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第20回 セミコン・ジャパン2008が開催、32nmプロセスを支えるメカ技術

 半導体を中心とするマイクロエレクトロニクスの製造を支える装置・材料産業の総合イベント「セミコン・ジャパン2008」が12月3日から5日、幕張メッセで開催、約11万人が来場した。半導体は携帯電話やFPDなどのデジタル家電、カーエレクトロニクス、LEDなどさまざまな分野で適用を広げているが、共通して高集積化、小型、高速、低消費電力、低コストが求められる。それら半導体の性能は実は、各種製造工程におけるメカ技術によるところが大きい。

 IC(集積回路)は写真と同じ原理で、石英板の表面に機クロムで回路パターンを描いたフォトマスク(レチクル)に光を当て、レンズによってこのパターンを1/4または1/5に縮小し、これをレジスト(感光材)が塗布されたウェハーに転写することで回路を形成する。露光済みのウェハーを現像し、不要な部分をエッチングで除去することで半導体を形成するまでのプロセスが、いわゆる「前工程」であり、ウェハー上に作られた半導体を製品として出荷するまでのプロセスを「後工程」という。

 ICの高集積化とは電子回路パターンの線幅を微細化すること。現在は線幅32nmのプロセス確立に向け、特に前工程の中でもIC製造の中核技術である露光装置(ステッパー)の開発が激化している。

 ステッパーで、レチクルのパターンを投影するレンズは1/4の縮小倍率では、レチクルステージはウェハーステージの4倍の速度でスキャン動作を行い、ウェハー上に微細なパターンを焼き付けていく。ステッパーでは1時間あたりに処理できるウェハー枚数をいう「スループット」の向上が課題であり、レチクルステージには露光を開始する位置に高速に移動し、高精度に位置決めする必要がある。

 従来このステージには、サーボモータ+ボールねじ駆動と転がりの直線案内を組み合わせた機構が採用されていた。しかし、露光中の位置決め精度の誤差平均値は線幅の1/10以下とも言われ、現在の65nmプロセス、45nmプロセスではそうした接触機構の摩擦による振動などから、要求される位置決め精度、スキャン速度への対応が難しくなっていた。

 そこで現在はリニアモーター駆動として、エアで浮上させ非接触としたエアベアリング案内のステージが主流となっている。このステージを使ったニコンのステッパーでは、1時間あたり200枚といったスループットを実現している。
※ステッパーではステッパー(ステップ&リピート)方式と、より高い解像度に対応するスキャン(ステップ&スキャン)方式がある(図)。

 また、後工程でウェハー上の半導体を一つ一つ切り離す「ダイシング装置」で高スループット化に向けた開発が進んでいるほか、ウェハーの搬送装置でコンタミネーションの発生を抑えたクリーン仕様のボールねじや直動案内、多層配線のための平坦化CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)の回転機構など、32nmプロセスに向けた半導体製造技術は、多くのメカ技術に支えられている。