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NTN、工作機械主軸用センサ内蔵軸受ユニットを改良、高度で広範囲な状態監視を実現

4年 ago
NTN、工作機械主軸用センサ内蔵軸受ユニットを改良、高度で広範囲な状態監視を実現kat 2020年11日17日(火) in in

 NTNは、2018年に発表した工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」をワイヤレス化するとともに、新たに荷重センサを搭載し高度かつ広範囲な状態監視を実現する改良品を開発した。これにより、主軸用軸受の焼付きの未然防止につながるほか、加工状態の監視や軸受の組付けなどを簡素化できる。

 工作機械主軸(マシニングセンタ、旋盤、複合加工機) 向けに展開し、2023年度に3億円/年の販売を目指す。

 労働人口の減少などを背景に、製造現場では省人化や無人化が進むとともに、生産性の向上が求められている。こうした中、工作機械の基幹部品である主軸用軸受の焼付きなどの損傷と、それに伴う稼働停止や主軸交換などの損害を防ぐニーズが高まっている。

 工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」は、軸受に隣接する外輪間座にセンサを内蔵し、軸受軌道面付近で高度な状態監視を行うことで、主軸用軸受の焼付きの未然防止に貢献する商品で、2018年の開発発表後にユーザーへの提案を進める中で、ワイヤレス化や加工状態の監視、軸受の組付けにかかる工数の削減などの要望があり、改良を行ったもの。

 今回の改良では、主軸の回転を利用して発電する小型・高出力の電磁式発電機と、小型で消費電力を抑えた無線モジュールを軸受ユニットに内蔵し、ワイヤレス化を実現した。電力供給やデータ伝送のための外部接続ケーブルや配線スペースが不要となり、軸受の組付け・取扱いを簡素化する。

 また、新たに小型・高感度の荷重センサを適用し、運転時に軸受に負荷される荷重やその変化を同時検出することが可能となった。運転中の切削荷重の変化など加工状態の監視に用いることで、加工品質や生産性の向上に貢献するほか、予圧荷重の高精度な測定も容易となり、軸受組み付け時の調整を短時間で行うことができる。

 さらに、焼付き前に生じる予圧荷重の急激な増加を検出することで、従来適用していた熱流センサに代わり、荷重センサで焼付きの未然防止に貢献する。

 NTNは、本開発品を工作機械の高機能化および製造現場の省人化や無人化、生産性の向上に貢献する商品として、各工作機械・スピンドルメーカーに提案を進めていく考えだ。

 

商品写真(左)と構造(右)

 

適用箇所(左)と適用例(右)


 

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JAST、トライボロジー会議 2020 別府をオンライン開催

4年 ago
JAST、トライボロジー会議 2020 別府をオンライン開催 in kat 2020年11日15日(日) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は11月11日~13日、「トライボロジー会議 2020 別府」をオンライン開催した。

 

 今回は、機械要素や潤滑剤、固体潤滑、表面処理・コーティング、分析・評価・試験方法などに関わる研究約230件が、一般セッションとシンポジウムセッション、国際セッションで発表された。シンポジウムセッションは「役に立つバイオインスパイアード・ソフトトライボ応用技術」、「工作機械のトライボロジー」、「境界潤滑添加剤最前線―摩擦調整剤、摩耗・焼付き防止剤の最新技術と応用」「シールにおけるトライボロジー技術」「トライボロジーの啓発と次世代教育について考える」「3rd Japan-Korea Tribology Symposium」「添加剤としてのフラーレンの可能性」のテーマで開催された。

論文賞受賞講演のようす

 

 12日には特別講演会が開かれ、清川進也氏(湯~園地計画総合プロデューサー)が「世界が沸いた!別府市・湯~園地計画の全貌」と題して、別府の温泉と遊園地をコラボレーションした「湯~園地計画」の企画から開催の成功に至るまでの全貌について紹介した。

 特別講演会に続く開会式で挨拶に立った松田健次実行委員長(九州工業大学 教授)は、「温泉の湧出量、源泉数がともに日本一の別府での開催が2年前に決まってから郷土料理でのおもてなしを含め準備を進めてきたが、新型コロナウイルスの蔓延に伴い現地での開催を本年7月に断念せざるを得なくなった。しかしながらオンラインという形ではあるものの、講演数は一般講演・シンポジウムで約230件と、地方で開催された従来の会議での発表件数とほぼ匹敵する内容で開催できることは大変喜ばしい。オンラインでの開催を案内した後に“名刺交換の場があるか”との問い合わせをいただき、トライボロジー会議が情報交換の重要な場であることをあらためて認識した。そこで、セッション後に個室(ブレイクアウトルーム)に移動していただき講演者と参加者が交流できる場を設けた。ぜひ活用いただき交流を深めていただきたい。オンライン開催ならではのイベントとしては、我々実行委員会とJAST国際企画委員会(委員長:東北大学 教授・足立幸志氏)とが協力して、ライブ配信によるドイツトライボロジー学会との交流イベントなども設けた。オンライン開催となった本会議の開催に協力をいただいた各位に、深く感謝したい」と述べた。

挨拶する松田実行委員長

 

 開会式では続いて杉村丈一JAST会長(九州大学 教授)が、「本年7月に、遺憾ながら現地での開催を断念する決断をしたが、形式にとらわれず開催を決定したところ、ふたを開けてみると、誰もがクリック一つで、希望のセッションを最前列で聴講できるという利点があることが分かった。何よりも、1年ぶりにトライボロジーの仲間たちが集まって、講演し質疑し、オンラインでも多くの情報交流ができていることが、とても嬉しく、とても意義深く、また、この前代未聞の折に、皆が良いアクティビティーを保っていることを実感した。ブレイクアウトルームの企画など、人的交流の場であるトライボロジー会議にいかに近づけるかを協議・検討・工夫いただいた、松田実行委員長をはじめとする関係各位の尽力に深く感謝したい。最終日まで、できる限り情報交流を図っていただき、バーチャル別府を楽しんでほしい」と語った。

挨拶する杉村会長

 

 11日と12日のセッション終了後には、以下のとおり特別企画が実施された。

 11日にはイブニングセッションとして、ドイツトライボロジー学会GfTとウェブで接続し、リアルタイムで以下2件の講演がなされた。

・「The German Society for Tribology(GfT) and its current activities」Christoph Wincierz氏(GfT会長)…GfTの1959年の設立以来の活動の沿革について紹介したほか、現在の活動内容を紹介した。近年のトピックスへのトライボロジーの取組みとしては、エネルギー関連のトライボロジー、電気自動車、大気汚染のコントロール、CO2ニュートラルエネルギー、サスティナビリティー、環境適合性潤滑剤、トライボロジーに影響を与える環境政策、教育および研究、トライボロジー特性評価などを挙げた。特に産業界、大学、研究機関のメンバーからなるヤング・トライボロジストの部会を2015年に立ち上げるなど、若い世代に魅力のある学会づくりに取り組んでいることを強調した。

Wincierz氏

 

・「How advanced lubrication can contribute to a sustainable future:Quantification of CO2 reduction by life cycle assessment」Markus Matzke氏(Robert Bosch社)…機械の性能劣化・故障を防ぐための摩擦・摩耗の低減、エネルギーの節減は潤滑の主要な目的だが、近年は潤滑剤の有害な成分が環境負荷の少ない成分に代替され、使用済み潤滑剤のリサイクルシステムも確立されるなど、トライボロジーの始祖であるPeter Jost氏が提唱した「グリーントライボロジー」の実践がますます求められていることを紹介。ボッシュ社では気候、エネルギー、水環境、都市化、グローバリゼーション、健康という六つのサスティナブルな目標に向けた潤滑・トライボロジー関連の取組みを進めており、潤滑グリースに関する取組みとして、構成成分の製造からグリースの製造、自社製品の組付け時のグリース封入、最終製品である自動車でのメンテナンス、リサイクルまでのライフサイクルについて紹介した。また、マルチグレード油圧作動油や低粘度エンジン油など先進の潤滑剤やトライボシステムの適用によって、エネルギー消費量の低減や温室効果ガスの低減に寄与できると述べた。

Matzke氏

 

 また、12日にはウェビナーとして、ITC (International Tribology Council:国際トライボロジー評議会) 会長でテキサスA&M大学教授のAli Erdemir氏が、「Advances in Superlubricity ― Recent Developments and Future Prospects」と題する講演を行った。エネルギーや環境、グローバル・サスティナビリティーに寄与する超潤滑の可能性について紹介。摩擦・摩耗によって全世界のエネルギーの約23%が消費されており、これは年に8ギガトンのCO2排出量に相当することから、大幅な摩擦低減に寄与する超潤滑研究のエネルギーや環境持続性へのインパクトはとてつもなく大きいとした。超低摩擦・超低摩耗に寄与する多数の材料・コーティングの設計・開発において数々の進展が見られたこと、特にグラフェンやダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングなどで超潤滑が認められていると述べた。また、摩擦が全世界のエネルギーの20%以上を消費し続けることから、エネルギー、環境、グローバル・サスティナビリティーに寄与するトライボロジー研究を継続する必要性を強調した。

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NTN、サーボモータ用低発塵軸受を開発

4年 ago
NTN、サーボモータ用低発塵軸受を開発kat 2020年11日10日(火) in in

 NTNは、新開発のグリースとシールを適用することで、軸受からの発塵と回転トルクを大幅に低減した「サーボモータ用低発塵軸受」を開発した。サーボモータの小型化や高出力化、ロボットの生産性向上に貢献する。産業用ロボット向けサーボモータなどを対象に拡販し、2022年度に5億円/年の売上を目指す。

サーボモータ用低発塵軸受

 

 サーボモータは、回転検出器やブレーキ(制御機器)を備え、高精度な回転制御が行えるため、近年は産業用ロボットや工作機械を中心に需要が増加しているが、このうち産業用ロボットに使用されるサーボモータは関節部の駆動用途が多く、関節部の軸速度や加減速度を高めるために小型化、高出力化が求められている。

 サーボモータを小型化するため、制御機器は軸受の近傍に配置されるが、軸受の油分が飛沫となって発塵すると制御機器に付着し、検出精度や制動性が低下する原因となる。これを防ぐために、サーボモータ本体に密封装置 シール)が用いられているが、その分、サーボモータが大きくなり、小型化できないという課題があった。そこで、密封装置なしでも付着を抑制するよう、低発塵の軸受が求められている。また、サーボモータの高出力化を図るため、低トルク化への要求も年々高まっている。

 今回開発した「サーボモータ用低発塵軸受」は、サーボモータで広く使用されている密封形深溝玉軸受に、発塵を抑制するための成分や配合を用いた新開発の低発塵グリースを封入している。また、形状の改良により、内輪との摺動部の接触力を均一にすることで、密封性を高めるとともに、低トルク化を実現した新設計の接触形シールを採用している。これにより、同社従来品に比べ、軸受からの発塵量を約90%低減するとともに、回転トルクを約50%低減した。現在市場で販売されている同用途の他社品を上回る低発塵、低トルクを示す。

 本開発品をサーボモータに用いることで、密封装置が不要となり、サーボモータを小型化できるほか、軸受の回転トルクを低減することで高出力化も可能となる。

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NTN、東海道新幹線 新型車両で車軸・駆動装置・主電動機用軸受が採用

4年 ago
NTN、東海道新幹線 新型車両で車軸・駆動装置・主電動機用軸受が採用kat 2020年11日10日(火) in in

 NTNの高機能・高信頼性軸受が、本年7月に営業運転が開始された東海道新幹線新型車両「N700S」の車軸、駆動装置および主電動機に採用された。

 今回採用された軸受は、NTNが長年にわたる新幹線用軸受の開発と提供により培った設計・製造技術と徹底した品質管理体制により製造され、N700Sが誇る安全性・安定性・快適性の実現に不可欠な重要部品として、その安全で快適な運行を支えている。

 採用された軸受の概要は以下のとおり。

①車軸軸受
 700系以降の東海道新幹線車両に採用されてきた複列円すいころ軸受がN700Sにも採用された。従来よりもさらに耐久性を向上し、ライフサイクルコストの低減に貢献する。NTNは、N700Sの台車開発の初期段階から車軸軸受の開発に携わり、性能評価にも取り組んでおり、同社の特許技術も信頼性の向上に貢献している。

②駆動装置用軸受
 主電動機から車軸へ伝達トルクを増大させる駆動装置には、低騒音化、軸受の信頼性向上を目的に新幹線車両用として初めてヤマバ歯車と円筒ころ軸受が採用された。円筒ころ軸受を採用することで駆動装置のメンテナンス性の向上も図られている。NTNの円筒ころ軸受は、高速回転性能と走行時の振動・衝撃等に充分に耐えうるよう専用設計を採用し、評価試験により性能と信頼性を確認したものとなっている。

③主電動機用軸受
 主電動機には、電食防止対策のため、外輪にセラミック溶射絶縁被膜を形成した円筒ころ軸受と深溝玉軸受が採用されている。NTNのセラミック溶射被膜絶縁軸受は、新幹線に初めて絶縁軸受が採用された300系以降の歴代の新幹線用主電動機に採用されてきた実績のある信頼性の高い商品となっている。
 

N700S新幹線向け高機能・高信頼性軸受

 

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ジェイテクト、EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受を開発

4年 ago
ジェイテクト、EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受を開発kat 2020年10日29日(木) in in

 ジェイテクトは、電気自動車(EV)の減速機内部にあるプラネタリギヤに使用する針状ころ軸受について、減速機軽量化への市場ニーズに貢献するため、同一サイズの鉄製保持器に比べ20%軽量となる樹脂保持器を使用した「EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受」を開発した。

左:開発品 右:従来品


 2025年に量産を開始。国内メーカーを皮切りにEV市場の拡大が進む中国・アセアンで販売を展開、3億円/年の売上を目指す。

 近年、自動車市場では、CO2排出規制が進み、これに対応するEVの普及が進んでいるが、EVにおいては、電費の向上のため減速機の軽量化への取組みが喫緊の課題となっている。

 プラネタリギヤは、遊星歯車とも呼ばれ、中心となるサンギヤの周りに複数個のギヤが惑星のように配置されている歯車で、そのかみ合いによって必要な変速を行う。

プラネタリギヤの構造と使用箇所のイメージ

 

 プラネタリギヤ用針状ころ軸受の保持器には、プラネタリギヤの公転による遠心力が負荷される。このため耐久性の高い鉄性鋼板を使用することが一般的だが、自動車のさらなる軽量化に対応するため同社では樹脂製保持器を開発、鉄製保持器に比べ保持器に発生する応力を70%低減させた。

 これにより同一サイズの鉄保持器製針状ころ軸受と比べ、約20%の軽量化を実現した。軸受取り付け寸法を変更させることなく、減速機の軽量化を実現する。

 また、樹脂の成形自由度を活かし、保持器形状を改良することで、少油量環境下における軸受に必要な潤滑油を確保できる。

潤滑性向上特殊形状の高強度樹脂保持器のイメージ

 

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日本粉末冶金工業会、2020年度工業会賞を発表

4年 ago
日本粉末冶金工業会、2020年度工業会賞を発表 in kat 2020年10日27日(火) in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)はこのほど、「2020年度日本粉末冶金工業会賞」を発表した。同賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設、2020年度で42回目となる。

 同賞は、工業会事業に貢献した個人を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」からなる。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与している。また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰している。

 今回は新製品賞・デザイン部門、新製品賞・製法開発部門、奨励賞で、以下のとおり受賞企業が選出された。

 

■製品賞・デザイン部門

・ポーライト「車載LEDヘッドライト冷却ファン用軸受の焼結化」…本製品は、LED ヘッドライトバルブ冷却用ファンモータ用の軸受。近年、LEDヘッドライトは、大光量化・小型化に伴い、より高い放熱性が求められており、冷却ファンが搭載されるようになってきている。この軸受には、静音性、長寿命、低温(-40℃)起動性、広い実用温度(-40℃~120℃)域、アウトガスによる輝度低下防止など要求特性があるため、高価であっても流体軸受やボールベアリングが採用されている。本開発は、中逃軸受の特徴を生かし、しゅう動部を最適化して軸ロスを低減することで、しゅう動性・起動性を確保した。アスペクト比5を超える軸受において難しいとされる内径公差幅4μmと同軸度を確保し、軸とのクリアランスを縮小することにより、静音性が向上した。内径受面取り形状は、端面及び外周の溝形状に運転時熱膨張で漏れ出す含侵油を保持する機能を持たせることで、軸受の長寿命化を可能にした。材質は、銅被覆鉄粉を使い、高含油率低通気性を両立させることで、軸受面の油膜強度を確保し、静音性および耐摩耗性を向上した。含浸油は、低温から高温まで粘度指数の変化が少なく、アウトガスによる悪影響(輝度低下・ケミカルアタック)に配慮した成分を選定し、高温環境下で蒸発量の少ない含浸油を開発。その結果、ボールベアリングを上回る特性を満足し、LEDヘッドライトバルブ冷却用ファンモータ用軸受に採用され、焼結含油軸受の市場拡大に貢献した。

ポーライト「車載LEDヘッドライト冷却ファン用軸受の焼結化」

 

・ファインシンター「パーキングロック部品の曲率溝形状型出し化によるコスト低減」…本製品は、AT用、パーキングロック機構に使われるポールのサポート部品。本開発は、試作評価の過程で、相手部品(ポール)接触部の変形防止のため、曲率が変化する溝形状が必要となった。この溝と製品を組み付け固定するボルト穴は直交する関係にあり、通常は一方をネットシェイプ、他方を機械加工とするが、アンダーカット成形により溝形状をネットシェイプし、機械加工なしに製品化した。アンダーカット成形は、アンダーカット部の圧縮比制御が必要となるため、金型制御に CNC制御を使うなど機構が複雑となるが、上1段下2段の金型構成、一般的なウイズドロアル機構を用い、上パンチの動作で、アンダーカット部を成形するパンチ位置をダイと同期させ、安価で安定したネットシェイプに成功している。このアンダーカット成形に一役買っているのが、油による局所的な型潤滑。アンダーカット部を成形するパンチは成形中に外周方向に強い力を受けるが、この力をダイ内径で受ける構造となっている。パンチを安定的にしゅう動させる対策として、型潤滑を採用することにより、型カジリを抑制した。

ファインシンター「パーキングロック部品の曲率溝形状型出し化によるコスト低減」

 

・ダイヤメット「二輪車トランスミッション用焼結部品」…本製品は、2 輪車用トランスミッションのシフト機構に使われるカム。シフトチェンジの時にシフトレバーからの力をシフトフォークへ伝える機構であり、ピン部に大きな曲げ荷重および衝撃荷重がかかる。このため、一般的には、高価であっても焼結鍛造工法が採用されてきた。また、近年ロストワックス工法や、ピン部を溶製鋼とした工法に置き換わりが進みつつある。本開発は、一般焼結工法の強度向上に関して取り組み、製品化に成功したもの。形状を見直し、応力集中の緩和を行っている。強度向上の手法としては、細いピン形状部の高密度化に取り組んでいる。原料粉の選定、潤滑材開発および給粉方式の開発を行い、高圧成形、高温焼結で密度7.4g/cm3を達成している。また、ピン高さ寸法0.1mm以下にバラツキを抑制し、後加工を廃止することができた。一方で、金型のたわみによる成形割れが懸念されるが、ピン部への全数検査負荷試験により全数強度保証を行っている。この結果、焼結鍛造工法に近い強度を確保し、コストは焼結鍛造部品に対して40%低減することができた。

ダイヤメット「二輪車トランスミッション用焼結部品」

 

■新製品賞・製法開発部門

・住友電気工業「磁束密度を確保し鉄損を低減したHEV向けリアクトル用圧粉コア」…本製法は、絶縁被覆鉄粉による圧粉コアの表面絶縁被膜破損を防止する成形方法。絶縁被膜被覆鉄粉は、金型に充填し加圧成形した後、金型から抜出す際、金型との摩擦で絶縁被膜が損傷し鉄粉同士が導通。圧粉コア表面に過電流が流れロスが増大する。対策として、レーザー加工などにより導通している部分に酸化鉄を生成させ導通を遮断し、渦電流ロスを防止しているが、コストが課題となっている。一般的に製品は 1個押し成形であり、外周面は全てダイによって形成され、金型から抜き出す際、全面がしゅう動し被膜の破損は避けられない。そこで、2個押し成形を採用し、二つの製品間の金型を浮動コアロッドとした。浮動コアロッドは、抜き出す際、成形体と同時に動き絶縁被膜の破損を防止する。その結果、レーザー加工を廃止し低コスト化を実現した。また、材料面においては、原料粉の粒度、成形条件を最適化により高密度化を実現。熱処理においては、条件の最適化により歪除去と鉄損を 25%低減している。今後、HEV、EVのシェア拡大により、生産量拡大が期待されている。

住友電気工業「磁束密度を確保し鉄損を低減したHEV向けリアクトル用圧粉コア」

 

■奨励賞

・ポーライト「冷蔵庫用・庫内庫外統合ファンモータ用軸受の開発」…本製品は、冷蔵庫の異なる環境に置かれる庫内・庫外の冷却ファンそれぞれに使うことができる軸受。通常、庫内ファンは-30℃、庫外ファンは+60℃の環境下で使用される。従来は、この2種類の冷却ファンには、それぞれ最適化された軸受が使われていた。本開発においては、材質は最適なものを選定し、高含油率に設定することで長寿命化を実現した。加えて、シリコーン系の新しい潤滑油を開発することで、低温環境下における静音性・低摩擦特性・耐食性、高温環境下における耐摩耗性・低摩擦特性を両立することができた。庫内・庫外ファン用軸受を統一化により、スケールメリットによるコスト競争力、リードタイムの短縮などの効果が得られた。また、顧客側メリットとして、発注・在庫管理の簡素化、異品種混入防止効果が見込まれる。

ポーライト「冷蔵庫用・庫内庫外統合ファンモータ用軸受の開発」

 

・ファインシンター「低コスト C/C 複合材製カーボン系すり板の開発」…本材料は、鉄道車両上部にある、パンタグラフの最上部に取り付けられ車両へ電気を供給するためにトロリー線に接し集電するすり板用材料。すり板材料は、金属系と、カーボン系(銅とカーボンの複合材)に大別される。カーボン系はさらに銅含浸型、銅カーボン混合焼結型およびC/C複合材銅溶浸型に分類される。本材料はC/C複合材銅溶浸型に該当し、軽量・高強度・低摩耗で、トロリー線攻撃性が低いことが特徴。一方で、高価であることが課題となっている。本開発は高価な炭素繊維使用量の低減。炭素繊維量を低減し、すり板の強度を確保するには、バインダーを増量する必要がある。カーボン基材は、プリフォームド・ヤーン法を用い、炭素繊維とバインダーを束にした繊維を作りシート化する方式とし、工程を簡素化した。しかし炭素繊維を減じバインダーを増すと、銅の溶浸経路が狭くなり、充分な銅溶浸ができず、電気特性が得られなくなる。そこで、Cu-Ti溶浸材の配合を見直し、溶浸条件の最適化(2段階の温度設定)を行った。その結果、すり板は、充分な電気伝導性を確保し、強度は20%程度向上。摩耗率は20%低減、使用代は10%削減。従来品に対して、コストパフォーマンスは35%向上している。

ファインシンター「低コスト C/C 複合材製カーボン系すり板の開発」

 

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イグス、追尾式太陽光発電向けの角型軸用ピローブロックベアリングのラインナップを拡充

4年 ago
イグス、追尾式太陽光発電向けの角型軸用ピローブロックベアリングのラインナップを拡充kat 2020年10日27日(火) in in

 イグスは、追尾式太陽光発電向け角型軸用ピローブロックベアリングに新たなサイズを追加し、ラインアップを拡充した。ソーラーパネルの取付けに使用できる高性能樹脂製「イグボール ピローブロックベアリングESQM」は、無潤滑でメンテナンスフリーかつ塵埃や汚れに強い。今回、太陽光発電における同社製品への高い需要に対応すべく、100mm×100mmおよび140mm×140mmの2サイズを新たに追加した。既存の110mm×110mmや120mm×120mmサイズはすでに世界各地で多くの実績を持つ。サイズ追加により、より多くのソリューションに対応できるようになった。

 

 太陽光発電は現在活況を呈しているビジネスの一つで、世界各地で太陽光発電システムの設置が増加している。太陽光発電の設備を製造するメーカーには、発電コストを最小限に抑えながらソーラーパネルを最大限に活用できるシステムの構築が求められているが、追尾式太陽光発電モジュールは太陽の動きを追尾して自動的に角度を調整するため、固定式よりも発電効率が高くなる。

 イグスでは、角型軸上の追尾式太陽光発電モジュールの安全性を確保するため、イグボール ピローブロックベアリングESQMを開発・提供しているが、本製品はイグミッドG製のポリマーハウジングとイグリデュールJ4製の球面ボールで構成。高性能なトライボポリマーによって、耐紫外線性および耐食性が確保されている。完全無潤滑であるため、塵埃や汚れに強く、メンテナンスも不要で、同時に、表面の凹凸による軸心のずれも容易に補正する。

 イグスの広さ3800㎡の試験施設にて実条件下で試験し、寿命や耐摩耗性、許容荷重を調べたところ、15000Nの荷重で72年の耐用年数に相当する動作回数を達成。これにより、太陽光発電モジュールの標準寿命である25年に対し、イグボール ピローブロックベアリングESQMの安全性および確実性を実証している。

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NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発

4年 1ヶ月 ago
NTN、DLC被覆の風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受を開発kat 2020年10日20日(火) in in

 NTNは、ころの転動面に密着性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を適用することで、耐摩耗性を大幅に向上させた風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」を開発した。風力発電装置など、油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下で使用される産業機械向け軸受として提案を進め、2021年に25億円の販売を目指す。

DLCコーティング自動調心ころ軸受

 

 風力発電装置の主軸用軸受(主軸受)には、高負荷容量かつ取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く採用されている。主軸受は、風況条件により起動と停止を繰り返し、極めて低速な回転状態で使用される。

 こうした環境で使用される主軸受には、潤滑不足による軌道面ところの金属接触と自動調心ころ軸受特有の転がりすべりが原因で、軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があった。

風力発電装置ナセルにおける適用箇所

 

 本開発品は、ころの転動面に高い密着力により剥がれにくい非晶質構造の硬質膜、DLC 膜を適用することで軸受軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させている。被覆するDLC 膜は①母材との密着力を高めるための金属下地層、②下地層と最表層の急な硬度変化を避けるために設けた中間層、③非常に硬質な最表層の3層構造となっており、過酷な潤滑状態でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮する。

 油膜が薄くなり油膜がない部分において局部的に二面が接触している「境界潤滑」、実機最大接触応力(実際の風力発電装置で使用される際に最大荷重が発生する時の接触応力)、転がりすべり条件で、DLC 膜のはく離は認められなかった。また、DLC 膜がない標準品の軌道面が1ヵ月で摩耗からはく離に至る加速試験条件下において、本開発品はほとんど摩耗が発生しなかった。

 本開発品は、すでに一部の風力発電装置メーカー向けに量産を開始しており、今後さらに提案を進めるとともに、特に軌道面の摩耗による早期損傷に対応する補修品としての販売も強化していく。また、今回開発した被膜処理技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017 年に開発した「左右列非対称設計」と組み合わせて、さらなる耐摩耗性向上とコンパクト化を両立できる。

 NTN は、装置メーカーがニーズに合わせて本開発品のDLC コーティングや左右列非対称設計から最適なオプションを選択できるよう商品ラインナップを拡充し、風力発電市場における販売拡大に取り組んでいく。
 

風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受のラインナップ
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NTN、動力伝達装置向け低昇温・低トルク円すいころ軸受を開発

4年 1ヶ月 ago
NTN、動力伝達装置向け低昇温・低トルク円すいころ軸受を開発kat 2020年10日20日(火) in in

 NTNは、自動車のトランスミッションやデファレンシャル用の「低昇温・低トルク円すいころ軸受」を開発した。新開発の樹脂保持器の採用や軸受内部設計の最適化により、世界最高水準の低昇温性(耐焼付き性)と低トルク性を実現、次世代モビリティの市場ニーズに対応する。電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)を含む自動車用トランスミッション、自動車用デファレンシャルなど、動力伝達装置用軸受として拡販、2026 年度に20 億円/年の販売を目指す。

低昇温・低トルク円すいころ軸受

 

 近年、自動車産業がスマートモビリティやCASE に代表されるように大きな変革期を迎える中、電動化やカーシェアリングによる航続距離の延長などを背景に、動力伝達装置の高効率化が加速している。これにより、装置内の潤滑油量の低減や低粘度油への切り替えが進められ、軸受にはこうした過酷な潤滑条件下の対応や、より一層の低トルク化が求められている。

 こうした新たに浮上した次世代モビリティの市場ニーズに対応する商品として開発された「低昇温・低トルク円すいころ軸受」は、新型樹脂保持器に付与した凹み形状によって潤滑油の不足時にころ端面への給油が可能となり昇温を抑制(図1①)するとともに、ころ端面と内輪大つば面間のすべり接触部の潤滑性が向上する設計を適用し、温度上昇を抑制(図1②)。動力伝達装置における低粘度オイルの使用や、電動化による急加速時のオイル量が少ない潤滑条件を想定し評価(条件は、常温から無給油運転で軸受外輪が100℃到達までの時間で評価)した結果、同社標準品比10 倍向上の低昇温性が確認されている(世界最高水準)。

 また、新型樹脂保持器が軸受内部への過度な潤滑油流入を抑制し潤滑油の撹拌抵抗による回転トルクを低減(図1③)するとともに、世界最高水準の軸受定格寿命(長寿命)と許容回転速度の実現をコンセプトとして2017年に開発した「自動車用ULTAGE 円すいころ軸受」のころ設計や、軸受内部設計の最適化による長寿命効果で軸受を小型化し、ころと軌道輪(内外輪)の転がり接触長さを減少させることで回転トルクを低減(図1④、図2①)。さらに軸受の小型化により、ころのピッチ円径を小さくし、ころと内外輪間の周速を低減、転がり抵抗を抑えることで回転トルクを低減した(図1⑤、図2②)。これらにより、同社標準品比で回転トルクを66%低減(世界最高水準)。優れた低トルク性によって、動力伝達装置のさらなる高効率化ニーズに対応する。

 

図1 開発品断面構造図と特徴

 

図2 標準品と開発品の比較(内部設計の最適化)

 

 開発品は、低昇温性、低トルク性という特長をコンパクトな軸受サイズで実現できるため、動力伝達装置の高効率化や車両の省燃費 ・省電費化だけではなく、装置の小型 ・軽量化、ひいては車内スペースの拡大や運転時の快適性の向上にも貢献する。NTNでは、開発品およびその要素技術を次世代モビリティに適用可能な仕様としてグローバルに提案していく。

kat

NTN、高速回転・高負荷容量の動力伝達装置用円すいころ軸受を量産納入開始

4年 1ヶ月 ago
NTN、高速回転・高負荷容量の動力伝達装置用円すいころ軸受を量産納入開始kat 2020年10日20日(火) in in

 NTNは、自動車のトランスミッションやデファレンシャル向けに開発した「自動車用ULTAGE(アルテージ)円すいころ軸受」の量産納入を開始した。

自動車用ULTAGE円すいころ軸受

 

 トランスミッションやデファレンシャルなどの動力伝達装置は、自動車の省燃費化を背景に小型・軽量化が進んでおり、これに伴い軸受の使用環境は過酷さを増している。

 小型・軽量の装置で従来と同等のトルクを出力するために、装置の高出力化が進み、軸受には高速回転性能が求められている。また、軽量化のために用いられるアルミ製ハウジングは、従来の鉄製のハウジングよりも剛性が低くなり、軸受に加わる偏荷重が増加する。こうした過酷な使用環境下でも軸受寿命を確保するため、動力伝達装置向け軸受では高負荷容量の実現が求められている。

 NTNは、長年にわたる内部設計と加工方法の双方の改良により、優れた低昇温性(耐焼き付き性)を誇る自動車用円すいころ軸受を市場に展開している。今回量産納入を開始した自動車用ULTAGE円すいころ軸受は、独自のころ形状により、低昇温性に加え、従来品を上回る世界最高水準の高速回転性能と高負荷容量を実現している。

 独自のころ形状は、軌道面の接触面圧を最小化させるとともに、つば面の温度上昇を抑制することが可能。これにより、転動疲労寿命を向上させ、高負荷容量を表す基本動定格荷重は従来品比で1.2倍、軸受寿命は1.8倍以上、許容回転速度は約10%向上させている。

 トランスミッションの小型化(軸長短縮化)を実現する長寿命性とともに、優れた低昇温性が評価され、今回の量産納入につながったもの。

軸受構造

 

適用例

 

従来品との比較

 

kat

新東工業、6軸力覚センサがロボットメーカー3社のオプションに採用

4年 1ヶ月 ago
新東工業、6軸力覚センサがロボットメーカー3社のオプションに採用admin 2020年10日16日(金) in in

 新東工業は、歪ゲージ式6軸力覚センサ「ZYXer(ジクサー)」がデンソーウェーブ、川崎重工業、ファナックの国内ロボットメーカー3社ににオプションとして採用されたと発表した。

歪ゲージ式6軸力覚センサ「ZYXer」

 ロボットに力の感覚を与えることができる同社のZYXerは機械特性・電気特性が力覚センサの中でも高い水準にあり、手指の感覚が求められる巧みの作業から、非常に大きな力が必要となる作業、複雑な力の動きを伴う作業まで、すべての力を高精度に測定することを可能にしている。

 同社では今後、産業用ロボットに搭載し部材の研削やバリ取り作業への展開や、協働ロボットに搭載し部品のピッキングや嵌め合わせ、ネジ締め作業などに展開を進めており、さらなるロボット関連事業の拡大を図る。

ロボットへの実装イメージロボットと用途例

 ZYXerは、3軸(XYZ)の荷重と各軸周りのモーメントを高精度に検知することが可能なため、単純作業だけでなく熟練者が行うような高い精度が求められる作業の自動化も可能となり、品質の安定化や省人化を実現可能。また、定格モーメントが大きいため、高速で動くアームロボットへの導入ができ、サイクルタイムの短縮が可能。

 

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NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した建設機械・鉱山機械向け円すいころ軸受を開発

4年 1ヶ月 ago
NTN、特殊熱処理技術で長寿命化を実現した建設機械・鉱山機械向け円すいころ軸受を開発kat 2020年10日15日(木) in in

 NTNは、建設機械や鉱山機械など過酷な使用環境での用途向けに、特殊熱処理技術により耐異物性を強化し、異物混入潤滑条件下で標準品と比べて6倍以上の長寿命化を実現した円すいころ軸受「ETFA軸受」を開発した。建設・鉱山機械などの一般産業機械全般で提案を進め、2026 年度に3億円/年の販売を目指す。

ETFA軸受 主要寸法例 :φ30×φ62×17.25mm(各サイズに対応可能)

 

 建設機械や鉱山機械などは、運転時に強い衝撃や振動が発生すると同時に、軸受の内部に異物が混入するような過酷な環境で使用される。NTNではこれまで、こうした厳しい使用環境の建設機械や鉱山機械向けに、浸炭鋼を用いた円すいころ軸受の標準品「4Top」シリーズのほか、材料の変更や熱処理加工により長寿命化を図った「ETA軸受」を展開してきた。しかし近年は、建設機械はIoT化に伴う無人稼働機の信頼性向上やライフサイクルコストの削減が求められており、使用される軸受についても一層の長寿命化や装置のコンパクト化を図るための小型化・高負荷容量化が必要とされている。

 開発した「ETFA軸受」は、浸炭鋼に新たな熱処理(ETFA処理)を施すことで、異物混入潤滑条件下で、標準品と比べ6倍以上、ETA軸受と比べても2倍以上の寿命を持つことが確認されている。また、清浄油条件下においても、基本定格寿命に対して充分長寿命であることが確認されている。

 適用したETFA処理は、NTNが開発した軸受鋼の特殊熱処理「FA(Fine Austenite Strengthening)処理」技術を浸炭鋼に応用したもの。FA処理は軸受鋼の旧オーステナイト結晶粒を従来の1/2以下(平均粒径で5µm以下)にまで微細化した特殊熱処理方法で、浸炭浸窒された組織を低温で二次焼入れすることにより、軸受を長寿命化できる。

 ETFA処理では、熱処理条件とその管理を改善・強化することで、ETA軸受と同様に、適度に炭化物と残留オーステナイトを分散させた組織としつつ、旧オーステナイト結晶粒を一層微細化し、長寿命と高いロバスト性(耐異物性)を両立している。長寿命化により、より小さいサイズで軸受寿命を維持できるため、装置のコンパクト化にも貢献できる。

kat

BASF、中国・金山で合成エステル系基油の生産能力を増強

4年 1ヶ月 ago
BASF、中国・金山で合成エステル系基油の生産能力を増強kat 2020年10日15日(木) in

 BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、中国の金山サイトで、合成エステル系基油の生産能力を約2倍に増強する。今回の投資は、アジア太平洋地域における高性能潤滑油に対する需要の高まりに対応するもので、同地域の顧客の成長を強力に支援すべく、信頼に応えるサプライヤーとしてのBASFのポジションをさらに強化する狙い。増産体制は、2022年下期までに完了する予定だ。

 合成エステル系基油は、高性能な潤滑剤のフォーミュレーションにおいて不可欠な成分で、サステナビリティの面でもメリットをもたらす。合成エステル系基油の適用分野としては、環境に配慮した冷凍機油やその他工業用潤滑油、自動車用潤滑油などが挙げられる。

 BASFのアジア太平洋地域ビジネスマネージメント燃料・潤滑油ソリューションおよび、 グレーターチャイナのパフォーマンスケミカルズ事業担当、バイス・プレジデントを務めるマティアス・ラング氏は、「今回、合成エステル系基油の製造能力が拡大することにより、特にアジア太平洋地域のユーザーへの供給体制をより強化することができる。BASFは主要な原材料を川上から統合しており、業界をリードし、信頼のおける潤滑剤コンポーネントサプライヤーとして、その強みを最大限に活用していく。ユーザーに対し、より良いサービスを提供し、共に成長していくことを楽しみにしている」と語っている。

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イグス、2種の材質を使用した3Dプリントサービスを開始

4年 1ヶ月 ago
イグス、2種の材質を使用した3Dプリントサービスを開始kat 2020年10日15日(木) in

 イグスは、異なる2種類の材質を一つの3Dプリントパーツとして接合させるソリューションを開発し、3Dプリントサービスを拡充した。異なる材質特性を活かし、設計自由度を高め、製造工程のスピードアップを実現する。

 

 今や3Dプリント技術は、産業界において旋盤や切削等の機械加工プロセスと並ぶ有力な手段となっている。3Dプリント技術を利用する企業は年々増加傾向にあり、ユーザーの要求もますます高度になっている。複数の樹脂材質を組み合わせ、独自の特性を持たせた3Dプリントパーツを作れないか、とのユーザーからの要望を受け、イグスではこのほど、2種類の材質を一つのパーツで組み合わせるソリューションを開発した。

 2種類の材質を使用した3Dプリントは、熱溶解積層方式(FDM)で造形を行う。溶解した2種類の樹脂材質が別々のノズルから押し出されるため、プリント中に材質を切り替えることができ、切替部分で材質同士が接合される。幾何学的な観点からの制約はほとんどなく、一つの材質でもう一つの材質自体を囲んだり、絡み合わせたり、交互に異なる層を繰り返すことが可能。 例外となるのは、材質の融解温度が大幅に異なり、接合が不可能な場合に限られる。この場合は、蟻継ぎのように形状を互いにフィットさせるための接続部を作成して結合する。

 3Dプリント材質には難燃性、耐薬品性、食品接触用、ESD対策用など様々な種類があり、それぞれ個別の特性を備えている。二つの特性を組み合わせる場合、これまでは各材質パーツを3Dプリントした後に組み合わせることしかできなかった。今回、2種類の材質を同時に使用できる3Dプリント技術を開発したことによって、両方の特性を一つのパーツに備えることが可能になり、設計自由度の向上とプロセスの迅速化を実現できる。

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豊中計装、サブスク制の設備監視システムを発売開始

4年 1ヶ月 ago
豊中計装、サブスク制の設備監視システムを発売開始kat 2020年10日07日(水) in

 豊中計装は10月1日、センサ、パソコン、伝送装置、配線材料、接続、ソフトのほか、個別設定、動作確認も含めたサブスクリプション制の監視システムの販売を開始した。

 端末ユニットに接続する信号の内容に応じて、NC機器の運転状況の監視や劣化・漏電の監視 故障停止の前の予兆保全につながる監視など様々な用途に活用できる。また、30年の連続使用実績のある同社の情報伝送システム「ユニバーサルライン」によって、長期にわたり安定・安心して使用できる。

 価格は1年契約の場合、監視点数8点の管理一式で¥133000/月(1点あたり16700円/月)、監視点数200点の管理一式で¥555000/月(1点あたり2800円/月)。

 特徴は、以下のとおり

・センサ、パソコン、伝送装置、配線材料、接続、ソフトのほか、個別設定、動作確認も含めたシステム一式のサブスクリプションで管理、計測、監視が行え、すぐに運用が可能

・納入後に監視点数を追加することも可能 (監視点数8点~4096点)

・年一回の無料メンテナンス、バージョンアップ付き

システムの全体構成

 

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木村洋行、ロボット分野で超薄型ボールベアリング、電動アクチュエータの適用拡大へ

4年 1ヶ月 ago
木村洋行、ロボット分野で超薄型ボールベアリング、電動アクチュエータの適用拡大へ in kat 2020年10日05日(月) in

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)はケイドン社の超薄型ボールベアリングと、本年1月から取扱いを開始したEWELLIX(エバリックス)社の電動アクチュエータについて、ロボット分野での適用を拡大している。ここでは、それら製品技術の概要と特徴について紹介するとともに、その特徴を活かしたロボット分野での各種アプリケーションや、日本国内における今後の展開などについて紹介する。

超薄型ボールベアリング 概要と特徴

 1941年に創業されたケイドン社は、1950年代に世界で初めて超薄型ボールベアリング(Reali-Slimシリーズ)を開発し量産を開始した唯一の専門メーカーで、現在はSKFグループとして超薄型ボールベアリングを中心に、あらゆる用途に応じたカスタムベアリングの開発も手掛けている。
 

内径が大きくなっても断面サイズが一定の
ケイドン超薄型ボールベアリング

 

 ケイドンの超薄型ボールベアリングは内径25.4~1016mmまでのサイズをくまなくラインナップ。最大の特徴はベアリング断面が超薄型であるため、装置に占めるベアリングのスペースを最小化でき、装置全体の省スペース・軽量化が図れるため、設計の自由度が向上する点が挙げられる。断面寸法は4.76mmから25.4mmまで複数のタイプをシリーズ化している。実物を見ると超薄型ベアリングの薄さを実感できるが、カタログアイテムでもある内径1016mmの超薄型ベアリングは、その見た目のインパクトは特に大きい。

 一般的なISO規格・JIS規格のベアリングでは内径が大きくなるのに比例して断面サイズも大きくなるのに対し、ケイドン超薄型ベアリングは断面サイズでシリーズ化されており、内径が大きくなっても同じシリーズ内であれば断面サイズは変わらない。
  

ISO規格のベアリング(図中、上から3点)と
ケイドン超薄型ベアリングの断面サイズの比較

 

 超薄型ボールベアリングは塗装・溶接ロボットから半導体搬送ロボット、多関節ロボット、人型ロボット、さらには宇宙環境用ロボットまで様々なロボットに適用されている。その採用理由としてはケイドンを使用することで装置の小型・軽量化を図れるだけでなく、ボールベアリングであるために起動トルクと回転トルクが軽くて非常に安定しており、高い回転精度も実現できることが大きい。

 ロボット関連ではラジアルやアキシアル荷重のほか、高いモーメント荷重も同時に掛かる複合荷重のアプリケーションが多いことから、超薄型ベアリングでもアンギュラコンタクトを用いた組み合わせベアリングや、上記の複合荷重を1列で同時に受けることができる4点接触型ベアリングが用いられている。アンギュラコンタクトの組み合わせであればベアリングも2列必要なところを、4点接触型ベアリングであれば1列で済むため、装置設計をさらにコンパクト化・軽量化でき、ベアリング使用点数の削減がそのままコスト削減にもつながる。

 上述の断面サイズが内径の大小にかかわらず一定であるというケイドン超薄型ベアリングの特徴によって、設計の自由度を高められる。通常のISO・JIS規格のベアリングは内径を大きくするほど断面寸法も大きくなるため中空シャフトを使用しにくく、必然的に従来型のソリッド・シャフト(キングポスト・タイプ)を使用せざるをえないケースが多くなり、設計自由度に制約があった。これに対し、大口径のケイドン超薄型ベアリングを使用することで大口径中空シャフトへの置き換えが可能になる。これに伴い、気体・液体の配管類、あるいは電気配線やスリップリング等を中空シャフト内に収納でき、省スペースで効率的なデザインにできる。
 

ソリッド・シャフトから超薄型ベアリングを使用した中空シャフトへの移行例

 

 ケイドンでは、超薄型ベアリングよりさらに薄型断面が必要な用途に対しても、世界最小断面寸法 2.5mmという「ウルトラスリム・ボールベアリング」を提案可能だ。

ロボット分野での適用

宇宙環境用作業ロボット

 ケイドン超薄型ベアリングは1960年代のアポロ計画の宇宙服のヘルメットリング向けに採用され、その後も、米国航空宇宙局(NASA)の月面探査車向け等に宇宙空間の厳しい仕様環境に耐えるベアリングとして採用されている。
宇宙環境下では軽量・省スペース化が求められるとともに、真空環境、極低温~高温の幅広い温度領域で精密な動きを求められ、ベアリングにとって非常に過酷な環境での稼働と高い信頼性を求められる。そのため内外輪の材質だけでなく、ボールや保持器の材質、潤滑剤の選定などでケイドンの長年の経験が生きている。

 近年も、超薄型ベアリングは新世代宇宙環境用作業ロボット(CAESARシーザー)をはじめ、NASAの火星探査機など多くの案件で宇宙空間でのスムースな回転と高い信頼性を実現してきた。上述のとおり中空軸の径を大きくできることにより、可動部への電力供給を行うための内部配線が可能なことも採用の理由となっている。

宇宙環境用ロボット(CAESARシーザー)

 

半導体製造装置・ウェハー搬送ロボット

 宇宙機器での実績から、同じく真空環境で作動する半導体製造におけるウェハー搬送ロボットに採用されている。超薄型ボールベアリングはロボットをよりコンパクト化でき、トランスファーチャンバーの容積をより小さくできる。これにより、装置全体の小型化が図れる。半導体製造装置関係でしばしば問題となるパーティクルやアウトガス低減の対策として、宇宙環境向けケイドンベアリングと同様にボールや内外輪、保持器の材質を変更したハイブリッドタイプベアリングも適用されている。

 

電動アクチュエータ 概要と特徴

 木村洋行では本年1月から、スウェーデンに本社を置くEWELLIX(エバリックス)社の直動製品の取扱いを開始している。エバリックス社は、SKFグループだったSKF Motion Technologies社を前身とする直動製品メーカーで、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評がある。

 特徴のあるピラー型電動アクチュエータは、ストローク長や荷重、速度、偏荷重など、アプリケーションごとの仕様条件に合わせた提案が可能で、高荷重という厳しい仕様条件に対応しながらも、低騒音かつ堅牢さが求められる厳しいニーズにも対応できる。
 

ピラー型電動アクチュエータ

 

ロボット分野での適用

協働ロボットの垂直方向の動作範囲拡大

 ユニバーサルロボット(UR)社とのコラボによる6軸協働ロボットのアクセサリ(ユニバーサルロボットの公式UR+ソリューションであるUR+コンポーネンツ)として、ピラー型アクチュエータを協働ロボット用にカスタマイズし、垂直方向に動作させることによりURロボットの動作範囲を拡大できる「LIFTKIT」を提案している。LIFTKITの垂直方向の最大ストローク長は500~900mmで、最大許容荷重は1500N。

 キットにはピラー型アクチュエータに協働ロボットを接続するためのプレートや動力ケーブル、制御ケーブル、協働ロボットのティーチングペンダントでピラー型アクチュエータの上下動も制御できるソフトウェア・プラグイン(UR Caps)、コントローラー、マニュアルティーチングのためのハンドスイッチなどが含まれており、動作できるようになるまでのセットアップは約15分と迅速・簡単に行える。

 URロボットをはじめとした協働ロボットでは、作業者との衝突防止など安全性の確保も重要となる。ピラー型アクチュエータ自体でセーフティー・ストップはできないが、アクチュエータと接続した協働ロボットの把持部などが作業者に接触した場合、把持部のセンサが検知して協働ロボットだけでなくピラー型アクチュエータの動作も制御できる。このような安全性の確保については、医療機器向け規格IEC60601-1も取得しているエバリックス社のノウハウがいかんなく発揮されている。

 URロボットの基台としてピラー型アクチュエータである「LIFTKIT」を使用することで、設置面積を抑えつつロボットの昇降移動を実現でき、垂直方向のアームリーチの有効範囲が拡大できる。これによりロボット単体の時と比較して、倉庫でのパレタイジング作業などにおいて作業効率を飛躍的に向上できる。
 

LIFTKITによるパレタイジング作業例

 

協働ロボットの水平方向の動作範囲拡大

 ユニバーサルロボット社の公式UR+アクセサリとしてはLIFTKITと同様に、単軸横置アクチュエータに協働ロボットを接続し、搬送やピック&プレースなどロボットの水平方向の動作範囲を拡大でき、作業効率を飛躍的に向上できる「SLIDEKIT」を提案している。SLIDEKITの水平方向のスライド長は100~1800mmで、最大許容荷重は10900N(動的)と12100N(静的)、最大動的モーメント荷重は2400 Nm(Mx)、1800 Nm(Mz)。

 LIFTKITと同様に専用プラグインソフトウェア(UR Caps)を付属しているため、セットアップが容易となっている。
 

SLIDEKITを用いたピック&プレース作業例

 

 ニーズに応じてSLIDEKIT上にLIFTKITを載せて併用することも可能であり、その場合URロボットの垂直方向と水平方向の動作範囲を大幅かつ同時に拡大できる。

 「LIFTKIT(UR+)/SLIDEKIT(UR+)」に対しては、UR社代理店やシステムインテグレータを通じて、協働ロボットのアームリーチの有効範囲を拡大したい、作業範囲を広げたいなどのニーズに対し、新規導入時に加えて、導入済みの協働ロボットのシステムアップグレードへのニーズも高まってきている。UR社以外のロボットではティーチングペンダントでのLIFTKIT/SLIDEKITの操作はできないものの、より大型のロボットや重量物を移動するロボットなどと接続してもその作業範囲を拡張できるため、木村洋行では、日本製ロボットのユーザーにも対象を拡大して、提案を進めていく。

遊星型ローラースクリューによる高負荷条件下での精密駆動

 エバリックス社の直動製品としては、遊星型ローラースクリューにも特徴があり、ねじとねじとのしゅう動という構造によって高剛性化を実現している。同サイズのボールスクリューよりも高荷重を受けられ、動定格荷重3994kNまで対応できるため、コンパクト化と耐久性の向上が図れる。

 過酷な荷重条件においても必要な寿命を達成できることから、射出成型機やリベットマシンなどの各種用途で、高負荷条件下での精密駆動を可能にしている。また、高負荷対応のため従来は油圧駆動を適用していた用途向けにも、ローラースクリューとモーターの組み合わせに置換えて電動化することでコンパクト化と省エネ化を実現し、同時に動作ムラの改善を図ったケースもある。
 

遊星型ローラースクリュー遊星型ローラースクリューの特徴

 

今後の展開

 ケイドン超薄型ボールベアリングは、日本国内でも1980年代からロボット分野での採用が進んでいる。産業用ロボットの適用分野が拡大する中で近年、軽くて安定した起動トルクと回転トルクに加えて高い回転精度の実現を求める用途が増える傾向にあり、1列で複合的な荷重を支持できる4点接触型ベアリングをはじめとしたケイドン超薄型ベアリングの需要がますます増えてきている。

 木村洋行ではこれまで、ロボット向けソリューションとしてはケイドン超薄型ベアリングがメインだったが、URロボットをはじめとした協働ロボットの作動範囲を拡張できるエバリックス社の電動アクチュエータという新たなソリューションが加わり、適用分野の裾野が広がっている。ケイドン社、エバリックス社ともに、ニッチなアプリケーションにも対応可能な小ロットからのカスタマイズに対応しているため、木村洋行では、ロボット分野をはじめ要求レベルが世界一厳しいとされる日本のメーカーの多様なニーズに対して最適なソリューションを提供できるよう、常に新しいトレンドに関する情報をキャッチしながら、現場の課題解決に努めていく考えだ。

■それぞれの製品情報については、こちらから。

kat

OKI、AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテストを開催、社会実装に向けたAIエッジの取組みと成果を披露

4年 1ヶ月 ago
OKI、AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテストを開催、社会実装に向けたAIエッジの取組みと成果を披露kat 2020年10日01日(木) in

 沖電気工業(OKI)は9月29日、東京都千代田区の東京ミッドタウン日比谷で「AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテスト」を開催した。本イベントは、OKIがAI(人工知能)エッジ戦略およびAIエッジコンピューター「AE2100」を発表して約1年を迎え、また、この間に同社のユーザーである77社に及ぶAIエッジパートナーとの共創を進めてきたことを総括して、AIエッジの社会実装に向けた新たな取組みを紹介するとともに、共創パートナーのうち選抜された19社によるAIエッジ・ソリューションを発表し競う場として企画されたもの。ニューノーマルでの試みとして、YouTube OKI公式チャンネルを通じて1000名程度に配信されたほか、OKI Vチューバーが司会・進行役を務めた。

会場のようす

 

<第1部:AIエッジ・カンファレンス>

 

・講演「OKIのAIエッジ社会実装と新たな取組み」OKI 取締役専務執行役員 ソリューションシステム事業本部長 坪井正志氏

 同社は昨年10月、リアルタイムなデータ活用を必要とするエッジ市場領域に向けたAIエッジコンピューティング戦略を発表。同時に、高速ディープラーニング推論処理をエッジで実現する、耐環境性に優れたAIエッジコンピューター「AE2100」を発売した。様々なセンサーをつなぐインターフェースを有する(IoT Ready)とともに、高性能なAIアクセラレータを搭載(AI Ready)、さらに安全・安心のセキュリティー機能を持つ(Security Ready)、国内初のアーキテクチャーとなっている。

 重いセンシングデータをクラウドに送ってAI処理するのではなく、製造現場に近いエッジ領域にあるAE2100がセンシングデータのAI処理を行うことでDXに不可欠なリアルタイム性・高信頼性が確保できる。AIエッジで得られたデータをクラウドで再学習させ新しい学習モデルをアップデートすることで、AE2100の解析精度を向上できる。

 同時に、パートナーとの共創を通じたAIエッジ領域の市場活性化を目指し、エコシステムの拡大を目的とするAE2100無償提供モニターキャンペーンを開始。第一弾では150社に、第二弾では300社に対象を拡大している。OKIではAIエッジコンピューティング事業を拡大すべく現在77社のAIエッジパートナーをさらに増やし、エッジ領域における様々な社会課題の解決に向け、幅広い分野のパートナーとの共創によるビジネスの創出と強化に取り組んでいる。

 講演では、共創で進めているAIエッジの社会実装の取組みとして、①車載・船舶、②工場・故障予兆検知、③海・密漁監視、④サービスロボットの事例を紹介。工場の予兆保全では、日本ユニシスの回転機械不具合予兆検知サービス「VibSign™」とAE2100を組み合わせて、故障の予兆があった際に画面に異常警告が表示されるAIエッジ・ソリューションを紹介した。

 また、AIエッジ×5Gの展開によるスマートシティー実現に向けて具体的な検証を積み重ねていることや、総務省の「地域課題解決型プロジェクト」において、群馬県と、電子機器等を生産するOKI本庄工場、電機部品を生産する太陽誘電 玉村工場とで、工場のローカル5Gを検証し、製造業標準モデルを構築する取組みを進めていることを報告した。

 最後に、エコシステム拡大、パートナーAIソリューションの拡大によるAIエッジ活用ソリューションの発展と、2021年度にも上市予定の、性能を大幅に向上した次世代機AE2100などAIエッジコンピューターの商品充実などでAIエッジ事業を継続・増強していくと述べた。

坪井 氏

 

・基調講演「AIにできること、できないこと」テンソルコンサルティング 代表取締役(工学博士)藤本浩司氏

 AIとはコンピューターに知的作業を行わせる技術で、真の知性のメカニズムをコンピューター内に作り上げる「強いAI」と、知的作業と同等レベルの結果を出せるアルゴリズムを作る「弱いAI」に大別できるが、現状は後者がほとんど。

 究極のAIに必要な力としては、①解決すべき課題を定める力である「動機」、②何が正解か、どうなったら解けたとするかを定める力である「目標設計」、③考えるべきことを捉え、解く上で検討すべきことを絞る力である「思考集中」、④課題を解く要素、正解へとつなげる要素を見つける力である「発見」がある。現状のAIでは発見の一部が可能になっているレベルのため、動機、目標設計、思考集中という力・プロセスに人間が関与して初めて、タスク特化型AIが成立すると解説した。

藤本 氏

 

・パネルディスカッション「AIの社会実装に向けた具体的な課題と取組み」

 モデレーター:
 角川アスキー総合研究所 メディア&マーケティング事業部 ASCII課 TECH.ASCII.jp編集長 大谷イビサ氏

 パネリスト:
 中央大学 AI・データサイエンスセンター所長 理工学部・教授 樋口知之氏
 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー弁護士・ニューヨーク州弁護士 大阪大学招聘教授 三部裕幸氏
 OKI 坪井正志氏

 AI社会実装に向けた課題として倫理やセキュリティー、人材育成、産学連携などの観点から議論がなされた。米国、欧州がAIについて法・倫理の両面から具体的な策を打ち出しているのに対して、日本では法制化やルール作りはほとんど進んでいない。一方、欧米ではコンピューター科学、データサイエンス、統計学・生物統計学の素養のあるデータサイエンティストが育っているのに対して、日本ではデータサイエンスおよび統計学の面が弱い。

 倫理の観点からは、日本においてもAIビジネスを進める上で個人情報の保護などのリスクマネージメントが必須で、人材育成の観点では、日本の強みであるチーム作り、現場の課題を見つけ解決できるビジネス力を備えた人材を育てるべき。AIの社会実装では産業同士および産学連携によるエコシステムの構築・拡大が重要との合意がなされた。

左から、大谷氏、樋口氏、三部氏、坪井氏

 

<第2部:AIエッジ・ソリューションコンテスト>

 パートナーとの共創を通じたAIエッジ領域の市場活性化、エコシステムの拡大を目的に共創を進めるAIエッジパートナーから選ばれた19社が、OKIが注力する6分野(交通、建設/インフラ、防災、金融・流通、製造、海洋)の社会課題解決をはじめ、各社またはその顧客の課題を解決するAE2100を活用し自社ソリューションと組み合わせたAIエッジ・ソリューションを紹介し、バーチャル会場での関係者による投票の結果、以下のとおり受賞者が決定した。

・第1位:ミライト「事業/居住地・人里周辺における害獣対策」200万円、盾、チャンピオンベルト ・第2位:キューオキ「AIスマートパーキング」賞金100万円、盾 ・第3位:コンピュータマインド「強化学習を用いた信号制御 我輩の辞書に「渋滞」の文字はない」賞金50万円、盾 表彰式のようす

 

 会場ではまた、AE2100のプラットフォームにFPGA(製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路)による俯瞰映像合成機能を組み込み、360°の周囲監視・操作支援を遠隔からスムーズに実現、自動運転支援にも寄与するリアルタイムリモートモニタリングシステム 「フライングビュー®」や、ディープラーニング技術を用いた映像データのリアルタイム解析などにより、安全走行違反車による事故防止と車両走行地域の安全管理業務の負荷低減を実現する「AISION 車両センシングシステム」など、AE2100を活用したOKIの映像AIソリューションの新商品も展示された。

フライングビュー

 

AISION 車両センシングシステム


 

kat

THK、ミニチュアLMガイドのラインナップを拡充

4年 1ヶ月 ago
THK、ミニチュアLMガイドのラインナップを拡充kat 2020年09日30日(水) in in

 THKは、ミニチュアLM ガイド「RSX形」のラインナップを拡充し、最小形番RSX5 を追加、RSX7~15 のブロックの長さバリエーションを充実させたほか、新たに高温用タイプの受注も開始した。

最小形番RSX5、RSX7〜15

 

高温用タイプ RSX9・12・15

 

 ミニチュアLMガイド「RSX形」は、2条のボール転動面を有し、既存タイプのボール循環部の改良を重ねたことで、より滑らかな動きを実現した。また、省スペースでの用途に適したコンパクト構造ながら、モーメントが作用する箇所でも1軸使用ができる。

 新たなラインナップには、最小形番のRSX5、RSX7~15のショートブロック/ロングブロックが加わった。さらに、RSX9、RSX12、RSX15 には、要求の高かった高温用タイプが追加された。

 同社では独自の新製品開発を通して、小型電子部品の関連装置から小型の一般産業用機械まで、幅広いユーザーのニーズに対応していく考えだ。

 特徴は以下のとおり。

・コンパクト設計:LMレールの側面に各々1条列(2条のボール転動面)を配置し、LMレール断面の高さを低く抑えたコンパクトな構造となっており、スペースに限りがある箇所への取付けが可能

・優れた防錆性能:LMブロック、LMレール、ボールともに、防錆性能に優れたステンレス鋼を使用

・ボール脱落が起きにくい構造:ボール保持ワイヤーを内蔵し、LMブロック内のボールが脱落しにくい構造を実現。LMブロックをLMレールから抜き挿しする場合でも、ボールの脱落を心配することなく組付けが行える

・独自技術を駆使した高温仕様(RSX9・12・15のみ)
RSX9・12・15 は、独自の技術、熱処理を施したステンレス鋼を使用することで、最高使用温度150℃に対応。また、封入されている高温用グリースは、常温から高温へ温度が変化してもグリースによる転がり抵抗値の変動を低く抑える

kat

イグス、バスケーブルで定格電圧300V UL認証を取得

4年 1ヶ月 ago
イグス、バスケーブルで定格電圧300V UL認証を取得kat 2020年09日28日(月) in

 イグスは、可動ケーブル「チェーンフレックス バスケーブル」について、定格電圧300VのUL認証を取得した。これまでは、UL規格に従って異なる電圧等級のケーブルは分離して組み付ける必要があったが、今回の認証取得によりエネルギー供給システムの設計自由度が上がり、設計コストや時間を節約できる。

 Underwriters Laboratories (UL) は、製品安全規格を策定し、それに従って製品試験・検査・認証を行う米国の独立機関。防火に関して高度な規格を定めており、試験済み製品のみがUL認証を受けることができる。認証によって機械やシステムが標準化され、世界規模での販売や流通が容易になる。

 ケーブルに関するUL規格では、エネルギー供給システム内の異なる電圧等級のケーブルは、常に機械的に分離されていなければならないと定めている。このため、ケーブル保護管「エナジーチェーンシステム」の設計には多くの時間とコストが費やされていた。そこで、負担を軽減して技術を向上させるため、イグスはチェーンフレックス バスケーブルCF888、CFBUS.PVC、CF898、およびCFBUS.PURのUL規格上の定格電圧を30Vから300Vに引き上げ、UL認証を取得したもの。これにより、定格電圧300Vまでのケーブルを直接隣接させて敷設することが可能になり、ケーブルの分離が不要で、エナジーチェーンのサイズ縮小、組み付けのコストや手間の削減にも貢献できる。

 チェーンフレックス 300V UL認証バスケーブルは、PVC、PUR、igusPUR、PURの4種類の外被を用意。ユーザーは、使用条件に最適でコスト効率の高い可動ケーブルをこの中から選択することができる。300V ULバスケーブルの耐久性は、広さ3800㎡のドイツ本社の試験施設でも実証済みで、曲げ半径10.3×dのCFBUS.PUR.049バスケーブルは、約1700万往復回数の耐久試験をクリアしている。
 
 

定格電圧300VのUL認証を取得したチェーンフレックス バスケーブル

 

kat

ジェイテクト、駆動製品2種がトヨタ「GRヤリス」に搭載

4年 1ヶ月 ago
ジェイテクト、駆動製品2種がトヨタ「GRヤリス」に搭載kat 2020年09日25日(金) in in

 ジェイテクトの駆動製品であるトルク感応型LSD「トルセン®LSD」と4WD車用電子制御カップリング「ITCC®」が、本年9月4日に発売されたトヨタ自動車の新型車「GRヤリス」に搭載された。それら駆動製品は、「モータースポーツ用の車両を市販化する」という逆転の発想で開発したGRヤリスの高レベルのスポーツドライビングの実現に貢献している。

GRヤリス(ミッドランドスクエア・トヨタ自動車ショールームにて撮影)

 

 トルセン®LSDは、自動車の旋回時に左右輪もしくは前後輪のトルクを最適配分する駆動装置であるLSD(リミテッドスリップデフ)の一種で、ヘリカルギヤを用いて差動制限を行うLSDとして、高いトルク配分性能と高耐久性を誇る。

 現在では主に四輪駆動車に搭載され、前後輪のトルク配分を行う「トルセン Type-C」とスポーツタイプの後輪駆動車をはじめ前輪駆動車にも搭載され主に左右輪のトルク配分を行う「トルセン Type-B」を日本、ベルギー、アメリカで生産している。

 GRヤリスでは、「RZ “High performance”」の車両の前後にトルセンType-Bが採用され、GRヤリスの使用環境下に適用するため、高強度・高容量化を図り、より高いレベルのスポーツドライビングに対応している。

トルセンType-B フロント用イメージ

 

トルセンType-B リヤ用イメージ

 

 4WD車用電子制御カップリングITCC® (Intelligent Torque Controlled Coupling)は、電子制御により駆動力を連続的に可変して伝達するカップリングで、通常は四輪駆動車のリヤディファレンシャルとプロペラシャフトの間に搭載され、前後輪の駆動力を連続的に可変することで、高い燃費効率と優れたトラクション性能を両立する装置。

 そのコアとなる技術は、シリコン含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC-Si)という、ダイヤモンドに近い特性を持ち、摩耗に強い非結晶の炭素を数ミクロンの膜として被覆した電磁クラッチと専用開発のフルードで、小型で優れた耐久性と静粛性を併せ持つ。

 「電子制御多板クラッチ」とも呼ばれているITCCは、GRヤリス「RZ」「RC」に採用されている「スポーツ4WDシステム“ GR-FOUR ”」の構成部品として搭載され、GRヤリスの使用環境下に適応するため、高温対応、高容量化を図り、ドライブスタイル、路面状況に応じた前後トルク配分のコントロールに貢献している。

ITCC製品イメージ

 

 ジェイテクト駆動事業では引き続き、スポーツカーの走行性の向上に加え、乗用車の安全性向上、環境性向上に貢献するとともに、商用車への技術展開や次世代自動車への技術貢献が可能な駆動製品の研究開発を積極的に進めていく考えだ。

kat
Checked
45 分 6 秒 ago
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