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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

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東京理科大学・佐々木研究室、第30回トライボサロンを開催

6日 20時間 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第30回トライボサロンを開催kat 2025年04日19日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第30回目が4月19日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

第30回トライボサロン開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第30回目となる今回のトライボサロンでは、東京理科大学 修士1年(M1)の3名の発表者から、以下のとおり話題提供がなされた。

 姉川健佑氏は「リン酸エステル中における反応膜の成長過程に関する研究」と題し、原子間力顕微鏡(AFM)摩擦面その場観察を用いてリン酸エステルの一種であるトリクレシルホスフェート(TCP)由来のトライボフィルムの成長過程をナノスケール観察し、反応速度の観点から解析を行った結果、TCPトライボフィルムの成長速度は実験が高温になるにつれて増加することや、トライボフィルム成長とせん断応力の間には正の相関が確認されたこと、せん断応力の増加とともに活性化エネルギーが低下しトライボフィルムの生成反応を促進したであろうことなどを報告した。

 続いて古川怜穏氏は「e-Axle潤滑油を用いた鋼の転がりすべり摩擦試験における印加電圧が摩耗挙動に及ぼす影響について」と題して、市販の電動車用トランスアクスルフルード(e-TAF)を用いて、ボールオンディスク形式の転がり滑り試験において、印加電圧の大きさや向き、印加時間および添加剤の有無が摩耗挙動へ及ぼす影響を調査した結果、通電条件下では摩耗量が増加、印加電圧を高くすると電食による凹凸が確認され、市販油は摩耗を抑制するものの、通電条件下では電食を促進させ、重大な損傷の原因となる可能性があると報告した。

 さらに関 想太氏が「化学合成したタングステンジチオカーバメイト(WDTC)の潤滑性に関する研究」と題して、WDTCを合成し潤滑油を作製しSRV試験を行った結果、摩擦場で二硫化タングステン(WS2)を生成するWDTCを配合することで、摩擦場で二硫化モリブデン(MoS2)を生成するモリブデンジチオカーバメイト(MoDTC)と同等の摩擦低減効果、MoDTCよりも優れた耐摩耗性が得られ、高温においてMoDTCよりも潤滑性能の持続性の向上が確認されたことを報告した。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon

kat

日本ベアリング、福岡支店を開設、5月から業務を開始

2週 4日 ago
日本ベアリング、福岡支店を開設、5月から業務を開始kat 2025年04日07日(月) in

 日本ベアリングは、販売ならびに営業業務の一層の強化充実を図る目的で、新たに福岡支店を開設する。福岡支店長には福本良祐氏が就任、本年5月1日から業務を開始する。

 なお、広島サテライトは閉鎖し、大阪支店へ統合となる。

福岡支店

住所:〒812-0016 福岡県福岡市博多区博多駅南4丁目2-10 南近代ビル6階

電話番号:0120-645-511(福岡サテライトから変更なし)

FAX:06-6947-5577(福岡サテライトから変更なし)

福岡支店が開設される南近代ビル

 

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ポリプラスチックスメカニカルリサイクルPPSを今年中に上市、エンプラ100%循環化に貢献

2週 5日 ago
ポリプラスチックスメカニカルリサイクルPPSを今年中に上市、エンプラ100%循環化に貢献kat 2025年04日07日(月) in

 ポリプラスチックスは、業界に先駆け立ち上げたメカニカルリサイクル事業の一環として、本年12月までにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂DURAFIDEⓇ rG-PPSガラス繊維40%強化グレードを上市する予定だ。本事業は、最適処方や客観的な品質保証を同社が担い、メカニカルリサイクル材料の適用用途を拡大することで、エンプラ100%循環化の実現に貢献するもの。

 今回上市するDURAFIDEⓇ rG-PPSは、メカニカルリサイクル事業の一環である「オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム」によってユーザーから回収した、ガラス繊維強化PPSの工程端材を原料としている。前工程では厳しい受入検査や金属除去などを行い、後工程では狙いのスペックに入るようリサイクル原料同士および一部のバージン材を再処方、最適条件での混練の上、バージン材と同様の体制で品質保証を行い、ユーザーに出荷する。

 スーパーエンプラは一般的に製品カーボンフットプリント(PCF)が大きく、「オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム」は、ユーザーでの廃棄物削減・有効活用のみならず、ユーザーの製品1個当たりのPCF削減に大きく貢献できる。なお、ユーザーから回収するガラス繊維強化PPSは、当面の間、同社のPPS樹脂DURAFIDEⓇ PPSガラス繊維強化の特定グレードを対象としている。

 ポリプラスチックスではDURAFIDEⓇ rG-PPS第2弾として、フィラー高充填グレードを開発し、ガラス繊維40%強化グレードと併せて、日本国内のユーザーへの供給体制確立を目指す。リコンパウンディング事業と「オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム」構築には、用途と回収ルート開拓の両方が必要で、同社の得意先だけでなく、さまざまな静脈産業(製造や消費の過程で発生した不要な製品や資材を回収し、再利用やリサイクル、適正処分を行う産業)各企業との連携を視野に入れている。将来的には、世界の国・地域それぞれ内側で完結する「地産地消」循環チェーンの構築、また原料をPCRに拡大することで、動向が注視される欧州ELV規則への対応につなげていく。

 なお、リコンパウンディングとは、リマニュファクチャリング(リマン)とコンパウンディングを組み合わせた造語で、同社ではリサイクル原料を含むベース樹脂およびさまざまな成分を複合化し、単純な再生樹脂以上の機能や価値を発現させること、と定義している。

 同社のエンプラ製品は熱可塑性樹脂で、原理的にはすべてメカニカルリサイクルが可能だが、エンプラが使われる用途は耐久性・信頼性が求められるものが多く、単純な「樹脂再生(熱で廃プラを変形させペレット形状に戻すこと、いわゆるリペレット)」では要求品質・要求性能を満たせないケースが多い。同社は、エンプラ専業メーカーとして蓄積した材料技術・生産技術・応用技術的知見を生かして、リペレットではなくリコンパウンディングによって、単純な再生樹脂以上の機能と価値を生み出し、メカニカルリサイクル材料の適用用途を拡大することで、エンプラ100%循環化の実現に貢献していく考えだ。

オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム

 

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BASF、PESUベースの特殊コンパウンドで、難易度の高いE&E部品の可能性を創出

2週 5日 ago
BASF、PESUベースの特殊コンパウンドで、難易度の高いE&E部品の可能性を創出kat 2025年04日07日(月) in in

 BASFは、高い技術要求が求められる電気・電子(E&E)部品向けに、ポリエーテルスルホン(PESU)をベースとし高流動の特殊コンパウンド「Ultrason® D 1010 G6 U40」を開発した。データ伝送やエネルギー伝送、スマートエレクトロニクス、e-モビリティの分野で、小型化や複合化された部品を射出成形するための難易度の高いニーズを満たすよう最適化されたこの新しい熱可塑性プラスチックは、より低い加工温度で優れた流動性を発揮するため、半導体部品のIGBTやバーンインテストソケットだけでなく、小型で複雑なスイッチ、サーキットブレーカー、センサーの設計においても、優れた柔軟性を提供する。

 Ultrason® D 1010 G6 U40は、相対温度指数(RTI)が高く、ポリエーテルイミド(PEI)やポリフェニレンスルフィド(PPS)よりも高い比較トラッキング指数(CTI)を示し、高温でも安定した電気特性を発揮する。この製品を使用することで、射出成形においては標準的なPESUと比較して溶融温度を12.5%下げることができ、非常に優れた流動性を損なうことなくエネルギーコストの削減が可能となる。

 新しいUltrason®グレードは、PESUの優れた耐薬品性と耐熱性に加え、高い剛性と強度、優れた電気的性能、加工のしやすさを兼ね備えているほか、より低い加工温度において、標準的なPESU Ultrason® E 2010 G6よりも優れた流動性を示す。このUltrason® Dグレードは低粘度で、溶融温度315℃、金型温度160℃において、厚さ0.5mmで最大3.5cmのスパイラルフロー長を達成する。30%のガラス繊維を配合しているにもかかわらず、360℃で成形すると非強化PESUと同等の流動性を示すため、部品の小型化や薄型化が可能となり、アセンブリスペースを節約でき、設計自由度も向上できる。

 Ultrason® D 1010 G6 U40はまた、高い熱安定性、低吸水性、そして、高い絶縁耐力などの電気特性の向上も特徴としているほか、非ハロゲン系難燃剤を使用していることから、電気相対温度指数(RTI)に優れている。社内テストでは、0.4mm厚でV-0等級(UL94 規格)と評価され、比較トラッキング指数(CTI)は200V でPLC 3(IEC 60112準拠)に達した。これにより、これまで難易度の高いE&E部品に使用されてきたPEIやPPSよりも低い沿面距離と優れた絶縁性を実現し、E&E部品の小型化をサポートする。

 BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業部スペシャリティーポリマーUltrason® 市場開発の貴田和広氏は、「この新しいUltrason® Dは、電気的・機械的特性に対して特殊な要求がある、エネルギー効率の高い電子デバイスの開発に最適。定評のある当社のポリエーテルスルホンUltrason® Eの優れた特性を受け継ぎながら、E&E用途における性能の最適化、優れた流動性、加工エネルギーを低減し持続可能な使用を実現する。これにより、e-モビリティや家電部品の新たな可能性が広がる。また、過酷な動作条件下で電圧やデータレートが上昇する用途での、安全性の向上にも貢献できる」と述べている。
 

 

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BASF、過酷な環境下で使用する部品用の高耐久性PPAを開発

2週 5日 ago
BASF、過酷な環境下で使用する部品用の高耐久性PPAを開発kat 2025年04日07日(月) in in

 BASFは、特殊な熱マネジメントを必要とする高耐久性部品向けに、ポリアミド(PA)6T/6I をベースとしたポリフタルアミド(PPA)製品群「Ultramid® Advanced T1000」のポートフォリオを拡充、優れた耐加水分解性(HR)、高い純度(EQ=電子反応品質)を持つよう最適化されたグレードを追加した。これにより、さまざまな冷却媒体が存在しても、高出力で安定した長期性能を発揮するインバーターや燃料電池を搭載した内燃機関、電動モーターを必要とする自動車業界のニーズの高まりに対応する。例えばイオンマイグレーションのリスクが少ないことからは、燃料電池部品の長寿命化(25000時間以上)に貢献できる。

 新たな耐加水分解性(HR)グレードと電子反応品質(EQ)グレードは、高温下での高い強度と剛性に加え、優れたクリープ強度と冷却媒体に対する耐性を兼ね備えており、市場にある標準的なPAやその他多くのPPAの性能を上回っている。

 耐加水分解性に優れた新しいUltramid® Advanced T1300HG7 HRは、130℃以上の温度でグリコール、熱媒油、水などのさまざまな媒体と接触しても、高い化学的安定性および寸法的安定性を示す。そのため、サーモスタットハウジングやオイルインレット/アウトレットなどの冷却システムの自動車部品だけでなく、ポンプ、バルブ、建設用途の継手などの耐用年数を延長できる。これらのPPAは、エチレングリコールと水の混合液中において、130℃で1000時間、さらには3000時間の連続使用に耐えることが、広範な試験で実証されている。

 高純度のUltramid® Advanced T1300EG7 EQは、電気活性成分をほとんど含まないにもかかわらず、水、水素、またはGlysantin® FC G20のような高純度冷却媒体との接触においても、優れた耐熱老化性を発揮。さらに、熱安定性は-40℃~100℃に及ぶため、同PPAは、エンドプレート、媒体供給部品、加湿器など、e-モビリティや燃料電池の用途に特に適している。また、電気自動車の全ライフタイム(最小要件25000時間)にわたり、さまざまな温度で安定した機械的特性を発揮する。

 BASFのEQグレードはすべて、原料の選択、製造工程、ハロゲン含有量の分析などを網羅する特別な品質基準の対象となっているため、材料の電気伝導率が低く、冷却媒体へのイオン/ハロゲン移動が少ないため、部品の劣化を抑え、最終的には繊細な燃料電池スタックの電気的故障を防ぐ。

 BASF PPAグローバル・マーケティング担当のマーク・ケラー氏は「2018年にUltramid® Advanced T1000 を市場に投入して以来、顧客にはその卓越した特性プロファイルを高く評価していただいている。どのような温度や気候にさらされても高い強度を維持し、湿度や化学品に対する耐性も非常に優れている。今回の新たなHRグレードとEQグレードは、その水準をさらに引き上げるもの。私たちは、過酷な条件下での熱マネジメントというPPAに求められる課題を深く理解し、性能と安全性の両立を可能にしている」と語る。

 BASFでは、今回市場投入した高性能HRグレードとEQグレードに加え、レーザー溶着が必要な部品には、レーザー透過性がありながら耐加水分解性にも優れた、Ultramid® Advanced T1000 LTグレードも用意している。

 

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日本滑り軸受標準化協議会、第40回総会を開催

2週 5日 ago
日本滑り軸受標準化協議会、第40回総会を開催admin 2025年04日07日(月) in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は3月27日、東京都千代田区のTKP 東京駅セントラルカンファレンスセンターで「2024年度 第2回総会(通算第40回総会)」を開催した。

 会の冒頭、挨拶に立った持丸昌己会長(オイレス工業)は「一昨年の総会で収入より支出が多いため“この会は大丈夫ですか”という質問があった。昨年は経済産業省からの支援の金額が増加したため、ドイツのISO/TC123(平軸受)国際会議に10名ほど派遣したがPBSAで支援する金額が抑えられた。したがって、それほど大きな支出にはならなかった。今年も韓国でISO/TC123国際会議があるため、日本から10名もしくはエキスパートを含めるともう少し多くなるかもしれないがPBSAで支援を行う。今後の具体的な費用削減の内容としては、後ほど説明があると思うが、年次報告書の印刷をやめてデジタル化する、また毎年3月と6月に開催している総会の1回をオンライン上で行う」と述べた。

挨拶をする持丸会長

 続いて前回議事録の確認を行った後、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会 委員長の片桐武司氏(大同メタル工業)が挨拶に立ち、「今年度は経済産業省の標準化テーマの3年目にあたる。昨年は水潤滑用の軸受材料の国際規格が9月に発行された。軸受の廃棄・リサイクルの国際標準化については7月に国際規格の発行となった。3年間の計画が順調に進んだ。国内委員会への支援は経済産業省からあったが、それを補完する形でPBSAに支援していただいた。来年度は韓国での国際会議があるためそちらの支援もお願いしたい」と述べた。

挨拶をする片桐委員長

 総会ではまず、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の2025年度の活動計画について監事の山田 晃氏(大豊工業)が、静圧気体軸受用語に関する国際標準化(プロジェクトリーダー:冨田博嗣氏(オイレス工業))を3年間かけて開発を行うこと、今年度は同標準化についてNP投票まで進める計画であること、本年10月29~31日に韓国・栄州市で開催されるISO/TC123国際会議に参加することなどについて報告した。

報告をする山田氏

 続いてPBSAの2024年度の活動報告と2025年度の活動計画について、会計を務める橋爪 剛氏(オイレス工業)より報告がなされ、2024年度の活動報告として、2024年6月と2025年3月に2回の総会が開催されたこと、今年度をもって本田技研工業が退会すること、昨年11月にドイツ・ベルリンで開催されたISO/TC123国際会議の旅費などをPBSAが支援したことなどを報告し、さらに2024年度会計報告がなされた。2025年度の活動計画としては、第1回総会(通算第41回総会)を本年6月に、第2回総会(通算第42回総会)を2026年3月に開催し、第1回総会をオンライン上で開催することや理事会を必要に応じて開催する予定であることなどを報告した。また、本年10月に韓国で開催されるISO/TC123国際会議の支援や、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会活動の支援、第2回総会で講演会を開催することなどを報告した。

報告をする橋爪氏(左)

 総会終了後には、「鉄道分野における国際標準化活動」と題して、鉄道総合研究所 鉄道国際規格センター センター長の北川敏樹氏による特別講演が設けられた。講演では鉄道分野における国際標準化を取り巻く状況や鉄道総研における国標準化活動への取り組み、IEC/TC 9・ISO/TC 269における国際標準活動などについて解説した。まとめとして、増加傾向にある規格開発に適切に対応するとともに日本発の規格提案を継続すること、鉄道業界全体で海外ビジネス展開に向けて国際規格や認証などに関わる活動の推進が必要であることなどを挙げた。

講演をする北川氏

 

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Mujin、オートメーションストラテジー本部を新設、ユーザーの自動化DX推進を強化

3週 ago
Mujin、オートメーションストラテジー本部を新設、ユーザーの自動化DX推進を強化kat 2025年04日04日(金) in

 Mujin は、ユーザーの自動化構想の具現化に伴走する「オートメーションストラテジー本部」を新たに立ち上げた。これにより、独自のフィジカルAIをコア技術に次世代物流を実現する総合オートメーションテクノロジー企業であり、製造・物流自動DXに特化したプロである同社による、現状調査・分析・自動化要定義支援等の提案が実施。ユーザーのサプライチェーン改革の構想・戦略・実行支援を一層強化することで、製造物流プロセスのデジタルツイン化を実現していく。

 新設されたオートメーションストラテジー本部は「顧客サイドに立ち、自動化成功の基盤となる現状把握・構想検討・要件定義を進め、自動化の最適解を導き出す」をミッションに掲げている。

 これまで数多くの次世代自動化ソリューションを導入してきた同社だからこそ可能な、コンサルティングサービスだけで終わらない、構想検討したソリューションの現場実装、立ち上げ後の保守・アフターサポートまでのワンストップサービスを提供する。現場経験と最新の自動化設備の知識/ノウハウが豊富な専門チームが、フルコミットでユーザーの課題解決に向けた支援を行う。

 また、Mujinのソフトウェアを基盤とした自動化DXは、これまで不可能であった現場データをリアルタイムで収集し見える化することで、リモート運用、データを基にした分析・さらなる改善・経営判断までをも可能にしている。

 Mujinでは、「オートメーションストラテジー本部は、コンサルティングサービスだけで終わらない製造・物流自動化DX に特化した組織として、経営/事業改革のために自動化へ一歩踏み出そうとしている顧客のベストなパートナーとして、今後も事業を拡大していく」としている。

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NTN、スバルテクニカインターナショナルのSUPER GT参戦車両に軸受を提供

3週 1日 ago
NTN、スバルテクニカインターナショナルのSUPER GT参戦車両に軸受を提供kat 2025年04日04日(金) in in

 NTNは、モータースポーツへの参戦や車両開発を行うスバルテクニカインターナショナル(STI社)のSUPER GTレース活動に協賛し、同社の参戦車両「BRZ GT300」に軸受を提供する。過酷な使用環境に対応する耐荷重性、低トルク性を両立した軸受により、パワフルで安定した走行に貢献していく。NTNの軸受を搭載した車両は、本年4月から11月にかけて開催される「AUTOBACS SUPER GT 2025 SERIES」のすべてのレースに登場する。

BRZ GT300

 

円すいころ軸受


 SUPER GT は、日本最大級の観客動員数を誇る自動車レースのシリーズ戦で、国内外の会場で年間全8レースが開催される。高性能なGT(グランツーリスモ)カーをベースとしたレーシングカーと国内外のトップドライバーによるエキサイティングなレースは、世界中で多くのファンを魅了している。

 今回、NTNが提供するのは「BRZ GT300」のタイヤの回転を支える円すいころ軸受。長時間・長距離の走行に加え、急カーブ時による荷重や衝撃も受ける過酷な使用環境に対応するため、豊富なラインアップの中から、最適なころの本数や幅、軌道輪により耐荷重性と低トルク性を両立した商品を選定し、極限の環境下におけるレースに挑戦する「BRZ GT300」のパワフルで安定した走行に貢献する。

 NTNはこれまでにもSTI 社のモータースポーツ参戦車両「WRX」などにドライブシャフトやハブベアリングなどの商品を提供し、STI社の車両パフォーマンスを支えてきた。

 NTNでは、「駆動領域におけるグローバルトップメーカーとして自動車向け商品の開発や提供を通じて、自動車市場の進展だけでなく、モータースポーツの振興にも貢献していく」としている。

BRZ GT300車両後部左右にNTNロゴ

 

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THK、コンパクト電動アクチュエータのラインナップを拡充

3週 2日 ago
THK、コンパクト電動アクチュエータのラインナップを拡充kat 2025年04日02日(水) in

 THKは、販売開始から35年を迎えるロングセラー製品であるコンパクト電動アクチュエータ「THKアクチュエータ KRシリーズ」のさらなる市場開拓に向け、設計者目線での使いやすさと幅広い用途に活用してもらうよう、標準ラインナップを大幅に拡充する。また、今年度は新たに加わったボールねじリードのバリエーション追加を喚起する狙いで、「アクチュエータKRシリーズ総合カタログ(CATALOG No.444)」と題し、カタログを一新した。

 

 THKアクチュエータKRシリーズは、LMガイド、ボールねじのコンポーネント製品をモジュール化し、コンパクト・高剛性・高精度を実現した製品。

 特に、高剛性なU字形断面形状のアウタレールと、両側面にLMガイド部、中央にボールねじ部を一体構造としたインナブロックの構成により、最小スペースで、高剛性、高精度なアクチュエータ機能を併せ持つ。

 また、ハウジング(軸受部)がサポートユニット、インナブロックがテーブルの役目も兼ねているため、設計および組み立ての工数を大幅に削減することが可能となり、トータルコストの低減に寄与する。

 販売開始してから35年、KRシリーズは画期的な製品として市場に受け入れられ、業界有数のバリエーションの広さがユーザーから多くの支持を得て、同社のロングセラー製品へと成長した。今後は日本の国内市場にとどまらず、成長著しい世界市場へと需要の拡大が見込まれる中で、設計者目線での使いやすさと幅広いオプション品の充実を見据え、標準ラインナップ(ボールねじリード、中間フランジ、モータブラケットなど)の拡充をはじめ、業界屈指の最上位スペック値への見直しなどを予定している。

 THKでは引き続き、独自の新製品開発を通して、自動車、電子部品、医療など、あらゆる分野の自動化、省力化需要にお応えし、生産性向上、工程改善のための「自働化ソリューション」を提案していく。

 

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bmt主催の講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」が開催

3週 3日 ago
bmt主催の講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」が開催 in kat 2025年04日02日(水) in in

 メカニカル・テック社『bmt ベアリング&モーション・テック』編集部は3月28日、東京都中央区のTKP東京駅カンファレンスセンターで、「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」を開催した。コーディネーターは東京理科大学 佐々木信也教授で、当日は歯車システムの関係する電動車や洋上風力発電といった新領域でのトライボロジー課題と取り組みについて、以下のとおり4件の講演が行われ、また、講演の合間にトライボロジー関連の試験評価機器メーカーによる2件のショートプレゼンがなされた。

講演会のようす講演1「総説:カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」佐々木信也氏(東京理科大学)

 トライボロジーは摩擦損失の低減や耐摩耗性向上という観点から機器の省エネや環境負荷低減に寄与してきたが、カーボンニュートラル(CN)社会実現に向けて環境性能の向上につながるトライボロジーの役割に期待が寄せられている。CN実現に期待される電気自動車(EV)の話題を取り上げ、システム小型化のためにモータの高速回転が求められるe-Axleの減速機の課題として、高速回転に伴うギヤや軸受のピッチング寿命低下への対策とともに摩擦損失の低減による効率向上が求められていると説明。この課題を踏まえて実施した4円筒マイクロピッチング試験や電圧印加試験などの評価結果やメカニズム解明に向けた取り組みなどについて述べた。

総説講演を行う佐々木氏講演2「自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)の考えるカーボンニュートラルシナリオと機械要素・潤滑技術への期待」太田義和氏(日産自動車/TRAMI)

 TRAMIの扱う研究領域は、自動車のエネルギー源から車輪の間のパワートレインであると説明しつつ、CN実現の切り口として、①電動パワートレインの高効率化(電費性能向上)による「走行時のCO2排出低減」と②パワートレインの小型化による省資源化とリデュースを含む材料置換による「製造時のCO2排出低減」を掲げた。それら課題を踏まえつつ、TRAMIはモータの超高回転化(5万rpm超)による小型・軽量・高効率な電動パワートレインを実現する技術を研究テーマとして設定。超高回転化に伴う高い減速比など諸課題を解決するための機械要素・潤滑技術への期待を述べた。2025年度以降の研究方針を示しつつ、TRAMIの超高回転化研究を通じ、産の連携強化と産学間の谷を埋め日本の自動車産業のさらなる活性化に貢献していく、と総括した。

講演する太田氏ショートプレゼン1「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー試験機」國井卓人氏(Rtec-Instruments)

 歯車システムのトライボロジー試験では、ギヤの実際の動き(転がり+すべりの複雑な相互作用)をどれくらい再現できるかが課題となる。こうした歯車のトライボロジー試験に関して、同社の二円筒試験機「TRT-3000」や三円筒試験機「MPT-3000」は、摩耗・潤滑・摩擦特性の基礎的な評価手法として非常に有効で、特に、コストや試験の再現性、条件設定の自由度を重視する場合には、歯車試験の代替として積極的に活用する価値があり、試験のコストや時間の削減に期待できると総括した。

ショートプレゼンを行う國井氏講演3「洋上風力発電における機械要素・潤滑技術への期待」松信 隆氏(戸田建設/日本風力発電協会)

 日本の洋上風資源が潤沢に存在するといった洋上風力発電への期待が高まる一方で、洋上風力では陸上風力に比べ資本費と運転維持費が多いためエネルギーコストを下げるためには設備利用率の向上が必要という課題がある。高風速地域には主に発電機定格出力の増加で発電量を増加し、低風速地域には主に原動機の受風面積(ローター径)を増加して対応する必要があるが、ロータ径の拡大に伴い主軸受の支持荷重が増加し、主軸受の定格荷重の増加への要求があるほか、主軸受の機能確認と型式認証取得のため試験設備が必要となり、中立の試験評価機関なども課題となっている。発電機の国内メーカー不在など日本の環境に合った風車がなく部品メーカーが育たないといった業界の動向を俯瞰した後、オープンイノベーションによる開発など日本が取るべき技術戦略や、設備利用率50%以上の風車要素技術と概念確立、国産風車と部品の開発競争力強化と市場参入といった我が国風車技術復活へのロードマップを示した。

講演する松信氏ショートプレゼン2「スマート膜厚計で拓く!金属上の油膜評価と最新トライボロジー解析」岡本宗大氏(大塚電子)

 測定者や測定場所に縛られずに高精度な膜厚計測が可能なハンディタイプの測定器「スマート膜厚計」を紹介。形状のある部品のしゅう動部の油膜厚を簡単・リアルタイム観察が可能とした。また、工具や自動車部品上のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の膜厚を非接触・非破壊で1秒程度の時間で測定できる顕微分光膜厚計「OPTM」や、フィルム製品などの膜厚をライン上において面でとらえることができる「ラインスキャン膜厚計」、CMPスラリーの粒径分布などが把握できるゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」、さらには、今まで見えなかったものが見える最新の光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。

ショートプレゼンを行う岡本氏講演4「電動車用超低粘度トランスアクスルオイルの技術課題と製品化開発」床桜 大輔 氏(トヨタ自動車)

 電動車のエネルギー損失の中でトランスアクスルの損失割合は大きく、特に潤滑油による撹拌抵抗が大きな要因とされる。潤滑油の低粘度化は撹拌損失低減による電費向上に寄与するだけでなく、モータの冷却性能向上につながり、全体の効率を高める一方で、低粘度化は金属しゅう動面農膜不足による摩耗や焼付き、電気絶縁性の悪化といった課題を伴う。これに対し、40℃動粘度が12mm2/secと低粘度でありながら潤滑性と電気絶縁性を確保した高信頼性のトランスアクスルオイルを開発した。これにより、電動車のWLTCモード燃費を1.2%以上向上しつつモータ・オイルクーラの冷却性向上で電動車ユニットに貢献できる。低粘度で信頼性を確保できる電動車オイルの添加剤パッケージを確立、本技術は今後の同社における電動化技術の柱であり、CNに大きく貢献するもの。今回完成した電動車オイルの添加剤パッケージをベースに将来ニーズに対する新規な機能を付与していく、総括とした。

講演する床桜氏

 講演会終了後は、講師と参加者による交流会が催され、トライボロジー分野の横断的な情報交換と人的交流が、和やかながら活発に執り行われた。

交流会のようす

 

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bmt2025年3月号「特集:モビリティ」、「キーテク特集:グリース」3/25発行!

1ヶ月 ago
bmt2025年3月号「特集:モビリティ」、「キーテク特集:グリース」3/25発行!admin 2025年03日21日(金) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第53号となる2025年3月号が3月25日に小社より発行される。

 今号は「特集:モビリティ」、「キーテク特集:グリース」で構成。特集「モビリティ」では、自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)の考えるカーボンニュートラルシナリオと機械要素・潤滑技術への期待から、二輪EV用e-Axleの開発と今後の展開、モビリティのカーボンニュートラル実現に対応するグリース技術の開発と計測評価技術、カーボンニュートラルに貢献する潤滑油・グリースの劣化判定・寿命予測に適用可能な分光測色計、自動車部品のオイル薄膜計測にも適用できる反射分光法を用いたハンディタイプの高精度膜厚計、などについて紹介する。

 また、キーテク特集「グリース」においては、PFAS規制に対応するフッ素グリースの代替技術や、価格・入手性などの問題を抱えるリチウムグリースの現状と代替グリース技術について紹介する。

特集:モビリティ

◇TRAMIの考えるカーボンニュートラルシナリオと機械要素・潤滑技術への期待・・・日産自動車 太田 義和 

◇二輪EV用e-Axleの開発と今後の展開 ・・・エフ・シー・シー 柏木 智 氏、片岡 真 氏、関 賢一郎 氏、重 秀一郎 氏、長田 桂希 氏に聞く

◇自動車のカーボンニュートラル実現に対応するグリース技術の開発と計測評価技術・・・ニッペコ 木村洋介 氏、西村 寛 氏、平澤 明日美 氏に聞く

◇カーボンニュートラルに貢献する潤滑油・グリースの劣化判定・寿命予測に適用可能な分光測色計・・・コニカミノルタジャパン 西本 昌弘 氏 × 編集部

◇自動車部品のオイル薄膜計測にも適用できる反射分光法を用いたハンディタイプの高精度膜厚計・・・大塚電子 色川 健太朗 氏、森田 祥 氏に聞く

キーテク特集:グリース

◇PFAS規制時代の到来:フッ素グリースの代替を考える・・・出光興産 高根 孝仁

◇リチウムグリースの現状と代替グリース技術・・・編集部

連載

現場に行こう No.001・・・ニッペコ 千葉工場

注目技術:第45回 第9回ロボデックスに見るbmt関連製品・技術・・・出展各社

あるコスモポリタンの区区之心 第23回 屠(ト)・ヨウヨウ、被団協、ノーベル賞・愚感・・・紺野 大介

トピックス

「ハノーバーメッセ2025 プレスプレビュー」開催、展示会の概要・見どころを紹介

トライボロジー試験機SRV のユーザーズミーティングが開催、国内ラウンドロビン試験結果を報告

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admin

JAST自動車のトライボロジー研究会など4研究会が加賀で合同研究会

1ヶ月 ago
JAST自動車のトライボロジー研究会など4研究会が加賀で合同研究会kat 2025年03日19日(水) in

 日本トライボロジー学会(JAST)自動車のトライボロジー研究会(主査:豊田中央研究所・遠山 護氏)とJAST日本海トライボロジー研究会(主査:小松大学・粕谷素洋氏)、JAST機能性コーティングの最適設計技術研究会(主査:岐阜大学・上坂裕之氏)、東海トライボロジー研究会(会長:岐阜大学・上坂裕之氏)は3月14日、石川県加賀市の大同工業 本社工場/致遠館で「トライボロジー合同研究会 in 加賀温泉」を開催した。

開催のようす

 

 当日はまず、大同工業・新家啓史社長が開会の挨拶に立ち、「当社は1933年の創業以来90年以上にわたってトライボロジーを実践してきた会社で、〝大いなる目的のため、一致団結して高遠なる理想実現に努力すべし”という創業からの「大同致遠」の精神を実践しつつ、チェーンなど自社製品の摩擦を制御し耐久性や効率を高める技術を追求し、ユーザーの製品の省エネや環境負荷低減に寄与してきた。しかし一社でできることには限りがあるため、皆様といろいろな方面で意見交換をしながら、新しい価値の創造や理想の追求に愚直に取り組んでいきたい。本研究会を通じて、新たな知見や技術がさらに発展することを願う」と述べた。

挨拶する新家社長

 

 続いて、同社 総務部 広報チームの前田恭子氏が、同社のフィロソフィー(DID MUGENDAI)など会社の概要から、山中漆器の木地挽きろくろの技術から木製リム製造へと転換し、チェーン製造を手掛けていった事業の沿革について、さらには二輪・四輪チェーンなどモビリティ関連製品から、産業機械用チェーン・コンベヤシステム・バキューム搬送コンベヤなどの産業機械関連製品、いす式階段昇降機など福祉機器までの幅広い事業概要について紹介した。

会社紹介を行う前田氏

 

 その後、同社福田工場の塑性加工工場と四輪エンジンチェーン工場を見学した。塑性加工工場では、スプロケットなどの複雑・高精度な三次元形状をネットシェイプ化する「三次元プレス成形」とキー溝加工を高い面粗度・寸法精度で打ち抜きできる「精密せん断」を組み合わせた独自「ファインプレスフォーミング技術」を用いたプレス機などを見学。また、四輪エンジンチェーン工場では、エンジンタイミングチェーンのピン・ブッシュ・ローラー・内外プレートなど構成部品の成形、接合、研磨、熱処理から、組み立て、目視検査までの工程の見学がなされた。

福田工場での参加者の集合写真

 塑性加工工場の見学風景

 

 工場見学後は、本社工場/致遠館に戻り、以下のとおり講演会が行われた。

 まずは、日本海トライボロジー研究会を代表して、新潟大学・月山陽介氏が「往復しゅう動試験機によるチェーングリースの潤滑特性評価」をテーマに話題提供を行った。往復しゅう動試験機を用いてピンとブッシュの摩擦挙動を再現し、グリース潤滑面におけるディンプルの影響を調査した結果、ディンプルによってサイクル初期の摩擦挙動が安定・低減する効果が得られ、その効果はグリースの粘度が高いときに顕著に見られた。ディンプル加工は、ピン・ブッシュ間のなじみ完了に時間を要しかつ高粘度グリースを使用したチェーンにおいて、高い効果を発揮する可能性があると結言した。

講演する月山氏

 

 また、東海トライボロジー研究会を代表して、大同工業・関 秀明氏が「チェーンとトライボロジー:幅広い産業を支える摩擦と摩耗技術」と題して、話題提供を行った。電動化の進展によって、モビリティ用チェーンにおいては、高速回転かつ給油条件が厳しい環境が想定され、また、速度の増加に伴うしゅう動発熱が大きくなるため潤滑不足や高温化、それらに伴う摩耗促進が懸念される。これに対し、発熱・摩耗抑制のための潤滑方法(潤滑位置の違いによる評価)や表面硬化処理の検討を行った。潤滑方法によって発熱低減や摩耗低減につながることを実験で確認したほか、同社独自開発のVCN(バナジウム炭窒化物)被膜が高速しゅう動時の発熱に対して十分な耐性を有することを確認した。

講演する関氏

 

 さらに、機能性コーティングの最適設計技術研究会を代表して、東京都市大学・崔 埈豪氏が「摩擦発電機のトライボロジー分野への応用」と題して、話題提供を行った。電子機器の普及に伴い多くのセンサとそれらを駆動するための電源が必要とされている。これに対してバッテリー不要のセンサを作製できる手法として、優れたトライボロジー特性を有するダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を四フッ化エチレン樹脂(PTFE)とともに帯電材として用いた、高耐久性・高効率の摩擦帯電型ナノ発電機(TENG)を開発した。DLCベースの滑り型TENGを用いた滑り軸受の状態監視システムの事例を紹介し、滑り速度やミスアライメント、潤滑油の欠乏、潤滑油の挙動などが観察できるとした。

講演する崔氏

 

 最後に、自動車のトライボロジー研究会を代表して、名古屋工業大学・糸魚川文広氏が「表面プラズモン共鳴を利用した油膜圧力計測と添加剤吸着挙動観察」と題して、話題提供を行った。表面プラズモン共鳴を利用した手法は、高い界面選択性と感度(表面近傍のみの誘電率変化を感度よく計測することが可能)を利用して、潤滑膜の膜厚や密度の空間分布をin-situに可視化できる。接触面からの反射光強度の変化を捉え潤滑油密度の変化量を捉えることで、油膜圧力も測れるほか、高時間分解能計測が可能なため、しゅう動面の表面形状変化に対する圧力応答測定ができ、混合潤滑状態の圧力・油膜厚さの同時計測ができる。さらに、粗面のしゅう動による添加剤吸着膜の状態計測事例を紹介、真実接触部の抽出と摩擦係数の同時計測が可能とした。

 講演会終了後は、アパホテル加賀大聖寺駅前内「瑠璃」に移動し、技術交流会が和やかに行われた。
 

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イグス、栃木県さくら市に新工場、在庫・アセンブリー機能を拡大、2026年春稼働予定

1ヶ月 2週 ago
イグス、栃木県さくら市に新工場、在庫・アセンブリー機能を拡大、2026年春稼働予定kat 2025年03日07日(金) in

 イグスは、栃木県さくら市に新工場を建設する。新工場は敷地面積41833㎡、延床面積約10000㎡で、本年5月に着工し、竣工は2026年春を予定している。栃木県の4拠点を集約し、在庫・アセンブリー機能を拡大する。新工場では、ケーブル保護管や可動ケーブル、可動ケーブルとケーブル保護管を一緒にした電力供給システムであるレディーチェーン、潤滑油不要の樹脂ベアリングなどを生産する。

新工場の完成予想図(外観イメージ)

 

 同社はこれまで、国内の在庫・アセンブリー拠点として栃木県内の計4カ所で稼働してきたが、事業が拡大する中、既存工場のスペースでは効率的な生産ラインを組むことに限界が生じ、自動化・省力化設備の導入にも制約が発生してきていた。また、将来的なビジネス拡大に対応できる生産体制の構築、倉庫機能の拡充も大きな課題となっていた。

 そうした中で、同社はさらなる在庫保管能力の拡大、効率的な生産体制の構築および出荷体制の強化を図ることを目的に、土地・建物に約35億円を投じて工場を新設することとし、この度、現工場がある栃木県那須烏山市に隣接する同県さくら市に事業用地を取得した。4拠点の在庫・アセンブリー機能を全て新工場に移転・集約し、2026年春より稼働を開始する計画。

 点在する既存4拠点を十分なスペースがある新工場に集約することで、工場・倉庫拠点間の輸送をなくし物流効率を向上させるとともに、事業拡大に対応する工場の体制を整える。新工場の設立により、在庫保管能力は2024年比で約70%増加する見込み。また、新拠点では、自動化・省力化機器の導入や生産ラインの見直し、新たな倉庫システムの導入を行うことで、労働生産性を向上させていくことが可能になる。

 さらに、新工場建屋の隣地には将来的な工場拡張に向けた約5000㎡の用地を確保している。

 同社では今後も生産性の向上に取り組むとともに、ユーザーに迅速・安定的に製品を提供することで、日本の産業界の発展に貢献していく考えだ。

kat

ハイウィン、ナノ精度位置決めステージ標準モデル4種を日本市場に投入、半導体製造の競争力強化へ

1ヶ月 2週 ago
ハイウィン、ナノ精度位置決めステージ標準モデル4種を日本市場に投入、半導体製造の競争力強化へkat 2025年03日07日(金) in

 ハイウィンは、要件の厳しい半導体産業のニーズに対応するナノ精度位置決めステージに標準モデル4種を新たにラインアップした。半導体製造の最先端を行く台湾にグローバル本社を置く同社では、台湾本国での実績を経て日本国内では2024年11月より発売を開始した。特に技術革新に期待が寄せられる半導体製造の後工程における競争力強化に貢献していく。

 

 PLP(パネルレベルパッケージ)検査やウエハ検査装置に活用されるナノ精度位置決めステージは、半導体検査装置や半導体製造装置に応用できるナノ精度の位置決めリニアモーターステージで、今回、短納期と高コストパフォーマンスを両立した標準機4種類をラインアップした。ウエハ光学検査モデル、LDI(レーザーダイレクトイメージング)露光機モデル、PLP検査モデル、ウエハ白色光干渉測定モデルの4機種となる。

 ムーアの法則に沿って半導体の微細化は進んできたが、平面上での開発は限界にきており、今では2.5次元、3次元においての積層技術の発展が加速している。つまり、回路を横に並べる段階から縦に積み上げる段階へと移行している。これまではシリコンウエハの微細化、つまり前工程の技術革新が半導体産業の進歩を支えてきたが、これからは後工程の進化に期待が寄せられている。

 例えば後工程内の「チップレット」というパッケージング技術に注目が集まっている。従来は一つのチップに微細化された大規模な集積回路を作り込んでいたのに対し、チップレットというパッケージング技術は、複数の小さなチップを組み合わせて、一つのパッケージを作る技術を言う。このチップレットの技術進化には、チップレット同士を繋ぐ2.5次元や、さらに効率的で高精度な3次元の積層技術の開発が求められている。

 パッケージング工程において精度が高く、ジッターの少ない位置決めステージの需要が増えていくこと見込まれる中、同社のナノ精度位置決めステージ「N2」の位置決め安定性は±2nmで、100mm/sでの高速安定性は±0.1%。低床で安定した構造で3Dパッケージング工程に有用なリニアモーターステージとなっている。

 また、3Dパッケージングにおいては製造工程が多く複雑であることから、品質の安定性を不安視する見方もあり、正確な検査も重要なファクターとなっている。同社のナノ精度位置決めステージは半導体検査装置でも活用できる。

 同社では従来、カスタム対応が多いナノ精度位置決めステージだったが、この度の標準機投入によりユーザーの開発期間を短縮させるソリューションを提供する。同社では自社製コンポーネントを幅広く揃えており、各部材、技術者をすべて社内で確保できるため、他社にない設計納期、生産納期を実現する。同社は、機械要素部品、メカトロ製品、制御技術の三つの要素を備えており、標準機だけでなくカスタム対応にも柔軟かつ迅速に対応できるとしている。

ナノ位置決めステージの標準モデルラインアップ

 

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エボニック、グリーン水素経済実現に向けアニオン交換膜の製造工場を建設、パイロットプラントは2025年末に稼働予定

1ヶ月 3週 ago
エボニック、グリーン水素経済実現に向けアニオン交換膜の製造工場を建設、パイロットプラントは2025年末に稼働予定kat 2025年03日04日(火) in

 エボニック インダストリーズ(エボニック)は、ドイツ・マールに、革新的で高性能なアニオン交換膜(AEM)を製造するパイロットプラントを建設している。エボニックが開発したこの膜はDURAION®という製品名で販売される予定。

 AEM水電解の心臓部となるDURAION®膜を使うことで、ユーザーはコスト競争力のあるグリーン水素の生産が可能になる。エボニックは、このAEM製造工場に数千万ユーロを投資しており、2025年末に稼働開始を予定している。

 エボニックのハイパフォーマンスポリマーズ事業部でメンブレン・ファイバー プロダクトラインの責任者を務めるゲッツ・バウムガルテン氏は、「この戦略的投資は、当社の先駆的な膜を、急成長する グリーン水素経済を実現させる推進力としてさらに成長させるという事業目標に沿ったものとなる」と述べている。

 マールのAEM工場で製造されるDURAION®膜の品質は、商業用電解装置システムでの使用に適していて、本工場の本格稼動が開始すれば水素製造に必要な2.5GWの電解能力を供給するのに十分な量の膜を毎年製造できるようになる。さらに、この工場では強化膜の製造も行い、この新技術に対するユーザーの関心の高まりに直接対応することが可能となる。

 AEM技術は、従来の電解プロセスと比較して安価な材料をセルに使用するため、投資コストの削減につながるほか、高い電流密度や非常に優れた効率も実現することができる。

 エボニックの戦略的研究部門およびビジネス・インキュベーターであるクレアビス(Creavis)の新成長分野水素経済担当責任者のクリスチャン・デシュライン氏は、「当社の幅広い専門知識と技術を結集させたことで、DURAION®という膜の開発に成功したと考えている」と述べている。この膜はポリマーでできたハイテク製品で、アニオンを透過させなければならない一方、水素など電気分解で発生するガスに対しては不透過性を持つことが求められまるほか、高圧や高温への耐性も必要となることに対し、同氏はまた、「ポリマーの設計や合成、エンジニアリング、膜の製造、ユーザーや市場からのフィードバックなど、さまざまな専門分野を上手く組み合わせることができた」と語る。

 エボニックはこの12カ月間、DURAION®膜に使われる中間製品の製造能力を着実に増強してきた。マールでの工場建設は、この製造能力の増強を踏まえたもので、膜事業を拡大する計画において実施すべき次なるステップと位置付けられている。

 エボニックのアニオン交換膜DURAION®の詳細については以下で確認できる。
https://www.membrane-separation.com/en/hydrogen

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「ハノーバーメッセ2025 プレスプレビュー」開催、展示会の概要・見どころを紹介

1ヶ月 3週 ago
「ハノーバーメッセ2025 プレスプレビュー」開催、展示会の概要・見どころを紹介kat 2025年02日28日(金) in

 本年3月31日~4月4日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される世界最大の産業技術見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2025」(主催:ドイツメッセ)に関して、2月19日に同国際見本市会場で「Hannover Messe 2025 Press Preview」が開催され、世界中からジャーナリストが参加する中、概要と見どころが紹介された。当日は出展予定企業のうちイグスやシェフラー、シュンク、フエストなど約30社がミニブースを併設し、ハノーバーメッセ2025で出展予定の製品・技術を披露した。

会場のようす

 

プレスプレビューのようす:総合司会を務めるOnuora Ogbukagu氏

 

ミニブース展示のようす

 

■プレスプレビュー ハノーバーメッセの概要と、地政学的現状での産業競争力向上における役割

 当日はまずプレスカンファレンスが行われ、主催者であるドイツメッセCEOのJochen Köckler氏が挨拶に立ち、「ハノーバーメッセ2025の概要とトレンド」と題して、開催の見どころや地政学的問題を抱える中での産業競争力向上に対して本展示会が果たす役割などについて紹介した。

・大手企業から中堅、スタートアップまで4000社の技術が集結

 ハノーバーメッセ2025では、一般エンジニアリング、電気、デジタル業界、エネルギー部門の約4000社が、実際のアプリケーション例や人工知能(AI)を中心に、未来の生産とエネルギー供給のためのソリューションを展示する。アマゾンウェブサービス、ボッシュ、グーグル、マイクロソフト、シーメンスなどの世界的なテクノロジー大手が、ベッコフ、フエスト、ハーティング、シェフラー、ハーティング、イグス、シュンクなどの中堅テクノロジーリーダーとともに展示するほか、フラウンホーファー研究機構やカールスルーエ工科大学(KIT)などの著名な研究機関が次世代の産業ソリューションの概要を示す一方、さまざまな技術分野の300社を超えるスタートアップ企業が革新的なイノベーションを発表する。

・産業競争力を高める AI

 産業界における競争圧力が高まる中、企業は生産性向上と効率改善を両立するソリューションを必要としており、ここでは AI が重要な役割を果たす。Köckler氏は「インダストリー 4.0 はハノーバーメッセで始まった。そして我々は今、AIで次の章の執筆に取りかかっている。重要なことは、企業が自社のプロセスへの迅速で的確なAIの導入を実施するために必要な知識を持っていること。ハノーバーメッセは、実用的なソリューション、専門家の洞察、すぐに展開できる事例など、まさに適切な答えを導き出す。AI は既存の機械や生産プロセスを最適化し、効率を高めてよりスマート化する。これは、産業の競争力を確保するための重要な要素」と語った。

・実際のアプリケーション例にフォーカス

 ハノーバー メッセは、商品やサービスの購入の意思を決定する「意思決定者」を対象としている。生産プロセスを自動化するための個別のロボット ソリューションを探している生産管理者や、工場全体のデジタル化を検討しているマネージングディレクターは、ハノーバーメッセで適切な担当者とつながることができる。焦点は、ターゲット ソリューションと企業全体の全面的な変革の両方にあり、それは常に競争力向上に関わる。
この観点からハノーバーメッセ2025では「アプリケーションパーク」を設けている。これは出展者が、最新のロボットソリューションが生産効率を高める方法、例えばロボットがレーザー溶接を最適化する方法や、バッテリーセルの生産をより効率的かつ持続可能にする方法など)を実演する展示エリア。Köckler氏は「企業はここで、生産プロセスの最適化に向けた貴重な洞察を得る。より速く、より正確に、より資源を節約しながら製造するソリューションが示唆される」と力強く語った。

・地政学的問題でも決定的役割を果たすハノーバーメッセ

 産業の競争力は経済戦略にも左右されることから、Köckler氏は、経済と地政学の両方の情勢に影響を与える決定が下される重要な場所でもあるハノーバーメッセのもう一つの強みと見る。
Köckler氏は「米国は、自国の『米国第一主義』政策を厳格に追求することを非常に明確にした。同時に、中国政府が国内産業を大規模に強化し、経済の方向性を的確に定めていることは明らかだ。これは、欧州と国際社会におけるそのパートナーに対する明白なシグナルである。今こそ、さらに緊密に連携し、統一された地経学的戦略を策定し、断固として実行する時だ。ハノーバーメッセは、この文脈でも決定的な役割を果たす。今後数年間、このイベントは、欧州の技術革新プラットフォームとして、また、欧州の経済発展と貿易の発展の両方において、重要性を増すだろう。ヨーロッパの産業とそのパートナーの発展に貢献し、より強力な国際協力の原動力となる」と述べ、さらにドイツの現在の政治状況を念頭に置き、「2月23日のドイツ議会選挙の結果や、ハノーバーメッセ開幕時にすでに新政権や現職の役職者がいるかどうかに関わりなく、主要経済拠点としてのドイツの政治的責任を担う者は誰でも、ハノーバーメッセに参加し自国の技術力の発信と貿易促進に努める必要がある」と強調した。

Jochen Köckler氏

 

パートナーカントリー、カナダ

 続いて、ハノーバーメッセ2025のパートナーカントリーであるカナダを代表して、カナダ政府 シニアディレクターのChristina Bilyk氏を司会に、ハノーバーメッセ2025に出展する重要性についてのセッションが行われた。

 駐独カナダ大使館のEvelyne Coulombe氏は、カナダとドイツのパートナーシップの歩みについて、ドイツのショルツ前首相がカナダのトルドー首相に協力を要請したことからパートナーシップが始まった経緯から、このプロセスが実現するまでに2年以上の歳月を要したこと、ドイツとの本パートナーシップが両国の経済に役立つことを語った。このパートナーシップの戦略的重要性を強調してCoulombe氏は、「この大西洋横断のコラボレーションは、経済と技術の進歩を約束するもの。ハノーバーメッセ2025は、こうした協調関係の強化と新しいビジネスの拡大の絶好の機会」と述べた。

 また、ネクストジェネレーションマニュファクチャリングカナダ(Ngen)CEOのJason Myers氏は、ハノーバーメッセでのカナダの存在感の高まりについて振り返り、「ハノーバーメッセ2024には約80社のカナダ企業が参加しイノベーションを披露し、すでにパートナーカントリーであるかのような印象を与えたが、パートナーカントリーとなった今回のハノーバーメッセ2025では現時点で225社のカナダ企業が参加して。AIやグリーンエネルギー、デジタルトランスフォーメーション(DX)など得意とする分野の技術を発信する。今回のカナダの公式な役割は、カナダ、ドイツ、そして世界の参加者間のコラボレーション、イノベーション、貿易の機会を拡大するだろう」と語った。

左からCoulombe氏、Myers氏、Bilyk氏

 

セッショントーク「産業におけるAI活用」

 さらに、「AI in industry(産業におけるAI活用)」と題するセッショントークが行われ、産業界を代表してAltair社 バイスプレジデントのFatma Kocer-Poyraz氏が、学界を代表してヨハネスケプラー・リンツ大学のSepp Hochreiter氏が登壇した。

 Kocer-Poyraz氏は、製品開発におけるAIの適用について、スマートフォンから自動車、電子キー、建機・重機に至るほぼすべての製品で耐久寿命を含めた設計がなされているが、クラッシュ試験を伴うような自動車の設計では、多数のアイデアがあっても、一つの設計に数週間、数カ月と各々を形にするには時間と労力がかかりすぎて数例しか試行できない。これに対してAIを活用した設計では、解析が数時間、数日で、寿命予測が数秒~数分で完了できるため、多くのアイデアを形にすることが可能。設計・データ活用と開発技術、設計のためのソフトウェアを組み合わせることで複雑な形状の部品のシミュレーションを可能にした事例として、Altairの形状機械学習技術によって実際の挙動と予測結果の優れた層間が取れたエアバッグの開発事例やするAltairのReduced Order Model(縮約モデル)ソリューションを用いて、農業機械用プラウ(犂)の従来の解析時間13時間を3秒で完了した事例などを紹介した。多くの優れたアイデアを形にすることをあきらめる必要はない、と総括した。

 Hochreiter氏は、「産業用AIの黎明期」と題して、数十億パラメーターの言語モデルにおいてGoogleのディープラーニングの学習モデルTransformerよりも拡張性が高い新しいLSTMアーキテクチャ「xLSTM」を紹介した。xLSTMは推論速度もTransformerよりはるかに迅速でエネルギー効率が高いため、ロボティクスや自動運転の自動車やドローン、自動生産システムなどに産業用途に幅広く適用できることをアピールした。

左から、総合司会のOgbukagu氏、Kocer-Poyraz氏、Hochreiter氏

 

カナダ企業が ROBOTICS AWARD 2025 を受賞

 プレスプレビューではまた、ハノーバーメッセの開催に際しドイツメッセがロボットベースの自動化および物流ソリューションを表彰する「ROBOTICS AWARD(ロボティクスアワード)」の受賞者を発表、カナダの Maple Advanced Robotics社、ドイツのLeverage Robotics、米国のMantis Roboticsが受賞した。

 受賞したMaple Advanced Robotics社のMARI AARSプロジェクトは、高速でコード不要のプログラミングを実現する AI 駆動型ロボット工学プラットフォームで、高度な3Dスキャン、自動ロボットパス生成、コーディングやCADファイルを必要としない直感的なグラフィカルフローチャートインターフェースによって実現されている。さらに、MARI AARSプラットフォームには偏差を補正する機能が含まれており、一貫した品質レベルを保証しており、「自律的なパスプランニングにより、MARIは多品種生産の最大の課題の一つである継続的な再プログラミングとセットアップを解決したことにより、特に中小企業にとって、熟練労働者の不足にも対処できるようになる」と評価されての受賞となった。

授賞式のようす■ミニ展示会

 プレスプレビューに合わせて、ハノーバーメッセ2025に出展予定の企業のうち、約30社がミニブースを構えた。ベアリング・モーション技術(bmt)関連の製品・技術では、ハノーバーメッセ2025で披露される予定の、以下のような展示がなされた。

イグス(ハノーバーメッセ2025での出展ブース(以下、同)ホール6、ブースE26)

 イグスは、「潤滑剤ゼロ」のPFAS対策として、同社のすべての固体潤滑を含有した標準すべり軸受材料イグリデュールを変更し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フリーの材料を開発、披露する。すでに滑り軸受、リニアガイド、旋回ベアリング(ロータリーテーブルベアリング)、貼るだけで滑りを改善する「トライボテープライナー」など全製品の92%でPTFEフリーおよびPFASテスト済みの代替品を提供開始している。社内の試験室で摩擦・摩耗挙動について分析したところ、PTFEを含む基準材料と比較して、PTFE フリー材料の性能が大幅に優れていることが確認されている。

 また、「プラスチック廃棄ゼロ」の提案として、2022年に開発が成功した、ユーザーから回収した製品を粉砕し再生したリサイクル素材「igumid CG LW」で作られたケーブル保護管「エナジーチェーン」を披露する。すでに、標準エナジーチェーンシリーズE2.1の全製品を同リサイクル素材に切り替えているという。このリサイクルチェーンシリーズにより、ユーザーもプラスチックの循環型経済に貢献できる。リサイクルE2.1シリーズは、標準素材で作られたエナジーチェーンと同じ価格で提供され、標準素材で作られたエナジーチェーンシリーズと比べ機械的特性は同等で、CO2フットプリントが80%低減できる。

 さらに、「ドライクリーンルームのパーティクルゼロ」の提案として、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池製造用のドライクリーンルームなどの特殊な用途向けのエナジーチェーン「E6.29」を展示する。フラウンホーファーIPAと共同での長期試験でクリーンルーム適合性が確認されており、1500万回のダブルストローク、つまり10カ月後でも、上部シェルと下部シェルからなるコルゲートチューブ状のクリーンルーム用エネルギー供給システム「eスキンソフトSKS28」が ISOクラス4の高清浄度を達成している。

イグスブース(上)と、PTFEフリー製品群(下)

 

シェフラー(ホール5、ブースD18/ホール13、ブースE41/1)

 シェフラーは、2024年10 月のヴィテスコテクノロジーズ合併によって生まれた 八つの製品ファミリーをベースに、業界のさまざまな市場分野にサービスを提供し、ヒューマノイド用コンポーネントなどの将来技術によって持続的に変革可能なことをアピールする。

 その一つが、軽量ロボットとコボット向けの革新的な「XZUアンギュラコンタクトニードルローラーベアリング」で、コンパクトなデザイン、高効率、軽量を実現し、その優れた特性により、ハノーバーメッセ2025の「HERMES AWARD(エルメスアワード)」)にノミネートされている。

 また、高解像度と直線性により、産業用ドライブトレインでのトルクの正確な非接触測定を可能にする「TorqueSense」トルクセンサーも紹介。例えば、建設機械や農業機械を正確に監視・制御でき、産業機械の過負荷保護を実現できる。

 シェフラーは、ロボット工学の論理的な発展を示すヒューマノイドの技術に特に高い可能性を見出しており、この最先端技術の主要コンポーネント(ベアリング、ギヤボックスコンポーネント、センサー、アクチュエーター、電気モーターなど)を提供し、技術的に重要な進歩によってヒューマノイドロボットを最適化できる立場にあると考えている。

シェフラーブース(上)と、「TorqueSense」トルクセンサー(下)シュンク(ホール6、ブースF21)

 シュンクは、同社コントロールセンターにおいて、ユーザーがプロセスステップを常に完全に把握できること、最新の機械式グリッパーをデジタルで試運転、監視し、必要に応じて調整できることをアピールする。このファミリーには、EZUセントリックグリッパー、EGUパラレルグリッパー、小型コンポーネント用のEKG電動グリッパーが含まれる。これらグリッパーは、さまざまなロボットメーカー向けの幅広い通信インターフェイス、PLC機能ブロック、およびプラグインを提供するほか、コントロールセンターは拡張構成オプションと定期的な更新ソフトウェアを提供し、ユーザーはグリッパーの潜在能力を最大限に引き出すことができる。

 また、同社がデジタル ビルディング ブロックを開発する際に、オープンでユーザー中心のアプローチを採用、この目的のためにGitHubやROSなどのオープンプラットフォームで新しいグリッパー用のオープンソースソフトウェアを提供し、さらなる開発に利用できるようにして、アプリケーションの範囲を拡大していることを訴求する。産業用ロボットだけでなく、さまざまな環境で使用できるコボットやヒューマノイドロボットにも適用可能で、独自のヒューマノイ SVH5指グリッピングハンドをオープンソースソフトウェアおよびデジタルツインとして提供している。

 未来のデジタルファクトリーは、現実世界で形になる前に仮想的に計画および最適化され、特に複雑なシステムは産業用メタバースでより効率的に設計およびシミュレーションできるため、時間と労力を削減できる。同社ではこれをサポートするために13000個のすべてのコンポーネントのCADデータを提供し、それらを徐々に非常にリアルなデジタルツインに改良している。最新のメカトロニックグリッパーは、高度なデジタルツインとしてすでに利用可能で、通信インターフェイスだけでなく、移動中のグリッパーの物理的動作も再現できることをアピールする。

シュンクブース(上)と、
電気自動車向け自動ハンドリングシステム(丸型バッテリーセルグリッパーRCG搭載)(下)
フエスト(ホール7、ブースA32)

 フエストは、同社の創立100周年を記念して、研究所において、多くの材料と装置を導入し、さまざまな部門から集まった大規模なチームが協力して、印象的な「記念展示」、まったく新しいタイプのアプリケーションの開発に取り組んでいる。

 その一つが、空気圧、電気、デジタル、またはそれらの組み合わせなどによるモーションテクノロジーを具現化した「eMotionButterfly」。展示ではeMotionButterflyが自ら羽ばたき、複数の機械をシームレスに動かす「Incredible Machine」を披露する。この羽ばたきは機械内で魅力的な動きの旅を開始するが、それは、立ち止まることが許されない、革新と進歩を特徴とする産業オートメーションの世界であり、このアプリケーションは、自動化技術分野における同社の多様なスキルと豊富な専門知識、そして不可能を可能にする革新的な精神を実証するもの。発明力と先駆者精神は、当初から同社のDNAの一部であり、蝶の羽ばたきが一連の機械の動きを引き起こすのと同じように、小さな動きが産業に大きな変化をもたらすことがあることを暗示するものとなる。

 Incredible Machineは、100年の同社の技術革新を象徴しつつ、未来に目を向け、空気圧、電気、デジタル、またはそれらの組み合わせといった同社のモーションテクノロジーに目を向けさせる狙いだ。
 

フエストブースのようす:写真右手がeMotionButterfly

 

 なお、ハノーバーメッセ 2025に関する問い合わせ先は、以下のとおり。
International Linkage ドイツメッセ日本代表部 竹生学史(たけお・まさひと)氏
TEL:080-1396-9902または03-6403-5817
E-mail : masahito.takeo@intl-linkage.co.jp

kat

「EMOハノーバー2025」プレスカンファレンスを開催、参加を呼びかけ

1ヶ月 3週 ago
「EMOハノーバー2025」プレスカンファレンスを開催、参加を呼びかけadmin 2025年02日27日(木) in in

 International Linkage ドイツメッセ日本代表部(https://intl-linkage.co.jp/dm)(代表:竹生学史氏)は2月19日、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京で、本年9月22日~26日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される世界を代表する工作機械の国際展示会「EMO Hannover 2025(EMOハノーバー2025)」に関するプレスカンファレンス「EMO Hannover 2025 World Tour」を開催した。主催者のドイツ工作機械工業会(VDW)とドイツメッセの各担当者が同展の見どころなどについて紹介し、日本企業の出展と日本からの来場を求めた。

 当日はまず、以下2件の基調講演が行われた。

・「ものづくり業界のために開催される生産技術の国際展示会EMOハノーバー2025」マルクス・へーリング氏(ドイツ工作機械工業会(VDW)エグゼクティブ ダイレクター)…世界有数の生産技術の専門展示会である「EMOハノーバー2025」が「Innovate Manufacturing」をテーマに、金属加工のバリューチェーン全体の製品・技術を紹介するとともに、革新性、国際性、インスピレーション、金属加工の未来を示すショーケースであり、金属加工業界のメーカーとユーザーなど国際的な業界関係者が対話できるプラットフォームで、1975年に設立され今年で50周年を迎えることを説明。この半世紀の間にスマートフォンなどのデバイスを含む技術革新に金属加工技術が大きく寄与してきており、今回の「Innovate Manufacturing」のテーマのとおり、EMOが提供する膨大なアイデアと新しいアイデア、新技術を積極的に活用することを呼びかけた。続いて、世界経済の状況について、中国経済の減速などもあり2024年度は設備投資がグローバルで低下、特に欧州で激減したが、2025年度からは回復に向かうとした。日本は極めて大きな工作機械サプライヤーで輸出も多く、工作機械の市場が拡大する中国は日本の工作機械メーカーにとって大きな市場であるとともにサプライヤーにもなりつつあるとした。さらに、EMOハノーバー2025のフォーカス・トピックスとして、①工具のパレットチェンジャーやワークのハンドリングシステムを含む工作機械あるいは金属加工工程の「自動化」、②新しい工作機械への投資によるエネルギー節減やカーボンフットプリント削減といった「サステナビリティ」、③人工知能(AI)との組み合わせによる生産性向上など工作機械ユーザーのメリット拡大につながる「デジタル化」を掲げた。

・「EMO2025へ訪問すべき理由」ハートヴィヒ・フォン・ザース氏(ドイツメッセ ヘッドオブニュービジネス)…EMOは来場者とパートナーであり出展者であるメーカーをつなぎ、最新の製品・技術、金属加工業界の現状を間近で見ることができる専門見本市。来場者は新しい技術に出会える場であり、国や産業の枠を超えてビジネスを創出しつつパーソナルリレーションシップを構築できる場でもある。ウェブサイトで事前にチェックし訪問リストに加えた展示ブースからの製品・技術情報だけではなく、歩いていて思いがけず新しいソリューション、自らのプロジェクトに活用できるかもしれないソリューションに出会える可能性を秘めている。EMOはつまり、オンラインでは得られない「セレンディピティ」がある。開催地となるハノーバーは産業見本市の中心地であり、海外からの交通の便も良い場所。工作機械の多数の技術革新、最新の製品・技術が披露されるEMO、出展者と来場者をダイレクトにつなぐEMOに是非とも来場してほしいと総括した。

 続いて、日本工業大学工業技術博物館 館長の清水伸二氏をモデレーターに、4人のパネリストによるパネルディスカッションが以下のとおり行われた。

 ドイツ工作機械工業会(VDW)エグゼクティブ ダイレクターのマルクス・へーリング氏は、同展示会を「ものづくり業界のために開催される生産技術の国際展示会」として、工作機械の自動化やサステナビリティ、デジタル化についての展示をメインになると話した。また、期待している点としては積層造形やスタートアップ、工作機械業界に若者を引き寄せるための基礎であるとした。引き続き、ドイツメッセ ヘッドオブニュービジネスのハートヴィヒ・フォン・ザース氏が、昨今はコミュニケーションのほとんどがオンラインでなされているとして、本展示会はリアルで見てもらうことで自社のブランドを示すことができるとした。また、本展示会とオンラインとの連携も有効である点を述べた。また、リアルの見本市であるからこそ価値あるものを予想しなかったところで見つけられると述べた。

 また、出展社の立場としてオークマ 取締役 常務執行役員の山本武司氏、ヤマザキマザック 執行役員 欧州副総支配人の山崎 拓氏が参加した。山本氏は「弊社はEMOには第1回から毎回出展させていただいている。出展理由としては、メーカーである私共としては、お客様のその先のお客様のニーズを知ることによって、私共のお客様が何をしなければならないかを理解してソリューションを提供することができること。もう一つが工作機械のメッカである欧州で弊社のブランドを知っていただくことだ。さらに、昔のことにはなるが世界各国から代理店のお申し出をいただけることが挙げられる。工作機械は欧州が先頭を走っている部分もあるため、EMOは最新の技術やマーケットのトレンドを知ることができる場である。会社としても将来への投資に対する羅針盤のような役割を果たしているのではないかと思う」と述べた。山崎氏は「山本様が仰ったことにすべて同意する。重複する内容は割愛して、その上で二点を追加させていただく。一つ目はEMOという一週間のイベントで弊社の欧州中のスタッフが一堂に会することで結束して士気を高めることができる貴重なイベントである。もう一つは、国際的な展示会は世界中に数多く存在しているが、EMOの特徴は地元のドイツ企業に多少アドバンテージがあるものの、EMOほどフェアな競争ができている展示会はないのではないかと思う。世界各国のメーカーが分け隔てなく出展している展示会のため、我々出展社としても来場者にとっても工作機械のトレンドを知ることができるため、今後の戦略を立てていく上でも大変重要な展示会であると感じている」と述べた。

左から山本武司氏、清水伸二氏、マルクス・へーリング氏、山崎 拓氏、ハートヴィヒ・フォン・ザース氏

 EMOハノーバー 2025では日本企業の出展ならびに来場の募集を行っているので、関心のある方は以下まで問い合わせをいただきたい。
International Linkage ドイツメッセ日本代表部 竹生学史(たけお・まさひと)氏
TEL:080-1396-9902または03-6403-5817
E-mail:masahito.takeo@intl-linkage.co.jp

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NTN、表面テクスチャリングの最適化で、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発

2ヶ月 ago
NTN、表面テクスチャリングの最適化で、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発kat 2025年02日25日(火) in

 NTNは新たに、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発した。従来の流体動圧軸受に必要とされていた組み付け時の回転方向の確認が不要となるほか、動圧溝がない焼結含油軸受(以下、溝なし軸受)と比べて起動直後からの静粛性や低振動性、低トルク性に優れ、小型モーターやアクチュエーターの静粛性や省エネルギー性の向上、さらにはユーザーの製造コスト削減に貢献する。同社では本開発品について、家電・車載向けモーターや車載電装補機アクチュエーター、冷却ファンモーターなどに提案を進め、2026年度に1200万個/年の生産を目指す。

正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受

 

 家電製品や車載電子機器などに使用される小型モーターやアクチュエーターには、組み付け時に回転方向を選ばない溝なし軸受や転がり軸受が主に使用される。近年、カーボンニュートラル実現に向けて、静粛性や低振動性、低トルク性に優れた流体動圧軸受の適用が拡大しているが、従来の流体動圧軸受は一方向のみにしか回転できないため、組み付け方向の確認が必要となり、ユーザーの製造コストが増加する要因となっていた。

 これに対しNTNでは今回、軸受内径部の表面テクスチャリングを最適化することにより、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発し、同社の焼結含油軸受のラインアップに加えた。組み付け時の回転方向の確認が不要となりユーザーの製造コストが削減できるほか、従来の溝なし軸受よりも静粛性や低振動性、低トルク性に優れた軸受の提供が可能となったもの。

 開発品の特長は以下のとおり。

1.正逆両方向に回転可能:表面テクスチャリングの形状や深さなどをシミュレーション解析で最適化。表面テクスチャリングに対称性を持たせることで、正逆両方向の回転時に動圧を発生させることが可能となったため、軸受の組み付け方向の確認工程が不要となり、ユーザーの製造コスト削減に貢献する

2.静粛性・低振動性:表面テクスチャリングの最適化により、回転直後より動圧を発生させ、油膜形成率100%を実現。一般的な溝なし軸受が軸と接触しやすくなる起動時においても、回転直後から非接触となるため起動時から高い静粛性と低振動性を実現

3.低トルク性:最適化した表面テクスチャリングにより、回転直後から油膜が形成されてトルクが低下し、通常回転時においても、一般的な溝なし軸受と比べて10%のトルク低減を実現

開発品と一般的な溝なし軸受との油膜形成性、トルク、振動値の比較

 

kat

トライボロジー研究会、第35回講演会を開催

2ヶ月 ago
トライボロジー研究会、第35回講演会を開催kat 2025年02日25日(火) in

 トライボロジー研究会(運営委員長:杉村丈一 九州大学名誉教授、事務局:協同油脂)は2月14日、横浜市西区のパシフィコ横浜 会議センターで、「第35回講演会」を開催した。今回は『サーキュラーエコノミーとトライボロジー』をテーマに、以下のとおり行われた。

第35回講演会のようす・開会の辞

杉村丈一氏(九州大学)

 

・KEYNOTE SPEECH

「コマツにおけるリマンビジネスの概要」横山将宣氏(コマツ)

 

・CASE STUDY:SESSION I リサイクル技術

「再生エンジンオイルの検討」植松裕太氏(トヨタ自動車)

「製鉄所の廃油再利用による環境負荷軽減への取り組み」鈴木崇仁氏(JFEスチール)

 

・CASE STUDY:SESSION II サーキュラーエコノミーと潤滑技術

「炭素循環に対応したグリースの開発」廣岡岩樹氏(協同油脂)

「省電費のための低粘度減速機油の開発」石上和訓氏 (ジヤトコ)

「冷間圧延時の摩擦面における量子ドットを活用した潤滑油膜厚さ分布の測定」志村眞弘氏(日本製鉄)

「寿命予測を高精度化するための解析技術の開発」東谷裕子氏 (デンソー)

 

・CASE STUDY:SESSION III サーキュラーエコノミーと寿命予測技術

「ディーゼル機関のピストンの温度推定と寿命予測技術」三田拓朗氏(いすゞ中央研究所)

「循環型社会に貢献する転がり軸受の材料疲労診断および修復技術の開発」小林大輔氏(日本精工)

「X線回折による転動疲労の評価」嘉村 直氏(NTN)

 

・特別講演

「今後の宇宙ビジネスの展望」牧野 隆氏(IHI/IHIエアロスペース)

 

・閉会の辞

西岡 岳氏(福井工業大学)

kat

東京理科大学・佐々木研究室、第27回トライボサロンを開催

2ヶ月 1週 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第27回トライボサロンを開催kat 2025年02日15日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第27回目が2月15日、千葉県佐倉市のDIC 総合研究所で開催された。

第27回トライボサロン開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第27回目となる今回のトライボサロンでは、「nanoMoS2の摩擦低減に関する研究紹介」のタイトルで、DICの小寺史晃氏を講師に話題提供が行われた。

 講演では、nanoMoS2は形状的に粒径D50=250nm、厚さ10nmと小さくて薄く比表面積が高いナノ材料で、構造的には層間距離が狭い3R結晶構造を大量に含有するため、層間へき開が起きやすく潤滑性能に優れることを説明。同社のインク分散技術・プロセスとnanoMoS2の粒子微細化によってより安定した分散性が得られることから、潤滑油添加剤として適用できるとした。nanoMoS2のアプリケーションとして、エンジンオイルに添加することで燃費改善率(FEI)が改善した例や、グリースに添加することで低摩擦・耐摩耗特性が改善する例、MoDTCと併用することでエンジンオイルとグリースにおいて機能が改善された例、さらには固体潤滑被膜に添加することで高荷重下での耐久性が改善した例などを紹介した。

 研究会終了後は、DIC総合研究所に隣接した「DIC川村記念美術館」と同美術館を取り囲む庭園の見学会が行われた。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon

第27回トライボサロン参加者の全体写真:DIC川村記念美術館の見学会

 

kat
Checked
58 分 40 秒 ago
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