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mst配信ニュース 表面改質の情報サイト

神戸製鋼所、高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を開発し量産開始

4年 8ヶ月 ago
神戸製鋼所、高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を開発し量産開始

 神戸製鋼所( https://www.kobelco.co.jp/ )は、プレスの生産性に優れたホットスタンプ用めっき鋼板(焼入れ後強度1500MPa級)を開発、自動車ボディ骨格部品用途で量産を開始した。

 同社では、2017年に高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板を開発、量産を開始した。同品は従来のホットスタンプ用冷延鋼板と比べ焼入性を向上させることで、顧客でのプレス生産性を従来品より最大6倍程度に改善している。また加工後の冷却ムラによる強度不足の問題も発生しにくいものとなっている。さらにプレス部品形状の自由度をより高められることや、プレス工程内でトリミングを行うことを可能としたことから、従来必要であったプレス後のレーザーカット工程を省略することも可能となった。

 今回、新たにその冷延鋼板に亜鉛めっき処理を施したものを開発した。これにより、上記の特長に加えて、耐食性の付与が可能となり、適用部品の拡大の可能性を大きく広げることになる。新製品に対して、スペインの自動車部品会社であるGestamp社の加工技術を組み合わせることで、今回、欧州自動車メーカーへ初めて適用され、量産化に至った。

 神戸製鋼所は、特長ある高加工性超ハイテン(引張強度780MPa級以上)と高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板に加え、今回さらに高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を商品ラインナップに加えたことにより、年々厳しくなるCO2排出規制への対応のための車体軽量化や、日米欧での衝突安全規制強化への対応のための車体の強度向上といった顧客のニーズに応える。
Gestamp社工場

admin 2019年8月29日 (木曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/26に発行

4年 8ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/26に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が当社より8月26日に発行された。

 今回の特集では、豊富な試験・評価機器を取り揃える東京理科大学トライボロジーセンターでの機器利用と具体的な評価方法について、軟質材料に成膜したDLC膜のナノインデンテーション法による硬さ評価方法について、300nm以下のDLC膜のマイクロスクラッチ試験の各種検討結果と今後の国際標準化の計画について、ナノインデンテーションシステムの概要や硬質薄膜の硬さ・弾性率・摩耗特性の評価事例について、材料表面強度試験の評価事例と同試験法の今後の展望について紹介する。

特集:表面改質の機械的特性評価

◇改質表面のトライボロジー評価における試験機器の活用・・・東京理科大学 佐々木 信也
◇軟質材料に成膜した硬質被膜の硬さ評価方法・・・岡山理科大学 中谷 達行
◇DLC膜の密着性評価の国際標準化・・・レスカ 新井大輔、ナノテック 平塚傑工
◇ナノインデンテーション試験機によるコーティング薄膜の評価技術・・・ブルカージャパン 二軒谷 亮
◇材料表面強度の新しい評価方法が未来を変える・・・パルメソ 松原 亨

連載

注目技術:試験・測定機の信頼性を支える直動案内技術・・・ハイウィン
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第5回 イギリス編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催
サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

admin 2019年8月26日 (月曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/25に発行

4年 8ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が当社より8月25日に発行された。

 今回の特集では、豊富な試験・評価機器を取り揃える東京理科大学トライボロジーセンターでの機器利用と具体的な評価方法について、軟質材料に成膜したDLC膜のナノインデンテーション法による硬さ評価方法について、300nm以下のDLC膜のマイクロスクラッチ試験の各種検討結果と今後の国際標準化の計画について、ナノインデンテーションシステムの概要や硬質薄膜の硬さ・弾性率・摩耗特性の評価事例について、材料表面強度試験の評価事例と同試験法の今後の展望について紹介する。

 

特集:表面改質の機械的特性評価


◇改質表面のトライボロジー評価における試験機器の活用・・・東京理科大学 佐々木 信也
◇軟質材料に成膜した硬質被膜の硬さ評価方法・・・岡山理科大学 中谷 達行
◇DLC膜の密着性評価の国際標準化・・・レスカ 新井大輔、ナノテック 平塚傑工
◇ナノインデンテーション試験機によるコーティング薄膜の評価技術・・・ブルカージャパン 二軒谷 亮
◇材料表面強度の新しい評価方法が未来を変える・・・パルメソ 松原 亨

連載

注目技術:試験・測定機の信頼性を支える直動案内技術・・・ハイウィン
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第5回 イギリス編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

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admin 2019年8月25日 (日曜日)
admin

DLC工業会、ワークショップの参加者を募集中

4年 8ヶ月 ago
DLC工業会、ワークショップの参加者を募集中

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は9月26日、東京都港区の航空会館で「令和元年度ワークショップ:DLC膜の工業的な信頼性評価とその標準化」を開催する。DLC膜の実用上きわめて重要な性質である密着性に関する講演やパネルディスカッション等で構成しており、DLC膜の作製・評価からその利用に至るまで多方面において役立つ内容となっている。参加費は会員4000円、非会員10000円。8月30日(金)締め切り。

 当日は以下のプログラムで開催される。

13:20~13:25 開会挨拶 DLC工業会 会長 中森 秀樹 氏
13:25~14:15 基調講演「密着性評価法とその標準化-産総研での評価を中心として-」 産業技術総合研究所 グループ長 大花 継頼 氏
14:15~14:55 「マイクロスクラッチ試験による密着性評価と標準化」 レスカ 部長 新井 大輔 氏 
14:55~15:35 「Pin/Disk試験機による潤滑下の密着力評価と標準化」宇都宮大学 教授 馬渕 豊 氏
(休憩)
15:45~16:25 「パネルディスカッション」パネラー:大花継頼氏、新井大輔氏、馬渕 豊氏
16:30~16:55 「工業会会員企業技術紹介」
16:55~17:00 閉会挨拶 DLC工業会 副会長 真田 博幸 氏
17:15~19:00 懇親会

 申し込みは、こちらより参加回答票をダウンロードの上、E-mailで送付する。

 

admin 2019年8月20日 (火曜日)
admin

日本トライボロジー学会、機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催

4年 9ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催

 日本トライボロジー学会の会員提案研究会である「機能性コーティングの最適設計技術研究会」(主査:上坂裕之 岐阜大学教授)は7月23日、東京都江東区の東京都立産業技術研究センター本部で第12期 第1回(通算第16回)会合を開催した。協賛は表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:上坂裕之氏)。

開催のようす

 同研究会は、窒化炭素(CNx)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等の硬質炭素系被膜および二硫化モリブデン等の固体潤滑被膜を実用化する上で重要となるコーティングの最適設計技術の向上を目指し、幅広い分野の研究者・技術者が集い、トライボロジー会議でのシンポジウムの開催や研究会での話題提供と討論を行っている。

 当日はまず上坂主査が、「本研究会は、前主査の梅原徳次氏(名古屋大学)や加納 眞氏(元日産自動車)などが中心となって、コーティングの機能をより良く発現させるための摩擦のメカニズムの解明などに着目して、スタートした。現在もそうした点にフォーカスして活動していることに変わりはないが、それがコーティング技術自体から少し外れたものでも、その時々の最先端のコーティングに関わるテーマをも併せて、取り上げていきたいと考えている。今回のテーマは“スマートサーフェス”。コーティングは通常、摩擦されるときの荷重や湿度といった環境の影響を受けてパッシブに自分自身が変わっていく材料。これに対して、スマートサーフェスという考え方は、表面の材料そのものが積極的に、ある意図に沿って自分自身を変えて、摩擦摩耗特性を制御していこうというもので、今回は、そうした考え方に基づく研究を2件紹介いただく。コーティング技術そのものではないが、コーティングの研究に生かせる知見が得られるものと思う」と開会挨拶を行った。

上坂 氏

 続いて、以下のとおり講演がなされた。

「可変な凹凸構造を活用したトライボロジー機能の拡張」大園拓哉氏(産業技術総合研究所)…ほとんどの材料表面には凹凸があり、その凹凸が材料の手触りや摩擦、付着、濡れ性、光学特性など多くの表面の性質に関与している。本講演では、可変な凹凸のデザインとして、ゴムのようなやわらかい基材を利用したシワを中心に構造可変性を紹介したうえで、トライボロジー機能の拡張可能性に向け、その摩擦特性等への影響についての最近の話題を紹介した。摩擦のオンデマンド制御として、ひずみの印加等で凹凸が制御できるシワの可変性を摩擦の制御に使い、状況に応じて摩擦を変えられる表面を提案した。また、ゴム表面への織布の貼り付けなど材料複合化によって、摩擦の荷重依存性をデザインする方法を提案した。さらに、瞬時に付着力を可変できる新しいグリップ素材への応用が期待できる例として、ガラスビーズを埋め込んだゴムシート表面の引っ張りに伴うシワの凹凸変化による付着制御への活用や、温度によって粘弾性を可逆的に変化させ付着力を可変できる液晶エラストマーによる付着制御への活用などを紹介した。

大園 氏

「変形する機能性表面を用いた摩擦の能動的制御-スマートサーフェスへの挑戦」村島基之氏(名古屋大学)…一般的な摩擦材料は通常、使用部位に応じて、摩擦力を下げるなら下げる、上げるなら上げるという、ある特性の性能に特化した機能を有する。しかし生物に学ぶと、同じ材料であっても表面の形状を制御することで様々な特性を発現させている例が多く見られる。本講演では、そういった事例に学んで開発された、表面形状が能動的に変形する新しい機能性表面「スマートサーフェス」を用いた摩擦制御技術に関して紹介した。ダイヤフラム構造変形部を有するシリンダ材料を3Dプリンタにより造形、この変形表面(スマートサーフェス)は固体材料でありながら数百μm以上の大変形および乾燥摩擦中での0.3~0.5の範囲における摩擦係数の能動的制御に成功した。このスマートサーフェスの流体中での能動的摩擦制御の可能性を検討、変形しない従来表面では達成不可能だった能動的摩擦制御による有用性を検討した。変形表面を用いた流体中摩擦の能動的制御性を明らかにするとともに、ストライベック曲線から、その変化メカニズムを考察。特に、平坦表面の摩擦係数と比較して、低減させることも増加させることも可能であるという重要な結果が示された。

村島 氏

「塩素含有DLC膜の摩擦摩耗特性に関する研究」徳田祐樹氏
(東京都立産業技術研究センター)…ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜への軽元素や金属元素の添加による表面機能の向上が実現されている。本講演では無潤滑環境におけるDLC膜のさらなる低摩擦化を目指して、PBII&D法により膜中に塩素を添加した塩素含有DLC膜の開発を試みた結果について紹介した。ディスクに塩素含有DLC膜を被覆し、アルミニウム合金A6061や軸受鋼SUJ2、ステンレスSUS304、セラミックス材料SiCおよびAl2O3の5種類のボールを用いた摩擦摩耗試験の結果、塩素含有DLC膜が摩擦相手材の材種に応じて異なる摩擦特性を示すことが分かった。微量な添加量でも大幅な摩擦係数の低下が認められたアルミニウム合金の摩擦面には、トライボ反応によって塩化アルミニウム六水和物が形成。この塩化アルミニウム六水和物がポリアルファオレフィン(PAO)4と同等の高粘度を有するトライボフィルムとして潤滑剤の役割を担うことで、固体接触の防止によって低摩擦化効果が発現する、という塩素含有DLC膜の低摩擦化メカニズムについて考察した。

徳田 氏

kat 2019年8月3日 (土曜日)
kat

自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催

4年 9ヶ月 ago
自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催

 自動車技術会は7月17日~19日、名古屋市のポートメッセなごやで自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」を開催した。内燃機関搭載車の一層の燃費改善に加え、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動化、先進運転支援システム(ADAS)などに対応する最新の製品・技術が披露された。

会場のようす

 表面改質および計測評価関連技術では、以下のような出展があった。

 三弘( http://www.sanko-web.co.jp/ )は、大塚電子製の高速ニアフィールド配光測定システム RayHunter「RH300」を紹介した。光源単体や光学材料の配光を評価する装置で測定時間10分を実現。1.5m角に収まるコンパクトな装置サイズとなっており、1回の測定であらゆる空間照度を捉える。測定対象物(サンプル)から出る光を多角度から撮影する高速ニアフィールド配光測定システムでは、任意の視点情報(サンプルを見る角度とサンプルまでの距離)を与え、撮影した画像データを処理することでサンプルの見え方を得ることが可能。本測定器によって、実際の環境を準備する必要なしに、表示している情報の「見え方(視認性)」を評価することが可能になっている。ADAS(高度運転支援システム)、自動誘導車両(AGV)、測距などの用途で対象物にレーザ光を照射し、その反射光を光センサでとらえて距離を測定するリモートセンシング方式「LiDAR(Light Detection and Ranging)」が重要視されているが、展示会ではLiDARを手軽に測れる測定システムとして「RH300」が紹介された。

三弘「大塚電子製RH300」

 三洋貿易( https://www.sanyo-si.com/ )は、Rtec-instruments社製のモジュール交換型 多機能摩擦摩耗試験機「MFT-5000」を展示、でも試験を実施した。各種摩擦試験の評価、その他様々な機械試験のアプリケーションに対応可能な装置で、研究開発だけでなく、様々な産業に対応。フロアスタンド型を採用しており、高荷重(5000N)、高回転領域(8000rpm)まで対応可能。各種ASTM試験法にも準拠している。インラインで白色干渉計も搭載可能で、試験中、試験後の表面状態を試験直後にそのまま測定できる。データ収集速度は100KHz以上が可能。また、国内販売を予定しているRtec-instruments社製の高速振動摩擦試験機(Fretting Fatigue Tester)「FFT-1」も紹介。最大500Hzの高速往復振動でもボイスコイルストロークをリアルタイムに監視して制御が行える。さらに、エンジンの状態監視に必要なオイル分析をトータルに網羅したシステム「MiniLab ELシリーズ」を紹介した。元素分析、劣化性状分析(赤外分光)、動粘度、燃料希釈率、鉄粉濃度の五つのテストを、現場で、簡単に、5分以内で測定し、迅速にデータを提供できる。

三洋貿易「MFT-5000」

 新明和工業( http://www.shinmaywa.co.jp/pbp/index.html )は、本年4月からスタートしたダイヤモンドコーティング装置の販売と受託成膜サービスをアピールした。ダイヤモンドコーティング装置には熱フィラメントCVD方式を採用、耐摩耗性と密着性の高いダイヤモンドコーティングを実現した。ダイヤモンドコーティングは難削材である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、グラファイト、アルミニウム合金、超硬合金向けの切削工具、特殊なメカニカルシールや超硬金型に適用されているが、国内ではダイヤモンドコーティング装置を製造・販売するメーカーが少なく、国内の工具メーカーをはじめダイヤモンドコーティングのユーザーの大半が欧米のメーカーに頼っている。同社では国内メーカーによる装置の提供と迅速なサポートをメリットに拡販を図っていく。また、同社の航空機事業では大手航空機メーカー向けにCFRP製品を供給しておりダイヤモンドコーティング工具を大量に消費していることから、高コストのダイヤモンドコーティング工具の寿命向上による社内でのコストダウンの貢献も視野に入れている。さらに、2015年から販売しているイオンエッチング装置が超硬素材上のほぼすべてのコーティングを除去できることから、今回開発したダイヤモンドコーティング装置がラインアップに加わることで、成膜から除膜まで超硬工具の再生に必要な表面処理技術について、一貫した提供が可能となった。

新明和工業「ダイヤモンドコーティングの成膜アプリケーション」

 東研サーモテック( https://tohkenthermo.co.jp/ )は、創業以来金属熱処理加工で培ってきた部品加工のノウハウを活用することで、コーティング被覆だけではコスト高になる強度や機能加工を素材の見直しや熱処理加工との併用によってコストを抑えつつユーザーの要望を満たす提案を行っている。コーティング工程は非常に高い精度が求められるが、金属熱処理で長年エンジン部品など精度要求の高い製品を多く取り扱ってきた経験から、薄膜コーティングでも高品質を実現。電子部品レベルのクリーンルーム内での作業や走査電子顕微鏡(SEM)での品質チェックなど、徹底した品質管理体制のもとで生産。各社が社内で被膜開発や成膜加工を行うことが主流だった時代から生産体制を整え、受託業務を開始。採算ラインにのせることが難しいとされていたコーティング工程を自社の設備部門による冶具開発や設備開発、自動化技術の採用などと試行錯誤を重ねながら大量生産を実現、現在DLCコーティング生産量では国内シェアトップを維持している。常に独自性を出せる成膜設備や、非接触・非破壊のDLC用顕微分光膜厚計といった品質管理機器を調査・導入して、より高性能な新被膜の開発・生産に取り組んでいることをアピールした。国内12工場、海外4工場のフレキシブル・ネットワークによって、自動車部品への熱処理や、工具・金型だけでなく量産部品へのドライコーティング技術など、あらゆる熱処理、コーティングを国内外で対応できるメリットを強調した。

東研サーモテック ブースのようす

 パルメソ( https://palmeso.co.jp/ )は、粒子投射法を採用し遊離砥粒研磨をナノメートル精度で行う分析前処理用研磨装置「PERET(ピーレット)」の実機を展示。同装置は、研磨痕2mmの端から中央部に向かって0~1°の角度で加工を行う「斜め研磨」が特徴。真横から切断する方法に比べ、斜め研磨は断面積が広く、観察しやすくなるという。1回の研磨面から広い範囲を対象にSEMやX線光電子分光装置(XPS)による深さ方向の観察・分析が可能になる。これまで、こうした高精度加工は優れた技能を持った技術者が必要だったが、同装置は加工対象物を装置に設置し、微粒子の投射時間などを設定するだけで自動研磨するため誰でも簡単に加工が行える。超薄膜や多層フィルム、微小部品などの観察・分析の前処理装置として、今秋から販売を行っていくという。

パルメソ「PERET(ピーレット)」

kat 2019年7月24日 (水曜日)
kat

新東工業、トルコで新合弁会社設立

4年 9ヶ月 ago
新東工業、トルコで新合弁会社設立

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )の欧州持株会社であるドイツ シントー・ヨーロッパは、販売代理店であるトルコ エキスパート社とともに、トルコ共和国エスキシェール県に合弁会社を設立することに合意した。

 新東工業グループは1990年代初めから、トルコ市場に営業展開を行っており新東工業および連結子会社であるハインリッヒ・ワグナー・シントー社(ドイツ)・フロン社(ドイツ)、オメガ・シントー社(英国)の各社が、100社以上の顧客に製品を納入している。新会社の目的は、既存の顧客および新たな顧客に対し、アフターサービスと部品の現地製造をトータルかつ迅速に行うことにあるという。

 エキスパート社は、1992年設立以来、新東工業グループ製品を含む原材料、消耗品、機械等をトルコの顧客に提供しており、トルコ市場において高い認知度を誇り、トルコの鋳造業界における大きな市場シェアを獲得している。

admin 2019年7月12日 (金曜日)
admin

サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

4年 9ヶ月 ago
サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

 本年5月30日に不二WPC( https://www.fujiwpc.co.jp/ )の食品関連部門を分離して設立した新会社「株式会社サーフテクノロジー」( https://www.microdimple.co.jp/ )は、小麦粉やコーンスターチなど食品粉体のホッパーやフルイなどへの付着を抑制する効果があり採用実績の多いショットピーニング技術「マイクロディンプル処理®」をベースに、より細かい粉体の付着抑制効果を実現しつつ、食中毒の原因となる大腸菌などの菌繁殖を抑制、さらには死滅させる技術を開発した。

 マイクロディンプル処理は、メディア(微粒子)をホッパーやフルイなどの金属系基材に高速で投射することによって、一般細菌と同等の大きさという数μm(μmは100万分の1mm)の凹凸(テクスチャリング)を形成し、接触面積を減らし滑り性を向上させるもの。食品を滑らせるのに従来から多用されてきたPTFE(四フッ化エチレン)コーティングのような、脱落した際に異物混入につながる手法を用いずに、粉の通過性を1.2~2倍に向上、粉落ちが良くなるため、網の目詰まりによるメンテナンスや交換の手間を軽減できる。また、粉体の付着が少なくなり廃棄量を減少でき歩留まり向上につながるため、安心・安全に食品ロスや生産性の悪化(エネルギーロス)といった問題を解決できることから、食品業界での採用が急速に進んできている。

 同社では今回、食品業界ですでに実績がありスタンダードの付着抑制処理となっているマイクロディンプル処理「P43プロセス」や「PT1プロセス」(いずれも0.4μm以下の大きさの凹凸を形成できる)をベースに処理時間を工夫することで、付着抑制効果を変えずに強力な抗菌効果を付与できる表面改質手法「Anti-Bac P43 」および「Anti-Bac PT1」を開発した(Anti-Bacは商標登録出願中)。

 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)で、JIS Z 2801に基づいて接種菌液濃度3.6×105CFU/mLの大腸菌をそれぞれ、試験片となる未処理のステンレス材料SUS304 #400、抗菌マイクロディンプル処理Anti-Bac P43およびAnti-Bac PT1を施した同ステンレス材料に置いて、大腸菌群用微生物培地シートを用いて、8時間後の大腸菌の生菌数測定を行った。下図からは、上記3種の試料を滅菌生理食塩水9.6mLで洗い出した液中の生菌数濃度を測定したもので、未処理のステンレス材料でも経時的に抗菌効果が発現されていることが確認できるが、Anti-Bac P43 およびAnti-Bac PT1を施した同ステンレス材料では時間経過とともに菌数が大幅に減少したことが見て取れる。8時間後には生菌数濃度0.4×101CFU/mLとほぼゼロになった。

各試験片の洗い出し液中の生菌数濃度の経時変化

 また、下の培地シートの画像は、上記3種の試料を洗い出した原液1.0mLを接種したものを撮影したもので、青く見える部分が試料より培養された大腸菌群で、青い点一つが菌一つに相当する。未処理の試料は菌数が多いため一面が青くなっているが、Anti-Bac P43とAnti-Bac PT1については明らかに大腸菌群が少ないことが確認できる。

8時間後の培地シートの画像

 JIS規定では抗菌活性値(R)2.0以上(99%以上の細菌死滅率)で抗菌効果があると規定されているが、いずれのマイクロディンプル処理を施したステンレス材料でも、4時間経過時点でR値2.0を超えた。

 同社研究開発部 研究員の西谷伴子氏は、「JIS Z 2801では24時間後の生菌数を見るが、事前に予備試験を実施した結果、8時間後に大腸菌の死滅が確認できたことから、生菌数の時間経過における濃度変化の試験も8時間を最大として実施した。抗菌のメカニズムとしては、ステンレス材料上に形成されたマイクロディンプルによって大腸菌の自己損傷が起きる、グラム陰性菌であればべん毛運動が阻害される、体液が漏れるといったことが想定されるが、大腸菌の詳細な死滅メカニズムについては今後、大学や研究機関と共同で解明に努めていく」と述べる。なお、大腸菌以外では、黄色ブドウ球菌に対しても抗菌効果の確認ができている。今後、大腸菌や黄色ブドウ球菌と同様に食中毒の原因菌であるサルモネラ属菌についても検証していく計画だ。

 マイクロディンプル処理は食品用粉体の付着抑制効果が評価され食品分野での適用を広げているが、抗菌効果を付与できることによってさらなるアプリケーション拡大につながる可能性がある。同社技術営業部 課長の新井正彦氏は、「冷凍食品や生菓子、ケーキなど熱処理を施さない食品では、定時的に生菌数のチェック・分析がなされ、規定された生菌数の上限を超えないよう頻繁にサニテーション(滅菌処置)が実施されるなど、徹底した衛生管理がなされている。このサニテーション作業の頻度を少なくできれば、その時間や手間を生産に充てることができる。そうした点で滅菌に効果があるマイクロディンプル処理への注目が高まってきている」と言う。

 食の安全の確保が最重要テーマである食品業界においては、食品粉体の滑り性向上と抗菌性向上をはかりにかければ抗菌性向上の手法を選択することは明白で、滑り性が仮に従来のPTFEコーティングと同等との評価であったとしても、抗菌性を付与できるとなればマイクロディンプル処理に軍配が上がる。

 下平英二社長は、「マイクロディンプル処理による食品粉体の付着抑制(食品ロスの防止)・滑り性向上(生産性向上)の提案に加えて、新たに抗菌性付与という点を謳っていくことで、ユーザーである食品加工工場でのコーティング不使用による異物混入防止に加えて、煩雑なサニテーション作業の低減が可能になる。一方でこのマイクロディンプル処理は食品分野で多くの実績を持つ手法であって、抗菌手法としての実用化の障壁となる、いわゆる“valley of death:死の谷”がない。食の安全を脅かす各種細菌に対する滅菌効果が確認できれば、速やかに適用、展開できる」と語っている。

 コンベアローラーなど食品機械の回転部分では、サニテーション作業に耐える耐食性を持たせるべくステンレス製のベアリングを使用しつつ、NSF H1規格に適合する食品機械用潤滑剤(食品へ偶発的に混入する危険性がある箇所に使用される潤滑剤)を採用しているが、潤滑剤内での菌の繁殖や、機械洗浄時の水混入に起因する潤滑剤の劣化による生産性の低下などが懸案事項となっている。同社では、マイクロディンプル処理による付着抑制効果+抗菌効果の付与に加えて、高硬度のダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜の複合処理によるテクスチャ形状保持性能および潤滑性の付与によって、細菌の増殖源ともなりうる潤滑剤の不使用や潤滑メンテナンスの排除による生産性向上といった可能性も模索し、食品加工に携わるユーザーのさらなるメリット拡大を追求していく考えだ。

 なお、マイクロディンプル処理と今回の抗菌効果を含む食品分野での適用事例については、本年7月9日〜7月12日まで東京都江東区の東京ビッグサイトで開催中の「FOOMA JAPAN 2019(国際食品工業展)」の不二WPC/サーフテクノロジー ブースで披露されている。

FOOMA JAPAN 2019 不二WPC/サーフテクノロジー ブースのようす

kat 2019年7月11日 (木曜日)
kat

DLC工業会、令和元年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

4年 9ヶ月 ago
DLC工業会、令和元年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は6月28日、東京都港区の航空会館で「令和元年定時会員総会」を開催した。当日は、中森秀樹会長(ナノテック 代表取締役社長)を議長に選出して議事が進行された。
議事を進行する中森会長

 議事においては平成30年度事業報告、決算報告が行われた後、令和元年度事業計画(案)、同予算(案)について審議、満場一致で可決された。事業計画では、同工業会とニューダイヤモンドフォーラムが経済産業省のDLC 国際標準化に関わる委託事業を受託し担当分野の業務を実施すること、講演会あるいはセミナー等を開催すること、新規会員獲得のための活動を行うこと、DLCおよび関連分野の情報収集を行うほか、会員交流の検討を行うことなどを確認した。

 また、当日の席上では昨年より新設された「DLC工業会功労賞」の授賞式が行われ、東京工業大学 教授 大竹尚登氏が受賞。DLCの基礎から応用に関する研究を第一人者として牽引したことや、DLCのISO規格化に対して中核研究者として貢献した功績が認められた。
DLC工業会功労賞を受賞した大竹氏(左)

 総会後に行われた受賞記念講演では、「DLCの現在と未来」と題し大竹氏が登壇。DLCの現状の課題を①より低コストではく離に対する信頼性を向上すること、②高硬度などの機械的特性と離型性などの化学的特性を高い次元で併せ持つ膜を開発すること、③DLCの構造を明らかにすること、と解説。①におけるDLCの未来については、水素フリーDLCはAIP、FCVA、スパッタリングを基礎に、よりsp3化を行い高速化と厚膜化を可能にすることや、大気圧CVDの実現、液中での成膜、膜の設計などが重要になるとした。また②では、膜の設計の概念が今後より重要になること、DLCへの元素添加、切削工具や金型への利用拡大、生体医療系への応用、などを掲げた。③については電気的特性への応用の道を拓くためにも必須、とした。
講演のもよう

 同工業会の現時点での正会員は、ナノテック、リックス、アルテクス、トッケン、平和電機、ナノテックシュピンドラー、フロロコート、大塚電子、iQubiq、ウエキコーポレーション、レスカ、ウォルツの12社。特別会員は大竹尚登氏(東京工業大学)、大花継頼氏(産業技術総合研究所)、平栗健二氏(東京電機大学)、平田 敦氏(東京工業大学)の4名となっている。

admin 2019年7月10日 (水曜日)
admin

厚地鉄工、樹脂金型・スクリュー洗浄用ブラスト装置の販売を開始

4年 10ヶ月 ago
厚地鉄工、樹脂金型・スクリュー洗浄用ブラスト装置の販売を開始

 厚地鉄工( http://www.atsuchi-ascon.co.jp/ )は、樹脂金型・射出成形機用スクリューの樹脂汚れを簡易にクリーニングできるブラスト装置「バスロ(型番:BASRO-2)」の販売を開始した。プラスチック製の投射材を使用するため、金型・スクリューなどの機材を傷めることなく樹脂汚れのみをムラなく取り除くことが可能になるという。
厚地鉄工「バスロ」

 金型やスクリューに付着した樹脂は、ブラシによる手作業だと時間がかかる上に取り残しなどの問題もあるが、同装置により短時間でムラなくクリーニングが可能になる。また、バーナーで焼いたり有機溶剤を使用することがないため、被加工物を傷めることなく低コストでの作業を実現する。

 同装置を使用しての作業は被加工物をブラスト装置にセットしてペダルを踏むだけの操作のため、特別な技術を必要とせず、誰でも簡易に作業を行うことができる。また、回転、横移動自在ターニングローラ(実用新案登録出願)により作業を円滑に進められるように工夫している。
回転、横移動自在ターニングローラ

admin 2019年7月4日 (木曜日)
admin

仏 HEFグループ、日本での表面改質ビジネスを強化

4年 10ヶ月 ago
仏 HEFグループ、日本での表面改質ビジネスを強化

 フランス HEFグループでは近年、日本での表面改質ビジネスを強化・拡大してきている。

 HEFグループは、1953年にフランスでトライボロジー研究センターとして創業。物質の表面処理加工に関する多くの技術を開発して特許を取得、そのライセンスを販売するなど、世界 23ヵ国で展開している。

 日本ではマーケティング・技術支援を行うHEF DURFERRIT JAPAN(ジュリアン グリモ社長、横浜市港北区)、金型向けや自動車部品向けの物理蒸着(PVD)コーティングの受託加工を手掛けるナノコート・ティーエス(熊谷 泰社長、石川県能美市)、自動車エンジン部品向けダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングの受託加工を手掛けるTS群馬(熊谷 泰社長、群馬県高崎市)、環境にやさしい窒化処理を手掛けるTS TUFFTRIDE(グウェン ボロレ社長、大阪府八尾市)でビジネスを推進しているが、ここ数年、それぞれ体制を強化し事業を拡大してきている。
左から、亀山栄治氏(ナノコート・ティーエス 営業グループ長)、安田直史氏(同社 取締役石川事業所長)、熊谷 泰氏(同社 社長)ジュリアン グリモ氏(HEF DURFERRIT JAPAN社長)、グウェン ボロレ氏(TS TUFFTRIDE社長)

ナノコート・ティーエス 第3工場が稼働、風力発電機用軸受向けDLCの量産を開始

 ナノコート・ティーエスでは、2008年設立の第1工場、2014年設立の第2工場に続いて、本年1月に第3工場を新設した。第3工場ではHEF製の最新の成膜設備および洗浄ラインを導入し3月から生産を開始している。
ナノコート・ティーエス 第3工場の外観

 第1工場では主に自動車用ゴム成形金型やプラスチック成形金型など金型関連のPVD処理を、第2工場では主に二輪車のエンジン部品向けDLCを手掛けている。2008年の時点では全売上に占めるDLCの取扱いの割合は8%程度だったが、2009年に新プラズマ源を搭載した新しいDLC成膜装置を導入したのを機にDLC膜の性能が飛躍的に向上、DLCの割合が現在では約67%に増加している。

 DLCを中心に両工場とも受託加工案件が増える傾向にあり、手狭となってきていたことから、同社では昨年から第3工場の設立準備を進めていた。そうした中で折しも、5年前からフランスで試作を重ねてきた風力発電機用軸受向けのDLCの量産案件が成約した。そこで、新設する第3工場を風力発電機用軸受向けのDLC受託加工の主力工場と位置づけたもの。

 風が持つエネルギーを回転運動に変換する風力発電機では通常、発電量を高めるにはロータ径の拡大による受風面積(ブレードが旋回する円の面積)を増やさなくてはならず、ロータを支持する主軸受は大型化する傾向にあり、今後増加が見込まれる洋上風車の主軸受ではさらに大型化すると見られている。主軸受が破損し交換する際には主軸受が取り付けられた主軸を地上高さ100mくらいの位置にあるナセルから降ろす必要があり、多大な費用が発生する。洋上風車となれば交換費用はさらに膨らむため、主軸受には高い信頼性が要求される。これに対し欧州の風力発電機メーカーを中心に、油膜切れなどに伴う軸受軌道面の摩耗といった損傷を防止し長寿命化を図るソリューションとして、軸受ころへのDLCの採用が進んできている。

 こうした中でHEFでは、主軸受用ころ向けのDLCについて試作を重ねていたが、このほど、損傷を防止し寿命を延長、メンテナンス作業を軽減できる効果が認められ、量産採用に至ったもの。

 新設したナノコート・ティーエス 第3工場では、高速成膜が可能な新しいプラズマ源を備えた最新鋭の大型DLC成膜装置「TSD850」 2台と、軸受ころへのDLC成膜のための専用治具、さらにはワークを自動搬送して各槽に浸漬し取り出す全自動洗浄ライン1台という、すべてHEFグループで開発・製造した設備で成膜前処理からの一貫した量産ラインを構築。併せて検査設備も増強し、膜の品質保証体制を徹底させている。
最新鋭の大型DLC成膜装置
全自動洗浄ライン
検査室

 第3工場では風力発電機用軸受向けの量産工場として、大型DLC成膜装置の増設などさらなる設備増強を計画している。

 一方で、同成膜装置はHEF製として最大となる最長1200mmまでの大型・長尺部品への成膜が可能なことから、これまで対応できなかったゴム用/プラスチック用などの大型金型、農業機械の大型部品、医療関連機器の長尺部品などへのDLCの試作案件も増えてきている。さらに2020年からは自動車コンロッド部品向けDLCの量産も見込まれるなど、DLCを中心にビジネスが拡大してきている。

TS群馬、自動車エンジン部品のDLC量産工場として本格稼働

 自動車の燃費改善では軽量化と部品のフリクション低減が効果的だが、先述のとおりHEFグループにおけるDLCの成膜技術が飛躍的に向上し安定した品質を継続的に実現できるようになったことも手伝って、低フリクション化に効果的なDLCの自動車エンジン部品での採用が増えてきている。

 そうした中、HEFグループでは2017年に自動車エンジン部品でのDLCの受託加工に成約。群馬県高崎市に床面積1000m2のDLC量産専用工場「TS群馬」高崎事業所を設立し、2018年3月から生産を開始している。HEFグループの最新鋭の成膜装置5台と、全自動洗浄ライン、自動画像処理検査ラインによって、24時間体制で量産を行っている。グローバルな生産システムと品質管理システムによって、世界同一品質を提供している。
TS群馬:自動画像処理検査ライン

TS TUFFTRIDE、クリーンな窒化処理を前面に新規案件獲得へ

 TS TUFFTRIDEは2017年からHEFの完全子会社として、日本国内で窒化処理事業を展開している。

 HEF独自の窒化処理技術「タフトライド処理®」は、耐食性、耐摩耗性、高いクラック耐性を有するほか処理後の歪が少ないといった特徴から、自動車部品や産業機械部品などの摩擦を低減し、ランニングコスト削減、出力向上、寿命延長、安全性を実現する優れた表面改質技術として、世界中で高い評価を得ている。液体イオンを制御することで環境にやさしい窒化処理を行うCLIN(Controlled Liquid Ionic Nitriding)技術を適用したタフトライド処理®は欧州REACH規制にも適合、近年では硬質クロムめっきの代替技術としても採用が進んできている。

 2018年7月には、日本のビジネススタイルや表面改質分野に造詣の深いフランス人のグウェン ボロレ氏が社長に就任。フランス本国と密に連携して、さらなる生産性の向上を図るとともに、CLIN技術を用いたタフトライド処理®によって、自動車部品を中心に硬質(六価)クロムめっき代替のアプリケーションなどの新規案件を徐々に増やしてきており、HEFの主力事業の一つである窒化処理ビジネスの日本市場でのプレゼンスを高めてきている。

admin 2019年7月2日 (火曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2019年6月号「特集:金型の表面改質」、「キーテク特集:窒化処理」が6/25に発行

4年 10ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2019年6月号「特集:金型の表面改質」、「キーテク特集:窒化処理」が6/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2019年6月号「特集:金型の表面改質」、「キーテク特集:窒化処理」が当社より6月25日に発行された。

 今回の特集「金型の表面改質」では、高い品質が求められるガラスレンズ成形用金型に適用できるドロップレットフリーのDLC膜について、塑性加工用金型への表面テクスチャの形成におけるトライボロジー特性について、ショットピーニング(微粒子投射処理)による超硬合金の高靭化について、最近開催された金型関連の展示会において展示がなされた表面改質技術について紹介する。

 また、キーテク特集「窒化処理」においては、プラズマ窒化したFeとFe-1Al合金の窒化挙動に及ぼす加工の影響について、制御ガス窒化した低合金鋼の窒化組織とその機械的特性について紹介する。

特集:金型の表面改質

◇フィルタードアークで創るDLC膜とその応用・・・豊橋技術科学大学 滝川 浩史、針谷 達
◇ショットピーニングにより表面テクスチャを形成した冷間鍛造用金型のトライボロジー特性・・・大阪大学 松本 良
◇微粒子投射処理による超硬合金金型の長寿命化・・・不二WPC 熊谷 正夫、国産合金 山下 裕吉、神奈川県立産業技術総合研究所 横内 正洋
◇金型関連展に見る金型向け表面改質技術・・・編集部

キーテク特集:窒化処理

◇プラズマ窒化したFeとFe-1Al合金の窒化挙動に及ぼす加工の影響・・・日立建機 孟 凡輝
◇制御ガス窒化した低合金鋼の窒化組織とその機械的特性・・・パーカー熱処理工業 平岡 泰

連載

トップインタビュー・・・グウェン ボロレ 氏(TS TUFFTRIDE)
現場に行こう!・・・ユケン工業 高棚工場
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第4回 ペルー編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

仏HEFグループ、日本での表面改質ビジネスを強化
不二WPC、食品関連分野の課題解決・環境負荷低減で新会社「サーフテクノロジー」を設立
日本トライボロジー学会、トライボロジー会議 2019 春 東京 開催、学会賞表彰式を実施

admin 2019年6月25日 (火曜日)
admin

エリコンバルザース、アメリカ・ミズーリ州に新カスタマーセンター

4年 10ヶ月 ago
エリコンバルザース、アメリカ・ミズーリ州に新カスタマーセンター

 リヒテンシュタイン・エリコンバルザースは、アメリカ・ミズーリ州セントルイスに新カスタマーセンターを開設、このほどドライコーティングの受託加工を開始した。最新のコーティング技術、前後処理システムを備えた同センターは、今後セントルイスとミズーリ州全体の顧客に対して切削工具、金型向けのコーティングサービスを提供していく。
セントルイスで稼働した新カスタマーセンター

 エリコンバルザースの高い品質基準を備えた新カスタマーセンターでは、ミズーリ州の自動車、航空宇宙産業を中心に様々な産業に対して、それぞれの産業に特化した加工プロセスでサービスを提供していく。また、前後処理を含む高品質の製品、サービスを行うために最新の機械や技術を導入した。

 幅広いコーティング膜種をラインナップしている同社では、精密部品、切削加工、成形加工、アルミダイカスト、プラスチック加工などのアプリケーションを視野に入れてビジネスを展開していく。同社の標準的な膜種であるBALINIT AやBALINIT B、近年の高性能機械加工により高品質な膜が求められる切削工具向けにBALINIT ALCRONA PROとBALINIT LATUMAを提供する。これらのコーティングは優れた耐摩耗性、高温硬さ、耐熱衝撃安定性を備え、高速ドライ切削、高速ウェット切削に対して高い成果を上げている。さらに、金属成形加工と精密部品に適した膜種としてBALINIT FUTURA NANOを用意している。

 同社のセールス オペレーション部長兼エリコンバルザース北アメリカ社長のスティーブ クロウレイ氏は「今日は素晴らしい日だ。私たちはアメリカ、セントルイスに新しいカスタマーセンターを設立し、サービスエリアを拡張する。そして何よりもこの新しい地でエリコンバルザースの名前とサービスを紹介できることを嬉しく思う。ミズーリ州エリアとこの素晴らしいセントルイスにおいて、私たちはこれまでも、お客様のためにサービスを提供してきた。今回、新しいカスタマーセンターを開設し、ここに常駐することで我々の関係性も次のレベルへと発展することになる」と述べた。

 エリコンバルザースは、精密部品や金属およびプラスチック加工向け工具・金型の性能と耐久性を向上する表面処理技術の世界的リーディングカンパニーの一つ。全世界で1100台以上のコーティングシステムがエリコンバルザースおよび顧客の施設で稼働している。エンジニアリングとコーティング装置の組み立ては、リヒテンシュタイン、スイスのランゲンタールおよびドイツのベルギッシュ・グラートバッハで行われている。エリコンバルザースが運営するコーティングセンターは、ヨーロッパ、アメリカ大陸、そしてアジアの35か国で100か所以上に及び、さらに拡大し続けている。日本においては、エリコンバルザースの日本法人である日本エリコンバルザース( https://www.oerlikon.com/balzers/jp/ )がPVDコーティング装置の販売およびアフターセールス、全国5工場で「BALINIT」および「BALIQ」ブランドによる切削工具、金型へのコーティングを中心とした受託加工を行っている。

admin 2019年6月18日 (火曜日)
admin

高機能トライボ表面プロセス部会とドライコーティング研究会、合同研究会を開催

4年 10ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会とドライコーティング研究会、合同研究会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は6月7日、尼崎リサーチ・インキュベーション・センターにおいて、「高機能トライボ表面プロセス部会 第13回例会・第55回ドライコーティング研究会 合同研究会」を開催した。
合同研究会のもよう

 高機能トライボ部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 また、AMPIでは所有する各種のレーザ装置やプラズマ装置を利用した加工技術や表面改質技術の研究開発、中小企業の技術支援、という二つのミッションを通じニーズとシーズを常に探っているが、ドライコーティング研究会はこうした観点からAMPIを母体にして、ドライコーティングなどの技術について研究会を開催することで、産官学問わず幅広い有識者の参加により、専門家の講演や保有技術の紹介など、活発な情報交換や勉強会の場を提供している。

 今回の合同研究会では、ドライコーティング研究会の島崎浩一郎氏(近畿高エネルギー加工技術研究所)と高機能トライボ部会の上坂氏からの開会挨拶に続いて、「DLCコーティング」をテーマに以下のとおり講演が行われた。
挨拶をする島崎氏
挨拶をする上坂氏

「小径長尺チューブ内腔へのDLCコーティング技術の開発と医療・バイオ応用」中谷達行氏(岡山理科大学)…ePTFEを素材とした人工血管に対して、生体適合性と耐久性を併せ持つ細管内面用DLCコーティングの適用について解説。医療応用の課題解決に向けて交流高電圧バーストプラズマCVD法を用いたa-C:H膜が①DLC膜に展性を付加②常温でコーティング③管状物内面へのコーティングを可能にする、としてDLC膜の評価を実施。その結果、人工血管の物理特性に影響を及ぼすことなくDLC膜が安定していたため、ePTFE人工血管(内径4mm、全長150mm)の内面にDLCを成膜し、犬の頸動脈人口欠陥置換術を施行した実験結果を報告した。動物実験では、免疫系細胞の付着抑制効果が確認され、人工血管の内皮が非常に薄く均一になっており、DLC膜が人工血管内の内膜形成に良い影響を与えていることが示唆される、とした。
講演をする中谷氏

「DLC膜の構造分析法とISO20523」神田一浩氏(兵庫県立大学)…カーボン膜の分類についての国際規格であるISO 20523の制定までとその内容、放射光吸収分光法によるsp2比の決定、兵庫県立大学が運営するニュースバル放射光施設について、これからのDLC膜の構造分析について解説。ISO 20523については、分類のための性質と基準や結晶性の評価方法、水素量の評価方法、sp2/sp3比の評価方法などについて紹介した。また、sp2/sp3比の評価方法の一つとして挙げられたNEXFASでは軟X線領域での連続光源が必要として、軟X線利用に特化したニュースバルの利用分野などについて講演を行った。
講演をする神田氏

「MoDTC添加油中におけるDLCの摩擦摩耗特性」吉田善明氏(トーヨーエイテック)…カソーディックアークイオンプレーティング法によりDLC膜を形成する自社製の装置でta-C膜とta-C:H膜を形成し、MoDTC添加油中における機械的特性などを評価した結果について解説した。評価の結果、MoDTC添加オイルとDLCの併用でDLC膜が摩耗する現象を確認したこと、水素含有量が増加するとDLCの密度が疎になり比摩耗量が増加すると推定されたことなどを紹介した。また、MoDTC添加油中の試験では、sp2/sp3の比率が増加するとモリブデン酸化物との酸化反応が進み、比摩耗量が増加すると推定される、とした。さらに、sp3組成が多く水素含有量が少ない場合に、摩耗せずにMoDTC添加オイルとの併用が可能であることを報告した。
講演をする吉田氏

「薄膜の機械的物性評価 密着性・硬さ・トライボロジー」田代直也氏(アントンパール・ジャパン)…同社が取り扱う硬さ試験機(インデンテーション試験機)、スクラッチ試験機、摩擦摩耗試験機、膜厚測定機について講演。ナノインデンテーション試験機では、800℃と高温環境で測定ができる装置を用いてTiN膜の測定事例を示し、顕微鏡で圧痕観察が不要であることや、硬さ・弾性率の面内・深さ方向のマッピングが行えることを解説した。また、スクラッチ試験機では、ポリマーやフィルムといったソフトマターからDLC膜など硬質薄膜を測定できる装置ラインナップを紹介。スクラッチ後にパノラマ撮影を行うことで、グラフデータとスクラッチ痕の写真を重ね合わせて分析を行うことができることが特徴と述べた。さらに摩擦摩耗試験機では、装飾用TiCNコーティング膜や酸窒化物コーティング膜、ボールベアリング向けにDLCコーティングを施したゴムシールの測定例を示した。
講演をする田代氏

admin 2019年6月14日 (金曜日)
admin

日本金属熱処理工業会、第61回定時総会を開催

4年 10ヶ月 ago
日本金属熱処理工業会、第61回定時総会を開催

 日本金属熱処理工業会( http://www.netsushori.jp/ )は6月6日、東京都港区のWTCコンファレンスセンターで「第61回定時総会」を開催した。

 会の冒頭、挨拶に立った原 敏城会長(メタルヒート 代表取締役)は「米中貿易摩擦の影響が少なからず出てきていると実感している。また、今年控えている選挙や為替の問題、今後の日米交渉など、当たり前の話ではあるが政治が経済に与える影響の大きさを感じている。いずれにしても熱処理業界としては、こうした変化に対応してものづくりをしていかねばならない。今後、より一層我々の活動を強固なものとし、ものづくりの原点に立ち返って日々の業務にあたらなければならないと思う」と述べた。続いて、経済産業省 素形材産業室 企画調整・素形材製品二係長の比良文香氏が来賓挨拶を述べた後、原会長を議長に選出して議事が進行された。
挨拶する原会長

 議事においては、2018年度事業報告・収支決算報告が行われた後、2019年度事業計画・収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、金属熱処理の技能検定要素試験において2019年度から1級技能検定で顕微鏡や硬さ試験機を用いた実技試験の再開が決定したことや、開発途上国に対して技能、技術、知識を移管する「外国人技能実習制度」に金属熱処理職種の認定を得る作業を開始したこと、ワーキンググループを立ち上げ一般社団法人化に関して2020年度発足を目標に本格的な作業を開始したことなどを報告した。事業計画では、技術委員会でガス熱量バンド制や労働安全衛生、BCPなどに関することを検討することや、マーケティング委員会で購入品価格調査や素形材取引に関する自主行動計画および素形材産業取引ガイドラインのフォローアップに関することなどを検討することなどを確認した。

 任期満了に伴う役員改選では、新会長に嶋崎利行氏(島崎熱処理 代表取締役社長)、副会長に原 敏城氏、大山照雄氏(TONEZ 代表取締役社長)が選任された。

 総会終了後は懇親会が開催され、挨拶に立った嶋崎新会長は「関東・甲信越・北海道を東部金属熱処理工業組合(嶋崎利行理事長)、中部地区を中心とした中部金属熱処理協同組合(原 敏城理事長)、関西から西を西部金属熱処理工業協同組合(大山照雄理事長)として、この3地区の上に当工業会があり、会員数は約200社である。当工業会は歴代の会長によって素晴らしい業界として脈々と受け継がれている。私は東部に所属しているため、とりわけ田村捷也元会長に様々なご指導とご薫陶を受けてきた。また今回、私のような若輩者が会長職を受けて良いのだろうかと逡巡したが、西部の川嵜 修元会長に“大丈夫や。立場が人をつくる。がんばれ!”と激励の言葉をかけていただいた。それは私のこれからの支えとなる言葉だ。本日、川嵜元会長は当工業会の顧問に就任された。これからも田村顧問とともに、ますますのご指導とご薫陶を我々全員に与えていただけることを強く願っている。我が業界は今まさに苦難の時代を迎えつつある。しかし、金属熱処理技術は日本産業の基盤であり要であると確信している。会長として今後何ができるかをしっかりと考えて、業界の利益にかない、なおかつ我が国産業を支える業界にしていきたいと思っている」と述べた。
挨拶する嶋崎新会長

admin 2019年6月13日 (木曜日)
admin

日本製鉄、ガス軟窒化鋼板がダンパープレート用材料として採用

4年 10ヶ月 ago
日本製鉄、ガス軟窒化鋼板がダンパープレート用材料として採用

 日本製鉄( https://www.nipponsteel.com )は、ガス軟窒化処理を施すことにより優れた表面硬度と疲労強度を得ることができるガス軟窒化鋼板を開発、トランスミッション(AT・CVT)のトルクコンバータを生産するユニプレスにトルクコンバータの構成部品であるダンパープレート用の材料として採用された。

 今回、日本製鉄が開発したガス軟窒化鋼板は、鋼板中の化学成分を最適化することにより、ガス軟窒化処理で浸炭窒化処理を行った熱延鋼板と同等以上の表面硬度と疲労強度を確保することができた。低温で熱処理を行うガス軟窒化処理は、マルテンサイト変態が起こらないため、熱処理歪が小さくなる。このため、開発した鋼板とユニプレス独自の精密プレス技術および熱処理技術を組み合わせることにより、ユニプレスでの生産性向上、および品質向上が可能となり、ガス軟窒化鋼板を用いたダンパープレートの開発に成功した。

 また、ガス軟窒化鋼板を用いたダンパープレートは、トランスミッション(AT・CVT)の専門メーカーであるジヤトコが製造する軽自動車専用新型無段変速機(CVT)のトルクコンバータとして搭載された。

 ダンパープレートは、高強度・高耐摩耗性・高精度が求められる部品であり、従来は熱延鋼板に浸炭窒化処理をして品質を確保していたという。今回は、ダンパープレートのさらなるコスト低減、生産性向上、品質向上を目指して開発が行われた。
ダンパープレートの製造方法

admin 2019年6月13日 (木曜日)
admin

自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019を開催

4年 10ヶ月 ago
自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019を開催

 自動車技術会は5月22日から24日、横浜市のパシフィコ横浜で自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」を開催した。エンジンの燃費改善に加え、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動化、先進運転支援システム(ADAS)などに対応する最新の製品・技術が披露された。表面改質関連では以下の展示があった。
人とくるまのテクノロジー展2019横浜のもよう

 HEF DURFERRIT JAPAN、ナノコート・ティーエス、TS群馬、TS TUFFTRIDEの4社はHEFグループとして出展。主にDLCコーティングの受託加工を手掛けるナノコート・ティーエスは、新設した第3工場で2019年3月より風力発電機用軸受向けのDLCコーティングの量産を行っていることをアナウンスした。同工場では、フランスHEFグループが開発・製造した最新鋭の大型DLC成膜装置を導入しているため、最長1200mmまでの長尺製品に高品質なコーティングが可能。併せて検査設備も増強したため膜の品質保証体制を徹底している。また、TS TUFFTRIDEはグローバルで普及している窒化処理「タフトライド処理」を提案。液体イオンを制御することで環境にやさしい窒化処理を行うCLIN(Controlled Liquid Ionic Nitiriding)技術を適用しており欧州REACH規制に適合、今後日本国内でも環境規制が強化すると見て、硬質クロムめっきの代替技術として拡販を図っていくという。

 大同メタル工業は、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」、さらに最近開発された耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」を紹介した。開発品は、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干やわらかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高める異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐ。
大同メタル工業のブース

 日本アイ・ティ・エフは新開発のDLC膜として、PVD法とCVD法を組み合わせ、耐焼付き性を従来のCVD法によるDLC膜に対して1.6倍、耐摩耗性を2.4倍以上に向上した「HC-DLC」を紹介。この被膜を成膜したピストンピンは大型ディーゼルエンジンに採用され、今夏から量産予定だという。今後はエンジン部品だけでなく、焼付きや摩耗がより厳しくなるギヤや駆動系部品、燃料系部品にも適用、自動車以外の機械部品や金型などに対しても広く展開を図る。
日本アイ・ティ・エフのブース

 日本エリコンバルザースは、自動車産業向けの被膜として「BALINIT DLC」を紹介。部品の摩耗や摩擦酸化から部品を保護し、スカッフィングや冷間圧接を引き起こすような高い表面圧力にも耐えることができる被膜として提案を行った。また、a-C:H膜では対応が難しかった、圧力による高温環境や長時間の低潤滑、MoDTC対策などの過酷な環境に適した被膜として同社のta-C膜「BALIFOR T」を併せて提案した。
日本エリコンバルザースのブース

 日本ピストンリングは、平滑表面でフリクションが低減でき、a-C/ta-C比率の最適化で自己潤滑性と高い耐摩耗性を両立、さらに耐久信頼性を向上させる厚膜タイプの「DLCコーティングリング」を紹介した。また、シリンダライナ内周面に微細なディンプルを形成することでピストンリングとの間の流体潤滑による摩擦力を低減しエンジンの燃費向上を実現する世界初の「ディンプルライナ」を披露した。さらに、「3D形状圧粉コアを採用したアキシャルギャップ型高トルクモータ」を紹介、高トルク化によってインホイールモータとして使用することでダイレクト駆動を可能にすることや、ギヤレス化による機械損失の低減とギヤ音の削減を実現できること、さらにはAir Gap可変によるモータ特性のチューニングが可能なことをアピールした。
日本ピストンリングのブース

 パルメソは、粒子投射法を採用し遊離砥粒研磨をナノメートル精度で行う分析前処理用研磨装置「PERET(ピーレット)」の実機を展示。同装置は、研磨痕2mmの端から中央部に向かって0~1°の角度で加工を行う「斜め研磨」が特徴。真横から切断する方法に比べ、斜め研磨は断面積が広く、観察しやすくなるという。1回の研磨面から広い範囲を対象にSEMやXPSでの深さ方向の観察・分析が可能になる。これまで、こうした高精度加工は優れた技能を持った技術者が必要だったが、同装置は加工対象物を装置に設置し、微粒子の投射時間などを設定するだけで自動研磨するため誰でも簡単に加工が行える。超薄膜や多層フィルム、微小部品などの観察・分析の前処理装置として販売を行っていくという。
パルメソのブース

admin 2019年6月11日 (火曜日)
admin

NPS、第12回岩木賞の業績募集を開始、表彰費用の賛助も募集

4年 11ヶ月 ago
NPS、第12回岩木賞の業績募集を開始、表彰費用の賛助も募集

 未来生産システム学協会(NPS)は、「第12回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の業績募集を開始した。締め切りは8月31日。また同時に、岩木賞表彰費用の賛助の募集も実施している。

 岩木賞はトライボコーティング技術研究会が提唱し、NPO法人である精密科学技術ネットワーク(PEN)が2008年度から創設し表彰していたが、2011年度からは一般社団法人であるNPSが継承し表彰している。

 表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。募集対象は表面加工、表面改質、表面分析、トライボロジー、コーティングに関わる研究・開発・技術・支援・交流・事業化などで著しい成果、業績(製品、サービス、学会発表や特許申請/登録されたものを含む)を上げた個人、法人、団体で、表彰対象は受賞業績が公表できること、NPSに参加できること、と定めている。

 本年度は大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞を中心に募集を行うが、国際賞、事業賞、功績賞の申請も受け付ける。国際賞以外は、原則として日本国内に居住地、研究室や本社、本部、主力工場などの活動拠点を有する個人、法人、もしくは団体が対象。国際賞は、海外に居住地などの主たる活動拠点を有する個人、法人、団体が対象となる。

 各賞の審査基準は以下のとおり。

【大賞】
・開発技術が世界的に高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、経済的・社会的貢献が認められるもの。
【優秀賞】
・開発技術が日本国内において高い水準にあり、新規独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されており、社会的貢献が認められるもの。
【特別賞】
・開発技術が当該業界において高い水準にあり、新規/独創性に優れたもの。
・開発技術が実用化されているか、実用化の途上にあり、社会的貢献が認められるもの。
【奨励賞】
・開発技術が当該業界において優れており、新規/独創性に優れたもの
・開発技術が実用化の途上にあり、実用化の努力が認められるもの
【事業賞】
・事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の知名度を上げる、インフラの構築を行う、社会生活に恩恵をもたらすなどの効果を通して、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。
【国際賞】
・開発技術または事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービスなどが当該業界で影響力を有し、当該業界の我が国との関係において協力、連携、協調関係を育み、または当該業界の知名度を上げ、活性化、発展に貢献をなし、波及効果を生むなどの活動の成果、努力が認められるもの。
【功績賞】
・大賞、優秀賞、特別賞、奨励賞の評価尺度と、事業賞、国際賞の評価尺度のいずれの面でも極めて顕著な業績が認められるもの。

 岩木賞受賞業績については、2020年2月28日に開催されるシンポジウム「トライボコーティングの現状と将来」で、表彰および受賞業績の記念講演を行う予定。岩木賞に関する問い合わせ、申請様式の請求は、NPS表彰顕彰部門岩木賞表彰事業部内 事務局まで(E-mail:award@nps-t.info)。
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 同研究会ではまた、岩木賞表彰費用の賛助を募集している。問い合わせ・申し込みは、トライボコーティング技術研究会 岩木賞表彰基金まで(award@tribocoati.st)。

admin 2019年6月6日 (木曜日)
admin

日本トライボロジー学会、トライボロジー会議 2019 春 東京 開催、学会賞表彰式を実施

4年 11ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、トライボロジー会議 2019 春 東京 開催、学会賞表彰式を実施

 日本トライボロジー学会(JAST)は5月20日~22日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで、「トライボロジー会議 2019 春 東京」を開催した。機械要素や潤滑剤、表面処理・コーティングなどの関わる研究160件が、一般セッションとシンポジウムセッションで発表された。

 一般セッションは「トライボケミストリー」、「マイクロ・ナノメカニズム」、「表面形状・接触」、「機械要素」、「表面処理・コーティング」、「シミュレーション」、「摩擦材料」「摩耗」、「分析・評価・試験」、「境界潤滑」、「潤滑剤」、「摩擦」、「固体潤滑」、「メンテナンス」、「流体潤滑」の15テーマで、また、シンポジウムセッションは、「高分子材料のトライボロジー」、「境界潤滑下における固体表面の最適設計技術-機能性コーティングかトライボフィルムか?-」、「" 超" を目指す軸受技術の最前線」の3テーマで開催された。

 20日には「2018年度日本トライボロジー学会賞」表彰式が行われ、表面改質関連では、以下などが表彰された。

学会賞授賞式のようす

トライボロジーオンライン論文賞

「Effect of Electric Field on Adhesion of Thermoplastic Resin against Steel Plates」村島基之氏(名古屋大学)、梅原徳次氏(名古屋大学)、上坂裕之氏(岐阜大学)、Xingrui Den氏(リケン)…低燃費自動車への要求が高まる中、軽量な複合材である炭素繊維強化樹脂(CFRP)に注目が集まっている。しかし熱硬化性樹脂が用いられる従来のCFRPは製造時間・コストが高く大衆車への適用が進んでいない。そこで、熱可塑性CFRPに次世代の車体材料としての期待が高まっている。加熱により軟化する熱可塑性CFRPの製造には既存のプレス成型手法を用いることができ、製造時間・コストの低減が期待される。一方で,高温金型表面から離型する際に樹脂が金型へ付着するトラブルが報告されている。本研究は、電場印加という大面積に適用可能な新しい手法を用いた、高温金型表面への熱可塑性樹脂付着抑制手法の開発およびそのメカニズム解明のために実施された。本論文では、極性基を有するアクリル樹脂とガラス転移温度に達した金属表面との付着力を測定し、金型への電場印加の影響を明らかにした。直流電場を印加した場合は付着力の増加が観察され、これは極性基が電場により金属表面に引き付けられたためと考えられた。一方で、交流電場の場合には周波数の増加とともに付着力は減少し、電界強度10V/mm、1 MHzを印加した際には無印加と比較して44%の付着低減効果を示した。これは極性基の移動が分子の絡まりや慣性力などにより遅れる、位相遅れが生じたためと考察。本論文では、アクリル樹脂のガラス転移温度における誘電正接は周波数とともに増加することも実験的に確認し、位相遅れによる極性基と電場の反発力により付着力が抑制されたと示された。以上のように、本研究では電場を利用する従来にはなく、かつ大面積金型に適用可能な熱可塑性樹脂付着抑制手法を開発した。また、誘電正接などを実際に測定しそのメカニズムが示されたことで、付着抑制性に優れた分子構造の開発など今後の発展が期待できるとして評価された。

左から、梅原徳次氏、若林JAST会長、村島基之氏、Xingrui Den氏

技術賞

「耐焼付き性に優れるDLC被膜転がり軸受の開発」佐藤 努氏・伏見元紀氏・上光一郎氏(日本精工)…転がり軸受では使用条件が厳しくなると焼付きや摩耗などの表面損傷を生じ、軸受としての機能に支障をきたす場合がある。このような表面損傷を防止する方法として、金属接触を防止できる表面処理が有効で、特に低凝着性や耐摩耗性を有するダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜は大きな効果が期待できる。しかし、DLCは硬質膜のためにはく離しやすく、特に接触面圧が大きい転がり軸受の軌道面においては被膜はく離が生じやすく、適用が難しかった。高面圧転がり接触下における被膜はく離の抑制には、被膜内部に発生する応力の低減が必須として検討・改良を行った。転がり接触下では母材である鋼が大きな弾性変形を繰り返すため、中間層を含めた各層のヤング率を鋼に近づけることで、接触により被膜内部に発生する応力を低減した。加えて成膜時に発生する被膜の残留応力を被膜組成や成膜条件の最適化により低減した。これらの改良により、高面圧下においてもはく離しにくい高耐久のDLC被膜を得た。開発した耐はく離性に優れるDLC被膜を転がり軸受に適用することで、過酷な使用環境においても長期にわたって焼付きや摩耗を防止することが可能となった。大規模空調設備用ターボ冷凍機においては、本技術を圧縮機支持軸受に採用することで軸受列数の削減と小型化が可能となり、従来機から軸受損失を約50%低減させCO2排出量削減が期待される。また、製紙機械においては抄紙工程のロール支持用の自動調心ころ軸受で問題となるスミアリング損傷(表面の微小焼付き)を実機環境下において長期にわたって防止する効果が確認されており、今後、生産設備の安定稼働ならびにメンテナンス軽減に貢献していくことが期待できるとして評価された。

左から、上光一郎氏(日本精工)、若林JAST会長、佐藤 努氏・伏見元紀氏(日本精工)

「テクスチャ付与による自動変速機用低トルクシールリングの開発」関 真利氏・石岡克敏氏・吉田勇介氏(NOK)、細江 猛氏・徳永雄一郎氏(イーグル工業)…近年の世界的な温暖化対策を背景に自動車のCO2排出規制が厳しさを増す中で、自動変速機(AT)内のシール部品においてもさらなるトルク低減が求められている。AT内のシール部品の機械損失は全体の約25%を占めており、中でも高圧・高速しゅう動環境で複数個使用される回転用シールリングについては、低トルク化のニーズが非常に高い。従来のシールリングはシール幅低減によって油圧による押付け荷重を低減し低トルク化を図ってきたが、過度な油漏れを防ぐためにはさらなるシール幅の低減は困難である。そこでシールリングのしゅう動面に動圧すべり軸受機構を発現する溝形状(テクスチャ)を配置し、流体潤滑状態で作動させることを試みた。シールリングしゅう動面のテクスチャ形状は、流体潤滑を仮定した数値解析をもとに形状を設定した。数値解析では、しゅう動面のみを対象とし、有限差分法によるレイノルズ方程式によって荷重と釣り合う油膜厚さを求めた。また、検証評価として、LIF法を用いたしゅう動面の油膜計測を行い、軸受特性数Gの増加に伴い油膜厚さが増加する傾向は実験も解析も同様であることを確認した。テクスチャシールリングは、従来のシールリングに対し最大で70%のトルク低減効果を確認、すでに量産車に適用されている。今後、自動変速機用シールリング以外の分野においても採用可能な技術で、他樹脂しゅう動部品への展開も期待できるとして評価された。

左から、関 真利氏(NOK)、若林JAST会長、徳永雄一郎氏(イーグル工業)

kat 2019年6月6日 (木曜日)
kat

日本アイ・ティ・エフ、耐焼付き性と耐摩耗性を向上したDLC膜を開発

4年 11ヶ月 ago
日本アイ・ティ・エフ、耐焼付き性と耐摩耗性を向上したDLC膜を開発

 日本アイ・ティ・エフ( www.nippon-itf.co.jp/ )は、自動車エンジン部品のピストンピンの表面コーティングに適したなDLC膜「HC-DLC」を開発、2019年7月より販売を開始する。

 この被膜は、グラファイトや金属などの固体を原料としてプラズマ化し蒸着する「PVD法」とメタンやアセチレンなどの気体を原料としてプラズマ化し蒸着する「CVD法」を組み合わせたもの。耐焼付き性を従来のCVD法によるDLC膜に対して1.6倍、耐摩耗性を2.4倍以上に向上した。

 新開発の被膜を成膜したピストンピンは大型ディーゼルエンジンに採用され、今夏から量産予定だという。今後はエンジン部品だけでなく、焼付きや摩耗がより厳しくなるギアや駆動系部品、燃料系部品にも適用、自動車以外の機械部品や金型などに対しても広く展開を図る。

 自動車の電動化は今後急速に進む見通しだが、2050年時点でもエンジンとバッテリーを組み合わせた車両が大多数を占め、エンジンを搭載する車両は現在よりも増えることが予想されている。このためエンジンの小型化・高効率化はますます加速している。エンジンの効率化のため、過給圧を上げようとすると、DLCをコーティングしたピストンピンに過大な圧力がかかり、焼付きが生じやすくなる。また最近では、ディーゼルエンジンのほかにガソリンエンジンのピストンピンにもDLC膜が採用されており、オイルに使用される添加剤のMoDTCと反応して異常摩耗するなどの課題もあった。これらに対応するため、同社ではHC-DLCを開発した。

admin 2019年6月5日 (水曜日)
admin
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5 分 57 秒 ago
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