メインコンテンツに移動
mstkouenkai

 

mst配信ニュース 表面改質の情報サイト

ニッチュー、福島に新工場を計画

5年 1ヶ月 ago
ニッチュー、福島に新工場を計画

 ニッチュー( https://www.blast.co.jp/ )は、福島県いわき市にブラスト装置の製造やブラストの受託加工を行う新工場を建設する。

 新工場は2020年3月に着工し、21年1月に操業を開始する予定。新工場の敷地面積は約10400m2。鉄骨造2階建て工場と大型テント倉庫2棟を設ける。延べ床面積は約5000m2。いわき市のいわき四倉中核工業団地に立地。これに伴い県内で7人程度の新規採用を予定しているという。

 同社は、1959年にショットブラスト装置メーカーとして設立。現在ではエアブラストやウェットブラストなどの各種ブラスト装置や周辺装置、ブラストで使用する研削材の製造・販売、また同社製品を使用した受託加工を行っている。今回の新工場建設に関しては、同社我孫子工場が手狭になったことに加え、近年福島第一原子力発電所に関わる除染用ブラスト装置を手掛けたことをきっかけに、福島イノベーションコースト構想に賛同し国や県や市の支援を受けたことから福島への進出を決めた。

ニッチュー 我孫子工場

 

admin 2019年10月10日 (木曜日)
admin

三洋貿易など、摩擦摩耗試験機のワークショップを開催

5年 1ヶ月 ago
三洋貿易など、摩擦摩耗試験機のワークショップを開催

 東京理科大学 佐々木研究室(佐々木信也教授、 https://www.rs.tus.ac.jp/tribology/ )と三洋貿易( https://www.sanyo-si.com/special/tribology/1/ )は9月24日、東京都葛飾区の東京理科大学で「トライボロジーワークショップ」を開催した。

 このワークショップは、三洋貿易が2年前から販売を行っている米Rtec instruments社のモジュール交換型多機能摩擦摩耗試験機「MFT-5000」、ボイスコイル型高速振動摩擦試験機「Fretting Fatigue Tester(FFT)」の機能紹介や導入実績、デモテストなどを行うもの。佐々木研究室では2機種を導入している。

 当日は、Rtec instruments社CEOのVishal Khosla氏から2機種について紹介。MFT-5000は、ブロック・オン・リングやピン/ボール・オン・リング、高速往復摺動試験、四球試験を標準として様々な試験に対応可能な装置だと解説。フロアスタンド型を採用しており、高荷重(5000N)、高回転領域(8000rpm)まで対応するとした。また、インラインで白色干渉計も搭載可能で、試験中、試験後の表面状態を試験直後にそのまま測定できる。データ収集速度は100KHz以上が可能だという。研究開発からASTMなどの試験法にも対応している。さらに、特殊試験として超高温・低温・湿度環境への対応やブレーキシミュレーション試験などへの対応が可能とした。これらを強みとしてアメリカを中心に世界中で実績があるという。

Vishal氏

 Fretting Fatigue Testerは、最大500Hzの高速往復振動でもボイスコントロールをリアルタイムに監視して摩擦摩耗試験が行えると解説。仕様によりボイスコイルをミニ(0.05~10N)、シングル(10N~1000N)、ダブル(1000~2500N)から選択できるため最大摩擦力2500N、最大荷重5000Nで試験が可能。また、~180℃、~500℃、~1000℃と幅広い温度コントロールが可能であり、必要な温度範囲のヒーターを選択できる。また、最速200000Hzでデータ収集が可能なため試験データの波形がはっきりと確認できる。試験はレシピが作成可能なため保存後は誰でも同じ試験を繰り返すことができるとした。

(左から)通訳を務めた三洋貿易 國井卓人氏、狩野陽平氏とVishal氏

 続いて佐々木氏がトライボロジーセンターの役割や設備紹介を行った後、MFT-5000とFretting Fatigue Testerのデモ試験が行われた。

トライボロジーセンターの設備紹介のもようデモ試験のもよう

 

admin 2019年10月7日 (月曜日)
admin

ミツトヨ、表面粗さ測定と輪郭形状測定を1台で行える表面性状測定機

5年 1ヶ月 ago
ミツトヨ、表面粗さ測定と輪郭形状測定を1台で行える表面性状測定機

 ミツトヨ( https://www.mitutoyo.co.jp/ )は、表面粗さ測定と輪郭形状測定を1台で行えるハイブリッドタイプの表面性状測定機「FORMTRACER Avant」シリーズを開発した。

FTA-S4D3000

 同社では、これまで表面性状測定機のラインアップとして、表面粗さ測定機「SURFTEST」、輪郭形状測定機「CONTRACER」、そして両方の測定に対応するハイブリッド機「FORMTRACER」の各シリーズを展開してきた。「FORMTRACER Avant」シリーズは、これらの製品シリーズを統合・再編した、表面性状測定機の新シリーズとなる。

 同シリーズは、検出器を交換することにより、表面粗さ測定と輪郭形状測定のどちらの用途にも使用できるように設計されている。ラインアップは、表面粗さ測定と輪郭形状測定に1台で対応するハイブリッド機「FORMTRACER Avant D3000/4000」、表面粗さ測定機「FORMTRACER Avant S3000」、輪郭形状測定機「FORMTRACER Avant C3000/4000」。このうち、「S3000」と「C3000/4000」は、輪郭形状測定用検出器あるいは表面粗さ測定用検出器を追加導入することにより、「FORMTRACER Avant D3000/4000」同様にハイブリッド機として活用できる。

 検出器の着脱にはサムターンクランプレバーを採用しており、工具を用いることなく簡易で迅速に交換することができる。交換後は、輪郭/表面粗さ検出器の種別を自動認識するため、検出器切替スイッチの操作忘れによる誤動作や、誤動作に伴う検出器破損の心配はないという。

 測定機能では、高速移動(X軸:最大80mm/s、Z2軸:最大30mm/s)、測定速度の高速化(X軸:30mm/s)を実現。また、測定パートプログラムの作成を強力にサポートするパートプログラムキーを搭載した新型リモートボックスが、測定作業の効率化を支援する。

admin 2019年10月7日 (月曜日)
admin

第12回岩木賞が発表、大賞・事業賞にナノ炭素研究所・大澤映二氏

5年 1ヶ月 ago
第12回岩木賞が発表、大賞・事業賞にナノ炭素研究所・大澤映二氏

 トライボコーティング技術研究会、未来生産システム学協会(NPS)などからなる岩木賞審査委員会は、「第12回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」を発表した。岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で著しい業績を上げた個人、法人、団体を顕彰するもので、当該分野で多くの功績を残した故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業をたたえ、2008年度より創設されたもの。

 今回は、ナノ炭素研究所・大澤映二氏(豊橋技術科学大学名誉教授)が業績名「2.6nm爆轟法ナノダイヤモンド分散粒子の生産技術の確立とナノダイヤモンドコロイドの事業化」により、岩木賞初となる大賞・事業賞の同時受賞に輝いた。また、コマツNTC・前花英一氏、東北大学大学院・水谷正義氏・厨川常元氏が業績名「微細ラティスコーティング技術の開発」で特別賞を、IBUKIが業績名「加飾成形用金型の製造技術ならびにAI援用技術に基づくIoT化事業」で事業賞を受賞した。

 大賞・事業賞の業績「2.6nm爆轟法ナノダイヤモンド分散粒子の生産技術の確立とナノダイヤモンドコロイドの事業化」は、品質工学の田口メソッドを活用してビーズミリング法によるナノダイヤモンドの解砕条件を最適化、その際にナノ粒子独特の挙動を発見してこれを巧みに利用しつつ、解砕終了後は水を一切添加しないなどの独自プロセスの考案により2.6nmナノダイヤモンド粒子の定常的な生産に成功し、ナノダイヤモンドコロイドの量産・実用化を実現したことが評価されたもの。ナノダイヤモンドコロイド「NanoAmando®B」水溶液の生産技術を確立し、実用化、製品化に成功、販売委託先のニューメタルス・エンド・ケミカルス・コーポレーションを通じ、これまでに研究開発試薬、切削加工液(クーラント)用潤滑・加工助剤や研削加工具(砥石)の性能補助剤(ナノダイヤモンド含有砥石)、コーティング(化学気相成長:CVD)種付け剤など、すでに多くの販売実績を持つ。水性コロイド溶液は濃黒色でやや使いにくいことから、現在は基本粒子の表面にある非ダイヤモンド炭素を除去して無色透明の粉末粒子「NanoAmando®W」の製造を進めるなど、さらなる市場拡大に努めているという。

 特別賞の業績「微細ラティスコーティング技術の開発」は、モノとモノとの界面を設計する機能性インターフェース創成方法の新たな提案を行うもの。たとえば、骨との接合性を向上させるなどデジタルインプラント界面への多様な機能を満たすために、①造形の微細性、②自由なデザインの多孔質構造(ラティス構造)、③同構造の曲面など任意のバルク材表面への付与という要件を実現する「微細ラティスコーティング®」を可能にする独自の積層造形法(3Dプリンティング)を開発した。上記の3要件を解決するため、連続パルス発振レーザによる95μmの微細造形の実現や、水平梁構造造形技術、独自開発の粉末供給器の等速運動により一層あたりの粉末堆積厚を均一にする「重力落下式粉末供給法」の開発を行い、多孔質構造による、アンカー効果など各種機能を手軽に付与し活用できるようにしたことが評価された。繊維強化樹脂と金属との異材接合手法としても適用の可能性があることも、期待されている。

 事業賞の業績「加飾成形用金型の製造技術ならびにAI援用技術に基づくIoT化事業」は、二次加工を必要としない加飾(樹脂にメタリック感を持たせるなど、繊細で複雑な微細加工を表面に付与)を施す独自の加飾成形金型技術について、従来依存していた熟練者の勘・ノウハウを形式知化したブレインモデルを作り、AIと連携しつつIoT金型を活用して技術伝承を行うとともに、金型製造ノウハウをコンサルティングに転用していることなどが評価されたもの。上述の加飾成形金型の作製ではこれまで、でき上がった型に樹脂を流し込む成形トライで不具合があると、熟練者の感覚を頼りに不具合の原因を探りながら金型修正を繰り返していたが、こうした現場の課題を解決するため、位置センサや温度センサ、圧力センサなどの8種類のセンサを埋め込んだIoT金型を製作して適用、成形中に金型の内部で起こっている樹脂流れや金型挙動を可視化すると同時に、AIを用いて成形の不具合に関する分析を行えるようにした。改良を重ねたIoT金型が完成し、現在は外販も検討中という。

 第12回岩木賞の贈呈式と受賞業績の記念講演は、2020年2月28日に東京都板橋区の板橋区グリーンホールにおいて、砥粒加工学会主催「先進テクノフェアATF2020」と同時開催となる「理研シンポジウム:第22回トライボコーティングの現状と将来」で行われる予定。

前回の岩木賞受賞式のもよう

 

kat 2019年10月3日 (木曜日)
kat

表面改質展2019が開催

5年 1ヶ月 ago
表面改質展2019が開催

 「表面改質展2019」、「VACUUM2019 真空展」など五つの専門展が9月4日~6日、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催、約56185名が来場した。主催は表面改質展が日刊工業新聞社、真空展が日本真空工業会と日本真空学会など。両展示会では、ドライコーティングの装置や周辺機器の展示、各社独自開発の被膜による受託加工に関する展示が多数見られた。ここでは、表面改質展の展示内容を中心に、本サイトに関連の深い技術・製品を紹介する。

会場入り口

 IHI Hauzer Techno Coating( http://www.hauzertechnocoating.com/jp/home/ )は、PEM(固体高分子型)燃料電池バイポーラプレート向けの導電性、耐食性、密着性に優れたカーボンコーティングを紹介した。その性能は欧州最大の応用研究機関であるドイツFraunhoferによる性能試験で実証されている。R&D向けやパイロット生産向けにはバッチ装置を提案。小型バッチ装置「Flexicoat 850」は様々な成膜技術を搭載可能で、プロセスとコーティングの技術開発に適している。最大サイズのバッチ装置「Flexicoat 1500」は、A4サイズ両面コーティングの場合で年間最大数十万枚のバイポーラープレートコーティングが成膜可能でパイロット生産に適している量産向けではインライン成膜装置「Metalliner®」を用意。装置構成により年間1000万枚以上のバイポーラプレートの成膜が可能だという。現在、世界の主要自動車メーカーに提案、一部試作が始まっているという。

IHI Hauzer Techno Coating「カーボンコーティングのサンプル」

 サーフテクノロジー/不二WPCは、小麦粉やコーンスターチなど食品粉体のホッパーやフルイなどへの付着を抑制する効果があり採用実績の多いショットピーニング技術「マイクロディンプル処理®」をベースに、より細かい粉体の付着抑制効果を実現しつつ、食中毒の原因となる大腸菌などの菌繁殖を抑制、さらには死滅させる技術を紹介した。食品業界ですでに実績がありスタンダードの付着抑制処理となっているマイクロディンプル処理「P43プロセス」や「PT1プロセス」(いずれも0.4μm以下の大きさの凹凸を形成できる)をベースに処理時間を工夫することで、付着抑制効果を変えずに強力な抗菌効果を付与できる表面改質手法「Anti-Bac P43 」および「Anti-Bac PT1」を開発。マイクロディンプル処理による食品粉体の付着抑制(食品ロスの防止)・滑り性向上(生産性向上)の提案に加えて、新たに抗菌性付与という点を謳っていくことで、ユーザーである食品加工工場でのコーティング不使用による異物混入防止に加えて、煩雑なサニテーション作業の低減が可能になることを訴求していく。

サーフテクノロジー/不二WPC「左:未処理 右:マイクロディンプル処理」

 東京電子は、アーク異常放電抑制型HiPIMS用パルス電源を紹介した。同パルス電源は、HFパルス(High Frequency Pulse)部があることにより電流が制御可能であることから、異常アークを抑制し、さらにアフターグローの時間が長くなる。アークが起きる限界までパルス幅を拡張でき平均電力を上げられることにより放電時間を従来のHiPIMS波形の放電時間50μs程度から100μs程度に拡張、成膜レートを大幅に向上できる。また、MEMSやライフサイエンスデバイスなどの信頼性を担保するデバイス内の機密検査として、超低ガス放出残留ガス分析計「WATMASS」を中心とした超微量ガス分析装置を紹介。この装置は、リーク量10-16Pa・m3/sの計測が可能であり、同時にデバイスの破壊試験から、残留成分を高精度で測定可能だという。

東京電子のブース

 東芝ナノアナリシスは、次世代製品の研究・開発を先端の設備と高度な分析でサポートする「ナノ構造解析」や、表面の化学組成や結合状態、不純物分布などを詳しく調べ研究開発や製造プロセスおよび不良解析に役立つ情報を提供する「表面分析」、研究開発から製造技術における薄膜材料の物理的構造や特性を明らかにする「薄膜物性評価」などの受託分析サービスを紹介。具体的には、ナノ構造を明らかにする原子レベルの三次元アトムプローブ解析技術、イオンミリング法により加工した陽極酸化皮膜の微細構造観察例、アルミダイカスト部品の三次元X線顕微鏡(X線CT)による非破壊観察で内部欠陥の有無、また欠陥が確認された場合は内部欠陥に存在する介在物の成分や元素の分布を確認することで発生原因が推定できることなどを事例として挙げた。

東芝ナノアナリシスのブース

 日本電子工業は、同社が受託加工を行っているPCVD法によるDLCコーティング「NEO Cコーティング」と多様な方法で成膜できるDLCコーティング「NEO VCコーティング」を紹介した。NEO VCコーティングは、UBMS法+PACVD法によるa-C:H膜、カソードアーク法によるta-C膜、UBMS法によるa-C:H膜などのほか、シリコンやタングステンを含有した被膜を形成することができる。同社では被膜のラインアップが多様な強みを活かして、自動車部品や機械摺動部品の摩擦低減や耐摩耗性向上といった用途に提案を強化していく。

日本電子工業のブース

 八田工業は、受託加工を行っている真空熱処理やイオン窒化のサンプルを展示した。また、新しい技術として「アクティブスクリーンプラズマ窒化」を紹介。この技術は、通常のプラズマ窒化が処理材表面でグロー放電を発生させるのに対し、炉壁とスクリーンの間でグロー放電を発生させるため、従来のプラズマ窒化の欠点である異常放電、エッジ効果などによる窒化層のムラが回避できる今後、実績を積み上げることで、さらなる受注拡大を期待しているという。サンプルとして薄い包丁を展示した。

八田工業の熱処理サンプル

 ヤマシタワークス/日本スピードショアは、異形状ワークを簡単に短時間で鏡面仕上げ加工できる装置「エアロラップ」を展示した。エアロラップは、ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に、水分「マルチリキッド」を含有することで弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、被加工材(ワーク)表面を高速で滑走させて発生する摩擦力によって磨くもの。乾式と湿式の中間的な湿潤状態で、相手材にダメージを与えることなく、精密研磨、最終仕上げや鏡面仕上げを可能にしている。今回は、各種金型部品の磨き時間短縮、切削工具の寿命延長、DLCなどドライコーティング成膜の前後処理など、様々な用途で使用が可能で、再生可能なエコ製品で、食品素材をコアに持つ研磨材を用いていることをアピールした。

ヤマシタワークス/日本スピードショアのブース

 

admin 2019年9月26日 (木曜日)
admin

理研 大森素形材工学研究室製作のフレネルレンズ搭載Mini-EUSO望遠鏡が打ち上げ、宇宙・地球科学の成果獲得へ

5年 1ヶ月 ago
理研 大森素形材工学研究室製作のフレネルレンズ搭載Mini-EUSO望遠鏡が打ち上げ、宇宙・地球科学の成果獲得へ

 理化学研究所(理研)開拓研究本部戎崎計算宇宙物理研究室(主宰者:戎崎 俊一 主任研究員)、大森素形材工学研究室(主宰者:大森 整 主任研究員)の共同研究グループが開発・製作に携わったMini-EUSO望遠鏡が8月22日(日本時間)、ロシアのソユーズロケットによって、バイコヌール宇宙基地(カザフスタン)より国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられた。

 Mini-EUSO望遠鏡は国際宇宙ステーションへ運ばれた後、ロシアの実験棟のズヴェズダモジュールの窓に取り付けられ、夜の地球の250km四方を近紫外線で毎秒40万フレームで撮影する。同望遠鏡は超高エネルギー宇宙線を観測する超広視野望遠鏡EUSOの開発の一環として位置づけられ、衛星軌道から宇宙線を観測する際のバックグラウンドとなる近紫外線夜光の全球分布を作成する。

 また、夜間に地球上で起こる様々な発光現象の全球分布も作成。発光現象の一つとして「スプライト」や「エルブス」「ブルージェット」と呼ばれる高度約100kmの高層大気中で起こる放電現象があるが、その発光メカニズムはまだよく分かっていない。そこで今回、Mini-EUSO望遠鏡による高速撮像で発光の発達の様子を明らかにすることを目指している。さらにプランクトンからの生物発光、流星の全球観測を実施。理論的に予想されているストレンジレットと呼ばれるクォーク物質はダークマター候補の一つだが、存在すればMini-EUSO望遠鏡で検出できる可能性がある。また、宇宙デブリの検出も目指しており、将来の宇宙デブリ除去のための基礎研究を行う。

 Mini-EUSO望遠鏡はイタリア、ロシアをはじめ、日本、フランス、ポーランドなど300人を超すEUSO国際共同研究グループにより各国の助成を受けて開発され、イタリア宇宙機関とロシア宇宙機関の国際共同ミッションとして進められている。直径25cmフレネルレンズ2枚からなる光学系は理研 戎崎計算宇宙物理研究室において設計され、大森素形材工学研究室において製作された。理研の共同研究グループは、計48×48画素の光電子増倍管を用いた焦点面検出器の製作と調整も一部担った。

 同望遠鏡の打ち上げにより、宇宙科学、地球科学の広い分野にわたる成果が得られることが期待されている。

 EUSO計画で用いる望遠鏡は口径2.5mの大きさだが、EUSO望遠鏡と同じ技術(フレネルレンズ、光センサーモジュール)を使って実現したのが口径25cmのMini-EUSO望遠鏡。

Mini-EUSO望遠鏡

 

 Mini-EUSO望遠鏡はEUSO計画で必要な近紫外線領域での背景夜光を観測し、低確率ながら1021eV以上の超高エネルギー宇宙線が飛来すればMini-EUSO望遠鏡で観測できる。技術的な面ではEUSO計画の構成要素を宇宙で動作させた実績を得ることができ、EUSO用大型望遠鏡の実現に向けて重要なステップを進めることになる。宇宙線以外にも近紫外線領域で発光する高層大気放電現象や流星、海洋生物発光の全球分布の観測が見込まれる。

Mini-EUSOの観測概念図

 

 Mini-EUSO望遠鏡作成に至った技術や成果は、今後予定されているEUSO-SPB2、POEMMA、K-EUSOといった大型計画の実現へと生かされていく予定だ。

 2022年にはNASAが、超高圧成層圏気球(Super Pressure Balloon)2号機(EUSO-SPB2)の打ち上げを予定している。EUSO-SPB2では約100日間の飛翔時間が見込まれることから、1018eVを超える超高エネルギー宇宙線が100例程度検出できると期待されている。また、将来の超高エネルギー宇宙ニュートリノの検出に向けて、水平方向に飛翔する宇宙線検出の技術実証を行う。EUSO-SPB2で得られた成果を、独立衛星2機による超高エネルギー宇宙線、ニュートリノ観測計画POEMMA(2030年ごろ打ち上げ予定)の設計に生かしていく。

 さらに、ロシアが中心になって国際共同研究として進めているK-EUSO計画は2023年ごろの打ち上げを目指して開発を進めている。直径4mの反射鏡を用いた望遠鏡が国際宇宙ステーションに取り付けられ、地球大気中での超高エネルギー宇宙線の軌跡を近紫外線で捉える。K-EUSOは宇宙から超高エネルギー宇宙線を本格的に観測する初めてのミッションとなる。国際宇宙ステーションが地球を周回することを利用して全天を観測でき、1020eV前後の超高エネルギー宇宙線を500例以上観測できると予想される。そして、今まで見つかっていなかった超高エネルギー宇宙線発生天体を突き止めることも期待されている。EUSO-SPB2、POEMMA、K-EUSOにおいても2017年に飛翔した超高圧成層圏気球1号機用レンズ、Mini-EUSO望遠鏡用レンズを製作した実績をもとに理研の共同研究グループがレンズを設計、製作する予定となっている。

 Mini-EUSO望遠鏡では宇宙デブリ検出の技術実証も目指しており、この結果を元に将来の宇宙デブリ除去プロジェクトのための宇宙デブリ検出用望遠鏡の設計、開発が一段と進むことが期待されている。

kat 2019年9月25日 (水曜日)
kat

不二WPC、第10回“かながわ「産業Navi大賞」”でサービス部門 優秀賞を受賞

5年 1ヶ月 ago
不二WPC、第10回“かながわ「産業Navi大賞」”でサービス部門 優秀賞を受賞

 福祉振興財団が実施する第10回“かながわ「産業Navi大賞」”において、不二WPCがサービス部門 優秀賞を受賞した。受賞事業は、「コーティングではないWPC処理‼ 付着抑制によるフードロス対策 洗浄性向上を可能にします」。賞金は50万円で、9月12日に表彰式および表彰事業の紹介がなされた。

表彰式のようす:写真中央が、不二WPC 下平英二社長

 かながわ「産業Navi大賞」は、福祉振興財団が神奈川県内の中小企業の継続的な発展とビジネスチャンス創出を目的として、県内中小企業で開発・考案した、サービス(新しい販売手法等)・製品・商品・技術等により、売上の向上や販路の拡大等、具体的な事業効果がでたものを表彰・支援するもの。

 対象者は神奈川県内に事業所を有する中小企業者、または個人事業者で、同対象者が開発・考案した、サービス(新しい販売手法等)・製品・商品・技術等により、直近の決算までの3事業年度で売り上げの向上など、具体的な事業成果を上げたものが表彰の対象事業となる。

 受賞事業「コーティングではないWPC処理!!付着抑制によるフードロス対策」の内容は以下のとおり。
現在、小麦粉等の消費量は1000万t/年(国内)を超えているが、この0.1%が食品製造機器等に付着し廃棄される場合1万t/年以上となり、フードロスや環境負荷が非常に大きい。

 そこで不二WPCでは、これらの粉末、餃子の具などの粘着性食材の付着を抑制し、フードロス、環境負荷低減を実現する表面改質技術を開発した。

 この処理は機器の表面に微細な凹凸を形成し付着抑制等の効果を発揮する。表面形状を変更するだけなのでコーティングのように膜剥がれの懸念がなく、剥がれたものが異物として食品に混入することも原理的にない、安心・安全の処理となる。今回、この処理の受託加工事業を展開していることが評価され、優秀賞の受賞に至ったもの。

 なお、不二WPCでは本年5月30日、食品関連部門を独立し新会社「株式会社サーフテクノロジー」を設立した。付着抑制、すべり性向上などの効果を有する上記の表面改質技術「マイクロディンプル処理®」をキーテクノロジーとして、ビジネスを拡大してきている。

 マイクロディンプル処理®の一つとして先ごろ開発された「Anti-Bac処理」は、大腸菌や黄色ブドウ球菌を死滅させるなど、異物混入対策と抗菌効果を同時に実現する画期的な技術として注目されている。

kat 2019年9月25日 (水曜日)
kat

JASIS2019開催、ナノインデンターなど表面試験・評価機器が展示

5年 2ヶ月 ago
JASIS2019開催、ナノインデンターなど表面試験・評価機器が展示

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2019」を開催した。478社、1423小間の規模で出展、3日間で23409名が来場した。ここでは表面試験・評価に関する製品・技術展示について紹介する。

開催のようす

 

 アメテック ザイゴ事業部は、白色干渉計「ZYGO NexViewシリーズ」を紹介した。垂直方向、水平方向ともに、nmレベルから、繋ぎ合わせによるmmレベルまでの広範囲の多種多様な材料の表面凹凸に対応。計測器制御、解析、自動化計測を可能にする自社製Mxソフトウェアによって膜厚解析から体積評価、周波数解析、微分解析まで、用途に応じた多様な解析が可能。また、透明膜の膜表面、膜厚変化、界面のデータを同時取得、50nm以上の膜厚を顕微鏡視野で測定できる。非球面レンズ対応モデル、大型ステージモデル、OEMヘッドモデルなど使用用途に応じた様々なモデルをラインナップしている。

アメテック ザイゴ事業部「ZYGO NexViewシリーズ」

 

 アメテック スペクトロ事業部は、蛍光X線分析装置「SPECTROCUBE」を紹介。下からX線をあてる下面照射方式を採用、サンプルを置くだけで分析の準備が完了する。分析スポット径は最小0.2mmに対応。自社製の最新高速/高計数率シリコン・ドリフト(SDD)検出器を採用、このクラスの他の装置と比較し、同程度の精度を維持しながら約2倍の速さで分析できる(1サンプルあたりわずか15秒で分析が完了)。分析ビギナーでもすぐに使用できるような設計となっており、専用ソフトは一つの画面に関係するすべての情報が見られるようにデザインされ直感的な操作を実現。

アメテック スペクトロ事業部「SPECTROCUBE」

 

 大塚電子は、顕微分光を用いた微小領域での絶対反射率測定により、形状のある実サンプルのDLC膜の厚みを測定時間1秒/ポイントの高速で高精度に測定できる顕微分光膜厚計「OPTM series」を紹介した。今回、インライン市場での適用を広げる目的で、インラインで使いやすい「OPTMリニューアル」を開発、披露した。コントロールボックス内の市販部品を小型化し、基板実装できるものは顕微膜厚ヘッドに実装し内製基板化したことで、コントロールボックスの削除と外部配線の簡素化を達成、設置スペースの削減を実現した。また、ランプの長寿命化を行うことでメンテナンス頻度を抑えることができ、メンテナンス性の向上を実現した。さらに、誰でも簡単に精度よくオートフォーカス条件を作成できる機能、“オートフォーカス条件自動作成機能”を開発し、オートフォーカス機能の改良を実現できた。

大塚電子「OPTMリニューアル」

 

 新東科学は、一つの試験片で荷重を変えた摩擦摩耗試験が1回の測定で可能になる摩擦摩耗試験機「HHS2000S」を展示した。一つのサンプルに複数の試験を予めプログラムした動作条件にて自動で行えるステップ運転モードを搭載。1度目の試験後に自動で測定子をピックアップしY方向ステージを動かし新たな位置から2度目の試験が行える。また、摩擦力を測定する荷重変換機を測定子直上に配置し、不要な機構を排除したことにより高いレスポンスとセッティングの誤差が極力ないように工夫した。さらに、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させ、摩擦の際の往路と復路における荷重変動をなくしたことでデータのばらつきがない信頼性の高いデータが得られる。

新東科学「HHS2000S」

 

 東陽テクニカは、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させるInForce50型押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマテリアルの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の3次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価装置であることをアピールした。

 

東陽テクニカ「iNano」

 

 ブルカージャパンは、硬さ・ヤング率測定、ナノDMA粘弾性特性、ナノスクラッチ密着強度測定、ナノウェア摩耗特性評価、SPM Imaging 表面形状像取得、その他破壊靱性、応力緩和測定など幅広い測定に対応する「Triboindenter TI980,」や、SEMやTEMといった電子顕微鏡に組み込むことにより、試料の変形や破壊の挙動をリアルタイムで観察できる「電子顕微鏡組み込み型 ピコインデンター」などを紹介した。

ブルカージャパン「ナノインデンテーションシステム関連のセミナーのようす」

 

 堀場製作所は、計測ユーザーの困りごとに対する様々なソリューションを「インライン・オンライン」、「効率化(働き方改革)」、「イメージング」、「Dedicatedサンプル」の四つのカテゴリーに分けてカスタマイズ化した分析・計測機器の実例などを紹介。リアルタイムに分析したい、全数検査したいといった「インライン・オンライン」に関する要望に対しては「めっき液中元素インライン分析装置」など、非破壊で測定したい、希釈せず原液で測定したいといった要望に対しては「ナノ粒子解析装置」などのカスタマイズ化した製品・ソリューションを用意していることを示した。

堀場製作所「ナノ粒子解析装置」

 

 レニショーは、「inVia™ 共焦点ラマン顕微鏡」を展示した。効率の高い光学系により、極微量の物質や大量の物質から、最高のラマンデータが得られる。高感度で弱い信号も検出できるほか、データを高速取得できる。高レベルの共焦点性により高い空間分解能を実現、極微細な形状の確認が可能。高品質、高分解能のスペクトルを取得できるほか、測定に合わせた最適な構成の選択が可能。常に繰り返し精度の高い結果を取得が得られる。小さなサンプルや大きなサンプル、また各種環境条件下でサンプルを調べるオプションを用意。総合的なマッピング・イメージング技術の搭載により、2D領域でも3D空間でも情報にあふれた詳細なラマンイメージを生成できる。

レニショー「inVia™ 共焦点ラマン顕微鏡」

 

kat 2019年9月18日 (水曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和元年度第2回研究会を開催

5年 2ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和元年度第2回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会は8月30日、東京都北区の北とぴあで「令和元年度 第2回トライボコーティング技術研究会」を開催した。今回はドライコーティング研究会との第12回目となる合同研究会として開催された。

開催のようす

 当日は、ドライコーティング研究会を代表して関西大学教授の西本明生氏が、トライボコーティング技術研究会を代表して大森 整会長(理化学研究所 主任研究員)がそれぞれ開催の挨拶を述べた後、以下のとおり講演が行われた。

・「パルスDCプラズマCVD法による各種高機能膜の特性と応用」河田一喜氏(オリエンタルエンヂニアリング)…パルスDCプラズマCVD(PCVD)法とヒーター加熱併用、処理品回転、拡散硬化層+硬質被膜という複合処理を一つの装置で真空を破らずに1回の工程で行う独自開発装置を用いることで、低温で緻密性・密着性に優れた被膜を三次元複雑形状品に対しコーティングが可能という利点を紹介。PCVD法によってTiをベースにN、C、B、O、Cl、Al、Siのような元素を複合添加し複合多層化した高潤滑コーティングOMCを施すことで、無潤滑で各種相手材に対して摩擦係数が低く境界潤滑状態が生じる条件下でも有利なため、プレス・鍛造等の各種冷間加工用金型への応用が拡大していることや、耐熱性・耐酸化性を向上させたOMCによってホットプレス用金型にも応用が期待できることを紹介した。

講演する河田氏


 
・「表面処理と潤滑油添加剤の併用による摩擦摩耗低減効果の向上」青木才子氏(東京工業大学)…油性剤による吸着分子膜の摩擦低減効果に及ぼす表面粗さの影響として、粗さの方向性、特に直交粗さによる油溜まり効果や突起先端部における潤滑油の高粘度化という微視的流体効果によって生じる負荷圧(micro-EHL効果)が吸着分子膜の摩擦低減効果を補助することを検証した。さらに水平力顕微鏡を用いてμmスケールの突起を設けた接触面表面での摩擦における粗さの方向性の影響を調べた。また、窒化処理鋼における耐摩耗添加剤ZnDTPの摩擦摩耗特性に及ぼす窒化層の影響と、窒化処理鋼におけるZnDTPトライボフィルム形成メカニズムを考察した。窒化鋼ではトライボフィルム深部に長鎖ポリリン酸塩が形成、母材を保護しトライボフィルムの成長を促進するとともに、高い摩擦低減性能と耐摩耗性を発揮すると述べた。

講演する青木氏

・「自己酸化を利用した歯科用チタンのコーティング」三浦永理氏(兵庫県立大学)…患者の審美性やアレルギー・衛生面の事情からは、金銀パラジウム合金に代わり硬質レジンやセラミックスへと需要が移りつつあり、歯科医・技工士の審美性と加工容易性の両立が難しいという事情からは、金属製に代わりCAD/CAMや3Dプリンティングに適応できる生体適合性の高い高付加価値な材料が要求されている。この課題に対し、強くしなやかで生体親和性に優れるチタン(Ti)合金を白色化できる緻密な高温酸化膜の形成技術と、陶材成分と複合化できるCP Ti(機能性TiO2複合構造体)の創製技術を開発。陶材成分充填によるTiO2/SiO2ハイブリッド化により単層材に比べ10~15倍に白色被膜のはく離強度を向上できるほか、被膜硬度を上昇できるとの試験結果を紹介した。白色被膜を利用した歯冠作製技術の優位性や3Dプリンティングなどによる技工プロセス短縮化などの将来性について述べた。
 

講演する三浦氏

 

kat 2019年9月18日 (水曜日)
kat

昭和電工、アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂を直接接合する技術を開発

5年 2ヶ月 ago
昭和電工、アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂を直接接合する技術を開発

 昭和電工( http://www.sdk.co.jp/ )は、アルミニウム合金と汎用の非晶性エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂を接着剤を使わずに直接接合する技術を開発した。

 アルミニウム合金と樹脂を接合するには、ボルト等で締結する機械的接合や、接着剤を用いた接着接合が主流だが、近年、樹脂材料の射出成形時に金属素材と直接接合する新たな技術が注目されている。金属樹脂直接接合は、工程の簡略化、高い生産性、複雑形状でも加工可能などの優位性が期待される技術だが、これまでの金属樹脂直接接合技術の多くは粗面化した金属表面に樹脂を注入して得られるアンカー効果をはじめとする機械的結合力に依存するため、ポリカーボネート樹脂に代表される非晶性エンジニアリングプラスチックとの接合は難しいとされていた。

 同社は長年の事業で培ったアルミニウム合金と高分子化学の知見を活かし、特殊表面処理とプライマー処理を施したアルミニウム合金を使用することで、ポリカーボネート樹脂との直接接合を可能にした。同社が開発した接合技術はアンカー効果だけではなく、化学結合力も併せ持つ接合方法。また本技術は一般的なポリカーボネート樹脂の成形条件で、25MPa以上の実用上充分な接合強度を示す実験結果が得られているという。
アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂の接合方法

 この技術は汎用性の高いポリカーボネート樹脂と軽量な金属であるアルミニウムを接合できることから、スマートフォンの筐体用途に適用可能だという。今後はアルミニウムの表面処理技術やプライマーの塗工条件を最適化し、接合強度・耐久性を高める開発を進める。将来的には本技術の適合樹脂を拡充させ、より耐熱性の高いスーパーエンジニアリングプラスチックへ応用を実現し、自動車部品用途での実用化を目指す。

admin 2019年9月6日 (金曜日)
admin

マクダーミッド・エンソン、[名古屋]オートモーティブ ワールド2019で、 オートモーティブフィルムのイノベーションを紹介

5年 2ヶ月 ago
マクダーミッド・エンソン、[名古屋]オートモーティブ ワールド2019で、 オートモーティブフィルムのイノベーションを紹介

 マクダーミッド・エンソン・インダストリアル・ソリューションズ(出展社名はマクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン、 https://www.macdermid.co.jp/ )は、9月18~20日に開催される「[名古屋]オートモーティブ ワールド2019」の第3展示館、ブース7-70で出展、「XtraFormアンチグレア」を含むXtraFormハードコートフィルム製品を紹介する。革新的な同社技術が、進化する自動車インテリアデザインのニーズと課題にどのように対応し、卓越した性能を提供できるかをアピールする。

 自動車業界のイノベーションが新たなレベルに達し、電気自動車に対する関心が高まり続ける中、タッチスクリーン・フィルムテクノロジーの必要性はますます高まってきている。こうした中、今回の展示会で同社は、様々な仕上げが施されたマクダーミッド・エンソンのXtraFormフィルムによって、コックピットのインテリアデザインをシームレスに機能性と装飾を一体化させ、高品質の自動車部品の生産を可能にする応用方法を案内する。

 XtraFormアンチグレアは、マクダーミッド・エンソンの展示の重要なハイライトとなる。深絞り3Dフィルム・インサート・モールディング(FIM)用に設計された成形可能なテクスチャ付きフィルムの使用により、明るい光や動いている物体の反射による映り込みなく画像を見ることが可能になる。このソリューションを使用すると、15~75までの範囲の光沢度のアンチグレア表面を利用し製品開発が可能になる。光沢、透過性、ヘイズ、および質感という優れた組み合わせにより、テクスチャ表面がどのように高品質の光学を提供するかを専門家が実証。

 XtraFormプロセスとXMAPP 高品質パフォーマンスシステムによって達成された、成形可能な自動車用の光沢とアンチグレア・フィルムは、洗練された統合タッチスクリーン・フィルムテクノロジーの必要条件を満たす柔軟なデザインを可能にする。映り込みのコントロールとユーザーエクスペリエンスの向上に加え、XtraFormアンチグレアは、審美的な魅力を向上させるために幅広い美装仕上げを提供する。

 マクダーミッド・エンソンではまた、最新のホワイトペーパーも発表。このペーパーでは、優れたハードコートフィルムを使用した自動車用ディスプレイの統合の拡大について詳しく考察し、自動車のインテリアデザイナーやエンジニアが利用できるソリューションに関する重要な情報を提供する。

 さらに、ブースにいる専門家が、加工部品に優れた強度と耐久性を提供するフィルム・インサート・モールディング(FIM)プロセスの一種である独自のXtraFormプロセスについて紹介。マクダーミッド・エンソンの表面技術とともに、XtraFormプロセスは、魅力的で耐久性・耐傷性・耐薬品性に優れたコンポーネントを提供する。

 なお、マクダ―ミッド・エンソンの自動車向け装飾めっきの技術については、『月刊ソフトマター』( https://softmatter.mechanical-tech.co.jp/ )2019年9月号「注目技術」で紹介しているので、参照されたい。

kat 2019年9月4日 (水曜日)
kat

神戸製鋼所、高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を開発し量産開始

5年 2ヶ月 ago
神戸製鋼所、高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を開発し量産開始

 神戸製鋼所( https://www.kobelco.co.jp/ )は、プレスの生産性に優れたホットスタンプ用めっき鋼板(焼入れ後強度1500MPa級)を開発、自動車ボディ骨格部品用途で量産を開始した。

 同社では、2017年に高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板を開発、量産を開始した。同品は従来のホットスタンプ用冷延鋼板と比べ焼入性を向上させることで、顧客でのプレス生産性を従来品より最大6倍程度に改善している。また加工後の冷却ムラによる強度不足の問題も発生しにくいものとなっている。さらにプレス部品形状の自由度をより高められることや、プレス工程内でトリミングを行うことを可能としたことから、従来必要であったプレス後のレーザーカット工程を省略することも可能となった。

 今回、新たにその冷延鋼板に亜鉛めっき処理を施したものを開発した。これにより、上記の特長に加えて、耐食性の付与が可能となり、適用部品の拡大の可能性を大きく広げることになる。新製品に対して、スペインの自動車部品会社であるGestamp社の加工技術を組み合わせることで、今回、欧州自動車メーカーへ初めて適用され、量産化に至った。

 神戸製鋼所は、特長ある高加工性超ハイテン(引張強度780MPa級以上)と高生産性ホットスタンプ用冷延鋼板に加え、今回さらに高生産性ホットスタンプ用めっき鋼板を商品ラインナップに加えたことにより、年々厳しくなるCO2排出規制への対応のための車体軽量化や、日米欧での衝突安全規制強化への対応のための車体の強度向上といった顧客のニーズに応える。
Gestamp社工場

admin 2019年8月29日 (木曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/26に発行

5年 2ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/26に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が当社より8月26日に発行された。

 今回の特集では、豊富な試験・評価機器を取り揃える東京理科大学トライボロジーセンターでの機器利用と具体的な評価方法について、軟質材料に成膜したDLC膜のナノインデンテーション法による硬さ評価方法について、300nm以下のDLC膜のマイクロスクラッチ試験の各種検討結果と今後の国際標準化の計画について、ナノインデンテーションシステムの概要や硬質薄膜の硬さ・弾性率・摩耗特性の評価事例について、材料表面強度試験の評価事例と同試験法の今後の展望について紹介する。

特集:表面改質の機械的特性評価

◇改質表面のトライボロジー評価における試験機器の活用・・・東京理科大学 佐々木 信也
◇軟質材料に成膜した硬質被膜の硬さ評価方法・・・岡山理科大学 中谷 達行
◇DLC膜の密着性評価の国際標準化・・・レスカ 新井大輔、ナノテック 平塚傑工
◇ナノインデンテーション試験機によるコーティング薄膜の評価技術・・・ブルカージャパン 二軒谷 亮
◇材料表面強度の新しい評価方法が未来を変える・・・パルメソ 松原 亨

連載

注目技術:試験・測定機の信頼性を支える直動案内技術・・・ハイウィン
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第5回 イギリス編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催
サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

admin 2019年8月26日 (月曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/25に発行

5年 2ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が8/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2019年8月号「特集:表面改質の機械的特性評価」が当社より8月25日に発行された。

 今回の特集では、豊富な試験・評価機器を取り揃える東京理科大学トライボロジーセンターでの機器利用と具体的な評価方法について、軟質材料に成膜したDLC膜のナノインデンテーション法による硬さ評価方法について、300nm以下のDLC膜のマイクロスクラッチ試験の各種検討結果と今後の国際標準化の計画について、ナノインデンテーションシステムの概要や硬質薄膜の硬さ・弾性率・摩耗特性の評価事例について、材料表面強度試験の評価事例と同試験法の今後の展望について紹介する。

 

特集:表面改質の機械的特性評価


◇改質表面のトライボロジー評価における試験機器の活用・・・東京理科大学 佐々木 信也
◇軟質材料に成膜した硬質被膜の硬さ評価方法・・・岡山理科大学 中谷 達行
◇DLC膜の密着性評価の国際標準化・・・レスカ 新井大輔、ナノテック 平塚傑工
◇ナノインデンテーション試験機によるコーティング薄膜の評価技術・・・ブルカージャパン 二軒谷 亮
◇材料表面強度の新しい評価方法が未来を変える・・・パルメソ 松原 亨

連載

注目技術:試験・測定機の信頼性を支える直動案内技術・・・ハイウィン
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第5回 イギリス編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催
サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

雑誌ご購入

定期購読はこちらから

単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin 2019年8月25日 (日曜日)
admin

DLC工業会、ワークショップの参加者を募集中

5年 3ヶ月 ago
DLC工業会、ワークショップの参加者を募集中

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は9月26日、東京都港区の航空会館で「令和元年度ワークショップ:DLC膜の工業的な信頼性評価とその標準化」を開催する。DLC膜の実用上きわめて重要な性質である密着性に関する講演やパネルディスカッション等で構成しており、DLC膜の作製・評価からその利用に至るまで多方面において役立つ内容となっている。参加費は会員4000円、非会員10000円。8月30日(金)締め切り。

 当日は以下のプログラムで開催される。

13:20~13:25 開会挨拶 DLC工業会 会長 中森 秀樹 氏
13:25~14:15 基調講演「密着性評価法とその標準化-産総研での評価を中心として-」 産業技術総合研究所 グループ長 大花 継頼 氏
14:15~14:55 「マイクロスクラッチ試験による密着性評価と標準化」 レスカ 部長 新井 大輔 氏 
14:55~15:35 「Pin/Disk試験機による潤滑下の密着力評価と標準化」宇都宮大学 教授 馬渕 豊 氏
(休憩)
15:45~16:25 「パネルディスカッション」パネラー:大花継頼氏、新井大輔氏、馬渕 豊氏
16:30~16:55 「工業会会員企業技術紹介」
16:55~17:00 閉会挨拶 DLC工業会 副会長 真田 博幸 氏
17:15~19:00 懇親会

 申し込みは、こちらより参加回答票をダウンロードの上、E-mailで送付する。

 

admin 2019年8月20日 (火曜日)
admin

日本トライボロジー学会、機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催

5年 3ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催

 日本トライボロジー学会の会員提案研究会である「機能性コーティングの最適設計技術研究会」(主査:上坂裕之 岐阜大学教授)は7月23日、東京都江東区の東京都立産業技術研究センター本部で第12期 第1回(通算第16回)会合を開催した。協賛は表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:上坂裕之氏)。

開催のようす

 同研究会は、窒化炭素(CNx)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等の硬質炭素系被膜および二硫化モリブデン等の固体潤滑被膜を実用化する上で重要となるコーティングの最適設計技術の向上を目指し、幅広い分野の研究者・技術者が集い、トライボロジー会議でのシンポジウムの開催や研究会での話題提供と討論を行っている。

 当日はまず上坂主査が、「本研究会は、前主査の梅原徳次氏(名古屋大学)や加納 眞氏(元日産自動車)などが中心となって、コーティングの機能をより良く発現させるための摩擦のメカニズムの解明などに着目して、スタートした。現在もそうした点にフォーカスして活動していることに変わりはないが、それがコーティング技術自体から少し外れたものでも、その時々の最先端のコーティングに関わるテーマをも併せて、取り上げていきたいと考えている。今回のテーマは“スマートサーフェス”。コーティングは通常、摩擦されるときの荷重や湿度といった環境の影響を受けてパッシブに自分自身が変わっていく材料。これに対して、スマートサーフェスという考え方は、表面の材料そのものが積極的に、ある意図に沿って自分自身を変えて、摩擦摩耗特性を制御していこうというもので、今回は、そうした考え方に基づく研究を2件紹介いただく。コーティング技術そのものではないが、コーティングの研究に生かせる知見が得られるものと思う」と開会挨拶を行った。

上坂 氏

 続いて、以下のとおり講演がなされた。

「可変な凹凸構造を活用したトライボロジー機能の拡張」大園拓哉氏(産業技術総合研究所)…ほとんどの材料表面には凹凸があり、その凹凸が材料の手触りや摩擦、付着、濡れ性、光学特性など多くの表面の性質に関与している。本講演では、可変な凹凸のデザインとして、ゴムのようなやわらかい基材を利用したシワを中心に構造可変性を紹介したうえで、トライボロジー機能の拡張可能性に向け、その摩擦特性等への影響についての最近の話題を紹介した。摩擦のオンデマンド制御として、ひずみの印加等で凹凸が制御できるシワの可変性を摩擦の制御に使い、状況に応じて摩擦を変えられる表面を提案した。また、ゴム表面への織布の貼り付けなど材料複合化によって、摩擦の荷重依存性をデザインする方法を提案した。さらに、瞬時に付着力を可変できる新しいグリップ素材への応用が期待できる例として、ガラスビーズを埋め込んだゴムシート表面の引っ張りに伴うシワの凹凸変化による付着制御への活用や、温度によって粘弾性を可逆的に変化させ付着力を可変できる液晶エラストマーによる付着制御への活用などを紹介した。

大園 氏

「変形する機能性表面を用いた摩擦の能動的制御-スマートサーフェスへの挑戦」村島基之氏(名古屋大学)…一般的な摩擦材料は通常、使用部位に応じて、摩擦力を下げるなら下げる、上げるなら上げるという、ある特性の性能に特化した機能を有する。しかし生物に学ぶと、同じ材料であっても表面の形状を制御することで様々な特性を発現させている例が多く見られる。本講演では、そういった事例に学んで開発された、表面形状が能動的に変形する新しい機能性表面「スマートサーフェス」を用いた摩擦制御技術に関して紹介した。ダイヤフラム構造変形部を有するシリンダ材料を3Dプリンタにより造形、この変形表面(スマートサーフェス)は固体材料でありながら数百μm以上の大変形および乾燥摩擦中での0.3~0.5の範囲における摩擦係数の能動的制御に成功した。このスマートサーフェスの流体中での能動的摩擦制御の可能性を検討、変形しない従来表面では達成不可能だった能動的摩擦制御による有用性を検討した。変形表面を用いた流体中摩擦の能動的制御性を明らかにするとともに、ストライベック曲線から、その変化メカニズムを考察。特に、平坦表面の摩擦係数と比較して、低減させることも増加させることも可能であるという重要な結果が示された。

村島 氏

「塩素含有DLC膜の摩擦摩耗特性に関する研究」徳田祐樹氏
(東京都立産業技術研究センター)…ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜への軽元素や金属元素の添加による表面機能の向上が実現されている。本講演では無潤滑環境におけるDLC膜のさらなる低摩擦化を目指して、PBII&D法により膜中に塩素を添加した塩素含有DLC膜の開発を試みた結果について紹介した。ディスクに塩素含有DLC膜を被覆し、アルミニウム合金A6061や軸受鋼SUJ2、ステンレスSUS304、セラミックス材料SiCおよびAl2O3の5種類のボールを用いた摩擦摩耗試験の結果、塩素含有DLC膜が摩擦相手材の材種に応じて異なる摩擦特性を示すことが分かった。微量な添加量でも大幅な摩擦係数の低下が認められたアルミニウム合金の摩擦面には、トライボ反応によって塩化アルミニウム六水和物が形成。この塩化アルミニウム六水和物がポリアルファオレフィン(PAO)4と同等の高粘度を有するトライボフィルムとして潤滑剤の役割を担うことで、固体接触の防止によって低摩擦化効果が発現する、という塩素含有DLC膜の低摩擦化メカニズムについて考察した。

徳田 氏

kat 2019年8月3日 (土曜日)
kat

自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催

5年 3ヶ月 ago
自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019 名古屋を開催

 自動車技術会は7月17日~19日、名古屋市のポートメッセなごやで自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」を開催した。内燃機関搭載車の一層の燃費改善に加え、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動化、先進運転支援システム(ADAS)などに対応する最新の製品・技術が披露された。

会場のようす

 表面改質および計測評価関連技術では、以下のような出展があった。

 三弘( http://www.sanko-web.co.jp/ )は、大塚電子製の高速ニアフィールド配光測定システム RayHunter「RH300」を紹介した。光源単体や光学材料の配光を評価する装置で測定時間10分を実現。1.5m角に収まるコンパクトな装置サイズとなっており、1回の測定であらゆる空間照度を捉える。測定対象物(サンプル)から出る光を多角度から撮影する高速ニアフィールド配光測定システムでは、任意の視点情報(サンプルを見る角度とサンプルまでの距離)を与え、撮影した画像データを処理することでサンプルの見え方を得ることが可能。本測定器によって、実際の環境を準備する必要なしに、表示している情報の「見え方(視認性)」を評価することが可能になっている。ADAS(高度運転支援システム)、自動誘導車両(AGV)、測距などの用途で対象物にレーザ光を照射し、その反射光を光センサでとらえて距離を測定するリモートセンシング方式「LiDAR(Light Detection and Ranging)」が重要視されているが、展示会ではLiDARを手軽に測れる測定システムとして「RH300」が紹介された。

三弘「大塚電子製RH300」

 三洋貿易( https://www.sanyo-si.com/ )は、Rtec-instruments社製のモジュール交換型 多機能摩擦摩耗試験機「MFT-5000」を展示、でも試験を実施した。各種摩擦試験の評価、その他様々な機械試験のアプリケーションに対応可能な装置で、研究開発だけでなく、様々な産業に対応。フロアスタンド型を採用しており、高荷重(5000N)、高回転領域(8000rpm)まで対応可能。各種ASTM試験法にも準拠している。インラインで白色干渉計も搭載可能で、試験中、試験後の表面状態を試験直後にそのまま測定できる。データ収集速度は100KHz以上が可能。また、国内販売を予定しているRtec-instruments社製の高速振動摩擦試験機(Fretting Fatigue Tester)「FFT-1」も紹介。最大500Hzの高速往復振動でもボイスコイルストロークをリアルタイムに監視して制御が行える。さらに、エンジンの状態監視に必要なオイル分析をトータルに網羅したシステム「MiniLab ELシリーズ」を紹介した。元素分析、劣化性状分析(赤外分光)、動粘度、燃料希釈率、鉄粉濃度の五つのテストを、現場で、簡単に、5分以内で測定し、迅速にデータを提供できる。

三洋貿易「MFT-5000」

 新明和工業( http://www.shinmaywa.co.jp/pbp/index.html )は、本年4月からスタートしたダイヤモンドコーティング装置の販売と受託成膜サービスをアピールした。ダイヤモンドコーティング装置には熱フィラメントCVD方式を採用、耐摩耗性と密着性の高いダイヤモンドコーティングを実現した。ダイヤモンドコーティングは難削材である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、グラファイト、アルミニウム合金、超硬合金向けの切削工具、特殊なメカニカルシールや超硬金型に適用されているが、国内ではダイヤモンドコーティング装置を製造・販売するメーカーが少なく、国内の工具メーカーをはじめダイヤモンドコーティングのユーザーの大半が欧米のメーカーに頼っている。同社では国内メーカーによる装置の提供と迅速なサポートをメリットに拡販を図っていく。また、同社の航空機事業では大手航空機メーカー向けにCFRP製品を供給しておりダイヤモンドコーティング工具を大量に消費していることから、高コストのダイヤモンドコーティング工具の寿命向上による社内でのコストダウンの貢献も視野に入れている。さらに、2015年から販売しているイオンエッチング装置が超硬素材上のほぼすべてのコーティングを除去できることから、今回開発したダイヤモンドコーティング装置がラインアップに加わることで、成膜から除膜まで超硬工具の再生に必要な表面処理技術について、一貫した提供が可能となった。

新明和工業「ダイヤモンドコーティングの成膜アプリケーション」

 東研サーモテック( https://tohkenthermo.co.jp/ )は、創業以来金属熱処理加工で培ってきた部品加工のノウハウを活用することで、コーティング被覆だけではコスト高になる強度や機能加工を素材の見直しや熱処理加工との併用によってコストを抑えつつユーザーの要望を満たす提案を行っている。コーティング工程は非常に高い精度が求められるが、金属熱処理で長年エンジン部品など精度要求の高い製品を多く取り扱ってきた経験から、薄膜コーティングでも高品質を実現。電子部品レベルのクリーンルーム内での作業や走査電子顕微鏡(SEM)での品質チェックなど、徹底した品質管理体制のもとで生産。各社が社内で被膜開発や成膜加工を行うことが主流だった時代から生産体制を整え、受託業務を開始。採算ラインにのせることが難しいとされていたコーティング工程を自社の設備部門による冶具開発や設備開発、自動化技術の採用などと試行錯誤を重ねながら大量生産を実現、現在DLCコーティング生産量では国内シェアトップを維持している。常に独自性を出せる成膜設備や、非接触・非破壊のDLC用顕微分光膜厚計といった品質管理機器を調査・導入して、より高性能な新被膜の開発・生産に取り組んでいることをアピールした。国内12工場、海外4工場のフレキシブル・ネットワークによって、自動車部品への熱処理や、工具・金型だけでなく量産部品へのドライコーティング技術など、あらゆる熱処理、コーティングを国内外で対応できるメリットを強調した。

東研サーモテック ブースのようす

 パルメソ( https://palmeso.co.jp/ )は、粒子投射法を採用し遊離砥粒研磨をナノメートル精度で行う分析前処理用研磨装置「PERET(ピーレット)」の実機を展示。同装置は、研磨痕2mmの端から中央部に向かって0~1°の角度で加工を行う「斜め研磨」が特徴。真横から切断する方法に比べ、斜め研磨は断面積が広く、観察しやすくなるという。1回の研磨面から広い範囲を対象にSEMやX線光電子分光装置(XPS)による深さ方向の観察・分析が可能になる。これまで、こうした高精度加工は優れた技能を持った技術者が必要だったが、同装置は加工対象物を装置に設置し、微粒子の投射時間などを設定するだけで自動研磨するため誰でも簡単に加工が行える。超薄膜や多層フィルム、微小部品などの観察・分析の前処理装置として、今秋から販売を行っていくという。

パルメソ「PERET(ピーレット)」

kat 2019年7月24日 (水曜日)
kat

新東工業、トルコで新合弁会社設立

5年 4ヶ月 ago
新東工業、トルコで新合弁会社設立

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )の欧州持株会社であるドイツ シントー・ヨーロッパは、販売代理店であるトルコ エキスパート社とともに、トルコ共和国エスキシェール県に合弁会社を設立することに合意した。

 新東工業グループは1990年代初めから、トルコ市場に営業展開を行っており新東工業および連結子会社であるハインリッヒ・ワグナー・シントー社(ドイツ)・フロン社(ドイツ)、オメガ・シントー社(英国)の各社が、100社以上の顧客に製品を納入している。新会社の目的は、既存の顧客および新たな顧客に対し、アフターサービスと部品の現地製造をトータルかつ迅速に行うことにあるという。

 エキスパート社は、1992年設立以来、新東工業グループ製品を含む原材料、消耗品、機械等をトルコの顧客に提供しており、トルコ市場において高い認知度を誇り、トルコの鋳造業界における大きな市場シェアを獲得している。

admin 2019年7月12日 (金曜日)
admin

サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

5年 4ヶ月 ago
サーフテクノロジー、大腸菌を死滅させるショットピーニング技術を開発

 本年5月30日に不二WPC( https://www.fujiwpc.co.jp/ )の食品関連部門を分離して設立した新会社「株式会社サーフテクノロジー」( https://www.microdimple.co.jp/ )は、小麦粉やコーンスターチなど食品粉体のホッパーやフルイなどへの付着を抑制する効果があり採用実績の多いショットピーニング技術「マイクロディンプル処理®」をベースに、より細かい粉体の付着抑制効果を実現しつつ、食中毒の原因となる大腸菌などの菌繁殖を抑制、さらには死滅させる技術を開発した。

 マイクロディンプル処理は、メディア(微粒子)をホッパーやフルイなどの金属系基材に高速で投射することによって、一般細菌と同等の大きさという数μm(μmは100万分の1mm)の凹凸(テクスチャリング)を形成し、接触面積を減らし滑り性を向上させるもの。食品を滑らせるのに従来から多用されてきたPTFE(四フッ化エチレン)コーティングのような、脱落した際に異物混入につながる手法を用いずに、粉の通過性を1.2~2倍に向上、粉落ちが良くなるため、網の目詰まりによるメンテナンスや交換の手間を軽減できる。また、粉体の付着が少なくなり廃棄量を減少でき歩留まり向上につながるため、安心・安全に食品ロスや生産性の悪化(エネルギーロス)といった問題を解決できることから、食品業界での採用が急速に進んできている。

 同社では今回、食品業界ですでに実績がありスタンダードの付着抑制処理となっているマイクロディンプル処理「P43プロセス」や「PT1プロセス」(いずれも0.4μm以下の大きさの凹凸を形成できる)をベースに処理時間を工夫することで、付着抑制効果を変えずに強力な抗菌効果を付与できる表面改質手法「Anti-Bac P43 」および「Anti-Bac PT1」を開発した(Anti-Bacは商標登録出願中)。

 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)で、JIS Z 2801に基づいて接種菌液濃度3.6×105CFU/mLの大腸菌をそれぞれ、試験片となる未処理のステンレス材料SUS304 #400、抗菌マイクロディンプル処理Anti-Bac P43およびAnti-Bac PT1を施した同ステンレス材料に置いて、大腸菌群用微生物培地シートを用いて、8時間後の大腸菌の生菌数測定を行った。下図からは、上記3種の試料を滅菌生理食塩水9.6mLで洗い出した液中の生菌数濃度を測定したもので、未処理のステンレス材料でも経時的に抗菌効果が発現されていることが確認できるが、Anti-Bac P43 およびAnti-Bac PT1を施した同ステンレス材料では時間経過とともに菌数が大幅に減少したことが見て取れる。8時間後には生菌数濃度0.4×101CFU/mLとほぼゼロになった。

各試験片の洗い出し液中の生菌数濃度の経時変化

 また、下の培地シートの画像は、上記3種の試料を洗い出した原液1.0mLを接種したものを撮影したもので、青く見える部分が試料より培養された大腸菌群で、青い点一つが菌一つに相当する。未処理の試料は菌数が多いため一面が青くなっているが、Anti-Bac P43とAnti-Bac PT1については明らかに大腸菌群が少ないことが確認できる。

8時間後の培地シートの画像

 JIS規定では抗菌活性値(R)2.0以上(99%以上の細菌死滅率)で抗菌効果があると規定されているが、いずれのマイクロディンプル処理を施したステンレス材料でも、4時間経過時点でR値2.0を超えた。

 同社研究開発部 研究員の西谷伴子氏は、「JIS Z 2801では24時間後の生菌数を見るが、事前に予備試験を実施した結果、8時間後に大腸菌の死滅が確認できたことから、生菌数の時間経過における濃度変化の試験も8時間を最大として実施した。抗菌のメカニズムとしては、ステンレス材料上に形成されたマイクロディンプルによって大腸菌の自己損傷が起きる、グラム陰性菌であればべん毛運動が阻害される、体液が漏れるといったことが想定されるが、大腸菌の詳細な死滅メカニズムについては今後、大学や研究機関と共同で解明に努めていく」と述べる。なお、大腸菌以外では、黄色ブドウ球菌に対しても抗菌効果の確認ができている。今後、大腸菌や黄色ブドウ球菌と同様に食中毒の原因菌であるサルモネラ属菌についても検証していく計画だ。

 マイクロディンプル処理は食品用粉体の付着抑制効果が評価され食品分野での適用を広げているが、抗菌効果を付与できることによってさらなるアプリケーション拡大につながる可能性がある。同社技術営業部 課長の新井正彦氏は、「冷凍食品や生菓子、ケーキなど熱処理を施さない食品では、定時的に生菌数のチェック・分析がなされ、規定された生菌数の上限を超えないよう頻繁にサニテーション(滅菌処置)が実施されるなど、徹底した衛生管理がなされている。このサニテーション作業の頻度を少なくできれば、その時間や手間を生産に充てることができる。そうした点で滅菌に効果があるマイクロディンプル処理への注目が高まってきている」と言う。

 食の安全の確保が最重要テーマである食品業界においては、食品粉体の滑り性向上と抗菌性向上をはかりにかければ抗菌性向上の手法を選択することは明白で、滑り性が仮に従来のPTFEコーティングと同等との評価であったとしても、抗菌性を付与できるとなればマイクロディンプル処理に軍配が上がる。

 下平英二社長は、「マイクロディンプル処理による食品粉体の付着抑制(食品ロスの防止)・滑り性向上(生産性向上)の提案に加えて、新たに抗菌性付与という点を謳っていくことで、ユーザーである食品加工工場でのコーティング不使用による異物混入防止に加えて、煩雑なサニテーション作業の低減が可能になる。一方でこのマイクロディンプル処理は食品分野で多くの実績を持つ手法であって、抗菌手法としての実用化の障壁となる、いわゆる“valley of death:死の谷”がない。食の安全を脅かす各種細菌に対する滅菌効果が確認できれば、速やかに適用、展開できる」と語っている。

 コンベアローラーなど食品機械の回転部分では、サニテーション作業に耐える耐食性を持たせるべくステンレス製のベアリングを使用しつつ、NSF H1規格に適合する食品機械用潤滑剤(食品へ偶発的に混入する危険性がある箇所に使用される潤滑剤)を採用しているが、潤滑剤内での菌の繁殖や、機械洗浄時の水混入に起因する潤滑剤の劣化による生産性の低下などが懸案事項となっている。同社では、マイクロディンプル処理による付着抑制効果+抗菌効果の付与に加えて、高硬度のダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜の複合処理によるテクスチャ形状保持性能および潤滑性の付与によって、細菌の増殖源ともなりうる潤滑剤の不使用や潤滑メンテナンスの排除による生産性向上といった可能性も模索し、食品加工に携わるユーザーのさらなるメリット拡大を追求していく考えだ。

 なお、マイクロディンプル処理と今回の抗菌効果を含む食品分野での適用事例については、本年7月9日〜7月12日まで東京都江東区の東京ビッグサイトで開催中の「FOOMA JAPAN 2019(国際食品工業展)」の不二WPC/サーフテクノロジー ブースで披露されている。

FOOMA JAPAN 2019 不二WPC/サーフテクノロジー ブースのようす

kat 2019年7月11日 (木曜日)
kat

DLC工業会、令和元年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

5年 4ヶ月 ago
DLC工業会、令和元年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は6月28日、東京都港区の航空会館で「令和元年定時会員総会」を開催した。当日は、中森秀樹会長(ナノテック 代表取締役社長)を議長に選出して議事が進行された。
議事を進行する中森会長

 議事においては平成30年度事業報告、決算報告が行われた後、令和元年度事業計画(案)、同予算(案)について審議、満場一致で可決された。事業計画では、同工業会とニューダイヤモンドフォーラムが経済産業省のDLC 国際標準化に関わる委託事業を受託し担当分野の業務を実施すること、講演会あるいはセミナー等を開催すること、新規会員獲得のための活動を行うこと、DLCおよび関連分野の情報収集を行うほか、会員交流の検討を行うことなどを確認した。

 また、当日の席上では昨年より新設された「DLC工業会功労賞」の授賞式が行われ、東京工業大学 教授 大竹尚登氏が受賞。DLCの基礎から応用に関する研究を第一人者として牽引したことや、DLCのISO規格化に対して中核研究者として貢献した功績が認められた。
DLC工業会功労賞を受賞した大竹氏(左)

 総会後に行われた受賞記念講演では、「DLCの現在と未来」と題し大竹氏が登壇。DLCの現状の課題を①より低コストではく離に対する信頼性を向上すること、②高硬度などの機械的特性と離型性などの化学的特性を高い次元で併せ持つ膜を開発すること、③DLCの構造を明らかにすること、と解説。①におけるDLCの未来については、水素フリーDLCはAIP、FCVA、スパッタリングを基礎に、よりsp3化を行い高速化と厚膜化を可能にすることや、大気圧CVDの実現、液中での成膜、膜の設計などが重要になるとした。また②では、膜の設計の概念が今後より重要になること、DLCへの元素添加、切削工具や金型への利用拡大、生体医療系への応用、などを掲げた。③については電気的特性への応用の道を拓くためにも必須、とした。
講演のもよう

 同工業会の現時点での正会員は、ナノテック、リックス、アルテクス、トッケン、平和電機、ナノテックシュピンドラー、フロロコート、大塚電子、iQubiq、ウエキコーポレーション、レスカ、ウォルツの12社。特別会員は大竹尚登氏(東京工業大学)、大花継頼氏(産業技術総合研究所)、平栗健二氏(東京電機大学)、平田 敦氏(東京工業大学)の4名となっている。

admin 2019年7月10日 (水曜日)
admin
Checked
35 分 17 秒 ago
mst配信ニュース 表面改質の情報サイト フィード を購読