メインコンテンツに移動

bmt配信ニュース ベアリング&モーション技術の情報サイト

日本トライボロジー学会、2025年度学会賞の表彰式を開催

20時間 56 分 ago
日本トライボロジー学会、2025年度学会賞の表彰式を開催kat 2026年06日26日(金) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は5月25日~27日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで、「トライボロジー会議 2026 春 東京」(実行委員長:宇宙航空研究開発機構(JAXA) 松本康司氏)を開催、会期中の26日に「2025年度日本トライボロジー学会賞」表彰式を開催した。

論文賞

「真空用玉軸受ユニットの長寿命化および大口径高速化」
横山 崇氏・間庭和聡氏・小原新吾氏(宇宙航空研究開発機構)、美佐田泰治氏・加藤弘之氏・山川和芳氏(ジェイテクト)

 人工衛星の駆動機器に使用される軸受は微量な油やグリースで潤滑され、低軌道周回衛星の場合7~10年、静止軌道衛星の場合15~20年にわたり、低トルクで安定的に回転することが求められる。さらに、人工衛星の姿勢制御性能向上に必要なアクチュエータ用軸受では大口径化と高速回転化が必要となり、基油の蒸発や飛散、保持器自励振動(リテーナインスタビリティ、RI)の抑制が技術課題となる。

 本論文では、グリース潤滑相当の長寿命と油潤滑による安定的な低トルクの両立を狙い、軸受近傍の空間にグリースを充填し、その空間と軸受との間に多孔質体を設置することでグリース中の基油のみを表面張力によって軸受に供給する構造を提案した。グリースから多孔質体を通り軸受内しゅう動部に至る基油移動経路を段階的に分解し、各移動現象を摩擦試験、蛍光剤等によって実験的に確認した。さらに、軸受ユニットにより寿命試験を実施し、加速試験法を用いて低軌道周回衛星の観測センサ等を想定した回転条件により約20年に相当する寿命を実証し、提案した構造の実現性を示した。加えて、大口径軸受により最高DN値(内径mmと回転数min-1の積)30万条件下での高速回転試験を実施した。高DN値条件下では保持器を外径面で案内する方式を用いることで回転速度に応じた適切な基油供給がなされ、RI抑制に寄与することを示した。

 また、グリース充填部と軸受の質量変化から基油供給速度を定量的に求め、人工衛星の要求寿命を満足し得る基油供給の持続性を示した。

 このように、本論文は長寿命と安定的低トルクを両立する軸受ユニット構造の提案および実証に加え、基油移動メカニズムの解明と基油供給速度に対する保持器案内方式と初期油量の重要性を明らかにしたものである。

左から佐々木信也JAST会長、宇宙航空研究開発機構 横山 崇氏・間庭和聡氏・小原新吾氏、
ジェイテクト 美佐田泰治氏・加藤弘之氏・山川和芳氏

 

「Spalling Life Prediction for Rolling Bearings Using a Model with Stress Intensity Factor and Statistical Evaluation of Non-Metallic Inclusions」小俣弘樹氏・橋本 翔氏・土信田知樹氏・内田啓之氏・植田光司氏(日本精工)
 本論文は、転がり軸受の寿命評価に破壊力学を適用することで、その耐久性を高精度に予測する手法を提案したものである。

 転がり軸受はさまざまな産業機械の回転部に使用される機械要素である。使用時には軌道輪と転動体に大きな繰返しの接触応力が作用するため、はく離と呼ばれる疲労破壊が生じる。適切に転がり軸受を選定するためには、はく離寿命を精度良く予測することが重要であり、特に、はく離に及ぼす潤滑環境の影響に着目した多くの研究がなされてきた。一方、良好な潤滑環境では、軸受鋼に不純物として含まれる非金属介在物を起点としたはく離が生じることが知られている。しかしながら、介在物ははく離の主因であるにもかかわらず、その影響を考慮した寿命予測法は確立されていなかった。その結果、今日の転がり軸受は、ISOなどで規定された寿命計算値に対して10倍以上の耐久性を発揮することもある。このことは、健全に回転し続けている転がり軸受の多くは、その耐久性に十分な余裕を有している可能性が高いことを示唆する。

 本研究では、転がり軸受軌道輪に微小欠陥を導入した耐久試験法により破壊力学の適用を可能にし、はく離寿命に及ぼす欠陥寸法の影響を定量的に評価した。また、試験結果から欠陥寸法を考慮した寿命計算式を導出した。加えて、超音波探傷を用いた介在物評価法により介在物寸法の統計データを取得し、寿命計算式と組み合わせることで、介在物寸法のばらつきを考慮した寿命予測法を提案した。本研究成果により、より適正な転がり軸受の設計・選定が可能になり、転がり軸受が本来持っている耐久性を余すことなく安全に使い切ることで、長期的に省資源化に貢献しうることが期待される。

左から、日本精工 内田啓之氏・小俣弘樹氏、佐々木JAST会長、
日本精工・橋本 翔氏・土信田知樹氏・植田光司氏

 

「Active Control of Lubricant Flow Using Dielectrophoresis and Its Effect on Friction Reduction」村島基之氏(東北大学)、青野和馬氏・梅原徳次氏・野老山貴行氏(名古屋大学)、Woo-Young Lee氏(Korea Photonics Technology Institute)
 機械システムの省エネルギー化において、摩擦特性を動的に変化させる能動的摩擦制御は極めて重要な研究テーマである。本論文では、不混和な2種類の液体で構成される潤滑剤に対し誘電泳動(DEP)を作用させることで摩擦係数を低減させる新たな手法を提案した。

 研究では、透明なITO膜を電極として備えたローラオンディスク型摩擦試験機を独自に開発し、PAO4を溶媒、PG(プロピレングリコール)を滴下液体とする潤滑剤を用いた。この潤滑剤に対して交流電圧を印加した場合の摩擦特性の変化を観察し、同時に透明電極裏面からの顕微鏡観察によって潤滑液の挙動を解析した。1mm幅のローラ試験片を用いた摩擦実験の結果、交流100Vの電圧印加時にPGの液滴が接触部へと誘引され、安定したPGの油膜トラックが形成されることが観察された。この時の摩擦係数はμ=0.052であり、無印加時のμ=0.065と比較して約20%の低減効果があることが明らかにされた。一方で、1000Vの高電圧印加時には、PGがローラのエッジ部に凝集し、接触部全体にはPG潤滑膜が形成されない状態であることが観察された。

 本論文で実施した有限要素法(FEM)解析では、エッジ部方向に働く誘電泳動力が電圧の上昇により大幅に増加することが示され、in-situ観察で得られた現象のメカニズムが解明された。このように本論文は、電気的な入力によって摩擦界面における潤滑剤の流動・分布を直接制御できることを実証した点において学術的価値が高い。また、運転条件や環境に応じて最適な潤滑状態を選択的に維持するインテリジェントな潤滑システムの実現可能性を示しており、トライボロジー分野における実用的価値も高いものと認められる。

左から、名古屋大学 野老山貴行氏、佐々木JAST会長、東北大学 村島基之氏

 

「マイクロSEIRASによるオレイン酸界面濃縮のその場観察」
田巻匡基氏(出光興産)、星 靖氏(一関工業高等専門学校)、七尾英孝氏(岩手大学)、滝渡幸治氏(一関工業高等専門学校)、上村秀人氏(出光興産)、森 誠之氏(TSラボ)

 本論文は、赤外分光法を高感度化する表面増強赤外分光法(SEIRAS)と顕微フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を組み合わせた新規観察手法を開発し、せん断下におけるオレイン酸の界面濃縮現象を観察・考察したものである。

 開発した手法は、顕微FTIRに、増強薄膜であるAu薄膜を導入したSi半球プリズムを組み合わせたものである。本手法は、測定範囲15μm角においてAu薄膜上の高感度観察を可能とすることから、マイクロSEIRAS法と命名された。オレイン酸1mass%の潤滑油を静的条件で観察した結果、オレイン酸のカルボニル基に由来する吸収が従来のFTIRと比べて著しく増強され、Au表面へのオレイン酸の濃縮が示唆された。これにより、本手法が金属表面の吸着膜観察に有用であることが明らかになった。

 さらに本論文では、マイクロSEIRASを用いて、せん断下におけるオレイン酸の界面濃縮の観察に成功している。オレイン酸0.1mass%の低濃度潤滑油を対象に0.1m/sのせん断下で測定を行ったところ、せん断の時間経過とともにカルボニル基の吸収が明確に増加し、せん断停止後もその吸収強度が維持された。これは、せん断による潤滑油の撹拌効果によってオレイン酸分子が界面近傍に移動してオレイン酸の濃縮層が形成され、一旦形成した濃縮層は界面近傍に留まったことを示すものである。

 SEIRASスペクトル解析より、界面濃縮したオレイン酸は単量体と二量体であることが明らかになった。
本論文で得られた知見は、せん断下における潤滑基材の作用メカニズムを理解する一助になるとともに、潤滑油の処方設計の新たな指針を提示するものである。今後、本手法の適用範囲の拡大により、せん断下における潤滑現象の解明が一層進むことが期待される。

左から、岩手大学 七尾英孝氏、TSラボ 森 誠之氏、出光興産 田巻匡基氏、佐々木JAST会長、出光興産 上村秀人氏)、一関工業高等専門学校 星 靖氏・滝渡幸治氏

 

技術賞

「耐白層はく離性と高防錆性を両立させた自動車用軸受向けグリースの開発」
髙原加奈子氏・三宅一徳氏・西 要氏(ジェイテクト)

 自動車や産業機器の多様化により、軸受にはさまざまな使用環境での利用が求められている。用途によっては、性能を発揮するために両立が困難な異なる機能が要求される。本技術は特に、エンジン補機用軸受で求められる耐白層はく離性および防錆性の両立を実現するため、形成が困難である表面膜の両立を添加剤設計により行ったものである。

 一般に、白層はく離の抑制および被水による錆防止には、異なるグリース添加剤による表面膜形成が有効である。グリース添加剤による耐白層はく離性には、強固な反応膜の形成が有効であり、一方、防錆性には、速やかに表面を被覆する吸着膜の形成が有効である。しかしながら、高い防錆性に寄与する吸着膜は、耐白層はく離性に寄与する反応膜と競争的に作用し、相互の膜形成を阻害するために両立が困難であった。そこで本技術では、耐白層はく離性および防錆性に必要な表面膜形成の両立に向けて新しい着眼点で見直している。これらの添加剤が同時に存在する場合、防錆性のために必要な吸着膜が先に形成され、耐白層はく離性のための強固な反応膜形成を阻害する。機能両立のためには、吸着膜よりも先に反応膜の形成が必要と考え、耐白層はく離性を付与するための添加剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)の分解反応に着目している。この種類の添加剤における反応膜の形成性を分子構造から検討し、同時に防錆性のための吸着膜の表面反応性の検討を行った。その結果、複数のZnDTPを併用することにより、広温度範囲域で防錆剤よりも優先的にZnO反応膜が形成し、その後、吸着膜が形成する設計指針を見いだした。

 本成果は、困難であった耐白層はく離性と高防錆性を両立可能とする技術であり、グリース技術の発展とともに、開発したグリースは自動車部品の寿命向上、信頼性向上に貢献する技術である。

左から、ジェイテクト 三宅一徳氏、佐々木JAST会長、ジェイテクト 髙原加奈子氏・西 要氏

 

「新規ナノサイズ二硫化モリブデンの合成と固体潤滑剤への展開」
小寺史晃氏・Siti Masturah Binti Fakhruddin氏・袁 建軍氏(DIC)・高野紘一氏(ADEKA)

 本技術は、独自のボトムアッププロセスを介して汎用的な固体潤滑剤である二硫化モリブデンに特徴的な粒子形状と結晶構造を付与したナノ粒子を合成するとともに、この粒子を潤滑添加剤として使用することで低摩擦や耐摩耗性といった機能を潤滑剤に付与するものである。

 シート形状の微細な二硫化モリブデン粒子とすることで、効率的に狭小な摺動界面に侵入して定着しやすい特徴を付与するので、天然由来の破砕分球品である二硫化モリブデンに比べて大きな摩擦低減効果が期待される。また、人工的なプロセスで合成されるため、天然由来の二硫化モリブデンと異なり鉱床由来の不純物を含まない高純度かつ安定した品質の二硫化モリブデンを生成できる。

 エンジンオイルへの適用については、市場流通のエンジンオイルを使用する以外はJASO M365に準拠したエンジントルク試験を実施し、エンジンの摩擦低減に起因すると見られる燃費改善率の向上を確認した。さらに、MoDTCと併用することで燃費改善率は最大0.27%向上した。

 固体潤滑被膜への適用については、FALEX試験において天然由来の二硫化モリブデンを用いた塗膜組成物と比較して2倍の被膜寿命を確認した。塗膜組成物が含有する二硫化モリブデンの一部を本技術に置き換えることでも、被膜寿命の改善が維持できた。

 本技術は、多様な摺動界面において、添加剤として介在することで、摩擦・摩耗の低減による機械システムのエネルギー効率向上と長寿命化に寄与しカーボンニュートラルに貢献することが見込まれる。

 また、優れた固体潤滑性を有することから、極限環境下における機械の信頼性向上や新たなシステムの開発といった要請に応える材料として大いに期待できるものと捉えている。

左から、DIC Siti Masturah Binti Fakhruddin氏・小寺史晃氏、佐々木JAST会長、
DIC 袁 建軍氏、ADEKA 高野紘一氏

 

「家庭用冷蔵庫向け低粘度冷凍機油の開発」
髙木智宏氏・奈良文之氏・安東諒氏(ENEOS)、権藤政信氏(パナソニック)

 本技術は、冷蔵庫に搭載される冷媒圧縮機において、消費電力の削減に寄与する冷凍機油に関するものである。冷蔵庫を含む一般的な冷凍空調機器の消費電力において、80%以上が圧縮機で消費されるとの試算がある。レシプロ圧縮機では、冷凍機油の動粘度を低減すると摩擦損失や撹拌抵抗が抑えられ、その結果として消費電力も低下するため、冷凍機油の低粘度化が市場で求められている。そのような背景から、R600a(イソブタン)が充填される家庭用冷蔵庫では、現在、VG 5~8(40℃動粘度:5~8mm2/s)の炭化水素系冷凍機油が多く用いられている。消費電力の削減のさらなる市場ニーズに対応するため、VG 3(40℃動粘度3mm2/s)の冷凍機油を開発した。

 一般的には、動粘度の低減により摩擦係数は下がるが、それに伴い引火点も低下する課題を有する。

 引火点は、加熱により気化した基油成分等が燃焼し始める温度を表すため、軽質成分の影響を強く受ける。そこで、基油組成を調整することにより、所定目標を満足する基油処方開発に成功した。また、低粘度化に伴う別の課題として耐摩耗性悪化が挙げられ、添加剤により性能を向上させる必要があった。

 冷凍機油では、熱交換器等の銅配管の腐食や、スラッジ生成による膨張弁閉塞等を発生させないため、安定性に優れるリン系添加剤が主に使用されていた。今般、耐摩耗性を向上させるため、安定性が良好な硫黄系添加剤を選定し配合した。机上の摩擦試験だけでなく、市場での長期耐久性を担保する数千時間の実機試験を実施した。

 その結果、実機における表面処理等は新たに施すことなく、VG3の本開発油は、既存VG5の冷凍機油と同程度の耐久性を示した。加えて、カロリーメータを使用した圧縮機の成績係数(COP)を測定した結果、既存のVG5対比で1%以上の効率向上を達成した。

左から、ENEOS 奈良文之氏・髙木智宏氏、佐々木JAST会長、
ENEOS 安東諒氏、パナソニック 権藤政信氏

 

「風力発電装置用増速機の安定稼働およびメンテナンスフリー化に寄与する次世代ギヤ油の開発」
横山 翔氏・甲嶋宏明氏・吉田幸生氏(出光興産)、鷲津仁志氏(兵庫県立大学)

 本技術は、風力発電装置用増速機の安定稼働とメンテナンスフリー化に寄与する、長寿命・高信頼性ギヤ油の開発に関するものである。

 風車は大型で洋上・山間部などの難アクセス地点に設置されるため、更油や故障修理は大規模となり事業者の負担が大きい。風車寿命約20年に対し増速機油の平均更油間隔は約5年であり、運用期間中に3回以上の更油が必要となる。また、初充填油にはIEC 61400-4等の規格適合が求められるが、欧州風車メーカー指定油においても早期に摩耗粉が観察されるケースが認められている。そのため、スカッフィング(歯面焼付き)、マイクロピッチング(歯面の表面起点型の微小疲労)、軸受摩耗などのトライボロジー起因損傷の低減と高い酸化安定性の両立が課題であった。

 本技術では、マルチスケールトライボ解析および実験により得られた極圧剤の最適化知見を活用した極圧剤処方により歯面損傷を抑制した。さらに新規ポリマー系化合物を併用することで軸受耐摩耗性を高めるとともに、酸化劣化を抑制した。

 開発油は市場油比約3倍の酸化安定性を示し、更油周期を5年から15年へ延長できる見込みである。

 無故障で20年稼働すると仮定した場合、更油回数を3回から1回へ低減でき、大規模修理やメンテナンス回数の削減による労働負荷軽減に貢献可能である。開発油は、風力発電機において今後ますます重要となる機械要素の安定稼働およびメンテナンスフリー化に貢献する潤滑剤として、運用・維持管理コストの低減に寄与し、ひいては日本における風力発電の普及に寄与すると期待できる。

左から、出光興産 吉田幸生氏・横山 翔氏、佐々木JAST会長、
出光興産 甲嶋宏明氏、兵庫県立大学 鷲津仁志氏

 

奨励賞

「カルシウムスルホネートによる添加剤由来トライボフィルムの耐摩耗性向上メカニズムの解明に関する研究」
林 優美氏(住友重機械工業)

 産業機械は歯車、軸受、オイルシールなどの機械要素で構成され、多くのしゅう動部を有している。
これらのしゅう動部において、摩擦および摩耗の低減は機械の性能向上や長寿命化に直結する重要な課題であり、潤滑油添加剤はその中核を担っている。一方、実用潤滑油では複数の添加剤が併用されるものの、添加剤間の相互作用による摩耗低減メカニズムは十分に解明されていない。

 本研究では、ZnDTP、MoDTC、およびカルシウムスルホネートを複合添加した潤滑油を対象とし、トライボフィルムの形成過程および摩耗挙動をナノスケールからマクロスケールまで体系的に解明した。

 AFMその場観察およびAFMスクラッチ試験により、カルシウムスルホネート併用系では、非併用系と比較して平滑かつ厚いトライボフィルムが形成され、耐スクラッチ性が向上することを明らかにした。

 また、往復動摩擦摩耗試験により摩耗量の低減傾向が確認され、ナノスケールで観測されたトライボフィルム形状とマクロな摩耗特性との対応関係を見いだした。さらに、FIB-TEMおよびSTEM-EDSによる断面構造解析から、カルシウムスルホネート併用系では、カルシウムおよびリンを含む厚い複合膜が形成され、その下層には硫黄およびモリブデンを含む層が存在することを明らかにした。これらの結果より、複合膜の形成に伴うトライボフィルムの形状変化および厚膜化が摩耗低減に寄与するメカニズムを提案した。

 本研究で得られた知見は、複合添加油におけるトライボフィルム形成と耐摩耗性との関係を明確化した点に意義があり、添加剤作用機構に基づく潤滑油設計指針の構築に資するものである。また、本研究で開発した評価手法は他の潤滑系にも応用可能であり、産業機械の摩耗低減および長寿命化への貢献が期待される。

 

「軸受の耐電食性を向上するグリース配合設計技術に関する研究」
山下侑里恵氏(ジェイテクト)

本研究は、自動車の電動化に伴いモータ近傍で使用される軸受などにおいて課題となっている電食による軸受の寿命低下に着目したものである。本課題に対して、グリースの組成および性状が電食寿命に及ぼす影響を明らかにするとともに、耐電食性を向上させるグリースを開発し、導電グリースの配合設計指針を提案した。

 電食の発生は軸受の静粛性や寿命に影響を及ぼすため、設計、材料および潤滑の観点から導電性もしくは絶縁性を付与する対策がなされている。導電性を付与する主な方策には、接地リング、カーボンブラック(CB)含有導電グリースがあり、前者は追加部品が必要となり、後者は経時変化により絶縁化する課題がある。一方、絶縁性を付与する場合は、絶縁材料(セラミックボール)の採用などがあるが、高コストとなる。そこで、単純な軸受構造を維持しつつ低コストで長時間の耐電食性の付与を可能とする新規グリースの検討に取り組んだ。

 本研究では、導電性グリースに着目し、まず導電性が低下する原因を共焦点レーザ蛍光顕微鏡による三次元観察により明らかとしている。導電性グリースの導電性劣化の要因は、しゅう動中にCBが初期よりも大きな凝集体となり、導電経路が切断されるためであることを見いだした。そこで、導電性付与剤として偏析しにくい有機親和性鉱物添加剤を選定し、体積抵抗率を低減し、かつ長期的な安定性の確保を試みた。さらに、基油種や増ちょう剤種に関しても導電性の観点から最適な分子構造の仮説を立案し、実験的にその正しさを明らかにした。これらの結果をもとに、導電性付与剤と最適化された基油および増ちょう剤の設計指針により、優れた電食寿命を示す新規の導電性グリースを開発した。

 本研究成果は、グリースの配合設計により電食寿命を向上させる新たな指針を示すものであり、グリースの耐電食性向上および長期安定化に貢献する技術として、本分野の発展に寄与することが期待される。

「転がり軸受のフルーチング形成メカニズムの解明」
葛谷紘澄氏(NTN)

 本研究は、インバータ駆動モータにおける軸受のフルーチング形成について、影響を与える電気的因子の調査と、潤滑油への極圧剤添加による抑制効果の検証を実施したものである。

 転がり軸受には電食と呼ばれる軸受内部を通過する電流により生じる損傷があり、代表的な損傷形態に波板状の凹凸を形成するフルーチングがある。これは軸受回転時の振動・騒音特性を悪化させ、特に軌道面の疲労損傷よりも短期間で品質機能の低下を招く。近年はモータ駆動電圧の高電圧化や高周波化により、モータ支持軸受へ電圧が印加される機会が増え、電食の顕在化が懸念される。このためメカニズム解明と対策が、より一層重要となっている。

 本研究では、まず軸受のフルーチング形成に影響を与える因子として軸受に印加する電流値および電気エネルギー量について調査した。その結果、フルーチング形成において一定値以上の電流値および電気エネルギー量の印加が必要であることを明らかにし、これらの印加量を低減させることがフルーチング進展抑制に有効であることを示した。
次に損傷の低減方法として軌道面への被膜形成、すなわち潤滑油に添加する極圧剤によるフルーチング抑制効果を検討した。その結果、絶縁性反応膜を形成するリン系極圧剤による抑制効果を確認した。

 すなわち、軸受の電食対策として潤滑油へのリン系極圧剤の添加が有効であることを示した。

 以上のように、本研究ではフルーチング形成に影響を与える因子と潤滑油への極圧剤添加による有用な知見が得られた。本成果は軸受電食発生メカニズムの解明および対策確立に寄与し、今後さらに電食の予測方法を確立することで軸受の信頼性向上が期待される。

「油潤滑玉軸受の転がり粘性抵抗式の高精度化」
江川航平氏(NTN)

 本研究は、玉軸受のトルク低減および高精度予測技術の確立を目的として、軸受トルクの主要因である転がり粘性抵抗式の高精度化と、この式を用いた玉軸受のトルク計算手法の構築・実験検証を行った。

 転がり粘性抵抗は軸受トルクの主要因であることが知られている。したがって、軸受の運動、トルク、発熱量等の計算精度は転がり粘性抵抗の計算精度に大きく依存するため、これまでいくつかの簡易計算式が報告されてきた。一方、これらの簡易計算式はEHL解析領域の違いにより計算値が大きく異なるという課題があった。本研究では、任意の解析領域に対応可能な転がり粘性抵抗式を提案し、十分潤滑下において、軸受に作用する転がり粘性抵抗を高精度に推定できることを示した。続いて、上記の式に無次元入口メニスカス距離を導入し、油不足(スターベーション)によって転がり粘性抵抗が低下する現象を表現可能とした。これにより、計算領域(潤滑油量)の変化に伴う転がり粘性抵抗の変化を扱うことができ、高速回転時などの潤滑油の供給が制限される条件においても、適切に評価できる式を提案した。

 さらに、本研究で提案した式を玉軸受のトルク計算へ適用し、十分潤滑下における計算値と実測値を比較した。その結果、本計算手法が実測値を高精度に再現できることを明らかにした。加えて、中・低速域における玉軸受トルクの主要因は転がり粘性抵抗と接触部における微小すべりに起因するトラクションであり、転動体-保持器間のせん断抵抗やドラッグ力の影響は比較的小さいことを示した。

 以上の成果は、玉軸受の低トルク化設計および高精度性能予測技術の発展に寄与するものである。今後は、入口メニスカス距離の影響を考慮することによる、軸受トルク推定精度のさらなる向上が期待される。

「低炭素・循環型社会に貢献する潤滑油の延命/再生技術」
大久保花菜氏(三菱重工業)

 低炭素・循環型社会の実現に向けて、マテリアルリサイクルおよびサプライチェーンにおけるCO2削減が求められている。機械で使用される汎用的な鉱物油は,化石燃料から作られ炭素を含んでおり、産廃処分で焼却されるとCO2が発生する。

 従来、多数のユーザーから廃油を回収し、再蒸留で基油を取り出して再生油を得るアプローチがあるが、廃油回収時および蒸留時等でエネルギーを要し、化石燃料を使用した場合は低炭素とは言い難い。

 これに対して本研究では、廃油回収が不要かつ再生時に熱を用いないオンサイト型の方法として、添加剤補給による潤滑油の延命技術および酸成分除去による潤滑油の再生技術の検討を行ったものである。

 潤滑油は使用に伴い徐々に劣化し、酸化劣化の指標であるRPVOT(Rotating Pressure Vessel Oxidation Test)残存率が低下すると、酸価の上昇やスラッジ量の増加が発生し、機械部品に悪影響を及ぼす恐れがある。そこで、潤滑油の管理値を基準値内に維持し続ければ、潤滑油の交換は実質不要になると考えた。

 試験ではまず、異なる劣化油に酸化防止剤を補給することでRPVOT値が回復すること、管理基準値を下回った油は回復しにくいことを確認した。また、この添加剤補給による潤滑油の延命が繰り返し可能であることを実証した。
次に、延命に限界が来た場合でも老廃物を除去することで酸化防止剤の効果を再発揮できると考え、ろ材による酸成分除去能力を調査し、シリカが最適であることを確認した。そして、シリカによる潤滑油の再生も繰り返し可能であることを検証した。

 試験の結果から、潤滑油のRPVOT残存率が低くならないよう定期的に添加剤補給を行い、RPVOT残存率を高めに維持すること、また老廃物が蓄積した段階でシリカを用いて酸成分を除去し新油相当に戻すことで添加剤補給の効果を高める、潤滑油の延命と再生の組み合わせが可能である見込みを得た。本研究で得られた知見および成果は、潤滑油のマテリアルリサイクルに寄与し、低炭素・循環型社会に貢献すると期待される。

「深層学習と説明可能AIを用いたトライボフィルム化学組成と耐摩耗性能の相関解析」
横山 崇氏(宇宙航空研究開発機構)

 本研究は、月面有人探査等で想定される高負荷に適した潤滑油を効率的に開発するために、機械学習を用いた新たな手法により、真空中においてリン/硫黄含有耐摩耗剤の性能に対し強い影響を及ぼすトライボフィルムの化学組成を明らかにするものである。

 著者らはこれまで、耐摩耗剤の分子構造データと摩擦試験で得た摩耗量データを用い、機械学習により真空中で耐摩耗性能を発現し得る分子構造を特定してきた。しかし、この解析には、耐摩耗性に重要な役割をなすトライボフィルムに関する情報が含まれていなかった。

 そこで本研究では、大気中および真空中で形成されたトライボフィルムの化学組成をXPSで分析し、これら組成データとしゅう動条件から摩耗量を予測する深層学習モデルを構築した。さらに、説明可能AIを用いて深層学習の予測根拠についても解析、検証を進めた。その結果、耐摩耗剤の性能に最も強く相関を持つ因子は大気の有無であること、また、真空中ではリン酸塩トライボフィルムの形成量が摩耗低減と相関を持つことなどを定量的に明らかにした。さらに、これらの結果を導いた予測根拠が、これまで報告されている知見と整合していることも確認され、見いだした相関関係がメカニズムとして妥当であることを示した。

 以上の通り、本研究により、真空中での耐摩耗性実現に効果的なトライボフィルムの組成などを特定でき、この知見は真空に適する耐摩耗剤の化学設計指針になることが期待される。また、説明可能AIと既往知見を組み合わせることで、耐摩耗性の予測に留まらず、作用メカニズムの因果を明らかにできる新たな機械学習の活用法も示され、複雑で多様なトライボロジー現象の理解に貢献することが期待できる。

左から、奨励賞受賞のジェイテクト 山下侑里恵氏、宇宙航空研究開発機構 横山 崇氏、
三菱重工業 大久保花菜氏、佐々木JAST会長、住友重機械工業 林 優美氏、
NTN 葛谷紘澄氏・江川航平氏

 

kat

工作機械技術振興財団、第47回工作機械技術振興賞の贈賞式を開催

21時間 21 分 ago
工作機械技術振興財団、第47回工作機械技術振興賞の贈賞式を開催kat 2026年06日26日(金) in in

 工作機械技術振興財団(理事長:安達俊雄氏)は6月16日、東京都港区の第一ホテル東京で「第47回工作機械技術振興賞贈賞式」を開催した。

第47回工作機械技術振興賞贈賞式 記念写真

 

 同財団は、学術および科学技術の振興を目的として、牧野フライス製作所の創業者・牧野常造氏らの寄付により、1979年に通商産業(現経済産業)大臣の許可を得て設立。工作機械の開発、生産、利用に関する基礎的、応用的な技術の開発に関わる助成を通じて、工作機械の品質・性能の向上、生産および利用の改善や合理化に携わる研究者・技術者の養成に寄与することにより、機械産業の健全な発展に資し、もって国民経済の発展に寄与することを目的としている。

 当日は冒頭、安達理事長が、「2024年以来の牧野フライス製作所へのTOB(株式公開買付)に関して、評議委員・理事の賛同のもと財団としてTOBへの反対表明を行い、会社関係者の慎重かつ明確な対応と関係各位の日本の工作機械業界に対する深い理解のもとで解決が図られ、財団運営の上でも晴れやかな気持で本日を迎えることができた」と関係各位に謝意を述べた上で、「当財団は創設以来40余年にわたり工作機械技術の振興を目的として試験研究を助成するとともに、この分野の優れた研究成果に対し工作機械技術振興賞を贈賞してきた。本日贈賞および試験研究助成を受けられる皆様には心よりお祝い申し上げるとともに、日ごろの研鑽に対して深甚なる敬意を表したい。今回の贈賞を含め当財団がこれまでに贈賞してきた工作機械技術振興賞の累計は、論文賞、奨励賞、隔年実施の人財育成賞を合わせて1225件3136名に達し、試験研究助成については、比較的歴史の浅い特別試験研究助成の21件を含めて累計333件となった。財団の事業は地道な活動だが、工作機械技術の進歩・向上に間接的ながら着実に寄与したものと考えている。我が国経済を取り巻く環境は大きな変化の時代を迎えているが、その一方で牧野フライス製作所からの当財団への支援が大幅に強化されようとしている。そうした中、財団としての皆様方との連携を一層深めながら、振興事業の一層の強化を図っていきたい。忌憚のないご助言・ご鞭撻をお願いしたい。これまでのご尽力に感謝するとともに、引き続きのご協力をお願いしたい」と開会の挨拶を力強く行った。

開会挨拶を行う安達理事長

 

 続いて、第47回工作機械技術振興賞についての審査報告が、新野秀憲(東京科学大学 名誉教授)審査委員長よりなされ、論文賞、研究助成のそれぞれについて選定理由を簡潔に説明した。例えば論文賞の日本精工の研究論文「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」については、「ボールねじの熱変形対策は従来、対処療法がほとんど。これに対し本研究では、軸力を自律的に安定化させる手法を提案することで、工作機械の高精度化と信頼性向上に寄与する成果として評価した」とコメント。また、研究助成Aの富山県立大学「工作機械用すべり案内面の In-situ 油流れ観察と摩擦力計測による摩擦特性評価手法の構築」の選定理由については、「工作機械用すべり案内面について、潤滑状態のその場観察と摩擦力姿勢変動の統合評価を試みたもので、工作機械案内構造の高性能化への寄与が期待される」と評価した。さらに奨励賞に関しては、「115編の候補から7編が選定されるという厳しい競争を勝ち残った」受賞研究に関して、「学生ならではの自由な発想と旺盛な研究姿勢による優れた研究成果で、工作機械技術の将来を担う優れた人材の成長を強く感じさせる」と評価。「本受賞を新たな出発点として、今後さらに研究活動を発展させるとともに、ものづくりを支える研究者として大きく成長することを期待したい。また、日頃から熱心に始動された指導教員各位に対しても、深く敬意を表する」と語った。

審査報告を行う新野氏

 

 大学、高専、公的研究機関および企業の研究者などを対象に工作機械の発展・進歩に大きな貢献が期待できる独創的な論文に対し表彰する工作機械技術振興賞「論文賞」は、日本機械学会、精密工学会、砥粒加工学会、電気加工学会の四つの学会の推薦と、研究者が所属する機関の長の推薦により応募がなされた中から選出され、今回は以下のとおり5件18名に贈賞がなされた。

・「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」新井 覚氏・竹之内 優志氏・本多 信太郎氏・谷 翔太氏(日本精工)

・「Development of Side Wall Surface Smoothing Method by Large-area Electron Beam Irradiation」篠永 東吾氏・Jiayu Lu氏・岡田 晃氏(岡山大学)

・「Fluorescence response-based optical probing (FROP)法による難計測構造の3次元表面センシング」道畑 正岐氏・河見 建佑氏・吉川 元弥氏・増井 周造氏・高橋 哲氏(東京大学)

・「Proposal of a Novel Multi-Spindle Machine Tool Configuration:Prototype Development and Machining Test」Kianoosh Rossoli氏・茨木 創一氏(広島大学)

・「微粒子ピーニングによるガラスのナノテクスチャリングとそれを用いた粉体付着防止効果」川合邑佳氏・小玉脩平氏・佐藤秀明氏・亀山雄高氏(東京都市大学)

論文賞「Foundational development, modeling and configuration of state stabilizing mechanism to maintain axial tension in ball screw feed drive systems」贈賞式のようす
左から安達俊雄理事長、日本精工 新井 覚氏・竹之内 優志氏・本多 信太郎氏・谷 翔太氏


 

 また、将来の工作機械の発展を担う人材育成の一助として優秀な卒業論文を発表した学生およびその指導教官に対し表彰する「奨励賞」では今回、以下のとおり7件36名に贈賞がなされた。

・「CMP プロセスにおけるウェハ面内の摩擦係数分布を考慮した材料除去レート分布の高精度推定」広野 翔氏・鈴木 教和氏(神戸大学)、三谷 千紘氏(中央大学)、佐藤 拓実氏・平野 航大氏(荏原製作所)
・「前後同時切削5軸ターンミリングにおける切削力相殺効果の解析」野口 丈氏・篠崎 直紀氏(東京農工大学)、高橋 亘氏・阿部 太郎氏・髙橋 秀史氏(三菱マテリアル)、笹原 弘之氏(東京農工大学)

・「AM による複合ラティス構造砥石の開発と研削特性」神長 哲郎氏・高畑 光汰氏・倉本 繁氏(茨城大学)、稲澤 勝史氏(栃木県)、大森 整氏(理化学研究所)、伊藤 伸英氏(茨城大学)

・「ダイヤモンド砥粒刃先とニオブとの接触摩耗メカニズムの検討」倉光 健翔氏・二ノ宮 進一氏・松本 幸大氏(日本工業大学)、岩井 学氏(富山県立大学)

・「電界スライシング技術におけるSi インゴットの切断特性について」細川 遥花氏・池田 洋氏(秋田高専)、久住 孝幸氏・越後谷 正見氏(秋田産技センター)

「超精密研削盤用油静圧スピンドルのアクティブ制御」田邊 響介氏・藤田 祐成氏・田中 凜太氏・脇谷 趣聞氏・中尾 陽一氏(神奈川大学)、Dmytro Fedoryn氏(東北大学)、黒須 匠氏・鈴木 悠介氏(ナガセインテグレックス)

「超硬合金の炭化タングステン粒径が細線ワイヤ放電加工特性に及ぼす影響」加藤 雅也氏・山上 雄大氏・岡田 晃氏(岡山大学)

奨励賞「AM による複合ラティス構造砥石の開発と研削特性」贈賞式のようす
左から、栃木県 稲澤 勝史氏、茨城大学 伊藤 伸英氏・神長 哲郎氏、安達俊雄理事長、茨城大学 高畑 光汰氏・倉本 繁氏、理化学研究所 大森 整氏

 

 続いて、第46回試験研究助成では、研究助成Aとして7件、学生を対象とする研究助成Bとして3件、プロジェクト研究を対象とする特別試験研究助成として1件が選定された旨の発表がなされた。

研究助成A「工作機械用すべり案内面の In-situ 油流れ観察と摩擦力計測による
摩擦特性評価手法の構築」富山県立大学・宮島 敏郎氏の表彰のようす

 

 その後、経済産業省製造産業局産業機械課長の須賀千鶴氏が来賓の挨拶に立ち、「皆様の優れた研究成果とたゆまぬ努力が本日の受賞に結び付いたもの。歴史あるコミュニティにようこそ、とお祝い申し上げたい。工作機械技術振興財団においてはこれまで、継続的な助成を通じて、工作機械の性能向上や利用の高度化に関わる研究者や技術者の養成に尽力をいただき、感謝している。工作機械はマザーマシンとして生活用品から航空宇宙の分野に至るまで幅広い生産に不可欠な製造業の基盤であり、我が国の工作機械産業は長年にわたり世界中のユーザーからの多様な要請に高いレベルで応え続けることで高い信頼を獲得し、世界トップクラスのシェアと評価を維持している、まさに我が国製造業を代表する産業。工作機械は戦略産業としての製造業の復権という近年のグローバルな潮流の象徴でもある。日本が技術優位性を有することは経済安全保障上も大変重要であることから、政府としては経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に工作機械を位置付けている。今回受賞された皆様、助成対象に選ばれた皆様の取り組みには、加工技術の高度化や次世代の人材育成に寄与するものが多く含まれている。今回の受賞を新たな飛躍の契機として、我が国の工作機械産業の更なる発展をけん引していただけると期待している。政府は今年、フィジカルAIを大きなうねりにしようと、2年前には二桁億円だった予算を、ついに1兆円規模の予算要求まで大きく広げることを予定している。今年からの工程集約型の加工機を対象に追加した省エネ補助金や経済安全推進法に基づく基金などの各種支援等も活用して、業界の皆様の取り組みを強く後押ししていきたいと考えている。工作機械業界はフィジカルAIの本命であり、これからの時代の花形産業である。ぜひその業界を、各位の知恵と努力でけん引していただきたい」と力強く語った。

来賓挨拶を行う須賀氏


 

 贈賞式に続いて、論文賞の受賞者を代表して、以下2件の講演会が行われた。

 論文賞受賞講演「微粒子ピーニングによるガラスのナノテクスチャリングとそれを用いた粉体付着防止効果」…延性モードの微粒子ピーニング(FPP)を用いることでガラスのナノテクスチャリングとそれによる防汚性実現(太陽光パネルへのPM2.5などの粉体の付着防止)が可能になるほか、延性モードFPPによってガラスの高靭化・強度向上が可能になると報告した。

講演する川合氏(NOK)講演する亀山氏(東京都市大学)

 

「Development of Side Wall Surface Smoothing Method by Large-area Electron Beam Irradiation」…磁場制御下での大面積電子ビーム照射により、任意の個所に電子ビームを誘導することができ穴底面や穴側面の平滑化を可能にしたほか、複数本のヨークを用いた磁場制御下での大面積電子ビーム照射によってラティス構造体内部および外部表面の平滑化を可能にしたことを報告した。

講演する篠永氏(岡山大学)


 

kat

イグス、栃木県さくら市に新工場を設立

1日 18時間 ago
イグス、栃木県さくら市に新工場を設立kat 2026年06日25日(木) in

 イグスは、日本市場での需要拡大を受け、供給体制のさらなる強化を図るため、栃木県さくら市に新工場「栃木さくら工場」を新設、本年6月22日より稼働を開始した。投資額(土地・建物)は35億円で、敷地面積は約42000㎡、延床面積は約10000㎡。人員は6月現在で86人。ケーブル保護管、ケーブル、レディーチェーン、樹脂ベアリングなどを取り扱う。

新設された栃木さくら工場

 

 6月初旬に執り行った竣工式には約50名が参列、工場の完成を祝った。

竣工式のテープカットのようす

 

 吉田 剛社長は、「これまで分散していた生産・在庫拠点を集約することで、物流効率および生産性の向上を図るとともに、社員が誇りをもって働ける環境を整えることができた。今後は本拠点を生かして、製品供給体制のさらなる強化、品質およびサービスの向上に努め、日本全国の顧客への価値提供に一層取り組んでいく」と語った。

挨拶する吉田社長

 

 また、ドイツ本社CEOのアーチュア・ペプリンスキー氏は、「栃木さくら工場の新設は、イグスのグローバル供給ネットワーク強化における重要なマイルストーンとなるもの。当社の日本市場への長期的なコミットメントを一層強めるものであり、顧客との連携をさらに深めることで、持続的な成長とイノベーションの創出を推進していく」と述べた。

 栃木さくら工場には、栃木県内の既存4拠点の機能を全て移転・集約。工場・倉庫拠点間の輸送をなくして物流効率を向上させるとともに、安定した供給体制の強化を図る。また、新たにケーブル保護管「エナジーチェーン」用高層ラックの導入や組み立てラインの効率化などを行い、在庫保管能力は旧工場(4拠点合計)比で約70%増加する見込み。

 新工場は、独ケルン本社工場の設計思想を色濃く反映したコンセプトのもとに構築された。建物全体は壁や柱を極力なくし、自然光を取り入れ、柔軟性と開放感に富んだ空間設計を実現。また、同社では「顧客を太陽と捉え、その周りでチームが柔軟に連携しながら動く」という独自の組織哲学「ソーラーシステム」を掲げており、新工場もその理念を体現するため、施設内の柱やシャッターなど随所に太陽をイメージした黄色を配置している。さらに、作業エリアとオフィスをガラス張りとすることで、部門間の物理的な隔たりをなくし、社員同士の円滑なコミュニケーションを促進する設計方針を取り入れるなど、ケルン本社工場の理念を徹底的に踏襲している。

 1階には柱のない大空間を活かした効率的な倉庫・組立エリアを配置。2階にはガラス張りのオフィスや、工場従業員全員が交流できるカンティーンを設け、組織全体の一体感と生産性向上に寄与する環境を整えている。工場外周には桜を植樹しているほか、約5000㎡の用地も敷地内に確保しており、日本市場での成長に合わせて拡張できる工場となっている。

エントランスホール
イグスの組織スタイル「ソーラーシステム」のスケッチ画パネルを設置

 

倉庫エリア
62.5m×75mに柱4本のみの大空間。
高層ラックを導入し保管効率を向上。天窓と高窓を設置し自然採光を確保

 

カンティーンエリア
全部門共用のカンティーンによって部門間コミュニケーションを促進
ガラスを多用し開放的なスペースとしている

 

オフィス・会議室エリア
全面ガラス張りで現場と事務所の隔たりをなくし倉庫エリアを見渡すことが可能。2階展示会エリアは37.5m × 37.5mの無柱空間


 

kat

日本精工、MURASAKI SHONAN OPENに初協賛、ベアリング組立体験などコンテンツ提供

1日 18時間 ago
日本精工、MURASAKI SHONAN OPENに初協賛、ベアリング組立体験などコンテンツ提供kat 2026年06日25日(木) in

 日本精工(NSK)は、本年7月18日~20日に神奈川県藤沢市で開催されるクロスカルチャービーチフェス「MURASAKI SHONAN OPEN 2026」に初協賛することを決定した。7月19日と20日の日曜祝日にはNSKブースを設置し、ベアリング組立体験などのコンテンツを提供する。

 

 MURASAKI SHONAN OPENは2025年に6年ぶりに復活したクロスカルチャービーチフェス。今年も、サーフィン、スケートボード、BMX、ブレイキンといったオリンピック競技を中心に、国内外からトップアスリートが集結し、アクションスポーツの魅力を幅広い世代へ発信する。また、競技観戦にとどまらず、キッズ向け体験やファミリーで楽しめるアクティビティ、トップアスリートによるワークショップなどさまざまな参加型コンテンツも用意されたイベントとなっている。開催内容の詳細はhttps://www.shonanopen.com/で確認できる。

 NSKは、本イベントへの協賛を通じて、同社製品であるベアリングの重要性やものづくりの魅力を紹介するとともに、神奈川県藤沢市に拠点を持つ企業市民として、地域住民や藤沢市に訪れる人々との交流を図り、地域の魅力発信に貢献していく。

kat

スガツネ工業、マルチリニアモーションカタログの最新版を発行

4日 22時間 ago
スガツネ工業、マルチリニアモーションカタログの最新版を発行kat 2026年06日22日(月) in

 スガツネ工業は、「マルチリニアモーションカタログNo.471A」を6 月19 日に発刊、同社ウェブサイトで公開する。2025年6月に発刊した「マルチリニアモーションカタログ No.471」に新製品を追加しリニューアル増刷したもの(サイズ:A4判、総頁数:40頁、新製品:11 品番、掲載品番数:67 点)。無料でデジタル版の閲覧ができる。

マルチリニアモーションカタログ最新版の表紙

 

 近年、製造現場では人手不足への対応や装置の省スペース化、設計・組立工数の削減が求められている。同社のコア技術で動きの感触や取付・調整、開閉角度・軌跡を統合制御する技術力・製品群を表現した技術ブランド「MDT(モーションデザインテック)」の一つである、マルチリニアモーション機構を搭載したガイドレールは、多方向から荷重を受けられるほか、高い取付精度を必要としないため、設計・調達・取付など様々な面で最適化に貢献できる。

 最新版のマルチリニアモーションカタログNo.471Aでは、新製品であるマルチローラーリニアガイドレール MLGX25 型に使用できる連結用レールとレール幅に納まる細幅キャリッジを追加掲載しているほか、マルチリニアモーションによる課題解決事例を掲載して、どの事例にどのレールが適切かを提示、ユーザーの困りごとを解決できるようなコンテンツとしている。また、製品紹介、施工例、取付方法などの同社ならではの機構部品の動きを、動画で体感できる。
 

課題解決事例

 

kat

エボニック、構造改革とコスト削減措置を強化

1週 ago
エボニック、構造改革とコスト削減措置を強化kat 2026年06日19日(金) in

 エボニック インダストリーズ(エボニック)は、組織の変革をさらに推進するため、今後数年間にわたり構造改革とコスト削減措置を実施する。

 同社取締役会長(CEO)クリスチャン・クルマン氏は、「世界的な政治情勢は依然として不透明で、経済成長は持続的に低迷している。同時に、国際競争はますます激化している。このような環境下で、我々はより強くならなければならない。我々の未来は自身の手の中にあり、その機会を確実に掴む決意だ」と語る。

 経営陣と従業員代表によって合意された措置は、全世界の事業部と管理部門に影響を与える。合計3200人の雇用が削減され、そのうち2150人がドイツ国内のポジション。2027年から2029年末までこの施策は実施され、効率化、デジタル化、外部委託を通じてエボニックは大幅な改善の可能性があると見ている。さらに、オフショアリングの選択肢についても検討を進めている。現在進行中の全社的な経営効率化・構造改革プログラム「Evonik Tailor Made(エボニック・テーラーメイド)」と事業部門の効率化プログラムの一環として、2023年10月から2026年末までに約2800人のポジションを削減する計画。

 同社最高人事責任者兼労務担当取締役トーマス・ヴェッセル氏は、「雇用の削減は今後も社会的に受け入れ可能な形で進めていく。詳細については、今後数週間で社会的パートナーと協議の上、最終決定を行う」と述べる。

 カスタムソリューション部門では、2027年にポリエステル事業を終了。この措置は、ドイツのヴィッテンおよびマール、さらに中国・上海の拠点に影響する。同部門を担当する取締役会メンバーのローレン・ケルセン氏は、「ポリエステル事業の終了と生産拠点の閉鎖は、経済的に避けられない決断。グローバル競争の激化や欧州特有の構造的な不利、さらに市場環境の悪化により、検討したいずれの案もエボニックにとって長期的な収益性を確保できるものではない」という。

 ポリエステル事業は年間約1億5000万ユーロの収益を生み出しているが、長年にわたり採算が取れていなかった。ヴィッテンの拠点では266人の雇用があり、2027年に閉鎖される。マールの拠点では45人、中国・上海の生産拠点では35人のポジションが削減される。

kat

日本精工、ENEOSリニューアブル・エナジーとバーチャルPPAを締結

1週 ago
日本精工、ENEOSリニューアブル・エナジーとバーチャルPPAを締結kat 2026年06日19日(金) in

 日本精工(NSK)は、ENEOSリニューアブル・エナジー(ERE)との間で、九州エリアの大型蓄電池併設型太陽光発電所を活用したバーチャルPPA(仮想電力購入契約:企業と発電事業者が電力そのものを取引せず再生可能エネルギーの環境価値のみを取り引きする契約)を締結した。

 本PPAでは、電力需要家であるNSKが発電事業者であるEREから直接環境価値(非FIT(固定価格買取)非化石証書)を購入。EREは九州エリアに所有する設備容量約5万4000kWのJREさつま太陽光発電所に約13万kWhの蓄電池を設置し、発電した電力量相当(年間約6500万kWh)の環境価値を約15年間にわたりNSKに提供する。これによりNSKの年間CO₂排出量は約2万7000t-CO₂削減されることが見込まれる。

 NSKは、2035年度にScope1・2におけるカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、気候変動への対応を重要な経営課題の一つとして位置づけており、省エネルギーの徹底や技術革新、再生可能エネルギー(再エネ)の活用を推進することで、事業活動におけるCO₂排出量の削減に取り組んでいる。さらに、サプライヤーを含むバリューチェーン全体での排出量削減を目指している。再エネの活用では、工場などの敷地内でのオンサイト太陽光発電に加え、バーチャルPPAの導入により再エネ由来の環境価値を長期的に確保することで、CO₂排出量の削減に寄与するとともに、環境価値の安定的な調達を図る。

 EREは「再生可能エネルギーで世界を変える」をミッションとして太陽光、風力、バイオマスなど再エネ発電所の開発・運転を行っており、今後も再エネによる発電事業およびPPAや蓄電池活用ソリューション(再エネの有効活用と電力系統の安定化、収益最大化を同時に実現する最先端の運用システム)の提供を通して、再エネ普及と企業のCO₂排出量削減に対する課題解決、脱炭素社会の実現と地域の発展に貢献していく。

太陽光発電所の全景

 

蓄電池設備の全景

 

バーチャルPPA スキーム図

 

kat

IFA 2026プレスカンファレンスが開催

1週 2日 ago
IFA 2026プレスカンファレンスが開催kat 2026年06日17日(水) in

 スマートホームや人工知能(AI)、サステナブル・テクノロジーに至るまでの最新のトレンドとイノベーションを披露する世界最大級のコンシューマーエレクトロニクス(家電・IT)見本市「IFA(イファ)2026」のプレスカンファレンスが6月16日、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京で、IFA日本代表の竹生学史氏(International Linkage)の司会のもと、開催された。

 当日は、IFA 2026主催者のIFA Management ディレクター PR&コーポレートコミュニケーションズのSonia May氏が開会の挨拶を行った後、同社CEOのLeif Lindner氏が「IFA 2026の魅力」と題して、以下のようにプレゼンテーションを行った。

IFA 2026概要と魅力

 IFAは、「Innovation for All(すべての人のためのイノベーション)」という基本テーマと、「The future is now(未来は今)」という今シーズンのスローガンのもと、世界中のブランド、小売業者(リテーラー)、クリエイター、メディア、消費者を一堂に集め、イノベーションを実体験に変える場で、一般消費者向け(B2C)の新製品発表や体験機会の創出から、ビジネスパートナーの発掘、流通・販売展開まで、B2Bの成果へとつなげる場を創出する。

 IFAのコアバリューは①インスピレーション:創造力の刺激、②好奇心:未知の物事の取り込み、③信頼:長年にわたる確かな実績と信頼性、④コミュニティ:共に歩む道のり(共創)の四つで、消費者の注目とビジネス機会の創出という二つの価値を生み出す世界屈指のテクノロジーハブである。

 IFA 2026の戦略的な柱は①イノベーション・ショーケース、②ビジネスとインフルエンサーの融合、③ソート・リーダーシップと新製品発表、④体験と文化の四つで、AIを新たなインフラとして捉え、①コンピューティング&ゲーミング、②コンテンツクリエーション、③ビューティーテック&ウェルビーイング、④モビリティ、⑤IFA Next、⑥ホーム&エンターテイメント、⑦ホームアプライアンス、⑧スマートホーム、⑨コミュニケーション&コネクティビティ、⑩オーディオ、という展示エリアで構成される。

 より幅広い来場者層との接点創出と新たな情報発信の実現を目的に、「Robots on the Runway」、「Robocup」、「インディーゲームエリア」、「モビリティトラック」、「ビューティーハブ」、「アウトドアクッキング&ガーデニング」、「スマートリビングフォーラム」など、新規で刷新された展示フォーマットが多数導入される。

 IFAでは今回初めて、1979年に西ベルリンで開館した1970年代スペースエイジ建築の最高傑作「ICCベルリン(国際会議センター)」を開放するなど、ベルリン各地とのパートナーシップを通じた文化イベントとしての存在感も一層高める。

 Leif Lindner氏は「日本企業の出展は近年、10~15社と低迷している。IFAの多様化促進の観点からも、是非とも日本のイノベーション企業に数多く参加してほしい」と呼びかけた。

IFA 2026で見るべき注目技術やトレンド

 続いて、早くからIFAに参加しているMM総研 理事長の関口和一氏が「IFA 2026で見るべき注目技術やトレンド」と題して、以下のようにプレゼンテーションを行った。

 毎年1月に米国で開催されるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が1年のトレンドを占う場であるのに対して、CESに先駆け1924年に開催されアインシュタイン博士が基調講演で登壇した歴史を持つ9月開催のIFAは、クリスマス商戦、年末に向けた商談の場となる。

 IFAに見る家電技術の新潮流としては、①AI(テレビ、白物家電など)、②スマートホーム(Matter、SmartThingsなど)、③AIロボット(ヒューマノイド、ペットロボットなど)、④高性能ディスプレイ(RGB miniLEDなど)、⑤スマートグラス(XR、3Dなど)、⑥ヘルステック(スマートベッド、リストバンドなど)、⑦ニューモビリティ(電動バイクなど)の七つが挙げられる。

 IFAに見る主な家電メーカーのAI戦略としては、サムスン電子が音声アシスタントの活用やAIロボットとの連動などAIホームの構築を、LG電子がAIロボットと連動した家電製品の対話型AIによる制御を、ハイセンスがテレビの映像表現のAIによる高度化を、エイサーがパソコンやサーバーのAIによる制御を提唱。スマートホームをけん引するサムスン電子、LG電子など韓国企業の動向に注目したい。

 また、主なテレビメーカーの最新ディスプレイ技術としては、サムスン電子のRGBのLEDを直接使用した自発光型に近いディスプレイ「MicroRGB」や、LG電子の有機ELを使用した自発光型ディスプレイ「OLED」、ハイセンスのバックライトにRGBを個別表示できるLEDを使用した「RGB-MiniLED」、ハイアールのバックライトにMiniLEDと量子ドットを使用した「QD-MiniLED」などが見どころ。

 さらに、スマートグラスがAIと人が対話するユーザーインターフェースとなるトレンドや、日本からシグマが特設会場に出展するほか日本の家電ブランド(東芝など)がトルコ企業のブースで見られるといった最新展示情報、幅100mに及ぶ巨大看板広告を長年掲出してきたサムスン電子に代わりIFA 2025から中国Mideaが「世界ナンバー1スマート家電ブランド」という巨大サイネージ広告を掲出しているという、世界家電市場での勢力図の変化などを紹介した。

 最後に、IFAが示す日本ブランドの課題として、①世界が注目するIFAにおいて、日本企業はモビリティ、デジタル家電、エンターテイメント、ヘルステックなどの技術をもって積極的に出展すべき、②スタートアップ支援に日本政府は尽力すべき、③グローバルな事業展開なくして成長は不可能なため、日本企業の経営トップはIFAに参加して世界に向けて情報を発信すべき、④イノベーション力を強化すべき(規制緩和、ダイバーシティ、デジタル変革が鍵)、と強調した。

 

 IFA 2026の出展等に関する問い合わせ先は、以下のとおり。

合同会社International Linkage(合同会社インターナショナル リンケージ)
担当:竹生 学史(たけお・まさひと)
E mail : masahito.takeo@int-llinkage.co.jp TEL:080-1396-9902

 

IFA 2026プレスカンファレンスのようす
左から、Sonia May氏、Leif Lindner氏、関口和一氏、竹生学史氏

 

kat

パーカー熱処理工業、SRV受託試験サービスのウェブページを新設

1週 2日 ago
パーカー熱処理工業、SRV受託試験サービスのウェブページを新設kat 2026年06日17日(水) in

 パーカー熱処理工業はこのほど、潤滑油・グリースや自動車部品の摩擦摩耗試験機のデファクトスタンダードである振動摩擦摩耗試験機「SRV®」の最新機種「SRV®5」を用いた受託試験サービスについて、専用ウェブページ(https://srv-pnk.jp/contracted-testing/)を新設した。

 同社では1980年から日本総代理店としてSRV®の販売を開始。以来、潤滑油・グリース・固体潤滑剤などの潤滑剤向けや自動車部品向けなどに販売を展開、現在までに国内で100台以上の納入実績を持つ。

 同社では長年の販売実績と蓄積した知見をベースに2017年からSRV®の受託サービスを開始しているが、需要の高まりを受けて今回、専用ウェブページを新設した。

 SRV®受託試験サービス専用ウェブページでは、“潤滑剤性能を比較評価したい”、“規格試験を外部委託したい”、“フレッチングを評価したい”、“開発段階で条件設計から相談したい”といったさまざまなユーザーの課題に対して、SRV®を用いた各種試験で対応できることを紹介。

SRV®試験がASTM・DIN・ISOなどに準拠した27種類の国際規格試験に対応していることや、高温試験・低温試験・特殊用途評価への対応が可能なことなどの強みや、オイル・グリースの摩擦摩耗性評価試験評価やベアリング部材のフレッチング試験といった豊富な受託試験事例を紹介しているほか、試験依頼の流れやQ&Aを掲載している。試験条件の相談や見積依頼なども同ウェブページから簡単に行える。

 詳細はSRV®受託試験サービス専用ウェブページ(https://srv-pnk.jp/contracted-testing/)をご覧いただきたい。

 同社は引き続き、SRV®を用いた受託試験サービスを通じて信頼性の高い試験データと分析結果を提供、これによりユーザーの研究開発を支援するとともに、試験機の拡販につなげていく。

kat

日本トライボロジー学会、第71期会長に佐々木信也氏(東京理科大学)が再任

1週 4日 ago
日本トライボロジー学会、第71期会長に佐々木信也氏(東京理科大学)が再任kat 2026年06日15日(月) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は「トライボロジー会議 2026 春 東京」の会期中の5月26日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「第70期定時社員総会」を開催した。第71期役員の選任についても決議がなされ、第71期会長に東京理科大学 教授の佐々木信也氏が再任された。

 挨拶に立った佐々木JAST新会長は、「第69期の江上正樹会長(NTN)の任期中に、一般社団法人である当学会は会社組織と同様に考える必要があるとして、ガバナンスを企業並みに強化すべく、慣習を打破し定款等を改訂するなど強力なリーダーシップを発揮して、さまざまな改革を実施した。私が会長を務めた第70期もまた、村上元一副会長(トヨタ自動車)が企業人としての知見から無駄をなるべく排除する形で、財務体質の改善に取り組むなど、第69期の改革を継承・強化してきた。当学会もいよいよ設立70周年を迎え第71期に突入したわけだが、今後5年後、10年後、そして100周年に向けて、当学会が実社会・産業界にいかに貢献できるかを考えつつ、会員に対してはサービスの向上を図っていきたい。当学会はまさに、攻めのフェーズに入ったと認識している。各分野で活躍されている第71期の理事の方々の意見と知見を結集して、さらに社会に貢献する学会となるべく、当学会の活動を一層盛り上げていけるよう、尽力していく。会員各位の協力をお願いしたい」と力強く語った。

再任の挨拶を行う佐々木信也JAST第71期会長

 

kat

NSK奨学財団が2026年度奨学生の採用式を開催

2週 1日 ago
NSK奨学財団が2026年度奨学生の採用式を開催kat 2026年06日11日(木) in

 日本精工が設立した「NSK奨学財団」(理事長:野上宰門氏)では、2026年度に奨学支援対象者として採用された日本人学生の採用式を5月26日に開催した。

 NSK奨学財団は、アジアの一員である日本を本拠とする「ものづくり企業」として、アジア地域における次世代の人材育成を目的に、2017年4月に設立された。毎年、社会科学系・理工学系の日本人学生と、理工学系の外国人(アジア)学生を選出し、授業料、生活費、渡航費の給付を含む奨学支援を実施している。

 5月26日に行われた採用式では、対象となる日本人奨学生4名に採用証が授与された。また採用式には、前年度以前に採用された奨学生や、過去に奨学支援を受けていた卒業生も出席し、交流を深めた。


 

奨学支援対象者と野上理事長

 

kat

日本精工、Dow Jones Best-in-Class Asia Pacific Indexの構成銘柄に24年連続で選定

2週 1日 ago
日本精工、Dow Jones Best-in-Class Asia Pacific Indexの構成銘柄に24年連続で選定kat 2026年06日11日(木) in

 日本精工(NSK)はこのほど、ESG投資の代表的指数である「Dow Jones Best-in-Class Indices (DJBIC Indices)」のアジア・太平洋地域の企業で構成される「Asia Pacific」の構成銘柄に24年連続で選定された。

 DJBIC Indicesは、S&P Global社が実施するCorporate Sustainability Assessment(CSA)に基づき、世界の上場企業をガバナンス/経済・環境・社会の三つの側面から総合的に分析・評価し、持続可能性(サステナビリティ)に優れた企業を構成銘柄としている。本指数は、企業の社会的責任やサステナビリティを重視する投資家にとって重要な ESG 指数の一つとなっている。

 また、NSKは、CSAにおいて産業分野別に特に評価の優れた企業が選定される「The Sustainability Yearbook Member」において5年連続で選定された。

 同社では、「MOTION & CONTROL™を通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めます。」という企業理念のもと、事業を通じて多様な機械製品を支え、顧客の事業の発展をはじめ、多くのステークホルダーの持続的な成長に貢献してきた。こうした姿勢が、DJBIC Indicesにおける継続的な選定につながっているものと考えている」とコメントしている。

 NSKでは引き続き、事業活動を通じた社会課題の解決への貢献とNSKの持続的な成長の両立を目指していきます。

 

kat

ジェイテクト、eAxle向けグリース潤滑セラミック玉軸受を開発

2週 2日 ago
ジェイテクト、eAxle向けグリース潤滑セラミック玉軸受を開発kat 2026年06日10日(水) in in

 ジェイテクトは、高性能電気自動車のeAxleに最適化したグリース潤滑セラミックボールベアリングを開発した。セラミックボールの採用により、電食(電気的侵食)の防止、高速回転対応、グリース寿命延長を実現。高速回転対応の樹脂保持器、非接触シールおよびグリースの最適設計により、30000r/min に対応する高速回転を実現した。

グリース潤滑セラミックボールベアリング

 

 高出力の駆動モーターが求められる高性能電気自動車においては、車両設計やユニット構造上の制約により、eAxleモーター内部へ油の供給ができないケースがある。ジェイテクトはこの課題へのソリューションとして、オイル潤滑ではなくグリース潤滑を採用し、当該eAxleへの搭載を可能とするとともに、駆動モーターの高速回転に対応した新たなベアリングを開発したもの。

 本開発品は、軌道輪(内外輪)に高炭素軸受鋼、転動体に軽量・高剛性・非導電のセラミックボールを採用。転動体の軽量化により遠心力を抑え、高速領域での発熱を抑制する。

 また、非接触シールによりグリース保持性を高め、高剛性設計の高速回転対応保持器を採用することで、高速安定性を実現した。

 さらに、高温域での油分保持性・耐水性・耐食性に優れた合成系長寿命グリースを組み合わせることで、駆動モーターの高温連続回転と長寿命化を実現した。

 ジェイテクトはモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダ―として、高性能電気自動車に貢献する製品を顧客に提案していくほか、多様なモビリティに貢献するソリューションや幅広い産業に貢献するために、コンピタンスを掛け合わせ、さまざまなソリューションを提案していく。

kat

日本滑り軸受標準化協議会、第43回総会を開催

2週 2日 ago
日本滑り軸受標準化協議会、第43回総会を開催kat 2026年06日10日(水) in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は6月9日、「2026年度 第1回総会(通算第43回総会)」をウェブ配信により開催した。
 
 当日は濵﨑俊一PBSA会長(オイレス工業)が挨拶に立ち、参加者各位にPBSAの運営への日頃の協力について謝意を述べた後、「前回の3月の総会(2025年度 第2回総会)から3カ月しか経っていないが、前回は期の途中だったので、本年3月で締めた2025年度の会計報告と2026年度の活動計画、予算案について審議をお願いしたい」と挨拶した。 

 続いて、PBSA会計の橋爪 剛氏(オイレス工業)より前回総会の議事録の確認がなされた後、ISO/TC123平軸受国内委員会 幹事の遠藤正明氏(大同メタル工業)が挨拶に立ち、ISO/TC123国内委員会に対するPBSAからの支援に対し謝意を示しつつ、2026年度の活動計画について説明した。12回の国内委員会を開催することや、ISO/TC123国際会議が10月にドイツ・ベルリンで開催されること、同国際会議への参加費用など経済産業省予算で賄えない不足分の支援要請書をPBSAに提出したことを報告。また、「静圧気体軸受用語に関する国際標準化(SC6)」について5月にNP(新業務項目提案)が承認されステージコード20.00に至り、今後、WD(作業原案)登録、CD(委員会原案)登録・協議(30.20)を目指す計画を発表した。

 さらに、PBSAの2026年度の活動計画について、PBSA橋爪氏(オイレス工業)より報告がなされた。2026年度の活動計画としては、第1回総会をウェブ形式で開催し、第2回総会を2027年3月に対面形式で開催、必要に応じて理事会を開催する予定で、本年10月28日~30日にドイツ・ベルリンにて開催予定のISO/TC123国際会議についての経産省予算の不足分の支援など、ISO/TC123 国内委員会より申請された支援要請に基づき予算(案)が示され、活動計画(案)・予算(案)が賛成多数で承認された。また、PBSA設立20周年記念行事の2027年度開催を目指し準備委員会を設置したことや、今後、行事の内容・実施日について検討を重ねていくことを報告した。

 最後に、宮原憲隆氏(大豊工業)が退任し新たに加藤慎一氏(大豊工業)が就任するという、正会員の交代についての報告がなされた。

挨拶する濵﨑PBSA会長

 

kat

ハイウィン、重荷重・高速・長尺対応のベルト駆動式単軸ロボットの国内受注を開始

2週 3日 ago
ハイウィン、重荷重・高速・長尺対応のベルト駆動式単軸ロボットの国内受注を開始kat 2026年06日10日(水) in in

 ハイウィンは、重荷重、高速、長尺対応タイプの単軸ロボット「KHシリーズ」を本年6月より日本で販売開始した。

KHシリーズ

 

 近年、幅広い産業で深刻な人手不足の状況が続いており、その対策として、自動化・省人化へ対応が急務となっている。その中で複雑な多関節ロボットよりも低コストで、高速・高精度な作業や搬送が可能な単軸ロボットは堅調な伸びが見込まれている。

 単軸ロボットは産業問わずに幅広い分野で自動化に活用されているが、近年は食品工場の自動化における導入ニーズが増加傾向にある。その背景として、大がかりで複雑な多関節ロボットよりも低コストでありながら、高速・高精度な作業や搬送が可能である点が挙げられる。

 また、日本の食品業界では中小企業が多く、高額な自動化設備の導入にはハードルが高いことから、比較的導入しやすい単軸ロボットへの関心が高まっている。

 現在、日本では高負荷・長尺対応の単軸ロボットは海外製の採用が多い状況だが、その中で、国内でも高いコストパフォーマンスを実現し、安心して使用できる製品を提供し、さまざまな業界の自動化ニーズへの対応に貢献することを目的とし、ハイウィンは今回、欧州で多数の実績を有するKHシリーズの日本市場への投入を行うもの。

 KHシリーズ全体の特長は以下のとおり。

・最高5m/秒の高速動作と長ストローク対応のアルミ製単軸ロボット

・自社製リニアガイドウェイとタイミングベルトを組み合わせモジュール化

・フィードバックオプションにより繰返し精度±0.005mmを実現

・2軸・3軸、ガントリー型の位置決めステージの構成可能

 用途は、大型の3Dプリンター、電子機器のスクリーン印刷、自動倉庫、食品製造倉庫の重量物搬送など

 KHMシリーズの特長は以下のとおり。

・軽量で高剛性:高剛性構造のアルミ製ベースと高負荷リニアガイドウェイを採用し、安定性と軽量化を実現

・柔軟なストローク調整:ミリメートル単位でのカスタマイズ可能で、多様なアプリケーションに対応

 主な仕様は、サイズ:40/60/80/120mm、最大ストローク:3600mm超(仕様により異なる)、最大定格荷重:10/25/60/120kg。

 KHT耐モーメントシリーズの特長は以下のとおり。

・2軸レール設計で高いねじれ剛性:高いトルク不可に対応し、精密な動作を実現

・低い組立高さ:ベースは方形断面設計を採用し、高さ制限のある環境にも適用可能

 主な仕様は、サイズ:100/150/200/250mm、最大ストローク:3500mm超(仕様により異なる)、最大定格荷重:40/80/150/250kg。

kat

NTN、未来医療拠点O-Nexus参画により精密リキッドハンドリングシステムの事業化を加速

2週 4日 ago
NTN、未来医療拠点O-Nexus参画により精密リキッドハンドリングシステムの事業化を加速kat 2026年06日08日(月) in in

 NTNは、大阪・中之島にある未来医療の産業化拠点「Nakanoshima Qross(中ノ島クロス)」内に新たに開設されたイノベーション拠点「Osaka Life Science Nexus by Nippon
Life and CIC(O-Nexus)」に参画した。本参画により、同社は細胞や試薬などを精密かつ高精度に配置できる精密リキッドハンドリングシステム「X-CELList(エクセリスト)」をライフサイエンス分野に展開し、事業化の加速を図るとともに次世代医療の発展に貢献していく。

 Nakanoshima Qrossは、医療機関や企業、大学などが集積し、連携を通じて未来医療の創造および産業化を推進する拠点。O-Nexs」は、日本生命保険相互会社
CIC Japanが共同で設立するライフサイエンス分野に特化したイノベーション拠点であり、スタートアップや研究者、企業や行政機関などの交流・連携を促進することで大阪発の新たな価値創出を支援する。

 NTNは本参画を通じて、O-NexusおよびNakanoshima Qrossに参画するスタートアップ、自治体、企業や研究機関などとの連携を強化し、X-CELListのライフサイエンス分野への適用検討を加速する。特に、iPS 細胞をはじめとする再生医療や診断、創薬分野の研究・製造プロセスへの適用を目指し、早期の事業化につなげるとともに、顧客における開発期間の短縮や高品質を維持した量産技術の実現を通じて、次世代医療の発展に貢献していきいく。また、O-Nexusにおける異業種連携や企業間マッチングを通じて、新たな用途開拓や協業機会の創出も推進する。

 

kat

NTN、BEVの電費を0.76%改善する低フリクションハブベアリングを開発

2週 4日 ago
NTN、BEVの電費を0.76%改善する低フリクションハブベアリングを開発kat 2026年06日08日(月) in in

 NTNは、BEV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)などxEV(電動車両)の省エネルギー化に向けて、従来から有していた世界最高水準の低フリクション(摩擦)性能をさらに向上させ、回転フリクションを従来品比で約66%低減したハブベアリングを開発した。これにより、BEVでは電費が0.76%改善し、1回の充電あたりの航続距離を2.2km延長する効果が期待される。NTNでは、世界最高水準の低フリクション(摩擦)性と高い耐泥水性を両立した本商品をグローバルの自動車メーカーに提案していく。2030年度に、本開発品を含む低フリクションハブベアリングシリーズで約400億円/年の売り上げを目指す。

 近年、世界各国で排出ガス規制が強化される中、xEVの生産台数は今後さらに増加すると見込まれている。これらの車両では、1回の充電で走行できる距離(航続距離)の延長が重要な課題となっており、車両全体のさらなる省エネルギー化が求められている。

 NTNは、世界トップクラスのハブベアリングのメーカーとして、2009年に「低フリクションハブベアリング」を市場投入して以来、軸受内部グリースやシール用グリースの改良、シール設計の最適化など、さまざまな技術開発を積み重ね、常に世界最高水準の低フリクション化を実現し、車両の省エネルギー化に貢献してきた。

 今回開発した製品はこれまでの「低フリクションハブベアリング」シリーズの開発で培ってきたグリースなどの低フリクション技術に加え、シール構造を見直すことで、世界最高水準の低フリクション性能と高い耐泥水性能の両立を実現したもの。

 ハブベアリングのシールは、泥や水、埃などの異物が軸受内部に侵入することを防ぐ重要な役割を担っている。一方で、耐泥水性を確保するためには、シールと軸受を接触させる必要があり、この接触がフリクション増加の要因となっていた。今回開発した新シールでは、従来シリーズで採用してきた、シールと軸受の接触部(リップおよび摺動面)への特殊な表面処理や、ラビリンス構造(すきま)の最適配置によるリップ枚数削減、専用グリースの適用に加え、リップによる反力を抑える新設計を採用した。これにより、高い耐泥水性を維持しながら、シールと軸受との接触抵抗を大幅に低減させることに成功した。

 NTNはハブベアリングのリーディングカンパニーとして、今後もフリクション低減を追求して、自動車の省エネルギー化とサステナブルな社会の実現に貢献していく。低フリクション化のほかにも小型・軽量化や耐久性向上など高い技術力が求められる商品の開発に取り組むとともに、ハブベアリング設計におけるAI 技術の活用などにより提案のスピードと品質をさらに高めていく。ハブベアリングと隣り合う部品で、同社が世界トップクラスのシェアを持つドライブシャフトの技術力も磨き続け、課題解決力、提案力、迅速な対応力を兼ね備えた駆動領域のトップメーカーを目指す。

 

kat

日本粉末冶金工業会、新会長に菊池正史ポーライト社長が就任

2週 4日 ago
日本粉末冶金工業会、新会長に菊池正史ポーライト社長が就任kat 2026年06日08日(月) in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)は、5月22日に開催された2026年度定時総会において、園田修三会長(福田金属箔粉工業会長)の任期満了に伴う役員の改選を行い、新会長に菊池正史氏(ポーライト社長)が就任した。

菊池正史JPMA新会長


 

kat

自動車技術会、第76回自動車技術会賞授賞式を開催

4週 ago
自動車技術会、第76回自動車技術会賞授賞式を開催kat 2026年05日29日(金) in in

 自動車技術会(JSAE、会長:中畔邦雄氏(日産自動車))は横浜市のパシフィコ横浜で、「2026年春季大会」会期中の5月28日に「第76回自動車技術会賞」授賞式を開催した。

 自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的として設けられ、自動車技術における多大な貢献・功績に対し贈呈されている。トライボロジー関連では今回、以下のとおり表彰がなされた。

論文賞 「油膜形成型潤滑油添加剤の適用による省電費EV油に関する基礎検討(第1報)」
中村俊貴氏・相田冬樹氏・松木伸悟氏・飯野麻里氏・長谷川慎治氏(ENEOS)

 電費向上が求められる電気自動車(EV)の駆動ユニット(e-Axle)において、従来にない摩擦低減コンセプトを可能にする新規添加剤(摩擦調整剤:FM)を開発した。EV油が用いられるギヤや減速機のしゅう動環境は従来のFMが十分な効果を発揮しにくい「緩やかな条件」であることを確認。複数の極性基を有し、強い吸着力による多層膜を形成して金属接触を抑制する新規FMを設計・開発し、緩やかな環境下でも優れた摩擦低減効果を発現することを検証した。本研究は、添加剤の新規設計から潤滑油(EV油)への適用による効率改善効果(低粘度市販EV油に比べ、低粘度市販EV油+開発FMで最大+1.1%の効率向上効果を確認)の実証までを一貫して実施し、さらに作用メカニズムも明確にした。産業界への実装が評価されるとともに、学術的にも摩擦低減に関する新たな知見を提供しており、両界で高く評価されての受賞となった。
 

左から、中畔JSAE会長、中村氏、長谷川氏

 

技術開発賞 「ステアバイワイヤシステム」
柴田憲治氏・上前 肇氏・工藤佳夫氏(トヨタ自動車)、西村 興氏(ジェイテクト)、中島信頼氏(デンソー)

 自動運転実用化の流れを受けて、自動運転との親和性と手動運転時の操作性の両立、および自動運転時の車室空間レイアウトの自由度向上のため、操舵と転舵が分離した構造のリンクレスステアバイワイヤシステムを日本で初めて製品化した。全構成要素を2系統化した冗長構成により安全性を確保した上で、次世代の操舵感覚(操舵角中心から左右200°の操作範囲、持ち替え不要)を実現し、異形ステアリングや革新的なコクピット設計を可能とした。将来的には自動運転中のステアリングホイール格納による車室空間確保や新操作系実現への貢献も期待できることが高く評価されての受賞となった。
 

左から、中畔JSAE会長、柴田氏、上前市、工藤氏、西村氏、中島氏


 

kat

bmt2026年5月号「特集:カーボンニュートラル」5/27発行!

1ヶ月 ago
bmt2026年5月号「特集:カーボンニュートラル」5/27発行! in admin 2026年05日25日(月) in in

 

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第59号となる2026年5月号が5月27日に小社より発行される。

 今号は、特集「カーボンニュートラル」と題し、浮体式洋上風力発電の現状・今後とbmt、CN 実現・作業環境改善に寄与する潤滑剤の開発と適用、CN実現に向けた潤滑油の状態監視・静電浄油技術の適用、CNに貢献する無塗装・高意匠性樹脂と分光測色計による多角度高発色性の評価、CNに寄与するbmt 関連技術について、幅広く紹介する。

特集:カーボンニュートラル

◇浮体式洋上風力発電の現状・今後とbmt・・・戸田建設 松信 隆

◇カーボンニュートラル実現・作業環境改善に寄与する潤滑剤の開発と適用・・・ニッペコ 雑賀 光哉 氏、原 規公 氏に聞く

◇潤滑油の状態監視・静電浄油技術による産業設備でのカーボンニュートラル実現への貢献・・・東陽テクニカ 阿部 泰尚 氏に聞く

◇カーボンニュートラル実現に寄与するbmt関連技術・・・編集部

◇カーボンニュートラルに貢献する無塗装・高意匠性樹脂と分光測色計による多角度高発色性の評価・・・テクノUMG 熱田 裕之 氏、上田 真弘 氏、コニカミノルタジャパン 西本 昌弘 氏、瀬戸口 知巳 氏に聞く

連載

注目技術:自動車のトライボロジーで第9回国際シンポジウムを開催・・・TTRFと大豊工業

トップインタビュー・・・THK 寺町 彰博 氏に聞く

あるコスモポリタンの区区之心 第30回(最終回) トリウム溶融塩炉・随想(後編)・・・紺野 大介

トピックス

日本滑り軸受標準化協議会、第42 回総会を開催

雑誌ご購入

定期購読はこちらから

単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin
Checked
1時間 17 分 ago
bmt配信ニュース ベアリング&モーション技術の情報サイト フィード を購読