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第46回『007カジノ・ロワイヤル』

 本作は、英国諜報部員ジェームズ・ボンドの活躍を描く人気シリーズ第21弾にして、イアン・フレミングのボンド・シリーズ第1作が原作である。

 殺しのライセンスを持つ00(ダブルオー)の地位に昇格し007のコードネームを得たジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)の最初の任務は、テロリストの資金を運用する男の正体を突き止めること。いくつかのテロを食い止めたボンドは、“死の商人”ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)に行き着く。高額掛金のポーカーで資金を稼ごうとするル・シッフルを阻止すべく、ボンドは掛金1,500万ドルの監視役として財務省から送り込まれた美女ヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)とともに、モンテネグロの「カジノロワイヤル」に向かう。

 本作のボンドカー、マグネシウム合金、カーボン繊維複合物とアルミニウムのシャーシーで従来より30kg軽い「アストンマーチンDBS」は装備控えめで、ボンドカーに載った武器は、なんと医療機器だけである。毒入りマティーニを飲んでしまったボンドは、まず円筒形のシリンダーと可動式のピストンを持つシリンジで解毒剤を注入、心停止の瞬間を狙って自分でAED(自動体外式除細動器)をかける。AEDは心停止の際に自動的に解析し、必要に応じて電気的なショック(除細動)を与える機器である。街中で目にした方も多いだろう。

 これで何とか一命を取りとめるのだが、実はAEDを作動させたのは美女ヴェスパー。ボンドは解毒剤注入で意識を失っている。毒を飲まされたり、『24』のジャック・バウアーみたいに丸裸で拷問されたり、他国の大使館を爆破したりと、本作のボンドはとてもエレガントとはいえないが、まあ経験不足の悩み多きボンドも人間臭さがあって、一見の価値ありであろう。