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JFEスチール、溶融亜鉛めっき薄鋼板で令和3年度 文部科学大臣表彰を受賞

3年 ago
JFEスチール、溶融亜鉛めっき薄鋼板で令和3年度 文部科学大臣表彰を受賞

 JFEスチール( https://www.jfe-steel.co.jp/ )は令和3年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰において、業績名「革新的雰囲気制御による溶融亜鉛めっき薄鋼板製造技術の開発」の成果が認められ科学技術賞(開発部門)を受賞した。

 自動車走行時のCO2排出量削減を目的に、車体部品に使用する鋼板を薄肉化して軽量化することが進められている。これには、鋼板の強度を高めるだけでなく、複雑な形状にするためのプレス加工性および自動車の耐久性を高めるための防錆性を確保することが欠かせない。このため、同社ではプレス加工性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき(ハイテンGA)鋼板の開発を進めてきた。鋼板の高強度化と優れた加工性を両立させるには、鋼板への強化元素の添加が必要となる。しかし、一部の強化元素は、鋼板の製造工程で表面に濃化し、最終工程である溶融亜鉛めっき処理において、表面欠陥の原因となるため、添加できる強化元素量には限界があった。

 同賞を受賞した技術では、従来とは異なる新たなコンセプトで、製造工程の雰囲気を精密に制御することによって、鋼板表面における強化元素の濃化を抑制し、無害化することに成功した。その結果、強化元素の添加量を高めることが可能となり、プレス加工性の指標となる伸び特性が従来鋼と比較して約2割向上した590~980MPa級ハイテンGA鋼板を表面欠陥なく製造できるようになった。この技術により、プレス加工が難しい自動車部品にもハイテンGA鋼板を使用することが可能となり、車体軽量化による燃費向上を通じてCO2排出量の削減に貢献している。

受賞案件:「革新的雰囲気制御による溶融亜鉛めっき薄鋼板製造技術の開発」     
受賞者:長滝 康伸氏(常務執行役員 スチール研究所 副所長)、鈴木 善継氏(缶用鋼板セクター部 主任部員)、 牧水 洋一氏(スチール研究所 表面処理研究部 主任研究員)、髙橋 秀行氏(スチール研究所 圧延・加工プロセス研究部 主任研究員)、金子 真次郎氏(スチール研究所 薄板研究部長)

admin 2021年4月7日 (水曜日)
admin

エリコンバルザース、アメリカ西部にコーティングセンター新設

3年 ago
エリコンバルザース、アメリカ西部にコーティングセンター新設

 エリコンバルザース(本社:リヒテンシュタイン)は、アメリカ・カリフォルニア州 ランチョクカモンガ(ロサンゼルス市から東に約62km)の新コーティングセンターにおいて、精密部品や切削工具、プラスチック射出成形・アルミダイカスト金型、メタルフォーミング金型向けにコーティングサービスを開始した。この新コーティングセンターはアメリカ西部において最大規模であり、最新のコーティング技術を備えている。

 新コーティングセンターでは、航空宇宙、エネルギー、医療、工具産業などのアメリカ西海岸沿いの企業に対して最新技術を適用したサービスを短納期で提供する。従来のPVDコーティング「BALINIT シリーズ」とともに、高品質加工の要求に応えるために、高機能工具向けのBALINIT ALCRONA PRO と BALINIT LATUMAを提供する。また、優れた耐摩耗性と耐熱性、熱衝撃安定性を持つ最新のBALINIT TISAFLEXも提供、今後もラインナップを充実させる予定。

 エリコンバルザース 北米責任者のスティーブ・クロウリー氏は「エリコンバルザースは、アメリカ経済が新型コロナウイルスの終息後に好転することを期待している。アメリカ西部最大のロサンゼルスのコーティングセンターはエリコンバルザースのもう一つの重要なマイルストーンだ。私たちは何年もの間、素晴らしい顧客のためにこの地域で働いてきた。そしてこの新コーティングセンターの開設により、顧客との距離が近くなり、最高品質のコーティングサービスを提供することが可能になり、私たちの強力な関係が次のレベルへと引き上げることが可能になった」と話している。

アメリカ西部に新設したコーティングセンター

 

admin 2021年4月7日 (水曜日)
admin

NTT-AT、高屈折率ナノインプリント樹脂を開発

3年 ago
NTT-AT、高屈折率ナノインプリント樹脂を開発

 NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT、 https://www.ntt-at.co.jp/ )は、光学接着剤の製造で培った屈折率制御技術を活用し、屈折率1.8、1.9の高屈折率ナノインプリント樹脂を開発した。

ナノインプリントパターン作製例

 開発品は、高い透明性と良好なナノインプリント性(樹脂にナノメートルサイズパターンの型を押し当てることで微細加工する技術)を有しており、スピンコートにより均一な薄膜を形成することができる。現在販売している屈折率1.7の樹脂では屈折率整合しなかった高屈折率ガラスに対して屈折率整合するため、光学設計の自由度が向上することが期待されている。

 開発品は、高屈折率ガラス基板に適合し、ナノインプリントにより線幅50nmから10μmのナノパターンを形成することが可能。波長400nmから800nmの範囲で高い光透過性を有する。

 近年の視野角拡大を目的としたAR/VR向けガラスの高屈折率化に伴い、高屈折率ガラスと屈折率が整合する樹脂の需要が高まっているという。

admin 2021年3月30日 (火曜日)
admin

新東工業、渦電流非破壊検査装置が2020年度日本機械学会優秀製品賞

3年 ago
新東工業、渦電流非破壊検査装置が2020年度日本機械学会優秀製品賞

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、渦電流非破壊検査装置「ECNI-Ⅱ」が「2020年度日本機械学会優秀製品賞」を受賞したと発表した。

 従来、表面処理を施した製品の品質管理は工程管理と抜き取りによる破壊検査が多く、部分的な検査に留まっていた。ECNI-Ⅱは渦電流法と呼ばれる磁気の力を用いた計測手法によって、ショットピーニングなどの表面処理を施した製品を破壊せずに内部を検査する。製品の加工状態を最速一秒で評価することができるため、インラインの全数検査を行うことが可能になり、ラインの自動化や省人化に寄与する。

 また、渦電流の挙動を数値化することによって、異常時の要因解析を行うことも可能になっている。そのため、経験の浅い作業者であっても二次元グラフを確認することで、処理状態の良否を容易に判別することも可能。現在では、自動車用ギヤの生産ラインにおけるショットピーニング工程でのインライン検査をはじめ、処理前の素材の判別検査としても採用されており、今後はECNI-Ⅱで得たデータの活用により、設備の予防保全や最適な加工条件の運用などへ応用が期待されている。

渦電流非破壊検査装置「ECNI-Ⅱ」渦電流センサ(左)とアプリケーションソフト(右)

 日本機械学会 優秀製品賞は、社会的価値の高い優れた製品に光を当てることにより、我が国の産業基盤の中核を担う中堅企業や中小企業のさらなる進化、発展を支援することを目的としている。今回のECNI-Ⅱの受賞では、従来の渦電流方式の非破壊検査手法にはない同社独自の技術力に加え、取得した測定結果の評価や表現方法、操作性といったユーザビリティを意識した機能に対して、付加価値のある優れた製品であると高く評価された。

admin 2021年3月22日 (月曜日)
admin

ブルカージャパン、4/15にナノインデンターをテーマにウェビナーを開催

3年 1ヶ月 ago
ブルカージャパン、4/15にナノインデンターをテーマにウェビナーを開催

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部(https://www.bruker-nano.jp/)は4月15日10:00~11:00に、ウェビナー(オンラインによるWEBセミナー)「ナノインデンター基礎講座と最新技術トレンド2021」を開催する。2部構成で、第1部(10:00~10:30)は「この春からはじめる!ナノインデンター基礎講座」、第2部(10:30~11:00)は「ナノインデンターの最新技術トレンド2021」。どちらかの部のみに参加することも可能。

 参加は無料(事前申込み制)で、以下から申し込みできる。

https://register.gotowebinar.com/register/1938402029728623376?source=media


 ナノインデンターはナノ・マイクロスケール材料の力学・トライボロジー特性を定量的に評価する装置で、半導体材料・金属・高分子・生体材料など様々な材料に対して、硬さ・弾性率だけでなく、密着・摩擦特性や粘弾性など幅広い評価を可能にしている。本ウェビナーでは、以下の2部構成でナノインデンターに関する情報を提供する。

 第1部では、ナノインデンターについて初めて触れる人やナノインデンターでできる測定手法全般を確認したい人向けに、ナノインデンターの基礎講座として開催する。

 第2部では、第1部に参加した人に加え、現在ナノインデンターを使用している人や最新技術を調査している人向けに、ナノインデンターの最新技術・製品・トレンドについて、アプリケーション事例を交えながら紹介する。

Triboindenter TI980


 

kat 2021年3月19日 (金曜日)
kat

サーフテクノロジー、NSF-H1適合のフッ素系ドライスプレーを販売開始

3年 1ヶ月 ago
サーフテクノロジー、NSF-H1適合のフッ素系ドライスプレーを販売開始

 サーフテクノロジー(https://www.microdimple.co.jp/)はこのほど、NSF-H1適合の食品機械用フッ素系ドライ潤滑剤「サーフスプレー」の製造・販売を開始した。独自の微粒子投射技術「マイクロディンプル®(MD®)処理」との併用により滑り性が向上し効果が持続、未処理のsus304に比べて50倍以上の寿命延長を実現できる。スプレーの容量は200mL/本で、定価は4000円/本、梱包単位は24本(6本小箱×4箱)。

 ガイド、シュート、レール、セーラー、ギヤ、カム、スライドプレート、チェーン、ベルト、コンベア、シール、ドアヒンジ、鍵穴、自動車、バイク、自転車部品から、玩具、ホビー、遊具施設まで広範に適用できる。

 同スプレーはNSF-H1に適合しているため食品・医薬品・化粧品の製造機械に使用できる。ドライタイプ(乾燥状態)で使用できるため、ほこりの付着や油の飛散がない。

 フッ素樹脂テープの代替えとして使用でき、フィルム等の滑り性が向上。SUS同士のかじり防止や、撥水が求められる箇所にも適用できる。化学的に不活性のため、金属・樹脂・ゴムにも影響がなく適用できる。

 使いやすい2wayノズルで、広範囲にスプレーしたい場合はノズルをたたみ、ピンポイントの箇所にスプレーする場合はノズルを立てることで、効率よく塗布できる。

使いやすい2wayノズル

 

 耐摩耗評価試験の結果、未処理のSUS304に比べ、MD処理+サーフスプレーを処理したSUS304では、MD処理による油膜の保持によって、50倍以上の寿命延長が確認されている。

耐摩耗評価試験の結果

 

kat 2021年3月17日 (水曜日)
kat

DOWAメタルテック、中国で2拠点目となる伸銅品リフローすずめっき加工工場

3年 1ヶ月 ago
DOWAメタルテック、中国で2拠点目となる伸銅品リフローすずめっき加工工場

 DOWAメタルテック( https://www.dowa.co.jp/metaltech/ )は、伸銅品加工事業における中国2か所目の加工拠点である「同和金属技術(南通)有限公司」(同和南通)の本格稼働を本年3月より開始した。

 DOWAメタルテックは、リフローすずめっき加工事業をグローバルに展開しており、中国とタイの各加工拠点において、日本と同品質のリフローすずめっき加工を行っている。中国においては、2002年に上海市松江区の輸出加工区に同和金属材料(上海)有限公司(同和上海)を設立し、主に日本で製造した伸銅品に対するリフローすずめっき加工およびスリッター加工(切断加工)を行っている。また、2012年には深圳営業所を開設するなど、中国での伸銅品加工事業を拡充させてきた。

 今回、本格稼働を開始した同和南通は、伸銅品のリフローすずめっき加工およびスリッター加工を行う。如東経済開発区内にある、省が管理する表面処理めっき専門の工業区にめっき工場(2800m2)を、同じ開発区内の一般工業地にスリッター工場(13000m2)をそれぞれ設立し、月産600tのめっき処理能力を有する。これにより、同和上海と合わせ、中国国内におけるリフローすずめっき加工の生産体制は月産1000tとなる。

 すずめっき加工は、自動車ワイヤーハーネス端子、バスバーなど接続回路部品に広く使われている。同和南通が提供するリフローすずめっき加工は、電子回路や接続部の故障原因となりうる、ウィスカ(針状に析出した金属結晶)の発生を大幅に抑制することができる。さらに、同和南通は通常のリフローすずめっき加工に加えて、高温にさらされる個所でも使用できる高耐熱めっきや小型端子に要求される低挿入力めっき(コネクタ接続時の挿入力を低減したすずめっき)などの加工も可能。
 

同和南通の外観写真

 

admin 2021年3月17日 (水曜日)
admin

神戸製鋼所、ニッケル合金めっき技術が新型コロナの感染力を低下させることを確認

3年 1ヶ月 ago
神戸製鋼所、ニッケル合金めっき技術が新型コロナの感染力を低下させることを確認

 神戸製鋼所( https://www.kobelco.co.jp/ )は、自社開発して様々な用途で実用化が進められてきた「高機能抗菌めっき技術KENIFINETM」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対してもウイルスの感染力を低下させることを確認したと発表した。

 KENIFINEは、同社が20年前に独自に開発したニッケル合金めっき技術。一般的な抗菌材の10倍以上高い抗菌性があることに加え、過去にはインフルエンザウイルスやSARS(重症急性呼吸器症候群)の引き金となったウイルスと同属のコロナウイルス(牛コロナウイルス、マウス肝炎ウイルス)にも抗ウイルス効果があることを確認している。

 同社では、新型コロナウイルス感染症が流行し社会問題となって以降、KENIFINEにより新型コロナウイルスに対しても抑制効果が期待できると考え、第三者機関で効果の有無確認を目的としたステンレス鋼との比較試験を実施してきた。今回、従来法より厳しい条件下での評価を行ったが、ステンレス鋼と比較してウイルスの感染力が1/1000程度になる結果が得られたという。

 

admin 2021年3月12日 (金曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、第13回岩木賞贈呈式、第23回シンポジウムを開催

3年 1ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、第13回岩木賞贈呈式、第23回シンポジウムを開催

 トライボコーティング技術研究会(大森 整会長)と理化学研究所は2月26日、埼玉県和光市の理化学研究所 鈴木梅太郎記念ホールで、「岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)第13回贈呈式」および「第23回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム-導電性ダイヤモンド応用技術、光輝窒化処理ならびに微細金型加工-」を開催した。今回はリアル開催とWeb会議システムを利用したオンライン開催という、ハイブリッド開催となった。

第13回岩木賞受賞者と関係者

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木 正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(NPS)が表彰事業を行っている。

 13回目となる今回は、富山県立大学 岩井 学氏ならびに日本工業大学 二ノ宮進一氏が業績名「導電性ダイヤモンドを利用した精密加工工具の開発」により優秀賞に、また、プラズマ総合研究所が業績名「光輝窒化を可能とするアトム窒化法の開発」により特別賞に輝いた。さらに、池上金型工業が業績名「虹色加工を施した金型製作と射出成形品の製作」により事業賞を受賞した。

 優秀賞の業績「導電性ダイヤモンドを利用した精密加工工具の開発」は、高濃度のボロンをドープした導電性ダイヤモンドの持つ特性を活用して、種々の分野に適用する新しい精密加工技術を確立したことが評価された。たとえば微細形状の放電加工では工具となる電極材の消耗が著しく形状精度の確保が難しいという課題があり、特に超硬合金に対する電極消耗は既存の銅電極では電極消耗率を5%以下にすることが困難だった。これに対し本業績では、世界で初めて導電性ダイヤモンドを電極素材として活用する方法を開発。金型鋼の放電加工では電極消耗量がほぼゼロで、超硬合金に対しても電極消耗量が0.5%以下と極めて少なく、精密放電加工を行う上での有効な電極材と見られる。

左から二ノ宮氏、岩井氏、大森会長、当日にプレゼンターを務めた熊谷泰副会長

 受賞の挨拶に立った岩井氏は「この研究は2002年に私の恩師である日本工業大学の鈴木清先生の研究室で電気が通るダイヤモンドに出会ったことから始まった。ダイヤモンドは硬く耐摩耗性に優れるため、電気を使った加工や電気を流すことによって使用する用途など、色々と用途開発を二ノ宮先生と私のもう一人の恩師である植松哲太郎先生と取り組んできた。研究は約20年に及ぶが、その間、企業の方々にご協力いただきながら色んな成果を挙げてきた。この賞をいただいたことを励みにして二ノ宮先生とともに新しい技術開発に邁進していきたい」と謝辞を述べた。

謝辞を述べる岩井氏

 特別賞の業績「光輝窒化を可能とするアトム窒化法の開発」では、イオン窒化の動作ガス圧の約1/1000である0.2Paという低いガス圧でも運転でき、イオン窒化と同程度の窒化特性を得るのに十分な高密度の窒素原子を生成できる「アトム窒化法」を開発。高濃度の窒素原子雰囲気の中でイオン衝撃なしに処理されるため、化合物層の形成や表面荒れを生じないことから光輝性が良好で精密金型にも窒化できることや、アトム窒化したワークの上に成膜した硬質被膜では、基材と硬質膜の密着性が従来法よりも優れていることなどが評価された。ワークの窒化時に負バイアス電圧を印加する必要がないため工具・刃物の鋭利な刃先の窒化処理を可能とした上、工具・刃物の使用寿命を大幅に改善できるとした。

左から原氏、大森会長、熊谷副会長

 受賞の挨拶に立った原 民夫氏(プラズマ総合研究所 代表取締役)は「この技術は、だいぶ昔のことになるが私が理化学研究所に在職していた時に同僚の浜垣学さんと相談しながらプラズマの発生法などをコツコツとやってきた。それから豊田工業大学に教授として赴任して、様々な方からのサポートを受けながら何とか続けてきた。開発技術によって窒化したワークを調べてみると、従来にない特性などがみつかり事業として定着するのではないかと考えている。今回の受賞はそういった意味で大きな勇気を与えていただいた」と謝辞を述べた。

謝辞を述べる原氏

 事業賞の業績「虹色加工を施した金型製作と射出成形品の製作」は、製品の金型表面に虹色加工を施すことで射出成形のみで樹脂成形製品に加飾できることや、発色させたい部分の制限も少なく、後処理が必要なくなるため工程削減やコスト削減が可能なこと、また、環境に配慮した製品を市販に供給できることなどが評価された。虹色を発色させる金型表面のパターンは波長に近い数百nmレベルのことが多く、金型表面にnmオーダーの切削加工が必要となる。100nm変化すると色の強度も変わってしまうことから、それ以下の誤差にしなくてはならず、本技術では独自の加工方法を考案し加工を試みた。さらに、三次元形状などにも対応可能な加工方法を研究開発中という。

 Web会議システムにより受賞の挨拶を行った池上正信氏(池上金型工業 代表取締役)は「虹色加工は当初はレンズ用金型を作る過程でうまくいかなかった製品としてスタートしている。ただ、その金型の一部が非常にきれいな色に輝いていたことから商品化につながった。今後、手間や工程を減らすニーズや、独創的な製品意匠をつくりたいなどの要望に応えられる技術になると期待している。今回いただいた岩木賞は我々への励ましになるとともに、さらなる発展のきっかけになる」と謝辞を述べた。

Web会議システムで謝辞を述べる池上氏

 贈呈式の後はシンポジウムに移行。岩木賞の記念講演として優秀賞に輝いた富山県立大学・岩井氏が、特別賞に輝いたプラズマ総合研究所・原氏が、事業賞に輝いた池上金型工業・松澤 隆氏が、それぞれ講演を行った後、以下のとおり1件の特別講演と2件のトライボコーティング技術研究会会員による講演がなされた。

・特別講演「革新的半導体デバイスを支える高効率加工プロセスの展望―3次元構造/化合物半導体の加工プロセスの展望―」土肥俊郎氏(九州大学 名誉教授/Doi Laboratory)…半導体Siウェハの加工プロセスを例に現状の研磨/化学機械研磨(CMP)のキーとなる要素技術を概説し、高効率CMPの向上の方策を示した上で、次世代デバイスとして期待される化合物半導体SiC、GaN、ダイヤモンドなど難加工性単結晶素材の次世代加工技術として開発した密閉式加工環境コントロール型CMP法や、プラズマ融合CMP法を紹介、これらの手法を適用した上記の難加工性単結晶素材の加工で従来技術を大幅に上回る高効率・高品位加工を実現できたことを報告した。

・会員講演「硬質粒子電着による高機能タップ工具の開発」齋藤庸賀氏(東京都立産業技術研究センター)…粒径10μmのcBN粒子と粒径5μm、1μmのSiC粒子をNiPめっきにより被覆することで硬質粒子複合めっきを作製、同めっきを表面に施したスパイラルタップを開発し、工具折損の原因の一つである切りくずの巻き付きを抑制する効果を実験的に明らかにし、その切りくずの巻き付き抑制メカニズムについて考察した。本研究によって、開発した粒径1μmのSiC粒子電着タップ工具は切りくずの長片化を抑制しカール直径を小さくすることで、50m/minの高速切削条件においても優れた切りくず巻き付き抑制対策を有することが明らかになった。

・会員講演「光メタマテリアル、作り方と使い方」田中拓男氏(理化学研究所)…波長より細やかな人工構造を用いて物質の化学特性を制御した疑似材料であるメタマテリアルの基礎に触れた後、メタマテリアルをどのように作り出すかという加工技術についての研究成果を紹介した。さらにメタマテリアルの応用技術として、光を完全に吸収する光吸収体やそれを利用し作製の難しい黒色などの発色体、赤外分光技術の高感度化への応用例を紹介した。特定の波長域の光を選択的に透過させることで、エネルギーを使わずに物体を冷やすクーラー技術についても紹介した。

第23回シンポジウムのもよう

 

admin 2021年3月8日 (月曜日)
admin

JAST、金属ドープDLCテーマに機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催

3年 1ヶ月 ago
JAST、金属ドープDLCテーマに機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催

 日本トライボロジー学会(JAST)の機能性コーティングの最適設計技術研究会(主査:岐阜大学・上坂裕之氏)は3月1日、ウェブ会議システムを利用した「第13期 第1回(通算第17回)会合(会議)」を開催した。

上坂裕之 主査

 

 同研究会は、窒化炭素(CNx)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等の硬質炭素系被膜および二硫化モリブデン等の固体潤滑被膜を実用化する上で重要となるコーティングの最適設計技術の向上を目指し、幅広い分野の研究者・技術者が集い、トライボロジー会議でのシンポジウムの開催や研究会での話題提供と討論を行っている。

 当日はまず上坂主査が、「今回は金属ドープDLCによる水素中、油中の超低摩擦現象にフォーカスしつつ最先端の成膜技術の情報を紹介いただく。コロナ禍で各種研究会のオンライン開催が増えているがそのメリットも段々に分かってきている。本研究会も当面、リアル開催とオンライン開催の各1回を実施し、議論の場を提供できればと考えている」と開会挨拶を行った後、幹事の野老山貴行氏(名古屋大学)と徳田祐樹氏(東京都立産業技術研究センター)の司会により、以下のとおり3件の話題提供がなされた。

・「DLCコーティングの低摩擦に及ぼす遷移金属の影響」田中宏昌氏(九州大学)…水素環境下での、テトラヘドラルアモルファスカーボン(ta-C)を含むDLC同士の摩擦における金属ドープの影響とメカニズムについて考察した。DLC同士の接触において低摩擦が実現しない場合でも、摺動相手材が純金属ピンである場合、DLCは水素ガス中で低摩擦・低摩耗を実現する。純金属ピンが摺動相手の場合、生成されるカーボン移着膜には、ピンのナノスケールの金属成分粒子が観察された。両摺動面がDLCの場合でも、どちらか一方に金属ドープ膜を用いることで低摩擦が実現。チタンドープDLCよりクロムドープDLCの方が、やや安定した低摩擦を示した。

・「摩擦調整剤MoDTCとの反応性向上を目指した金属添加DLC膜の研究」馬渕 豊氏(宇都宮大学)…一般にDLC膜はエンジン油中の多機能添加剤(酸化防止性能、摩耗防止性能など)ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)や摩擦調整剤モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)との反応性が乏しい。ハイブリッド車(HEV)でも要求されるエンジンの効率向上では、軸受の高面圧下での耐焼付き性向上に有用なZnDTPと反応するDLC膜や、機械損失の低減につながるエンジン油の低粘度化から適用の進むMoDTCと反応するDLC膜が必要になる。ZnDTPを含むエンジン油での金属添加DLC膜の評価からは、ZnDTPの構成成分であるSを多く検出したNiを添加したDLC膜において摩擦係数(μ)が高い傾向が認められ、μを上昇させるZnDTPとの反応膜の形成が確認された。また、MoDTCを含むエンジン油での金属添加DLC膜の評価からは、MoDTCとの反応性を調べ摩擦低減効果が得られた元素のうちNiを添加したDLC膜において、著しい摩擦低減効果が認められ、反応生成物である硫化物およびFe3O4が認められた。

・「神戸製鋼所のDLC成膜技術」磯村良幸氏(神戸製鋼所)…同社の扱う物理蒸着(PVD)成膜手法の一種であるアークイオンプレーティング(AIP)やアンバランスド・マグネトロン・スパッタリング(UBMS)、プラズマ援用気相成長(PECVD)の装置を紹介。UBMS装置では、炭素とドープ材料を同時放電することで金属ドープDLCが成膜できる。クロムドープでは樹脂の離型性向上や、耐摩耗性向上と樹脂への耐凝着性の両立が、タングステンドープでは導電性と耐摩耗性の両立が、チタン・ホウ素ドープではμ低減が図れるとした。そのほか、成膜レートが高く三次元形状への成膜が良好なPECVDの装置や、カーボン専用蒸発源である独自の丸棒型ターゲットを使用したAIP装置による、ta-C膜の高速成膜・10μm以上の厚膜成膜技術などについて紹介した。

kat 2021年3月6日 (土曜日)
kat

サーフテクノロジー/不二WPC、TOKYO PACK 2021で滑り性・耐摩耗性向上の表面改質技術を披露

3年 1ヶ月 ago
サーフテクノロジー/不二WPC、TOKYO PACK 2021で滑り性・耐摩耗性向上の表面改質技術を披露

 サーフテクノロジーと不二WPCは2月24日~26日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「TOKYO PACK 2021(2021東京国際包装展)」に出展、食品搬送機器や食品包装容器の滑り性や耐摩耗性を向上させる表面改質技術を披露した。

ブースのようす

 サーフテクノロジーは“ギザ刃や丸刃の表面処理。フィルムカスの付着抑制や耐久性向上により、研磨サイクルや洗浄サイクルを延ばします。樹脂テープの剥離や樹脂製品の滑りでお困りごとを解決します!!”をテーマに、技術を紹介。

 食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案した。MD処理はコーティングではないため、フッ素樹脂テープのようにはく離することなく樹脂製品の滑り性向上に有用であることをアピールした。

 また、MD処理および短パルスレーザー加工によって、フィルムカスの付着抑制や摩耗軽減による刃物の寿命を延長できることを謳った。
 
 さらに、2020年9月に国内で初めてFDA(米国食品医薬品局)認証を取得したダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを紹介。FDA認証によって安全性が確認されているDLCコーティングによって、フィルムガイド、セーラーなどの滑り性向上、耐摩耗性向上で部品の耐久性を高められると強調した。

 不二WPCでは、“包装容器の滑り性および、耐摩耗性向上に効果を発揮します!フィルムのヨレや擦り傷対策、摩耗した部品交換時のケガ対策にも。ギザ刃などのフィルムカッターのフィルムカス抑制、洗浄性向上、寿命延長などランニングコストの削減にもつながります!!”をテーマに、フィルム関連部材へのWPC処理(マイクロディンプル処理)による滑り性向上をアピール。

 フィルムカッターへの表面処理によってフィルムカスの付着抑制や洗浄性向上、耐摩耗性向上、耐久性向上が、また、ヒーターバーやヒーターホルダーの表面処理によって洗浄時の摩耗対策やフィルムの滑り性向上、フィルムカスの洗浄性向上が図れると謳った。さらに、セーラーの表面処理によって、セーラー襟部分の摩耗を抑制することで滑り性を維持しつつ、フィルムのヨレ、擦り傷対策も図れることを強調した。

MD処理を施したホッパー右半分では食品用粉体の付着が抑制DLC処理を施したセーラーでは滑り性・耐摩耗性が向上

 

admin 2021年3月5日 (金曜日)
admin

京急グループ、臨港バスに光触媒コーティングで抗菌・抗ウイルス対策

3年 1ヶ月 ago
京急グループ、臨港バスに光触媒コーティングで抗菌・抗ウイルス対策

 京急グループの川崎鶴見臨港バスは、顧客が安心してバスを利用できる環境を提供するため、抗菌・抗ウイルス対策として臨港バスの所有する全路線バス車両に光触媒コーティング剤を順次施工する。2021年3月2日からコーティング済み車両を運行し、3月末までに全車両(379両)に対策を完了する予定で、対策が完了した車両には、抗菌・抗ウイルスコーティング済みステッカーを掲出する。

掲出予定のステッカー

 今回使用するコーティング剤は、キャンディル( https://www.candeal.co.jp/ )の光触媒コーティング剤「レコナ エアリフレッシュ」で、同コーティング剤をバス車内に噴霧し抗菌・抗ウイルス空間を形成することで新型コロナウイルスの感染拡大防止とバス利用に対する安全・安心感を醸成する。

 同コーティング剤は、日本食品分析センターの試験により抗菌効果を実証済みであるほか、キャンディル、大和ハウス工業、奈良県立医科大学、MBTコンソーシアムとの4者共同検証により新型コロナウイルス感染症の病原ウイルスである「SARS CoV 2」の不活化も検証確認済みであるなど、抗菌・抗ウイルス対策として高い効果が期待できるものだという。

コーティング作業のもよう

 臨港バスでは従来から、顧客への感染予防の取組みとして従業員のマスク着用、出社時の体調確認、手洗い・うがい等を徹底しているほか、全車両5日に1回のバス車内の定期消毒作業の実施、換気扇の常時使用による約3分でのバス車内の空気を入れ替えなど感染リスクの低減に努めている。

admin 2021年3月4日 (木曜日)
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表面技術協会、第72回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

3年 1ヶ月 ago
表面技術協会、第72回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

 表面技術協会( https://www.sfj.or.jp/ )は2月26日、Web会議システムを利用したリモート方式により「第72回通常総会および各賞授与式」を開催した。

 当日は第71期事業報告、会計報告が行われた後、第72期事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、第141回講演大会は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となったが講演要旨集を公表済みのために同要旨集に記載した範囲で成立したこと、第142回講演大会は新型コロナウイルス感染拡大のためWeb開催としたこと、昨年9月に名古屋大学 東山キャンパスで開催予定だったINTERFINISH2020をオンライン開催での準備を進めていることなどを報告した。事業計画では、3月の第143回講演大会をWeb開催とすることや、9月の第144回講演大会を姫路商工会議所で開催すること、ISO規格検討専門委員会においてISO/TC107からの提案事項の審議や省エネルギーに等に関する国際標準化委託事業を行うことなどを確認した。

第72回通常総会のもよう

 役員改選では、前期に引き続いて会長に光田好孝氏(東京大学 名誉教授)、副会長に本間敬之氏(早稲田大学 先進理工学部 教授)、大塚邦顯氏(奥野製薬工業 常務取締役)が再任。今期より坂本幸弘氏(千葉工業大学 工学部 教授)、久保祐治氏(日本製鉄 執行役員 技術開発本部 先端技術研究所長)が副会長に選任された。

 理事を代表して挨拶に立った光田会長は「まだまだコロナ禍が続く中で、本協会に限らず各団体がどのような形で協会・学会活動を続けていけばよいのかを模索しているところだ。しかし、本日のようにWebを使用した手法を用いて、今年は昨年よりも活動を活発化させていきたいと考えている。本協会70周年事業で言うと、もうすぐ72年が過ぎることになるが70周年の寄付については昨年をもって締め切らせていただいた。この形を70周年記念事業委員会に諮り一応の締めをしたい。それと同時にいただいた多額の寄付の使い道や今後のことを考えた体制づくりについて考えることを進めていきたい」と述べた。

挨拶する光田会長

 当日の席上では、「2021年度 表面技術協会 各賞授与式」が行われ、各賞選考委員長が受賞者と業績、受賞理由を述べた。協会賞には、杉村博之氏(京都大学 大学院工学研究科 教授)が業績「光化学反応を用いた表面改質に関する研究」で受賞。杉村氏は、真空紫外光(VUV 光)と呼ばれる短波長紫外線による光化学反応を基盤とする材料表面改質に関して、独創的かつ先駆的な研究を展開してきた。光化学的原則と反応素過程を正しく解釈し、実用的な表面処理技術として洗練させることに成功している。主たる研究成果として、①VUV励起酸化反応によってプラスチック表面を化学活性化し、プラスチック部品を接着剤を使わずに低温で接合する表面活性化接合技術の開発とマイクロ流路部品製造への実用化、②酸化グラフェンの酸素含有官能基を直接励起し、選択的に酸素を除去する高速VUV還元反応の発見と固体潤滑膜・微細加工への応用を見出し酸化グラフェンの物性制御処理手法の発見、③有機金属錯体膜、有機無機複合体の室温無機化と高分子基板上への無機酸化膜形成への展開、④通常の紫外光や可視光に感光性のない有機分子材料をVUV光によって直接マイクロパターン化するVUVマイクロ加工技術の開発、が挙げられる。これらの研究成果は200報を越える学術論文として出版されている。以上のように、杉村氏は光化学反応を基盤とする表面改質・薄膜形成・微細加工に関する一連の研究によって、表面技術の発展に顕著な貢献をしている。よって同協会は、表彰規定第4条により2021年度協会賞の授与に相応しいと判定した。

 また技術賞では、星野克弥氏(JFEスチール スチール研究所)ら5名が業績「プレス成形性に優れる自動車用高潤滑性溶融Znめっき鋼板(高潤滑性GI)の開発」で受賞。開発された技術は、亜鉛めっき鋼板自身が有する極薄の自然酸化物層による潤滑効果に着目し、この潤滑機構を発展させることで溶融亜鉛めっき鋼板(GI)表層に極薄皮膜を設けた高潤滑性GIを開発した。この皮膜は数十nm程度の極薄膜にもかかわらず皮膜構造を仔細に制御することで高い潤滑性を実現した。皮膜を極薄膜としたことで自動車の組立工程で重要となる溶接性を阻害せず、さらにめっき自体の主成分であるZnが主体となる皮膜組成であるが故に自動車の塗装前処理工程で重要視されるアルカリ脱脂性やリン酸亜鉛処理性も保持した。これによりGIでは従来不可能であった高度な潤滑性と溶接性の両立を実現し、GIへの潤滑皮膜の適用を可能とした。本技術は特許や論文、学会発表で積極的に公開するとともに大規模な製造実績と自動車車体への適用実績を積み上げており、今後のさらなる展開に期待ができることから技術賞としてふさわしい内容であると判断された。

 同じく技術賞で佐藤羊治氏(トヨタ自動車 モノづくり技術開発部)ら6名が業績「高密度プラズマによる高性能・高生産性を両立したDLC成膜技術および装置の開発」で受賞。この技術はDLC膜の性能および成膜速度の限界となっていたプラズマ密度を放電原理まで遡って飛躍的に高めた蒸発源とそれをベースにした量産プロセスおよび装置を具現化したものである。1個処理のワークにベースの直流電圧とマイクロ波を直接導入する方式を開発し、従来比で約100倍のプラズマ密度の放電を得ることに成功し、開発したDLC膜の摩擦係数は従来の50%に低減され成膜速度は70倍以上に向上した。さらに、開発蒸発源と真空搬送ロボットを組み合わせた量産装置を開発し、月産数万個の量産レベルで不良率:1/5、膜厚さ分布:1/2を実証した。同技術は特許や学会発表などで積極的に公開するとともに汎用性の高い量産装置も同時に具現化し、部品の量産レベルに適用可能な生産能力に加え不良率およびバラツキの低減を実証しており工業的なインパクトは極めて大きい。このように、今後のさらなる応用展開が期待できることから技術賞としてふさわしい内容であると判断された。


 受賞者、業績などの一覧は以下のとおり。

協会賞

・杉村博之氏(京都大学 大学院工学研究科 教授)

業績「光化学反応を用いた表面改質に関する研究」

功績賞

・益田秀樹氏(東京都立大学 名誉教授)
・大野 茂氏(元日本大学)

論文賞

・三宅正男氏、平田瑞樹氏、岡本弘晃氏、平藤哲司氏(京都大学 大学院エネルギー科学研究科)
題目「乾燥空気中でのジメチルスルホン浴を用いたアルミニウム電析」
(表面技術 第70巻 第10号 523~527頁)

技術賞

・星野克弥氏、平章一郎氏、山﨑雄司氏、谷本 亘氏、松田広志氏(JFEスチール)
業績「プレス成形性に優れる自動車用高潤滑性溶融Znめっき鋼板(高潤滑性GI)の開発」

・佐藤羊治氏、橘 和孝氏、佐藤貴康氏、中田博道氏(トヨタ自動車)、有屋田修氏(アリオス)、高坂健児氏(中外炉工業)
業績「高密度プラズマによる高性能・高生産性を両立したDLCの成膜技術および装置の開発」

進歩賞

・郡司貴雄氏(神奈川大学 工学部 助教)
業績「イオン液体からのアルミニウムの無電解めっきに関する研究」
(表面技術 第71巻 第8号 521~529頁ほか)

技術功労賞

・國澤伸市氏(東洋鋼鈑 下松事業所 生産技術部 めっき技術グループ)
・藤川 准氏(造幣局 研究所 研究開発課 作業長)
・木曽雅之氏(上村工業 中央研究所 副所長)
・荒川英二氏(JFEスチール スチール研究所 表面処理研究部 リーダー)
・坂口雅章氏(奥野製薬工業 総合技術研究所 総合技術研究部 第四研究室)

会員増強協力者

・兼松秀行氏(八戸工業高等専門学校 材料工学科 教授)
・松本 太氏(神奈川大学 工学部 教授)
・邑瀬邦明氏(京都大学 大学院工学研究科 教授)

admin 2021年3月1日 (月曜日)
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東京エレクトロン デバイス、めっき処理を手掛ける三ツ矢にパーツカウンター納入

3年 1ヶ月 ago
東京エレクトロン デバイス、めっき処理を手掛ける三ツ矢にパーツカウンター納入

 東京エレクトロン デバイス( https://www.teldevice.co.jp/ )は、めっき処理などを手掛ける三ツ矢( https://www.mitsuyanet.co.jp/ )にパーツカウンター「めばかり君」を納入したと発表した。

 三ツ矢は、自動車や電子機器、医療機器、航空機器などさまざまな分野に、電気や化学反応を利用しためっき加工や表面処理を施した加工部品を供給している。五反田工場では、少量多品種のワークに高品質の加工が要求されており、厳格な員数管理が求められている。

 これまでは製品を人の手で数えていたが、計測には一日平均90分かかり、数え間違いのリスクもあった。また、メイン業務に加えてその都度対応できる人員が作業を行っており、業務負担となっていた。

 今回、これらの課題を解決するため、画像処理技術により計数作業を半自動化するパーツカウンター「めばかり君」を導入。同品は、部品を計測台の上に載せて広げるだけで、カメラが撮影し画像処理により自動で数量を数えるため、これまで90分かかっていた計数作業を35分に短縮できたという。

 また、作業記録を残す機能を有しており、出荷数と顧客への納品数の誤差が指摘された場合には、簡単に作業記録を見直すことができ、計測結果を提示することもできるため、トレーサビリティの確保が可能になった。

admin 2021年2月24日 (水曜日)
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メカニカル・サーフェス・テック2021年2月号 特集「めっき処理」「フッ素樹脂コーティング」2/25に発行

3年 1ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2021年2月号 特集「めっき処理」「フッ素樹脂コーティング」2/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2021年2月号 特集「めっき処理」「フッ素樹脂コーティング」が当社より2月25日に発行される。

 今回の特集「めっき処理」では、従来技術の代替として耐食性および耐水素脆化特性に優れるZn-Ni-SiO2複合めっきの可能性について、樹脂製自動車部品を高級感ある見た目に変える装飾めっきの市場・技術動向について、東京都立産業技術研究センターにおけるめっきの評価技術の動向と代表的な評価技術について紹介する。

 また、特集「フッ素樹脂コーティング」では、撥水・撥油性を示すフッ素系高分子コーティング剤の技術とその用途事例について、フッ素樹脂系塗膜の概要と適用事例、その性能を支える試験・評価技術について、熱溶着によるフッ素樹脂コーティングの概要と金型・熱板への適用について紹介する。

特集1:めっき処理

◇耐食性および耐水素脆化特性に優れるZn-Ni-SiO2複合めっき皮膜・・・奥野製薬工業 野崎 匡文、長尾 敏光、片山 順一
◇樹脂製自動車部品向け装飾めっきの市場・技術動向・・・マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン ジュリアン・ベイショア 氏、横田 英俊 氏、西山 達也 氏に聞く
◇めっきの評価技術の現状・・・東京都立産業技術研究センター 川口 雅弘

特集2:フッ素樹脂コーティング

◇撥水・撥油性を示すフッ素系高分子コーティング剤の技術とその用途事例・・・ダイキン工業 山口 央基
◇フッ素樹脂系など固体潤滑塗膜の市場・技術動向・・・デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル 坂巻 満弘 氏に聞く
◇熱溶着用金型・熱板向けフッ素樹脂塗膜の技術と適用・・・日建塗装工業 吉富 裕貴

連載

Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第14回 地中海クルーズ編・・・不二WPC 熊谷 正夫
注目技術:高精度顕微鏡のための硬質磁性コーティング・・・独フラウンホーファーIST

トピックス

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admin 2021年2月22日 (月曜日)
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ブルカージャパン、3/11にトライボロジーウェビナーを開催

3年 2ヶ月 ago
ブルカージャパン、3/11にトライボロジーウェビナーを開催

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部は3月11日13:30~15:00に、ウェビナー(オンラインによるWEBセミナー)「トライボロジーウェビナー~低摩擦の実現と摩擦界面の観察~」を開催する。

 

 参加は無料(事前申込み制)で、以下から申し込みできる。
https://register.gotowebinar.com/register/754200517608498959?source=bruker-nano.jp

 本ウェビナーでは以下のとおり、兵庫県立大学の木之下教授よりカーボンナノ材料を低摩擦の添加剤として用いた応用研究や、摩擦界面のその場観察の研究などについて発表がなされるほか、ブルカージャパンからはトライボロジー評価装置として、多機能摩擦摩耗試験機TriboLabと評価事例の紹介がなされる。

・特別講演 「酸化グラフェンの低摩擦添加剤への応用と摩擦界面のその場観察」兵庫県立大学 工学研究科 機械工学専攻 教授 木之下博氏…様々なカーボンナノ材料を低摩擦の添加剤として応用する研究を行ってきた中で酸化グラフェンは水分散の状態で摩擦係数が0.05以下のかなり低い摩擦係数が得られているが、低摩擦になる条件が非常に限られているほか、摩擦が安定しないことが多々ある。さらに酸化グラフェンを潤滑油に分散したとき、分散性の良い条件では摩擦係数は0.1程度であるが、分散性の悪い条件でスパイク的に摩擦係数が0.05以下になることを見出している。最近ではこれらの原因を明らかにするため摩擦界面のその場観察を試みており、本講演ではこれらについて解説する。

・講演「低摩擦評価から様々なトライボロジー評価を可能にするUMT TriboLab 」ブルカージャパン ナノ表面計測事業部 営業部 長谷川 勇人氏…摩擦・摩耗の研究開発用途として、UMT TriboLabはその多機能性とコンパクトで使いやすいことから世界で広く使われており、本講演では製品とその応用事例を紹介する。

kat 2021年2月18日 (木曜日)
kat

新東工業、電子部品・精密部品業界に前後工程含む高精度ブラストを提案

3年 2ヶ月 ago
新東工業、電子部品・精密部品業界に前後工程含む高精度ブラストを提案

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、ブラストにより微細・精密な加工を実現する表面加工法「マイクロブラスト工法」の前後工程を新たなラインナップとして拡充し、電子部品・精密部品業界向けに対して微細加工ラインのトータルエンジニアリング展開を開始した。

 マイクロブラスト工法は、エアブラスト原理により10μm~70μmの微細砥粒を高速で被加工物に噴射し、微細・精密な加工精度を実現する表面加工法。主にシリコン、ガラス、セラミックスなどの電子部品材料に加工を行い、スルーホール、ザグリ・二段穴、切断・ダイシング溝、マイクロ流路形成、エンボス加工などの超微細加工を実現している。

 従来、電子部品に対する加工は、ドリルやレーザによる加工が主流だったが、熱による溶融ダレやクラックが発生する可能性がある。これに対してマイクロブラスト工法は、冷間加工であるため熱による影響を受けないというメリットがある。また、加工精度については、最小40μmの穴径・溝幅の加工が可能で、穴・溝の深さ精度±10μm、突起加工の高さ精度±0.5μmの高精度を実現している。

マイクロブラスト工法とレーザ加工の比較

 今回は、マイクロブラスト工法の前後工程である①ラミネート②露光③現像④はく離・洗浄を新たなラインナップとして拡充し、トータルでのエンジニアリング展開を開始した。これにより電子部品業界を対象に、微細精密加工ラインすべての提案が可能になったほか、同社加工拠点が加工をする請負加工についても対応が可能となった。

マイクロブラスト工法のプロセス

 同社ではこれまで、重厚長大産業を主にショットブラストをメインに展開していたが、今後は電子部品や精密部品業界についてもマイクロブラスト工法を展開し注力していく。

admin 2021年2月15日 (月曜日)
admin

フロロコート、離型性向上の食品業界向けフッ素樹脂コーティングを開発

3年 2ヶ月 ago
フロロコート、離型性向上の食品業界向けフッ素樹脂コーティングを開発

 フロロコート( https://www.fluorocoat.co.jp/ )は食品業界向けに、従来より離型性を向上したフッ素樹脂コーティング「アドロン®L-RN400」を開発、受託加工を開始する。

 同コーティングは、従来の一般的なフッ素樹脂コーティングよりも離型性が20%以上向上する。これにより、自動炊飯ラインにおいて炊飯釜を反転させたときに米飯残りを削減するなど食品ロスの削減に寄与する。

 また、食品衛生法のポジティブリスト制度(食品用器具・容器包装について安全性を評価した物質のみ使用可能とする制度)に適合。さらに、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(人の健康を損なう恐れまたは動植物の生息・生育に支障を及ぼす恐れがある化学物質による環境の汚染を防止する法律)で規制予定のPFOA(ペルフルオロオクタン酸)が非含有となっている。これにより、食品業界向けコーティンググレードとして適用できる仕様となっている。

 同社では炊飯業界のみならず広く食品業界向けに同コーティングの提案を行い、既存のフッ素樹脂コーティングからの切替えを図っていく。

一般的なフッ素樹脂コーティング(左)とアドロンL-RN400加工済み炊飯釜(右)

 

admin 2021年2月10日 (水曜日)
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IHI HAUZER TECHNO COATING、高生産性のPVD装置を開発

3年 2ヶ月 ago
IHI HAUZER TECHNO COATING、高生産性のPVD装置を開発

 IHI HAUZER TECHNO COATING( hauzer.jp )は、幅広い産業で要求の高まってきている水素フリーDLCコーティング(ta-C)や大型製品向けコーティングの成膜において、最適なコストパフォーマンスを発揮するバッチ式PVD装置「Hauzer Flexicoat® 1250」を開発した。トライボロジー用途向け、工具向け、装飾部品向けと広範に利用できる。

Hauzer Flexicoat 1250

 装置の主な特徴は有効コーティング容量がφ810mm×高さ850mmで、これまでのベストセラー機種「Flexicoat® 1200」の既存の治具が使用でき、かつ生産性を33%アップした。磁場を最適化し面内均一のアークスポットが可能な独自アークイオンプレーティング手法「CARC+」やHiPIMSなど、Hauzerのコーティングテクノロジーをすべて搭載可能とした。カソード搭載可能箇所数は7ヵ所(Flexicoatシリーズではこれまで最大6ヵ所)に拡張。チャンバー内や装置各所へのアクセスのしやすさを向上した。冷却しながらハイパワー成膜を可能とする冷却パネルによって成膜レートを向上。標準オプションとして、リトラクタブルヒーター&冷却パネルを用意している。

kat 2021年2月8日 (月曜日)
kat

堀場テクノサービス、事業強化・拡大で新本社ビル

3年 2ヶ月 ago
堀場テクノサービス、事業強化・拡大で新本社ビル

 堀場製作所( https://www.horiba.com/ )のグループ会社で製品メンテナンスや受託試験などのサービス事業を行う堀場テクノサービス( https://www.horiba.com/jp/horiba-techno-service/home/ )は2月5日、サービス事業の基幹拠点である本社ビルを堀場製作所の隣接地に新設した。

 国内外におけるサービス事業の強化と拡大を目的にショールームを兼ねた分析ラボを拡張し「Analytical Solution Plaza(アナリティカル ソリューション プラザ)」として開設するとともに、トレーニング施設や校正施設などあらゆる機能を集約、拡充した。世界29の国と地域に展開するグループ会社と連携し、顧客の製品の稼働状況から設備の運用サポート、分析技術のコンサルティングなどを提供する「Service Life Cycle Management(サービスライフサイクルマネジメント)」の構築を加速する。

堀場テクノサービス 新本社ビル

 

admin 2021年2月5日 (金曜日)
admin
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38 分 33 秒 ago
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