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大塚化学とグーテンベルク、材料×機械共創による樹脂3D造形のロボティクス分野への展開を推進

1日 20時間 ago
大塚化学とグーテンベルク、材料×機械共創による樹脂3D造形のロボティクス分野への展開を推進kat 2026年07日30日(木) in

 大塚化学とグーテンベルクは近年、材料×機械共創による樹脂3D造形のロボティクス分野への展開を進めている。ここでは、大塚化学 化学品事業本部/グーテンベルク 取締役の稲田幸輔氏とグーテンベルク 開発部 ハードウェア開発部門 エンジニアリングマネージャーの山口勇二氏に、話を聞いた。
 

写真右から、稲田氏、山口氏


 

1.FFF方式3D造形用の機能性複合樹脂フィラメント

 大塚化学のチタン酸カリウム繊維(TISMO)は繊維長10~20μm、繊維径0.3~0.5μmと極めて微細・高アスペクト比で、高強度・高剛性、優れた摩擦摩耗特性、断熱性、耐熱性、耐薬品性などの特長を有する。そのTISMOの特性と、各種の熱可塑性樹脂の特性を巧みに組み合わせた樹脂複合材料「POTICON:Potassium Titanate Compound、POTICON」は、①極小・超薄肉製品の超精密成形が可能(ミクロ補強性)、②相手材への低い攻撃性と無潤滑での高いしゅう動性、③成形での優れた寸法精度と寸法安定性、④成形品の高い金型転写性と鏡面状態の平滑面、⑤優れたリサイクル性、などの特長を持つ。

 それらの特長から、しゅう動部品や精密部品などで適用を広げてきたPOTICON材料について、2016年頃からは3D造形用材料としての展開を開始。熱溶解積層(FFF)方式の3D造形を選択し開発した「POTICONフィラメント」(図1)は、①造形品のミクロ補強性、②ノズルの摩耗低減、③造形品の優れた寸法精度と寸法安定性、④造形品の優れた表面平滑性、などの利点を提供している。

 以降、材料(POTICONフィラメント)と、ハード(後述の高速3DプリンターG-ZERO)、さらにソフト(スライサーなど)の「三位一体による開発」を重ねる中で、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、そして遂にはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の造形を可能にし、3D造形の生産性(速度・コスト)、品質、強度を向上させ、適用可能な範囲を拡大してきている。

図1 TISMO配合で均一な径・真円度を実現したPOTICONフィラメント


 

FFF方式の高速・高精度3Dプリンター

 山口氏が開発に携わったFFF方式の高速3Dプリンター「G-ZERO」(図2)は、造形の速さを左右する要素の一つであるツールヘッドのノズル最大移動速度が500mm/s、プリントヘッド最大加速度20000mm/s2と、発売から4年経過した現在でも同価格帯の市場にある3Dプリンターの中でもトップクラスの速度と加速度を誇る。

 G-ZEROが高精度部品を短時間で出力できる技術としては、歪みのない高剛性フレーム、ブレの少ない精緻な描画を可能にする軽量ツールヘッド(現在はG-ZEROとPOTICONフィラメントで造形)、そして自動ベッドレベリング(水平出し)の組み合わせ技術などがある。

 G-ZEROシリーズはまた、平坦なエリアでの造形(厚さ0.1mmのA3サイズのシート、目開き100μmのメッシュ、厚さ0.05mmのフィルムの造形など)を可能としている。
 

図2 高速3Dプリンター G-ZERO材料×機械の共創による樹脂3D造形技術の向上 共創の始まりと進展

 POTICONフィラメントの性能を最大限に引き出す造形が可能な3Dプリンターを模索していた稲田氏は2022年、日本複合材料学会主催の3D造形関連ワークショップでグーテンベルクのG-ZEROに出会い、これを機にPOTICONフィラメントとG-ZEROで試作造形し、大塚化学の研究所で造形品の物性を評価する、という共創が始まった。

 2023年にグーテンベルクへの出資が決まり両社での材料・装置開発に着手、2024年には大型部品を分割せずに一発造形できる大型産業用3Dプリンター「G-ZERO L1」を市場に投入した。

材料ロスのないPEEKフィラメントと、実用PEEK造形が可能な高速プリンターの開発

 PEEKは高い機械的特性やしゅう動特性、耐熱性など優れた特長を有するが、材料コストが高価な上、部品化には高い切削加工費用と除去加工に伴う材料の廃棄処理が必要だった。

 これに対し、FFF方式3D造形は廃材が少なく(環境対応)、造形・処理コストの削減が図れる。両社は2025年、実用部品の高速・高精度・高強度造形が可能なPEEK POTICONフィラメント「KT14(ナチュラル色グレード)」「KT14B(黒色グレード)」(図3)と、産業向けで不可欠な造形の繰り返し品質を担保できるPEEK対応プリンター「G-ZERO MP1」(図4)が完成した。 

図3 PEEKPOTICONフィラメント KT14/KT14B


 
 

図4 PEEK対応プリンター G-ZERO MP1

 

 PEEK造形のためのさまざまな工夫を盛り込むことで、PEEKの高速・高精度・高強度造形(XY方向では射出成形品レベルの強度)を実現している。


ロボット分野における樹脂3D造形の展開

 樹脂3D造形の社会実装先として重要なロボット分野では、POTICONフィラメントとG-ZEROを用いてアカデミアとともに早くから各種ロボットの研究開発を進めてきたが、アカデミアを起点にロボット適用の裾野が広がってきている。

樹脂製超軽量ロボット創出に向けたNEDOプロジェクト

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム」において、研究課題「生活空間を含む人との共存環境下でのロボティクス活用に資する革新的アクチュエータ等の構築」が採択。研究テーマは「FFF方式の造形による樹脂製超軽量ロボットの研究開発」で、FFF方式の3D造形技術と複合樹脂材料技術を基盤に、軽量で高強度なロボット部材の製造技術を確立し、人との共存環境下で本質的に安全な次世代ロボティクスへの応用を目指す。

 グーテンベルクがG-ZEROをベースにプリンターの製造・造形条件の最適化を、大塚化学が主に高強度フィラメントの開発を行うことで、高強度部品造形技術の開発を進め、東京科学大学をはじめとするアカデミアが機械特性評価とロボット開発を進める。

次世代ロボット開発支援

 両社は2025年から、NHK高専ロボコンに挑む阿南工業高等専門学校、新居浜工業高等専門学校、高知工業高等専門学校に対し、また「NHK学生ロボコン」に挑む東京科学大学、東京工科大学、東京大学に対し、3D造形技術を活用したロボット製作の協力活動を行っている。大塚化学がPOTICONフィラメントを提供しグーテンベルクがG-ZEROを貸与して、ロボット要素部品の製作を支援、それを通じて各部品の強度評価と繰り返し荷重に対する層間破断の発生メカニズム解析や、力学的な側面からのデータ収集・分析による材料と3D造形部品の特性の解明を実施する。この協力活動を通じて、教育・研究分野や幅広いロボット開発・製造現場での3D造形の利用可能性拡大への貢献を目指す。

 高専ロボコンの支援結果としては、G-ZEROによる高速造形でロボット部品を超短期に開発できる上、PA系POTICONフィラメントによるアルミ部材からの一部代替も可能なため大幅な軽量化が図れ、また構造部材とスライド部材の一体化が可能になったなどの評価があった(図5)。
 

図5 高専ロボコンの阿南高専でのロボット部品造形例
機構の軽量化によってボックスの積み上げにおける可搬重量をアップ

 

 また、学生ロボコンの支援結果としては、PPS系POTICONフィラメントの高速造形部品に置き換えたことで、剛性不足・表面硬度不足・長い加工時間・手間のかかるバリ取り作業といった問題が一気に解決されたなどの評価があった(図6)。
 

図6 学生ロボコンの東京科学大学でのロボット部品造形例

 

 大塚化学はまた、本年8月8日・9日に開催される、災害現場を模したフィールドでの被災者救助のためのロボコン「レスキューロボットコンテスト2026」に冠スポンサー(大塚化学POTICON杯)として協賛している(図7)。参加24チームから競技会予選で選出された12チームが、1/4スケール(模型)の救助競技に挑む。大塚化学は予選24チームの20チームに対してPA系POTICONフィラメントを提供、他社製3Dプリンターを使ったチームもこれまでの材料よりも高強度・高精度な部品が製作できたとの評価を得ている。さらに、選抜された12チームのうち、スライダーやガイドなどのしゅう動性を上げたい、構造部材+スライド部材といった一体化によって小型・軽量化を図りたい、などの具体的で建設的なアイデアを提案した2チームに対し、G-ZEROを貸与して支援する。
 

図7 大塚化学POTICON杯 レスキューロボットコンテスト2026

 

 このほか、日米の学生団体が共同で火星探査ローバーを開発する「KARURAプロジェクト」においても宇宙進出をサポートしている。火星の堆積物を採取するための掘削装置、インホイールモーターのハブのそれぞれを、PPS系POTICONフィラメントとG-ZEROで3D造形、高負荷下での部品の耐久性を確保している(図8)。
 

図8 KARURAプロジェクトでの造形例国産産業用3Dプリンターの次のステージへ

 両社が共創を始めてから3年、高速プリンターG-ZEROは国産産業用プリンターとしての地位を確立し認知度も高まってきている。

 稲田氏は、「G-ZEROはミドルレンジの価格帯で、高精度・高強度造形、PEEK造形が可能とハイエンド級の性能を提供できる。展示会のたびに毎回新機種・新材料を発表し開発の継続性を示せていることも、認知度向上につながっているものと思う」と語る。

 山口氏は、「現在では0.2mmノズルで切削品と同等の高強度・高精度で造形できる。これは、大塚化学での分析・評価支援により材料課題を先行発見し、両社で改善サイクルを迅速に回した結果」と述べる。
稲田氏はまた、「日本発の工業品質のPEEK造形技術を世界市場にアピールし、グローバル展開を図りたい」と意気込む。

グローバル展開: RAPID + TCT 2026展への出展と成果

 両社は本年4月14日~16日に米国ボストンで開催された3Dプリンティングの国際展「RAPID + TCT 2026」に出展した。PEEKに対するリテラシーの高い航空宇宙、半導体・エレクトロニクス、医療機器などに向けたさまざまなアプリケーションを展示したが、何よりもG-ZERO MP1とPEEK POTICONフィラメントを用いた造形デモにおいて、PEEKの高速造形を高い繰り返し精度で可能なことがPEEKリテラシーの高い来場者の注目を集めた。

 同展示会を担当した山口氏は「米国市場では類のない卓上3DプリンターによってPEEKの高精度・高強度造形ができていることが、高く評価された。現地のインフルエンサーによる、PEEK高速造形デモと、後処理なしのPOTICON PEEKで造形されたM3ねじの造形サンプルのInstagramは、60万回以上も再生され、米国、欧州、東南アジアなどからの400件以上の問い合わせに追われている状況」と語る。

 稲田氏は、「海外展開を本格的に進める上では、造形技術のブラッシュアップと並行して、EU安全基準適合CEや米国製品安全規格ULへの適合性評価なども不可欠だ」と述べる。

PEEK造形技術の展開

 PEEKは高い剛性を持ちつつ高い柔軟性(粘り)を有するため、ロボット部品として良好な物性を示すと見られる。

 一方で、すでに切削加工や射出成型でPEEKの使用実績がある半導体・エレクトロニクス向けに、帯電防止機能のある黒色PEEKによる半導体チップ搬送トレイ(図9)の造形などに成功している。帯電防止PEEK造形品は一部顧客で評価を開始、本年末までに正式リリースする予定だ。

 山口氏は、「NEDOプロジェクトやロボコンなど各種の取り組みを通じて進化させた3D造形手法を国内外のユーザーに提供することで、部品製作の時短などユーザーの付加価値向上につなげていきたい」と述べている。
 
 

図9 帯電防止機能のある黒色PEEKによるチップ搬送トレイ

 

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木村洋行、製鉄所・製紙工場など過酷環境でメンテナンス軽減・ダウンタイム削減に寄与する軸受技術を提案

1日 22時間 ago
木村洋行、製鉄所・製紙工場など過酷環境でメンテナンス軽減・ダウンタイム削減に寄与する軸受技術を提案kat 2026年07日30日(木) in in

 製鉄所や製紙工場などの過酷な環境下で使われる軸受は定期的な保全作業が不可欠だが、労働力不足にあって保全に携わる人員も十分ではない。

 こうした中、木村洋行では、軸からの引き抜き不要でダウンタイムを削減できるTimkenの「二つ割れローラーベアリング」や、ミスアライメントと熱膨張の両方に対応するTimkenの連続鋳造機向け「ADAPTベアリング」など、過酷な環境下で使用される軸受の保守作業を軽減するソリューションの提案を強化している。ここでは、これらの軸受技術について、その一端を紹介する。

軸からの引き抜きが不要でダウンタイム削減に寄与する二つ割れローラーベアリング

 製鉄や製紙などの過酷な環境下では、巨大な回転軸を支える重要な軸受のハウジング「プランマブロック」が多用される。プランマブロック自体の分解は二つ割れ構造のため簡易ながら、軸受の交換では、軸から引き抜き、さらに軸受周辺の駆動機器の取り外しなどが必要になる。
これに対しTimkenの「二つ割れローラーベアリング」(図1)は内輪、外輪、保持器を含む軸受構成部品すべてが二つ割れ構造のため、軸から軸受を引き抜くことなく、また軸受周辺の駆動機器の取り外しやシャフトの吊り上げ作業を必要とせずに、軸受を交換できる。プランマブロックなどのハウジング付きベアリングと置き換え可能で、通常の一体型ベアリングユニットに比べ交換・保守時間を最大で90%短縮可能なため、交換時間の短縮による設備のダウンタイム削減によって逸失利益を低減できる。
  

図1 二つ割れローラーベアリング(上)と全部品の分割構造(下)

 

 斜め分割構造の「ペデスタルベース」(図2)により、シャフトの下部へ滑り込ませて交換できるため、シャフトを吊り上げることなく、既存のプランマブロックからの置き換えが可能となっている。
 

図2 斜め割れのペデスタルベース

 

 また、ハウジングの球面で調心し調心時に隙間が生じないため、一般的なプランマブロックよりも高いシール性能を有するほか、シールの種類が豊富で仕様・環境に沿った適切なシールの選定が可能となっている。クリーンな環境向けのフェルトシールから、水中での使用に適した防水シール、セメント工場のようなアグレッシブな環境下での使用に耐えるケブラー製シールも用意されている。

 製鉄所や製紙工場、セメント工場、砂糖精製工場、製粉工場、発電所、埠頭設備、水処理場、船舶などで採用実績を持つが、「トラップド・アプリケーション」と呼ばれるような、軸受が他の部品に挟まれて取り外しが困難な箇所などに最適な軸受技術となっている。
装置としてはコンベアやバケットエレベーター、スクリューコンベア、ファン、ブロアー、クレーン、クラッシャー、キルン、圧延機、連続鋳造機、大型モータ、船舶推進用シャフトなどの軸受で実績が多い。
 木村洋行が2019年ごろの展示会で出展した際には来場者の反応が芳しくなかったのに対し、本年7月1日~3日に開催された「ものづくり ワールド [東京] 2026 機械要素技術展」(図3)で出展したところ、製鉄・製紙分野などを中心に多くの引き合いを得た。コロナ渦を経て、いよいよ労働力不足が顕在化し保守作業の軽減、ダウンタイム削減の要求が高まり、一体型ベアリングユニットに比べ耐荷重性は低くなるものの、従来の軸受がオーバースペックで使われている場合もあり耐久実働時間としては影響がないと見る。木村洋行ではすでに、水の侵入による軸受の腐食に伴う交換作業で課題を抱えていた下水道のポンプ向けなどで採用が決まっているという。
 
 

図3 第38回 ものづくり ワールド [東京] 2026 機械要素技術展」での展示のようすミスアライメントと熱膨張に対応する連続鋳造機向けADAPTベアリング

一方、高温の鉄を扱いロールに溶鋼の高荷重がかかる製鉄所の連鋳機では、設備の安定稼働と鋳片の品質に関わるミスアライメントへの対応に加えて、熱膨張による摩擦トルク増大、さらには焼付きへの対策が求められる。

 これに対しTimkenの「ADAPTベアリング」(図4)は、内輪が円筒ころの構造を、外輪が自動調心ころの構造を有している。内輪で熱膨張による軸方向の移動を逃し、外輪の球面構造で軸の傾きを吸収する(±6mmの熱膨張による軸方向のずれと、±0.5°のミスアライメントを許容)。

 また、ころの脱落を避けるため、ころと保持器が一体型の設計で、ISOの自動調心軸受とのサイズ互換性を有する。

 高温・高荷重環境下での連続運転が必要な場合や、軸の熱膨張やずれが発生する装置、取り付け・交換作業を簡易化したい場合、メンテナンス人員不足の場合といった使用環境でメリットを発揮、製鉄所では連続鋳造機のサポートロール支持部などの、製紙工場では抄紙機のプレスパート・ドライヤーパートなどの自由側軸受として多用されている。
   

図4 連続鋳造機向けADAPTベアリング(上)
内輪および外輪の構造(下)


 

図5 適用イメージ

 

技術商社・木村洋行による最適ソリューションの提供

 木村洋行は技術商社として、TIMKENなどメーカーとの情報交換を密に行い、定期的にトレーニングを受けるなど、製品・技術・アプリケーション情報のアップデートを常に実施している。例えば、二つ割れローラーベアリングを製造するTimken英国ウルヴァーハンプトン工場でのトレーニングでは、二つ割れローラーベアリングの製造方法や検査項目を学び、重点的に見ているポイントから、訴求すべき製品の特長を把握した。二つ割れとするためのカット方法でも特殊な治具を使って高精度にカットされているほか、ユーザーが懸念する割れ目の段差に関しても、割れ目を斜めにカットすることで段差の影響を限りなく低減していて、この部分の断面検査が徹底的に行われていることなどを理解することで、ユーザーの懸念の払拭につなげている。

 木村洋行では引き続き、製品・技術・アプリケーションに関する知見とノウハウを蓄積しつつ、ユーザーとの対話の中でニーズを的確にとらえることで、ユーザーのアプリケーションに最適なソリューションを提供していく。

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SIer協会、ロボットFA関連商品説明会@大宮を開催

1日 23時間 ago
SIer協会、ロボットFA関連商品説明会@大宮を開催kat 2026年07日30日(木) in in

 日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)は7月23日、さいたま市大宮区の大宮ソニックシティで、産業用ロボットシステムに関連するさまざまな製品ツールや技術、サービスなどを紹介する「ロボットFA関連商品説明会」を開催した。当日は関連企業39社による展示会と、フィジカルAI関連およびロボット導入事例などのセミナーが行われた。

展示会のようす

 

 このイベントは、ロボットシステムインテグレータなどの生産設備事業者や、工場などさまざまな生産現場の事業者に向けて、ロボットなどの関連機器や周辺機器の展示を行うイベントで、会場では当日、ロボットシステム構築に関わるさまざまな製品ツールや技術、関連するサービスなどが展示されたほか、実機・モニターなどを使ったデモンストレーションが行われた。

 展示会場では今回、特設コーナー「Step of フィジカルAI」が設けられ、昨今、話題になることが多いフィジカルAIに関する出展が一堂に会した。

特設コーナー「Step of フィジカルAI」のようす

 

 当日はまた講演イベントが設けられ、“フィジカルAIとはどのようなものなのか、今のロボットシステムインテグレーションはフィジカルAIでどう変わるのか、といったテーマで、第一線で活躍する識者がフィジカルAI関連およびロボット導入事例など最新の動向を解説。そのうち特別講演が、以下のとおり行われた。

特別講演1「フィジカルAI入門編~生成AIの次に来る「現実世界で動くAI」~」羅本礼二氏(ソフトバンク 法人COO室 シニアアドバイザー、SIer協会 アドバイザー、経済産業省「AIロボティクス検討会」委員)…フィジカルAIにより、ロボットは「自律的に考え行動する」存在へと進化する。SDR(Software Defined Robot:ソフトウェア定義型ロボット)は、センサーデータ処理やモーター制御などをつなぐROS2(Robot Operating System 2)を中心としたオープンプラットフォームの有効活用によって、ハードウェアを大きく変えずに機能拡張やAI連携を行うことが可能。AIDR (AI Defined Robot:AIで定義・更新するロボット)は、AI×ロボットの融合によって、従来の固定的なプログラムではなく、AIを活用して環境を自律的に認識・学習し、柔軟に機能を最適化・拡張していくことで、高度なタスクを実行できる。Sierは、これまでのスキルを生かしつつ新しいシステムインテグレーターの形を模索することで、既存ビジネス領域において新たなビジネスが生まれ、また、新たなビジネス領域で新たなビジネスが生まれる。従来型ロボット+SDR、AIロボティクスを活用することによって顧客のニーズを形にする、新しい形のSIerが期待されている、と総括した。
 
特別講演2「ヒューマノイドは“労働力”になるのか~フィジカルAIが切り拓く実用化の条件~」加知光康氏(三菱電機 機器事業部Smart Industry Professional、SIer協会 アドバイザー)…フィジカルAIの登場によって、ヒューマノイドは初めて認識・判断・学習能力を獲得した。真の労働力となる条件は、認識・判断・作業・学習・継続稼働の5能力であり、現在のヒューマノイドは作業能力や継続稼働能力に課題を残すものの、初めて人間の労働構造に近づきつつある。ヒューマノイドの実用化はAIだけでは決まらず、知能・アクチュエータ・センサの進化が必要である。この三つの要素のうち、アクチュエータは小型軽量、高出力、高効率化と着実に進化しているため、実用化の鍵を握るのはセンサとシステム知能で、センサとシステム知能に強みのある日本には、大きな勝機がある。ヒューマノイドが社会インフラ化する時代には、AI基盤だけでなくヒューマノイドの主権確保も重要になる。ヒューマノイドは真の労働力になれる可能性が極めて高く、その実現を左右するのが、センサ、システム知能、そして、改善活動、品質文化、熟練技能、生産技術・ノウハウが多数蓄積している日本の製造現場である、と総括した。

特別講演のようす

 

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ELID研削研究会、第105回ELID研削セミナーを開催

3日 22時間 ago
ELID研削研究会、第105回ELID研削セミナーを開催kat 2026年07日28日(火) in

 ELID研削研究会(委員長:大森 整 理化学研究所 主任研究員)は7月17日、東京都板橋区の板橋区立ものづくり研究開発連携センター(MIC-2)でオンサイト参加とオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「第105回:超精密加工・ELID研削セミナー」を開催した。

 当日は大森委員長より開会の挨拶・資料説明、活動報告、ELID研削に関わる最新開発状況・国際状況の報告がなされた後、以下のとおり講演がなされた。

特別講演「ELIDを源流とする超精密加工の流れ‼ 理研から広がるものつくり・超精密加工の輪」林 偉民氏(群馬大学)…超精密マイクロファブリケーションやハイブリッド加工プロセスといったこれまでの研究内容の紹介と理研との関わり、さらには群馬大学理工学部の先端加工技術について紹介した後、自転/公転型研磨法の研究や、加工空間の熱流体工学的考察に基づく研削加工の高度化、工業ロボットによるローラーヘミングの研究(ロボットの先端に取り付けたローラーを回転させながら金属板のエッジを押し曲げ、2枚の板を重ね合わせて接合・固定する機械的接合方法)について紹介した。

特別講演を行う林氏

 

話題講演「乾式電解研磨の最前線‼ オーステナイト系ステンレス鋼の複雑3次元形状に対する乾式電解研磨」木津晃平氏(慶應義塾大学)…オーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lは、その耐食性から近年、金属3Dプリンター素材として注目され3次元形状の需要が高まっている。しかしながら機械研磨、エッチング、湿式電解研磨といった3次元形状の従来仕上げ加工法にはいずれも課題が残る。そこで電解粒子中で自転と公転を行うことで研磨する「乾式電解研磨」を用いて、複数の形状がついたSUS316Lの表面仕上げを実施、パルス時間比など各種因子の寸法・表面粗さ・堆積物への影響を調査した。

話題講演を行う木津氏

 

最新報告「ELID研削による機能性表面創成の基礎研究‼ ELID研削における粗粒砥石による光散乱表面創成の試み」大森 整委員長…ELID研削においてはこれまで、粗粒度のメタルボンド砥石を用いてAlやSUS、Ti材に対し研削痕を意図的に残して光散乱機能を持たせ意匠性を付与する試みがなされ、例えばコンパクトカメラの筐体にエンボス加工されたロゴやトレードネーム表面へ研削痕を付与するなどの実用化・量産化の実績がある。光散乱機能には、反射型のみならず透過型もあり、型材になり得る被削材に対し、粗粒度の砥石を用いて表面創成することが考えられることから、今回、粗粒度の電着砥石を用いて研削痕を付与する試みを行い、加工面性状を確認した結果、Al材に対し粗粒度の電着砥石によりELID研削を実施したところ、研削痕をはっきりと形成できた。また、SUS材に対し粗粒度の電着砥石によりAl材と同様の条件でELID研削を実施したところ、研削痕は形成できるが、Al材に比べ光沢のある表面が得られた。Al材の加工面は光沢は見られず、光散乱機能が期待できる。送りピッチを小さくすると加工面粗さは小さくなる傾向にあり、Al材の加工面にははっきりと研削痕が形成されていることから、樹脂に転写して透過型散乱板の形成も期待される、と総括した。

最新報告を行う大森委員長

 

 当日はまた、「第2回ELID研削賞」の贈呈式が行われ、群馬大学・林 偉民氏が功労賞を受賞した。

贈呈式のようす:大森委員長(左)と功労賞受賞の林氏(右)

 

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Rtec-Instruments・國井卓人氏の博士論文公聴会が実施

1週 1日 ago
Rtec-Instruments・國井卓人氏の博士論文公聴会が実施kat 2026年07日23日(木) in

 Rtec-Instruments日本法人社長で東京理科大学 博士後期課程の國井卓人氏の公聴会(博士論文公開審査会)が7月17日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスで行われた。

 公聴会では國井卓人氏が、「e-Axleにおける耐マイクロピッチング評価試験法に関する研究」と題する博士論文研究の成果について、研究指導教員の佐々木信也教授、酒井健一教授ら審査委員、一般聴衆の前で発表し、その後、質疑応答が行われた。

 論文では、新しい試験機を開発してe-Axleを想定した歯車表面疲労挙動を高速・潤滑・電気要因の観点から段階的に明らかにするという研究の目的から、従来の歯車試験機では難しかったSRR(すべり率)や接触条件の独立制御、潤滑供給状態・高速条件の再現、電気的要因を含めた評価などを可能にする三円筒型ローラーピッチング試験機の開発、e-Axle油潤滑下におけるマイクロピッチング挙動に及ぼすSRRの影響評価、開発した三円筒型ローラーピッチング試験機によるマイクロピッチングの評価、三円筒型ローラーピッチング試験機による電食・マイクロピッチングの複合評価について、結果および考察を報告した。

 e-Axleにおける耐マイクロピッチング評価用試験機を新たに開発することで、既存試験では不可能だったe-Axleにおける高速・高負荷、潤滑方法、電食総合評価を実現、これにより①e-Axle用潤滑油のマイクロピッチング挙動、②潤滑供給条件がマイクロピッチングに及ぼす影響、③DC電源(アノード/カソード)での表面電食、電食/マイクロピッチング複合条件下における損傷モードの変化をとらえることができる、という新規性について訴求した。今後のEV(e-Axle)における研究および評価技術の発展に寄与できる研究成果であることを強調した。                                                                                                                                                                                       

公聴会で博士論文研究の成果について発表する國井氏

 

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イグス、「佐原の大祭」の山車向けに樹脂製軸受を提供、担い手不足での操作負担軽減に貢献

1週 3日 ago
イグス、「佐原の大祭」の山車向けに樹脂製軸受を提供、担い手不足での操作負担軽減に貢献kat 2026年07日21日(火) in

 イグスは、少子高齢化や担い手不足が全国の祭礼で課題となる中、ユネスコ無形文化遺産「佐原の大祭」夏祭りに参加する田宿区の山車の車軸向けに、高機能樹脂製すべり軸受「イグリデュール」を提供し、操作負担の軽減に向けた技術支援を行った。採用した山車は本年7月10~12日に開催された祭礼で運行され、操作性や走行性の向上により、少人数での運行や祭礼運営の負担軽減に寄与した。

佐原の大祭で曳き回される田宿区の山車(2025年撮影)

 

 佐原の大祭は、約300年の歴史を持つユネスコ無形文化遺産で、地域住民によって受け継がれてきた伝統行事だが、近年は、全国の祭礼と同様に少子高齢化や人口減少に伴う担い手不足が課題となっており、祭りに参加する若年層は年々減少、山車の運行や維持管理を担う人材の確保が難しくなっている。特に佐原の大祭で曳き廻される山車は、高さ約8m、重量約5tにも及ぶため、方向転換には多くの人手を必要とし、車軸部分の摩耗対策や給油などの維持管理も欠かせないほか、近年は夏場の猛暑も加わって従来と同じ方法で祭りを続けていくことが困難になっている。

 こうした中、イグスは田宿区の山車向けに高機能樹脂製すべり軸受イグリデュールを提供、車軸部にイグリデュールを採用した状態で3日間の祭礼運行を実施した。山車は大きなトラブルなく運行され、方向転換時の操作性や走行性についても高い評価が得られ、祭りに参加する田宿区の関係者からは「抵抗がこんなにも減るなんて驚いた」、「(イグリデュールを使用するようになって)以前よりも格段に動きやすくなった」、「革新的な技術」といった声が寄せられた。

 田宿区では2018年から潤滑剤不要で軽量・摩耗に強いイグリデュールの試験導入を開始。イグスは、軸受の選定やサイズ提案、技術的なアドバイスを行い、地域の祭り関係者とともに車軸構造の検討や前輪・後輪のクリアランス調整などを進めた。試行錯誤の末、2025年7月に田宿区は山車の四つの車輪すべての車軸部へ本格導入、伝統的な山車の外観を変えることなく、大幅な操作性向上を実現した。

 具体的には、イグリデュールの採用により、従来の木材と金属の車軸のみの組み合わせと比べ、山車の走行や方向転換が格段に軽く、スムーズになされた。時間当たりの走行距離は約1.5~2倍となり、これまで半日かかっていたコースを約1時間半で走行できるようになった。これにより、祭りの運営に必要な負担軽減や少人数での運行を支える環境づくりにつながった。

 イグリデュールを適用した今回の取り組みを通じて、伝統的な山車の姿や文化的価値を変えることなく、運営負担の軽減や操作性向上につなげられることが確認された。実際に、田宿区での導入をきっかけに、佐原の大祭の他町内や茨城県潮来市をはじめとする周辺地域の祭礼関係者からも関心が寄せられており、導入事例は徐々に広がり始めている。

 イグスでは、「少子高齢化や担い手不足は全国の祭礼に共通する課題。今回田宿区で実現した“伝統を守りながら見えない部分を改善する”という取り組みを、伝統文化の継承モデルの一つとして広く発信し、各地の祭礼や地域文化の継承に貢献していきたい」とコメントしている。

山車の車軸に使われているイグリデュール

 

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NTN EUROPE 、フランス・アヌシーに新本社・研究開発センターを開設

1週 3日 ago
NTN EUROPE 、フランス・アヌシーに新本社・研究開発センターを開設kat 2026年07日21日(火) in

 NTNの連結子会社で、欧州地域でベアリングなどの開発、製造、販売を行うNTN EUROPEは、フランス・オートサヴォア県アヌシー市に本社新社屋および研究開発センターを開設し、7 月9 日に開所式を開催した。

NTN EUROPE 本社・研究開発センター

 

 新拠点は、アヌシー市の再開発計画と連動した資産活用の一環として保有資産を再編し、整備したもので、欧州事業の競争力強化と経営効率の向上を支える基盤となる。これまで複数の建物に分散していた本社機能や事業部門、研究開発部門を集約し、事業運営の効率化と開発力の強化を図る。

 新社屋は、「なめらか」を象徴する「調和」「流動性」「シームレスなコラボレーション」をコンセプトに設計されています。オープンスペースやコラボレーションエリアを備え、知識や情報の共有を促進するとともに、部門や専門領域などの垣根を越えた協働やイノベーションの創出を支える。また、断熱性に優れた木造構造や高い採光性を備えた屋根を採用することで、エネルギー使用量の低減を図っている。さらに太陽光発電の活用や雨水回収システムの導入など、環境にも配慮した設計としており、NTNが目指す持続可能な社会の実現と、イノベーション創出を支える拠点となっている。

木を基調とした開放感あふれるオフィス空間

 

 開所式には、オートサヴォア県知事やアヌシー市長、駐フランス日本国特命全権大使の鈴木秀生氏をはじめとする行政・自治体関係者、取引先などが出席。NTNグループからはNTN CEOの鵜飼英一氏、欧州地区担当執行役の髙橋靖明氏、NTN EUROPE CEO のドミニク・ラヴィラ氏らが出席した。

来賓およびNTNグループ関係者によるテープカット


 式典で、NTNの鵜飼CEOは、新本社の開設がNTNグループにとって重要な節目であると述べ、欧州における事業基盤の強化と将来の成長を支える拠点への期待を示すとともに、顧客や取引先、地域社会との連携を深めながら、持続的な価値創出に取り組む考えを示した。

NTN・鵜飼CEOによる挨拶

 

 続いて、NTN EUROPEのラヴィラCEOは、新拠点について、事業・技術・環境・人材の各分野で進めてきた変革を象徴するものと述べ、NTNグループのビジョン「Make the world NAMERAKA」のもと、協働とイノベーションを通じて欧州における持続的な成長と競争力強化を目指す決意を表明した。

 また、来賓を代表して、駐フランス日本国大使の鈴木氏からは、NTNグループがフランスの産業発展や脱炭素化に貢献してきたことへの評価とともに、新本社が地域社会および日仏経済関係のさらなる発展につながることへの期待を込めた祝辞が寄せられた。

駐フランス日本国特命全権大使の鈴木秀生氏による祝辞


 NTNグループでは、「今後も欧州における事業運営および技術開発の強化を図るとともに、顧客や取引先、地域社会とともに持続可能な社会の実現に貢献していく」とコメントしている。

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bmt2026年7月号「特集:ロボティクス」「キーテク特集:設備管理技術」7/24発行!

1週 3日 ago
bmt2026年7月号「特集:ロボティクス」「キーテク特集:設備管理技術」7/24発行!admin 2026年07日21日(火) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第61号となる2026年7月号が7月24日に小社より発行される。

 今号は、「特集:ロボティクス」と「キーテク特集:設備管理技術」で構成。特集「ロボティクス」では、フィジカルAI実装に関する最近の話題から、超薄型ボールベアリング・電動アクチュエータの技術とロボティクスへの適用、フィジカルAI活用に向けた独自センサ技術によるデータ構築の取り組み、材料×機械共創による樹脂3D造形のロボティクス分野への展開について、それぞれ紹介する。

 また、キーテク特集「設備管理技術」においては、設備の予兆保全につながる技術として、アコースティックエミッション(AE)計測の進展と応用展開について、また、エッジAIによる設備の状態監視技術について、それぞれ紹介する。

 

特集:ロボティクス

◇フィジカルAI実装に関する最近の話題・・・編集部

◇超薄型ボールベアリング・電動アクチュエータの技術とロボティクスへの適用・・・木村洋行 足立 健太 氏に聞く

◇フィジカルAI活用に向けた、独自センサ技術によるデータ構築の取り組み・・・DIC 森 耕太郎 氏に聞く

◇材料×機械共創による樹脂3D造形のロボティクス分野への展開・・・大塚化学/グーテンベルク 稲田 幸輔 氏、グーテンベルク 山口 勇二 氏に聞く

キーテク特集:設備管理技術

◇アコースティックエミッション(AE)計測の進展と応用展開・・・神奈川大学 長谷 亜蘭

◇エッジAIによる設備の状態監視技術・・・TDK Edge AI BDに聞く

連載

注目技術:製鉄所・製紙工場など過酷環境における、メンテナンス軽減・ダウンタイム削減に寄与する軸受技術・・・木村洋行/ Timken

トップインタビュー・・・オイレス工業 坂入 良和 氏に聞くに聞く

トピックス

日本トライボロジー学会、トライボロジー会議 2026 春 東京を開催、70 周年記念特別フォーラムを実施

日本トライボロジー学会、第71期会長に佐々木信也氏(東京理科大学)が再任

日本トライボロジー学会、2025年度学会賞の表彰式を開催

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特集:ロボティクス

◇フィジカルAI実装に関する最近の話題・・・編集部

◇超薄型ボールベアリング・電動アクチュエータの技術とロボティクスへの適用・・・木村洋行 足立 健太 氏に聞く

◇フィジカルAI活用に向けた、独自センサ技術によるデータ構築の取り組み・・・DIC 森 耕太郎 氏に聞く

◇材料×機械共創による樹脂3D造形のロボティクス分野への展開・・・大塚化学/グーテンベルク 稲田 幸輔 氏、グーテンベルク 山口 勇二 氏に聞く

キーテク特集:設備管理技術

◇アコースティックエミッション(AE)計測の進展と応用展開・・・神奈川大学 長谷 亜蘭

◇エッジAIによる設備の状態監視技術・・・TDK Edge AI BDに聞く

連載

注目技術:製鉄所・製紙工場など過酷環境における、メンテナンス軽減・ダウンタイム削減に寄与する軸受技術・・・木村洋行/ Timken

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国際動力伝達・制御技術展「PTC ASIA 2026」が11月3日~6日に中国・上海で開催

2週 1日 ago
国際動力伝達・制御技術展「PTC ASIA 2026」が11月3日~6日に中国・上海で開催kat 2026年07日17日(金) in

 「第30回PTC ASIA(国際動力伝達・制御技術展)が本年11月3日~6日、中国・上海の上海新国際博覧センター(SNIEC)で開催される。今回のPTC ASIAにはすでに1100社以上の企業が出展を申し込んでおり、産業を支える血液と神経である世界のパワートランスミッションとコントロール技術が一堂に会する。

 

 北京で1991年に第1回PTC ASIAが初めて開催されて以降、同展は大きく成長し、35年目となる現在、アジア第1位、世界第2位の規模を誇るパワートランスミッションとコントロール技術の専門展示会に位置付けられている。2025年には展示規模が11万m2を超え、来場者の質、量ともに向上。PTC ASIAの海外からの来場者は前年比41.2%急増し、136の国と地域から海外バイヤーが来場した。 

 今回のPTC ASIA 2026は、中国の新しい工業化に向けた国家戦略「第15次五カ年計画」や中国の工業情報化省が掲げるプロセス産業の自動化への推進に対応、特別ゾーンを大幅にアップグレードした。 従来からの「高度技術中小企業ゾーン(別名:リトル・ジャイアント企業展示エリア)」を拡充、また「電動アクチュエータゾーン」を設立し、関連業界の高度化を後押しする。

 「高度技術中小企業ゾーン」には、工業情報化省(MIIT)が認定した「製造チャンピオン」企業をはじめ、高い専門性と高度な技術を保有する中小企業が多数集結し、高精度部品、コアコンポーネント、主要基礎材料における最新の成果を一堂に紹介、高度化する「メイド・イン・チャイナ」の実力をアピールする。「電動アクチュエータゾーン」では、電動アクチュエータ、サーボ制御、インテリジェント駆動などの分野における高精度・高効率・スマートな製品やソリューションを一堂に紹介する。

 「高度技術中小企業ゾーン」と「電動アクチュエータゾーン」は、それぞれホールE6(油圧)およびホールE7(空圧)の中核エリアに設置され、出展企業には、「ハイテク・カンファレンス」での5~10分間の会場内新製品発表時間のほか、展示会前・開催中・終了後の全期間に特別なプロモーションサービスが提供される。

 また、「ハイテク・カンファレンス」には、中国のトップクラスの専門家や学者、そして業界をリードする企業の技術リーダーが一堂に会する。主要部品の中国国産化、低炭素・省エネ技術の導入、インテリジェント制御の最先端におけるブレークスルー、ハイエンド機器産業の高度化といった、業界の中核となる注目トピックや政策の方向性に焦点を当てる。「ハイテク・カンファレンス」は、中国国内のパワートランスミッションとコントロール分野において、最高水準かつ最も専門的で、影響力のある学術・産業交流プラットフォームの構築を目指している。

 会議会場に隣接して設置される「ハイテク展示エリア」では、中国国内トップクラスの大学や研究機関による独自の研究成果、専門性が高く高度な技術を持つ中小企業の画期的な技術、そして業界リーダーによる最新の製品や最先端のソリューションが一堂に会する。

 PTC ASIA 2026の会期中は、出展企業による新製品発表、技術プロモーションセッション、ビジネスマッチング商談会など、一連のイベントが開催。PTC ASIAでの対面のコミュニケーションや商談の機会を通じて、需要と供給の的確なマッチング、企業の市場参入の拡大、国際協力の深化を実現し、出展者と来場者にウィンウィンの成果を達成できるよう、主催者による支援がなされる。

 PTC ASIA のシニア・プロジェクト・マネージャーのJimmy Yang氏は、「本年11月3日~6日まで上海新国際博覧センター(SNIEC)で開催されるPTC ASIA 2026は、アイデア、技術、ビジネスチャンスが交差する国際イベント。日本を含む世界中の業界関係者のご参加を心よりお待ちしている」と呼びかけている。

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メカニカル・サーフェス・テック主催講演会「モビリティにおけるトライボロジー・ドライコーティングの技術と適用 」

2週 1日 ago
メカニカル・サーフェス・テック主催講演会「モビリティにおけるトライボロジー・ドライコーティングの技術と適用 」 in admin 2026年07日16日(木) in in

 当社編集部は11月13日、東京都丸の内で講演会「モビリティにおけるトライボロジー・ドライコーティングの技術と適用」を開催します。

 本講演会では、トライボロジー技術(摩擦・摩耗・潤滑技術)ならびにトライボロジー特性や装飾性など基材表面にさまざまな機能を付与できるドライコーティング技術のモビリティにおける適用について、第一線でご活躍の講師の方々にご講演をいただきます。トライボロジーおよびドライコーティングの新しい適用を模索すべく、交流会を含めて、皆さまのご参加をお待ちしております。

主催:株式会社メカニカル・テック社 『メカニカル・サーフェス・テック』編集部
開催日時:2026年11月13日(金)
講演会:13時~17時(開場:12時30分)
交流会:17時~19時
会場:TKPガーデンシティPREMIUM東京駅丸の内中央 (東京都千代田区丸の内1-9-1 丸の内中央ビル 12階)ホール12A
参加費用:37,950円(税込み、資料代、交流会参加費含む)

プログラム(予定) ※各講演後に質疑応答の時間を設けております
                        ※※都合により講師の方が変更になる場合があります。ご了承ください

・13:00~13:40 「水素エンジンなど将来パワートレーン研究とトライボロジー」トヨタ自動車株式会社 パワーソース先行開発部 自動車用内燃機関技術研究組合(AICE) 研究部 専門技術者 村上 元一 氏

・13:45~14:25 「自動車におけるナノ膜コーティング技術の開発と適用展開」サクラ工業株式会社 先行開発課 高橋 尚久 氏(元ヤマハ発動機株式会社 材料技術部)

・14:30~15:00 表面改質関連の計測評価メーカーによるショートプレゼン①

・15:05~15:25 休憩

・15:25~15:55 表面改質関連の計測評価メーカーによるショートプレゼン②

・16:00~16:40 「自動車におけるDLCコーティングの技術、メカニズム解明と適用展開」マツダ株式会社 技術研究所 次世代環境技術研究部門 河口 健太郎 氏

・17:00~19:00 交流会

【お申し込み方法】
以下の受付フォームよりお申し込みください。

お申込みはこちらよりお願いいたします(googleフォーム)。 

問い合わせ先
株式会社メカニカル・テック社 TEL:03-5829-6597 E-Mail:info@mechanical-tech.jp

昨年の開催のもよう

 

admin

日本精工、8月6日に小学生向けモノづくり体験イベントを開催

2週 2日 ago
日本精工、8月6日に小学生向けモノづくり体験イベントを開催kat 2026年07日15日(水) in

 日本精工(NSK)は、神奈川県藤沢市内在住の小学3年生から6年生を対象とした体験型イベント「ベアリングで遊ぼう!夏クラフト教室!」の参加者募集を開始した。本年8月6日にNSKグローバルトレーニングセンター(神奈川県藤沢市)で開催する。

 本イベントでは、自動車や産業機械など幅広い分野で使用されているベアリングを車輪部分に活用しオリジナルのミニカーを制作。子供たちは実際に手を動かしながら工作に取り組むことで、自分だけのミニカーを完成させることができる。また、モノづくりの面白さや工夫することの大切さ、機械部品の役割を学ぶことができる。

 NSKでは、地域社会とのつながりを大切にしながら、次世代を担う子どもたちが科学や技術に興味を持つきっかけづくりに取り組んでいる。

個性豊かなオリジナルのミニカー

 

 イベントの概要は以下のとおり。

・名称:ベアリングで遊ぼう!夏クラフト教室! designed by znug design

・対象:藤沢市内在住の小学3年生~6年生

・日時:2026年8月6日(木)10:00~11:30(受付開始9:30)

・内容:ベアリングを活用したオリジナルミニカーづくり体験

・定員:24名

・会場:NSKグローバルトレーニングセンター

 (所在地:〒251-0053 神奈川県藤沢市本町3-6-14)

・参加費:無料

・申込期間:2026年7月10日(金)~7月24日(金)

・申込方法:下記URLまたは二次元コードより
 https://forms.office.com/r/EftpG0atRd

・申し込み・問い合わせ先:

 日本精工株式会社「ベアリングで遊ぼう!夏クラフト教室!」事務局 TEL:0466-21-3124

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TDK、エッジAIによる設備の予知保全技術を提案

2週 2日 ago
TDK、エッジAIによる設備の予知保全技術を提案 in kat 2026年07日15日(水) in 機械の適切な状態監視で故障の予兆を検知する予知保全の重要性

 自動車やエレクトロニクスをはじめとする製造現場において、生産機械の予期しない故障は、生産の休止時間(ダウンタイム)を発生させ、生産ライン全体に連鎖的な遅延を生じさせる。また、故障箇所の特定と交換部品の調達、部品交換と、予定外のコスト増加につながる。

 こうしたことから機械設備の予期せぬ故障を防ぐべく、保全担当者が定期的な点検や部品交換により故障を未然に防ぐ「予防保全(Preventive Maintenance、PM)」を実施するケースが多いが、この予防保全は、時間や稼働時間を基準に部品の良し悪しにかかわらず一定期間ごとにメンテナンス(部品交換)を実施する「定期保全(Time Based Maintenance、TBM)」と、センサなどで振動や温度、音などの状態を監視し、故障の兆候があるときにメンテナンスを実施する「状態監視保全(Condition Based Maintenance、CBM)」に大別される。

 かつて多くの企業で実施されてきた定期保全(TBM)だが、生産機械の軸受などの可動部品は運転条件や環境によって摩耗など損傷の進展具合が異なる。一定期間で部品を交換するTBMでは、全く損傷していない部品を交換してしまうという資源のロスや、部品交換に伴う時間・労働力のロスにつながることがある。TBMではまた、逆に交換時期が遅れることにより、機械の突発停止を招く恐れもある。

 このため近年、多くの製造現場において、ISOベースの振動のしきい値など、事前に定義された障害信号を追跡する状態監視保全(CBM)が用いられている。このCBMシステムは、個々の機械設備の稼働データに基づいたアプローチを提供することで、TBMで懸念される資源ロスや突発停止を減らす可能性はあるものの、故障の前兆を認識することでタイムリーかつ正確なサービス提供を可能にする「予知保全(Predictive Maintenance、PdM)」システムとしては、不十分な場合が少なくない。このCBMシステムは機械固有の動作や負荷や稼働状況の変化を考慮していない、事前定義されたパラメータ(ISOベースの振動のしきい値など)に大きく依存しているため、微妙な故障パターンを見逃し、機械設備の故障を招く可能性がある。

 これに対しTDKでは、故障の前兆を認識することでタイムリーかつ正確なサービス提供を可能にする予知保全(PdM)技術に着目。生産現場でリアルタイムの機械の状態監視と予知保全を可能にする、エッジAIプラットフォーム「edgeRX™」を開発・提供している。

 ここでは、異常検知の遅れを最小限に抑え、クラウド接続への依存度を低減することで、データのプライバシー、信頼性、応答性を向上させ、より迅速な予知保全を可能にする、TDK独自開発のエッジAI(人工知能)プラットフォーム「edgeRX™」について、その多くの利点と幅広い適用事例の一端について、センサデバイスを起点としたエッジAIソリューション事業の創出・拡大を担うTDKの成長領域の組織Edge AI BDに、話を聞いた。

エッジAIの活用による利点

 従来の監視ソリューションは、大量の生データをクラウドに送信して分析・処理する必要があることから、帯域幅と電力を消費するだけでなく、検知と対応に遅延が生じる課題があった。

 これに対しエッジAIは、センサ自体にAIを直接組み込むことでこれらの課題を解決。過去の機械の動作に基づいてトレーニングされた機械学習モデルがローカルで動作、クラウドとの継続的な通信を必要とせずに、振動、温度、または動作パターンの異常を検出できる。推論がクラウドではなくセンサ上で行われるため、予測システムの応答性が大幅に向上すると同時に、データセキュリティも向上するほか、バッテリー寿命が延び、ネットワークリソースが節約される、など多くの特長を有する。

 しかし何といってもエッジAIベースのシステムの最大の利点は、時間の経過とともに学習し適応していく能力で、機械が故障につながる微妙な動作の変化(異常な振動周波数など)を示した場合にAIアルゴリズムがそのパターンを認識し、同様の問題が再び発生した場合にシステムがその兆候を認識できることだ。良性の異常と真の故障の前兆を区別する能力を向上させることで、誤検知の数を減らせるほか、より正確な障害箇所の特定が可能になり、保全技術者を機械が壊れる前に、故障の可能性のより高い箇所へと配置できる。

TDK独自開発のエッジAIプラットフォーム edgeRX™

 このエッジAIプラットフォームとしてTDKが独自開発したのが、同社が得意とする高精度センサと高性能AIが設備の微小な振動の変化を検知する予知保全(PdM)ソリューションで、ハードウェアとソフトウェアが統合されたトータルソリューションである「edgeRX™」だ。エッジAIアルゴリズムでセンサデータをリアルタイム分析、設備機器やインフラの状態を常時監視し、性能問題や故障を予測することで、メンテナンスコストを削減するほか、計画外のダウンタイムをゼロにできる。

  edgeRX™プラットフォームには、クラウドバックエンドで完全に自動化されたセンサ、ゲートウェイ、機械学習AIが含まれている(図1)。仕組みは次のとおり。

・データ収集:TDK SensEIの専門家が製造環境を評価し、データ収集のためのセンサの配置を推奨

・モデル生成および展開:設置後、すぐにデータ収集が開始される。収集されたデータは分析され、まずはAIモデルのトレーニングのために使用される。AIモデルの展開後は、機械の動作状態、すなわち「健全な」状態を判断。劣化または故障が発生すると、「異常」としてフラグが立てられる。edgeRX™ AIは、マルチクラスの異常検出を実行し、さまざまな障害状態(緩み、キャビテーションなど)を正確に識別できる。問題が検出されると、センサはゲートウェイデバイスへ警告を送信し、ゲートウェイデバイスがシステムに潜在的な問題を通知する。一定期間経過後にAIモデルが生成され、センサモジュールへ展開される。トレーニング済みのAIモデルは、センサ(エッジ)にインストールすることが可能。展開されたモデルの機能は、学習を重ねるにつれ、時間の経過とともに向上する

 また、edgeRX™の利点は以下のとおり。

・リアルタイム意思決定:エッジAIがデータをローカルで処理することにより、リアルタイムな意思決定を可能にする。これは、産業オートメーションのような即時の対応が求められるアプリケーションにおいて非常に重要

・帯域幅効率:エッジAIがクラウドに送信する必要があるデータ量を削減することにより、帯域幅の利用が最適化され、リソースコストも低減される

・プライバシーとセキュリティ:データをエッジデバイス上に保持することで、機密データのネットワーク経由での送信や集中型クラウドサーバーへの保存の必要がなくなり、プライバシーやセキュリティが強化される

・コスト効率:データをローカルで処理することで、エッジAIがクラウドコンピューティングのリソースやデータ転送にかかる費用を削減できる

 すでに、さまざまな産業機械が使用されるTDK自社工場をはじめとする各種のものづくり現場やスマートファシリティー、プラントなどでPoC(Proof of Concept、概念実証)や実用化がスタートしている。

図1 edgeRX™の構成 edgeRX™の導入事例

 上述の利点からTDKのエッジAIプラットフォームedgeRX™は、幅広い業界で活用が始まってきている。

 例えば、造船、港湾、大型施設、浄水場、各種プラントなどの広大な施設・大型設備を有する分野では、保全に際して長距離の移動を伴うが、人手不足という製造業全般にわたる課題から、遠隔かつ効率的な監視への関心が高い。大型設備に限らず、すべてのものづくり現場において、回転機械の故障予知が熟練者の経験・勘頼みで、客観的データ判断が困難という課題がある。従来のISOしきい値監視は現場の外乱(ノイズ)のために異常検知が難しく、ベアリング摩耗などの兆候を早期発見できず突発停止に至るリスクがある。外乱のない静かな環境でないと機能がしづらく、実稼働環境での信頼性が低いと言える。

 こうした課題に対しedgeRX™では、AIにより正常・異常パターンを学習・識別し、故障予兆を早期に検知できる。短期間のデータ収集・学習で正常パターンを把握し、正常パターンと実際の設備の稼働状態との乖離を監視。ベアリング摩耗やミスアライメント、アンバランス、部品の緩みなどの兆候を故障前に捉えることが期待される。

導入事例1:TDK国内工場におけるガイドローラ軸受の状態監視(図2)

 TDK国内工場では、ロール・トゥ・ロール工程で多数のガイドローラが使われ、ガイドローラを支持する「ころ軸受」の状態が把握しづらいという課題があり、軸受故障が工場全体の停止を引き起こし、大きな損失を招くリスクがあった。

 これに対し、edgeRX™を導入し、工場内の全ガイドローラ軸受を継続的に監視。センサとAIにより軸受の性能を常時解析し、早期に異常兆候を検出した。リアルタイムの状態監視と予知保全(PdM)により、予期せぬダウンタイムと保守コストを低減し、工場の稼働率と生産性を向上させるという実績が得られている。
 

図2 ガイドローラ軸受の状態監視

 

導入事例2:TDK 国内工場におけるモーターの健康監視(図3)

 TDK 国内工場では、複数のモーターの状態が不明で、故障による生産停止リスクが存在する課題があった。

 これに対し、edgeRX™を配備し、全モーターの異常を継続的に監視。AIによる解析で振動・温度などの異常を検出した。結果として、マウントの圧縮によるアンバランスを検知して事故を未然に防止。予知保全(PdM)により突発的な停止と保守費用を削減し、連続稼働を確保した。
 

図3 モーターでのedgeRX™設置例今後の適用拡大への期待

 TDKでは、得意とする高精度センサからクラウド、AIアルゴリズムまで全て自社開発の一貫提供を行っており、ハードからソフトまでワンストップでの信頼性とサポート体制を確保している。AIが「正常稼働」「停止」などの状態を自動クラス分けして誤報を減らし、正確な監視を実現する機能も重要なポイントである。

 TDKのエッジAIプラットフォーム edgeRX™において、AIはしきい値監視ではなく正常パターンとの差分(乖離)を監視、外乱に強く設備の稼働状態の微細な変化を捉えることを可能としている。乖離増大を検知した際には、周波数データなどを詳細分析し、異常原因(ベアリング摩耗、ミスアライメントなど)を推定できる。通常の作業では、生波形のみでは難解な波形データを見て難しいアルゴリズムを選び、しきい値を自動で調整するといった煩わしさを伴うが、高性能なエッジAIが自動で正常状態を学習、表示されたAI判定値で簡単に状態を把握できる(4)。

図4 生波形(上)とAI判定値(下)

 

 TDKのedgeRX™は、AI導入で客観的かつ早期の異常検知を実現し、熟練者の属人的スキル依存からの脱却が可能で、保全の標準化と効率化が図れる。日本では産業分野のAI活用が未成熟との認識があり、本ソリューションが先進的取り組みとして現場課題を解決することが期待されている。
 なお、TDKではこのほど、大きな費用をかけずに予知保全ソリューションの導入~評価をスムーズに開始するためのオールインワンパッケージとして、edgeRX™センサ10台(買い切り)・edgeRX™ゲートウェイ1台(買い切り)、およびAIライセンス/ダッシュボード(6カ月分)からなる「edgeRX™スターターキット」図5)をリリースした。「edgeRX™を試してみたいが、簡単にテストできるパッケージが欲しい」、「本格的な予知保全ソリューションのPoCやフィジビリティスタディを始める前に現場で事前検証したい」といった多くのユーザーの要望に応えて投入された。スモールスタートでの導入や予知保全ソリューションの検証用に使用できるキットとして、ぜひ活用をいただきたい。

図5 edgeRX™スターターキット

 

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THK、カムフォロアとローラーフォロアのラインアップを拡充

2週 4日 ago
THK、カムフォロアとローラーフォロアのラインアップを拡充kat 2026年07日13日(月) in

 THKは、カムフォロア「CFS-A形」とローラーフォロア「NART形」のラインアップを拡充、ミニチュア形番や外輪形状のバリエーションを追加する。

 カムフォロアは内部にニードルローラーが組み込まれ、カム機構や直線運動のガイドローラーとして用いられる、コンパクトで剛性の高いシャフト付きベアリング。「CFS-A形」は、極めて細いニードルローラーが組み込まれており、またスタッド径に対して外輪外径が非常に小さいため、コンパクトな設計が可能となっている。

 ローラーフォロアは、内部にニードルベアリングが組み込まれ、カム板や直線運動のガイドローラーとして用いられる、コンパクトで剛性の高いベアリング。「NART形」は内輪に側板が固定された非分離形のベアリングとなっている。

 今回、カムフォロアCFS-A形にスタッド径φ1.4とφ2を新規にラインアップするとともに、φ2~φ6において球面外輪タイプを追加した。またローラーフォロアNART形では、φ5~φ50の全サイズにおいて円筒外輪タイプを追加した。形番のバリエーションが増えることで、装置の小型化や高負荷対応などといった幅広い要望に応える。

CFS-A形

 

NART形

 

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日本精工、コスモエコパワーと風力発電設備向け軸受の潤滑状態を監視する技術を実機環境で実証

2週 4日 ago
日本精工、コスモエコパワーと風力発電設備向け軸受の潤滑状態を監視する技術を実機環境で実証kat 2026年07日13日(月) in in

 日本精工(NSK)はコスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモエコパワーと、風力発電設備の長期安定運用および運転・保守の高度化に向けた共同の取り組みとして、複数の実証実験を推進しているが、このほどその一環として、風力発電設備向け軸受の潤滑状態を監視するNSK独自技術について、初めて実機環境で実証実験を行い、実運用に向けた適用可能性を確認した。本技術により、従来よりも早期に軸受の状態変化の把握が可能となり、風力発電設備の信頼性向上や保全の効率化への寄与が期待される。両社は今後、本技術の実用化に向けて取り組みを強化、本取り組みを通じて得られる知見を活用して顧客に新しい価値を提供し、再生可能エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

新たな状態監視手法の特徴と期待される効果のイメージ

 
 風力発電は、国内の再生可能エネルギーの主力電源として位置づけられ、今後も導入拡大が見込まれる。その一方で、設備の大型化や設置環境の多様化・過酷化に加え、近年の資材価格の高騰など社会情勢の影響により、風力発電事業においては一層の競争力の向上が求められている。

 こうした事業環境下で、運転開始後の運用・保守(O&M)は、事業性に大きな影響を与える領域の一つで、国の技術戦略においても風力発電の持続的な導入拡大を支える重要な要素として、O&Mの効率化・高度化やデータに基づく合理的な運用判断の必要性が示されている。

 O&Mの効率化・高度化にあたり、風力発電設備に搭載される転がり軸受の状態を適切に把握し、継続的な監視・診断と、それに基づく適切な保全を行うことは不可欠となる。これは転がり軸受が、風力発電設備の増速機や主軸などに用いられ、運転を支える重要な部品であるためだが、一方で、現状のO&Mで予防保全を実施する中でも、想定外の不具合が発生した場合に、過去の事例や現場の経験に基づいて補修や部品交換の判断を行うケースも少なくない。そのため、設備の状態やリスクを客観的かつ定量的に把握し、運転継続や保全方針の判断精度を向上させる仕組みの高度化が求められていた。

 これらの課題に対し、NSKとコスモエコパワーは、長期安定運用と高い稼働率の確保に貢献する新たなO&M手法の実証に取り組んでおり、その一環として今回、コスモエコパワーが運営する風力発電設備において、軸受の潤滑状態を監視する技術の実証実験を初めて実機環境で実施し、実運用に向けた適用可能性を確認した。

 本技術はNSKが開発した独自技術で、コスモエコパワーが風力発電設備の運用・保守を通じて培ってきた現場知見と、NSKが開発してきた状態監視・診断技術を組み合わせて、本技術の実用化に向けた検証を行っている。検証においては、従来の状態監視では捉えることが困難だった軸受の潤滑状態の変化を検知できることを確認。これにより、振動などから軸受の状態変化を推定する従来の手法と比較して、より早い段階から保全対応の検討が可能になる。

 両社は、今後も本技術の実用化に向けた評価を進め、設備で使用される潤滑剤の交換周期の最適化や、設備点検・補修の効率化を図る。また、さらなる展開として、軸受の状態変化を設備稼働へ影響しうるリスクとして定量的に捉えるための余寿命予測技術の検証も進めている。

 両社はこれらの実証実験を進めることで、風力発電設備の高い稼働率の確保、ライフサイクルコストの低減、環境負荷の低減といった新たな価値の提供を目指す。
 
 

両社が創出する新たな価値のイメージ

 

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SEAJ、半導体・FPD製造装置需要予測を公表、全装置の日本製装置販売高は2028年度に8兆円超えへ

4週 ago
SEAJ、半導体・FPD製造装置需要予測を公表、全装置の日本製装置販売高は2028年度に8兆円超えへadmin 2026年07日03日(金) in in

 日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月2日、2026~2028年度の半導体製造装置およびFPD製造装置の需要予測を公表した。今回の予測は、SEAJの半導体調査統計専門委員会およびFPD調査統計専門委員会による需要予測と、SEAJ理事・監事会社20社による市場規模動向調査結果を総合的に議論・判断し、SEAJの総意としてまとめたものである。

 冒頭挨拶に立った河合利樹会長(東京エレクトロン 社長)は、「初めに昨年度を振り返ると、日本製半導体製造装置の販売高は、対前年比9%増の5兆1986億円となり、初めて5兆円を超えた。また、FPD製造装置の販売高は、同6%増の3596億円となった。これまで、世界の半導体市場は2030年頃に1兆ドルを超えるとの見方が主流であったが、6月のWSTS(世界半導体市場統計)の発表によれば、2026年の世界半導体販売高は1.5兆ドル規模まで拡大する見通しである。その背景にあるのが、社会におけるAIの実装の加速である。近年の生成AIの普及や、エージェントAI、フィジカルAIの登場を機に、AIの利活用は日増しに拡大し、私たちの生活とこれまでにないほど密接なものとなっている。さらに今後は、量子コンピューターや次世代通信規格である6G、7Gなどの技術革新が、私たちの暮らしをより良い方向へ変革させる可能性を秘めている。一方で、課題もある。AIの普及に伴い、データセンターの需要が急速に増加している。そのため、データセンターの電力消費は2030年には現在に比べて約130%増加し、再生可能エネルギーの導入が進むものの、CO2排出量も80%増える恐れがある。データセンターは、今や社会を支える重要なインフラである。そのため、地球温暖化への対策が一層求められている。未来に向けて、デジタル化と脱炭素化の両立が社会の共有価値となる中、デジタルの力によって社会システムそのものを効率化し、グリーンな社会を実現していく「Green by Digital」と、データセンターなどのデジタルインフラの省エネルギー化を進める「Green of Digital」の双方の実現には、半導体の技術革新が欠かせない。世界のインフラの中核を担う半導体には、高速・大容量、高信頼性、低消費電力化など、継続的な高性能化が求められている。そして、それを支える半導体製造装置市場は、今後も大きく成長していくことが予想される。このように半導体産業が拡大していく中で、各企業の社会的責任も大きくなっている。当協会は、サステナブルな社会の実現のために、半導体・FPD製造装置を取り巻くグローバルな市場変化に適切に対応し、業界および産業の発展につながるよう、精一杯努めていく所存である」と述べた。

挨拶する河合会長

 半導体製造装置の日本製装置販売高は、2026年度に前年度比26%増の6兆5502億円、2027年度に同13%増の7兆4017億円、2028年度に同5%増の7兆7718億円と予測した。AIサーバー向け先端ロジックの旺盛な投資に加え、HBMを中心としたDRAM投資の大幅増加が市場を押し上げる。2027年度以降は、新規Fabの建屋が順次完成し、装置搬入環境が整うことも成長要因となる。

 半導体産業では、AIデータセンター投資の拡大を背景に、GPUやアクセラレーター向けの先端ロジック需要が極めて旺盛である。加えて、HBM、汎用DRAM、AIサーバー向けSSDの需要増により、メモリー分野でも供給制約と価格上昇が続いている。今後は、Agentic AIへの対応に伴うCPUおよびDRAM需要、推論高速化や長期記憶用途でのSSD需要拡大も見込まれる。技術面では、GAA構造の進化、裏面電源供給(BSPDN)、DRAMの微細化、NANDフラッシュの高積層化に加え、ハイブリッドボンディングやヘテロジニアスインテグレーションなど、前工程・後工程の両面で先端技術投資が拡大する見通しである。こうした半導体の高性能化、低消費電力化、大容量化への要求が、製造装置市場の中期的な成長を支える。

 半導体製造装置の日本市場販売高は、2026年度に前年度比10%増の1兆5835億円、2027年度に同15%増の1兆8210億円、2028年度に同25%増の2兆2763億円と予測した。2028年度は大手ファウンドリーの第二期投資、2nmロジックの量産体制整備、メモリー投資の拡大が重なることで、日本市場として初めて2兆円を超える見通しである。

 一方、FPD製造装置の日本製装置販売高は、2026年度に前年度比5%減の3416億円、2027年度に同3%減の3,314億円と慎重な見方を示した。半導体メモリー価格の高騰により、PC各社の部品調達コストが上昇していることから、PCやタブレットなどIT製品向けパネルのOLED化は若干後ろ倒しになる見通しである。2028年度は、先送りされていたG8.6基板OLED投資が本格的に再加速し、同27%増の4209億円を見込む。

 半導体およびFPD製造装置を合わせた日本製装置販売高は、2026年度に前年度比24.0%増の6兆8918億円、2027年度に同12.2%増の7兆7331億円、2028年度に同5.9%増の8兆1927億円と予測した。2025~2028年度の年平均成長率は13.8%となる。半導体製造装置が市場全体をけん引する一方、FPD製造装置は2028年度以降のOLED投資再加速が回復の焦点となる。

 

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日本トライボロジー学会、2025年度学会賞の表彰式を開催

1ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、2025年度学会賞の表彰式を開催kat 2026年06日26日(金) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は5月25日~27日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで、「トライボロジー会議 2026 春 東京」(実行委員長:宇宙航空研究開発機構(JAXA) 松本康司氏)を開催、会期中の26日に「2025年度日本トライボロジー学会賞」表彰式を開催した。

論文賞

「真空用玉軸受ユニットの長寿命化および大口径高速化」
横山 崇氏・間庭和聡氏・小原新吾氏(宇宙航空研究開発機構)、美佐田泰治氏・加藤弘之氏・山川和芳氏(ジェイテクト)

 人工衛星の駆動機器に使用される軸受は微量な油やグリースで潤滑され、低軌道周回衛星の場合7~10年、静止軌道衛星の場合15~20年にわたり、低トルクで安定的に回転することが求められる。さらに、人工衛星の姿勢制御性能向上に必要なアクチュエータ用軸受では大口径化と高速回転化が必要となり、基油の蒸発や飛散、保持器自励振動(リテーナインスタビリティ、RI)の抑制が技術課題となる。

 本論文では、グリース潤滑相当の長寿命と油潤滑による安定的な低トルクの両立を狙い、軸受近傍の空間にグリースを充填し、その空間と軸受との間に多孔質体を設置することでグリース中の基油のみを表面張力によって軸受に供給する構造を提案した。グリースから多孔質体を通り軸受内しゅう動部に至る基油移動経路を段階的に分解し、各移動現象を摩擦試験、蛍光剤等によって実験的に確認した。さらに、軸受ユニットにより寿命試験を実施し、加速試験法を用いて低軌道周回衛星の観測センサ等を想定した回転条件により約20年に相当する寿命を実証し、提案した構造の実現性を示した。加えて、大口径軸受により最高DN値(内径mmと回転数min-1の積)30万条件下での高速回転試験を実施した。高DN値条件下では保持器を外径面で案内する方式を用いることで回転速度に応じた適切な基油供給がなされ、RI抑制に寄与することを示した。

 また、グリース充填部と軸受の質量変化から基油供給速度を定量的に求め、人工衛星の要求寿命を満足し得る基油供給の持続性を示した。

 このように、本論文は長寿命と安定的低トルクを両立する軸受ユニット構造の提案および実証に加え、基油移動メカニズムの解明と基油供給速度に対する保持器案内方式と初期油量の重要性を明らかにしたものである。

左から佐々木信也JAST会長、宇宙航空研究開発機構 横山 崇氏・間庭和聡氏・小原新吾氏、
ジェイテクト 美佐田泰治氏・加藤弘之氏・山川和芳氏

 

「Spalling Life Prediction for Rolling Bearings Using a Model with Stress Intensity Factor and Statistical Evaluation of Non-Metallic Inclusions」小俣弘樹氏・橋本 翔氏・土信田知樹氏・内田啓之氏・植田光司氏(日本精工)
 本論文は、転がり軸受の寿命評価に破壊力学を適用することで、その耐久性を高精度に予測する手法を提案したものである。

 転がり軸受はさまざまな産業機械の回転部に使用される機械要素である。使用時には軌道輪と転動体に大きな繰返しの接触応力が作用するため、はく離と呼ばれる疲労破壊が生じる。適切に転がり軸受を選定するためには、はく離寿命を精度良く予測することが重要であり、特に、はく離に及ぼす潤滑環境の影響に着目した多くの研究がなされてきた。一方、良好な潤滑環境では、軸受鋼に不純物として含まれる非金属介在物を起点としたはく離が生じることが知られている。しかしながら、介在物ははく離の主因であるにもかかわらず、その影響を考慮した寿命予測法は確立されていなかった。その結果、今日の転がり軸受は、ISOなどで規定された寿命計算値に対して10倍以上の耐久性を発揮することもある。このことは、健全に回転し続けている転がり軸受の多くは、その耐久性に十分な余裕を有している可能性が高いことを示唆する。

 本研究では、転がり軸受軌道輪に微小欠陥を導入した耐久試験法により破壊力学の適用を可能にし、はく離寿命に及ぼす欠陥寸法の影響を定量的に評価した。また、試験結果から欠陥寸法を考慮した寿命計算式を導出した。加えて、超音波探傷を用いた介在物評価法により介在物寸法の統計データを取得し、寿命計算式と組み合わせることで、介在物寸法のばらつきを考慮した寿命予測法を提案した。本研究成果により、より適正な転がり軸受の設計・選定が可能になり、転がり軸受が本来持っている耐久性を余すことなく安全に使い切ることで、長期的に省資源化に貢献しうることが期待される。

左から、日本精工 内田啓之氏・小俣弘樹氏、佐々木JAST会長、
日本精工・橋本 翔氏・土信田知樹氏・植田光司氏

 

「Active Control of Lubricant Flow Using Dielectrophoresis and Its Effect on Friction Reduction」村島基之氏(東北大学)、青野和馬氏・梅原徳次氏・野老山貴行氏(名古屋大学)、Woo-Young Lee氏(Korea Photonics Technology Institute)
 機械システムの省エネルギー化において、摩擦特性を動的に変化させる能動的摩擦制御は極めて重要な研究テーマである。本論文では、不混和な2種類の液体で構成される潤滑剤に対し誘電泳動(DEP)を作用させることで摩擦係数を低減させる新たな手法を提案した。

 研究では、透明なITO膜を電極として備えたローラオンディスク型摩擦試験機を独自に開発し、PAO4を溶媒、PG(プロピレングリコール)を滴下液体とする潤滑剤を用いた。この潤滑剤に対して交流電圧を印加した場合の摩擦特性の変化を観察し、同時に透明電極裏面からの顕微鏡観察によって潤滑液の挙動を解析した。1mm幅のローラ試験片を用いた摩擦実験の結果、交流100Vの電圧印加時にPGの液滴が接触部へと誘引され、安定したPGの油膜トラックが形成されることが観察された。この時の摩擦係数はμ=0.052であり、無印加時のμ=0.065と比較して約20%の低減効果があることが明らかにされた。一方で、1000Vの高電圧印加時には、PGがローラのエッジ部に凝集し、接触部全体にはPG潤滑膜が形成されない状態であることが観察された。

 本論文で実施した有限要素法(FEM)解析では、エッジ部方向に働く誘電泳動力が電圧の上昇により大幅に増加することが示され、in-situ観察で得られた現象のメカニズムが解明された。このように本論文は、電気的な入力によって摩擦界面における潤滑剤の流動・分布を直接制御できることを実証した点において学術的価値が高い。また、運転条件や環境に応じて最適な潤滑状態を選択的に維持するインテリジェントな潤滑システムの実現可能性を示しており、トライボロジー分野における実用的価値も高いものと認められる。

左から、名古屋大学 野老山貴行氏、佐々木JAST会長、東北大学 村島基之氏

 

「マイクロSEIRASによるオレイン酸界面濃縮のその場観察」
田巻匡基氏(出光興産)、星 靖氏(一関工業高等専門学校)、七尾英孝氏(岩手大学)、滝渡幸治氏(一関工業高等専門学校)、上村秀人氏(出光興産)、森 誠之氏(TSラボ)

 本論文は、赤外分光法を高感度化する表面増強赤外分光法(SEIRAS)と顕微フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を組み合わせた新規観察手法を開発し、せん断下におけるオレイン酸の界面濃縮現象を観察・考察したものである。

 開発した手法は、顕微FTIRに、増強薄膜であるAu薄膜を導入したSi半球プリズムを組み合わせたものである。本手法は、測定範囲15μm角においてAu薄膜上の高感度観察を可能とすることから、マイクロSEIRAS法と命名された。オレイン酸1mass%の潤滑油を静的条件で観察した結果、オレイン酸のカルボニル基に由来する吸収が従来のFTIRと比べて著しく増強され、Au表面へのオレイン酸の濃縮が示唆された。これにより、本手法が金属表面の吸着膜観察に有用であることが明らかになった。

 さらに本論文では、マイクロSEIRASを用いて、せん断下におけるオレイン酸の界面濃縮の観察に成功している。オレイン酸0.1mass%の低濃度潤滑油を対象に0.1m/sのせん断下で測定を行ったところ、せん断の時間経過とともにカルボニル基の吸収が明確に増加し、せん断停止後もその吸収強度が維持された。これは、せん断による潤滑油の撹拌効果によってオレイン酸分子が界面近傍に移動してオレイン酸の濃縮層が形成され、一旦形成した濃縮層は界面近傍に留まったことを示すものである。

 SEIRASスペクトル解析より、界面濃縮したオレイン酸は単量体と二量体であることが明らかになった。
本論文で得られた知見は、せん断下における潤滑基材の作用メカニズムを理解する一助になるとともに、潤滑油の処方設計の新たな指針を提示するものである。今後、本手法の適用範囲の拡大により、せん断下における潤滑現象の解明が一層進むことが期待される。

左から、岩手大学 七尾英孝氏、TSラボ 森 誠之氏、出光興産 田巻匡基氏、佐々木JAST会長、出光興産 上村秀人氏)、一関工業高等専門学校 星 靖氏・滝渡幸治氏

 

技術賞

「耐白層はく離性と高防錆性を両立させた自動車用軸受向けグリースの開発」
髙原加奈子氏・三宅一徳氏・西 要氏(ジェイテクト)

 自動車や産業機器の多様化により、軸受にはさまざまな使用環境での利用が求められている。用途によっては、性能を発揮するために両立が困難な異なる機能が要求される。本技術は特に、エンジン補機用軸受で求められる耐白層はく離性および防錆性の両立を実現するため、形成が困難である表面膜の両立を添加剤設計により行ったものである。

 一般に、白層はく離の抑制および被水による錆防止には、異なるグリース添加剤による表面膜形成が有効である。グリース添加剤による耐白層はく離性には、強固な反応膜の形成が有効であり、一方、防錆性には、速やかに表面を被覆する吸着膜の形成が有効である。しかしながら、高い防錆性に寄与する吸着膜は、耐白層はく離性に寄与する反応膜と競争的に作用し、相互の膜形成を阻害するために両立が困難であった。そこで本技術では、耐白層はく離性および防錆性に必要な表面膜形成の両立に向けて新しい着眼点で見直している。これらの添加剤が同時に存在する場合、防錆性のために必要な吸着膜が先に形成され、耐白層はく離性のための強固な反応膜形成を阻害する。機能両立のためには、吸着膜よりも先に反応膜の形成が必要と考え、耐白層はく離性を付与するための添加剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)の分解反応に着目している。この種類の添加剤における反応膜の形成性を分子構造から検討し、同時に防錆性のための吸着膜の表面反応性の検討を行った。その結果、複数のZnDTPを併用することにより、広温度範囲域で防錆剤よりも優先的にZnO反応膜が形成し、その後、吸着膜が形成する設計指針を見いだした。

 本成果は、困難であった耐白層はく離性と高防錆性を両立可能とする技術であり、グリース技術の発展とともに、開発したグリースは自動車部品の寿命向上、信頼性向上に貢献する技術である。

左から、ジェイテクト 三宅一徳氏、佐々木JAST会長、ジェイテクト 髙原加奈子氏・西 要氏

 

「新規ナノサイズ二硫化モリブデンの合成と固体潤滑剤への展開」
小寺史晃氏・Siti Masturah Binti Fakhruddin氏・袁 建軍氏(DIC)・高野紘一氏(ADEKA)

 本技術は、独自のボトムアッププロセスを介して汎用的な固体潤滑剤である二硫化モリブデンに特徴的な粒子形状と結晶構造を付与したナノ粒子を合成するとともに、この粒子を潤滑添加剤として使用することで低摩擦や耐摩耗性といった機能を潤滑剤に付与するものである。

 シート形状の微細な二硫化モリブデン粒子とすることで、効率的に狭小な摺動界面に侵入して定着しやすい特徴を付与するので、天然由来の破砕分球品である二硫化モリブデンに比べて大きな摩擦低減効果が期待される。また、人工的なプロセスで合成されるため、天然由来の二硫化モリブデンと異なり鉱床由来の不純物を含まない高純度かつ安定した品質の二硫化モリブデンを生成できる。

 エンジンオイルへの適用については、市場流通のエンジンオイルを使用する以外はJASO M365に準拠したエンジントルク試験を実施し、エンジンの摩擦低減に起因すると見られる燃費改善率の向上を確認した。さらに、MoDTCと併用することで燃費改善率は最大0.27%向上した。

 固体潤滑被膜への適用については、FALEX試験において天然由来の二硫化モリブデンを用いた塗膜組成物と比較して2倍の被膜寿命を確認した。塗膜組成物が含有する二硫化モリブデンの一部を本技術に置き換えることでも、被膜寿命の改善が維持できた。

 本技術は、多様な摺動界面において、添加剤として介在することで、摩擦・摩耗の低減による機械システムのエネルギー効率向上と長寿命化に寄与しカーボンニュートラルに貢献することが見込まれる。

 また、優れた固体潤滑性を有することから、極限環境下における機械の信頼性向上や新たなシステムの開発といった要請に応える材料として大いに期待できるものと捉えている。

左から、DIC Siti Masturah Binti Fakhruddin氏・小寺史晃氏、佐々木JAST会長、
DIC 袁 建軍氏、ADEKA 高野紘一氏

 

「家庭用冷蔵庫向け低粘度冷凍機油の開発」
髙木智宏氏・奈良文之氏・安東諒氏(ENEOS)、権藤政信氏(パナソニック)

 本技術は、冷蔵庫に搭載される冷媒圧縮機において、消費電力の削減に寄与する冷凍機油に関するものである。冷蔵庫を含む一般的な冷凍空調機器の消費電力において、80%以上が圧縮機で消費されるとの試算がある。レシプロ圧縮機では、冷凍機油の動粘度を低減すると摩擦損失や撹拌抵抗が抑えられ、その結果として消費電力も低下するため、冷凍機油の低粘度化が市場で求められている。そのような背景から、R600a(イソブタン)が充填される家庭用冷蔵庫では、現在、VG 5~8(40℃動粘度:5~8mm2/s)の炭化水素系冷凍機油が多く用いられている。消費電力の削減のさらなる市場ニーズに対応するため、VG 3(40℃動粘度3mm2/s)の冷凍機油を開発した。

 一般的には、動粘度の低減により摩擦係数は下がるが、それに伴い引火点も低下する課題を有する。

 引火点は、加熱により気化した基油成分等が燃焼し始める温度を表すため、軽質成分の影響を強く受ける。そこで、基油組成を調整することにより、所定目標を満足する基油処方開発に成功した。また、低粘度化に伴う別の課題として耐摩耗性悪化が挙げられ、添加剤により性能を向上させる必要があった。

 冷凍機油では、熱交換器等の銅配管の腐食や、スラッジ生成による膨張弁閉塞等を発生させないため、安定性に優れるリン系添加剤が主に使用されていた。今般、耐摩耗性を向上させるため、安定性が良好な硫黄系添加剤を選定し配合した。机上の摩擦試験だけでなく、市場での長期耐久性を担保する数千時間の実機試験を実施した。

 その結果、実機における表面処理等は新たに施すことなく、VG3の本開発油は、既存VG5の冷凍機油と同程度の耐久性を示した。加えて、カロリーメータを使用した圧縮機の成績係数(COP)を測定した結果、既存のVG5対比で1%以上の効率向上を達成した。

左から、ENEOS 奈良文之氏・髙木智宏氏、佐々木JAST会長、
ENEOS 安東諒氏、パナソニック 権藤政信氏

 

「風力発電装置用増速機の安定稼働およびメンテナンスフリー化に寄与する次世代ギヤ油の開発」
横山 翔氏・甲嶋宏明氏・吉田幸生氏(出光興産)、鷲津仁志氏(兵庫県立大学)

 本技術は、風力発電装置用増速機の安定稼働とメンテナンスフリー化に寄与する、長寿命・高信頼性ギヤ油の開発に関するものである。

 風車は大型で洋上・山間部などの難アクセス地点に設置されるため、更油や故障修理は大規模となり事業者の負担が大きい。風車寿命約20年に対し増速機油の平均更油間隔は約5年であり、運用期間中に3回以上の更油が必要となる。また、初充填油にはIEC 61400-4等の規格適合が求められるが、欧州風車メーカー指定油においても早期に摩耗粉が観察されるケースが認められている。そのため、スカッフィング(歯面焼付き)、マイクロピッチング(歯面の表面起点型の微小疲労)、軸受摩耗などのトライボロジー起因損傷の低減と高い酸化安定性の両立が課題であった。

 本技術では、マルチスケールトライボ解析および実験により得られた極圧剤の最適化知見を活用した極圧剤処方により歯面損傷を抑制した。さらに新規ポリマー系化合物を併用することで軸受耐摩耗性を高めるとともに、酸化劣化を抑制した。

 開発油は市場油比約3倍の酸化安定性を示し、更油周期を5年から15年へ延長できる見込みである。

 無故障で20年稼働すると仮定した場合、更油回数を3回から1回へ低減でき、大規模修理やメンテナンス回数の削減による労働負荷軽減に貢献可能である。開発油は、風力発電機において今後ますます重要となる機械要素の安定稼働およびメンテナンスフリー化に貢献する潤滑剤として、運用・維持管理コストの低減に寄与し、ひいては日本における風力発電の普及に寄与すると期待できる。

左から、出光興産 吉田幸生氏・横山 翔氏、佐々木JAST会長、
出光興産 甲嶋宏明氏、兵庫県立大学 鷲津仁志氏

 

奨励賞

「カルシウムスルホネートによる添加剤由来トライボフィルムの耐摩耗性向上メカニズムの解明に関する研究」
林 優美氏(住友重機械工業)

 産業機械は歯車、軸受、オイルシールなどの機械要素で構成され、多くのしゅう動部を有している。
これらのしゅう動部において、摩擦および摩耗の低減は機械の性能向上や長寿命化に直結する重要な課題であり、潤滑油添加剤はその中核を担っている。一方、実用潤滑油では複数の添加剤が併用されるものの、添加剤間の相互作用による摩耗低減メカニズムは十分に解明されていない。

 本研究では、ZnDTP、MoDTC、およびカルシウムスルホネートを複合添加した潤滑油を対象とし、トライボフィルムの形成過程および摩耗挙動をナノスケールからマクロスケールまで体系的に解明した。

 AFMその場観察およびAFMスクラッチ試験により、カルシウムスルホネート併用系では、非併用系と比較して平滑かつ厚いトライボフィルムが形成され、耐スクラッチ性が向上することを明らかにした。

 また、往復動摩擦摩耗試験により摩耗量の低減傾向が確認され、ナノスケールで観測されたトライボフィルム形状とマクロな摩耗特性との対応関係を見いだした。さらに、FIB-TEMおよびSTEM-EDSによる断面構造解析から、カルシウムスルホネート併用系では、カルシウムおよびリンを含む厚い複合膜が形成され、その下層には硫黄およびモリブデンを含む層が存在することを明らかにした。これらの結果より、複合膜の形成に伴うトライボフィルムの形状変化および厚膜化が摩耗低減に寄与するメカニズムを提案した。

 本研究で得られた知見は、複合添加油におけるトライボフィルム形成と耐摩耗性との関係を明確化した点に意義があり、添加剤作用機構に基づく潤滑油設計指針の構築に資するものである。また、本研究で開発した評価手法は他の潤滑系にも応用可能であり、産業機械の摩耗低減および長寿命化への貢献が期待される。

 

「軸受の耐電食性を向上するグリース配合設計技術に関する研究」
山下侑里恵氏(ジェイテクト)

本研究は、自動車の電動化に伴いモータ近傍で使用される軸受などにおいて課題となっている電食による軸受の寿命低下に着目したものである。本課題に対して、グリースの組成および性状が電食寿命に及ぼす影響を明らかにするとともに、耐電食性を向上させるグリースを開発し、導電グリースの配合設計指針を提案した。

 電食の発生は軸受の静粛性や寿命に影響を及ぼすため、設計、材料および潤滑の観点から導電性もしくは絶縁性を付与する対策がなされている。導電性を付与する主な方策には、接地リング、カーボンブラック(CB)含有導電グリースがあり、前者は追加部品が必要となり、後者は経時変化により絶縁化する課題がある。一方、絶縁性を付与する場合は、絶縁材料(セラミックボール)の採用などがあるが、高コストとなる。そこで、単純な軸受構造を維持しつつ低コストで長時間の耐電食性の付与を可能とする新規グリースの検討に取り組んだ。

 本研究では、導電性グリースに着目し、まず導電性が低下する原因を共焦点レーザ蛍光顕微鏡による三次元観察により明らかとしている。導電性グリースの導電性劣化の要因は、しゅう動中にCBが初期よりも大きな凝集体となり、導電経路が切断されるためであることを見いだした。そこで、導電性付与剤として偏析しにくい有機親和性鉱物添加剤を選定し、体積抵抗率を低減し、かつ長期的な安定性の確保を試みた。さらに、基油種や増ちょう剤種に関しても導電性の観点から最適な分子構造の仮説を立案し、実験的にその正しさを明らかにした。これらの結果をもとに、導電性付与剤と最適化された基油および増ちょう剤の設計指針により、優れた電食寿命を示す新規の導電性グリースを開発した。

 本研究成果は、グリースの配合設計により電食寿命を向上させる新たな指針を示すものであり、グリースの耐電食性向上および長期安定化に貢献する技術として、本分野の発展に寄与することが期待される。

「転がり軸受のフルーチング形成メカニズムの解明」
葛谷紘澄氏(NTN)

 本研究は、インバータ駆動モータにおける軸受のフルーチング形成について、影響を与える電気的因子の調査と、潤滑油への極圧剤添加による抑制効果の検証を実施したものである。

 転がり軸受には電食と呼ばれる軸受内部を通過する電流により生じる損傷があり、代表的な損傷形態に波板状の凹凸を形成するフルーチングがある。これは軸受回転時の振動・騒音特性を悪化させ、特に軌道面の疲労損傷よりも短期間で品質機能の低下を招く。近年はモータ駆動電圧の高電圧化や高周波化により、モータ支持軸受へ電圧が印加される機会が増え、電食の顕在化が懸念される。このためメカニズム解明と対策が、より一層重要となっている。

 本研究では、まず軸受のフルーチング形成に影響を与える因子として軸受に印加する電流値および電気エネルギー量について調査した。その結果、フルーチング形成において一定値以上の電流値および電気エネルギー量の印加が必要であることを明らかにし、これらの印加量を低減させることがフルーチング進展抑制に有効であることを示した。
次に損傷の低減方法として軌道面への被膜形成、すなわち潤滑油に添加する極圧剤によるフルーチング抑制効果を検討した。その結果、絶縁性反応膜を形成するリン系極圧剤による抑制効果を確認した。

 すなわち、軸受の電食対策として潤滑油へのリン系極圧剤の添加が有効であることを示した。

 以上のように、本研究ではフルーチング形成に影響を与える因子と潤滑油への極圧剤添加による有用な知見が得られた。本成果は軸受電食発生メカニズムの解明および対策確立に寄与し、今後さらに電食の予測方法を確立することで軸受の信頼性向上が期待される。

「油潤滑玉軸受の転がり粘性抵抗式の高精度化」
江川航平氏(NTN)

 本研究は、玉軸受のトルク低減および高精度予測技術の確立を目的として、軸受トルクの主要因である転がり粘性抵抗式の高精度化と、この式を用いた玉軸受のトルク計算手法の構築・実験検証を行った。

 転がり粘性抵抗は軸受トルクの主要因であることが知られている。したがって、軸受の運動、トルク、発熱量等の計算精度は転がり粘性抵抗の計算精度に大きく依存するため、これまでいくつかの簡易計算式が報告されてきた。一方、これらの簡易計算式はEHL解析領域の違いにより計算値が大きく異なるという課題があった。本研究では、任意の解析領域に対応可能な転がり粘性抵抗式を提案し、十分潤滑下において、軸受に作用する転がり粘性抵抗を高精度に推定できることを示した。続いて、上記の式に無次元入口メニスカス距離を導入し、油不足(スターベーション)によって転がり粘性抵抗が低下する現象を表現可能とした。これにより、計算領域(潤滑油量)の変化に伴う転がり粘性抵抗の変化を扱うことができ、高速回転時などの潤滑油の供給が制限される条件においても、適切に評価できる式を提案した。

 さらに、本研究で提案した式を玉軸受のトルク計算へ適用し、十分潤滑下における計算値と実測値を比較した。その結果、本計算手法が実測値を高精度に再現できることを明らかにした。加えて、中・低速域における玉軸受トルクの主要因は転がり粘性抵抗と接触部における微小すべりに起因するトラクションであり、転動体-保持器間のせん断抵抗やドラッグ力の影響は比較的小さいことを示した。

 以上の成果は、玉軸受の低トルク化設計および高精度性能予測技術の発展に寄与するものである。今後は、入口メニスカス距離の影響を考慮することによる、軸受トルク推定精度のさらなる向上が期待される。

「低炭素・循環型社会に貢献する潤滑油の延命/再生技術」
大久保花菜氏(三菱重工業)

 低炭素・循環型社会の実現に向けて、マテリアルリサイクルおよびサプライチェーンにおけるCO2削減が求められている。機械で使用される汎用的な鉱物油は,化石燃料から作られ炭素を含んでおり、産廃処分で焼却されるとCO2が発生する。

 従来、多数のユーザーから廃油を回収し、再蒸留で基油を取り出して再生油を得るアプローチがあるが、廃油回収時および蒸留時等でエネルギーを要し、化石燃料を使用した場合は低炭素とは言い難い。

 これに対して本研究では、廃油回収が不要かつ再生時に熱を用いないオンサイト型の方法として、添加剤補給による潤滑油の延命技術および酸成分除去による潤滑油の再生技術の検討を行ったものである。

 潤滑油は使用に伴い徐々に劣化し、酸化劣化の指標であるRPVOT(Rotating Pressure Vessel Oxidation Test)残存率が低下すると、酸価の上昇やスラッジ量の増加が発生し、機械部品に悪影響を及ぼす恐れがある。そこで、潤滑油の管理値を基準値内に維持し続ければ、潤滑油の交換は実質不要になると考えた。

 試験ではまず、異なる劣化油に酸化防止剤を補給することでRPVOT値が回復すること、管理基準値を下回った油は回復しにくいことを確認した。また、この添加剤補給による潤滑油の延命が繰り返し可能であることを実証した。
次に、延命に限界が来た場合でも老廃物を除去することで酸化防止剤の効果を再発揮できると考え、ろ材による酸成分除去能力を調査し、シリカが最適であることを確認した。そして、シリカによる潤滑油の再生も繰り返し可能であることを検証した。

 試験の結果から、潤滑油のRPVOT残存率が低くならないよう定期的に添加剤補給を行い、RPVOT残存率を高めに維持すること、また老廃物が蓄積した段階でシリカを用いて酸成分を除去し新油相当に戻すことで添加剤補給の効果を高める、潤滑油の延命と再生の組み合わせが可能である見込みを得た。本研究で得られた知見および成果は、潤滑油のマテリアルリサイクルに寄与し、低炭素・循環型社会に貢献すると期待される。

「深層学習と説明可能AIを用いたトライボフィルム化学組成と耐摩耗性能の相関解析」
横山 崇氏(宇宙航空研究開発機構)

 本研究は、月面有人探査等で想定される高負荷に適した潤滑油を効率的に開発するために、機械学習を用いた新たな手法により、真空中においてリン/硫黄含有耐摩耗剤の性能に対し強い影響を及ぼすトライボフィルムの化学組成を明らかにするものである。

 著者らはこれまで、耐摩耗剤の分子構造データと摩擦試験で得た摩耗量データを用い、機械学習により真空中で耐摩耗性能を発現し得る分子構造を特定してきた。しかし、この解析には、耐摩耗性に重要な役割をなすトライボフィルムに関する情報が含まれていなかった。

 そこで本研究では、大気中および真空中で形成されたトライボフィルムの化学組成をXPSで分析し、これら組成データとしゅう動条件から摩耗量を予測する深層学習モデルを構築した。さらに、説明可能AIを用いて深層学習の予測根拠についても解析、検証を進めた。その結果、耐摩耗剤の性能に最も強く相関を持つ因子は大気の有無であること、また、真空中ではリン酸塩トライボフィルムの形成量が摩耗低減と相関を持つことなどを定量的に明らかにした。さらに、これらの結果を導いた予測根拠が、これまで報告されている知見と整合していることも確認され、見いだした相関関係がメカニズムとして妥当であることを示した。

 以上の通り、本研究により、真空中での耐摩耗性実現に効果的なトライボフィルムの組成などを特定でき、この知見は真空に適する耐摩耗剤の化学設計指針になることが期待される。また、説明可能AIと既往知見を組み合わせることで、耐摩耗性の予測に留まらず、作用メカニズムの因果を明らかにできる新たな機械学習の活用法も示され、複雑で多様なトライボロジー現象の理解に貢献することが期待できる。

左から、奨励賞受賞のジェイテクト 山下侑里恵氏、宇宙航空研究開発機構 横山 崇氏、
三菱重工業 大久保花菜氏、佐々木JAST会長、住友重機械工業 林 優美氏、
NTN 葛谷紘澄氏・江川航平氏

 

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工作機械技術振興財団、第47回工作機械技術振興賞の贈賞式を開催

1ヶ月 ago
工作機械技術振興財団、第47回工作機械技術振興賞の贈賞式を開催kat 2026年06日26日(金) in in

 工作機械技術振興財団(理事長:安達俊雄氏)は6月16日、東京都港区の第一ホテル東京で「第47回工作機械技術振興賞贈賞式」を開催した。

第47回工作機械技術振興賞贈賞式 記念写真

 

 同財団は、学術および科学技術の振興を目的として、牧野フライス製作所の創業者・牧野常造氏らの寄付により、1979年に通商産業(現経済産業)大臣の許可を得て設立。工作機械の開発、生産、利用に関する基礎的、応用的な技術の開発に関わる助成を通じて、工作機械の品質・性能の向上、生産および利用の改善や合理化に携わる研究者・技術者の養成に寄与することにより、機械産業の健全な発展に資し、もって国民経済の発展に寄与することを目的としている。

 当日は冒頭、安達理事長が、「2024年以来の牧野フライス製作所へのTOB(株式公開買付)に関して、評議委員・理事の賛同のもと財団としてTOBへの反対表明を行い、会社関係者の慎重かつ明確な対応と関係各位の日本の工作機械業界に対する深い理解のもとで解決が図られ、財団運営の上でも晴れやかな気持で本日を迎えることができた」と関係各位に謝意を述べた上で、「当財団は創設以来40余年にわたり工作機械技術の振興を目的として試験研究を助成するとともに、この分野の優れた研究成果に対し工作機械技術振興賞を贈賞してきた。本日贈賞および試験研究助成を受けられる皆様には心よりお祝い申し上げるとともに、日ごろの研鑽に対して深甚なる敬意を表したい。今回の贈賞を含め当財団がこれまでに贈賞してきた工作機械技術振興賞の累計は、論文賞、奨励賞、隔年実施の人財育成賞を合わせて1225件3136名に達し、試験研究助成については、比較的歴史の浅い特別試験研究助成の21件を含めて累計333件となった。財団の事業は地道な活動だが、工作機械技術の進歩・向上に間接的ながら着実に寄与したものと考えている。我が国経済を取り巻く環境は大きな変化の時代を迎えているが、その一方で牧野フライス製作所からの当財団への支援が大幅に強化されようとしている。そうした中、財団としての皆様方との連携を一層深めながら、振興事業の一層の強化を図っていきたい。忌憚のないご助言・ご鞭撻をお願いしたい。これまでのご尽力に感謝するとともに、引き続きのご協力をお願いしたい」と開会の挨拶を力強く行った。

開会挨拶を行う安達理事長

 

 続いて、第47回工作機械技術振興賞についての審査報告が、新野秀憲(東京科学大学 名誉教授)審査委員長よりなされ、論文賞、研究助成のそれぞれについて選定理由を簡潔に説明した。例えば論文賞の日本精工の研究論文「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」については、「ボールねじの熱変形対策は従来、対処療法がほとんど。これに対し本研究では、軸力を自律的に安定化させる手法を提案することで、工作機械の高精度化と信頼性向上に寄与する成果として評価した」とコメント。また、研究助成Aの富山県立大学「工作機械用すべり案内面の In-situ 油流れ観察と摩擦力計測による摩擦特性評価手法の構築」の選定理由については、「工作機械用すべり案内面について、潤滑状態のその場観察と摩擦力姿勢変動の統合評価を試みたもので、工作機械案内構造の高性能化への寄与が期待される」と評価した。さらに奨励賞に関しては、「115編の候補から7編が選定されるという厳しい競争を勝ち残った」受賞研究に関して、「学生ならではの自由な発想と旺盛な研究姿勢による優れた研究成果で、工作機械技術の将来を担う優れた人材の成長を強く感じさせる」と評価。「本受賞を新たな出発点として、今後さらに研究活動を発展させるとともに、ものづくりを支える研究者として大きく成長することを期待したい。また、日頃から熱心に始動された指導教員各位に対しても、深く敬意を表する」と語った。

審査報告を行う新野氏

 

 大学、高専、公的研究機関および企業の研究者などを対象に工作機械の発展・進歩に大きな貢献が期待できる独創的な論文に対し表彰する工作機械技術振興賞「論文賞」は、日本機械学会、精密工学会、砥粒加工学会、電気加工学会の四つの学会の推薦と、研究者が所属する機関の長の推薦により応募がなされた中から選出され、今回は以下のとおり5件18名に贈賞がなされた。

・「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」新井 覚氏・竹之内 優志氏・本多 信太郎氏・谷 翔太氏(日本精工)

・「Development of Side Wall Surface Smoothing Method by Large-area Electron Beam Irradiation」篠永 東吾氏・Jiayu Lu氏・岡田 晃氏(岡山大学)

・「Fluorescence response-based optical probing (FROP)法による難計測構造の3次元表面センシング」道畑 正岐氏・河見 建佑氏・吉川 元弥氏・増井 周造氏・高橋 哲氏(東京大学)

・「Proposal of a Novel Multi-Spindle Machine Tool Configuration:Prototype Development and Machining Test」Kianoosh Rossoli氏・茨木 創一氏(広島大学)

・「微粒子ピーニングによるガラスのナノテクスチャリングとそれを用いた粉体付着防止効果」川合邑佳氏・小玉脩平氏・佐藤秀明氏・亀山雄高氏(東京都市大学)

論文賞「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」贈賞式のようす
左から安達俊雄理事長、日本精工 新井 覚氏・竹之内 優志氏・本多 信太郎氏・谷 翔太氏


 

 また、将来の工作機械の発展を担う人材育成の一助として優秀な卒業論文を発表した学生およびその指導教官に対し表彰する「奨励賞」では今回、以下のとおり7件36名に贈賞がなされた。

・「CMP プロセスにおけるウェハ面内の摩擦係数分布を考慮した材料除去レート分布の高精度推定」広野 翔氏・鈴木 教和氏(神戸大学)、三谷 千紘氏(中央大学)、佐藤 拓実氏・平野 航大氏(荏原製作所)
・「前後同時切削5軸ターンミリングにおける切削力相殺効果の解析」野口 丈氏・篠崎 直紀氏(東京農工大学)、高橋 亘氏・阿部 太郎氏・髙橋 秀史氏(三菱マテリアル)、笹原 弘之氏(東京農工大学)

・「AM による複合ラティス構造砥石の開発と研削特性」神長 哲郎氏・高畑 光汰氏・倉本 繁氏(茨城大学)、稲澤 勝史氏(栃木県)、大森 整氏(理化学研究所)、伊藤 伸英氏(茨城大学)

・「ダイヤモンド砥粒刃先とニオブとの接触摩耗メカニズムの検討」倉光 健翔氏・二ノ宮 進一氏・松本 幸大氏(日本工業大学)、岩井 学氏(富山県立大学)

・「電界スライシング技術におけるSi インゴットの切断特性について」細川 遥花氏・池田 洋氏(秋田高専)、久住 孝幸氏・越後谷 正見氏(秋田産技センター)

「超精密研削盤用油静圧スピンドルのアクティブ制御」田邊 響介氏・藤田 祐成氏・田中 凜太氏・脇谷 趣聞氏・中尾 陽一氏(神奈川大学)、Dmytro Fedoryn氏(東北大学)、黒須 匠氏・鈴木 悠介氏(ナガセインテグレックス)

「超硬合金の炭化タングステン粒径が細線ワイヤ放電加工特性に及ぼす影響」加藤 雅也氏・山上 雄大氏・岡田 晃氏(岡山大学)

奨励賞「AM による複合ラティス構造砥石の開発と研削特性」贈賞式のようす
左から、栃木県 稲澤 勝史氏、茨城大学 伊藤 伸英氏・神長 哲郎氏、安達俊雄理事長、茨城大学 高畑 光汰氏・倉本 繁氏、理化学研究所 大森 整氏

 

 続いて、第46回試験研究助成では、研究助成Aとして7件、学生を対象とする研究助成Bとして3件、プロジェクト研究を対象とする特別試験研究助成として1件が選定された旨の発表がなされた。

研究助成A「工作機械用すべり案内面の In-situ 油流れ観察と摩擦力計測による
摩擦特性評価手法の構築」富山県立大学・宮島 敏郎氏の表彰のようす

 

 その後、経済産業省製造産業局産業機械課長の須賀千鶴氏が来賓の挨拶に立ち、「皆様の優れた研究成果とたゆまぬ努力が本日の受賞に結び付いたもの。歴史あるコミュニティにようこそ、とお祝い申し上げたい。工作機械技術振興財団においてはこれまで、継続的な助成を通じて、工作機械の性能向上や利用の高度化に関わる研究者や技術者の養成に尽力をいただき、感謝している。工作機械はマザーマシンとして生活用品から航空宇宙の分野に至るまで幅広い生産に不可欠な製造業の基盤であり、我が国の工作機械産業は長年にわたり世界中のユーザーからの多様な要請に高いレベルで応え続けることで高い信頼を獲得し、世界トップクラスのシェアと評価を維持している、まさに我が国製造業を代表する産業。工作機械は戦略産業としての製造業の復権という近年のグローバルな潮流の象徴でもある。日本が技術優位性を有することは経済安全保障上も大変重要であることから、政府としては経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に工作機械を位置付けている。今回受賞された皆様、助成対象に選ばれた皆様の取り組みには、加工技術の高度化や次世代の人材育成に寄与するものが多く含まれている。今回の受賞を新たな飛躍の契機として、我が国の工作機械産業の更なる発展をけん引していただけると期待している。政府は今年、フィジカルAIを大きなうねりにしようと、2年前には二桁億円だった予算を、ついに1兆円規模の予算要求まで大きく広げることを予定している。今年からの工程集約型の加工機を対象に追加した省エネ補助金や経済安全推進法に基づく基金などの各種支援等も活用して、業界の皆様の取り組みを強く後押ししていきたいと考えている。工作機械業界はフィジカルAIの本命であり、これからの時代の花形産業である。ぜひその業界を、各位の知恵と努力でけん引していただきたい」と力強く語った。

来賓挨拶を行う須賀氏


 

 贈賞式に続いて、論文賞の受賞者を代表して、以下2件の講演会が行われた。

 論文賞受賞講演「微粒子ピーニングによるガラスのナノテクスチャリングとそれを用いた粉体付着防止効果」…延性モードの微粒子ピーニング(FPP)を用いることでガラスのナノテクスチャリングとそれによる防汚性実現(太陽光パネルへのPM2.5などの粉体の付着防止)が可能になるほか、延性モードFPPによってガラスの高靭化・強度向上が可能になると報告した。

講演する川合氏(NOK)講演する亀山氏(東京都市大学)

 

「Development of Side Wall Surface Smoothing Method by Large-area Electron Beam Irradiation」…磁場制御下での大面積電子ビーム照射により、任意の個所に電子ビームを誘導することができ穴底面や穴側面の平滑化を可能にしたほか、複数本のヨークを用いた磁場制御下での大面積電子ビーム照射によってラティス構造体内部および外部表面の平滑化を可能にしたことを報告した。

講演する篠永氏(岡山大学)


 

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イグス、栃木県さくら市に新工場を設立

1ヶ月 ago
イグス、栃木県さくら市に新工場を設立kat 2026年06日25日(木) in

 イグスは、日本市場での需要拡大を受け、供給体制のさらなる強化を図るため、栃木県さくら市に新工場「栃木さくら工場」を新設、本年6月22日より稼働を開始した。投資額(土地・建物)は35億円で、敷地面積は約42000㎡、延床面積は約10000㎡。人員は6月現在で86人。ケーブル保護管、ケーブル、レディーチェーン、樹脂ベアリングなどを取り扱う。

新設された栃木さくら工場

 

 6月初旬に執り行った竣工式には約50名が参列、工場の完成を祝った。

竣工式のテープカットのようす

 

 吉田 剛社長は、「これまで分散していた生産・在庫拠点を集約することで、物流効率および生産性の向上を図るとともに、社員が誇りをもって働ける環境を整えることができた。今後は本拠点を生かして、製品供給体制のさらなる強化、品質およびサービスの向上に努め、日本全国の顧客への価値提供に一層取り組んでいく」と語った。

挨拶する吉田社長

 

 また、ドイツ本社CEOのアーチュア・ペプリンスキー氏は、「栃木さくら工場の新設は、イグスのグローバル供給ネットワーク強化における重要なマイルストーンとなるもの。当社の日本市場への長期的なコミットメントを一層強めるものであり、顧客との連携をさらに深めることで、持続的な成長とイノベーションの創出を推進していく」と述べた。

 栃木さくら工場には、栃木県内の既存4拠点の機能を全て移転・集約。工場・倉庫拠点間の輸送をなくして物流効率を向上させるとともに、安定した供給体制の強化を図る。また、新たにケーブル保護管「エナジーチェーン」用高層ラックの導入や組み立てラインの効率化などを行い、在庫保管能力は旧工場(4拠点合計)比で約70%増加する見込み。

 新工場は、独ケルン本社工場の設計思想を色濃く反映したコンセプトのもとに構築された。建物全体は壁や柱を極力なくし、自然光を取り入れ、柔軟性と開放感に富んだ空間設計を実現。また、同社では「顧客を太陽と捉え、その周りでチームが柔軟に連携しながら動く」という独自の組織哲学「ソーラーシステム」を掲げており、新工場もその理念を体現するため、施設内の柱やシャッターなど随所に太陽をイメージした黄色を配置している。さらに、作業エリアとオフィスをガラス張りとすることで、部門間の物理的な隔たりをなくし、社員同士の円滑なコミュニケーションを促進する設計方針を取り入れるなど、ケルン本社工場の理念を徹底的に踏襲している。

 1階には柱のない大空間を活かした効率的な倉庫・組立エリアを配置。2階にはガラス張りのオフィスや、工場従業員全員が交流できるカンティーンを設け、組織全体の一体感と生産性向上に寄与する環境を整えている。工場外周には桜を植樹しているほか、約5000㎡の用地も敷地内に確保しており、日本市場での成長に合わせて拡張できる工場となっている。

エントランスホール
イグスの組織スタイル「ソーラーシステム」のスケッチ画パネルを設置

 

倉庫エリア
62.5m×75mに柱4本のみの大空間。
高層ラックを導入し保管効率を向上。天窓と高窓を設置し自然採光を確保

 

カンティーンエリア
全部門共用のカンティーンによって部門間コミュニケーションを促進
ガラスを多用し開放的なスペースとしている

 

オフィス・会議室エリア
全面ガラス張りで現場と事務所の隔たりをなくし倉庫エリアを見渡すことが可能。2階展示会エリアは37.5m × 37.5mの無柱空間


 

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日本精工、MURASAKI SHONAN OPENに初協賛、ベアリング組立体験などコンテンツ提供

1ヶ月 ago
日本精工、MURASAKI SHONAN OPENに初協賛、ベアリング組立体験などコンテンツ提供kat 2026年06日25日(木) in

 日本精工(NSK)は、本年7月18日~20日に神奈川県藤沢市で開催されるクロスカルチャービーチフェス「MURASAKI SHONAN OPEN 2026」に初協賛することを決定した。7月19日と20日の日曜祝日にはNSKブースを設置し、ベアリング組立体験などのコンテンツを提供する。

 

 MURASAKI SHONAN OPENは2025年に6年ぶりに復活したクロスカルチャービーチフェス。今年も、サーフィン、スケートボード、BMX、ブレイキンといったオリンピック競技を中心に、国内外からトップアスリートが集結し、アクションスポーツの魅力を幅広い世代へ発信する。また、競技観戦にとどまらず、キッズ向け体験やファミリーで楽しめるアクティビティ、トップアスリートによるワークショップなどさまざまな参加型コンテンツも用意されたイベントとなっている。開催内容の詳細はhttps://www.shonanopen.com/で確認できる。

 NSKは、本イベントへの協賛を通じて、同社製品であるベアリングの重要性やものづくりの魅力を紹介するとともに、神奈川県藤沢市に拠点を持つ企業市民として、地域住民や藤沢市に訪れる人々との交流を図り、地域の魅力発信に貢献していく。

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スガツネ工業、マルチリニアモーションカタログの最新版を発行

1ヶ月 1週 ago
スガツネ工業、マルチリニアモーションカタログの最新版を発行kat 2026年06日22日(月) in

 スガツネ工業は、「マルチリニアモーションカタログNo.471A」を6 月19 日に発刊、同社ウェブサイトで公開する。2025年6月に発刊した「マルチリニアモーションカタログ No.471」に新製品を追加しリニューアル増刷したもの(サイズ:A4判、総頁数:40頁、新製品:11 品番、掲載品番数:67 点)。無料でデジタル版の閲覧ができる。

マルチリニアモーションカタログ最新版の表紙

 

 近年、製造現場では人手不足への対応や装置の省スペース化、設計・組立工数の削減が求められている。同社のコア技術で動きの感触や取付・調整、開閉角度・軌跡を統合制御する技術力・製品群を表現した技術ブランド「MDT(モーションデザインテック)」の一つである、マルチリニアモーション機構を搭載したガイドレールは、多方向から荷重を受けられるほか、高い取付精度を必要としないため、設計・調達・取付など様々な面で最適化に貢献できる。

 最新版のマルチリニアモーションカタログNo.471Aでは、新製品であるマルチローラーリニアガイドレール MLGX25 型に使用できる連結用レールとレール幅に納まる細幅キャリッジを追加掲載しているほか、マルチリニアモーションによる課題解決事例を掲載して、どの事例にどのレールが適切かを提示、ユーザーの困りごとを解決できるようなコンテンツとしている。また、製品紹介、施工例、取付方法などの同社ならではの機構部品の動きを、動画で体感できる。
 

課題解決事例

 

kat
Checked
1時間 11 分 ago
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