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光洋マグネティックベアリング、磁気軸受が下水処理場の曝気用ブロワに採用
ジェイテクトのグループ会社である光洋マグネティックベアリングの磁気軸受が、下水処理場の曝気用ブロワ(送風機)に採用された。
生活・生産によって生じた汚水は、下水処理場で汚れを分解する微生物の働きを利用して浄化されている。しかし微生物は空気がないと生きられないことから、汚水には絶えず空気を送り込む必要があり、空気を送り込む曝気用ブロワには一層の長時間連続運転が求められている。特に、多人口の国では大量の汚水をきれいにする必要があるため、さらなる高出力化も求められている。
光洋マグネティックベアリングでは今回、これらの要求に対応可能な磁気軸受製品の下水処理場への納入を開始したもの。これにより、曝気用ブロワの連続運転時間延長と高出力化に貢献する。
磁気軸受とは、電磁石の力を制御し、回転体を非接触で空中に支持する軸受で、従来の転がり軸受と比較して、以下のとおり特徴を有し、適用による効果を発現できる。
・摩擦ゼロによって、転がり軸受では対応困難な超高速回転(dn値(回転軸の直径× 回転数)360万)=高出力化に対応可能
・転がり軸受は回転をスムーズにし、摩擦損失を低減させるために潤滑油が必要だが、磁気軸受は非接触であるため潤滑油が不要。潤滑油を供給する装置が不要になり、機械を小型化できる
・転がり軸受は摩擦により摩耗するため定期的な交換が必要だが、磁気軸受は非接触=摩耗しないため定期交換が不要。また、潤滑油も長期使用により劣化するため交換が必要になるが、潤滑油も不要なため定期交換が不要。このメンテナンスフリー化によって連続運転時間の延長とランニングコスト削減が可能になるほか、軸受・油の廃棄がないため、環境にもやさしい
・磁気軸受はセンサーで回転体の位置を把握し、電子制御により回転体を中心に支持しているため、回転体の状態をリアルタイムで把握することが可能で、異常発生前の計画的なメンテナンスの実施が可能
磁気軸受 簡易概要図
転がり軸受による支持イメージ(左)と磁気軸受による支持イメージ(右)
ジェイテクトグループでは、転がり軸受ではこれまで達成できなかった高速回転領域、低温・高温などの様々な特殊環境にも適応する磁気軸受システムを提供し、あらゆる産業に貢献していく考えだ。
なお、今回の開発品を通じて、「安全な水とトイレを世界中に」というSDGsの目標(目標6)への貢献が可能となっている。
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日立建機とNIMS、歯車の再利用可否の判定手法を開発
日立建機( https://www.hitachicm.com/global/jp/ )と物質・材料研究機構(NIMS、 https://www.nims.go.jp/ )は、建設機械の部品の一つである歯車について再利用可否の判定手法を共同で開発した。
歯車の再利用可否判定の様子本手法を活用することで、再生部品を製造する工程において、歯車の再利用可否を定量的な基準に沿って判断できるようになる。これにより、これまで廃棄していた歯車が減少するため、CO2排出量の抑制および産業廃棄物の削減が可能となる。
日立建機の部品再生事業は、顧客の使用済み純正部品(油圧シリンダ、油圧ポンプ、走行装置など)を修理や定期交換時に回収し、分解・整備後、新品同等の機能保証付きの再生部品として、顧客にリユースしてもらう事業。
再生部品を製造する工程で、例えば減速機の場合は、複数の歯車の組み合わせで構成されているため、分解後に各部品の再利用可否や、どの程度の加工・修理を行うべきかを判断する必要がある。歯車の再利用可否は、表面の傷、摩耗の度合いなど、目視などによる外観上の検査で推定寿命を判断していたため、定量的な基準を設けることが課題となっていた。
本手法は、日立建機 ライフサイクルサポート本部 再生事業部とNIMS構造材料研究拠点環境疲労特性グループが共同開発したもので、2019年から取り組んできた。さまざまな稼働時間の建設機械から取り外した減速機の歯車にX線を照射して、表層組織の変化を測定する試験を重ね、疲労の蓄積による金属組織の変化と残留応力の変化に相関関係があることが分かった。
この相関関係に着目しながら、表層組織の変化を定量的に測定するNIMSの技術と日立建機の再生部品に関するデータや知見を組み合わせることで、歯車の損傷の有無を定量的な基準で定め、再利用の可否を判定できるようになった。なお、本手法を用いた場合、超大型油圧ショベルでの部品の定期交換において、1台当たり約14トンのCO2排出量の低減が見込まれる。
歯車が組み込まれている旋回減速機(左)と走行減速機(右)本手法は、日立建機の土浦工場と常陸那珂工場において、2021年1月より試験的に導入を開始しており、2021年度中に本格的な導入を予定している。将来的には、再生事業を行っている日立建機グループの海外拠点への導入も計画している。日立建機とNIMSは、これからも共同開発を継続し、再生部品のデータベースとAIを組み合わせて、より高精度かつ迅速に歯車の再利用可否を判定する手法の開発を目指す。
admin 2021年7月12日 (月曜日)