メインコンテンツに移動

Aggregator

BASF、旭化成ロイカ事業部にバイオマスバランス・アプローチによるテトラヒドロフランを供給

7ヶ月 ago
BASF、旭化成ロイカ事業部にバイオマスバランス・アプローチによるテトラヒドロフランを供給kat 2023年10日11日(水) in

 BASFは、旭化成のロイカ事業部に、バイオマスバランス・アプローチによるテトラヒドロフラン(THF BMB)を供給する。旭化成は、BASFのTHF BMBを使用して、ロイカ®ブランドのもと、サステナブルなマスバランスグレードのプレミアムストレッチファイバーを生産する。今回の提携は、旭化成の顧客による新しいサステナブルなアパレルコレクションの立ち上げをサポートすることを目的としたもの。

 ロイカ®はMB(マスバランス アプローチ)ストレッチファイバーを同社の多くの製品にオプションとして供給している。同ブランドはMBストレッチファイバーで市場に進出予定で、すでに複数のアパレルメーカーと協議を開始している。

 BASFのTHF BMBは、既存製品と比較して製品カーボンフットプリント(PCF)が大幅に削減されていることが評価されているが、これはフェアブント(統合生産拠点)での製造において、使用する一定量の化石原料を再生可能原料に置き換えることによって実現している。旭化成は、BASFのTHF BMBの使用により、同社の既存製品と比べてCO2排出量を約25%削減できる。また、同社独自のマスバランス方式と再生可能エネルギーを生産に導入することで、旭化成は製品のCO2排出量をさらに約25%削減し、CO2排出量を既存製品よりもトータルで約50%削減することを目指す。

 BASFのTHF BMBは、大規模な投資や製品フォーミュレーションの変更を必要としないドロップイン・ソリューションで、従来の製品と同一の品質と特性を保持できる。

 BASF中間体事業本部アジア太平洋地域のジオール&デリバティブ事業管理部門 ディレクターであるチュン・ガ・プア氏は、「旭化成とのサステナビリティパートナーシップによる発展を大変うれしく思う。世界のアパレル市場では、よりサステナブルな原料を採用する傾向が強まっている。当社はバイオマスバランス・アプローチ開発のパイオニアとして、顧客が低炭素で循環型のバイオ経済への移行を加速できるようにサポートしていく。そして、消費者がサステナブルな製品の十分な情報を得た上で、購買を判断できるように促し、よりサステナブルなテキスタイルのバリューチェーンを構築していく」と語っている。

 旭化成のライフイノベーション事業本部 ロイカ事業部の事業部長である神山剛啓氏は、「革新的な素材の開発と製造におけるグローバルリーダーの一社として、当社は事業の柱である独自性とサステナビリティを結びつける取り組みにおける新たな一歩と捉えている」と述べている。

 THFはエーテルのような臭いを持つ無色の水混和性の液体。この場合、THFは ポリテトラヒドロフラン(PolyTHF®)の製造に使用され、高弾性のスパンデックスやエラスタン繊維の原料になる。さらにTHFは、有機物質に対して中間的な極性を持つ有機溶媒として機能し、さまざまな合成の反応溶媒や出発物質として使用される。

旭化成のロイカの持続可能なマスバランスグレードのプレミアムストレッチファイバーには、BASFのTHF BMBが使用されている

 

kat

BASF、独ルートヴィッヒスハーフェン拠点で中分子ポリイソブテンの生産能力を拡大

7ヶ月 ago
BASF、独ルートヴィッヒスハーフェン拠点で中分子ポリイソブテンの生産能力を拡大kat 2023年10日11日(水) in

 BASFは、OPPANOL®(オパノール) Bの製品名で販売されている中分子ポリイソブテンの、自社拠点における生産能力を25%拡大する。今回の投資は、高品質の中分子ポリイソブテンに対する世界的な需要の高まりに対応するためのもので、2025 年前半までに、生産能力の拡大を完了する予定。

 BASF 燃料・潤滑油ソリューション部門 シニア・バイスプレジデントのレナ・アダム氏は、「今回の中分子ポリイソブテンの生産能力拡大によって、BASFはさまざまな業界の顧客からの厳しい要求に応え、顧客の成長をサポートする、信頼できるサプライヤーになりたいと考えている」と語っている。

 中分子ポリイソブテンは、自動車、建設、エレクトロニクス、食品・包装業界など、さまざまな業種の製品に必要不可欠なコンポーネントで、用途としては、表面保護フィルム、窓枠用シーラント、電池用バインダー材料、また食品包装材などが挙げられる。

 BASF のグローバル・マーケティングおよび製品開発、燃料・潤滑油ソリューション部門のバイスプレジデントであるターニャ・ロスト氏は、「BASFの中分子ポリイソブテンOPPANOL® Bの生産能力を拡大することで、顧客はエネルギー効率の高い住宅など、持続可能な開発に貢献する革新的なソリューションによって成長できるようになる。主要原材料への後方統合を強化することで、中分子ポリイソブテンの世界的リーダーとしてのBASFの強みを最大限に活用していく」と述べている。

kat

JASIS2023開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

7ヶ月 ago
JASIS2023開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2023」を開催した。展示会では、354社・機関、1096小間(昨年322社・機関、982小間)の出展と「新技術説明会」、「JASISトピックスセミナー」の講演が多数催された。リアル展示会への来場者は16115名(昨年12465名)、新技術説明会の聴講者数は6908名(同9884名)、トピックスセミナーの聴講者数は4991名(昨年2654名)だった。表面試験・評価機器関連では以下のような展示があった。

JASIS2023のようす

 大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )は、測定する人も場所も選ばずに、瞬時に対象物(フィルムやガラスなどの透明材料)の三次元情報として、光の波の情報全て(光波動場)を独自の波面センサで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象(以後、対象)から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得して、取得した三次元情報を、後から無段階で任意面を再生できる(デジタルリフォーカシング)。また、防振に優れた独自設計のため設置環境をあまり気にしないで済む。

大塚電子「MINUK」

 JFEテクノリサーチ( https://www.jfe-tec.co.jp/ )は、シリコンウエハやガラス、樹脂フィルム、金属などの表面の0.1~50μmの薄膜の膜厚分布を短時間に高精度で測定・表示できる膜厚分布測定装置「FiDiCa(フィディカ)」を紹介した。面分光が可能な同社独自のイメージング分光器「インスペクター」を用い、薄膜の分光スペクトルを測定し、分光干渉法を利用した独自アルゴリズムにより、膜厚の分布を高解像度かつ高精度に測定する。従来の分光干渉法を用いた膜厚計は、点測定のため、走査して面分布を測定すると100点でも1時間以上要していたという。本装置では、150万点の膜厚データを約10分で測定することができ、大幅な効率化が図れる。測定モードは、高精細と高速の二つのモードを備えている。A4サイズの対象を高精細モードで0.2mmメッシュでは約10分間で測定する。高速モードで3mmメッシュでは約15秒間で迅速に測定が行える。

JFEテクノリサーチ「「FiDiCa」」

 島津製作所( https://www.shimadzu.co.jp/ )は、堀場製作所と共同開発を行った「LC-Ramanシステム」の実機を展示した。同システムは島津製作所の高速液体クロマトグラフ(HPLC)と堀場製作所のラマン分光装置を融合させた計測機器。HPLCの「わける」技術とラマン分光装置の「みえる」技術の融合により、計測の精度や効率を大幅に高めるとともに未知成分の検出も期待できる。HPLCとラマン分光装置をつなぐ専門ソフトウェア「LiChRa(リクラ)」を搭載し、それぞれから得られたデータや試料情報を紐付け一元管理を行う。アプリケーションとしては、ヘルスケア分野ではバイオマーカー探索や生体中成分の分析、食品分野では糖類、脂肪酸の組成分析や新規機能成分の探索、化成品分野では合成化合物の構造推定、不純物評価、化粧品などの成分構造変化分析など。

島津製作所「LC-Ramanシステム」

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学「トライボギアTYPE:40」

 THK( https://www.thk.com/ )は、軸受に求められる機能と非磁性を高次元で両立する直動案内「LMガイド」、ボールねじ、ボールスプライン、クロスローラーリングなどの「高機能非磁性製品」を紹介した。磁気をほとんど帯びず、かつ軸受に適した硬度を持つ特殊合金「THK-NM1」を使用することで、比透磁率が1.005未満という高水準の非磁性を実現、強磁場を発生させる核磁気共鳴分析装置(NMR)や電荷を帯びた粒子を扱う透過型電子顕微鏡(TEM)などでの使用に最適。今回はまた、そうした分析装置・観察装置への試料のハンドリングを行い24時間の無人での分析や実験を実施できる、自社製ロボットやロボットハンド「ならいグリップハンド」を用いた自動化システムを提案した。

THK「自社製ロボットおよびロボットハンドを用いた分析・実験業務の自動化システム」

 パーク・システムズ・ジャパン( https://www.parksystems.co.jp/ )は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 リガク( https://japan.rigaku.com/ja )は、業界初の自己診断機能vestaeye®の搭載により、今までは測定を行わないと判断がつかなかった潜在的な問題も早期に発見し素早く対処することが可能となる示差走査熱量計(DSC)「Thermo plus EVO3シリーズ DSCvesta2」を紹介した。オートサンプルチェンジャー(ASC)付きの場合の測定条件は、単一ウィンドウで簡単に設定でき24試料までセット&1000連続測定が可能なため、測定点数が多いときや長時間の無人測定に有効。各種冷却ユニットや試料観察ユニットとも干渉せずに同時使用が可能で拡張性に優れているほか、センサの機械的強度や熱応力に強いエンボス形状で、耐久性を追求した。

リガク「DSCvesta2」

 

admin 2023年10月11日 (水曜日)
admin

木村洋行、ローラースクリューを用いた電動アクチュエータと超薄型ボールベアリングの 加工分野での適用を拡大

7ヶ月 ago
木村洋行、ローラースクリューを用いた電動アクチュエータと超薄型ボールベアリングの 加工分野での適用を拡大 in kat 2023年10日11日(水) in in ローラースクリュー 概要と特長

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)では、2020年1月からEWELLIX(エバリックス)社の直動製品の取り扱いを開始している。エバリックスは、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評がある直動製品メーカーで、本年1月にSchaeffler(シェフラー)社の傘下となり、かねてから進めてきたセンサーおよびコントローラー関連の研究開発を加速させている。

 エバリックス独自の直動製品の一つに、「ローラースクリュー」がある。ボールを転動体とするボールねじが点接触で運動するのに対し、ローラーを転動体とするローラースクリューは面接触で運動するため、ボールねじに比べ①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、といった特長を持つ。

 図1(a)は、𝐿10寿命計算に使われる基本動定格荷重(一群の同じ製品を運転した時に、その内の 90%がはく離を起こさずに回転できる寿命が100万回転になるような軸方向荷重、Ca)の比較だが、図1(a)からは例えば同じ軸径φラースクリューの基本動定格荷重は130kN程度と、より大きな荷重が受けられることが分かる。

 このことから図1(b)に示すとおり、同じ基本動定格荷重で見ると、高負荷容量ボールねじに比べエバリックスのローラースクリューは、ナットの長さを約3〜4割短縮できる。これは、ナットのダウンサイジングによる省スペース化が図れ、装置をコンパクト化できることを意味する。

 また、ボールねじなどの軸方向荷重としては一般的に、メーカーは基本動定格荷重の30%以下で使用することを推奨している。この値が許容荷重で、図1(c)は、エバリックスのローラースクリューが面接触により面圧を分散できるため、同じ軸径で比較すると、高負荷容量ボールねじの約3.3倍の許容荷重を有すること、つまり、はるかに高い耐荷重能力を持つことを示している。

 こうしたことからローラースクリューでは、同等の基本動定格荷重であればボールねじに比べ軸径の小さな製品にダウンサイジングでき、重量を大幅に軽くすることで、慣性モーメント(イナーシャ)も大幅に小さくできる(図2)。

 エバリックスのローラースクリューのシリーズとしては、大別して遊星型と循環型があるが、ここでは遊星型ローラースクリュー「SR」と、それを用いた電動アクチュエータ「CEMC」の概要について、さらにはCEMCの加工分野における適用例について紹介する。
 

図1 エバリックス ローラースクリュー vs. 重荷重用ボールねじ(リード10mmで比較)

 

図2 同等の基本動定格荷重のボールねじからのダウンサイジングの効果

 

遊星型ローラースクリュー

 遊星型ローラースクリュー「SR」は、ねじ軸と、ねじ軸の周りに、ガイドで固定してそれぞれが非接触で配置された、両先端にギヤを切り本体には螺旋ねじを持つローラー、ローラー先端のギヤが噛み合う内歯車(ギヤリング:toothed ring)、ローラーの螺旋ねじと同じ角度の螺旋溝を内側に施したナットなどから構成される(図3)。

 ねじ軸の回転とともに各ローラーは、先端のギヤがギヤリングと噛み合いながら軸の周りを遊星運動で回転、これによってナットの直線運動へと変換される。

 遊星型ローラースクリューの特長としては、転がり接触によって低摩擦で、耐荷重能力が高く、循環型ローラースクリューのような循環機構を必要とせず、また衝撃荷重・振動を受けないため高速・高加速が要求されるアプリケーションに適していること、などが挙げられる。ローラー先端のギヤとギヤリングとの噛み合いによって、ボールねじで見られるような高加速の際の滑りも起こらない。
 

図3 遊星型ローラースクリューの構造

 

遊星型ローラースクリューを用いた高性能アクチュエータ

 電動アクチュエータ「CEMC」は、中空シャフトモーターのシャフトに上述の遊星型ローラースクリューを用いている(図4図5)。このためCEMCは、ローラースクリューの特長である①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、を実現する。コンパクトで高推力を図りつつ、イナーシャを最小化することによって制御性・応答性が良好で、サイクルタイムを劇的に改善し高い生産性を実現できる。
 
 

図4 CEMCの外観:1.給油ニップル 2.プッシュチューブ 3.アンギュラ玉軸受 4.遊星型ローラースクリュー 5.中空シャフトサーボモーター 6.モーター用コネクター 7.フェールセーフ用ブレーキオプション 8.位置フィードバックオプション 9.防塵用スクレーパーシール

 

図5 CEMCの構造

 

加工分野での適用事例

 ローラースクリューを用いた電動アクチュエータは、スポット溶接ロボットや樹脂を押し出す射出成形機やブロー成形機、金属加工に用いるサーボプレス機など、高荷重がかかる用途で多くの実績を持つ。スポット溶接ロボットではXタイプのガンフレームとCタイプのガンフレームで採用されていて、Xタイプガンフレーム(図6)では、溶接するワークを挟む機構として二つのガンアームを最大ストローク180mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~25kN)を保持する。また、Cタイプガンフレームでは、一つのガンアームをXタイプよりも高速に、最大ストローク300mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~15kN)を保持する。

 ボールねじを大径にしないと高推力を発生できず、装置内で大径ボールねじのスペースが確保できないような場合に、ローラースクリューとそれを用いた電動アクチュエータでは、ダウンサイジングによる省スペース化が可能となる。

 一方、高推力が必要とされる際に多用されてきた油圧アクチュエータから、CEMCなどのローラースクリューを用いた電動アクチュエータへと置き替えることによって、制御性や分解能を向上でき、必要とされるエネルギーを大幅に削減できるほか、油圧作動油の管理といったメンテナンスコストが削減できるなど、生産コストの低減と生産効率の向上に寄与できる。
 

図6 スポット溶接ロボットⅩタイプガンフレームでの適用例
超薄型ボールベアリング 概要と特長

 木村洋行は長年にわたり、1950年代に世界で初めて超薄型ボールベアリング「Reali-Slimシリーズ」(図7)を開発し、量産を開始した唯一の専門メーカーKAYDON(ケイドン)社の日本総代理店を務めている。ケイドンは現在、SKFグループ企業として、あらゆる用途に応じたカスタムベアリングの開発も手掛けている

 

図7 内径が大きくなっても断面サイズが一定の
ケイドン超薄型ボールベアリング

 

 ケイドン超薄型ボールベアリングの最大の特長としては、断面が超薄型のため装置に占めるベアリングのスペースを最小化でき、装置全体の省スペース・軽量化が図れ、設計の自由度が向上する点が挙げられる。一般的なISO規格・JIS規格のベアリングでは内径が大きくなるのに比例して断面サイズも大きくなるのに対し、ケイドン超薄型ベアリングは断面サイズでシリーズ化されており、図7に示すとおり、内径が大きくなっても同じシリーズ内であれば断面サイズは変わらない。

 ケイドン超薄型ボールベアリングには、ラジアル荷重を受ける深溝型(Type-C)と、通常は2列以上の複列で用いてラジアル荷重、アキシアル荷重とモーメント荷重の複合荷重を同時に支えることができるアンギュラコンタクト型(Type-A)、この複合荷重を単列のベアリングのみで受けられる4点接触型(Type-X)がある。特に、複合荷重を受けられる4点接触型を使用することで大口径中空シャフトへの置き換えが可能になるだけでなく、単列仕様にできるため軸方向の長さをさらに短縮できる。気体・液体の配管類、電気配線やスリップリングなどを中空シャフト内に収納可能など、フレキシブルで効率的なデザインにできる。

 

加工分野での適用事例

 ケイドン超薄型ベアリングは内径が大きくなっても断面サイズが超薄型なことから、工作機械でも省スペース設計が可能で、外輪に歯切りした大口径ターンテーブル用ベアリングや、ツールチェンジャー用ベアリングなどに採用され、装置の省スペース設計のほか軽量化による消費電力の低減にも寄与している。
 工作機械でも砥石がワークの外周側を回転する用途では、砥石を支持するベアリングの内径を大きくしつつ外径寸法を抑える必要がある。このような用途では、ケイドン超薄型ボールベアリングの使用が有効な解決策となる。

 

今後の展開

 ものづくり現場での自動化・ロボット化が進展し効率向上からメンテナンス期間延長などが求められる中で、耐久性が高いエバリックスの電動アクチュエータの採用が進んできている。また、装置の省スペース設計が可能な点からは、エバリックスのローラースクリューやケイドンの超薄型ベアリングが注目されてきている。いずれも高い負荷容量、長寿命化を実現しつつ、サイズダウン化でき軽量化が図れることからは、装置の消費電力の低減、ひいてはCO2削減にも寄与できる。

 シェフラーグループの一員として万全の開発バックアップ体制のもと、エバリックスでは近年進めてきたセンサーやコントローラーの研究開発が加速してきており、伝送速度が速く拡張性の高いコントローラー・エリア・ネットワーク(CAN)バス通信規格に対応した製品が投入されてきている。CANバス通信規格に対応したスマート電動アクチュエータ「CAHB-2xS(2xSのラインナップ:20S、21S、22S)」は、素早く滑らかな動作を実現できるため、より高い生産性を実現できる。高荷重条件で使われ近年IoT化の進む建設機械の荷台駆動などで素早く角度を変えるといった、屋外における適用も拡大してきている(図8)。

 木村洋行では、このように製品・技術・アプリケーション情報のアップデートを常に図っている。製品・技術・アプリケーションに関する知見とノウハウを蓄積しつつ、ユーザーとの対話の中でニーズを的確にとらえることで、さまざまな用途に合わせてカスタマイズが可能なエバリックス製品とケイドン製品の特質を生かした、ユーザーの仕様に最適なソリューションを提供していく。同社ではまた、従来から実施している、機械を正常に稼働させるための総合的な技術的サポートについても引き続き注力していく考えだ。
 
 

図8  CAHB-2xSの建設機械での適用例

 

kat

THK、ジャパンモビリティショーで独自開発のEVプロトタイプを披露

7ヶ月 ago
THK、ジャパンモビリティショーで独自開発のEVプロトタイプを披露kat 2023年10日11日(水) in in

 THKは、10月25日~(一般公開は10月28日~)11月5日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023、JMS)」に初出展し、実走行可能なEVプロトタイプである「LSR-05」を世界で初めて披露する。

 本EVプロトタイプには、THKが独自開発したEV向け先進技術が多数搭載。デザインはSN DESIGN PLATFORM(SNDP)が担当し、両社が一体となって未来に向けた新しいモビリティの姿を具現化した。

 

ダイナミックかつエレガントなエクステリアのクロスオーバー4シータークーペ 「LSR-05」
サイズは全長4995mm、全幅1965mm、全高1530mm

 

 クロスオーバー4シータークーペ「LSR-05」は、「ラグジュアリーでスポーティなデザイン、革新的な技術」をキーワードに開発された。車名は、Luxury、Sport、Revolutionそれぞれの頭文字を表す。

 この車名は、1972年にTHKが世界で初めて開発した「直線運動案内」である初代LMガイド「LSR」にも由来するほか、創業50周年の節目という思いと、車の開発をスタートしてから5世代目という意味が「05」には込められている。

 プラットフォームにはTHK独自開発の93kW(800V仕様)の可変磁束型インホイールモーターをリアに2基、フロントには220kW(800V仕様)のモーターを1基搭載した4輪ステア機構を採用。さらにはアクティブサスペンション、MR流体減衰力可変ダンパー、電動ブレーキなどを搭載し、上質な乗り心地と優れた操縦安定性を実現した。

 また、室内に採用したステルスシートスライドシステムはフロアの完全なフラット化を可能とし、高級感ある快適な空間を演出する。

 非接触給電システムも採用することなど、LSR-05ではTHKが目指す未来に向けた新しいモビリティの姿を表現している。

THKが独自開発しLSR-05に搭載したEV向け先進技術


 

kat