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東京理科大学・佐々木研究室、第39回トライボサロンを開催
東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第39回目が12月20日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。
トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室のメンバーに限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。
第39回目となる今回のトライボサロンでは、ダウ・ケミカル日本の大宮 尊氏が、ポルトガルのコインブラ大学での自身の博士課程研究である「ドープDLCと機能化コポリマーを組み合わせた新規潤滑システム」について、話題提供を行った。エンジン油中のZnDTP(金属添加剤)の配合を低減させつつエンジン部品の境界潤滑領域での摩擦摩耗特性の向上を図ることを目的に、化学的に不活性であるDLCコーティングの表面に新たな反応性を付与すべくドーパントとしてシリコン(Si)を導入し直流マグネトロンスパッタリング(DCMS)で成膜したSiドープDLCと、SARA ATRP法によって自ら合成した機能化コポリマーPLMA-b-PDMAEMAを組み合わせた新規潤滑システムを開発した。トライボロジー試験の結果、摩擦・摩耗低減効果が認められ、機能化コポリマーの構成要素の分子吸着挙動の解析やトライボロジー試験後のToF-SIMSおよびシンクロトロンXPS、FIB-TEMによる表面分析の結果、機能化コポリマーがSi-DLC表面上でN-Si化学吸着を起点としたトライボフィルムが形成され、摩擦摩耗特性が改善されたと総括した。
このほか、車両データ・走行データなどの入力データからオイル性状という出力データを導く潤滑油劣化予測システムの開発や、成膜条件・ターゲット特性などの入力データから硬度・ヤング率・膜厚などの出力データを導くDLC成膜の予測システムの開発、イオン液体とドープDLCの組み合わせによる新規潤滑システムの開発などの話題を提供した。
トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
https://www.tribo-concierge.com/topics/296/