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東京モーターショー2019が開催、未来のモビリティに対応するベアリング&モーション技術が披露

6年 1ヶ月 ago
東京モーターショー2019が開催、未来のモビリティに対応するベアリング&モーション技術が披露 in kat 2019年11日12日(火) in in

 「第46回東京モーターショー2019」(主催:日本自動車工業会(JAMA))が10月24日~11月4日、東京都江東区の東京ビッグサイト(青海・西・南展示棟)、MEGA WEB、ヴィーナスフォート、シンボルプロムナード公園などで開催された。

 今回は「OPEN FUTURE」をテーマに、192の企業・団体が参加、業界を超えてオールインダストリーで「クルマ・バイクのワクワクドキドキ」から「未来の暮らし」、「未来の街」にまで領域を広げ、130万900人が未来のモビリティ社会を体感した。

 
クルマが主役の展示から、人が主役の展示へ

 トヨタブースでは、従来の市販予定車やコンセプトカー中心の展示から、人を中心とした未来のモビリティ社会を体感できるテーマパークに大きくモデルチェンジした。プレスデーの10月23日に同社ブースで挨拶に立ったJAMA会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「今回の“参加・体感型ブース”は、来場者に楽しんでもらい、未来のモビリティにおいてもFUN TO DRIVEを大切にしたいという気持ちを伝えるコンセプトとした。トヨタ生産方式の“自働化”と“Just in time方式”に共通するのは、人を中心に置く考え。だからこそ、人が中心に居続ける未来をトヨタは描いている。クルマの自動化が進めば進むほど、大量の情報を判断し瞬時に処理できる人間の力が試されることになると考えている」と語った。

 

自動運転システム搭載のEV「e-Palette」を背に、「ブースのコンセプトはHuman Connected。トヨタは人間の力を信じている」と語る豊田章男氏

 

充電・電力活用システム含め、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッドEV(PHEV)が提案

 初の量産電気自動車(EV)でe-SKYACTIVEを搭載したマツダの「MX-30」や、ツインモーター4輪制御を採用した日産自動車のクロスオーバーコンセプトのEV、発電機にガスタービンエンジンを用いる三菱自動車のPHEV「MI-TECH CONCEPT」、など電動車両が披露される中、今回は「日産リーフ」に電気を蓄え、走る以外にも電気を活用する「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルームの展示や、太陽光パネルやV2H機器などで構成するシステムをパッケージ化し、EVやPHEVの購入と併せて販売・設置・アフターメンテナンスを提供する三菱自動車の「電動DRIVE HOUSE」などが提案された。販売の伸び悩むEVとインフラ整備の遅れる充電設備に関して、自動車メーカー自らが電気を「つくる」「ためる」「使う」ためのより付加価値の高いシステムとして、EVと電力相互供給システムというトータルソリューションを示した形だ。

 

日産自動車「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルーム

 

燃料電池車(FCV)の市場投入が本格化

 トヨタ自動車は、メインブースには市販予定車を1台も置かなかったものの、2020年に発売予定の燃料電池車(FCV)第2世代の「MIRAI Concept」をMEGA WEB で展示した。MIRAI Conceptでは新型FCスタックによって航続距離を従来比約30%増の約850kmに延長している。

 

トヨタ自動車「MIRAI Concept」


 

 また、メルセデス・ベンツでは、世界初の燃料電池PHV「GLC F-CELL」を披露した。水素を燃料に使い発電、その電力でモーターを駆動するFCVであると同時に、発電した電力を大容量バッテリーに蓄電できる。蓄電した電力のみでもモーターが駆動できるため、水素がなくとも、蓄電した電力さえあれば走行可能。専用の充電プラグを介しての蓄電も可能にしている。

 

メルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」

メルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」
 

自動運転システム、レベル4への技術革新進む

 トヨタは、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVと位置付ける「e-Palette」や、会話型のAIエージェントとレベル4(高度運転自動化)相当の自動運転技術を搭載するコンセプトカー「LQ」を展示した。

 

トヨタ自動車「LQ」


 

 「e-Palette」は東京2020オリンピック・パラリンピック専用車両として使われる予定で、高精度3Dマップなどを活用しながら、レベル4での最高速度時速19kmの低速自動運転を可能にしている。将来的には、ネット通販と連携した自動配送や移動店舗、オンデマンドバスや移動オフィスとしての利用を想定し、2023年の市場投入を目指している。「LQ」についても、2020年には公道で自動運転の体験イベントも行う計画がある。

 そのほか、スズキのモバイルルーム自動運転車「HANARE(ハナレ)」が披露されるなど、今回の展示では、レベル4に向けた日本の自動運転技術の進捗度がアピールされた。

 

エンジンの低フリクション化も進展

 トヨタ自動車は、2020年2月発売予定の「ヴィッツ」改め「YARiS」をヴィーナスフォートで展示した。

 今後トヨタの先進国向けコンパクトカーのベースとなるTNGAプラットフォーム(GA-B)を初採用したほか、エンジン、ハイブリッドシステム、トランスミッション、サスペンションなど、すべてをゼロベースから作り上げた。軽量で高剛性、低重心のボディに加え、新開発「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」に対しDirect Shift-CVTと新世代ハイブリッドシステム、6速マニュアル、また改良を加えた1.0Lエンジンに対し小型軽量化したCVTと、4種類のパワートレーンを用意し、軽快で上質な乗り心地と、スムースでダイレクトな加速を実現した。

 直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジンは、ロングストロークやバルブ挟角拡大などの高速燃焼技術を採用し、低燃費と高出力を両立。直列3気筒1.0Lエンジンは、高タンブル流や高EGR(排気再循環)率、フリクション低減などの改良により、軽快な走りと低燃費を両立。低フリクション化では、本年10月に発行されたJASOの規格GLV-1に組み込まれた超低粘度規格0W-8に適合するエンジンオイルも採用されるという。

 

トヨタ自動車「YARiS」

 

エンジンの低燃費化に対応するベアリング&モーション技術

 CO2排出量削減からますます要求の強まるエンジンの低燃費化に対して、大同メタル工業は、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」を紹介した。さらに最近では、耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」が開発され、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干やわらかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高める異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐことをアピールした。

大同メタル工業「DLA02ほか」

 

 また、日本ピストンリングでは、自動車エンジン用シリンダボアにマイクロテクスチャ(ディンプル)を施すことで低摩擦化を実現する「ディンプルライナ」を展示。省燃費化に寄与できることなどから、世界で初めてトラック用ディーゼルエンジンに採用されている。また、摺動時にシリンダとの摩擦を減らすことで低燃費につながるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜のピストンリングを紹介した。

 

日本ピストンリング「DLCピストンリングとディンプルライナ」


 

電動化・自動運転に貢献するベアリング技術

 ジェイテクトは、ハイブリッド車(HEV・PHEV)や電動車(EV・FCV)の変速機などで主に使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を展示した。クリープが発生すると、軸受とハウジングが擦れ合うことでその双方が摩耗して軸の芯ずれや傾きを引き起こし、結果、ギヤのかみ合い不良による変速機の機能低下や異音などの不具合が発生する恐れがある。従来は、クリープによる不具合を避けるため、軸受の外輪を厚くしたり、固体潤滑皮膜を使用したりといった策が取られてきたが、どちらもサイズ・重量やコスト面での課題があり、最適な製品の開発が必要だった。開発品では、外輪の外径中央部に円周方向の溝を作ることで、「ひずみクリープ」によるハウジング摩耗の抑制に貢献する技術に加え、外輪全体に特殊皮膜を施すことで、「連れ回りクリープ」によるハウジング摩耗に対しても効果のある軸受の開発に成功した。

 

ジェイテクト「クリープ摩耗抑制玉軸受」

 


 日本ピストンリングは、「3D形状圧粉コアを用いたアキシャルギャップ型モータ」を展示。アキシャル構造・3D形状圧粉コア採用により、小型・低速・高トルク駆動を実現。インホイールモータのため、機械損失の低減やギア音の削減に貢献するほか、エアギャップの可変に対応しており、高速や高トルクなど、モータ特性を用途に合わせて変更できる。小型EVなどへの適用を提案していく。
 

日本ピストンリング「3D形状圧粉コアを用いたアキシャルギャップ型モータ」

 


 日本精工は、ブリヂストン、東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本研究室、ローム、東洋電機製造と共同で開発した、道路からインホイールモータ(IWM)に直接給電できる「第3世代走行中ワイヤレス給電IWM」を展示した。これは、EV)に必要な受電から駆動までのすべての機能をタイヤの内側に配置することで、走行中ワイヤレス給電性能、モータ性能、車両への搭載性を大幅に改善することを可能にするもの。今後、2022年までにタイヤを含めた車両での評価を行い、2025年に実証実験フェーズへの移行を目指す。

 

日本精工「第3世代走行中ワイヤレス給電IWM」

 

 

FCVの水素環境下での稼働を円滑にするモーション技術

 ジェイテクトは、燃料電池自動車の動力源となる高圧水素が貯蔵されているタンクに装着され、高圧水素を封止/供給する役割を担う「高圧水素供給バルブ」や、バルブから供給された高圧水素を下流のスタックで使用可能な圧力まで減圧する「減圧弁」を納入しているが、同社ではこのほど、水素環境中における材料および潤滑剤の評価を可能とする「水素環境用軸受評価試験機」を開発、FCVなどの水素環境でも安心して使用できる軸受を開発することを可能にしている。

kat

イグス、第7回ベクター賞:エナジーチェーンの優れた使用事例を募集

6年 1ヶ月 ago
イグス、第7回ベクター賞:エナジーチェーンの優れた使用事例を募集 in kat 2019年11日12日(火) in

 イグスは、機械や設備の可動部でケーブルやホースを保護・案内するケーブル保護管「エナジーチェーン」の革新的な使用事例を表彰するコンテスト「ベクター賞」を開催している。産業界を超えて広く日々の生活に貢献するエナジーチェーンの大胆で革新的な事例を募集している(www.igus.co.jp/vector-award)。

 

 今回で7回目となるベクター賞は、産業界における問題を解決した使用事例や、技術的並びに経済的に優れた事例、さらには独創性を発見することを目標に、2008年の創設以来隔年で開催されている。

 応募作品は研究分野や業界誌およびメーカーの専門家から構成される独立した審査員によって審査。受賞者は2020年ハノーバー・メッセ(4月20日~24日に開催)で表彰され、金賞には賞金5000€、銀賞には2500€、銅賞には1000€が贈られる。前回2018年には、30を超える国から187のご応募があった。

 これまでの受賞事例には、スペインの機械メーカーLoxin社による飛行機胴体にリベットを打つロボット(2018年ベクター金賞)、ノルウェーのRobotic Drilling Systems社が開発した掘削基地におけるドリルの位置決めを行う機械(2016年ベクター金賞)、ドイツのデュースブルク・エッセン大学が開発した高層ラックの8本のワイヤーによる搬送システム(2014年ベクター金賞)などがある。

 いずれの事例もそれぞれ特徴があるが、共通点としてエナジーチェーンを使った用途の多様性を示し、他の設計者の方々にインスピレーションを与えていることが挙げられる。

 応募は、エナジーチェーン使用事例に関する説明文、写真、動画または図面を添えて、2020年2月28日までオンラインで受付している。

 詳しい情報は、以下から確認できるが、コンテストへの応募条件のほか、2018年の受賞事例等が掲載してある。

www.igus.co.jp/vector-award

kat

東京モーターショー2019が開催、各種モビリティに対応する表面改質技術が多数展示

6年 1ヶ月 ago
東京モーターショー2019が開催、各種モビリティに対応する表面改質技術が多数展示

 「第46回東京モーターショー2019」(主催:日本自動車工業会(JAMA))が10月24日~11月4日、東京都江東区の東京ビッグサイト(青海・西・南展示棟)、MEGA WEB、ヴィーナスフォート、シンボルプロムナード公園などで開催された。今回は「OPEN FUTURE」をテーマに、192の企業・団体が参加、業界を超えてオールインダストリーで「クルマ・バイクのワクワクドキドキ」から「未来の暮らし」、「未来の街」にまで領域をひろげ、130万900人が未来のモビリティ社会を体感した。

 

クルマが主役の展示から、人が主役の展示へ

 トヨタ自動車ブースでは、従来の市販予定車やコンセプトカー中心の展示から、人を中心とした未来のモビリティ社会を体感できるテーマパークに大きくモデルチェンジした。プレスデーの10月23日に同社ブースで挨拶に立ったJAMA会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「今回の“参加・体感型ブース”は、来場者に楽しんでもらい、未来のモビリティにおいてもFUN TO DRIVEを大切にしたいという気持ちを伝えるコンセプトとした。トヨタ生産方式の“自働化”と“Just in time方式”に共通するのは、人を中心に置く考え。だからこそ、人が中心に居続ける未来をトヨタは描いている。クルマの自動化が進めば進むほど、大量の情報を判断し瞬時に処理できる人間の力が試されることになると考えている」と語った。

自動運転システム搭載のEV「e-Palette」を背に、「ブースのコンセプトはHuman Connected。トヨタは人間の力を信じている」と語る豊田章男氏

 

充電・電力活用システム含め、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッドEV(PHEV)が提案

 初の量産電気自動車(EV)でe-SKYACTIVEを搭載したマツダの「MX-30」や、ツインモーター4輪制御を採用した日産自動車のクロスオーバーコンセプトのEV、発電機にガスタービンエンジンを用いる三菱自動車のPHEV「MI-TECH CONCEPT」、など電動車両が披露される中、今回は「日産リーフ」に電気を蓄え、走る以外にも電気を活用する「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルームの展示や、太陽光パネルやV2H機器などで構成するシステムをパッケージ化し、EVやPHEVの購入と併せて販売・設置・アフターメンテナンスを提供する三菱自動車の「電動DRIVE HOUSE」などが提案された。販売の伸び悩むEVとインフラ整備の遅れる充電設備に関して、自動車メーカー自らが電気を「つくる」「ためる」「使う」ためのより付加価値の高いシステムとして、EVと電力相互供給システムというトータルソリューションを示した形だ。

日産自動車「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルーム

 

燃料電池車(FCV)の市場投入が本格化

 トヨタ自動車は、メインブースには市販予定車を1台も置かなかったものの、2020年に発売予定の燃料電池車(FCV)第2世代の「MIRAI Concept」をMEGA WEB で展示した。MIRAI Conceptでは新型FCスタックによって航続距離を従来比約30%増の約850kmに延長している。

トヨタ自動車「MIRAI Concept」

 

 また、メルセデス・ベンツでは、世界初の燃料電池PHV「GLC F-CELL」を披露した。水素を燃料に使い発電、その電力でモーターを駆動するFCVであると同時に、発電した電力を大容量バッテリーに蓄電できる。蓄電した電力のみでもモーターが駆動できるため、水素がなくとも、蓄電した電力さえあれば走行可能。専用の充電プラグを介しての蓄電も可能にしている。

メルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」

 

自動運転システム、レベル4への技術革新進む

 トヨタ自動車は、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVと位置付ける「e-Palette」や、会話型のAIエージェントとレベル4(高度運転自動化)相当の自動運転技術を搭載するコンセプトカー「LQ」を展示した。

トヨタ自動車「LQ」

 

 「e-Palette」は東京2020オリンピック・パラリンピック専用車両として使われる予定で、高精度3Dマップなどを活用しながら、レベル4での最高速度時速19kmの低速自動運転を可能にしている。将来的には、ネット通販と連携した自動配送や移動店舗、オンデマンドバスや移動オフィスとしての利用を想定し、2023年の市場投入を目指している。「LQ」についても、2020年には公道で自動運転の体験イベントも行う計画がある。

 そのほか、スズキのモバイルルーム自動運転車「HANARE(ハナレ)」が披露されるなど、今回の展示では、レベル4に向けた日本の自動運転技術の進捗度がアピールされた。

エンジンの低フリクション化も進展

 トヨタ自動車は、2020年2月発売予定の「ヴィッツ」改め「YARiS」をヴィーナスフォートで展示した。

トヨタ自動車「YARiS」

 

 今後トヨタの先進国向けコンパクトカーのベースとなるTNGAプラットフォーム(GA-B)を初採用したほか、エンジン、ハイブリッドシステム、トランスミッション、サスペンションなど、すべてをゼロベースから作り上げた。軽量で高剛性、低重心のボディに加え、新開発「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」に対しDirect Shift-CVTと新世代ハイブリッドシステム、6速マニュアル、また改良を加えた1.0Lエンジンに対し小型軽量化したCVTと、4種類のパワートレーンを用意し、軽快で上質な乗り心地と、スムースでダイレクトな加速を実現した。

 直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジンは、ロングストロークやバルブ挟角拡大などの高速燃焼技術を採用し、低燃費と高出力を両立。直列3気筒1.0Lエンジンは、高タンブル流や高EGR(排気再循環)率、フリクション低減などの改良により、軽快な走りと低燃費を両立。低フリクション化では、本年10月に発行されたJASOの規格GLV-1に組み込まれた超低粘度規格0W-8に適合するエンジンオイルも採用されるという。

エンジンの低燃費化に対応する表面改質技術

 CO2排出量削減からますます要求の強まるエンジンの低燃費化に対して、大同メタル工業は、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」を紹介した。さらに最近では、耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」が開発され、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干やわらかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高める異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐことをアピールした。

大同メタル工業「DLA02ほか」

 

 また、日本ピストンリングでは、自動車エンジン用シリンダボアにマイクロテクスチャ(ディンプル)を施すことで低摩擦化を実現する「ディンプルライナ」を展示。省燃費化に寄与できることなどから、世界で初めてトラック用ディーゼルエンジンに採用されている。また、摺動時にシリンダとの摩擦を減らすことで低燃費につながるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜のピストンリングを紹介した。

日本ピストンリング「DLCピストンリングとディンプルライナ」

 

 リケンではまた、大型ディーゼルエンジン向けに耐摩耗性と低摩擦特性を付与する厚膜DLC被覆のピストンリングを、レース用二輪車の高回転化に有利なフィンガーフォロワーに対し、摺動抵抗低減を目的にDLCを施した製品を展示した。

リケン「厚膜DLCリングやDLCフィンガーフォロワー」

 

電動化・自動運転に貢献する表面改質技術

 ジェイテクトは、ハイブリッド車(HEV・PHEV)や電動車(EV・FCV)の変速機などで主に使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を展示した。クリープが発生すると、軸受とハウジングが擦れ合うことでその双方が摩耗して軸の芯ずれや傾きを引き起こし、結果、ギヤのかみ合い不良による変速機の機能低下や異音などの不具合が発生する恐れがある。従来は、クリープによる不具合を避けるため、軸受の外輪を厚くしたり、固体潤滑皮膜を使用したりといった策が取られてきたが、どちらもサイズ・重量やコスト面での課題があり、最適な製品の開発が必要だった。開発品では、外輪の外径中央部に円周方向の溝を作ることで、「ひずみクリープ」によるハウジング摩耗の抑制に貢献する技術に加え、外輪全体に特殊皮膜を施すことで、「連れ回りクリープ」によるハウジング摩耗に対しても効果のある軸受の開発に成功した。

ジェイテクト「クリープ摩耗抑制玉軸受」

 

FCVの航続距離延長に寄与する表面改質技術

 FCVに搭載されているFCスタックの主要構成要素であるFCセパレータでは水素・酸素ガス分配や冷却水分配、生成水排水という機能が求められ、それに伴いセパレータ用表面処理にはセル間の電気接続・セル内の集電(導電性=低い接触抵抗)と長期化学安定性(耐食性)が要求される。

 これに対し現行の第1世代のMIRAIのセパレータでは基材にチタン(Ti)を適用して耐食性を確保しつつ、プラズマCVD法によるカーボン(C)系薄膜(膜厚50nm)の適用で金(Au)めっきと同等の低接触抵抗を確保している。ホンダなど多くのメーカーがセパレータ基材に耐食性に優れるステンレスを採用する中、トヨタでは第2世代のFCVの基材を現状のチタンのままで進めるか、ステンレスなどに変更するかは最終調整の段階にあるとしている。

kat 2019年11月11日 (月曜日)
kat

パテント・リザルト、鉄鋼・非鉄金属・金属製品の特許資産規模ランキング

6年 1ヶ月 ago
パテント・リザルト、鉄鋼・非鉄金属・金属製品の特許資産規模ランキング

 パテント・リザルトは、独自に分類した「鉄鋼・非鉄金属・金属製品」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「鉄鋼・非鉄金属・金属製品業界 特許資産規模ランキング2019」を取りまとめた。2018年4月1日から2019年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を用いた評価を行い、企業ごとに総合得点を集計した。その結果、1位 日本製鉄、2位 JFEスチール、3位住友電気工業となった。

 1位の日本製鉄は、「電磁鋼板を用いたIPM(磁石埋込式)モータのロータの誘導加熱方法」や「自動車車体の骨格部材」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

 2位のJFEスチールの注目度の高い特許には、「水中の二酸化塩素濃度を低減させる水処理剤」や「自動車部品用素材として優れた耐疲労特性を有する熱延鋼板の製造方法」に関する技術などが挙げられる。

 3位の住友電気工業は、「シールド電線接続構造」や「光モジュール」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

 4位の日立金属は「ワイヤーハーネス設計装置」や「ターボチャージャ」、5位の古河電気工業は「電線を保護するための電線管」や「磁気ディスク用基板」に関する技術などが注目度の高い特許として挙げられる。

鉄鋼・非鉄金属・金属製品 特許資産規模ランキング2019

 

admin 2019年11月11日 (月曜日)
admin

JAPAN PACK 2019開催、食品包装で活躍するモーション技術が披露

6年 1ヶ月 ago
JAPAN PACK 2019開催、食品包装で活躍するモーション技術が披露kat 2019年11日11日(月) in


 日本包装機械工業会は10月29日~11月1日、千葉市美浜区の幕張メッセで「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」を開催した。同展は、国内外の包装機械、包装資材、包装材料加工機械、食品加工機械、医薬・化粧品製造機器、物流機器および関連機器の新製品を展示公開し、産業の合理化と国民生活の向上に寄与するとともに貿易の振興を図り、業界の発展に資することを目的とするもの。今回は、「きっとみつかる あなたの包程式」をテーマに463社・団体/2282小間の規模で開催された。

 

 ベアリング&モーション技術関連では、以下のような出展があった。

 イグスは、食品包装機械産業に適した様々な製品・ソリューションを展示した。低コストロボット「ロボリンクDP」は統合ギヤボックスを有する樹脂ベースのロボットアームで、従来のロボリンクDCより高精度で耐荷重性能を向上したほか、速度向上とさらなる軽量化を実現している。また、搬送工程で滑らせたい箇所の形状に合わせて自由自在にカットでき、貼り付けるだけで低摩擦・耐摩耗特性を付与でき滑らかな搬送を可能にする高性能ポリマーしゅう動材「トライボテープ」を紹介した。さらに、金型不要で希望の形状のしゅう動部品を造形する「オンラインツール 3Dプリントサービス」を紹介した。
 

イグス「ロボリンクDP」

 

 サーフテクノロジー/不二WPCブースでは、①フィルムを切るギザ刃にフィルムカスが付着して切れ味が悪くなる、②フィルムカスを取るのに手間・時間がかかり最悪の場合は製造ラインが停まってしまう、③刃の再研磨も数回しかできないため新品の購入頻度が増える、といった包装機用ギザ刃のメンテナンスの課題に対して、同社のマイクロディンプル処理®を用いることで、フィルムカスの付着抑制や洗浄性の向上、刃の欠け対策に効果があることをアピールした。また、さらにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを施すことで、さらなる寿命延長が可能とした。
 

サーフテクノロジー/不二WPC「包装機用ギザ刃対策のマイクロディンプル処理」

 

 ハイウィンは、作業範囲が広く、高速・高精度なパラレルリンク機構で、ロボットに視覚システムと自動化機能を搭載して自動ソートする「自動分類ロボットシステム(パラレルリンクロボット/RD403)」を披露した。欧州規格EN1672-2対応のため食品産業にも適している。また、単軸リニアモータ位置決めステージ「SSA」や、ボールねじとリニアガイドウェイをモジュール化したACサーボモータ付単軸ロボットなど、同社製品を組み合わせた「ガントリーシステム(SSA-単軸リニアモータステージ、単軸ロボット採用)」を紹介した。
 

ハイウィン「パラレルリンクロボット/RD403」


 

kat