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日本機械工具工業会、「令和2年度日本機械工具工業会賞」発表

4年 ago
日本機械工具工業会、「令和2年度日本機械工具工業会賞」発表

 日本機械工具工業会( http://www.jta-tool.jp )はこのほど、「令和2年度日本機械工具工業会賞」の受賞者を発表した。業界功労賞で坂戸瑞根氏(神戸製鋼所)、佐々木清吉氏(エフ・ピー・ツール)の2名が受賞したほか、技術功績大賞1件、技術功績賞2件、技術奨励賞3件、環境賞5件(環境大賞1件、環境賞1件、環境特別賞3件)が選定された。

業界功労賞

■坂戸瑞根 氏(元神戸製鋼所)1934年生 86歳

【功績の内容】

 坂戸氏は平成元年5月、日本工具工業会副理事長に就任。2期4年の任期の間、日本工具工業会の発展並びに会員の融和等に尽力した。工業会の運営にあたっては、理事長職を27年にわたり運営してきた大和田理事長をサポートした。当時の工業会は生産額・出荷額において最盛期を経験、しかし、その後、バブル崩壊となるなど工業会の運営にも大変苦労の多い時期であった。また、神戸製鋼所工具事業のトップとして、平成3年に画期的な商品であるミラクルエンドミルの商品化に尽力した。ミラクルエンドミルが起点となり、それから生まれた各社の派生商品は現在でも我々工具業界にとって重要な商品の座を占めており、氏の功績は大きく評価される。企業を退職してからは、JICA等から発展途上国の技術指導のため、海外にも出かけ、氏の永年にわたる技術力・経験を基に、発展途上国の産業発展の支援にも貢献した。

■佐々木清吉氏(エフ・ピー・ツール)1944年生 76歳

【功績の内容】

 佐々木氏は平成19年6月、旧超硬工具協会監事に就任、また統合した平成27年には引き続き日本機械工具工業会の監事を歴任、通算10年両工業会の監事を務めた。特に、平成20年秋のリーマンショック後は監事の立場から理事会において緊縮財政の必要性をいち早く意見具申した。その結果、平成21年6月就任した倉阪克秀理事長による会費並びに事業内容の10%削減が打ち出された。厳しい環境下、協会運営の大幅な見直しなどが断行された。その一方、会員の増加や地区会員懇談会、委員会活動の活性化など一連の成果を上げることにつながった。また、協会賞、『生悦住賞』、『新庄(陰徳の士)賞』の運用に対する適切な提言を行うなど会計方法の近代化と基礎を築かれる等、協会活動の振興発展に尽力した。

技術功績大賞

「スミボロンバインダレス工具シリーズの開発」    

住友電工ハードメタル 東 泰助、原田高志、久木野 暁

【新規性】
・独自の大容量超々高圧焼結技術(10万気圧以上)により、超微粒BL-CBN(粒径:数百nm)に加え、新開発の超々微粒CBN(数十nm)からなるBL-CBNの量産技術を確立した(世界初)。
・従来CBN工具比5~10倍の刃数となる超多刃BL-CBNエンドミル(例:φ5で16枚刃)の開発により、難削材で超高能率加工を実現した。

技術功績賞

「クレセントラインバーの開発」

富士精工 松下宣哉、藤井章博、近藤浩徳

【新規性】
 専用機加工では支持治具上の支持穴と工具本体外径との隙間量を極小にすることで支持穴中心位置と工具中心位置を適合させるが支持治具位置の精密なアライメント調整や隙間量の管理が必要である。
 本開発品は加工対象物の両端の穴を支持穴とし遠心力を用いて円周方向に工具を密着させるため、支持治具が不要であり隙間量の管理もなく支持穴中心位置に対し正確な工具中心位置を実現できる。

「両面インサート式高送りカッタWJXの開発」

三菱マテリアル 萩原隆行

【新規性】
 両面インサートの多くは、その対称性から上下面に対して垂直な外周面で構成されるが、高送り工具に必要とされる低切削抵抗やランピング加工角度が両立できない。本製品は業界初の上下非対称ねじれ凹逃げ面を特徴とし、二つの性能を両立した。同時に、荒加工に適した強固なクランプ機構と切れ刃強度を達成した。

技術奨励賞

「高能率加工工具『ST4-TFX』の開発」

日本特殊陶業 吉川文博、安藤巨樹、野﨑翔太

【新規性】
 従来工具と比較し、ハイレーキなすくい角を有することで切削抵抗を低減することに成功した。高切込み時に発生する多量の切屑を制御可能な形状設計により安定加工と良好な加工面を両立した。加えて高切込み加工に対応するために、被膜は高いAl含有率で硬度を維持しつつ、軟質相である六方晶を敢えて析出させ、かつその割合を制御することで、潤滑性を向上させ切削抵抗を低減した。更にはこの六方晶の存在により被膜の耐溶着性、耐チッピング性を向上させることができた。高負荷加工に設計されたこれらインサート形状と被膜との相乗効果により高切込み加工でも安定加工が可能となった。

「アクアREVOドリルオイルホールの開発」

不二越 松本克洋、大野伸一郎

【新規性】
 穴加工では穴の奥でドリルが回転すれるため、クーラントの流量、流速、方向性を可視化することが困難であった。流体解析と、コーナやシンニング部の摩耗進行メカニズムを解析することで、独自のオイルホール形状を導き出した。クーラントでコーナとシンニングを狙い撃ちした結果、冷却性能が向上し、摩耗進行を抑制した所に新規性がある。

「刃先交換式ボールエンドミルBR2P形の開発」

MOLDONO 永渕憲二 、小林由幸、木内康博

【新規性】
 従来親刃・子刃2種類のインサートで使用する刃先交換式ボールエンドミルは従来もあった。しかし、インサートの拘束性を保つための貫通溝を設けると、最も切削抵抗のかかる切れ刃底面の溝に応力集中が発生して欠損する問題点があった。これを親子刃一体形のインサートにし、インサートの拘束性を維持する貫通溝を非平行として、最も切削力のかかる親刃側底面を非貫通溝にする工夫によって、インサートの拘束性を維持しつつ切削力のかかる切れ刃底面の応力集中を緩和したことに新規性がある。さらにねじれ切れ刃形状の採用により、切削抵抗を削減することができるため、加工能率の改善と長寿命化を実現できる。

2020年度日本機械工具工業会環境賞

「環境大賞」
京セラ
 140点満点110.7点、米中の貿易摩擦がアジア全体に波及し、成長率が鈍化し各社、得点が伸び悩む中、得点率79.0%という高評価結果だった。環境マネジメントシステムに基づく高レベルの組織的な仕組みが構築されており、地球温暖化防止、廃棄物削減等、環境活動に積極的に取組み、改善の推進力も高いと判断出来る。これらの環境活動は、他社の規範となり、2020年度環境大賞にふさわしいと判断した。                    

「環境賞」(新設)
三菱マテリアル
 1位には僅かに及ばなかったものの140点満点106点、京セラ同様に、米中の貿易摩擦がアジア全体に波及し、成長率が鈍化し各社、得点が伸び悩む中、得点率76.0%という高評価だった。近年、一部の企業にて環境大賞が独占される中、環境賞を新設し2位の企業に授与する事により、工業会全体の環境への取組のモチベーション向上に繋がると判断した。三菱マテリアルの環境活動は、他社の模範となり賞賛に値すると判断した。

「環境特別賞」
オーエスジー、タンガロイ、日本特殊陶業
 3社ともに、廃棄物対策の取組について継続的な活動が顕著にみられ、2017年度実績より連続(3年)して廃棄物排出量を削減している。また、再資源化率においても2015年度実績より連続(5年)してほぼ100%を達成している。環境管理活動についても継続的な取組を実施し、ⅭO2原単位排出量も2015年度実績より連続(5年)して数値が安定している。他社の模範になるものであり、環境特別賞とする。

admin 2020年10月27日 (火曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2020年10月号「特集:自動車の表面改質」、「キーテク特集:ショットピーニング」10/26に発行

4年 1ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2020年10月号「特集:自動車の表面改質」、「キーテク特集:ショットピーニング」10/26に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2020年10月号「特集:自動車の表面改質」、「キーテク特集:ショットピーニング」が当社より10月26日に発行される。

 今回の特集「自動車の表面改質」では、MoDTCの効果を最大限活かし低摩擦と耐摩耗を両立するための表面処理について、低トルク化を実現した自動変速機用テクスチャーシールリングの開発について、浸窒焼入れの処理温度を640~660℃と低温で処理した場合の表面硬度や金属組織について、FCVA成膜技術の特徴や同成膜技術によるta-C膜の特徴と自動車部品に成膜した際の利点について紹介する。

 また、キーテク特集「ショットピーニング」においては、レーザーピーニングを施した高強度アルミ合金の表面欠陥の無害化について、食品製造設備における微粒子投射処理の抗菌効果およびカビ増殖抑制効果について紹介する。

特集:自動車の表面改質

◇エンジン油中で低摩擦と耐摩耗を両立するナノ界面のための表面創製・・・トヨタ自動車東日本 小池 亮
◇テクスチャー付与による自動変速機用低トルクシールリングの開発・・・NOK 関 真利
◇低温浸窒焼入れの概要と適用事例・・・日本テクノ 椛澤 均
◇FCVA成膜技術によるta-Cコーティングの自動車部品への適用・・・ナノフィルムテクノロジーズ ジャパン 他力 誠司 氏に聞く

キーテク特集:ショットピーニング

◇レーザピーニングによる高強度アルミ合金の表面欠陥の無害化・・・横浜国立大学 高橋 宏治
◇食品製造設備における微粒子投射処理の効果・・・サーフテクノロジー 西谷 伴子

連載

トップインタビュー・・・下平 英二 氏(サーフテクノロジー)
注目技術:自動車分野における環境対応表面改質技術の適用・・・HEFグループ
Dr.クマガイののんび~り地球紀行 第12回 米国・ニューオーリンズ編・・・不二WPC 熊谷 正夫

トピックス

INTERMOLDなどが初のオンライン展として開催
トライボコーティング技術研究会、第12回岩木賞贈呈式、第22回シンポジウムを開催

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admin 2020年10月22日 (木曜日)
admin

NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発

4年 1ヶ月 ago
NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発

 NTNは、ころの転動面に密着性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を適用することで、耐摩耗性を大幅に向上させた風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」を開発した。風力発電装置など、油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下で使用される産業機械向け軸受として提案を進め、2021年に25億円の販売を目指す。

DLCコーティング自動調心ころ軸受

 

 風力発電装置の主軸用軸受(主軸受)には、高負荷容量かつ取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く採用されている。主軸受は、風況条件により起動と停止を繰り返し、極めて低速な回転状態で使用される。

 こうした環境で使用される主軸受には、潤滑不足による軌道面ところの金属接触と自動調心ころ軸受特有の転がりすべりが原因で、軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があった。

風力発電装置ナセルにおける適用箇所

 

 本開発品は、ころの転動面に高い密着力により剥がれにくい非晶質構造の硬質膜、DLC 膜を適用することで軸受軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させている。被覆するDLC 膜は①母材との密着力を高めるための金属下地層、②下地層と最表層の急な硬度変化を避けるために設けた中間層、③非常に硬質な最表層の3層構造となっており、過酷な潤滑状態でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮する。

 油膜が薄くなり油膜がない部分において局部的に二面が接触している「境界潤滑」、実機最大接触応力(実際の風力発電装置で使用される際に最大荷重が発生する時の接触応力)、転がりすべり条件で、DLC 膜のはく離は認められなかった。また、DLC 膜がない標準品の軌道面が1ヵ月で摩耗からはく離に至る加速試験条件下において、本開発品はほとんど摩耗が発生しなかった。

 本開発品は、すでに一部の風力発電装置メーカー向けに量産を開始しており、今後さらに提案を進めるとともに、特に軌道面の摩耗による早期損傷に対応する補修品としての販売も強化していく。また、今回開発した被膜処理技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017 年に開発した「左右列非対称設計」と組み合わせて、さらなる耐摩耗性向上とコンパクト化を両立できる。

 NTN は、装置メーカーがニーズに合わせて本開発品のDLC コーティングや左右列非対称設計から最適なオプションを選択できるよう商品ラインナップを拡充し、風力発電市場における販売拡大に取り組んでいく。
 

風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受のラインナップ

 

kat 2020年10月20日 (火曜日)
kat

日本ペイント、可視光応答形光触媒を採用した水性塗料表面の新型コロナウイルス不活性効果を確認

4年 1ヶ月 ago
日本ペイント、可視光応答形光触媒を採用した水性塗料表面の新型コロナウイルス不活性効果を確認

 日本ペイントは、可視光応答形光触媒を採用した水性塗料(試験用)の塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスの不活性効果を確認した。

 世界保健機関(WHO)の感染症調査機関の認定を受けた、ガーナ大学 医学部附属 野口記念医学研究所(NMIMR)との共同研究の一環としての実証実験で、塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスの不活性効果を確認した。なお、本実験は実験室で行われたものであり、結果は実商品や実使用環境での効果を示すものではないという。

 実験では、ガラス表面に接触させた新型コロナウイルスと、塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスを比較すると、ガラス表面に対して、塗膜表面に接触させた新型コロナウイルスが99%以上減少する効果を確認した。

ウイルス残存率の実験結果

 

admin 2020年10月20日 (火曜日)
admin

NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した円すいころ軸受

4年 1ヶ月 ago
NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した円すいころ軸受

 NTN( https://www.ntn.co.jp/ )は、建設機械や鉱山機械など過酷な使用環境での用途向けに、特殊熱処理技術により耐異物性を強化し、異物混入潤滑条件下で標準品と比べて6倍以上の長寿命化を実現した円すいころ軸受「ETFA軸受」を開発した。

 開発した「ETFA軸受」は、浸炭鋼に新たな熱処理(ETFA処理)を施すことで、異物混入潤滑条件下で、標準品と比べ6倍以上、ETA軸受と比べても2倍以上の寿命を持つことが確認されている。また、清浄油条件下においても、基本定格寿命に対して充分長寿命であることが確認されている。

 適用したETFA処理は、同社が開発した軸受鋼の特殊熱処理「FA(Fine Austenite Strengthening)処理」技術を浸炭鋼に応用したもの。FA処理は軸受鋼の旧オーステナイト結晶粒を従来の1/2以下(平均粒径で5µm以下)にまで微細化した特殊熱処理方法で、浸炭浸窒された組織を低温で二次焼入れすることにより、軸受を長寿命化できる。

 ETFA処理では、熱処理条件とその管理を改善・強化することで、ETA軸受と同様に、適度に炭化物と残留オーステナイトを分散させた組織としつつ、旧オーステナイト結晶粒を一層微細化し、長寿命と高いロバスト性(耐異物性)を両立している。長寿命化により、より小さいサイズで軸受寿命を維持できるため、装置のコンパクト化にも貢献できる。

特殊熱処理等による軸受の長寿命化

 建設機械や鉱山機械などは、運転時に強い衝撃や振動が発生すると同時に、軸受の内部に異物が混入するような過酷な環境で使用される。同社ではこれまで、こうした厳しい使用環境の建設機械や鉱山機械向けに、浸炭鋼を用いた円すいころ軸受の標準品「4Top」シリーズのほか、材料の変更や熱処理加工により長寿命化を図った「ETA軸受」を展開してきた。しかし近年は、建設機械はIoT化に伴う無人稼働機の信頼性向上やライフサイクルコストの削減が求められており、使用される軸受についても一層の長寿命化や装置のコンパクト化を図るための小型化・高負荷容量化が必要とされている。

admin 2020年10月20日 (火曜日)
admin

新東工業、工場や倉庫など向けの「コンクリート磨き床」事業を本格展開

4年 1ヶ月 ago
新東工業、工場や倉庫など向けの「コンクリート磨き床」事業を本格展開

 新東工業( https://www.sinto.co.jp/ )は、工場や倉庫、商業施設向けの「コンクリート磨き床」事業を本格展開する。

 コンクリート磨き床とは、コンクリート床面を磨き上げて作るアメリカ発の床工法。素地となるコンクリートがそのまま床面となるため剥がれが発生しないことと、平坦な床を形成できることが特徴。また、施工の際に使用する無機系薬剤(強化剤・保護剤)の効果により、汚れが付きにくく、光沢がある美しい床に仕上げることができる。そのため、安全性やメンテナンス性の高さが求められる工場や、AGV(無人搬送装置)の導入による床の摩耗が懸念される倉庫といった作業現場だけでなく、見た目の美しさや高級感が求められるショールームや、ワックスを使用せずに軽微な清掃で光沢を維持できることからショッピングモール等の商業施設への施工にも適している。

コンクリート磨き床を施工した新東工業 大治事業所

 コンクリート磨き床は、すでに名古屋テレビ塔の3 階「栄のMIRAI」フロア内のグッズショップ「多仲(タチュウ)」に採用されており、新東工業の施工によって、太陽光や照明を反射する光沢度の高い床面となり、ショップ内を明るい空間に演出している。

 現在、日本における工場や倉庫の床は、素地となるコンクリートの上に、塗り床材を塗布して完成させる「塗り床」が主流となっている。しかし、塗り床は経年劣化によるひび割れや剥がれが発生しやすく、補修や数年に1回程度の大規模なメンテナンスが必要となっている。今回、同社が事業を本格展開するコンクリート磨き床は、これらの課題をクリアする施工プロセスで、アメリカやヨーロッパなどの地域では、塗り床に代わってこの施工プロセスが拡大を続けており、この市場拡大の流れは日本においても見られ、工場や倉庫などでの導入が加速しているという。

栄のMIRAIのフロアに施工されたコンクリート磨き床

 

admin 2020年10月16日 (金曜日)
admin

三井化学、米・子会社が独・超撥水・反射防止コーティング材料メーカーを買収

4年 1ヶ月 ago
三井化学、米・子会社が独・超撥水・反射防止コーティング材料メーカーを買収

 三井化学( https://jp.mitsuichemicals.com )のグループ会社であるSDC Technologies(アメリカ・カリフォルニア州、以下SDC)は、超撥水・反射防止コーティング材料の製造・販売・研究を行うCOTEC(ドイツ・バイエルン州)を買収することで合意し、2020年10月1日にCOTECがSDCの100%子会社になったと発表した。

 三井化学グループのビジョンケア材料事業は、メガネレンズ材料からコーティング材料まで多様な製品ラインナップを有している。メガネレンズ材料では、MRシリーズの高屈折率レンズ材料をはじめ、中・低屈折率のレンズ材料を揃えている。

 コーティング材料では、2008年にSDCを買収して以降、2010年には防曇コート材に強みをもつFSI Coating Technologies、2014年にはUV硬化型ハードコート材のLTI Coating Technologies(2017年にSDCが吸収合併)を傘下に加えた。今回、超撥水・反射防止コート材をもつCOTECが新たに加わることで、メガネレンズ市場へのコーティング・ソリューションの強化を図っていく。

「メガネレンズ材料からコーティング材料まで」を提供するビジネスモデルを創出

 

admin 2020年10月7日 (水曜日)
admin

サーフテクノロジー、国内初、DLCコーティングでFDA認証を取得

4年 1ヶ月 ago
サーフテクノロジー、国内初、DLCコーティングでFDA認証を取得

 サーフテクノロジー( https://www.microdimple.co.jp/ )は9月25日、耐摩耗性(高硬度)や低摩擦特性(自己潤滑性)、耐食性、ガスバリア性、生体親和性などに優れる非晶質構造のカーボン膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングに関して、FDA(米国食品医薬品局)認証を取得した。DLCコーティングのFDA認証取得はキリンなどで実績はあるものの、いずれもペットボトルなどに成膜されるPLC(ポリマーライクカーボン)であり、sp3比率の高い工業用DLCでのFDA認証の取得は国内で初めてとなる。

 同社ではホッパーやふるい、フィルムガイドやネットコンベア、金型や麺帯ローラーなど食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案。食品用粉体の付着抑制や滑り性向上、洗浄性の向上などに効果を発揮するほか、抗菌性能、カビ増殖抑制効果などが確認されていることから採用が拡大しているが、今回DLCコーティングでFDA認証を取得したことで、MD処理のテクスチャ形状を保持する性能と自己潤滑特性を持つDLCコーティングをMD処理と併せて食品業界に強力に提案していく考えだ。

 DLCコーティングは耐摩耗、低摩擦の特性から自動車部品などで採用が進んでいるが、潤滑剤がない、あるいは潤滑剤が少量でも低摩擦を実現する自己潤滑性と耐摩耗性から、食品分野でも麺切刃や製袋機の羽根、フィルムガイド、シュークリームノズルなど幅広い採用実績を持つ。

 DLCコーティングはまた、人体と同じ炭素と水素から構成されているため生体親和性に優れているため安全に安心して使える材料である一方で、食品業界からはDLCコーティングの衛生安全性を保障する公的な証書などを要求されていた。これに対し同社では、「医薬品、生物学的製剤、医療機器の安全性、有効性、安全性を確保することにより、公衆衛生を保護する責任を負っていること」をミッションに掲げるFDAの認証を取得することでDLCコーティングの食品分野、医薬品分野での安全性を証明したもの。

 DLCコーティングのFDA認証取得に向けた取組みは2018年3月に開始。その後、DLCコーティングの化学構造、密度、溶出試験など認証に必要な各種データを取得しFDAに提出、本年9月25日に認証取得に成功した。

 下平英二社長は、「DLCコーティングはMD処理で形成したテクスチャを保持する機能があることからMD処理との複合処理としても有効。食品分野では、菌が繁殖する温床ともなる潤滑剤の使用を避けたいというニーズもあり、FDAによって安全性が確認されたDLCコーティングの自己潤滑特性を前面に、食品分野での適用を広げていきたい。一方で、潤滑剤の使用が避けられない用途ではNSF H1認証取得の潤滑剤も提供できる体制となっている。MD処理、FDA認証取得のDLCコーティング、NSF H1認証取得の潤滑剤といった各種のソリューションを活用して、引き続き、現場の多様な課題の解決に努めていきたい」と語っている。

下平英二 氏

 

kat 2020年9月29日 (火曜日)
kat

ジェイテクト、DLC被覆電子制御カップリングなど駆動製品がトヨタ「GRヤリス」に搭載

4年 1ヶ月 ago
ジェイテクト、DLC被覆電子制御カップリングなど駆動製品がトヨタ「GRヤリス」に搭載

 ジェイテクトの駆動製品であるトルク感応型LSD「トルセン®LSD」と4WD車用電子制御カップリング「ITCC®」が、本年9月4日に発売されたトヨタ自動車の新型車「GRヤリス」に搭載された。それら駆動製品は、「モータースポーツ用の車両を市販化する」という逆転の発想で開発したGRヤリスの高レベルのスポーツドライビングの実現に貢献している。

GRヤリス(ミッドランドスクエア・トヨタ自動車ショールームにて撮影)

 

 トルセン®LSDは、自動車の旋回時に左右輪もしくは前後輪のトルクを最適配分する駆動装置であるLSD(リミテッドスリップデフ)の一種で、ヘリカルギヤを用いて差動制限を行うLSDとして、高いトルク配分性能と高耐久性を誇る。

 現在では主に四輪駆動車に搭載され、前後輪のトルク配分を行う「トルセン Type-C」とスポーツタイプの後輪駆動車をはじめ前輪駆動車にも搭載され主に左右輪のトルク配分を行う「トルセン Type-B」を日本、ベルギー、アメリカで生産している。

 GRヤリスでは、「RZ “High performance”」の車両の前後にトルセンType-Bが採用され、GRヤリスの使用環境下に適用するため、高強度・高容量化を図り、より高いレベルのスポーツドライビングに対応している。

トルセンType-B フロント用イメージ

 

トルセンType-B リヤ用イメージ

 

 4WD車用電子制御カップリングITCC® (Intelligent Torque Controlled Coupling)は、電子制御により駆動力を連続的に可変して伝達するカップリングで、通常は四輪駆動車のリヤディファレンシャルとプロペラシャフトの間に搭載され、前後輪の駆動力を連続的に可変することで、高い燃費効率と優れたトラクション性能を両立する装置。

 そのコアとなる技術は、シリコン含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC-Si)という、ダイヤモンドに近い特性を持ち、摩耗に強い非結晶の炭素を数ミクロンの膜として被覆した電磁クラッチと専用開発のフルードで、小型で優れた耐久性と静粛性を併せ持つ。

 「電子制御多板クラッチ」とも呼ばれているITCCは、GRヤリス「RZ」「RC」に採用されている「スポーツ4WDシステム“ GR-FOUR ”」の構成部品として搭載され、GRヤリスの使用環境下に適応するため、高温対応、高容量化を図り、ドライブスタイル、路面状況に応じた前後トルク配分のコントロールに貢献している。

ITCC製品イメージ

 

 ジェイテクト駆動事業では引き続き、スポーツカーの走行性の向上に加え、乗用車の安全性向上、環境性向上に貢献するとともに、商用車への技術展開や次世代自動車への技術貢献が可能な駆動製品の研究開発を積極的に進めていく考えだ。

kat 2020年9月25日 (金曜日)
kat

マイクロ加工懇談会、マイクロ成形研究委員会が開催

4年 2ヶ月 ago
マイクロ加工懇談会、マイクロ成形研究委員会が開催

 マイクロ加工研究会が主宰運営するマイクロ加工懇談会は9月4日、東京都板橋区のMIC-2(板橋区立研究開発連携センター第二ビル)で、「第六十七回:マイクロ加工懇談会、第55回:マイクロ成形研究委員会」を開催した。

開催のようす

 

 当研究会は、多くの先端材料に高い付加価値を与える「マイクロ加工」に対するニーズが高まる中、1998年に「マイクロ加工技術交流会」を設置、マイクロ加工分野における技術交流活動を開始。2000年からは「マイクロ加工研究会」と改称し、一層の交流の充実を目指し活動を進めてきた。さらに、2002年より「マイクロ成形研究委員会」を併設し、新しいマイクロ成形加工分野の活動を加えるとともに、近年ではマイクロ医療支援技術分野の新しい活動も取り込みながら交流を進めてきた。

 当日は冒頭、代表幹事の大森 整氏(理化学研究所 主任研究員)が開会の挨拶を行った後、同じく大森代表幹事より前回のマイクロ加工懇談会でのトピックスと議論について、さらに本年8月7日に開催された第13回MIRAI会議の報告ならびに概要紹介がなされた。MIRAI会議は、当研究会のテーマであるマイクロ加工と、グリーンテクノロジーを取り扱う国際会議として毎年活発に開催されているとの説明がなされた。

 その後、最近の微細加工・成形加工およびその応用に関する技術トピックスとして2件の講演が行われた。1件目の東京電機大学 松村 隆教授の「形を創り表面の機能を創る切削加工」と題する講演では、微細構造による表面機能制御の基礎的考察から、マイクロディンプルによる機能表面加工、医療応用を狙った小径線材へのマイクロ加工、Whirling切削機構によるブレード・ディンプル加工、ウォータージェットによるガラスの微細加工など多岐にわたるマイクロ加工のトピックスが提供された後、出席者との活発なディスカッションがなされた。

講演する松村氏

 

 2件目の講演として、大森代表幹事より「ダイラタンシー現象を利用した切削工具の超スムーズ研磨加工」と題して、国際コラボレーションによる研究報告がなされた。研究は、新たに検討されたダイラタンシー・スラリーを応用して、超硬チップの超スムーズ研磨加工を目指したもので、スラリーに含有させる砥粒種や粒度、集中度(含有率)と剪断速度などのパラメータによる研磨特性を調査し、Ra15nm前後の表面粗さを得ることができたとの報告がなされた。

 講演に続いて、意見交換がなされたほか、本年10月27日に開催予定の第46回 & 第47回マイクロ加工シンポジウム(次回オープンシンポジウム)、板橋産業見本市・参画行事「いたばし未来の発明王コンテスト」などの紹介がなされた。

 その後、MIC-2内にある理化学研究所 大森素形材工学研究室 板橋分室の施設見学会が行われ、マイクロナノファブリケーションからAI加工に関わる研究内容が紹介された。中でも、これまで同研究グループで開発が進められてきたオンデマンド加工システム(通称、ピコマックス)に、加工条件を自動調整できるAI加工:サイバーカットシステム原形が搭載され、加工実演が行われた。今回は、意図して段差を有するワークが用意され、工具が接触しないエリアでは送り速度を自動的に上げ、接触するエリアでは加工速度を自動的に落とす動作の実演が行われ、その間、参加者による熱心な意見交換が行われた。

施設見学会の様子


 

kat 2020年9月18日 (金曜日)
kat

マイクロファブリケーションシンポジウムなど3研究会・パネル展示会が10/27に開催

4年 2ヶ月 ago
マイクロファブリケーションシンポジウムなど3研究会・パネル展示会が10/27に開催

 理化学研究所 大森素形材工学研究室は10月27日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホール(シンポジウム・基調講演:2Fホール、パネル展示6F 601会議室)で、「第46回 & 47回 マイクロファブリケーションシンポジウム」を開催する。今回は、「第17回 & 18回 オンデマンド-マイクロ合同シンポジウム」、「第7回 板橋オプトフォーラム」との同時開催となり、パネル展示会も併設される。共催は板橋区、宇都宮大学オプティクス教育研究センター、日本光学会で、後援は品川ビジネスクラブ。

 

 今回のテーマは「マイクロファブリケーション研究の最新動向~AI加工、オプティカルファブリケーションと最新電気加工、3Dプリンティング~」で、以下のとおり開催される。

 

・10:30~10:35 主旨説明 理化学研究所 大森素形材工学研究室 大森 整 氏

 

<第一部:特別セッション>
 

・10:35~11:15 「デスクトップAI加工:サイバーカットについて(第二報)」理化学研究所 大森素形材工学研究室 上原 嘉宏 氏

・11:15~12:00 「AEセンシングのマイクロファブリケーションへの適用可能性―切削・研削・研磨におけるトライボロジー現象とAE特徴量の相関―」埼玉工業大学 長谷亜蘭 氏

・13:00~13:10 板橋オプトフォーラム開会の挨拶 板橋区長 坂本 健 氏

・13:10~14:00 【基調講演】「面発光レーザーの発明と発展:みんなが持ってるVCSEL!」東京工業大学/名誉教授・元学長 伊賀健一氏

・14:10~14:25 「微細加工関連の最新研究動向~MIRAI会議にみる微細加工事例~」理化学研究所 大森素形材工学研究室 大森 整 氏

 

<第二部:マイクロセッション>
 

・14:25~15:05「JEM-EUSO プロジェクト(mini-EUSO ミッションを中心に)」理化学研究所 先端光学素子開発チーム 滝澤 慶之 氏

・15:05~15:30 「親水性ナノ粒子添加クーラントによる非晶質フッ素系光学樹脂材の切削加工について」理化学研究所 大森素形材工学研究室 加藤 照子 氏

・15:30~16:00 パネル展示(6F 601会議室)

 

<第三部:オンデマンドセッション>
 

・16:00~16:40 “Research on the Electrochemical Machining of Easily Passivated Metals and the Eco-friendly Electropolishing of Medical Parts/Components”The University of Tokyo / University College Dublin Han Wei 氏

・16:40~17:10 「フレキシブル有機太陽電池の高効率化とウェアラブルエレクトロニクスへの応用」早稲田大学理工学術院/理化学研究所 創発ソフトシステム研究チーム 髙桑 聖仁 氏

・17:10~17:20 次回予定、閉会の挨拶 理化学研究所 大森素形材工学研究室 春日 博 氏、大森 整 氏

 参加希望者は、事務局(micro_mold@micro.ne.jp)まで所属、氏名、連絡先を明記の上、申し込みいただきたい(資料代については要問合せ)。なお、参加にあたっては、会場を提供する板橋区の規定により、開催日当日の朝に体温測定の上、氏名と体温を書いたメモの受付での提出が求められている。

kat 2020年9月16日 (水曜日)
kat

日本アイ・ティ・エフ、量産性を高めたPVDコーティング装置を開発

4年 2ヶ月 ago
日本アイ・ティ・エフ、量産性を高めたPVDコーティング装置を開発

 日本アイ・ティ・エフ( https://nippon-itf.co.jp/ )は、大型の金型や多数の小型部品を大量に搭載できるなど量産性を高めたアーク式イオンプレーティング法のコーティング装置「iDS-720」を開発、iDSシリーズとして販売を開始した。同社では、2021年度以降にiDSシリーズで10億円/年の売上を目指す。

iDS720

 同社では2010年以降、膜の平滑性向上やサイクルタイムの短縮、材料コストの低減といったコーティング装置の高性能化を図り、2014年に真空中でアーク放電を利用して硬質薄膜を成膜する新型アークイオンプレーティング装置「iDS-500」を発売した。その後2017年にシリーズの最大モデルとなる「iDS-1000」、2018年に最小モデルとなる「iDS-mini」を開発した。

 今回、ラインアップ化の最後のモデルである「iDS-720」を開発し、iDSシリーズの主要装備であるステアワン蒸発源や、高排気速度真空ポンプを備え、コーティングゾーンを直径720mm×高さ800mmとした。約700kgの基材搭載が可能であり、大型の金型や多数の小型部品を大量に搭載できるなど量産性を高めた。金型や機械部品(自動車生産用のプレス金型や、エアコンのコンプレッサー部品、製造設備などの各種回転軸)市場へ展開を図っていく。

 高性能化のポイントは、金属材料を蒸発させる部分であるアーク蒸発源にあるという。コーティングを行う際、アーク放電によって金属材料が溶けすぎて、ドロプレットと呼ばれる粗大な粒子が飛び出し、膜が粗くなる現象が起きる。同社は独自構造(ステアワン蒸発源)である、永久磁石をモーターで回転させ、アーク放電が起こるスポットを絶えず動かすことで、金属材料の溶けすぎを防止した。これにより、平滑な硬質薄膜の成膜を実現した。

 また、円板形状である金属材料を大口径化(直径 φ160mm)したことで、材料コストを従来装置に比べて2~5割低減した。さらに、アーク方式だけでなくスパッタ方式の蒸発源も搭載できる構造にした。このほか、高出力のヒーターや、排気速度の高い真空ポンプなどの使用により、サイクルタイムが従来装置よりも約4割短縮できた。

admin 2020年9月7日 (月曜日)
admin

東洋アルミニウム、大阪大学に半導体共同研究講座を開設

4年 2ヶ月 ago
東洋アルミニウム、大阪大学に半導体共同研究講座を開設

 東洋アルミニウム( https://www.toyal.co.jp/ )は、大阪大学大学院工学研究科に「東洋アルミニウム半導体共同研究講座」を2020年9月1日に開設した。

 同共同研究講座では、大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・結晶成長工学領域 (藤原研究室)の結晶成長技術および評価技術とともにAl合金プロセスを発展させ、量産性のある技術によって低コストでシリコン基板上にSiGeおよびSiSn層を形成する技術開発を行う。

 この技術により、SiGe/Siウェハのコストを大幅に低コスト化することができ、今後の太陽光発電および半導体アプリケーションへの展開を目指す。

 また、大阪大学の産学連携の枠組みを通じて、相互の研究者の人財交流を図り、研究開発ネットワークを構築するとともに、半導体分野における学術の発展、技術課題の解決、および創造力豊かな人財育成への貢献を目指す。同社からはシニアスペシャリストのダムリン マルワン氏が特任教授(常勤)として大阪大学に出向する。

admin 2020年9月7日 (月曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、第12回岩木賞贈呈式、第22回シンポジウムを開催

4年 2ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、第12回岩木賞贈呈式、第22回シンポジウムを開催

 トライボコーティング技術研究会(大森 整会長、 https://www.sites.google.com/site/tribocoating/ )と理化学研究所は8月28日、埼玉県和光市の理化学研究所 鈴木梅太郎記念ホールで、「岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)第12回贈呈式」および「第22回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム―ナノダイヤモンド応用技術、微細構造コーティング技術、AI援用加飾成形技術―」を開催した。

岩木賞受賞者と関係者

 岩木賞は、同研究会と未来生産システム学協会(NPS)などからなる岩木賞審査委員会が表面改質、トライボコーティング分野で著しい業績を上げた個人、法人、団体を顕彰するもので、当該分野で多くの功績を残した故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業をたたえ、2008年度より創設された。今回は、ナノ炭素研究所 大澤映二氏(豊橋技術科学大学 名誉教授)が業績名「2.6nm爆轟法ナノダイヤモンド分散粒子の生産技術の確立とナノダイヤモンドコロイドの事業化」により、岩木賞初となる大賞・事業賞の同時受賞に輝いた。また、コマツNTC 前花英一氏、東北大学大学院 水谷正義氏・厨川常元氏が業績名「微細ラティスコーティング技術の開発」で特別賞を、IBUKIが業績名「加飾成形用金型の製造技術ならびにAI援用技術に基づくIoT化事業」で事業賞を受賞した。

 冒頭、挨拶に立った大森会長は「今日の贈呈式およびシンポジウムは令和元年度のイベントで、本来であれば2月28日に開催を予定していた。今回は新型コロナウイルスの影響により半年遅れではあるが開催に漕ぎ着けた。皆様コロナ禍で不自由な中お集まりいただいたことを感謝したい」と述べた後、岩木賞各賞の審査経過説明を行い贈呈式に移行した。

挨拶する大森会長

 大賞・事業賞の業績「2.6nm爆轟法ナノダイヤモンド分散粒子の生産技術の確立とナノダイヤモンドコロイドの事業化」は、品質工学の田口メソッドを活用してビーズミリング法によるナノダイヤモンドの解砕条件を最適化、その際にナノ粒子独特の挙動を発見してこれを巧みに利用しつつ、解砕終了後は水を一切添加しないなどの独自プロセスの考案により2.6nmナノダイヤモンド粒子の定常的な生産に成功し、ナノダイヤモンドコロイドの量産・実用化を実現したことが評価されたもの。ナノダイヤモンドコロイド「NanoAmando®B」水溶液の生産技術を確立し、実用化、製品化に成功、販売委託先のニューメタルス・エンド・ケミカルス・コーポレーションを通じ、これまでに研究開発試薬、切削加工液(クーラント)用潤滑・加工助剤や研削加工具(砥石)の性能補助剤(ナノダイヤモンド含有砥石)、コーティング(化学気相成長:CVD)種付け剤など、すでに多くの販売実績を持つ。水性コロイド溶液は濃黒色でやや使いにくいことから、現在は基本粒子の表面にある非ダイヤモンド炭素を除去して無色透明の粉末粒子「NanoAmando®W」の製造を進めるなど、さらなる市場拡大に努めていることなどが評価された。

 Web会議システムにより出席した大澤氏は受賞の挨拶で「伝統のある名誉ある賞をいただき、深く御礼を申し上げる。ダイヤモンドと言う地球上で最高の素材は加工が難しいため、あまり使われておらず非常に残念に思っていた。ナノダイヤに凝集せず分散できるようになったことで適用が広がりつつある」と謝辞を述べた。

Web会議システムで出席した大澤氏

 特別賞の業績「微細ラティスコーティング技術の開発」は、モノとモノとの界面を設計する機能性インターフェース創成方法の新たな提案を行うもの。たとえば、骨との接合性を向上させるなどデンタルインプラント界面への多様な機能を満たすために、①造形の微細性、②自由なデザインの多孔質構造(ラティス構造)、③同構造の曲面など任意のバルク材表面への付与という要件を実現する「微細ラティスコーティング®」を可能にする独自の積層造形法(3Dプリンティング)を開発した。上記の3要件を解決するため、連続パルス発振レーザによる95μmの微細造形の実現や、水平梁構造造形技術、独自開発の粉末供給器の等速運動により一層あたりの粉末堆積厚を均一にする「重力落下式粉末供給法」の開発を行い、多孔質構造による、アンカー効果など各種機能を手軽に付与し活用できるようにしたことが評価された。繊維強化樹脂と金属との異材接合手法としても適用の可能性があることも、期待されている。

前花氏(中央)、大森会長(左)、当日にプレゼンターを務めた熊谷泰副会長(右)

 受賞の挨拶に立った前花氏は「当社は建設機械メーカー・コマツの子会社として工作機械を取り扱っている。微細ラティスコーティングは、技術については“非常におもしろい”と皆様に言ってもらえるが、なかなか実用化が進んでいない。今回の受賞を機に皆様のアドバイスなどをいただけたらと思っている」と謝辞を述べた。

謝辞を述べる前花氏

 事業賞の業績「加飾成形用金型の製造技術ならびにAI援用技術に基づくIoT化事業」は、二次加工を必要としない加飾(樹脂にメタリック感を持たせるなど、繊細で複雑な微細加工を表面に付与)を施す独自の加飾成形金型技術について、従来依存していた熟練者の勘・ノウハウを形式知化したブレインモデルを作り、AIと連携しつつIoT金型を活用して技術伝承を行うとともに、金型製造ノウハウをコンサルティングに転用していることなどが評価されたもの。上述の加飾成形金型の作製ではこれまで、でき上がった型に樹脂を流し込む成形トライで不具合があると、熟練者の感覚を頼りに不具合の原因を探りながら金型修正を繰り返していたが、こうした現場の課題を解決するため、位置センサや温度センサ、圧力センサなどの8種類のセンサを埋め込んだIoT金型を製作して適用、成形中に金型の内部で起こっている樹脂流れや金型挙動を可視化すると同時に、AIを用いて成形の不具合に関する分析を行えるようにした。改良を重ねたIoT金型が完成し、現在は外販も検討中という。

松本氏(中央)、大森会長(左)、熊谷副会長(右)

 受賞の挨拶に立ったIBUKIの松本晋一氏は「当社のような中小企業がこのような名誉ある賞をいただけるのは、本当に光栄で何よりも一人ひとりの社員の自信につながる。社員がひたすらがんばった結果として受け止めたい」と謝辞を述べた。

謝辞を述べる松本氏

 贈呈式の後はシンポジウムに移行。岩木賞の記念講演として大賞・事業賞で大澤氏、特別賞で前花氏、事業賞で松本氏がそれぞれ講演を行った。

第22回シンポジウムのもよう

 

admin 2020年9月3日 (木曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、ATF技術展示会を開催

4年 2ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、ATF技術展示会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整 理化学研究所 主任研究員)は8月28日、「第22回トライボコーティングシンポジウム」の開催に合わせて、「ATF(Advanced Tribo-Fair)2020 技術展示会」を開催した。

 ATF技術展示会は異分野への進出、医工連携、高付加価値な表面創製に向け共創していくことを目的に開催。技術を科学する「テクニストガール」こと、声優の明里 瞳さんの司会進行のもと、パネルやサンプル展示、ショートプレゼンテーションによって、以下のとおり自社の技術をアピールした。

司会進行の明里さん

 島貿易は、創業110年を超える工業原材料の専門商社として化粧品から電子部品まで様々な分野で専門性の高い商品を供給し、国内・海外のネットワークを活かしグローバルなニーズに対応しているほか、試験研究、物流、情報システムの充実を図り、高品質な商品とサービスを目指して環境保全、安全性に配慮した活動を行っていることをアピール。同社が国内総代理店を務める英国PCS Instruments社製トライボロジー試験機として、「EHD油膜厚さ試験機」と「MTMトラクション試験機」、「USV高せん断粘度計」、「MPRマイクロピッチング試験機」の概要を紹介した。

島貿易の展示ブース

 東京電子は真空計、質量分析計、真空機器・部品、直流電源、パルス電源、高圧電源、高電圧半導体スイッチなどの製造・販売や研究開発・受託開発サポート、真空機器・電子機器・電源装置の受託開発を手掛けている。プレゼンテーションでは、HF(High Frequency)パルスの採用によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)成膜中の膜品質を低下させるアーク異常放電、生産性を損なう低い成膜レートなどの実際に起こる問題を克服し、性能を向上させ高機能成膜を実現させる「アーク抑制型HiPIMS電源」について紹介した。

東京電子によるプレゼンテーションのようす

 ナノフロンティアテクノロジーは、CNT複合材開発・太陽光吸収膜の開発を行っていることを紹介した。高度な微粒化、分散技術によって、要望に応じたCNT分散液の作製が可能なことや、この技術を応用して太陽光を吸収する黒色膜の開発を行っていることをアピールした。新機能材料の創製、超微粒化技術を通じて社会貢献を目指しており、開発品の用途開拓での共創を呼び掛けた。

ナノフロンティアテクノロジーのプレゼンテーションのようす

 池上金型工業はプラスチック射出成形用金型設計・製作やニッケル電鋳製品の製作、金型標準部品・特注部品ならびに機材の製造販売を手掛けているほか、精密特殊加工を得意とする企業であることを紹介。新規事業として近年、家庭用お手伝いロボットプラモデルキット「カデンナ」シリーズの開発・販売を手掛け、金型メーカーとしてB to Cへの展開が注目されていることをPRした。

池上金型工業の展示ブース

 

 オプトスターは、独自の結晶仕入れルートと加工技術を駆使し、サファイア、石英ガラス、半導体、各種光学結晶材料を顧客の要望に応じた形状で販売していることを紹介。量産の基板では対応が難しいサイズ、方位、厚さなど各種のパラメータを満たす理想的なMEMS用や半導体用、光学用などの単結晶ウェハーを小ロットから供給できることをアピールした。

オプトスターの展示ブース

 

 メカニカル・テック社は、企画・編集・発行を手掛けている表面改質&表面試験・評価の技術情報誌『メカニカル・サーフェス・テック』、“やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌『月刊 SoftMatter(ソフトマター)』、ベアリング&モーション技術の情報誌『bmt ベアリング&モーションテック』という技術情報誌と、各雑誌にリンクしたウェブサイトを運営していることを紹介した。

 展示会終了後は、投票によって優秀な技術展示やプレゼンテーションに対して「技術展示賞」が選ばれた。プレゼンターを務めた東京都立産業技術研究センター開発本部 開発第一部 部長三尾淳氏から、「優秀技術展示賞」が東京電子とナノフロンティアテクノロジーに送られた。また、「技術展示賞」が島貿易などに贈呈された。

技術展示賞表彰式のようす


 

kat 2020年9月2日 (水曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、第1回研究会・総会を開催

4年 2ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、第1回研究会・総会を開催

 トライボコーティング技術研究会は8月28日、埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所 生物科学研究棟 鈴木梅太郎記念ホールで「令和2年度第1回研究会および総会」を開催した。

開催の様子

 当日は、大森 整会長(理化学研究所)の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演がなされた。

・特別講演「マイクロアレイ・バイオチップを用いた検査システム」伊藤嘉浩氏(理化学研究所)…被験者の傍らで医療従事者が小型分析器などを用いてリアルタイムに短時間で行うポイントオブケア検査(POCT)システムとして開発した、光固定化マイクロアレイ型バイオチップを用いた多項目検査用システムについて紹介した。バイオチップ研究の歴史について解説した後、同氏が考案した光固定化を応用したタンパク質固定化法では、様々な有機分子、生体分子からウイルス、細菌までを安定して再現性高く固定化でき、臨床検体を用いての測定に利用できることを明らかにした。臨床に応用するために開発した装置は、微量採血(検体量20μL)、41項目を同時に30分で検査できる多項目・迅速測定、ELISA法を基本とした高い定量性、全自動測定による検査の簡便性、などの特徴を持つ。このため、アレルギーのスクリーニング診断から自己免疫疾患の診断、感染症免疫履歴の診断、さらには食品分析や環境分析、化粧品分析など広い分野で応用できるほか、将来的にはAI技術を使って光固定化マイクロアレイ型バイオチップ・システムを発展させ、さらなる精密診断と医療の発展につなげたいと述べた。

伊藤氏

・会員講演「英国PCS Instruments社製トライボロジー試験機」藤田浩史氏(島貿易)…同社が国内総代理店を務めるPCS Instruments社は、インペリアル・カレッジ・ロンドンのトライボロジーグループの研究者により設立され、同社が設計・開発した潤滑油評価用試験機は、トライボロジー分野で世界的なシェアを持つ。本講演では、PCS Instruments社製トライボロジー試験機として、光干渉法により潤滑油・グリースの弾性流体潤滑状態での油膜厚さをナノオーダーで自動測定できる「EHD油膜厚さ試験機」と、幅広い転がり・滑り条件下における摩擦特性を全自動で評価可能な、ボールオンディスク、ピンオンディスクタイプのベンチトップ型試験機「MTMトラクション試験機」、せん断速度が106s-1~107s-1、温度40~150℃での計測が可能な全自動粘度装置「USV高せん断粘度計」、短時間でギヤ・カム・ベアリングなどのピッチング評価が可能な3点接触型疲労摩耗試験機「MPRマイクロピッチング試験機」の各々について、概要や試験機の仕様、試験の事例などを紹介した。たとえばEHD油膜厚さ試験機を用いた試験では、基油のみの場合に比べて添加剤を入れた基油において、低速での著しい膜厚の増加があったことなどが示された。

藤田氏

 研究会に続いて総会が開催され、令和元年度 活動報告・会計報告がなされ、令和2年度 活動計画が発表された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)が再任された。

大森会長

 

熊谷副会長

 また、大森会長より「第13回岩木賞(トライボコーティングネットワークアワード)」について業績の募集ならびに表彰費用賛助の募集がなされたほか、東京都板橋区主催により同区内の小中学生を対象とした「いたばし未来の発明王コンテスト」アイデア募集の案内がなされた。

kat 2020年9月2日 (水曜日)
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サーフテクノロジー、独自微粒子投射処理技術でカビ増殖抑制効果を確認

4年 2ヶ月 ago
サーフテクノロジー、独自微粒子投射処理技術でカビ増殖抑制効果を確認

 サーフテクノロジーでは、原材料を流すためのホッパーや粉体をふるい液体を濾過するための網、商品を搬送するためのフィルムガイドやネットコンベア、金型や麺帯ローラーなど食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案している。

 MD処理は基材表面に微細凹凸(マイクロディンプル)を形成することで、食品用粉体の付着抑制や滑り性向上、洗浄性の向上などに効果を発揮。すでに、この微細凹凸によって大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能が付与されることや、抗ウイルス性が付与されることが確認されているが、このほど、カビの増殖を抑える効果が確認された。

MD処理を施したフルイ(左半分)では粉落ちが倍増、
目詰まりがなく材料ロスが激減するとともに洗浄時間も短縮できる

 

MD処理による付着抑制・滑り性向上と抗菌効果

 MD処理とは、直径数µmから数十µmの微粒子を圧縮性気体に混合して高速に金属表面に衝突させ、表面を改質する方法で、使用する粒子の形状などは付着抑制をしたい粉体の物理的・構造的特徴によって使い分けている。ショットピーニングやサンドブラストでは直径数百µmの粒子が使用されるのに対して、MD処理は数十µm以下の粒子を用いた微粒子投射処理で、処理表面には不規則な微細凹凸が形成される。

 MD処理の食品への応用では、基材表面に凸部が形成されることによって粉体が点接触となり、付着抑制や滑り性向上などの効果を発揮する。MD処理は、基材そのものの表面形状を制御するだけで、フッ素樹脂加工のようなコーティングではないため、異物混入の心配がないことからも、食品製造設備での採用が急速に進んできている。

 食品製造ラインにおいて衛生管理は非常に重要な課題であり、大腸菌などの菌繁殖抑制に対して、多くの場合は次亜塩素酸水やオゾン水、エタノールなどを利用した衛生管理がなされているが、次亜塩素酸水は残留塩素の心配があり、オゾン水は使用方法によっては人体に悪影響を及ぼすため、安全性における懸念がある。エタノールも含めてそれらの薬剤を使用することによって耐性菌の懸念もある。

 これらの課題がある中で、表面形状だけでの抗菌効果が近年注目を集めており、表面形状創成技術であるMD処理に関しても、微細凹凸形成による先述の付着抑制・滑り性向上の効果に加えて、抗菌効果の検証がなされた。食品製造設備では錆対策などでステンレス鋼が多く使用されていることから、サーフテクノロジーではSUS304を基材としてMD処理を施し、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)に委託してJIS Z2801に基づき実施抗菌性試験を実施した結果、大腸菌および黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果が確認されている(下図参照)。

 同社では現在、ナノ構造を有する昆虫の羽を再現することなどによる抗菌効果を検証するバイオミメティクス(生物模倣)研究の第一人者である関西大学 システム理工学部 教授の伊藤 健氏をはじめとし、KISTECとも連携して、MD処理による大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌メカニズムの解明、さらには、確立した抗菌メカニズムに基づくMD処理の抗菌性能向上に向けた研究を進めている。

  

8時間後の大腸菌群培地シート 左:SUS304 未処理、右:MD処理

 

MD処理のカビ増殖抑制効果の検証

 サーフテクノロジーでは今回、食品工場の衛生管理において極めて重要なカビ対策の一環として、MD処理のカビ増殖抑制効果について検証した。

 カビの増殖を抑える効果については、東京都立産業技術研究センターが確認。JIS Z 2911:2018 カビ抵抗性試験を参考にした試験として、試験カビ(Aspergillus niger NBRC 105649)を26℃、湿度95%以上で7日間培養した結果、下表に示すとおり、未処理では肉眼でカビの発育が認められないかほとんど認められないものの、実体顕微鏡下での発育部分は試料全面積の1/3以上という状態(レベル2)だったのに対して、MD処理(BおよびC)を施した結果、肉眼および実体顕微鏡下でカビの生育が認められない(レベル0)か、肉眼でカビの発育が認められないが、実体顕微鏡下での発育部分は試料全面積の1/3未満(レベル1)と、カビ増殖抑制効果が確認された。

 

 また、下図は、SUS304鏡面とそこにMD処理をした試験片上に9日間餅を静置させた後の試験片の画像で、鏡面では顕著なカビの付着が確認できる一方、MD処理面はカビの付着が少ないことが分かる。

 

 サーフテクノロジー 研究開発部 研究員の西谷伴子氏は、「大前提として金属にカビは生えないが、ここで見えているカビは金属表面に付着した栄養源(ここでは餅も含む埃など)に生えたカビで、MD処理面は粉体などの付着抑制効果があるため、その分カビが付着しにくくなっているとも判断できる。しかしそれだけではなく、試験カビを培養液中で培養させる前述の抗カビ試験では液体が存在することから、その液体=栄養源が微細凹凸によって細かく分断されてカビが発育しにくくなっているという仮説も立てられる。いずれにせよ微細凹凸がカビの発育を阻害しているとは考えているが、抗菌効果と同様に、カビ増殖抑制のメカニズムについては不明な点が多く、引き続き解明に努めていきたい」と述べる。

 下平英二社長は、「食品工場は常に水が使われ湿度が高く、でんぷんや糖分などの植物残渣があり、カビが増殖しやすい環境にある。アルコールスプレーでの胞子の死滅、カビの除去といった作業が常に施されていると聞くが、機械の見えない部分でカビが繁殖し、ある時に胞子が飛散してしまう可能性もないとは言えない。そうした点で現場の担当者にとってカビ対策は極めて重要であり、悩ましく困難な問題だと思われる。MD処理の採用によって衛生安全性の確保に寄与し、担当者の作業面での負担や心労をいくらかでも減らせるよう、引き続きMD処理のカビ増殖抑制メカニズムの解明とカビ増殖抑制効果の高いMD処理の開発を進めていきたい」と語っている。

kat 2020年9月1日 (火曜日)
kat

JFEスチール、溶融亜鉛めっきにおける鋼板非接触制御技術を全製造拠点に展開

4年 2ヶ月 ago
JFEスチール、溶融亜鉛めっきにおける鋼板非接触制御技術を全製造拠点に展開

 JFEスチール( https://www.jfe-steel.co.jp/ )は、溶融亜鉛めっきプロセスにおける鋼板非接触制御技術の開発を進め、国内の全製造拠点(千葉、京浜、倉敷、福山)および溶融亜鉛めっき鋼板を製造する海外子会社の全ラインへの導入を完了した。

 溶融亜鉛めっき鋼板を製造する連続溶融亜鉛めっきライン(Continuous Galvanizing Line:CGL)では、高温で溶融した亜鉛のポットに連続的に鋼板を浸漬して引き上げ、過剰に付着した亜鉛をワイピングノズルによって掻き落とすことで、目標のめっき付着量に制御している。めっき付着量の均一化のためには、ワイピングノズルと鋼板の間隔を一定に保つ必要があり、めっきプロセスにおいて鋼板の振動や反りを抑制することが重要となる。

 同社は、鋼板の振動および反りを非接触変位計で検出し、電磁石によって発生する吸引力で鋼板の位置を制御することで、非接触で鋼板の振動および反りを抑制する、溶融亜鉛めっき鋼板の非接触制御装置を開発し、実用化を進めてきた。同社が開発した非接触制御装置は、各ラインの操業条件や製造板サイズに合わせて設計され、鋼板制御に必要な応答性と吸引力を両立する独自技術をカスタマイズして採用することで、鋼板の振動と反りを同時に制御することが可能。

 国内CGLには、制御能力向上の開発を進めながら順次展開してきたが、2015年以降は海外子会社のCGLにも導入を開始し、2020年2月に稼働したNUCOR-JFE STEEL MEXICOのCGLにも導入を完了した。本技術は、国内外の全製造拠点において溶融亜鉛めっき鋼板の品質向上に大きく貢献しているという。

溶融亜鉛めっき鋼板の非接触制御装置

 

admin 2020年8月27日 (木曜日)
admin

日立金属、独自の表面処理施した医療用シリコーンケーブル

4年 2ヶ月 ago
日立金属、独自の表面処理施した医療用シリコーンケーブル

 日立金属( https://www.hitachi-metals.co.jp/ )は、独自の表面処理を施すことで、高い滑り性と耐薬品性を兼ね備えた医療用シリコーンケーブルを開発した。

 シリコーンは優れた耐薬品性、耐滅菌性能、生体適合性をもち、医療機器の素材として幅広く利用されている。シリコーンをシース(保護外層)に適用した場合は、ケーブル表面を消毒する薬品への高い耐性をもち、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)などにも適用することができる。これらの優れた耐薬品性・耐滅菌性能から、今後も幅広い医療機器への適用が予想される。また、新型コロナウィルスなどの感染症患者の診断に使用される医療機器は、頻繁に消毒する必要があるため、耐薬品性能に優れたシリコーンケーブルの採用が広がる見込みである。しかしながらシリコーンは、表面の粘着性により、埃が付着して汚れやすい、医師の取扱性が悪い、患者の肌に触れた時に不快感があるという課題があった。

 今回開発した医療用シリコーンケーブルは、ケーブル表皮に独自の表面処理を施すことによってシリコーン特有の粘着性の問題を解消し、高い滑り性を実現した。繰返し消毒における滑り性の低下については、消毒液を含浸させた不織布の応力を受け流す表面構造とすることにより、同社評価方法により1万回の拭き取り試験を行った後でも、同社従来品のPVCケーブルと同等以上の滑り性を維持する結果が得られたという。また、病院で使用されるさまざまな薬液に対しても、同社PVCケーブルと比較して変色が少ないことを確認した。2020年初より量産を開始し、一部の医療機器で採用されている。今後は超音波診断装置、内視鏡、カテーテル等、頻繁に消毒・滅菌が必要な医療機器への採用を提案していく。

医療用シリコーンケーブル

 

admin 2020年8月27日 (木曜日)
admin

サカタインクス、印刷方式で抗ウイルス効果が可能なコーティング剤

4年 2ヶ月 ago
サカタインクス、印刷方式で抗ウイルス効果が可能なコーティング剤

 サカタインクス( http://www.inx.co.jp/ )は、紙のパッケージやカタログなどの表面に塗工することで、優れた抗ウイルス効果を持たせることが可能なコーティング剤を開発し、抗菌製品技術協議会(SIAA)の認証を取得した。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延により、社会全体での衛生意識が高まるとともに、あらゆる製品において菌やウイルスなどに対する感染防止のニーズが高まっている。同社では、以前よりパッケージへの塗工を対象とした抗菌コート剤を展開しているが、今回、あらたに抗ウイルスコート剤「RabコートVVVシリーズ」を開発し、拡販を図る。

 使用用途は、紙のパッケージやカタログ、雑誌、教科書などの表面に、フレキソ、グラビア、オフセットなどの印刷方式で塗工することにより、抗ウイルスの機能を付与するもの。コート剤のタイプとしては、熱乾燥型やUV硬化型など幅広いラインアップを揃えている。また、ISO21702に準拠した試験方法により抗ウイルス性の効果を確認し、SIAAによる認証を取得しているため、このコート剤を塗工した製品については「SIAAマーク」を表示することが可能となる。

抗ウイルス性能

 

admin 2020年8月27日 (木曜日)
admin
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42 分 15 秒 ago
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