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潤滑通信社、1/31にトライボロジーをテーマにパネルディスカッションを開催

4年 3ヶ月 ago
潤滑通信社、1/31にトライボロジーをテーマにパネルディスカッションを開催

 潤滑通信社(https://www.juntsu.co.jp/)は1月31日 10:30~12:15、ASTEC(先端表面技術展・会議)/SURTECH(表面技術要素展)セミナー会場(南3ホール展示会場内)で、東京理科大学の佐々木信也教授をモデレータとして、トライボロジーに関する先端企業の専門家が参加してのパネルディスカッション「トライボロジーにおけるオープンイノベーションの課題と将来」を開催する。参加費用は無料で、登録は不要。

開催のようす

 

 いずれも佐々木教授をモデレータとして、テーマ1「オープンイノベーションを支える開発支援環境の構築」(10:30~11:15)ではエリオニクス、協和界面科学、新東科学、東陽テクニカ、ナノテックがパネリストとして参加し、テーマ2「トライボロジーの新たなビジネスモデル」(11:30~12:15)ではアントンパール・ジャパン、三洋貿易、島貿易、トリニティ―ラボ、レスカが参加して、それぞれ討論を行う。

 テーマ1のディスカッションテーマとしては、「オープンイノベーションを支える評価試験の品質向上と効率化」、「高度化する要求に対応するラボの必要性」、「共創と競争のための評価試験」などを予定。

 テーマ2のディスカッションテーマとしては、「ソフトマターへ」、「トライボロジー 機能性から快適性へ」、「グローバルマーケットへの展開と課題」などを予定している。

 セミナーの詳細は以下のURLで確認できる。
https://unifiedsearch.jcdbizmatch.jp/nanotech2020/jp/sem/astec_surtech/seminar_details/ReWB0wTegco#A29157613

kat 2020年1月22日 (水曜日)
kat

エンハンストマテリアル、大型チャンバーの高生産性PVD成膜システムを追加

4年 3ヶ月 ago
エンハンストマテリアル、大型チャンバーの高生産性PVD成膜システムを追加

 エンハンストマテリアル( http://www.emc-h.com/ )は、VoestalpineグループEifeler Vacotec社製のPVDコーティング装置「alphaシリーズ」を販売しているが、このほど、中型機ながら大型の真空チャンバーを有し、高い生産性・効率で高品質のコーティングを成膜できる最新アーク技術採用の「alpha700P」の取扱いを開始した。alpha700Pは本年9月16日~21日にドイツで開催された世界最大級の国際金属加工見本市「EMO Hannover 2019」で発表され、すでに受注実績を持つ。

alpha700P

 alphaシリーズの全般的な特徴としてはタクトタイムが短くプラズマ密度が高いことから高生産性を達成できること、コンパクトな装置サイズで高効率を達成できることが挙げられる。双対する蒸着源を独立コントロールできることから、近年工具や金型のコーティング被膜として要求が強まっているナノ構造や多層膜といった独自の膜種の形成が可能となっている。

 alphaシリーズとしては主に、中型機で開発・生産用として利用されるalpha 400P、大型機で完全生産用のalpha 900Pの採用が進んでいるが、以前からその中間機種が要求されていた。そこで今回、alpha700Pの開発に至ったもの。

装置構成

 主な特徴としては、まず迅速な冷却システムが挙げられる。独自冷却システムの採用により、工具や部品をコーティングした後の冷却時間を約25%短縮。これにより1日に5バッチの成膜処理が可能になる。

 また、950Lの大型真空チャンバーにより広い成膜ワークスペースを確保、φ10×70mmのエンドミルで1バッチ当たり900本、φ100×150mmのホブで30本を処理できる。
 
 さらに、独自PVD duplexプロセスによって、プラズマ窒化処理とAlCrTiNといったPVDコーティングを1パスで実施でき、両処理に通常費やされる時間を大幅に短縮できるほか、独自SPCS技術によって平滑で密着性の高い膜の成膜を実現している。

 加えてalpha700Pでは、装置デザインをコンパクトなシングルフレーム(Single frame)、あるいはスプリットフレーム(Split frame)から選択でき、設置スペースやレイアウトにフレキシブルに対応できる。

PVDコーティング装置「alphaシリーズ」

 

admin 2020年1月15日 (水曜日)
admin

東北大など、高耐久性DLCの設計指針を明示

4年 3ヶ月 ago
東北大など、高耐久性DLCの設計指針を明示

 東北大学金属材料研究所 久保百司教授、王楊助教(現:東北大学大学院工学研究科)、東北大学大学院工学研究科 足立幸志教授、岩手大学 森 誠之教授、フランス・Ecole Centrale de LyonのJean Michel Martin教授らのグループは、東北大学金属材料研究所に2018年8月に導入されたスーパーコンピュータ「MASAMUNE-IMR」を活用し、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の摩耗を誘発する原因となるトライボエミッション現象のメカニズムを世界で初めて明らかにした。さらに、DLCの成分や周囲の環境を制御することで摩耗を減らすことが可能であることを示し、高耐久性DLCの設計指針を明らかにした。

 金属材料研究所で開発した大規模分子動力学シミュレータ「LASKYO」を活用し、DLCの摩耗現象をMASAMUNE-IMR上でシミュレーションした。その結果、以下のことが明らかとなった。

1.DLC同士を摩擦した時に、摩擦した表面からメタンやエタン、エチレンなどの様々な気体分子が蒸発するトライボエミッション現象が起こる。この現象は実験的にも確かめられた。

2.1のような気体分子の蒸発が、DLCの摩耗を誘発することを世界で初めて明らかにした。

3.DLCの成分や周囲の環境などを制御することで、「摩耗を減らす」ことが可能であることを示し、高耐久性DLCの設計指針を明らかにした。

 今後、さらにMASAMUNE-IMRを活用して、DLCへの異種元素の添加効果などを明らかにすることで、さらに耐久性の高いDLCの設計を実現し、高耐久性DLCの実用化につなげていく。

スーパーコンピュータ「MASAMUNE-IMR」

 

admin 2020年1月8日 (水曜日)
admin

JFEスチール、高焼入れ性と高圧縮性を兼ね備えた粉末冶金用途向け鉄粉

4年 3ヶ月 ago
JFEスチール、高焼入れ性と高圧縮性を兼ね備えた粉末冶金用途向け鉄粉

 JFEスチールは、メッシュベルト炉で焼結した状態のままで引張強さが800MPa級を示す粉末冶金用途向けのニッケル(Ni)フリー合金鋼粉「FM800」を開発した。

 従来、焼結部品にはNiが4%、銅(Cu)が1.5%、モリブデン(Mo)が0.5%含まれる合金鋼粉を、メッシュベルト炉で焼結した材料が広く使われていたが、焼結後に硬度差が大きくなり被削性が悪化し加工費が増加する上、Niの市況影響を受けやすいという課題があった。

 それに対応するため同社では、メッシュベルト炉で焼結した状態のままで引張強さが600MPa級を示す「FM600」、浸炭焼入れ後の引張強さが1000MPa級を示す「FM1000」、「FM1000」にさらに靭性を兼ね備えた「FM1000S」、高温焼結後に熱処理をすることで引張強さを1300MPa級まで高めることができる「FM1300」といった、多彩なラインナップを持つNiフリー合金鋼粉「FMシリーズ」を開発・販売してきた。

 一方で、800MPa級の引張強さが要求される部品にNiフリー合金鋼粉を使う場合、浸炭焼入れが必要になってしまうことから、顧客のコスト削減により寄与すべく、さらなる商品開発に取り組んできた。

 そこで、同社はCuを3%、Moを1.3%予合金添加した合金鋼粉「FM800」を開発し、メッシュベルト炉で焼結した状態のままで引張強さが800MPa級を超える高強度を出すことに成功した。また、一般的に合金元素の予合金添加によって、粉末の圧縮性は低下するが、製造プロセスを制御することにより高い圧縮性を兼ね備えさせることに成功した。今後自動車部品、建機部品への適用を目指す。

FM800の焼結後ミクロ組織

 

admin 2020年1月6日 (月曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2019年12月号「特集:DLCコーティングの現状と周辺技術」12/25に発行

4年 4ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2019年12月号「特集:DLCコーティングの現状と周辺技術」12/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2019年12月号「特集:DLCコーティングの現状と周辺技術」が当社より12月25日に発行された。

 今回の特集では、ディーゼル燃料インジェクターと尿素インジェクターにおけるDLCの適用について、DLCのバイオマテリアル応用に向けた生体適合性・抗菌活性効果の実験と今後の展望について、産業技術総合研究所と全国の公設試験研究機関が実施したDLC膜の摩擦摩耗特性の統計的評価について、パイロットスケールの摩擦摩耗試験機を用いて行った各種硬質薄膜の試験結果について、成膜技術と脱膜技術の概要と両技術を用いて行った超硬ホブカッタ再生の具体的事例について紹介する。

特集:DLCコーティングの現状と周辺技術

◇自動車の環境負荷低減に寄与するDLCコーティング・・・デンソー 越智 文夫
◇DLCのバイオマテリアルへの応用・・・東京電機大学 平栗 健二、小野寺 修、齋藤 一拓
◇産総研・公設試におけるDLC膜の摩擦摩耗特性の統計的評価・・・奈良県産業振興総合センター 三木 靖浩、東京都立産業技術研究センター 川口 雅弘
◇HEFトライボメータによる各種硬質薄膜のリング・オン・ブロック試験・・・ナノコート・ティーエス 熊谷 泰、坂下 武雄、岩﨑 嵩、川本 秀士
◇DLCコーティングの成膜・脱膜による再生技術および超硬工具脱膜技術の応用事例・・・新明和工業 根波 将哉、須田 充顕

連載

注目技術:セラミックスからプラスチック・ゴムなど多様な材料に対応するta-C技術・・・ナノフィルムテクノロジーズ
トップインタビュー・・・ジュリアン グリモ 氏(HEF DURFERRIT JAPAN)
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第7回 東欧ー編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

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admin 2019年12月25日 (水曜日)
admin

高機能トライボ表面プロセス部会、第15回例会を開催

4年 4ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第15回例会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は12月16日、名古屋大学で、「高機能トライボ表面プロセス部会 第15回例会」を開催した。

第15回例会のもよう

 

 高機能トライボ部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 当日は上坂 代表幹事が「本部会は、高機能トライボ表面やそれを創成するためのプロセス革新に向けた議論の場として例会を開催しているが、今回は、日本トライボロジー学会や日本機械学会などのトライボロジー研究者に限定せず、応用物理学会などで活躍している第一線の講師の方々に、炭素材料の新しい構造制御法や活用法、分析法などを紹介していただく。いずれもトライボロジー応用に向けた共通の議論ができるものと考えている」と挨拶し、以下のとおり講演がなされた。

上坂 氏

 

「粒子制御型プラズマCVDによるカーボンナノ構造体の合成と構造・物性制御」近藤博基氏(名古屋大学)…H2/CH4プラズマ中の内部パラメータ計測により、PECVD法におけるアモルファスカーボン膜の成膜メカニズムを明らかにした。粒子計測に基づいた成膜機構および物性発現機構の理解と、それに基づく制御が可能とした。また、ラジカル・イオンの定量計測に基づくカーボンナノウォール(CNWs)の成長機構の解明と、Ptナノ微粒子担持CNWsの燃料電池応用やCNWs足場上での細胞培養における電界刺激重畳の効果など、新しいナノバイオ応用の開拓について紹介。活性種(ラジカル・イオン)の定量制御によるCNWsの精密制御合成と、ユニークなCNWs応用の実現が可能とした。

近藤 氏

 

「プラズマCVDで作製したナノ粒子によるa-C:H薄膜の物性制御」古閑一憲 氏(九州大学)…マルチホロー放電プラズマCVD法を用いて、a-C:H薄膜の中間層として連続的にカーボンナノ粒子の層を生成することに成功。ナノ粒子のサイズはホロー放電において飛行時間によって制御されること、カーボンナノ粒子の積層を制御するキーはガスフローtp基板のバイアス電圧であることを報告。a-C:H薄膜にナノ粒子の層を加えることで応力が緩和されるなど構造を制御できると結言した。ナノ粒子の複合膜の特性を制御するメカニズムを議論する上で、ナノ粒子の積層を制御することは有望とした。

古閑 氏

 

「炭素材料の更なる展開を目指して~機能性炭素材料コンポジット厚膜の合成とDLC膜への面分析の導入~」赤坂大樹 氏(東京工業大学)…金属等の塑性性粒子と機能性粒子の混合粉体から、コールドスプレー(CS)法で機能性粒子を含む複合材料膜を形成するという研究目的のもと、Cu-DLC複合材料膜の摺動試験を行い、その際に生じる炭素の結合状態の変化を、NEXAFS/X-PEEMにより評価した。その結果、SUJ2ボールとの摺動により、Cu-DLC複合材料膜中の炭素の均一な結合状態は、局所的に変化していることが分かった。また、各摺動回数の増加に伴い、分布も変化し、特に摺動痕の中央部ではsp2がやや少ない傾向が示された。

赤坂 氏

 

 講演終了後は、同部会会員企業のテクノポート 吉田秀樹 氏より、同社の取り扱う超高真空摩擦試験装置やHiPIMS電源の紹介がなされた。

吉田 氏

 

kat 2019年12月19日 (木曜日)
kat

DLCの医療応用を目指し「日本医用DLC研究会」設立

4年 4ヶ月 ago
DLCの医療応用を目指し「日本医用DLC研究会」設立

 DLC(Diamond-like-carbon)コーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場として「日本医用DLC研究会」(Japanese Association for DLC Medical Application:JADM、 https://www.dlc-med.org/ )が8月に設立、初代理事長に岡山理科大学 フロンティア理工学研究所の中谷達行教授が就任した。

 同研究会は、DLCコーティングの基礎医学・臨床医学への応用を目的とした研究を行っている研究者間の情報交換の機会を提供し、DLCの医療応用研究の発展に寄与することを目的としている。DLCの医療応用はこれまで工学領域の研究者が主体で研究してきたが、医学との連携が充分であったとは言えない状況だった。また、医療応用を目的とした医師主導の研究はまだ黎明期の段階であり、医療応用についての知見を交換する場なども少ない。新たに設立された同研究会は医用DLCに関連する諸問題を研究するとともに、基礎医学・臨床医学への応用を目指す研究者の情報交換の場を作ることで、DLCの医療応用に関する理解を深め、研究の発展に寄与していくことを目指す。

 中谷理事長は「DLCの医療イノベーションへの貢献は学際領域から生まれる。今回設立された日本医用DLC研究会がDLC研究の先生と若手医師・研究者との情報交換の場となり、DLCの医療応用が加速することを願っている」と述べている。


 現在、DLCの医療機器への応用については、DLC 膜の生体親和性、化学的安定性、金属イオンバリア性などの特徴が活用されている。成膜には、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、陰極真空アーク法などが用いられ、冠動脈ステント、カテーテル、人工歯根、人工股関節、人工血管などへの応用が進められている。そのうち、冠動脈DLCステントは、純国産の医療用DLCとして商品化もされている。

日本医用DLC研究会 発起世話人会の有志会合のもよう(下段中央が中谷理事長)

 

admin 2019年12月19日 (木曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、令和元年度 第4回研究会を開催

4年 4ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和元年度 第4回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会は12月13日、東京都江東区の東京都立産業技術研究センター(都産技研)で、「令和元年度 第4回研究会」を開催した。

 当日は、大森 整会長(理化学研究所)の開会挨拶に続いて以下のとおり講演がなされた。

「フラーレンの潤滑特性とメカニズム」近藤邦夫氏(昭和電工)…炭素原子のみからなるクラスター型分子であるフラーレンの特徴から諸特性、用途などを紹介し、主として潤滑特性について解説した。フラーレンを潤滑油に添加した効果として、低荷重の摩擦試験では摩擦抵抗が半分以下になるとした。また、中荷重の摩擦試験では基材の摩耗を1/20に抑制。高荷重の摩擦試験では市販の油に添加することにより焼付きを防止することから、より低粘度油が使用できると紹介した。潤滑メカニズムとしては、摺動面にフラーレン単分子よりも大きなサイズの構造体が存在するのではないかと推測した。

講演をする近藤氏

「都産技研における航空機関連の取り組みについて」福田良司氏(都産技研)…都産技研では、2017年12月に「航空機産業支援室」を開設。航空機の製造や開発に求められる国際規格に対応する試験設備を導入し、共同開発を通じて航空機産業への参入を目指す中小企業を支援している。講演では、ASTM18(ロックウェル硬さ試験)やASTM E384(マイクロビッカーズ硬さ試験)、ASTM B117(塩水噴霧試験)、FAR 25.853(燃焼性試験)などの国際規格に対応した設備を導入していることや、ASTM E384とASTM18についてはJIS Q 9100に適合した依頼試験として利用できることを紹介した。

​ 講演をする福田氏

 講演に続いて、都産技研内の航空機産業支援室の見学会が行われ、航空機部品に適用されるASTM規格やFAR規格に対応した試験機、中小企業と共同研究を行い完成した航空機部品の製造技術の紹介などを行った。

 次回研究会は来年2月28日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホールで開催される「第22回トライボコーティングの現状と将来」として行われる予定。

 

admin 2019年12月18日 (水曜日)
admin

パーカー熱処理工業、振動摩擦摩耗試験機「SRV」のアプリケーションセミナーを開催

4年 4ヶ月 ago
パーカー熱処理工業、振動摩擦摩耗試験機「SRV」のアプリケーションセミナーを開催

 パーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)は11月27日、川崎市川崎区の同社川崎事業所で「SRV®5」の新しい試験コンセプトのデモンストレーションを目的としたアプリケーションセミナーを開催、ユーザー企業約20社が参加した。SRV®5は同社が取り扱うOptimol Instruments Prüftechnik社製振動摩擦摩耗試験機「SRV®」の最新機種。
 

アプリケーションセミナーのようす

 

 当日はまず、Optimol Instruments Prüftechnik社CEOのGregor Patzer社長が、揺動試験、回転試験、さらには実部品を試験片に各種運動を組み合わせての「Combi-Drive」試験のそれぞれの自由度の高い試験セットアップによるギヤ油やグリース、加工油、MTF、添加剤、エンジン部品、高温用すべり軸受など様々なアプリケーションについて、実使用に近い環境での試験が可能なことを紹介。
 続いて、転動試験片を使用したグリース評価用試験セットアップを組み込んだSRV®5による、グリース向け回転摩擦評価法のデモンストレーションが実施された。
 

Gregor Patzer社長(左)と通訳を務めるパーカー熱処理工業・越智直行氏SRV®5によるグリース向け回転摩擦評価法のデモンストレーション

 

 また、Optimol Instruments Prüftechnik社のChristoph Baumann氏より、SRV®5のオプションであるアコースティックエミッション(AE)測定を利用して、潤滑下および無潤滑下での硬質薄膜DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の品質評価やスクリーニング試験が可能なことが紹介。続いて、SRV®5によるAEを利用した硬質薄膜評価法のデモンストレーションが実施された。

 

Christoph Baumann氏

 

 さらに今回は、よりインタラクティブなセミナーを提供する観点から、SRV®ユーザーである二人の講師から以下のとおり講演がなされた。

・「SRV®を用いたエンジンピストン摩擦における潤滑油添加剤性能の評価」山本賢二氏(ADEKA)…SRV®による摩擦試験結果は実車燃費試験や浮動ライナーによるピストン摩擦評価結果とよく一致しており、潤滑油の燃費性能評価の一次試験として有効と考えられる、とした。

・「SRV®を用いたDLC膜のはく離特性評価」間野大樹氏(産業技術総合研究所)…DLC膜の耐はく離性評価にSRV®を適用した結果、ワイブル分布に基づく統計処理により、はく離荷重の代表値を推定し膜のはく離特性を評価する手法を開発。開発した手法により、他の硬質薄膜のはく離特性についても評価できたほか、AE法の適用により、はく離の進行過程の違いによって生起している微細な損耗減少が異なることを明らかにできた。

 今回はいずれもSRV®ユーザーによる講演だったことから、両講師の講演後のQ&Aセッションにおいて、参加したSRV®ユーザーや同試験機の導入を検討している参加者を含めた活発な議論が行われた。

kat 2019年12月11日 (水曜日)
kat

ダイヘンなど、アルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の異材接合システム

4年 4ヶ月 ago
ダイヘンなど、アルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の異材接合システム

 ダイヘンと古河電気工業は、従来溶融接合が困難だったアルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の異材接合において、品質・信頼性が高い接合を実現する「レーザ・アークハイブリッド溶接システム」を開発、2020年1月よりダイヘンを窓口として販売を開始する。

 アルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の異材接合においては、融点や熱伝導率といった材料特性の違いにより、アーク溶接や抵抗スポット溶接といった溶融溶接の適用が困難とされていた。また、溶融溶接では母材への入熱が高くなることにより接合部に脆弱な金属間化合物が生成される。金属間化合物を減らすために入熱を下げると充分な接合強度を有するビード幅を形成することができない。これらのことから、溶接による異材接合で実用的な強度を確保することは実質的に不可能とされてきた。

 そのため、従来からアルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の接合にはリベットや接着剤が用いられるほか、接合部分を溶融させない固相接合を中心に、新接合技術の研究開発が進められてきた。しかしそれらの接合方法は、強度や信頼性に課題があるだけでなく、大掛かりな設備や治具、特殊な接合部材の使用や複雑な接合工程が求められるため、ランニングコスト面でも課題があった。

 今回開発した新製品は、アーク溶接法として極低スパッタを実現するダイヘン独自の「シンクロフィード溶接法」にさらに改良を加えた“アルミニウム合金用電流波形制御法”を採用し、接合部に必要な溶融金属を極低入熱で供給。レーザヘッドは、古河電工独自のビームモード制御機能付き光学ヘッドを採用し、レーザ光を異材接合に最適な形状、入熱量で接合部に照射することで幅の広いビードを形成する。また、自動車パネルなどに用いられる6000系アルミと鋼板の接合において、高強度な5000系溶接ワイヤとの組み合わせにより6000系アルミ部で母材破断する接合強度を実現した。

 アーク溶接をベースとした異材接合技術であるため、現状の溶接ラインに使用されている設備が流用可能。構造部材の形や生産工程を大きく変更することなく、構造部材の素材をアルミに変更することが可能となる。

 さらに、溶接材料として一般的なアルミニウム溶接に使用される5000系ワイヤを用いるだけで、アルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の異材接合が可能。他接合法に用いられるリベットや接着剤などといった接合方法と比べ工程時間が半減し、特殊な材料も不要となるためランニングコストを低減する。

レーザ・アークハイブリッド溶接システム

 

admin 2019年12月6日 (金曜日)
admin

第6回鉄道技術展が開催

4年 4ヶ月 ago
第6回鉄道技術展が開催

 フジサンケイ ビジネスアイは11月27日~29日、千葉市美浜区の幕張メッセで「第6回鉄道技術展」を開催した。世界が注目する鉄道インフラに関する専門展示会として国内の鉄道技術を紹介、またEUパビリオン、ドイツパビリオン、スイスパビリオンなど海外からも出展があり、国際色豊かなイベントとなった。同時開催の「第3回橋梁・トンネル技術展」と合わせて35136人が来場した。

鉄道技術展のもよう

 表面改質関連では、HEF DURFERRIT JAPANとニッチューが出展した。

 HEF DURFERRIT JAPANは、フランスの鉄道車両において多数採用されているブッシュ「PEL」シリーズを紹介。ブッシュの摺動面内のグリース分布をコントロールし、給脂インターバルの長期化を実現することで高速鉄道AGVなどに採用されている。こうした実績を背景に、日本でも鉄道分野でブッシュの採用を提案しており、地下鉄車両などで採用が始まっているという。また、ブッシュと合わせて、CLIN(Controlled Liquid Ionic Nitriding)技術を適用し欧州REACH規制に適合したクリーンな塩浴軟窒化処理「タフトライド処理®」を紹介。六価クロムめっき代替処理として提案を行った。

HEF DURFERRIT JAPANのブース

 ニッチューは、鉄道車両の部品の汚れ落としや接着前の表面粗さ調整などで多数の採用実績がある各種ブラスト装置を提案。会場では、省スペースで設置可能な直圧式ブラスト装置「プチブラスト(PDタイプ)」を用いて黒皮のはく離のデモを行った。また、ショットブラスト加工の技術を応用して開発された増粘着剤噴射装置「セラジェット」も紹介。同装置は、鉄道車両の高速域での車輪の空転・滑走防止や非常ブレーキ距離の短縮などの特徴から500系・700系・N700系のぞみをはじめ、九州新幹線や台湾新幹線、JR在来線などの鉄道車両で数多く採用されている。

ニッチューのブース

 

admin 2019年12月3日 (火曜日)
admin

中部電力など、コンパクトモジュール型ハイブリッド熱処理炉

4年 5ヶ月 ago
中部電力など、コンパクトモジュール型ハイブリッド熱処理炉

 中部電力とエコムは、コンパクトモジュール型ハイブリッド熱処理炉「EC Hybrid I」を共同で開発し、販売を開始した。

EC Hybrid Iの外観(2台連結)

 同品は、高出力で急速に加熱できるガスバーナーと温度制御を高精度に行う電気ヒーターを使い分けるハイブリッドヒーターの搭載や、循環ファンのインバータ制御により、熱処理の工程ごとに最適な熱源と風速を設定することが可能となった。これにより、同品と同等の処理能力を有する従来の熱風循環型熱処理炉と比較して、約50%の省エネを実現した。

 また、ガスバーナーと電気ヒーターの一体化や装置構成の最適化を行ったことにより、約50%の小型化を実現した。

 さらに、熱処理炉をモジュール化し、複数台の連結を前提とすることで、故障時の代用や多品種少量生産、生産量の変動にも柔軟に対応することが可能となった。

EC Hybrid Iの活用例

 

admin 2019年11月22日 (金曜日)
admin

KISTEC、2019年トライボロジー・表面硬化部材の組織と力学特性フォーラム開催

4年 5ヶ月 ago
KISTEC、2019年トライボロジー・表面硬化部材の組織と力学特性フォーラム開催

 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC、 https://www.kanagawa-iri.jp/ )は10月30日~11月1日の三日間、神奈川県海老名市の同研究所で「KISTEC Innovation Hub 2019」を開催し、31日に「トライボロジー技術フォーラム」、1日には「表面硬化部材の組織と力学特性フォーラム」を横浜国立大学GMI(グリーンマテリアルイノベーション)研究拠点傘下の「表面硬化部材の疲労損傷研究部会」との共催として実施した。

 このイベントは、平成29年4月に神奈川県産業技術センターと神奈川科学技術アカデミーの統合によりKISTECが立ち上がり開催されるもの。企業・大学・KISTECをはじめとする公設試験研究機関等で得られた研究・業務成果を紹介することで、研究者・技術者等の交流・技術連携を促し、中小企業の新製品開発、技術力の高度化・研究開発力の向上につなげていくための場として毎年開催している。

会場となった神奈川県立産業技術総合研究所

 トライボロジー技術フォーラムでは、日本精工 佐藤 努氏が「耐剥がれ性に優れるDLC被膜の開発と転がり軸受への適用」と題して講演。転がり軸受が使用される高面圧下においても剥がれにくいDLC被膜を開発し、その被膜を転がり軸受に適用した事例について報告した。開発したDLC被膜は、被膜のヤング率を低くすることで母材への追従性を向上し、内部応力を低減することで被膜剥がれを抑制した。また、最表面にSiを添加することで被膜の硬さを維持しつつ耐剥がれ性の改善が可能であることを見出した。開発したDLC被膜を内輪に被覆した円筒ころ軸受を高PV(P:接触面圧、V:すべり速度)条件で試験したところ、従来の限界値の1.7倍のPV値でも損傷が発生しなかったという。同被膜は大規模空調設備用ターボ冷凍機の圧縮機支持軸受において適用されている。

 また当日はこのほか、東京都立産業技術研究センター 徳田祐樹氏「塩素含有DLC膜の摩擦摩耗特性に関する研究」、KISTEC 吉田健太郎氏「DLC膜の摩擦特性に及ぼす植物油の不飽和度の影響」、名古屋大学 野老山貴行氏「表面増強ラマン分光法によるDLC膜の極表面構造変化測定」の講演が行われた。

 表面硬化部材の組織と力学特性フォーラムでは、ヤマハ発動機 久保田剛氏が「コネクティングロッドの高性能化のための熱処理法」で講演。モーターサイクル用コネクティングロッドに対する要求特性として小型・軽量化があり、その対応策となる熱処理法として真空高濃度浸炭窒化とガス軟窒化の可能性と課題について述べた。クランクシャフトとの摺動部でニードルベアリングを用いる場合、ヘルツ応力に対する転動疲労強度を向上させることで小型化が可能になる。これまではガス高濃度浸炭窒化が用いられてきたが、実験で真空高濃度浸炭窒化を試みた結果、従来のガス浸炭に比べて約6倍、ガス高濃度浸炭窒化に比べて約1.7倍の寿命を得ることができたと報告した。また、SCM435焼入れ焼戻し材に対して最表面付近の化合物層の結晶構造をγ’としたガス窒化材と、εとしたガス軟窒化材について、SCM420の浸炭焼入れ焼戻し材と比較を行った結果、表面付近をγ’にした場合、SCM420浸炭焼入れ焼戻し材よりも疲労強度は107サイクル高くなるものの、微小亀裂の発生が直ちに最終破断に至ることが分かったと報告した。

 また当日はこのほか、横浜国立大学 梅澤 修氏「表面硬化部材の疲労損傷研究部会の活動について」、KISTEC 髙木眞一氏「窒化鋼の疲労強度に及ぼす表面化合物の影響」、いすゞ自動車 山田明徳氏「窒化鋼のねじり疲労強度に及ぼす表面化合物層の影響」、青梅鋳造 野崎精彦氏「高強度球状黒鉛鋳鉄の低騒音歯車への適用に向けた窒化処理の影響」、横浜国立大学 梅澤 修氏「高面圧・すべり環境下における転がり疲労過程の検討」の講演が行われた。

表面硬化部材の組織と力学特性フォーラムのもよう

 

admin 2019年11月20日 (水曜日)
admin

JAPAN PACK 2019開催、食品包装・加工関連で活躍する表面改質技術が披露

4年 5ヶ月 ago
JAPAN PACK 2019開催、食品包装・加工関連で活躍する表面改質技術が披露

 日本包装機械工業会は10月29日~11月1日、千葉市美浜区の幕張メッセで「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」を開催した。同展は、国内外の包装機械、包装資材、包装材料加工機械、食品加工機械、医薬・化粧品製造機器、物流機器および関連機器の新製品を展示公開し、産業の合理化と国民生活の向上に寄与するとともに貿易の振興を図り、業界の発展に資することを目的とするもの。今回は、「きっとみつかる あなたの包程式」をテーマに463社・団体/2282小間の規模で開催された。

 

 食品包装機械・加工機械に適用される表面改質技術としては、以下のような展示があった。

 サーフテクノロジー/不二WPCブースでは、①フィルムを切るギザ刃にフィルムカスが付着して切れ味が悪くなる、②フィルムカスを取るのに手間・時間がかかり最悪の場合は製造ラインが停まってしまう、③刃の再研磨も数回しかできないため新品の購入頻度が増える、といった包装機用ギザ刃のメンテナンスの課題に対して、同社のマイクロディンプル処理®を用いることで、フィルムカスの付着抑制や洗浄性の向上、刃の欠け対策に効果があることをアピールした。また、さらにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを施すことで、さらなる寿命延長が可能とした。
 

サーフテクノロジー/不二WPC「包装機用ギザ刃対策のマイクロディンプル処理」

 

 太陽誘電ケミカルテクノロジーでは、①軽量機やフィーダーへの食品の付着を低減したい、②清掃時間を減らしたい、③耐久性に優れたコーティングを使用したいといった食品製造工程のニーズに対し、撥水撥油処理膜「JCコートTM P」を提案した。ステンレスなどの導電性基材全般に対応可能で、撥水撥油効果によって食品の付着・蓄積を防止するほか、汚れを簡単に落とす。耐食性にも優れる。硬さはHv1800程度まで、耐熱温度は250℃程度まで。食品生産設備部品や食品関係の切断ブレードで実績を持つ。
 

太陽誘電ケミカルテクノロジー「JCコート Pによる粉体付着低減のデモ」


 

kat 2019年11月14日 (木曜日)
kat

東京モーターショー2019が開催、各種モビリティに対応する表面改質技術が多数展示

4年 5ヶ月 ago
東京モーターショー2019が開催、各種モビリティに対応する表面改質技術が多数展示

 「第46回東京モーターショー2019」(主催:日本自動車工業会(JAMA))が10月24日~11月4日、東京都江東区の東京ビッグサイト(青海・西・南展示棟)、MEGA WEB、ヴィーナスフォート、シンボルプロムナード公園などで開催された。今回は「OPEN FUTURE」をテーマに、192の企業・団体が参加、業界を超えてオールインダストリーで「クルマ・バイクのワクワクドキドキ」から「未来の暮らし」、「未来の街」にまで領域をひろげ、130万900人が未来のモビリティ社会を体感した。

 

クルマが主役の展示から、人が主役の展示へ

 トヨタ自動車ブースでは、従来の市販予定車やコンセプトカー中心の展示から、人を中心とした未来のモビリティ社会を体感できるテーマパークに大きくモデルチェンジした。プレスデーの10月23日に同社ブースで挨拶に立ったJAMA会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「今回の“参加・体感型ブース”は、来場者に楽しんでもらい、未来のモビリティにおいてもFUN TO DRIVEを大切にしたいという気持ちを伝えるコンセプトとした。トヨタ生産方式の“自働化”と“Just in time方式”に共通するのは、人を中心に置く考え。だからこそ、人が中心に居続ける未来をトヨタは描いている。クルマの自動化が進めば進むほど、大量の情報を判断し瞬時に処理できる人間の力が試されることになると考えている」と語った。

自動運転システム搭載のEV「e-Palette」を背に、「ブースのコンセプトはHuman Connected。トヨタは人間の力を信じている」と語る豊田章男氏

 

充電・電力活用システム含め、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッドEV(PHEV)が提案

 初の量産電気自動車(EV)でe-SKYACTIVEを搭載したマツダの「MX-30」や、ツインモーター4輪制御を採用した日産自動車のクロスオーバーコンセプトのEV、発電機にガスタービンエンジンを用いる三菱自動車のPHEV「MI-TECH CONCEPT」、など電動車両が披露される中、今回は「日産リーフ」に電気を蓄え、走る以外にも電気を活用する「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルームの展示や、太陽光パネルやV2H機器などで構成するシステムをパッケージ化し、EVやPHEVの購入と併せて販売・設置・アフターメンテナンスを提供する三菱自動車の「電動DRIVE HOUSE」などが提案された。販売の伸び悩むEVとインフラ整備の遅れる充電設備に関して、自動車メーカー自らが電気を「つくる」「ためる」「使う」ためのより付加価値の高いシステムとして、EVと電力相互供給システムというトータルソリューションを示した形だ。

日産自動車「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルーム

 

燃料電池車(FCV)の市場投入が本格化

 トヨタ自動車は、メインブースには市販予定車を1台も置かなかったものの、2020年に発売予定の燃料電池車(FCV)第2世代の「MIRAI Concept」をMEGA WEB で展示した。MIRAI Conceptでは新型FCスタックによって航続距離を従来比約30%増の約850kmに延長している。

トヨタ自動車「MIRAI Concept」

 

 また、メルセデス・ベンツでは、世界初の燃料電池PHV「GLC F-CELL」を披露した。水素を燃料に使い発電、その電力でモーターを駆動するFCVであると同時に、発電した電力を大容量バッテリーに蓄電できる。蓄電した電力のみでもモーターが駆動できるため、水素がなくとも、蓄電した電力さえあれば走行可能。専用の充電プラグを介しての蓄電も可能にしている。

メルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」

 

自動運転システム、レベル4への技術革新進む

 トヨタ自動車は、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVと位置付ける「e-Palette」や、会話型のAIエージェントとレベル4(高度運転自動化)相当の自動運転技術を搭載するコンセプトカー「LQ」を展示した。

トヨタ自動車「LQ」

 

 「e-Palette」は東京2020オリンピック・パラリンピック専用車両として使われる予定で、高精度3Dマップなどを活用しながら、レベル4での最高速度時速19kmの低速自動運転を可能にしている。将来的には、ネット通販と連携した自動配送や移動店舗、オンデマンドバスや移動オフィスとしての利用を想定し、2023年の市場投入を目指している。「LQ」についても、2020年には公道で自動運転の体験イベントも行う計画がある。

 そのほか、スズキのモバイルルーム自動運転車「HANARE(ハナレ)」が披露されるなど、今回の展示では、レベル4に向けた日本の自動運転技術の進捗度がアピールされた。

エンジンの低フリクション化も進展

 トヨタ自動車は、2020年2月発売予定の「ヴィッツ」改め「YARiS」をヴィーナスフォートで展示した。

トヨタ自動車「YARiS」

 

 今後トヨタの先進国向けコンパクトカーのベースとなるTNGAプラットフォーム(GA-B)を初採用したほか、エンジン、ハイブリッドシステム、トランスミッション、サスペンションなど、すべてをゼロベースから作り上げた。軽量で高剛性、低重心のボディに加え、新開発「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」に対しDirect Shift-CVTと新世代ハイブリッドシステム、6速マニュアル、また改良を加えた1.0Lエンジンに対し小型軽量化したCVTと、4種類のパワートレーンを用意し、軽快で上質な乗り心地と、スムースでダイレクトな加速を実現した。

 直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジンは、ロングストロークやバルブ挟角拡大などの高速燃焼技術を採用し、低燃費と高出力を両立。直列3気筒1.0Lエンジンは、高タンブル流や高EGR(排気再循環)率、フリクション低減などの改良により、軽快な走りと低燃費を両立。低フリクション化では、本年10月に発行されたJASOの規格GLV-1に組み込まれた超低粘度規格0W-8に適合するエンジンオイルも採用されるという。

エンジンの低燃費化に対応する表面改質技術

 CO2排出量削減からますます要求の強まるエンジンの低燃費化に対して、大同メタル工業は、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」を紹介した。さらに最近では、耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」が開発され、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干やわらかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高める異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐことをアピールした。

大同メタル工業「DLA02ほか」

 

 また、日本ピストンリングでは、自動車エンジン用シリンダボアにマイクロテクスチャ(ディンプル)を施すことで低摩擦化を実現する「ディンプルライナ」を展示。省燃費化に寄与できることなどから、世界で初めてトラック用ディーゼルエンジンに採用されている。また、摺動時にシリンダとの摩擦を減らすことで低燃費につながるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜のピストンリングを紹介した。

日本ピストンリング「DLCピストンリングとディンプルライナ」

 

 リケンではまた、大型ディーゼルエンジン向けに耐摩耗性と低摩擦特性を付与する厚膜DLC被覆のピストンリングを、レース用二輪車の高回転化に有利なフィンガーフォロワーに対し、摺動抵抗低減を目的にDLCを施した製品を展示した。

リケン「厚膜DLCリングやDLCフィンガーフォロワー」

 

電動化・自動運転に貢献する表面改質技術

 ジェイテクトは、ハイブリッド車(HEV・PHEV)や電動車(EV・FCV)の変速機などで主に使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を展示した。クリープが発生すると、軸受とハウジングが擦れ合うことでその双方が摩耗して軸の芯ずれや傾きを引き起こし、結果、ギヤのかみ合い不良による変速機の機能低下や異音などの不具合が発生する恐れがある。従来は、クリープによる不具合を避けるため、軸受の外輪を厚くしたり、固体潤滑皮膜を使用したりといった策が取られてきたが、どちらもサイズ・重量やコスト面での課題があり、最適な製品の開発が必要だった。開発品では、外輪の外径中央部に円周方向の溝を作ることで、「ひずみクリープ」によるハウジング摩耗の抑制に貢献する技術に加え、外輪全体に特殊皮膜を施すことで、「連れ回りクリープ」によるハウジング摩耗に対しても効果のある軸受の開発に成功した。

ジェイテクト「クリープ摩耗抑制玉軸受」

 

FCVの航続距離延長に寄与する表面改質技術

 FCVに搭載されているFCスタックの主要構成要素であるFCセパレータでは水素・酸素ガス分配や冷却水分配、生成水排水という機能が求められ、それに伴いセパレータ用表面処理にはセル間の電気接続・セル内の集電(導電性=低い接触抵抗)と長期化学安定性(耐食性)が要求される。

 これに対し現行の第1世代のMIRAIのセパレータでは基材にチタン(Ti)を適用して耐食性を確保しつつ、プラズマCVD法によるカーボン(C)系薄膜(膜厚50nm)の適用で金(Au)めっきと同等の低接触抵抗を確保している。ホンダなど多くのメーカーがセパレータ基材に耐食性に優れるステンレスを採用する中、トヨタでは第2世代のFCVの基材を現状のチタンのままで進めるか、ステンレスなどに変更するかは最終調整の段階にあるとしている。

kat 2019年11月11日 (月曜日)
kat

パテント・リザルト、鉄鋼・非鉄金属・金属製品の特許資産規模ランキング

4年 5ヶ月 ago
パテント・リザルト、鉄鋼・非鉄金属・金属製品の特許資産規模ランキング

 パテント・リザルトは、独自に分類した「鉄鋼・非鉄金属・金属製品」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「鉄鋼・非鉄金属・金属製品業界 特許資産規模ランキング2019」を取りまとめた。2018年4月1日から2019年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を用いた評価を行い、企業ごとに総合得点を集計した。その結果、1位 日本製鉄、2位 JFEスチール、3位住友電気工業となった。

 1位の日本製鉄は、「電磁鋼板を用いたIPM(磁石埋込式)モータのロータの誘導加熱方法」や「自動車車体の骨格部材」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

 2位のJFEスチールの注目度の高い特許には、「水中の二酸化塩素濃度を低減させる水処理剤」や「自動車部品用素材として優れた耐疲労特性を有する熱延鋼板の製造方法」に関する技術などが挙げられる。

 3位の住友電気工業は、「シールド電線接続構造」や「光モジュール」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

 4位の日立金属は「ワイヤーハーネス設計装置」や「ターボチャージャ」、5位の古河電気工業は「電線を保護するための電線管」や「磁気ディスク用基板」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

鉄鋼・非鉄金属・金属製品 特許資産規模ランキング2019

 

admin 2019年11月11日 (月曜日)
admin

日本MID協会、第17回定例講演会を開催

4年 5ヶ月 ago
日本MID協会、第17回定例講演会を開催

 日本MID 協会( http://www.jmid.gr.jp/jp/index.html )は11月1日、東京都目黒区の東京大学 生産技術研究所(駒場リサーチキャンパス)An棟2F コンベンションホールで「第17回定例講演会」を開催した。併設で、パナソニックやマクセル、図研、マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパンなどMID関連13社によるポスター展示が行われた。

定例講演会:特別講演での質疑応答のようす

 

 MID(Molded Interconnect Device)は、樹脂成形品表面にめっきなどの金属膜で回路(電極)を形成したモールド部品で、構造部品に回路・電極やコネクタ、シールド効果などの機能を盛り込んだ構造体かつ電気的機能(特性)をもつ複合部品を構成できる。樹脂成形品に回路・電極を自由に形成することが可能なため、FPC、PCB等の部品点数を削減しつつ組立工数を削減し、空間スペースを有効に活用した部品の軽薄短小化を可能にしている。

 1996年に「MID研究会」として発足した日本MID 協会は、MIDに関する最新技術の紹介や海外の学協会や国内の他団体との交流を進めている。

 当日は、定例講演会担当幹事のマクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン社長のジュリアン・ベイショア氏の代理で、同社シニアビジネスマネージャーの鈴木博文氏が「本定例講演会は単なる講演の聴講に留まらず、参加者や参加企業との積極的な交流の場である。講演会の合間の休憩中にはポスター展示もご覧いただきたい。MIDは多種多様な技術分野が絡んでおり、普段は決して関わらない分野の方々がMIDというキーワードのもとでこの場に集まっている。この場を通じて参集いただいた方々にビジネスの場が広がっていくことを期待している」と挨拶した。

開催挨拶を行う鈴木博文氏

 

 その後、以下のとおり講演がなされた。

・「特別講演:3Dプリンテッドエレクトロニク技術の創生と期待」時任静士氏(山形大学)…非平面あるいは三次元表面へのプリンテッドエレクトロニクスの適用のための新しい電子回路印刷技術を開発した。その一つ、やわらかいブランケットを用いた「ソフトグラビアオフセット印刷技術(SBG)」は、不規則な曲面や段差の上への微細な銀配線を成功させ、3Dプリンティングによる回路作製を実現した。もう一つの、「全方向インクジェット印刷技術(OIJ)」もまた、様々な曲面や三次元形状の対象物への銀配線に成功、3Dプリンティングによる回路作製を実現している。厚膜に印刷した銀配線では最大5Aの電流を30分間通電することに成功。次のステップとしては、三次元形状の対象物へのセンサーデバイスの製作やより複雑な回路の形成を目指していると述べた。

・講演1「3D-MID用Cuペーストの開発」江尻芳則氏(日立化成)…低温焼成可能な銅(Cu)ペーストを用いて、3D配線材料としての適用可能性について検討した。その結果、①2D形状および3D形状のポリカーボネート(PC)基板に、レーザー焼成によってCu配線が形成できた。②3D形状のポリプロピレン(PP)基板に、105℃の焼成(ギ酸雰囲気中)で、線幅2mm、厚み30μm、体積抵抗率20μΩ・cmのCu配線が形成できた。③3D形状の液晶ポリマー(LCP)基板に、L/S=600μm/600μm、厚み30μm、体積抵抗率5μΩ・cmのCu配線が形成できた。④ポーラス構造の銅被膜に樹脂を塗布することで、ポーラス部に樹脂が浸透し、基材とCu配線との密着性が向上すると考えた。

・講演2「エアロゾルジェット技術による3D曲面への微細回路形成」堀 靖志氏(マイクロジェット)…吐出できる液材料が低粘度に限定、最小線幅は30μm程度が限界、ヘッドと基材の距離が0.5~2mmに限定などのインクジェット技術の課題を解決する手法として、数μmの粒子を制御し印刷する「エアロゾルジェット技術」について説明。線幅10μmの細線形成、10mmギャップでの非接触印刷、1000 mPa・sの高粘度液への対応、ノズル変更で線幅10~1000μmの印刷がそれぞれ可能という特徴から、インクジェットでは困難だった高粘度液材や凹凸基板への印刷が可能とした。各種アンテナ・センサーなどへの応用事例のほか、同社のエアロゾルジェット描画装置や試作サービスなどについて紹介した。

・講演3「新MID工法ASEP(Application Specific Electronics Package)」圓谷徹紀氏(日本モレックス)…ASEPによって、一体化によるスペース効率の改善や回路厚選択の自由度を利用した放熱特性の改善、一般的なMID技術に比べた生産性の改善(インライン生産)が図れるというソリューションを提案した。その製造プロセスから機能・特徴、適用分野などについて紹介したほか、マイクロ配電ボックスやLIN対応RGB装飾用光源、放熱基板などの製品応用例を紹介。そのほか、ASEPによるパターンの密着性が成形樹脂の性質に依存することや、最小のパターン幅が現時点でL/S=150μm/150μmまで作製可能なこと、使用可能な内層金属板の厚みが0.1~1mm程度まで使用可能なことなどを説明した。

・講演4「3D-MID実装の応用例と4社での取り組みのご紹介」ハンソンイ氏(太陽インキ製造)、北郷 和英氏(大英エレクトロニクス)、秋山 賢二氏(ヱビナ電化工業)、市野 慎次氏(FUJI)…3D-MID基板製造における主なプロセスのうち、基板・回路設計を担当する大英エレクトロニクス、回路形成を担当するヱビナ電化工業、レジストを担当する太陽インキ製造、部品実装を担当するFUJIの各会社概要のほか、サンプル基板の設計・製作、MID実装プロセス確立に向けた実験、ユーザーデモ対応といった4社での活動内容を紹介した。4社で活動するメリットとしては、各工程での条件を事前に共有でき設計段階でプロセス全体を考慮した設計が可能なためトライ&エラーが発生せず最短で製品を制作できるとした。

・講演5「3DハイブリッドモジュラーS20による3D-MID実装のご紹介」鈴木 直樹氏(ヤマハ発動機)…ディスペンサー(塗布)とマウンター(搭載)の機能を兼ね備えるハイブリッドヘッドに、3軸構造で様々な形状のMID生産に対応できる3Dユニットを追加し3次元実装に対応する同社の「3DハイブリッドマウンターS20」について紹介した。ディスペンサーの種別と特徴、3Dユニットの構造、MIDワーク搬送方式などについて説明したほか、ハイブリッドヘッドによる部品搭載や長尺はんだ塗布など3D-MID実装のデモンストレーション動画を披露した。また、カラーフィデューシャルカメラの採用によってはんだや接着剤などの塗布検査に対応する、開発中の塗布検査機能についても紹介した。

・講演6「JOHNANの3D-MIDへの取組み」岡 孝充氏(JOHNAN)…同社の3D-MID実装ラインについて紹介したほか、3D-MID実装での、垂直面に実装された部品がリフロー加熱時に落下するという問題に対し、同社が全部品を一括でリフロー可能なプロセスを確立、本格的な量産にも高い生産性で対応可能としたことを報告した。はんだ付け工法選定では設備の生産スピードを向上させることで製造コストを下げる必要があるためエアーリフローを選定。リフロー条件の比較や温度プロファイルの見直しなどで、リフローで垂直面・傾斜部の部品落下防止に成功。そのほか導電接着剤など熱に弱い材料への対応やレジストの対応など、3D-MID実装における様々な課題解決に取り組んでいることを紹介した。

 そのほか協会側から、吉澤徳夫氏(日本MID協会幹事、三共化成)が「MIDガイドライン」について、松澤浩彦氏(日本MID協会幹事、図研)が「MID市場調査報告2019」について報告した。

kat 2019年11月11日 (月曜日)
kat

マコー、キャビネットを大型化したウェットブラスト装置

4年 5ヶ月 ago
マコー、キャビネットを大型化したウェットブラスト装置

 マコー( https://www.macoho.co.jp/ )は、ウェットブラスト装置「ココット(COCOTTE)」に大型タイプ「オムレット(OMELETTE)」を新たにラインナップする。

 従来機「ココット」はメンテナンス・オーバーホール用の洗浄装置として発売開始以来500台以上の販売を行ってきたが、より多目的に、より大物を処理したいとの顧客の要望から、今回の新型機開発に至ったという。

 新型機は、従来機に比べキャビネットを広げたことで、加工範囲が従来の1.6倍に拡大されており、1100mmのパイプなど長物も処理できる。また、処理により摩耗しやすい箇所の耐久性を大幅に向上したことで、従来機では使用できなかった研削・加工用の研磨材が使用でき、粒子の交換のみで、油や錆、カーボンの洗浄などのソフトな処理から、強固に付着した酸化スケールの除去や肉厚塗膜のはく離、削り込みなどのハードな加工まで様々な目的に使える。

 

admin 2019年11月7日 (木曜日)
admin

2020年2/28「トライボコーティングの現状と将来シンポジウム」開催、併設技術展示会で出展を募集

4年 5ヶ月 ago
2020年2/28「トライボコーティングの現状と将来シンポジウム」開催、併設技術展示会で出展を募集

 トライボコーティング技術研究会では2020年2月28日に東京都板橋区の板橋区立グリーンホールで『第22回トライボコーティングの現状と将来シンポジウム』を開催、併設する「技術展示会」の出展募集を行っている。出展費用は5,000円。

 今回は、砥粒加工学会主催の「先進テクノフェア(ATF)2020」との合同イベントとなる。

 技術展示会では、パネルやサンプル展示、そしてショートプレゼンテーションによって、自社の技術をアピールしてもらう。ショートプレゼンテーション後には、投票によって優秀な技術展示に対し「技術展示賞」の贈呈が行われる予定となっている。

 詳細は以下のとおり。

●出展費用:5,000円(予定)

●出展数:5~6枠(予定)

●設営開始時間:当日の13:00~(予定)

●展示可能な時間:13:00~19:30(予定)
※ショートプレゼンテーションの時間帯は決まり次第通知

●申込先:Tribo@tribocoati.st(トライボコーティング技術研究会 事務局)

kat 2019年11月5日 (火曜日)
kat

ITC Sendai 2019(国際トライボロジー会議 仙台 2019)が開催

4年 5ヶ月 ago
ITC Sendai 2019(国際トライボロジー会議 仙台 2019)が開催

 日本トライボロジー学会(JAST)が主催する最大のイベントである「国際トライボロジー会議(International Tribology Conference: ITC)」が9月17日~21日に、宮城県仙台市の仙台国際センターで開催された。

開催のようす


    
 ITCは、4年ごとにJASTが主催する国際会議(2005年までは5年ごと)で、理論的研究から実用化を目指した研究までバランスのとれた発表が行われている。特に海外のトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑の科学技術)関連の国際会議に比べて、自動車分野をはじめ幅広い産業界で活躍するトライボロジー研究者・技術者が多数参加し発表するITCは、世界各国から多くの参加者が集まることで知られている。

 今回開催されたITC Sendai 2019(ITC仙台)について、JAST国際企画委員会委員長でITC 仙台副実行委員長の足立幸志氏(東北大学教授)は、「JASTの国際的プレゼンスの向上に加えて、トライボロジーの科学技術としてのプレゼンス向上が。トライボロジーに関わる世界中の多様な分野の研究者・技術者がITC仙台において接点を持ち交流することによる、さらなるトライボロジーの飛躍、国際的な深いネットワークの構築などが期待されている。また、トライボロジーと異分野の融合を図ることもITC仙台における狙いの一つである。ITC仙台のロゴマークには、これらの願いを込めた」と語っている。

ITC仙台のロゴ

 

 初日のオープニングセレモニーで開会挨拶に立った堀切川一男ITC Sendai 2019実行委員長(東北大学教授)は、自ら開発した「滑らない箸」でプラスチック製のボールをつかむデモンストレーションをまじえてトライボロジー研究の成果を披露しつつ、「トライボロジーの基礎研究の重要性はますます増してきており、その用途はこの箸のように拡大してきている。」と挨拶した。

挨拶する堀切川氏

 

 また、若林利明JAST会長(香川大学教授)は、「トライボロジーは持続的成長への関わりが深く、グローバルの環境保全に貢献できる。今回もそうした発表が多くなされることを期待している」と述べた。

挨拶する若林氏

 

 今回の見どころの一つが、海外と日本の研究者による、トライボロジーおよび異分野の最先端研究に関するPlenary Lecture(基調講演)。“異分野と結ぶ、次の時代を切り開くPlenary Lecture”のテーマのもと、トライボロジーの最先端を切り拓く第一線の研究者とともに異分野(ロボット研究、レオロジー研究、数学)の第一線の研究者を招待し、以下のとおり講演が行われた。

・“Nanoscale Mechanisms Controlling Friction, Adhesion, and Lubrication Using in situ Approaches”Robert W. Carpick氏(University of Pennsylvania, USA)
・“ImPACT Tough Robotics Challenge - A National Project of Japan Cabinet Office on Disaster Robotics”田所 諭氏(東北大学、ロボット研究者)

・“What is the Best Design of Oil Additives for Friction Reduction?”平山朋子氏(京都大学)
・“Tribology and Rheology: Complementary Roles in Material Research”渡辺 宏氏(京都大学、レオロジー研究者)

・“In-Silico Experiments in Tribology: the Power of Modelling and Simulations”Daniele Dini氏(Imperial College London, UK)
・“Mathematical challenge to a new phase of materials science”小谷元子氏(東北大学、数学者)

 ITC仙台におけるJASTのプレゼンス強化の目玉企画として、「Plenary panel session (主要国際トライボロジー雑誌編集長討論会)」が行われた。これは、“WEAR”誌のChristian J. Schwartz氏(Iowa State University, USA; Assoc. Editor)、“JOURNAL OF TRIBOLOGY,ASME”誌のMichael Khonsari氏(Louisiana State University, USA; Editor)、“TRIBOLOGY INTERNATIONAL”誌のMichel Fillon氏(Institut Pprime, CNRS - Université de Poitiers – ISAE-ENSMA, Futuroscope Chasseneuil, FRANCE; Editor)、“Tribology Transactions,STLE”誌のChristopher DellaCorte氏(NASA Glenn Research Center, USA; Editor-in-Chief)、“TRIBOLOGY LETTERS”誌のNicholas David Spencer氏(ETH Zürich, Switzerland; Editor-in-Chief)、 “Friction”誌のJianbin Luo氏(Tsingh ua University, China; Editor-in-Chief)、“Tribology Online,JAST”誌の杉村丈一氏(九州大学)、という、世界の主要なトライボロジー関連雑誌7誌の編集長によるパネル討論会で、「世界におけるトライボロジー研究の動向」や「未来に向けたトライボロジー研究」などをテーマに、活発な議論がなされた。

主要国際トライボロジー雑誌編集長討論会のようす

 

 また、ITC仙台の技術セッションでは、これまでのITCで最大となる650件あまりの発表講演が行われた。

 トピックスとしては、Fundamentals of tribology(トライボロジーの基礎)、Lubrication and lubricants(潤滑および潤滑剤)、Surface and interface(表面および界面)、Material engineering(材料工学)、Manufacturing and machine elements(ものづくりと機械要素)、Life(生体・生活)のテーマが、シンポジウムとしては、JAST & STLE young tribologist symposium(日米トライボロジー学会若手シンポジウム)とともに、Contact dynamics of soft matters(ソフトマターの接触力学)、 Latest technology trends for lubricating greases(潤滑グリースの最新の技術動向)、Lubricant additive and base oil technology for sustainable global environment(持続可能な地球環境のための潤滑油添加剤および基油の技術)、New challenges in tribology for sealing technology(シール技術のためのトライボロジーの新たな挑戦)、New coating technology boosting tribological performance(トライボロジー性能を高める新しいコーティング技術)、Tribology simulation(トライボロジーシミュレーション)、Wear fundamentals(摩耗の基礎)といったテーマにおいて最新の発表がなされた。

シンポジウムセッション「New coating technology boosting tribological performance(トライボロジー性能を高める新しいコーティング技術)」のようす

 

ポスターセッションのようす

 

kat 2019年10月31日 (木曜日)
kat
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