JASIS2020開催、表面試験・評価・分析機器が展示
日本分析機器工業会と日本科学機器協会は11月11日~13日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2020」を開催した。今年はリアル展示会に加えて、新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みWeb展示会を強化、両展示会を融合したハイブリット展示会として開催した。リアル展示会は、276社・機関、971小間(昨年:478社・機関、1423小間)の展示と「新技術説明会」、「オープンソリューションフォーラム」など約300の講演が催された。来場者は7299名(昨年:23409名)。
JASIS2020のもよう
JASISのWeb企画である「JASIS WebExpo」は、JASISの人気講演会・セミナー動画が約50タイトル、出展社が約80社・機関(昨年:19社・機関)となっている。公開期間は前期が9月9日~11月15日、後期が11月16日~2021年3月15日。URLは以下より。https://www.jasis.jp/WebExpo/
ここでは、リアル展示会における表面試験・評価・分析に関連する主な製品・技術展示について紹介する。
アルバック( https://www.ulvac.co.jp/ )は、様々な試料表面の段差(膜厚)、粗さ、形状を高精度に測定、研究開発から生産まで幅広い用途で適用できるKLATencor社製の触針式プロファイラー「Alpha-Step D-500」を展示した。ワイドな垂直測定レンジ(最大1200μm)、優れた段差測定再現性(1σ=0.5nm/1μm段差)、低針圧測定(0.03mg~15mg)、観察用カラーカメラ(4Xデジタルズーム付)、キーストーン画像補正機能などの特徴を有する。φ140mm(移動範囲:80×20mm)手動ステージを搭載しているほか、装置の省スペース化(本体サイズ:W250×D390mm)を実現している。
アルバック「Alpha-Step D-500」
大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )は、顕微分光を用いた微小領域での絶対反射率測定(多層膜厚、光学定数)により、高精度な膜厚・光学定数解析が可能な顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。各種フィルムやウェーハ、光学材料などのコーティング膜の厚みや多層膜を非破壊・非接触で測定でき、形状のある実サンプルのDLC膜の厚みを測定時間1秒/ポイントの高速で高精度に測定できる。また初心者でも簡単に光学定数の解析ができるソフトウェアを搭載しているほか、膜厚測定に必要な機能をヘッド部に集約しているため、インラインでの品質管理にも適用できる。複雑な光学定数も解析可能(複数点解析法)。
大塚電子「OPTM series」
協和界面科学( https://www.face-kyowa.co.jp/ )は、主力の接触角計やオプションの2連式ディスペンサ、ペルチェ式恒温槽などを紹介したほか、自動摩擦摩耗解析装置「TSf-503」を展示した。同装置は不要な力を検出せず、正確な摩擦の波形取得を実現した。標準繰返し測定は最大12回まで往復運動をして静・動摩擦係数測定を行う。また同装置は、往復測定か往路のみの測定かを選択でき、往路測定の場合は天秤を自動でピックアップし原点位置まで復帰する。連続静摩擦測定では、設定した移動速度、距離、回数で連続測定を実施する。さらに、4種類の荷重(100g~1000g)で静・動摩擦係数を測定し、荷重による影響を比較することもできる。
協和界面科学「TSf-503」
新東科学( http://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式を採用した摩擦摩耗試験機「トライボギアTYPE:40」の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、サンプルを付け替えることなく別の部分で測定ができる。標準装備のアクリルカバーに対して、オプションでカバーを簡易的にシールでき、雰囲気や温度等、特定の環境下での試験にも対応できる。
新東科学「トライボギアTYPE:40」
東陽テクニカ( https://www.toyo.co.jp/microscopy/ )は、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させる分解能3nNのInForce50型超高分解能押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマテリアルの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験(連続剛性測定法:CSR)による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の三次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価装置であることをアピールした。自動圧子形状補正機能を装備。ISO14577 Part 1に準拠している。
東陽テクニカ「iNano」
日立ハイテクサイエンス( https://www.hitachi-hightech.com/ )は、めっき液の成分分析が行えるICP発光分光分析装置(ICP-OES)「PS7800」を紹介。同装置は卓上型ながら高い分解能とアルゴンガスの消費量を削減できるシステム、室温の変化にも対応できる波長校正機能を有している。これにより、めっきの現場での分析から研究まで幅広く使用できる。無電解ニッケルめっき液の微量添加成分の測定やリンの測定事例をパネルで展示、来場者からの質問や問い合わせなどがある場合は、自社で待機している説明員がオンライン対応を行った。
オンライン対応を行った日立ハイテクサイエンスのブース
堀場製作所( https://www.horiba.com/jp/ )は、紫外域から近赤外域まで対応する、薄膜・表面・界面の特性評価のためのR&D向け高精度分光エリプソメーター「UVISEL Plus」を紹介した。位相変調技術に基づき、紫外域190nmから近赤外域2100nmまでの広範囲な波長域をカバーしており、高精度・高分解能測定・優れた信号対雑音比(S/N比)によって、全波長域にわたり高品質な測定データを採取できる。半導体、ディスプレイ、太陽光発電、光学コーティング、光エレクトロニクス、バイオおよび化学などの各分野のアプリケーションにおける、研究、産業、およびQC分析の要求に対して、薄膜構造の高精度な評価法としてベストな解決法を提供する。
堀場製作所「UVISEL Plus」
レニショー( https://www.renishaw.jp/ )は、作業台の上や業界標準の 19インチラックに省スペースで設置可能な、ポータブルのファイバーラマン装置「VirsaTM」を紹介した。サンプルのin situ分析に理想的な装置で、工場での品質管理にも、大型で持ち運びができないデリケートなサンプルのその場での解析にも活用できる。また、ファイバープローブの標準ケーブル長が5mのため、サンプルを様々な形で分析できる。複数の励起レーザー波長(532nmと785nm)により蛍光を回避でき、ボタン一つで波長を切り替えられるためサンプルの位置を直す必要がない。さらに、高解像度ビデオプローブにより高速顕微ラマン測定を可能にしているほか、エンコーダ搭載のXYZ軸自動ステージによるプローブの高い位置決め精度を実現する。
レニショー「Virsa™」
admin
2020年12月9日 (水曜日)