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ナノ科学シンポジウム2024が開催

1ヶ月 ago
ナノ科学シンポジウム2024が開催kat 2024年10日22日(火) in

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2024 : NSSJ2024)」が10月18日1、東京都文京区の東京大学 浅野キャンパス 武田ホールで開催され、約80人が参加した。主催は東京科学大学 物質理工学院 中嶋・梁研究室と関東学院大学 材料・表面工学研究所、パーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

NSSJ2024参加者の全体写真

 

 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウムで、2020年から開催され5回目となるNSSJ2024では、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表が行われた。

・町田友樹氏(東京大学 生産技術研究所)「二次元結晶のファンデルワールス接合によるモアレ超格子の作製と観測」…ファンデルワールス接合では、①界面において格子整合の制約がなく、②原子レベルで平坦な理想的界面が実現し、③構成要素となる二次元結晶の選択肢が極めて広い。さらに、④原子層間のツイスト角度という既存の材料系ではあり得ない制御自由度があり、ツイスト積層によりモアレが形成され、バンド構造が制御できる。既存の材料系では得られない物性が発現する可能性があり、基礎・応用の両面で幅広い可能性を秘めている。講演では、ファンデルワールス積層によるモアレ超格子の作製と原子間力顕微鏡(AFM)による観測、物性創発について紹介した。

・吉田昭二氏(筑波大学)「光波駆動STMを用いた時空間ダイナミクス計測」…近年テラヘルツ~中赤外領域の光パルス生成技術が進展し1サイクル未満の振動サイクルを持つパルスを発生しパルス中の電場位相を自在に制御することも可能になってきた。光波駆動の走査型トンネル顕微鏡(STM)は、そのようなサブサイクル光で直接STM探針-試料間のトンネル電流を瞬間駆動することで試料の瞬時状態を捉える手法で、これまでに原子分解能と30フェムト秒未満の時間分解能が実証されている。講演では、同氏がこれまで物質表面の光励起状態とそのダイナミクスの計測を目的として実験を進め、C60薄膜や遷移金属ダイカルコゲナイド原子層上の電子ダイナミクスの計測行ってきた成果に加えて、今後の展望についても紹介した。

・梁 暁斌氏(東京科学大学)「原子間力顕微鏡によるナノ応力分布とナノ導電性の可視化」…AFMをベースにしたナノ触診AFM技術に伸長装置や圧縮装置を導入することで、試料表面のナノ応力分布を実空間で可視化できた。これにより、材料の微細なメカニカル特性と変形挙動を詳細に解析することが可能となり、特にゴムやエラストマーなどの高分子材料の特性理解において重要な進展があった。さらに、ナノ触診AFMに導電性AFMを組み合わせ、変形に伴うフィラーネットワークのナノ空間構造の評価手法を確立したことで、フィラー充填ゴムの強化メカニズムや応力伝達の挙動を明らかにできた。引き続き、ナノ材料のメカニカル特性と電気特性の相関を解明し、次世代の材料開発への貢献を目指す、とした。

・前田 泰氏(産業技術総合研究所)「走査型広がり抵抗顕微鏡による全固体電池の解析:電極内部の電子伝導」…EV用次世代バッテリーとして全固体電池が期待されている。全固体電池では様々な固/固界面を通したイオンや電子の移動が重要である。産総研では、走査型広がり抵抗顕微鏡(SSRM)を用いてこうした界面現象の解析を進めている。講演では、SSRMと3Dシミュレーションとを組み合わせて、硫化物系全固体電池の電子伝導を解析した事例を紹介したほか、硫化物系全固体電池の測定をする上でのポイントについても紹介した。

・久保田賢治氏(三菱マテリアル)「AFM、QCM-Dおよびエリプソメトリーを用いた銅めっき添加剤吸着状態の解析」…めっきの添加剤として用いられる水溶性高分子と界面活性剤を対象として、AFM、QCM-D、エリプソメトリーを用いて添加剤の電極表面への吸着状態とめっき反応抑制効果の関係を解析した。その結果、迅速に吸着しリジッドな膜を形成するCTABが最も高い電析抑制作用を示し、含水量が多くソフトな膜を形成するPVAは抑制効果が弱く、吸着速度が遅いLASでは抑制効果が非常に弱かった。液中AFMを用いてモルフォロジーの観察を行いこれらの結果を補強した。複数の解析手法を併用することで固液界面に存在するめっき添加剤の存在形態に関する情報を得ることができた。

・小林 圭氏(京都大学)「液中AFMによる固液界面物性計測と探針増強ラマン分光装置の開発」…液中で動作する周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)について、その動作原理および構成を概説し、分子分解能での生体分子の構造観察事例を紹介する。さらに、フォースマッピング法によって固液界面での相互作用力分布を取得することで、水和・溶媒和計測や電荷分布計測が可能となる。いくつかの固液界面物性計測事例について紹介したい。一方、AFMで得られる表面物性は通常物理的な性質に限られるが、AFMとラマン分光を組み合わせた探針増強ラマン分光(TERS)によれば、化学的な性質も評価することが可能となる。講演では、薄膜導波路構造を有するプローブを用いた高感度TERS装置の開発状況および展望について述べた。

・尾木佑輝氏(東京都立科学技術高等学校)「AFMを用いたウルトラファインバブルによる鉛蓄電池の電極界面現象の解析」…本研究では鉛蓄電池の電解液にウルトラファインバブル(UFB)を添加し、電極界面現象などについて解析した結果、通常の電解液と比較してUFBを添加した電解液では、劣化の主要因であるサルフェーションが顕著に抑制されることが明らかになった。さらに、AFMなどを用いたナノスケールでの解析により、UFBによるサルフェーション抑制機構について明らかにすることでUFBの特性解明においても重要な進展がある。講演ではそれらの結果に加え、今後の展望についても紹介した。

・内橋貴之氏(名古屋大学)「高速原子間力顕微鏡で探る一分子ダイナミクス」…原子間力顕微鏡(AFM)は、無機から有機材料、生体分子までの多岐に渡る試料表面をナノメータースケール分解能で可視化できる表面構造解析ツールとして発展してきた。高速AFMの開発は1993年頃から進められ、2001年に1フレーム80msで撮影できる装置が報告された後、2008年頃に現行性能の高速AFMが確立し、特に生体分子の機能動態観察に応用されてきた。近年、ユーザーと関連論文数が増加し、分子の構造イメージングだけでなく、プローブによる構造操作や局所力学特性の定量計測、力学特性のマッピングも可能になってきている。講演では、高速AFMによる生体/合成分子の一分子ダイナミクス計測への最近の応用研究や機能拡張に向けた技術開発について紹介した。

・Jake Kim氏(Park Systems)「New Cutting-Edge AFM Techniques」…最先端のAFM技術として、従来はAFMの競合と位置付けられていたような計測機器、たとえば走査電子顕微鏡(SEM)とAFMを組み合わせることで、広い測定領域をカバーしつつ、SEMによる組織、組成、元素分布観察などと、AFMによる3D形状計測と硬さや摩擦、吸着などの力学物性情報や電流、電気抵抗、表面電位、磁性などの電磁気物性情報の同一箇所での解析評価が行える。また、AFMはカンチレバーのセットやレーザービームのアライメントの難しさなどから、従来は操作にあたってのトレーニングが必要とされたが、プローブの自動交換やレーザービームの自動アライメントの機能などによって、初心者でも直感的な測定を可能とする同社の最新機種FX200なども登場していることを紹介した。

 

講演のようす

 

 当日はまた、18件のポスター発表が実施され、選考委員により最優秀賞1件、優秀賞3件が以下のとおり選考された。

◆最優秀賞
・「Verification of the contact mechanics with the fractional viscoelastic model」長谷川花音氏(東京科学大学)

◆優秀賞
・「Complex Strain Behavior of Polymeric Microparticle Latex Film Observed with Tip-Scan AFM」Chan Feng-Yueh氏(名古屋大学)

・「Investigation of Solvation Structures of Lithium-ion Battery Materials on Clinochlore Using Frequency Modulation Atomic Force Microscopy」Wang Yilin氏(京都大学)

・「高速AFMによるSecトランスロコンの一分子計測」金岡優衣氏(名古屋大学)

 

ポスター発表 表彰式のようす
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ナノ科学シンポジウム2024が開催

1ヶ月 ago
ナノ科学シンポジウム2024が開催

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2024 : NSSJ2024)」が10月18日1、東京都文京区の東京大学 浅野キャンパス 武田ホールで開催され、約80人が参加した。主催は東京科学大学 物質理工学院 中嶋・梁研究室と関東学院大学 材料・表面工学研究所、パーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

NSSJ2024参加者の全体写真

 

 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウムで、2020年から開催され5回目となるNSSJ2024では、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表が行われた。

・町田友樹氏(東京大学 生産技術研究所)「二次元結晶のファンデルワールス接合によるモアレ超格子の作製と観測」…ファンデルワールス接合では、①界面において格子整合の制約がなく、②原子レベルで平坦な理想的界面が実現し、③構成要素となる二次元結晶の選択肢が極めて広い。さらに、④原子層間のツイスト角度という既存の材料系ではあり得ない制御自由度があり、ツイスト積層によりモアレが形成され、バンド構造が制御できる。既存の材料系では得られない物性が発現する可能性があり、基礎・応用の両面で幅広い可能性を秘めている。講演では、ファンデルワールス積層によるモアレ超格子の作製と原子間力顕微鏡(AFM)による観測、物性創発について紹介した。

・吉田昭二氏(筑波大学)「光波駆動STMを用いた時空間ダイナミクス計測」…近年テラヘルツ~中赤外領域の光パルス生成技術が進展し1サイクル未満の振動サイクルを持つパルスを発生しパルス中の電場位相を自在に制御することも可能になってきた。光波駆動の走査型トンネル顕微鏡(STM)は、そのようなサブサイクル光で直接STM探針-試料間のトンネル電流を瞬間駆動することで試料の瞬時状態を捉える手法で、これまでに原子分解能と30フェムト秒未満の時間分解能が実証されている。講演では、同氏がこれまで物質表面の光励起状態とそのダイナミクスの計測を目的として実験を進め、C60薄膜や遷移金属ダイカルコゲナイド原子層上の電子ダイナミクスの計測行ってきた成果に加えて、今後の展望についても紹介した。

・梁 暁斌氏(東京科学大学)「原子間力顕微鏡によるナノ応力分布とナノ導電性の可視化」…AFMをベースにしたナノ触診AFM技術に伸長装置や圧縮装置を導入することで、試料表面のナノ応力分布を実空間で可視化できた。これにより、材料の微細なメカニカル特性と変形挙動を詳細に解析することが可能となり、特にゴムやエラストマーなどの高分子材料の特性理解において重要な進展があった。さらに、ナノ触診AFMに導電性AFMを組み合わせ、変形に伴うフィラーネットワークのナノ空間構造の評価手法を確立したことで、フィラー充填ゴムの強化メカニズムや応力伝達の挙動を明らかにできた。引き続き、ナノ材料のメカニカル特性と電気特性の相関を解明し、次世代の材料開発への貢献を目指す、とした。

・前田 泰氏(産業技術総合研究所)「走査型広がり抵抗顕微鏡による全固体電池の解析:電極内部の電子伝導」…EV用次世代バッテリーとして全固体電池が期待されている。全固体電池では様々な固/固界面を通したイオンや電子の移動が重要である。産総研では、走査型広がり抵抗顕微鏡(SSRM)を用いてこうした界面現象の解析を進めている。講演では、SSRMと3Dシミュレーションとを組み合わせて、硫化物系全固体電池の電子伝導を解析した事例を紹介したほか、硫化物系全固体電池の測定をする上でのポイントについても紹介した。

・久保田賢治氏(三菱マテリアル)「AFM、QCM-Dおよびエリプソメトリーを用いた銅めっき添加剤吸着状態の解析」…めっきの添加剤として用いられる水溶性高分子と界面活性剤を対象として、AFM、QCM-D、エリプソメトリーを用いて添加剤の電極表面への吸着状態とめっき反応抑制効果の関係を解析した。その結果、迅速に吸着しリジッドな膜を形成するCTABが最も高い電析抑制作用を示し、含水量が多くソフトな膜を形成するPVAは抑制効果が弱く、吸着速度が遅いLASでは抑制効果が非常に弱かった。液中AFMを用いてモルフォロジーの観察を行いこれらの結果を補強した。複数の解析手法を併用することで固液界面に存在するめっき添加剤の存在形態に関する情報を得ることができた。

・小林 圭氏(京都大学)「液中AFMによる固液界面物性計測と探針増強ラマン分光装置の開発」…液中で動作する周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)について、その動作原理および構成を概説し、分子分解能での生体分子の構造観察事例を紹介する。さらに、フォースマッピング法によって固液界面での相互作用力分布を取得することで、水和・溶媒和計測や電荷分布計測が可能となる。いくつかの固液界面物性計測事例について紹介したい。一方、AFMで得られる表面物性は通常物理的な性質に限られるが、AFMとラマン分光を組み合わせた探針増強ラマン分光(TERS)によれば、化学的な性質も評価することが可能となる。講演では、薄膜導波路構造を有するプローブを用いた高感度TERS装置の開発状況および展望について述べた。

・尾木佑輝氏(東京都立科学技術高等学校)「AFMを用いたウルトラファインバブルによる鉛蓄電池の電極界面現象の解析」…本研究では鉛蓄電池の電解液にウルトラファインバブル(UFB)を添加し、電極界面現象などについて解析した結果、通常の電解液と比較してUFBを添加した電解液では、劣化の主要因であるサルフェーションが顕著に抑制されることが明らかになった。さらに、AFMなどを用いたナノスケールでの解析により、UFBによるサルフェーション抑制機構について明らかにすることでUFBの特性解明においても重要な進展がある。講演ではそれらの結果に加え、今後の展望についても紹介した。

・内橋貴之氏(名古屋大学)「高速原子間力顕微鏡で探る一分子ダイナミクス」…原子間力顕微鏡(AFM)は、無機から有機材料、生体分子までの多岐に渡る試料表面をナノメータースケール分解能で可視化できる表面構造解析ツールとして発展してきた。高速AFMの開発は1993年頃から進められ、2001年に1フレーム80msで撮影できる装置が報告された後、2008年頃に現行性能の高速AFMが確立し、特に生体分子の機能動態観察に応用されてきた。近年、ユーザーと関連論文数が増加し、分子の構造イメージングだけでなく、プローブによる構造操作や局所力学特性の定量計測、力学特性のマッピングも可能になってきている。講演では、高速AFMによる生体/合成分子の一分子ダイナミクス計測への最近の応用研究や機能拡張に向けた技術開発について紹介した。

・Jake Kim氏(Park Systems)「New Cutting-Edge AFM Techniques」…最先端のAFM技術として、従来はAFMの競合と位置付けられていたような計測機器、たとえば走査電子顕微鏡(SEM)とAFMを組み合わせることで、広い測定領域をカバーしつつ、SEMによる組織、組成、元素分布観察などと、AFMによる3D形状計測と硬さや摩擦、吸着などの力学物性情報や電流、電気抵抗、表面電位、磁性などの電磁気物性情報の同一箇所での解析評価が行える。また、AFMはカンチレバーのセットやレーザービームのアライメントの難しさなどから、従来は操作にあたってのトレーニングが必要とされたが、プローブの自動交換やレーザービームの自動アライメントの機能などによって、初心者でも直感的な測定を可能とする同社の最新機種FX200なども登場していることを紹介した。

 

講演のようす

 

 当日はまた、18件のポスター発表が実施され、選考委員により最優秀賞1件、優秀賞3件が以下のとおり選考された。

◆最優秀賞
・「Verification of the contact mechanics with the fractional viscoelastic model」長谷川花音氏(東京科学大学)

◆優秀賞
・「Complex Strain Behavior of Polymeric Microparticle Latex Film Observed with Tip-Scan AFM」Chan Feng-Yueh氏(名古屋大学)

・「Investigation of Solvation Structures of Lithium-ion Battery Materials on Clinochlore Using Frequency Modulation Atomic Force Microscopy」Wang Yilin氏(京都大学)

・「高速AFMによるSecトランスロコンの一分子計測」金岡優衣氏(名古屋大学)

 

ポスター発表 表彰式のようす

 

kat 2024年10月22日 (火曜日)
kat

World PM(粉末冶金国際会議)2024が開催、27カ国から750人が参加

1ヶ月 ago
World PM(粉末冶金国際会議)2024が開催、27カ国から750人が参加kat 2024年10日22日(火) in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)と粉体粉末冶金協会(JSPM)の主催により、「World PM2024(粉末冶金国際会議)」(Congress Chairs:園田修三JPMA会長(福田金属箔粉工業)、尾﨑由紀子JSPM会長(大阪大学/九州大学))が10月13日~17日、横浜市西区のパシフィコ横浜で、“Make a better world with PM(粉末冶金(PM)でより良い世界を作る)”をメインテーマに開催された。世界27カ国から750人が参加した。

会場のようす


 World PMは粉末冶金の国際会議では最も大規模な催しで、北米、欧州、アジアとロケーションを変えて隔年開催されているが、日本での開催は「World PM 2012」開催以来の12年ぶりだった。

 World PMは論文発表と展示会の2本立ての会議となるが、World PM2024の論文発表では、粉末製造技術、粉末の圧密と焼結、粉末の成形と焼結、熱間静水圧焼結、アディティブマニュファクチャリング(AM)焼結関連技術、金属射出成形(MIM)関連技術、粉末冶金におけるトライボロジー、などの最新のPM技術に関するセッションで、430件の発表(口頭発表ならびにポスターセッション)がなされた。

口頭発表のようす

 

ポスターセッションのようす

 

 会期中はまた、焼結含油軸受などの部品や原材料、熱処理装置など関連装置、MIM製品、AM関連機器・製品など、PMサプライチェーンの最新の製品・技術を紹介する展示会が、100社/140小間の規模で開催された。

 

展示会のようす


 会期中はさらに、Welcome Reception、Congress Partyなどのさまざまなソーシャルイベントや、テクニカルビジット(先進技術を学ぶ視察旅行)やオプショナルツアーなどの特別プログラムも設けられた。

kat

理化学研究所、2024年度 RANSシンポジウムを11/19に開催、参加登録受付中

1ヶ月 ago
理化学研究所、2024年度 RANSシンポジウムを11/19に開催、参加登録受付中

 理化学研究所 光量子工学研究センターは11月19日、埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所 鈴木梅太郎ホールで、2024年度 RANS(理研小型中性子源)シンポジウム(理研シンポジウム)「小型中性子源は現場へ!〜非破壊計測の夜明け〜―スマートインフラ、ものづくり、宇宙へ向けて―」を開催する。当日はシンポジウム後に、和光本所 生物科学研究棟3 階ロビー意見交換会も開催される。事前登録制で参加費は無料。意見交換会料金は当日払い(5000円を予定)。

 申し込みは、こちらから。11月1日まで参加登録が可能。

 当日のスケジュールは以下のとおり。

・9:00~9:05 「開催挨拶」緑川克美氏(理化学研究所 光量子工学研究センター センター長)

・9:05~9:15 「来賓挨拶」(文科省・調整中)

・9:15~9:45 「理研小型中性子源システムRANSプロジェクト'いつでもどこでも中性子'」大竹淑恵氏(理化学研究所 中性子ビーム技術開発チーム チームリーダー)

・9:45~10:15 「スマートインフラマネジメントで未来を拓く~SIP第3期インフラプロジェクトの概要と展望~」久⽥ 真氏(東北⼤学⼤学院・⼯学研究科 教授)

・10:15~10:25 休憩

・10:25~10:45 「車載が完了したRANS-IIIと今後の展望」小林知洋氏(理化学研究所 中性子ビーム技術開発チーム 専任研究員)

・10:45~11:05 「塩害に対する非破壊検査装置-中性子塩分計RANS-μ-~大規模計測に向けた体制作りと高度化開発~」若林泰生氏(理化学研究所 中性子ビーム技術開発チーム 研究員)

・11:05~11:35 「セメント水和物のナノ構造を考える~類縁結晶性鉱物の中性子散乱から~」高木奈津子氏(旭化成ホームズ 技術本部 住宅総合技術研究所 建材技術グループ)

・11:35~14:00 お昼休憩ならびにRANS見学会(RANS、RANS-II、RANS-III、RANS-μ)

・14:00~14:20 「太陽電池素子を応用した中性子束計測と社会実装に向けた取り組み」奥野泰希氏(理化学研究所 中性子ビーム技術開発チーム 研究員)

・14:20~14:50 「材料開発における放射光活用と中性子への期待」小島優子氏(三菱ケミカル Science & Innovation Center 分析物性研究所)

・14:50~16:00 ポスター発表-

・16:00~16:30 「宇宙での食と健康の未来を考えるー 中性子線が拓く新たな可能性 ー」初田真知子氏(順天堂大学 保健医療学部 診療放射線学科 教授)

・16:30~17:00 「宇宙中性子の観測で切り拓くシスルナ科学」榎戸輝揚氏(京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻宇宙放射学講座 准教授)

・17:00~17:10 「閉会挨拶」大竹淑恵氏(中性子ビーム技術開発チーム)

・17:30~19:30 「意見交換会(会費制)」生物科学研究棟3階ロビー(鈴木梅太郎記念ホールから3階へ移動)

 不明点などに関する連絡先は、以下のとおり。

〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1 中性子工学施設 N204
理化学研究所 中性子ビーム技術開発チーム
チームリーダー 大竹淑恵
yotake@riken.jp

kat 2024年10月22日 (火曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2024年10月号 特集「自動車の表面改質」「ピーニング」10月25日発行!

1ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2024年10月号 特集「自動車の表面改質」「ピーニング」10月25日発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2024年10月号 特集「自動車の表面改質」キーテク特集「ピーニング」が当社より10月25日に発行される。

 今回の特集「自動車の表面改質」では、歯車部品に使用される冷間歯形鍛造用鋼材を対象に真空浸炭焼入れした場合の結晶粒度と衝撃強さに及ぼす影響について、フランス・HEFグループの自動車分野におけるPVDコーティング・窒化処理の最近の話題について、自動車部品向けなどの工具・金型用PVDコーティングの最新技術について、今年のJIMTOFに出展される表面改質技術から自動車分野への適用が期待される出展内容について紹介する。

 また、キーテク特集「ピーニング」においては、リチウム金属負極全固体電池の概要とショットピーニングによるリチウム金属負極全固体電池の充電速度向上について、レーザピーニングとショットピーニング技術との比較、レーザーピーニング技術の効果などについて紹介する。

特集:自動車の表面改質

◇自動車用歯車部材での真空浸炭焼入れによる結晶粒度と衝撃強さへの影響・・・日産自動車 郭 新新、山下 大介、渡邊 敦夫、旭川工業高等専門学校  杉本 剛

◇自動車分野におけるPVDコーティング・窒化処理の最近の話題・・・HEF DURFERRIT JAPAN ジュリアン グリモ 氏に聞く

◇JIMTOF2024で披露される自動車部品向けなどの工具・金型用PVDコーティングの最新技術・・・日本コーティングセンター 堂前 達雄 氏、角谷 行崇 氏に聞く

◇11月5日~10日開催 JIMTOF2024に見る、モビリティと工作機械を支える表面改質技術・・・編集部

キーテク特集:ピーニング

◇ピーニングによるリチウム金属負極全固体電池の充電速度向上・・・東京科学大学 兒玉 学

◇レーザピーニングの最新技術動向・・・新東工業 辻 俊哉

連載

注目技術:第78回 講演会「DLCコーティングの特長と産業応用」に見るDLCの適用と計測評価・・・DLCユーザー、DLC評価機器メーカー各社

酒飲み世界紀行:第5回 東南アジアのビール編: Beerlao is No.1・・・横浜国立大学 梅澤 修

トピックス

JIMTOF2024、1262社/5743小間の過去最大規模で開催

JASIS2024開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

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admin 2024年10月22日 (火曜日)
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NTN、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けに高速回転に対応する樹脂保持器を開発

1ヶ月 ago
NTN、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けに高速回転に対応する樹脂保持器を開発kat 2024年10日22日(火) in in

 NTNは工作機械主軸用のグリース潤滑軸受向けに、射出成形が可能な樹脂保持器としてdmn 値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))が135 万と業界最高水準の高速回転性能を実現する樹脂保持器を開発した。生産性に優れた成形樹脂保持器の高速回転化により、グリース潤滑軸受の適用範囲をさらに拡大し、工作機械の加工時間の短縮や省エネルギー化に貢献する。

 本保持器を同社の「ULTAGE(アルテージ)シリーズ」を含む工作機械用のグリース潤滑軸受に適用し、エアオイル潤滑軸受からの切り替えをグローバルに提案。工作機械主軸(複合加工機、マシニングセンタ、旋盤) 向け軸受として、2026年度に1.5億円/年の販売を目指す。

 同社ではまた、保持器以外にもグリースなど軸受を構成する各要素における開発を進め、グリース潤滑軸受の一層の高速回転対応を追求することで、各種製造現場の生産性の向上と省エネルギー化に貢献していく。

工作機械主軸用グリース潤滑軸受

 

工作機械(マシニングセンター)と主軸

 

 加工時間の短縮に向けて、工作機械の高速回転化が進む中、工作機械の主軸用軸受にも高速回転性能が求められている。主軸用軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的に高速回転に適しているのはエアオイル潤滑とされている。しかし、エアオイル潤滑はエアオイルの供給やオイルミストの回収などのための付帯設備が必要となるため、近年は省エネルギー化を目的としてグリース潤滑への切り替えが進むとともに、グリース潤滑軸受の高速回転対応へのニーズが高まってきている。

 これに対し同社では、材料と設計を最適化することにより、グリース潤滑軸受の高速回転対応が図れる生産性に優れる成形樹脂保持器を開発したもの。

 開発品の特長は以下のとおり。

1.dmn値135万(同社従来品比20%向上)と、成形樹脂保持器として業界最高水準の高速回転性能:解析や回転試験、強度試験を重ねて耐熱性の高い材料を採用することにより、高速回転に伴う発熱による変形を抑制。本保持器は高速回転環境下においても十分な耐久性を有し、成形樹脂保持器を用いた軸受として業界最高水準となるdmn値135万の高速回転性能を実現し、成形樹脂保持器で従来は対応できなかった高速回転領域への適用が可能となり、エアオイル潤滑からグリース潤滑への切り替えを後押しする

2.長寿命化:本保持器は、形状を最適化し、軸受取り付け後の初期回転時のグリース挙動を制御することで、慣らし運転を含めた温度上昇を抑制し、長寿命化を実現

 

構造

 

軸受の転走面におけるグリース挙動解析のイメージ

 

限界速度による開発保持器の耐久性評価

 

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NTN、工作機械向け高速サーボモーター用深溝玉軸受を開発

1ヶ月 ago
NTN、工作機械向け高速サーボモーター用深溝玉軸受を開発kat 2024年10日22日(火) in in

 NTNは、工作機械の主軸の駆動部位に使用される工作機械向けサーボモーター用軸受として、保持器の材料や形状の見直しにより、高速回転対応と低振動化を実現した「高速サーボモーター用深溝玉軸受」(対応サイズ:内径φ40mm~)を開発した。同社では、工作機械の加工時間の短縮や加工精度の向上に貢献する商品として、グローバルに提案を進め、2026 年度に1億円/年の販売を目指す。

 

工作機械向け「高速サーボモーター用深溝玉軸受」

 

工作機械用サーボモーターにおける適用箇所(赤丸部分)


 

 製造現場において、労働人口の減少を背景に省人化や生産性向上に関する取り組みが進められる中、工作機械は加工時間の短縮に向けた主軸の高速回転化や、品質安定化に向けた加工精度の向上が進められている。これにより、工作機械の駆動力を発生させるサーボモーターに使用される軸受にもまた、高速回転対応や低振動化が求められている。

 軸受が高速回転すると、遠心力による保持器の変形・破損や軸受内部の発熱という課題があるが、同社では保持器の挙動が振動の原因となることに着目し、保持器の材料や形状の見直しにより保持器の挙動を安定させることで、高速回転性能と振動特性を向上させた工作機械向け高速サーボモーター用深溝玉軸受を新たに開発した。

 開発品の特長は、以下のとおり。

1.dmn値(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))190 万(同社従来品比40%向上)の高速回転性能:保持器の材料を見直すことで剛性を高め、遠心力による保持器の変形を低減したほか、保持器形状の最適化によりグリース封入量を増やすことで、潤滑性を向上。これらの改良により、高速領域における軸受昇温特性が向上し、大幅な高速回転性能の向上を実現

2.振動レベルを同社従来品に比べ約50%低減:保持器のポケットを保持器と転動体の接触をより安定させる形状とすることで、低振動化を実現

 NTNは工作機械向けサーボモーター用の本商品と、ロボット向けサーボモーターの小型化に貢献するサーボモーター用低発塵軸受をグローバルに提案し、各種産業機械の動力源として幅広く使用されるサーボモーターの小型化・高速化などの性能向上に寄与し、製造現場が抱えるさまざまな課題の解決に貢献していく。

 

構造

 

軸受昇温特性比較

 

振動試験結果

 

kat