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木村洋行、加工分野でローラースクリューと電動アクチュエータ、 超薄型ボールベアリングの提案を強化

2年 11ヶ月 ago
木村洋行、加工分野でローラースクリューと電動アクチュエータ、 超薄型ボールベアリングの提案を強化 in kat 2022年10日07日(金) in in

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)では長年にわたり超薄型ボールベアリング「Reali-Slimシリーズ」やカスタムベアリングの開発も手掛けるKAYDON(ケイドン)社の日本総代理店を務めており、2020年1月からはEWELLIX(エバリックス)社の直動製品を取り扱っている。

 エバリックスのローラースクリューおよび電動アクチュエータと、ケイドンの超薄型ボールベアリングはともに、設計の自由度を高めるだけでなく、電力消費の削減、ひいてはCO2削減に寄与できるソリューションとして注目されてきている。ここでは同社に、加工分野におけるローラースクリューおよび電動アクチュエータ、超薄型ボールベアリングの適用のメリットについて事例をまじえて話を聞いた。
 

ローラースクリュー 概要と特徴

 エバリックスは、SKFグループだったSKF Motion Technologies社を前身とする直動製品メーカーで、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評がある。エバリックスの直動製品の一つとしてローラースクリューがあるが、ローラースクリューはもともとエバリックスの前身の会社が世界に先駆け開発・製品化しており、エバリックスはローラースクリューのパイオニアといえる。

 ボールを転動体とするボールねじが点接触で運動するのに対し、ローラーを転動体とするローラースクリューは面接触で運動するため、ボールねじに比べ①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、といった特徴を持つ。
図1(a)は、𝐿10寿命計算に使われる基本動定格荷重(一群の同じ製品を運転した時に、その内の 90%がはく離を起こさずに回転できる寿命が100万回転になるような軸方向荷重、Ca)の比較だが、図1(a)からは例えば同じ軸径φ32で、高負荷容量ボールねじの基本動定格荷重が100kN程度なのに対して、エバリックスのローラースクリューの基本動定格荷重は130kN程度と、より大きな荷重が受けられることが分かる。

 このことから図1(b)に示すとおり、同じ基本動定格荷重でみると、高負荷容量ボールねじに比べエバリックスのローラースクリューは、ナットの長さを約3〜4割短縮できる。これは、ナットのダウンサイジングによる省スペース化が図れ、装置をコンパクト化できることを意味する。

 また、ボールねじなどの軸方向荷重としては一般的に、メーカーは基本動定格荷重の30%以下で使用することを推奨している。この値が許容荷重で、図1(c)は、エバリックスのローラースクリューが面接触により面圧を分散できるため、同じ軸径で比較すると、高負荷容量ボールねじの約3.3倍の許容荷重を有すること、つまり、はるかに高い耐荷重能力を持つことを示している。

 こうしたことからローラースクリューでは、同等の基本動定格荷重であればボールねじに比べ軸径の小さな製品にダウンサイジングでき、重量を大幅に軽くすることで、遠心力も大幅に小さくできる(図2)。
エバリックスのローラースクリューのシリーズとしては以下のとおり、大別して遊星型と循環型がある。
 

図1 エバリックス ローラースクリュー vs. 重荷重用ボールねじ(リード10mmで比較)

 

図2 同等の基本動定格荷重のボールねじからのダウンサイジングの効果
遊星型ローラースクリュー

 遊星型ローラースクリュー「SR」は、ねじ軸と、ねじ軸の周りに、ガイドで固定してそれぞれが非接触で配置された、両先端にギヤを切り本体には螺旋ねじを持つローラー、ローラー先端のギヤが噛み合う内歯車(ギヤリング:toothed ring)、ローラーの螺旋ねじと同じ角度の螺旋溝を内側に施したナットなどから構成される(図3)。

 ねじ軸の回転とともに各ローラーは、先端のギヤがギヤリングと噛み合いながら軸の周りを遊星運動で回転、これによってナットの直線運動へと変換される。
遊星型ローラースクリューの特徴としては、転がり接触によって低摩擦で、耐荷重能力が高く、循環型ローラースクリューのような循環機構を必要とせず、また衝撃荷重・振動を受けないため高速・高加速が要求されるアプリケーションに適していること、などが挙げられる。ローラー先端のギヤとギヤリングとの噛み合いによって、ボールねじで見られるような高加速の際の滑りも起こらない。
 

図3 遊星型ローラースクリューの構造

 

 

 

循環型ローラースクリュー

 循環型ローラースクリュー「SV」は、ねじを切った主軸と、軸の周りにケージ(保持器)によって非接触に整列させられた溝付きのローラー、各ローラーを押し出すように段差を設けたカム、内側にねじが切られローラーが落ちるためのスロットを有するナット、などで構成される(図4)。

 ねじ軸の回転とともにローラーが回転、カムの段差でローラーの先端が押されて順次転がりながらナット内側のねじと噛み合っていき、それによってナットの直線運動に変換される。

 循環型ローラースクリューの特徴としては、転がり接触によって低摩擦で、耐荷重能力が高いのは遊星型ローラースクリューと同じだが、ねじに螺旋の角度を取る必要がないため、極めて小さなリード(ねじ軸が1回転した時にナットが軸方向に進む距離)を設定できること、などが挙げられる。短所は、カムの段差によってローラーが溝に落ちてナットが進む際に振動が発生することで、このため高速用途には向いていない。
 

図4 循環型ローラースクリューの構造

 

  加工分野での適用事例

 ローラースクリューは、樹脂を押し出す射出成形機(図5)やブロー成形機、金属を曲げるベンディングマシン、スポット溶接ロボット、リベットマシン、サーボプレス機など、大きな推力を必要とするアプリケーションに適用できる。

 ボールねじを大径にしないと高推力を発生できず、装置内で大径ボールねじのスペースが確保できないような場合に、ローラースクリューはダウンサイジングによる省スペース化が可能となる。

 ローラースクリューを用いた電動アクチュエータもシリーズ化されているが、油圧アクチュエータからこの電動アクチュエータに置き替えることで、制御性や分解能を向上でき、必要とされるエネルギーを大幅に削減できるほか、油圧作動油の管理といったメンテナンスコストが削減できるなど、生産コストの低減と生産効率の向上に寄与できる。

 木村洋行ではまた、加工分野で適用の進む協働ロボットのアクセサリとしてエバリックスのピラー型電動アクチュエータをカスタマイズしロボット自体を垂直方向に動作させることで作業動作範囲を拡大できる「LIFTKIT」を提案している。ロボットの基台としてピラー型アクチュエータである「LIFTKIT」を使用することで、設置面積を抑えつつロボットの昇降移動を実現でき、ロボットのアームリーチの有効範囲が立体的に拡大できる。

 また、単軸横置アクチュエータに協働ロボットを接続し、搬送やピック&プレースなどロボットの水平方向の動作範囲を拡大でき、作業効率を飛躍的に向上できる「SLIDEKIT2.0」(図6)も提案している。
ニーズに応じてSLIDEKIT上にLIFTKITを載せて併用することも可能で、その場合は協働ロボットの垂直方向と水平方向の動作範囲を大幅かつ同時に拡大できる。

 SLIDEKITおよびLIFTKITは当初、ユニバーサルロボット(UR)社とのコラボによる6軸協働ロボットのアクセサリとしてカスタマイズされたが、現時点でUR、オムロン、ABB社、台湾テックマン(TM)社の4社の協働ロボットへの適用が可能となっており、それぞれの協働ロボットのティーチングペンダントによって、協働ロボットとSLIDEKIT/LIFTKITの動作制御が可能となっている。
 

図5 射出成形機での適用例

 

図6 SLIDEKIT2.0を用いた複数のセル生産装置でのワークの受け渡しイメージ
:スライド長3mまで対応

 

超薄型ボールベアリング 概要と特徴

 KAYDON(ケイドン)社は、1950年代に世界で初めて超薄型ボールベアリング「Reali-Slimシリーズ」(図7)を開発し量産を開始した唯一の専門メーカーで、現在はSKFグループとしてあらゆる用途に応じたカスタムベアリングの開発も手掛けている。

 

図7 内径が大きくなっても断面サイズが一定の
ケイドン超薄型ボールベアリング

 

 ケイドン超薄型ボールベアリングの最大の特徴は、断面が超薄型のため装置に占めるベアリングのスペースを最小化でき、装置全体の省スペース・軽量化が図れ、設計の自由度が向上する点。一般的なISO規格・JIS規格のベアリングでは内径が大きくなるのに比例して断面サイズも大きくなるのに対し、ケイドン超薄型ベアリングは断面サイズでシリーズ化されており、内径が大きくなっても同じシリーズ内であれば断面サイズは変わらない。

 ケイドン超薄型ボールベアリングには、ラジアル荷重を受ける深溝型(Type-C)と、通常は2列以上の複列で用いてラジアル荷重、アキシアル荷重とモーメント荷重の複合荷重を同時に支えることができるアンギュラコンタクト型(Type-A)、この複合荷重を単列のベアリングのみで受けられる4点接触型(Type-X)がある(図8)。

 特に、複合荷重を受けられる4点接触型を使用することで大口径中空シャフトへの置き換えが可能になるだけでなく、単列仕様にできるため軸方向の長さをさらに短縮できる。気体・液体の配管類、電気配線やスリップリングなどを中空シャフト内に収納可能など、フレキシブルで効率的なデザインにできる。

 

図8 超薄型ボールベアリングの種類

 

加工分野での適用事例

 ケイドン超薄型ベアリングは内径が大きくなっても断面サイズが超薄型なことから、工作機械でも省スペース設計が可能で、外輪に歯切りした大口径ターンテーブル用ベアリングや、ツールチェンジャー用ベアリングなどに採用され、装置の省スペース設計のほか軽量化による消費電力の低減にも寄与している。
 工作機械でも砥石がワークの外周側を回転する用途では、砥石を支持するベアリングの内径を大きくしつつ外径寸法を抑える必要がある。このような用途では、ケイドン超薄型ボールベアリングの使用が有効な解決策となる。

 

今後の展開

 ものづくり現場での自動化・ロボット化が進展する中で、URロボットなどのアクセサリに位置づけられるエバリックスの電動アクチュエータの採用が進んできている。また、装置の省スペース設計が可能な点からは、エバリックスのローラースクリューやケイドンの超薄型ベアリングが注目されてきている。いずれも高い負荷容量、長寿命化を実現しつつ、サイズダウン化でき軽量化が図れることからは、装置の消費電力の低減、ひいてはCO2削減にも寄与できる。

 エバリックスの製品もケイドンの製品も、工作機械を含めて様々な用途に合わせてカスタマイズが可能なため、木村洋行ではユーザーとの対話の中でニーズを的確にとらえて、各種製品の特質を活かしつつユーザーの仕様に最適な製品を提供していくとともに、従来から実施している機械を正常に稼働させるための総合的な技術的サポートについても引き続き実施していく考えだ。

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イグス、ローコストオートメーション事業拡大に向け、Commonplace Robotics社の株式を取得

2年 11ヶ月 ago
イグス、ローコストオートメーション事業拡大に向け、Commonplace Robotics社の株式を取得kat 2022年10日07日(金) in in

 イグス・ドイツ本社は、ローコストオートメーション(LCA)事業拡大のため、ロボット業界の革新的企業であるドイツのCommonplace Robotics社の株式の過半数を取得した。同社の直感的なソフトウェアと、イグスの高機能ポリマー製可動パーツを組み合わせることで、オートメーションにおけるシンプルなソリューションを実現していく。

 Commonplace Roboticsは、直感的な制御システム、ソフトウェア、ロボット用パワーエレクトロニクスを専門とし、産業界・教育界向けに製品やサービスを提供する企業。クリスティアン・マイヤー氏によって11年前に設立された。“ロボットの統合と運用を低コストかつシンプルにして、ロボットを一般に広く普及させる”という同社のコンセプトが、イグスの産業用LCA製品と合致し、両社は2016年以降、イグス ロボットコントローラ(iRC)、アクチュエータ、ReBeLロボットアームなどの共同開発を行ってきた。ファームウェアやソフトウェアから、スイッチキャビネット構築や回路基板の組み立てまで対応するCommonplace Roboticsの高度な垂直統合は、新規開発の迅速な実現を可能にしている。

 今回の株式取得により、イグスとCommonplace Roboticsは、互いの革新的な技術の強みを組み合わせることになる。Commonplace Roboticsは、イグスとの技術プロジェクトに大きな期待を寄せており、同社にはイグスのローコストロボット用オンラインプラットフォームRBTXを通じて、日々様々な業界の顧客からの要望が届いている。今回の投資を機に、同社はさらに技術を拡充させて、そうした要望の多くに、より迅速に対応できることになる。

 両社による最新製品は、制御システムが装備可能なロボットアームReBeLで、個別部品としても購入可能なアクチュエータは、イグスのノウハウを活かしたギヤボックスと、Commonplace Roboticsのパワーエレクトロニクス、ソフトウェアの技術を統合している。4自由度または6自由度を持つReBeLは、(6自由度の場合)可搬重量が最大2㎏で可動範囲は664mm、正味重量はわずか10㎏。品質管理やピック&プレースといった従来の機械工学分野だけでなく、レストランオートメーションや都市型農業といった新しい分野からの要望や注文も多くなっている。

 

左:Commonplace Robotics CEOのクリスティアン・マイヤー氏
右:イグスCEO兼アントレプレナーのフランク・ブラーゼ氏

 

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出光興産、業界初、商用ディーゼルエンジン車のDPFの寿命を延長する無リン無灰オイルを開発

2年 11ヶ月 ago
出光興産、業界初、商用ディーゼルエンジン車のDPFの寿命を延長する無リン無灰オイルを開発kat 2022年10日07日(金) in in

 出光興産は、業界初となる無リン無灰のディーゼルエンジンオイル「idemitsu AshFree」(イデミツアッシュフリー、粘度グレード:10W-30、荷姿:200Lドラムまたは20L缶)を開発、発売を開始した。「idemitsu AshFree」は、ディーゼルトラックやバスに搭載される排ガス浄化処理装置DPF※2(Diesel Particulate Filter、ディーゼル微粒子捕集フィルター:DPF)の目詰まりの要因となる灰を出さないオイルで、DPFの寿命延長によるメンテナンス費用の削減やDPF再生時間短縮による労務時間・燃料使用量の削減を実現する。本製品は同社の特約販売店を通じて販売します。

idemitsu AshFree(20L缶)

 

 トラックやバスのエンジンに使用されている従来のディーゼルエンジンオイルには清浄性や耐摩耗性を向上させるため、添加剤として金属添加剤が含まれている。一方、これらの金属添加剤は灰となってDPFを詰まらせ、トラブルの要因となることが長年の課題となっていた。

 同社ではこの課題を根本的に解決するため、「灰を減らす」のではなく「灰を出さない」というコンセプトのもと、独自の添加剤処方技術により、灰となる金属添加剤を使用しないディーゼルエンジンオイルの開発に取り組み、成功した。

 開発したidemitsu AshFreeの特徴(期待効果)は以下のとおり。

1.DPFの寿命延長
 DPFは定期的な点検・清掃が必要で、燃料、オイル由来のススやオイル中の金属添加剤に由来する灰分から発生するPM(Particulate Matter : 粒子状物質)が溜まると、自動的にPMを燃焼させる「再生」処理をすることで、フィルターの性能を保持する。走行条件によっては自動再生では再生が完了しない場合があり、手動での再生を実施する必要が生じる。手動再生は30分程度車両を停止させて行う必要がある。これに対しidemitsu AshFree を使用することでDPFに灰が溜まらず、DPFの寿命延長(DPFの交換、洗浄などのメンテナンスコスト削減)が可能となる。

2.労務時間の改善
 上述のとおり、DPFの手動再生に費やしていた労務時間を削減し、負担を軽減できる。

3.燃料消費量の削減
 DPFの再生回数増加を抑制するため再生に使用する燃料を削減します。

4. 優れた高温清浄性
 独自の添加剤処方技術により、優れた高温清浄性と低い蒸発性を有しておりデポジット抑制(EGR等)も期待できる。「JASO DH-2」(日本製ディーゼルエンジン+DPF適合性能)規格より低い硫酸灰分と塩基価を実現し、「JASO DH-2」で制定されている全てのエンジン試験をクリアしている。

5. 環境への貢献
 DPFの再生回数抑制などによりCO2排出量の削減につながる。また、リンを使用しないことにより、触媒の被毒を抑え、触媒の交換を減らすことが期待できる。

 出光興産では、「1911年の創業以来、超緻密な設計にこだわり続け、潤滑油の技術力を磨いてきた。今後も、この技術力を通じ、労務環境の改善やCO2排出量の削減など、社会課題の解決に貢献していきたい」としている。

kat