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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

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ナノコート・ティーエス、EMC・ノイズ対策技術展で電磁波シールドPVDコーティングなどを披露

1年 10ヶ月 ago
ナノコート・ティーエス、EMC・ノイズ対策技術展で電磁波シールドPVDコーティングなどを披露

 ナノコート・ティーエス( https://www.nanocoat-ts.com/ )は7月26日~28日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「TECHNO-FRONTIER 2023」の構成展示会の一つである「第36回 EMC・ノイズ対策技術展」に出展した。

ブースのようす

 今回は、同社石川事業所ですでに受託加工を開始している、自動車電装機器の樹脂製筐体への電磁波シールド物理蒸着(PVD)コーティング「PROCEM™」を紹介。自動車電装機器の電磁波シールド仕様を十分にクリアしているほか耐食性が良好で、電磁波シールドめっきと比較した場合の利点として、①めっき処理が可能な樹脂基材に制約があるのに対し、PROCEM膜では、ABS・PC・ポリアミド(PA)・ポリメチルメタクリレート(PMMA)・ポリアリルアミン(PAA)・ポリイミド(PI)・ガラス繊維など、ほとんどの樹脂基材およびコンポジット基材に対して、密着性が極めて高い電磁波シールド被膜をダイレクトに成膜できること、②環境負荷が極めて小さいドライコーティングであること、③めっき皮膜では電磁波シールド性を付与するのに数十μmと厚膜にする必要があるのに対して、PROCEM膜は膜厚1~2μmの薄膜で電磁波シールド機能を付与できるため、樹脂製筐体への成膜前後の寸法変化・重量変化がないこと、といった多くの特徴を有する。

 ブースではレーシングマシンの樹脂製ボディー全面にPROCEM膜を処理した模型を展示。複雑形状に均一・平滑に成膜でき漏れのない電磁波シールド特性を付与できるイメージを表現した。

ボディー全面にPROCEM膜を処理したレーシングマシンの模型
(製作:石川事業所 所長 安田直史氏)

 ブースではまた、PROCEM膜により得られる電磁波減衰効果のデモンストレーションを実施、電磁波/電磁場放射テスターによる計測の結果、PROCEM膜を処理したキャップで覆うことで著しい電磁波減衰効果が得られていることが示された。

PROCEM膜により得られる電磁波減衰効果の実演
上が電磁波シールド前、下が電磁波シールド後

 そのほか、PROCEM膜の最表面に耐摩耗性など高耐久性を付与でき、センサー類の高い動作信頼性を実現できるダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティング「CERTESS」の導電性タイプなども紹介された。

 さらに近年対応が急がれている有機フッ素化合物(PFAS)対策として、シリコンゴムにDLCコーティングを施し滑り性を向上、フッ素樹脂コーティングの代替とする技術も提示された。

PFAS対策:滑り性を向上させるゴムへのDLCコーティング

 

kat 2023年7月31日 (月曜日)
kat

高機能トライボ表面プロセス部会、第5回合同研究会を開催、ドライコーティング研究会は今回で解散

1年 10ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第5回合同研究会を開催、ドライコーティング研究会は今回で解散

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は6月30日、兵庫県姫路市の姫路・西はりま地場産業センター(じばさんびる)で第5回目となる合同研究会を開催した。前者は第21回例会となる。後者は第63回研究会となるが、今回で解散することが発表された。

開催のようす

 高機能トライボ表面プロセス部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 また、AMPIでは所有する各種のレーザ装置やプラズマ装置を利用した加工技術や表面改質技術の研究開発、中小企業の技術支援、という二つのミッションを通じニーズとシーズを常に探っているが、ドライコーティング研究会はこうした観点からAMPIを母体にして、ドライコーティングなどの技術について研究会を開催することで、産官学問わず幅広い有識者の参加により、専門家の講演や保有技術の紹介など、活発な情報交換や勉強会の場を提供している。

 今回の合同研究会では、高機能トライボ表面プロセス部会の上坂氏の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演が行われた。

挨拶する上坂氏

「 プラズマCVDを用いたダイヤモンド結晶成長技術開発の最前線 」山田英明氏(産業技術総合研究所関西センター)…近年、人工宝飾用ダイヤモンド市場においてCVD製の存在感が増してきている。産業利用を見据えたさらなる市場拡大には、CVDによる種結晶の大型化と高品質化を図る技術が必須。これに対し産総研では、ミリ単位でクラックフリー厚膜化を実現、モザイク基板ならばインチサイズまで拡大できている。CVD成長中に品質を改善する手法の開発も立ち上がりつつある。通常の半導体プロセスで利用される手法が網羅的に試されているわけでもなく、結晶成長メカニズムが完全に理解できているわけでもない。合成装置・加工技術開発に加え、真のデバイス優位性・特性を示すことが重要で、今後特性と結晶性との相関とともに優位性を着実に示していきたい、と総括した。

講演する山田氏

「AIP-iXによる成膜技術と皮膜特性」竹井良将氏(神戸製鋼所)…AIP(Arc Ion Plating)で形成した皮膜は緻密で密着力が高く硬質皮膜形成に適している。切削工具用途として代表的な皮膜である立方晶AlCrN皮膜は、一般的にAl含有率が高いほど機械的特性(硬さ/弾性率)や耐酸化性が向上する一方で、金属元素のうちAl含有率が70at%以上では皮膜の結晶構造が立方晶から六方晶へと変化してそれら性能が低下してしまうという課題があった。この課題に対し、コア技術であるアーク蒸発源とエッチングシステムを刷新することで、皮膜の金属元素のうちAl含有率70at%以上でも立方晶を維持し表面粗度も良好(ドロップレット低減)な硬質AlCrN皮膜の形成を可能とした新型PVDコーティング装置「AIP-iX」を紹介した。

講演する竹井氏

「GCIB(Gas Cluster Ion Beam)による高密度・低残留応力DLC膜の形成 」西山昭雄氏(野村鍍金)…ガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた水素フリーダイヤモンドライクカーボン(DLC)を作製(GCIB-DLC)。GCIBの低エネルギーかつ高密度エネルギー照射効果を利用することにより、ta-Cと同程度の2.9g/cm3以上の高密度と1GPa程度という膜の低残留応力(ta-Cの半分以下で、はく離しにくい)のDLCが得られ、膜の脆弱性改善・密着強度の向上によって長寿命化を達成している。耐久試験結果では、はく離や膜破壊が生じにくいこと、摺動特性に優れ、チタンやアルミなどの比較的軟質な材料に対しても傷をつけにくいなど、異常摩耗を最小にできることなどが分かった。

講演する西山氏

「ホットチューブを用いたCVDによるダイヤモンド膜の合成」田中一平氏(兵庫県立大学)…三次元形状に成膜が可能、装置構造が簡単、厚膜化が可能という熱フィラメントCVDの、低成膜速度、温度分布、高基板温度、フィラメントの調整といった課題解決に向けて、効率的な加熱・分解、吹付効果、基板温度の低温化といった効果が想定されるホットチューブCVD法を紹介。ホットチューブCVDによるダイヤモンド合成において、チューブ(フィラメント)温度1500~1700℃で成膜速度が最大15.7μm/hのダイヤモンド膜が得られた。また、チューブ温度のさらなる高温化で高速成膜が期待できることから、ホットチューブCVDが新しいダイヤモンド成膜法として確立できるよう引き続き努めていく、と総括した。

講演する田中氏

 閉会の挨拶に立ったドライコーティング研究会の殖栗成夫氏(AMPI)は「大変遺憾ながら会の運営が難しく、今回第63回をもってドライコーティング研究会を解散する」と述べ、同研究会は2002年度以来20余年の歴史に幕を閉じた。

挨拶する殖栗氏

 また、高機能トライボ表面プロセス部会の上坂氏より、自身がセンター長を務める、プラズマを用いた新たな産業創出と現有技術を含めた県内企業など産業界へ展開するために2022年度に開設された、岐阜大学 プラズマ応用研究センターの概要が紹介された。“共同研究等により研究成果の社会実装および社会人教育を通じて、地域産業界の発展に貢献する”という同大学の地域連携に関する理念のもと設立された“ワンストップ・プラズマトライセンター”を掲げるプラズマ応用研究センターが保有する、MVP(Microwave sheath-Voltage combination Plasma)プロセス装置、マグネトロンスパッタリング装置(CVD複合化)、大気圧プラズマ装置、EBEP処理装置、HiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)成膜装置など豊富な設備を紹介しつつ、各種保有設備を利用しての産学共同による研究を呼び掛けた。

kat 2023年7月31日 (月曜日)
kat

Rtec-Instruments、第1回セミナー&ユーザーズミーティングを開催

1年 11ヶ月 ago
Rtec-Instruments、第1回セミナー&ユーザーズミーティングを開催

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は7月11日、東京都葛飾区の東京理科大学 葛飾キャンパスにおいて、同大学 工学部 機械工学科 教授の佐々木信也氏の協力のもと、Rtec-Instruments日本法人(社長:國井卓人氏)立ち上げ後初となる「第1回セミナー&ユーザーズミーティング」を開催した。佐々木氏によるトライボロジー特性評価の基礎に関するセミナーのほか、Rtec社の企業紹介やプロダクトポートフォリオ、新規アプリケーション、製品アップグレード情報、新規ビジネスなどについて紹介がなされたほか、同社の多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や三円筒転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機などの実機見学・デモなどが実施された。

開催のようす

 

 当日はまず佐々木氏が「トライボロジー特性評価の基礎」と題して講演した。今後の課題としてはトライボロジー分野におけるDX推進があるが、それにはベースとなる基本データを蓄積するメカニズムや、基礎的な知見の集約と体系化、評価・分析技術が重要で、評価・分析技術においてはデータ活用のための互換性(標準化・デファクト)と、膨大なデータ取得に対応する複合・自動化が必須、と説明。求められるトライボロジー特性に関する評価・分析装置としては、摩擦試験機では①データの汎用性と信頼性:試験手順の標準化(プロトコル)=デファクトスタンダード試験機、②点のデータから面・空間のデータへ:連続した測定条件下でのデータ取得=多機能型摩擦試験機、③感性価値の定量化:官能評価との高い相関=カスタマイズ試験機、などが求められ、関連する評価・分析装置では、①摩擦・摩耗データとの紐づけ=分析機能複合型評価装置、②表面物性データ:表面極近傍の高精度な測定、などが求められると総括した。

講演する佐々木氏

 

 続いて、Rtec社日本法人社長の國井氏から、新製品のベンチトップ型多機能摩擦摩耗試験機「MFT-2000A/2000」について、①ストロークと荷重をソフトウェアで制御、②摩擦力や摩擦係数など基本的な摩擦試験情報を自動取得、③特注サンプルの固定ホルダ、④AE、ECRなどのセンサーを搭載可能、といった特徴を紹介した。また、3Dプロファイラについて今秋から画像解析ソフトウェアが標準搭載化される予定であるや、航空宇宙分野や固体潤滑剤の評価に適した真空トライボメーターを開発したことなどが報告された。また、新規ビジネスとして、今後は受託試験や試験片製作に対応していく予定で、米国本社から各国へのトップダウンを廃止し、日本法人を含む各拠点がプロダクトスペシャリストとして開発・サポートを実施していくことを表明した。

発表する國井氏

 

 Rtec社 アプリケーション&セールス マネージャーの兒島正宜氏が、転がり滑り摩擦・転がり接触疲労をテーマに発表。転がり摩擦試験機としてモジュール交換式で摺動形態の自由度が高い多機能型摩擦摩耗試験機MFT-5000を、転がり疲労試験機としてAEセンサーや加速度センサーで疲労を検知でき転がり接触疲労(RCF)試験や耐ピッチング評価、耐スカッフィング評価ができる最新型二円筒/三円筒疲労試験機「TRT-1000/MTP-3000」を紹介した。

発表する兒島氏

 

 最後に、Rtec社販売代理店である三洋貿易の狩野陽平氏が、同社が主に取り扱うRtec社製品である多機能摩擦摩耗試験機MFT-5000について、潤滑性の耐摩耗性・極圧性評価、ベルト式CVT油の金属間摩擦特性試験、プラスチックの滑り摩耗試験、金属加工油のタッピングトルク評価といった日本国内での代表的なアプリケーションの紹介や、3Dプロファイラ―、2D capasitiveセンサー、トラクション試験モジュールなどの新技術について紹介した。

発表する狩野氏

 

 以上のセミナーに続いて、三円筒型ピッチング試験機MPT-3000、スクラッチ&インデンテーション試験機SMT-5000、多機能摩擦摩耗試験機MFT-5000を用いたデモンストレーションの見学会が行われた。

スクラッチ&インデンテーション試験機SMT-5000を用いたデモンストレーションのようす

 

 同社では今後、テーマ別、アプリケーション別に定期的にセミナー&ユーザーズミーティングを開催していく計画だ。

kat 2023年7月27日 (木曜日)
kat

日本熱処理技術協会、11月13日〜16日に第28回熱処理国際会議を開催

1年 11ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、11月13日〜16日に第28回熱処理国際会議を開催

 日本熱処理技術協会は11月13日〜16日、パシフィコ横浜 会議センター3階で「第28回熱処理国際会議(IFHTSE2023、実行委員長:奥宮正洋氏(豊田工業大学) https://jsht.or.jp/ifhtse2023)」を開催する。講演大会終了の翌日17日には工場見学なども計画されている。

 

 IFHTSE2023にはヨーロッパやアメリカ、アジア等から多くの参加者が見込まれており、以下のようなトピックスで一般講演が行われる。

・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理技術

・表面硬化技術

・焼入れ技術

・積層造形技術における熱処理および熱化学処理

・表面被覆技術

・ロウ付け

・熱処理および表面技術の金属物理

・熱処理および表面処理部品の試験・評価法

・熱処理および表面処理のモデリング・シミュレーション

・部品の残留応力と変形

・工業炉および表面処理炉

・人工知能によるプロセス制御と熱処理および表面処理の信頼性

・省エネルギーとCO2 排出削減

・熱処理および表面処理の環境対策

・ショットピーニング

・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理・加工とそのメタラジー・特性

 IFHTSE2023実行委員会ではまた、Plenary LectureおよびKeynote Lectureの候補者を選定。Plenary LectureではデンマークのTechnical University of DenmarkのMarcel Somers氏に窒化・表面硬化熱処理に関して、香港の香港城市大学のLu Jian氏が結晶粒微細化に関して、それぞれ講演を行う予定。Keynote Lectureでは、ハンガリーのObuda UniversityのImre Felde氏が熱処理シミュレーションに関して、イタリアのUniversity of TrenoのMassimo Pellizzari氏(現在IFHTSE副会長)が積層造形における熱処理に関して、九州大学の土山聡宏氏が合金設計と組織制御に関して、それぞれ講演を行う。Keynote Lectureではこのほか、「焼入れとひずみ」、「コーティング」等に関する講演も計画しており、熱処理・表面工学に関する最先端の有用な情報が得られる機会となる。

 また、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの熱処理の特色や現状の課題、今後の展開についての情報提供および議論を行う「熱処理サミット」の開催も計画している。熱処理サミットに関しては日本金属熱処理工業会の支援のもと、英語から日本語への同時通訳の準備も検討しており、より多くの人々への情報発信の機会となるよう準備が進められている。

 IFHTSE2023ではさらに、企業展示ブースを併設し、国内外の熱処理・表面処理・分析装置・測定装置等の様々な企業の展示も行う。現在、企業展示の出展社を募集、下記URLから申し込みできる。
https://jsht.or.jp/ifhtse2023/IFHTSE2023corporate.html

 講演に関して35 歳未満の発表者の中からTom Bell Young Author Award(TBYAA)が選ばれ、ポスター発表者の中から数名に優秀ポスター賞が贈られる。

 IFHTSE2023に関する問い合わせ先は以下のとおり。

〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-2-10
鉄鋼会館6 階 (一社)日本熱処理技術協会内IFHTSE2023 事務局
Tel: 03-6661-7167
E-mail: ifhtse2023office@jsht.or.jp
IFHTSE2023URL:https://jsht.or.jp/ifhtse2023
 

kat 2023年7月19日 (水曜日)
kat

Surface Technology Germany 2024が6/4~6に開催、ジャパンパビリオン出展社の見どころ紹介

1年 11ヶ月 ago
Surface Technology Germany 2024が6/4~6に開催、ジャパンパビリオン出展社の見どころ紹介

 「Surface Technology Germany 2024」が2024年6月4日~6日にドイツ・シュトゥットガルトで開催される。

 ここでは、同展におけるジャパンパビリオンに出展する各社の概要と出展製品・技術について紹介する

kat 2023年7月6日 (木曜日)
kat

新東LSPTレーザーピーニング、操業開始にあたりレーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会

1年 11ヶ月 ago
新東LSPTレーザーピーニング、操業開始にあたりレーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )グループの新東LSPTレーザーピーニング(SLP社)は9月15日、操業開始にあたり愛知県豊川市の新東工業 新東クラブで「レーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会」を開催する。

 レーザピーニングは現在、航空宇宙や発電分野を中心に適用されている加工方法で、局所への加工やチタンのような材料への加工が可能といったショットピーニングとは異なる特性を持っている。これらの特性から、レーザピーニングは薄膜コーティング後の強度向上や熱影響を受けやすい部品の強度向上を図ることができるため、医療部品やAM造形部品などへの適用領域の拡がりが期待されている。

 今回SLP社が開催する「レーザピーニングに関する特別講演会&工場見学会」では、オンサイトおよびオンラインでの参加者を対象に、レーザピーニング業界の権威である分子科学研究所の佐野雄二博士、埼玉工業大学の政木清孝博士と、新東工業の小林祐次博士による講演を実施する。また、講師3名によるトークセッションも実施する。さらに、オンサイト参加者についてはSLPレーザピーニング工場での「The Procudo Laser Peening System」デモンストレーション見学も実施予定。

 このイベントは新東工業Webサイトにて募集を開始している。オンサイト参加、オンライン参加ともに先着での申込受付となる。締め切りは7月31日。当日の主な内容は以下のとおり。

【講演①】
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所 社会連携研究部門 プログラムマネージャー/大阪大学 産業科学研究所 特任教授 博士(工学) 佐野 雄二 氏
「レーザピーニングの原理・効果・特徴とレーザの革新による新しい応用展開」
 レーザピーニングは、水で覆われた材料に高出力のパルスレーザを照射した際の衝撃力を利用して表面に圧縮残留応力を導入する技術であり、1990年代より航空および原子力分野で活用されている。ここでは、レーザピーニングの原理・効果・特徴等について、講演者らのこれまでの開発成果を中心に概説するとともに、近年のレーザ技術の発展によるレーザピーニングの新しい可能性について紹介する。

【講演②】
埼玉工業大学 工学部 機械工学科 教授 博士(工学) 政木 清孝 氏
「レーザピーニング処理による金属材料の疲労破壊抑制」
 講演者は2002年ころレーザピーニング処理したオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lの疲労特性を調査して以来、現在に至るまで20年以上にわたりレーザピーニング処理材の疲労特性を調査してきた。これまでの調査結果のなかで、「き裂発生」と「き裂進展」の抑制効果に注目した研究データをとりあげ、レーザピーニング処理による疲労破壊抑制の効果について紹介する。

【講演③】
新東工業 サーフェステックカンパニー 開発グループ ブラスト・レーザーテクノロジーセンター センター長/新東LSPT レーザーピーニング 取締役 博士(工学) 小林 祐次 氏
「ショットピーニングとレーザピーニングの特性の違いと対象アプリケーション」

【トークセッション】 佐野氏 × 政木氏 × 小林氏
「レーザピーニングの展望について(仮)」

【工場見学】
日本初導入・初披露となる LSP Technologies, Inc.製「The Procudo Laser Peening System」によるレーザピーニングデモンストレーション

admin 2023年7月5日 (水曜日)
admin

日本熱処理技術協会、9月28日、29日にサーモ・スタディ2023(栃木)を開催

2年 ago
日本熱処理技術協会、9月28日、29日にサーモ・スタディ2023(栃木)を開催

 日本熱処理技術協会は9月28日と29日の両日、栃木県産業技術センターと共催で、栃木県産業技術センターでの対面参加(栃木県宇都宮市ゆいの杜1-5-20)形式により、「熱処理テクニックの基礎と新しい熱処理技術」をテーマとする「サーモ・スタディ2023(栃木)」を開催する。

 申込締切日は9月21日で、以下URLから申し込みができる。定員は100名(対面参加)。聴講料は無料(申しみ確認後、受講券が発行される)で講演概要(テキスト)は5000円。

https://forms.office.com/r/iHkHnB2zRB

 内容は以下のとおり。

9月28日

9:30~ 9:40「開会の挨拶」関本充博氏(栃木県産業技術センター 所長)

9:40~10:40「窒化処理と設備の技術動向」武本慎一氏(DOWAサーモテック)

10:40~11:40「窒素による鋼の新表面硬化法」大西拓也氏(日本テクノ)

12:40~13:40「プラズマ窒化を利用する複合表面硬化処理」大沼一平氏(日本電子工業)

13:40~14:40「真空浸炭設備とその付帯設備」中本一朗氏(IHI機械システム)

14:50~15:50「環境にも現場にもやさしい真空浸炭炉」松本則幸氏(大同特殊鋼)

15:50~16:50「浸炭設備の高性能化と多様化」吉井聡一氏(中外炉工業)

9 月29 日

9:30~10:30「高機能表面改質装置とプロセス」木立 徹氏(オリエンタルエンヂニアリング)

10:30~11:30「水溶性焼入液の適用と液管理」柳原欣尚氏(ナガセケムスペック)

12:30~13:30「特徴ある熱処理油剤について」橋本誠二氏(日本グリース)

10 13:30~14:30「熱処理評価に用いる硬さ試験」小島光司氏(井谷衡機製作所)

14:40~15:40「金属表層の硬さ試験」山本正之氏(山本科学工具研究社)

15:40~16:40 「鋼の焼入れシミュレーションの現状」奈良崎道治氏(栃木県立衛生福祉大学校)

16:40~16:50「閉会の挨拶」日本熱処理技術協会 教育委員

kat 2023年6月30日 (金曜日)
kat

日本熱処理技術協会、7月24日~28日に2023年度熱処理大学を開催

2年 ago
日本熱処理技術協会、7月24日~28日に2023年度熱処理大学を開催

 日本熱処理技術協会は7月24日~28日、対面参加(東京工業大学 西9号館コラボレーションルーム 他、東京都目黒区大岡山2-12-1)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 熱処理大学」を開催する。本講座のカリキュラムは熱処理の基礎理論と熱処理現場が抱える諸問題を結びつけた集中的な講演で構成。受講者からは①新しい材料の知識を得ることができる、②熱処理の基礎を理解するのに最適、③講演の内容は平易で理解することが容易、④皆勤者には修了証書が授与される、など好評を得ている。

 申込締切日は7月14日で、以下URLから申し込みができる。定員は、60名(工場見学は先着30名)。参加費は対面、オンライン共に正会員50000円、維持会員50000円、非会員70000円(いずれも税込)。

https://forms.office.com/r/YvUpZ2vHQ4

 内容は以下のとおり。

7月24日

9:25~9:30「開校挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会教育委員

9:30~12:30「鋼の状態図と熱処理理論」竹山雅夫氏(東京工業大学)…「鉄は神様からの贈り物」である。ほんの少し炭素を加えるだけで、また、ほんの少し熱処理を工夫するだけで、その組織は様々に変化し目的に適った特性を導き出すことができる。その基本はFe-C系二元系状態図にある。本講演ではまずその状態図を理解し、さまざまな性質を生み出す熱処理の原理について解説する。

13:30~15:00「構造用鋼の熱処理」山崎和彦氏(JFEスチール)…機械構造用鋼は種々の熱処理により、さまざまな構造部品に調製されてその機能を発揮する。最も基本的な熱処理素材である各種構造用鋼について、それぞれの用途と特徴を紹介するとともに、代表的な熱処理作業について概説する。

15:10~16:40「工具鋼の熱処理」阿部行雄氏(プロテリアル)…工具鋼は特殊鋼の一つに分類され、金型や工具、刃物等に使用される。鋼種によって、また付与したい特性によって熱処理方法も変わってくる。今回は基礎に重点を置きながら、工具鋼の代表的な熱処理について説明する。

7月25日

9:30~11:00「雰囲気熱処理―浸炭・窒化―」武本慎一氏(DOWAサーモテック)…ガス浸炭とガス窒化を中心に雰囲気制御の目的・手段・方法と、それらを理解し実践するために役立つ基礎知識について実際の事例を用いて解説する。

11:10~12:40「真空熱処理」中本一朗氏(IHI機械システム)…熱処理において真空を利用する目的や効果、利点と、真空を作り出し維持していく技術の概略を説明する。代表的な真空熱処理と必要な真空炉を紹介しながら、真空熱処理装置を使いこなしていくために必要な技術・ノウハウを説明する。

13:30~15:00「高周波熱処理」岩永 淳氏(電気興業)…高周波誘導加熱の原理や方法の解説をはじめ実例を交えながら高周波熱処理を紹介するとともに、熱処理仕様に合わせた様々な形状の加熱コイルや周波数の違いによる硬化層深さの影響を説明する。

15:10~16:40「熱処理部品の硬さ測定の実務」藤塚将行氏(機械振興協会)…金属材料の簡便かつ迅速な測定法である硬さ試験は、熱処理に関する評価や品質管理の有力な手法として多用されている。本講演ではJISに記載の硬さ試験法を中心に紹介し、熱処理部品の硬さ測定の実務について解説を行う。

7月26日

9:30~11:00「顕微鏡試験の実務」中村 勲氏(東京都立産業技術研究センター)…鉄鋼材料の熱処理に伴う金属組織の基本的な部分から金属組織観察用試料の準備、金属顕微鏡の取り扱いまでを説明する。午後の組織観察実習のための講演を通して、金属組織観察の必要性、利用方法、意義を解説する。

12:00~16:35「顕微鏡試料の作り方」「顕微鏡の取り扱い実習」中村 勲氏(東京都立産業技術研究センター)、隠善厚生氏(IHI)、井戸原 修氏(高周波熱錬)、松尾 孝氏(東京工業大学名誉教授)、ストルアス、エビデント「熱処理品の硬さ測定実習ほか」フューチュアテック、アントンパール・ジャパン、マツザワ

7月27日

9:30~11:00「熱処理における温度管理」仲摩 崇氏(チノー)…接触式温度計の代表である熱電対と測温抵抗体と非接触式温度計の代表である放射温度計について、測定原理、種類・特徴、基本構成要素、使用上の注意点などを解説する。フィードバック制御の基本形である2位置動作、PID動作について簡単に説明する。

11:10~12:40「鋼材の簡易鑑別法」山本正之氏(山本科学工具研究社)…鋼材の種別を現場で直ちに判別できるか否かは熱処理技術者にとって重要な技能で、簡単なグラインダー火花試験を行うことによって可能となる鋼種の鑑別法について、火花の発生原理から観察方法までの概要をJISG0566「鋼の火花試験方法」に沿って解説する。熱処理部品の硬さ測定の実務について解説を行う。

13:40~16:00「温度測定と制御機器の取り扱い実習」チノー
「鋼材の火花試験実習」山本科学工具研究社

16:00~16:30 修了式

7月28日工場見学

午前:大和合金・三芳工場

午後:パーカー熱処理工業・東松山工場

kat 2023年6月30日 (金曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和5年度第1回研究会・総会を開催

2年 ago
トライボコーティング技術研究会、令和5年度第1回研究会・総会を開催

 トライボコーティング技術研究会は6月2日、埼玉県和光市の理化学研究所で「令和5年度第1回研究会・総会」をリアルおよびオンラインによるハイブリッド形式で開催した。

研究会・総会のようす

 当日は、大森 整会長(理化学研究所)の開会挨拶に続いて総会が開催され、令和4年度活動報告・会計報告がなされた後、令和5年度活動計画が報告され可決・承認された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)がそれぞれ再任された。

再任された大森会長

 

議事進行を務める熊谷副会長

 総会後は、以下のとおり2件の講演がなされた。

・「モリブデンジチオカーバメイト由来中間物質による水素含有DLC膜の摩耗促進機構の解明」野老山貴行氏(名古屋大学)…DLC膜表面の表面増強ラマン分光法(SERS)を用いた測定を簡便に行うための手法として、金ナノ粒子塗布または金スパッタ法を比較。増強効果を得るために最適な波長の選択やラマンデータの検出深さについて明らかにした。金スパッタ法に比べ金ナノ粒子塗布法はラマンシグナルの検出深さに優位性があり、通常ラマン測定法に比べ金ナノ粒子塗布法を用いたSERS測定では最大強度が増加したほか、SERS測定における波長の影響を明らかにした結果、特に633nm波長の場合にIDピーク強度が高く摩擦に伴う結晶構造の変化を検出する際に分かりやすい結果が得られるものと推測した。そのほか、MoDTC由来の中間物質をそれぞれ純物質として添加したポリアルファオレフィン(PAO)油中における摩擦試験を行い、SERS測定を用いてDLC膜の摩耗促進機構(アブレシブ摩耗、水素脱離摩耗、炭素脱離摩耗)の解明を試みた。

野老山氏

・「ナノ表面分光の新展開」金 有洙氏(理化学研究所/東京大学)…太陽電池や有機ELなどのエネルギー変換デバイスでは、エネルギーが分子間を移動してデバイスの特性が現れるが、そのエネルギー移動を単分子レベルで計測することは、これまで不可能だった。金氏は金属表面に分子を載せ、走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針からトンネル電流を流したり近接場光を発生させ電子を励起させる手法で、単分子の吸収分光に世界で初めて成功し、その分光技術を駆使してエネルギー移動を単分子レベルで計測することにも成功している。本手法により、分子をどのような配置や方向で並べればエネルギー移動の効率が高くなるかを調べることができるため、太陽電池や有機EL、光触媒などの効率を高める研究に利用されてきていることを報告した。

金氏

 

kat 2023年6月27日 (火曜日)
kat

いたばしキッズフェア2023 HITABASHIが7月9日に開催、出展企業を募集

2年 ago
いたばしキッズフェア2023 HITABASHIが7月9日に開催、出展企業を募集

 「板橋からヒット商品をつくる~いたばしキッズフェア2023 HITABASHI」(共催:東京青年会議所 板橋区委員会、東京商工会議所板橋支部、後援:板橋区、板橋区商店街連合会)が7月9日、教育科学館、常盤台地域センター、平和公園で開催される。参加予定者数は約2000名で、現在、出展企業を募集している。出展費は無料だが、出展企業に対し教育科学館(屋内)での商品の無償提供(サンプル等)への協力をお願いしている。

 いたばしキッズフェアは、いろいろな商品やサービス、さらに職業を体験することを通じて、子どもたちが板橋区の魅力をたくさん感じて、楽しい時間を過ごすことができるイベント。

 板橋区は産業の歴史が長く、さまざまなヒット商品を生み出してきた。「いたばしキッズフェア2023 HITABASHI」(事業名称:いたばし♥テラス)は、企業の商品をさらにヒットさせるために、板橋区民と板橋の企業とが関係を構築するイヘントで、区民と区内企業が板橋のことを考えて消費をする共同体を作ることを目的に掲げている。

 キッズフェア当日は物品協賛や職業体験で、もっとヒットするための市場調査を実施。新商品の開発コスト、マーケティングコストを削減できるほか、商品に触れ続けることで企業のコアなファンや販売パートナーの獲得にもつなげられる。

 出展企業にはイベント開催中だけではなく最大6ヵ月間のプロモーションをサポート。写真と文章の投稿を募集しSNSなどに掲載する。行政として観光振興課や区内報、大手企業のアカウントでも広告協力を実施予定。

 詳細・申し込みは以下のサイトで確認できる。
https://sites.google.com/view/itabashi-kidsfair2023/

 企業出展は以下から申し込みができる。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeECGsai6LdRD4vheBNp6TkHkNesO4F4tE_YODsPz8cYLLLGA/viewform

kat 2023年6月27日 (火曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2023年6月号 特集「金型の表面改質」キーテク特集「窒化処理」6月26日に発行!

2年 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年6月号 特集「金型の表面改質」キーテク特集「窒化処理」6月26日に発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年6月号 特集「金型の表面改質」キーテク特集「窒化処理」が当社より6月26日に発行される。

 今回の特集「金型の表面改質」では、金型の硬質コーティングの最近の動向について、水素フリーDLC膜の金型への適用事例と最新の金型用ta-C膜技術について、AlCrN系厚膜コーティングの特性およびアルミダイカスト金型へ適用した事例について、FCVA成膜技術によるta-C膜の特徴と型分野での適用事例について紹介する。

 また、キーテク特集「窒化処理」においては、ガス窒化の相制御と複合処理について、環境に配慮した塩浴軟窒化処理の特徴について紹介する。

特集:金型の表面改質

◇金型の表面処理に関する硬質膜形成技術の最近の進展・・・岐阜大学 上坂 裕之

◇金型用DLCコーティングの最新技術と適用事例・・・日本アイ・ティ・エフ 瀬戸山 誠

◇ダイカスト金型用AlCrN系厚膜コーティングの開発・・・北熱 嶋村 公二

◇FCVA成膜技術によるta-C膜の金型分野への適用・・・㈱ナノフィルム テクノロジーズ ジャパン 川上 達哉氏に聞く

キーテク特集:窒化処理

◇ガス窒化の相制御と複合処理・・・オリエンタルエンヂニアリング 木立 徹

◇環境に配慮したトライボロジーソリューション:塩浴軟窒化処理(CLINプロセス)・・・HEF モントゥ・ヴァンサン

連載

注目技術:2022年度日本トライボロジー学会賞に見る表面改質技術・・・日本トライボロジー学会

トピックス

TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第6回 国際シンポジウムを開催

日産・平山氏らに自動車技術会賞の論文賞

FPS、第16回岩木賞の業績募集を開始、表彰費用の賛助も募集

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admin 2023年6月22日 (木曜日)
admin

Rtec-Instruments、7月11日にセミナー&ユーザーズミーティングを開催

2年 ago
Rtec-Instruments、7月11日にセミナー&ユーザーズミーティングを開催

 Rtec-Instruments(https://rtec-japan.com/)は7月11日東京都葛飾区の東京理科大学 葛飾キャンパスにおいて、同大学 工学部 機械工学科 教授の佐々木信也氏の協力のもと、Rtec-Instruments日本法人立ち上げ後初となる「セミナー&ユーザーズミーティング」を開催する。トライボロジー特性評価の基礎に関するセミナーのほか、多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や三円筒 転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機などの実機見学・デモなどが実施される予定。

 

 参加の条件は、以下のリンク先フォームによる事前登録、あるいはinfo.jp@rtec-instruments.com へのメールによる事前登録を行うこと、参加時に名刺を提出いただくこと(氏名が確認できること)、同業(トライボロジー試験機メーカー・販売業者)でないこと。

リンク先フォーム

 同社では、セミナー&ユーザーズミーティング開催に関して「各種トライボロジー試験機の購入をご検討の方々はこれを機に試験機の実機見学&デモ試験に、すでに購入された方々は日頃の運用での疑問や要望、新製品の情報収集にぜひ参加いただきたい」と呼びかけている。
 
■開催日時:2023年7月11日 14:00~17:00
     (17時より技術交流会)

■定員:30名程度

■開催場所:東京理科大学 葛飾キャンパス 研究棟4階 第3会議室(佐々木研究室)

■主な内容:
・トライボロジー特性評価の基礎

・新製品・アプリケーション紹介

・実機見学・デモ

kat 2023年6月16日 (金曜日)
kat

三洋貿易、摩擦摩耗試験の評価方法・事例がわかるウェビナー

2年 ago
三洋貿易、摩擦摩耗試験の評価方法・事例がわかるウェビナー

 三洋貿易( https://www.sanyo-si.com/i )は6月28日、「摩擦摩耗試験の評価方法・事例がわかる60分 ~多様な試験方法と試験機選定のポイント~」と題したウェビナーを開催する。

 摩擦摩耗試験評価は“摩耗への耐久性”や“摩擦力などの設計仕様の確認”といった製品の信頼性を評価する上で重要な試験である。自動車・航空宇宙・電車や船舶など、あらゆる分野で欠かせない技術だが、昨今のSDGs、環境負荷への関心の高まりを背景に、摩擦摩耗の改善がより一層重要な技術課題であると再認識されている。

 しかしながら、摩擦試験機と呼ばれるものは世の中には沢山あり、それに加えてピンオンディスク試験・ブロックオンリング試験・四球試験、などといった試験方法の種類も沢山あるため、どの試験機を用いて、どのような評価をするかということが非常に重要になる。

 同社では、アメリカ、ドイツ、イギリスといった世界中のグローバルスタンダード機を多数取り扱っており、本ウェビナーでは、多様な試験方法と適切な評価を行うための試験機選定のポイントについて紹介する。

 ウェビナーの詳細・参加予約はこちらから。

admin 2023年6月15日 (木曜日)
admin

日本トライボロジー学会、第68期会長に梅原徳次氏(名古屋大学)

2年 ago
日本トライボロジー学会、第68期会長に梅原徳次氏(名古屋大学)

 日本トライボロジー学会(JAST)は「トライボロジー会議 2023 春 東京」会期中の5月30日に「第67期定時社員総会」を開催、第68期役員の選任について決議がなされ、第68期新会長に名古屋大学大学院 工学研究科 教授の梅原徳次氏が選出された。副会長には東京理科大学 工学部 教授の佐々木信也氏とJETRO トロント事務所の小鹿野哲氏が就任した。

 定時社員総会で挨拶に立った梅原JAST新会長は、「本会は1955年に創設され20世紀には右肩上がりに会員数が伸びていったが、21世紀に入ってからは他学会と同様に会員数が減少し続けている。学会活動は会員各位のボランティアによってなされており、そうしたボランティアによる活動を通じて、いかに会員サービスを高めていくかが大きな課題となる。そこで第68期理事においては、学会および学会関係のリソースをしっかり考えて、その中で少ない人数での持続的発展を求めていきたい。JASTは世界のトライボロジー分野で非常に認められている組織であり、この組織において持続的発展が進展するように尽力していきたい」と力強く語った。
 

就任の挨拶を行う梅原JAST新会長

 

kat 2023年6月15日 (木曜日)
kat

プロテリアル、令和5年度全国発明表彰「朝日新聞社賞」を受賞

2年 ago
プロテリアル、令和5年度全国発明表彰「朝日新聞社賞」を受賞

 プロテリアル( https://www.proterial.com )の「加熱炉を使わない鋼材の焼鈍方法の発明」が、発明協会主催の全国発明表彰において、「朝日新聞社賞」を受賞した。発明者は特殊鋼事業部 安来工場 熱処理技術部 片岡 仁氏、同事業部 同工場 技術部 江口 弘孝氏。

 鋼材は、加熱された温度、冷やすスピードによって、オーステナイト、パーライト、マルテンサイトなどに組織が変化(変態)する。この特性を利用して意図的に変態させるのが熱処理であり、目的に応じた適切な特性を得ることができる。前工程である熱間加工後の鋼材は、空気中で冷却されることで簡単に硬いマルテンサイト組織に変化し、 加工が難しくなるだけではなく、鋼材によっては割れてしまう場合があった。これらを解決するために、これまでは加熱炉を使用して、ゆっくり冷やすこと(焼鈍と呼ばれる熱処理)で軟らかいパーライト組織に変態させ、加工しやすくしたり、割れを防いだりしていた。しかし、この方法では加熱炉を使用するため、燃料や電気を必要としていた。

 今回受賞した技術は、熱間加工後の熱間金型用鋼などの半製品鋼材において、加熱炉を使用せずにパーライト組織に変態させる焼鈍方法に関するもの。オーステナイトからパーライトに変態する際に発生する熱(変態潜熱)を利用することで鋼をゆっくり冷やし、加熱炉を使用しないでパーライト化することに成功した。具体的には、熱間加工を行った オーステナイト状態の半製品鋼材に保温槽に入れる ことで、変態潜熱を利用した焼鈍を行う。加熱炉が不要なため燃料や電気を必要とせず、それらに由来するCO2排出も削減することが可能となった。 また、保温をしながらの移動も可能で、次工程を考慮した効率の良い生産が可能となる。本技術は、すでにプロテリアル安来工場の焼鈍工程に適用を開始している。

保温槽を用いた焼鈍作業

 

admin 2023年6月6日 (火曜日)
admin

人とくるまのテクノロジー展2023が開催

2年 ago
人とくるまのテクノロジー展2023が開催

 自動車技術会は5月24日~26日、横浜市のパシフィコ横浜で「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2023」を開催した。499社/1115小間の規模で開かれ、3日間で63810名が来場した。表面改質関連では、以下のような展示がなされた。

 HEFグループは、HEF DURFERRIT JAPAN、TS 群馬、ナノコート・ティーエスの共同で出展。今回は、TS群馬で量産処理を手掛けることが決まった環境対応塩浴軟窒化プロセス「CLIN(Controlled Liquid Ionic Nitrocarburizing)TM技術」に関する、新たな用途展開について紹介した。CLINTM技術の特徴としては主に、高い耐摩耗性(耐焼付き性)、高い耐食性、黒色均一外観(意匠性)、環境対応などが挙げられ、耐摩耗性、耐食性の要求事項に対応できることに加え黒色均一外観が好感され、二輪のブレーキディスクで欧米をはじめとした各OEMに採用されている。

 今回の展示では、欧州委員会(EC)が2022年11月に提案し、乗用車が2025年7月、バスやトラックなどの大型車2027年7月に規制対象となる、自動車の新たな環境規制「Euro7」において、Euro7規制対策として、新たにブレーキパッドとローターの摩擦によって排出される粉塵が規制対象に加わることから、パッドと摺動するローターの摺動面にCLIN TM技術を施すことで、高い耐摩耗性が表面に付与されることによる粒子(摩耗粉)排出量を低減できることをアピールした。また、ガス窒化処理と比較して優れた耐食性を有することや、ブレーキの異音/鳴きを低減できること、処理後歪み低減を考慮した処理プロセスとなっていることなども訴求した。

HEFグループ CLIN処理したブレーキローターなど自動車部品

 

 キーパーは、燃費改善、電費改善につながるゴム製品表面の低摩擦化技術を紹介した。ゴムに自己潤滑成分を練り込み、成形後に自己潤滑成分が表面に移行することで低摩擦化が可能になる「ルブラバー」は、グロメット・Oリングにすでに適用されている。

 また、ゴム表面にPTFEを含有したコーティング液を塗布することで滑り性および耐摩耗性を向上させる「PTFEコーティング」(オイルシール全般に適用可能)や、ゴムの極表層の分子構造をハロゲン化させることで低摩擦化を可能にする「ハロゲン化処理」(グロメット・Oリングに適用可能)、さらに、ゴム表面に非結晶の炭素膜を形成することで滑り性および耐摩耗性を向上させる「DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング」(オイルシール全般に適用可能)を参考出品した。炭素膜がブロック状に形成されているためシールの変形への追従が可能で、動摩擦係数0.2の低摩擦化と同時に密封性の確保が実現できることをアピールした。

キーパー 各種の低摩擦化技術とそれら技術を適用したシール製品のサンプル

 

 日本ピストンリングは、ピストンリングの耐摩耗性向上や摺動特性改善のために既存技術として確立している表面改質技術を活用することにより、防食や生体、電気など新たな分野への応用展開が図れることをアピールした。高硬度・低摩擦・化学安定性・耐焼付き性を付与できることからピストンリングに採用されているDLC膜が耐食性にも優れることから、耐食環境で用いられる金属製機械部品を保護できることを示した。また窒化チタン(黒TiN)膜が生体親和性に優れ表面積を増やせ静電容量を約5倍アップできることから、生体埋め込み型などのメディカルデバイスへの適用が可能であることを示した。

 ブースでは、ピストンリングやギヤ部品、ボールねじ循環部品といった金属部品にDLCコーティングを被覆したサンプルや、ステンレスパイプにTiNコーティングを施したサンプル、PEEKやPETなどの樹脂材料・樹脂部品にTiコーティングを施したサンプルなどを展示した。

日本ピストンリング 様々な材質にDLCなど各種表面改質を施したサンプル

 

kat 2023年6月1日 (木曜日)
kat

日立建機とNIMS、レーザー焼入れで使用済み歯車の寿命を新品と同等以上に延長

2年 1ヶ月 ago
日立建機とNIMS、レーザー焼入れで使用済み歯車の寿命を新品と同等以上に延長

 日立建機と物質・材料研究機構(NIMS)は、使用済み歯車の表面にレーザー焼入れすることで、摩耗によって損傷した部分を修復する手法を共同で開発した。また、修復した歯車の使用寿命を新品と同等以上に延長可能であることを実証した。なお、本手法は、炭素を拡散させて金属の表面を強化する浸炭処理を施した歯車を対象としている。

浸炭処理をした歯車にレーザー焼入れをする様子

 日立建機は、2023年4月より、使用済み油圧ポンプ内部の歯車の再生において、本手法を適用する。これにより、従来、廃棄の対象としていた歯車の再生利用率が約25%向上する。20tクラスの油圧ショベルの場合、毎回の定期部品交換時、新品ではなく再生された歯車を利用することで、新品部品を製造するときに発生するCO2排出量が1台当たり約13kg低減することが見込まれる。将来的には、鉱山機械の再生部品への本手法の適用や部品再生を行っている日立建機グループの海外拠点への導入も計画している。

 日立建機の再生事業は、顧客の使用済み純正部品 (油圧シリンダ、油圧ポンプ、走行装置など) を、機械の修理や定期交換時に回収し、分解・整備後、新品同等の機能保証付きの再生部品として提供している。高負荷がかかる歯車は、長く使用すると摩擦や残留応力などにより疲労し、使用寿命を迎えると、変形や破損へと至る。浸炭処理した使用済み歯車にレーザーを照射することで、不具合を引き起こす金属の表層組織を部分的に改質して強度を回復し、新品の歯車と比べて、寿命を新品と同等以上に延長可能であることが実証された。

 本手法は、日立建機 部品・サービスビジネスユニット 再生事業部とNIMS 構造材料研究センター 極低温疲労グループが共同で開発した。

admin 2023年5月16日 (火曜日)
admin

新東工業、米社とレーザーピーニング加工の受託加工合弁会社

2年 1ヶ月 ago
新東工業、米社とレーザーピーニング加工の受託加工合弁会社

 新東工業( https://www.sinto.co.jp )とアメリカのLSP Technologies(LSPT)は、レーザーピーニング(LP)加工の適用領域拡大を目指し、2023年4月3日付で共同出資による「新東LSPTレーザーピーニング(本社:豊川市、加賀秀明社長」を設立した。

 近年、航空機や自動車部品など高い安全性を求められる金属部品には、ピーニング工法を用いて耐久面における信頼性を向上させるのが一般的となっている。ピーニングには主に鉄系もしくは非鉄系の小さな球を金属表面に打ち付けるショットピーニング(SP)とレーザーを照射するLPがあり、それぞれ異なる特性を持っている。例えば、SPでは耐久性向上といった効果の付与が難しいチタンのような材料に対してはLPが効果的であり、LPでは照射が難しい形状に対してSPは適用可能など、材料・目的によって最適な工法は異なる。またLPでは投射材を使わないため廃棄物を出さない利点もある。

 従来より、表面処理のリーディングカンパニーである新東工業はSPをコア技術の一つとして、そのアプリケーションや評価の知見を蓄積してきたが、LPは世界的にも扱うメーカーが少ないのが実状だった。また、先述の通りSPとLPの特性の違いは明らかであることから、両技術の特性と対象材料・使用目的に応じた最適な加工条件の提案・加工、その効果の測定・検証が求められる。

 そこで、LP装置のトップメーカーであるLSPT社から国内初となる「The Procudo Laser Peening System(プロクド レーザーピーニング システム)」を導入し、新東工業が元来保有するSPに必要不可欠な投射材および投射条件に関する知見・ノウハウ、金属の特性評価をはじめとする測定技術にLSPT社のノウハウを融合した、LPの受託加工・測定専門会社を設立することとした。

 LSPTは、LP設備の製造・販売、LPの受託加工、技術サポート・メンテナンスを行っており、世界の大手航空機メーカー等を主要顧客としている。

 

admin 2023年5月16日 (火曜日)
admin

JCCとIHI Ionbond、自動車用プレス金型へのセラミックコーティングで業務提携

2年 1ヶ月 ago
JCCとIHI Ionbond、自動車用プレス金型へのセラミックコーティングで業務提携

 日本コーティングセンター(JCC、 https://www.jcc-coating.co.jp/ )とスイスのIHI Ionbond( https://www.ionbond.com/ )は、自動車用プレス金型へのセラミックコーティングで業務提携契約を締結した。

 物理蒸着(PVD)法を用いたセラミックコーティングは、製品の耐久性を向上させる表面処理技術の一種。自動車メーカーおよび自動車部品メーカーで使用されるプレス金型では、耐久性を向上させるためにPVD法によるセラミックコーティングが採用されている。一方、自動車関連メーカーは海外に多くの生産拠点を持ち、現地で金型の補修などが必要となるため、日本で提供されるセラミックコーティングと同じ処理を海外の生産拠点でも行いたい意向があった。

 JCCは、PVD法によるセラミックコーティングの受託加工における国内のリーディングカンパニーの一つであるが、現在のところ海外に生産拠点は持っていない。一方、IHI IonbonはPVD法、CVD法、PACVD法により受託加工を行うグローバルな表面処理メーカーで、15ヵ国に35の拠点を有している。

 今回の業務提携は、JCCの金型用の主力被膜である「ヴィーナス」とIHI Ionbondの金型用の主力被膜である「IonbondTM90 Concept」を日本および海外で相互に処理できるようにするもの。JCCはこれにより、IHI Ionbondを通して海外においても「ヴィーナス」を提供できる体制が整う。これにより日本のみならず海外の自動車関連メーカーの生産拠点をカバーすることができ、顧客の利便性を一層向上させることができる。

admin 2023年5月11日 (木曜日)
admin

TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジー:表面改質をテーマに第6回 国際シンポジウムを開催

2年 1ヶ月 ago
TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジー:表面改質をテーマに第6回 国際シンポジウムを開催

 大豊工業トライボロジー研究財団(TTRF)と大豊工業は4月13日、名古屋市の名古屋国際会議場で「TTRF-TAIHO International Symposium on Automotive Tribology 2023」を開催した。

開催のようす

 

 「トライボロジーの自動車社会への貢献」を全体テーマに掲げる同シンポジウムは、トライボロジー研究の進展と自動車技術への応用等に関しトップレベルの情報を交換するとともに、この分野での産学連携の現状と将来の可能性を示しその強化を図ることを目的に、2016年から開催されている。6回目となる今回は 、「Future Prospects of Tribological Materials Surviving a Once in a Century Period of Profound Transformation Part 2 Surface Treatment(100年に一度の大変革期に対応するためのトライボロジー材料の将来展望~Part2 表面処理~)」のテーマのもとで、低摩擦を目的とした表面処理技術や耐久性・信頼性向上を目的とした表面処理技術などが紹介された。

 開会の挨拶に立った鈴木徹志氏(大豊工業副社長)は、大豊工業が曾田範宗氏や木村好次氏をはじめとするトライボロジー研究の第一人者の指導を受けながらトライボロジーをコア技術としてマイクログルーブ軸受や樹脂コーティング軸受といった先進エンジンベアリングを世に送り出してきたことや、同社が多くの恩恵を受けてきたトライボロジーの研究開発支援と啓蒙に寄与する目的でTTRFを2000年に設立し、以降、多数のトライボロジーの研究テーマに対し累計220万USドルの助成を行っていることを報告した。また、学界と産業界のコラボレーションの強化によって一層のトライボロジー研究の活性化を支援していく目的で2016年から本シンポジウムを開催していることを紹介。自動車業界の大変革期にあってトライボロジーの諸課題が厳しさを増す中で、産学連携の強化によるトライボロジー技術の一層の高度化が課題解決に寄与できるとの観点から、「本日のシンポジウムにおいても、学界と産業界の両者の活発なディスカッションを通じて、トライボロジー研究開発の促進につながることを期待している」と述べた。

挨拶する鈴木氏

 

 続いて、Kenneth G. Holmberg氏(TTRF Director)をチェアマンに、以下のとおり基調講演が行われた。

「Development of Future Powertrains for Commercial Vehicles」石川直也氏(いすゞ中央研究所)…地球温暖化防止の重要な施策としてCO2削減が要求され、自動車の電動化が進められる一方で、電力を火力発電に頼っている現状からは車両の電動化だけではCO2削減にはつながらず、発電を含めた完全な電動化が達成されるまでは、内燃機関(ICE)車では再生可能エネルギー由来の燃料の使用や熱効率の改善を進める必要がある。本講演では、物流や生活を支える商用車として、稼働コストや耐久信頼性、航続距離といったユーザーの要求に対応しつつLCAでのカーボンニュートラルを実現するための取組みを紹介。EHL理論をベースにしたクランクシステムの摩擦低減・耐久信頼性向上のための解析技術や、潤滑技術や表面改質技術を活用した部品の寿命延長のほか、部品の潤滑状態や摩耗状態の予測技術を高めることでLCAでのCO2削減に貢献できると述べた。

「New Development of Functional Surface Finishing Technologies for Next Generation Automobiles」呉 松竹氏(名古屋工業大学)…ICE車から電気自動車(EV)への転換によるエネルギー消費の節減・改善を目的に軽量化が進められる中、表面改質の対象となる材料として、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム合金といった様々な軽量素材が採用されてきている。本講演では、EVへの転換で登場してきた部品(リチウムイオンバッテリーの部品など)に対応する表面改質技術が求められる中で、変速機用部品向けなどでアルミ合金の潤滑性・耐摩耗性を高めるAl2O3/MoS2(-Sn, Ni) コーティングや、電気端子や電気接点向けなどで銅合金に高い導電性や耐摩耗性を付与するAg(Sn)グラフェン複合コーティング、リチウムイオン電池の電極材料などに大容量と高い安全性を付与するTiO2-TiN(Sn, MoOx)複合コーティングなど、次世代車両に対応する様々な非鉄材料系表面処理技術を紹介した。

 上記2件の基調講演に続き、加納 眞氏(KANO Consulting Office)をチェアマンに、「低摩擦(Low Friction)の表面処理」をテーマとするセッションが以下のとおり行われた。

「Friction Reducing Methods of DLC Films in Oil-less Conditions」徳田祐樹氏(東京都立産業技術研究センター)…環境問題などからしゅう動部品の無潤滑化が求められる中、低摩擦特性や耐摩耗性などを表面に付与できる表面改質技術としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングが注目されている。ここでは、無潤滑下で低摩擦を実現するDLC技術として、300℃程度で予熱し最表面にグラファイトライク構造を形成した傾斜膜とすることで摩擦・摩耗特性を改善した事例や、マイクロスラリージェットエロージョン(MSE)法を用いてDLC膜に表面テクスチャを形成することでしゅう動とともにグラファイト化したDLC膜の摩耗粉をテクスチャ内に捕捉し低摩擦化を図った事例、塩素ドープDLC膜によって耐摩耗性と超低摩擦を付与した事例などを紹介した。

「Development of DLC Reinforced Metal Matrix Coatings for Low Friction Sliding Components」Shahira Liza binti Kamis氏(Universiti Teknologi Malaysia)…ベアリングなどしゅう動部品においては、オイルの使用に伴う環境への配慮から、また風力発電など遠隔地にあって保守の難しい用途において、DLCなどの自己潤滑性材料による低摩擦化が求められている。本講演では、電気化学的成膜法を用いて、しゅう動部品の一方の材料にDLCフレークを分散させることによって、しゅう動時の無潤滑下での低摩擦化を図る手法を紹介した。開発した自己潤滑性を有するDLC/CuやDLC/NiなどのDLC強化複合コーティングは、潤滑油の供給なしにしゅう動部品の低摩擦化を実現。金属膜にDLCを添加し効率的に自己潤滑性を得る本手法を適用することで、各種機械が少ないエネルギーで同程度の出力を得られ、さらに部品の寿命を延長できる、と総括した。

「Material Design for Control of Tribo-film Structure Formed from Friction Modifiers」小池 亮氏(トヨタ自動車東日本)…エンジン油の低粘度化とともに自動車しゅう動部品の境界潤滑下での摩擦が増え、MoDTCに代表される摩擦調整剤への要求が高まっている。しかし、自動車しゅう動部品において適用の進むDLCなど硬質膜の種類により、摩擦調整剤の効果を発現するトライボフィルムの形成が影響される。本研究では、MoDTC添加油中における硬質膜を用いた摩擦系での低摩擦発現に関し、硬質膜自体が反応性を持たないCrNなどの窒化物膜は摩擦初期のなじみ過程で相手材からのFeの移着が低摩擦発現のためのトライボフィルム形成の必要条件であることや、トライボフィルムが最表層にMoS2を形成するには硬質膜基材とFe酸化物の結晶の格子定数が整数倍となることによって形成される緻密な Fe酸化物のナノ界面の形成が必要なこと、などを明らかにした。

 また、上坂裕之氏(岐阜大学)をチェアマンに、「耐久信頼性向上(Improve Durability and Reliability)の表面処理」をテーマとするセッションが以下のとおり行われた。

「Advanced Durability Surface Treatment Materials of Sliding Bearing for High Performance Diesel Engine」児玉勇人氏(大豊工業)…ディーゼルエンジンの高出力化とともにエンジンベアリングに対する負荷は高まる傾向にある。同社では高PVに対応する鉛フリーの表面処理技術として、銅合金エンジンベアリング向けのビスマス(Bi)コーティングやアルミ合金エンジンベアリング向けの樹脂コーティングを開発している。Biコーティングはトライボロジー特性に優れるものの、より高出力化するディーゼルエンジンのベアリングとしては軟質金属のため機械的強度が足りず、疲労摩耗特性が十分ではないという課題があった。本講演ではこの課題に対して、Biコーティングにアンチモン(Sb)を添加した新開発のコーティングが耐疲労強度を向上したことや、樹脂コーティングにおいて組成を最適化することで同様のアプリケーションに耐える耐摩耗性を付与できたことなどを報告した。

「Development of High strength and Anticorrosive Aluminum Alloys and Improvement of Fatigue Property」芹澤 愛氏(芝浦工業大学)…自動車の軽量化を目的にアルミニウム合金の適用が進む中で、アルミニウム合金に耐食性を付与する表面改質技術が求められている。本講演では、蒸気コーティング法でアルミニウム合金表面に緻密に成膜した水酸化アルミニウム被膜(AlO(OH))が水酸化物結晶の腐食防止効果によって高い耐食性を示すことや、蒸気コーティングの熱エネルギーによって硬度が上昇しアルミ合金の強度が高まったことなどを紹介した。動電位分極曲線からは水酸化アルミニウム被膜を被覆した基材の腐食電流密度が減少していることや孔食が抑制されていることが分かり、平面曲げ疲労試験からは水酸化アルミニウム被膜を被覆した試験片疲労亀裂の発生が抑えられ、アルミニウム合金の疲労寿命延長に寄与できることが確認された。

「Improvement of Fatigue Strength by Mechanical Surface Treatment Using Sustainable Peening Method」祖山 均氏(東北大学)…自動車の燃費・電費改善から、低摩擦化や耐久性・信頼性の向上と、環境負荷低減が求められている。本講演では、この目的に対応した、消耗材であるショット材を用いることなく疲労強度改善が可能な、サスティナブルな機械的表面改質技術「キャビテーション・ピーニング」を紹介。キャビテーション気泡の崩壊時に生じた衝撃力を有効利用してピーニングを行うキャビテーション・ピーニングが、表面硬化や残留圧縮応力の付与を実現しつつ平滑な表面を生成できることや、キャビテーション・ピーニングによってギヤやローラの疲労特性が改善された事例などが紹介された。

 講演終了後は、杉原功一実行委員長(大豊工業社長)が挨拶に立ち、「今回は100年に一度という自動車業界の大変革におけるトライボロジー材料の将来展望と、低摩擦および耐久信頼性向上のための表面処理技術という、二つのテーマでセッションを設けた。その中でトライボロジー材料:表面処理技術についての貴重な講演がなされ、学界と産業界との活発な議論がなされた。本日のシンポジウムの成果がSDGS実現に向けたトライボロジー課題の解決につながることを祈念するとともに、今後シンポジウムをより意義のあるものとして開催できるよう、参加いただいた皆様からのご意見やご示唆をいただければ幸いである。本シンポジウムの開催を継続しつつレベルアップを図っていき、産官学の連携をより強固なものにしていく一助とできれば大変うれしい」と述べて、シンポジウムは閉会した。

挨拶する杉原実行委員長

 

kat 2023年5月9日 (火曜日)
kat
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