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TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第9回 国際シンポジウムを開催

14時間 39 分 ago
TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第9回 国際シンポジウムを開催kat 2026年04日18日(土) in in

 大豊工業トライボロジー研究財団(TTRF)と大豊工業は4月14日、名古屋市中村区のウインクあいちで「9th TTRF-TAIHO International Symposium on Automotive Tribology 2026」を開催した。

第9回TTRFシンポジウム 開催のようす

 

 「トライボロジーの自動車社会への貢献」を全体テーマに掲げる同シンポジウムは、トライボロジー研究の進展と自動車技術への応用等に関しトップレベルの情報を交換するとともに、この分野での産学連携の現状と将来の可能性を示しその強化を図ることを目的に、2016年から開催されている。9回目となる今回は 、「"Tribological Design Technique Improves Powertrains Performance(パワートレーンの性能を改善するトライボロジーの設計技術)」のテーマのもと、基調講演のほか、「さらなる高性能化のための部品の設計」セッション1・セッション2の技術セッションが行われた。

 開会の挨拶に立った新美俊生 実行委員長(大豊工業 代表取締役社長)は、「自動車のパワートレーンにおいては、脱炭素化に加え、高効率化、高出力密度、電動化など要求が高度化し、これまで以上にトライボロジーの重要性が増してきている。今回は、トライボロジーを構成する潤滑剤・設計・材料(LuDeMa)のうち、「パワートレーンの性能を改善するにトライボロジーの設計技術」をシンポジウムテーマとしつつ、潤滑剤・設計・材料の統合技術によって性能を最大化し、脱炭素化を可能にするトライボロジー技術について、2件の基調講演に加えて、トラクションドライブ、減速機、ベアリング、レーザーテクスチャリング、シール、コーティングに関する6件のレクチャーをいただく。是非ともトライボロジー研究開発の促進につながるような活発なディスカッションを行っていただきたい」と述べた。

開会の挨拶を行う新美実行委員長

 

基調講演

「Toyota’s Multi-Faceted Approach to Decarbonization and the Future of Next-Generation」宮崎正隆氏(トヨタ自動車)…本講演では、内燃機関(ICE)、バッテリー電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCEV)といった次世代パワートレーンの動向と、各地域特有のエネルギー事情について紹介。希少資源の有効活用とリサイクルによるCO2排出量と一次エネルギー消費量の削減に向けた取り組みについても説明したほか、パワートレーンの効率と耐久性をさらに向上させるには、摩擦や摩耗を低減するトライボロジー技術の重要性がますます認識されていると強調。①脱炭素化には多角的なアプローチが必要で、BEV・HEV・PHEV・FCEV・ICEとカーボンニュートラル燃料の並行導入は、地域条件とユースケースに合わせて調整されるべき、②排出量はLCA(ライフサイクルアセスメント)に基づいて評価されるべきで、製造、特にバッテリー製造はWell-to-Tank(燃料採掘からタンクまで)およびTank-to-Wheel(タンクから車輪まで)の影響とともに、技術中立的な政策の下で評価されるべき、CO₂削減のための短期的な対策が不可欠で、HEV/PHEVとバイオ燃料/e-fuelは既存の車両群において即座に排出量削減を実現できる一方、限られたバッテリー資源を効果的に配分すべき、④エネルギー安全保障は脱炭素化とバランスを取る必要があり、再生可能エネルギー、バイオ燃料、e-fuel、水素、および蓄電オプションを多様化することで地政学的リスクと供給リスクを軽減すべき、⑤影響力の大きい研究開発分野を優先すべきで、内燃機関の熱効率、摩擦低減、潤滑最適化、電動部品の信頼性はCO₂排出量と総コストの両方に直接影響を与える、と総括した。

講演する宮崎氏

 

「Tribology for Automotive Decarbonization and Circular Economy: Surface Engineering and Emerging Challenges in the Electrified Mobility Era」佐々木信也氏(東京理科大学)…自動車分野におけるカーボンニュートラルの達成は、気候変動対策における世界的な重要課題である。車両の電動化にとどまらず、さらなる脱炭素化には、自動車部品のライフサイクル全体を通して、エネルギー損失、資源消費、環境負荷を包括的に削減することが不可欠で、この点においてトライボロジーは摩擦低減、摩耗制御、寿命延長を可能にすることで中心的な役割を果たす。これらは、エネルギー効率の向上と循環型経済の実現の両方に不可欠である。本講演では、自動車の脱炭素化に貢献するトライボロジー技術の最新動向について、特にDLCコーティングなど表面改質や潤滑剤添加剤によるトライボフィルム形成といった高度な表面工学的手法に焦点を当てて紹介した。これらの技術は、摩擦損失を低減するだけでなく、部品の耐久性、再生、再利用を促進し、循環型物質フローを支援する。さらに、電気自動車(EV)への急速な移行は、高速走行、特有の負荷条件、電気的影響、電動パワートレーンにおける潤滑環境の変化などから生じる新たな摩擦学的課題をもたらす。これらの課題に取り組む最新の研究動向を概説し、最後に、統合された摩擦学的ソリューションが脱炭素化、循環型経済の原則、持続可能なモビリティを同時にどのように支援できるかに焦点を当て、今後の展望について議論した。

講演する佐々木氏

 

さらなる高性能化のための部品の設計 セッション1

「Modeling of Traction Drive and Traction Coefficient Enhancement Using Surface Texture Under High-Speed Conditions」山本 健氏(東海大学)…高出力伝達効率を有する小型減速機を備えた高速電動機は、回転速度の向上に伴い小型化が可能となるため、高出力密度パワートレーンシステムの実現に利用できる。トラクションドライブは噛み合い振動がないため振動騒音が少なく、高速減速機の伝動要素として適している。しかし、伝動性能に大きく影響するトラクション係数は、回転速度の上昇とともに低下する。本研究では、表面テクスチャを用いてトラクション係数を向上させるため、高速条件下における過渡的な温度変化と微細表面形状の影響を考慮したモデルを開発した。トラクション係数は、最大回転速度50000rpmで動作可能な高速試験機を用いて測定した。モデルは、実験値を最大6%の誤差で予測することができた。油の高圧レオロジー特性を調べ、表面テクスチャの設計ガイドラインを作成し、モデルを用いてテクスチャパラメータを最適化した。設計したテクスチャを製造し、評価を実施。トラクション係数を最大19%向上できた結果が示された。

「CFD Simulation of Transmission Fluid Flow」Thomas Lohner氏(Technical University of Munich)…効率、熱管理、耐久性は、持続可能で高性能な電動駆動装置の開発と設計において重要な要素である。摩擦と摩耗を低減し、摩擦熱を除去するには、トランスミッションの流体潤滑が不可欠で、ギヤ式変速機(ギヤボックス)における流体の流れは、機械要素の運動学と、それらが流体とどのように相互作用するかによって決まる。計算流体力学(CFD)は現在、ギヤボックスの流体流れを理解し、主要な流路と機械要素への潤滑油供給量を評価し、負荷に依存しない動力損失と対流熱伝達を定量化するための設計技術として活用されている。これに基づいて、動力損失を最小限に抑え、十分な熱負荷容量を確保するために、ギヤボックスとハウジングの設計、および潤滑油供給量を最適化できる。本講演では、ギヤと流体の相互作用の主な種類、メッシュベースおよびメッシュレスの数値シミュレーション手法、そしてシミュレーションモデルを検証するための実験手法について紹介した。単段式ギヤボックスにおける粘度、ギヤパラメータ、運転パラメータなどのさまざまなパラメータの影響を示す事例研究に加え、電動駆動系および車軸駆動ギヤボックスに関する事例研究も紹介。シミュレーションによる負荷に依存しない動力損失係数と熱伝達係数を効率および熱バランスのモデリングに組み込む方法を示すフレームワークを提示した。

「Friction Prediction Method for Engine Bearings using EHD Analysis Considering Modified Friction Coefficient and Running-in depending on Lubrication Conditions」倉部陽平氏(大豊工業)…摩擦低減は内燃機関の熱効率向上に有効な手法であり、モデルベース開発においてはベアリング摩擦の正確な予測が不可欠である。しかし、混合潤滑条件下では、固体接触挙動や慣らし運転過程の影響により、摩擦予測には依然として不確実性が伴う。本講演では、修正摩擦係数モデルと慣らし運転シミュレーションを多体動力学と弾性流体動力学(EHD)解析に組み込むことで、ジャーナルベアリングの摩擦予測手法を開発したことを報告。潤滑条件に依存する修正摩擦係数は、潤滑数の関数として定式化され、混合潤滑試験装置を用いた試験により、アルミニウム合金ベアリングと固体潤滑剤オーバーレイベアリングについて同定された。慣らし運転の進行は、マクロスケールおよびミクロスケールの摩耗計算による表面粗さパラメータの更新によってモデル化された。提案モデルをエンジンの燃焼条件に適用し、予測された軸受摩擦トルクを、指示平均有効圧力測定から得られた実験結果と比較した。さらに、軸受材料を交換し、計算値と測定値の差を比較することで、固体潤滑剤オーバーレイ軸受の摩擦低減効果を評価した。その結果、提案モデルが、幅広いエンジン回転数において測定された摩擦低減の傾向と相関性が高いことを提示。潤滑に依存する固体接触摩擦と慣らし運転挙動を考慮することで、エンジンジャーナル軸受の摩擦予測の信頼性が大幅に向上することを示した。

セッション1の総合討論のようす

 

さらなる高性能化のための部品の設計 セッション2

「Laser Surface Texturing and Laser Induced Periodic Surface Structures for Tribology Applications in Industry」Tuğrul Özel氏(Rutgers University)…レーザー表面テクスチャリング(LST)とレーザー誘起周期表面構造(LIPSS)は、トライボロジー的に重要な部品の表面機能を調整するための強力な非接触技術として注目されている。本講演では、マイクロスケールおよびナノスケールの表面構造化を支配するレーザーと物質の基本的な相互作用メカニズムの概要を説明し、制御された表面形状と形態が摩擦、摩耗、潤滑状態にどのように影響するかを重点的に解説。レーザーによって生成されたテクスチャと周期的なナノ構造が、実際の接触面積、デブリの捕捉、潤滑剤の保持、界面エネルギーをどのように変化させ、摩擦低減、耐摩耗性、トライボロジー対の寿命の測定可能な改善につながるかを議論。自動車、工具、バイオメディカル、エネルギー分野における産業関連事例を紹介し、乾燥潤滑、境界潤滑、混合潤滑条件下での性能向上を実証したほか、LSTおよびLIPSSの製造ワークフローへの拡張性、プロセス再現性、統合について、スループット、表面完全性、品質管理に関する課題を含めて解説。産業用途における次世代トライボロジー表面のためのデータ駆動型最適化とハイブリッドレーザーテクスチャリング戦略の展望を示した。

「Recent Developments in Surface‑Textured Technologies for High‑Speed Mechanical Seals in e‑Motor Shaft Applications」徳永雄一郎氏(イーグル工業)…高出力密度電動モーターは、効率向上のために軸冷却システムと高速回転がますます求められている。このような厳しい条件下では、メカニカルシールには低摩擦性と高耐久性の両方が不可欠となっている。表面テクスチャ加工を施したシール技術は、シール面における微細な流れ制御を可能にすることで、漏れを極めて少なく抑え、従来の非テクスチャ加工シールと比較して最大90%の摩擦低減を実現する実用的なソリューションを提供する。本講演では、高速電動モーター軸向けに特別に設計された、超低摩擦・低漏れのメカニカルシールの開発について紹介した。メカニカルシールしゅう動表面にテクスチャ(溝の深さが小さい溝)を設けることで圧力分布、摩擦、および漏れを制御。潤滑機構とシール機構を単一の摺動界面に統合することで、超低摩擦と漏れゼロの両方を実現した結果を示した。電動モーター軸冷却システムや減速機などの応用例を通して、この技術が次世代電動駆動装置の性能向上と信頼性向上に貢献することをデータで示した。

「Coatings for Metallic Bipolar Plates for Proton Exchange Membrane (PEM) Fuel Cell - The Design Pyramid of Coating Development and Industrialization」Thomas Stoecker氏(Schaeffler Technologies)…コーティングは、摩擦低減、摩耗防止による耐用年数延長、耐食性向上など、様々な方法でモバイルパワートレーンの性能向上に大きく貢献してきた。コーティングは将来のパワートレーンにおいても重要な役割を担う。プロトン交換膜(PEM)燃料電池の工業化において、コーティングは重要な要素である。規定された特性を満たすことが、量産化と工業化の実現を左右する。これらの特性の検証と特性評価の実施方法は、研究開発段階と工業化段階で大きく異なる。研究開発段階では、規定された特性が達成されたことを証明することに重点が置かれるが、
工業化とその後の量産段階では、品質特性を維持しながら、堅牢なコーティングプロセスで規定された特性が確実に実現されるようにする必要がある。本講演では、コーティング設計とコーティング特性評価が、研究開発と工業化の両面において果たす役割に焦点を当て、PEM燃料電池向け高度PVDコーティングの産業化の例として、バイポーラプレート向けDLCコーティングの開発(材料とプロセス)と継続的な最適化により、過酷な条件下でも高い安定性を実現できたデータを示した。特性評価手法の具体例を示すだけでなく、生産部品承認プロセス(PPAP)やプロセス能力の決定といった方法論的なアプローチについても解説した。 

セッション2の総合討論のようす

 

 講演終了後は、加納知広氏(大豊工業 代表取締役技術本部長)が挨拶に立ち、講師陣や運営委員メンバーなどのシンポジウム開催への協力に対して謝辞を述べた後、「この後のレセプションにおいても情報交換や人的交流の場にしていただくとともに、次回のシンポジウムにフィードバックし、より有意義なシンポジウムに発展していけるよう、本日のご講演に関するご意見、ご感想をうかがいたい。来年4月には「10th TTRF-TAIHO International Symposium on Automotive Tribology 2027」を開催するので、その際もぜひ参加していただきたい」と述べて、シンポジウムは閉会、レセプションへと移行した。

閉会の挨拶を行う加納氏

 

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東京理科大学・佐々木研究室、第43回トライボサロンを開催

19時間 51 分 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第43回トライボサロンを開催kat 2026年04日18日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第43回目が4月18日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスにてオンサイト開催された。

開催のようす


 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室のメンバーに限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。

 第43回目となる今回のトライボサロンでは、Rtec-Instruments日本法人社長で東京理科大学博士後期課程3年の國井卓人氏が、「e-Axle用変速機における耐マイクロピッチング性評価試験法に関する研究」と題して、話題提供を行った。

 マイクロピッチングの評価法・試験機の開発、e-Axle用フルードがマイクロピッチング挙動に及ぼす影響の評価、三円筒型ローラーピッチング試験機の開発とマイクロピッチング評価、電食試験機の開発と電食・マイクロピッチングの複合評価を実施。e-Axle用変速機を想定した条件下における耐マイクロピッチング性評価試験法の確立と今後の性能評価および試験技術の発展に寄与する基盤を提示した。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://www.tribo-concierge.com/topics/296/
 

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日本滑り軸受標準化協議会、第42回総会を開催

2週 4日 ago
日本滑り軸受標準化協議会、第42回総会を開催kat 2026年03日31日(火) in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は3月13日、東京都千代田区のTKP 東京駅セントラルカンファレンスセンターで「2025年度 第2回総会(通算第42回総会)」を開催した。

開催のようす

 

 会の冒頭、挨拶に立った濵﨑俊一氏(オイレス工業)は、「当協議会は、ISO/TC 123国内委員会のISO規格、JIS規格を対象とした標準化活動の支援を目的として2004年10月に設立され、ISO/TC 123国内委員会メンバーの国際会議への参加費用の支援を主業務としている。この費用は会員各位の会費で賄っており、当協議会の運営へのご協力を感謝申し上げるとともに、引き続きのご協力をお願いしたい。2004年設立のため2024年が当協議会の設立20周年に当たっていたが、コロナ禍等もあり記念行事が行われていない。そこで、記念行事の2027年度開催をめどに2026年度に準備委員会を設け詳細を決めていければと思っている。一方、経済産業省では毎年10月、産業標準化推進活動に優れた功績を有する方を表彰する「産業標準化事業表彰」を実施しているが、今年度令和7年度は理事で産業技術総合研究所の是永 敦氏が、経済産業大臣表彰を受賞した。詳細は後ほど報告する。さらに、本日は2件の講演を予定している。最初が、今年度で標準化活動を引退する大豊工業の山田 晃氏の講演となる。おそらく現職のメンバーの中では最も古くから活動されていて、今のようにいろいろなことがオンラインでできる時代と違い、ご苦労が多かったものと推察され、我々の知らない時代の話題が聞けるものと思う。次が、ISO/TC 70(往復動内燃機関)の国内委員会委員長を務める東海大学の畔津昭彦氏の講演となる。TC 123とは異なるTCでの活動の様子をお聞きできるものと思う」と述べた。

挨拶する濵﨑会長

 

 続いて、来賓の挨拶に立った経済産業省 産業技術環境局 国際標準課の青山直充氏が、「ISO/TC 123国際標準化活動に協力をいただき感謝している。高市早苗首相も、国際標準化を国家戦略の中核に位置付けている。これまでの「決められたルールを守る側」から積極的にルール形成に関与する「ルールを作る側」への転換を目指しており、それには官民が一体となって国際標準化に戦略的に関与している体制を築いていくことが重要で、これが日本国内産業の国際競争力強化に直結するものと捉えている。引き続き国際標準化活動への協力をお願いしたい」と述べた。

来賓の挨拶を行う青山氏

 

 その後、ISO/TC 123国内委員会の2025年度活動報告および2026年度活動計画が発表された。最初にISO/TC 123国内委員会委員長の片桐武司氏(大同メタル工業)がTC123活動へのPBSA会員からの協力に対する感謝を述べ、続いて山田 晃幹事(大豊工業)が2025年度の国際標準規格開発状況・国際会議参加状況、および2026年度の活動計画について説明した。2026年度目標として、「静圧気体軸受用語に関する国際標準化(SC6、ISO/NP 26572)」に関してNP投票終了、NP登録、CD作成、CD協議開始(30.20)に進める計画であること、2026年度のISO/TC 123国際会議は本年10月にドイツ・ベルリンでの開催が予定されておりPBSAへ支援要求書を提出したことが報告された。

挨拶する片桐委員長

 

 続いてPBSAの2025年度の活動報告と2026年度の活動計画について、会計を務める橋爪 剛氏(オイレス工業)より報告がなされ、2025年度の活動報告として、2025年6月と2026年3月に2回の総会が開催されたこと、昨年10月に韓国・栄州で開催されたISO/TC 123国際会議の旅費などをPBSAが支援したことなどを報告し、さらに2025年度会計報告がなされた。2026年度の活動計画としては、第1回総会(通算第43回総会)を本年6月にオンラインで開催し、第2回総会(通算第44回総会)を2027年3月に対面で開催することや理事会を必要に応じて開催する予定であることなどを報告した。また、本年10月にドイツ・ベルリンで開催されるISO/TC 123国際会議の支援や、ISO/TC 123国内委員会活動の支援、第2回総会で講演会を開催することなどを報告した。また、新たに正会員となった夏目順一氏(大豊工業)と遠藤紗希氏(オイレス工業)の2名の紹介が行われたほか、PBSA監事の山田氏から夏目氏への交代が示され、賛成多数で承認された。

報告を行う橋爪氏

 

 その後、是永 敦理事(産業技術総合研究所)が「令和7年度 経済産業省 産業標準化事業表彰 経済産業大臣表彰」を受賞したことが報告され、濵﨑会長より記念品の「国鉄EF66形電気機関車HOゲージ(Nゲージより大きいレール幅16.5mm、縮尺1/80〜1/87の鉄道模型規格)」が授与された。是永理事からは、受賞の感想とISO/TC 123 国内委員会および日本滑り軸受標準化協議会への謝意が示された。
 

是永氏への記念品の授与

 

 総会終了後には、以下の2件の講演がなされた。

・「ISO/TC 123 国内委員会の活動の歴史」山田 晃氏(大豊工業、ISO/TC 123国内委員会 幹事…ISO/TC 123は1967年にソ連(現ロシア)が幹事国とし設立、日本は翌年に発言権のないOメンバーとして参加した。ISO/TC 123国内委員会は、ISO/TC 123に対応する日本の組織として設立され、2000年代以降本格的な活動を展開してきた。当初は既存規格への対応が中心であったが、2000年に日本が投票等の義務のあるPメンバーとなり、国際会議への継続的参加や国内意見の集約が進展した。2004年には日本主導でSC6(用語・共通事項)を設立、2008年にはTC 123幹事国を日本が獲得するなど、主導的立場を確立した。日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)設立により支援体制も強化され、2010年代以降は新規規格提案や複数SCの立ち上げを通じて国際標準化を牽引している。こうした活動は、日本の技術の国際社会への反映、産業競争力の強化、人材育成に大きく貢献してきた。また、これらを実現したISO/TC 123 国内委員会の活動は、TC 123国際議長を務めた故染谷常雄先生の尽力によるところが大きい、と述べた。
 

講演する山田氏

 

・「ISO/TC 70(往復動内燃機関専門委員会)国内審議委員会の活動」畔津昭彦氏(東海大学客員教授、日本内燃機関連合会参与、ISO/TC 70 国内審議委員会委員長)…ISO/TC 70(陸用・舶用・鉄道用などの往復動内燃機関を対象に、用語定義、性能、試験方法、排ガス計測などの国際規格を策定する専門委員会)の生い立ちや取り扱う内燃機関の適用範囲、日本の対応組織(日本内燃機関連合会)および内燃機関に関する規格開発を行っている他のTCについて解説、ISO/TC 70がさまざまな業界団体・組織と関与しているTCであることが説明された。ISO/TC 70はPメンバー16カ国、Oメンバー22カ国と、ISO/TC 123と比べて多くの国が参加しワーキンググループ活動も活発であり、2回/年以上の頻度で国際会議を開催している。昨年のISO/TC 70の国際会議は機械振興会館(東京都港区)で開催されたが、懇親会場の選定を工夫することで費用を抑えながらも参加者の満足を得られるとの示唆があった(ISO/TC 70の2025年国際会議の懇親会は、2014年に日米首脳の「居酒屋会談」に利用された「権八」(東京都港区)で開催された)。また、ISO/TC 123と異なる点として、①CAG(Chair Advisory Group)が設置されており、SBP(Strategic Business Plan)およびPWI(Preliminary Work Item)を審議していること、②日本内燃機関連合会が機械学会・日本滑り軸受標準化協議会の両方を担う組織として活動していること、が説明された。一方、ISO/TC 70 国内審議委員会の前委員長が故染谷先生であり、ISO/TC 123 国内委員会と深い関係があることも示された。

講演する畔津氏

 

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「ハノーバーメッセ2026 プレスプレビュー」が開催、展示会の概要・見どころを紹介

2週 5日 ago
「ハノーバーメッセ2026 プレスプレビュー」が開催、展示会の概要・見どころを紹介 in kat 2026年03日30日(月) in

 本年4月20日~4月24日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される世界最大の産業技術見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2026」(主催:ドイツメッセ)に関して、2月25日に同国際見本市会場で「Hannover Messe 2026 Press Preview」が開催され、世界中からジャーナリスト約100名が参加する中、概要と見どころが紹介された。

 会場のようす

 

ハノーバーメッセの概要と、地政学的現状での産業競争力向上における役割

 当日はまずプレスカンファレンスが行われ、主催者であるドイツメッセCEOのJochen Köckler氏が挨拶に立ち、ハノーバーメッセ2026の開催の見どころや地政学的問題を抱える中での産業競争力向上に対して本展示会が果たす役割などについて紹介した。

 熾烈な地政学的競争、高まるコストと関税圧力、そしてAIの理論から実用化への移行が進む中で、ハノーバーメッセ2026では、フィジカルAI、エネルギー、産業インフラ、そして研究と技術移転に明確に焦点を当てる。

 アマゾンウェブサービス、ボッシュ、グーグル、マイクロソフト、シーメンスなどの世界的企業から、ベッコフ、フエスト、ハーティング、シェフラー、ハーティング、イグス、シュンクなどの中堅企業に、DMG森精機やツァイス、アジャイルロボット、ユニバーサルロボット、ジャーマン エッジ クラウドなどの新規出展社を加えたほか、フラウンホーファー研究機構やカールスルーエ工科大学(KIT)などの研究機関、さらに300社を超えるスタートアップ企業など、60カ国以上から約3500社の出展が見込まれる。

 刷新されたホールレイアウトで、革新的なマスタークラスやラウンドテーブル、スピードデート、センターステージが設けられ、中でもセンターステージ(ホール25)は、「人材とトピックス」を通してハノーバーメッセの重要性を示す場となる。産業におけるAIの活用など、実用的な応用分野に焦点を当てる。日別テーマ別フォーカスエリア:4月20日「政治と産業の共存」、4月21日「防衛フォーカス」、4月22日「スタートアップ」。

 今回大きくフォーカスするAIがカメラやセンサーを通じて現実世界(物理空間)を認識・理解しロボットなどの身体を持って自律的に動く「フィジカルAI」は、AIを画面から現実世界へと持ち込み、その有効性、生産性、効率性を向上させる。身近なコンポーネントであるセンサー、グリッパーとAIを組み合わせたヒューマノイドロボットは、現実世界の生産プロセスに応用が広がっている。ハノーバーメッセ2026では、ものづくり企業がAI活用によって収益につなげることができることを実践的かつ応用重視のアプローチで示す。

 AIの活用はエネルギーを大量に消費するためエネルギー対策は不可欠で、ハノーバーメッセ2026にも組み込まれている。水素は余剰の再生可能エネルギーを分子として貯蔵するための重要な媒体としてフォーカスしている。競争力を高めるにはエネルギーのデジタル管理が不可欠で、安全・安定のエネルギー供給があることで、ヒューマノイドロボットと自動化ソリューションは機能する。

開催概要を紹介するKöckler氏
パートナーカントリー、ブラジル

 ハノーバーメッセ2026のパートナーカントリーであるブラジルは、ハノーバーメッセ2026への参画を機に、水素、先進製造業、アグリテック、AIといった分野における長年の協力関係を具体化しようとしている。

 Apex-BrazilのMarcia Nejaim氏とAlex Figueired氏によるセッションでは、ハノーバーメッセ2026への戦略的参加について概説。脱炭素化、デジタル化、エネルギー効率、そして強靭なサプライチェーンにおけるブラジルの能力を強調し、ドイツおよび世界にとって革新的で信頼性が高く持続可能な技術・産業パートナーとしてのブラジルを訴求した。ブラジルのクリーンエネルギー基盤、バイオ燃料(フレックス燃料イノベーション、SAF、海洋バイオ燃料)におけるリーダーシップや、ブラジルから参加する約140社の出展社のプレゼンスについて詳細に説明。具体的な展示内容としては、スタートアップ企業や研究開発機関(ホール11)、ICTおよびスマート製造企業(ホール16)、産業ソリューションとブラジル・ドイツ技能五輪世界大会(WorldSkills)シミュレーション(ホール17)、そしてエネルギー転換に焦点を当てた国家パビリオン(ホール12)があり、WEG、ヴァーレ、B&H、エンブラエルといった大手企業に加え、ドイツのフォルクスワーゲンやバイエルとのパートナーシップも紹介した。

パートナーカントリー、ブラジルのセッションのようすパネルディスカッション:製造業におけるAI活用

 ボッシュ・コネクテッド・インダストリーのNorbert Jung氏、ジャーマン エッジ クラウドのLilija Kucinskaja氏、アジャイル・ロボッツのSwen Parusel氏によるパネルディスカッション「製造業におけるAIの活用」が行われ、「データ増加のパラドックス」、自律的に推論し問題解決できる「エージェントAI」の台頭、そしてロボットとAIモデルの緊密な統合(フィジカルAI)の必要性などが挙げられた。

 Kucinskaja氏は、中小企業のデジタル化支援に注力しているが、AIを導入する前に、企業はまず基本的なデータの透明性と接続性(垂直統合)を実現し、生産の非効率性を可視化する必要があると主張。また、Jung氏は、製造業は膨大なデータを生成しているものの価値の抽出には時間がかかるという「データ増大パラドックス」の課題を浮き彫りにし、AIエージェント、マシン、そして人間が協働する「製造におけるコ・インテリジェンス」を提唱。AIプロジェクトの95%は、適切なセマンティック・コンテキスト(ある数値が圧力と温度を表わすといった認識)とリーダーシップの関与が欠如しているために価値を提供できていないと強調した。さらに、Parusel氏はフィジカルAIを専門としロボットアームやヒューマノイドロボットにインテリジェンスを付与する取り組みを行っているが、AIをハードウェアに深く統合することで柔軟な製造ソリューションを構築し、基盤モデルを用いて導入を迅速化する必要があると主張した。

パネルディスカッション「製造業におけるAIの活用」のようす

 

ロボティクス・アワード2026

 当日はまた、ロボット工学の専門家からなる審査員団が自動化と物流の分野における革新的なロボット支援ソリューションで産業開発に画期的な進歩をもたらす企業を表彰する「ロボティクス・アワード2026」の大賞受賞者を発表、ドイツのグッドバイツが選定され表彰された。
受賞したロボットは、独自のAI駆動制御ロジックによって制御され、複数の注文が同時に発生した場合でも、ワークフローをインテリジェントに順序付けることができる。これらの自動化された柔軟な生産プロセスにより、病院、大学、企業施設向けに高品質でカスタマイズされた食品供給が保証され、人員レベルや注文の複雑さに関わらず、安定した生産量を維持することなどが評価された。

ロボティクス・アワード大賞表彰式のようす

 

ミニ展示会

 当日は出展予定企業の約3500社を代表して約30社がミニブースを併設し、ハノーバーメッセ2026で出展予定の製品・技術を披露した。ベアリング・モーション技術(bmt)関連の製品・技術では、ハノーバーメッセ2026で披露される予定の、以下のような展示がなされた。

ミニ展示会のようす

 

イグス

 イグスは、企業が導入を容易にするための新たな低コストロボットソリューションを紹介した。

 その一つがサービスハブとしてのオンラインプラットフォーム「RBTX」で、現在約260社のメーカーがこのプラットフォームに参加しており、ロボットコンポーネントはモジュール式のため相互に組み合わせることができる。同社専門家のサポートを受け、数百社がこれまでに自動化ソリューションを実現しており、その95%は18000ユーロ未満で導入されている。ハノーバーメッセの開幕までに、RBTXは、35社のメーカーから95種類のロボットモデルを揃え、ヒューマノイドロボットのラインナップにおいて最大規模となる見込み。

 低コストロボットソリューションではまた、熟練労働者の深刻な不足に対応するローコストのマテリアルハンドリング向けの自律型移動ロボット「ReBeL Move Pro」と、人手不足の現場で活躍する自律型フォークリフト「ReBeL Pallet Mover」も紹介した。用途に応じて、積載量300kg、1400kg、1500kgのモデルを用意しているほか、ニーズに合わせてカスタマイズも可能となっている。
 

イグスブースのようす

 

RBTX

 

ReBeL Pallet Mover

 

シェフラー

 シェフラーは、ロボット工学の論理的な発展形であるヒューマノイド向け技術に特に高い可能性を見出しており、この最先端技術向けにベアリング、ギヤボックス部品、センサー、アクチュエーター、電気モーターなどの主要コンポーネントを提供し、技術的に重要な進歩によってヒューマノイドロボットを最適化できるとアピール。

 その一つとして、軽量ロボットおよび協働ロボット向けの革新的なXZUアンギュラコンタクト針状ころ軸受「XZUシリーズ」を紹介。複列配置により負荷分散が大幅に改善され、運転中のスキューを抑制するほか、従来のクロスローラー軸受に比べて傾き剛性が30%向上する。コンパクトな設計、高効率、軽量性を兼ね備えた優れた特性により、ハノーバーメッセの「HERMES AWARD」にノミネートされている。

 シェフラーではまた、高分解能と直線性により産業用駆動系におけるトルクを非接触で高精度に測定できるトルクセンサーソリューション「TorqueSense」も紹介。制御システムの性能を向上すると同時に、エネルギー消費量を削減するため、建設機械や農業機械の作業工程制御などの用途に最適。産業用機械の過負荷保護機能として設置できるほか、ユーザーのアプリケーションに容易に統合でき、機械の寿命を大幅に延長できる。
 

シェフラーブースのようす

 

XZUシリーズ

 

TorqueSense

 

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NTN、精密リキッドハンドリングシステムのライフサイエンス分野への提案を加速

2週 5日 ago
NTN、精密リキッドハンドリングシステムのライフサイエンス分野への提案を加速kat 2026年03日30日(月) in in

 NTNは、高粘度の微量な液剤を±15µm(μm:1/1000mm)以下の位置精度で高精度に塗布する「微細塗布装置」の名称を、本年4月より「精密リキッドハンドリングシステムX-CELList(エクセリスト)」(https://www.ntn.co.jp/japan/x-cellist/index.html)に変更し、従来の工業分野に加え創薬実験用途などライフサイエンス分野における提案を加速していく。

精密リキッドハンドリングシステム「X-CELList」(上)とそのロゴ(下)

 

 近年、創薬や再生医療の分野では、細胞や生体材料を高い再現性で取り扱うための精密なリキッドハンドリング技術が求められている。NTNの「X-CELList」は、塗布針の先端に付着させた微量の液剤を対象物に直接塗布する独自の方式により、高粘度な液剤であっても、無駄なく高精度に塗布できる点を特長としている。

 NTNは、抗原検査の研究活動や創薬分野への適用に取り組み、2025年にiPS細胞由来心筋細胞(iPS心筋細胞)を創薬実験用プレート上に効率的かつ高精度に配置(播種)するバイオプリンティング技術を開発した。手作業と同等の細胞生存率を維持しながら、定位置・適量での塗布を実現し、細胞配置作業の自動化を可能としている。

 今回、従来の販売先である工業分野に加えてライフサイエンス分野での提案の加速を目的に、同分野における訴求力を高めた名称として、精密リキッドハンドリングシステムX-CELListに変更した。新名称は「Excellent Liquid Stamp Technology(卓越した液体塗布技術)」を基に、ライフサイエンス分野への適用を象徴する「Cell(細胞)」と、未知の可能性を連想させる「X」を組み合わせたもの。

 NTNは、創薬分野に加え、病気などで機能を失った組織や臓器の再生を目指す再生医療分野においてもX-CELListの適用を進め、新たな成長領域の一つとして位置付けるライフサイエンス分野の拡大を通じ、社会課題の解決に貢献していく。

kat

bmt2026年3月号「特集:モビリティ」、「キーテク特集:グリース」3/25発行!

4週 2日 ago
bmt2026年3月号「特集:モビリティ」、「キーテク特集:グリース」3/25発行! in admin 2026年03日19日(木) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第59号となる2026年3月号が3月25日に小社より発行される。

 今号は「特集:モビリティ」、「キーテク特集:グリース」で構成。特集「モビリティ」では、生産プロセスのCN化に貢献する自動車部品のアディティブ・マニュファクチャリング技術から、レース分野でのCN化に貢献するレーシングオイルの再生成基油の適用、自動車用潤滑油剤のCN化にも寄与する定量評価のための粒子径・ゼータ電位評価技術、潤滑油のフレッチング摩耗評価が可能なSRV試験の技術などについて紹介する。

 キーテク特集「グリース」においては、過酷な環境で付加価値を高めるフッ素グリースの開発や、風力発電機の主軸軸受用レスキューグリースの話題について紹介する。

特集:モビリティ

◇自動車部品の付加価値向上とカーボンニュートラルに寄与するアディティブ・マニュファクチャリング・・・日産自動車 塩飽 紀之 氏に聞く

◇再精製基油(RRBO)を用いた潤滑油の開発と適用・・・トライボジャパン 丸山 秀一 氏、佐藤 剛久 氏に聞く

◇自動車分野における微粒子の粒子径・ゼータ電位評価のための計測技術と適用事例・・・大塚電子 中道 栄明 氏、武川 透 氏に聞く

◇SRV試験機を用いた潤滑油のフレッチング摩耗評価・・・Optimol Instruments Ameneh Schneider、訳・加筆:パーカー熱処理工業 佐藤 雅之

キーテク特集:グリース

◇過酷な環境で付加価値を高めるフッ素グリースの開発・・・ニッペコ 井出 優希 氏に聞く

◇風力発電機主軸受用レスキューグリースの話題・・・編集部

座談会

◇ドクターコースのトライボロジストに聞く トライボロジー博士を増やすには?・・・カヤバ 黒岩 侑紀 氏、名古屋工業大学 伊藤 一志 氏、横浜国立大学 渡辺 稔紀 氏、兵庫県立大学 西村 泰風 氏、藤田 晃徳 氏、小林 健洋 氏、富山県立大学 山本 美空 氏、鳥取大学 斎藤 千夏 氏、ジェイテクト 獅子原 祐樹 氏、東京理科大学 森田 美穂 氏

連載

注目技術:E-Axleの評価に適用可能なトライボロジー試験機・・・PCS Instruments/島貿易

トップインタビュー・・・ジヤトコ 大曽根 竜也 氏に聞く

あるコスモポリタンの区区之心 第29回 トリウム溶融塩炉・随想(中編)・・・紺野 大介

トピックス

本誌主催の講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」が開催

「ハノーバーメッセ2026 プレスプレビュー」開催、展示会の概要・見どころを紹介

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THK、動剛性測定サービスの正式受注を開始

1ヶ月 ago
THK、動剛性測定サービスの正式受注を開始kat 2026年03日18日(水) in in

 THKは、「動剛性測定・DYNAS(ダイナス)」の正式受注を開始する。本サービスにより、ユーザーの装置の振動特性を可視化・明らかにし、装置開発の課題解決に貢献する。

 

 動剛性測定・DYNAS(DYNASはTHKの登録商標)は、設計で重要な三つの剛性である「静剛性」と「動剛性」、「熱剛性」のうち、動的力に対する変形のしにくさを表す「動剛性」を測定・解析し、ユーザーの装置の振動特性を可視化・明らかにするサービス。これまで経験や感覚に頼っていた装置の“揺れやすさ”を定量的に評価し、揺れの要因を構造単位で把握することで、設計改善の方向性を具体的に導いていく。

 装置開発においては、要求仕様を満足できない、どのように設計変更をすればよいか分からないといった開発者が直面する課題に加え、製品の形状不良や加工面品位・品質不良、スループットが上がらないといった技術課題などがある。

 THKではこうした課題に対し、これまでさまざまな産業や装置に直動製品を提供することで培ってきた経験をもとに動剛性の測定・解析を実施し、装置の振動特性を可視化・明らかにすることで、ユーザーの装置開発における課題の解消、新しいノウハウの獲得に貢献していく。

 測定結果は専用のビュアーソフトでユーザーに提供、ユーザーは任意の固有振動に対応した装置の変形挙動およびコンプライアンス分布が確認できる。工作機械、半導体製造装置、製造ライン設備、産業用ロボットなどさまざまな装置を対象としており、ユーザーの要望に寄り添った測定・解析を行う。

 DYNASの特長は以下のとおり。

・装置全体を評価:部分的な評価では見ることができない装置全体の振動の相関を確認することが可能

・振動のトラブルを早期解決:問題発生時の周波数を評価し、装置全体の評価と照らし合わせることで影響部位を特定する

・データ蓄積・データベース化:測定データを蓄積することで、将来の設計に活用できる技術データの構築につながるため、技術課題の解決や技術力の強化にも貢献する

 THKは今後も、ユーザーの装置開発における課題解決に貢献できるよう、さまざまなサービスの開発・提供を行っていく。

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東京理科大学・佐々木研究室、第42回トライボサロンを開催

1ヶ月 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第42回トライボサロンを開催kat 2026年03日14日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第42回目が3月14日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室のメンバーに限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。

 第42回目となる今回のトライボサロンでは、本年4月から東京工業高等専門学校への異動が決まっている東京理科大学 佐々木研究室の佐藤魁星氏が、「旅立ちの前に、今までの研究を振りかえって」と題して話題提供を行った。

 佐々木信也ほか著『初めてのトライボロジー』(講談社刊)を読破し同書で潤滑油添加剤であるZDDP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)のトライボケミカル反応機構といった摩擦界面に興味を持ったというトライボロジー研究を始めた契機から、ZDDP含有油にイオン液体添加による 潤滑性向上メカニズムの解明(2023年度日本トライボロジー学会論文賞を受賞)や、ZDDP複合添加油においてイオン液体の化学構造が潤滑特性に及ぼす影響、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた摩擦面その場観察(In-situ観察)」手法によるトライボフィルム生成過程の研究といった修士研究・博士研究について概要を紹介した。

 その後、今後の研究テーマである「潤滑油添加剤のトライボケミストリー」として、優れた摩擦低減効果を示すモリブデンジチオカーバメイト(MoDTC)を添加したエンジン油において走行距離が長くなるにつれ潤滑性能が低下する課題に対し、MoDTCに代わる摩擦調整剤の開発を目的にタングステンジチオカーバメイト(WDTC)を化学合成しその摩擦摩耗特性を評価する研究や、窒素雰囲気下でのリン系・硫黄系添加剤の摩擦摩耗特性に関する研究を紹介した。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://www.tribo-concierge.com/topics/296/

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bmt主催の講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」が開催

1ヶ月 ago
bmt主催の講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」が開催kat 2026年03日13日(金) in

 メカニカル・テック社『bmt ベアリング&モーション・テック』編集部は3月4日、東京都千代田区のTKPガーデンシティPREMIUM東京駅丸の内中央で、「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」を開催した。コーディネーターは東京理科大学 佐々木信也教授で、当日は歯車システムの関係する電動車や建設機械・鉱山機械といった領域でのトライボロジー課題と取り組みについて、以下のとおり4件の講演が行われ、また、講演の合間にトライボロジー関連の測定評価機器メーカーによる2件のショートプレゼンがなされた。

講演会のようす

 

講演1「総説:カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」佐々木信也氏(東京理科大学)

 トライボロジーは摩擦損失の低減や耐摩耗性向上という観点から機器の省エネや環境負荷低減に寄与してきたが、カーボンニュートラル(CN)社会実現に向けて環境性能の向上につながるトライボロジーの役割に期待が寄せられている。CN実現に期待される電気自動車(EV)の話題を取り上げ、システム小型化のためにモーターの高速回転が求められるe-Axleの減速機の課題として、高速回転に伴うギヤや軸受のピッチング寿命低下への対策とともに摩擦損失の低減による効率向上が求められていると説明。この課題を踏まえて実施したマイクロピッチング試験や電圧印加試験などの評価結果やメカニズム解明に向けた取り組みなどについて述べた。現在EV化は階段の踊り場にあるとされるが、この先もHEVの普及やEVの低価格化に向けて関連するトライボロジー技術のさらなる向上が重要であり、特にギヤトレインにおいてはこれまでにないしゅう動環境に対応し基礎メカニズムの理解をもとにした合理的かつ効率的な技術開発が必要、と総括した。

総説講演を行う佐々木氏

 

講演2「コマツリマンビジネスの状況と今後の展望」櫻井直之氏(コマツ)

 同社の主要な建設機械・鉱山機械・部品・アタッチメントなどの主要製品について紹介した後、カーボンニュートラルに向けた製品開発ロードマップを示しつつ、リマン事業は、ユーザーのライフサイクルコスト低減、サプライチェーンの収益向上、離宮環境に対しては省資源・CO2低減、コマツにとっては価値向上につながる、循環型社会実現のための共創であると説明。同社のリマンは、鉱山機械のエンジン・トランスミッション・モータ等を対象とし、新品同等の高い品質で安価に再生し、プロダクトサポートの一環として低いライフサイクルコスト×高い機械稼働率を実現するとして、加修部品・再利用部品・新品部品の組み合わせで組み立されることを特徴とする同社リマンプロセスの事例や、摩耗などの損傷部を溶射肉盛によって再生する加修技術、リマン新品質の管理技術、さらにはリマンコンポを用いた新車生産など今後の展開について紹介した。

講演する櫻井氏

 

ショートプレゼン1「PI-1000の紹介―油中粒子計測器―」阿部泰尚氏(東陽テクニカ)

 潤滑油中の摩耗紛の大きさと量を高精度に捉えることで軸受やギヤなどのしゅう動部品や摩耗状態を把握し交換時期を最適化できる自社開発の油中粒子計測器「PI-1000」を紹介。PI-1000は、細かな粒子および非磁性の粒子でも測定可能な「レーザー遮光法」を採用、演算処理機能の内臓により、常時オイル粘度によって変化する流速を計算しつつ、摩耗粉の油中の落下時間によって摩耗粉の粒径をその場で演算する。振動や熱、濁りといった外的要因に左右されず、μmレベルで粒子の大きさ、数を測定できる。さらに、独自の減圧による脱泡手法を用いて、摩耗粉と誤認される可能性のある油中の泡の誤検知をなくし数μm単位の高い精度で測定が可能。潤滑油中に放出される粒子の大きさと数によって、部品の状態を判断することができ、機械全体の性能劣化を早めに把握できる。

ショートプレゼンを行う阿部氏
ショートプレゼン2「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー試験機」國井卓人氏(Rtec-Instruments)

 歯車システムのトライボロジー試験では、ギヤの実際の動き(転がり+すべりの複雑な相互作用)をどれくらい再現できるかが課題となる。こうした歯車のトライボロジー試験に関して、同社の多機能トライボロジー試験機「MFT-5000」および「MFT-2000」にミニトラクションモジュールを付加した試験機や、二円筒試験機「TRT-3000」や三円筒試験機「MPT-3000」などを紹介。二円筒試験機・三円筒試験機による歯車試験の代替ソリューションを紹介した。

ショートプレゼンを行う國井氏E-Axleにおける要求性能と試験・評価技術~当社のE-Axleの取り組み」花野雅昭氏(ニデック)

 カーボンニュートラルへの高まり、EVの普及によりモビリティ産業が国際的に水平分業化すると予想されており、新技術への挑戦と生産実績により低コストで競争力あるトラクションモーターの開発、環境対応と安定供給を実現する「磁石フリー:省資源(レアアースフリー)のトラクションモーターの開発が必須。ここでは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) のグリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発について紹介、①低コスト②省資源③高性能を具現化する3万rpmを超える超高速回転を実現した誘導モーターを開発したことを報告した。また評価装置として、高速回転(3万rpm)での試験を可能とするギヤベンチと、高速回転(3万6000rpm)での試験を可能とするモーターベンチをニデックグループ(ニデックアドバンステクノロジー)内で作製していることを紹介した。

講演する花野氏

 

講演4「電動車用超低粘度トランスアクスルフルードの開発」白石 有 氏(トヨタ自動車)

 E-Axleユニットの潤滑油にはギヤ等の潤滑とモーターの冷却の両機能が求められる。潤滑油は高速で回転するモーターやギヤに直接供給されるため、オイル起因(粘度依存)の損失が大きな割合を占める。これに対し潤滑油を低粘度化することで、トランスアクスルでの損失を大幅に低減することが可能となる。低粘度化のターゲットとして、鉱油で、引火点がモーター最高温度以上の範囲で低粘度化の限界に挑戦、他社OEMを凌駕する超低粘度な電動車オイルを開発した。引火点限界までの低粘度化を実現、従来油同等以上の潤滑性と絶縁性を両立した新電動車用潤滑油を完成した。同油により、ATF比で電費効果:1.2%以上、またモーターの冷却性向上で電動車ユニットに貢献。同油はまた、添加剤処方の改良・油膜形成ポリマーの配合により、低粘度にもかかわらず従来ATF以上の信頼性(耐疲労・耐焼付き・耐疲労)を実現している。本技術は今後のトヨタにおける電動化技術の柱であり、CN(CO2削減)に大きく貢献するもの、と総括した。
 

講演する白石氏

 

 講演会終了後は、講師と参加者による交流会が催され、トライボロジー分野の横断的な情報交換と人的交流が、和やかながら活発に執り行われた。

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トリニティーラボなど、第60回機械振興賞を受賞

1ヶ月 ago
トリニティーラボなど、第60回機械振興賞を受賞kat 2026年03日13日(金) in

 トリニティーラボ(https://trinity-lab.com/)は山形大学、東京都立産業技術研究センターと共同で、機械振興協会が表彰する第60回機械振興賞「審査委員長特別賞」を受賞した。2月20日に東京プリンスホテル プロビデンスホールに第60回機械振興賞表彰式が実施され、トリニティーラボの野村修平社長、山形大学の野々村美宗教授、東京都立産業技術研究センターの黒部篤理事長と齋藤庸賀 副主任研究員が表彰された。

第60回機械振興賞表彰式のようす
左から、野々村美宗氏、野村修平氏、機械振興協会・釡 和明会長、黒部 篤氏、齋藤庸賀氏

 

 機械振興賞は、我が国機械産業における技術開発の一層の促進を図るため、優秀な研究開発およびその成果の実用化によって、機械産業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる企業・大学・研究機関および研究開発担当者を表彰することにより、我が国機械産業の振興に資することを目的としている。

 本年度は、機械産業関係団体及び地方公共団体、国公立試験研究機関、学会等による受賞候補者の推薦および候補者による自薦での応募が37件となった。東京大学 名誉教授 中島尚正氏ら8人からなる審査委員会による審査の結果、研究開発14件、支援事業4件が決定した。

 トリニティーラボと山形大学、東京都立産業技術研究センターが受賞した第60回機械振興賞 審査委員長特別賞の業績は、「人の触感を数値化する評価装置の開発」。

 人の触感を数値化することは、製品表面の触り心地やクリームなどを塗布した肌の触感変化などを定量的に評価するために重要となる。触感に近いものとして摩擦力測定が挙げられるが、一定の速度で接触子を動かして測定する摩擦力測定とは異なり、指や手の動きの速度変化に伴う摩擦力の変化や測定物の形状変化などを総合的に評価する必要がある。本業績では、接触子を正弦運動させ、その際の摩擦力の変化によって触感を評価する方法を採用した。

 また、人の触感を正確に測定するために、人の指紋を模倣した接触子を開発し、これに取り付けるための高感度なロードセル(力センサー)も開発した。また、指でこする動きを安定させるために正確な正弦運動を実現するスコッチヨーク機構を改良した揺動システムを開発した点が評価されての受賞となった。
 

受賞業績のトリニティーラボ製 触覚評価測定機「TL201Sf」

 

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THK、自由な経路設定と滑らかな高速動作で生産性向上に貢献する搬送システム向けガイドの受注を開始

1ヶ月 ago
THK、自由な経路設定と滑らかな高速動作で生産性向上に貢献する搬送システム向けガイドの受注を開始kat 2026年03日13日(金) in

 THKは、直線と曲線の組み合わせにより任意の搬送経路を構築することができる搬送システム向け案内装置(ガイド)「Curvilinear Wheel Guide」の受注を開始する。ホイール部の転がり機構は独自の接触構造を採用しており、滑らかな動作を実現。キャリッジは、スクエア形やオーバル形に対応可能なコンパクトタイプと、S字などを含むより複雑な経路に対応できるフレキシブルタイプの2種類をラインナップしている。

 近年、三品業界(食品・医薬品・化粧品)に代表される製造装置の高効率化に伴い、高速で連続作業が可能な循環形の搬送システムの需要が高まっている。

 今回開発したCurvilinear Wheel Guideのコンパクトタイプは、プレートに直接ホイールを取り付けたシンプルな構成でキャリッジ高さを抑えており、一方、フレキシブルタイプはローター部にクロスローラーリングを採用することで、レール形状に追従する機構を備えつつもコンパクトな構造となっている。いずれも、あらゆる方向の荷重を負荷でき、用途に応じた使い分けが可能。個装機械やボトル充填装置などの搬送システムに活用することで、装置の高性能化に貢献する。

 Curvilinear Wheel Guideの特長は以下のとおり。

・自由な経路設定:直線レールと曲線レールを組み合わせることで、オーバル形、スクエア形など、ユーザーの要望に合わせた経路を構築可能

・高速駆動に最適:軸受鋼を使用したホイールを採用。キャリッジは最高速度5m/sの高速動作が可能で、生産性向上に貢献

・スムーズな曲線運動:対応する直線レールと曲線レールのどちらでも、滑らかに動作

・上面からの組み付けが可能:レールを組付けた状態で、上面から簡単にキャリッジの取り付け・取り外しが可能

搬送システム向けガイド「Curvilinear Wheel Guide」
左:コンパクトタイプ、右:フレキシブルタイプ

 

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大塚化学とグーテンベルク、ロボット分野で材料×機械共創による樹脂3D造形の社会実装を推進

1ヶ月 1週 ago
大塚化学とグーテンベルク、ロボット分野で材料×機械共創による樹脂3D造形の社会実装を推進 in kat 2026年03日11日(水) in

 大塚化学とグーテンベルクが近年、ロボット分野における材料×機械共創による樹脂3D造形の社会実装への取り組みを強化している。ここでは、大塚化学 化学品事業本部 マテリアルソリューション事業部 ビジネスユニットマネージャーでグーテンベルク 社外取締役の稲田幸輔氏と、グーテンベルク 開発部 統括部長 プロダクトマネージャーの梶 貴裕氏に話を聞いた。

PEEK対応プリンター G-ZERO MP1を挟んで、左から、稲田氏、梶氏FFF方式3D造形用の機能性複合樹脂フィラメント

 大塚化学のチタン酸カリウム繊維(TISMO)は繊維長10~20μm、繊維径0.3~0.5μmと極めて微細・高アスペクト比で、高強度・高剛性、優れた摩擦摩耗特性、断熱性、耐熱性、耐薬品性などの特長を有する。

 1980年ごろに開発したTISMO配合の樹脂複合材料「ポチコン(Potassium Titanate Compound)」は、TISMOの特性と、各種の熱可塑性樹脂の特性を巧みに組み合わせた機能性樹脂複合材料で、①極小・超薄肉製品の超精密成形が可能(ミクロ補強性)、②相手材への低い攻撃性と無潤滑での高いしゅう動性、③成形での優れた寸法精度と寸法安定性、④成形品の高い金型転写性と鏡面状態の平滑面、⑤優れたリサイクル性、などの特長を持つ。

 それら特長から、しゅう動部品や精密部品などで適用を広げてきたポチコン材料について、2016年頃からは3D造形用材料としての展開を開始。熱溶解積層(FFF)方式3D造形を選択し開発したTISMO配合の均一な径・真円度の「ポチコンフィラメント(図1)は、①造形品のミクロ補強性、②ノズルの摩耗低減、③造形品の優れた寸法精度と寸法安定性、④造形品の優れた表面平滑性、などの利点を提供している。

 以降、材料(ポチコンフィラメント)と、ハード(後述の高速3DプリンターG-ZERO)、さらにソフト(スライサーなど)の「三位一体による開発」を重ねていく中で、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、そして遂にはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)という結晶性樹脂の造形を可能にし、3D造形の生産性(速度・コスト)、品質、強度を向上させ、適用可能な範囲を拡大してきている。
 

図1 TISMO配合で均一な径・真円度を実現したポチコンフィラメントFFF方式の高速・高精度3Dプリンター

 グーテンベルクが2022年に開発したFFF方式の高速3Dプリンター「G-ZERO」(図2)は、造形の速さを左右する要素の一つであるツールヘッドのノズル最大移動速度が500mm/s、プリントヘッド最大加速度20000mm/s2と、同価格帯の市場にある3Dプリンターに比べて10倍の速度と20倍程度の加速度を実現している。

 G-ZEROが高精度部品を短時間で出力できる技術としては、歪みのない高剛性フレーム、ブレの少ない精緻な描画を可能にする軽量ツールヘッド(G-ZEROとポチコンフィラメントで造形)、そして自動ベッドレベリング(水平出し)の組み合わせ技術などがある。

 G-ZEROシリーズはまた、平坦なエリアでの造形(厚さ0.1mmのA3サイズのシート、目開き100μmのメッシュ、厚さ0.05mmのフィルムの造形など)を可能としている。
 

図2 高速3Dプリンター G-ZERO材料×機械の共創による樹脂3D造形技術の向上 共創の始まりと進展

 ポチコンフィラメントの性能を最大限に引き出す造形が可能な3Dプリンターを模索していた大塚化学は2022年、日本複合材料学会主催の3D造形関連ワークショップでグーテンベルクのG-ZEROに出会い、これを機にポチコンフィラメントとG-ZEROで試作造形し、大塚化学の研究所で造形品の物性を評価する、という共創が始まった。

 2023年にグーテンベルクへの出資が決まり両社での材料・装置開発に着手、2024年には大型部品を分割せずに一発造形できる大型産業用3Dプリンター「G-ZERO L1」を市場に投入した。

材料ロスのないPEEKフィラメントと、実用PEEK造形が可能な高速プリンターの開発

 高い機械的特性やしゅう動特性、耐熱性など優れた特長を有するスーパーエンプラPEEKの3D造形は、以前よりユーザーからの要望が高かった。PEEKは材料コストが高価な上、製品化には切削加工などの除去加工が使われ無駄が多い。また、高耐熱樹脂のため廃材の処理も難しい。これに対し、FFF方式3D造形は廃材を出さず(環境対応)、造形および処理コストの削減が図れる。

 今回、両社の共創により、また三位一体の開発によって、実用部品の高速・高精度・高強度造形が可能なPEEKポチコンフィラメント「KT14(ナチュラル色グレード)」「KT14B(黒色グレード)」(図3)と、それらPEEKポチコンフィラメントの優れた材料特性を保持しつつ産業向けで不可欠な造形の繰り返し品質を担保できるPEEK対応プリンター「G-ZERO MP1」(図4)が完成した。

 PEEK造形のためのさまざまな工夫を盛り込むことで、PEEKの高速・高精度・高強度造形(図5、XY方向では射出成形品レベルの強度)を実現している。
 
 

図3 PEEKポチコンフィラメント KT14/KT14B

 

図4 PEEK対応プリンター G-ZERO MP1

 

図5 PEEK造形品の強度比較
棒グラフ左から、PEEK射出成形品、KT14射出成形品、
KT14 3D造形品(XY方向強度)、KT14 3D造形品(Z方向強度)ロボット分野での樹脂3D造形の展開

 樹脂3D造形の社会実装先として重要なロボット分野において、東京科学大学・遠藤 玄教授はポチコンフィラメントとG-ZEROを用いて早くから歩行ロボットの研究開発を進めてきた。その事例を提示できることでロボット分野でのアプリケーションを広げやすい環境となっている上、後述する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択されるなど、アカデミアを起点にロボット適用の裾野が広がってきている。

 大塚化学はまた、2025年、NHK高専ロボコンに挑む四国3高専との間で、ロボット製作における3D造形技術の応用に関する共同研究契約を締結した。

 さらに直近では、2025年12月3日~6日に開催された「国際ロボット展2025(iREX2025)」で実態展示を行い、ロボット開発者をはじめ多くの来場者の注目を集めた。

樹脂製超軽量ロボット創出に向けたNEDOプロジェクト

 NEDOの「新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム」において、研究課題「生活空間を含む人との共存環境下でのロボティクス活用に資する革新的アクチュエータ等の構築」が採択された。研究テーマは「FFF方式の造形による樹脂製超軽量ロボットの研究開発」で、FFF方式の3D造形技術と複合樹脂材料技術を基盤に、軽量で高強度なロボット部材の製造技術を確立し、人との共存環境下で本質的に安全な次世代ロボティクスへの応用を目指す。

 グーテンベルクがG-ZEROをベースにプリンターの製造・造形条件の最適化を、大塚化学が主に高強度フィラメントの開発を行うことで、高強度部品造形技術の開発を進め、東京科学大学をはじめとするアカデミアが機械特性評価とロボット開発を進める。

 3D造形による高強度部品をロボット構造材・減速機として適用可能か、初めに基礎的・汎用的な機械特性を評価し、次にロボットの機構要素技術を開発、さらに、これらの機構要素を用いて減速機・協働ロボットを開発する。

次世代ロボット研究者の支援

 大塚化学は2025年、阿南工業高等専門学校、新居浜工業高等専門学校、高知工業高等専門学校と、ロボット製作における3D造形技術の応用に関する共同研究契約を締結した。四国3高専に対し大塚化学がPA系ポチコンフィラメントを提供しグーテンベルクがG-ZEROを貸与して、ロボット要素部品の製作を行い、各部品の強度と繰り返し荷重に対する層間破断の発生メカニズムなど、力学的な側面からのデータ収集と分析し、材料と3D造形した部品の特性を明らかにする。また、本共同研究の成果が、教育・研究分野をはじめ、幅広いロボット開発、そして製造の現場における3Dプリントの利用可能性の拡大に貢献することも期待される。

 従来の造形部品は壊れやすく交換部品を多数用意する必要があり、また競技中に部品交換を余儀なくされていたが、ポチコンフィラメントは過酷な使用環境にも耐える強度を実現、競技中の部品交換は一度もなかったという。

 梶氏は、「従来の金属部品は、曲げられない、端の穴あけが難しいなど、アイデアを形にできない例が多かったようだが、樹脂3D造形は複雑形状でもアイデアどおりに素早く形にでき評価できる。トライ&エラーを短期間に何度でも繰り返せて、ベストな状態で大会に臨める」と述べる。

 稲田氏はまた、「樹脂では強度的に無理とアルミで作っていた部品をポチコンで3D造形し、約3㎏軽量化できた事例もある」と、ロボットで要求の高い軽量化での可能性の高さを示した。

 2026年には、東京科学大学などNHK学生ロボコンに挑む大学とも同様の契約を締結する計画となっている。学生でも使いやすい造形プロセスへと改善するヒントを得る狙いもあり、ロボットのさまざまなパーツへの樹脂3D造形の適用を促していく。

iREX2025での展示と成果

 iREX2025の両社ブースで特に来場者の注目を集めたのが、東京科学大学・遠藤教授が製作した歩行/ローラーウォーク可変ロボット「Roller-Walker Ⅱ.r」(図6)だ。多くの機構部がポチコンフィラメントとグーテンベルクのG-ZEROで造形されていることに対し、会場では驚嘆の声が上がった。

 会期中はまた、G-ZERO MP1とKT14を用いた造形デモが一日に数回実施、PEEKの高速造形を高い繰り返し精度で可能なことが示された(図7)。図8が会場で造形されたタービン部品で、φ120の造形が4時間、φ80の部品の造形が2時間で完了した。

 その実演の効果や、PEEKに対するリテラシーの高い来場者が多かったこともあり、同年10月に発売開始されたばかりのG-ZERO MP1は、会期中に数台の受注を得ることとなった。
 
 

図6 歩行/ローラーウォーク可変ロボット Roller-Walker Ⅱ.r

 
 

図7 会期中の造形デモのようす

 

図8 造形したφ120とφ80のタービン部品今後の展開  PEEK造形技術の展開

 PPSが硬くて脆い性質を有するのに対し、PEEKは高い剛性を持ちつつ高い柔軟性(粘り)を有するため、ロボット部品として良好な物性を示すと見られる。
一方で、すでに切削加工や射出成型でPEEKの使用実績がある半導体・エレクトロニクス関連などからは帯電防止機能のある黒色PEEKなどの要求があり、今後ラインアップ拡充を図るとともに、PEEK造形の繰り返し再現性をより高めていく。
稲田氏は「安全データシートでユーザーに明示している材料組成に対して、3D造形しやすいように添加剤を加えるなどの変更は決してあってはならない。組成の変更なしに、ノズル温度450℃に伴う表面の焦げなどが発生しない造形条件の確立などを図りつつ、より徹底した品質管理を実施していく」と語る。

材料特性向上への展開

PEEKを含め両社の手掛ける樹脂3D造形品のXY方向強度は射出成形品の強度を凌ぐ。一方でZ方向強度に課題が残る(図3参照)。稲田氏は、「NEDOプロジェクトなどを通じ、XY方向とZ方向の強度を近づけるよう開発を進め、ロボット部品など社会実装を進めたい」と語る。

グローバル展開

 梶氏は、「共創の当初からPEEK造形を目標に掲げ、PA、PPS、そして遂に工業品質のPEEK造形を両社で確立しつつある」と述べ、稲田氏は「世界でも達成できていないPEEK造形技術を中心に、我々の製品技術を世界市場にアピールし、グローバル展開を図っていきたい」と語る。


 両社は、2026年4月13日~16日に米国ボストンで開催される3Dプリンティングの国際展「RAPID + TCT 2026」への出展を決めた。PEEKに対するリテラシーの高い航空宇宙、半導体・エレクトロニクス、医療機器(図9はイメージ)などに向けたアプリケーション展示、造形デモなどを実施、世界市場に訴求していく。
 

図8 医療分野におけるPEEK造形例:奥歯形状の造形見本


 

kat

トライボロジー研究会、第36回講演会を開催

1ヶ月 2週 ago
トライボロジー研究会、第36回講演会を開催admin 2026年03日02日(月) in

 トライボロジー研究会(運営委員長:杉村丈一 九州大学名誉教授、事務局:協同油脂)は2月13日、横浜市西区のパシフィコ横浜 会議センターで、「第36回講演会」を開催した。今回は『ビジュアル化で進むトライボロジー』をテーマに、以下のとおり行われた。

開催のもようKEYNOTE SPEECH

司会:杉村 丈一 氏

「材料分析における各種可視化技術の紹介」沼田 俊充 氏(日産アーク)

CASE STUDY:SESSION Ⅰ その場で見る

司会:中野 健 氏(横浜国立大学 教授)

「顕微FT-IRを用いたEHL油膜における極圧添加剤挙動のその場観察」三浦 彩子 氏(JFEスチール)

「摩擦中その場観察技術による摩擦摩耗現象解明」細川 征嗣 氏(デンソー)

「二酸化チタン皮膜を形成した純チタン板における摩擦界面その場観察」三好 遼太郎 氏(日本製鉄)

CASE STUDY:SESSION Ⅱ 機械の中を見る

司会:足立 幸志 氏(東北大学 教授)

「斜板式ピストンポンプによるスリッパ/斜板間の潤滑油膜厚さその場観察」川北 成美 氏(コマツ)

「自動車ハブベアリング用シールにおける耐泥水試験の粒子法シミュレーション」小代 昌輝 氏(NTN)

「粒子法シミュレーションによるエンジン内オイル流れの可視化と評価」山下 健一 氏(いすゞ中央研究所)

CASE STUDY:SESSION Ⅲ トライボ現象を見る

司会:西岡 岳 氏(福井工業大学 教授)

「MoDTC添加油中の摩擦なじみ過程で形成するナノ界面の可視化手法とその重要性」小池 亮 氏(トヨタ自動車東日本)

「グリースにおけるDarcy流れのCFD解析」相馬 実波 氏(協同油脂)

「表面粗さと摩擦係数の相関マップに基づく低摩擦損失歯面の提案」獅子原 祐樹 氏(ジェイテクト)

特別講演

司会:鷲津 仁志 氏(兵庫県立大学 教授)

「大人のための自転車健康入門」中村 博司 氏(堺自転車のまちづくり・市民の会)

 

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NTN、AIで自動車用ハブベアリング設計を効率化

1ヶ月 3週 ago
NTN、AIで自動車用ハブベアリング設計を効率化 kat 2026年02日22日(日) in in

 NTNは、自動車のタイヤの回転を支える第3世代ハブベアリングの設計に活用している自動計算システムに、ベアリング業界初の手法によるAI(人工知能)の機械学習技術を導入した。これにより、性能評価に伴う解析に要する時間を従来の1/10以下に高速化するとともに、要求を満たす寸法を自動設計することが可能となり、設計工数の削減を通じてユーザーの開発期間の短縮に貢献する。

第3世代ハブベアリング

 

 自動車部品の設計においては、より早く高品質な商品を生み出すためにコンピューター上で性能をシミュレーションするモデルベース開発(MBD)の導入が進んでいる。同社は2022年に第3世代ハブベアリングの設計業務を一括で行う自動計算システム「ABICS(アビックス)」を導入し、設計工数を従来比で約80%削減し、ユーザーの開発期間の短縮に貢献している。

 設計内容がユーザーの要求仕様を満たしているかを確認するFEM解析においては、要求仕様を満たしていない場合、再設計後に再度FEM解析を行う必要があった。しかし、第3世代ハブベアリングはベアリングとボルトなどの周辺部品を一体化している複雑な形状のため、FEM解析には高度な計算が必要だった。

 今回、ABICSにAI技術を導入することにより、FEM解析の一部を従来の1/10以下の時間で高速に予測し、要求仕様を満たしていない場合は、自動で適切な設計寸法を提示できる仕様とした。

 設計寸法を入力して解析結果を予測するために、多数のデータから必要なものだけを選んで予測を行うLasso(ラッソ)回帰(回帰分析(ある入力から数値的な結果を予測するための方法の総称)の一種で、重要なデータだけを選んで予測をする手法)を用いたシミュレーションモデルと、効率よく最適解を得るアルゴリズムであるベイズ最適化を組み合わせ、広範囲で高精度な予測と寸法提案を実現している。軸受業界で、ベイズ最適化(試行回数をできるだけ少なくして効率よく最適解を見つけるためのアルゴリズム。試行された結果に基づいて次の試行ポイントを選ぶことで、短時間で最適な回答を導き出すことが可能)を用いてLasso回帰による機械学習技術を設計に導入したのは、NTNが世界初となる。

 NTNは今回導入したAI技術を活用し、2029年度までにABICSで全FEM解析を自動予測し、最適設計案を提示できる機能の実現を目指す。これにより、設計工数はABICS導入前と比べて約90%削減できる見込み。

 NTNは、今後もCAEやAIなどのデジタル技術を活用し、研究開発の効率化・高度化を推進するとともに、高機能・高品質な商品をユーザーに迅速に提案していくほか、これらの技術を扱うデジタル人材の育成にも取り組んでいく。

AIの導入によるFEM解析工数の比較

 

AIを用いた設計工程のイメージ


 

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ハイウィン、ヒューマノイドロボットにも最適な波動歯車減速機のラインアップを拡充

1ヶ月 3週 ago
ハイウィン、ヒューマノイドロボットにも最適な波動歯車減速機のラインアップを拡充kat 2026年02日21日(土) in in

 ハイウィンは、波動歯車減速機「DATORKER®」に新たなシリーズの追加とサイズ、減速比展開の拡充を行った。

 同社の波動歯車減速機DATORKER®は、高精度、高効率、高ねじり剛性、低起動トルクで、ロボット、自動化設備、半導体装置、工作機械などの幅広い産業で使われている。

 今回、サイズが拡充された軽量型の波動歯車減速機は、従来比で約40%の軽量化を達成した。最近注目が集まるヒューマノイドロボットの関節等に使用される減速機には、軽量・高精度・高トルクが求められているが、拡充した「軽量型」は、優れた出力性能と剛性を維持し、ヒューマノイドロボットの関節モジュールに最適なソリューションとなっている。

ヒューマノイドロボット:機械要素部品の統合活用

 

 新シリーズの「薄型」は、薄型構造により人体の形状に沿ったウェアラブルシステムへの柔軟な適応が可能なほか、外骨格装置に関する技術では、従来のギヤシステムにおいて対応が難しい軽量・薄型・高トルク・高精度・高耐久性といった求められる条件を、高度にバランスさせることができる。

外骨格型デバイス 

 

 減速機は自動化設備やロボット技術の急速な普及に伴い、基本的な性能だけでなく、「小型化・高機能化・高出力トルク化」へ複合的に対応する必要があり、各種産業用ロボットだけでなく、工作機械や半導体製造装置、医療機器など幅広い精密機器など、厳しい負荷条件にも対応できる製品開発が重要になっている。

 同社の波動歯車減速機は高減速比、低バックラッシュ、高出力精度を備え、小型精密機構に最適です。産業用ロボットの関節や工作機械など、厳しい負荷条件でも高い角度伝達性を発揮し、高性能で長寿命、コンパクトさと軽量化が求められる場面に最適。

 同社は今後も、製造業の皆さまが抱える課題解決を支援すべく、幅広い製品ラインアップとソリューションを提案していく。

波動歯車減速機「DATORKER」ラインアップ一覧

 

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東京理科大学・佐々木研究室、第41回トライボサロンを開催

2ヶ月 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第41回トライボサロンを開催kat 2026年02日14日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第41回目が2月14日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。
 

開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室のメンバーに限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。

 第41回目となる今回のトライボサロンでは、名古屋工業大学 前川 覚氏が、「ゴム・ソフトマテリアルの摩擦制御:柔軟性を活かす設計戦略」と題して話題提供を行った。製品開発の現場で数値シミュレーションの活用が進んできている一方で、摩擦や摩耗といった複雑なトライボロジー現象の数値シミュレーション予測については、未だ不十分な状況にある。ここでは、トライボロジー現象の数値シミュレーションによる摩擦設計を狙って、タイヤにおいて従来は粘弾性特性の制御で実現している燃費とウェットグリップ性能を両立する摩擦力制御に代わって、ゴムの構造設計の制御によってヒステリシス摩擦力=グリップ力を制御するアプローチを紹介した。具体的には、タイヤ用ゴムへの硬質フィラーの充填などで表面近傍に剛性分布や密度分布を付与することで、ゴム表面が路面を模した相手面突起に引っかかりやすくなりエネルギー散逸量が増加する結果としてヒステリシス摩擦力が増加することを、実験と数値シミュレーションで検証した。ゴム・ソフトマテリアル材料の摩擦設計の定量化に向けては、バルクの剛性分布付与を摩擦制御に積極的に利用するこのアプローチでは、非線形有限要素法(FEM)解析など体系化された構造力学の既存知識を活用できるほか、3Dプリンティングなど新しい造形技術も利用して構造設計を制御でき、摩擦設計の制御が可能になる、と総括した。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://www.tribo-concierge.com/topics/296/

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出光興産、潤滑剤とPEEKコーティングを組み合わせた世界初の低摩擦ソリューションの事業化に向け基本合意書

2ヶ月 ago
出光興産、潤滑剤とPEEKコーティングを組み合わせた世界初の低摩擦ソリューションの事業化に向け基本合意書kat 2026年02日12日(木) in

 出光興産は、コーティング技術に強みを持つ韓国のゼニス社と、その日本総代理店であるグローバルコードの 3 社で、同社の潤滑剤と、ゼニス社のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いたコーティング(PEEK コーティング)を組み合わせた世界初の低摩擦ソリューションの事業化に向け、基本合意書を締結した。出光では、2035年までに事業規模 100億円の達成を目指し本事業の拡大を進めていく。

 潤滑剤は、摩擦を低減するために、自動車や産業機械などのしゅう動部で広く使用されている。さらに、基材の表面に耐熱性・耐摩耗性に優れたコーティングを施すことで、潤滑剤との相乗効果により、摩擦を一層低減できる。出光では、これまで潤滑剤供給を中心に事業を展開してきたが、コーティングとの併用によりさらなる低摩擦化の実現を目指す。

 コーティング素材として広く使われてきたPTFEは、環境中で分解されにくいPFASの一種で、廃棄後も土壌や水中に長期間残留するため、環境への影響が懸念されている。このような背景から、非PFASで高機能な代替素材への期待が世界的に高まっている。

 出光は、その代替素材として、非PFASで耐熱性、耐摩耗性に優れた高機能プラスチックPEEKに着目した。しかし、PEEKは基材への密着が難しいことから、コーティングとしての利用は限定的だった。

 同社は、この課題に対し基材の表面に微細な凹凸を形成するアンカー構造を用いて高い密着性を実現するゼニス社の技術を採用。また、長年培ってきた潤滑剤の設計・処方技術を生かし、PEEKの特長を最大限発揮させる高機能潤滑剤を開発した。これにより自動車や産業機械などの工業分野において、潤滑剤とPEEKコーティングを併用することで、さらなる低摩擦化を実現する。

 なお、コーティング用途向けに塗料化されたPEEKの国内への輸入および基材へのコーティング施工は、ゼニス社の委託を受けて GC社が担う。

 出光は、環境負荷低減と高機能化を両立させる新たな低摩擦ソリューションとして、国内外の潤滑剤供給先に対し、PEEKコーティングの提案と、それに適した潤滑剤の販売を進める。これにより、自動車や産業機械などにおける省燃費・省電力化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

 

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出光興産、スマートフォンを用いた潤滑油の状態診断サービスを開発・発売

2ヶ月 ago
出光興産、スマートフォンを用いた潤滑油の状態診断サービスを開発・発売kat 2026年02日12日(木) in

 出光興産は、スマートフォンとモバイルアプリを用いて潤滑油の劣化度合いなどを診断する「Idemitsu Smart OC」を開発・発売した。スマートフォンとモバイルアプリを用いて潤滑油の製品ごとに劣化診断できるサービスの提供は業界初となる。

 また、本サービスは、潤滑油の劣化や汚れの度合いを数分で診断し、点検⼯数を削減できる点などが評価され、日本デザイン振興会が主催する「2025年度グッドデザイン賞」を受賞した。

 Idemitsu Smart OCは、少量(2cc)の潤滑油を専用撮影モジュールに入れ、スマートフォンに搭載されたカメラで撮影するだけで、劣化や汚れの度合いを数分で診断‧判定できるサービス。専用撮影モジュールと解析技術により、天候や照明などの撮影環境に左右されない、高精度な診断を実現する。

 潤滑油は機械を稼働させる際の摩擦・摩耗防止、防錆などの目的で使用されているが、機械の性能発揮や安定稼働を維持するためには、潤滑油の品質管理が欠かせない。これまで潤滑油の劣化度合いなどの判断は熟練作業者の経験に依存することが多く、少子化による人材不足が課題となっている。また、機械保守の高度化などにより、品質管理の効率化が求められている。

 本サービスは数分で定量的な診断が可能であり、経験の浅い作業者でも潤滑油の推定寿命を算出できるほか、分析機関への診断依頼の回数削減に貢献する。また、潤滑油の適正な交換時期が分かるため、部品交換の頻度やオイル交換のタイミング最適化によるコスト削減、廃油の削減による環境負荷の低減にも寄与する。

 同社の潤滑油部門は「The Heart of Technology」をブランドメッセージに掲げ、潤滑技術を通じて心豊かな社会の実現を目指しています。今後もモノづくりの現場における作業環境の改善とコスト削減、そして持続可能な社会の構築に貢献する。

 Idemitsu Smart OCの特長は以下のとおり。

・スマートフォンのアプリを使い写真撮影するだけで潤滑油の劣化‧汚損状態を数値化できるため、人による判断の差がなくなる(製造現場における熟練作業者不足に対応)

・潤滑油の劣化などを早期に現場で発見できるため、機械の安定稼働に寄与

・潤滑油の推定寿命を算出できるため、適正な交換時期がわかり、廃棄量とメンテナンス⼯数の削減が可能

・潤滑油を使用する機械の稼働を継続したまま、現場で定量的なデータの取得が可能(分析機関へのサンプル提出、分析機器を用いた診断回数の削減に貢献)

 

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ハノーバーメッセ 2026 プレスカンファレンスを開催、日本からの来場を呼び掛け

2ヶ月 ago
ハノーバーメッセ 2026 プレスカンファレンスを開催、日本からの来場を呼び掛けkat 2026年02日12日(木) in

 世界最大の産業見本市である「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ) 2026」(主催:ドイツメッセ)が本年4月20日~4月24日にドイツ・ハノーバーメッセで開催されるのに先立ち、ドイツメッセ日本代表部(代表:竹生学史氏、International Linkage代表)は2月3日、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京で「HANNOVER MESSE 2026プレスカンファレンス」を開催した。当日はドイツメッセ日本代表部 竹生氏の司会のもと、同展の概要や見どころが以下のとおり紹介され、日本からの同展への参加を呼びかけた。

ハノーバーメッセ2026の概要と魅力

 当日はまずドイツメッセ グローバルダイレクターのフーベルトゥス フォン モンシャウ氏より、「ハノーバーメッセ 2026の魅力」と題して、以下のように紹介がなされた。

・世界最大の産業見本市:技術革新や政策に関わる議論、ビジネス、産業分野の枠を超えたコラボレーションのグローバルステージ

・世界60カ国から3000社以上の企業が10000の製品・ソリューションを披露

・300社超のスタートアップ企業:さまざまな技術分野で劇的な変化をもたらす可能性を秘めたイノベーションを披露

・中心テーマは、競争力のある効率的な生産を可能にする人工知能(AI):主要三大展示エリアの「Automation & Digitalization(⾃動化とデジタル化)」、「Energy & Industrial Infrastructure(エネルギーと産業インフラ)」、「Research & Technology Transfer(研究と技術移転)」はもちろん、新設された「防衛⽣産エリア(Defense Production Area)」においても防衛・安全保障産業がセキュリティを重視しながらAIも活用し迅速・効率的に製造能力を拡大するための実践的なソリューションが紹介

・テーマ構成の再編とホールレイアウトの刷新:来場者は順路がより分かりやすくなり、出展者は関連分野での注⽬度をより増すことができるよう、上述の三大テーマを集結させホールレイアウトを刷新


・自動化とデジタル化エリア:AI制御の産業用ロボットやデータ駆動型ものづくりからデジタル化されたサプライチェーンに至るまで、ソフトウェアとハードウェアの融合の加速、という明確なトレンドを反映

・エネルギーと産業インフラエリア:電⼒⼯学とエネルギーオートメーション、エネルギーインフラと蓄電ソリューション、⽔素技術など、製造業における電⼒ベースの持続可能なエネルギー供給のための製品やサービスを紹介。また、AIと連携することによりスマートグリッド、蓄電技術、持続可能なモビリティの実現に貢献するソリューションを紹介

・研究と技術移転エリア:産業界における基礎的・応⽤的研究の成果、および市場投⼊準備の整った技術の産業⽤途への移転に着目。来場者はAI、バイオニクス、インテリジェントテキスタイル、ナノテクノロジー、新素材、量⼦テクノロジーなどの分野における画期的な進歩を実感できるほか、アディティブ・マニュファクチャリング、再⽣可能エネルギー、グリーン⽔素、軽量構造、ロボット⼯学といったトピックとの直接的な相乗効果も期待される

・パートナーカントリーはブラジル:すでに1500社を超えるドイツ企業が活動し国内⼯業⽣産⾼の約10%を占めるブラジルが、ハノーバーメッセ2026でデジタル化、イノベーション、国際開発、天然資源、持続可能性といった分野での強みを訴求

・注⽬のプログラムが⽬⽩押しの「センターステージ」:シーメンス取締役でデジタルインダストリーズCEOのセドリック・ナイケ⽒など世界各国の著名⼈80名が講演

会場におけるハブ機能を提供するJapan Industrial Park

 続いて、ゲストスピーカーとして、アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル 未来価値創造戦略ユニット長の橘 知志氏が、ハノーバーメッセ2026における日本企業と公的機関・団体による共同出展ブースJapan Industrial Parkの概要を紹介。ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)やデータ社会推進協議会(DSA)などと共同出展して、共創をテーマに、産業変革に挑む日本企業のソリューションや価値共創、日本のデータ連携の取り組みを紹介するほか、会場における日本と世界のハブとなるブースを目指すコンセプトについて説明した。会場のハブとして、来場者や出展社など会場を巻き込む機能によって、発見の相互創出と国際的な共創機会の創出のアシストを狙う、とした。

注目すべき技術や動向

 最後に、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)の中島一雄氏より、RRIの視点から見たハノーバーメッセ2026において注目すべき技術や動向について、①会期中だけでなく前夜祭などにおいて、欧州が現状をどう分析し何をしようとしているかを政府や研究機関、工業会などがネットワーキングする姿などを見るべき、②個別の企業の動きと同時に、欧州が面で押してくる様子をどうとらえるか、協調領域をどこに、どのように作っているか見るべき(欧州プロジェクトなど)、③隣接している独Plattform Industrie 4.0ブースと上述のJapan Industrial Parkブースの相互ミニセミナーなども企画しているので見るべき、④技術的なキーワードとしてにデータ連携関連、8ra(オーラ)、AI Continent Action Plan(AIの産業活用)などに注目すべき、と説明した。


 ハノーバーメッセ 2026の詳細は以下で確認できる。
https://intl-linkage.co.jp/dm/hannovermesse/

また、ハノーバーメッセ2026では日本からの来場を募集しているので、関心のある方は以下まで問い合わせをいただきたい。
International Linkage ドイツメッセ日本代表部 竹生学史(たけお・まさひと)氏
TEL:080-1396-9902または03-6403-5817
E-mail : masahito.takeo@intl-linkage.co.jp
 

ハノーバーメッセ 2026プレスカンファレンスのようす
左から竹生学史氏、フーベルトゥス フォン モンシャウ氏、橘 知志氏、中島一雄氏

 

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出光興産、データセンター向け液浸冷却油を発売

2ヶ月 1週 ago
出光興産、データセンター向け液浸冷却油を発売kat 2026年02日10日(火) in in

 出光興産は、高性能液浸冷却油「IDEMITSU ICFシリーズ」を発売した。高い安全性と低粘度化による冷却性能の向上を両立し、データセンターの省エネ化に貢献する。

 近年、通信インフラの高度化やデジタルサービスの普及・多様化に伴い、データ通信量が急増しており、高性能コンピュータサーバーを備えるデータセンターの設置が世界的に拡大している。また、コンピュータサーバーの演算処理装置(GPU)の高性能化による発熱量の増大が課題となっており、従来の空気冷却に代わる液浸冷却に注目が集まっている。

 液浸冷却は、電気を通さず、空気の30倍の熱伝達率を持つと言われる高性能液浸冷却油にサーバーを漬けて、効率的に熱を取り除く冷却方法で、液浸冷却は空気冷却に比べ冷却に要する電力を大幅に削減できることから、データセンターの消費電力低減につながる。

 IDEMITSU ICFシリーズは、同社が長年にわたり取り組んできた冷却油・電気絶縁油等の研究開発の技術・知見を集約し開発した製品で、以下の特長を有する。

・安全性と冷却性能の両立(高引火点・低粘度):液浸冷却油は、高引火点であるほど燃えにくくなるため安全性が高まり、低粘度になるほど冷却・放熱効果が高まるため冷却性能が向上する。一般的に高引火点と低粘度は相反関係にあるが、同社は厳選した基油と独自の添加剤処方により両立を実現し、安全性と冷却性能を兼ね備えた製品の開発に成功した

・メンテナンス効率の向上(無臭・低刺激性・高い透明度):
サーバー機器に影響を与えないことはもちろんのこと、無臭・低刺激性のためメンテナ
ンス時の負荷が少なく、加えて、透明度が高いため液浸時にサーバー機器の視認性を確保
できることから、メンテナンス効率の向上に寄与する。

IDEMITSU ICFシリーズによる液浸冷却のようす(試験機)


 

kat
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47 分 4 秒 ago
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