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ジェイテクト、ロードバイク用高性能セラミックボール軸受を発売

1年 8ヶ月 ago
ジェイテクト、ロードバイク用高性能セラミックボール軸受を発売kat 2022年08日15日(月) in

 ジェイテクトは、市販向け軸受の新商品として、ロードバイク用高性能セラミックボール軸受「鬼ベアリング」(ONI BEARINGTM)を8月20日に発売する。限定30セットで、価格は120000円(税込。軸受(フロント・リア)と工賃の価格で、ホイールの価格は含まれていない)。

鬼ベアリング(ONI BEARING)

 

 ジェイテクトはこのほど、1984年に世界で初めて実用化したセラミックボール軸受の技術を結集し、自動車・産業機械向けに培った知見を活かして、自転車用軸受市場に本格参入した。

 ONI BEARINGは、既存のロードバイク用軸受と比べ圧倒的な低トルクを誇り、漕ぎ出しの軽さとホイール速度維持を実現し、また軸受の基礎技術を積み上げ、高い耐久性と長寿命を誇る。これらの性能により、ロードバイクユーザーの、より速くより快適な走りの実現に貢献できる。

 圧倒的な低トルク性能が評価され、国内屈指のロードバイクレーシングチーム「MATRIX POWERTAG(マトリックスパワータグ)」のレース車両に試作品が採用。選手からは「桁違いに軽い。特にコーナーの立ち上がりに軽快さがある」など好評を博しており、今シーズンのチームの戦績に貢献することが期待されている。

 ONI BEARINGの名前の由来はJTEKT GROUP VISIONのNo.1&Only OneよりONIを取り、セラミックボール軸受として低トルクを筆頭に圧倒的な高性能、さらに自転車競技の本場欧州への日本ブランドアピールも込めて、ONI(鬼)を商品名に採用した。

ONI BEARINGの性能

 

 日本最大級のスポーツサイクル専門店Y’s Road(ワイズロード)の大阪本館と名古屋本館で販売をスタート。Mavic(マヴィック)製ホイールの現行モデル(COSMIC、KSYRIUM)にはオプションでONI BEARINGを搭載することができ、購入者にはホイールのハブに「ONI BEARING」のロゴを付けることも可能。

 ジェイテクトでは、より多くのロードバイクユーザーやサイクルレースファンに、同社の自転車市場への本格参入とONI BEARINGを知ってもらう目的で、8月20日、21日の両日に開催される「シマノ鈴鹿ロード」にイベント出展し、デモ機展示や前後輪でONI BEARINGを搭載した試乗車の貸出などを実施する予定で、以降も今治クリテリウムなどロードレース会場での体験会や試乗会などを実施する予定となっている。

 同社では、今回発売の商品を皮切りに、技術力をより高め、一層の低トルク化を実現するなど、良質廉価を極め競争力を高めるとともに、販売数量を拡大し、本格的な事業化を目指していく。ONI BEARINGとしてフロントホイール用、リアホイール用の商品群だけでなく、ペダル周辺のクランク用軸受、変速機周りのプーリー用軸受にも領域を広げるとともに、「ベアリング交換キット」とのセット販売なども行い、ロードバイクユーザーへの嬉しさを提供していく考えだ。

ONI BEARINGロゴマーク(上)とホイールのハブに付けたONI BEARINGのロゴ(下)

 

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NTN、最大可搬質量3kgの手首関節モジュールを開発

1年 8ヶ月 ago
NTN、最大可搬質量3kgの手首関節モジュールを開発kat 2022年08日15日(月) in

 NTNは、手首関節モジュール「i-WRIST®」の「IWSシリーズ」の可搬性能を向上させた新グレード「IWS-C01」を開発した。i-WRIST本体のサイズは従来のIWSシリーズのコンパクト性(折れ角90°仕様:W417mm×D365mm×H196mm、折れ角45°仕様:W474mm×D415mm×H185mm)を維持しつつ、最大可搬質量が1kgから3kgに増加し、従来よりも幅広い種類のエンドエフェクタの搭載や製品の取り扱いが可能となり、様々な製造工程の自動化と効率化に対応するとともに、生産現場の省人化に貢献できる。

 同社では、外観検査、グリース塗布、洗浄、組立、バリ取りへの用途展開を図り、2025年度に5億円/年の販売を目指す。

 i-WRISTは独自のリンク機構により、手首のようななめらかな動きを実現するロボティクス・モジュール商品。半球状の全方向に対して高速・高精度に位置決めを行うi-WRISTでエンドエフェクタや製品の姿勢を制御することで、外観検査やグリース塗布、製品洗浄などの工程を自動化することが可能となる。

 2021年にはIWSシリーズを開発し、動作速度の向上や、従来の下向きに加えて横向きや斜め向きなど取付け姿勢を自由に選択できるようにするなど、一部の機能を拡張。タクトタイムが短縮されるだけでなく、取り扱う製品や用途に応じて柔軟な装置設計が可能となっている。通常は2台以上の多関節ロボットで行う複雑な形状の製品の外観検査も、1台のIWSシリーズで実現できる。

 今回、同社がi-WRISTを市場展開する中で、ユーザーからの要望の強かった可搬性能の向上に対応するため、制御方法の最適化により最大可搬質量を1kgから3kgに増加させたIWSシリーズの新グレードIWS-C01を開発したもの。最大可搬質量を増加させたことで、搭載可能なエンドエフェクタや製品が増え、より幅広い用途に適用できる。

 外観検査用途において、i-WRISTで製品の姿勢を制御する場合、小型・軽量な樹脂部品だけでなく、小型のアルミダイキャスト部品など人の手で取り扱う重さの製品の大半を取り扱うことが可能となる。また、i-WRISTにエンドエフェクタを取り付けて制御する場合は、大型照明や高性能カメラの搭載が可能となり、より細かい傷や打痕の検出ができるようになる。

 外観検査のほかにも、バリ取り加工などエンドエフェクタへの負荷が大きく変動する工程にも活用できる。

 

手首関節モジュール「i-WRIST」

 

複雑な形状をした自動車部品などの外観検査事例
(同じ検査速度を実現する構成での比較)

 

新グレード「IWS-C01」

 

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イグス、金属製から代替容易な肉厚の樹脂すべり軸受を開発

1年 8ヶ月 ago
イグス、金属製から代替容易な肉厚の樹脂すべり軸受を開発kat 2022年08日15日(月) in in

 イグスは、樹脂すべり軸受のラインアップに中荷重用「イグリデュールM210・M260」を加えた。肉厚の金属製軸受からの置き換えでは設計変更が不要で、自己潤滑性の樹脂材料のため軸受部の無潤滑・メンテナンスフリーを実現でき、建設・農業機械など過酷な使用条件下で作業時間とコストの削減に寄与する。

 イグリデュールM210・M260は肉厚が最大5mm、内径は20mm・30mm・40mm・60mm。特に中荷重(10MPa)の揺動用途に最適。すべり軸受の材質は繊維と充填材で強化、軽量でも十分な堅牢性を実現。40MPaの高面圧、連続的な局部荷重、-100℃~+140℃の温度(M260)にも耐えられる。材質には固体潤滑剤が含まれ給油が不要なため、汚れやほこりが付着せず環境に優しい。金属製軸受より軽量なため、機械やシステムの電力消費量を削減できる。

 ドイツ本社の試験施設で、イグリデュールM210・M260について中荷重の揺動運動のテストを実施したところ、数千サイクル後でも、目に見える摩耗が少ないことが実証されている。試験結果はすべて、すべり軸受構成ツール「イグリデュール エキスパート」に送られ、オンライン上でM210とM260の耐用年数を特定の条件下で計算できる。
 

中荷重用「イグリデュールM210・M260」のイメージ

 

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THK、最先端の自働化技術を体験できるサポート拠点を福岡に開設

1年 8ヶ月 ago
THK、最先端の自働化技術を体験できるサポート拠点を福岡に開設kat 2022年08日15日(月) in

 THKは、主力の直動製品をはじめ、製造業向けのIoTサービス、各種ロボット技術など、それぞれを活用する手法や導入を検討するサポート拠点として、山陽・九州エリアでは初となる福岡ソリューションセンター(福岡県福岡市博多区)を8月2日に開設した。

 同ソリューションセンターは、LMガイド、ボールねじ、アクチュエータなど同社の主力製品の展示コーナーのほか、部品の状態診断や予兆検知を実現するIoTサービス、さらには自社で開発したサービスロボット、協働ロボット、搬送ロボットなどのデモ機を常設展示し、来場者に最先端の自働化技術を間近で体験してもらいながら課題解決の道筋につなげていく中核拠点としての役割を担う。

 山陽・九州エリアは自動車、半導体、食品・医薬品関連の産業が活発な土地柄で、特に近年は、半導体の関連企業が相次ぎ九州への進出、事業拡大を打ち出しており、“シリコンアイランドの復権”に向けて大きな期待が寄せられている。その一方で、製造業全体では生産性の向上に加えて、労働集約や人手不足が大きな課題となっており、自働化や省人化、ロボット化を推進するニーズが年々高まりをみせている。

 そこでTHKは、山陽・九州エリアにおける旺盛なものづくり産業の需要を受け、最先端の自働化技術を体験できる課題解決型サポート拠点として福岡ソリューションセンターを開設するもの。

 ソリューションセンター内の展示スペースには、デジタルデバイスを用いた直動製品の紹介コーナーのほか、アクチュエータデモ機、部品の状態診断や予兆検知を実現するIoTサービス「OMNIedge」、自社開発のサービスロボット「SEED Solutions」、協働ロボット「NEXTAGE」、ピッキングロボットハンドシステム「PRS」など、様々なデモ機を数多く展示している。

 特にサービスロボットの展示では、技術スタッフがその場で様々なデモンストレーションを実施しながら、ユーザーが抱えるロボット活用の課題解決をサポートする。展示エリア外では、併設するミーティングルームで同社製品の導入を検討しているユーザー向けに、オンラインで東京本社の技術者を交えた技術セミナーなどを定期的に開催する予定。

同社では、「福岡ソリューションセンターでは、ユーザーのニーズに寄り添った最先端の自働化技術を紹介していく。山陽・九州エリアにおける課題解決型サポート拠点としてぜひともお立ち寄りいただきたい」とコメントしている。

 福岡ソリューションセンターの概要は以下のとおり。

・所在地:福岡県福岡市博多区上牟田1-11-1 ORIENT DEALING BLD NO.90 1階

・営業時間:9:00~17:00 ※当面は完全予約制

・連絡先(質問/予約):THK福岡支店 代表電話:092-474-4471代表メール:thk-fukuoka@thk.co.jp

 

THK主力製品をはじめ、IoTサービスや最新のサービスロボットを展示

 

技術スタッフがデモ機を使ってユーザーの課題解決をサポート

 

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イグス、第8回ベクター賞 受賞事例を公開

1年 8ヶ月 ago
イグス、第8回ベクター賞 受賞事例を公開kat 2022年08日05日(金) in

 イグスは、ケーブル保護管「エナジーチェーン」や可動ケーブル「チェーンフレックス」を使用した独創的なエネルギー供給システムの事例を表彰する「ベクター賞」を2年に一度開催しているが、今年の「第8回ベクター賞」の受賞事例4件を公開した。今回36ヵ国から集まった233の使用事例のうち、最も革新的なアプリケーションである「ベクター金賞」にハンガリーGepber Szinpad社のHUNGEXPO多目的ホールが輝いた。また、銀賞はドイツRhenac GreenTec社のサッカースタジアムの芝育成用照明システムに、銅賞はインドTalwandi Sabo Power社の世界最長規模のエナジーチェーンに贈られた。さらに、サステナブルな事例に贈られるグリーンベクター賞には、ドイツDercks Gartenbau社の経済的な灌漑システムが輝いた。

第8回ベクター賞 表彰式のようす

 

ベクター金賞:Gepber Szinpad社のHUNGEXPO多目的ホール

 ハンガリー・ブダペストHUNGEXPO国際見本市センター(Hungexpo Congress and Exhibition Centre)にあるGepber Szinpad社の多目的ホールは、広さ1800m2、座席数2000以上のホールが、わずか数分でさまざまな形状に変形する。変形を実現する床下の電気機械式昇降装置に、エナジーチェーン3400型とチェーンフレックス動力およびデータケーブルが使用されている。ボタンを押すだけで、映画館のような階段式の構造や、オーケストラピットのある舞台を作ることができる。この自動化アプリケーションにより、1日のうちに複数の大きなイベントを最小限の労力で開催できるようになっている。

 

ベクター銀賞: Rhenac GreenTec社のサッカースタジアムの芝育成用照明システム

 ゲルゼンキルヒェンのサッカースタジアム「フェルティンス・アレーナ」に構築されたRhenac GreenTec社の巨大な芝育成用照明システムは、サッカー場の両端のトラックを前後に移動する大型ガントリーで構成され、ガントリーの下部には、芝育成のためのLED グローライトを照射するランプが設置されている。屋外システムの動力ケーブルとデータケーブルを紫外線や雨、温度変化から保護するため、ガントリーの移動にエナジーチェーン5050RHD型が使用されている。ランプホルダーの垂直調整には、スリップリング不要のe-spoolシステムが採用された。

 

ベクター銅賞:Talwandi Sabo Power 社の世界最長規模のエナジーチェーン

 インド・パンジャブ州バナワラ村の石炭火力発電所において、Talwandi Sabo Power 社の巨大なバケットホイールエクスカベーターは、石炭を払い出し、ベルトコンベヤでボイラーまで運ぶために設計された。バケットホイールエクスカベーターに従って700mにわたり移動する動力線は、世界最長規模のエナジーチェーンシステムである頑丈な「ロールeチェーン5050RHD型」に組み込まれ、飛散する石炭から保護されている。

 

グリーンベクター賞:Dercks Gartenbauの社経済的な灌漑システム

 何千もの植木鉢に効率的に水やりをするDercks Gartenbau 社の自動灌漑装置は、レール上を毎分18mの速度で移動し、全長45mの2本のブームで植物に水と養分を供給する。ケーブルガイドにはエナジーチェーン3500型が使用されている。このシステムによって、従来の灌漑に比べて水の使用量を約60%削減することができた。
 

第8回ベクター賞の各受賞事例

 

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TECHNO-FRONTIER 2022が開催

1年 8ヶ月 ago
TECHNO-FRONTIER 2022が開催kat 2022年08日05日(金) in

 「モーション・エンジニアリング展」、「モータ技術展」、「EMC・ノイズ対策技術展」、「熱設計・対策技術展」などからなる「TECHNO-FRONTIER 2022」(主催:日本能率協会)が7月20日~22日、東京都江東区の東京ビックサイトで開催された。ベアリング&モーション技術関連では、以下のような展示がなされた。

 コスモ石油ルブリカンツは、シリコーンフリーで高い熱伝導性を有する放熱材料「TIM」のラインナップを紹介した。放熱グリース「コスモサーマルグリースSFシリーズ」は、①シートよりも塗布面への追従性に優れる、②相手材との密着性が高く効果的な熱伝導性を発揮、③ディスペンサーでの塗布が可能で塗布工程を自動化できる、④適切な塗布量を選択でき放熱材量のロスを低減で、⑤数10μmまで薄く広げられ熱抵抗を低減、反発力が小さく部品へのストレスを低減、シリコーンフリーで低分子シロキサンによる電気接点障害の心配がない、などの特徴を持つ。また、一液硬化タイプの放熱ギャップフィラー「コスモサーマルギャップフィラーCGS3501」は、ペースト状で塗布できるため追従性に優れ、80℃の熱で30分間熱して硬化させるため、作業時間短縮が可能。二液室温硬化タイプの放熱ギャップフィラー「コスモサーマルギャップフィラーCGT3001」は、二液を混合後に硬化させるため、熱に弱い部分への塗布も可能。いずれも塗布後に硬化するためポンプアウトの心配がないほか、自動塗布が可能で作業時間を大幅に短縮できる。

シリコーンフリーで高い熱伝導性を有する放熱材料「TIM」

 

 THKは、ロボットの関節機構に適したモジュール型のアクチュエータとして開発した、回転モジュール「RMR」を紹介した。①減速機、モータ、エンコーダ、ブレーキなどの要素をモジュールとして一体化にすることで、一から部品選定/設計/組立をする必要がなくなり、その分の工数を削減できる、②剛性に優れた同社製のクロスローラーリングを回転機構の主軸受とすることで、大きなモーメントを負荷できる、③中空構造により配線ケーブルやチューブ等の取り回し性が高く、構造の簡略化/省配線化に優れている、④ドライバ別置き:制御ドライバはRMRとは別置きにし、本体全長をよりコンパクトに設計。また、RMR本体と制御ドライバをそれぞれ独立させることで配置の自由度が向上、などの特徴を持つ。ラインナップは#10 #30 #50 #70の4種類で、FA自動化工程に加え、物流業界や三品業界(食品/医薬品/化粧品)での活用ニーズも見込まれるほか、あらゆる市場の自動化ニーズに貢献する。

ロボットの関節機構に適した回転モジュール「RMR」

 

 ナノコート・ティーエスは、電磁波シールドPVDコーティング「PROCEM(プロセム)」の成膜サンプルとパネルを展示した。電子化が進む自動車では、車載電子機器・センサー類の増加の伴うノイズ発生源の多様化と軽量化を目的とした電子機器・センサー類の樹脂製筐体の採用が進んでおり、樹脂製筐体への電磁波シールド性の付与が課題となっている。これに対しHEFで開発したPROCEM コーティングは樹脂製筐体に直接成膜でき、自動車電装機器で要求される電磁波シールド仕様(ノイズ減衰性能)をクリアしてEMC 問題を解決できる上、薄膜のため成膜前後の筐体の寸法変化や重量変化がなく、マスキングが必要な部分の仕上がり具合などの問題を同時に解決できる。PROCEM被膜は、高導電率の金属被膜を耐食性に優れた被膜でサンドイッチした多層膜となっており、用途に応じて銀・銅・アルミの3 種類の導電性金属が選択できる。また、PROCEM被膜の上に、保護膜として耐摩耗性に優れるDLC被膜を成膜することも可能となっている。

電磁波シールドPVDコーティング「PROCEM」

 

 ハイウィンは、世界的に納期が長期化している、自動化・省人化ニーズに欠かせない「ACサーボモーター」の短納期対応が可能なことをアピール。定格出力50~2000Wのラインアップがあり、高速回転を同期制御できる同社製ドライバーも合わせて動作ユニットをオールインワンで構築できる「トータルソリューションシリーズ」として提供できる。また、レトロフィットや高精度割出し台に適した「ロータリーテーブル」を紹介。自社製トルクモーター搭載でゼロバックラッシュ・ダイレクトドライブ方式のロータリーテーブルは、滑らかでレスポンシブな回転を実現できる。仕上がり品質、歩留まり向上など様々な場面での優位性を高め、工作機械の差別化をサポートする。さらに、厚さ22mmと業界最薄クラスのDDモーター「DMTシリーズ」も出展。圧倒的な大中空径と優れた位置決め精度で機械設計の自由度アップに寄与するほか、同社のリニアモーターと組み合わせることで比較的容易に全高250mm程度の高精度位置決めXYθステージを組むことができる。自動化機器、省人化機器、搬送機器の省スペース化や低重心化による装置剛性向上にも寄与する。

ACサーボモーターなど動作ユニットをオールインワンで構築できる
「トータルソリューションシリーズ」

 

 フェローテックマテリアルテクノロジーズは、熱対策部品「サーモモジュール(ペルチェ素子)」とその応用製品として温冷調整が可能なジャケットなどを紹介した。サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。直流電流を流すと、サーモモジュールの片側からもう片側へと熱が移動。それにより、サーモモジュールの片方の面が冷却されると、同時に反対の面は加熱される。また、直流電源の極性を入れ替えると、この現象が逆転し、逆方向に熱の移動を行うため、同じ面で冷却・加熱のいずれの目的にも使用できる。その機能によりセンサー・制御器と合わせて使用することで精密な温度調節も可能となる。サーモモジュールは場所や環境に応じて冷房・暖房を切り替えることができることから、肌着やジャケットに温度調節用途としての採用が進んでおり、今回はサーモモジュール応用製品として、温冷調整が可能なジャケットなどを展示した。

サーモモジュール応用製品「温冷調整が可能なジャケット」

 

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日本トライボロジー学会、第67期会長に牧野武朗氏(三菱重工業)

1年 9ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、第67期会長に牧野武朗氏(三菱重工業)kat 2022年07日25日(月) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は5月24日、Web会議システムを利用したオンライン方式により「第66期定時社員総会」を開催した。今回は第67期役員の選任についても決議がなされ、第67期新会長に三菱重工業 シニアフェロー 総合研究所 技師長の牧野武朗氏が選出された。

牧野武朗・JAST第67期会長

 

 JAST第66期定時社員総会は新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、Web会議システムを利用したオンライン方式により開催。社員総会の議事は、議長である第66期会長の九州大学 教授の杉村丈一氏によって進められ、2022年度事業計画・収支予算ともに可決・承認された。

 総会では第67期役員選任の議案についても同意が得られ、これを受けて第67期第1回理事会が開催され、三菱重工業 牧野武朗氏が第67期会長に選出されたもの。

 牧野氏はJAST新会長就任にあたって、「当会では、“会員サービスの充実による会員メリットの向上”、“世界における日本のトライボロジーのプレゼンス向上”、“学会運営の効率化と財政の健全化”という運営方針を掲げて、杉村 第65期・第66期会長のリーダーシップのもとで活動してきたが、今期もこの運営方針を堅持しつつ、会員各位の意見もいただきながら、運営の改善に力を注いでいきたい。昨今のCOVID-19、さらにはウクライナ情勢、地球温暖化問題など、我々を取り巻く様々な情勢の中で、科学技術で社会を支える者の一員としてトライボロジストである我々は、安全・安心ということを強く意識していき、そしてそれをゴールとして行われることの重要性にあらためて思いを致す必要がある。低炭素社会の実現に向けては、需要側における省エネ、供給側における高効率化は、大変重要な要素。我々トライボロジストの知を結集し、低炭素社会実現のための諸課題に立ち向かう必要があり、当会が一つの社会的役割を果たしていければと考える。会員には積極的に当会の諸活動に参加していただき、様々な視点から、どんどん新しい提案をしていただきたい」と抱負を語った。

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THK、ロボットの関節機構に適した回転モジュールの受注を開始

1年 9ヶ月 ago
THK、ロボットの関節機構に適した回転モジュールの受注を開始kat 2022年07日22日(金) in in

 THKは、ロボットの関節機構に適したモジュール型のアクチュエータとして、回転モジュール「RMR」の受注を開始した。

ロボットの関節機構に適した回転モジュール「RMR」

 

 回転モジュールRMRは、剛性に優れた同社製のクロスローラーリングを回転機構の主軸受とし、さらにロボットの関節部には欠かせない減速機、モータ、エンコーダ、ブレーキなどの要素を一体化した、ロボットの関節機構に適したアクチュエータ。ロボットの関節部に必要なメカ要素がすべて備わっているため、そこにアーム部品や直動モジュールを自由自在に組合わせることで、幅広い設備に適したユーザー独自のロボット設計が可能となる。

 近年、ロボット活用の場面は急速に多様化する一方で、要求される仕様に対して既製のロボットがマッチしないケースが少なくない。既製ロボットがハイスペックすぎたり仕様要求を満たせずに大掛かりな改造が必要だったりと理由は様々だが、THKでは、ロボットの導入効果の最大化を図るべく、ユーザー自身でロボットに必要な仕様を合理的に設計・構築できるよう、回転モジュールRMRの提供を開始する。

 RMRをアーム部品、直動モジュールと単に組み合わせるだけでなく、回転部の軸数、アームのリーチ長、可搬重量など様々な仕様に合わせて自由自在にメカ要素を設計し、理想に適したロボット構築が簡単に行える。また、ロボットの設計・構築まで手が回らないユーザーには同社グループで、希望の要求仕様に合わせて制御機器まで含む装置の提案を幅広く行っていくことも可能となっている。

 RMRのラインナップは#10 #30 #50 #70の4種類。FA自動化工程に加え、物流業界や三品業界(食品/医薬品/化粧品)での活用ニーズも見込まれるほか、あらゆる市場の自動化ニーズに貢献する。

 RMRの特徴は以下のとおり。
・一体型モジュール:減速機、モータ、エンコーダ、ブレーキなどの要素をモジュールとして一体化にすることで、一から部品選定/設計/組立をする必要がなくなり、その分の工数を削減できる

・高許容モーメント:剛性に優れた同社製のクロスローラーリングを回転機構の主軸受とすることで、大きなモーメントを負荷できる

・中空構造:中空構造により配線ケーブルやチューブ等の取り回し性が高く、構造の簡略化/省配線化に優れている

・ドライバ別置き:制御ドライバはRMRとは別置きにし、本体全長をよりコンパクトに設計。また、RMR本体と制御ドライバをそれぞれ独立させることで配置の自由度が向上

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ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2022年7月号「特集1:建設機械」「特集2:フルードパワー機器」発行!

1年 9ヶ月 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2022年7月号「特集1:建設機械」「特集2:フルードパワー機器」発行!admin 2022年07日21日(木) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第36号となる2022年7月号が7月25日に小社より発行される。

 今号は、「特集1:建設機械」、「特集2:フルードパワー機器」で構成。

 特集1「建設機械」では、オイルの状態の常時監視などICTの活用で建設機械の安定稼働に貢献するサービスソリューションから、建設機械用油圧作動油規格の最新動向、建設機械用生分解性グリースの最近の動向までを広く紹介する。

 特集2「フルードパワー機器」では、横置き冷媒圧縮機の起動時における油吐出特性の評価から、高圧可変容量形油圧ピストンポンプの技術、高粘度指数圧縮機油による空気圧縮機の省燃費化と高効率化までを広く紹介する。

特集1:建設機械

◇ICT 活用で建設機械の安定稼働に貢献するサービスソリューション・・・日立建機 岩崎 史十、秋田 秀樹
◇建設機械用油圧作動油規格の最新動向・・・建設機械施工協会 浜口 仁
◇建設機械における生分解性グリースの最近の動向・・・出光興産 小泉 志郎 氏、早川 敦也 氏、山本 徹朗 氏に聞く

特集2:フルードパワー機器

◇横置き冷媒圧縮機の起動時における油吐出特性について・・・三菱電機 森山 貴司
◇高圧可変容量形ピストンポンプ・・・不二越 鈴木 健吾
◇高粘度指数圧縮機油による空気圧縮機の省燃費化と高効率化  エボニック ジャパンに聞く

連載

注目技術:第31回 FOOMA JAPAN 2022に見るbmt関連技術
あるコスモポリタンの区区之心 第7回 アルゼンチンの老舗カフェにて・・・紺野 大介
Q&A「浄油技術」の基礎知識 第7回 オイルサンプリング方法による分析結果への影響・・・RMFジャパン テクニカルサポートDiv

トピックス

日本トライボロジー学会、2021年度学会賞 授賞式を開催

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ジェイテクト、特殊環境用軸受が素粒子ミュオンの生成に貢献

1年 9ヶ月 ago
ジェイテクト、特殊環境用軸受が素粒子ミュオンの生成に貢献kat 2022年07日11日(月) in

 ジェイテクトの特殊環境用軸受「EXSEV®-WS」が、大強度陽子加速器施設(J-PARC)において、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所が開発するミュオン回転標的に採用された。同社の高耐熱・高耐久性を誇る特殊環境用軸受の性能が、J-PARCが取り組む安定的なミュオン生成に貢献している。

EXSEV-WS

 

 ミュオンとは、電子と同じような性質を持ちながら約200倍の質量を持つ素粒子。1936年に宇宙線の中で発見された。ミュオンは透過性の高さからこれまでに火山やピラミッド、原子炉などの透視に成功するなど、ミュオン透視技術は大きな注目を集めている。

 J-PARCにおいては、加速した陽子ビーム(原子を構成する粒子のうち正の電荷をもつ陽子が細い流れのように並進したもの)を黒鉛製のミュオン回転標的に照射することで、世界最高の質と強度を誇るミュオンを生成し、物質の構造を解明する物質生命科学や物質の根源を探求する基礎物理学に関わる研究に活用されている。

 ミュオン回転標的におけるミュオンの生成は高温・真空・高放射線場という過酷な環境下で行われるため、これまでの先行研究ではミュオン回転標的に使用される軸受が1年以内に破損するという問題があった。そこで、J-PARCでは2014年、ミュオン回転標的にジェイテクトの特殊環境用軸受EXSEV®-WSを採用。現在に至るまで長期にわたって、ミュオン回転標的の安定的な稼働に貢献している。

 この結果を受け、J-PARCと国際共同研究を行っているスイスのポールシェラー研究所(PSI)でもEXSEV®-WSを採用、2021年12月には1年間の安定的なミュオン回転標的の連続運転を達成した。

 EXSEV®-WSは、耐荷重性に優れており、高温・真空環境下にも適した軸受で、保持器を用いず、二硫化タングステン系自己潤滑複合材のセパレータによって玉を等間隔に保持。セパレータに含有された二硫化タングステンは耐熱350℃と耐熱性が高く、優れた潤滑寿命を有している。

<特殊環境用軸受EXSEV®-WSのスペック>
・潤滑剤に二硫化タングステン系固体潤滑剤を採用することで耐熱性・耐荷重性が要求される真空環境に適応

・圧力:105Pa(大気圧)~10-5Pa(高真空)

・温度:-100℃~350℃

・ミュオン回転標的に採用されたEXSEV®-WSの寸法
 d(内径):17mm、D(外径):40mm、B(幅):12mm

J-PARCのミュオン生成エリア:保守エリアの床面(橙色)から2.4 m低いビームラインにミュオン回転標的は設置される。左下から右上に向かう陽子ビームの経路上に設置されたミュオン回転標的でミュオンが生成され、四方向(写真撮影時は三方向のみ)の紫色の電磁石で実験室に取り出される

 

J-PARCのミュオン回転標的:陽子ビームによって黒鉛標的上に発生する熱や損傷を回転で分散させている

 

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THK、製造業向けIoTサービスでプライベートクラウドの対応を開始

1年 9ヶ月 ago
THK、製造業向けIoTサービスでプライベートクラウドの対応を開始kat 2022年07日08日(金) in

 THKは、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」のプライベートクラウドの対応を開始する。ユーザー専用のクラウドサーバーを用いることで、特定ユーザーのみが閉域網でアクセスできるセキュアな環境が構築できるほか、専用SIMによる無線通信なのでLAN配線の煩わしさがなく、棟内工事は一切要らず、短期間での導入が可能。

OMNIedgeプライベートクラウド構成図


 OMNIedgeは、現場で稼働している装置の機械要素部品にセンサを後付けして、部品の状態を数値化し、予兆検知を実現するIoTサービス。対応部品は直動案内機器「LMガイド」、ボールねじ、アクチュエータなどの直動部品をはじめ、モーター、ポンプなどの回転部品とラインナップを展開してきた。今回、ユーザー専用のプライベートクラウドに対応することで、より強固な高いセキュリティと拡張性をリーズナブルな価格で確保しながら、多台数で運用できる環境の提供を開始する。

 ユーザーが社内でIoTサービスを本格展開する場合、セキュリティに対する要望は依然として高く、その一方では、自社に見合うシステムの構築は容易ではなく、また費用面での負担も少なくないという問題があった。そこでTHKでは、運用面の課題解決に加えOMNIedgeのメリットを最大限に享受してもらえるよう、ユーザー専用に安全性をより強固にしたプライベートクラウドの対応を拡げていく。さらには、専用サーバーならではの拡張性として、他の類するIoTデータも同時に集積できる機能の搭載も今後展開していく予定だ。

 OMNIedgeをすでに導入しているユーザーでは今後、複数の生産ラインへの多台数展開が考えられるが、その場合、より強固なセキュリティの高さに加えて、既存の社内ネットワークに影響を及ぼさないか、導入・設置はスムーズに進められるかなど、様々な課題が懸念される。

 そこでTHKでは、“より強固な高いセキュリティを保ちながら多台数を社内に展開でき、かつ、OMNIedgeのクラウドサービスのメリットである「製造ゼロ待ちチケット」、「IoTリスク補償」という二つの「あんしん特典」も同時に受けられるようにしたい”というユーザーの要望に対応すべく、プライベートクラウドへの対応を開始する。また、環境構築のために発生するユーザーの工数を非常に少なくできるほか、費用面においても年間にかかる費用はできるだけ抑え、将来的な拡張性も視野に入れた長期にわたる運用を可能とする。

OMNIedgeプライベートクラウド(LTE通信)における導入/運用時のメリット

 

 同社では引き続き、導入ユーザーから寄せられる多くの評価と要望を反映しつつ、ユーザーにとって最適なソリューションサービスの拡大を図り、製造現場の持続的な生産性向上に貢献していく。今後の展開としては、IoTで必要となる様々なシステムへの対応(データ収集用デバイスの追加、エッジサーバ拡充、および生産管理や設備監視アプリケーションへの接続・追加など)やローカル5Gへの対応(大規模で広範囲の多台数設備やシステムを、安全で通信障害の影響を受けにくく、柔軟なIoTネットワークの構築への対応)を予定している。

今後の展開:IoTで必要となる様々なシステムへの対応、ローカル5Gへの対応


 

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木村洋行、直接潤滑方式LEG油膜軸受の提案を強化

1年 9ヶ月 ago
木村洋行、直接潤滑方式LEG油膜軸受の提案を強化 in kat 2022年07日07日(木) in

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)では、キングスベリー社の日本販売代理店として、同社製の直接潤滑方式LEG油膜軸受を長年取り扱っている。同軸受は発電所などエネルギー関連設備で数多く採用されているが、エネルギー需給がひっ迫する中にあって、発電所で稼働する回転機械の効率を向上できる同軸受への注目も高まってきている。

 ここでは、同軸受の提案・適用拡大を進める木村洋行に、キングスベリー社の直接潤滑方式のスラスト軸受「LEG(Leading Edge Groove)スラスト軸受」の特徴と適用のメリットを中心に話を聞いた。

 

LEGスラスト軸受の構成および機能

 LEGスラスト軸受は、主にティルティングパッド(またはシュー)、ベースリング、オイルフィードチューブ、レベリングプレートから構成される(図1)。

図1 LEGスラスト軸受の構成

 

 パッドは、低炭素鋼表面に、スズを主成分とするホワイトメタル合金を鋳込んだものが標準材質となる。表面温度が160℃付近に達するとホワイトメタルが溶出し始め、軸受としての機能が損なわれるため、LEGスラスト軸受では運転時のパッド表面の最高温度が120℃以下となるよう、撹拌抵抗の低減や低温油膜の形成につながる様々な工夫がなされている。また、パッド本体に温度センサを取り付けてパッド表面温度を常時モニタリングし、閾値を超えた際にアラームを出す予兆保全システムが組まれることも少なくない。

 LEGスラスト軸受は一方向回転での使用を前提に設計されているため、パッドそれぞれの前縁部に給油溝(LEG)を設けることで、給油溝から直接パッド表面を潤滑できる機能を有する。また、キングスベリーのパッド底面にはピボットと呼ばれる球面形状の支点を設けており、これにより各パッドが自動でティルティング(調心)し、均等に荷重を受けようとする。通常はパッド有効長の50%の位置にピボットが設けられている(センターピボット)が、LEGの場合は前述のとおり一方向回転を前提としているため、パッド有効長の60%の位置にピボット(オフセットピボット)が設けられている。これによって、スラストカラーとパッドの間に「くさび型の油膜」がより形成されやすくなる。

 ベースリングは、パッドとレベリングプレートを適切な位置で保持し、ベースリング背面の環状の給油溝とパッド表面のLEG溝を接続するオイルフィードチューブによって、ベースリング側からパッド表面に潤滑油を直接給油する。

 上下2 段のレベリングプレートは、ロータにミスアライメントがある場合でも軸方向に動作してパッドの軸方向位置を補正するため、後述するイコライジング機能をベアリングに持たせることができる。

 こうした独自の構成要素と後述する機能によって、従来の油槽式と比較してLEGスラスト軸受は以下の特徴を有する。

・最も高温になりやすいパッドの75%/75%位置の表面温度が、荷重と回転スピードに応じて、油層式より8~28℃低下

・負荷能力が15~35%向上

・潤滑油量が最大60%低下するため、損失馬力も45%低減

 

LEGスラスト軸受適用のメリット イコライジング機能

 キングスベリー型スラスト軸受の最大の特徴は「イコライジング機能」を有することである。イコライジング機能とは、ミスアライメントが原因でスラスト軸受の各パッドに掛かる荷重に差異が生じた場合でも、上下2 段のレベリングプレートが動作することでパッドの軸方向位置を調整し、

 各パッドに掛かる荷重を平均化して、パッドの片当りを防止する機能のことをいう(図2)。
実際の回転機械では、横軸ロータのたわみや、スラストカラーとハウジングとのミスアライメントをゼロにはできない。そのため、イコライジング機能を持たないミッチェル型スラスト軸受の場合はレベリングプレートがないため軸方向の厚さ寸法を抑えられるものの、理論上はスラスト軸受全体として許容可能な荷重でも、片当たりによって特定のパッドに荷重が集中すると、このスラスト軸受は過負荷によって損傷する可能性がある。

図2 上下2段のレベリングプレートによるイコライジング機能

 

 これに対してイコライジング式のキングスベリー型は、構成部品に上下2段のレベリングプレートを含むため軸方向の厚さ寸法は増すものの、レベリングプレートによるイコライジング機能の効果で特定のパッドに荷重が集中せず、すべてのパッドの負荷レベルを平均化できるメリットがある。このイコライジング機構とティルティングパッドの機能が相まって、0.13°までのミスアライメントが許容可能となっている。

 ただし、イコライジング式であればスラスト軸受とロータのミスアライメントは許容できるが、非イコライジング式と同様にロータとスラストカラーの直角度が引き続き重要であることには留意が必要である。

 イコライジング式のキングスベリー型と非イコライジング式のミッチェル型では、前述のようにそれぞれ違いがあるため、回転機メーカーの設計者は両方式のメリットとデメリットを理解した上での軸受選定が必要である。

 

LEG方式

 油槽式軸受では、軸受箱内を潤滑油で満たすことで油膜を形成させているが、油膜部分以外にも油膜軸受の機能としては不要な部分にまで過剰な油量が必要とされ、また高速回転時の撹拌ロスが大きい(損失馬力が大きい)。さらなる高速化を図り損失馬力を低減した高効率な装置を作る必要性から、スラストカラーとパッドの間に必要量の潤滑油のみを給油する直接潤滑方式が、キングスベリー社のLEG方式、欧州で開発されたスプレー方式として、それぞれ開発された。

 キングスベリーが開発したLEG軸受は、低温の潤滑油がパッド前縁側のLEG溝から直接給油され、回転とともにスラストカラーとパッドの間に均一に効率的に油膜が形成される(図3)。このため、油槽式に比べて給油量が少なくて済み、また、撹拌抵抗を小さくできるため損失馬力を大幅に低減できる。油槽式と異なりオイルシールリングも不要となり、ここでも撹拌抵抗を低減している。

 

図3 LEG直接潤滑方式

 

 軸受ハウジング下部に設けられた大きな直径の排油口からパッド後縁部の高温の残留油を積極的に排出するとともに、LEG溝からは冷却された低温の潤滑油が直接供給されるため、パッドの温度を低下させることができる。その結果、パッド温度が低くなる分だけ軸受の許容荷重を増やすことが可能となっている。

 LEG方式では軸受ハウジングの外部にオリフィスを設けて油量を調整している一方、欧州で開発されたスプレー式は、オリフィスの機能を持ったスプレーノズルによってスラストカラーに対して潤滑油を吹き付け、パッドとの間に潤滑油膜を形成する方式をとる。給油量の削減やメカロスの低減については効果が見込めるが、スプレーノズルから低温の油が供給されても、パッド後縁部の高温の残留油によってパッドの表面温度が下がりにくくなる可能性がある。また、スプレー方式ではノズル穴がオリフィスの機能を持つためにノズルの穴径が小さく、潤滑油の管理レベル次第では油中の異物による目詰まりの発生が懸念される。これに対して、LEG方式ではオイルフィードチューブの径が大きいため目詰まりが発生することもない。

 従来の油槽式の軸受をLEGスラスト軸受に交換することで、同じ軸受サイズのままでも給油量と損失馬力の低減、メタル温度の低下を実現でき、結果的に軸受負荷能力を飛躍的に向上できる。回転機械の効率化による省エネルギー性能の向上とランニングコスト低減など、回転機械の付加価値向上が図れる。こうした軸受の油槽式からLEG直接潤滑式へのアップグレードによって、既存の回転機械の性能向上を図ることも有効である。

 ただしその際、油槽式の軸受ハウジングをそのまま使用すると排油口がハウジング上部に設けられているため、せっかくLEG式に軸受のアップグレードをしても必要な排油がなされず、油槽式のように潤滑油を軸受箱内で溜め込んだままとなり、直接潤滑式のメリットを活かせなくなる。従って、LEG直接潤滑式の性能を活かすためには、軸受ハウジングの小改造が必要となる。

 

高速性能

 センターピボットのキングスベリー製を含む油槽式軸受やスプレー式の直接潤滑軸受は両方向回転に対応しているのに対し、LEGスラスト軸受は一方向回転での使用を前提に設計している(軸受速度によっては正回転の許容荷重の約60%で逆回転運転にも対応)。しかし、オフセットピボットを用いて正回転一方向の用途に特化したLEGスラスト軸受は、撹拌抵抗が極めて小さくパッド温度を低く抑えることが可能なことなどから、特に高速回転向けの用途で高い優位性を示す(図4)。

 図4に示すように、周速が上がるにつれて、油槽式軸受ではスラストカラーとパッド間の油膜部分から生じる機械的ロス(Film Shear)に、撹拌抵抗など荷重支持に必要のない機械的ロス(Parasitic Loss、図5参照)が加わり、損失馬力が大きくなる。これに対して機械的ロスが荷重支持に必要なFilm Shear のみとなるLEGスラスト軸受は、高速回転時の損失馬力が小さい。直接潤滑方式のメリットは、油膜とは関係のない無駄な機械的ロスといえるParasitic Lossを大幅に減らせることである。

 

図4 高周速時のLEGスラスト軸受と油槽式軸受との損失馬力の比較図5 Parasitic Lossが発生する油槽式軸受の各部位

 

 コンプレッサなど両方向回転が必要で周速が高くないアプリケーションでは油槽式軸受を選定し、高速・省エネの装置ではLEGスラスト軸受を選定するというアプローチも必要とされる。これは、周速が速い用途では前述のParasitic Lossが大きくなるのに対し、周速がさほど早くない用途ではParasitic Lossがさほど大きくないためである。

 キングスベリーのLEG式は一方向回転用途に特化しているのに対し、スプレー式はその構造上両方向回転にも対応できるため、3.1節のイコライジング機能に関する説明と同様、回転機メーカーの設計者は両方式のメリットとデメリットを理解した上での軸受選定が必要である。


用途拡大に向けた製品ラインナップの拡充

 上述の様々な特徴を有するLEGスラスト軸受のほか、同様の直接潤滑方式であるLEGジャーナル軸受(図6)、直接潤滑方式であるもののLEG式と異なり両方向回転対応のBPGジャーナル軸受、主にポンプ向けのCH自己潤滑軸受ユニットなど多様なラインナップによって、発電所関連のガスタービンや蒸気タービン、ポンプ、コンプレッサ、減速機、掘削機、船舶用タービンなど、キングスベリーの軸受製品は広範囲に適用されている。

 

図6 LEGジャーナル軸受

 

 さらなる用途拡大にあたっては、面圧を上げたい、同じサイズで性能を高めたい、同じ性能でコンパクト化を図りたいといった各種のユーザーニーズに対応する必要があるが、パッド表面の標準材質となるホワイトメタルの温度上限(120℃前後)によって、軸受の運転温度条件が制約されてしまう。そのため、使用条件に応じて、Vespel®(デュポン社製ポリイミド樹脂)など耐熱性の高いスーパーエンジニアリングプラスチックを表面に用いたパッド(図7)や、耐食性の高いステンレス製のパッドなど、ユーザーのカスタマイズの要求に対応している。 
 

図7 Vespel樹脂製パッドのスラスト軸受  今後の展開

 キングスベリーは創業100年以上の老舗企業ながら、技術開発を怠ることなく、回転機械の性能向上につながる軸受の開発を日々継続している。木村洋行では引き続き、キングスベリーの軸受が、高速回転条件で使用できるなど、各種の運転条件に対応できる軸受であることをアピールしていく。

 木村洋行ではキングスベリーからの技術支援も得ながら、サービス面においても長年にわたり綿密なサポートを行っている。キングスベリーでは面圧、周速、シャフト径といった運転条件に基づく軸受性能の計算データを蓄積し、木村洋行を通じてユーザーに提供しているが、キングスベリー社内の豊富な設備による実験・検証によって計算プログラムをアップデートしており、実際の運転結果に近い、精度の高い計算データを提供できるようになっている。

 木村洋行では引き続き、高速条件対応などの高性能の油膜軸受製品を紹介するとともに、より良いサービスを提供していくことで、回転機械メーカーの製品開発に貢献していく考えだ。

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日本精工、直動転がり案内の状態監視・診断アプリケーションを開発

1年 9ヶ月 ago
日本精工、直動転がり案内の状態監視・診断アプリケーションを開発kat 2022年07日04日(月) in

 日本精工(NSK)は、各種生産設備を中心に、幅広く使用されている直動転がり案内「リニアガイド」向けに状態監視・診断アプリケーション「ACOUS NAVI for Linear Guides」を開発した。2021年4月に市場導入した軸受およびボールねじ向けの状態監視・診断アプリケーションに加えて、リニアガイドの状態監視・診断アプリケーションを本年6月30日から販売開始した。

 近年、機械装置や製造ラインの状態を監視し、異常を早期に発見しトラブルを未然に防ぐ予知保全の実現に期待が高まっている。半導体・液晶製造装置、自動車製造設備、搬送用ロボット、工作機械などの各種生産設備を中心に幅広い用途で使用されているリニアガイドは、製造装置の機能・性能を支える重要部品で、この稼動状態を監視し異常や故障の原因となる予兆を初期段階で検出する技術が求められている。

 稼働時間の経過とともに機械要素部品の損傷・劣化の度合いが次第に進行し、機械設備の故障・異常が発生する。このため機械設備の予知保全には、機械要素部品の損傷や劣化を早期に捉えることが有効となる。

 NSKでは長年の研究開発により、軸受、ボールねじ、リニアガイドの損傷や劣化のメカニズムを基に、その予兆を捉える独自の振動診断技術を確立しており、損傷や劣化を捉え、予知保全に貢献している。

機械設備の損傷・劣化の進行イメージ

 

 NSKの状態監視・診断技術「ACOUS NAVI(アコースナビ)」は機械要素部品の稼働状態を監視し損傷や劣化の予兆を捉えて診断するソフトウェアで、パソコンや専用のハードウェアに組込まれるアプリケーションとしてユーザーに提供している。今回、軸受、ボールねじ、リニアガイドの状態監視・診断を行う三つのラインアップが完成したもの。

 開発された「ACOUS NAVI for Linear Guides」は、リニアガイドのスライダ近傍に取り付けた振動センサーの信号から、リニアガイドのフレーキングを検知・診断するアプリケーション。リニアガイドの異物侵入などによるフレーキングの発生を独自の振動データ処理技術によって検知・診断する。

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イグス、しゅう動部品用の丸棒に4種類の新材質を追加

1年 9ヶ月 ago
イグス、しゅう動部品用の丸棒に4種類の新材質を追加kat 2022年06日30日(木) in

 イグスは、すべり軸受などを構成する高性能ポリマー材質「イグリデュール樹脂」の丸棒のラインアップに、高温環境に対応する「イグリデュールAC500」と弾性のある「イグリデュールA250」、耐薬品性に優れる「イグリデュールH3」、アルミシャフトとの組み合わせで長寿命を実現する「イグリデュールE」の4種類の材質を新たに追加した。ラインアップ拡大により、無潤滑・メンテナンスフリーの試作品や特殊部品を機械加工する際の材質オプションが広がることになる。

イグリデュール丸棒の4種類の新材質

 

 食品・包装業界向けにはイグリデュールAC500とイグリデュールA250を投入する。イグリデュールAC500は、FDAとEU 10/2011に準拠、食品に接触する特殊ブッシュ、ローラーやその他しゅう動部品の製造が可能。250℃までの高温環境に対応するため、特に焼成ラインの摺動部品に適している。耐薬品性も高く、食品業界の洗浄剤使用環境下でも適用できる。また、イグリデュールA250は特に、ベルトコンベアで使用されるナイフエッジローラーの製造に最適。ナイフエッジローラーとして使用すると低摩擦の無潤滑運転が可能で、必要駆動力とベルトの電力消費量を削減できる。FDAとEU 10/2011に準拠しており、食品との直接接触に関する認可を受けている。

 また、イグリデュールH3は耐薬品性の部品製造に使用できる。主に刺激性の強い媒体との接触や、燃料ポンプなどの用途に向けて開発された材質で、耐久性と低吸湿性に優れ、過酷な用途で長寿命かつ確実に機能する。

 さらに、イグリデュールEは、アルミシャフトとの組み合わせで、振動を減衰させるすべり軸受を製造でき、機械や装置の精密でスムースな動きをサポートする。繊維産業、包装産業、印刷産業、自動販売機などの直動・回転運動において、優れた摩耗特性を発揮する。

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ジェイテクト、BEV向けプラネタリギヤ用針状ころ軸受保持器の樹脂化で型技術論文賞を受賞

1年 9ヶ月 ago
ジェイテクト、BEV向けプラネタリギヤ用針状ころ軸受保持器の樹脂化で型技術論文賞を受賞kat 2022年06日30日(木) in in

 ジェイテクト 研究開発本部 材料研究部 有機材料研究室の村田順司氏は、受賞論文:「BEV向けプラネタリギヤ用針状ころ軸受における保持器の樹脂化」で、型技術協会主催の第32回型技術協会「型技術論文賞」を受賞した。

 型技術協会では、型技術ならびに型産業のより一層の発展を図ることを目的に「型技術協会賞」を設け、1991年より「功績賞」「技術賞」「型技術論文賞」、1996年より「奨励賞」を設置。特に優れかつ貢献度の高い型に関する技術等に対して、毎年顕彰を行っている。

 型技術論文賞は、会誌『型技術』に掲載された特に優れた論文等の著者に贈られ、有用性・発展性・開示性・革新性に重点を置いた選考が行われる。また、従来の論文としての学術性に加え、型技術全般への貢献度を重視したより広い観点からの審査が行われる。

 自動車市場ではCO2を削減するためにBEV(電気自動車)の普及が進んでおり、電費の向上が課題の一つとなってる。その中で、BEVに用いられる転がり軸受にも電費向上への寄与が要求され、軽量化や潤滑技術の向上が進められている。

 ジェイテクトでは、BEVに搭載される遊星式eAxleのプラネタリギヤ内部に使用される針状ころ軸受の保持器の材質を金属から樹脂に変更することで、軸受の20%軽量化を実現した。

 保持器に樹脂を用いることで設計自由度を高め、保持器ところ間の空間を広げて油を外径側に流れやすくするなど、軸受内部の油流れを制御する新機能を付与し、潤滑油量が少なくても十分な潤滑性と冷却性を有する軸受を開発することに成功した。

 

受賞者の村田順司氏


 

左:開発品  右:従来品

 

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ジェイテクト、研削盤砥石軸の低動力静圧軸受で愛知発明賞を受賞

1年 10ヶ月 ago
ジェイテクト、研削盤砥石軸の低動力静圧軸受で愛知発明賞を受賞kat 2022年06日24日(金) in in

 ジェイテクトは、愛知県発明協会主催の令和4年度愛知発明表彰において、研削盤の砥石軸に使用される低動力静圧軸受の特許技術(特許登録番号:特許第6455177号)が評価され、「愛知発明賞」を受賞した。受賞者は同社 研究開発本部 加工プロセス研究部の大和宏樹氏。

表彰式のようす、写真左より、愛知県発明協会 深谷 紘一 会長、
大和宏樹氏、研究開発本部 副本部長 林田一徳氏

 

 愛知発明表彰は、愛知県の発明奨励・振興を図ることを目的に、発明協会の独自事業として昭和55年度から実施。技術者・研究開発者のモチベーション向上などを目的に、毎年6月に表彰式が行われ、県内の優秀な発明者が表彰される。

 研削盤の砥石軸に使用される静圧軸受は、他の方式の軸受と比べて回転精度と減衰性に優れ、長寿命という特徴がある。近年、生産性向上の観点から研削盤の砥石回転速度が高速化しており、それに伴って発生する静圧軸受の動力損失を低減する技術が求められていた。

研削盤の砥石軸に使用される静圧軸受

 

 ジェイテクトでは、流体解析等で動力損失発生の主要因が、軸受内に発生する循環流れに生じる乱流であることを解明。この解析結果を踏まえ、軸受内部の回転軸につれ回る順流を、軸受底部の逆流と分離することで流れを整流化し、さらにその流れを層流にした低動力静圧軸受を新たに開発した。開発技術では、従来の静圧軸受の特徴を損なうことなく高速回転時の動力損失を24%低減した。

 本技術を研削盤に搭載することで、省エネに加えて熱変位量を抑制し、冷却装置の小型化による機械フロアスペース削減に貢献する。また、本技術を搭載した研削盤は、日本機械工業連合会主催の優秀省エネ機器・システム表彰において、経済産業大臣賞を受賞している。

低動力静圧軸受(特許技術の概略図)

 

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日本滑り軸受標準化協議会、第35回総会を開催

1年 10ヶ月 ago
日本滑り軸受標準化協議会、第35回総会を開催kat 2022年06日22日(水) in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は6月16日、東京都千代田区のTKP 東京駅セントラルカンファレンスセンターで「2022年度 第1回総会(通算 第35回総会)」をハイブリッド形式(集合&ウェブ配信)により開催した。

 当日は、開会の挨拶に立った林 洋一郎 会長(オイレス工業)が、「本総会は、コロナ禍にあって2年半ぶりのリアル開催となる。中国のゼロコロナ政策やウクライナ情勢など今後の経済に与える影響は計り知れず未だ過渡期にあるといえる厳しい状況が続いているが、状況を注視しながら、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の標準化活動をできる限り支援できるよう、取組み方・進め方について熟慮していきたい。今回のリアル開催のように対面での情報交流は非常に重要で、いろいろな切り口で意見を交わすことのできる重要な機会である懇親会も早い時期に復活させられればと考えている。すべり軸受メーカーとそのユーザー企業、大学・研究機関のアカデミアという三者で育んできた当会の交流を維持しつつ、それぞれにメリットのある標準化作業を進めるとともに、引き続き、特別講演や懇親会などを通じて、標準化以外の活動・情報交換も拡充していきたい」と述べた。
 

挨拶する林PBSA会長

 

 続いて、日本機械学会ISO/TC123 平軸受国内委員会 森下 信 委員長(横浜国立大学 名誉教授)が、「引き続き、PBSAから標準化に関する提案をいただき、それらを積極的に取り入れ規格制定につなげていく流れを整備していく。当委員会としては今後も、ISO/TC123国際会議の場において、日本としての立場を明確にするための活動支援をいただいている責任をきちんと果たしていく」と語った。
 

挨拶する森下委員長

 

 総会ではまず、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の2021年度の活動報告と2022年度の活動計画について、国内幹事の橋爪剛氏(オイレス工業)から報告がなされた。2021年度の活動計画としては、新規規格制定議案である①発熱・変形を考慮した軸受計算技術の国際標準化、②回転機械の安定問題に関する国際標準化、③MoS2を応用した表面改質技術の国際標準化、④DLCを応用した表面改質技術の国際標準化に関する進捗状況などが報告された。また、2022年度の活動計画として、省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託の1テーマである「環境配慮型の水潤滑用軸受材料に関する国際標準化」への取組みや、本年10月あるいは11月にフランスで開催を予定しているTC123国際会議への参加について報告した。

 続いてPBSAの2021年度の活動報告と2022年度の活動計画について、PBSAでは会計を務める橋爪氏より報告がなされ、2022年度の活動計画として、第2回総会を来年3月に開催し理事会を必要に応じて開催する予定のほか、本年10月~11月にフランス・ポアティエで開催予定のISO/TC123国際会議の支援や、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会活動の支援、PBSAおよび同会員に寄与する講演会・研究・調査などの実施、標準化作業を円滑に進めるための会員が活用しやすいホームページの更新・整備、さらには新規規格開発のために参考となる他TC規格などの購入などの予定について報告された。

 総会終了後には、「医療機器マテリアル」と題して東京医科歯科大学 塙 隆夫 教授による特別講演がなされた。講演では、人工股関節を中心とした材料・表面改質技術について紹介。人工股関節のコバルト・クロム合金製あるいはセラミックス製の骨頭と超高分子量ポリエチレン製のライナーとの摩擦に伴う摩耗を抑制する表面改質技術や、人工股関節のステムと大腿骨をセメントレスで結合させるプラズマ溶射などの表面改質技術などが紹介された。
 

講演する塙氏

 

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ジェイテクト、樹脂材料のトライボロジー研究で仏Prix HIRN 2022を受賞

1年 10ヶ月 ago
ジェイテクト、樹脂材料のトライボロジー研究で仏Prix HIRN 2022を受賞kat 2022年06日20日(月) in

 ジェイテクト 研究開発本部 材料研究部 トライボロジー研究室の国島武史氏が受賞研究タイトル「Tribology of PA66 or fiber-reinforced composite/steel under grease lubrication」(グリース潤滑下において鋼と接触するPA(ポリアミド)66および繊維強化樹脂材のトライボロジーに関する研究)で、フランスÉcole Centrale de LyonおよびCentre National de la Recherche Scientifique(CNRS)の研究機関である、Laboratoire de Tribologie et Dynamique des Systèmes(LTDS)との共同研究において、フランスの機械およびトライボロジー分野の学会であるle Groupe Scientifique et Technique Tribologie de l’Association Française de Mécanique(AFM)から、「Prix HIRN 2022」を日本人として初めて受賞した。

受賞者の国島武史氏

 

 Prix HIRNは、フランスの大学・研究機関で行われた、摩擦や摩耗および潤滑などを対象とした科学技術であるトライボロジーに関するPhD(博士)研究の中で、前年の最も優れた研究に対して贈られる賞。AFMが1992年より毎年実施しており、今年で30回目となる。

 2018年6月~2021年5月にジェイテクトは、LTDSのPhilippe KapsaシニアリサーチャおよびVincent Fridrici准教授らのグループと共同で、グリース潤滑下において鋼とPA66を用いる異種材を組み合わせたしゅう動形態における、摩擦摩耗メカニズムおよび、しゅう動面のトライボ化学反応などのトライボロジー挙動に関する研究を重ねた。その成果として、これまで解明されていなかった、グリース潤滑下における樹脂と鋼の高面圧接触における特有なトライボロジー挙動について、そのメカニズムを体系的に解明することができたもの。

 本研究成果は、材料開発やしゅう動面設計の基礎基盤で、例えば鋼材のウォームシャフトと樹脂材のウォームホイールから構成される、電動パワーステアリング(EPS)減速機の次世代開発に活用される。今後ジェイテクトでは、本研究成果を活かし、EPSの小型化による燃費向上や高出力化による大型車の自動運転化の実現などへの貢献を目指していく。

グリース潤滑下における樹脂と鋼の高面圧接触におけるトライボロジー挙動の解明

 

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NTN、センサ内蔵し高度な状態監視を実現する軸受を開発

1年 10ヶ月 ago
NTN、センサ内蔵し高度な状態監視を実現する軸受を開発kat 2022年06日17日(金) in in

 NTNは、センサ、発電ユニットと無線デバイスを軸受に内蔵し、温度・振動・回転速度の情報を無線送信する「しゃべる軸受®」を開発した。センサを軸受に内蔵しているため、装置の外側にセンサを取り付けて状態を検出する場合に比べて、より高感度で高度な状態監視と早期の異常検知を実現できる。

しゃべる軸受
※写真はサンプル品で、実際の商品では電子回路基板は保護材で覆われる


 

 製造現場においては、生産効率の向上に向けて設備の稼働状態を監視し、そのデータに基づいて的確かつ計画的にメンテナンスや部品交換を行うことで、設備のダウンタイム(稼働停止時間)をできるだけ抑えたいとの強い要求がある。さらに、近年ではDXやIoT技術の進展に伴って、場所や時間の制約を受けない装置の遠隔監視や自動モニタリング、入手した状態監視情報の活用による製造品質の安定化や向上へのニーズも高まっている。

 同社では、こうした状態監視のニーズに対し、軸受のセンシングなどに取り組んできており、特に風力発電分野においては、2014年には大型風力発電用軸受の状態監視、データ解析に関してNEDOプロジェクトにも参画し、現在、状態監視システム(Condition Monitoring System、CMS)については多くのユーザーが契約している。ほかにも、工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」、「産業用IoTプラットフォーム向け軸受診断アプリ」、「NTNポータブル異常検知装置」などを開発し、軸受の状態監視に必要なセンサの選択、解析ソフトの開発など、先行して技術を高めてきた。

 同社が今回開発した、しゃべる軸受は、寸法と負荷容量を変更することなく、標準軸受(主要寸法・形式が国際的に標準化された転がり軸受)にセンサ、発電ユニット、無線デバイスを内蔵。回転に伴って発電する電力により、センサや無線デバイスを動作させ、センサ情報を自動で無線送信する。センサを軸受に内蔵しているため、センサを設備に外付けする場合よりも感度良く軸受の状態を検出し、早期に異常を診断することが可能となっている。また、寸法と負荷容量が標準軸受と同一であるため、既存設備に使用されている軸受からの置き換えも可能な上、電源供給やデータ送信のためのケーブルも不要で、容易に軸受の状態監視を実現できる。

 同社では今後、本開発品のテストマーケティングを開始し、具体的なニーズの探索と市場への提案を進めていく。まずは、生産設備で多く使用されている深溝玉軸受の商品化を進めた後、適用する軸受の種類や品番などを段階的に拡大していく予定だ。

 同社は、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2において、「モノ」から「コト」への業態の変革に向け、サービス・ソリューション事業の強化に取り組んでいる。本開発品により高度な状態監視の実現に貢献し、適切な交換時期を通知するなどの状態監視サービスの提供を通じてサービス・ソリューション事業の展開、それに連動した補修軸受の販売拡大にも取り組んでいく。
 

使用構成例

 

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人とくるまのテクノロジー展 2022が開催、bmt技術が集結

1年 10ヶ月 ago
人とくるまのテクノロジー展 2022が開催、bmt技術が集結kat 2022年06日16日(木) in in

 自動車技術会は5月25日~27日、横浜市のパシフィコ横浜で「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2022」を開催した。3年ぶりのリアル開催となる同展は、484社/1055小間の規模で開かれ、3日間で43665名が来場した。ベアリング&モーション技術(bmt)関連では、以下のような展示がなされた。

人とくるまのテクノロジー展 2022のもよう

 

 イグス(https://www.igus.co.jp/)は、自動車しゅう動部品の軽量化による燃費・電費改善のための無潤滑樹脂ベアリング「ドライテック・ベアリング」によるソリューションを提案した。車載機器においてはドアヒンジやスライドドア、サンルーフなど、回転運動や直線運動を伴う箇所での無潤滑化(メンテナンスフリー)や静音化などからドライテック・ベアリングが多数採用されているが、今回は射出成形では難しい、あるいは不可能な複雑形状の部品を短時間で一体造形できる、しゅう動部品に特化した高機能ポリマー製の「3Dプリント品」を展示した。3Dプリント品は試作品ごとに金型を用意する必要がないため、自動車で要求の強い大幅な開発サイクル短縮とコスト削減に貢献できる。同社では3Dプリント用樹脂の配合や溶解・固化のプロセスを工夫することで射出成形品の強度や性質と同等、さらにはより高い3Dプリント品を造形できるノウハウを蓄積しており、最近では、耐久性、耐摩耗性を備えた複雑な形状の3Dプリント部品を、最大4種類の材質を使ったマルチマテリアルプリントで実現できる技術も開発。3Dプリント品は同社ホームページ上で簡単に注文できる。

イグス しゅう動部品に特化した高機能ポリマーで造形した「3Dプリント品」

 

 HEFグループは、HEF DURFERRIT JAPAN、TS 群馬、TS TUFFTRIDE、ナノコート・ティーエスの共同で出展。今回は、ナノコート・ティーエス(https://www.nanocoat-ts.com/) 石川事業所ですでに受託加工を開始している、自動車電装機器の樹脂製筐体への電磁波シールド物理蒸着(PVD)コーティング「PROCEM™」を紹介。自動車電装機器の電磁波シールド仕様を十分にクリアしているほか耐食性が良好で、電磁波シールドめっきと比較した場合の利点として、①めっき処理が可能な樹脂基材に制約があるのに対し、PROCEM膜では、ABS・PC・ポリアミド(PA)・ポリメチルメタクリレート(PMMA)・ポリアリルアミン(PAA)・ポリイミド(PI)・ガラス繊維など、ほとんどの樹脂基材およびコンポジット基材に対して、密着性が極めて高い電磁波シールド被膜をダイレクトに成膜できること、②環境負荷が極めて小さいドライコーティングであること、③めっき皮膜では電磁波シールド性を付与するのに数十μmと厚膜にする必要があるのに対して、PROCEM膜は膜厚1~2μmの薄膜で電磁波シールド機能を付与できるため、樹脂製筐体への成膜前後の寸法変化・重量変化がないことなどをアピールした。

HEFグループ 「PROCEM」膜を施した樹脂製カーナビ筐体などのサンプル

 

 NTN(https://www.ntn.co.jp/)は、電気自動車向けの軸受ソリューションを展示した。「2021年“超”モノづくり部品大賞 日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞した、モータの高速回転に対応する「EV・HEV用高速深溝玉軸受」は、保持器の材料を見直すことで強度を高めるとともに、保持器と転動体が直接触れるポケット部の形状を工夫することで遠心力による変形を最小化し、使用条件によってはdmn値220万の高速回転対応を実現できる。EV・HEV用高速深溝玉軸受としてはまた、この開発保持器と窒化ケイ素セラミックス製の転動体を組み合わせた「耐電食深溝玉軸受」も紹介した。このほか、新開発の樹脂保持器の採用や軸受内部設計の最適化によって世界最高水準の低昇温性(耐焼付き性)と低トルク性を実現したトランスミッション/デファレンシャル用の「低昇温・低トルク円すいころ軸受」、シールリップのすべり接触部に円弧状(半円筒状)の微小突起を等間隔に設けた新開発の接触タイプシールを採用することにより回転トルクを従来品比で80%低減し、非接触タイプシールに匹敵する低トルク効果を実現した「超低フリクションシール付玉軸受」、軸受の外輪外径面の一部に逃げ部を設ける業界初の手法で、進行波型クリープの停止を実現した「クリープレス軸受」などを紹介した。

NTN 「電気自動車向けの軸受ソリューション」

 

 ジェイテクト(https://www.jtekt.co.jp/)は、「第72 回自動車技術会賞 技術開発賞」を受賞した「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」の搭載モジュールを展示した。自動車の電動化、先進運転支援システムの急速な普及に伴う車両電源の負荷軽減のため、出力性能に優れたキャパシタを採用するケースが増える傾向にあるが、高耐熱リチウムイオンキャパシタは、実用・市販化されたキャパシタの中で、最もエネルギー密度に優れるリチウムイオンキャパシタの電解液の改良に加え、電解液と電極材料の相性を考慮した組み合わせとすることにより、世界で初めて自動車車室内の温度要求である—40~+85℃の動作温度範囲を実現した。同キャパシタを活用した電源システムを自動車車室内に搭載する場合、冷却・加熱装置が不要となるため、車両搭載性やシステム効率が飛躍的に改善される。さらに自動車だけでなく、鉄道や大型農建機などの電動化、再生可能エネルギーの短周期の電力変動吸収などにも活用できる技術として高く評価され技術開発賞受賞となったもの。

ジェイテクト 「高耐熱リチウムイオンキャパシタ搭載モジュール」と開発者の三尾巧美氏

 

 大同メタル工業(https://www.daidometal.com/jp/)は、多種多様なエンジン軸受で使用されている樹脂コーティング「DLA02」、「DLA03」、「DLA04」を中心に同社のコーティング技術を紹介した。アルミ軸受合金上の樹脂コーティング有無での耐摩耗性の検証では、コーティングなしの場合に比べ摩耗量を約90%低減できた結果を報告。また、新たなアプローチとして、将来ニーズを想定し樹脂コーティングを超える耐摩耗性・耐食性を追求した開発中のDLCコーティングの技術を披露した。同社のDLC コーティングは製法の工夫によりコーティング下地の変形に追従できるよう物性を最適化。アルミ軸受合金上のDLCコーティング有無での耐摩耗性の検証では、DLC コーティングなしの場合に比べ摩耗量を約98%低減できた結果を報告した。このほか、独自焼結技術をベースにした高性能アルミ吸音材「NDCカルム」を紹介。アルミ粉末を多孔質に焼結、2~3mmの板厚で優れた吸音特性を実現するほか、一般の吸音材にはない耐水性、耐食性、耐熱性を持つ。アルミ板より軽量で、しかも金属的強度を有するため機械加工も容易にでき、部品としての供給も可能。

大同メタル工業 「DLA02」を被覆したシャフトなどのサンプル

 

 大豊工業(https://www.taihonet.co.jp/)は、「第72 回自動車技術会賞 技術開発賞」を受賞した「高筒内圧エンジン用Bi 合金オーバレイ軸受」を展示した。本開発品は、すべり軸受のオーバレイとして世界で初めてBi-Sb(ビスマス・アンチモン)合金を用いており、従来の純Bi オーバレイで課題となっていた耐疲労性と耐酸化性を、Sb との合金化により飛躍的に向上。さらにSb添加量の最適化により異物ロバスト性にも寄与している。これらの技術をディーゼルエンジンの軸受に用いることで、信頼性と低燃費を両立し、新排気・燃費規制に対応できる。このほか、高シール性・低電気抵抗で優れた耐食性・導電性を有する「燃料電池バイポーラプレート」や、モータの高効率化に貢献する「モータコイル冷却シャワー」と「モータコイル冷却パイプ」、電子機器筐体の軽量化に貢献する「電磁波遮蔽樹脂カバー」など次世代車向けソリューションを紹介した。

大豊工業 「高筒内圧エンジン用Bi 合金オーバレイ軸受」

 

 東芝マテリアル(https://www.toshiba-tmat.co.jp/)は、絶縁体のためインバータ制御下のEVモータ用軸受の電食リスクを解消する「窒化ケイ素セラミックスベアリングボール」を展示した。スチールボールに比べ高強度・高硬度・軽量で耐摩耗性に優れ、長寿命化を実現する。電食不良リスクを解消するだけでなく、窒化ケイ素はスチールの半分以下の密度のため軽量で回転時にかかる遠心力が小さくなることから高速回転が可能なほか、スタート時のレスポンスが向上し、省エネ化に貢献できる。さらに、窒化ケイ素は高硬度で耐摩耗性に優れており、長寿命化を実現する。スチールボールベアリングの数倍以上の寿命を誇り、過酷な環境下や交換が困難な用途に最適とアピールした。

東芝マテリアル 「窒化ケイ素セラミックスベアリングボール」

 

 日本ピストンリング(https://www.npr.co.jp/)は、高硬度で耐摩耗性・低摩擦・耐凝着性に優れるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを施したピストンリングを展示した。DLCコーティングは平滑表面のためフリクションを低減するとともに、自己潤滑性と高い耐摩耗性を兼ね備えたa-C/ta-C比率の最適膜で、近年では耐久信頼性を向上させた厚膜タイプの開発にも成功している。単体評価でのフリクション低減効果と耐スカッフ性、さらには国内ガソリン機関・国内ディーゼル機関での実機評価での摩耗量低減効果を提示。エンジンの熱効率アップに貢献できることをアピールした。また、シリンダライナ内周面に微細なディンプルを形成することでピストンリングとの間の流体潤滑による摩擦力を低減してエンジンの燃費向上を実現する「ディンプルライナ」を紹介した。実機による燃費評価結果(重量車燃費基準による計算結果)では、大型ディーゼルエンジンで0.7%減、中型ディーゼルエンジンで0.6~1.7%減、小型ディーゼルエンジンで3.2%減の燃費効果が確認されており、すでに量産中の商用ディーゼルエンジンに採用されている。

日本ピストンリング 「DLCコーティングリング」

 

 日本精工(https://www.nsk.com/jp/)は、軸受内部のグリースやシール形状の改良によりフリクションを減らすとともに保持器の改良によりグリースの攪拌抵抗を減らすことでEVの航続距離延長に貢献する「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」を展示した。グリースでは、基油の低粘度化で転がり抵抗を低減するとともに、増ちょう剤の種類と量の最適化で撹拌抵抗を低減。また、インナ側シールでは、耐泥水性を保ちつつリップを非接触とするなどのシール形状の改良によって、シールのしゅう動抵抗を低減している。さらに、ポケット部の柱の削除など保持器の改良によりグリースの撹拌抵抗を低減している。このほか、国内の展示会では初出展となる「シームレス 2スピード eアクスル コンセプト(Gen2)」を披露した。eアクスルの小型・軽量化と高機能化を実現するとともに、トラクションドライブ減速機と高速回転玉軸受の採用により高速モータの適用を可能にし、システムを小型・軽量化できる。また、磁歪式トルクセンサと電動シフトアクチュエータの組み合わせによるシームレスな2速変速を実現し、航続距離延伸と走行性能向上に貢献できる。

日本精工 「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」

 

 不二越(https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/)は、自動車の電動化でモータやバッテリー、インバータなど電気で制御する部品が増える中、モータ周辺で電流が発生しやすくなり軸受の内輪と鋼球の間に放電・スパークが発生して軌道部が筋状の凹凸になる「電食」により軸受回転部で異音や振動などの不具合が生じる問題に対し、軸受の軌道部に電流が流れない、あるいはスパークさせない対策を施した「耐電食対応軸受」を紹介した。大別して、軸受の鋼球の代わりにセラミックボールを用いる、あるいは外輪内径面に樹脂コーティングを施す、または外輪にインサート成形によって樹脂カバーを成形することで「電気の流れを絶縁する」アプローチと、導電グリース、導電シールを用いて「電気の負荷を蓄積させないように通電する」アプローチを処方した軸受をラインナップ。耐電食性能・用途(回転速度)に応じ、絶縁系アイテム、導電系アイテムなど、最適なソリューションを提案できることをアピールした。

不二越 「耐電食対応軸受」:左が樹脂コーティング軸受、中央がセラミック玉軸受、右がインサート成形軸受

 

kat
Checked
46 分 19 秒 ago
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