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奥野製薬工業など、「アルミニウム合金の表面処理方法」で発明協会会長賞受賞

3年 5ヶ月 ago
奥野製薬工業など、「アルミニウム合金の表面処理方法」で発明協会会長賞受賞

 アサヒメッキ( https://asahimekki.jp/ )と奥野製薬工業( https://www.okuno.co.jp/ )、鳥取県産業技術センター( https://tiit.or.jp/ )は、発明協会が行っている「令和2年度中国地方発明表彰」において「アルミニウム合金の表面処理方法(特許第5998314号)」で発明協会会長賞を受賞した。

 本発明は、アルミ鋳物における陽極酸化前処理工程の技術的改善と、高コスト要因である工程複雑化による生産性低下等の課題を克服し、あらゆるアルミ材料に適応、環境に配慮し、低コスト化に繋がる表面処理技術に関するものである。


 従来アルミ鋳物は、材料にケイ素を含有し、皮膜を生成しづらいため、陽極酸化が困難とされてきた。そのためアルミ展伸材の陽極酸化処理工程に比べて複雑で生産性も悪い等、高コスト化の要因となっていた。さらに一部工程の使用薬品は、高濃度フッ化水素酸による毒物を用い、環境負荷が大きいという問題もあった。本発明により、活性化工程でフッ化水素酸を含まない新たな組成設計と、マイクロバブル及び散気プロセス等の物理的手法を複合化させ、陽極酸化処理性を大きく改善させた環境対応表面処理方法を実現させた。

 活性化工程の新組成確立とマイクロバブル、散気プロセス等の複合化により、ケイ素系スマット除去効果が向上、陽極酸化処理性を大きく改善させることができた。また従来のアルミ鋳物陽極酸化工程に比べ、20%以上工程数を削減し、低コスト化にも寄与することができた。

アルミ鋳造材ADC12テストピースにて、洗浄効果を確認発明協会会長賞:アルミニウム合金の表面処理方法(特許第5998314号)

発明者

川見和嘉(アサヒメッキ 技術部 部長)

原 健二(奥野製薬工業 総合技術研究部 第四研究室 室長)

福田順成(奥野製薬工業 国際部)

今岡睦明(鳥取県産業技術センター 機械素材研究所 上席研究員)

玉井博康(鳥取県産業技術センター 機械素材研究所 副所長)

松田知子(鳥取県産業技術センター 機械素材研究所 主任研究員)

田中俊行(鳥取県産業技術センター 機械素材研究所 研究員)

admin 2020年11月18日 (水曜日)
admin

ニッセイ、本社工場敷地内に熱処理新工場を建設

3年 5ヶ月 ago
ニッセイ、本社工場敷地内に熱処理新工場を建設

 減速器や歯車のメーカーであるニッセイ( https://www.nissei-gtr.co.jp )は、愛知県安城市にある本社工場敷地内に熱処理新工場を建設することを決定した。

 拡大する精密歯車市場に向けて熱処理新工場の建設を決めた。これにより、従来の熱処理設備を刷新し環境負荷を低減するとともに生産性および品質の向上を目指す。また、歪みの少ない高精度な歯車の製造を実現するため、新熱処理加工技術を導入する。さらに、将来の多様な熱処理加工ニーズへ対応するため、工場内に拡張スペースを確保する。投資金額は約17億円(生産設備費用含む)で 2022年1月に稼働開始を予定している。

 

admin 2020年11月10日 (火曜日)
admin

朝日ラバー、シリコーンゴムの超親水性処理技術を開発

3年 5ヶ月 ago
朝日ラバー、シリコーンゴムの超親水性処理技術を開発

 朝日ラバー( https://www.asahi-rubber.co.jp )は、独自の配合技術と表面改質およびマイクロ加工技術を活かして、シリコーンゴムに親水性に優れた処理を施す技術を開発した。

 シリコーンゴムは素材性質上、親水性が少なく、ゴムの表面に水分を接触させると水分の接触角が100°以上となる。物質の表面に水溶液をなじませて、その効果を付与させたい場合は、通常、乾式処理、湿式処理、蒸着という方法が用いられるが、シリコーンゴムに対してはいずれの方法も親水効果が一過性であり、長期間親水性を保持することができなかったという。

 今回、同社が開発した親水化技術は、ゴムの表面に水分を接触させた場合の接触角が10°以下にすることができる。また、親水化効果を長期間保持できること、耐滅菌性があること、簡便なものづくりができることが特長だという。

 親水化技術には、配合と表面改質の二つの方法がある。

1.配合による親水化

 シリコーンゴムに独自の配合技術により、親水化付与剤を配合させることで表面を親水化する。従来の配合技術では、最初は撥水性を持っており徐々に親水化することしかできなかったが、同社技術ではすぐに親水化の効果を得ることができる。

2.表面改質による親水化処理

 独自の配合技術による親水化のあと、表面修飾剤を塗布することで表面を親水化し、配合による親水化処理より耐熱性に優れている。

 同社ではシリコーンゴムの特徴を活かした分子接着・接合技術によりマイクロ流体デバイスをライフサイエンス分野に展開しているが、今回開発した超親水性処理技術をマイクロ流体デバイスに応用することで、マイクロ流路内の送液性をこれまで以上に向上させることができる。また、細胞培養器材に使用することで、細胞の取り出しやすさや蛍光観察を可能にすることができる。

admin 2020年11月10日 (火曜日)
admin

ジュリアン・ベイショア氏(マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン社長)が、大統領選についてTVでコメント

3年 5ヶ月 ago
ジュリアン・ベイショア氏(マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン社長)が、大統領選についてTVでコメント

 マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン社長のJulian Bashore(ジュリアン・ベイショア)氏は11月4日に放映された TBSテレビ『ひるおび!』の「米国運命の日・国民の判断は・投票を終えた有権者生直撃」のコーナーで、激戦州となるペンシルベニア州の有権者を代表してコメントした。

 

TBSのインタビューに答えるジュリアン・ベイショア氏

 

 ドナルド・トランプ氏の支持派として出演したベイショア氏は2007年に日本の永住権を取得しているが、5歳から22歳までをペンシルベニア州で過ごし、トランプ氏と同じペンシルベニア大学 ウォートンスクール経営学部を卒業している。

 今回の大統領選については、9月29日に在日米国大使館に郵送で投票した。

 神奈川県平塚市のマクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン本社からの中継で、インタビューに答えたベイショア氏は、「経済を早期に回復させるうえでも、トランプ氏の再任に期待している。子供のころから共和党を支持しており、“アメリカの不動産王”と呼ばれたトランプ氏のことは、経営者として以前からとても尊敬していた。大統領としてのトランプ氏は、新型コロナ対策に関しても非常に迅速な行動力と強い決断力で政策を推し進め、非常に良いと思う」と述べた。

 トランプ氏が再選した際に期待することについては、「まずは悪化している経済の回復に期待したい。トランプ氏の政治手腕によって、一日も早く米国経済が好景気に戻るよう、祈っている」とコメントした。

kat 2020年11月6日 (金曜日)
kat

エリコンバルザース、スウェーデンにコーティング前処理・後処理向けの新拠点

3年 5ヶ月 ago
エリコンバルザース、スウェーデンにコーティング前処理・後処理向けの新拠点

 リヒテンシュタイン・エリコンバルザースはスウェーデン ウプサラに、自動車産業向け歯切り工具のコーティング前処理・後処理向けのアプリケーションサポートセンターを新設した。同センターは、顧客の課題解決などを行うとともに、エリコンバルザースの新入社員や研修員のコーティング前処理・後処理技術の習得を行うトレーニングセンターとしても使用する。

 歯切り工具のコーティングや、コーティングにおけるコンサルティング、プロセスの最適化を行う同社の「primeGear」は、商用車用パワートレインに適用される歯切り工具においてグローバルで採用されている。これにより、工具寿命の延長や加工性能の向上を実現している。

 今回の新拠点はグローバルのコンピテンスセンターとして機能する。エリコンバルザースの「できる限りお客様の近くに」という戦略から、以前のウプサラの拠点(旧Primateria社)で提供されていた表面処理サービスはスウェーデンのそれぞれのカスタマーセンターに分散された。これによりエリコンバルザースは、よりスウェーデンの顧客との距離を縮め迅速なサポートを行うとともに、輸送ルートを短縮することで二酸化炭素の排出量を低減する。

 バルザース・インダストリアルソリューションズの責任者であるマーク・デラヨー氏は「新しいグローバル・アプリケーションサポートセンターは、歯切り工具のリコンディショニングプロセスのさらなる発展のために、私たちの商用パートナー、顧客との協力によって設立された。また、それにより世界中の従業員が最新の前処理・後処理技術を習得できる。現在、primeGearサービスは、それぞれのカスタマーセンターで提供しており、より顧客の身近な存在となることで、物流プロセスを加速化し、二酸化炭素の排出を削減している」と話している。

 なお、日本国内では日本エリコンバルザース( https://www.oerlikon.com/balzers/jp/ja/ )がprimeGearの提供を行っている。

スウェーデンのアプリケーションサポートセンター

 

admin 2020年11月6日 (金曜日)
admin

第13回岩木賞が発表、優秀賞に富山県立大学・日本工業大学

3年 5ヶ月 ago
第13回岩木賞が発表、優秀賞に富山県立大学・日本工業大学

 トライボコーティング技術研究会、未来生産システム学協会(NPS)などからなる岩木賞審査委員会は、「第13回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」を発表した。岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で著しい業績を上げた個人、法人、団体を顕彰するもので、当該分野で多くの功績を残した故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業をたたえ、2008年度より創設されたもの。

 13回目となる今回は、富山県立大学・岩井 学氏ならびに日本工業大学・二ノ宮 進一氏が業績名「導電性ダイヤモンドを利用した精密加工工具の開発」により優秀賞に、また、プラズマ総合研究所が業績名「光輝窒化を可能とするアトム窒化法の開発」により特別賞に輝いた。さらに、池上金型工業が業績名「虹色加工を施した金型製作と射出成形品の製作」により事業賞を受賞した。

 優秀賞の業績「導電性ダイヤモンドを利用した精密加工工具の開発」は、高濃度のボロンをドープした導電性ダイヤモンドの持つ特性を活用して、ダイヤモンド素材の微細放電加工、微細放電加工を可能とする極低消耗放電加工用ダイヤモンド電極、導電性ダイヤモンド切刃砥石、三次元骨格構造を有する多孔質ダイヤモンド砥石、多結晶ダイヤモンド焼結体(PCD)を利用する砥石など、種々の分野に適用する新しい技術を確立したことが評価された。たとえば近年、金型や工業製品の難加工材化、微細化、高精度化に伴い,微細・精密放電加工の要求が高まっているが、微細形状の放電加工ではパルスオンタイムが短い放電条件が使用されるため、工具となる電極材の消耗が著しく、形状精度の確保が難しいという課題があった。特に超硬合金に対する電極消耗は既存の銅電極では電極消耗率を5%以下にすることが困難であるのに対して、本業績では世界で初めて導電性ダイヤモンドを電極素材として活用する方法を開発。金型鋼の放電加工において電極消耗量がほぼゼロであるとともに、超硬合金に対しても電極消耗量が0.5%以下と極めて少なく、精密放電加工を行う上で有効な電極材と見られる。

 特別賞の業績「光輝窒化を可能とするアトム窒化法の開発」では、窒素分子を容易に解離できる40V~100Vの加速電圧範囲を持つ大電流電子ビーム源を励起源として用いる窒化処理装置を独自開発、イオン窒化の動作ガス圧の約1/1000である0.2Paという低いガス圧でも運転できるほか、イオン窒化と同程度の窒化特性を得るのに充分な高密度の窒素原子を生成できる窒化技術「アトム窒化」を開発。高濃度の窒素原子雰囲気の中でイオン衝撃なしに行われる窒化のため、化合物層の形成や表面荒れを生じないことから光輝性が精密金型にも窒化できるようになることや、アトム窒化したワークの上にそのまま硬質被膜を成膜すること(複合効果処理)が可能で、基材と硬質膜の密着性が従来法よりも優れていることなどが評価された。ワークの窒化時に負バイアス電圧を印加する必要がないため、これまで窒化処理が適用できなかった工具・刃物の鋭利な刃先の窒化処理を可能とした上、工具・刃物の使用寿命を大幅に改善できること、さらに今後需要拡大が見込まれる先進運転支援システム(ADAS)用光学部品向け超精密金型の製作が切削加工のみで可能になり、製造コストの低減につながるとしている。

 事業賞の業績「虹色加工を施した金型製作と射出成形品の製作」は、製品の金型表面に虹色加工を施すことで射出成形のみで樹脂成形製品に加飾を行うことができることや、発色させたい部分の制限も少なく、後処理が必要なくなり工程削減やコスト削減、また、環境に配慮した製品を市販に供給できること、さらには虹色加工を施した独自の製品化により製品アピールにもつなげることが可能なことなどが評価された。虹色を発色させる金型表面のパターンは波長に近い数百nmレベルのことが多く、金型表面にnmオーダーの切削加工が必要となる。100nm変化すると色の強度も変わってしまうことから、それ以下の誤差にしなくてはならず、本技術では4軸超精密油圧駆動システム加工機を用いた独自の加工方法を考案し加工を試みている。すでに自動車では内装品(メーターパネル・スイッチ類)のデザイン性が重視されるパーツに活用されているほか、飲料水メーカーが本技術を活用した加飾による容器の差別化を目指して製品を開発中で、さらには加飾用途だけでなく、回折を利用したミラーやレンズの光学分野にも適用可能など、用途は多岐にわたると見られている。

 第13回岩木賞の贈呈式と受賞業績の記念講演は、2021年2月26日に埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所で開催される「理研シンポジウム:第23回トライボコーティングの現状と将来」で行われる予定。

 

第12回岩木賞受賞式のもよう

 

kat 2020年10月29日 (木曜日)
kat

ブルカーナノ表面計測事業部、in-situ SEM用ナノ機械的特性評価装置をリリース

3年 5ヶ月 ago
ブルカーナノ表面計測事業部、in-situ SEM用ナノ機械的特性評価装置をリリース

 ブルカーナノ表面計測事業部はin-situ SEM用のナノ機械的特性評価装置「Hysitron PI 89 SEM PicoIndenter™」をリリースした。同社従来のシステムに比べ、SEM(走査型電子顕微鏡)内で、より高負荷で過酷な環境下での試験を可能としており、高強度な材料の変形メカニズムの理解に役立つ。同社の高性能コントローラーと独自のトランスデューサーおよび独自の変位コントロールテクノロジーを組み合わせることで、幅広い試験に対応する。

Hysitron PI 89 SEM PicoIndenter™

 

 本システムは、2通りの取り付け方が可能なRotation Tilt(回転傾斜)ステージを備えた世界最初のin-situシステム。これにより、SEM観察を行う際のサンプル位置決め、ミリング用のFIBカラムへの傾き調整、結晶方位の向き調整のための回転や、複雑な材料の構造と特性の相関性の研究を可能にする幅広い検出器との互換性を実現する。

 本システムはまた、自動測定、高速機械的特性マッピング(XPM)、疲労試験、ナノトライボロジー試験、Push-to-Pullデバイス(特許取得済み)を用いた薄膜およびナノワイヤーの引張試験、直接的な引張試験、SPMイメージング、電気的特性評価モジュール、高温試験(特許取得済み)、回転および傾斜ステージ(特許取得済み)、EBSD・EDS・CBD・TKD・STEMなどの分析技術との互換性を提供する。

kat 2020年10月27日 (火曜日)
kat

日本機械工具工業会、「令和2年度日本機械工具工業会賞」発表

3年 5ヶ月 ago
日本機械工具工業会、「令和2年度日本機械工具工業会賞」発表

 日本機械工具工業会( http://www.jta-tool.jp )はこのほど、「令和2年度日本機械工具工業会賞」の受賞者を発表した。業界功労賞で坂戸瑞根氏(神戸製鋼所)、佐々木清吉氏(エフ・ピー・ツール)の2名が受賞したほか、技術功績大賞1件、技術功績賞2件、技術奨励賞3件、環境賞5件(環境大賞1件、環境賞1件、環境特別賞3件)が選定された。

業界功労賞

■坂戸瑞根 氏(元神戸製鋼所)1934年生 86歳

【功績の内容】

 坂戸氏は平成元年5月、日本工具工業会副理事長に就任。2期4年の任期の間、日本工具工業会の発展並びに会員の融和等に尽力した。工業会の運営にあたっては、理事長職を27年にわたり運営してきた大和田理事長をサポートした。当時の工業会は生産額・出荷額において最盛期を経験、しかし、その後、バブル崩壊となるなど工業会の運営にも大変苦労の多い時期であった。また、神戸製鋼所工具事業のトップとして、平成3年に画期的な商品であるミラクルエンドミルの商品化に尽力した。ミラクルエンドミルが起点となり、それから生まれた各社の派生商品は現在でも我々工具業界にとって重要な商品の座を占めており、氏の功績は大きく評価される。企業を退職してからは、JICA等から発展途上国の技術指導のため、海外にも出かけ、氏の永年にわたる技術力・経験を基に、発展途上国の産業発展の支援にも貢献した。

■佐々木清吉氏(エフ・ピー・ツール)1944年生 76歳

【功績の内容】

 佐々木氏は平成19年6月、旧超硬工具協会監事に就任、また統合した平成27年には引き続き日本機械工具工業会の監事を歴任、通算10年両工業会の監事を務めた。特に、平成20年秋のリーマンショック後は監事の立場から理事会において緊縮財政の必要性をいち早く意見具申した。その結果、平成21年6月就任した倉阪克秀理事長による会費並びに事業内容の10%削減が打ち出された。厳しい環境下、協会運営の大幅な見直しなどが断行された。その一方、会員の増加や地区会員懇談会、委員会活動の活性化など一連の成果を上げることにつながった。また、協会賞、『生悦住賞』、『新庄(陰徳の士)賞』の運用に対する適切な提言を行うなど会計方法の近代化と基礎を築かれる等、協会活動の振興発展に尽力した。

技術功績大賞

「スミボロンバインダレス工具シリーズの開発」    

住友電工ハードメタル 東 泰助、原田高志、久木野 暁

【新規性】
・独自の大容量超々高圧焼結技術(10万気圧以上)により、超微粒BL-CBN(粒径:数百nm)に加え、新開発の超々微粒CBN(数十nm)からなるBL-CBNの量産技術を確立した(世界初)。
・従来CBN工具比5~10倍の刃数となる超多刃BL-CBNエンドミル(例:φ5で16枚刃)の開発により、難削材で超高能率加工を実現した。

技術功績賞

「クレセントラインバーの開発」

富士精工 松下宣哉、藤井章博、近藤浩徳

【新規性】
 専用機加工では支持治具上の支持穴と工具本体外径との隙間量を極小にすることで支持穴中心位置と工具中心位置を適合させるが支持治具位置の精密なアライメント調整や隙間量の管理が必要である。
 本開発品は加工対象物の両端の穴を支持穴とし遠心力を用いて円周方向に工具を密着させるため、支持治具が不要であり隙間量の管理もなく支持穴中心位置に対し正確な工具中心位置を実現できる。

「両面インサート式高送りカッタWJXの開発」

三菱マテリアル 萩原隆行

【新規性】
 両面インサートの多くは、その対称性から上下面に対して垂直な外周面で構成されるが、高送り工具に必要とされる低切削抵抗やランピング加工角度が両立できない。本製品は業界初の上下非対称ねじれ凹逃げ面を特徴とし、二つの性能を両立した。同時に、荒加工に適した強固なクランプ機構と切れ刃強度を達成した。

技術奨励賞

「高能率加工工具『ST4-TFX』の開発」

日本特殊陶業 吉川文博、安藤巨樹、野﨑翔太

【新規性】
 従来工具と比較し、ハイレーキなすくい角を有することで切削抵抗を低減することに成功した。高切込み時に発生する多量の切屑を制御可能な形状設計により安定加工と良好な加工面を両立した。加えて高切込み加工に対応するために、被膜は高いAl含有率で硬度を維持しつつ、軟質相である六方晶を敢えて析出させ、かつその割合を制御することで、潤滑性を向上させ切削抵抗を低減した。更にはこの六方晶の存在により被膜の耐溶着性、耐チッピング性を向上させることができた。高負荷加工に設計されたこれらインサート形状と被膜との相乗効果により高切込み加工でも安定加工が可能となった。

「アクアREVOドリルオイルホールの開発」

不二越 松本克洋、大野伸一郎

【新規性】
 穴加工では穴の奥でドリルが回転すれるため、クーラントの流量、流速、方向性を可視化することが困難であった。流体解析と、コーナやシンニング部の摩耗進行メカニズムを解析することで、独自のオイルホール形状を導き出した。クーラントでコーナとシンニングを狙い撃ちした結果、冷却性能が向上し、摩耗進行を抑制した所に新規性がある。

「刃先交換式ボールエンドミルBR2P形の開発」

MOLDONO 永渕憲二 、小林由幸、木内康博

【新規性】
 従来親刃・子刃2種類のインサートで使用する刃先交換式ボールエンドミルは従来もあった。しかし、インサートの拘束性を保つための貫通溝を設けると、最も切削抵抗のかかる切れ刃底面の溝に応力集中が発生して欠損する問題点があった。これを親子刃一体形のインサートにし、インサートの拘束性を維持する貫通溝を非平行として、最も切削力のかかる親刃側底面を非貫通溝にする工夫によって、インサートの拘束性を維持しつつ切削力のかかる切れ刃底面の応力集中を緩和したことに新規性がある。さらにねじれ切れ刃形状の採用により、切削抵抗を削減することができるため、加工能率の改善と長寿命化を実現できる。

2020年度日本機械工具工業会環境賞

「環境大賞」
京セラ
 140点満点110.7点、米中の貿易摩擦がアジア全体に波及し、成長率が鈍化し各社、得点が伸び悩む中、得点率79.0%という高評価結果だった。環境マネジメントシステムに基づく高レベルの組織的な仕組みが構築されており、地球温暖化防止、廃棄物削減等、環境活動に積極的に取組み、改善の推進力も高いと判断出来る。これらの環境活動は、他社の規範となり、2020年度環境大賞にふさわしいと判断した。                    

「環境賞」(新設)
三菱マテリアル
 1位には僅かに及ばなかったものの140点満点106点、京セラ同様に、米中の貿易摩擦がアジア全体に波及し、成長率が鈍化し各社、得点が伸び悩む中、得点率76.0%という高評価だった。近年、一部の企業にて環境大賞が独占される中、環境賞を新設し2位の企業に授与する事により、工業会全体の環境への取組のモチベーション向上に繋がると判断した。三菱マテリアルの環境活動は、他社の模範となり賞賛に値すると判断した。

「環境特別賞」
オーエスジー、タンガロイ、日本特殊陶業
 3社ともに、廃棄物対策の取組について継続的な活動が顕著にみられ、2017年度実績より連続(3年)して廃棄物排出量を削減している。また、再資源化率においても2015年度実績より連続(5年)してほぼ100%を達成している。環境管理活動についても継続的な取組を実施し、ⅭO2原単位排出量も2015年度実績より連続(5年)して数値が安定している。他社の模範になるものであり、環境特別賞とする。

admin 2020年10月27日 (火曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2020年10月号「特集:自動車の表面改質」、「キーテク特集:ショットピーニング」10/26に発行

3年 6ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2020年10月号「特集:自動車の表面改質」、「キーテク特集:ショットピーニング」10/26に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2020年10月号「特集:自動車の表面改質」、「キーテク特集:ショットピーニング」が当社より10月26日に発行される。

 今回の特集「自動車の表面改質」では、MoDTCの効果を最大限活かし低摩擦と耐摩耗を両立するための表面処理について、低トルク化を実現した自動変速機用テクスチャーシールリングの開発について、浸窒焼入れの処理温度を640~660℃と低温で処理した場合の表面硬度や金属組織について、FCVA成膜技術の特徴や同成膜技術によるta-C膜の特徴と自動車部品に成膜した際の利点について紹介する。

 また、キーテク特集「ショットピーニング」においては、レーザーピーニングを施した高強度アルミ合金の表面欠陥の無害化について、食品製造設備における微粒子投射処理の抗菌効果およびカビ増殖抑制効果について紹介する。

特集:自動車の表面改質

◇エンジン油中で低摩擦と耐摩耗を両立するナノ界面のための表面創製・・・トヨタ自動車東日本 小池 亮
◇テクスチャー付与による自動変速機用低トルクシールリングの開発・・・NOK 関 真利
◇低温浸窒焼入れの概要と適用事例・・・日本テクノ 椛澤 均
◇FCVA成膜技術によるta-Cコーティングの自動車部品への適用・・・ナノフィルムテクノロジーズ ジャパン 他力 誠司 氏に聞く

キーテク特集:ショットピーニング

◇レーザピーニングによる高強度アルミ合金の表面欠陥の無害化・・・横浜国立大学 高橋 宏治
◇食品製造設備における微粒子投射処理の効果・・・サーフテクノロジー 西谷 伴子

連載

トップインタビュー・・・下平 英二 氏(サーフテクノロジー)
注目技術:自動車分野における環境対応表面改質技術の適用・・・HEFグループ
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第12回 米国・ニューオーリンズ編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

INTERMOLDなどが初のオンライン展として開催
トライボコーティング技術研究会、第12回岩木賞贈呈式、第22回シンポジウムを開催

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admin 2020年10月22日 (木曜日)
admin

NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発

3年 6ヶ月 ago
NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発

 NTNは、ころの転動面に密着性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を適用することで、耐摩耗性を大幅に向上させた風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」を開発した。風力発電装置など、油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下で使用される産業機械向け軸受として提案を進め、2021年に25億円の販売を目指す。

DLCコーティング自動調心ころ軸受

 

 風力発電装置の主軸用軸受(主軸受)には、高負荷容量かつ取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く採用されている。主軸受は、風況条件により起動と停止を繰り返し、極めて低速な回転状態で使用される。

 こうした環境で使用される主軸受には、潤滑不足による軌道面ところの金属接触と自動調心ころ軸受特有の転がりすべりが原因で、軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があった。

風力発電装置ナセルにおける適用箇所

 

 本開発品は、ころの転動面に高い密着力により剥がれにくい非晶質構造の硬質膜、DLC 膜を適用することで軸受軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させている。被覆するDLC 膜は①母材との密着力を高めるための金属下地層、②下地層と最表層の急な硬度変化を避けるために設けた中間層、③非常に硬質な最表層の3層構造となっており、過酷な潤滑状態でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮する。

 油膜が薄くなり油膜がない部分において局部的に二面が接触している「境界潤滑」、実機最大接触応力(実際の風力発電装置で使用される際に最大荷重が発生する時の接触応力)、転がりすべり条件で、DLC 膜のはく離は認められなかった。また、DLC 膜がない標準品の軌道面が1ヵ月で摩耗からはく離に至る加速試験条件下において、本開発品はほとんど摩耗が発生しなかった。

 本開発品は、すでに一部の風力発電装置メーカー向けに量産を開始しており、今後さらに提案を進めるとともに、特に軌道面の摩耗による早期損傷に対応する補修品としての販売も強化していく。また、今回開発した被膜処理技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017 年に開発した「左右列非対称設計」と組み合わせて、さらなる耐摩耗性向上とコンパクト化を両立できる。

 NTN は、装置メーカーがニーズに合わせて本開発品のDLC コーティングや左右列非対称設計から最適なオプションを選択できるよう商品ラインナップを拡充し、風力発電市場における販売拡大に取り組んでいく。
 

風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受のラインナップ

 

kat 2020年10月20日 (火曜日)
kat

日本ペイント、可視光応答形光触媒を採用した水性塗料表面の新型コロナウイルス不活性効果を確認

3年 6ヶ月 ago
日本ペイント、可視光応答形光触媒を採用した水性塗料表面の新型コロナウイルス不活性効果を確認

 日本ペイントは、可視光応答形光触媒を採用した水性塗料(試験用)の塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスの不活性効果を確認した。

 世界保健機関(WHO)の感染症調査機関の認定を受けた、ガーナ大学 医学部附属 野口記念医学研究所(NMIMR)との共同研究の一環としての実証実験で、塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスの不活性効果を確認した。なお、本実験は実験室で行われたものであり、結果は実商品や実使用環境での効果を示すものではないという。

 実験では、ガラス表面に接触させた新型コロナウイルスと、塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスを比較すると、ガラス表面に対して、塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスが99%以上減少する効果を確認した。

ウイルス残存率の実験結果

 

admin 2020年10月20日 (火曜日)
admin

NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した円すいころ軸受

3年 6ヶ月 ago
NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した円すいころ軸受

 NTN( https://www.ntn.co.jp/ )は、建設機械や鉱山機械など過酷な使用環境での用途向けに、特殊熱処理技術により耐異物性を強化し、異物混入潤滑条件下で標準品と比べて6倍以上の長寿命化を実現した円すいころ軸受「ETFA軸受」を開発した。

 開発した「ETFA軸受」は、浸炭鋼に新たな熱処理(ETFA処理)を施すことで、異物混入潤滑条件下で、標準品と比べ6倍以上、ETA軸受と比べても2倍以上の寿命を持つことが確認されている。また、清浄油条件下においても、基本定格寿命に対して充分長寿命であることが確認されている。

 適用したETFA処理は、同社が開発した軸受鋼の特殊熱処理「FA(Fine Austenite Strengthening)処理」技術を浸炭鋼に応用したもの。FA処理は軸受鋼の旧オーステナイト結晶粒を従来の1/2以下(平均粒径で5µm以下)にまで微細化した特殊熱処理方法で、浸炭浸窒された組織を低温で二次焼入れすることにより、軸受を長寿命化できる。

 ETFA処理では、熱処理条件とその管理を改善・強化することで、ETA軸受と同様に、適度に炭化物と残留オーステナイトを分散させた組織としつつ、旧オーステナイト結晶粒を一層微細化し、長寿命と高いロバスト性(耐異物性)を両立している。長寿命化により、より小さいサイズで軸受寿命を維持できるため、装置のコンパクト化にも貢献できる。

特殊熱処理等による軸受の長寿命化

 建設機械や鉱山機械などは、運転時に強い衝撃や振動が発生すると同時に、軸受の内部に異物が混入するような過酷な環境で使用される。同社ではこれまで、こうした厳しい使用環境の建設機械や鉱山機械向けに、浸炭鋼を用いた円すいころ軸受の標準品「4Top」シリーズのほか、材料の変更や熱処理加工により長寿命化を図った「ETA軸受」を展開してきた。しかし近年は、建設機械はIoT化に伴う無人稼働機の信頼性向上やライフサイクルコストの削減が求められており、使用される軸受についても一層の長寿命化や装置のコンパクト化を図るための小型化・高負荷容量化が必要とされている。

admin 2020年10月20日 (火曜日)
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新東工業、工場や倉庫など向けの「コンクリート磨き床」事業を本格展開

3年 6ヶ月 ago
新東工業、工場や倉庫など向けの「コンクリート磨き床」事業を本格展開

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、工場や倉庫、商業施設向けの「コンクリート磨き床」事業を本格展開する。

 コンクリート磨き床とは、コンクリート床面を磨き上げて作るアメリカ発の床工法。素地となるコンクリートがそのまま床面となるため剥がれが発生しないことと、平坦な床を形成できることが特徴。また、施工の際に使用する無機系薬剤(強化剤・保護剤)の効果により、汚れが付きにくく、光沢がある美しい床に仕上げることができる。そのため、安全性やメンテナンス性の高さが求められる工場や、AGV(無人搬送装置)の導入による床の摩耗が懸念される倉庫といった作業現場だけでなく、見た目の美しさや高級感が求められるショールームや、ワックスを使用せずに軽微な清掃で光沢を維持できることからショッピングモール等の商業施設への施工にも適している。

コンクリート磨き床を施工した新東工業 大治事業所

 コンクリート磨き床は、すでに名古屋テレビ塔の3 階「栄のMIRAI」フロア内のグッズショップ「多仲(タチュウ)」に採用されており、新東工業の施工によって、太陽光や照明を反射する光沢度の高い床面となり、ショップ内を明るい空間に演出している。

 現在、日本における工場や倉庫の床は、素地となるコンクリートの上に、塗り床材を塗布して完成させる「塗り床」が主流となっている。しかし、塗り床は経年劣化によるひび割れや剥がれが発生しやすく、補修や数年に1回程度の大規模なメンテナンスが必要となっている。今回、同社が事業を本格展開するコンクリート磨き床は、これらの課題をクリアする施工プロセスで、アメリカやヨーロッパなどの地域では、塗り床に代わってこの施工プロセスが拡大を続けており、この市場拡大の流れは日本においても見られ、工場や倉庫などでの導入が加速しているという。

栄のMIRAIのフロアに施工されたコンクリート磨き床

 

admin 2020年10月16日 (金曜日)
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三井化学、米・子会社が独・超撥水・反射防止コーティング材料メーカーを買収

3年 6ヶ月 ago
三井化学、米・子会社が独・超撥水・反射防止コーティング材料メーカーを買収

 三井化学( https://jp.mitsuichemicals.com )のグループ会社であるSDC Technologies(アメリカ・カリフォルニア州、以下SDC)は、超撥水・反射防止コーティング材料の製造・販売・研究を行うCOTEC(ドイツ・バイエルン州)を買収することで合意し、2020年10月1日にCOTECがSDCの100%子会社になったと発表した。

 三井化学グループのビジョンケア材料事業は、メガネレンズ材料からコーティング材料まで多様な製品ラインナップを有している。メガネレンズ材料では、MRシリーズの高屈折率レンズ材料をはじめ、中・低屈折率のレンズ材料を揃えている。

 コーティング材料では、2008年にSDCを買収して以降、2010年には防曇コート材に強みをもつFSI Coating Technologies、2014年にはUV硬化型ハードコート材のLTI Coating Technologies(2017年にSDCが吸収合併)を傘下に加えた。今回、超撥水・反射防止コート材をもつCOTECが新たに加わることで、メガネレンズ市場へのコーティング・ソリューションの強化を図っていく。

「メガネレンズ材料からコーティング材料まで」を提供するビジネスモデルを創出

 

admin 2020年10月7日 (水曜日)
admin

サーフテクノロジー、国内初、DLCコーティングでFDA認証を取得

3年 6ヶ月 ago
サーフテクノロジー、国内初、DLCコーティングでFDA認証を取得

 サーフテクノロジー( https://www.microdimple.co.jp/ )は9月25日、耐摩耗性(高硬度)や低摩擦特性(自己潤滑性)、耐食性、ガスバリア性、生体親和性などに優れる非晶質構造のカーボン膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングに関して、FDA(米国食品医薬品局)認証を取得した。DLCコーティングのFDA認証取得はキリンなどで実績はあるものの、いずれもペットボトルなどに成膜されるPLC(ポリマーライクカーボン)であり、sp3比率の高い工業用DLCでのFDA認証の取得は国内で初めてとなる。

 同社ではホッパーやふるい、フィルムガイドやネットコンベア、金型や麺帯ローラーなど食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案。食品用粉体の付着抑制や滑り性向上、洗浄性の向上などに効果を発揮するほか、抗菌性能、カビ増殖抑制効果などが確認されていることから採用が拡大しているが、今回DLCコーティングでFDA認証を取得したことで、MD処理のテクスチャ形状を保持する性能と自己潤滑特性を持つDLCコーティングをMD処理と併せて食品業界に強力に提案していく考えだ。

 DLCコーティングは耐摩耗、低摩擦の特性から自動車部品などで採用が進んでいるが、潤滑剤がない、あるいは潤滑剤が少量でも低摩擦を実現する自己潤滑性と耐摩耗性から、食品分野でも麺切刃や製袋機の羽根、フィルムガイド、シュークリームノズルなど幅広い採用実績を持つ。

 DLCコーティングはまた、人体と同じ炭素と水素から構成されているため生体親和性に優れているため安全に安心して使える材料である一方で、食品業界からはDLCコーティングの衛生安全性を保障する公的な証書などを要求されていた。これに対し同社では、「医薬品、生物学的製剤、医療機器の安全性、有効性、安全性を確保することにより、公衆衛生を保護する責任を負っていること」をミッションに掲げるFDAの認証を取得することでDLCコーティングの食品分野、医薬品分野での安全性を証明したもの。

 DLCコーティングのFDA認証取得に向けた取組みは2018年3月に開始。その後、DLCコーティングの化学構造、密度、溶出試験など認証に必要な各種データを取得しFDAに提出、本年9月25日に認証取得に成功した。

 下平英二社長は、「DLCコーティングはMD処理で形成したテクスチャを保持する機能があることからMD処理との複合処理としても有効。食品分野では、菌が繁殖する温床ともなる潤滑剤の使用を避けたいというニーズもあり、FDAによって安全性が確認されたDLCコーティングの自己潤滑特性を前面に、食品分野での適用を広げていきたい。一方で、潤滑剤の使用が避けられない用途ではNSF H1認証取得の潤滑剤も提供できる体制となっている。MD処理、FDA認証取得のDLCコーティング、NSF H1認証取得の潤滑剤といった各種のソリューションを活用して、引き続き、現場の多様な課題の解決に努めていきたい」と語っている。

下平英二 氏

 

kat 2020年9月29日 (火曜日)
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ジェイテクト、DLC被覆電子制御カップリングなど駆動製品がトヨタ「GRヤリス」に搭載

3年 7ヶ月 ago
ジェイテクト、DLC被覆電子制御カップリングなど駆動製品がトヨタ「GRヤリス」に搭載

 ジェイテクトの駆動製品であるトルク感応型LSD「トルセン®LSD」と4WD車用電子制御カップリング「ITCC®」が、本年9月4日に発売されたトヨタ自動車の新型車「GRヤリス」に搭載された。それら駆動製品は、「モータースポーツ用の車両を市販化する」という逆転の発想で開発したGRヤリスの高レベルのスポーツドライビングの実現に貢献している。

GRヤリス(ミッドランドスクエア・トヨタ自動車ショールームにて撮影)

 

 トルセン®LSDは、自動車の旋回時に左右輪もしくは前後輪のトルクを最適配分する駆動装置であるLSD(リミテッドスリップデフ)の一種で、ヘリカルギヤを用いて差動制限を行うLSDとして、高いトルク配分性能と高耐久性を誇る。

 現在では主に四輪駆動車に搭載され、前後輪のトルク配分を行う「トルセン Type-C」とスポーツタイプの後輪駆動車をはじめ前輪駆動車にも搭載され主に左右輪のトルク配分を行う「トルセン Type-B」を日本、ベルギー、アメリカで生産している。

 GRヤリスでは、「RZ “High performance”」の車両の前後にトルセンType-Bが採用され、GRヤリスの使用環境下に適用するため、高強度・高容量化を図り、より高いレベルのスポーツドライビングに対応している。

トルセンType-B フロント用イメージ

 

トルセンType-B リヤ用イメージ

 

 4WD車用電子制御カップリングITCC® (Intelligent Torque Controlled Coupling)は、電子制御により駆動力を連続的に可変して伝達するカップリングで、通常は四輪駆動車のリヤディファレンシャルとプロペラシャフトの間に搭載され、前後輪の駆動力を連続的に可変することで、高い燃費効率と優れたトラクション性能を両立する装置。

 そのコアとなる技術は、シリコン含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC-Si)という、ダイヤモンドに近い特性を持ち、摩耗に強い非結晶の炭素を数ミクロンの膜として被覆した電磁クラッチと専用開発のフルードで、小型で優れた耐久性と静粛性を併せ持つ。

 「電子制御多板クラッチ」とも呼ばれているITCCは、GRヤリス「RZ」「RC」に採用されている「スポーツ4WDシステム“ GR-FOUR ”」の構成部品として搭載され、GRヤリスの使用環境下に適応するため、高温対応、高容量化を図り、ドライブスタイル、路面状況に応じた前後トルク配分のコントロールに貢献している。

ITCC製品イメージ

 

 ジェイテクト駆動事業では引き続き、スポーツカーの走行性の向上に加え、乗用車の安全性向上、環境性向上に貢献するとともに、商用車への技術展開や次世代自動車への技術貢献が可能な駆動製品の研究開発を積極的に進めていく考えだ。

kat 2020年9月25日 (金曜日)
kat

マイクロ加工懇談会、マイクロ成形研究委員会が開催

3年 7ヶ月 ago
マイクロ加工懇談会、マイクロ成形研究委員会が開催

 マイクロ加工研究会が主宰運営するマイクロ加工懇談会は9月4日、東京都板橋区のMIC-2(板橋区立研究開発連携センター第二ビル)で、「第六十七回:マイクロ加工懇談会、第55回:マイクロ成形研究委員会」を開催した。

開催のようす

 

 当研究会は、多くの先端材料に高い付加価値を与える「マイクロ加工」に対するニーズが高まる中、1998年に「マイクロ加工技術交流会」を設置、マイクロ加工分野における技術交流活動を開始。2000年からは「マイクロ加工研究会」と改称し、一層の交流の充実を目指し活動を進めてきた。さらに、2002年より「マイクロ成形研究委員会」を併設し、新しいマイクロ成形加工分野の活動を加えるとともに、近年ではマイクロ医療支援技術分野の新しい活動も取り込みながら交流を進めてきた。

 当日は冒頭、代表幹事の大森 整氏(理化学研究所 主任研究員)が開会の挨拶を行った後、同じく大森代表幹事より前回のマイクロ加工懇談会でのトピックスと議論について、さらに本年8月7日に開催された第13回MIRAI会議の報告ならびに概要紹介がなされた。MIRAI会議は、当研究会のテーマであるマイクロ加工と、グリーンテクノロジーを取り扱う国際会議として毎年活発に開催されているとの説明がなされた。

 その後、最近の微細加工・成形加工およびその応用に関する技術トピックスとして2件の講演が行われた。1件目の東京電機大学 松村 隆教授の「形を創り表面の機能を創る切削加工」と題する講演では、微細構造による表面機能制御の基礎的考察から、マイクロディンプルによる機能表面加工、医療応用を狙った小径線材へのマイクロ加工、Whirling切削機構によるブレード・ディンプル加工、ウォータージェットによるガラスの微細加工など多岐にわたるマイクロ加工のトピックスが提供された後、出席者との活発なディスカッションがなされた。

講演する松村氏

 

 2件目の講演として、大森代表幹事より「ダイラタンシー現象を利用した切削工具の超スムーズ研磨加工」と題して、国際コラボレーションによる研究報告がなされた。研究は、新たに検討されたダイラタンシー・スラリーを応用して、超硬チップの超スムーズ研磨加工を目指したもので、スラリーに含有させる砥粒種や粒度、集中度(含有率)と剪断速度などのパラメータによる研磨特性を調査し、Ra15nm前後の表面粗さを得ることができたとの報告がなされた。

 講演に続いて、意見交換がなされたほか、本年10月27日に開催予定の第46回 & 第47回マイクロ加工シンポジウム(次回オープンシンポジウム)、板橋産業見本市・参画行事「いたばし未来の発明王コンテスト」などの紹介がなされた。

 その後、MIC-2内にある理化学研究所 大森素形材工学研究室 板橋分室の施設見学会が行われ、マイクロナノファブリケーションからAI加工に関わる研究内容が紹介された。中でも、これまで同研究グループで開発が進められてきたオンデマンド加工システム(通称、ピコマックス)に、加工条件を自動調整できるAI加工:サイバーカットシステム原形が搭載され、加工実演が行われた。今回は、意図して段差を有するワークが用意され、工具が接触しないエリアでは送り速度を自動的に上げ、接触するエリアでは加工速度を自動的に落とす動作の実演が行われ、その間、参加者による熱心な意見交換が行われた。

施設見学会の様子


 

kat 2020年9月18日 (金曜日)
kat

マイクロファブリケーションシンポジウムなど3研究会・パネル展示会が10/27に開催

3年 7ヶ月 ago
マイクロファブリケーションシンポジウムなど3研究会・パネル展示会が10/27に開催

 理化学研究所 大森素形材工学研究室は10月27日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホール(シンポジウム・基調講演:2Fホール、パネル展示6F 601会議室)で、「第46回 & 47回 マイクロファブリケーションシンポジウム」を開催する。今回は、「第17回 & 18回 オンデマンド-マイクロ合同シンポジウム」、「第7回 板橋オプトフォーラム」との同時開催となり、パネル展示会も併設される。共催は板橋区、宇都宮大学オプティクス教育研究センター、日本光学会で、後援は品川ビジネスクラブ。

 

 今回のテーマは「マイクロファブリケーション研究の最新動向~AI加工、オプティカルファブリケーションと最新電気加工、3Dプリンティング~」で、以下のとおり開催される。

 

・10:30~10:35 主旨説明 理化学研究所 大森素形材工学研究室 大森 整 氏

 

<第一部:特別セッション>
 

・10:35~11:15 「デスクトップAI加工:サイバーカットについて(第二報)」理化学研究所 大森素形材工学研究室 上原 嘉宏 氏

・11:15~12:00 「AEセンシングのマイクロファブリケーションへの適用可能性―切削・研削・研磨におけるトライボロジー現象とAE特徴量の相関―」埼玉工業大学 長谷亜蘭 氏

・13:00~13:10 板橋オプトフォーラム開会の挨拶 板橋区長 坂本 健 氏

・13:10~14:00 【基調講演】「面発光レーザーの発明と発展:みんなが持ってるVCSEL!」東京工業大学/名誉教授・元学長 伊賀健一氏

・14:10~14:25 「微細加工関連の最新研究動向~MIRAI会議にみる微細加工事例~」理化学研究所 大森素形材工学研究室 大森 整 氏

 

<第二部:マイクロセッション>
 

・14:25~15:05「JEM-EUSO プロジェクト(mini-EUSO ミッションを中心に)」理化学研究所 先端光学素子開発チーム 滝澤 慶之 氏

・15:05~15:30 「親水性ナノ粒子添加クーラントによる非晶質フッ素系光学樹脂材の切削加工について」理化学研究所 大森素形材工学研究室 加藤 照子 氏

・15:30~16:00 パネル展示(6F 601会議室)

 

<第三部:オンデマンドセッション>
 

・16:00~16:40 “Research on the Electrochemical Machining of Easily Passivated Metals and the Eco-friendly Electropolishing of Medical Parts/Components”The University of Tokyo / University College Dublin Han Wei 氏

・16:40~17:10 「フレキシブル有機太陽電池の高効率化とウェアラブルエレクトロニクスへの応用」早稲田大学理工学術院/理化学研究所 創発ソフトシステム研究チーム 髙桑 聖仁 氏

・17:10~17:20 次回予定、閉会の挨拶 理化学研究所 大森素形材工学研究室 春日 博 氏、大森 整 氏

 参加希望者は、事務局(micro_mold@micro.ne.jp)まで所属、氏名、連絡先を明記の上、申し込みいただきたい(資料代については要問合せ)。なお、参加にあたっては、会場を提供する板橋区の規定により、開催日当日の朝に体温測定の上、氏名と体温を書いたメモの受付での提出が求められている。

kat 2020年9月16日 (水曜日)
kat

日本アイ・ティ・エフ、量産性を高めたPVDコーティング装置を開発

3年 7ヶ月 ago
日本アイ・ティ・エフ、量産性を高めたPVDコーティング装置を開発

 日本アイ・ティ・エフ( https://nippon-itf.co.jp/ )は、大型の金型や多数の小型部品を大量に搭載できるなど量産性を高めたアーク式イオンプレーティング法のコーティング装置「iDS-720」を開発、iDSシリーズとして販売を開始した。同社では、2021年度以降にiDSシリーズで10億円/年の売上を目指す。

iDS720

 同社では2010年以降、膜の平滑性向上やサイクルタイムの短縮、材料コストの低減といったコーティング装置の高性能化を図り、2014年に真空中でアーク放電を利用して硬質薄膜を成膜する新型アークイオンプレーティング装置「iDS-500」を発売した。その後2017年にシリーズの最大モデルとなる「iDS-1000」、2018年に最小モデルとなる「iDS-mini」を開発した。

 今回、ラインアップ化の最後のモデルである「iDS-720」を開発し、iDSシリーズの主要装備であるステアワン蒸発源や、高排気速度真空ポンプを備え、コーティングゾーンを直径720mm×高さ800mmとした。約700kgの基材搭載が可能であり、大型の金型や多数の小型部品を大量に搭載できるなど量産性を高めた。金型や機械部品(自動車生産用のプレス金型や、エアコンのコンプレッサー部品、製造設備などの各種回転軸)市場へ展開を図っていく。

 高性能化のポイントは、金属材料を蒸発させる部分であるアーク蒸発源にあるという。コーティングを行う際、アーク放電によって金属材料が溶けすぎて、ドロプレットと呼ばれる粗大な粒子が飛び出し、膜が粗くなる現象が起きる。同社は独自構造(ステアワン蒸発源)である、永久磁石をモーターで回転させ、アーク放電が起こるスポットを絶えず動かすことで、金属材料の溶けすぎを防止した。これにより、平滑な硬質薄膜の成膜を実現した。

 また、円板形状である金属材料を大口径化(直径 φ160mm)したことで、材料コストを従来装置に比べて2~5割低減した。さらに、アーク方式だけでなくスパッタ方式の蒸発源も搭載できる構造にした。このほか、高出力のヒーターや、排気速度の高い真空ポンプなどの使用により、サイクルタイムが従来装置よりも約4割短縮できた。

admin 2020年9月7日 (月曜日)
admin

東洋アルミニウム、大阪大学に半導体共同研究講座を開設

3年 7ヶ月 ago
東洋アルミニウム、大阪大学に半導体共同研究講座を開設

 東洋アルミニウム( https://www.toyal.co.jp/ )は、大阪大学大学院工学研究科に「東洋アルミニウム半導体共同研究講座」を2020年9月1日に開設した。

 同共同研究講座では、大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・結晶成長工学領域 (藤原研究室)の結晶成長技術および評価技術とともにAl合金プロセスを発展させ、量産性のある技術によって低コストでシリコン基板上にSiGeおよびSiSn層を形成する技術開発を行う。

 この技術により、SiGe/Siウェハのコストを大幅に低コスト化することができ、今後の太陽光発電および半導体アプリケーションへの展開を目指す。

 また、大阪大学の産学連携の枠組みを通じて、相互の研究者の人財交流を図り、研究開発ネットワークを構築するとともに、半導体分野における学術の発展、技術課題の解決、および創造力豊かな人財育成への貢献を目指す。同社からはシニアスペシャリストのダムリン マルワン氏が特任教授(常勤)として大阪大学に出向する。

admin 2020年9月7日 (月曜日)
admin
Checked
32 分 40 秒 ago
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