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サーモテック2022が5年ぶりに開催、熱処理装置や関連装置・技術が集結
日本工業炉協会は6月1日~3日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「サーモテック2022 第8回 国際工業炉・関連機器展」を開催、7カ国・地域から175社(国内164社、海外11社)が出展、小間数は前回開催に並ぶ409小間となり、3日間で9121名(前回は11053名)が来場した。4年に一度の同展は、通常であれば2021年に開催が予定されていたが、コロナ禍による東京オリンピック・パラリンピック延期の影響で会場調整を行った結果1年延期された。会期中、金属熱処理関連では以下のような展示がなされた。
オリエンタルエンヂニアリング( http://www.oriental-eg.co.jp/ )は、独自に開発した二つのセンサにより真空浸炭炉内雰囲気の適正制御を実現する雰囲気制御付き真空浸炭炉「NEOVIA」を紹介した。水素センサにより浸炭ポテンシャルと窒化ポテンシャルを自動制御することで処理品炭素濃度、窒素濃度を精密に制御することができる。さらに、量、形状、混載にかかわらず処理品面積を自動検知し、適正添加ガス量を自動制御する。また酸素センサ制御により、スーティングや鋭角部のセメンタイト析出を防止する。熱処理の初心者でも簡単に最適な処理パターン、炭素濃度、硬さ分布が得られる浸炭シミュレーションソフトを標準装備している。
オリエンタルエンヂニアリングのブースジェイテクトサーモシステム( https://www.jtekt-thermos.co.jp/ 、光洋サーモシステムより社名変更)は、高効率でフレキシブルな生産性と熱処理歪の大幅低減を実現する浸炭炉「Smart FLEC®シリーズ」を紹介した。各種の生産形態と浸炭方法に対応し、バッチ処理および連続処理のガス浸炭炉「Smart FLEC® G」、1個流しの超高速浸炭装置「Smart FLEC® One」に加えて今回は、バッチ処理・連続処理対応の真空浸炭炉「Smart FLEC® V」を披露した。同社の従来ガス炉に比べCO2排出量を50%低減できるとともに、ユニット構造の採用により需要変動対応が可能となっている。このほか、状態監視による定量的な劣化データ取得により故障予兆をとらえ計画保全につなげる工業炉向け故障予兆検知システム「K-Predis」を紹介した。熱処理炉のライフサイクルコスト(LCC)削減と突発停止の回避を実現するとともに、製造時の省エネ・CO2排出量削減に寄与できる。
ジェイテクトサーモシステム 「K-Predis」新コスモス電機( https://www.new-cosmos.co.jp/ )は、熱処理炉など各種工業炉のガス漏れ検知に最適な「自己診断型ガス検知器」を紹介した。従来のガス検知器が故障しやすい高温・高湿な炉内の雰囲気測定に最適で、自己診断機能の搭載により検知器が正常に作動しているかどうかを自動で判断できる。サンプリング過程で除湿をすることでドレンやヤニの発生を低減し、警報器の故障を防ぐ。また、フローセンサで配管内のガス流量を常にチェックし、配管の目詰まりやガス検知器の故障を監視。炉を稼働する際に、サンプリング配管にチェックガスを通気し、ガス検知器が正常に動作することを自己診断して、正常動作を確認した後に、バーナーに着火する。
新コスモス電機 「自己診断型ガス検知器」中外炉工業( https://chugai.co.jp/ )は、各種熱処理装置のラインナップを披露したほか、トヨタ自動車と共同開発をした水素バーナを紹介した。水素バーナは、①水素燃料の特性を活かしたバーナ構造とすることで二酸化炭素排出量ゼロ、②水素と空気をバーナ内で並行に流して緩慢燃焼とし、火炎温度を下げることで低NOx性能を実現、③空気と燃料が別々に供給されるため燃焼中に逆火が起こらず安全に燃焼させることが可能、などの特徴を備えている。また、顧客の熱処理設備の様々な数値を遠隔監視・データ管理により予防保全や予知保全を行うIoTシステム「CRism®」、高性能センサで燃焼状態を常時監視し、空気比管理のDX化を加速させる酸素センサ「Lamuda-i®」についての紹介も行った。
中外炉工業のブースDOWAサーモテック( https://www.dowa.co.jp/thermo-tech )は、使用するガス量やCO2排出量を最少化するとともに、グリーンエネルギーやアンモニアバーナー・水素バーナーを組み合わせることで、CO2をほとんど排出させない操業が可能な浸炭焼入炉「Z-TKM」を紹介した。従来と同等の熱処理品質を維持するとともに、炉内の駆動機構レスにより安定操業を実現できる。同社熱処理設備「TKMシリーズ」と完全互換性があるため、既設ラインに導入が可能。また、独自の操業支援システム「D-IP」により簡単操作・簡単メンテを実現できる。このほか、レーラー線図を指標として窒化ポテンシャルKNを高精度に自動制御し窒化化合物層の構造を任意に選択できる「DNTNプロセス」を紹介した。雰囲気制御+降温制御により、一般鋼においても高いγ'相分率を得ることが可能で、より深い硬化層も得られる。γ'相分率が高いことから、各種疲労試験においてガス軟窒化と比べた際の疲労強度の向上が確認されている。
DOWAサーモテック 「Z-TKM」パーカー熱処理工業( https://pnk.co.jp/ )は、次世代型自動制御ガス窒化システム「NITRONAVI®」と窒化・軟窒化炉で同システムを利用した「PICONite®処理」の概要を披露した。同処理によって自動で表面相制御による機械的特性の改善を図ることができる。たとえば、鋼表面を化合物層レス、γ’相リッチ、またε相リッチへと選択的に制御することによって耐疲労性や耐摩耗性の改善など、ユーザーが望む表面の形成が可能となる。また、グローバルで納入実績が多数ある真空浸炭装置「ICBP FLEX」、同装置をコンパクト化した「ICBP NANO」を紹介。環境負荷が小さい浸炭炉としてカーボンニュートラルに貢献できる点を訴求した。さらに、コールドウォールで炉体からの放熱がなく、またフレームカーテンを用いないため設備周辺の作業環境にも優れている点をアピールした。このほか、同社が販売を手掛けるDLCコーティング装置「CarboZenシリーズ」や振動摩擦摩耗試験機「SRV®5」の紹介を行った。
パーカー熱処理工業のブースパーカー熱処理工業「窒化処理のサンプル」山本科学工具研究社( https://www.ystl.jp/ )は、ブリネルやロックウェル、ビッカースといった各種硬さ試験法に使用される試験機の測定結果が正常であるかどうかを確認するための基準的試験片「高精度硬さ基準片」の紹介を行った。熱処理において硬さ管理は重要な品質管理の一種である。硬さ試験におけるISO9000シリーズ等の各種認証には、JIS・ISOに準拠した硬さ試験機の管理が必須となり、その一つに硬さ基準片を用いた管理がある。同社の硬さ基準片は、優れた質(硬さ均一性、JIS・ISOに基づいた普遍的な値、硬さ値の高い安定性)が国際的に認められており、硬さ試験機の始業前点検や間接検証に数多く使用されている。同社では、新しい反発硬さ試験eNM用の硬さ基準片およびナノインデンテーション用基準片など多数の試験片を取り揃えている点をアピールした。
山本科学工具研究社のブース横河電機( https://www.yokogawa.co.jp/ )は、熱処理アプリケーション向けに、データ収集システム「SMARTDAC+ AI」による「設備・品質らくらく予兆検知」ソリューションを紹介した。過去の記録データを活用し、同社の記録計/データロガー本体(SMARTDAC+ GX/GP/GMシリーズなど)でAIによる予兆検知を行う。これまで熟練担当者しか感じ取ることができなかった、バーナー故障や配管詰まり、炉の密閉性異常など、熱処理設備の異常や製品品質の低下の兆候をヘルススコアで数値化し、常に状態を監視することにより現場で早期に異常予兆を検知できる。通常の記録データと併せて、バッチごとの状態をヘルススコアログで記録、ヘルススコアの推移を見て必要な点検時期を予測できる。熱処理バッチ炉のアプリケーションでは、ツールより過去の温度正常データから作成したプロファイル波形をプロセス値の上下限判定値として使用、許容温度範囲からの逸脱を即座にリアルタイム検出しアラーム通知する。
横河電機 「設備・品質らくらく予兆検知」admin 2022年6月13日 (月曜日)