NSK、色素増感太陽電池の学習教材を開発、10月からペクセル・テクノロジーズが試験販売を開始
日本精工(NSK)は、同社の色素増感太陽電池技術を応用した教材を開発した。本教材は、ペクセル・テクノロジーズによって製品化され、本年10月1日に1000個限定で試験販売が開始される予定。製品名は次世代型エネルギー学習教材「色素増感太陽電池実験キット PEC-TOM03」で、小学生から社会人の研修まで、STEAM教育やSDGs教育の教材として幅広い活用が期待されている。
本教材は、付属の専用色素ペン(3色)で描いた絵そのものを太陽電池として利用し、電気を生み出せるもので、発電した電気をためて電圧を変えて使うまでの一連の流れを楽しく体験できる。自分で描いた絵を太陽電池として利用し、発電を体験できる教材の販売は、世界初となる。本教材は、NSK独自の色素増感太陽電池技術を生かして開発。教材の一部には、神田工業社の液晶ディスプレイの製造技術を活用して製造された部材を採用している。
NSKは、本教材を通じて、再生可能エネルギーへの理解を深める機会を提供し、再生可能エネルギー普及やカーボンニュートラル社会の実現を担う人材の育成に貢献していく。
NSKでは、軸受のグリースや保持器の開発で得た、有機材料に関する知見やトライボロジー技術を、再生可能エネルギー技術に展開する取り組みを進めており、本教材はその一環として開発された。2024年に神奈川県藤沢市と東北大学にて開催された子ども向け科学講座で採用された教材をペクセルと連携して改良を進め、実用的な教材として販売可能なレベルに到達したことから、試験販売開始に踏み切るもの。
開発品の特長は以下のとおり。
1.自由に描いたデザインで発電できる
従来の教材では、「単色のパネルを組み立てる」など、工作の自由度が低いものだったが、本教材では、専用色素ペン(3色)で自由に描いた絵によって発電できる。
2.電気を「ためる・電圧を変える・使う」一連の流れを体験できる
従来の教材では「作って、電子オルゴールが鳴ったら終わり」という一過性の体験に留まっていたが、本教材では、電気を「ためる」「電圧を変える」「使う」という利用プロセス全体を体験できる。
キットの使用方法
開発品では、以下二つのNSK独自技術により、自由なデザイン性と発電性能の両立を実現している。
1.色素本来の色を再現可能な独自の薄色電解液
電解液は太陽電池の中で電気を流す役割を担っており、従来、濃色で、色素の色を損なう要因だった。NSKは電解液の構成材料と配合を最適化し、独自の薄色電解液を開発したことにより、色素本来の色味を表現できる太陽電池の作製を可能にした。
2.色素ペンによる染色を促進する表面改質技術
色素増感太陽電池は、酸化チタン膜を色素で染色する工程を経て作製される。酸化チタン膜をそのまま使用した場合、色素ペンでデザインを描こうとしてもインクが定着せずにほとんど染色しないため、デザインが描けなかった。さらには、色素ペンによる筆記時においては、ペン先と酸化チタンの摩擦により酸化チタン膜がはく離してしまう問題があった。そこで、NSKは表面に色素増感太陽電池向けに改良した独自のインク受容層を形成した結果、染色工程を色素ペンで行うことを実現し、色素増感太陽電池で自由なデザインを表現することを可能にした。この技術は、インクジェット印刷にも適用が可能であり、色素増感太陽電池の用途拡大にもつながる。