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日本機械工具工業会、「令和3年度日本機械工具工業会賞」発表

2年 5ヶ月 ago
日本機械工具工業会、「令和3年度日本機械工具工業会賞」発表

 日本機械工具工業会( http://www.jta-tool.jp )はこのほど、「令和3年度日本機械工具工業会賞」の受賞者を発表した。業界功労賞で八馬厚雄氏(酒井精工 会長)、田中啓一氏(日立ツール・現MOLDINO 元代表取締役社長)の2名が受賞したほか、技術功績大賞1件、技術功績賞3件、技術奨励賞4件、環境賞5件(環境大賞1件、環境賞1件、環境特別賞3件)が選定された。

業界功労省

■八馬厚雄氏(酒井精工 会長)

【功績の内容】

 八馬氏は、昭和42年5月、日本工具工業会ねじ切り工具専門委員会委員に就任した。以来、現在に至るまでねじ切り工具専門委員会のメンバーとして殆どの委員会に出席し、ねじ切り工具専門委員会メンバーの模範となる大きな存在である。会社においてはタップの発明・考案により数々の特許・実用新案を取得し、独自の製品で国内だけでなく海外にも販路を拡大した。(昭和63年(1988年)12月発明功績賞受賞(大阪府))また、会員代表として平成元年に理事として就任し、現在まで工業会に長きにわたり貴重な意見を発信している。平成18年(2006年)には、永年の会社および工業会の発展への貢献により黄綬褒章を受章した。同工業会では、「今回の『業界功労賞』受賞後も、専門委員会を支援して頂き、会社の繁栄と工業会の発展に益々ご尽力を頂きたい」としている。

■田中啓一氏(日立ツール・現MOLDINO 元代表取締役社長)

【功績の内容】

 田中氏は、平成22年6月、旧超硬工具協会副理事長、翌年、理事長に就任した。副理事長時代からリーマンショック後の国内市場の縮小、高齢化問題、世界と比較した教育レベルの低下、国内産業の空洞化等の問題を提起した。理事長時代は(1)主要原料であるタングステン、コバルト等価格および需給動向の早期情報入手(2)超硬工具スクラップのリサイクル促進(3)世界切削工具会議(WCTC)2013日本開催に向けた準備に注力した。また、協会始まって以来の大きな懸案となった『コバルトの特別化学物質指定』に関しては、環境委員会メンバーとともに関係諸官庁と度重なる交渉に参加し、紆余曲折はありながらも、最終的には超硬工具ユーザーは規制の対象外という協会の要望がほぼとおる結果に至った。一方、アジア圏で初開催となった2013年世界切削工具会議(WCTC2013)京都会合では、両団体により設立された日本切削工具協会(JCTA)の理事長として、成功裡に導くなど工具業界の振興発展に尽力した。

技術功績大賞 新世代コーティング「Absotech®X」の開発

■奥野 晋氏、小林史佳氏、中山裕博氏(住友電工ハードメタル)

【新規性】

 CVD法を用い、nmオーダーでの組織制御を行うことで、従来技術では実現することが不可能であった、平均含有比率80%以上という非常に高いAl含有量のAlTiNを高硬度のf㏄構造を100%維持したままコーティングする技術を世界で初めて確立した。同技術を切削工具へ適用することで、従来のCVD材種の耐摩性と従来PVD材種の耐欠損性を兼備する、高Al含有純立方晶ナノ積層CVD-AlTiNコーティングの量産を実現した。

技術功績賞 非鉄用底刃付きスレッドミルの開発

■依田智紀氏(オーエスジー)

【新規性】

 ①スレッドミルは側面切削のため、めねじ口元と奥で径差が大きくなる問題点があった。側面からの応力の影響が出にくいよう、スラスト荷重が強くなるような底刃形状に工夫した(イメージとしては突っ張り棒とおなじ)ことに新規性がある。②高能率を狙いスクイを強くし、刃数を増やすと、切りくずがつまるという問題点があった。底刃をネガにして切りくずを細かくし、2溝にすることで切りくず排出性も向上させる工夫をした。

高剛性突切り工具「TungFeed-Blade」の開発

■宮澤駿輔氏、谷口雅弥氏(タンガロイ)

【新規性】

 本製品は、ツールブロックがブレードと主分力方向で当接する機構を有し、ブレードのたわみを抑制する高剛性な構造である点に新規性がある。工具高さを従来比最大2倍に向上させたブレードは、3ポケット仕様で経済性にも優れる。ツールブロックは、旋盤タレットと広い接触面積で拘束され、高能率加工にも耐えうる。ツールブロックにサイドスラストピンを設置することにより、ブレードの位置決め精度を向上と同時に、操作性も向上させた。

鋼旋削加工用CVD材種「MC6115」の開発

■佐藤賢一氏、真田智啓氏、佐藤敏博氏(三菱マテリアル)

【新規性】

 切削工具用の硬質皮膜として同社を含めAl2O3が使われていたが、結晶配向において同社従来品の10倍以上の値を示す新しいAl2O3結晶配向制御技術の適用により高速切削加工で優れた耐摩耗性を発揮することができる。さらに、積層皮膜の層間付着強度を向上させる新結合層と皮膜内の引張応力の緩和技術の適用により切削時の高い刃先安定性を実現した。

技術奨励賞                    ハード加工用スカイビングカッタの開発

■山﨑 格氏、佐藤嗣紀氏、西野達也氏(不二越)

【新規性】

 熱処理後の高硬度歯車の仕上げ加工において超硬スカイビングカッタを採用するが、工具の欠け、摩耗により短寿命という問題点があった。これに対し、ハードスカイビング加工に特化した、形状、コーティング、材料を採用することによって、安定した工具寿命を達成することを実現したことに新規性がある。

 

両面インサート式汎用肩削りカッタWWXの開発

■神原正史氏(三菱マテリアル)

【新規性】

 インサート式ミーリング工具はワークと刃先の干渉を防ぐため、切れ刃を工具外側に傾ける(2番逃げ)必要性があるが、両面インサート式の場合、分厚いため大きく傾ける必要がある。結果、切れ刃は工具外側に向き、切りくずもその方向へ生成・排出されやすい。特に壁面加工ではワーク壁面方向に切りくずが排出されることになるため、ホルダとワークとの間に噛み込み、インサート欠損やワーク壁面に傷がつくなどの課題がある。これら課題に対し、インサートブレーカで切りくずを工具内向き方向へ強制的に折り曲げ、噛み込みを防ぐ既存技術は存在するが、切削抵抗は高くなりやすく汎用的に使用することは困難であった。そこで同社では、独自の切れ刃凸形状とねじれすくい面形状を開発し、切りくずを強制的に折り曲げずに工具内側方向へ低抵抗かつスムーズに生成・排出し、噛み込みを抑制する新技術を確立した。

立壁/底面仕上げ用8枚刃エンドミルの開発

■田牧賢史朗氏、 一木順二氏、田中寛明氏(MOLDINO)

【新規性】

 従来ロング刃長エンドミルでの立壁仕上げ加工は、刃長が長いため同時接触刃が増え、切削抵抗とその変動が大きく、壁面の倒れを抑制することは困難であった。そのため、高精度に加工するためには再加工を繰り返さなければならず、目標精度を確保するための修正工数増加に課題があった。そこで同時接触刃を考慮した外周刃設計(外周ねじれ角38°、刃数8枚刃、ap0.5D、刃長1D)を採用することで、切削抵抗の変動を最小化し、ロング刃長エンドミルに対して加工能率を損なわずに、再加工なしで高精度な立壁仕上げ加工を実現できるところに新規性がある。さらにコーナR刃の刃付け方法を工夫することで、底刃とコーナR刃のつなぎ目をシームレス化し、従来底面仕上げ加工時に課題であった不均一なカッターマークや白濁化を抑制することができ、高品位な底面仕上げ加工も可能となる。

超硬合金高能率加工用エンドミルの開発

■齋藤拓信氏、渡邉昌英氏(ユニオンツール)

【新規性】

 超硬合金加工用エンドミルとして同社従来品の「UDC-Fシリーズ」があるが、工具寿命と加工能率には改善の余地があった。被削材が超硬合金であることから加工能率の向上は困難と思われていたが、今回の開発品である「UDC-Hシリーズ」では高能率加工に耐えうる新しい刃先処理と、耐摩耗性を強化した改良型ダイヤモンド皮膜を採用することで工具寿命と加工能率を両立して向上させたことに新規性がある。

環境賞

【環境大賞】

■京セラ

 140点満点中120.7点、新型コロナウィルス感染の拡大によって世界経済が大きく低迷し、各社得点が伸び悩む中、得点率86.2%と極めて高い評価結果だった。環境マネジメントシステムに基づく高レベルの組織的な仕組みが構築されており、地球温暖化防止、廃棄物削減等、環境活動に積極的に取組まれ、改善の推進力も高いと判断された。これらの環境活動は、他社の規範となり、2021年度環境大賞にふさわしいと判断された。

【環境賞】

■MMCリョウテック

 同社は2021年度に同協会に入会したが、140点満点中106点と高い評価結果だった。これまでの環境を考慮した継続的な活動や それを維持する仕組みづくりなどの結果が反映され、得点率76.0%という高評価だった。特に地球温暖化防止に対する評価が高く、他社の模範となり賞賛に値すると判断された。

【環境特別賞】

■東陽

■日本特殊陶業株式会社

■ユニオンツール

 総合評価では環境大賞、環境賞の2社に及ばないものの継続して環境調査指標が向上しており、賞賛に値すると判断された。二酸化炭素排出量が生産高原単位で2018年度以降3年連続大きく減少している、総廃棄物量が5年連続減少している、埋め立て処分量が極めて少なく、再資源化率もほぼ100%を継続しているなど、これらは他社の模範になるものであると判断された。

admin 2021年11月22日 (月曜日)
admin

Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

2年 5ヶ月 ago
Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

 Optimol Instruments Prüftechnik社は、振動摩擦摩耗試験機(SRV)の入門機として、ETS(Easy Tribology Screener)をリリースした。日本総代理店であるパーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)ではすでにETSを川崎事業所内に導入・設置し、デモ試験を始めている。

パーカー熱処理工業・川崎事業所内に設置されたETS(Easy Tribology Screener)

 ETS は、摩擦摩耗試験機市場のマーケットリーダーであるOptimol社が開発・製造した、トライボロジー分析のための理想的な入門機。最大300Nの荷重に対応、コーティングや潤滑剤、添加剤、基材等の分野におけるニーズを満たしている。卓上タイプのETSはまた、試験中の潤滑剤の状態観察や予防保全用途にも最適な機器となっている。

 ETSはトレーニングがほとんど必要なく、簡単かつ直感的に操作できるため、納入初日から高品質な試験結果が得られるほか、ETS を使用した摩擦摩耗試験の費用対効果が高くなる。

 測定可能なパラメータならびに値は、以下のとおり。
・摩擦係数:0.001~0.5
・荷重:0.3~300N
・ストローク:0.01~3.00mm
・周波数:10~70 Hz
・ブロック温度:室温~200℃
・オンライン摩耗測定

 試験形態は、以下のとおり。
・点接触(ボールφ4mm・6mm・10mm)
・線接触(縦型φ6×8mm)

 試験原理は、以下のとおり。
・運動パターン:正弦波の並進オシレーション
・下部試験片は摺動する台座に設置
・周波数、ストローク、荷重、温度、試験時間等のパラメータの設定
・下部試験片の摺動による横方向の摩擦力をオンラインで測定並びに記録
・オンライン摩耗測定

 摩擦ならびに潤滑形態は、以下のとおり。
・境界摩擦
・混合摩擦
・弾性流体潤滑
・オイルバス式を含む飛沫潤滑

 摩耗条件は、以下のとおり。
・ アブレシブ摩耗
・フレッチング

 ETS導入のメリットとしては、以下が挙げられる。
・予防保全部門における潤滑剤の現場での状態観察に適している
・摩擦摩耗、コーティング、潤滑剤、添加剤、基材のトライボロジー性能を明確にする基本的なパラメータに関する高品質な測定結果
・品質向上並びに製品開発の最適化
・比較可能な結果により、実際の挙動の可能性について決定する際の信頼性を確立
・製品開発の順位付けに適した摩擦摩耗に関するデータを測定可能
・300N以下での自動車用および工業用潤滑油の摩擦摩耗のスクリーニング試験
・コーティングの摩擦摩耗性能
・代替燃料を使用した燃料噴射ノズルの基材評価試験
・容易な操作性とスピーディーな試験開始により、試験のコストパフォーマンスを向上
・高い処理能力により、試験結果を即座に入手可能
・中小企業のニーズに合わせたトライボロジーに関するノウハウの活用
・移送ならびに設置場所変更が容易
・幅広いトライボロジー試験材料

二つの異なる材質(100Cr6(SUJ2相当)ならびに超硬合金)のボールに対する
DLC膜の摩擦係数の測定例

 

admin 2021年11月19日 (金曜日)
admin

11/15に第3回ブロードバンド加工技術セミナーが開催

2年 5ヶ月 ago
11/15に第3回ブロードバンド加工技術セミナーが開催

 「第3回ブロードバンド加工技術セミナー」が11月15日に開催された。

 九州大学大学院 黒河研究室と理化学研究所 大森素形材工学研究室ではこれまで、機械分野から光学応用、新素材やエネルギー分野にまで及ぶ広範な先進デバイス開発に寄与させるべく、ナノからピコプレシジョン領域を目指す新しい加工技術の共同研究を進めてきた。本研究の進展によって、ブロードな表面精度要求に対し、一連のプロセス精度をシームレスにつないで、狙いの素材に対して狙いの精度を最も効率よく得るブロードバンド加工技術の確立と展開が期待されている。

 こうした背景から、研究の加速とともに産業界のものづくりニーズへの波及を図るべく、2018年11月19日に「第1回:ブロードバンド加工技術セミナー」が、2019年12月11日には「第2回ブロードバンド加工技術セミナー」が開催されるに至っており、さらに今回、上述のコンセプトに基づき、超精密切削、研削、研磨に関わる最新の話題を集め、本年11月15日に第3回目のブロードバンド加工技術セミナーが以下のとおり開催されたもの。

環境制御とプラズマ技術を融合した未来の精密研磨テクノロジー

 当日はまず、九州大学名誉教授でDOI Laboratory代表取締役の土肥俊郎氏が、環境制御とプラズマ技術を融合した未来の精密研磨テクノロジーについて話題提供を行った。
環境制御型研磨加工はBell-Jarと呼ばれる加工環境を制御できる密閉型容器を応用したもので、内部の温度、気体や光反応などを制御することで、化合物半導体や難削材の高効率な研磨が実現できるものである。今回、さらにプラズマ技術を融合させることによって、画期的な研磨特性を実現できる未来の研磨テクノロジーについて総括的に解説がなされた。

土肥俊郎氏の講演資料より

 

ELID研削法とそれを応用した微細加工技術 イオンショット法とナノカーボン粒子を援用した切削法を応用した超加工テクノロジー

 続いて、理化学研究所 大森素形材工学研究室 主任研究員の大森 整氏が、独自の発明技術であるELID研削法とそれを応用した微細加工技術、さらに独自のイオンショット法とナノカーボン粒子を援用した切削法を応用した超加工テクノロジーについて、総括的な話題提供を行った。

 ELID研削法は、同氏が大学院修士課程在学中に発明して以来、産業界に広く普及しているが、近年、その標準化へ向かう動きや、新しい応用分野、デバイス開発に関するトピックスが提供された。

 微細加工技術については、最新のデスクトップナノ加工システムとその応用事例についての解説がなされた。

 最後にイオンショット法とナノカーボン援用切削による、望遠鏡用レンズ開発の事例と経過について、ホットな話題提供がなされた。特にナノカーボン援用技術に関しては、切削工具寿命を延ばし切削現象を良好に制御できるトライボファブリケーション技術の一つとして、今後の進展が期待されるものである。

大森 整氏の講演資料より

 

電気防錆法によるグリーンマニュファクチャリング

 最後に、岩手大学助教、理化学研究所客員研究員である西川尚宏氏が、SDGsに配慮した電気防錆法によるグリーンマニュファクチャリングについて解説した。

 電気防錆法は同氏の発案に基づく独自手法であり、加工液として水道水などをそのまま使用しても工作物や工作機械に錆の発生などの影響をきたさない未来のグリーンテクノロジーの一つで、研削加工、切削加工を問わず適用ができる基本技術である。

 また、本技術に関連して、加工液のクリーン循環システムの構築、工作物の防錆保管方法などの研究についても紹介がなされた。

西川尚宏氏の講演資料より

 

 本セミナーは、オンラインで開催されたが、講師と参加者間での質疑応答やディスカッション、当該技術分野に関する活発な情報交換が行われた。

kat 2021年11月17日 (水曜日)
kat

Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

2年 5ヶ月 ago
Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

 Optimol Instruments Prüftechnik社は、振動摩擦摩耗試験機(SRV)の入門機として、ETS(Easy Tribology Screener)をリリースした。日本総代理店であるパーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)ではすでにETSを川崎事業所内に導入・設置し、デモ試験を始めている。

パーカー熱処理工業・川崎事業所内に設置されたETS(Easy Tribology Screener)

 

 ETS は、摩擦摩耗試験機市場のマーケットリーダーであるOptimol社が開発・製造した、トライボロジー分析のための理想的な入門機。最大300Nの荷重に対応、コーティングや潤滑剤、添加剤、基材等の分野におけるニーズを満たしている。卓上タイプのETSはまた、試験中の潤滑剤の状態観察や予防保全用途にも最適な機器となっている。

 ETSはトレーニングがほとんど必要なく、簡単かつ直感的に操作できるため、納入初日から高品質な試験結果が得られるほか、ETS を使用した摩擦摩耗試験の費用対効果が高くなる。

 測定可能なパラメータならびに値は、以下のとおり。
・摩擦係数:0.001~0.5
・荷重:0.3~300N
・ストローク:0.01~3.00mm
・周波数:10~70 Hz
・ブロック温度:室温~200℃
・オンライン摩耗測定

 試験形態は、以下のとおり。
・点接触(ボールφ4mm・6mm・10mm)
・線接触(縦型φ6×8mm)

 試験原理は、以下のとおり。
・運動パターン:正弦波の並進オシレーション
・下部試験片は摺動する台座に設置
・周波数、ストローク、荷重、温度、試験時間等のパラメータの設定
・下部試験片の摺動による横方向の摩擦力をオンラインで測定並びに記録
・オンライン摩耗測定

 摩擦ならびに潤滑形態は、以下のとおり。
・境界摩擦
・混合摩擦
・弾性流体潤滑
・オイルバス式を含む飛沫潤滑

 摩耗条件は、以下のとおり。
・ アブレシブ摩耗
・フレッチング

 ETS導入のメリットとしては、以下が挙げられる。
・予防保全部門における潤滑剤の現場での状態観察に適している
・摩擦摩耗、コーティング、潤滑剤、添加剤、基材のトライボロジー性能を明確にする基本的なパラメータに関する高品質な測定結果
・品質向上並びに製品開発の最適化
・比較可能な結果により、実際の挙動の可能性について決定する際の信頼性を確立
・製品開発の順位付けに適した摩擦摩耗に関するデータを測定可能
・300N以下での自動車用および工業用潤滑油の摩擦摩耗のスクリーニング試験
・コーティングの摩擦摩耗性能
・代替燃料を使用した燃料噴射ノズルの基材評価試験
・容易な操作性とスピーディーな試験開始により、試験のコストパフォーマンスを向上
・高い処理能力により、試験結果を即座に入手可能
・中小企業のニーズに合わせたトライボロジーに関するノウハウの活用
・移送ならびに設置場所変更が容易
・幅広いトライボロジー試験材料

 

二つの異なる材質(100Cr6(SUJ2相当)ならびに超硬合金)のボールに対する
DLC膜の摩擦係数の測定例


 

kat 2021年11月17日 (水曜日)
kat

大塚電子、DLCをテーマにWebセミナーを開催

2年 5ヶ月 ago
大塚電子、DLCをテーマにWebセミナーを開催

 大塚電子は10月19日、Webセミナー【膜厚測定 特別セミナー】を開催した。

 当日は、トライボロジー表面改質、固体潤滑被膜の研究の第一人者である名古屋大学教授・梅原徳次氏が、「反射分光膜厚計による無潤滑下及び潤滑油下の摩擦界面その場観察による摩擦メカニズムのその場解析」と題して講演を行った。

 透明なサファイアガラスと固体表面の無潤滑下および潤滑油下での摩擦界面を大塚電子製の反射分光膜厚計「OPTM」で観察し、窒素雰囲気下におけるCNx膜の構造変化層の厚さと物性の摩擦係数に及ぼす影響が明らかになり、薄膜の固体潤滑理論で摩擦係数の推定が可能であることが明らかになった。また、潤滑油下においても極表面の油の分極率と摩擦の関係が明らかになった。さらに、不均一な油の油潤滑における潤滑油層の濃度分布が明らかになっている。

 講演では、①反射分光膜厚計を用いた摩擦界面その場分析法の有効性、②窒素含有DLC膜(CNx膜)の窒素雰囲気下超低摩擦機構の解明、③ベース油中CNx膜の摩擦メカニズムの解明、④二液分離油による摩擦における摩擦メカニズムの解明について、発表がなされた。

 また、大塚電子・後藤秀平氏より、同社の光干渉法と高精度分光光度計により、非接触・非破壊かつ高速、精度で膜厚測定を可能にした同社の反射分光膜厚計「OPTMシリーズ」についての紹介がなされた。工具・ギヤ・シャフトなど三次元形状に被覆されたDLCの厚み測定例や、膜厚・膜質の解析例などが示された。

OPTMシリーズ

 

kat 2021年11月15日 (月曜日)
kat

山陽特殊製鋼、熱処理の省力化や短縮化が可能なニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼

2年 5ヶ月 ago
山陽特殊製鋼、熱処理の省力化や短縮化が可能なニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼

 山陽特殊製鋼( https://www.sanyo-steel.co.jp/ )は、独自のニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼“ECOMAXシリーズ”の新たなラインナップとして「ECOMAX5」を開発した。同品は、シリーズの特長である優れた強度が部品の小型・軽量化設計への期待に応えることに加え、新たな合金設計によって、ユーザーにおける部品製造工程の省略や簡略化を可能とし、CO2排出削減に寄与する。

 同品は、従来のECOMAXシリーズと同等以上の高強度を有していることに加え、ユーザーでの部品製造工程における各種熱処理工程(焼なまし、焼ならし、浸炭処理)の省略もしくは簡略化への適合性をさらに高めている。これらにより、ユーザーにおけるコストダウンに加え、大幅なCO2排出削減への貢献が期待できる。

自動車用ギヤ・シャフト等の小型・軽量化 ECOMAX5の耐ピッチング特性

 高い強度が求められる部品には、一般的に、ニッケルやモリブデンなど希少で高価な合金元素を添加または増量した材料が用いられている。ECOMAX5を含むECOMAXシリーズは、鋼の本来の性能を最大限に引き出す高清浄度鋼製造技術をベースに、クロムやシリコン等の合金バランスと鋼材製造時の操業条件を最適化したことで、省合金でありながら大幅に強度を向上し、特に、ギヤ歯面のはく離損傷(ピッチング)に対しては、一般的な肌焼鋼(JIS SCM420)の5倍以上の長寿命を実現している。部品の疲労強度が向上することで、自動車用をはじめ各種機械ユニットのさらなる小型・軽量化に寄与することが期待される。

部品工程の簡素化・省略によるCO2排出削減

 肌焼鋼を用いた部品製造工程では、冷間鍛造を行う際、材料を軟化させるために「焼なまし」が施される。肌焼鋼をはじめとする合金鋼の焼なましでは、通常800°C程度のオーステナイト組織となる領域まで加熱した後に、長時間を要する徐冷を経て、炭化物を球状に析出させて材料を軟化させる。ECOMAX5は低温領域の短時間保持によって徐冷を経ずに、従来方法に対し1/2以下の処理時間で炭化物を球状化させて軟化させることができる。 また、焼なましによる球状炭化物が均一に分散して存在することから、冷間鍛造における高精度成型が行いやすくなり、ニヤネット成型の相性が良くなる。 加えて、浸炭処理時の結晶粒粗大化が抑制される特性は、一般的な肌焼鋼や他のECOMAXシリーズの鋼種に対し優れていることから、冷間鍛造後、浸炭焼入れ前に通常施される焼ならしの省略と浸炭温度の上昇による処理時間の大幅な短縮が期待される。

ギヤ・シャフト部品の製造工程の簡略化・省略(一例)

 

admin 2021年11月11日 (木曜日)
admin

花王、疎水化CNFが潤滑油を覆ったコーティング剤

2年 5ヶ月 ago
花王、疎水化CNFが潤滑油を覆ったコーティング剤

 花王( https://www.kao.com/jp/ )テクノケミカル研究所は、セルロースナノファイバーを用いて、物がすべり落ちる表面を作り出すことで、窓の汚れや屋根の雪といった付着を抑制する水性のコーティング剤技術を開発した。

 日々の生活の中で、窓の汚れや鳥の糞など、さまざまな付着物がある。付着物は景観を損なうだけでなく、屋根の積雪で家屋が破損する、太陽光パネルに付着した鳥の糞で発電効率が低下する、といった悪影響を引き起こすこともある。また、これらを除去するには、多大な労力やコスト、エネルギーが必要となる。

 ウツボカズラという植物は昆虫をすべらせて捕食することで知られるが、その壺内面は潤滑液で覆われており、その内面を模倣した表面は「滑液表面(すべる性質を持つ表面)」と呼ばれている。同社は、この構造に着目し、塗布するだけで対象面を滑液表面にするコーティング剤の開発を行なった。同時に、環境や作業者の健康にも配慮し、有機溶媒を用いない設計を検討した。

ウツボカズラ

 コーティング剤でウツボカズラのような滑液表面を再現するには、対象の表面が常に潤滑油で濡れている状態を作る必要がある。同社は、液体を保持する性質に優れたセルロースナノファイバー(CNF)と潤滑油を組み合わせると、CNFが潤滑油を保持し、長期間に渡って微量の潤滑油が放出され続ける表面を作れるのではないかと考えた。

 しかし、潤滑油は疎水性(水をはじく性質)なため、逆の性質を持つ親水性のCNFには馴染まない。そこで、同社がこれまで蓄積してきたCNFの表面を疎水化する技術を応用し、潤滑油となじみやすくしたCNF(疎水化CNF)で潤滑油を強固に保持する技術を開発した。

 さらに、環境や作業者の健康に配慮し、有機溶媒を用いない水性のコーティング剤を作ることを目指した。そのためには、疎水化CNFと潤滑油を水中に微分散(乳化)させる必要がある。今回、CNFが界面活性剤と同様の作用を持つことに着目し、強い力をかけることで、疎水化CNFが潤滑油を覆った毬のような状態で水中に乳化することができたという。

疎水化CNFが潤滑油を覆ったコーティング剤

 また、コーティング剤を対象物の表面に塗布すると、毬のような構造体が積層した膜を形成していることを確認した。これにより、当初の狙い通りにCNFが潤滑油を保持し、長期間に渡ってすべる性質を維持できる表面が作れたと考えられる。今後は付着物によるトラブルの解消やさまざまな表面におけるメンテナンス低減に有効活用できるよう、用途に応じた提案を行ない、商品としても発売していく予定。

毬のような構造体が積層した膜

 

admin 2021年11月5日 (金曜日)
admin

DMM.com、11/17からものづくりのオンライン展示会

2年 5ヶ月 ago
DMM.com、11/17からものづくりのオンライン展示会

 DMM.comは11月17日~19日、オンライン展示会「設計製造技術・ものづくり EXPO ONLINE 」を開催する。展示会では、オンライン上で出展社の最新情報を集めたり、商談をすることが可能となっている。また、「名刺を渡す」機能もあるため、当日都合の悪い場合も気になる出展社へアプローチをかけることができる。来場環境としてGoogle Chromeの最新版を推奨している。

 来場登録は以下のURLより。

 https://exhibition.showbooth.dmm.com/events/manufacturing2111/ 

 

 

 

 

 

admin 2021年11月5日 (金曜日)
admin

不二越、MVP法採用で高速成膜・細穴内面成膜が可能なDLC成膜装置を市場投入

2年 5ヶ月 ago
不二越、MVP法採用で高速成膜・細穴内面成膜が可能なDLC成膜装置を市場投入

 不二越は11月1日、岐阜大学・上坂裕之教授の開発したMVP(Microwave-sheath Voltage combination Plasma)法の採用により、高速の成膜・細穴内面の成膜が可能な新型ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング成膜装置「SMVP-1020」を開発、市場に投入した。

SMVP-1020

 

 半導体製造装置のバルブ、継手、パイプ内面などの耐腐食化、耐摩耗化や、紡績機械のノズル内面の耐摩耗化、さらには金型の耐摩耗化、耐疑着化を対象に提案を進め、10台/年の販売を目指す。

 炭素を主成分とする非晶質のカーボン物質膜であるDLC膜は近年、その高耐摩耗性、低摩擦性などの特性から、アルミ切削用ドリルや、半導体・紡績機械、金型、自動車部品、プラスチック、ガラスレンズなどに幅広く用いられており、DLC成膜装置の高品質化・高速化のニーズが一段と高まっている。

 同社では今回、基材に対して負の電圧を印加することで、基材表面にマイクロ波伝搬を可能にし、基材近傍に高密度プラズマの生成するプラズマ発生法であるMVP法を採用することで高密度プラズマによるDLC膜の高速外面コーティングを実現し、さらに細穴内面へのコーティングも可能とする成膜装置「SMVP-1020」を開発、上市したもの。特徴は以下のとおり。

・高密度プラズマによる超高速成膜:MVP法による高密度プラズマにより、外面コーティングでは150μm/hrの超高速成膜を実現。標準的な アーク法やスパッタ法による従来機と比較して、成膜速度が30 倍から最大150倍程度まで向上

・内面コーティングの成膜領域を拡大:従来の技術では困難であった細穴内面のコーティングを実現し、φ30mm×500Lmmやφ3mm×100Lmmなどの小径穴内部への成膜品質を確保

・少量、多品種に対応:同社従来機より処理時間を大幅に短縮し、処理膜の切替えも容易なため、少量・多品種の処理に柔軟に対応。また、コンパクトな設計で、2台設置し交互運転することで生産効率がさらに向上

 仕様は、据付寸法が幅2.1m×奥行2.0m×高さ2.1m、成膜有効範囲が径250mm×高さ500mm、対応膜種がDLC、Si-DLC。

kat 2021年11月2日 (火曜日)
kat

第14回岩木賞に、埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞

2年 5ヶ月 ago
第14回岩木賞に、埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞

 トライボコーティング技術研究会、未来生産システム学協会(FPS)などからなる岩木賞審査委員会は、「第14回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」を発表した。岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で著しい業績を上げた個人、法人、団体を顕彰するもので、当該分野で多くの功績を残した故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業をたたえ、2008年度より創設されたもの。

 14回目となる今回は、埼玉工業大学・長谷亜蘭氏が業績名「摩擦界面 in situ 観察・AEセンシング研究によるトライボロジー現象の可視化・診断の基盤構築」により優秀賞に、また、川邑研究所・川邑正広氏ならびに宇宙航空研究開発機構(JAXA)・松本康司氏が業績名「宇宙探査における次世代型サンプルリターン用固体被膜潤滑剤の開発」により特別賞に輝いた。さらに、ティ・ディ・シーが業績名「金属箔(長尺フープ状)研磨技術の開発」により事業賞を受賞した。

 優秀賞の業績「摩擦界面 in situ 観察・AEセンシング研究によるトライボロジー現象の可視化・診断の基盤構築」は、摩擦界面 in situ観察(その場観察)とアコースティックエミッション計測(AEセンシング)を活用し、トライボロジー現象の可視化・診断に関する研究を推進し、トライボロジー現象が関わる様々な問題解決へのアプローチを行ったもの。両技術を駆使して多岐にわたるトライボマテリアル(金属、高分子材料、DLC膜、めっき、ガラス、ブレーキパッド材料など)、摩擦環境下(無潤滑下、潤滑下、通電下など)を対象として実験研究を遂行してきた結果、in situ観察によって得られた各種トライボロジー現象とAE信号の関係を明らかにしたほか、各種実験を実施しそのトライボロジー現象下で検出されたAE信号原波形の特徴を整理し、トライボロジー現象AE信号周波数の相関マップとして体系化した。AE信号周波数変化に着目したトライボロジー現象のインプロセス計測への適用・普及に貢献。AEセンシングによるIoT化・スマート化を一挙に加速できるほか、日用品、食品、医療など異分野への応用・展開が期待できることも評価された。

 特別賞の業績「宇宙探査における次世代型サンプルリターン用固体被膜潤滑剤の開発」では、地球外の天体から採取したサンプルを解析することで宇宙や生命の起源を明らかにしようとするミッション「サンプルリターン」において、次世代型サンプルリターン機構の駆動部の潤滑要件に耐える固体被膜潤滑剤の開発に成功したことが評価された。探査機のサンプルリターン機構部品に固体被膜潤滑剤を適用する際には、摺動部から排出された摩耗粉がコンタミとなった場合でも地球外物質と明確に区別できるよう、固体被膜潤滑剤に使用可能な材料が制限されている。より多く、より大きな試料を持ち帰るために機器の大型化が進む今後のサンプルリターンの駆動要素においては、大型化に伴い駆動部の摩擦部には負荷が増すことが想定され、より潤滑性・耐久性の高い潤滑剤が求められる。高負荷条件で実績のある層状固体潤滑剤・二硫化モリブデン(MoS2)など多くの無機材料が制限物質に指定されているため、限られた材料でMoS2系被膜の特性に相当する潤滑剤を開発する必要が生じている。こうした中で本業績は、四フッ化エチレン(PTFE)樹脂とポリイミド(PI)樹脂結合材を組み合わせた、摩擦係数0.1以下の長寿命の固体被膜潤滑剤を開発し、次世代のサンプルリターン機構に対応できる可能性を示した。

 事業賞の業績「金属箔(長尺フープ状)研磨技術の開発」は、長尺フープ状の銅箔への鏡面加工依頼に対し金属箔の鏡面加工の技術開発を積み重ね、ティ・ディ・シーが宮城県に本社を置くことから震災復興支援の新技術開発助成と、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発支援補助金にかかる補助事業の二つの補助制度の支援を受け、ナノレベルの表面粗さを連続的に実現する専用装置を開発、長尺フープ状の金属箔の超鏡面加工および量産化に取り組みユーザーニーズに応えられるレベルに到達したことなどが評価された。本研磨技術は、長尺鏡面金属箔をフレキシブルデバイス用支持基板として、印刷技術を用いてロールtoロール方式で電極を形成するなど、安価に大量の電子部品製造が可能になる新手法として期待されている。ディスプレイ分野では本研磨技術を用いてアモルファス金属箔帯に対する鏡面化も実績があり、有機EL材料としての採用も有望視されているほか、グラフェンを用いた新たなタッチパネルの量産化実現を支援する、グラフェン単層膜の製造用金型としての用途も見込まれている。

 第14回岩木賞の贈呈式と受賞業績の記念講演は、2022年2月25日に埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所で開催される「第24回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム」で行われる予定。
 

第13回 岩木賞贈呈式のもよう

 

kat 2021年11月2日 (火曜日)
kat

DLC工業会、令和3年度講演会を開催

2年 5ヶ月 ago
DLC工業会、令和3年度講演会を開催

 DLC工業会は10月15日、オンライン会議システムを利用したリモート方式により「一般社団法人DLC工業会 令和3年度講演会」を開催した。今回は、「省エネルギーに役立つDLC膜の応用と信頼性評価―国際標準化とその活用に向けて―」をテーマに実施した。

 会の冒頭、挨拶に立った中森秀樹会長は当日の講演の紹介を行った後、「本講演を通じ、DLC膜の応用とISO規格活用に関して、皆様にとって良い知見を得られる機会になればと思う」と述べた。引き続き、以下の講演が行われた。

挨拶する中森会長

・「DLC膜のエンジンしゅう動部品への適用技術の進展と将来展望」加納 眞氏(KANO Consulting Office)…地球環境の悪化が加速している状況からSDGs(持続可能な開発目標)やESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))が求められており、トライボロジー分野においても環境と人にやさしいグリーントライボロジー技術の開発が必要になっている。これに対し、自身が自動車メーカー勤務時代にガソリンエンジンにDLCの量産技術を適用した経緯や、最近の話題として潤滑状態の良好なEHL潤滑下でのDLCの低摩擦効果について様々な論文を紹介しながら解説した。結びとして、これまでは、主に性能を上げコストを下げることを主眼に厳しい環境下でDLCが適用されていたのに対し、これからは環境を観点に良好な潤滑下でのDLC適用が拡大するのではないか、と述べた。

加納氏の講演のもよう

・「摩擦・摩耗・臨界荷重・耐荷重能試験方法とDLC膜の評価例報告」宝泉俊寛氏(レスカ)…ISO 23216(分光エリプソメトリーによるDLC膜の光学特性)とISO 20523(DLC膜の分類)により明らかにしたDLC膜について、①ナノインデンテーション試験(硬さ)、②ISO 18535(ボールオンディスク法によるDLCの摩擦摩耗評価)に準拠した摩擦摩耗試験(滑り性・凝着摩耗)、③マイクロスクラッチ試験(密着性・臨界荷重)、④DLC膜のはく離荷重能試験(密着性・疲労摩耗)について報告した。HiPIMS法により成膜したa-C膜とイオン化蒸着法により成膜したa-C:H膜の2種類を測定した結果、a-C:H膜の方が硬く低摩擦係数で摩耗が少ない結果が得られたと解説。また、密着性・臨界荷重と密着性・疲労摩耗についてもa-C:H膜が高かったと報告した。さらに、各試験における湿度環境下での結果を示し、自身の考察を述べた。なお、③と④は、同工業会がDLC膜の信頼性および特性試験に関する国際標準化とDLC膜の信頼性および特性試験に関する国際標準化として、ISO規格の登録を進めている。

宝泉氏の講演のもよう

・「DLC工業会確認マーク発行制度について」平塚傑工氏(DLC工業会)…企業および団体などが①ISO 18535:2016(DLC膜のボールオンディスク摩擦摩耗試験法)②ISO 23216:2021(分光エリプソメトリーによるアモルファスカーボン膜の光学特性評価法)③ISO 20502:2005(スクラッチ試験)を実施し、その結果が適正であることを同工業会が確認し、「DLC工業会確認マーク」を発行する制度を創設したことを紹介。申請者は①試験結果報告書、②トレーサビリティ体系図(校正証明書など)③DLC工業会確認マーク発行申請書④申請チェックシート⑤口座登録用紙を提出する。確認マークは同工業会確認マーク発行検討委員会に諮り、委員会の検討に基いて同工業会が発行する。確認マークを広く利用してもらうことで信頼できるDLCの普及拡大を図る。申込みの受付けは12月中旬頃の予定だという。

平塚氏の講演のもよう

 

admin 2021年10月29日 (金曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2021年10月号 特集「自動車の表面改質」「ショットピーニング」10/25に発行

2年 6ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2021年10月号 特集「自動車の表面改質」「ショットピーニング」10/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2021年10月号 特集「自動車の表面改質」「ショットピーニング」が当社より10月25日に発行される。

 今回の特集「自動車の表面改質」では、カーボンニュートラルにおけるトライボロジーの重要性について、商用車エンジンの炭素鋼窒化処理部品における化合物層がねじり疲労強度に及ぼす影響について、自動車内外装部品で適用されている電気めっきのシミュレーションについて、自動車で適用されているドライコーティングの事例について紹介する。

 また、キーテク特集「ショットピーニング」においては、人工関節の骨頭用材料として代表的なCo-Cr合金に対して疲労強度向上を目的にショットピーニングを行った事例について、SCM420ガス浸炭材を被処理材として汎用投射材である粉末ハイス投射材と高硬度を有する投射材を用いたショットピーニングの比較について紹介する。

特集:自動車の表面改質

◇カーボンニュートラルとトライボロジー・・・本田技研工業 吉田 聡
◇炭素鋼窒化処理部品の化合物層がねじり疲労強度に及ぼす影響・・・いすゞ自動車 山田 明徳
◇電気めっきの課題を一度に解決する専用解析シミュレーションツール・・・SCSK 村上 敦、伊藤 智明  
◇自動車におけるドライコーティングの適用・・・編集部

キーテク特集:ショットピーニング

◇ショットピーニングを施した医療用Co-Cr合金の特性・・・新東工業 小林 祐次
◇高硬度投射材を用いた微粒子ショットピーニングの効果・・・山陽特殊製鋼 澤田 俊之

連載

注目技術:ロボットおよびハプティクスにおける弾性流体潤滑摩擦の検証・・・ノースカロライナ州立大学
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第18回 最終回・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

パーカー熱処理工業、振動摩擦摩耗試験機にブロックオンリング試験モジュールを追加
ナノコート・ティーエス、水素フリーDLCの受託加工を開始
TEST2021などが開催、硬さ試験機や摩擦摩耗試験機を展示

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admin 2021年10月22日 (金曜日)
admin

TEST2021などが開催、硬さ試験機や摩擦摩耗試験機を展示

2年 6ヶ月 ago
TEST2021などが開催、硬さ試験機や摩擦摩耗試験機を展示

 「TEST2021 第16回総合試験機器展(主催:日本試験機工業会)」、「測定計測展(主催:日本光学測定機工業会、日本精密測定機器工業会)」、「IFPEX2021 第26回フルードパワー国際見本市(主催:日本フルードパワー工業会、産経新聞社)」など五つの展示会が10月6日~8日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催した。展示会では、表面試験・評価機器など、以下の出展が見られた。

TEST2021の会場のもよう

 新東Sプレジション( http://www.sinto-sp.co.jp/ )は、白色干渉顕微鏡を搭載した二次元座標測定器「OPTIFIS IS-R400」でデモを実施。この測定器は、高精度XYステージにより繰り返し測定のバラつき0.5μm以下の精密座標測定、画像処理により視野内の繰り返し測定のバラつき0.03μm以下の微小寸法測定、白色干渉により繰り返し測定のバラつき40nm以下高さ測定・表面形状分析と1台で三つの測定が可能となっている。ブースでは、白色干渉法による段差・表面形状+画像による微小寸法・座標の自動測定を紹介した。また、精密二次元座標測定機のスタンダードSMICシリーズ、さらにフォトマスク向け超精密自動二次元座標測定機をパネル展示で紹介を行った。

新東Sプレジション「OPTIFIS IS-R400」


 新東科学( http://www.heidon.co.jp/ )は、一つの試験片で荷重を変えた摩擦摩耗試験が1回の測定で可能になる従来の摩擦摩耗試験機に、ステップ運転モードと直交バランスアーム方式を追加した新製品「HHS2000S」を披露した。同試験機は、一つのサンプルに複数の試験を予めプログラムした動作条件にて自動で行えるステップ運転モードを搭載。1度目の試験後に自動で測定子をピックアップしY方向ステージを動かし新たな位置から2度目の試験が行える。こうした特徴から、摩擦摩耗試験を効率的に行いたい企業や団体からの訪問があったという。また、今回は、同社摩擦摩耗試験機「トライボギア」のスタンダードモデル「TYPE:40」、誰でもどこでも物体間の静摩擦係数を簡単に測定できるポータブル摩擦計「TYPE:94i-II」など、同社の豊富なラインナップを示した。

新東科学「HHS2000S」

 フューチュアテック( https://www.ft-hardness.com/ )は、マイクロビッカース硬さ試験機「FM-Xシリーズ」の実機を紹介。従来のウエイト(重錘)方式による荷重負荷機構に加えロードセルによる荷重負荷機構を備えた機種をラインナップ、多段階荷重切換えが可能となっている。マルチロードタイプでは50gf~10kgfと広い荷重レンジで試験を行うことができる。また、CCDカメラ内蔵機構を採用することで専用ソフトにより圧痕を自動で計測できる。試験機は無限遠レンズを採用。10倍・50倍と標準の2本に加えてオプションで5本まで同時装着が可能となっている。さらにオプションでは、ビッカース(HV)、ヌープ(HK)、ブリネル(HB)と最大3個の異なる圧子の同時装着も可能となっている。

フューチュアテック「FM-Xシリーズ」

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp/ )は、多機能トライボロジー評価機「UMT TriboLab」を展示した。同試験機はモジュール交換型を採用し、あらゆる速度とトルクに対応。ボールオンディスクなどの回転試験や往復摺動試験、ブロックオンリング試験など45種類以上の規格試験が可能となっている。特許技術の2軸センサーによって荷重・摩擦力をリアルタイムに検出。ノイズレベルがセンサーの荷重範囲の0.02 %と非常に小さいことにより、高分解能な測定を可能とし、荷重レンジに応じて適切なフリクションロードセンサーを選択することで1mN~2000Nの試験荷重を実現できる。加熱は潤滑環境下で400℃、ドライ環境下で1000℃、湿度が5~85%RHに設定できるなど、様々な環境制御が行える。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部「UMT TriboLab」

 マツザワ( http://www.matsuzawa-ht.com/ )は、タッチパネルのスタートボタンをタッチすることによって簡単に試験サイクル(初試験力負荷~本試験力負荷~負荷解除)を行うことができる電動型ロックウェル硬さ試験機「Ria」の実機を展示した。同試験機は試験モード切換えにより、ロックウェル硬さ(全30 スケール)、ブリネル硬さ(11スケール)、押し込み試験がそれぞれ行える。また、29.42Nから98.07N(3kgf から10kgf)までの範囲で100gf ステップずつ、初試験力を変えることができる。本試験力も同様に147.1Nから1840N(15kgf から187.5kg f)までの範囲で0.9807N(100gf)ステップずつ変えることができるという。試験中は、LEDインジケータが上から下へと流れるように表示され、一目で試験中の動作確認が行える。

マツザワ「Ria」

 山本科学工具研究社( http://www.ystl.jp/ )は、ブリネルやロックウェル、ビッカース、計装化押込み試験といった各種硬さ試験法に使用される試験機の測定結果が正常であるかどうかを確認するための基準的試験片「高精度硬さ基準片」の紹介を行った。硬さ試験におけるISO9000シリーズ等の各種認証には、JIS・ISOに準拠した硬さ試験機の管理が必須となり、その一つに硬さ基準片を用いた管理がある。同社の硬さ基準片は、優れた質(硬さ均一性、JIS・ISOに基づいた普遍的な値、硬さ値の高い安定性)が国際的に認められており、硬さ試験機の始業前点検や間接検証に数多く使用されている。また、同社は来年に70周年を迎える予定で、文献集の発行などを予定しているという。

山本科学工具研究社「高精度硬さ基準片」

 

admin 2021年10月19日 (火曜日)
admin

エレメント・ソリューションズ社、エコバディス社のサステナビリティ調査でシルバー評価を獲得

2年 6ヶ月 ago
エレメント・ソリューションズ社、エコバディス社のサステナビリティ調査でシルバー評価を獲得

 マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ社の親会社であるエレメント・ソリューションズ社は、仏エコバディス社のサステナビリティ(持続可能性)評価で「シルバー」を獲得した。

 エコバディス社は、国際的に供給網を有するグローバル企業を様々な分野で評価している国際機関で、四つのテーマ(環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達)に基づき、企業の規律や行動、その成果を評価している。


 エレメント・ソリューションズ社は今回、2021年度の同サステナビリティ審査において、全評価対象企業約7万5000社のうち上位10%に入る高い評価を受けたもの。

 同社では、「今後もQCD(品質・コスト・納期)のみならず、CSR(企業の社会的責任)分野においてもレベルアップを果たし、顧客と社会から求められる企業を目指していく」とコメントしている。

 


 

kat 2021年10月15日 (金曜日)
kat

International Linkage、国際展示会への積極参加による海外ビジネス促進を呼びかけ

2年 6ヶ月 ago
International Linkage、国際展示会への積極参加による海外ビジネス促進を呼びかけ

 2020年初頭からのコロナ禍において、ビジネス拡大の最重要手段の一つと位置づけられている専門展示会の開催が国内外で縮小されてきたが、欧州ではすでに国際的な専門展示会がリアルで再開され始めるなど、様子見・自粛ムードの日本に先行してグローバルビジネス再開に向けた動きを活発化させてきている。

 ここでは、世界最大規模の産業見本市「ハノーバーメッセ」などを主催するドイツメッセ(ドイツ・ハノーバー)の日本代表部を今春から引き継いでいるInternational Linkage代表の竹生学史氏に、すでに動き始めている欧州国際展示会の概況や、グローバルビジネス再開の波に乗るための国際展示会への出展の必要性などについて話を聞いた。
 

竹生 学史 氏

 

オンライン開催はリアル展示会の補完

 ドイツメッセが主催する世界最大級の産業技術の展示会「ハノーバーメッセ」が本年4月12日~17日、「ハノーバーメッセ2021デジタルエディション」としてオンライン開催された。約1800の出展者が7000の新製品を出展(うち1700がハノーバーメッセでの初披露)し、出展者は700本を超えるライブストリーミング、750本の製品紹介動画などで製品を紹介した。もともとが一方向の性格を持つレクチャーやセミナーであればオンラインでも十分成立し、アクセスしやすいというメリットもあるが、展示会のオンライン開催では、ライブストリーミング、製品紹介動画などのメニューが用意されたがリアルな展示会がもたらす情報量には及ばない。「オンラインチャットのシステムはあっても簡単な質問をしにくい」といった参加者の声も少なくなく、細かなものからボリュームのある案件まで種々のタイプの情報が得られるのはリアルな展示会ならでは。

 こうした状況もあり、コロナウイルスのワクチン接種が進む中で、欧州ではすでにビジネス拡大の最重要手段の一つと位置づけられている専門展示会がリアルで再開され始めている。一方で、デジタル展示会の効果が限定的あっても日本企業は慎重な様子見の態度を保っているが、座しているだけではビジネスチャンスは獲得できない。ドイツメッセでも2022年4月25日~29日、ハノーバー国際見本市会場で「ハノーバーメッセ2022」をリアル開催する(デジタル版も併せて活用できる)。ぜひ共会場に足を運んでいただき、リアル展示で得られる生きた情報や各種機械・機器の動きを体感していただきたい。

 

リアル開催するHannover Messe2022の概要

 今回のテーマは「Digitalization & Decarbonization(デジタル化と脱炭素化)」で、AI&マシーンラーニング、カーボンフリー・プロダクション、デジタル化、インダスリー4.0、ITセキュリティー、ロジスティクスなどの最新トレンドとトピックスすべてに光を当てる。
展示構成は以下のとおり。

・Automation, Motion & Drive
◇製造・工程・物流・エネルギー自動化のための製品・ソリューション
◇ロボット ◇ドライブテクノロジー ◇フルードパワー
◇ライナーテクノロジー ◇ハンドリング&組立て
◇プロセスオートメーション

・Energy Solutions
◇設備・インフラ・ITソリューション
◇水素・燃料電池
◇電気自動車・充電技術Future Hub
◇R&D ◇スタートアップ、新規企業 ◇未来の技術

・Engineered Parts&Solutions
◇新素材
◇ライトウェイトソリューション、軽量化対策
◇金属部品・部材・ソリューション
◇付加製造(3Dプリンター等)

・Logistics
◇マテリアルハンドリング
◇物流の自動化に関する技術、サービス
・Digital Ecosystems
◇クラウド&インフラ ◇ソフトウェア・データ管理
◇プラットフォーム ◇AI ◇5G ◇予知保全
◇セキュリティー ◇VR&AR

・Global Business & Markets
◇貿易&投資促進

 デジタル開催された2021年の実績としては、来場者(視聴者)数が95000人(51%がドイツ以外から参加)で出展者数が1800社(60%がドイツ以外から出展)。2020年は開催中止だったためリアル開催された2019年の実績をみると、来場者数が215000人(40%以上 の来場者がドイツ国外から来場)で出展者数は6500社(75ヵ国・地域、約60%がドイツ 国外から出展)であり、日本からの出展者(海外現地法人を含む)は84社だった。

 2019年のレベルを目標としたいものの、商品をアピールしたい出展社はさておき、来場者からはリアル開催への参加はまだハードルが高いという声も聞こえてくる。そこで2021年のデジタル開催での反省なども踏まえて、デジタル開催への参加でもリアル開催に参加したような情報収集が可能となるよう、オンライン上でのツアーや出展社へのインタビューなども計画している。コロナ禍での出展および来場におけるサービス向上を目的に現在、多数の協力会社とともに企画を進めているところだ。

 リアル出展はするが現地には行けない企業向けには、リアルなブースを会場に設置するとともに代理スタッフ(独語・英語)を配置し、ブースへの集客やカタログ配布、出展製品の説明をブースで行えるプランも用意している。また、端末を通じて、会場にいる来場者と日本にいる出展者とのオンラインミーティングのセッティングも行うほか、問い合わせやトラブル対応の日本人スタッフも会場に常駐させるプランとなっている。

 ハノーバーメッセ2022出展の詳細に関する問い合わせは、以下のとおり。
Email:masahito.takeo@intl-linkage.co.jp ウェブサイト:https://intl-linkage.co.jp/dm/

 

ハノーバー国際見本市会場

 

本年11月9日、英・仏・独の国際展主催4社がアフターコロナの欧州グローバルビジネス最新動向を日本企業に発信

 海外ビジネス促進に向けた国際展示会の開催が始まる中、インフォーマ マーケッツ ジャパン、ドイツメッセ日本代表部、フランス見本市協会日本事務所、メッセ・デュッセルドルフ・ジャパンは本年11月9日、「グローバルビジネス再開の波に乗り遅れるな!」と題したカンファレンスをハイブリッド形式で開催する。世界の展示会業界をリードする4社が日本企業向けに合同で情報発信を行うのは今回が初めてとなる。カンファレンスでは、専門展示会を中心に、コロナ後の国際ビジネスの再開に向けた各国の最新動向を緊急報告する。

 欧州ではすでに9月から専門展示会がリアルで再開され始めており、2年ぶりのリアル開催となる世界最大の医療機器の展示会「MEDICA」(2021年11月15日〜18日、ドイツ・デュッセルドルフ)では、全体の展示規模は約3700 社とコロナ以前の6割ではあるが、出展国数は70ヵ国となり、2019 年の66ヵ国を上回っている。韓国の266社など、コロナ前を上回る規模で出展する国もあり、アジア各国も積極的に欧州展示会への参加を表明している。しかしながら一方で、日本からの出展は64社とコロナ前の3割にとどまっており、世界的に経済回復に向けた動きが加速する中、日本にはいまだ「様子見」「自粛」のムードが重くのしかかっていることがうかがえる。

 イギリス、フランス、ドイツの展示会主催4 社は、こういった様子見が日本のグローバル経済活動の立ち遅れにつながる可能性を危惧し、日本企業に海外ビジネス促進に有益な判断材料を提供することを目的に、今回、合同カンファレンス開催を決定したもの。具体的には、各国の展示会政策や緩和措置、コロナに配慮した開催・運営方針、オンラインイベントとの差別化ポイントなどの最新情報を発信し「今、欧州で何が起こっているのか」を伝えるとともに、日本にとってのビジネスチャンスを提示し、日本企業への応援メッセ―ジを送る場としたいと考えている。

 参加は無料なので、グローバルビジネス再開に意欲的な日本の企業・団体・自治体等の海外事業 担当者の方に、ぜひ参加いただきたい。

【開催概要】

日時: 2021年 11月9日(火)15 00~16 00
主催: インフォーマ マーケッツジャパン、 ドイツメッセ日本代表部、フランス見本市協会日本事務所、メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン
参加費:無料
申込ウェブサイトhttps://cheer-upnippon.peatix.com
使用言語:日本語
プログラム
1.「 欧州 ドイツのリアル展の現状と2022年の展望」ジェトロ・デュッセルドルフ事務所次長 木場 亮氏
2.「直近の出展 日本企業が語る:ヨーロッパの現場で感じた熱」 発表企業選定中
3.パネルディスカッション「日本に知ってほしいコロナで変わった欧州展示会ビジネス」
パネリスト:
英:インフォーマ マーケッツ ジャパン 代表取締役社長 クリストファー・イブ氏
仏:フランス見本市協会 日本代表 井田絵里佳氏
独:メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン 代表取締役社長 小原暁子氏
ドイツメッセ 日本代表部 代表 竹生学史氏
4.Q&A
 
 

左からパネリストのクリストファー・イブ氏、井田絵里佳氏、小原暁子氏、竹生学史氏 kat 2021年10月14日 (木曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和3年度第2回研究会」を開催

2年 6ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和3年度第2回研究会」を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整・理化学研究所 主任研究員)は10月5日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホールで「令和3年度第2回研究会」を開催した。今回は「第8回 板橋オプトフォーラム」のセッションの一つとして企画され、実地およびオンラインによるハイブリッド開催となった。

 当日は板橋区長・坂本 健氏の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演がなされた。

【基調講演】
・「新型コロナウイルス感染症と光科学」合田圭介氏(東京大学)…新型コロナウイルス(COVID-19)では、微小血管血栓症が患者の重症度や死亡率に及ぼす重要な要因の一つであることが明らかになっている。本研究では、COVID-19における微小血栓形成のプロセスを理解するために、COVID-19患者の血液細胞を高速光イメージングでプロファイリングすることで、循環する微小血栓情報を得た。本研究で用いたデータ駆動型解析手法は、①COVID-19患者からの採血(1mL)、②血液から微小血栓を分離するサンプル調整、③マイクロ流体技術とハイスループット光学顕微鏡を用いた微小血栓の撮像、④画像解析、から構成。微小血栓画像のビッグデータを解析した結果、COVID-19患者全体の約9割において、過剰な微小血栓が異常に存在することが分かった。さらに、微小血栓の濃度とCOVID-19患者の重症度、死亡率、呼吸状態、血管内皮機能障害度に強い関連性があるという結果が得られた。

【トライボセッション】
・「AEによる潤滑下のDLC密着力評価方法の開発-試験中の圧子形状と粗さ変化がDLC膜の密着力に及ぼす影響-」馬渕 豊氏(宇都宮大学)…ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の応用拡大には、課題となっているDLC膜の密着力を高い精度で評価・管理することが必須で、馬渕氏らは、DLC膜の密着力を潤滑下でアコースティックエミッション(AE)センサーを用いて評価する新しい試験法をISOの専門委員会TC123(すべり軸受)よりISO規格に提案している。本研究は、ボールを固定した治具に対し、DLC膜を成膜したディスクを保持する治具が回転し、3個のボールを通してステップ荷重を付与することで、はく離時に発生する弾性波を治具に固定したAEセンサーで検出するという試験手法を用いて、添加剤の異なる潤滑剤がDLC膜の密着性に及ぼす影響を、応力解析および潤滑状態(λ ratio)の2点に着目して検討した。その結果、極圧添加剤ZnDTPを含むエンジン油とMoDTCを含むエンジン油では、接着強度が向上した。また、応力σxは、曲率半径と摩擦係数を考慮して計算したが、接着強度のオーダーと一部異なっており、σxだけでは説明できない結果となった。さらに、曲率半径と表面粗さを考慮して潤滑条件λ ratioを算出した結果、潤滑条件が接着強度に大きく影響することが分かった。

・「自動車における電動化技術の動向とモノづくり」西村公男氏(日産自動車)…ePOWERにおけるフリクション低減技術として、シリンダーボアに鋳鉄製シリンダーライナーを挿入する代わりに、溶かした鉄をシリンダーボア内部に溶射し、溶射膜を鏡面仕上げにすることで、ピストンが動く時の抵抗を大幅に低減させる「ミラーボアコーティング」を紹介。ミラーボアコーティングと従来処理との表面性状の違いや、鏡面化によるフリクション低減効果、溶射のポロシティ(閉鎖型オイルポケットシステム)による動圧効果などについて説明した。また、電動化時代のギヤフリクション低減技術について紹介。①ハイポイドギヤの負荷かみ合い解析を用いて精度よくハイポイドのかみ合いフリクションを予測できること、②ハイポイドギヤの諸元は、ねじれ角とオフセットを小さくし、歯幅を増やすことで音振性能と強度を満足させられること、③歯面形状は歯型クラウニングを大きくし、ピッチラインから遠い滑り速度の大きい部分がかみ合わないようにしても、歯当たりが小さくなり面圧が上がるのでフリクションは下がらないこと、④フリクション低減と音振性能を満足させる方策としては、アンダーカットを考慮しアデンダムを変更し、ピッチラインの位置を変更することが有効である、と結論付けた。

【オンデマンド・マイクロセッション】
・「摩擦摩耗モデルと動力解析による工具切れ味の機械学習による自動判定について」春日博氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室)…研削加工に用いられる砥石は、ドレッシング後の「切れる状態」から、加工が進むにつれて砥粒が摩耗・摩滅して「切れない状態」へと変化するため、再びドレッシングを行い、繰り返し使用される。このような研削加工中の砥粒の状態の把握では、加工音や被削材観察による定性的な評価に頼っているという実情がある。そこで本研究では、研削加工中の異なる砥粒状態の摩擦係数を取得することで砥粒の定量的評価を実現し、工具切れ味の機械学習による自動判定を目指した。砥石と材料の摩擦係数と摩擦回数という評価指標を定量化。機械学習による自動化によって目立て状態と目つぶれ状態という工具状態の分類に適用可能とした。さらに、訓練開始点(訓練データの差異)が工具状態分類の正解率に影響すると総括した。

・「デスクトップAI加工:サイバーカットについて(第三報)-切削加工の適用制御-」上原嘉宏氏(日本工業大学)…理化学研究所 大森素形材工学研究室では2006年、産業技術総合研究所(産総研)とともに属人的な加工技術・技能をテンプレート化して蓄える仕組みを研究開発する「技能継承プロジェクト」に取り組み、その仕組みの構築により、若手技術者が速やかに一定のレベルの加工ができるようになった。未知の工作物に対し過去の事例を参照し加工条件出しを効率化してトライアンドエラーを低減させるこの仕組みは「加工プロセスカルテ」と命名された。さらに、2016年からの産総研とのチャレンジ研究を通して加工技術・技能を抽出する「技能デジタイザー」の研究に取り組んだ。技能デジタイザーは超高齢化や労働力の減少などの「2050年問題」という深刻な社会情勢を前に、加工技術・技能の抽出と継承を人の手を極力借りずに行うコンセプトであり、技能デジタイザーの研究では、オペレータによる作業実況と加工状態のモニタリングによって加工条件を自動的に更新でき適正な加工を行えるAI加工技術「サイバーカットシステム」が開発され、このシステムをデスクトップ加工機「ピコマックス(百式)」に搭載した。スピンドル回転数の減少またはトルク電流値の増加が認められた場合は、送り速度を任意の割合で減少させ実送り速度を下げる。さらに回転数の減少またはトルク電流値の増加が認められた場合は同様に送り速度を減少させる(あらかじめ回転数、電流値、減少率の閾値を設定)。これを繰り返して最終的に、あらかじめ設定した送り速度の減少率の下限になった場合は、次の加工パスにおいて切り込み量を任意の量で減少させ、再度加工を行う。切り込み深さの減少についても同様に繰り返す。実験では、スピンドル回転数の変化に伴い、GセンサーやAEセンサーの数値の振れ幅が大きくなっていることが確認された。また、加工負荷も同様に大きくなり、最低のオーバーライド値が小さくなっていることが分かった。今後は送り設定速度の変化により実際に動作するオーバーライドの値について検証を行うとした。

 

開催のもよう

 

kat 2021年10月12日 (火曜日)
kat

不二越、専用コーティング採用のラウンドツール3種を市場投入

2年 6ヶ月 ago
不二越、専用コーティング採用のラウンドツール3種を市場投入

 不二越はこのほど、ユーザーの生産現場において今後、多品種少量生産や部品の小型化などにより多種多様なラウンドツール(ドリルやタップ、エンドミルなど)の需要拡大が見込まれることから、新たなラウンドツールとして、「アクアREVOシリーズ」の新商品と、長寿命と低トルクを実現する「ZTフォーミングタップ」を市場投入する。

 アクアREVOドリルマイクロは、電機・電子や自動車部品の小径穴加工を狙いに、これまでの寸法範囲φ2.0~16.0 のスタブ・レギュラ・セミロングに加え、長寿命・高能率・多用途の特徴を保持しつつ、新たな材料・形状を開発・採用した。5D寸法範囲はφ0.5~1.99で全150寸法。10D寸法範囲はφ0.5~1.99で全150寸法。

 アクアREVOドリルマイクロでは折れにくさを追求し、超微粒子超硬合金とオリジナルの成分設計により、硬さと靭性を両立したマイクロドリル専用の超硬材料を新開発。また、剛性と切りくず排出性を重視した溝形状を採用した。さらに、耐摩耗性の高いAlTi系と耐酸化性の高いAlCr系の被膜をナノレベルで積層+超平滑化処理からなるマイクロドリル専用コーティングREVO-Dコートを採用、高精度に膜厚をコントロールし表面の摩擦抵抗を低減することで、耐摩耗性・切りくず排出性を向上した。

 これらにより他社従来品に対して、ねじり破壊トルク(工具にねじりを加えた時に、破壊に至る力)が他社従来品比11.2 倍(φ0.5 の場合)を実現するほか、求心性と剛性の最適化設計により、穴位置精度を他社従来品比で25%アップし、安定加工が可能となっている。

アクアREVOドリルマイクロ

 

アクアREVOドリルマイクロ専用コーティング

 

 アクアREVOミル4Dは、自動車・産業機械の幅広い分野に向けて、これまでのアクアREVOミル1.5D・2.5D に加え、ロング刃長に最適な新形状を採用した。4枚刃4D Gタイプ(ギャッシュランド)寸法範囲はφ1~20で全20寸法。

 アクアREVOミル4Dでは工具の心厚(工具の先端部の溝底によって形成された部分の厚さ)を大きくし剛性を高めたことで、切削時の工具のたわみを抑制。加えて、シャープな切れ刃形状で切削負荷を低減し、他社従来品に対して被削材の加工面倒れが1/3 以下となり、安定加工を実現した。

 また、高強度超硬母材との密着性強化膜であるAlCrN膜+耐熱性・耐熱衝撃性強化膜であるAlCrXN積層膜+超平滑化処理からなる専用コーティングREVO-Mコートの採用により、高い耐摩耗性と耐熱性を付与することで工具の摩耗を抑制するだけでなく、優れた耐熱衝撃性を実現。切りくず離れを向上し、切りくずの噛み込みによるチッピングを防止する。

 同社はまた、2016 年に新ジャンルの革新タップ「Hyper Zタップシリーズ」を商品化。安定した加工精度と切りくず排出性を両立する刃先・溝形状と、独自の表面処理を施した切削タップで、ユーザーの生産性向上とコストダウンに貢献してきたが、自動車部品などの量産ラインでは生産性向上のため、一層の長寿命化や安定した加工が求められており、切りくずトラブルが発生しない盛上げタップの需要が拡大していた。

アクアREVOミル4D

 

アクアREVOミル4D専用コーティング

 

 これに対し同社では今回、新開発の材料・形状・コーティングで、圧倒的な長寿命と低トルクを実現する、頂点を極めた(Zenith)、強靭な(Toughness)盛上げタップ「ZTフォーミングタップ」を市場投入する。

 ZTフォーミングタップでは、盛上げタップ専用に組織を微細化したコバルトハイスを開発。ハイス母材の靭性を維持したまま高硬度化を実現している。

 ZTフォーミングタップではねじ山盛上げ部にマージンレスを採用。接触面積を小さくすることで摩擦抵抗を低減し、加工トルクと摩耗進行を抑制。新開発の油溝形状で切削油剤の流量を向上させ、先端まで油剤が届きにくい横形マシニングセンターでも、高い潤滑性能を発揮。

 また、新開発のZTコーティングは、靭性を向上させたAlTi 系膜と超平滑化処理の組み合わせにより、膜性能を最大限にし、低摩擦で優れた耐摩耗性・耐熱性を発揮する。これにより、加工機械を問わず、他社従来品に対して3 倍以上の長寿命化を実現できる。

 さらに、新形状の採用により、低トルク仕様で加工抵抗を抑え、バリの少ない安定しためねじ加工が可能なほか、延性の強いアルミニウム合金から、高硬度の調質鋼に至るまで、幅広い被削材に対応している。

ZTフォーミングタップ

 

ZTフォーミングタップ専用コーティング 

 

kat 2021年10月1日 (金曜日)
kat

大塚電子、10/19にDLCテーマにWebセミナー【膜厚測定 特別セミナー】を開催

2年 7ヶ月 ago
大塚電子、10/19にDLCテーマにWebセミナー【膜厚測定 特別セミナー】を開催

 大塚電子(https://www.otsukael.jp/event/detail/eventid/382)は10月19日15時から、Webセミナー【膜厚測定 特別セミナー】を開催する。

 当日は、トライボロジー表面改質、固体潤滑被膜の研究の第一人者である名古屋大学教授・梅原徳次氏が、”反射分光膜厚計による無潤滑下及び潤滑油下の摩擦界面その場観察による摩擦メカニズムのその場解析”をテーマに、各種薄膜のトライボロジー特性の改善における反射分光膜厚計を用いた有効性について講演を行う。受講料は無料。

 透明なサファイアガラスと固体表面の無潤滑下および潤滑油下での摩擦界面を反射分光膜厚計で観察し、窒素雰囲気下におけるCNx膜の構造変化層の厚さと物性の摩擦係数に及ぼす影響が明らかになり、薄膜の固体潤滑理論で摩擦係数の推定が可能であることが明らかになった。また、潤滑油下においても極表面の油の分極率と摩擦の関係が明らかになった。さらに、不均一な油の油潤滑における潤滑油層の濃度分布が明らかになっている。具体的な講演の項目は以下のとおり。

1.反射分光膜厚計を用いた摩擦界面その場分析法の有効性
2.窒素含有DLC膜(CNx膜)の窒素雰囲気下超低摩擦機構の解明
3.ベース油中CNx膜の摩擦メカニズムの解明
4.二液分離油による摩擦における摩擦メカニズムの解明

 また、大塚電子・後藤秀平氏より、同社の光干渉法と高精度分光光度計により、非接触・非破壊かつ高速、精度で膜厚測定を可能にした反射分光膜厚計についての紹介がなされる。

 

顕微分光膜厚計 OPTM series主催

大塚電子

開催日

2021年10月19日(火)15:00~16:30

受講料

無料

プログラム

・15:00~16:00 梅原徳次氏(名古屋大学大学院 工学研究科 教授)

・16:00~16:10 後藤秀平氏(大塚電子)

・16:10~16:30 梅原徳次氏(名古屋大学大学院 工学研究科 教授)

会場

オンライン

申込先

大塚電子

https://www.otsukael.jp/event/entry/eventid/382

ホームページ

大塚電子

https://www.otsukael.jp/event/detail/eventid/382

kat 2021年9月22日 (水曜日)
kat

日立金属、3Dプリンタを用いた試作造形サービスを開始

2年 7ヶ月 ago
日立金属、3Dプリンタを用いた試作造形サービスを開始

 日立金属( https://www.hitachi-metals.co.jp/ )は、金属積層造形(金属3Dプリンタ)事業の強化に向け、試作造形サービスを開始した。用途に適した特性を持つ金属3Dプリンタ用材料だけでなく、金属3Dプリンタならではの最適な設計を適用した造形品を提供する。

パウダーベッドタイプによる試作造形の模様

 同社は、コーポレート研究所「グローバル技術革新センター Global Research & Innovative Technology Center(GRIT(グリット))」において、金属3Dプリンタ用の金属粉末の開発や積層造形のレシピ開発および造形品の製品化に関する技術開発に取り組んできた。また、金属3Dプリンタ事業の強化に向け、2020年4月1日付で「AMソリューションセンター(AMSC)」を設立し、社外パートナーとの協創を推進し、金属3Dプリンタを起点として、粉末射出成形や精密鋳造といった幅広い造形分野を対象に、素材、設計、加工、レシピまで含めたソリューションの提供を始めた。

 こうした中、同社は金属3Dプリンタ事業のさらなる強化に向け、AMSC内に試作造形を請け負う部門としてAMプロダクションベース(AMPB)を設立し、積層造形の試作サービスを本格的に始めた。

 AMPBは、これまでGRITで積み重ねてきた造形開発の成果と同社がこれまで各分野で蓄積してきた製品化技術および品質保証技術を活用し、社外パートナーと協力しながら、試作造形品を提供する。また、同社オリジナル材のみならず、一般的な規格材での積層造形にも対応する。さらに、顧客の希望に応じて、積層造形で製作する部品の継続供給もサポートする。

 

admin 2021年9月17日 (金曜日)
admin

ナノコート・ティーエス、水素フリーDLCの受託加工を開始

2年 7ヶ月 ago
ナノコート・ティーエス、水素フリーDLCの受託加工を開始

 ナノコート・ティーエス(https://www.nanocoat-ts.com/)はこのほど、石川県能美市の石川事業所にフランスHEFグループの開発したスパッタリング+陰極アーク+プラズマCVDのハイブリッドプロセスを用いた、中型ta-Cコーティング装置「TSD 550-CMT」を導入し、水素フリーのダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング(ta-C)「セルテス® CERTESS® TC」の受託加工を開始した。50GPaを超える高硬度で優れた耐摩耗性を示すとともに、最適化された下地層・中間層により極めて優れた密着力を有する。特に鋼上の密着力が強いことを強みとしている。また、2μm以上の厚膜ta-Cが量産レベルで容易に可能なことや、成膜温度180℃以下の低温処理が可能なことも大きな特徴。

ナノコート・ティーエス 石川事業所

 同社では、成膜後研磨技術を併用しながら、HEFグループで実績のある自動車部品のほか、非鉄金属材料向けの精密成形金型・治工具分野の市場開拓を進めていく考えだ。

 情報通信機器や自動車部品、家電・電子機器の小型化や多機能化に伴い、金型の高精度化や長寿命化、被成形品の表面品質向上の要求が高まっているほか、生産性向上や製造コスト低減などのニーズから、精密金型に表面改質を施すケースが増えてきており、中でも、精密金型における相手材の耐凝着性や離型性、耐摩耗性を向上させることが可能なDLCコーティングの適用が拡大してきている。

 精密金型にDLCコーティングを適用する際、被膜の密着性や被成形材の凝着性・離型性、表面の平滑性、耐摩耗性は重要な要素で、特にアルミニウムや銅、ニッケル、リードフレーム材、樹脂材料などの非鉄金属材料は、成形中に金型表面に付着しやすいため、被成形品の表面にカジリや傷などが発生し、寸法・品質不良となることがある。このような金型表面への被成形材付着の抑制には平滑性と熱・化学安定性の高いDLCコーティングを選定することが重要で、また、DLCコーティングを硬くすることにより被膜の耐摩耗性や耐カジリ性を向上できる。こうしたことから精密金型の使用条件に最適なDLCコーティングとして、平滑性に優れ硬度の高いta-Cコーティングへの要望が高まっていた。

 今回石川事業所に設置した、ta-Cコーティング装置「TSD 550-CMT」で成膜されたta-C「セルテス® CERTESS® TC」は、精密金型用コーティングとして要求される高密着性と50GPaという高い硬度を実現できる。

ta-Cコーティング装置 TSD 550-CMT

 

kat 2021年9月10日 (金曜日)
kat
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42 分 43 秒 ago
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