Aggregator
材料相場表/PDFで公開
奥野製薬工業、ガラス基板への無電解銅めっきプロセスで第18回JPCA賞を受賞
奥野製薬工業(https://www.okuno.co.jp/)は、パナソニック環境エンジニアリング(https://panasonic.co.jp/hvac/peseng/)と共同で開発した、液相析出法(Liquid Phase Deposition:LPD法)により金属酸化物の密着層(中間層)を製膜したガラス基板に対して高いめっき密着性が得られる無電解銅めっきプロセス「PLOPX」で、日本電子回路工業会より「第18回JPCA賞(アワード)」を受賞した。
JPCA Show 2022 奥野製薬工業ブースでのPLOPXプロセスの紹介
ガラスは平滑性と絶縁性が高く、信号の伝送特性にも優れるため、2.5D実装に必要なインターポーザ材料として利用が検討されている。一方で、無電解銅めっき膜とガラス基板との密着性を高める手段としては従来、機械的表面改質手法でガラス基板の表面に微細な凹凸を形成する粗化によって、ガラス基板の凹部内に無電解銅めっき膜の一部を埋め込んで、そのアンカー効果により密着性を高める方法がとられてきた。しかし、ガラス基板の粗化によるアンカー効果によって無電解銅めっき膜とガラス基板との密着性を高める方法は、無電解銅めっき膜の高周波導電性が低下するため、高性能の高周波用電子部品の製造には適さないという問題があった。
これに対し両社で開発した本プロセスは、ガラス基板と銅めっき層の中間層として、LPD法により金属酸化物の密着層を製膜することで、ガラスを粗化することなく銅めっきすることを可能としたもの。全プロセスを湿式法で処理することを特徴としており、大量生産および生産効率の向上につながる。開発プロセスは今後、5G、6Gに向けた高速通信システム材料としての展開が期待されている。
kat 2022年6月30日 (木曜日)イグス、しゅう動部品用の丸棒に4種類の新材質を追加
イグスは、すべり軸受などを構成する高性能ポリマー材質「イグリデュール樹脂」の丸棒のラインアップに、高温環境に対応する「イグリデュールAC500」と弾性のある「イグリデュールA250」、耐薬品性に優れる「イグリデュールH3」、アルミシャフトとの組み合わせで長寿命を実現する「イグリデュールE」の4種類の材質を新たに追加した。ラインアップ拡大により、無潤滑・メンテナンスフリーの試作品や特殊部品を機械加工する際の材質オプションが広がることになる。
イグリデュール丸棒の4種類の新材質
食品・包装業界向けにはイグリデュールAC500とイグリデュールA250を投入する。イグリデュールAC500は、FDAとEU 10/2011に準拠、食品に接触する特殊ブッシュ、ローラーやその他しゅう動部品の製造が可能。250℃までの高温環境に対応するため、特に焼成ラインの摺動部品に適している。耐薬品性も高く、食品業界の洗浄剤使用環境下でも適用できる。また、イグリデュールA250は特に、ベルトコンベアで使用されるナイフエッジローラーの製造に最適。ナイフエッジローラーとして使用すると低摩擦の無潤滑運転が可能で、必要駆動力とベルトの電力消費量を削減できる。FDAとEU 10/2011に準拠しており、食品との直接接触に関する認可を受けている。
また、イグリデュールH3は耐薬品性の部品製造に使用できる。主に刺激性の強い媒体との接触や、燃料ポンプなどの用途に向けて開発された材質で、耐久性と低吸湿性に優れ、過酷な用途で長寿命かつ確実に機能する。
さらに、イグリデュールEは、アルミシャフトとの組み合わせで、振動を減衰させるすべり軸受を製造でき、機械や装置の精密でスムースな動きをサポートする。繊維産業、包装産業、印刷産業、自動販売機などの直動・回転運動において、優れた摩耗特性を発揮する。
ジェイテクト、BEV向けプラネタリギヤ用針状ころ軸受保持器の樹脂化で型技術論文賞を受賞
ジェイテクト 研究開発本部 材料研究部 有機材料研究室の村田順司氏は、受賞論文:「BEV向けプラネタリギヤ用針状ころ軸受における保持器の樹脂化」で、型技術協会主催の第32回型技術協会「型技術論文賞」を受賞した。
型技術協会では、型技術ならびに型産業のより一層の発展を図ることを目的に「型技術協会賞」を設け、1991年より「功績賞」「技術賞」「型技術論文賞」、1996年より「奨励賞」を設置。特に優れかつ貢献度の高い型に関する技術等に対して、毎年顕彰を行っている。
型技術論文賞は、会誌『型技術』に掲載された特に優れた論文等の著者に贈られ、有用性・発展性・開示性・革新性に重点を置いた選考が行われる。また、従来の論文としての学術性に加え、型技術全般への貢献度を重視したより広い観点からの審査が行われる。
自動車市場ではCO2を削減するためにBEV(電気自動車)の普及が進んでおり、電費の向上が課題の一つとなってる。その中で、BEVに用いられる転がり軸受にも電費向上への寄与が要求され、軽量化や潤滑技術の向上が進められている。
ジェイテクトでは、BEVに搭載される遊星式eAxleのプラネタリギヤ内部に使用される針状ころ軸受の保持器の材質を金属から樹脂に変更することで、軸受の20%軽量化を実現した。
保持器に樹脂を用いることで設計自由度を高め、保持器ところ間の空間を広げて油を外径側に流れやすくするなど、軸受内部の油流れを制御する新機能を付与し、潤滑油量が少なくても十分な潤滑性と冷却性を有する軸受を開発することに成功した。
受賞者の村田順司氏