低迷が続いていた鉱山機械用の超大型タイヤ需要が、中国やロシアなどの資源国で需要回復傾向にある。鉱山開発が勢いを取り戻し始めている。ブリヂストンでは北九州に建設した幅1m以上、直径3m以上といった建設・鉱山車両用大型・超大型ラジアルタイヤ用の新工場を当初予定の9月から3ヵ月前倒しし、6月17日から稼働させた。同社では「世界的な鉱物資源の生産増加に伴い、ここ数年大型・超大型ORRの需給バランスは大きく乖離している。中長期的に見ても需要は伸長する見込みで、また、昨今の厳しい事業環境下においてもこの分野は堅調に推移している」と生産前倒しについて説明している。
さて、鉱山機械としてはまず鉄鉱石、石炭を含んだ地層を掘り起こす、油圧ショベル、それらを集積場に運搬する大型のダンプトラックがある。油圧ショベルでは駆動用油圧減速機や旋回装置などにベアリングが使われている。大型ダンプトラックにはトランスミッションや車軸などに多数ベアリングが使われている。
採掘された鉄鉱石などは粉砕機によりある程度の大きさに粉砕される。たとえば大きな筒の中で鉄球を鉱物にぶつけて砕くボールミルでは、筒の両端の支持用に内径500?を超える自動調心ころ軸受や円筒ころ軸受が使われる。高荷重、衝撃荷重、粉塵に耐える必要性からだ。
砕かれた鉄鉱石などは長いもので20kmにも及ぶコンベヤで、大きさを揃える篩い分け工程に輸送される。コンベヤベルトを支えるコンベヤローラは深溝玉軸受が多数使われるほか、コンベヤ駆動用のモータや減速機が接続されたドライブローラには大型の自動調心ころ軸受が使われる。
提供:日本精工 日本精工では自動車用ハブユニットで実績のあるシールユニット構造をコンベヤローラ軸受に適用、高密封シールと軸受を一体化することによって、雨、泥水、粉塵などの異物が侵入しやすい環境下で低トルクと密封性を両立させた、信頼性の高いコンべヤローラ軸受を開発している。高密封シールにより、野外で使われるだけに、機械への異物侵入を防ぐだけでなく、環境へのグリースの流出を防いでいるのである。
地球資源を有効に活用するための資源開発。だからといってその作業のための機械のロスや環境負荷は見逃されるものではなく、鉱山機械においても省エネ・省資源が求められている。鉱山開発の市場拡大とともに、耐久性があり、環境負荷低減を図るベアリングや歯車、タイヤ、ベルトなどの機械要素技術が活躍する場が増えつつある。