Aggregator
小惑星「リュウグウ」試料、太陽系と等しい化学組成比 JAXAが解明
東京建物とNTT東、ローカル5Gの会議実証
ニュース拡大鏡/OA各社、DXサービスに軸足 ペーパーレス化対応
NEC、川崎に5G共創施設 50社と社会実装推進
シャープ、電子看板の効果可視化 広告視聴分析ソリューション提供
挑戦する企業/旭化成(5)基礎素材・石化、環境対応で進化
三菱UFJモルガン、FG一体で顧客対応 知見・ノウハウ結集
経営ひと言/三井情報・浅野謙吾社長「新事業を創出」
阪和興業、子会社を設立 東日本で条鋼販売強化
百日咳菌検出試薬が保険適用、最短30分判定 東洋紡
尾高ゴム、ICタグでロール管理 製鉄所などにシステム提案
勝ち組!オンライン営業/CuboRex ロボ作製動画、思わぬ反響
経営ひと言/小野薬品工業・相良暁社長「研究投資が重要」
新型コロナ支援策【政府・自治体】
週末は別人/大成建設常務執行役員・加藤美好氏 アユ釣りは魚との知恵比べ
作家・片山恭一が考える デザインのチカラ(95)万人の欲望に応える限界
産業博物館を訪ねる/アイリス ボタンの博物館(東京都中央区)
材料相場表/PDFで公開
自動車技術会、第72回自動車技術会賞 授賞式を開催
自動車技術会(JSAE)は横浜市のパシフィコ横浜で、「2022年春季大会」会期中の26日に「第72回自動車技術会賞」授賞式を開催した。トライボロジー関連では、以下のとおり表彰がなされた。
■浅原賞学術奨励賞 「ピストンオイルリング挙動の可視化によるオイル上がりメカニズムの解明」 佐久間 亨氏(トヨタ自動車)将来さらなる強化が見込まれるエンジンの排気規制への対応に向けて、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PN)の発生要因の一つであるオイル消費の提言は必要不可欠となっている。しかし、オイル消費は非常に多くの因子が複雑に影響し合い発生する事象であり、メカニズムの全容解明は困難である。
受賞者はオイル消費の主因であるオイル上がり減少に着目し、メカニズム解明に必要なオイル挙動に関する油膜厚さ、ピストンリング挙動などの各種可視化技術を構築し計測。得られた結果から、エンジン燃焼工程ごとに減少を切り分けて推察を重ね、オイルリング上面のシール性の影響を明確にするとともに、さらなるオイル消費低減手法を提案した。
これはオイル消費の全容解明に大きく貢献するものであるとして、評価された。
左から、プレゼンターの寺師茂樹JSAE前会長(トヨタ自動車)、佐久間氏 ■技術開発賞 「低燃費と高出力を両立したホットインサイド2ウェイツインターボV6ディーゼルエンジン」 横田晋司氏・尾頭 卓氏・大塚孝博氏(豊田自動織機)、生駒卓也氏・北谷裕紀氏(トヨタ自動車)将来のカーボンニュートラルの実現に向けて世界で燃費規制が強化される中、本V6ディーゼルエンジンの開発では、エンジンダウンサイジングと、ピストンピンDLCコーティングや0W-20低粘度エンジンオイルの採用などによるフリクション低減、さらには低流動燃焼による冷却損失の低減によって、燃費の大幅な改善を図った。
その一方で、ダウンサイジングしながらもディーゼルエンジンに求められる力強い低速トルクとダイレクト感、さらにはドライバーの感覚に合った爽快な加速感を実現するために、シングルターボによる過給特性とツインターボによる大給気量の高過給特性を併せ持つ可変ノズルベーン付きの2ウェイツインターボシステムと、その効果をより高めるためにVバンクの内側に廃棄システムを配置したホットインサイドレイアウトを採用した。これらにより、低燃費と高出力を高い次元で両立した点が高く評価された。
左から寺師前会長、横田氏、尾頭氏、大塚氏、生駒氏、北谷氏「リチウムイオンキャパシタの高耐熱化技術」 三尾巧美氏、小松原幸弘氏、大参直輝氏、小林央人氏、西 幸二氏(ジェイテクト)
自動車の電動化、先進運転支援システムの急速な普及に伴う車両電源の負荷軽減のため、出力性能に優れたキャパシタを採用するケースが増える傾向にある。
本技術は、実用・市販化されたキャパシタの中で、最もエネルギー密度に優れるリチウムイオンキャパシタの電解液の改良に加え、電解液と電極材料の相性を考慮した組み合わせとすることにより、世界で初めて自動車車室内の温度要求である—40~+85℃の動作温度範囲を実現したもの。
同キャパシタを活用した電源システムを自動車車室内に搭載する場合、冷却・加熱装置が不要となるため、車両搭載性やシステム効率が飛躍的に改善される。さらに自動車だけでなく、鉄道や大型農建機などの電動化、再生可能エネルギーの短周期の電力変動吸収などにも活用でき、カーボンニュートラル実現に大きく貢献する技術として高く評価された。
左から寺師前会長、三尾氏「高筒内圧エンジン用 Bi合金オーバレイ軸受の開発」 佐藤広樹氏・須賀茂幸氏・杉谷浩規氏・児玉勇人氏・棚橋大氏(大豊工業)
近年、ディーゼルエンジンにおける排気・燃費規制強化の対応として、高筒内圧化などの取組みが行われている。これに伴い、エンジン用すべり軸受はより過酷な条件で使用される傾向にある。今回、耐焼付き性を低下させることなく、耐疲労性を大幅に向上させた新たなすべり軸受を開発した。
開発品は、すべり軸受のオーバレイとして世界で初めてBi-Sb(ビスマス・アンチモン)合金を用いており、従来の純Bi オーバレイで課題となっていた耐疲労性と耐酸化性を、Sb との合金化により飛躍的に向上。さらに、Sb添加量の最適化により異物ロバスト性にも寄与している。
これらの技術をディーゼルエンジンの軸受に用いることで、信頼性と低燃費を両立し、新排気・燃費規制に対応できることが高く評価された。
左から寺師前会長、佐藤氏、須賀氏、杉谷氏、児玉氏、棚橋氏