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THK、転動部にホイールを採用したユーティリティスライドの受注を開始
THKは、 転動部にホイールを採用しスムーズなスライド機構を実現する、鉄道業界、物流業界向けのユーティリティスライド「Advanced Wheel Guide」の受注を開始する。
Advanced Wheel Guide
Advanced Wheel Guideは、アウタメンバと、ホイールを装着したキャリッジで構成されるユーティリティスライド。
THKが これまで 直動転がり案内「LMガイド」で培ってきた調心機能を有することで、ラフな取り付けでも誤差を吸収して長期間安定したスムーズな案内を実現する。
また、独自開発したスクレーパによって防塵性に優れ、悪環境でも使用することが可能。
従来のスライドレールは、医療機器や各種事務機器などのスライド部に幅広く利用されてきたが、Advanced Wheel Guideは鉄道業界や物流業界をターゲットとし、 鉄道車両用ドアや物流現場における自動倉庫ラック、 工作機械の扉開閉部などへの需要が見込まれている。
Advanced Wheel Guideの使用例
Advanced Wheel Guideの特長は以下のとおり。
・スムーズなスライド機構:アウタメンバとホイールが2点で接触するサーキュラーアーク構造を採用することで調心機能を有し、取付面の精度が低い場合でもスムーズなスライドが可能
アウタメンバとホイールが2点で接触するサーキュラーアーク構造
・優れた防塵性:キャリッジ端面に独自開発したスクレーパを取り付けることで、転動面に対して長期間接触状態を維持でき、スライドレールに比べて防塵性に優れる
・環境に配慮した潤滑システム:独自開発したグリースタンク構造によりグリースを転動面に適切な量を塗布できるため、余分なグリース排出を低減し、周囲を汚さない環境に配慮した潤滑システムを実現
木村洋行、アプリケーション指向の電動アクチュエータを用いた自動化・電動化を提案
木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)は2020年1月から、スウェーデンに本社を置くEWELLIX(エバリックス)の直動製品の取扱いを開始した。エバリックスは、スイス、スウェーデン、ドイツ、フランス、アメリカ、中国に生産拠点を有し、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評があり、自動機など一般産業機器向けのほか、高度な安全性が求められる医療機器向けや協働ロボット向けでも実績が多い。
エバリックスは2023年1月からはSchaeffler(シェフラー)の傘下として、かねてから進めてきたセンサやコントローラー関連の研究開発を加速させている。
今回同社に、エバリックスの直動製品の独自性を生かした、電動化・自動化支援について話を聞いた。
直動製品のラインナップと独自技術 動作範囲を拡張できるピラー型/シリンダ型電動アクチュエータエバリックスの直動製品としては特に、設置面積を小さく抑えられコンパクトな昇降が可能なピラー型電動アクチュエータ(図1)に特徴がある。ストローク量や荷重、速度、偏荷重など、アプリケーションごとの仕様条件に合わせた提案が可能で、低騒音で堅牢であり、高荷重に対応できるため、厳しい仕様条件のニーズにも対応できる。電圧は120V ACおよび24V DCに対応、最大定格荷重(押し/引き)はシリーズによって最大6000N、ストロークは700mm以上、動作速度も無負荷時で最速42mm/秒かつ最大負荷時で最速31mm/秒を実現している。
図1 ピラー型アクチュエータ
また、シリンダ型電動アクチュエータは最大定格荷重500kN、最速1050mm/sの動作速度や最大ストローク2000mmを実現するモデルもあり、高いデューティサイクルにも対応できる。
高荷重支持、長寿命、高剛性のローラースクリュー
高効率、高精度、高耐久性を兼ね備えたローラースクリューにも特徴がある(図2)。ボールを転動体とするボールねじが点接触で運動するのに対し、ローラーを転動体とするローラースクリューは面接触で運動するため、ボールねじに比べ①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、といった特長を持つ。
図2 ローラースクリュー
図3(a)に、𝐿10寿命計算に使われる基本動定格荷重(一群の同じ製品を運転した時に、その内の 90%がはく離を起こさずに回転できる寿命が100万回転になるような軸方向荷重、Ca)の比較を示す。図3(a)からは例えば同じ軸径φ32で、高負荷容量ボールねじの基本動定格荷重が100kN程度なのに対して、エバリックスのローラースクリューの基本動定格荷重は130kN程度と、より大きな荷重が受けられることが分かる。
このことから図3(b)に示すとおり、同じ基本動定格荷重でみると、高負荷容量ボールねじに比べエバリックスのローラースクリューは、ナットの長さを約3〜4割短縮できる。これは、ナットのダウンサイジングによる省スペース化が図れ、装置をコンパクト化できることを意味する。
また、ボールねじなどの軸方向荷重としては一般的に、メーカーは基本動定格荷重の30%以下で使用することを推奨している。この値が許容荷重で、図3(c)は、エバリックスのローラースクリューが面接触により面圧を分散できるため、同じ軸径で比較すると、高負荷容量ボールねじの約3.3倍の許容荷重を有すること、つまり、はるかに高い耐荷重能力を持つことを示している。
こうしたことからローラースクリューでは、同等の基本動定格荷重であればボールねじに比べ軸径の小さな製品にダウンサイジングでき、重量を大幅に軽くすることで、遠心力も大幅に小さくできる。
エバリックスではまた、このローラースクリューを用いた高荷重支持、長寿命、高剛性の特長を持つ電動アクチュエータを、「ハイパフォーマンス・アクチュエータ」としてラインナップしている。ハイパフォーマンス・アクチュエータについては、以下に適用例をまじえて紹介する。
生産現場で適用の進む6軸協働ロボットのアクセサリとして、ピラー型アクチュエータを6軸協働ロボット用にカスタマイズし、協働ロボットの第7軸として、垂直方向に動作させることで作業動作範囲を拡大できる「LIFTKIT」を提案している。LIFTKITの垂直方向の最大ストローク長は500~1400mmであり、ロボットの基台としてLIFTKITを使用することにより設置面積を抑えつつロボットの昇降移動を実現でき、ロボットのアームリーチの有効範囲を立体的に拡大できると言える。
またLIFTKITと同様に、単軸横置アクチュエータに協働ロボットを接続し、搬送やピック&プレイスなどロボットの水平方向の動作範囲を拡大でき、作業効率を飛躍的に向上できる「SLIDEKIT」も提案している。SLIDEKITの水平方向のスライド長は100~3000mmとなっている。長い同一の生産ライン上にある、複数のセル生産装置の間でのワークの受け渡しや複数の加工工具の段取り替えといった作業の効率を高めることで、加工の生産性を向上できる。
ニーズに応じてSLIDEKIT上にLIFTKITを載せて併用することも可能で、その場合協働ロボットの垂直方向と水平方向の動作範囲を大幅かつ同時に拡大できる(図4)。
図4 6軸協働ロボットとLIFTKIT・SLIDEKIT組み合わせでのパレタイジングのデモ(2023国際ロボット展での例)
SLIDEKITおよびLIFTKITは当初、ユニバーサルロボット(UR)社とのコラボによる6軸協働ロボットのアクセサリとしてカスタマイズされたが、その後多くの企業の協働ロボットへの適用が可能となっており、それぞれの協働ロボットのティーチングペンダントによって、協働ロボットとSLIDEKITおよびLIFTKITの動作制御が可能となっている。
2023年にはファナックの協働ロボットCRXシリーズのプラグイン対応機器(昇降装置)としてLIFTKIT(LIFTKIT-FA、図5)が採用になり、ロボットの昇降範囲を最大で1400mmまで拡大できることや、生産性の向上と労働コスト削減に貢献できること、高い位置精度と安定性を実現できることなどが評価されている。コンパクトサイズで設置スペースを増やさずに6軸協働ロボットの7軸目として機能する作業範囲を拡張できることが評価され、6軸協働ロボットのプラグイン対応機器としてのLIFTKITの採用が進んできている。
農機・建機の電動化支援
農業機械や建設機械など比較的高推力が必要とされる作業機には、油圧作動油を動力源とする油圧アクチュエータが多用されている。地球環境問題や作業のスマート化などから電動化が求められてきている農機・建機においても、エバリックスでは電動アクチュエータ化を提案している。
エバリックスはシェフラーグループの一員として万全の開発バックアップ体制のもと、近年進めてきたセンサやコントローラーの研究開発が加速してきており、伝送速度が速く拡張性の高いコントローラー・エリア・ネットワーク(CAN)バス通信規格に対応しつつ、野外で使用できる保護等級IP69K/66Mに対応した防水・防塵仕様のスマート電動アクチュエータ「CAHB-2xS(2xSのラインナップ:20S、21S、22S)」(図6)を開発している。
農機・建機の油圧アクチュエータを高速でスムーズな動作が可能な電動アクチュエータへと置き替えることによって、素早く滑らかな動作を実現できるため、より高い生産性を実現できる。高荷重条件で使われ近年IoT化の進む建設機械の荷台駆動などにおいて、素早く角度を変えるといった適用も始まってきている。
木村洋行では、必要とされるエネルギーを大幅に削減できるほか、油圧作動油の管理といったメンテナンスコストが削減できるなど、生産コストの低減と生産効率の向上に寄与できることを訴求しつつ、日本国内の農機・建機メーカーにも提案を進めていきたい。
ハイパフォーマンス・アクチュエータによる電動化・自動化支援
ローラースクリューを使用した電動アクチュエータ「ハイパフォーマンス・アクチュエータ」はローラースクリューの特長である①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、を実現できる。特に82kNまでの高推力が得られ精密制御が可能な「CASM-100」(図7)は、建設機械向けなどで適用実績がある。建機向けアプリケーションの拡大に向け、エバリックスではさらに高荷重対応のアクチュエータの開発を進めている。
図7 CASM-100
中空シャフトモーターのシャフトにローラースクリューを用いた「CEMC」は、コンパクトで高推力を図りつつ、イナーシャを最小化することによって制御性・応答性が良好で、サイクルタイムを劇的に改善し高い生産性を実現できる。スポット溶接ロボットや樹脂を押し出す射出成形機など、高荷重がかかる用途で多くの実績を持つ。スポット溶接ロボットのうち例えばXタイプガンフレーム(図8)では、溶接するワークを挟む機構として二つのガンアームを最大ストローク180mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~25kN)を保持する。
図8 スポット溶接ロボットⅩタイプガンフレームでのCEMCの適用例
エバリックスの直動製品は医療機器向けの規格IEC 60601-1を取得していることなどから、国内においても手術台の昇降にピラー型アクチュエータが使われるなど医療機器向けの適用も多いが、この用途でのアクチュエータに対する位置決め精度の要求はそう高くなく、FA用途には使えない。
これに対しピラー型アクチュエータの上位機種である「CPSM」(図9)は、繰返し位置決め精度0.1mmで最大100 mm/sの高速動作、最大推力5kNが可能なため、FA機器の昇降軸や産業用ロボットの昇降軸などで引き合いが増えてきている。
ボールねじを大径にしないと高推力を発生できず、装置内で大径ボールねじのスペースが確保できないような場合に、ローラースクリューを用いた電動アクチュエータでは、ダウンサイジングによる省スペース化が可能となる。
今後の展開
ものづくり現場での自動化・電動化が進展し効率向上からメンテナンス期間延長などが求められる中で、耐久性が高く装置の省スペース設計が可能なエバリックスの電動アクチュエータの採用が進んできており、高い負荷容量、長寿命化を実現しつつ、サイズダウン化でき軽量化が図れることからは、装置の消費電力の低減、ひいてはCO2削減にも寄与できる。
木村洋行は技術商社として、エバリックスなどメーカーとの情報交換を密に行い、製品・技術・アプリケーション情報のアップデートを常に図っている。製品・技術・アプリケーションに関する知見とノウハウを蓄積しつつ、ユーザーとの対話の中でニーズを的確にとらえることで、さまざまな用途に合わせてカスタマイズが可能なエバリックス製直動案内製品の特質を生かした、ユーザーの仕様に最適なソリューションを提供していく。
同社ではまた、従来から実施している「機械を正常に稼働させるための総合的な技術的サポート」についても、引き続き注力していく。