展示会のもよう 今月17~20日、東京・有明の東京ビッグサイトで日本金型工業会が主催する「INTERMOLD2013(第24回金型加工技術展)」「金型展2013」、日本金属プレス工業会が主催する「金属プレス加工技術展2013」が開催され、四日間で約46000人を動員した。2011年は東日本大震災の発生により開催が中止になったため、東京での開催は4年振り。当日は工作機械・機器メーカーや、切削工具、CAD/CAM、CAE関連、測定機器、表面改質技術、金属プレス加工事業者などが一堂に会した。
5軸加工機やレーザ加工機を中心に最先端の工作機械4機種を展示することで、最新の金型加工技術を紹介した森精機製作所は、工程集約や被削材、ワークなど様々な観点から金型加工の効率化を実現する技術を紹介した。「HSC 55 linear」は、高速主軸とリニアドライブが特長の5 軸制御マシニングセンタで、リニアドライブによる最高80m/minの高速送りにより切削送り速度を高め、切削加工でありながら研削加工に匹敵する面粗度Ra 0.23μmを達成していることなどをPRした。また、CNC旋盤「NLX2000SY/500」では、旋盤でありながら多彩なツーリングを使用し、旋削・ミーリング加工の工程集約を披露した。回転工具主軸の最高回転速度は 10000 min-1を達成し、マシニングセンタに匹敵するミーリング加工を実現した。
金型の生産では、アジア地域の台頭もあり加工技術の平準化が進展している。そんな中、日本国内では高度な技術、緻密な品質管理による高い信頼と品質などで優位な立場を維持している。そうした要求に応える工具として、日進工具では精密・微細加工分野を得意とするエンドミルを紹介。今回、金型材料として期待されている超硬合金への直彫り加工用エンドミルとして、PCDボールエンドミル「PCDRB」を発表。また昨秋に販売を開始したPCDスクエアエンドミル「PCDSE」や各種cBN小径エンドミルシリーズなど、付加価値のものづくりに貢献する各種小径エンドミルを展示した。
ナノコート・ティーエスのブース 表面改質関連は、コーティングメーカーとしてナノコート・ティーエスが「セルテスDCY」を発表。新プラズマ源採用により180℃以下の低温でDLCコーティングが可能で、PVDとプラズマCVDのハイブリッドプロセスにより高密着を実現した。また、鋼と強い密着力のCr系下地層と、靱性に富んだバッファー層で耐荷重性・耐衝撃性が向上し、高面圧・繰り返し衝撃でもはく離しないとした。清水電設工業は、硬さHv3500の耐摩耗性と耐熱性に優れた「ZERO-1」コーティングを中心に、各種コーティングを冷間鍛造や冷温間プレス、抜き金型などの用途に向けて提案した。
新東工業のブース こうしたコーティングの下地処理として使用される各種ブラスト技術も紹介された。東洋研磨材工業は、エアを使わず遠心力を応用した噴射加工マシン「SMAP」を紹介した。複雑な三次元異形状の鏡面仕上げおよび微細加工における微小バリ取りと外周面のエッジ仕上げが行える。また不二機販では、金属に微粒子を高速衝突させることで疲労強度向上を向上させる「WPC処理」を紹介。金型の疲労寿命延長や耐摩耗性・耐チッピング性の向上、応力腐食防止などに貢献するとした。新東工業はダイカスト金型において、製品の不良低減技術として「D-FLOW」、ヒートチェック寿命向上技術として「D-CHECK」、応力腐食割れ寿命向上技術として「D-SCC」と、必要な機能に対してそれぞれショットピーニングの受託加工を提案した。
製造業の海外移転、韓国や中国を始めとするアジアの金型産業の躍進により、日本の金型産業は低迷を強いられている。しかし、表面改質をはじめとした高い技術を適用することで付加価値を高め、日本国内での金型の生産量増加、かつ海外製品の受注増加が期待される。