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イグス、機械熱回収システムを開発

2年 4ヶ月 ago
イグス、機械熱回収システムを開発kat 2023年05日19日(金) in

 イグスは、射出成形機で使用した冷却水の熱を、産業工場の暖房に利用する機械熱回収システム(MHRS)を開発した。ガス代の節約とCO2排出量の削減を実現するこの技術を誰でも利用できるように、詳細な情報をオンラインで無料提供している。この熱回収技術を適用することでコスト削減と環境保護への貢献が可能となる。

 

 イグスでは、2025年までにカーボンニュートラル生産を達成するという目標に向けた取組みの一環として、射出成形機の廃熱を利用した機械熱回収システム(MHRS)を開発、このMHRSの技術で、ドイツ・ケルン本社の大型工場のホールを暖房することに成功した。MHRSは、暖房要件に応じて、冷却回路を流れる熱を帯びた冷却水を直接ファンヒーターに誘導し、同時に機械の過熱を防ぐ。冷却水から抽出された熱でホールを暖めるため、ガス代を節約できる。また、ファンヒーターを通過する際に熱が取り出されるため、冷却塔での冷却要求が減少し、冷却に必要な電力も少なくなる。

 変動する冷却回路の温度は、システムで可変的に調整できる。MHRSは高価なヒートポンプを経由せず、熱交換器も必要ないため、温度損失を防ぐ。コンプレッサーから熱を追加で供給する必要がない。

 射出成形機の油圧モータは、オーバーヒートを防ぐために冷却水が使われる。熱を帯びた水は冷却塔で冷却され、配管システムで再び機械に供給される。冷却塔で取り出された熱は大気中に逃げ、エネルギーとして損失してしまう。

 MHRSでは、冷却回路の熱の一部を制御ユニットで取り込み、従来のガスヒーターの横に設置した新しいファンヒーターに直接送る。ヒーターの詰まりを防ぐため、ストレーナーが水中の浮遊物をろ過して除去。熱を帯びた水が新しいヒーターに入ると、従来のヒーターの動作が停止し、ヒーターに搭載されたファンで暖かい空気をホール内に行き渡らせる。その後、水が冷却塔に戻り、サイクルが再び開始する。熱交換器を使用しないため、低温域での運用も可能としている。

 イグスは将来的に、MHRSの技術を利用して、工場およびオフィスエリアの暖房を、すべて機械熱で対応することを計画している。次の計画は、7209m2の物流センターに、9個のファンヒーターを装備することで、これだけでも毎年約31.5tのCO2を削減できる。これは、イグスが2025年までに建物および生産の完全なカーボンニュートラル化を達成するという目標に近づくための重要なステップであり、同社はこの大きな可能性を秘めた技術を他の産業・企業にも無料で提供することを決定している。

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NTN、e-Axle 向け絶縁被膜付き軸受を開発

2年 4ヶ月 ago
NTN、e-Axle 向け絶縁被膜付き軸受を開発kat 2023年05日19日(金) in in

 NTNは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用されるe-Axle向けの耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」を開発した。軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施すことで、耐電圧100V以上の絶縁性能により電食の発生を抑制し、バッテリーの高電圧化などに対応する。開発した絶縁被膜は世界最高水準の高速回転性能を誇る高速深溝玉軸受を含む同社のe-Axle向け軸受商品への適用も可能。

 同社はe-Axle の電食に対応する商品として、セラミック製の転動体を用いた軸受を提供してきたが、今後はコスト面に優れた本開発品を同社の電食対策商品のラインアップに加えることで、e-Axleの進化に伴って高まる耐電食のニーズに対応し、EV・HEV のさらなる普及や高機能化に貢献していく。開発品について同社では、2027年度に5億円/年の販売を目指す。

e-Axle向け耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」


 

平行軸e-Axleにおける適用例(赤丸部分)

 

 近年、脱炭素化に向けた取組みが進む中、自動車市場においてはEVやHEVをはじめとする環境対応車の開発・普及が加速している。これらのモータを主動力源とする自動車には、モータとインバータ、減速機の三つが一体化したe-Axleが搭載されている。e-Axleはバッテリーの電気により稼働するが、軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織が溶融するとはく離などの損傷につながることから、軸受には漏洩電流による電食への対応が必要とされている。これに対して開発品は以下の特徴を持つ。

1.耐電食性能:軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施すことで耐電圧100V以上の絶縁性能を実現。モータ用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定されるため、今後増加が見込まれるバッテリー電圧800V に対応可能な耐電圧を有する

2.放熱性能:耐電食性と放熱性を両立する膜厚とすることで、被膜加工を施していない標準品と同等の放熱性能を備えている

3.耐摩耗性能:絶縁被膜は摩擦係数が低く耐摩耗性に優れており、被膜加工を施していない標準品と比べて外輪外径とハウジング内径の総摩耗量を88%低減できる。これにより、固定されていた外輪が円周方向に回転して摩耗するクリープ現象が発生した際も、絶縁に必要な被膜を維持できる

電食試験後の外輪軌道面(左:標準品、右:開発品)
標準品では電食特有の波板状の損傷が発生している


 

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NTN、リヤ用小型・軽量ドライブシャフトの販売を拡大

2年 4ヶ月 ago
NTN、リヤ用小型・軽量ドライブシャフトの販売を拡大kat 2023年05日19日(金) in in

 NTNは、高級車に多く採用されている後輪駆動車に最適なリヤ用小型・軽量ドライブシャフト「Rシリーズ」の販売を拡大している。省燃費・省電費化に向けて自動車構成部品の小型・軽量化が進む中で、リヤ用ドライブシャフトとして世界最小・最軽量となる同シリーズは、その適用による高い燃費改善効果が評価され、日本や欧州などの自動車メーカー数社の後輪駆動を主とするSUVや電気自動車(EV)で採用されている。同社では2027年度に80億円/年の販売を目指す。

 ドライブシャフトはエンジンやモータなどのパワートレインユニットの動力(トルク)をタイヤに伝える部品で、タイヤ側(固定式)とデファレンシャル側(しゅう動式)の二つの等速ジョイント(CVJ)とそれらをつなぐシャフトで構成される。

 リヤ用小型・軽量ドライブシャフトRシリーズは、同社が2015年に開発した「リヤ用軽量ドライブシャフト」の設計をベースに幅広いサイズバリエーションを取り揃えたシリーズで、後輪駆動の内燃機関車やEVに適用が可能となっている。

 リヤ用ドライブシャフトには従来、フロント用CVJが流用されてきたが、Rシリーズは、リヤ用に必要な作動角や機能に限定した形状への最適化を図るとともに、肉厚を薄くした中空シャフトとコンパクトブーツを採用している。これら各構成部品の見直しにより、必要な負荷容量を確保しながら、フロント用CVJとして世界最高水準の小型・軽量を実現していた従来品よりもさらに30%軽量化(中型クラスの後輪駆動車に適用されるドライブシャフトの場合:2.2kg軽量化)、外輪外径を3~5%小型化し、リヤ用CVJとして世界最小・最軽量を実現した。作動角度は19°(固定式、しゅう動式)。

 脱炭素化社会を背景に自動車のCO2排出量の削減への対策が進む中、ドライブシャフトの軽量化へのニーズはこれまで以上に高まっている。Rシリーズの軽量化による燃費改善効果をJAPIA LCI算出ガイドライン(日本自動車部品工業会が定める自動車の製造、使用段階における効率的なライフサイクル環境負荷量の算出方法)に基づき内燃機関車で試算した場合、従来品適用車両に対して燃費は0.05%の改善、CO2排出量は0.075g/km の削減効果が見込まれる。こうした高い環境性能が欧州をはじめとする国内外の自動車メーカーに高く評価され採用につながったもので、2018年に量産を開始して以来、着実に販売を拡大している。

 今後、燃費規制が一層厳しくなる中、後輪駆動形式が採用される傾向にある高級車への適用の可能性が広がるほか、EVにおいては走行性能を向上させるために車両の前方と後方にそれぞれパワートレインユニットを配置する四輪駆動車(4WD)が増加する傾向にあり、軽量を特徴とする同シリーズの需要はさらに高まることが見込まれている。

 同社は、世界シェア2位を誇るドライブシャフトのトップメーカとして、自動車のトレンドや変化するニーズを着実に捉えた商品の開発・提供を通じて業界をリードするとともに、同シリーズをはじめとする高機能商品の一層の販売拡大を通じて、環境負荷の低減に貢献していく考えだ。

Rシリーズの構成

 

適用箇所

 

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