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ASTEC/SURTECH/nano tech2022などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

2年 9ヶ月 ago
ASTEC/SURTECH/nano tech2022などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

 「ASTEC2022 第17回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2022 表面技術要素展」、「nano tech2022国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など12の展示会が、1月26~28日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され、表面改質と表面試験・評価関連で多数の展示がなされた。

開催の様子

 

 前工程・後工程を含む表面改質関連では、以下のような出展が見られた。

 奥野製薬工業(https://www.okuno.co.jp/)は、アルミニウム用 高絶縁・高耐食性コーティング「Protector HB-LTC2」を紹介した。アルミニウム上に5μm程度の透明皮膜を低温硬化(100℃、20分)で形成可能で、素材の輝きを保ちつつ高級感を実現する。添加剤との併用でマットな質感に変化させることも可能。さらに、顔料による着色が可能で、基本色3色を組み合わせて多彩な色調を創出できる。この皮膜は、耐光性・耐水性に優れることから、外装・屋外向け用途に最適。低温硬化のため陽極酸化皮膜への処理が可能で、陽極酸化皮膜処理単独に比べて、極めて高い耐食性を付与できる。

奥野製薬工業 Protector HB-LTC2の処理サンプル

 

 東ソー(https://www.tosoh.co.jp/)は、めっき処理、プリント基板加工等で排出される産業排水中の重金属除去が可能な排水用重金属処理剤「TXシリーズ」を紹介した。汎用:TX-20、高機能:TX-55、ニッケル排水処理専用:TX-55Nと、三つのグレードをラインナップ。従来剤と比較し、硫化水素や二硫化炭素といった有害ガスがほとんど発生しないため、屋内での取り扱いも容易で、安全な作業環境保持に貢献する。すでに、めっき処理会社などでの導入実績・知見が多い。

東ソー TX-55

 

 ナノテック(https://www.nanotec-jp.com/)は、ユーザーの用途に合わせた膜設計から、専用の成膜条件作成による試作、高度・密着力など試作膜の評価、製品化・量産化への対応までをサポートする「コーティング開発試作ビジネス」をアピールした。開発試作のサンプルとして、意匠性の高いチタン(Ti)やクロム(Cr)などの金属膜を施した化粧品用などの樹脂ボトルや、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したオートバイ用フロントフォークなどを展示した。また研究開発向けに、HiPIMS法やイオン化蒸着法、ダイレクト型プラズマCVD法、DC・RFスパッタリング法など様々な成膜方式が可能なDLC成膜実験機の最新モデル「ICF-330」を紹介した。

ナノテック コーティング開発試作サンプル

 

 日本パーカライジング(https://www.parker.co.jp/)は、DLC相当の性能を軟窒化で実現する特殊窒化処理「SuperiorNite(スペリオルナイト)」を紹介した。表面に酸化層を持ち、その下層に窒素化合物層、窒素拡散層を有するため、DLCを凌ぐ優れた耐焼付き性を実現するほか、摺動熱による浸炭層の軟化を抑制。900HV程度の適度な硬さを有し、処理により基材表面の粗さが大きく変化しない。すでに量産体制を構築しており、DLC代替処理として低コスト化への貢献が可能。

日本パーカライジング SuperiorNite処理のサンプル

 

 また、表面試験・評価関連では、以下のような出展があった。

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は、多機能摩擦試験機「MFT-5000」を展示した。摩擦試験では、試験前後のサンプルの正確な深さ、粗さの変化、実際の接触範囲を測定するため、顕微鏡での詳細な観察が重要になる。MFT-5000では、摩擦試験と顕微鏡観察を1台で行うことができるため、サンプル交換の簡略化のほか、摩耗の経時変化による評価など、高いレベルでの表面形状解析に貢献できる。そのほか、一つのプラットフォームでスクラッチ試験、インデンテーション試験、3Dプロファイラー、膜厚測定といった複数の試験が可能な新開発の表面材料試験機「SMT-5000」を紹介した。

Rtec-Instruments MFT-5000

 

 アントンパール・ジャパン(https://www.anton-paar.com/jp-jp/)は、コンパクトナノインデンター「Hit300」を展示した。アクティブな防振ダンピングと独自の2レーザーターゲティングシステムにより1nm以内の精度を実現しつつ、幅269㎜×奥行259㎜×高さ420㎜のコンパクトサイズと低価格を実現。直感的なユーザーインターフェースによって、試料の硬さ・弾性率を手軽に求めたい、多点測定を自動で行いたいなどのニーズに手軽に対応できる。自動化により600測定/時間の連続測定が可能。

アントンパール・ジャパン Hit300

 

 大塚電子(https://www.otsukael.jp/)は、ゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」を紹介した。ELSZseriesの最上位機種で、希薄溶液~濃厚溶液でのゼータ電位・粒子径測定に加え、分子量測定を可能にしている。新しい機能として、粒度分布の分離能を向上させるため多角度測定を採用。また、粒子濃度測定やマイクロレオロジー測定、ゲルの網目構造解析も可能にした。新しくなったゼータ電位平板セルユニットは、新開発した高塩濃度対応コーティングにより、生理食塩水などの高塩濃度環境下での測定が可能。

大塚電子 ELSZneo

 

 新東科学(http://www.heidon.co.jp/)は、触感計「TYPE: 33」を展示した。これまで官能評価の数値化へと定量化することが困難だった、肌触りや感触、なじみ感を数値化できる。三つのストレイン・ゲージを用いてX、Y、Z方向の抵抗力を検出。試料テーブルの上にサンプルを載せて指などでなぞるだけで操作でき、簡単に測定が行える。また、ハンディプローブを使用することで、試料テーブルの上に載せることができないサンプルも測定できる。そのほか、荷重変動型摩擦摩耗試験システム「HHS2000S」や摩擦摩耗試験機「TYPE:40」、ポータブル摩擦計「3Dミューズ」を紹介した。

新東科学 TYPE: 33

 

 東陽テクニカ(https://www.toyo.co.jp/microscopy/)は、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させる分解能3nNのInForce50型超高分解能押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマターの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験(連続剛性測定法:CSR)による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の三次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価が可能。

東陽テクニカ iNano

 

 日本電子(https://www.jeol.co.jp/)は、卓上走査電子顕微鏡(卓上SEM)「JCM-7000 NeoScope™」を紹介した。“誰でもSEM/エネルギー分散型X線分析(EDS)を操作できる”がコンセプトの卓上SEMで、光学像を拡大すればSEM像が観察できる「Zeromag」、分析装置を立ち上げなくても観察中の視野の元素が分かる「Live Analysis」、SEM観察中に三次元観察が可能な「Live 3D」等の機能を搭載した。光学顕微鏡の隣に1台置くことで、異物分析や品質管理をよりスピーディーに、より詳細に実施できる。

日本電子 JCM-7000 NeoScope™


 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.co.jp/)は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン Park FX40

 

 フィッシャー・インストルメンツ(https://www.helmutfischer.jp/)は、微小硬さ試験機(インデンテーションテスター)「FISCHERSCOPE® HM2000」を展示した。DIN EN ISO 14577規格による微小硬さ(HMマルテンス硬さ)ならびに弾性係数の精密測定が行うことができるインデンテーションテスターで、サンプルの位置決めにはプログラミングが可能なXYステージを搭載。圧子はビッカース、ベルコビッチまたはハードメタル球を使用できる。膜厚1μm以上のPVD・CVDドライコーティングや窒化・浸炭などの表面改質層の評価に適用できる。

フィッシャー・インストルメンツ FISCHERSCOPE HM2000

 

 リガク(https://japan.rigaku.com/)は、反射型X線回折装置用の「全固体電池用充放電セル」を展示した。全固体電池正極材の充放電過程の評価はこれまで、電池セルを解体して 行うex situ測定が中心だったが、この反射X線回折用のin situセルを用いることにより、充放電状態を保ったままでのX線回折測定が可能となる。また、透過型X線回折装置用のラミネートセルアタッチメントヘッドを紹介した。

リガク 全固体電池用充放電セル

 

 レスカ(https://www.rhesca.co.jp/)は、新規提案予定の「DLC膜の信頼性および特性試験に関する国際標準化:DLC膜のはく離耐荷重能試験(密着性・疲労摩耗)」に向け開発した、摺動型はく離強度試験機「OST3000」を披露した。DLCを中心とした硬質被膜の界面強度評価法として注目される、荷重増加型摺動試験を行う専用機として開発。耐荷重能測定や、従来の摩耗試験の効率化が可能。測定中に圧子と試料の双方を自動撮影することにより、荷重ごとの変位を画像で確認できる。

レスカ OST3000

 

 会期中は潤滑通信社(https://www.juntsu.co.jp/)の企画によるトライボロジーコーナーが設けられ、Rtec-Instruments、アントンパール・ジャパン、エリオニクス、三洋貿易、島貿易、新東科学、東陽テクニカ、パーカー熱処理工業、日本サーマル・コンサルティングといった、トライボロジー特性の評価・計測に関わる企業の技術・製品がパネル展示された。また、28日には潤滑通信社の企画で東京理科大学・佐々木信也教授によるトライボロジーセミナー「脱炭素化時代に貢献するトライボロジー技術と試験・評価技術」が行われた。講演では、持続的発展可能な社会構築のためのカーボンニュートラル・脱炭素化社会の実現に向けて、トライボロジー技術が果たす役割(省エネの深堀りと高付加価値化)や、脱炭素化時代に求められるトライボロジー試験・評価技術について解説。データの汎用性と信頼性の点からは、試験手順の標準化がなされたOptimol Instruments Prüftechnik(日本総代理店:パーカー熱処理工業)の「振動摩擦摩耗試験機(SRV)」のようなデファクトスタンダード試験機を、点のデータから面・空間のデータへといったDXのためのデジタイゼーションでは、Rtec-Instrumentsの多機能摩擦試験機「MFT-5000」のような連続した測定条件下でのデータ取得が可能な装置を、感性価値の定量化では、新東科学の触感計「TYPE: 33」やPCS Instruments(日本総代理店:島貿易)の「MTMトラクション試験機」といった官能評価との高い相関が得られる装置などを、脱炭素化時代に求められるトライボロジー特性に関する評価・分析装置として紹介した。

トライボロジーセミナーのようす


 

kat 2022年2月1日 (火曜日)
kat

NTN、風力発電装置主軸用DLCコーティング自動調心ころ軸受で新エネ大賞 新エネルギー財団会長賞を受賞

2年 9ヶ月 ago
NTN、風力発電装置主軸用DLCコーティング自動調心ころ軸受で新エネ大賞 新エネルギー財団会長賞を受賞

 NTNは風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」で、新エネルギー財団が主催する令和3年度「新エネ大賞」において「新エネルギー財団会長賞」を受賞した。

風力発電装置主軸用「DLC コーティング自動調心ころ軸受」


 同賞は、新エネルギーの導入の促進を図ることを目的に、新エネルギーに関する機器の開発、設備などの導入、普及啓発活動、分散型エネルギーの活用および地域に根ざした導入の取組みなどを表彰するもの。

 風力発電装置の主軸用自動調心ころ軸受にはこれまで、潤滑不足による軌道面ところの金属接触などが原因で軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があった。

 受賞商品は、軸受のころの転動面に耐摩耗性・潤滑性に優れる硬質膜DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを適用することで、軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させた。DLC膜は3層構造となっており、風力発電装置の主軸用軸受のような油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮し、摩耗の発生を防ぐことで風力発電装置の安定稼働に貢献する。

 また、本商品に適用しているDLCコーティング技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017 年に開発した「左右列非対称設計」と組み合わせることも可能。

 今回の受賞は、これらの開発における独創性や、今後継続的に増加する風力発電装置の普及に貢献することなどが評価されたもの。NTNでは、本商品の拡販を通じて再生可能エネルギーの普及に貢献していく考えだ。

kat 2022年1月26日 (水曜日)
kat

村田製作所、めっきの新研究開発棟着工

2年 10ヶ月 ago
村田製作所、めっきの新研究開発棟着工

 村田製作所( https://corporate.murata.com )は、生産子会社の鯖江村田製作所(福井県鯖江市)が新研究開発棟の建設を2022年2月から開始すると発表した。

 今回の新研究開発棟の建設は、電子部品の軽薄短小化などに対応しためっき技術の開発および量産化技術の立ち上げを目的としている。

新研究開発棟の概要
構造・規模:鉄骨造 地上6階、地下1階
延床面積:11322m2
建築面積:1797m2
用途:めっき技術の開発・立ち上げ
竣工:2023年8月(予定)
総投資額:64億円(建物のみ)

 

admin 2022年1月12日 (水曜日)
admin

砥粒加工学会、3/4に先進テクノフェア(ATF2022)をハイブリッド開催

2年 10ヶ月 ago
砥粒加工学会、3/4に先進テクノフェア(ATF2022)をハイブリッド開催

 砥粒加工学会は本年3月4日10:00~17:00に、学術講演会に次ぐ学会員交流の大きなイベントである「先進テクノフェア ATF (Advanced Technology Fair)2022」(https://www.jsat.or.jp/node/1261)をハイブリッド開催する(新型コロナウイルス感染症の状況により、完全オンライン開催に変更する場合もあり)。リアル開催は大田区産業プラザPiOを会場として、「ATF講演会」、「卒業研究発表会」、「砥粒加工学会推薦企業:リクルートフェア」の開催を予定。今回の講演会テーマは、「今、日本のものづくりに必要なことを語る~将来展望と最新技術~」としている。

 

 デジタルトランスフォーメーション技術の普及や少子高齢化社会の到来、省人・無人化、ひいては脱炭素に象徴される社会構造の変化やコロナ渦に伴う価値観の変化などに起因して、ものづくりは大きな変革点を迎えているといえる。

 そこで本講演会は、ものづくりの将来展望について大いに議論する機会とすべく企画。日本のものづくり産業全体を通した将来像、その中での今後の砥粒加工技術の見通し、そして将来の製造現場で必ずやキーテクノロジーとなると目されるトピックについて、それぞれの分野の第一人者から講演がなされる。

 行事内容は以下のとおり。

1) ATF 講演会(10:00~): 「今,日本のものづくりに必要なことを語る~将来展望と最新技術~」 
「コロナ後の日本のものづくり~独自技術で耐える~」橋本久義氏(政策研究大学院大学)
「砥粒加工の将来展望」向井良平氏(三井精機工業)
「研削加工の技能継承を達成するソフトウェアの提案とその開発」村瀬信義氏(ナガセインテグレックス
「FA-IT 統合ソリューションによる工作機械デジタルツインの実現」藤田智哉氏(三菱電機)
「次世代デジタルファクトリーを実現したDX・デジタルツイン技術」角淵弘一氏(オフィスエフエイ・コム)

2)砥粒加工学会推薦企業:リクルートフェア(10:00~): ものづくりに興味のある学生とものづくりに関わる企業をマッチングする企画

3)卒業研究発表会(13:00~):大学・高専における卒業研究をポスター展示+オンラインでのショートプレゼン形式で発表、講演会参加者も随時参加可能

4)技術交流会(今後の感染症流行状況をみて、後日、開催するかを判断)

講演会 参加費:

会員:事前申込 12,000円、当日申込 20,000円

非会員:事前申込 20,000円 当日申込 20,000円

学生会員:無料

学生非会員:6,000円

定員: 250名
*PiOでの対面聴講の定員は80名

申込方法:砥粒加工学会WEB サイトより登録できる

https://www.jsat.or.jp/ATF2022_Kouenkai220304

参加申込締切:2022 年 2 月 10 日(金)

申込・問合先:(公社)砥粒加工学会 事務局
〒169-0073 東京都新宿区百人町2-22-17 セラミックスビル4F
TEL 03-3362-4195 FAX 03-3368-0902
E-mail staff@jsat.or.jp
 

kat 2022年1月7日 (金曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2021年12月号 特集「DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向」12/24に発行

2年 11ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2021年12月号 特集「DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向」12/24に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2021年12月号 特集「DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向」が当社より12月24日に発行される。

 今回の特集では、DLCの国際標準化の現状とその普及について、公設試によるDLCラウンドロビンテストにおいて行われたGD-OESによるH量の評価について、ビール用PETボトル向けDLCコーティングの開発経緯と被膜の特徴について、水素含有率の異なるDLCコーティング被膜のアルミ材に対する摺動性・凝着性の評価について、ドロップレットの少ない被膜を形成するフィルタード真空アーク蒸着法と同法によるDLC膜の耐摩耗性について、穴の内面への成膜や高速かつ高品質なDLC成膜を実現するMVP法搭載の成膜装置について紹介する。

特集:DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向

◇DLC膜の国際標準化とその普及・・・DLC工業会 平塚 傑工
◇公設試によるDLCラウンドロビンテスト-GD-OESによるH量評価-・・・岡山県工業技術センター 國次 真輔
◇ビール用PETボトルにおけるDLC成膜技術と適用展開・・・キリンホールディングス 木下 悟 氏、松井 知彰 氏に聞く
◇水素含有率の異なるDLCコーティング被膜のアルミ材に対する摺動性、凝着性の評価・・・ナノコート・ティーエス 川本 秀士、坂下 武雄、熊谷 泰
◇フィルタード真空アーク蒸着法を用いたDLC膜の開発・・・日本アイ・ティ・エフ 大城 竹彦
◇内面への成膜など新機能を搭載したDLC成膜装置の開発・・・不二越 高井 健志

連載

トップインタビュー・・・ガスタイガー マリカ ナタリ 氏(アントンパール・ジャパン)
Featured Events:・・・日本表面真空学会、第22回真空に関する国際会議(IVC-22)札幌への協賛募集を開始

トピックス

第14回岩木賞に、埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞
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admin 2021年12月22日 (水曜日)
admin

第24回「トライボコーティングの現状と将来」シンポジウム、2022年2月25日にハイブリッド開催、第14回 岩木賞贈呈式も実施

2年 11ヶ月 ago
第24回「トライボコーティングの現状と将来」シンポジウム、2022年2月25日にハイブリッド開催、第14回 岩木賞贈呈式も実施

 トライボコーティング技術研究会と理化学研究所は2022年2月25日に、「第24回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム-摩擦界面の解析と固体潤滑、DLCコーティングの最前線、薄膜研磨・デバイス開発-」を開催する。今回はリアル開催のほかウェブ会議システムを利用した参加も可能な「ハイブリッド開催」となっている。当日は「第14回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の受賞記念講演を行うほか、同賞の贈呈式を実施する。

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 今回第14回目となる岩木賞の受賞業績 として、優秀賞に輝いた「摩擦界面in situ観察・AEセンシング研究によるトライボロジー現象の可視化・診断の基盤構築」長谷亜蘭氏(埼玉工業大学)、特別賞に輝いた「宇宙探査における次世代型サンプルリターン用固体被膜潤滑剤の開発」川邑正広氏(川邑研究所)・松本康司氏(宇宙航空研究開発機構)、事業賞に輝いた「金属箔(長尺フープ状)研磨技術の開発」赤羽優子氏(ティ・ディ・シー)がそれぞれ講演を行う。

 岩木賞受賞記念講演に続いては、「水素含有率の異なるDLCコーティング被膜の非鉄金属に対する耐凝着性の評価」川本秀士氏(ナノコート・ティーエス)、「潤滑状態や潤滑剤の化学構造によって異なる DLC コーティング膜の摩擦特性」吉田健太郎氏(神奈川県立産業技術総合研究所)、「超薄型有機電子素子を利用した集積化デバイスの実現とウェアラブルエレクトロニクス応用」福田憲二郎氏(理化学研究所)の3件の会員講演が行われる。

 講演終了後には、交流会も予定されている。

 スケジュールなど詳細は、トライボコーティング技術研究会HP(http://www.tribocoati.st)で確認できる。

 問い合わせ・申し込みは、以下のとおり。
 E-mail tribo@tribocoati.st

 なお、会員講演以降の司会は、声優の明里 瞳さんが務める。

明里 瞳さん


 

kat 2021年12月20日 (月曜日)
kat

ジェイテクト、熱処理・表面改質技術で新会社を設立

2年 11ヶ月 ago
ジェイテクト、熱処理・表面改質技術で新会社を設立

 ジェイテクトは、子会社の光洋熱処理とヤマト精工を合併し、2022 年4 月1 日付(予定)で、多彩な熱処理・表面改質技術によって顧客の困りごとを解決する新会社「株式会社ジェイテクトサープレット」を設立する。本社所在地は大阪府八尾市。

 社会のニーズが変化する中、ロボット・半導体製造装置の生産量は拡大し、これらの装置に使用される軸受の需要増加が見込まれている。こうした環境変化の中、ジェイテクトでは、産業機械向けの軸受部品を生産するヤマト精工と業界トップクラスの連続光輝熱処理での生産性を誇る光洋熱処理を統合し、新会社を設立。両社が行っている軸受生産の前工程や熱処理技術のシナジーを活かし、熱処理および表面改質での高精度技術を実現し、顧客の困りごとをともに解決することで社会に貢献していく。

 新会社では、旋削・熱処理・研磨の一貫加工においてこれまでジェイテクト軸受事業で培った技術の強みを活かし、技術、品質、コストの競争力を向上させ、ジェイテクトグループ以外への拡販を進めていく。再生可能エネルギーの活用と設備の高効率化などの改善を一体となって進め、CO2排出量削減およびカーボンニュートラルへの貢献も加速させ、社会の発展にも一層寄与していく

 新会社のジェイテクトサープレット(英文名:JTEKT SURPRET Co., Ltd.)は、表面改質のSurface、熱処理のThermo、精密を意味するPrecisionとTechnologyを掛け合わせ、より付加価値の高い技術と製品で社会に貢献することを目指して命名された。

 

合併する子会社2社の概要

 

kat 2021年12月20日 (月曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和3年度第3回研究会を開催

2年 11ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和3年度第3回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整・理化学研究所 主任研究員)は12月10日、東京都江東区青海の東京都立産業技術研究センター(都産技研)で、「令和3年度第3回研究会」を開催した。
 

研究会のようす

 

 当日は、大森会長から第14回岩木賞で埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞した旨の説明がなされたほか、令和3年度 第4回研究会となる来年2月25日開催のトライボシンポジウム 第24回「トライボコーティングの現状と将来」についての告知がなされた。

 続いて、以下のとおり講演が行われた。

・「特殊環境下における超低摩擦化現象に関する研究」川口雅弘氏、齋藤庸賀氏(都産技研)…本講演で説明された「超低摩擦」とは、乾燥摩擦、境界潤滑領域を対象とし、摩擦係数0.01を下回る現象、つまり固体接触が支配的な摺動界面であるにもかかわらず摩擦係数が0.01を下回る現象をさす。DLC膜による超低摩擦研究の動向としてA.Erdemirらの取組み(摩擦係数~0.001)やメカニズムの一例などを紹介。続いて、講演者らのDLC膜による超低摩擦研究テーマである、負加荷重63.7Nで摩擦係数0.001以下という「FFO(Friction Fade Out)現象」について、トライボフィルムの観察と分析による生成メカニズムの解明やFFO現象の発現条件の精査による発現メカニズム解明に向けた取組みを、摺動界面の観察事例をまじえて紹介した。総括として、①摩擦材にDLC膜を使用する必要があり、ZrO2/DLCの摺動やN2+H2雰囲気、エタノール水の導入といった特殊な環境下でFFOが発現すること、②トライボフィルム生成過程とFFO発現過程、③トライボフィルムは導入したエタノールが主原料であること、④FFO発現中においてトライボフィルムが気化している可能性(仮説:FFO発現時の静圧軸受モデル)を確認した。

・「ヘルスケア産業支援の対象となるトライボロジーと計測機器」柚木俊二氏(都産技研)…都産技研が支援に力を入れるヘルスケア(人の健康・管理・増進)としては、体に触れて機能を発揮する化粧品・医薬部外品や健康用・医療用雑貨、医療機器、再生医療等製品が挙げられる。本講演では、褥瘡へのずり応力を滑りシートで低減する試みとして、臀部を模して開発したバイオスキンと創傷被覆材、滑りシート(TASS)を組み合わせて、TASSによる褥瘡内部ずり応力低減効果を評価するためのトライボロジー試験を行った結果を報告。TASSによる褥瘡内部のずり応力低減効果と臨床成績の対比を示した。一方、肌にクリームを塗り込む現象は、塗り始めは指・手のひらと肌との間のずりに対してクリームが示す応力(レオロジー)が、塗り込む際にはレオロジーとトライボロジーが、最後にはクリームの塗膜を介した摩擦力(トライボロジー)が関連すると考えられる。都産技研では、乾燥肌用の保湿クリームを塗りこんだ時のレオロジー・トライボロジー測定を実施。摩擦係数と使用感の比較、粘度と使用感の比較、貯蔵弾性率(G’)と使用感の比較を示した。

 講演終了後は、都産技研 ヘルスケア産業支援室の見学会が行われた。
 

見学会のようす


 

kat 2021年12月13日 (月曜日)
kat

昭和電工、AI活用でアルミ合金の設計条件と機械特性の相関を予測するモデルを開発

2年 11ヶ月 ago
昭和電工、AI活用でアルミ合金の設計条件と機械特性の相関を予測するモデルを開発

 昭和電工( https://www.sdk.co.jp )は、物質・材料研究機構(NIMS)、東京大学と共同で、航空機の機体や工業部品(ねじ、ギヤ、リベットなど)で使われている2000系アルミニウム合金の設計条件と機械特性の相関を高精度で予測するニューラルネットワーク(人間の脳の神経細胞をモデルとした機械学習手法)モデルを開発した。このモデルを活用することで、これまで困難であったアルミニウム合金の高温域での強度保持に最適な組成や熱処理条件の探索を迅速化し、合金の開発に要する時間を1/2から1/3程度に短縮することが可能となる。

 アルミニウムは、鉄に比較して軽く、加工性も良いため幅広い用途で使用されているが、アルミニウム単独では強度が低いため、一般には銅やマグネシウムなどの元素を添加したアルミニウム合金として利用される。アルミニウム合金は、100℃以上の高温保持時に強度が急激に低下するため、用途に応じて、高温下でも強度を維持できる合金の開発が求められている。しかしながら、アルミニウムに添加する元素の種類や合金自体の製造方法など、合金の特性を左右する因子が多く、要求特性を満たすアルミニウム合金の組成決定には、開発者の経験や知見、評価や分析を重ねる必要があり、開発に長い時間がかかっていた。

 こうした課題を解決するため、同社は内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」に参画し、NIMSと東京大学とともに、AIの一種であるニューラルネットワークを活用し、材料開発を加速し、さらにより広範囲での最適な合金設計条件の探索を可能とするシステムの開発を進めてきた。 本開発では、2000系アルミニウム合金を対象とし、日本アルミニウム協会などの公開データベースから収集した同合金の410種類の設計データを用いて、室温から高温にわたる幅広い温度域での強度を高精度で予測するニューラルネットワークモデルを開発した。

 さらに、ニューラルネットワークモデルの構造とパラメータをレプリカ交換モンテカルロ法(コンピュータによってベイズ推定の近似計算を行う手法の一つ)を用いたベイズ推定(ベイズの定理に基づき、観測された事実からその原因事象を統計的に推定する手法)により最適化し、強度予測値の確からしさについても評価することが可能とった。なお、このニューラルネットワークでは、10000個の条件を2秒という速さで計算できるため、多くの設計因子を短時間かつ網羅的に評価できる。

 さらに本開発において、任意の温度において必要な強度値を入力することで、それを満足する合金を得られる確率を最大化する設計条件を提示する「逆問題解析ツール」の開発にも成功し、200℃の高温下でも高い強度を維持できるアルミニウム合金の設計が可能となった。

アルミニウム合金の逆設計

 

admin 2021年12月9日 (木曜日)
admin

表面改質展2021、VACUUM2021、2021洗浄総合展などが開催

2年 11ヶ月 ago
表面改質展2021、VACUUM2021、2021洗浄総合展などが開催

 「表面改質展2021」、「高精度・難加工技術展2021」、「VACUUM2021 真空展」、「2021洗浄総合展」など七つの専門展が12月1日~3日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催、21796名が来場した。主催は表面改質展が日刊工業新聞社、真空展が日本真空工業会と日本真空学会など、洗浄総合展が日本洗浄技能開発協会、日本産業洗浄協議会など。展示会では、ドライコーティングの装置や周辺機器の展示、各社独自開発の被膜による受託加工に関する展示、熱処理・コーティング前後の洗浄技術などが多数見られた。ここでは、本サイトに関連の深い技術・製品を紹介する。

表面改質展2021など展示会のもよう

 IHI Hauzer Techno Coating( https://www.hauzertechnocoating.com )は、PEM(固体高分子型)燃料電池バイポーラプレート向けの導電性、耐食性、密着性に優れたカーボンコーティングを提案した。R&D向けやパイロット生産向けにはバッチ装置を提案。小型バッチ装置「Flexicoat 850」は様々な成膜技術を搭載可能で、プロセスとコーティングの技術開発に適している。最大サイズのバッチ装置「Flexicoat 1500」は、年間最大35万枚(A4サイズ両面コーティングの場合)のバイポーラープレートコーティングが成膜可能でパイロット生産に適している。量産向けではインライン成膜装置「Metalliner®」を用意。二次元・三次元形状の部品へのコーティングを大量生産できる装置として設計され、高度な自動化工場へのインテグレートも容易で、生産能力の増強が必要な場合には、いつでも装置構成を拡張できる。装置構成により年間1000万枚以上のバイポーラプレートの成膜が可能なため、仮にスタック内あたりのバイポーラプレートが500枚と計算した場合でも2万台分を賄うことができることになる。

IHI Hauzer Techno Coating「バイポーラプレートのコーティングサンプル」

 貝印カミソリ( http://kaiindustrial.jp/ )は、高精度で最適な刃先や独自のコーティング技術により、優れた切れ味や耐久性を実現する工業用特殊刃物を紹介した。コーティング技術では、刃先に硬質チタン合金膜をコーティングすることで刃先の耐食性や耐摩耗性を向上、耐久性を飛躍的に高められるほか、使用用途に応じて刃先をナノ単位でコントロールし、最適な切れ味を実現できる。また、刃先に摩擦係数の低いフッ素樹脂をコーティングすることで、切断刃と切断物との間に発生する摩擦抵抗を低減、切断抵抗の低減や糊の付着を抑制できることをアピールした。高精度で安定した品質の刃物を提供するため、電子顕微鏡やレーザ測定器、フェルト切断耐久力試験機、テンシロン型万能試験機、ビッカース・ロックウェル硬度計、表面形状測定機などの多種多様な計測機器を使用して、切れ味や硬度、靭性、寸法精度などの管理を実施しているとした。

貝印カミソリ「工業用特殊刃物の一例」

 新明和工業( https://www.shinmaywa.co.jp/ )は、独自のプラズマ処理によってダイヤモンドコーティングを被覆した工具刃先の先鋭化=切れ味向上が図れる技術を提案した。工具にダイヤモンドコーティングを施すことで耐摩耗性・寿命は良好になるものの刃先が丸くなるため切れ味が低下するという問題がある。これに対し独自開発のダイヤモンドコーティング装置にプラズマ処理装置を援用することで、基材にダメージを与えることなくダイヤモンドコーティング被膜自身を先鋭化、ツールマークが鮮明で良好な切削状態が得られた加工事例を示した。また、グループ企業の韓国真空の手掛ける、高潤滑性・低摩擦係数・化学安定性・離型性・耐腐食性・帯電防止などの特性を持つ大面積DLCコーティングを紹介、二次電池のプレスローラーにDLCを施したサンプルを展示した。

新明和工業「二次電池のプレスローラーにDLCを施したサンプル」

 多摩冶金( http://www.tamayakin.co.jp/ )は、真空熱処理や浸炭・雰囲気処理、窒化処理、アルミ合金熱処理など11の熱処理工程において航空宇宙産業関連の特殊工程管理に関する世界標準認証プログラム「Nadcap」の認証を取得していることをアピールした。同社の真空熱処理は多種多様な鋼種や熱処理について温度測定を行いながら処理が可能。顧客の要求に合わせて熱処理条件を自由に設定することができる。また、窒化処理においては水素センサの窒化ポテンシャル制御システムにより化合物層の制御が可能となっている。また同社は来年、本社近くに新工場が竣工。同じ工場内に機械加工を行う企業を迎え入れることで一貫生産を実現、短納期・低コストでの製品出荷が可能となる。また、周辺の協力会社との提携で研磨、非破壊検査、めっきなどの処理を取りまとめ、同様に生産を効率化している。

多摩冶金のブース

 東京電子( https://www.toel.co.jp/ )は、軟らかく加工がしやすい、導電性、熱伝導性が良好で耐食性が良いという銅の持つ特徴に加え、ベリリウムを0.2%含有させたことで特殊鋼に匹敵する高い強度と優れたバネ性を持つ真空構造材「ベリリウム銅合金」を紹介した。真空構造材として一般的なステンレスに比べ熱伝導率を13倍、熱輻射率を1/7以下とし、低ガス放出、低水素放出、低温化を実現する。同社が参画している半導体の「ミニマルファブ」プロジェクトに対しても、熱伝導率が良く放出ガス、水素放出が極めて少ないベリリウム銅合金でチャンバーを構成することで、放熱効率が向上し冷却機構が簡便になってミニマル装置の限られたスペースに収めることができる上、成膜工程の水素放出の問題を解決できることなどをアピールした。

東京電子「ベリリウム銅合金で構成したチャンバー」

 東ソー( https://www.tosoh.co.jp/ )は、PVDやCVDコーティングなどのドライコーティングの前処理に適した炭化水素系高機能洗浄方法「HC-WSエマルジョン洗浄」を紹介した。水切り剤である「HC-WSシリーズ」に水を加え、超音波等でエマルジョン化させた液中でワークの洗浄を行う。洗浄後は、HC-250もしくはHC-370で容易にリンスをすることができる。炭化水素と水の両方の洗浄作用が兼ね備わっているため、油性から水溶性の汚れまで幅広い汚れを除去できるとともに、乾燥した水溶性加工油や異物等に対しても極めて優れた除去能力を発揮する。また水洗浄と異なり、錆びの心配もない。さらに、液管理が容易なことも特徴の一つだという。同社では、洗浄試験の依頼も受け付けている。

東ソー「HCシリーズ」

 日本アイ・ティ・エフ( https://nippon-itf.co.jp/ )は、PVD法とCVD法を組み合わせたDLCコーティング「ジニアスコートHC」を紹介した。一般的にギヤなどの形状に密着性良くDLCを成膜することは難しいとされるが、同コーティングは高い密着性を実現。その上で耐焼付き性を従来のCVD法によるDLC膜に対して1.6倍、耐摩耗性を2.4倍以上に向上した。この被膜を成膜したピストンピンは大型ディーゼルエンジンに採用され、量産が行われている。今後はエンジン部品だけでなく、焼付きや摩耗がより厳しくなるギヤに対して同コーティングの適用を拡大していく考えだ。

日本アイ・ティ・エフ「ジニアスコートHCのコーティングサンプル」

 ペガサスソフトウェア( http://www.psinc.co.jp/ )は、真空技術、プラズマ技術、薄膜技術、微細加工技術を用いる技術者のための希薄気体/プロセスプラズマシミュレーションソフトウェア「PEGASUS」を披露した。プロセスプラズマ解析では容量結合型プラズマ解析事例やマグネトロンスパッタ解析事例などを、希薄気体解析では熱輻射や熱伝導解析を伴う真空蒸着解析事例などを、表面形状解析ではCFガス/SF6による2ステップボッシュプロセス解析事例などを紹介した。特に表面改質分野では、真空蒸着装置での膜厚分布シミュレーションやPECVD装置での母ガス・荷電粒子・励起種・ラジカル挙動シミュレーション、ホローカソード放電シミュレーション、対向ターゲットマグネトロンスパッタ装置でのプラズマ挙動およびスパッタ粒子挙動シミュレーション、マグネトロンスパッタ装置での三次元プラズマ挙動シミュレーション、プラズマ源イオン注入/表面改質シミュレーションなど幅広い適用を可能としている。

ペガサスソフトウェア「希薄気体/プロセスプラズマシミュレーションソフトウェアPEGASUS」

 ヤマシタワークス( https://www.yamashitaworks.co.jp/ )/日本スピードショアは、異形状ワークを簡単に短時間で鏡面仕上げ加工できる装置「エアロラップ」を展示した。エアロラップは、ゼラチンを主成分とした食品性研磨材を核に、水分「マルチリキッド」を含有することで弾力性・粘着性を持たせダイヤモンド砥粒を複合させた研磨材「マルチコーン」を、被加工材(ワーク)表面を高速で滑走させて発生する摩擦力によって磨くもの。乾式と湿式の中間的な湿潤状態で、相手材にダメージを与えることなく、精密研磨、最終仕上げや鏡面仕上げを可能にしている。今回は、各種金型部品の磨き時間短縮、切削工具の寿命延長、DLCなどドライコーティング成膜の前後処理など、様々な用途で使用が可能で、再生可能なエコ製品で、食品素材をコアに持つ研磨材を用いていることをアピールした。今回はロボットを組み合わせたシステムを披露。ロボットがワークを把持して装置キャビン内の加工部まで搬送し、ワーク全面が加工されるように装置内でワークを回転、加工後は装置外に取り出すという自動化を実現できる。

 レイボルド( https://www.leybold-kk.com/ )は、novatec社製のPVDコーティング前精密洗浄~乾燥までを1チャンバーで実現できる、水系1槽式コンパクト真空洗浄装置を紹介した。1槽式の省スペース設計・低設備投資、真空超音波による高い洗浄性能、細穴や複雑形状の洗浄が可能、真空乾燥のため腐食・水シミの発生がない、標準洗浄サイクルタイム:30~40分、摺動・搬送機構がないため省メンテナンス、簡易な全自動オペレーション、密閉型一体装置なため水蒸気等の排出なし、などのメリットがある。欧州主要PVDコーティングメーカーへの多くの採用実績を持つ。また、ボーラーケミ社製のコーティングはく離剤「デコネックスdecoatシリーズ」を紹介した。超硬工具のTi系被膜やDLC膜など、各種のCVDコーティング・PVDコーティングの除膜・脱膜に有効とした。ブースでは、コーティングはく離の各種サンプルなどが展示された。

レイボルド「コーティングはく離の各種サンプルなど」

 

admin 2021年12月7日 (火曜日)
admin

サーフテクノロジー、独自微粒子投射技術で新型コロナウイルス不活性化を確認

2年 11ヶ月 ago
サーフテクノロジー、独自微粒子投射技術で新型コロナウイルス不活性化を確認

 サーフテクノロジーは、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を施した各種の基材について、ISO 21702に則り抗ウイルス性能評価試験を実施した結果、新型コロナウイルスを不活性化する効果が得られることを確認した。

 同社では、原材料を流すためのホッパーや粉体をふるい液体を濾過するための網、商品を搬送するためのフィルムガイドやネットコンベア、金型や麺帯ローラーなど食品製造設備に共通する異物混入や衛生面での微生物対策、フードロス対策の一つとして、独自の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」を提案している。

 MD処理は基材表面に微細凹凸(マイクロディンプル)を形成することで、食品用粉体の付着抑制や滑り性向上、洗浄性の向上などに効果を発揮。すでに、この微細凹凸によって大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能が付与されることやカビの増殖を抑える効果が付与されることなどが確認されている。

 今回、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)が、研磨加工を施したステンレス基材(SUS304 #700)、同基材にMD処理を施したもの、同基材にFDA認証取得のダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したもの、同基材にMD処理を施した上でMD処理の元の凹凸形状を残すような膜厚(200nm程度)でFDA認証取得のDLCコーティングを施したものの4種を対象に、ISO 21702に則って抗ウイルス性能評価試験を実施した。

 その結果について下図で示しているが、24時間後のウイルス感染価(細胞感染性を持つウイルス粒子の数、pfu/cm2)で比較すると、MD処理を施したステンレス基材表面上のウイルス粒子数が、未処理のステンレス基材表面上のウイルス粒子数に比べて93%減少したことが確認できる。また、MD処理後にDLCコーティングを被覆したものについても抑制傾向が認められているため、MD処理による新型コロナウイルス不活性化の効果は基材によらないものであることが示唆されている。
 

新型コロナウイルスへの効果:縦軸は24時間後のウイルス感染価(細胞感染性を持つウイルス粒子の数)を示し、横軸は左から順番にControl(SUS304 #700)、Control+MD処理、Control+FDA認証DLCコーティング、Control+MD処理+FDA認証DLCコーティングを指す

 

 同社研究開発部 研究員の西谷伴子氏は「“抗ウイルス”という文言を使用するには99%の減少率が必要なので、今回の評価試験結果である減少率93%ではMD処理に抗ウイルス性能があると謳うことはできない。引き続き減少率99%を目指して、研究・開発を進めていきたい」と述べている。

 同社・下平英二社長は、「医学博士で新渡戸文化短期大学名誉学長の中原英臣氏が“金属表面やつり革などプラスチック表面で最大48時間も生存するなど、ウイルスはツルツルした表面を好む”と述べているように、ツルツルした表面よりMD処理のザラザラした表面の方が、抗ウイルス効果など様々な効果が期待できる。MD処理はまた、コーティングでもなく薬剤も使用しない、形状による物理的作用のため、薬剤耐性ウイルスができる心配がない安心・安全の手法だ。引き続き研究を進め、食品分野でのHACCP(危害要因分析重要管理点)による衛生管理に寄与できるMD処理の提案、普及を強力に進めていきたい」と語っている。

kat 2021年11月30日 (火曜日)
kat

JASIS2021開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

2年 11ヶ月 ago
JASIS2021開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は11月8日~10日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2021」を開催した。今年は昨年に引き続き、リアル展示会に加えてWeb展示会「JASIS WebExpo®」(11月8日~2022年3月15日)を強化、会場へ行けなかったときでもJASISの特別企画・出展企業コンテンツの一部を見られるように工夫した。リアル展示会は、270社・機関、872小間の出展と「新技術説明会」、「JASISトピックスセミナー」の講演が多数催された。リアル展示会への来場者は8490名(昨年7299名)、新技術説明会の聴講者数は4813名(同5869名)だった。

JASIS2021開催のもよう

 ここでは、リアル展示会における表面試験・評価・分析に関連する主な製品・技術展示について紹介する。

 大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )では、最上位のゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」​を展示した。①濃度範囲が0.00001%(0.1ppm)の希薄溶液から40%までの濃厚溶液に対応した粒子径・ゼータ電位測定が可能、②平板セルユニットの改良:新開発した高塩濃度対応コーティングにより、高塩濃度環境下(154mM NaCl溶液:生理食塩水)での測定が可能となり、実際の環境下での生体適合性材料の評価を実現、③前方・側方・後方の3角度で測定・解析をすることで、分離しやすくなり正確な粒子径分布を提供できる、④ゲルの複数箇所にセルを動かしてゲル試料の散乱強度と拡散係数を複数点測定することで、ゲルの網目構造や不均一性の解析が可能、⑤静的光散乱法の活用により、溶液中の粒子濃度(particles/mL)を算出できる、⑥動的光散乱法の活用により、ポリマーやタンパク質などのやわらかい構造体の粘弾性を測定(マイクロレオロジー測定)が可能、などの特徴をアピールした。

大塚電子「ELSZneo」 ​

 協和界面科学( https://www.face-kyowa.co.jp/ )は、主力の接触角計を紹介したほか、自動摩擦摩耗解析装置「TSf-503」を展示した。同装置は不要な力を検出せず、正確な摩擦の波形取得を実現した。標準繰返し測定は最大12回まで往復運動をして静・動摩擦係数測定を行う。また同装置は、往復測定か往路のみの測定かを選択でき、往路測定の場合は天秤を自動でピックアップし原点位置まで復帰する。連続静摩擦測定では、設定した移動速度、距離、回数で連続測定を実施する。さらに、4種類の荷重(100g~1000g)で静・動摩擦係数を測定し、荷重による影響を比較することもできる。また、新しい話題としては横型引張試験機の新オプションとなる高速画像取込システムと標準ステージ全高寸法を超える試料に対応した調整機構付ロードセルの紹介を行った。

協和界面科学「TSf-503」

 新東科学( http://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機「トライボギアTYPE:40」の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学「トライボギアTYPE:40」

 東陽テクニカ( https://www.toyo.co.jp/microscopy/ )は、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させる分解能3nNのInForce50型超高分解能押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマテリアルの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験(連続剛性測定法:CSR)による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の三次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価装置であることをアピールした。自動圧子形状補正機能を装備。ISO14577 Part 1に準拠している。

東陽テクニカ「iNano」

 日本サーマル・コンサルティング( https://therm-info.com/ )は、ナノビア社製のポータブルの3Dプロファイルメーター(ノンコンタクト方式三次元寸法・形状測定システム)「Jr25」を展示した。3Dプロファイルメーターはナノスケールからマクロスケールに至る広範囲領域の寸法計測、表面粗さ(平滑性)、形状、平面そり性、体積、厚さ計測等を短時間で正確に測定するシステム。多種のオプティカルレンズが用意されており、試料や測定範囲によりレンズを交換するだけで容易に多種類の測定が可能になる。フリーサンプルサイズで、高精度オプティカルペンを搭載。

日本サーマル・コンサルティング「Jr25」

 日本電子( https://www.jeol.co.jp/ )は、ショットキー電界放出形電子顕微鏡「JSM-IT800」に追加した、半導体デバイスの観察を得意とする「セミインレンズバージョン (i)/(is)」を紹介した。セミインレンズは、対物レンズ下部に形成される強い磁場レンズにより、電子線を集束し、超高分解能を実現するほか、試料から発生する低エネルギー二次電子を効率よく収集し、その電子を上方インレンズ検出器(UID)で検出。これにより、半導体デバイスの不良解析で必要な、傾斜した試料や断面試料の高分解能観察や分析を行えるほか、電位コントラスト観察においても威力を発揮する。また、対物レンズ上方には上方電子検出器 (UED)を搭載、反射電子像の取得や試料バイアスを併用しての二次電子像の取得が強み。試料から放出された電子は対物レンズ内部のUID filterにより選別され、UED検出器・UID検出器により、複数の情報を1スキャンで取得できる。

日本電子「JSM-IT800」

 パーク・システムズ・ジャパン( https://www.parksystems.co.jp/ )は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。スキャン制度と再現性の向上、真のノンコンタクトモードによる長いチップ寿命、正確で用途が広く、かつユーザーフレンドリーの設計と言ったコアテクノロジーを継承・発展。さらに、機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

​ パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 フィルメトリクス( https://www.filmetricsinc.jp/ )は、世界中で5000台以上の導入実績を誇る非接触分光膜厚測定システム「F20」の実機を展示した。同品は、反射率分光法ををもとに透明もしくは半透明の膜厚・屈折率・消衰係数を1秒程度で簡単に測定できる。機種により異なるが膜厚測定範囲は1nm~250μmとワイドレンジに対応。マルチポイントでのインライン測定にも対応し、外部通信にも対応しているため、PLCやホストコンピューターからの制御も可能となっている。反射防止膜や硬質膜などの光学コーティングやCIGSやアモルファスシリコンなどの薄膜太陽電池、酸化膜や窒化膜などの半導体用途などにおいて豊富な実績があるという。

フィルメトリクス「F20シリーズ」

 ブルカージャパン ナノ表面計測事業部( https://www.bruker-nano.jp/ )は、多機能トライボロジー評価機「UMT TriboLab」を展示した。同試験機はモジュール交換型を採用し、あらゆる速度とトルクに対応。ボールオンディスクなどの回転試験や往復摺動試験、ブロックオンリング試験など45種類以上の規格試験が可能となっている。特許技術の2軸センサーによって荷重・摩擦力をリアルタイムに検出。ノイズレベルがセンサーの荷重範囲の0.02 %と非常に小さいことにより、高分解能な測定を可能とし、荷重レンジに応じて適切なフリクションロードセンサーを選択することで1mN~2000Nの試験荷重を実現できる。加熱は潤滑環境下で400℃、ドライ環境下で1000℃、湿度が5~85%RHに設定できるなど、様々な環境制御が行える。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部「UMT TriboLab」

 堀場製作所( https://www.horiba.com/jpn/ )は、同社のラマン分光装置(ラマン)と島津製作所の高速液体クロマトグラフ(LC)とを融合させた計測機器「LC-Ramanシステム」を披露した。LCは混合試料から計測対象を抽出する「分ける」技術に優れ、対象成分の正確な定量に強みがあり、一方、ラマンは分子構造の違いを判別する「見える」技術に優れ、未知成分の推定に強みがある。両社が強みを持つ二つの技術を高い次元で結合することで、①「くっきり」判別:混合試料の構成成分を明確化②「すっきり」整理/「かんたん」操作:データの一元管理と直感的な操作、③多種多様な計測アプリケーションの展開、などの特徴を有している。

堀場製作所「LC-Ramanシステム」

 リガク( https://japan.rigaku.com/ )は、広角X線散乱測定装置「NANOPIX-WE」を紹介した。NANOPIX-WEは、散乱角2θが3~65°のWAXS測定に最適化されているほか、高強度X線により静的測定だけでなく、温度や外場が制御されたその場環境(in-Situ)での測定や光則寺分割測定が可能。透過二次元広角専用X線散乱測定機であるNANOPIX-WEを用いたin-Situ測定による高分子フィルムの構造評価を提案。高分子フィルム(PETシート)を高速時分割二次元XRDと加熱・延伸ステージを組み合わせて構造を評価。NANOPIX-WEを使用して透過二次元の高速時分割測定(露光時間:1s)を実現した事例を紹介した。

リガク「NANOPIX-WE」

 

admin 2021年11月30日 (火曜日)
admin

日本表面真空学会、第22回真空に関する国際会議(IVC-22)札幌への協賛募集を開始

2年 11ヶ月 ago
日本表面真空学会、第22回真空に関する国際会議(IVC-22)札幌への協賛募集を開始

 日本表面真空学会(JVSS)は日本学術会議と共催で2022年9月11日~16日の6日間、札幌市の札幌コンベンションセンターで「第22回真空に関する国際会議(The 22nd International Vacuum Congress:IVC-22)」(URL:https://ivc22.org/、実行委員会Chair:東京大学・福谷克之氏)を開催する。 

IVC-22の会場となる札幌コンベンションセンター

 「Focus Topics」、「Vacuum Vision 2030」、「Division Topics」、「Plenary Session」、企業展示会など魅力的なコンテンツを設ける本会議では、スポンサー企業を募集。協賛企業を参加者に向けアピールするプログラムを多数用意している。

 また、併催で「第18回国際固体表面会議(The 18th International Conference on Solid Surfaces:ICSS-18)」、「ナノ科学と工学に関する国際会議2022(The International Conference on Nanoscience+Technology:ICN+T 2022)」、「第11回真空・表面科学アジア・オーストラリア会議(The 11th Vacuum and Surface Sciences Conference of Asia and Australia:VASSCAA-11)」、「スパッタリングおよびプラズマプロセス国際シンポジウム(International Symposium on Sputtering Plasma Processes:ISSP)」、「走査型プローブ顕微鏡に関する国際コロキュウム(The International Colloquium on Scanning Probe Microscopy:ICSPM)」、「日本表面真空学会学術講演会(The Annual Meeting of JVSS)」が開かれる。

 ここでは、IVC-22 Exhibition Committee Chairの東京電子・黒岩雅英氏に本会議の概要とトピックス、本会議の盛況な活動を支援するためのスポンサーシップパッケージなどについて話を聞いた。

IVCの概要

 本会議IVCは、真空に関する科学・技術の応用の国際連合(International Union for Vacuum Science, Techniques and Applications:IUVSTA)からの委託により、真空関係で世界最大の国際会議として1958 年の第1回以降、 3 年ごとに主催国を変更して開催されている。

 毎回2000人規模の参加があり、IVC-22でも1500人(うち国外:500人)程度の参加と80~100社(海外企業含)の企業展示を予定している。

 日本では過去に京都(1974年)、横浜(1995年)で開催され、次回札幌が3回目の開催と、米国開催(全4回)に次いで多く、日本は真空に関する科学・技術の主要な国として位置づけられている。

 次回IVC-22は、「Focus Topics」、「Vacuum Vision 2030」、「Division Topics」で構成。さらに、ニコン会長・牛田一雄氏など国内外の著名な6人の講演者による「Plenary Session」が設けられている。Oral SessionとPoster Sessionとを合わせて1000件の発表が予定され、活発な議論が見込まれている。

Focus Topics

 Focus Topicsでは以下のとおり、複数の研究ディビジョンに関わるタイムリーな話題が提供される。

・Engineering Biology and Medicine

・Data-driven materials science and process informatics 

・Advanced light spectroscopy)

・Nano-optics

・Low-dimensional Quantum Materials

・Non-Evaporable Getter Coating

・Science and Technologies for SDGs

Division Topics

 また、Division Topicsでは、以下のとおり13の研究ディビジョンに関わるトピックスが提供される。

・Applied Surface Science

・Biointerfaces

・Electronic Materials and Processing

・Nanometer Structures

・Plasma Science and Technologies

・Surface Engineering

・Surface Science

・Thin Film

・Vacuum Science and Technology

・Scanning Probe Microscopy

・ISSP / Surface Engineering

・JVSS Annual Meeting

 

Vacuum Vision 2030

 さらにVacuum Vision 2030では、デジタルトランスフォーメーションとグリーントランスフォーメーションで重要な役割を果たす半導体技術の変革を支える、真空コンポーネントの2030年半導体ロードマップに向けた将来課題などについて、半導体産業に関わるエキスパートが講演する。ここではソニーのほか半導体露光装置メーカー、半導体ファウンドリー、真空ポンプメーカーなどの招待講演と、一般講演の全10講演が予定されている。

 

会議の充実化を支える協賛の募集

 こうした魅力的なコンテンツが用意されたIVC-22のさらなる充実化を図るべく、本会議のExhibition Committeeではスポンサーシップパッケージおよび一般展示への協賛を募集している。

 スポンサーシップパッケージはPlatinum、Gold、Silverのランクを設け、多くの特典を用意している。たとえばPlatinumスポンサーの特典をみると、会期前には公式ホームページ、Web 抄録アプリ、抄録広告掲載が提供され、会期当日にはロゴ掲載としてネームストラップや案内看板、マスクケース、コーヒーブレイク用紙コップ、スポンサーボード(フォトスペース)が、広告としては幕間・CM広告、デジタルサイネージ広告、その他特典として5名の参加招待、展示出展料の割引、商談ルーム使用権などが提供される。

 また、スポンサーシップパッケージとは別に、展示ブースへの出展も募集している。基礎小間は250000円/1小間。

 IVC-22 Exhibition Committee Chairの東京電子・黒岩雅英氏は、「このコロナ禍にあって、本会議の開催を巡っては延期や中止など慎重な議論が様々になされ二転三転四転したが、ようやく開催が決まった。日本での開催は米国開催に次ぐ三度目という開催数となるが、これは、日本が真空関連の科学・技術分野で高いプレゼンスを示していることの裏付けだと思う。真空に関する科学・技術は、半導体をはじめとする産業に必要不可欠なもので、本会議でも真空工学、表面・ナノ科学・分析、薄膜・スパッタ、半導体材料、バイオなど広汎な分野をカバーしている。国内、アジア、欧米諸国の研究者・技術者と交流しつつ、日本の高いプレゼンスを維持しさらに日本の真空工学研究を発展させるための絶好の機会とできるよう、スポンサーシップパッケージ、展示ブースへの出展といった、IVC-22の盛況な開催を支える協賛への協力を是非ともお願いしたい」と述べている。
 

スポンサーシップパッケージの概要

 

前回スウェーデン大会(IVC-21)の展示会の様子

 

<申込み・問い合わせ>

IVC-22 運営事務局
〒060-0002 札幌市中央区北二条西4-1 北海道ビル
株式会社コンベンションリンケージ内
TEL:011-272-2151 FAX:011-272-2152
E-mail:ivc2022@c-linkage.co.jp
URL:https://ivc22.org/

kat 2021年11月30日 (火曜日)
kat

日本機械工具工業会、「令和3年度日本機械工具工業会賞」発表

3年 ago
日本機械工具工業会、「令和3年度日本機械工具工業会賞」発表

 日本機械工具工業会( http://www.jta-tool.jp )はこのほど、「令和3年度日本機械工具工業会賞」の受賞者を発表した。業界功労賞で八馬厚雄氏(酒井精工 会長)、田中啓一氏(日立ツール・現MOLDINO 元代表取締役社長)の2名が受賞したほか、技術功績大賞1件、技術功績賞3件、技術奨励賞4件、環境賞5件(環境大賞1件、環境賞1件、環境特別賞3件)が選定された。

業界功労省

■八馬厚雄氏(酒井精工 会長)

【功績の内容】

 八馬氏は、昭和42年5月、日本工具工業会ねじ切り工具専門委員会委員に就任した。以来、現在に至るまでねじ切り工具専門委員会のメンバーとして殆どの委員会に出席し、ねじ切り工具専門委員会メンバーの模範となる大きな存在である。会社においてはタップの発明・考案により数々の特許・実用新案を取得し、独自の製品で国内だけでなく海外にも販路を拡大した。(昭和63年(1988年)12月発明功績賞受賞(大阪府))また、会員代表として平成元年に理事として就任し、現在まで工業会に長きにわたり貴重な意見を発信している。平成18年(2006年)には、永年の会社および工業会の発展への貢献により黄綬褒章を受章した。同工業会では、「今回の『業界功労賞』受賞後も、専門委員会を支援して頂き、会社の繁栄と工業会の発展に益々ご尽力を頂きたい」としている。

■田中啓一氏(日立ツール・現MOLDINO 元代表取締役社長)

【功績の内容】

 田中氏は、平成22年6月、旧超硬工具協会副理事長、翌年、理事長に就任した。副理事長時代からリーマンショック後の国内市場の縮小、高齢化問題、世界と比較した教育レベルの低下、国内産業の空洞化等の問題を提起した。理事長時代は(1)主要原料であるタングステン、コバルト等価格および需給動向の早期情報入手(2)超硬工具スクラップのリサイクル促進(3)世界切削工具会議(WCTC)2013日本開催に向けた準備に注力した。また、協会始まって以来の大きな懸案となった『コバルトの特別化学物質指定』に関しては、環境委員会メンバーとともに関係諸官庁と度重なる交渉に参加し、紆余曲折はありながらも、最終的には超硬工具ユーザーは規制の対象外という協会の要望がほぼとおる結果に至った。一方、アジア圏で初開催となった2013年世界切削工具会議(WCTC2013)京都会合では、両団体により設立された日本切削工具協会(JCTA)の理事長として、成功裡に導くなど工具業界の振興発展に尽力した。

技術功績大賞 新世代コーティング「Absotech®X」の開発

■奥野 晋氏、小林史佳氏、中山裕博氏(住友電工ハードメタル)

【新規性】

 CVD法を用い、nmオーダーでの組織制御を行うことで、従来技術では実現することが不可能であった、平均含有比率80%以上という非常に高いAl含有量のAlTiNを高硬度のf㏄構造を100%維持したままコーティングする技術を世界で初めて確立した。同技術を切削工具へ適用することで、従来のCVD材種の耐摩性と従来PVD材種の耐欠損性を兼備する、高Al含有純立方晶ナノ積層CVD-AlTiNコーティングの量産を実現した。

技術功績賞 非鉄用底刃付きスレッドミルの開発

■依田智紀氏(オーエスジー)

【新規性】

 ①スレッドミルは側面切削のため、めねじ口元と奥で径差が大きくなる問題点があった。側面からの応力の影響が出にくいよう、スラスト荷重が強くなるような底刃形状に工夫した(イメージとしては突っ張り棒とおなじ)ことに新規性がある。②高能率を狙いスクイを強くし、刃数を増やすと、切りくずがつまるという問題点があった。底刃をネガにして切りくずを細かくし、2溝にすることで切りくず排出性も向上させる工夫をした。

高剛性突切り工具「TungFeed-Blade」の開発

■宮澤駿輔氏、谷口雅弥氏(タンガロイ)

【新規性】

 本製品は、ツールブロックがブレードと主分力方向で当接する機構を有し、ブレードのたわみを抑制する高剛性な構造である点に新規性がある。工具高さを従来比最大2倍に向上させたブレードは、3ポケット仕様で経済性にも優れる。ツールブロックは、旋盤タレットと広い接触面積で拘束され、高能率加工にも耐えうる。ツールブロックにサイドスラストピンを設置することにより、ブレードの位置決め精度を向上と同時に、操作性も向上させた。

鋼旋削加工用CVD材種「MC6115」の開発

■佐藤賢一氏、真田智啓氏、佐藤敏博氏(三菱マテリアル)

【新規性】

 切削工具用の硬質皮膜として同社を含めAl2O3が使われていたが、結晶配向において同社従来品の10倍以上の値を示す新しいAl2O3結晶配向制御技術の適用により高速切削加工で優れた耐摩耗性を発揮することができる。さらに、積層皮膜の層間付着強度を向上させる新結合層と皮膜内の引張応力の緩和技術の適用により切削時の高い刃先安定性を実現した。

技術奨励賞                    ハード加工用スカイビングカッタの開発

■山﨑 格氏、佐藤嗣紀氏、西野達也氏(不二越)

【新規性】

 熱処理後の高硬度歯車の仕上げ加工において超硬スカイビングカッタを採用するが、工具の欠け、摩耗により短寿命という問題点があった。これに対し、ハードスカイビング加工に特化した、形状、コーティング、材料を採用することによって、安定した工具寿命を達成することを実現したことに新規性がある。

 

両面インサート式汎用肩削りカッタWWXの開発

■神原正史氏(三菱マテリアル)

【新規性】

 インサート式ミーリング工具はワークと刃先の干渉を防ぐため、切れ刃を工具外側に傾ける(2番逃げ)必要性があるが、両面インサート式の場合、分厚いため大きく傾ける必要がある。結果、切れ刃は工具外側に向き、切りくずもその方向へ生成・排出されやすい。特に壁面加工ではワーク壁面方向に切りくずが排出されることになるため、ホルダとワークとの間に噛み込み、インサート欠損やワーク壁面に傷がつくなどの課題がある。これら課題に対し、インサートブレーカで切りくずを工具内向き方向へ強制的に折り曲げ、噛み込みを防ぐ既存技術は存在するが、切削抵抗は高くなりやすく汎用的に使用することは困難であった。そこで同社では、独自の切れ刃凸形状とねじれすくい面形状を開発し、切りくずを強制的に折り曲げずに工具内側方向へ低抵抗かつスムーズに生成・排出し、噛み込みを抑制する新技術を確立した。

立壁/底面仕上げ用8枚刃エンドミルの開発

■田牧賢史朗氏、 一木順二氏、田中寛明氏(MOLDINO)

【新規性】

 従来ロング刃長エンドミルでの立壁仕上げ加工は、刃長が長いため同時接触刃が増え、切削抵抗とその変動が大きく、壁面の倒れを抑制することは困難であった。そのため、高精度に加工するためには再加工を繰り返さなければならず、目標精度を確保するための修正工数増加に課題があった。そこで同時接触刃を考慮した外周刃設計(外周ねじれ角38°、刃数8枚刃、ap0.5D、刃長1D)を採用することで、切削抵抗の変動を最小化し、ロング刃長エンドミルに対して加工能率を損なわずに、再加工なしで高精度な立壁仕上げ加工を実現できるところに新規性がある。さらにコーナR刃の刃付け方法を工夫することで、底刃とコーナR刃のつなぎ目をシームレス化し、従来底面仕上げ加工時に課題であった不均一なカッターマークや白濁化を抑制することができ、高品位な底面仕上げ加工も可能となる。

超硬合金高能率加工用エンドミルの開発

■齋藤拓信氏、渡邉昌英氏(ユニオンツール)

【新規性】

 超硬合金加工用エンドミルとして同社従来品の「UDC-Fシリーズ」があるが、工具寿命と加工能率には改善の余地があった。被削材が超硬合金であることから加工能率の向上は困難と思われていたが、今回の開発品である「UDC-Hシリーズ」では高能率加工に耐えうる新しい刃先処理と、耐摩耗性を強化した改良型ダイヤモンド皮膜を採用することで工具寿命と加工能率を両立して向上させたことに新規性がある。

環境賞

【環境大賞】

■京セラ

 140点満点中120.7点、新型コロナウィルス感染の拡大によって世界経済が大きく低迷し、各社得点が伸び悩む中、得点率86.2%と極めて高い評価結果だった。環境マネジメントシステムに基づく高レベルの組織的な仕組みが構築されており、地球温暖化防止、廃棄物削減等、環境活動に積極的に取組まれ、改善の推進力も高いと判断された。これらの環境活動は、他社の規範となり、2021年度環境大賞にふさわしいと判断された。

【環境賞】

■MMCリョウテック

 同社は2021年度に同協会に入会したが、140点満点中106点と高い評価結果だった。これまでの環境を考慮した継続的な活動や それを維持する仕組みづくりなどの結果が反映され、得点率76.0%という高評価だった。特に地球温暖化防止に対する評価が高く、他社の模範となり賞賛に値すると判断された。

【環境特別賞】

■東陽

■日本特殊陶業株式会社

■ユニオンツール

 総合評価では環境大賞、環境賞の2社に及ばないものの継続して環境調査指標が向上しており、賞賛に値すると判断された。二酸化炭素排出量が生産高原単位で2018年度以降3年連続大きく減少している、総廃棄物量が5年連続減少している、埋め立て処分量が極めて少なく、再資源化率もほぼ100%を継続しているなど、これらは他社の模範になるものであると判断された。

admin 2021年11月22日 (月曜日)
admin

Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

3年 ago
Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

 Optimol Instruments Prüftechnik社は、振動摩擦摩耗試験機(SRV)の入門機として、ETS(Easy Tribology Screener)をリリースした。日本総代理店であるパーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)ではすでにETSを川崎事業所内に導入・設置し、デモ試験を始めている。

パーカー熱処理工業・川崎事業所内に設置されたETS(Easy Tribology Screener)

 ETS は、摩擦摩耗試験機市場のマーケットリーダーであるOptimol社が開発・製造した、トライボロジー分析のための理想的な入門機。最大300Nの荷重に対応、コーティングや潤滑剤、添加剤、基材等の分野におけるニーズを満たしている。卓上タイプのETSはまた、試験中の潤滑剤の状態観察や予防保全用途にも最適な機器となっている。

 ETSはトレーニングがほとんど必要なく、簡単かつ直感的に操作できるため、納入初日から高品質な試験結果が得られるほか、ETS を使用した摩擦摩耗試験の費用対効果が高くなる。

 測定可能なパラメータならびに値は、以下のとおり。
・摩擦係数:0.001~0.5
・荷重:0.3~300N
・ストローク:0.01~3.00mm
・周波数:10~70 Hz
・ブロック温度:室温~200℃
・オンライン摩耗測定

 試験形態は、以下のとおり。
・点接触(ボールφ4mm・6mm・10mm)
・線接触(縦型φ6×8mm)

 試験原理は、以下のとおり。
・運動パターン:正弦波の並進オシレーション
・下部試験片は摺動する台座に設置
・周波数、ストローク、荷重、温度、試験時間等のパラメータの設定
・下部試験片の摺動による横方向の摩擦力をオンラインで測定並びに記録
・オンライン摩耗測定

 摩擦ならびに潤滑形態は、以下のとおり。
・境界摩擦
・混合摩擦
・弾性流体潤滑
・オイルバス式を含む飛沫潤滑

 摩耗条件は、以下のとおり。
・ アブレシブ摩耗
・フレッチング

 ETS導入のメリットとしては、以下が挙げられる。
・予防保全部門における潤滑剤の現場での状態観察に適している
・摩擦摩耗、コーティング、潤滑剤、添加剤、基材のトライボロジー性能を明確にする基本的なパラメータに関する高品質な測定結果
・品質向上並びに製品開発の最適化
・比較可能な結果により、実際の挙動の可能性について決定する際の信頼性を確立
・製品開発の順位付けに適した摩擦摩耗に関するデータを測定可能
・300N以下での自動車用および工業用潤滑油の摩擦摩耗のスクリーニング試験
・コーティングの摩擦摩耗性能
・代替燃料を使用した燃料噴射ノズルの基材評価試験
・容易な操作性とスピーディーな試験開始により、試験のコストパフォーマンスを向上
・高い処理能力により、試験結果を即座に入手可能
・中小企業のニーズに合わせたトライボロジーに関するノウハウの活用
・移送ならびに設置場所変更が容易
・幅広いトライボロジー試験材料

二つの異なる材質(100Cr6(SUJ2相当)ならびに超硬合金)のボールに対する
DLC膜の摩擦係数の測定例

 

admin 2021年11月19日 (金曜日)
admin

11/15に第3回ブロードバンド加工技術セミナーが開催

3年 ago
11/15に第3回ブロードバンド加工技術セミナーが開催

 「第3回ブロードバンド加工技術セミナー」が11月15日に開催された。

 九州大学大学院 黒河研究室と理化学研究所 大森素形材工学研究室ではこれまで、機械分野から光学応用、新素材やエネルギー分野にまで及ぶ広範な先進デバイス開発に寄与させるべく、ナノからピコプレシジョン領域を目指す新しい加工技術の共同研究を進めてきた。本研究の進展によって、ブロードな表面精度要求に対し、一連のプロセス精度をシームレスにつないで、狙いの素材に対して狙いの精度を最も効率よく得るブロードバンド加工技術の確立と展開が期待されている。

 こうした背景から、研究の加速とともに産業界のものづくりニーズへの波及を図るべく、2018年11月19日に「第1回:ブロードバンド加工技術セミナー」が、2019年12月11日には「第2回ブロードバンド加工技術セミナー」が開催されるに至っており、さらに今回、上述のコンセプトに基づき、超精密切削、研削、研磨に関わる最新の話題を集め、本年11月15日に第3回目のブロードバンド加工技術セミナーが以下のとおり開催されたもの。

環境制御とプラズマ技術を融合した未来の精密研磨テクノロジー

 当日はまず、九州大学名誉教授でDOI Laboratory代表取締役の土肥俊郎氏が、環境制御とプラズマ技術を融合した未来の精密研磨テクノロジーについて話題提供を行った。
環境制御型研磨加工はBell-Jarと呼ばれる加工環境を制御できる密閉型容器を応用したもので、内部の温度、気体や光反応などを制御することで、化合物半導体や難削材の高効率な研磨が実現できるものである。今回、さらにプラズマ技術を融合させることによって、画期的な研磨特性を実現できる未来の研磨テクノロジーについて総括的に解説がなされた。

土肥俊郎氏の講演資料より

 

ELID研削法とそれを応用した微細加工技術 イオンショット法とナノカーボン粒子を援用した切削法を応用した超加工テクノロジー

 続いて、理化学研究所 大森素形材工学研究室 主任研究員の大森 整氏が、独自の発明技術であるELID研削法とそれを応用した微細加工技術、さらに独自のイオンショット法とナノカーボン粒子を援用した切削法を応用した超加工テクノロジーについて、総括的な話題提供を行った。

 ELID研削法は、同氏が大学院修士課程在学中に発明して以来、産業界に広く普及しているが、近年、その標準化へ向かう動きや、新しい応用分野、デバイス開発に関するトピックスが提供された。

 微細加工技術については、最新のデスクトップナノ加工システムとその応用事例についての解説がなされた。

 最後にイオンショット法とナノカーボン援用切削による、望遠鏡用レンズ開発の事例と経過について、ホットな話題提供がなされた。特にナノカーボン援用技術に関しては、切削工具寿命を延ばし切削現象を良好に制御できるトライボファブリケーション技術の一つとして、今後の進展が期待されるものである。

大森 整氏の講演資料より

 

電気防錆法によるグリーンマニュファクチャリング

 最後に、岩手大学助教、理化学研究所客員研究員である西川尚宏氏が、SDGsに配慮した電気防錆法によるグリーンマニュファクチャリングについて解説した。

 電気防錆法は同氏の発案に基づく独自手法であり、加工液として水道水などをそのまま使用しても工作物や工作機械に錆の発生などの影響をきたさない未来のグリーンテクノロジーの一つで、研削加工、切削加工を問わず適用ができる基本技術である。

 また、本技術に関連して、加工液のクリーン循環システムの構築、工作物の防錆保管方法などの研究についても紹介がなされた。

西川尚宏氏の講演資料より

 

 本セミナーは、オンラインで開催されたが、講師と参加者間での質疑応答やディスカッション、当該技術分野に関する活発な情報交換が行われた。

kat 2021年11月17日 (水曜日)
kat

Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

3年 ago
Optimol社、振動摩擦摩耗試験機の入門機をリリース

 Optimol Instruments Prüftechnik社は、振動摩擦摩耗試験機(SRV)の入門機として、ETS(Easy Tribology Screener)をリリースした。日本総代理店であるパーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)ではすでにETSを川崎事業所内に導入・設置し、デモ試験を始めている。

パーカー熱処理工業・川崎事業所内に設置されたETS(Easy Tribology Screener)

 

 ETS は、摩擦摩耗試験機市場のマーケットリーダーであるOptimol社が開発・製造した、トライボロジー分析のための理想的な入門機。最大300Nの荷重に対応、コーティングや潤滑剤、添加剤、基材等の分野におけるニーズを満たしている。卓上タイプのETSはまた、試験中の潤滑剤の状態観察や予防保全用途にも最適な機器となっている。

 ETSはトレーニングがほとんど必要なく、簡単かつ直感的に操作できるため、納入初日から高品質な試験結果が得られるほか、ETS を使用した摩擦摩耗試験の費用対効果が高くなる。

 測定可能なパラメータならびに値は、以下のとおり。
・摩擦係数:0.001~0.5
・荷重:0.3~300N
・ストローク:0.01~3.00mm
・周波数:10~70 Hz
・ブロック温度:室温~200℃
・オンライン摩耗測定

 試験形態は、以下のとおり。
・点接触(ボールφ4mm・6mm・10mm)
・線接触(縦型φ6×8mm)

 試験原理は、以下のとおり。
・運動パターン:正弦波の並進オシレーション
・下部試験片は摺動する台座に設置
・周波数、ストローク、荷重、温度、試験時間等のパラメータの設定
・下部試験片の摺動による横方向の摩擦力をオンラインで測定並びに記録
・オンライン摩耗測定

 摩擦ならびに潤滑形態は、以下のとおり。
・境界摩擦
・混合摩擦
・弾性流体潤滑
・オイルバス式を含む飛沫潤滑

 摩耗条件は、以下のとおり。
・ アブレシブ摩耗
・フレッチング

 ETS導入のメリットとしては、以下が挙げられる。
・予防保全部門における潤滑剤の現場での状態観察に適している
・摩擦摩耗、コーティング、潤滑剤、添加剤、基材のトライボロジー性能を明確にする基本的なパラメータに関する高品質な測定結果
・品質向上並びに製品開発の最適化
・比較可能な結果により、実際の挙動の可能性について決定する際の信頼性を確立
・製品開発の順位付けに適した摩擦摩耗に関するデータを測定可能
・300N以下での自動車用および工業用潤滑油の摩擦摩耗のスクリーニング試験
・コーティングの摩擦摩耗性能
・代替燃料を使用した燃料噴射ノズルの基材評価試験
・容易な操作性とスピーディーな試験開始により、試験のコストパフォーマンスを向上
・高い処理能力により、試験結果を即座に入手可能
・中小企業のニーズに合わせたトライボロジーに関するノウハウの活用
・移送ならびに設置場所変更が容易
・幅広いトライボロジー試験材料

 

二つの異なる材質(100Cr6(SUJ2相当)ならびに超硬合金)のボールに対する
DLC膜の摩擦係数の測定例


 

kat 2021年11月17日 (水曜日)
kat

大塚電子、DLCをテーマにWebセミナーを開催

3年 ago
大塚電子、DLCをテーマにWebセミナーを開催

 大塚電子は10月19日、Webセミナー【膜厚測定 特別セミナー】を開催した。

 当日は、トライボロジー表面改質、固体潤滑被膜の研究の第一人者である名古屋大学教授・梅原徳次氏が、「反射分光膜厚計による無潤滑下及び潤滑油下の摩擦界面その場観察による摩擦メカニズムのその場解析」と題して講演を行った。

 透明なサファイアガラスと固体表面の無潤滑下および潤滑油下での摩擦界面を大塚電子製の反射分光膜厚計「OPTM」で観察し、窒素雰囲気下におけるCNx膜の構造変化層の厚さと物性の摩擦係数に及ぼす影響が明らかになり、薄膜の固体潤滑理論で摩擦係数の推定が可能であることが明らかになった。また、潤滑油下においても極表面の油の分極率と摩擦の関係が明らかになった。さらに、不均一な油の油潤滑における潤滑油層の濃度分布が明らかになっている。

 講演では、①反射分光膜厚計を用いた摩擦界面その場分析法の有効性、②窒素含有DLC膜(CNx膜)の窒素雰囲気下超低摩擦機構の解明、③ベース油中CNx膜の摩擦メカニズムの解明、④二液分離油による摩擦における摩擦メカニズムの解明について、発表がなされた。

 また、大塚電子・後藤秀平氏より、同社の光干渉法と高精度分光光度計により、非接触・非破壊かつ高速、精度で膜厚測定を可能にした同社の反射分光膜厚計「OPTMシリーズ」についての紹介がなされた。工具・ギヤ・シャフトなど三次元形状に被覆されたDLCの厚み測定例や、膜厚・膜質の解析例などが示された。

OPTMシリーズ

 

kat 2021年11月15日 (月曜日)
kat

山陽特殊製鋼、熱処理の省力化や短縮化が可能なニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼

3年 ago
山陽特殊製鋼、熱処理の省力化や短縮化が可能なニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼

 山陽特殊製鋼( https://www.sanyo-steel.co.jp/ )は、独自のニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼“ECOMAXシリーズ”の新たなラインナップとして「ECOMAX5」を開発した。同品は、シリーズの特長である優れた強度が部品の小型・軽量化設計への期待に応えることに加え、新たな合金設計によって、ユーザーにおける部品製造工程の省略や簡略化を可能とし、CO2排出削減に寄与する。

 同品は、従来のECOMAXシリーズと同等以上の高強度を有していることに加え、ユーザーでの部品製造工程における各種熱処理工程(焼なまし、焼ならし、浸炭処理)の省略もしくは簡略化への適合性をさらに高めている。これらにより、ユーザーにおけるコストダウンに加え、大幅なCO2排出削減への貢献が期待できる。

自動車用ギヤ・シャフト等の小型・軽量化 ECOMAX5の耐ピッチング特性

 高い強度が求められる部品には、一般的に、ニッケルやモリブデンなど希少で高価な合金元素を添加または増量した材料が用いられている。ECOMAX5を含むECOMAXシリーズは、鋼の本来の性能を最大限に引き出す高清浄度鋼製造技術をベースに、クロムやシリコン等の合金バランスと鋼材製造時の操業条件を最適化したことで、省合金でありながら大幅に強度を向上し、特に、ギヤ歯面のはく離損傷(ピッチング)に対しては、一般的な肌焼鋼(JIS SCM420)の5倍以上の長寿命を実現している。部品の疲労強度が向上することで、自動車用をはじめ各種機械ユニットのさらなる小型・軽量化に寄与することが期待される。

部品工程の簡素化・省略によるCO2排出削減

 肌焼鋼を用いた部品製造工程では、冷間鍛造を行う際、材料を軟化させるために「焼なまし」が施される。肌焼鋼をはじめとする合金鋼の焼なましでは、通常800°C程度のオーステナイト組織となる領域まで加熱した後に、長時間を要する徐冷を経て、炭化物を球状に析出させて材料を軟化させる。ECOMAX5は低温領域の短時間保持によって徐冷を経ずに、従来方法に対し1/2以下の処理時間で炭化物を球状化させて軟化させることができる。 また、焼なましによる球状炭化物が均一に分散して存在することから、冷間鍛造における高精度成型が行いやすくなり、ニヤネット成型の相性が良くなる。 加えて、浸炭処理時の結晶粒粗大化が抑制される特性は、一般的な肌焼鋼や他のECOMAXシリーズの鋼種に対し優れていることから、冷間鍛造後、浸炭焼入れ前に通常施される焼ならしの省略と浸炭温度の上昇による処理時間の大幅な短縮が期待される。

ギヤ・シャフト部品の製造工程の簡略化・省略(一例)

 

admin 2021年11月11日 (木曜日)
admin

花王、疎水化CNFが潤滑油を覆ったコーティング剤

3年 ago
花王、疎水化CNFが潤滑油を覆ったコーティング剤

 花王( https://www.kao.com/jp/ )テクノケミカル研究所は、セルロースナノファイバーを用いて、物がすべり落ちる表面を作り出すことで、窓の汚れや屋根の雪といった付着を抑制する水性のコーティング剤技術を開発した。

 日々の生活の中で、窓の汚れや鳥の糞など、さまざまな付着物がある。付着物は景観を損なうだけでなく、屋根の積雪で家屋が破損する、太陽光パネルに付着した鳥の糞で発電効率が低下する、といった悪影響を引き起こすこともある。また、これらを除去するには、多大な労力やコスト、エネルギーが必要となる。

 ウツボカズラという植物は昆虫をすべらせて捕食することで知られるが、その壺内面は潤滑液で覆われており、その内面を模倣した表面は「滑液表面(すべる性質を持つ表面)」と呼ばれている。同社は、この構造に着目し、塗布するだけで対象面を滑液表面にするコーティング剤の開発を行なった。同時に、環境や作業者の健康にも配慮し、有機溶媒を用いない設計を検討した。

ウツボカズラ

 コーティング剤でウツボカズラのような滑液表面を再現するには、対象の表面が常に潤滑油で濡れている状態を作る必要がある。同社は、液体を保持する性質に優れたセルロースナノファイバー(CNF)と潤滑油を組み合わせると、CNFが潤滑油を保持し、長期間に渡って微量の潤滑油が放出され続ける表面を作れるのではないかと考えた。

 しかし、潤滑油は疎水性(水をはじく性質)なため、逆の性質を持つ親水性のCNFには馴染まない。そこで、同社がこれまで蓄積してきたCNFの表面を疎水化する技術を応用し、潤滑油となじみやすくしたCNF(疎水化CNF)で潤滑油を強固に保持する技術を開発した。

 さらに、環境や作業者の健康に配慮し、有機溶媒を用いない水性のコーティング剤を作ることを目指した。そのためには、疎水化CNFと潤滑油を水中に微分散(乳化)させる必要がある。今回、CNFが界面活性剤と同様の作用を持つことに着目し、強い力をかけることで、疎水化CNFが潤滑油を覆った毬のような状態で水中に乳化することができたという。

疎水化CNFが潤滑油を覆ったコーティング剤

 また、コーティング剤を対象物の表面に塗布すると、毬のような構造体が積層した膜を形成していることを確認した。これにより、当初の狙い通りにCNFが潤滑油を保持し、長期間に渡ってすべる性質を維持できる表面が作れたと考えられる。今後は付着物によるトラブルの解消やさまざまな表面におけるメンテナンス低減に有効活用できるよう、用途に応じた提案を行ない、商品としても発売していく予定。

毬のような構造体が積層した膜

 

admin 2021年11月5日 (金曜日)
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