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卓見異見/宇宙工学という新天地へ 総合研究大学院大学特任教授・執行役 (元JAXA理事・宇宙研所長)國中均
著者登場/太田洋氏『コーポレートガバナンス入門』
書窓/HigherStage社長・佐藤幸也氏 顧客に対する心得学んだ『ハイパワー・マーケティング』
新刊/人を大切にする経営学会編 『人を大切にする経営学用語事典』
新刊/中村圭吾著『建設ネイチャーポジティブ』
紀伊国屋書店ベストセラー
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エボニック、エコヴァディスから世界で最も持続可能な企業の一つに認定
エボニック インダストリーズ(エボニック)は、サステナビリティに対する取り組みを評価する国際的な機関であるEcoVadis社(エコヴァディス)より、2025年の企業評価において「ゴールド」評価を獲得した。エボニックは過去12カ月間に評価対象となった企業の中で、上位5%に位置づけられている。
エボニックの最高人事責任者兼労務担当取締役・サステナビリティ担当執行役員であるトーマス・ヴェッセル氏は、「このゴールド評価は、エボニックが持続可能性に一貫して取り組んできたことの証です。持続可能性を共に実践し、共に形づくることで達成できる成果を示している」と述べている。
エコヴァディスの評価は、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」という四つのカテゴリーに基づいて行われる。評価には社内データに加え、公開情報も活用され、企業の透明性と説明責任が問われる。規制の強化やステークホルダーの期待の高まりにより、企業に求められる基準は年々厳しくなっている 。
エボニックのサステナビリティ部門責任者であるラルフ・デュッセルしは、「サステナビリティは継続的な改善プロセスで、エボニックはステークホルダーと共に積極的に取り組んでいる。自社のプロセスを最適化するだけでなく、製品がお客様の用途で最大限の価値を発揮できるよう努めている」とコメントしている。
エボニックは、化学業界の国際的イニシアチブ「Together for Sustainability(TfS)」の創設メンバーとして、グローバルサプライチェーンにおける持続可能性の標準化と監査の推進に取り組んでいる。エコヴァディスによる今回の評価は、TfSとの戦略的パートナーシップの成果であり、エボニックが業界の持続可能性推進において先駆的な役割を果たしていることを示している 。
NTN、産業機械用等速ジョイントのメンテナンスサービスを開始
NTNは、産業機械用等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)を対象としたメンテナンスサービスを開始した。製鉄や鉱山、化学、製紙、食品など幅広い分野の設備で動力伝達部品として使用されている産業機械用等速ジョイントを対象とするメンテナンスサービスの提供を通じて、買い替えコストの抑制に加え、故障リスクの低減によるダウンタイムの抑制、エネルギー効率の向上、さらにはサーキュラーエコノミーの推進にも貢献していく。
NTNは自動車のモーターやエンジンからタイヤへ動力を伝える等速ジョイントを1963年に日本で初めて実用化した。以来、技術面と製造面の両面から技術を磨き、現在では世界トップクラスのシェアを誇る。
同社は、自動車分野で培った高度な技術力を生かし、産業機械の分野においてもモーターなどの駆動装置からの動力を円滑に伝達する等速ジョイントの開発・販売も行っている。機械設備の設計上、取り付け角度が生じる場合でも、静粛性となめらかな動力伝達を両立できる構造に加え、潤滑剤であるグリースはゴム製などのブーツによって密封されているため、長時間にわたって給脂が不要で、グリースの飛散も防止でき清潔な環境の維持にも貢献している。こうした点が高く評価され、製鉄や鉱山、化学、製紙、食品など幅広い産業分野で採用されている。
同社は今回、等速ジョイントのトップクラスのメーカーとして長年にわたり培ってきた技術やノウハウを生かし、新たにメンテナンスサービスの提供を開始した。本サービスでは、等速ジョイントの内部を分解・洗浄し、各部品の状態を精査した上で、必要に応じて新品部品への交換や再組み立てを行うことで、商品の長寿命化を実現する。さらに、将来的な買い替えの必要性や最適な保守計画に関するアドバイスも提供する。
NTNは、本メンテナンスサービスを通じて、ユーザーの買い替えコストの抑制やダウンタイムの削減などに貢献するとともに、買い替え品の製造に伴う環境負荷の低減を通じてカーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーの推進に貢献する。また、商品の選定や提供にとどまらず、商品の取り扱いや運用保守まで含めた軸受ライフサイクルマネジメントの提供により、アフターマーケット・ビジネスのさらなる拡大を推進していく。
メンテナンスサービスの内容は以下のとおり。
・内部部品の分解・洗浄、調査・確認
・部品交換
・再組み立て
・依頼品の状態や買い替えの必要性などに関する助言
主なサービス提供先は以下のとおり。
・製鉄機械、鉱山機械、化学機械、製紙機械、食品機械など
左:産業機械用等速ジョイント(CVJ) 右:取り付け角度が発生しても静粛で円滑な動力伝達が可能産業機械用等速ジョイントの適用例
モーターなどの動力を角度や距離がある別の装置に伝達する用途で使用される
産業機械用等速ジョイントの構造例
NTNセールスジャパン、国際自転車ロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2025」で「NTN 回る学校」を開催
NTNの販売子会社であるNTNセールスジャパンは、10月10日から13 日にかけて長崎県、福岡県、熊本県、宮崎県、大分県で開催される国際自転車ロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2025」に2年連続で協賛し、各レース会場でベアリングについて楽しみながら学ぶことができる「NTN 回る学校」を開催する。
本大会は、近年に九州を襲った自然災害からの復興を象徴するイベントとして開催されているUCI(Union Cycliste Internationale、国際自転車競技連合)公認の国際自転車ロードレース。3回目の開催となる今大会は、開催地に新たに長崎県と宮崎県を追加し、計4会場で国内外の18チームがレースを繰り広げる。
同社は、各レース会場でNTNの主力商品であるベアリングを楽しみながら学べる「NTN 回る学校」を開催する。親子で挑戦できるベアリングの組み立て体験や、ロードバイクに使用されるベアリングの展示、また、ベアリングを構成するシールやグリースの違いによるベアリングの回転の違いを感じてもらう体験型の展示も実施する。
NTNはロードバイク向けの各種ベアリングに加えて、自転車向けのベアリング技術を生かし、国際大会で活躍する車いす陸上競技選手にもベアリングを提供している。今後もこうした機会を通じてベアリングの役割やエネルギーロス低減など社会への貢献を広く知ってもらうとともに、自転車向けのベアリングの開発・提供を通じて、環境に優しい移動手段である自転車市場の発展ならびに環境負荷の低減に貢献していく考えだ。
ベアリングの組み立て体験外輪、内輪、保持器、ボールを組み合わせてベアリングの組み立てに挑戦できる。初めてベアリングを見る人も、ベアリングの構造や仕組みについて学べる
ジェイテクト、半導体製造用ドライポンプ向けベアリングの中国生産に着手
ジェイテクトは、産機・軸受事業で培ったコアコンピタンスを生かし、成長性のある半導体産業に向けて、各工程で使用されるドライブポンプ用ベアリングの中国生産に着手した。現地生産による中国国内のドライポンプメーカーへの納入を進めることで、価格や運搬に関するムダを取り除き、ユーザーに貢献していく。
産機・軸受事業においては、半導体産業を戦略市場と位置付け、既存製品の拡販と新規製品の開発により、国内外の半導体製造に携わるお客様への貢献を進めている。
本製品は半導体製造における露光、エッチング、薄膜形成、電極形成などの工程において、真空環境をつくるドライポンプに使用されるベアリングで、一般的な半導体生産ラインでは数千台規模のドライポンプが使用され、一台当たり4個程度のベアリングが使用される。同社では、この製品の現地供給を通じて半導体産業に貢献していく。
ジェイテクトはこれまで培った技術を生かし、ベアリングの高精度加工によって多様な産業のニーズに応えてきた。半導体産業におけるドライポンプには低騒音・低振動化が強く求められており、これに応えるとともに、真空下の劣悪な潤滑環境においても長時間ベアリングを使用できるように、セラミックボールの採用によりポンプの信頼性向上に貢献してきた。
ジェイテクトではこれまで、ドライポンプ用ベアリングを徳島工場とグループ会社のジェイテクトプレシジョンベアリングで生産しており、国内外のドライポンプメーカーに納入していた。今後、中国市場における半導体生産の成長に貢献するため、中国の現地法人である捷太格特軸承(無錫)(JTEKT BEARINGS (WUXI))での生産を2026年1月に開始する。
半導体製造工程の概略とドライポンプが活躍する工程
ジェイテクトはこれらの高度な技術を現地生産に適用し、中国国内のドライポンプメーカーへの迅速な供給が可能となる。これにより、納期の短縮と価格競争力の向上に貢献し、現地顧客の期待に応える体制を整えた。
ジェイテクトは今後も、グローバルな製造・供給ネットワークの強化を通じて、より高品質で信頼性の高い製品を提供し、真空技術分野の発展に寄与していく。世界中のあらゆる産業を支えるベアリングを重要なソリューションと位置づけ、今後も自社が持つコンピタンスの掛け合わせにより技術を磨き、ユーザーにソリューションを提供していく。自動車、建設機械、鉄鋼、工作機械、半導体など社会の基盤となる産業にソリューションプロバイダーとして貢献していく考えだ。
ジェイテクト、LEXUS RZにステア・バイ・ワイヤシステムとバックアップ電源が採用
ジェイテクトが開発・量産を進める次世代のステアリングシステムの一つであるリンクレスのステア・バイ・ワイヤシステムと、そのバックアップ電源装置に搭載される高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy🄬)が、2025年3月12日にトヨタ自動車からリリースされたLEXUS初となるBEV専用モデル 「RZ」 に搭載された。リンクレスステアバイワイヤシステムの搭載はLEXUSでは初採用となる。
ステア・バイ・ワイヤシステムとバックアップ電源のイメージ図
ジェイテクトは、1988年に電動パワーステアリング(EPS)の量産を世界で初めて開始。EPSにおいて安全・環境に配慮した性能向上に加え、快適性向上による将来のモビリティ社会を見据えて、操舵ユニットと転舵ユニットの機械的な接続構造のないリンクレスのステア・バイ・ワイヤシステムの開発を進めてきた。開発したステア・バイ・ワイヤシステムは、安全第一で構成されたシステムの冗長化、新しい制御技術を実装し、車両への搭載可能なシステムとなっている。
そして、電動化技術で操作系を拡げ、ワインディングでの直感的な操作フィーリングや低速域での取り回し性において、LEXUSが大切にしている「人とクルマとの対話」をより加速させ、従来のコックピットに大きな変革をもたらすと認められ、今回、搭載されたもの。ステア・バイ・ワイヤシステムは機械的な接続構造がないため、搭載性がよく、その他機器のレイアウトの自由度が高まる。また、車両衝突の際でも、その構造によりハンドルからの突き上げがなく、運転手の安全確保にも寄与している。
Libuddy🄬は、ジェイテクトのEPSシステムの補助電源用高耐熱リチウムイオンキャパシタとして開発されたが、現在では、さまざまな設備・装置のエネルギーマネジメントなど、自動車以外の用途でも提案が進められている。
Libuddy🄬をバックアップ電源にすることで、万が一、車両電源トラブルが発生した際、路肩に寄せるなど安全な位置まで車両を操作できる電力を供給し、車両、運転手、同乗者、周囲の環境への安全性向上に寄与している。
ジェイテクトでは、ジェイテクトグループがもつコアコンピタンスを掛け合わせて、モビリティの安全性や走行性の向上、環境性向上に貢献する製品・サービスの技術力をさらに高めていく。そして、次世代の自動車技術に貢献することができるソリューションプロバイダーとしてユーザーに新たな価値を提案していく。
ジェイテクト、転舵・駆動統合ユニットを新開発
ジェイテクトは、自動車部品・軸 受・工作機械事業で培ったコアコンピタンスを生かし、「転舵・駆動統合ユニット」を開発した。転舵・駆動統合ユニットは、人とモビリティが共存するウォーカブルシティで求められる「人にやさしい移動」、気軽に乗れる・誰でも乗れる・広々使える、を実現するソリューション。同社では今後、自動車メーカーや自治体、各機関への提案をし、実用化に向けての共創機会の模索を進めていく。
転舵・駆動統合ユニット(左)と車両搭載例(右)
転舵・駆動統合ユニットは「走る」「曲がる」「止まる」「下げる」の機能を1ユニットに集約している。車両の隅に配置することで、フラットで広い空間、乗り降りしやすい低床フロアが提供できる。用途に応じて、ユニットの機能を取捨選択することや、フラットで広い空間を柔軟に利用することも考えられる。
4輪配置イメージ(左)と1輪配置イメージ(右)
これらの特徴を生かして、ウォーカブルシティでの利用にとどまらず、移動式モビリティハブ、介護・医療分野での活用など、さまざまなニーズに貢献できるソリューションの提供が可能となる。ユニットを後付け・付け替えすることにより、移動店舗や倉庫の移動などでの活用も考えられる。
活用イメージ
ジェイテクトは、モビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダーとして、転舵・駆動統合ユニットの実用化をすすめ、様々な企業や自治体との共創を通じて、モビリティにとどまらず、さまざまな移動体験と生活の価値を高め、豊かな社会づくりに貢献していく、としている。
ジェイテクト、FA用統合ツールを開発
ジェイテクトは、自動車部品・軸受・工作機械事業で培ったコアコンピタンスを生かし、設備制御設計を高効率化するソリューションとして、FA制御機器用設計ツール「TOYOPUC-Manager」を開発した。
TOYOPUC-Managerとは、工作機械や設備において、設備を制御するPLC・安全PLC・操作画面・モーションコントローラを別々に設計していたものを、シームレスに設計できる設計・保守用ツール。
自動車をはじめとしたモビリティ産業は、多種多様な視点で機能価値の向上が求められている。今回開発したTOYOPUC-Managerは、設備設計エンジニアの設計効率を向上し、競争力のある設備を設計するために設備の頭脳である、PLC・安全PLC・操作画面・モーションコントローラの設計効率を向上させ、シームレスな設計を実現する。
製品の概要は以下のとおり。
・設計ツールの一体化:PLC、安全PLC、操作画面、モーションコントローラの設計ツールの一体化による設備単位での各制御機器データの管理や各制御機器データをイーサネット接続で一括取得する。これにより一括読み込み機能、設計ツール間でのレジスタコメントの共有化を行うリンク間コメント設定等機能により設計ツール間のデータの共有化、データの一括操作を実現する
・シミュレーション機能の搭載:パソコン一つでTOYOPUCの安全PLC含めて設備全体のシミュレーションを実現できる。従来の実機とそれに対応する設計ツールを用意してのデバッグ作業からシミュレーションによるデバッグ作業に切り替えることで、実機を用意する手間等の削減や各制御機器を連携したシミュレーションにより設計工数の短縮化を実現。それにより、ユーザーの設備完成度向上や教育訓練のインフラコスト低減に貢献する
同社では、「TOYOPUC-Managerは、ジェイテクトが提案するモノづくり設備のソリューションの一つ。これまで培ってきた技術をつなぎ、新たな製品サービスを生み出し世界中のモノづくり現場に貢献していく。ジェイテクトはモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダーとして、多種多様な視点で機能価値の向上に貢献する製品を開発し、順次提案していく」と述べている。
ジェイテクト、2025 年度 (第21 回) 精密工学会技術奨励賞を受賞
ジェイテクトは、公益社団法人精密工学会より、業績題目「加工ノウハウモデリングの開発によるモノづくり現場の課題解決」により、「2025年度 (第21 回) 精密工学会技術奨励賞」を受賞した。受賞者は、同社工作機械システム事業本部 工作機械技術部 磯村 和秀氏とイノベーション本部 成形プロセス研究部の小島 大氏、豊田中央研究所の宮嵜伊弦氏。
左から、精密工学会 会長 山内 和人氏、受賞者の磯村和秀氏と小島 大氏と宮嵜伊弦氏、
ジェイテクト 研究開発センター センター長(精密工学会 賛助会員の会 会長)小野﨑 徹氏
精密工学会技術奨励賞は、精密工学分野において顕著な業績をあげた独創性・将来 性のある企業等の新進気鋭の研究者、技術者に対し、その努力と精進に報いるとともに、旺盛な研究意欲を高揚させることを目的として贈賞されるもの。
日本のモノづくりは、少子高齢化による労働人口の減少とそれに伴う熟練者の減少、および知識伝承の課題に直面している。特に加工の分野では、熟練者の有する課題解決に対するノウハウが属人化しており、これを形式知として蓄積・活用する仕組みが求められている。
今回の受賞は、これまでのアプローチでは活用が難しかった熟練者の知識とその思考過程を、「知識モデル」としてデジタル化し、可視化することで、モノづくり現場の知識伝承の効率化と生産性向上を実現したもの。
ジェイテクトは、「技術をつなぎ、地球と働くすべての人を笑顔にする」というミッションに基づき、2030年までに目指す姿としてJTEKT Group 2030 Vision「モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダー」を掲げており、このソリューションプロバイダーへの変革のために、既存製品の高付加価値化と新領域へのチャレンジの両軸での成長と変革を目指している。
本開発は、熟練者の知識とその思考過程のデジタル化と、それを活用した加工支援で、ユーザーの困りごとに応え、日本のモノづくり技術を未来につなぐソリューションで、ジェイテクトでつながれてきたモノづくりのノウハウ、モノづくり設備に関するコンピタンスを生かして、豊田中央研究所との共創により実現した。
本開発は、日本のモノづくりの課題への新たなアプローチとして、「知識モデル」と「知識モデル探索アルゴリズム」による加工現場における知識伝承と生産性向上の両立を目指したもの。加工に関する技術用語の因子とそれらの関係性を構造化し、知識の体系的な表現を可能にした。このモデルを活用し、熟練者の思考過程を可視化することで、知識伝承や現場での課題解決時の試行錯誤を大幅に短縮し、現象解明にも役立つ。
知識モデルイメージ
本技術を用いた加工支援ツールを開発し、社内の教育や加工条件選定に活用した結果、新人教育では教育時間を約60%短縮、また条件選定では、中堅者比で75%、熟練者比で50%の時間短縮を実現した。
左:新人教育での活用のようす、右:本開発を用いた加工支援ツール
さらに、知識モデル内の因子の関係性を自動決定する手法を開発し、開発当初の課題であった知識モデルの出力精度向上と構築の効率化も実現した。
受賞者は「本開発は、製造業全体の課題である熟練者の知識伝承にアプローチするソリューション。本開発の活用で、ユーザーが加工技術をより深く理解できるようになり、知識伝承が効率的に行えるようになる。また、推奨される加工条件の提示や加工結果の予測が可能となることで、誰でも熟練者と同等の加工ができるようになる。今後も本技術の深化に努め、ソリューションプロバイダーとして持続可能なモノづくりの未来の実現に貢献していく」とコメントしている。
同社は、「今後は、本開発を汎用円筒研削盤に活用し、研削加工のDXへの実現を目指している。また本開発は、知識を構造化し、活用可能な形で提供するという汎用性の高いものであるため、加工分野のみに留まらず広い分野において知識伝承や課題解決の支援に貢献できる。知識の蓄積と可視化を通じて、これまで暗黙知とされていた領域を形式知として整理し、未来のモノづくりに向けてさらなる発展への寄与を目指していく」としている。
NTN、技術サポートを提供する車いす陸上競技選手が世界選手権に出場
NTNが技術サポートを提供している車いす陸上競技の伊藤智也選手(バイエル薬品所属)と上与那原寛和選手(SMBC日興証券所属)が、9 月27 日~10 月5 日にインド・ニューデリーで開催される 「ニューデリー2025 世界パラ陸上競技選手権大会」に出場する。NTNは、競技用車いす専用の軸受およびチューニングなどの技術サポートの提供を通じて、国際大会における両選手のパフォーマンスを支えていく。
同社は2021 年より両選手に「レーサー」と呼ばれる競技用車いすのホイール用軸受を提供している。軸受は競技用車いすの走行性能を高める重要な要素だが、選手の走行時の姿勢やレース戦略などによって荷重のかかり方が変化するほか、予測が難しい天候への対応、さらには選手自身の感覚など、さまざまな要素が影響する。そのため、軸受の技術検討において通常の機器と異なる点が多々あり、競技用車いすのホイール用軸受の開発は、同社にとっても大きな挑戦となった。
両選手に提供している軸受は、これらのさまざまな要素を考慮しながら、度重なる調整を経て作られた特別仕様のもので、回転トルクを抑えるために転動体を通常の鉄製から重量が軽いセラミック製のボールに変更し、トルクと耐久性のバランスを考えて適切な粘度の潤滑油を選定した。加えて、実際に選手に試走してもらいながら、トライ&エラーの形で軸受内部のすきまを最適化し、ホイールを漕ぐ感覚が選手の感覚や好みに合う状態を実現している。これらの技術サポートを通じて、2021年からこれまでに開催された国際大会における両選手のパフォーマンスに貢献した。
同社は自動車や各種産業機械など幅広い分野に軸受を開発・提供しており、各種機器の省エネルギー化を通じた環境負荷低減と乗り物の安心・安全・快適性の向上に貢献してきた。同社では、「これら軸受に関する豊富なノウハウを生かし、今大会においても両選手を最大限サポートしていく」とコメントしている。
競技用車いす向け軸受