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木村洋行、超薄型ボールベアリング、電動アクチュエータおよびローラースクリューを半導体分野や加工分野で適用展開

4年 1ヶ月 ago
木村洋行、超薄型ボールベアリング、電動アクチュエータおよびローラースクリューを半導体分野や加工分野で適用展開kat 2021年12日14日(火) in in

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)は長年にわたり販売に携わってきたケイドン社の超薄型ボールベアリングと、2020年から取扱いを開始したEWELLIX(エバリックス)社の電動アクチュエータについて、半導体分野や加工分野などでの適用拡大を推進している。

 ここでは、それら製品技術の適用の利点について紹介するとともに、その利点を活かした半導体分野および加工分野での各種アプリケーションや、日本国内における今後の展開などについて紹介する。

  超薄型ボールベアリング 概要と特徴

 1941年に創業されたKAYDON(ケイドン)社は、1950年代に世界で初めて超薄型ボールベアリング(Reali-Slimシリーズ)を開発し量産を開始した唯一の専門メーカーで、現在はSKFグループとして超薄型ボールベアリングを中心に、あらゆる用途に応じたカスタムベアリングの開発も手掛けている。

 

内径が大きくなっても断面サイズが一定のケイドン超薄型ボールベアリング

 

 ケイドン超薄型ボールベアリングは内径25.4~1016mmまでのサイズをくまなくラインナップしている。最大の特徴はベアリング断面が超薄型であるため、装置に占めるベアリングのスペースを最小化でき、装置全体の省スペース・軽量化が図れるため、設計の自由度が向上する点が挙げられる。一般的なISO規格・JIS規格のベアリングでは内径が大きくなるのに比例して断面サイズも大きくなるのに対し、ケイドン超薄型ベアリングは断面サイズでシリーズ化されており、内径が大きくなっても同じシリーズ内であれば断面サイズは変わらない。

 ケイドン超薄型ボールベアリングには、ラジアル荷重を受ける深溝型(Type-C)と通常は2列以上の複列で用いてラジアル荷重、アキシアル荷重とモーメント荷重の複合荷重を同時に支えることができるアンギュラコンタクト型(Type-A)、この複合荷重を単列のベアリングのみで受けられる4点接触型(Type-X)がある。
 

超薄型ボールベアリングの種類

 

 ケイドン超薄型ベアリングの中でも特に、複合荷重を受けられる4点接触型を使用することで大口径中空シャフトへの置き換えが可能になるだけでなく、単列仕様にできるため軸方向の長さをさらに短縮できる。気体・液体の配管類、あるいは電気配線やスリップリング等を中空シャフト内に収納できるなど、フレキシブルで効率的なデザインにできる。

 キングポストデザインのISO 7010組み合わせベアリングから4点接触型超薄型ベアリングで中空シャフトを用いた機構への置き換えではまた、内径寸法を大きくできるため耐モーメント荷重を50%程度向上させている。

 回転軸に垂直に加わるラジアル荷重を支えるよう組み付けられたベアリングでは、例えばISO 6010深溝ボールベアリングでは下部約150°の範囲の転動体で荷重を分散支持しているが、ケイドン4点接触型では同じ荷重分布でラジアル荷重を支持しつつ、80%以上の軽量化・省スペース化を実現できる。
 

典型的なラジアル荷重負荷分布での、ケイドン4点接触超薄型ベアリング(左)と
ISO 深溝ボールベアリング(右)との比較

 

半導体分野でのニーズと適用

 ケイドン超薄型ベアリングは1960年代のアポロ計画の宇宙服のヘルメットリング向けに採用され、その後も、米国航空宇宙局(NASA)の月面探査車向け等に宇宙空間の厳しい仕様環境に耐えるベアリングとして採用されている。

 宇宙環境下では軽量・省スペース化が求められるとともに、真空環境、極低温~高温の幅広い温度領域で精密な動きを求められ、ベアリングにとって非常に過酷な環境での稼働と高い信頼性を求められる。そのため内外輪の材質だけでなく、ボールや保持器の材質、潤滑剤の選定などでケイドン社の長年の経験が活かされている。

 こうした宇宙機器での実績からケイドン超薄型ボールベアリングは、同じく真空環境、広い温度領域で作動する半導体製造プロセスにおいて幅広く適用されている。

 半導体製造プロセスにおいて軸受には、回転の高精度化を損なうことなく、真空~高真空への対応、電子部品や光学レンズに悪影響を及ぼすアウトガス対策やコンタミネーションの低減、コンタミネーション発生につながる摩擦・摩耗の低減、プロセス中で使用されるガスによる腐食への耐性、ドライエッチングやCVDなどのプロセスに対応した耐熱性などを持たせることが要求される。

 これに対しケイドン超薄型ボールベアリングは、独自軸受設計に加えて、長年の経験に基づく内外輪および保持器の材質や潤滑剤の選定・適用によって、潤滑剤が250℃以上の高温下にさらされる条件や10-8~10-12Torrレベルの高真空下での運転を実現しつつ、希薄潤滑条件でのマイクロパーティクル発生の最小化や腐食性雰囲気への耐性、長寿命化を実現している。

 ケイドン超薄型ボールベアリングのこうした性能のほか、半導体製造装置の回転機構の小型・軽量・簡素化が図れる省スペース設計によって、半導体製造プロセスにおいてはウェハ搬送ロボットからウェハ研磨装置、フォトリソグラフィー装置、検査装置など、前工程から後工程まで広範な装置に適用されている。

 またケイドン社では宇宙分野から続く真空環境で高い信頼性をもって運転できるベアリングの材料技術・潤滑技術に関する豊富な知見とノウハウを備えており、クリーンルーム内でベアリング各部品を洗浄し、組み立てを行い、ユーザーの仕様に最適なグリースを封入して納入する「クリーン・パック」を行うことで清浄度の高いアプリケーションにも使用できる。

 

電動アクチュエータ 概要と特徴

 木村洋行では2020年1月から、EWELLIX(エバリックス)社の直動製品の取扱いを開始している。エバリックス社は、SKFグループだったSKF Motion Technologies社を前身とする直動製品メーカーで、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評がある。中でも特徴のあるピラー型電動アクチュエータは、ストローク長や荷重、速度、偏荷重など、アプリケーションごとの仕様条件に合わせた提案が可能で、高荷重という厳しい仕様条件に対応しながらも、低騒音かつ堅牢さが求められる厳しいニーズにも対応できる。
 

ピラー型電動アクチュエータ  加工分野での適用

 加工分野で適用の進む協働ロボットのアクセサリとして、ピラー型アクチュエータを協働ロボット用にカスタマイズし、協働ロボット自体を垂直方向に動作させることにより、作業動作範囲を拡大できる「LIFTKIT」を提案している。LIFTKITの垂直方向の最大ストローク長は500~900mmで、最大許容荷重は1500Nとなっている。

 ロボットの基台としてピラー型アクチュエータである「LIFTKIT」を使用することで、設置面積を抑えつつロボットの昇降移動を実現でき、ロボットのアームリーチの有効範囲が立体的に拡大できる。

 またLIFTKITと同様に、単軸横置アクチュエータに協働ロボットを接続し、搬送やピック&プレースなどロボットの水平方向の動作範囲を拡大でき、作業効率を飛躍的に向上できる「SLIDEKIT2.0」も提案している。ボールねじ駆動のSLIDEKIT2.0の水平方向のスライド長は100~1800mmで、最大許容荷重は10900N(動的)と12100N(静的)、最大動的モーメント荷重は2400 Nm(Mx)、1800 Nm(Mz)となっている。

 直近ではベルト駆動のタイプが開発・追加され、水平方向のスライド長3000mmを可能としており、長い同一の生産ライン上にある、複数のセル生産装置の間でのワークの受け渡しや複数の加工工具の段取り替えといった作業の効率を高めることで、加工の生産性を向上できる。
 

SLIDEKIT2.0を用いた複数のセル生産装置でのワークの受け渡しイメージ
スライド長3mまで対応

 

 ニーズに応じてSLIDEKIT上にLIFTKITを載せて併用することも可能であり、その場合協働ロボットの垂直方向と水平方向の動作範囲を大幅かつ同時に拡大できる。

 SLIDEKITおよびLIFTKITは当初、ユニバーサルロボット(UR)社とのコラボによる6軸協働ロボットのアクセサリとしてカスタマイズされたが、現時点でUR社、オムロン、ABB社、台湾テックマン(TM)社の4社の協働ロボットへの適用が可能となっており、それぞれの協働ロボットのティーチングペンダントによって、協働ロボットとSLIDEKITおよびLIFTKITの動作制御が可能となっている。

 

遊星型ローラースクリュー 概要と特徴

 エバリックス社の直動製品の一つとしてローラースクリューがあるが、実はローラースクリューはもともと、エバリックス社の前身の会社(SKF傘下となる前の創業会社)が世界に先駆けて開発・製品化しており、そうした意味でエバリックス社はローラースクリューのパイオニアといえる。

 特に遊星型ローラースクリューに特徴があり、ねじとねじとのしゅう動という構造によって高剛性化を実現している。同サイズのボールねじよりも高荷重を受けられ、動定格荷重3994kNまで対応できるため、コンパクト化と耐久性の向上(長寿命化)が図れる。

 エバリックス社ではローラースクリュー単体での提案だけでなく、エバリックス社製電動アクチュエータ内部のボールスクリュ―をローラースクリューにすることでさらなる性能向上を図り、以下のような用途でも適用されている。
 

遊星型ローラースクリュー

 

加工分野での適用例

 射出成形機やブロー成型機などの樹脂成形の装置では、油圧駆動アクチュエータが用いられてきたが、遊星型ローラースクリューを用いた電動アクチュエータに替えることで、制御性や分解能を向上でき、必要とされるエネルギーを大幅に削減できるほか、油圧作動油の管理といったメンテナンスコストが削減できるなど、生産コストの低減と生産効率の向上に寄与できる。
 

射出成形機への適用例

 

 また、高圧付加の動作が必要とされるサーボプレス機などの金属成形の装置では従来、油圧アクチュエータが用いられてきたが、エネルギー消費量が多いことや制御性に劣ることなどが問題となっていたが、ローラースクリューを使用した電動アクチュエータに置き換えることで、高精度で再現性の高い位置決めと制御性の良好な荷重付加を実現、プロセスの品質と再現性を改善することで成形加工の生産性を向上させている。
 

サーボプレス機への適用例

 

今後の展開

 ケイドン超薄型ベアリングは、軽くて安定した起動トルクと回転トルク、高い回転精度を実現できるといった利点から注目されてきているが、木村洋行ではさらに、上述した半導体分野での適用のように、軽量・コンパクトで厳しい条件で使えるベアリングであることを引き続き訴求していく考えだ。

 超薄型ベアリングのパイオニアであるケイドン社は2013年に世界第一位のベアリングメーカーであるSKFのグループとなり、以来、SKFのノウハウ・知見を注入した基礎研究や生産技術を利用したものづくりを進めてきている。現在では「超薄型」を謳う後発のメーカーも出てきているが、SKF協力のもとでケイドンが実施した寿命試験結果を見ると、他社製との耐久性の差は明らかである。

軸受の基本定格寿命(L10)の比較

 

 ケイドン超薄型ベアリングは長年にわたる品質向上のための技術や製造上の工夫などの蓄積によって超薄型ながら高い負荷容量、長寿命化を実現している。ベアリングは各種機械を安定稼働させるための主要な機械要素であるため、木村洋行では、ベアリングの突然の故障に伴う機械・ラインの突発停止などがない、生産効率向上につながる信頼性の高いベアリングを選定してもらう取組みを強化していく。

 一方、木村洋行では、2020年から取り扱いを開始しているエバリックス社の製品についての性能や利点に関する知見や適用の可能性についてもかなり把握できている。実績の豊富な医療分野での電動アクチュエータやローラースクリューの各種のメリットを加工分野などほかの産業分野にアピールし採用を促していく。

 木村洋行では以前より、機械を正常に稼働させるための技術的サポートを重視している。ケイドン社、エバリックス社の各種製品の特質を活かして、量産時に本来の機能を発揮できる正しい使い方をユーザーに伝達・提案していくことで、現場の様々な課題の解決に努めていく。
 
軸受の基本定格寿命(L10)の比較
 

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エボニック、東日本大震災被災地復興への取組みを継続

4年 1ヶ月 ago
エボニック、東日本大震災被災地復興への取組みを継続kat 2021年12日14日(火) in

 エボニック ジャパンは、東日本大震災発生から10 年を迎えた今年7 月、ドイツのサッカークラブ ボルシア・ドルトムント(BVB)との共催で「3・11 を忘れない」というテーマのもと、チャリティ・オークション・イベントを企画、開催した。ドイツのBVB と、宮城県東松島市、BVB のローカルパートナー企業、ファンクラブの会員、そして、エボニックグループの社員がオンラインで集まり、オークションが開催され、イベントで集まった収益金、約330000円は、東松島市(2021年8月24日付)、社会福祉法人ふじの園、公益社団法人ハタチ基金(2021年9月24日付)にそれぞれ寄付された。

チャリティ・オークション・イベントの様子

 

 エボニックではこれまで、以下のような東北への復興支援活動を実施している。

 

2011 年 震災直後:義援金の呼びかけ
 震災後すぐに義援金を募る活動が開始され、世界のエボニックグループ社員からの善意が寄せられた。さらに、エボニックがメインスポンサーを務めるBVBに当時在籍していた香川真司選手の呼びかけで開催されたチャリティマッチの収益金と合わせ、約1億6800万円もの義援金が集まった。

 2011年5月には現地へ赴き、支援活動の具体的な検討がなされ、「義援金の使い道を目に見えるようなものとすること」「ハードウェア、ソフトウェアの両面で復興支援活動を行う」という方針が決定された。

2012 年:宮城県東松島市に保育所を建設
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)とともに、市内の7割にも及ぶ保育所が津波被害を受けた東松島市で、震災前からニーズが最も高かった矢本東保育所(宮城県東松島市)を浸水区域外に移転、新設するプロジェクトに取り組んた。このプロジェクトにより、保育所の園舎は延べ床面積で従来の約3倍、敷地面積は約4 倍、そして保育児童120人の受け入れが可能となり、2012年12月に開所した。2013年にはこの貢献に対し東松島市から
感謝状が授与された。

矢本東保育所開所記念写真

 

2013 年:「一関 藤の園」新築プロジェクトの支援
 国際NGOであるMalteser Internationalと日本や世界中各国からの寄付、さらに、カリタス・オーストリアのコンソーシアム、ドイツの救済連合、またシーメンス、アリアンツ・グループなどのドイツ企業とともに、エボニックは、児童養護施設「一関 藤の園」(岩手県一関市)の園舎の再建支援に参加した。

 新しい園舎は、再び大災害が生じても安心して暮らせるよう、再生可能エネルギーに基づく独立したエネルギーシステムを備えたもので、2013年6月に完成した。

2011年7月~:化学実験教室の開催
 保育所建設などのハード面のサポートだけでなく、ソフト面の支援活動として、2011年7月から宮城県・岩手県の学童クラブの子供たちを対象に化学実験ショーを行った。家族や友達を亡くした子どもたちを笑顔にしたいという思いで進められたこの活動は、4年にわたり合計34の拠点で開催され、参加した子どもの数は1000名を超えた。

 2021年7月:ボルシア・ドルトムントとのチャリティ・オークション・イベント東日本大震災から10年の節目を迎えた今年7月、BVBとの共催で「3・11を忘れない」というテーマのもと、チャリティ・オークション・イベントを企画、開催した。ドイツのBVBと、宮城県東松島市、BVB のローカルパートナー企業様、ファンクラブの会員様、そして、エボニックグループの社員がオンラインで集まり、オークションが開催された。イベントで参加者から寄せられた善意の収益金、約330000円は、東松島市、社会福祉法人ふじの園、公益社団法人ハタチ基金に寄付された。

 こうした取組みに対し、被災地からは同社に対する以下のような感謝の声が寄せられている。

 「震災の記憶の風化」が課題になっている中、チャリティ・オークションという温かく意義あるイベントを実施いただき、感謝している。震災がきっかけになった縁を大事にしていきたい。これからも東松島市を応援してほしい」―東松島市子育て支援課より

 「早いもので震災から10 年が経過した。当時のことを覚えている職員も子どもたちもめっきり少なくなったが、今でもエボニックの皆様から物心両面で支えていただいたことを忘れることはできない。私たち職員、皆様からの支援を心の糧に、これからも子どもたちを精一杯支えていきたいと思っている」―児童養護施設 一関藤の園 園長 渡部 俊幸氏より

 「東北の子どもたちに想いを寄せていただき、心から感謝している。宮城県石巻市でのある少女との出会いにより、『自分にできることをしよう』という考え方を変えなければいけないと思った。本当に彼女たちを支えるためには、長い時間をかけて寄り添う覚悟や、心を寄せてくださる方々に長きにわたって応援していただく方法を作らないといけないという想いから、ハタチ基金は生まれた。今後とも子どもたちが安心して、自分の可能性を広げられる場所をここ東北で根付かせていけるよう、見守っていただければ幸い」―公益社団法人ハタチ基金 代表理事 今村 久美氏より

 エボニック グループでは東北への復興支援活動として、未来を担う子供たちへのサポートに注力して取り組んできた。震災から10 年の今年、東北との絆を新たにしたエボニックは、“Leading Beyond Chemistry”というコーポレートスローガンのもと、化学を超えた取組みとして、皆様のくらしをより向上させるお手伝いととに、今後も被災地からの声に耳を傾け、支援活動を続けていく、とコメントしている。

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トライボコーティング技術研究会、令和3年度第3回研究会を開催

4年 1ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和3年度第3回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整・理化学研究所 主任研究員)は12月10日、東京都江東区青海の東京都立産業技術研究センター(都産技研)で、「令和3年度第3回研究会」を開催した。
 

研究会のようす

 

 当日は、大森会長から第14回岩木賞で埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞した旨の説明がなされたほか、令和3年度 第4回研究会となる来年2月25日開催のトライボシンポジウム 第24回「トライボコーティングの現状と将来」についての告知がなされた。

 続いて、以下のとおり講演が行われた。

・「特殊環境下における超低摩擦化現象に関する研究」川口雅弘氏、齋藤庸賀氏(都産技研)…本講演で説明された「超低摩擦」とは、乾燥摩擦、境界潤滑領域を対象とし、摩擦係数0.01を下回る現象、つまり固体接触が支配的な摺動界面であるにもかかわらず摩擦係数が0.01を下回る現象をさす。DLC膜による超低摩擦研究の動向としてA.Erdemirらの取組み(摩擦係数~0.001)やメカニズムの一例などを紹介。続いて、講演者らのDLC膜による超低摩擦研究テーマである、負加荷重63.7Nで摩擦係数0.001以下という「FFO(Friction Fade Out)現象」について、トライボフィルムの観察と分析による生成メカニズムの解明やFFO現象の発現条件の精査による発現メカニズム解明に向けた取組みを、摺動界面の観察事例をまじえて紹介した。総括として、①摩擦材にDLC膜を使用する必要があり、ZrO2/DLCの摺動やN2+H2雰囲気、エタノール水の導入といった特殊な環境下でFFOが発現すること、②トライボフィルム生成過程とFFO発現過程、③トライボフィルムは導入したエタノールが主原料であること、④FFO発現中においてトライボフィルムが気化している可能性(仮説:FFO発現時の静圧軸受モデル)を確認した。

・「ヘルスケア産業支援の対象となるトライボロジーと計測機器」柚木俊二氏(都産技研)…都産技研が支援に力を入れるヘルスケア(人の健康・管理・増進)としては、体に触れて機能を発揮する化粧品・医薬部外品や健康用・医療用雑貨、医療機器、再生医療等製品が挙げられる。本講演では、褥瘡へのずり応力を滑りシートで低減する試みとして、臀部を模して開発したバイオスキンと創傷被覆材、滑りシート(TASS)を組み合わせて、TASSによる褥瘡内部ずり応力低減効果を評価するためのトライボロジー試験を行った結果を報告。TASSによる褥瘡内部のずり応力低減効果と臨床成績の対比を示した。一方、肌にクリームを塗り込む現象は、塗り始めは指・手のひらと肌との間のずりに対してクリームが示す応力(レオロジー)が、塗り込む際にはレオロジーとトライボロジーが、最後にはクリームの塗膜を介した摩擦力(トライボロジー)が関連すると考えられる。都産技研では、乾燥肌用の保湿クリームを塗りこんだ時のレオロジー・トライボロジー測定を実施。摩擦係数と使用感の比較、粘度と使用感の比較、貯蔵弾性率(G’)と使用感の比較を示した。

 講演終了後は、都産技研 ヘルスケア産業支援室の見学会が行われた。
 

見学会のようす


 

kat 2021年12月13日 (月曜日)
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