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JAST、金属ドープDLCテーマに機能性コーティングの最適設計技術研究会を開催
日本トライボロジー学会(JAST)の機能性コーティングの最適設計技術研究会(主査:岐阜大学・上坂裕之氏)は3月1日、ウェブ会議システムを利用した「第13期 第1回(通算第17回)会合(会議)」を開催した。
上坂裕之 主査
同研究会は、窒化炭素(CNx)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等の硬質炭素系被膜および二硫化モリブデン等の固体潤滑被膜を実用化する上で重要となるコーティングの最適設計技術の向上を目指し、幅広い分野の研究者・技術者が集い、トライボロジー会議でのシンポジウムの開催や研究会での話題提供と討論を行っている。
当日はまず上坂主査が、「今回は金属ドープDLCによる水素中、油中の超低摩擦現象にフォーカスしつつ最先端の成膜技術の情報を紹介いただく。コロナ禍で各種研究会のオンライン開催が増えているがそのメリットも段々に分かってきている。本研究会も当面、リアル開催とオンライン開催の各1回を実施し、議論の場を提供できればと考えている」と開会挨拶を行った後、幹事の野老山貴行氏(名古屋大学)と徳田祐樹氏(東京都立産業技術研究センター)の司会により、以下のとおり3件の話題提供がなされた。
・「DLCコーティングの低摩擦に及ぼす遷移金属の影響」田中宏昌氏(九州大学)…水素環境下での、テトラヘドラルアモルファスカーボン(ta-C)を含むDLC同士の摩擦における金属ドープの影響とメカニズムについて考察した。DLC同士の接触において低摩擦が実現しない場合でも、摺動相手材が純金属ピンである場合、DLCは水素ガス中で低摩擦・低摩耗を実現する。純金属ピンが摺動相手の場合、生成されるカーボン移着膜には、ピンのナノスケールの金属成分粒子が観察された。両摺動面がDLCの場合でも、どちらか一方に金属ドープ膜を用いることで低摩擦が実現。チタンドープDLCよりクロムドープDLCの方が、やや安定した低摩擦を示した。
・「摩擦調整剤MoDTCとの反応性向上を目指した金属添加DLC膜の研究」馬渕 豊氏(宇都宮大学)…一般にDLC膜はエンジン油中の多機能添加剤(酸化防止性能、摩耗防止性能など)ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)や摩擦調整剤モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)との反応性が乏しい。ハイブリッド車(HEV)でも要求されるエンジンの効率向上では、軸受の高面圧下での耐焼付き性向上に有用なZnDTPと反応するDLC膜や、機械損失の低減につながるエンジン油の低粘度化から適用の進むMoDTCと反応するDLC膜が必要になる。ZnDTPを含むエンジン油での金属添加DLC膜の評価からは、ZnDTPの構成成分であるSを多く検出したNiを添加したDLC膜において摩擦係数(μ)が高い傾向が認められ、μを上昇させるZnDTPとの反応膜の形成が確認された。また、MoDTCを含むエンジン油での金属添加DLC膜の評価からは、MoDTCとの反応性を調べ摩擦低減効果が得られた元素のうちNiを添加したDLC膜において、著しい摩擦低減効果が認められ、反応生成物である硫化物およびFe3O4が認められた。
・「神戸製鋼所のDLC成膜技術」磯村良幸氏(神戸製鋼所)…同社の扱う物理蒸着(PVD)成膜手法の一種であるアークイオンプレーティング(AIP)やアンバランスド・マグネトロン・スパッタリング(UBMS)、プラズマ援用気相成長(PECVD)の装置を紹介。UBMS装置では、炭素とドープ材料を同時放電することで金属ドープDLCが成膜できる。クロムドープでは樹脂の離型性向上や、耐摩耗性向上と樹脂への耐凝着性の両立が、タングステンドープでは導電性と耐摩耗性の両立が、チタン・ホウ素ドープではμ低減が図れるとした。そのほか、成膜レートが高く三次元形状への成膜が良好なPECVDの装置や、カーボン専用蒸発源である独自の丸棒型ターゲットを使用したAIP装置による、ta-C膜の高速成膜・10μm以上の厚膜成膜技術などについて紹介した。
kat 2021年3月6日 (土曜日)