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第48回『陽気なギャングが地球を回す』

 本作は、ミステリー作家伊坂幸太郎原作の同名小説を前田哲監督が映画化したもの。

 オープニング。某銀行で一人の銀行員が「爆弾が仕掛けられています。早く逃げてください!」と叫ぶや、人々はなだれを打ったように銀行から飛び出す。残ったのは男女4人。その内のひとり成瀬(大沢たかお)はそれが銀行の金を狙った狂言だと見破る。居合わせた4人は図らずもその銀行員の計画を阻止する。そうして知り合った4人、嘘を見抜く才能のある成瀬、スリの天才・久遠(松田翔太)、演説家・響野(佐藤浩市)、レーサー並みのドライビングテクニックと完璧な体内時計を持つ雪子(鈴木京香)は、万事休すの銀行員を見て、「自分たちならもっと上手くやれる」と銀行強盗を計画する。

 やりくちはこうだ。420秒後に迎えに来るという雪子を除く3人が銀行に押し入る。支店長以外をカウンターの外に追い出すと、響野がカウンターに立って演説を始める。久遠はカードキーなどを盗み、成瀬はいくつかのキーを支店長にかざして反応を見て、本物のキーを当てる。現金自動預け払い機(ATM)のストック部が空けられ、現金が取り出される。

 さてATMでは、たとえば紙幣を入れたとき、二つの紙幣分離ローラーで一枚一枚分離し摩擦駆動により、紙幣の真偽を識別する装置(バリデータ)に送る。ローラーにはある程度のグリップ力を持たせて空転せずに紙幣を送るよう、ウレタンゴムなどが使われる。規格外の偽札と判断されると、回転を逆転させ紙幣を戻す。

 響野が演説をしている間に、ATMだったり金庫だったりから現金を奪い、雪子の車で追っ手をかわし逃げおおせる4人だが、何者かに襲撃され現金を強奪され、奪還をもくろむ4人は…。原作のスピーディーな展開を、ホットな俳優陣がときに緊迫しときにコミカルに演じた一作。発明家(古田心太)の作るばかばかしい小物が意外にストーリーにからむので、見落とせない。