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 米ソ冷戦時代の1962年。ソ連諜報部(KGB)の高官クセノフが、CIA(アメリカ中央情報局)のノルドストロム(ジョン・フォーサイス)の協力を得てアメリカに亡命した。彼の証言からキューバに対しソ連がミサイルの搬入をしている事実が発覚するが、CIAは先のピッグス湾事件でキューバに対するコネをなくしていたため、ノルドストロムは友人のフランス情報部のアンドレ・デベロウ(フレデリック・スタフォード )にキューバ潜入を依頼する。キューバに赴いたアンドレは、愛人であるキューバ地下運動の美人指導者ファニタ(カリン・ドール)とその仲間たちの助けを借りて、ミサイル基地建築などの証拠を押さえていく。

 この諜報活動ではアルフレッド・ヒッチコック監督作品だけあって、秀逸なスパイ道具が活躍している。古きよき時代の作品だけにもちろん、本サイト編集のコダこだわりの銀塩で、しかも遠隔操作できる小型のスパイカメラである。そのカメラの回収では、ばらばらにして七面鳥の中に隠すという用心ぶり。取り出したマイクロフィルムは、タイプライターのリボン、キーの下、髭剃りと替刃に隠していると聞かされ、アンドレはキューバを出国する。実際にフィルムがどこに隠してあったかは、作品を鑑賞して確認していただきたい。

 ヒッチコック作品は、イングリッド・バーグマンやグレース・ケリーなど美人女優で固めるのが常だが、今回のマドンナ(寅さんのような表現だが)は地下組織の指導者を演じるカリン・ドールだろう。スリリングなプロットと美女、こだわりの道具はヒッチコック作品に欠かせない要素で、本コーナーがネタに困ったとき、ヒッチコック頼みになるゆえんである。