張現実、AIなどの技術を利用した革新的なサービスを開発。コストを抑える最適なモーション・プラスチック製品を容易に選定でき、カーボンニュートラル実現とプラスチック廃棄物削減に寄与するツールやサービスを提供する。

 同社では、楽しみながらエンジニアリング力を発揮する「Enjoyneering」をコンセプトにした多様な技術を開発。新サービスには、デジタル空間でプロジェクトを進められる「イグバース(iguverse)」や、スマートフォンでスペアパーツを特定し注文できるAI技術、既存のアプリケーションに適用できる無潤滑部品を即座に特定するモバイルアプリなどがある。

 イグバースは新しい機械、システム、アセンブリの3Dモデルを1:1のスケールで構築するデジタル空間で、各分野の技術者や顧客が集まって意見を交わすことができる。これにより、迅速・低コストで信頼性の高い製品を開発でき、問題の早期解決とCO2排出量削減を実現する。トレーニングにも活用できるイグバースのデジタルツインは、機械設計におけるバーチャルリアリティの大きな可能性を提示。イグバースを使用することで開発費を抑制でき、予算が限られている企業においても簡単に開発を進めることができる。

 同社はまた、インダストリー4.0に対応するサービスとして、ベアリング・リニアガイドやケーブル保護管、可動ケーブルなどにセンサーを搭載しIoTネットワークに統合する「スマートプラスチック」のラインアップを拡充。スマートプラスチックは、状態監視や寿命予測計算など、インダストリー4.0のトレンド技術を中小企業でも容易に導入することを可能にしている。

 さらに、同社の製品とスマートプラスチック技術を一つにまとめた新しいデジタルサービス「superwise」をリリース。ユーザーのアプリケーションやプロジェクトのデータを体系的に評価し、イグス担当者と連携しながら必要な情報を提供していく。

 新たに開発したプラットフォーム「kopla」では、ユーザーが独自のオンライン設計・計算ツールを作成することが可能となっている。このプラットフォームは、国際的に事業を展開し、自社製品をオンラインで提示したいという企業を主に対象としている。モジュール方式を採用したクラウドソリューションにより、市場投入までの時間を大幅に短縮できる。

 

イグバースのイメージ

 

kat
Checked
43 分 34 秒 ago
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