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自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展 2024を開催

1年 4ヶ月 ago
自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展 2024を開催kat 2024年07日26日(金) in in

 自動車技術会は5月22日~24日、横浜市のパシフィコ横浜で「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2024」を開催した。590社/1378小間の規模で開かれ、3日間で75972名が来場した。ベアリング&モーション技術(bmt)関連では、以下のような展示がなされた。

会場のようす

 

 イグスは、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化につながる樹脂部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」を紹介した。ブースでは、来場者に同アプリをスマートフォンにダウンロードしてもらい、可動機構を持つ自動車やロボットの模型を撮影してもらうことでAIが画像を認識し、対象物で使われるベアリングやリニアガイドなど、活用・置き換えの可能性があるイグスの無潤滑部品をユーザーに提案するというデモンストレーションを行った。

イグス「igusGO(イグスゴー)」

 

 NTNは、タイヤ側に搭載される固定式CVJの従来の構造概念を大きく変え、ボールが転がる転動溝が内輪・外輪で互いに交差するとともに、隣り合う転動溝が互い違いに傾斜した独自の「スフェリカルクロスグルーブ構造」を有する高効率固定式等速ジョイント「CFJ」を紹介した。その構造によってCVJの内部部品間に発生する力を相殺でき、世界最高水準の高効率化(従来品に対しトルク損失率を50%以上低減)と軽量・コンパクトを達成、「第74 回自動車技術会賞・技術開発賞」を受賞している。

NTN「CFJ」

 

 ジェイテクトは、カーボンニュートラル達成に向けて注目を集める水素社会への貢献を目指し、化石燃料の代わりに水素をエンジンで燃焼させて走行する水素エンジン車向けに開発した「高圧水素減圧弁」を紹介した。バルブから供給された高圧水素をエンジンで必要な圧力に調整(減圧)する製品で、燃料電池自動車向け第2世代高圧水素減圧弁のコア技術を生かし、エンジンが必要とする圧力の水素を供給できる。

ジェイテクト「高圧水素減圧弁」

 

 大同メタル工業は、「大同は挑む!高速領域(30000rpm)のその先へ‼」と謳って、E-Axle向け転がり軸受の滑り軸受化を提案した。滑り軸受化によって流体潤滑による大幅な低摩擦化やモータの高速回転への対応や高負荷時の耐久性向上が図れるほか、最大65%減の省スペース化と平均85%減の軽量化が可能な点などをアピールした。

大同メタル工業「E-Axle向け転がり軸受の滑り軸受化の提案」

 

 大豊工業は駆動ユニット各部位における転がり軸受の滑り軸受化を提案した。ユニットの小型化、低NVかの課題に対して、転がり軸受を最小板厚1.0mmの滑り軸受に置き換えることで、外径で約40%減の省スペース化が図れるほか、流体潤滑の滑り軸受への置き換えで約40%NVを軽減できるとアピールした。

大豊工業「駆動ユニット各部位における転がり軸受の滑り軸受化の提案」

 

 日本精工は、超低フリクションT-HUB(円すいころ)ユニット軸受を体感する展示を行った。同軸受は、電動車の低フリクション化と軽量化に貢献するユニット軸受で、ブースでは現行品(第2.5世代)と、予圧範囲を縮小しボールハブで培った設計仕様を盛り込み低フリクション化を図った開発中の新製品(第3世代)を展示。現行品と新製品の回転トルク差を体感できる展示とした。

日本精工「超低フリクションT-HUB(円すいころ)ユニット軸受の体感展示」

 

 不二越は、EVモータの5万回転対応を目指した高速回転軸受を紹介した。CAEにより高速回転時の保持器応力を低減することで早期破壊、疲労破壊を回避できるほか、保持器変位を低減することで軸受の昇温・焼付きを回避できる。保持器形状の最適化により軸受幅の短縮が可能となり、ユニット重量の低減に貢献する。軸受内部諸元の最適化により低トルク化を実現している。シムにより保持器の変形/応力を抑制

不二越「EVモータの5万回転対応を目指した高速回転軸受」

 

 ミネベアミツミは、超精密加工技術により小型軽量化と高速高出力化の両立を実現した「電動コンプレッサ用ボールベアリング・リテーナリング」を紹介した。超精密機械加工技術によってボール転走溝の粗さを向上させているほか、可動スクロールの複数のリテーナリングは回転時の抵抗を防ぐために極めて高い真円度が要求されることから、ボールベアリング部品を転用した専用のリテーナリングを採用している。

ミネベアミツミ「電動コンプレッサ用ボールベアリング・リテーナリング」

 

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イグス、第9回ベクター賞 受賞事例を公開

1年 4ヶ月 ago
イグス、第9回ベクター賞 受賞事例を公開kat 2024年07日26日(金) in

 イグスは、ケーブル保護管「エナジーチェーン」や可動ケーブル「チェーンフレックス」を使用した独創的なエネルギー供給システムの事例を表彰する「ベクター賞」を2年に一度開催しているが、今年の「第9回ベクター賞」の受賞事例4件を公開した。

 今回37カ国から集まった328の使用事例のうち、研究機関や製造業の専門家で構成された審査員による選考プロセスを経て、最も革新的なアプリケーションである「ベクター金賞」にリスボン大学 天体物理学・宇宙科学研究所(ポルトガル)の多天体近赤外線分光器MOONSが輝いた。また、銀賞はTDK RFソリューションズ社(アメリカ)のビークルインザループ(VIL)試験用装置に、銅賞はMECAoctet社(フランス)のACCORアリーナの鏡張り可動式天井に贈られた。さらに、サステナブルな事例に贈られるグリーンベクター賞には、Bear Machines 社(ドイツ)のトラックタイヤを再生させる機械「ベアカット」が輝いた。

ベクター金賞:多天体近赤外線分光器MOONS/リスボン大学 天体物理学・宇宙科学研究所(ポルトガル)

 リスボン大学の天体物理学・宇宙科学研究所が参加しているMOONSコンソーシアムは、広範囲の観測視野を持つ多天体近赤外線分光器「MOONS」を開発している。この分光器を設計するうえで課題となったことの一つが、回転するフロントエンドから分光器に光を運ぶ、高感度光ファイバーの誘導だった。光ファイバーを安全に、観察の障害となる圧力を発生させずに移動させるため、イグスの多軸動作向けケーブル保護管・トライフレックスシリーズのエナジーチェーンが採用された。リスボン大学の天体物理学・宇宙科学研究所は、本事例で2024年のベクター金賞と賞金5,000ユーロを獲得した。

ベクター銀賞:ビークルインザループ(VIL)試験用装置/TDK RFソリューションズ社(アメリカ)

 TDK RFソリューションズ社は、運転支援システムを搭載した車の電磁両立性(EMC)を測定するためのビークルインザループ(VIL)試験用の装置に、エナジーチェーンとe-spoolを使用した事例でベクター銀賞を受賞した。
試験車両を取り囲み強い電界を発生させる5本のテストアンテナに沿う制御ケーブルと圧縮空気ホースをガイドするために、イグスのエナジーチェーン1400シリーズが使用され、これを巻き取る機構として e-spoolシリーズのばね式ケーブルリールが採用された。スリップリングが不要になったことにより、メンテナンスにかかる時間が大幅に短縮できるようになった。

ベクター銅賞:ACCORアリーナの鏡張り可動式天井/MECAoctet社(フランス)

 ベクター銅賞は、ナイトクラブの可動式天井にe-spoolシリーズのばね式ケーブルリールを使用した事例でフランスのMECAoctet社が受賞した。ACCORアリーナの天井は16×15mの鏡でできており、32個の三角形に分割され、うち16個は可動式となっている。天井にスポットライトを当て、息を呑むような光のショーを生む仕組みだが、設計上の課題は三角形の鏡を動かしながらLEDストリップに電力を供給することだった。この仕組みを実現するために、三角形の各角に電動ウインチを三つ設置。電源供給にはスリップリングを使わないばね式ケーブルリールであるe-spoolシリーズを使用し、ハイブリッドケーブルを取り付けて三角形の重心に接続している。同社のエンジニアからは、「イグスのソリューションがなければ、回転コレクターを備えた複雑なコイルを使用することになり、高価で信頼性の低い機構になっていた」との声が寄せられている。ケーブルループ付きのスライダーシステムと比較して、見た目も美しく収めることができた。

グリーンベクター賞:トラックタイヤを再生させる機械「ベアカット」/Bear Machines 社(ドイツ)

 環境に優しく持続可能な未来に向けた取り組みを選出するグリーンベクター賞は、自動車やトラックのタイヤを再カットする、ベアカットという半自動機械を開発したBear Machines 社が受賞した。この機械でタイヤを再カットすることにより、100kmあたり最大0.5Lの燃料を節約でき、タイヤ1本あたり最大650kgのCO₂排出を回避できるという(調査:ミシュラン、コンチネンタル)。同社で使用していた従来のモーター用ケーブルでは柔軟性の要件を満たすことができず、E2シリーズのエナジーチェーンで動く頑丈で柔軟なケーブル、チェーンフレックスシリーズが採用されている。

 

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