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DLC工業会、2022年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

2年 4ヶ月 ago
DLC工業会、2022年定時会員総会と功労賞授賞式を開催

 DLC工業会( http://dlck.org/ )は6月17日、オンライン会議システムを利用したリモート方式により「2022年定時社員総会」を開催した。当日は、中森秀樹会長(ナノテック 代表取締役社長)を議長に選出して議事が進行された。

議事進行を行う中森会長

 議事においては2021年度事業報告、決算報告が行われた後、2022年度事業計画(案)、同予算(案)について審議、満場一致で可決された。事業計画では、技術委員会が中心となりオンライン会議システムを利用して講演会を開催すること、「DLC膜性能評価試験の規格適合性を証明する制度」による規格適合性確認マークの発行を行うこと、同工業会とニューダイヤモンドフォーラム(NDF)が共同して経済産業省のDLC国際標準化に関わる委託事業を受託し必要な業務を実施することなどを確認した。引き続き、理事・監事選任について審議が行われ、会長に中森氏が再任された。

 また、当日の席上では「DLC工業会功労賞」の授賞式が行われ、ウエキコーポレーションが受賞。DLCの普及やDLC工業会の活動に大きな貢献をしたことが認められた。木本伊彦社長に代わり参加していた大竹和彦顧問が賞状と盾を受け取った。

中森会長と大竹氏

 同工業会の現時点での正会員は、ナノテック、リックス、アルテクス、トッケン、平和電機、ナノテックシュピンドラー、フロロコート、ウエキコーポレーション、レスカ、ウォルツの10社。特別会員は大竹尚登氏(東京工業大学)、大花継頼氏(産業技術総合研究所)、平栗健二氏(東京電機大学)、平田 敦氏(東京工業大学)の4名となっている。

admin 2022年6月29日 (水曜日)
admin

高機能トライボ表面プロセス部会とドライコーティング研究会、合同研究会を開催

2年 4ヶ月 ago
高機能トライボ表面プロセス部会とドライコーティング研究会、合同研究会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は6月23日、岐阜県岐阜市の岐阜大学サテライトキャンパスで合同研究会を開催した。前者は第18回例会、後者は第61回研究会となる。

開催のようす

 

 高機能トライボ表面プロセス部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 また、AMPIでは所有する各種のレーザ装置やプラズマ装置を利用した加工技術や表面改質技術の研究開発、中小企業の技術支援、という二つのミッションを通じニーズとシーズを常に探っているが、ドライコーティング研究会はこうした観点からAMPIを母体にして、ドライコーティングなどの技術について研究会を開催することで、産官学問わず幅広い有識者の参加により、専門家の講演や保有技術の紹介など、活発な情報交換や勉強会の場を提供している。

 今回の合同研究会では、高機能トライボ表面プロセス部会の上坂氏とドライコーティング研究会の殖栗成夫氏(AMPI)の開会挨拶に続いて、以下のとおり講演が行われた。

 

挨拶する上坂氏

 

挨拶する殖栗氏

 

「DLCコーティングに及ぼす潤滑油添加剤の影響」大久保 光氏(横浜国立大学)…脂肪酸油中の超低摩擦現象の研究では、周波数応答原子間力顕微鏡(FM-AFM)による固液界面構造の可視化によって超低摩擦の要因を調査。DLC膜の種類によっては超低摩擦現象が発現しないこと、水素終端の有無が超低摩擦に影響すること、超低摩擦が多層の吸着膜により発現していることが示唆された。また、MoDTC(Molybdenum dithiocarbamate)油中の異常摩耗現象の研究では、ラマン分光分析と膜厚計測をin-situ計測(装置から試料片を外さずに測定)できるIn-situ Raman-SLIM摩擦試験機での評価によって、特定の領域でMoDTCの分解生成物がDLC膜上で形成され同じ領域でDLC膜の構造が変化していること、DLC膜の構造を評価する指標ID/IGが増加=グラファイト化していること、ToF-SIMSを援用することでMo-Cの生成を確認、Mo-Cの生成量がDLC膜の構造変化、異常摩耗の原因となっていることなどを推定した。さらに、添加剤の反応に乏しく摩擦摩耗特性の向上が困難なa-C:H膜に最適な潤滑油添加剤の適用に向けた研究では、反応機構が表面活性に依存せずDLC膜構造を破壊しないナノカーボン添加剤として多層フラーレン(MLF)を添加した、潤滑油環境下における各種DLC膜を比較試験しそれぞれのトライボロジー現象について検証、MLF添加によりa-C:H/a-C:Hの摺動で超低摩擦現象(μ=0.01)や膜のはく離抑制効果、大幅な摩擦低減・摩耗低減効果が確認されたことを報告した。

講演する大久保氏

 

「UBMスパッタ法およびAIP法を活用した成膜技術~金属ガラス膜・窒化ホウ素膜の研究事例~」小畠淳平氏(大阪産業技術研究所)…約80%の高いイオン化率と1μm/h以上の高い成膜速度を実現できるカソ―ディック真空アーク(CVA)法によって立方窒化ホウ素(c-BN)膜を形成するためのターゲット開発では、アーク放電で割れない耐熱衝撃性に優れたホウ素(B)を主成分とするターゲット材開発を目標として、放電プラズマ焼結(SPS)法によってBを主成分とし炭素繊維を分散・添加した焼結体を作製。焼結実験を通じ、CF添加の機能について検討した結果、焼結体に耐熱衝撃性(アーク放電耐性)が付与されることが確認された。作製したB-CF焼結体からなる実機用試作ターゲットを用いた成膜実験を実施、c-BN膜の合成に必要なh-BN膜を得るにはN2ガス分率を増大させアーク電流を減少させるのが有効であること、c-BN 膜を得るのにh-BN膜が得られる成膜条件で高い負のパルス基板バイアス電圧を印加したがc-BN が主成分の膜が得られなかったためより高いエネルギーをイオンに付与する必要があることなどの知見を得た。また、新たな熱ナノインプリント材料の開発を目的として、アンバランスドマグネトロンスパッタ(UBMS)法を用いてTi-Cu基金属ガラス膜を形成した研究では、アルゴン(Ar)含有量の多い膜ほど、優れた熱ナノインプリント成形結果を示したことを報告した。

講演する小畠氏

 

「FCVA成膜方法による水素フリーDLC(ta-C)の特徴と応用」川上達哉氏(ナノフィルムテクノロジーズ ジャパン)…特許技術であるFCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)成膜技術と、同技術を用いたドロップレットが極めて少なく高硬度、低摩擦、可変膜厚、低温成膜、優れた密着性などの特徴を持つ水素フリーDLC膜、ta-C(Tetrahedral Amorphous Carbon)について紹介した。FCVAの特徴として、パーティクルが除去されイオン化された炭素のみで成膜できること、基材にバイアスをかけることでイオン粒子のエネルギーレベルを任意に可変できるため室温で一原子ずつち密に成膜でき膜質を制御できること、FCVAで生成されるコーティングスピーシーズが高エネルギーで均一なピークエネルギーを有するため、室温下で高密度・高硬度・高密着性の薄膜を提供できることを挙げた。また、一般的なDLC 膜のsp3構造が50%以下なのに対し、FCVAによるta-C膜では最大で88%に及び、ビッカース硬度5000の高硬度、約3.3g/cm2とダイヤモンド並みの高密度、低摩擦係数、耐食性、耐摩耗性などの特徴を持つことなどを紹介した。ta-C膜の主要応用事例として、精密金型や自動車部品、アルミ切削工具などの事例を示したほか、ta-C膜以外の差別化技術として、FCVAにより成膜するナノ結晶窒化クロム(CrN)セラミックスコーティングMiCC®を紹介。MiCCが高硬度で低い摩擦係数、高い耐食性、低い表面エネルギーなどの特徴を有し、半導体封止パッケージ金型成形などに適用されていることなどを示した。

講演する川上氏

 

「ステンレス鋼に成膜した多層DLC膜の機械的特性と摩耗特性」西本明生氏(関西大学)…オーステナイト系ステンレス鋼の耐食性や加工性、非磁性などの長所を保持しつつ、弱点である硬さ・耐摩耗性を向上させる表面改質技術として、同ステンレス鋼に各種の多層DLCコーティングを施し種々の機械的特性を比較調査した。異なるガスを用いてSi-DLC/DLC膜を多層に成膜し、機械的特性への影響を比較調査した研究では、膜の数が4層に増加すると硬さ・密着性が向上し、CH4ガスのDLC膜よりもC2H2ガスのDLC膜の方が硬さ・密着性・低摩擦特性が向上すること、膜数増加による摩擦係数への影響が見られないことが明らかになった。また、1層あたりの膜厚が異なるSi-DLC/DLC膜を多層に成膜し、機械的特性への影響を比較調査した研究では、Si-DLCとDLCの膜厚比が1:1で膜数が4層であるDLC膜が最も耐久性に優れていること、基材側に厚い膜を形成させた多層DLC膜の方が耐摩耗性などの特性が向上すること、膜厚が小さくなりすぎると著しく特性が悪化することが明らかになった。さらに、アクティブスクリーンプラズマ窒化(ASPN)とDLCコーティングの複合処理による機械的特性を調査した研究では、ASPN処理後にバフ研磨を行ったDLC膜の耐摩耗性が最も高いこと、ASPN処理材ではDLC膜の完全はく離荷重が増加すること、ASPN処理材で良好な密着性が得られること、DLC膜の密着性は残留応力差が小さいほど良好になること、すなわちASPN処理を適用することでDLC膜の密着性が改善されることが明らかになった。

講演する西本氏

 

 最後に上坂氏より、このほど新設され自身がセンター長を務める岐阜大学 工学部 附属プラズマ応用研究センターの紹介がなされた。“共同研究等により研究成果の社会実装および社会人教育を通じて、地域産業界の発展に貢献する”という同大学の地域連携に関する理念のもと設立された“ワンストップ・プラズマトライセンター”を掲げるプラズマ応用研究センターが保有する、MVP(Microwave sheath-Voltage combination Plasma)プロセス装置、大気圧プラズマ装置、EBEP処理装置、HiPIMS(High Power Impulse Magnetron Sputtering)成膜装置など豊富な設備を紹介しつつ、各種保有設備の利用しての産学共同による研究を呼び掛けた。

岐阜大学 工学部 附属プラズマ応用研究センターの紹介

 

kat 2022年6月29日 (水曜日)
kat